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<◆◆JSDF Life/JSDF Élete
<◆日本/自衛隊FAQ 目次 Japán Védelmi
Erök FAQ
<東亜FAQ目次 Kelet-Ázsia FAQ
『自衛隊警務隊逮捕術』(荒木肇著,並木書房,2020)
こんばんは,エンリケです.
こんかいご紹介する『自衛隊警務隊逮捕術』は,知られざる警務科の仕事の内容と,隊員が日々修練している逮捕術を初めて公開した作品です.
本づくりにあたっては,陸海空自衛隊の警務科職種の全教育を担う小平学校,そして陸幕広報が全面協力しています.
荒木先生がいたからできた本なのかもしれません.
1.警務隊の紹介
1.警務隊逮捕術の技の紹介
1.警務隊隊員インタビュー
1.憲兵隊史
の4つの柱からなる
「自衛隊警務隊がわかる本」
です.
自衛隊警務隊の仕事は「捜査」と「保安」に分かれます.
概要はこんな感じです.
●捜査
犯罪捜査,被疑者の検挙
●保安
交通統制や要人警護,規律違反の防止など
警務隊員は,このどちらにも対応しなければいけません.
しかも警察官と違って,相手となる被疑者は近接格闘の訓練を受けた兵士なのです.
警務隊逮捕術では,徒手(手に何も持たないこと)で犯人に立ち向かい,相手が武器や凶器をもっている場合は警棒や警杖をつかいます.
相手に与える危害を必要最小限度にとどめなければならないため,「後の先」を大事にします.
ただこれ,言うは易く行うは難しの典型で,迷ったり,ためらっている時間はありません.
この本では,そんな警務隊逮捕術の技のひとつひとつを,連続写真や,スマホを通じQRコードでアクセスできる「動画」で,いつでも見たいときに見ることができます.
自衛隊関係者,自衛隊ファン,憲兵ファンはもちろん,武術家,武道家,武術ファンにも目を通してほしい本です.
[中略]
憲兵隊小史が資料として載っています.
あまり知られていない,しかし,大切な
警務隊,警務官について知りたいことが
満たされる本
小平学校全面協力のホンモノだから迫力が
違います.
[中略]
●逮捕相手がプロの軍人.それが警務隊です.
戦いのプロとして訓練を受けた相手をいかに逮捕するのか?
警務隊逮捕術は,まさにプロの逮捕術です.
窺い知れる機会はまずありません.
これまで見たことも聞いたこともない世界にようこそ!
●陸幕長表彰を受けた経験も持ち,「荒木先生の本
だから信用できます」と自衛官にいわせる,長き
にわたる在野での真摯な軍事研究の経歴が,信頼
できるディテールの表現を可能にしました.
[中略]
追伸
警務隊は,自衛隊の士気を支える重要な部隊と思います.
逮捕術の技を見てそんなことも感じました.
------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2020.9.28
【質問】
欧米には軍事法廷があって内容は非公開だけど,日本には軍事法廷がないから内容が公開されるという批判ありますが,これは正しいのでしょうか?
【回答】
間違い.
まともな先進国なら軍法会議は原則公開が基本.
日本においても旧軍の軍法会議は原則公開だった.
米軍の軍事法廷については非公開なのかどうかは知らないが,注目度の高いものについては,逐一,連日の審議が報道される.
例えば
ワタダ中尉の裁判:ニューヨーク州兵で士官2名を殺害したとされる下士官の裁判
などはそう.
また,軍事法廷に入る前にAR15-6(条文に由来する名称)による調査が行われるが,これは公開される.
日本でも同様に公開される.
最近では海上自衛隊の特別警備隊での,格技訓練中の死亡事故での調査報告書が,防衛省サイトに出ている.
米国ではアブグレイブ虐待,イタリア情報機関員殺害事件,などが公開されている.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【珍説】
「年間逮捕件数70件以上の犯罪集団・自衛隊のイラク派兵反対!!」(阿修羅掲示板)
【事実】
年間70件程度で済んでいるならば非常に優秀.
総務省統計局の資料から「刑法犯の認知件数と年齢階級別検挙人員」http://www.stat.go.jp/data/nihon/23.htm
を見て頂きたい.
日本の刑法犯罪検挙数はここ数年,年間約30万人.つまり人口10万人当たりの検挙件数は約250人となる.自衛隊は総勢約25万人で年間検挙者数70人・・・10万人あたり28人という数値になる.
つまり自衛隊の犯罪検挙者数は,一般よりも桁が違うほど少ない.
自衛隊は大変規律正しく士気の高い集団と言えるだろう.
サマワに派遣される陸上自衛隊は常駐500人ほどなので,統計的に予想される犯罪者発生数は年間あたり0.14人.もはや無視して良い数値だ.
ただ,「自衛隊の年間逮捕件数70件以上」という数値は相手が出してきた数値でそれが本当なのかは知りませんけどね.とりあえず言えることはその数値,自衛隊のモラルの高さを示す数値にしかならないと言う事です.
相手さんは「年間70件も!!」って言いたかったのでしょうけど,統計的に見れば非常に少ない.
自衛隊はこういう人達に蔑まれ,虐め抜かれて半世紀近くを過ごしてきました.
そこで培えてきたのがこのモラルの高さです.不祥事があったらここぞとばかり叩かれますからね.
結果,自衛隊は異常なまでに潔癖かつ戦闘意欲旺盛な集団に仕上がりました.
冷戦後に始めたPKOでも評判が良いばかりか,冷戦期間中,自衛隊を観察した海外の軍事識者も,隊員の士気については一様に高評価でした.
【質問】
自衛官が,規則を破ったりした時に,処分を決めるのは誰なんでしょうか?
【回答】
陸では一般的に懲戒権者は中隊長及び部隊長(連隊長/大隊長)になります.
隊員の規律違反の訴えを受けた中隊長はまず事実の調査を部下に命じ,事実なら懲戒処分の手続きに入ります.
懲戒処分に至らないような微小な違反の場合は「訓戒」や「注意」といった処分がすぐに下されます.
懲戒処分になるような場合は,供述調書や証言,各種の証拠を取り揃え,真偽を吟味したり本人からの弁明を聞く「審理」が行われる等裁判手続きに近いものが行われます.
(ただし本人の辞退で,法廷に相当する「審理」は省かれる略式で行われる場合が多い)
なお,中隊長が処分をできるのは比較的軽い「軽処分」までで,免職を含む重い処分が相当の場合は中隊長は一件書類を上申して処分を部隊長に委ねます.
【質問】
自衛官が刑事・民事訴訟の原告や被告になった時,弁護人は原隊の法務官がやるので自分で弁護士を雇えない,という話を聞いたんですが,この話って本当なんですか?
【回答】
全くの与太話.
自衛官が公務で民事裁判になったとき,被告人席に座るのはあくまで「国」だから,弁護士は必要ない.
同じく公務で刑事裁判になったとき,被告人は「実行者」となる.
(状況により,「国」も同時に被告人になることもあるが,実行責任は免れない)
この場合,弁護士は自分で雇わなければならない.
支払い能力がある限り,国選でも報酬は自分で支払う.
部隊としては,証拠収集に協力したり,目撃者に証言してもらうといった協力はできる.
法務官室は,自衛隊に理解のある弁護士を紹介するぐらい.
非公務のときは,当然自腹
【質問】
虫の居所が悪いって理由で2士をしばきまくる士長は,本当にいるんですか?
