Uncommissioned-Index
欠番; 08080, 09000, 09119, 09999, 10000, 10001, 10101, 10911, 14911 15000, 18911, 19110-19119 19911, 20000, 20911, 21911, 22911, 23911, 26911
faq99
【質問】 先祖のパタリロ6世がテレビを見ているのはおかしいのでは?
【質問】 「グローブ屋の諸君の死」の話,アリバイを証明できる人間なぞ,あの状況ならゴロゴロいたと思うんだけど,どうかな?
【質問】 パタリロのピルケースの話のメイン・トリックには元ネタがあるの?
【質問】 魔夜先生のベタは,生原稿では超キレイだと単行本で書いてあったが,見た事ある人います?
【質問】 金角銀角って元は神仙なのに,なんでそいつらの母親は妖怪なわけ?
【質問】 既刊の『パタリロ!』のうち,特に面白い時期を紹介してください.
【質問】 「ド=マリネール」というのは,マリネラの国王(またはプリンス)という意味?
【質問】 「パタリロ!」のアニメが始まった当時,原作ファンはどんな感想を持ったんでしょうか?
【質問】 プリンス懺悔についての極秘通信の伝言ゲームのセリフ,全部覚えているやつはいる?
【質問】 フィガロが,タマネギ?号と息子アリランを連れて行った場所がよく分からん.
【質問】 「フライミートゥーザムーン」のアニメでの改変が,アニメ誌上で論争になったそうですが,どういうことだったんですか??
【質問】 アニメ版「パタリロ!」の登場人物の声って,それぞれ誰でしたっけ?
【質問】 「プレッシャーでねむれなーいっ!!」は,どこのワンシーンでしたっけ?
【質問】 フィガロって天使なのに,遺伝子というか製造源はバンとマラなのでしょうか?
【質問】 パタリロ,ラシャーヌ,西遊記以外の魔夜作品で,お薦めを教えて.
【質問】 一切下書きもせずにペン入れしているというのは本当?
【質問】 27歳で情報部少佐って,どれくらい現実的なんだろう?
【質問】 原作にものすごく思い入れがあって,初見でも,アニメ楽しめますかね?
【質問】 長い連載期間の間に,マライヒはどう変化してきている?
【質問】 「Run away 美少年(ローズボーイズ)達」って何?
【質問】 ヒューイットよりバンコランのほうが,より性犯罪者的性格をしているんじゃないの?
【質問】 「花とゆめ」の巻頭カラーに載ってたパタリロのポエム,誰か覚えてない?
【質問】 MMO「パタリロ~マリネラ泰平記~」ってどんなゲーム?
【質問】 ミーちゃんがどういう経緯でマンガ家になったか,ご存じの方いますか?
【質問】 『妖怪始末人トラウマ』と『妖怪始末人トラ・貧』の関係は?
【質問】 アニメ版の「タマネギ!」の回におけるストーリー改変について教えてください.
【質問】 パタリロのタイムパラドックスの話は,話によって設定が異なる気がするんだが.
【質問】 プラズマXのようなロボットは,現在の技術でも作れますか?
【質問】 パタリロ世界では動物の知能が人間並かそれ以上のものがよく出てくるが,これはそういった進化を遂げたと言うことなのかな?
【質問】 『ゼロ星』や『マザリシャリフ』なんかの,「悪を倒した主人公がそのまま悪の組織の後釜に」っていうネタは,よくあるものなの?
【質問】 成長したパタリロが美青年になる話が載ってるのは何巻でしょうか?
【質問】 アスタロト関係作品を手元に置くには,何を買えば良いのでしょうか?
【質問】 パタリロのカセットテープやCDって何種類あるのかな?
【質問】 対戦型ゲームに参戦した際の殿下の必殺技を教えてください.
【質問】 パタリロ版「リボンの騎士」について教えてください.
【質問】 数々の発明を行っているパタリロなら,ノーベル賞を獲れるんじゃないの?
【質問】 「魔夜峰央のトランプ王国」のこと覚えてる人いるかな?
【質問】 人間軍が黒王軍にどうすれば勝てるか,見当もつかんのだが.
【質問】 『パタリロ』を集めていこうと思ってるんだけど,選集の方で揃えていってもいいもんかな?
【質問】 『パタリロ!』の中で,関東と関西のカップうどんの違いについての話がありましたが,そもそも「きつね,たぬき」自体,関東と関西で違うよね?
【質問】 『パタリロ師匠の落語入門』って,どういうこと書いてあるの?
【質問】 『パタリロ!』登場キャラでは誰がどのくらい強いの?
【反論】 その定義だと妖怪始末人トラウマは少年誌コミコミ連載だったのに,続編のトラ貧が少女誌プリンセスゴールド連載の説明がつかない.
【質問】 バンコランのマンションは,風呂だけなんであんなに広いんだろう?
(faq08a)
(画像が表示されない場合は,お手数ですが引用元にて閲覧してください)
【質問】 WM-16「ブダペシュト」について教えてください.
【質問】 ガンマ・ユハース34/38.M対空標定装置って何?
【質問】 ガンマ・ユハース34/43.M対空標定装置って何?
【質問】 ルーマニアの防護巡洋艦エリザベータについて教えてください.
↑画像に問題が無いか再チェック
【質問】 WW2ハンガリー軍の音源測距儀について教えてください.
【質問】 MÁV329型(OMÁV36.0型)蒸気機関車について教えてください.
【質問】 ルーマニア軍のBf-109について教えてください.
【質問】 WW2ルーマニア軍の装甲車輌について教えてください.
【質問】 ルーマニア軍が保有したルノーR35について教えてください.
【質問】 第二次大戦ルーマニアのAFVって鹵獲戦車の装甲を切って作ったと聞きましたが,本当ですか?
【質問】 ルーマニア海軍はそれなりに仕事を果たしたのでしょうか?
【質問】 「リジェーレ・フェルディナンド」級駆逐艦について教えてください.
【質問】 Henschel 33型トラックについて教えてください.
【質問】 ラーバ「シュペチアール」トラックについて教えてください.
【質問】 ルーマニア軍航空隊のサヴォイア・マルケッティS.M.79系列の爆撃機について教えてください.
【質問】 ハンガリー軍のクルップ・プロッツェについて教えてください.
【質問】 30.M ヴァイス・マンフレートWeiss Manfréd H-1について教えてください.
【質問】 ヴァイス・マンフレート H-2について教えてください.
【質問】 MÁV 242形蒸気機関車について教えてください.
【質問】 ファービアーン「レベンテ」について教えてください.
【質問】 ファービアーン「モカーニ」について教えてください.
【質問】 31.M ゾロターン軽機関銃とは?
に動画追加.
【質問】 32MメーライJ.A.P. KK31 350SVについて教えてください.
【質問】 32MメーライJ.A.P. KK31 500SVについて教えてください.
【質問】 28M メーライJ.A.P. 1000SVについて教えてください.
【質問】 ハンガリー軍のBMW R-75について教えてください.
【質問】 ドイツがポーランドに侵攻した際の,ハンガリーの姿勢は?
にて画像解説改訂
【質問】 32.M「ツェペル」軍用自転車について教えてください.
【質問】 第二次大戦中,ハンガリー軍が保有した砲牽引車を教えてください.
【質問】 ハンガリー軍の28MパヴェージP4/100砲牽引車について教えてください.
【質問】 41M HSCS KV-40砲牽引車について教えてください.
【質問】 HSCS KV-50砲牽引車について教えてください.
【質問】 ハンガリー空軍のユンカースJu-87について教えてください.
【質問】 WW2ハンガリー軍のカトラリーについて教えてください.
【質問】 WW2ハンガリー軍の野戦ストーブについて教えてください.
【質問】 WW2ハンガリー軍が使用した外国製対空砲には,どんなものがあるの?
【質問】 WW2ハンガリー軍の山岳旅団について簡潔に教えてください.
【質問】 WW2ハンガリー軍の砲兵部隊について教えてください.
【質問】 WW2ハンガリー軍のサヴォイア・マルケッティ SM75について教えてください.
【質問】 ユーゴ侵攻の際に起きた,ハンガリー空軍空挺部隊輸送機の墜落について教えてください.
【質問】 ハンガリー軍のユンカースJu 88について教えてください.
【質問】 マーヴァグ「ヘーヤII」急降下爆撃機について教えてください.
【質問】 ハンガリー空軍のメッサーシュミットMe 210について教えてください.
【質問】 フォッケウルフVTOLプロジェクトについて教えてください.
【質問】 第一次大戦後~第二次大戦終結までのMVG(ハンガリー機械&車輌工場)について教えてください.
【質問】 MVG(ハンガリー車輌&機械工場株式会社)での航空機生産について教えてください.
【質問】 ソ連軍に鹵獲されたpzkpfw_38(t)について教えてください.
【質問】 ヴァッタイが重要な役割を果たした休戦工作について教えてください.
