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(画像掲示板より引用)


 【link】

「Caijing Magazine」◆All systems go for China's blastoff to Mars

D.B.E 三二型」(2011-12-12)◆中国漁船員に切られ死亡=韓国隊員,違法操業取り締まり中-黄海

「KINBRICKS NOW」◆(2013/05/22) チベット問題,国際河川,カシミール問題……李克強首相のインド訪問を読む(tonbani)

「kojii.net」■(2010/11/29)中国と北朝鮮に関する徒然

「Lateline」◆(2012/09/25) Implications of the rise of China
 「中国には戦略がない.ないから満州族に三百年間も支配されてきたし,いまも同時に別々の国と領土争いで衝突している」と,手厳しいルトワック

「NY Times」◆(2011/11/27)How China Can Defeat America
by Yan Xuetong

「Strategy Page」◆(2013/03/28) RUSSIA: Mighty China Offers To Help
 中国は「強いロシア」を望んでいる(?)

「Strategy Page」◆(2013/04/16) CHINA: The String Of Pearls That Is Choking India

「Strategy Page」◆(2013/06/07) CHINA: We Are Not The New Nazis

「Strategy Page」◆(2013/7/12) CHINA: Islamic Terrorism Strikes Again And Again

「Telegraph」◆(2011/01/11)A history of Panda Diplomacy

「VOR」◆(2012/02/13)中国 外国人専門家に補助金

「VOR」◆(2012/02/24)中国 2015年までに2度の北極探検実施へ

「VOR」◆(2012/03/27)米国 中国の刺激を画策

「VOR」◆(2012/05/05)北京 中米戦略・経済対話閉幕

「VOR」◆(2012/04/29)上海協力機構サミット 非常事態対応策協

「VOR」◆(2012/05/23)中国 米国のMD計画に関するロシアの立場を支持

「VOR」◆(2012/05/24)中国 日本軍壊滅に関するソ連の貢献を忘れない

「VOR」◆(2012/06/07)胡錦涛主席 上海協力機構の発展は新たなチャンスと課題に直面している
「VOR」◆(2012/06/07)北京での上海協力機構サミット 10の文書に調印
>・地域の長期にわたる平和および共同の繁栄の構築に関する首脳宣言
>・上海協力機構中期発展戦略の主要課題についての首脳評議会承認
>・地域における平和,安全,安定に脅威を与える状況への政治外交的対応に関する決定
>・2013年から2015年までのテロ,分離主義,過激主義との戦いにおける協力プログラムの承認
>・昨年の上海協力機構の活動に関する事務総長報告の承認
>・2011年の地域対テロ機構の活動に関する同機構評議会報告の承認
など.
>この他アフガニスタンのオブザーバー国としての承認やトルコの対話パートナーとしての承認に関する文書にも調印.

「VOR」◆(2012/06/03)ロシア 上海協力機構は必ず拡大する
「VOR」◆(2012/06/03)ロシアと中国 軍事同盟の拡大に反対

「VOR」◆(2012/06/27)中国の対外借款が7500億ドルを超過

「VOR」◆(2012/09/18)ペンタゴンの長官,中国訪問

「VOR」◆(2012/11/14)米国 中国監視のためにオーストラリアに強力なレーダーを設置

「VOR」◆(2013/03/13) 米中軍高官: 地域安全保障問題の対話

「VOR」◆(2013/03/14) 米国誌 中国封じ込めプランを公表

「VOR」◆(2013/03/18) 中国,米国が下した自国太平洋岸のMDを強化する決定を非難

「WP」◆(2010/09/27)Samuelson: Risking a trade war with China

「WP」◆(2011/01/12)Chinese general to visit U.S. base in small sign of thawing military ties

「朝日新聞」●(2008/02/05)中国軍が活動活発化 中印国境で 英字誌報道

「海洋戦略研究」◆(2010/05/26)第2回米中戦略経済対話

「海洋戦略研究」◆(2011/01/11)ゲーツ国防官長官・梁国防相会談

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/09/04)ドイツ・中国の「特別な関係」 欧州の中国への期待と警戒感

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2013/03/25) 中国・習近平外交スタート  対ロシア,アフリカ,インド,北朝鮮など