あと,熱発就寝と称して,酒飲んで寝てばっかりいる部屋長とか.
【回答】
1980年頃の海だけど,そんなんざらにいました
特に,3曹になりたくても発令が来ない3任期目のお茶っ引き士長は,ほぼ全員そんな感じでした.
整列かけられて甲板に正座してお説教聞かされて頭ひっぱたかれて腕立て伏せして長時間の前支えは,毎日の艦内生活のお約束です.
1970年代は鉄拳制裁ありだったから,それに比べれば楽になったと思ってましたよ.
また,2日酔いでぎりぎりまで寝てる士長〜2曹ってのはいっぱいいたな(含む自分)
ちなみに,今はどうなのか知らないよ.
【質問】
林信吾著『反戦軍事学』(朝日新聞社,2006/12/30)という本の冒頭の仮想小説に,国防軍となった自衛隊で,主人公が上官に殴られる場面があるのですが,自衛隊では上官から殴られたりするのでしょうか?
【回答】
昭和末期入隊の私ですら,そういう記憶はありませんねぇ.
Cpt.hige in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
俺も昭和末期入隊でしたが,上官はおろか,同期同士でも殆どありません.
EF63-24 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
私,二年ほど前に退官した陸士ですが,暴力のようなものはありませんでした.
ただ,現場で叱咤するためにビンタしたり,尻に軽いケリが入ったりはありました.あとは鉄帽の上から叩いたりとかです.
怪我をするような叩き方はありませんでした.
殴るは見たことがありません.
なお,言葉の暴力とか陰湿ないじめはあります.
あまりにひどい方で中隊長や法務官等に苦情が入り,減給(ボーナスの判定悪化かも)されたり,左遷されたりしている上官がおりました.
なので不当な暴力等を受けた場合はしっかりと関係管理職等に報告し,指導,是正してもらうことがいいと思えます.
ただ,部隊の精神教育などでもパワーハラスメントやセクハラが取り上げられ,当時はイラク派遣等でかなり不祥事全般にピリピリしてます.
まぁ,公務員全般にいえますが,実名と所属部署付で報道されてしまいますので,暴力も含めた不祥事全般を追放するように現場は努力してますよ.
▼ 曹士の教育において鉄拳制裁は禁止されてます.
でも殴るだけが体罰でわありません.
腕たて伏せに始まり,様々な筋トレと組み合わせた体罰は教官のきまぐれで行われます.
これを称して,自衛隊では「教官から苛められた」と言います.
が,もちろん苛めでは無く躾け教育の一環です.
つーか,まぁどっちでもイイんですけどね.
要は本人が反省すれば良いんだから.
幹部候補生や将来,幹部となる航空学生など,いわゆる自衛隊のエリートには最高峰の教育が施されます.
教官は全身全霊で真剣に教えますので,手が出ることはあります.
足も出ます.
突きとばされたりもします.
でもそれは自衛隊の愛情です.
学生もそれが分かっているので反発せず,自らの行為を悔い改め必死に教官に付いていきます.
教官と学生の真剣勝負です.
それが理解出来ないお馬鹿さん達は,教官の愛情を勘違いして辞表を出しますがそれはそれで仕方ありません.
自衛隊幹部としての素質が無かったのでしょう.
部隊などで先輩らから理不尽な命令をされる事はありません.
もし,あれば上官に相談しましょう.
たとえ先輩であっても,自衛隊ではそれは”悪”です.
もちろん,自分自身も後輩に対して理不尽な命令をしてはいけません.
ちなみに
「おい,ジュース買ってこい」
の命令は,自衛隊では理不尽な命令ではありません.
勘違いしないように.
ただしこの場合,先輩は買いに行かせる後輩に対し,お金を渡さなくてはいけません.
もし「ツケとけ!」と言われたら,買いに行くふりをして曹長以上の上官に相談しましょう.
自衛隊とはそういうところです.
入隊すれば色々と分かってきますから,今から心配することは何もありません.
いや,本当に.
▲
▼ そういやあ,おじさんが209期だか207期だかの空自の新隊員のとき,熊谷基地での訓練中に心不全で死んだ曹候がいたなあ.
倒れたところを上官から蹴り食らってたのを見て,ああ,ヒラでよかったと思っていたらそのうち救急車がきて大騒ぎ.
その週のうちに部隊葬.
なんか知らないけど全員1月外出禁止.
▲
冒頭の仮想小説の部分ですが,
------------------------------------------
要するに小説形式で軍隊の不快な側面を読者に印象づけ,感覚的に軍隊への反感を植え付ける形になっているのです.
これは,人に知識を解説する本としてはやってはいけない手法でしょう.
------------------------------------------
と,著者による印象操作が行われていると東部戦線氏は指摘しています.
〔略〕
もちろん,自衛隊は閉鎖的な生活を強いられますから,苛めが全く無い,だなんてことはないですし,実際にあります.※
しかし,旧軍のような体罰が横行する組織ではもう無い事も,確かです.
<以下,コメント欄>
ハートマン軍曹も殴ったり蹴ったりは意外にしてないんですよね.ひたすら怒鳴るだけ.あとはみんなで腕立て伏せとか.
Posted by Q at 2007年02月28日 11:29
自衛隊の話にずれているようなので,念のために申し上げておきます.
『反戦軍事学』の入門編の小説部分の中に,自衛隊時代には体罰がなかったことを示唆する部分があります.
それでもなおかつ,新しい日本軍に上官や先輩による制裁が復活する根拠が示されていないことは変わりませんが,とにかく自衛隊内で制裁があることは否定しています.
ひょっとして,今ここで出ているような,自衛隊にはビンタや鉄拳制裁はないといったツッコミから逃れるためではないかという疑いは残ります.
『反戦軍事学』はどこの部分をみても,なんらかの批判を避けるためではないかと思われる逃げがうってある部分が多々みられるからです.
むしろ,そういうズルイ書き方が気になる本です.
Posted by 東部戦線 at 2007年02月28日 22:25
※ 一つ上の項目の「虫の居所が悪いと部下をしばきまくる士長」の話など参照.
【質問】
本気で殴りたい上官がいるんですが,もし手を出してしまったとしたらどのような処分を受けるのでしょうか?
【回答】
「懲戒処分等の基準に関する達」(陸上自衛隊達第24−4号)
別表
1 職務に関する違反
(2)上官等及び特別勤務者に対する反抗不服従等
ア 傷害
(ア)重大な場合:免職
(イ)軽微な場合:16日以上の停職
イ 暴行・脅迫
重処分(減給を除く)
ウ 反抗・不服従
(ア)重大な場合:重処分(減給を除く)
(イ)軽微な場合:停職の軽処分
エ 暴言・侮辱
(ア)重大な場合:重処分(減給を除く)
(イ)軽微な場合:軽処分
出世以前に自衛隊生命を絶たれるからね,その上で行動してくれ.
こんなことと引き換えにする「自分の尊厳」なんてどんなに大層な物かは知らないけどね.
ちなみに重大事案の場合には,中隊長は「(31)指揮監督義務違反」に問われる可能性はある.
(画像掲示板より引用)
【質問】
「自衛官はネット・オークション禁止」というのは本当ですか?
もちろん支給された官品を売ろうとかは考えてません.
今乗ってる車売って,新車買うとかもできないのですか?