【質問】 戦後のヴァッタイ・アンタルについて教えてください.
【質問】 WW2ハンガリー軍の対戦車砲部隊について教えてください.
【質問】 WW2ハンガリー軍の工兵小隊について教えてください.
【質問】 WW2ハンガリー軍のクッキング・クレートについて教えてください.
【質問】 ゲバウエル・フェレンツ12.7mm試作重機関銃について教えてください.
【質問】 ゲバウエル・フェレンツ試作20mm車載機関砲について教えてください.
【質問】 ゲバウエル・フェレンツ試作20mm航空機関砲について教えてください.
【質問】 ルーマニア軍のM39ヘルメットについて教えてください.
【質問】 アミラル・ムルヂェスク級機雷敷設艦兼護衛艦について教えてください.
【質問】 ルーマニア海軍のCB型潜航艇について教えてください.
【質問】 ルーマニアでのフォッカーD.XVIについて教えてください.
【質問】 ルーマニア軍のホーカー・ハリケーンについて教えてください.
【質問】 ルーマニア軍のハインケルHe112について教えてください.
【質問】 戦間期ヴァイス・マンフレートのバイク生産について教えてください.
【質問】 ルーマニア軍のPZL P.11について教えてください.
【質問】 ハンガリー軍の戦場医療の準備について教えてください.
【質問】 第二次大戦勃発後,ハンガリーにおける軍事医療能力の増強は,どのように行われたのか?
Hungarian Force 匈牙利武力 magyar erő|軍事板常見問題 第二次大戦別館
に以下リンク
「INTERNATIONAL HUNGARIAN MILITARY HISTORY PRESERVATION SOCIETY」◆ FREE MILITARY HISTORY PUBLICATIONS
faq10
【質問】 チェチェン共和国での市街戦で,ロシア軍が大損害出していたのは何で?
faq16
faq19
faq21
Russian Small Fire Arms|軍事板常見問題 欧露別館
に以下リンク;
『AK-47ライフル 最強のアサルト・ライフル』(G.ロットマン著,並木書房,2018.2)
こんにちは,エンリケです.
世界で最も普及している銃.
それがAKライフルです.
ソ連時代のロシアで開発され,最悪の環境で十分な性能を発揮する理想的な小火器として世界中で使われています.
世界の戦場で実証されているこの銃の実力を徹底詳解したのがこの本です.
おなじみのシリーズのひとつで,個人的には『M-16ライフル』とあわせて読むと面白かったです.
ミハエル・カラシニコフが作ったAK-47アサルト・ライフルは,近代史上もっとも画期的な武器のひとつといって差し支えありません.
第二次大戦時の東部戦線でソ連赤軍が苦戦を強いられた体験をふまえ,極めて高い信頼性と強大な火力をもつ全将兵向けフルオート火器として設計されました.
取り扱いが容易で故障知らず.
そういうイメージが非常に強いAK-47ライフルは使い手を選びません.
女性でも取り扱いが簡単だそうです.
世界中の軍隊や反乱軍,ドラッグディーラー,少年兵,自由の戦士,テロリストらが高い殺傷力を誇るAK-47とその派生型を使っています.
著者のロッドマンは,AKライフルを撃つだけでなく,AKに撃たれる戦闘も体験しているそうです.
カラシニコフのライバルだったM16ライフルとの比較を交えながら,全世界の戦場でAKライフルが見せた有効性,第2次世界大戦後からの開発史,最新の派生型を徹底検証しています.
監訳者の床井雅美さんは,
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アメリカ側から見たAK-47ライフルの評価が明確に書かれてあり,その評価は,私が想像した以上に高いことに驚いた.
何よりM16ライフルを整備していた当事者が,M16ライフルはAK-47ライフルにまさる点がほとんどなかったと正直に書いていることは,強く印象に残った.
たとえ手入れが悪く錆だらけになっていても射撃でき,ハンマー代わりにテントの杭を地面に打ち込んでも壊れない頑丈なAK-47は優れた軍用ライフルと評価している.
一方のM16ライフルの優位点は,その軽量さと命中精度にあるが,現代戦では命中精度が必ずしも軍用ライフルの最重要性能でないことも本書で明らかにされている.
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
と指摘されています.
武器の評価にあたってはカタログスペックでなく,最悪の環境でどれだけの力を発揮するかが大切,と聞いたことがありますが,改めてその事実を思い起こしました.
[中略]
追伸
単純に兵器のメカニズムが好きです.
その期待に応えてくれるコンパクトで中身が詰まったこのシリーズを,これからも読み続けてゆきます.
------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2021.12.22
faq09
Machine Gun FAQ|軍事板常見問題 兵器別館
に以下リンク;
『ミニミ軽機関銃 最強の分隊支援火器』(クリス・マクナブ著,並木書房,2020/7/10)
おはようございます,エンリケです.
本著は,軍事・戦史研究分野で定評ある米・オスプレイ社が発行している「ウェポン」シリーズの一冊で,著者のクリス・マクナブさんは,戦史と軍事技術分野でたくさんの出版物を出している方です.
このたび監訳者に床井雅美さん,訳者に加藤喬さんを迎えて邦訳されました.
この本を読むと,イラクやアフガニスタンでの実戦体験と戦場写真を通じ,ミニミ/M249分隊支援火器がいかに戦場で活躍したかが明らかになります.
それだけではありません.
設計開発の歴史を辿るなかで,40年以上にわたって世界の軍隊で使用されてきた「理由」に迫ることもできるのです!
コンパクトなM246分隊支援火器の歴史付きトリセツという印象を持ちました.
著者はもちろん,内容を的確に把握して国語に翻訳できる監訳者と訳者が揃っているので,安心して使えるミニミの知識が日本語で手に入ります!
◆ミニミ軽機関銃とは?
1974年,有名なベルギーの武器製造会社FNは,革新的な新型軽機関銃「ミニミ」を発表しました.
以来,ミニミは自衛隊も含め,世界75か国以上で採用されている.5.56mm高速弾を使用するミニミの発射速度は最大1150発/分に達し,分隊レベルの火力支援に最適な小火器です.
◆なぜミニミか?
米軍がミニミを採用した大きな理由として,朝鮮戦争後に分隊支援火器「BAR」を廃止したことで,ベトナム戦争でベトコン保有のRPD分隊支援機関銃やRPK分隊支援火器に苦しめられた経験があります.
この本が書かれた時点で,ミニミ分隊支援火器はすでに40年の歴史をもっています.
◆批判と配備代えの流れ
この分隊支援火器は,最前線でつねに厳しい試練にさらされ大きな実績を上げてきた兵器ですが,5.56mm弾の威力不足,整備の複雑さなどで批判も多く問題があったことも事実ですが,評価が大きく損なわれることはありませんでした.
ただ最近の戦術的思考の変化に伴い,制圧射撃から精密射撃へと大きく方向性を変えた米海兵隊が,ミニミに代え,精密射撃のM27IARの配備を始めました.
今後10年間で各国軍隊のミニミ/M249分隊支援火器に対する対応が変化する可能性が出てきています.
我が国を含めてです.
◆兵器特性や性能を考えるうえで重要な発想
こういう流れの中,著者は,
<部隊の火力構成のカギは,異なる機能と性能を有する兵器を組み合わせることにある.
各兵器の限界を考慮し,組み合わせで互いの短所を補うのだ>
<過去の戦訓が必ずしも未来の戦いの指針になるとは限らない.>
<不変なのは,敵兵力を制圧消耗させる全自動火器が歩兵には必要だという事実だけだ.
この一点で,ミニミ/M249分隊支援火器に優る兵器はない.>
と述べています.
[中略]
訳者の加藤さんは「訳者あとがき」で,
<本書の翻訳を進めるうち,ミニミ軽機関銃(米軍制式名称:M249SAW(Squad Autmatic Weqpon)こそ,強大な火力支援が可能で,かつ1人で持ち運べる理想的な分隊支援火器だということがわかってきた.>
と,ご自身の軍歴を振り返っての言葉を残されてます.
あわせて加藤さんの,
<著者のマクナブの見識と公平な考察を通し,読者は
「M249分隊支援火器の時代が続くのか,あるいはM27歩兵自動小銃への転換が各国軍隊にも波及していくのか」
の判断を自ら下すことができると思う>
との言葉もここでお伝えしておきます.
[中略]
追伸
本著では,ミニミ軽機関銃について
米軍にかかわる記述では「M249分隊支援火器」
米軍以外に関する記述では「ミニミ分隊支援火器」
米軍と外国軍が同時に描写されているときは
「ミニミ/M249分隊支援火器」
という風に言葉を使いわけています.
「M249分隊支援火器(SAW:Squad Autmatic Weqpon)」という言葉は,ミニミ軽機関銃の米軍制式名称です.
そのため,本文中に「ミニミ」という言葉はあまり出てきません.
「M249分隊支援火器」という言葉がよく出てきます.