「古森義久」:中国軍部はやはりアメリカを敵視――新しい米中関係の読み方

「古森義久」◆(2010/2/3)アメリカと中国の協調にはやはり限度がある

「古森義久」◆(2012/12/10)米中新冷戦の始まりか

「産経新聞」◆(2010/12/01)中国軍事専門家・平松茂雄 中国は優位に立つと嵩にかかる

「人民網」◇(2012/07/19)中国が米国債を買い増し,専門家がリスク分散を提案

「人民網」◇(2012/07/31)中国の戦略的好期はまだ終っていない

「人民網」◇(2012/08/13)モンゴルで多国間平和維持軍事演習が開始

「すくいぬ」◆(2011/11/17)中国漁船11隻がロープで結ばれたまま逃走wwwwwwwwww

「石平(せきへい)のチャイナウォッチ」◆(2011/11/21) 外交的敗退を覆い隠す中国政府の苦境

「石平(せきへい)のチャイナウォッチ」◆(2012/02/23)米国のアジア回帰を容認した習近平外交の「深意」

「石平(せきへい)のチャイナウォッチ」◆(2013/06/11) 米大統領から深刻な「宿題」を持ち帰った習主席の憂鬱(1/4)

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/10/30)【今週のキーワード 真壁昭夫】どうして世界の常識が通用しないのか? 不思議の国・中国が“普通の国”になる日

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2013/01/08) 中国の政治体制 “チェンジ”を迎えた中国とどう付き合うべきか? 新指導部の動きから見えてくる日中関係の未来図 ――朱 建栄・東洋学園大学人文学部教授に聞く

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2013/05/10) 世界の覇者になりたい中国の虎視眈々

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2013/05/13) 【マーシャル・ゴールドスミス/HBRブログ】中国で直面するリーダーシップの3つの課題

「地政学を英国で学ぶ」●2010年の(米にとって)リスク#1の国:中国

「地政学を英国で学ぶ」:中国絶賛論:その2

「地政学を英国で学ぶ」:中国絶賛論:その3

「地政学を英国で学ぶ」:胡錦濤の考えていること

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「地政学を英国で学ぶ」:ブレvsミア:まとめ

「地政学を英国で学ぶ」:離婚に向かう「チャイメリカ」

「地政学を英国で学ぶ」◆(2010.3.2)中国が北極海進出

「地政学を英国で学ぶ」◆(2010/04/29)中国の新しい戦略

「地政学を英国で学ぶ」◆(2010/05/02)中国のパワーの地理

「地政学を英国で学ぶ」◆(2010/05/24)ナイ先生の「中国の世紀はまだ来ない」論

「地政学を英国で学んだ」◆(2012/09/17)米中衝突の時代を予測?!ミアシャイマー本のCD発売!

「地政学を英国で学んだ」◆(2012/12/20)中国の“リアリスト”曰く,米中は衝突する!
「日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信」◆(2012/12/20)中国の「リアリスト」

「地政学を英国で学んだ」◆(2012/12/27)習近平の発言を「戦略の階層」で

「中南海ノ黄昏」:胡錦濤の重要講話@還暦国慶節

「中南海ノ黄昏」:メルケルには頭が上がらない中共

「中南海ノ黄昏」◆(2010年07月14日)非同盟政策を放棄し中ロ同盟を結ぶべきなのか

「東京の郊外より」◆(2012-07-01)AEIが対中国軍事戦略を
 前傾戦略(forward-leaning)という言葉を提唱し,海軍トップも影響を受けた可能性もある,AEIによる対中国軍事戦略レポートを紹介.
 中国兵器の射程距離や能力が拡大する中で,従来と異なる態勢への転換や戦力配置等を求めています

「東京の郊外より…」◆(2013-01-01) 小論「エアシーバトルの実行」に思う
> 米国防大学機関誌JFQのミニ論文,「エアシーバトルの実行」の紹介.
> 退役海軍大将が同コンセプト実行の課題を指摘し,早急な対処を望む内容.
> 国防省の準公式見解とも取れる「米国の中国脅威認識」

「東京の郊外より・・・」◆(2013-04-23) 米軍トップが習近平政権下で初訪中

「東京の郊外より・・・」◆(2013-05-03) ロシア分析の秀作:中露関係は頭打ちで複雑化

「東京の郊外より・・・」◆(2013-05-14) カーネギー財団:中国VS日米レポート

「東洋経済オンライン」◆(2013/03/08) 激変する中米情勢,そのカギを握る意外な国

「日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信」■(2012年9月27日) 米中は激突するのか?融和するのか?
>ミアシャイマー:
>中国は,アメリカが西半球を支配したのと同じやりかたで,アジアを支配しようとするだろう・・・
>徐々に強力になって行く中国は,アメリカがヨーロッパの大国を西半球から追い出したように,アメリカをアジアから追い出そうとする公算が高い.