【回答】
実わ,すんごいグレーでねぇ(笑)
自衛官は「商行為」禁止なので,本来であれば,例えば「株取引」も商行為になるはずだから,「許可」がいるんだけどね.株主として,経営に参加する権利があるんだからねぇ.
自分の持ってる車を,数年に一度下取りに出すのわ,「一般的行為」
が,
数ヶ月とか数週間で下取りに出していれば「商行為」になるらしい.
ヤフオク禁止令の目的わ,実は「商行為」にひっかけておるが,「不発弾の持ち出しを現職がやらない」ためちうのが,実は真の目的なの.
缶飯売ったりするのわ,別に大したことじゃぁない.
が
それからエスカレートしていくのが怖いから禁止令を出してる.
そういう解釈だと思うがねぇ.
ちなみに,公務員は副業については「許可」を取る必要がある.
株の売買益なども,どう判断されるかわからないから,やるなら上司に断ってからやってね.
【質問】
公務員って副業だめだよね.
自衛官って同人活動したら憲法違反になるの?
【回答】
公務員の副業禁止ってのは「許可を得ない副業の禁止」だから,それが誰かは知らないが,決定権者の許可を取れれば何だってできる.
問題は同人活動の収入を許可する官庁があるかどうか.
よく知らないけど,年収103万くらいまでは趣味でいいはず.
それ以上でも,文筆活動によるものは表現の自由との絡みもあって大抵許可される.同人誌がそれに当たるかどうかはわからんが・・・
そういえば俺も,同人誌売ってその日の飯代くらいは稼いだ記憶があるなぁ(笑).
まあ,憲法違反にはならない.
ただ,趣味でやる分には構わないが,同人活動をしていることが明らかになった場合,「発表する内容」についていらぬ詮索を受ける場合がある.
まあ,収入といっても昼飯代ぐらい出ればいい方かと.
【質問】
官品無くしたらどうなりますかぁ?
弾のう(大) をなくしたんですが…….
【回答】
無くす物による.
銃なんか無くしたら大変な事になる.
補給陸曹に頭を下げて,正直に謝りなさい!
CASE-1
やさしい補給陸曹なら,「これから気をつけろ!」で,代わりのものをくれる.
CASE-2
普通は,怒られて,亡失損傷報告書を書かされて,代わりのものをくれる.
CASE-3
最悪,CASE-2に加えて,次の給料日に千円くらい天引きされる.
CASE-4
普段の行いが悪ければ,注意処分の恐れもある(?)
物品愛護のため,口うるさく言われるけど,いずれにしてもたいしたことはない.
正直に申告するのが一番.他人のせいにしたり,同僚を疑ってはいけないよ.
また俗に,「員数をつける行為」というものがあるが,絶対やったらダメだよ! 窃盗罪で,懲戒免職が待っているからね!
怒られて済むならそれに越したことはない.最悪千円で済むなら安いもの.
もしCASE-1だったら,補給陸曹に煙草3箱くらいのお礼はするんだよ!
【質問】
官品が個人所有されると,どのようなリスク・意味があるんだ? いや,マジで判らないので教えて欲しいわけだが……
違法ではない→罰せられない,だからね.それが法治社会の原則だし.
倫理面でやっちゃダメという解釈もできるけど,根拠としては薄弱に過ぎない.
ま,そういう規則に触れるか触れないかギリギリのところで,どう動くか決めるのは本人だから,どーでも良いと言えばどうでも良いな.
【回答】
リスクうんぬんは,それを書いたら,いらんコトするヒトが出てくるから(笑)書けません.申し訳ない.
ただ,その辺の学校やお店の制服ですら,盗難にあって悪用されることがよくあるわけです.
国家機関しか「所有」していないはずの制服が,その管理を離れると・・・.
特に警察,消防,自衛隊等の制服,階級章及び徽章等は,着用することで国際法的にも国内に於ける実効上も意味を有するため,その身分を有する者以外が着用して外出すると,罰せられることはご存じですね?
また,確かに1人,2人ぐらいなら紛失するヤシがいても,しゃーないな,で済まされるかもしれませんが,それも数次第では補給担当が強烈に迷惑するので・・・(^^;)
それに,一応金筋巻いてる立場として言わせてもらえば,「規則に触れるか触れないかギリギリのところで」動くような部下/学生は・・・ねぇ.
【質問】
営内で麻雀をしてはいけない理由というのは,何かの規則に明文化されているのでしょうか?
【回答】
されています.
【陸上自衛隊服務規則】
第7章 営内生活
第36条(営内生活にあたっての心構え)
2 自衛官は,営内にある者すべてが快適な生活を送りうるよう,公衆道徳を重んじ,他に迷惑を及ぼすような言動は厳に慎まなければならない.
3 自衛官は,営内において休息するときも,放縦に陥り,又は節度を失ってはならない.
「麻雀」は結構激しい音がします,また雀卓やコタツが必要となります.
よって,営内において他の者が迷惑に思う行為や,大きな家具などを持ち込むようなことをしてはいけません.
「麻雀」はしばしば賭博に饗されます.
また,「雀荘」が風営法の管理下に置かれることを見ても,一般社会常識では麻雀は「いかがわしい遊び」に分類されます.
よって,自衛官は放縦に「いかがわしい遊び」を営内でうつつを抜かしてはいけません.
【質問】
自衛官の間で,麻薬が流行してんの?
最近,新聞報道とか見るけど.
【回答】
自衛隊の処分で一番多いのは窃盗,主に下着泥だ.
10年前は3アウト制だったけど,最近は一発レッドカードになったらしい.
次がセクハラ・性犯罪.
現・元あわせて自衛官は年間200人ほど逮捕されるが,薬物関係は10人ほどだよ.
微増傾向とはいえなくもないかも.
(画像掲示板より引用)
【質問】
自衛隊には変な規則とかありますか?
【回答】
私いたトコはWAC少なかったから大した問題はなかったけど,訳判んない変な決まりとかあったよ.
髪の毛二つ結びはダメとか.
してたらおじさん受けは良かったんだけど,先輩受けは非常に悪くて怒られた….
別にそれが嫌で辞めた訳でもないんだけどね.
【質問】
自衛隊員って,クビが普通にあるって本当ですか!?
だとしたら仮にも公務員なのにクビがあるってまったくメリットないじゃないですか!
【回答】
多分任期制隊員のことを言ってるんだと思うけど,最初から正社員扱いしてほしくて定年まで確実な雇用が欲しいなら,曹候や一般幹候などの確実に3曹や幹部になれる区分で入隊すればいいだけの話.
また,自衛官に限らず,公務員にあるまじき行為をしたものは免職される(懲戒免職)
自衛官としての任務に堪えきれないものも免職される(分限免職).
そして,禁固以上の刑罰を受けたものは,自衛官となる資格を得られないと自衛隊法で規定されているため,任官後に禁固刑以上の判決を受けた場合,自衛官たり得る法律上の資格を失い,自衛隊を追放される(当然失職)
自衛官(任期制隊員を除く)が本人の意志に反して退職させられるのは,基本的に上記の3つに該当する場合.
【質問】
中澤1佐の受けた注意処分ってどんなの?
昇進とかできなくなるの?
【回答】
注意処分とは
「訓戒等に関する訓令」(pdf)
に基づいて行われる処分であり,
「訓戒を行うまでに至らないが,これを不問に付することも適当でないとみとめるとき」
に行う処分とされています.