------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2021.12.16
General Works of Weapon |軍事板常見問題 兵器別館
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『「技術」が変える戦争と平和』(道下徳成編著,芙蓉書房出版,2018/10/05)
こんにちは,エンリケです.
宇宙空間,サイバー空間での戦いが熾烈を極め,領域横断的作戦用兵も指向される今後の軍事の世界に不可欠といえるドローン,人工知能,ロボット,3Dプリンターなど軍事転用可能な革新的な民生技術に注目が集まっています.
こうした技術革新は戦争や平和のあり方にどのような影響を与えるのでしょうか?
国際政治,軍事・安全保障分野の気鋭の研究者18人が,テクノロジーの視点でこれからの時代を展望しているのがこの本です.
軍事技術は時代の最先端技術を真っ先に取り入れて実用化したものといわれますが,昨今の技術の進化はすさまじく,これから先の軍事世界で実用化されるであろう最先端技術は,昔と比べて山ほどあるようです.
この本は,一般人でも理解できることばと長さで,軍事技術の動向を分野ごとに記した小論集.
著者は全部で18名.
16本の小論,まえがき,あとがきという名の道下さんの小論,そして関東防衛局長へのインタビュー記事からなる,読みやすい軍事技術論集といえます.
何が変わって何が変わらないのか?を考える上で大切な視座へのヒントも多々ありますね.
軍用犬の復活も,実に興味深い視点です.
一見軍事とは無関係な印象を与える技術が軍事の進歩につながっていることもわかります.
けっきょく,時代の最先端技術に,包括的に最も敏感な分野が軍事分野なんだなあとあらためて感じます.
だからこそ,技術や理論の実用化を考えるエンジニアの方は,軍事分野の技術動向のフォローが必須なのでしょう.
[中略]
今年の年末,時間を作ってぜひご一読してはいかがでしょうか?
来年のあなたの新たな知的生活を支える知的インフラになるかもしれませんよ!
[中略]
追伸
軍事技術の論文は,とっつきにくいものですが,そういう先入観を抜いて読んでみると,意外に身近なところとつながっていることがわかって,距離が近くなるきっかけになるケースが多いです.
専門家による軍事技術のはなしにはそういうところがありますよ.
面白いですね!
------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2021.12.12
faq05
Okinawa Territory Defence|軍事板常見問題 アジア別館
に,以下リンク;
「Togetter」◆(2022/8/26) 【速報】沖縄反基地活動家,佐喜眞淳候補に銃弾を投げつける【沖縄県知事選挙,玉城デニー】
「Togetter」◆(2022/8/27) 沖縄知事選,自民党候補演説中に空砲(実包?薬莢付き弾丸)が投げ込まれる→実行犯のツイートがこちら
「Togetter」◆(2022/8/27) 【沖縄県知事選挙】佐喜眞淳候補に銃弾投げつけ事件,沖縄メディアは報道しない自由を行使【玉城デニー支持者】
Japan Coast Guard 海上保安廳 Japán Parti Őrsége|軍事板常見問題 アジア別館
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『能登半島沖不審船対処の記録 P−3C哨戒機機長が見た真実と残された課題』(木村康張著,芙蓉書房出版,2021/12/10)
こんにちは,エンリケです.
平成11年(1999年)3月,戦後日本初の「海上警備行動」が発令されました.
「能登半島沖不審船事件」
今日ご紹介する本は,この件に関する,当時のわが国の危機管理行動の一部始終を時系列で整理したデータブック,といって差し支えない資料性の高い本です.
兆候探知から発見,海上保安庁,海上自衛隊の対処と海上警備行動発令から終結まで……現場にいた著者が,すべてを明らかにした内容です.
20年以上経たいま,海上自衛隊P-3C哨戒機機長として事態に対処した著者が,克明な記録に基づいてまとめた迫真のドキュメントであり,内容に信頼がおけるのはもちろん,抑制の取れた留保性の高い記述内容が,資料としての価値を一層高めています.
読者想定は自衛官および意思決定者,研究者であろうと推察されますが,われわれ一般読者にも「きちんとした歴史認識」を得る素材としてたぐいまれな価値を持つ内容と感じます.
海上保安庁,海上自衛隊,そして永田町・霞ヶ関・・・.
あの時,何が出来て,何が出来なかったのでしょうか.
現場には,それぞれの立場で与えられた「使命」を果たそうとした男たちがいました.
<中央では国土交通大臣,防衛大臣や総理大臣は
「どこまで海上保安庁(警察)で対処し,如何なる時点から自衛隊に行動命令を発令するか」
という苦悩の「決断」を迫られ,現場に所在する平時に権限が付与されていない自衛隊の部隊指揮官は,目前で行われる不法行為に対して何らの対処行動をとることはできず,事態の緊迫化によっては苦悩して「不法行為を抑制し,中止させるための手段を自らがとるか否か」という独断専行の「決断」を迫られることとなる.>(P231)
<すべての配置における個々の責任の重さは,能登半島沖不審船事案当時と変わらず,むしろ重くなっているのではないであろうか.
二十年以上前に日本が経験した「中央」と「現場」の苦悩は,未だ課題として残されている.>(P232)
このことばは,「自衛隊可哀そう」という感情レベルで受け止めるものでは一ミリもありません.
むしろ,自衛隊や政治はきわめて窮屈な制約の中,事態対処にあたって最高度の力を発揮していました.
問題は,この事案を通じても,必要な変化を必要なだけ実行させていない日本の世論であり,それを醸成する「空気」ではないでしょうか?
ここまで異常な制約下にあっても,最前線のわが自衛隊,中央の政治は苦悩と苦闘のはざまで引き裂かれそうにながら最高度の対処,決断を発揮していた.
そのことが,この本を読めばよく分かります.
初の海上警備行動発令を通じて「我が国の危機管理体制」の何が変わり何が変わっていないのか?をこの本で明確に把握するきっかけにしてほしい.
戦後日本国民のほとんどすべてが軍事ファンも国防を叫ぶ人たちも含め,わが安保,わが国防,わが危機管理にいったいなにが欠けているのか?について,ピントのずれた勘違いをしている気がしてなりません.
本著に書かれている内容は「過去の話」ではありません.あの時の教訓からいまあなたは何を学ぶでしょうか?
[中略]
追伸
前家族会会長の飯塚繁雄さんの訃報に接しました.
この場を借りて改めて哀悼の誠を捧げます.
------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2021.12.21
"Support-Fighter" FAQ|軍事板常見問題&良レス回収機構
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および
Japanese Fighter FAQ|軍事板常見問題 アジア別館
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『次期戦闘機開発をいかに成功させるか』(森本敏他著,並木書房,2021/12/8)
おはようございます,エンリケです.
2018年12月,安倍政権下,次期戦闘機(F‐X)は「日本主導の国際共同開発」との方針が決定され,2021年,三菱重工のもとにIHI,川崎重工,三菱電機など協力会社7社が集まり,本格的に開発が始まりました.
今後15年かけて開発するのは,2035年頃に退役が始まるF‐2戦闘機の後継機です.
次期戦闘機にはステルス性だけでなく,高度な電子戦,ネットワーク戦を制する能力が要求され,将来的には無人機との連携も求められます.
F‐2戦闘機開発での苦い教訓から自主開発の道を選んだ日本.
2009年から研究が始まっていた開発計画の経緯と,今後の展望を戦闘機開発に関わった専門家6人が語りつくします!
新戦闘機の開発がこれから始まるという時期に出た,極めて専門的であるにもかかわらず,国民皆が把握して理解しておかなければならない内容を持つ本です.
森本敏さんが「国内で最高峰の戦闘機専門家」と太鼓判を押す方々が,戦闘機はいかに開発されるか?の内幕,そして新しい戦闘機を作るにはいかなる考え方・アイディア・プロジェクトが必要なのか?について,書いています.
▼嫡男
傑作『主任設計者が明かす F-2戦闘機開発』の嫡男と言ってよい,わが戦闘機開発秘話.エンジニアはもちろん,航空ファンには欠かせぬ一冊です.
次期戦闘機開発のすべてはまさにこれから始まるというときに出たこの本は,各著者の方々の,現役の方々への思いがひしひしひたひたと読み手に迫ってくる内容です!
■応援歌とよびかけ
今まさに進展中のポストF2戦闘機開発の歴史が細やかに伝わるこの本.
類書はなく,極めて貴重な資料的価値を持ちます.
とくに軍事ファンや関係者なら本棚に必須です.
ただこれは,「読んだらわかる」と言うのとは少しニュアンスが違います.
妥協なきプロの言葉が詰まっているこの本は,読みやすいとは言えません.
歯応えありです.
この本を読めば,本物の迫力が伝わる妥協なき内容を通じて,次の時代に技術を受け継ぐことを考えた戦闘機開発,兵器開発,それらと不可分一帯の武器輸出,兵器ビジネスをいかに実践したらよいのか?の核心まで見えてきます.