「日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信」◆(2013/02/22) 日本と中国の戦略のアプローチの違い
中国は,何を目指すべきなのかというところから安全保障や大戦略を考える「トップダウン方式」
日本は,現場レベルから段々と視点を積み上げて捉えようとする「ボトムアップ方式」

「日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信」◆(2013/02/23) 日本と中国の戦略のアプローチの違い --その2
 中国が「大ホラ吹き」である理由

「日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信」◆(2013/03/01)  中国の「五次元」戦略

「日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信」◆(2013/03/08) 中国の戦略思想のアプローチ(まとめ)

「日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信」◆(2013/04/22) 現代の大戦略家,ルトワックの中国観とは?
> ルトワックによれば,中国は何か長期的な問題があると,
>それを解決するためにさらにわざと大きな危機を発生させることにより,
>無理やり相手を交渉のテーブルにつかせて解決しようとする

「フォーリン・アフェアーズ・ジャパン」◆(2005/08)中国の台頭を分析す
「北京は,中国の利益にならないことを他国が経済的悪影響を恐れてできなくなるような環境をつくりたいと考えており,これこそソフトパワーを意識した,中国の新しい対外影響力の形なのかもしれないする」

「平和のための軍事学基礎講座」■(2012/11/17)第318話 【産経正論】オバマ「日米VS.中国」堅持に期待
by 田久保忠衛

「リアリズムと防衛を学ぶ」◆(2010/05/20)「歴史のライム」 中国はドイツ帝国の轍を踏むか?

「リアリズムと防衛を学ぶ」◆(2010/11/16)オバマvs胡錦濤のラップ対決と,米中対立のかたち

●書籍

『アメリカの対中軍事戦略 エアシー・バトルの先にあるもの』(アーロン・フリードバーグ著,芙蓉書房出版,2016)

 こんにちは,エンリケです.

 先日の『情報史と女性』のなかで,上田篤盛さんが,
「中共海軍が目指す軍事力整備の柱は,米空母戦闘群に対するA2AD能力(接近阻止・領域拒否.潜水艦・水上艦・ミサイル戦力に加えて,目標探知などのC4ISRが主体)の構築にあるのではないか?」
という趣旨の指摘をされていました.

 ここで挙げられた「A2AD」について詳しく知りたいなら,この本がオススメです.
 アメリカは,中共が打ち出した「A2AD構想」の後手を引かされているとされます.
 この本は,そのあたりの背景事情や,A2ADに対してアメリカがいかなる軍事戦略で対処しようとしているか,そして今に至っているか?の経緯を整理整頓した本です.
 米の対支軍事戦略を
「長期的アプローチ」
「短期的アプローチ」
に整理解説し,米が支那に対して取りうる軍事戦略のすべてを包括的に紹介しています.

 わが安保,対支軍事に強い関心を持つ人なら,すべての方にオススメできる内容です.
 とくに専門家でなくても,興味をもって読み進められるはずです.

 とはいえ,触れれば血の出る裏情報満載という内容ではありませんし,
 中共軍の裏事情を知りたい,とか中南海やホワイトハウスの軍事戦略のホンネをつかみたい,という期待に応える内容ではありません.
 何よりオススメできるのは,米の対支軍事戦略形成の過程を追う中で,
・「A2AD戦略」の脅威は何なのか?
・後手に回っている米の対応のキモはどこにあるか?
・これから先,どういう選択肢のなかで米は対支軍事の世界で
動いていくと思われるのか?
・中共軍がどういうところに弱みを持っているのか?
が把握できる点です.

 逆に言えば,わが国が持つべき対支軍事戦略水準を見極めるうえで,政治家,主権者レベルは必読といっていいかもしれません.
・中共軍が現在進めている軍事戦略の詳細を把握しておきたい
・米の対支軍事戦略を俯瞰しておきたい
・上の2点を通じて,日々流れてくる各種情報の位置づけをより正確にしたい
・わが軍事戦略策定の養分にしたい
という方にとり,必読文献になるはずです.

・現退役軍人の方
・安保・防衛関連研究者の方
・一流企業の幹部,幹部候補生の方
・メディア関係者
・戦略オタク,軍事オタクの方
・代議士,代議士秘書など国政にかかわる方
・愛国の想いで日々の報道を吟味している方
に特にオススメします.

 現在,中共の「A2AD構想」に対抗する米の作戦構想は,「エアシーバトル構想」から「JAM─GC」への移行過程にあるそうです.