数ある処分の中ではもっとも軽く,人事記録にも残りませんが,1佐以上の注意処分は防衛大臣に報告されます.
更に,処分を受けた直後の勤勉手当の成績率(ボーナスの査定)には影響するようです
(http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/f_fd/1998/fz19980424_00015_000.pdf).
法律や内部の規定上は,昇進や昇給などに影響を受けることはありませんが,実際の査定では軽微とはいえ,処分を受けるような人の昇進が,後回しになってしまうことはありえる話.
余談
毎日新聞なんかは「文書注意」という言葉を使ってるが,件の訓令には注意は文書で行うものと規定されている.
もしかして自衛隊には,口頭注意にあたる公的処分はない?
余談2
海自には「訓戒等に関する訓令の適用に関する通達」というものがあって,「注意」は「訓戒」よりさらに軽度の規律違反の場合の措置である.
したがつて,指導上の参考とすることは当然であるが,注意書の写を所属長に送付し,又は注意簿を作成するような措置をとつて長期にわたりこれを隊員の不利益な取扱の資料としてはならない.
という規定があります.
陸自と空自には同様の規定が見つけられず,海自にしかこの規定が見当たらない理由を考えた時,
「1月以上,男ばっかり顔突き合わせて同じフネにおってみ? たまらんで……」
という,職場の元海の男の言葉を思い出してしまったり.
丼炒飯 in mixi, 2010年02月14日17:56
【質問】
2010年,宮城県で行われた日米共同訓練の開会式の訓示で,陸自第44普通科連隊長の中沢剛1等陸佐が
「同盟は『信頼してくれ』という言葉だけで維持されるものではない」
と述べたことに対し,防衛省はこの発言を不適切として文書による注意処分を下しました――「信頼してくれ」というくだりが,昨年11月の日米首脳会談で鳩山由紀夫首相がオバマ大統領に伝えた「トラスト・ミー(私を信じてほしい)」という言葉とオーバーラップし,首相発言を引用して批判したものと断定された――が,この処分は妥当なものでしょうか?
【回答】
「自衛隊を「自閉隊」に戻してはならない」というのが私自身の主張.
旧来,自衛隊はその生まれから,憲法上でも鬼っ子扱いされ,所謂「知識人(私自身は『痴識人』と見なしているが)」や様々な場で差別され,謂われのない言いがかりを付けられてきました.
そう言う私自身,(元)自衛隊関係者(肉親が元自衛官)として物心ついた時から嫌と言うほど思い知らされ,現在は自衛隊関係者(愚弟が現役の自衛官)として,如何にそれが陰湿で,二等市民化する悪質・愚劣極まりないものか,ことあることに痛感してきた次第.
災害をきっかけという不幸なことに,阪神・淡路大震災直後からその風向きが変わり初め,ようやく自衛隊が「民主主義国家における武力組織(軍隊)」として認知され,その活動が評価されるように感じてきたと思います.
実際,こちら地元での2回の震災の際,災害派遣に伴う諸活動により民生面での多大な便が図られ,見ず知らずの外から来た人間の中傷
(『軍事都市』として占領されたという極めて酷い中傷もあった)
にも関わらず,それに対する感謝の念は非常に強かったところ.そのため,日頃は反自衛隊活動にいそしむ人間が,民生支援を嬉々と受けて,そのダブルスタンダードとご都合主義に,地元では白眼視されたことも付言するところ.
そのような中,このような問題にする方がおかしい発言を,政治問題化して弄ぶ動きが発生.
毎日変態新聞などはあまりに酷い言いがかりをつけ,自衛隊は『文民統制』の名の下「見ざる・言わざる・聞かざる」の「自閉隊」に戻れ,との愚劣な主張を繰り広げたところ.
民主主義国家のため,言論の自由はそれが暴力や犯罪を容認する物でない限り,最大限保証されるべきと私自身は考えますが,それが適切な物であるかどうか,その議論も最大限に保証されるべきであり,その方法が同じく社会常識に反しない限り,活発に行われるべきだと考えます.
その上で,上記,毎日変態新聞の主張は「民主主義国家における武力組織(軍隊)」の在り方をねじ曲げ,その偏見を助長する物であり,失当以外の何物でもない,と考えます.
田母神論文問題は,その論文骨子があまりにもアレな事でもあり,その人となり(田母神氏本人は信頼・尊敬できる人物ですが)は別として,解任されたのはやむを得ず,その論文発表行為は適切ではなかったと考えます.
しかし,今回の件はそれとは全く別次元の,しかも部内向けの発言で,その内容は極めて穏当,常識的な物.
「世間を騒がせた」との批判はあっても,それは主にそれを曲解して問題視して報じたマスゴミの責任であり,下手な言質を取られた責任はあっても,それ以上のものではありません.
そのため,防衛省の処分としても「注意処分」が限度であり,それ以上はどうあっても取れないこと.元々,そのような処分があること自体おかしい,せいぜい
「発言が社会的・政治的に利用されないように注意せよ」
との口頭注意で十分と考えます.
そして私自身は,その発言を一人歩きさせ,社会的・政治的に利用する動きを警戒するところであり,民主党政権にはその政治的センスと見識に激しい疑問と不信感を抱きます.
まあ,防衛相自身はが極めて微妙な政治的バランスを取ろうとする老獪な人間である可能性は否定しませんが,私自身は落第点を付けない程度で,プラスの評価には値しないでしょう.
もう一度最後に言いますが
「自衛隊を「自閉隊」に戻してはならない.せっかく進んだ自衛隊の進歩の針を元に戻すことはあってはならないし,自衛官の言動を政治的に利用することは絶対にあってはならない.」
そう声を大にして主張したいと考えます.
皆さんは如何お考えでしょうか.
へぼ担当 in mixi,2010年02月14日10:58
▼ 【反論】
「言論の自由」と「思想・良心の自由」の「自由権」の違いから始める必要があるのかなぁ,というのが一点.
(cf:「内面の自由」と「外面的な精神活動の自由」)
それを踏まえての政軍関係におけるCommunicationですが,基本的には,自衛隊(=軍隊)が暴力組織であるという逃れられない現実がある以上,いわゆる制服組は「政治的」発言と思しき発言には最大限の制限が課されるというのは,洋の東西を問わず,主流的ではあります.
(ex:Louis Smith,"American democracy
and military power")
で,個人的な見解を申し上げれば,
「自衛隊が市民権を得たいと望むならば,まず文民に対する『絶対的忠誠』から始めるべき.
その上で内向きの論理ではなく,外からの理解をうるのを待つことでしか,民主政治における軍隊の存在は許されない.」
と,極言させていただきます.
投稿者の専門分野に関する,冷静沈着な筆致を味得していただけに,私情が優っている感じられる本投稿は非常に読んでて辛いものがあった,と付言させていただきます.
追記
>http://d.hatena.ne.jp/keyword/%8E%A9%95%C2%91%E0
七師三等兵 in FAQ BBS,2010/3/13(土) 23:37
青文字:加筆改修部分
▲
▼ 私個人は今も昔も中道路線で極右・極左共に嫌いでしたね.
別段,右でも左でも,有意義な意見交換が出来れば別に構わないと思っていますし,異なる意見の持ち主の話に聞く耳を持つか否か,が最大の判定条件でした.
ただ,前提条件として
「自衛隊(軍隊)を政治的に利用する人間は,その肉親(関係者)として,右でも左でも拒否感を覚える.」
というのだけは変わらないところで.