新兵器開発,武器取引の実際はどういうものなのか?が,わが国有数のプロたちの口を通じて語られているのです.
この本には,これからはじまる新規戦闘機開発プロジェクトの内側を知る人から,これからプロジェクトに関わる全ての人に送られたエールであり,教えであり,忠告であり,応援のメッセージという面があります.
そしてもうひとつ.
新戦闘機の恩恵を受けることになる国民,政治家に向けた,戦闘機の作り方(装備開発)マニュアルです.
カタログスペックでなく,いかに戦闘機(装備)を作るか?の実際を知ることで勘所を抑えた理解を図り,プロジェクトを応援し,支援し,最高の次期戦闘機を手に入れよう,との呼びかけです.
▽兵器体系をどういう考えで作るのか?
本著のまとめ役・森本敏さん(元防衛相)は,この本を作った目的についてこうおっしゃっています.
<最新鋭の戦闘機を国産することは戦後日本の夢の1つです.
そして,その夢はこれから,10年以内に実現するものと確信します.
言うまでもなく,戦闘機は今日の国家防衛の要です.
航空優勢なしに国家を守ることはほぼ不可能であるからです.
しかし,戦闘機を自国で開発生産することは容易ではありません.
急速に発展する技術を克服し,新たな概念に挑戦する必要があるからです.
我々の希望は,日本が戦闘機という現代技術の粋を結集した兵器体系をどのような考えで作ろうとしているのか,その場合の問題はどこにあるのかを国民の皆様に知ってもらうことです.>
こういう志に貫かれた本著は,戦闘機開発の内側を伺い知ることができる貴重な内容であり,プロジェクトにあたって政治の決断力,洞察力がいかに重要で不可欠か?を身に染みて感じさせてくれる内容でもあります.
我々主権者国民が,戦闘機(装備品)開発プロジェクトへの正確で正鵠を射た理解を持つ大切さを思い知らせてくれます.
2021年12月8日段階で日米共同,日英共同の2つが進んでおり,日米共同についてはこれから乗り越えなければならない壁がまだまだある一方,日英共同に関しては大臣間合意ができており,具体的協議が進んでいる段階.
ただ,思うのだが,相手が米国か?英国か?,米国はダメだ!英国はダメだ!,そういった第三者的,情緒的反応に終始しているようではダメ.
日英共同でできること,日米共同でできること,はどういうものなのか?どこにどういう違いがあるのか?わが国は何をどちらを選んで何を追求していくべきなのか?
我が国を主人公とする方向で考えられなければ,画期的な新戦闘機開発プロジェクトの内幕を読んでも得られるものは少ないです.
その意味で読む人を選ぶと思います.
あわせて思ったのは,この本は桜林さんの防衛産業本(*1)そしてF2開発本(*2)と合わせ読むべき内容ということです.
(*1)http://okigunnji.com/misa/
(*2) https://okigunnji.com/post-4225/
新戦闘機の開発がいかに行われているのかを知る上でも参考になりますが,武器開発,武器ビジネスを行う防衛産業を守り育成してゆくために今,国民は何をしなければならないのか?を改めて感じさせてくれる本です.
今とこれからのわが国を真剣に考える日本人の必読書といえましょう.
▽いかがでしょうか?
わがF-X開発の全貌を伝えるこの本がもつ一番大きな特徴は,「これからはじまる「世界の中の日本」が行う武器開発」にかかわる人々に不可欠な考え方やアイデア,感覚,発想等を,これまでの各種開発で様々な壁にぶちあたり,それを乗り越えてきた業界の先輩・権威が惜しみなく伝えている点です.
武器輸出全般にかかわるすべての関係者にとって,「必ず読まねばならないガイドブック」と言って差し支えないでしょう.
装備開発,取引の現実を知ることで,問題にぶつかったとき,なにをどう解決してゆけばよいか?の方向付けに不可欠な知恵を得られるはずです.
年末年始にまず読んでいただきたい超おススメ本です.
実はこの本,発売前からベストセラーでした.
あなたも今すぐ手に入れてください!
追伸
著者のおひとり岩崎閣下のお名前を拝見し,メルマガ創刊当初のことを思い出しました.
発売前からベストセラーです.
今すぐどうぞ,,,
------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2021.12.13
Chinese Strategy FAQ|軍事板常見問題 アジア別館
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『我,国連でかく戦えり』(藤木俊一,ワニブックス,2020)
和田です.
テキサス親父日本事務局の藤木俊一さんの著書「我,国連でかく戦えり」に,「中共の侵略のステージ」を分類する面白い分析があったので紹介します.
領土や民族,文化や民主主義,人権などを脅かされる危険レベルにおいて分類しているもので,日本はステージ1としている.
ステージ2が台湾,ステージ3は香港だが,国家安全法により限りなくステージ4へ,新疆ウイグル自治区やチベット,南モンゴル,パキスタンのバローチスタンという場所はステージ4.
日本でも北海道や沖縄はすでにステージ1.5だという.
中共が国家安全法で,中国以外であっても犯罪者として取り締まると豪語するだけに,日々国際ニュースを読んでいて痛感しますが,もはや,この現代世界で中共から侵略されていない国や地域はない…と言っても決して過言ではありません.
そこで,この藤木さんの鋭い視点に加えて,私なりに,この「侵略のステージ」にさらに他の国や地域を追加してみます.
私は,「目に見えぬ侵略」訳者でもある奥山先生や,YouTuberのKAZUYA氏と世界各地の中共による"侵略地"を回りましたが,オーストラリア,カナダ,英国などはステージ1.5でしょう.
オーストラリアではダーウィン港を中国に99年借款しています.
米国と同盟国であり,米軍の船が入るその港が既に….
中共の侵略の特徴の一つとして,中央政府のある首都ではなく,カネがない市町村などの地方自体,さらに,国家観や哲学などを持ち合わせていない"ボンクラな"地方政治家をピンポイントで狙い撃ちにします.
そして,世界覇権国家アメリカすらその例外ではありません.
クライブ・ハミルトン氏の『サイレント・インベージョン』に続く著書『hidden hand』によると,アイオワ州のマスカティーンが「習近平タウン(中国支持)と化しているそうです.
これはアメリカ通信の放送でも取り上げました.
この町は,ミシシッピ川のほとりの苦境にあえぐ大豆栽培の町であり,人口はたった二万四〇〇〇人です.
一九八五年に若き日の習近平が,河北省の職員として貿易使節団を率いて,マスカティンを含むアイオワ州の農場や町を訪問したことが事の始まりです.
そして,今ではアイオワ州は中国河北省の姉妹州の関係を結び,「古い友人」としてさらに広範なビジネスネットワークを築き,中国では「アイオワ・マフィア」と呼ばれているほどです.
二〇一八年には,同州の元知事であるテリー・ブランスタッドが,新たな駐中アメリカ大使として任命されました.
ブランスタッドは習近平がアイオワ州を訪問した際に知事を務めており,自身を習近平の「友人」であると考えていて,アイオワ州への中国の投資を増やす方法として,習近平の「一帯一路構想」を支持しています.
アイオワ州は二〇一六年の大統領選挙で,民主党からトランプに鞍替えした中西部の農業州の一つですが,二〇一八年にトランプ政権が中国に仕掛けた「関税戦争」への報復措置の際にも,中国側は,アメリカ産の大豆の輸入を制限すればアイオワ州にも影響が出ること知っていました.
この貿易紛争が勃発した当初,中国が地元のデモイン・レジスター紙に金を払ってチャイナ・デイリー紙の折り込み広告を掲載した理由は,まさにここにあるわけです.
地方紙の広告を買って地方世論をコントロールし,都合のよい政治家を選挙で選ぶように誘導することを試みたのです.
国際親善の美名のもと,その実,裏でカネをちらつかせば,いとも簡単に籠絡されて,政治家や官僚がなびくのは,どこの国や地方でも同じです.
それを知っているからこそ,中国は,世界各地の地方自治体にその「隠された魔の手」を伸ばしているのです.
(和田 憲治)
THE STANDARD JOURNAL〜アメリカ通信〜
2020/12/2
JSDF Penal Regulations FAQ|軍事板常見問題&良レス回収機構
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『自衛隊警務隊逮捕術』(荒木肇著,並木書房,2020)
こんばんは,エンリケです.
こんかいご紹介する『自衛隊警務隊逮捕術』は,知られざる警務科の仕事の内容と,隊員が日々修練している逮捕術を初めて公開した作品です.
本づくりにあたっては,陸海空自衛隊の警務科職種の全教育を担う小平学校,そして陸幕広報が全面協力しています.
荒木先生がいたからできた本なのかもしれません.
1.警務隊の紹介
1.警務隊逮捕術の技の紹介
1.警務隊隊員インタビュー
1.憲兵隊史
の4つの柱からなる
「自衛隊警務隊がわかる本」
です.
自衛隊警務隊の仕事は「捜査」と「保安」に分かれます.
概要はこんな感じです.