 ちなみに「JAM─GC」とは,
「Joint Concept for Access and Manueuver in the Global Commons: JAM-GC」
の略で,「国際公共財におけるアクセスと機動のための統合構想」というものです.
 エアシーバトルが海・空軍主役で,陸軍,海兵隊をわきに追いやる形になっているのと違い,「JAM─GC」では,陸軍海兵隊が取り込まれる作戦になる,という点に違いがあるそうですが,「アクセス回復のための限定的作戦構想」という作戦の性質に変化はなかろう,とされています.

追伸;

 芙蓉書房さんのこの種の本でうれしいのは,訳者の方の「解説」が最後についていることです.
 個人的には,「解説」を読めるだけで本を手に入れる意味があるとすら思っています.
 この本にも監訳者・平山さんの「解説」がついており,本当にわかりやすく,頭が整理でき,ためになります.
 これだけで一冊の本ができるくらいのぎっしり詰まった内容という印象です.
 たった15ページなんですけどね.
 ぜひ読んでください.

------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
2017.1.31

『地経学で読む爆走中国』(森田靖郎著,原書房):「たむたむ」

『中国 岐路に立つ経済大国 四半世紀の中国を見て』(中藤康俊著,大学教育出版,2012/10/30)

『中国戦略”悪”の教科書 『兵法三十六計』で読み解く対日工作』(上田篤盛著,並木書房,2016)

 わたしがメルマガで本を紹介するときいつもおもっていることは,
「この本を読むと,あなたはこれから先の時代生き残ってゆけるか?」
「この本を読むと,あなたの愛する人と祖国を守ることができるか?」
「この本を読むと,何もできない,何もしない病から脱出し,恐怖や危険を回避する行動をとれるか?」
「この本を読むと,あなたは快適に暮らせるか?」
「この本を読むと,あなたは一目置かれるようになるか?」
「この本を読むと,あなたは昨日より成長することができるか?」
です.

 現在,書店で並ぶ前に読めるサイン本予約キャンペーン中の,上田篤盛さんの新刊
『中国戦略”悪”の教科書 『兵法三十六計』で読み解く対日工作』
は,そのすべてを満たしてくれる本です.
⇒ http://okigunnji.com/url/140/

 支那の「目に見える動き」を,一般人でもきちんとつかめる,理解できるよう意識して作られた「インテリジェンス啓蒙書」です.

 ひとことでいうと,「現実に活かせる即効性」を持ったインテリジェンス啓蒙書です.
 この点で,類書やこれまでの上田さん本と一線を画しており,楽しみながら読むだけで,支那の危険性を敏感に感じ取れるようになります.

 目の前の「なにげない現実」のなかに潜む危険.
 ここに焦点が合うあなたを作ってくれる本は意外に少ないものですが,本著は,質量両面でそれが可能な本です.

 プロの秘戯を通して漏らすことなく一冊の中に封じ込められた「対支危機管理のためのインテリジェンス」をギュッと凝縮したエキスが,「ドクドク」とあなたのなかに熱く効率的に注がれ,自らの一部と化していきます.

 忙しいあなたでもこれなら安心ですね.

 上田さんの前2書は,妥協なく作られ,極めて質が高いいっぽう,読み応えがあって,自らの内なるインテリジェンスリテラシーの質・量を着実に高める本でした.

------------発行:おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2016.9.21

『「中国の戦争」に日本は絶対巻き込まれる』(平松茂雄著,徳間書店,2008.6)

『中国の対外援助』(下村恭民・大橋英夫編著,日本経済評論社,2013/01)

『中国は日本を奪い尽くす』(平松茂雄著,PHP研究所,2007.3)

『中国は日本を併合する』(平松茂雄著,講談社インターナショナル,2006.3)

『中国をめぐる安全保障』(村井友秀・阿部純一・浅野亮・安田淳編著,ミネルヴァ書房,2007.7)

 現代中国軍関連なら.
 武警関連が興味深い.
 内容・価格共に,このクラスの本なら公共財だ.
 図書館になければ堂々発注すべし.

――――――軍事板

『超限戦 21世紀の「新しい戦争」』(喬良&王湘穂著,共同通信社,2001/12)

 本書は1999年に中国の現役空軍大佐2名によって書かれ,解放軍文芸出版から刊行された「超限戦 グローバル化時代の戦争と戦法に対する想定」の邦訳である.
 出版当時の評価は低かったが,9.11テロ事件発生後,このテロを予言したとして再注目を集め,ラディンはこれを読んで実行したなどの憶測も流れた.
 ペンタゴンが英訳し,米海軍大学が教材に使いたいと申し出た(その後の経過は不明)など,軍事専門家の中でも注目されている.