極論を言えば,別段利用しても構わないのです.
ただし,それに伴う政治的責任を全うできるなら,という「絶対条件付き」なのですが.
そして,現在までの所,それだけの責任や見識を見せた人間がどれだけいるか?というと,暗澹たる思いになるところであり,第一義的にそのような対応を取らざるを得ないところ.
そして,先の同盟発言を巡る騒動でもその点がなかった,少なくとも伝わってこなかった
(残念ながら明示的に示されなかった;もしされていたのであればあのような態度は取らない)
のが先の反発や,主張のポイントであることを付言させていただければと思います.
へぼ担当 by mail,2010年03月17日 23時52分
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今後も賛否両論収集予定.
▼ 【余談】
「同盟は『信頼してくれ』だけで維持されるものではない」と発言した陸自連隊長が異動…防衛省
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623 名前:日出づる処の名無し[sage] 投稿日:2010/03/16(火) 21:26:19 ID:NdbIZGFE
>>608
現に閣僚だったか官房長官だったかが「この発言は首相の発言を揶揄したものだ」とか言ってたからなぁ…
左遷といわなくても誰もが左遷と思うだろ.
しかも異動先の技本はどうやら左遷コースらしいし.
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このレスに言わせると,陸上自衛隊研究本部は「左遷コース」らしいですわよ奥様
ていうか,陸自研究本部と技研の区別すらついてないって,どういうことなの……
花ながみね軍曹 in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2010年03月27日
02:17
青文字:加筆改修部分
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【質問】
上官や先輩に口答えすると,処分されるんですか?
【回答】
自衛官には上官の命令に従う義務があるが,それ以外は口答えしようが問題ない.
が,人間関係が仕事みたいなものだから,むやみに口答えすると嫌がらせを受ける.
それに対して,苦情申し立てという反撃の手段がある.
しかし使う者はほとんどいない.
どんどん使ったらいいんだがね.
自衛隊板,2010/03/12(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
田母神空幕長更迭問題だけど,自衛隊員には言論の自由はないの?
【回答】
ちゃんとある.
今回だって,「論文の内容が政治的に間違っている」からクビになった訳ではない.
「立場上,そのような行動をすることには問題がある」,つまり「行動」が問われただけで,「思想・言論」が問われた訳ではない.
別に当人の言論自体が封殺されたわけではない.
論文自体がなかったことにされた訳でもないし,これからも同じような主張を雑誌に投稿するなり,ブログに載せるなりすることは自由だ.
だから,言論の自由は保障されている.
論文を書いた行為が不適切と見なされて,左遷されたりクビになったりすることはまた別問題.
別に自衛隊の幹部じゃなくても,国民個人だってそうだろう?
民間企業だって,上司の悪口を書いたりした結果,会社をクビになることだってある.
「****(個人が特定できる情報)はヤリマンのクソビッチだ!」
と往来の真ん中で叫んで回ったら,その「行動」は法的に咎められる.
でもそれは「行動」を咎めているのであって,決して
「そういうことを考えたり思ったりしてはいかん」
とされているわけではない.
言論の自由というのは,どんな発言をしても自分の地位が保証される,ということではない.
「何を言ってもやってもいい」
「自分のやる事の邪魔をされない」
ということではないんだよ.
そして公務員には,「公人」という概念が加わる.
例え勤務時間外でも,身分を明記していなくても,「その人が公務員であること」が特定されるような状況下では,「個人」としては扱われない.
いくら勤務時間外に個人として書いて個人として投稿した論文でも,著名が実名だったりしたら,それは「公人としての行為」と見なされる.
逆に言えば,航空幕僚長が本名で
「北方領土はロシアの固有の領土.日本が返還を求める権利なんかない」
って論文書いて,どっかに投稿して大賞取って賞金貰ってもいいのか?それは言論の自由だろ,で構わないか?ということにもなる.
軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ 『政府見解とまったく異なる見解を将官が勝手にベラベラ語って更迭される』というタモさん的なケースが,ちょうど今読んでた本に出てきたので,抜粋してみました.
「違う意見を言ったら更迭なんて言論弾圧だ,北朝鮮同然だ」
「軍人に自由な発言を許さず,辞めさせる国なんて日本くらいだ」
っつーアレな意見への反例にはなるかなー,と.
以下,コリン・パウエル自伝「マイ・アメリカン・ジャーニー 統合参謀本部議長編」の,129〜133pより抜粋でございます.
---ここから
翌朝早々に目をさまし,コーヒーを飲もうとして台所へ行くと,食卓にはすでにアルマがおり,『ワシントン・ポスト』の一面を見ろという.
「戦争となれば空爆頼み」という大きな見出しがあった.この時期に公表されるのは最も好ましくない内容だった.
そうでなくても,大統領は空軍力を過大に評価しているふしがあった.
(中略)
『ポスト』紙の記事の元は,マイケル・デューガン大将だった.
つい三ヵ月前に,ラリー・ウェルチの後任として空軍の参謀長に就任した男だ.
デューガンもサウジから戻ったばかりで,同行の記者団を前に,数時間ぶっ通しで公式会見を行っていた.
たいへん勇気ある行為ではあるが,やや慎重さに欠けていた.
デューガンは以前にも二度ほど,政府の方針に反する発言を記者団に語ったことがあり,注意してはいた.
イラクがクウェートに侵攻して一〇日もたたないころから,デューガンは空爆の有効性を公言してはばからなかった.
デューガンの発言を『ポスト』紙が引用した例をいくつかあげてみる.
「空爆は米軍がとりうる唯一の手段である」.
「『サダムを殺るのなら,やつの家族,共和国親衛隊,愛人を狙え』と,イスラエルから助言をもらった」.
攻撃目標を決定するにあたり,自分は政治的な足枷を「気にしなくてすむと思う」.
イラク空軍の「戦闘能力は不充分」であり,イラクの陸軍は「役立たず」であるといったぐあいだ.
『ポスト』紙の記事の最後には,サウジの砂漠に駐留するF−15の部隊にたいして述べた,「アメリカ国民がこの作戦を支持するのも,ボディー・バッグに入れられた戦死者が帰還するまでの話だ」というデューガンの談話が載っていた.
これら一連の記事で,デューガンはイラクを下すのは赤児の手をひねるようなものとの印象を与え,アメリカ軍の司令官はイスラエルからの情報を得ていると暗に述べ──アラブ諸国と手を組もうとするわれわれの努力を台無しにしかねなかった──大統領命令で禁じられているにもかかわらず,政治を軽視し,空爆が唯一の選択肢であるとほのめかして,政府が他の戦略をとれば国民がそっぽを向くとまで言ったのである.
デューガンは今回の危機に際しては,指揮系統の外にいる将官で,そもそも作戦面についての論評をする立場にはなかった.
その発言には,空軍に手柄を横取りさせようとの意図が明らかに見てとれた.
一回の会見でこれほど多くの愚劣で軽率,かつ偏狭な発言が飛び出すことなど,考えられなかった.
デューガンがフロリダの会議に出張中だとわかったため,私は熟睡中の彼をたたき起こした.
「マイク,『ポスト』を読んだか」.
「いいえ」.
「では読んで聞かせよう」.
私は一文ごとに読み上げた.
デューガンは気にもしていない様子だった.
次いでチェイニー長官に電話をかけた.
彼も『ポスト』の記事を読んでいなかった.