●捜査
犯罪捜査,被疑者の検挙
●保安
交通統制や要人警護,規律違反の防止など
警務隊員は,このどちらにも対応しなければいけません.
しかも警察官と違って,相手となる被疑者は近接格闘の訓練を受けた兵士なのです.
警務隊逮捕術では,徒手(手に何も持たないこと)で犯人に立ち向かい,相手が武器や凶器をもっている場合は警棒や警杖をつかいます.
相手に与える危害を必要最小限度にとどめなければならないため,「後の先」を大事にします.
ただこれ,言うは易く行うは難しの典型で,迷ったり,ためらっている時間はありません.
この本では,そんな警務隊逮捕術の技のひとつひとつを,連続写真や,スマホを通じQRコードでアクセスできる「動画」で,いつでも見たいときに見ることができます.
自衛隊関係者,自衛隊ファン,憲兵ファンはもちろん,武術家,武道家,武術ファンにも目を通してほしい本です.
[中略]
憲兵隊小史が資料として載っています.
あまり知られていない,しかし,大切な
警務隊,警務官について知りたいことが
満たされる本
小平学校全面協力のホンモノだから迫力が
違います.
[中略]
●逮捕相手がプロの軍人.それが警務隊です.
戦いのプロとして訓練を受けた相手をいかに逮捕するのか?
警務隊逮捕術は,まさにプロの逮捕術です.
窺い知れる機会はまずありません.
これまで見たことも聞いたこともない世界にようこそ!
●陸幕長表彰を受けた経験も持ち,「荒木先生の本
だから信用できます」と自衛官にいわせる,長き
にわたる在野での真摯な軍事研究の経歴が,信頼
できるディテールの表現を可能にしました.
[中略]
追伸
警務隊は,自衛隊の士気を支える重要な部隊と思います.
逮捕術の技を見てそんなことも感じました.
------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2020.9.28
Chinese War History FAQ|軍事板常見問題 アジア別館
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『抗日戦争と私 元人民日報編集長の回想録』(李荘著,日本僑報社,2012)
題名通り,人民日報立ち上げ時に首席記者として活動し,1986年には人民日報総編集という高い地位を得て党中央委員まで上り詰めて引退し,2006年に死去した人の回想録です.
この本では,彼の生まれから1949年の中華人民共和国の建国までを取り上げていますが,実際にはこの後,大躍進政策やら文化大革命,そして四人組失脚から2000年に至る頃までの記述もあり,紙幅の関係から後半は完全にオミットされています.
どちらかと言えば日本人としては,その辺の内部闘争の部分を読んでみたいなぁと言う欲求はあったりするのですが.
昨今のような毛沢東礼賛でなく,骨のある記者だからこそ,幾ら建国の父である毛沢東の政策でも,駄目なものは駄目と言い続け,文革の時には人民日報内で8度に亘る大規模な批判大会に引き出されたり,記者や編集者を解任されて,新聞用紙運搬や図書館での便所掃除など約10年に及ぶ肉体労働を余儀なくされたそうです.
また,朱徳元帥や鄧小平,林彪などの大物幹部の失脚,同僚達の転向や自殺,非業の死を見続けていた大変な時代でも自分の考えはほぼ曲げることが無かったのは,若い頃から人民に奉仕することとは何か,と言うのを考え続け,常に庶民の側に立とうと,終生一記者として仕事をしようと考えていたからかも知れません.
本書でも色々と心の揺れの描写があったりするのですが,そうした繊細な部分も描かれています.
元々地主階級の出で,堕落した実家を嫌って家を飛び出し,山西省の閻錫山影響下の雑誌社に入って記者活動を始めたこと.
ただ,閻錫山影響下と言えど,その内部は共産党の細胞が浸透しており,彼も感化されて共産党に傾倒して日中戦争勃発後に入党するのですが,入党後もどうすれば良き党員となるのか,と言うのを純粋に考えています.
そして,地主階級出身というのを引け目に感じているのがよく判ります.
その後も山西省,河北省,河南省の抗日根拠地を根城に記者として,また編集者として仕事を続けていきますが,その中でも朱徳の独占取材をしたり,劉伯承とその相棒だった鄧小平の知己を得,共に抗日戦争を戦ったりと各地を紅軍と共に転戦しています.
日中戦争については,常に日本軍が破竹の勢いで勝利していることだけが日本では描かれていますが,実際には日本は点しか支配できず,面は中国側が支配していました.
幾度も日本軍は紅軍に戦争を挑みますが,紅軍は庶民を味方にしているので情報は筒抜け,初期の頃こそいくつかの軍の殲滅に成功しますが,末期になるほどゲリラ戦で体力を消耗していきました.
記者活動は大体が後方での取材であるのですが,日本軍の勢いが強いときには前線に放り出される事もあって,戦場で迷子になり,味方に遭って司令部の方向を教えて貰う事も屡々.
また,年中物資不足に見舞われていますが,雑穀であっても食糧は農民達が供出してくれるので,余りひもじい思いをしなかったことも書いてます.
こんな軍と戦うのですから,苦戦するはずでは無いか,と思ったりして.
日本降伏後は,劉鄧大軍に属して国共紛争を戦い,遂に北平に入城し,国民党機関紙のビルを接収して人民日報を立ち上げ,各地から集まってきた要人たちに取材する機会に恵まれました.
面白かったのは国旗の制定過程で,五星紅旗は最初黄色い線が入る予定だったのに,張治中が国家と革命を分裂する様に見えると反対し,結局現在の図案に落ち着いたり,5つの星の解釈についても共産党とそれぞれの階級を表すとしていたのが,社会主義で階級が無くなると星の数を変えるのかと言う意見が出て,人民の大団結を表すと言う風に改めるなど,談論風発の有様を書いています.
正に新国家が成立するときの息吹が感じられます.
これらの過程も面白かったのですが,後半分もいつか読んでみたいと思ったりします.
ただ,今の中国の状況で後半部分の訳出を出版するのは至難の業かも知れませんね.
------------眠い人 Álmos ember ◆gQikaJHtf2,2020-12-25
Chinese Strategy FAQ|軍事板常見問題 アジア別館
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『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』(クライブ・ハミルトン著,飛鳥新社,2020)
和田です.
オバマ時代までのアメリカは,
「中国を経済成長させれば,いずれ自由と民主主義国を目指し,世界が豊かになる国際秩序に中国が大いに協力する」
という前提で動いていました.
しかし,トランプ時代になると,アメリカは中国潰すべし!という対中戦略に方向転換せざるをえなくなりました.
リーマンショックを乗り越えて,
「China Up,US Down!」
だと傲慢になってきた中国に対して,マイケル・ピルズベリーの「チャイナ2049」やエドワード・ルトワックの「自滅する中国」や「チャイナ4.0」,ピーター・ナヴァロの「米中もし戦わば」など2010年以降,中国がアメリカの世界覇権に挑戦しているという警告本が続々と出版されました.
そしてそこに追い打ちを書けた論文が,アメリカ以外の国々からも出版されたのです.
アメリカの議会にも大いに影響を与えた論文…
それが,オーストラリアのクライブ・ハミルトンの「サイレント・インベージョン(目に見えぬ侵略)」です.
このハミルトンの論文では,開かれた自由主義国家に政治,経済,産業,学校教育,移民など,あらゆる角度から中国が浸透していく戦略で,文字通り「目に見えぬ侵略」をしていることを,実例の証拠をこれでもかと挙げて,中国を警戒せよと書き連ねています.
加えて,同様の論調を取る論文も次々とフォーカスされるようになりました.
オーストラリアのアレックス・ジョスキの論文や,ニュージーランドのアン=マリーブ・レイディの「マジック・ウェポン(魔法の武器)」.カナダのマイケル・マンソープの「クロウズ・オブ・パンダ(パンダの爪)」などです.
さらに,クライブ・ハミルトンとマイケレ・オールバーグ共著で,主に欧州の事例を扱った「ヒデゥン・ハンド(隠された手)」も出版されました.
近年,中国人民解放軍が着々と軍事力を増強していることはわかりやすいので注目されていますが,それだけではなく,中国にはこうした「目に見えぬ侵略」をするための「統一戦線工作部」をはじめとした各種工作機関があり,世界各国で暗躍しています.
それらの起こした事件や手口をあらゆる角度から検証し,研究していかなくてはならない中,そのキッカケを作り,議論を切り拓いたのがクライブ・ハミルトンの『「サイレント・インベージョン』だったのです.
▼「目に見えぬ侵略」とクライブ・ハミルトン
クライブ・ハミルトンClive Hamilton(1953年-)は,オーストラリア,チャールズ・スタート大学の学者であり,『目に見えない侵略』の著者です.
もともとリベラリストであったハミルトン教授は,中国によるチベット人の人権弾圧問題に抗議するための合法で平和的なデモに参加した際,多数の中国人たち多数押し寄せ,彼らがデモ参加者のオーストラリア人に殴る・蹴る等の明らかな暴行を受け重傷を負わせる…という現場を目の当たりにしました.