 タイトルの超限戦とは,あらゆる境界・限界を超えて行われる戦争の意味で,もはや世界最強の地位を不動とした米国に対抗する中国の戦略方針とも見られる.
 全編に渡って膨大な軍事論文を引用しつつ,現代の戦争はどうあるべきかを模索している.

 前半は湾岸戦争以降に着目し,超限戦の代表者として,ラディン・麻原(オウム)・エスコバル,さらにジョージ・ソロスを挙げているのが面白い.
 後半からは内容の趣きが変わり,戦争に勝利する法則という章もでてくる.
 一歩間違えばトンデモ本の領域で,「黄金比率」や「偏正律」という言葉がでてくると,もはや軍事論文というより,思想・哲学書に近い内容だ.
 四書五経はもちろん,中国古来の故事も大量に登場し,訳者あとがきにあるように「さすが孫子を生んだ国」という感想も肯ける.

 私の感想では,超限戦とは,戦争のマキャベリズムと言い換えることができると思われ,元祖マキャベリスト韓非子を生んだ中国の面目躍如の一冊だろう.
 超限戦すなわち中国の国家戦略と見るのはいささか短絡だろうが,日本人としては恐るべし中国,あなどれないと思わざるを得ない.
 アルビン・トフラーをやや軍事専門家にした感じといった文章で,訳語に若干難があると思われるが読み易い.
 現代の戦争理論書としてオススメの一冊!

------------- PXZ :軍事板,2002/07/04
青文字:加筆改修部分

『日中再考』(古森義久著,産経新聞ニュースサービス,2001.6)書評――中国への片思いで人生を棒に振らない為に <塩津計

『米中新戦争 暴走する中国,封じ込めるアメリカ』(中嶋嶺雄&古森義久著,ビジネス社,2006.12)

 台灣問題,北京五輪,共産党大会,上海万博,北鮮をめぐる攻防.緊張感増す米・中の水面下の駆け引き・・・.
 2007年から世界情勢の大転換が始まる.
 激突の可能性は?
 そのとき日本はどうすべきかを論じる.

 中嶋嶺雄氏は国際教養大学理事長・学長で,東京外国語大学名誉教授.
 現代支那政治が専門です.

 古森氏についてはもはや説明する必要もないでしょう.
 産経新聞ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員で,わが国にほとんどいない国際ジャーナリストのひとりです.

――――――おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)12月18日

『名言で読み解く 中国の思想家』(湯浅邦弘編著,ミネルヴァ書房,2012/8/25)

『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』(クライブ・ハミルトン著,飛鳥新社,2020)

 和田です.

 オバマ時代までのアメリカは,
「中国を経済成長させれば,いずれ自由と民主主義国を目指し,世界が豊かになる国際秩序に中国が大いに協力する」
という前提で動いていました.

 しかし,トランプ時代になると,アメリカは中国潰すべし!という対中戦略に方向転換せざるをえなくなりました.
 リーマンショックを乗り越えて,
「China Up,US Down!」
だと傲慢になってきた中国に対して,マイケル・ピルズベリーの「チャイナ2049」やエドワード・ルトワックの「自滅する中国」や「チャイナ4.0」,ピーター・ナヴァロの「米中もし戦わば」など2010年以降,中国がアメリカの世界覇権に挑戦しているという警告本が続々と出版されました.

 そしてそこに追い打ちを書けた論文が,アメリカ以外の国々からも出版されたのです.
 アメリカの議会にも大いに影響を与えた論文…
 それが,オーストラリアのクライブ・ハミルトンの「サイレント・インベージョン(目に見えぬ侵略)」です.

 このハミルトンの論文では,開かれた自由主義国家に政治,経済,産業,学校教育,移民など,あらゆる角度から中国が浸透していく戦略で,文字通り「目に見えぬ侵略」をしていることを,実例の証拠をこれでもかと挙げて,中国を警戒せよと書き連ねています.
 加えて,同様の論調を取る論文も次々とフォーカスされるようになりました.
 オーストラリアのアレックス・ジョスキの論文や,ニュージーランドのアン=マリーブ・レイディの「マジック・ウェポン(魔法の武器)」.カナダのマイケル・マンソープの「クロウズ・オブ・パンダ(パンダの爪)」などです.
 さらに,クライブ・ハミルトンとマイケレ・オールバーグ共著で,主に欧州の事例を扱った「ヒデゥン・ハンド(隠された手)」も出版されました.

 近年,中国人民解放軍が着々と軍事力を増強していることはわかりやすいので注目されていますが,それだけではなく,中国にはこうした「目に見えぬ侵略」をするための「統一戦線工作部」をはじめとした各種工作機関があり,世界各国で暗躍しています.
 それらの起こした事件や手口をあらゆる角度から検証し,研究していかなくてはならない中,そのキッカケを作り,議論を切り拓いたのがクライブ・ハミルトンの『「サイレント・インベージョン』だったのです.