「困ったことになりました」
と言って,私は事情を説明した.
長官は記事を読んでからかけなおすと言って,電話を切った.
電話はすぐにかかってきた.
「こんなばかな話があるものか.まったくお粗末すぎる」
というのがチェイニーのコメントだった.
(中略)
翌朝,月曜日の七時四十五分,昨夜から今朝にかけて入手した情報を机の上に広げ,立ったまま目を通しながら,登庁する人びとをマジックミラー越しに見ていると,チェイニー長官から電話が入った.
副長官のドン・アトウッドと一緒にいるから,来るようにという話だった.
オフィスに到着して,私がドアを閉めるとすぐ,チェイニーは
「マイク・デューガンを更迭する」
と言った.
「ディック,話し合いの余地はありますか」
と,私はたずねた.
「いや,デューガンは首だ.やつは信用できない」
「更迭と言う処分が適当かどうか,確認しましょう」
と言うと,チェイニーは表情をひどくこわばらせた.
「君がこの部屋から出ていったら,すぐにデューガンに電話で解任を伝える」
とたたみかけてきた.
大統領も了解ずみだなと思ったが,そうと判明したのはもっと後になってからだった.
---ここまで
花ながみね軍曹 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
▲
▼この件に関しては,マイケル・デューガン将軍以外にも米軍の将軍達の問題発言が参考になるかと....
思いつくまま二例ほど.
・ピーター・ペース(Peter Pace)前統合参謀本部議長の場合
新聞社とのインタビューで「同性愛行為は不道徳であり米軍内では認められるべきではない」と発言して物議を醸しました.
これは,米国内で同性愛・同性婚は非常に微妙は政治的問題であるばかりでなく,同性愛者たちもその性的指向を公にしない限りは軍で受け入れるという,ペンタゴンの"don't
ask, don't tell"ポリシーに反するおそれがあったからです.
ペース将軍は後に真摯に反省して,個人的な信条を吐露するのではなく,政府の方針を支持することにもっと集中するべきであった,と述べています.
ちなみに,問題のインタビューでは,ペース将軍は"don't
ask, don't tell"ポリシーを支持する旨も強調していました.
在職中に公然と外部の媒体で政府の方針に楯突いた米軍の将軍は寡聞にして知りません
(もちろん,政府の内部ではいろんな意見が闘わされている).
・グレッグ・ニューボールド海兵隊中将の場合
私が知る中でもっとも辛辣に米国政府の外交政策を批判した将軍の一人です.
http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1181629,00.html
イラク戦争に関して米国民は政府に騙された,とまで言い切っています.
イラク開戦を推し進めるラムズフェルド国防長官(当時)らと激しく対立し,抗議の意も込めてイラク開戦4ヶ月前に辞職しました.
しかし,その後は沈黙を守り,ニューボールド将軍が雑誌で公然と政府批判をしたのはイラク戦争が始まってから何年も経った2006年4月のことです.
彼が政府批判にこれほど慎重であったのは,彼が現場でまだ戦い続けている隊員達,残してきた部下達のことをなによりも優先したからでしょう.
彼がどれだけ部下思いであるのかは,この手記からひしひしと伝わってきます.▲
▼ 同様にイラク開戦に反対して辞めさせられたエリック・シンセキ将軍は,未だに沈黙を続けています.
同様にイラク開戦に反対したエリック・シンセキ将軍(陸軍参謀総長の4年の任期を全うしたものの,後任人事を任期満了の一年以上前に漏らされて軽んじられるなどの嫌がらせに遭った)は,未だに沈黙を続けています.▲
▼ ウィリアム“ジェリー”ボイキン(William
G. "Jerry" Boykin)米陸軍中将のことを調べてたんですけど,この人が田母神将軍に一番近い例だと思いはじめてます.
http://en.wikipedia.org/wiki/William_G._Boykin
http://www.47news.jp/CN/200310/CN2003102001000028.html
もともと,そのあまりにも宗教的な見識からデルタ・フォースから追い出されかけたようなちょっとトンデモな人でしたが,情報担当国防副次官を務めていた2003年に,あちこちの教会で制服を着たまま,
「アッラーの神より俺の神様のほうが偉大だ」
などという,対テロ戦争をキリスト教の聖戦になぞらえる発言をしていたことが発覚して問題になりました.
それで,ブッシュ大統領の反応は麻生首相と似ていて,
「(ボイキンの発言は)私や現政権の見方を反映していない」
というものだったのですが,浜田防衛相と違ってドン・ラムズフェルド国防長官(当時)は,彼には輝かしい戦歴があるとか,ピーター・ペース統合参謀本部副議長(当時)も,彼は反省しているとか,かばいました.
本人は発言を撤回することなく,真意はこうであったと弁解して謝罪しました.
それで,田母神将軍よろしく国防監察官による調査に自ら名乗りを上げました.
10ヶ月に及ぶ調査は,ボイキン将軍は三つの規則を破ったと結論しました.
・私人としての発言だとのディスクレイマーをし損ねたこと
・発言するための許可を得なかったこと
・ある教会から旅費を支給されたことを報告し損ねたこと
最初の二つは田母神将軍にも,もろに当てはまると思います.
最後の便宜供与は,田母神将軍についても調査をしていればひょっとして分かったかもしれないですね.
発言内容自体は,
「この件にも合衆国憲法修正第一条で保障されている表現の自由が適用される」
と報告書では言及されませんでした.
それで,ボイキン将軍はどうなったか?
なんらお咎めなしで,任期を勤め上げて中将の身分で退役しました
(報告書では「監察官にはその権限がない」と,具体的な処分を勧告していない).
規則を破ったとはされたものの,ボイキン将軍が軍の法律家たちにどのように発言すべきか相談していたのも,情状酌量されたようです.
翻って,田母神将軍ですが,ボイキン将軍と同じ轍を踏んだ可能性が高いのではないかと.
重篤な違反でないと懲戒される可能性は低いかと.
来年頭にどうせ離任する予定だったようで,調査のためにさらに10ヶ月養った挙句に,重篤な違反はないので処分なし,あるいは戒告・減給どまりの処分ということになれば結局,損をするのは国民だと思います.
ごね得を許さん,という点では即日解任はよい選択肢だったと思います.
私も,過去に誰がどんな例でどんな処分を受けたのかとか,どういう経緯で解任→定年退職という線に落ち着いたのかとか,もう少しわかりやすく浜田大臣に国会で説明してほしかったですが.
▲
▼ 2011/1/24には,オーストリア軍のエントアッハー統合幕僚長が,解任されるという事例があった.
この解任は,ダラボス国防相が進めていた兵役義務「改革」について,これを批判して兵役義務を維持することに賛成する発言をしたため.
http://page.freett.com/germtopnews/20110124oe.html
ダラボスについては,それ以前より「国防軽視の安易な経費削減」姿勢が,批判に晒されていたという.
http://blog.livedoor.jp/wien2006/archives/50717178.html▲
▼ ただし2010年には,以下のような事件も起こっている.
――――――
仙谷氏,政権批判封じる防衛省の事務次官通達に「外部の人がどこまで言っていいのか」理解示す
2010.11.17 12:22
仙谷由人官房長官は17日の記者会見で,防衛省が,自衛隊施設での民間人による政権批判発言を封じ込める事務次官通達を出したことについて理解を示し,言論封殺には当たらないとの認識を表明した.