そして,現地の警察は成す術もなく無力でした.
これがきっかけで,ハミルトン教授は,
オーストリア政府は中国共産党に何らかの「忖度」をしているのではないか?
オーストラリアは中国に支配されているのではないか?
との疑問を抱くようになり,偽善者ではなく,真のリベラリストとしての矜持を持って果敢に調査を開始しました.
その結果,豪州に移住してきた中国系の富豪が,与野党の政治家や大学に多額の資金を提供したり,ビジネスマンが買収されていることなどの証拠を盛り込み,2018年に『サイレント・インベージョン』,そして,2020年にその欧州版として『ヒドゥンハンド』を出版しました.
特に,『目に見えぬ侵略』を出版する際には,当初契約していた大手出社が,北京政府からの報復や,中国からのサイバー攻撃,在豪中国系市民からの訴訟を恐れ,突如,契約破棄を通告.出版を拒否されました.
その後,他の2社にも断られた後に,ようやく出版にこぎつけました.
実生活での嫌がらせ・脅迫,訴訟を起こされたりなど,厳しい戦いとなることを覚悟していたハミルトン教授でしたが,この本が出版されたことのインパクトは大きく,一躍,時の人となりました.
このような中国の侵略行為について,マルコ・ルビオ議員らの働きかけにより,アメリカ議会での公聴会にも招聘されました.
ハミルトン教授は,その場においても,中国共産党による豪州の政治や経済界への干渉は「目に見えぬ侵略」であり,「(既存の)法律には巧みに違反していない点も危険である」「誰もが参入できる自由主義社会に入り込み,民主主義を利用して民主主義を壊す侵略を違法化すべき」
と警鐘を鳴らしました.
前述のハミルトン教授が参加した平和的なデモというのは,2008年の北京五輪の聖火ランナーリレーがオーストラリアに回って来たタイミングでのことでしたが,ロンドン,パリ,サンフランシスコなどはじめ,日本でも,長野にも来ました.
ネットニュースなどによると,世界各地で国人学生らとチベット支持派の衝突があったようです.
もちろん日本の長野でも同様の状況となり,YouTubeにその時の様子が映像としてUPされましたが,当時,中国共産党サイドが動員した学生らは数千人規模であり,チベット支持者に対して暴行を働き,これも,その当時はネット上で話題になりました.
日本の大手メディアは,明らかに,意識的に中国側を擁護している…としか思えない報道をしています.
そして,更に懸念されるのは,そうしたことを特に意識することもなく,前例や慣例にただ従って,事なかれ主義的な「日中友好」報道を繰り返しているのではないか….
そして,ネット上では,長野の現場の状況について"暴徒"である中国側を日本の警察があたかも守っているかのように見える…といった投稿が非常に多かったということを,私は今でも記憶しています.
さて,これを覚えておいてほしいのですが,あの当時の首相は…,そう,福田康夫です.
------------(和田 憲治 in 「THE STANDARD JOURNAL〜アメリカ通信〜」
http://www.realist.jp
2020/11/26
faq06
faq08a
General Works, WW2 FAQ|軍事板常見問題 第二次大戦別館
に以下追加.
『ナチ略奪美術品を救え 特殊部隊モニュメンツメンの戦争』(Robert M. Edsel著,白水社,2010)
今般のウクライナ侵攻でもそうですが,侵攻を受けた地域では防衛側は敵側に寸土たりとも奪われまいと建物に立て籠り,侵攻側は味方の人的損害をなるべく少なくするべく,侵攻に邪魔な建物を破壊して回ります.
それが歴史的建造物であろうが,その中に貴重な芸術作品が入っていようがお構いなしです.
また,侵攻側は領土侵略後,自国の優位さを敵国に知らしめるために,敵国が大事にしていた芸術作品を自国に持ち帰ることも良くします.
近世とかの戦争でも,そういった略奪行為が多数行われ,数多の芸術作品が侵略者に奪われました.
第2次世界大戦でも同じで,特にドイツではヒトラーの芸術的傾倒とゲーリングの成金趣味によって,欧州各占領国からの美術品略奪が公然と行われます.
また,逮捕し,収容所に送り込んだユダヤ人達の財産も奪い去って自分達のものにしました.
それらの作品群は専用の貨車などで或いはリンツの帝室美術館予定地近くに運ばれたり,或いはゲーリングやヒトラーなどの幹部の私邸に運び込まれていました.
勿論,こうした行為に表立って反論するのは自殺行為です.
しかし,占領国の美術関係者の一部は,自分達から奪い取られた作品がどの様な経路を辿って,何処に運ばれたのかと言う記録を,占領軍の目をかいくぐって残していました.
戦争では敵味方とも,民間の被害に全く頓着しません.
とは言え,戦場から遠く離れた米国では,美術関係者を中心に,占領国の美術品やユダヤ人から没収した美術品の在処について非常に関心を呼んでいました.
そこで,米軍は参戦と同時にそうした歴史的建造物,美術品などを保護するためのセクションを作ります.
最初はアフリカ戦線で,ローマ帝国やカルタゴ時代の遺跡を保護する作業に携わり,イタリアでもローマ帝国時代の史跡を救う事に努力を払いました.
但し,モンテ・カッシーノ寺院の破壊はこの地域の彼等の活動に汚点を残しました.
その後もノルマンディーで連合国軍の前線と共に進み,歴史的建造物の保護,芸術作品の保護などの活動を進めています.
パリに着くと,ルーブルの関係者と共に,フランスから略奪された美術品の行方を追う活動も加わり,それはパットン将軍の第3軍と共にオーストリアの岩塩鉱山に隠された膨大な財宝,金塊,公文書,美術品に辿り着くまで続きました.
こうした活動は通常戦線が落ち着いた時に行うと考えられがちですが,彼等の活動は直接戦闘しないまでも,かなり前線に近い場所で行われ,60名の構成員の内,2名の戦死者を出しています.
戦争が終わっても,美術品を隠し場所から発見する,或いは隠し場所から運び出す仕事が加わり,1946年までこの組織は維持されていました.
しかし,余り表舞台に立つことは無く,戦後,美術界の大立者や名門美術館館長を務めた構成員の大部分は,自らの功績を誇ること無く,静かに人生を終えています.
その終幕の頃に偶然このエピソードを知ったのがこのEdsel氏で,彼は実業界を引退して,この活動の顕彰に打ち込み,結果として,多くの人々を日の光の下に導きました.
21世紀になってやっと米国議会も彼等の活動を称えた訳です.
皮肉にも,同じ時期に米軍はイラクに侵攻します.
その時,バグダッドにあったメソポタミア文明の遺物の略奪に対して,米軍は手を拱いて見ていたと言います.
彼等モニュメンツメンにとっては,如何ばかりの思いだったか.
更に,今般のロシアによるウクライナ侵攻.
正に歴史は繰返すと言うべきなのかも知れません.
第2次世界大戦よりも人類は退化しているのでは無いか,そんな思いをこの本は訴えかけてきます.
------------眠い人 Álmos ember ◆gQikaJHtf2,2022-06-16
Soviet Russia in WW2|軍事板常見問題 第2次大戦別館
に以下リンク.
『モスクワ攻防1941 戦時下の都市と住民』(Sir Rodric Q. Breithwaite著,白水社,2008)
この本は13年前の2008年に出版されたものです.
作者は英国人で元ソ連大使.
但し出自は英国軍情報部員で,1950~52年に掛けてウィーンと言う当時東西冷戦の最前線で勤務したりした人.
その後も,各地の外交施設に勤務し,ソ連の英国大使館で一等書記官を経て,ソ連崩壊直前のソ連大使として活動していました.
こうした経歴を頭に入れておけば,この本がとても読み易くなります.
で,この本は1941年の初夏から冬にかけて,ドイツが始めたソ連との戦闘をソ連側の視点で描いています.
とは言え,軍事的な視座からこの戦いを見ているのでは無く,どちらかと言えば様々な階層に属する人の日記や書類,回想録やオーラルヒストリーなどを通じて,その時,ソ連の,特に首都モスクワに住んでいた人達が何を思い,どんなことがあったのか,そうしたものを時間軸に載せて再構築したものです.
大体,「歴史は勝者が作る」という言葉がある様に,公的な歴史は,その時に権力を維持している人間達に都合良く作られる傾向があります.
御多分に漏れず,1941年のモスクワではスターリンが指導力を発揮し,適材適所に手足となる軍人達を配置して,延びきったドイツ軍の前線に対して効果的な攻撃を仕掛け,結果としてベルリンへの道を創り上げたと言うことになっています.
しかし,種々の記録を再構築してみると,今にも手に届かんばかりのドイツ軍の攻勢にスターリンは狼狽し,自信喪失してダーチャに引き籠り続けて首尾一貫しない命令を下し,民衆は負け続けていた政府を相手にせず,生活を自衛しなければならないため,勝手に活動をしていましたし,軍は後退に後退を続ける前線の状況が把握できず,戦力を無様に磨りつぶしていきました.