▼「目に見えぬ侵略」とクライブ・ハミルトン

 クライブ・ハミルトンClive Hamilton(1953年-)は,オーストラリア,チャールズ・スタート大学の学者であり,『目に見えない侵略』の著者です.
 もともとリベラリストであったハミルトン教授は,中国によるチベット人の人権弾圧問題に抗議するための合法で平和的なデモに参加した際,多数の中国人たち多数押し寄せ,彼らがデモ参加者のオーストラリア人に殴る・蹴る等の明らかな暴行を受け重を負わせる…という現場を目の当たりにしました.
 そして,現地の警察は成す術もなく無力でした.

 これがきっかけで,ハミルトン教授は,
オーストリア政府は中国共産党に何らかの「忖度」をしているのではないか?
オーストラリアは中国に支配されているのではないか?
との疑問を抱くようになり,偽善者ではなく,真のリベラリストとしての矜持を持って果敢に調査を開始しました.

 その結果,豪州に移住してきた中国系の富豪が,与野党の政治家や大学に多額の資金を提供したり,ビジネスマンが買収されていることなどの証拠を盛り込み,2018年に『サイレント・インベージョン』,そして,2020年にその欧州版として『ヒドゥンハンド』を出版しました.
 特に,『目に見えぬ侵略』を出版する際には,当初契約していた大手出社が,北京政府からの報復や,中国からのサイバー攻撃,在豪中国系市民からの訴訟を恐れ,突如,契約破棄を通告.出版を拒否されました.
 その後,他の2社にも断られた後に,ようやく出版にこぎつけました.

 実生活での嫌がらせ・脅迫,訴訟を起こされたりなど,厳しい戦いとなることを覚悟していたハミルトン教授でしたが,この本が出版されたことのインパクトは大きく,一躍,時の人となりました.

 このような中国の侵略行為について,マルコ・ルビオ議員らの働きかけにより,アメリカ議会での公聴会にも招聘されました.
 ハミルトン教授は,その場においても,中国共産党による豪州の政治や経済界への干渉は「目に見えぬ侵略」であり,「(既存の)法律には巧みに違反していない点も危険である」「誰もが参入できる自由主義社会に入り込み,民主主義を利用して民主主義を壊す侵略を違法化すべき」
と警鐘を鳴らしました.

 前述のハミルトン教授が参加した平和的なデモというのは,2008年の北京五輪の聖火ランナーリレーがオーストラリアに回って来たタイミングでのことでしたが,ロンドン,パリ,サンフランシスコなどはじめ,日本でも,長野にも来ました.
 ネットニュースなどによると,世界各地で国人学生らとチベット支持派の衝突があったようです.
 もちろん日本の長野でも同様の状況となり,YouTubeにその時の様子が映像としてUPされましたが,当時,中国共産党サイドが動員した学生らは数千人規模であり,チベット支持者に対して暴行を働き,これも,その当時はネット上で話題になりました.
 日本の大手メディアは,明らかに,意識的に中国側を擁護している…としか思えない報道をしています.
 そして,更に懸念されるのは,そうしたことを特に意識することもなく,前例や慣例にただ従って,事なかれ主義的な「日中友好」報道を繰り返しているのではないか….
 そして,ネット上では,長野の現場の状況について"暴徒"である中国側を日本の警察があたかも守っているかのように見える…といった投稿が非常に多かったということを,私は今でも記憶しています.

 さて,これを覚えておいてほしいのですが,あの当時の首相は…,そう,福田康夫です.

------------(和田 憲治 in 「THE STANDARD JOURNAL〜アメリカ通信〜」
http://www.realist.jp
2020/11/26

『隷属国家日本の岐路 今度は中国の天領になるのか?』(北野幸伯著,ダイヤモンド社,2008.9)

『「老子」を読む』を読み解く (2012/10/23)◆「国際インテリジェンス機密ファイル」

『我,国連でかく戦えり』(藤木俊一,ワニブックス,2020)

 和田です.

 テキサス親父日本事務局の藤木俊一さんの著書「我,国連でかく戦えり」に,「中共の侵略のステージ」を分類する面白い分析があったので紹介します.
 領土や民族,文化や民主主義,人権などを脅かされる危険レベルにおいて分類しているもので,日本はステージ1としている.
 ステージ2が台湾,ステージ3は香港だが,国家安全法により限りなくステージ4へ,新疆ウイグル自治区やチベット,南モンゴル,パキスタンのバローチスタンという場所はステージ4.
 日本でも北海道や沖縄はすでにステージ1.5だという.