仙谷氏は
「どのような政治的な議論が,自衛隊の公開の場でどこまで許されるのか.
シビリアンコントロール(文民統制)の上から防衛省で規律を保持することは,防衛相の責務だ」
と語った.
仙谷氏はまた,
「外部の人がどこまで言っていいのか.
『政権をつぶす』とは相当,荒々しいことであるのは間違いない」
と指摘し,民間人であっても一定の発言制限は必要だとの考えを示した.
通達は,3日に航空自衛隊基地で開かれた航空祭で,自衛隊を後援する民間団体会長が,沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件での政府対応のまずさを指摘して,
「民主党は早くつぶれてほしい」
と挨拶したことをきっかけに出された.
会長の発言を,自衛隊法などの「政治的行為の制限」違反との誤解を招く「極めて不適切な発言」と断じているが,憲法が定める表現の自由との整合性が疑問視されている.
――――――
――――――
「秘密国家」へ?…政府の情報統制着々 民間人にも矛先!? 事務次官通達で批判封じ込め (1/3ページ)
2010.11.17 00:30
〔略〕
防衛省は10日付で,
「隊員の政治的中立性の確保について」
と題する中江公人事務次官名の通達を出し,自衛隊施設での民間人による政権批判の封じ込めを求めた.
きっかけは,3日に航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)が開いた航空祭.
自衛隊を後援する民間団体「航友会」の会長が,招待客約3千人を前に,衝突事件での政府の対応を挙げ,
「民主党政権は早くつぶれてほしい.
皆さんも心の中でそう思っているのではないでしょうか」
と挨拶した.
これを伝え聞いた北沢俊美防衛相が激怒し,事務次官通達を指示したとされる.
通達は,発言は自衛隊法などの「政治的行為の制限」違反との誤解を招く,「極めて不適切な発言」と断じた上で
(1) 政治的行為と誤解されることを行わないよう,参加団体に要請
(2) 誤解を招く恐れがある場合は参加を控えさせる
――などの対応策を指示した.
〔略〕
――――――
この一件について,佐藤正久議員は,以下のように批判している.
――――――
今回,事務次官通達で言及している,自衛隊員が禁止されている「政治的目的」とは,「特定の政党の支持又は反対」等であり,政策内容ではない.
何が政治目的かの説明不十分なため,現場では過敏に反応し,政治に関わる話は一切ダメだと説明している自衛隊員もいるとの情報に接した.
http://twitter.com/SatoMasahisa/status/4883073388781569
――――――
更に自衛隊施設内ではなく,部外のホテルで行った行事でも,自衛隊の部隊長が,協力諸団体の長に政治的発言をしないでほしいと要請したことも判明.
今日の大臣答弁は,自衛隊の施設内行事を強調していたが,通達の内容は,自衛隊施設外での行事にも言及している.
自衛隊施設外での事前の発言封殺ともとれる.
http://twitter.com/SatoMasahisa/status/4881608528105472
――――――
▲
【質問】
田母神論文が政治的行為ではないということは,政府も認めているから,処分される理由がないのでは?
――――――
■田母神論文「政治的行為に該当せず」 政府が答弁書 (産経新聞)
政府は14日の閣議で,田母神(たもがみ)俊雄前航空幕僚長の論文投稿について
「空幕長の職務として行ったものではなく,私人として行ったもの」
とする答弁書を決定した.
また,今回の投稿が
「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張する」
などの政治的目的には当たらず,自衛隊法で制限されている政治的行為にも該当しないとした.
――――――
【回答】
同じ政府答弁について,他の報道ではこうなっている.
――――――
■田母神氏「私人として応募」=自衛隊への信頼損ねた−答弁書 (時事通信)
政府は14日午前の閣議で,田母神俊雄前航空幕僚長が政府見解に反する論文を発表して更迭された問題に関し,
「(論文投稿は)航空幕僚長としての職務として行ったものではなく,私人として行ったものだ」
とする答弁書を決定した.
さらに答弁書は
「要職にある者は,私人の立場でも公的な立場での意見表明と受け取られるおそれがある」
として,幹部自衛官に自らの立場と責任への自覚を求めている.
辻元清美衆院議員(社民)の質問主意書に答えた.
また,鈴木宗男衆院議員(新党大地)の質問主意書への答弁書では,
「(論文では)先の大戦に関して政府認識と明らかに異なる見解が述べられているほか,(集団的自衛権をめぐる)憲法に関する重要な事項について不適切な形で見解を述べている」
と指摘.その上で
「論文発表は,防衛省・自衛隊への国内外からの信頼を著しく傷つけた」
とした.
――――――
産経新聞は,答弁書の
「要職にある者は,私人の立場でも公的な立場での意見表明と受け取られるおそれがある」
などの不都合な部分を隠して報道しているに過ぎない.
JSF in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
青文字:加筆改修部分
◆◆◆◆脱走関連
【質問】
例えば有事の際,自衛隊員の30%が任務を放棄して逃げ出した場合,我が国の防衛システムはどの程度機能しますか?
【回答】
30%が逃げ出したという仮定自体が馬鹿馬鹿しいですね.
自衛隊員は練度も士気も高く,数多くの海外派兵でも任務を放棄した例はありません.
というか,世界基準でみても最新&重武装の自衛隊と戦うという時点で,どう考えても相手国の方に逃亡兵が続出するでしょう.
この手の題目にはありがちですが,敵国兵も人間であるという当たり前の認識を欠き,恐怖も感じない完璧スーパー軍人であるという設定で,妄想を巡らせる方が多いのです.
外国の兵隊は,一般的に兵士の質が自衛隊より遥かに低いですし,装備も旧式です.
湾岸戦争やイラク戦争でも,最新装備で進撃する少数アメリカ軍と,撃ち崩され逃げ惑う大部隊の現地軍という構図は記憶に新しいでしょう.
そもそも3割という数字に,何の根拠も無いわけですしねぇ.
このいかにも素人くさい奇天烈な設定で考える事自体に徒労を感じます.
現代戦では,銃弾飛び交う中を突撃するような,原始的で非効率な蛮勇は求められていないのです.
兵器の世代が違えば,圧倒的な制圧力の差が生じ,新鋭兵器を多く用意することで,安全な位置から一方的に敵を叩けるのですから.
高価な兵器というのは,兵士の安全を買っていると言い換えてもいいのです.
戦争・国防板,2010/03/05(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
自衛隊から脱走したら,見つかる確率は高いですか?
発見されるまでにかかった費用は本人請求ってホント?
【回答】
脱柵したらかなりの確率で見つかります.
家族や友人,関係先と思われるところ全てに連絡が回ります.
遠くに逃げても,お金を引き落とした場所で移動先を特定されますし.
捜索にかかった費用も本人に請求します.全額が基本です.
捜索では,事件性がある場合は警務隊も動きますが,通常は同じ部隊の人間が動くことが多いですね.
そうなると,見つかったとき部隊に連れ戻されますが,針のムシロ状態になります.
ですから辞めたいのであれば,逃げるよりも素直に退職の手続きをとるのが大人としての対応ではないでしょうか.
自衛隊は,諸外国の軍隊と違い,嫌になれば何時でも辞められるのですから.
招福猫 ◆hNSBMrrUeA他 in 自衛隊板
脱柵試み中
【珍説】
〔脱走という言葉を〕これまた,自衛隊内部では脱柵と言い替えているそうだが
林信吾著『反戦軍事学』(朝日新聞社,2006/12/30),p.78
【事実】
「脱柵」という言葉は旧軍の頃から使われているもので,「戦車⇒特車」のような言い換えではありません.