その後退の遠因はスターリンの命令にもあった訳ですが….
ロシアにとって幸いだったのは,軍が敗退し続けた御陰で第一線兵力が大量にドイツに投降し,ドイツ軍の兵力がその捕虜対応に充当されたことで,前線に充当できる兵力が少なくなってモスクワ前面で息切れしたこと,また中々思う様に行かないモスクワ攻撃に業を煮やしたヒトラーが,カフカス方面に軍を割いた事です.
冬将軍の到来がドイツ軍の足を止めたと言うのが定説でしたが,ソ連軍もそれに劣らず酷い目に遭っていますし,空襲についても,ロンドンほどは酷くなかったのですが,それでも少なからぬ被害が出ています.
秩序を取り戻すために,軍の予備兵力をモスクワに投入すると共に,秘密警察の部隊を投入して不穏分子を一掃し,数多の人間が収容所に送られたり疎開先に送られていきました.
その疎開先では,家すら用意されず,艱難辛苦を共にする人々が山の様にいました.
動ける男達は徴兵され,民兵として鉄砲の的になりに前線に投入されて犬死にしてしまったり,逃亡したとかそう見做された行動を取った場合は,処刑か懲罰部隊送りにされました.
男達がいなくなった職場には女性が投入されると共に,女性でも看護兵として,特異な場合は飛行士とか狙撃兵として前線に投入されたりしています.
こうした女性兵士でも,職場結婚した者もいれば,将軍の愛人になったりした者もいます.
この本は丁度ソ連が崩壊して,ロシアへ移行した混乱時に取材が行われました.
当時はまだこの時代を生き延びている人達もいましたし,国家の記録もある程度秘密が解除されていて,資料を探すのにも好都合な時代でした.
なので,かなり生々しい歴史がこの本では描写されています.
今はプーチン独裁体制なので,こうした祖国の黒歴史的な出来事が表に出る事は少ないのでは無いでしょうか.
13年前の古い本ですが,民衆史と言う視点から見ると良書だと思いますね.
併せて,『赤軍記者グロースマン』も読めばより深みが出ると思います…ってこれも古い本ですけどね.
------------眠い人 Álmos ember ◆gQikaJHtf2,2021-09-05
Allied invasion of Sicily 西西里島戰役|軍事板常見問題 第二次大戦別館
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『ドイツ・アメリカ連合作戦』(Stephen Harding著/花田知恵訳/原書房,2014)
「国際情勢は複雑怪奇」と言って辞めた内閣がありましたが,第2次世界大戦欧州戦線で,最後の1週間に繰り広げられた,オーストリアに有った古城を巡る親衛隊(ワッフェンSS)と米軍,ドイツ国防軍,フランスの退役兵達との戦闘を描いた本です.
中身はそのままスティーブン・スピルバーグがハリウッド映画にしそうな冗談みたいな内容.
フランス軍と米軍なら何となく判るのですが,そもそもドイツ国防軍と米軍が手を組む?
表題に気を引かれて7年前に購入したのですが,今まで積ん読の中に入っていました.
欧州戦線最後の1週間というと,総統たるアドルフ・ヒトラーは既に自殺を遂げ,ドイツは既に崩壊しつつある時期です.
それでも戦闘を続けていたのが親衛隊でした.
彼等は戦闘集団も含んでいたものの,本質は収容所などを管理していた集団で,戦争が終わると真っ先に摘発される者達でした.
オーストリアとドイツとの国境地帯から少しオーストリア側に入ったところに築かれた山城,イッター城がこの戦闘の舞台となりました.
この城は中世に築かれましたが,戦闘任務を解かれてからはゲストハウスやホテルとして使われていました.
ドイツによるオーストリア併合後もホテルとして機能を果たしていましたが,ドイツの敗色が濃くなる1943年,ドイツ国内に建設された収容所の中でも,特に重要なフランス人達を収容する為に徴発されます.
その中に収容されたのは歴代首相,将帥達,労働運動指導者,ペタンの腹心,ジロー将軍の一族,クレマンソー将軍の息子,ド・ゴール将軍の姉,その夫や妻や愛人達.
恐らく,連合軍と交渉するときの交渉材料として,ヒムラーが利用しようと考えたのかも知れません.
1945年5月,ドイツが崩壊していく過程で,この城を監督していた指揮官が自決し,警備部隊は雲散霧消してしまいます.
フランス人達は突然解放されるのですが,周辺にはまだ戦闘を諦めない武装親衛隊が多数闊歩していました.
丁度その頃,米軍の先鋒部隊がヴェルグルと言う町に入り,この地区を抑えていたドイツ国防軍少佐とオーストリアレジスタンスの降伏を受容れます.
そして,更に進撃しようとしたとき,イッター城から城の様子を伝えるために派遣された人物と巡り会えました.
事態を悟った米軍先鋒部隊の指揮官は,戦車2両を先頭に,自軍の持てる兵力をイッター城に向けました.
兵力が足りないので,ドイツ国防軍少佐の指揮する国防軍残存部隊と共に.
一方で,イッター城の重要人物を抹殺しようと親衛隊も派遣されていました.
先に城に入ったのは米軍とドイツ国防軍の混成部隊.
また,城内には第1次世界大戦の猛者たるフランス人達も,親衛隊がいなくなった後の武器庫を開けて,城を守っていました.
(ただ,彼等は決して一枚岩では無かった).
機先を制された親衛隊は,75mmPak対戦車砲や20mm高射機関砲を持ってきて,総攻撃を掛けようとします.
戦車は対戦車砲に破壊され,ドイツ国防軍の少佐は狙撃兵に撃たれて絶命しました.
弾薬も尽き掛けて,最早これまでかと思ったときに,正義の騎士宜しく米軍の援軍が間一髪で到着して,親衛隊を排除し,イッター城救出に成功する…とまぁこんな感じです.
正に,「事実は小説よりも奇なり珍なり摩訶不思議なり」で,本当に映画に出来そうです.
ただこれを映画にすると,かなりフランス辺りで問題になりそうですけどね.
勿論,これでめでたしめでたしと行かないのが小説と違うところで,ちゃんと後日談も取材して書いています.
この本が執筆された当時は,参加した兵士達の中にまだ存命の人もいましたから,ちゃんとその裏付けも取れたのでしょうし,多数の資料や回顧録を渉猟して書いたのだなぁと言うのが,巻末の膨大な註に現れています.
因みに,註の中にも興味深い話があって,イッター城救出に参加した第103歩兵師団の指揮官が,とあるドイツ人の屋敷を接収して指揮所にしようとしたときに,その屋敷の主が彼等に近付いて,「私が作曲家のリヒャルトです」と言って,『薔薇の騎士』の楽譜と米国のとある都市の名誉市民証明書を差出したそうです.
その指揮官はクラシックに造詣が深く,この屋敷の主がR.シュトラウスのことだと判ると,「指揮所はここで無くとも良い」と言って,踵を返してジープを走らせたそうです.
その時,建物に「立入禁止」と言う札を貼ったそうな.
こんな事がサラリと書いてあるので,註も中々読み終えられなかったと言うのも有りました.
------------眠い人 Álmos ember ◆gQikaJHtf2,2022-01-02
faq08h
【質問】 ヴォルフガンク・フュルシュトナーについて教えてください.
【質問】 アンネの日記はプロパガンダ目的で世界に広められたの?
faq11
faq14
【質問】 ストライカー旅団戦闘団(SBCT)の能力はどの程度?
Special Forces 特種部隊 Kulonleges Er?k|軍事板常見問題 別館A
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『米陸軍レンジャー パナマからアフガン戦争』(L・ネヴィル著,並木書房,2018.5)
おはようございます,エンリケです.
陸自の「レンジャー過程」を通じ,「レンジャー」という言葉に馴染みを持つ人は多いでしょう.
今日ご紹介する本は,本家本元の「レンジャー」を解説したもので,世界最強の特殊空挺部隊といわれる「第75レンジャー連隊」の実像を初めて公開しています.
米陸軍のなかで唯一,部隊名に「レンジャー」を冠しているのが第75レンジャー連隊です.
起源は古く,植民地時代の1750年代までさかのぼります.
WW2ではレンジャー大隊としてわが軍と戦い,戦後は解隊と復活を繰り返しながら,軽歩兵部隊として数々の武功を立ててきました.
監訳者の床井さんによれば,
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1986年のパナマ進攻「ジャスト・コーズ作戦」から,ソマリア,アフガニスタン,イラクと続く作戦・行動を時系列で詳述しながら,レンジャーの任務が主作戦を有利に運ぶための単なる「尖兵部隊」以上の要求を課せられていく過程とその背景を解き明かしている.