 中共が国家安全法で,中国以外であっても犯罪者として取り締まると豪語するだけに,日々国際ニュースを読んでいて痛感しますが,もはや,この現代世界で中共から侵略されていない国や地域はない…と言っても決して過言ではありません.

 そこで,この藤木さんの鋭い視点に加えて,私なりに,この「侵略のステージ」にさらに他の国や地域を追加してみます.

 私は,「目に見えぬ侵略」訳者でもある奥山先生や,YouTuberのKAZUYA氏と世界各地の中共による"侵略地"を回りましたが,オーストラリア,カナダ,英国などはステージ1.5でしょう.
 オーストラリアではダーウィン港を中国に99年借款しています.
 米国と同盟国であり,米軍の船が入るその港が既に….

 中共の侵略の特徴の一つとして,中央政府のある首都ではなく,カネがない市町村などの地方自体,さらに,国家観や哲学などを持ち合わせていない"ボンクラな"地方政治家をピンポイントで狙い撃ちにします.
 そして,世界覇権国家アメリカすらその例外ではありません.

 クライブ・ハミルトン氏の『サイレント・インベージョン』に続く著書『hidden hand』によると,アイオワ州のマスカティーンが「習近平タウン(中国支持)と化しているそうです.
 これはアメリカ通信の放送でも取り上げました.
 この町は,ミシシッピ川のほとりの苦境にあえぐ大豆栽培の町であり,人口はたった二万四〇〇〇人です.
 一九八五年に若き日の習近平が,河北省の職員として貿易使節団を率いて,マスカティンを含むアイオワ州の農場や町を訪問したことが事の始まりです.
 そして,今ではアイオワ州は中国河北省の姉妹州の関係を結び,「古い友人」としてさらに広範なビジネスネットワークを築き,中国では「アイオワ・マフィア」と呼ばれているほどです.
 二〇一八年には,同州の元知事であるテリー・ブランスタッドが,新たな駐中アメリカ大使として任命されました.
 ブランスタッドは習近平がアイオワ州を訪問した際に知事を務めており,自身を習近平の「友人」であると考えていて,アイオワ州への中国の投資を増やす方法として,習近平の「一帯一路構想」を支持しています.

 アイオワ州は二〇一六年の大統領選挙で,民主党からトランプに鞍替えした中西部の農業州の一つですが,二〇一八年にトランプ政権が中国に仕掛けた「関税戦争」への報復措置の際にも,中国側は,アメリカ産の大豆の輸入を制限すればアイオワ州にも影響が出ること知っていました.
 この貿易紛争が勃発した当初,中国が地元のデモイン・レジスター紙に金を払ってチャイナ・デイリー紙の折り込み広告を掲載した理由は,まさにここにあるわけです.
 地方紙の広告を買って地方世論をコントロールし,都合のよい政治家を選挙で選ぶように誘導することを試みたのです.

 国際親善の美名のもと,その実,裏でカネをちらつかせば,いとも簡単に籠絡されて,政治家や官僚がなびくのは,どこの国や地方でも同じです.
 それを知っているからこそ,中国は,世界各地の地方自治体にその「隠された魔の手」を伸ばしているのです.

(和田 憲治)

THE STANDARD JOURNAL〜アメリカ通信〜
2020/12/2

 【質問】
 中国は新たな覇権国家なのか?

 【回答】
China: Hegemonic Threat or Just Another Sputnik?: William Pesek
By William Pesek May 30 (Bloomberg)
という記事によれば,中国脅威論は,一部の事象に注目し て全体像の把握を誤った,過大評価であるという.
 グローバル経済はゼロサム・ゲームではなく,また,中国経済には問題も数多くあるので,中国経済を先進国のレベルに近づける為には多くの努力が必要なのだという.

 以下抜粋要約.

------------------------------------------------------------------------
 アメリカがその昔,ソ連の脅威を大げさに騒ぎ立てたのと同じような状況が,中国の脅威論に見られる.
 13億人の中国の経済が,何時の日にかアメリカ経済を凌駕するのではないか,と言った中国経済の成長に関する脅威論が盛んである.

 ぺシクによれば,現在のアメリカに見られる中国脅威論は,その昔,1950年代にCIAがソ連のスプートニク打ち上げを過大評価したのと同じである.
 一部の事象に注目し てソ連の全体像の把握を誤ったヒステリアと言うべきものである.