例えば,検索でも簡単に,以下のような文章を見つけることができます.編者は10分程度で発見.
http://www.geocities.jp/sato1922jp/nanop.htm#jyakuhei
軍隊には「脱柵」という言葉があります.宿舎の柵を越えて禁止された場所へ行くことで,見つかればもちろん厳しく処罰されます.
どうやら著者には,「自衛隊は軍隊用語の言い換えを行って国民を欺こうとしている」という先入観が強すぎるようですが,そのような言い換えは
・警察予備隊の頃の警察用語の流入
・非武装中立論なるカルト宗教まがいの空論が一時期,猛威を振るっていたこと
に起因するものであり,今日でもそれが残滓として残っているからに過ぎません.
【質問】
脱柵すると具体的にどんなことになりますか?
脱柵して捕まったら懲罰とかあるんですか?
【回答】
いろんな人間が投入され大捜索作戦が展開される.
班長は最寄り駅を探し,同期は基地内の草むらや物置を探し,地本の人が実家に来て…
で,捕まるとクビ.いわゆる懲戒解雇.
なお平時は刑事罰の対象にならんが,有事だと自衛隊法120条,123条に則り懲役7年くらいになる.
ちなみに脱柵以外に,居眠りや飲酒,指揮権がないのに部隊を仕切ったりしても同様.
自衛隊板
青文字:加筆改修部分
【質問】
脱走すると警務隊が地獄の底まで追いかけるってホント?
【回答】
そりゃ警務隊が追跡するけれども,なにも拉致して基地に戻すワケじゃない.
バイトじゃあるまいし,「ある日突然行方不明」じゃ洒落にならないだけ.
実際は実家や知人・親戚などを回って見つけだし,誓約書見せて辞めるのか続けるのかを確認するだけ.
あと,隊長に一部預けた給与を返すため.
私の父は,某通信隊○○派遣隊長をやっていたが(一尉),ときたま,
「誰々を駅でみつけた」
とか言っていたなあ.
「サラ金に借金がしこたまあった奴だった」
とも言っていたなあ.
追いかけるのはマジらしい.
【質問】
自衛隊の敵前逃亡って減俸3ヶ月or禁錮3ヶ月ってホント?
しかも地裁で審判されて弁護士も付けられるって?
【回答】
平時で3年以下,有事で7年以下.弁護士はつけられる.
以下は平時の規定.
●自衛隊法第百十九条
次の各号の一に該当する者は,三年以下の懲役又は禁固に処する.
四 第七十条第一項の規定による防衛招集命令を受けた予備自衛官又は第七十五条の四第一項第一号若しくは第二号の規定による防衛招集命令若しくは治安招集命令を受けた即応予備自衛官で,正当な理由がなくて指定された日から三日を過ぎてなお指定された場所に出頭しないもの
五 第七十七条又は第七十九条第一項の規定による出勤待機命令を受けた者で,正当な理由がなくて職務の場所を離れ七日を過ぎたもの又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて七日を過ぎてなお職務の場所につかないもの
六 第七十八条第一項又は第八十一条第二項に規定する治安出動命令を受けた者で,上官の職務上の命令に反抗し,又はこれに服従しないもの
七 上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者
八 正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
「敵前逃亡」は防衛出動時だろうから,適用されるのは同法第122条.
●自衛隊法第122条
第76条第1項の規定による防衛出動命令を受けた者で,次の各号の一に該当するものは,7年以下の懲役または禁錮に処する.
(1)第64条第2項の規定に違反した者(同盟罷業等)
(2)正当な理由が無くて職務の場所を離れ3日を過ぎた者又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由が無くて3日を過ぎてなお職務の場所につかない者
(3)上官の職務上の命令に反攻し,又はこれに服従しない者
(4)正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
(5)警戒勤務中,正当な理由がなくて勤務の場所を離れ,又は睡眠し,若しくはめいていして職務を怠った者
2 前項第2号又は第3号に規定する行為の遂行を教唆し,若しくはその幇助をした者又は同項第1号若しくは第4号に規定する行為の遂行を共謀し,教唆し,若しくは扇動した者は,それぞれ同項の刑に処する
ところで,現行憲法は明治憲法と違い,軍法会議のような特別裁判所の設置を禁止しているので,通常の裁判所で審理するしかないんですよ.
ゆえに通常の裁判通り,最初は地裁で一審が始まり,弁護士もつきます(もっとも,軍法会議でも通常は弁護人がつきますけどね).
この軍法会議設置禁止も考えもので,平時ならともかく,戦時の最前線でいちいちそんな悠長なことをやってられるのか?という疑問が残ります.
【質問】
これ↓っておかしくないですか?
『「ずらかったら,どうなんのかな」
ある日,休憩時間中に,トイレで清田一等兵と一緒になったので,冗談めかして言ってみた.どこまで冗談で,どこまで本気だが,俺自身もよく分からない.
清田は,にべもなかった.
「銃殺だよ」
「……マジで?」
「すでに動員令が下っている.俺たちはもう,戦闘序列に入ってるんだ.ここで逃げたら敵前逃亡.ただの脱走じゃなくて,国防法でも,死刑又は無期と決まっている.
それだけじゃない.家族だって,日本に暮らしていけなくなるぞ」』
――林信吾著『反戦軍事学』P55〜56
逃亡兵は軍法会議で処罰を決めるわけですよね.
「この本(反戦軍事学)の小説のように自民党が憲法改正したら日本はたいへん恐ろしい軍国主義になるぞ」
って,著者の林氏が読者を脅しているのではないのでしょうか?
【回答】
脅しているかどうかは,確実な証拠がない以上,あえて何も申しません――閲覧者ご自身が判断してください――が,同書が唱えているようなことになるとは,非常に考えにくいですね.
現在の自衛隊法では,別項で述べられているように,有事の際の脱走でも最高刑は7年となっています.
それが,「格差が世代を超えて固定化されるように」(p.19)なったというだけで,現在の懲役7年から死刑または無期懲役へと大幅な厳罰化が進むだろう,という「予測」の合理的根拠が見出せません.
あえて根拠らしいものを推測するとすれば,
大日本帝国陸軍刑法第七十五条
故ナク職役ヲ離レ又ハ職役ニ就カサル者ハ左ノ区別ニ従テ処断ス
一 敵前ナルトキハ死刑,無期若ハ五年以上ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
くらいでしょうが,戦陣訓など失笑の的でしかない,現在の軍事風土の下で,そのような方向へ回帰するものでしょうか?
大いに疑問だと思います.
また,その旧軍にしても,逃げれば即,死刑というわけではありませんでした.
以下は,上記75条の続きです.
二 戦時,軍中又ハ戒厳地境ニ在リテ三日ヲ過キタルトキハ六月以上七年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
三 其ノ他ノ場合ニ於テ六日ヲ過キタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
仮に旧軍並みの軍法が復活しても,質問者の言うように,軍法会議で裁かれ,被告の軍規違反に見合う刑が与えられるだけでしょう.
それにそもそも,上述の妄想小説のような状況では,まだ敵前ではない――出撃,即,敵前と見なされるのは海軍の場合――のですから,脱走しても7年以下の懲役で済むのではないかと.
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Második felsõ Oldalára
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