2001年の9.11テロ攻撃以降,第75レンジャー連隊は同じ陸軍のデルタ・フォース,海軍のシールズ・チーム,空軍の特殊戦術飛行隊などとともに統合特殊作戦コマンドを構成し,いまや対テロ戦争に挑む主力の1つに変貌したのである.(床井雅美)
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ということです.
[中略]
純粋に装備の詳細を楽しめるのもいいですね!
米軍には数多くの特殊部隊がありますが,レンジャー連隊はなかでも現在の「テロとの戦い」における主要な戦力としてに,統合特殊作戦コマンドを構成する「テロとの戦い」に欠かせない部隊といえます.
現代最先端の「低強度紛争」に対処している部隊の戦史から学ぶところは,想像以上に大きいと感じます.
[中略]
追伸
昨日ご紹介した特殊部隊本を読むと,この種の「世界の特殊部隊紹介本」から得られる密度の濃さは変わりますね.
わが国防を忘れることなく世界の特殊部隊紹介本を読む意識は大事ですね.
------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2021.12.30
faq15
【質問】 バーシュティン式自動車化火砲1911年モデルについて教えてください.
【質問】 第一次大戦でのルーマニアの敗因は,ルーマニア軍が兵農分離すら出来ておらず,近代軍の体裁を成していなかったから?
【質問】 第一次大戦までのハンガリー車輌&機械工場株式会社について教えてください.
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Vehicles of the Pacific War|軍事板常見問題 第二次大戦別館
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『日本軍と軍用車両 戦争マネジメントの失敗』(林譲治著,並木書房,2019/9/10)
こんにちは,エンリケです.
帝国陸軍の機械化史を,日本自動車産業史と連ねて解説した通史.
帝国陸軍輜重兵史の側面も持つわが軍用車両の歴史が描き出されています.
地味ではあるけど決定的に重要な兵站,輜重兵科を知るきっかけにもなる技術史であり,帝国陸軍が機械化(=自動車化)部隊を具体的にいかに作っていったのか?が,手応えあるかたちでよくわかる良書です.
戦後日本では,
「帝国陸軍は野蛮な精神主義の権化で,近代的な装備機械化などは軽視していた」
という,批判に見せた「根拠なき誹謗中傷」が,わが軍事セクターに対して行われています.
・帝国陸軍は世界的に見ても歩兵師団をはじめとする諸兵科の機械化に熱心な軍隊であった
・帝国陸軍は海外事情にも通じており,たとえば戦車でも列強に劣らない火力と装甲を重視していた.
・自動車産業の立ち上げと陸軍部隊機械化がほぼ同時並行で行われていた歴史
・たしかに兵站は最後まで軍馬中心であり,数少ない自動車は故障で苦労したという証言が少なくない.
・機械化が思うように進まなかった根源の理由は,シナ事変拡大に伴う師団数の急増と根こそぎ動員を通じた兵站,人材不足の問題にあった.
という事実を無視した誹謗中傷に,少なくともあなただけは染まらないでいただきたいものです.
本著を読めば正鵠を射た背景事情を把握できますので,一読をおススメします.
もしシナ事変を早期に終わらせていれば,当時のわが自動車生産能力のポテンシャルで,わが陸軍全師団の自動車化は十分可能でした.
ところがシナ事変が拡大し,派遣部隊が急増.
自動車隊将兵の経験知識は不十分になり,自動車の適切な運用ができなくなり,「根こそぎ動員」を通して自動車の需要に供給が追い付かなくなりました.
人材育成・兵站の裏付けを欠いた部隊の急増が,自動車の形式の混在,稼働率の低下を招き,それが,前線での補給部品や燃料入手を困難にし,また稼働率を下げる,というマイナススパイラルに入ったということです.
とくに見落とされがちなのが「人材不足の問題」と感じます.
著者はこれについて「はじめに」で次のように指摘します.
<日本陸軍の優位は,基礎教育の普及を背景とした将兵の教育・訓練水準の高さにあった.
しかし,根こそぎ動員でそれが実現不可能となった時,自動車一つ満足に運用できない事態に陥ったのである.>
シナ事変拡大の責任は派遣軍などの戦術レベルにはなく,大本営レベルの戦争マネジメントが失敗したことにあります.
これが自動車の不足と稼働率の低下を招き,そのツケを最前線の将兵が支払わされた,ということではないでしょうか?
ただ,ここで一呼吸置きたいところです.
昨日紹介した北野さんの『地政学』本のなかに,こういう趣旨の言葉がありました.
「戦争は国民世論が起こす」
プーチンのクリミア侵攻に触れた一文のなかで紹介されていたものです.
おそらくシナ事変当時も,政府や大本営の意思決定を拡大方向に突っ走らせたのは,当時の国民世論だった気がしてなりません.
背後でそれを煽ったのがマスメディアであったろうことも.
この種の本を一般国民が読まなきゃいけない理由は,そのあたり(知的判断力の自律自立独立)にあると私は考えています.
[中略]
この本で特筆すべきは,軍用車両というツールの全体を包括的に捉えてつかもうとする「マネジメント」の視点から描き出していることです.
現在のわが自動車産業が,軍と国家が生み出したという事実に驚く戦後日本人も多いのではないでしょうか?
戦史と聞けば,戦闘兵科のことばかり取り上げられがちです.
ところが,戦闘力を維持するために兵站は不可欠で,そのため活躍した輜重兵科への視座抜きで,戦史から実像を把握することは不可能でしょう.
この種の兵站・輸送系の軍事本は類書が少なく,なかでも一般向けに優しく分かりやすく記された書も少ないですから非常におススメです.
興味あればぜひ読んでください.
「欧米諸国と我が国では,自動車産業の立ち上げにあたって決定的な違いがあった」
など,実に新鮮な視座,面白い知識をたくさん得られることでしょう.
[中略]
追伸
プロよりもアマのほうが,囚われのない柔軟な発想で物事をとらえることができる面もあります.
アマを馬鹿にしないプロ,プロを尊重するアマ.
ひたむきで誠実で奥深さを備えた両者が,精力的にことばを飛び交わしあう軍事言論空間に我が国をしたいですね.
------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
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2021.12.24
faq12
Strategy Books FAQ|軍事板常見問題 総記別館
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『ジョミニの戦略理論ー『戦争術概論』新訳と解説』(今村伸哉編著,芙蓉書房出版,2017/12/20)
こんにちは,エンリケです.
この本は,孫子,クラウゼヴィッツと同じ程度著名な戦略思想家ジョミニの主著『戦争術概論』の,画期的な新訳とジョミニ戦略理論の詳細な解説がセットになったものです.
ジョミニといえばなんといっても「戦いの原則」です.
現在,各国軍のドクトリンにその法則は活きています.
その意味でジョミニを無視して現代軍事は考えられない,と言って差し支えのない状況があります.
とはいえ,ジョミニ自身は「戦いの原則」を自らは挙げていないんですよね.
このあたりの事情も,この本を読むと詳細につかむことができます.
前半の『戦争術概論』の画期的な新訳ですが,これまで「戦争概論」として知られている書(原書房版,中公文庫版)は英語版からの重訳でした.
しかも,かなりの量抜粋された解説書でした.
今回初めてフランス語版原著から直接訳されたのです.
(とはいえ,掲載されているのはそのなかの一部です)
そして何よりお伝えしたいのは,後半の今村さんの「ジョミニ解説」が実に素晴らしいことです.
本邦初の「ジョミニ研究基本書」の名に値する内容です.
ジョミニとその戦略理論をめぐる状況がすべて把握できる研究基本書であるとともに,ジョミニ戦略理論事典といって差し支えない「ジョミニと彼の戦略理論と歴史のすべてが見える内容」でもあります.
言い過ぎでもなんでもなく,この解説を読むだけでジョミニの何たるかがつかめます.
極端な話,面白がって読める人なら,数時間で,にわかジョミニ研究者になれるかもしれません,,,
[中略]
我が国では,いや世界では,孫子,クラウゼヴィッツ同様著名な戦略思想家ジョミニは正しく読まれてきたのでしょうか?
不変の戦略原則を見つけ出したジョミニの主著『戦争術概論』の画期的新訳と,ジョミニ戦略理論の詳細な解説.
フランス語版原著から翻訳された初めての訳書であるこの本は,そういう大きな問いに十分こたえてくれるジョミニ研究基本書,ジョミニ戦略理論事典です.
ジョミニの考え方や原則を使う人すべてが目に通すべき内容と思います.
読んでいて面白いから特にそう感じるのかもしれません.
[中略]
追伸
最後に置かれている竹村さんの解説がまたいいですね.
最後の一文をぜひあなたにも読んでいただきたいものです.
------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2021.12.14
faq23
【質問】 ハールィチ・ヴォルィーニ大公国について教えてください.
【質問】 ハールィチ・ヴォルィーニ戦争について教えてください.
【質問】 ウクライナ・ポーランド戦争について教えてください.
【質問】 ブラティアヌ級河川モニターについて教えてください.