 グローバル経済はゼロサム・ゲームではないので,中国の経済成長がアメリカ経済の脅威になるという考え方は間違っている.
 それに,急速な産業近代化の過程に有る中国は,全ての近代化過程に有る国と同じように問題を含んでおり,不良債権問題や株式市場のバブル,地方農村部の貧困,国内輸送機関の能力不足,環境や公害問題の悪 化等,枚挙にいとまがない.

 ワシントンの議論のなかにはIMFが中国経済の失速に対して効果的に働き得るのかどうかと言ったものもある.中国は$1.2Tの外貨準備を持つから,すぐにディフォールトを起こすような経済ではないのだが,中国経済を先進国のレベルに近づける為には多くの努力が必要である.
 そうしたことを含めて,中国の脅威というのは昔のスプートニクのようなものである.

ニュース極東板


 【質問】
 中国の国家戦略の基本軸は?

 【回答】
 川島真〔中国近代史専門家〕は,「近代外交史を支える基本軸」という言葉を使った上で,「3つある」と述べている.
 以下引用.

 第1は中国の統一・国権回収
 第2は侵略と抵抗,
 第3は文明国化と大国化である.
 これらは中国近代史の3ラインと共に,「中国」の村立基盤にも関係する.

 第1の中国統一・国権回収は,例えば敗戦した結果としての条約であれ,また,借款供与の担保として得られた利権であれ,本来,中国のものなのだから返されるべきだというものである.
 したがって,領土・国権が奪われる過程,それを取り戻す過程が,外交史の基軸の一つをなす.
 現在,回収すべき最後の対象は台湾である.
 これは,中国内部では統一問題として認知されるが,この問題の発端は,そもそも日清戦争の結果,台湾が日本領となったことに求められ,それだけに「台独」と日本統治の関係が意識される.

 第2の侵略と抵抗では,侵略に対していかに「抵抗」したか否かが問われる.
 この「踏絵」は,最後にその抵抗を完遂したのが中国共産党だ,という党の正当性にも繋がる.
 ここで抵抗せずに侵略者側に立った者は「漢奸」「売国奴」となり,政府・政権には「偽」が冠せられ,共産党内部の主流に「逆らった」勢力・人物と共に,否定的に描かれる.

 第3は,中国が国際社会の一員として条約を遵守し,国際標準を受け入れてきた過程を強調する,昨今重視される方向性である.
 このような国際強調の結果として,中国自身が国際的地位を向上していくという歴史を描く.

(from 「中央公論」, 2005/7, P.63)

 これはそのまま,基本戦略と読み替えることができるだろう.


 【質問 kérdés】
 米中は戦争になるの?

 【回答 válasz】
 米シンクタンク・ランド研究所,米中間が軍事衝突すればアメリカも損害を受けるが,中国はさらに壊滅的打撃を受けるという分析を行っています.

航空宇宙ビジネス短信・T2:: ★RANDが予測する米中戦の壊滅的結果

New Report Details Why a War between China and America Would be Catastrophic | The National Interest Blog

 一方,米Warrior誌は,中国軍は次第にアメリカに軍事面で追いついていくが,兵站や人材面等の弱点があるという分析を行っています.

航空宇宙ビジネス短信・T2:: ★中国はどこまで米軍事力に追いつているのか 軍事思考に注意

How China's Military Stacks Up to the U.S. - Warrior - Scout

 では,これ等の記事を踏まえて検証した結果を述べていきたいと思います.

 まず,中国軍のA2ADは脅威とは言えないというのが当方の見解です.
 中国軍の準中距離弾道ミサイルDF-21Cは,米海軍と海自のDDGから発射されるSM-3で迎撃が可能です.

 また,DF-21Cによる飽和攻撃も脅威となりえません.
 中国ロケット軍(旧第二砲兵)が保有しているDF21CのTEL(移動式ランチャー)は30基以下です.
 もちろんDF-21Cは固形燃料ですので発射後に迅速に再装填が可能で最低でも3〜5発のミサイルのストックをTELと共に移動し,作戦行動に出ていると言われてますがそれでも90〜150発程度ですので
 これなら日米両海軍の現行のDDGの戦力でも対応できる量と言えます.

中国は世界で最も弾道ミサイル開発に積極的な国 - 海国防衛ジャーナル

 また,空自のPAC-3や米陸軍のPAC-3,THAADも当然嘉手納や佐世保,横田,横須賀に展開する事が予想されます.
 空自もTHAADの導入を検討していますので,準中距離弾道ミサイルの脅威はあまり感じられません.

 さらに,巡航ミサイルもあまり脅威とは言えません.
 DH-10は確かに1500〜2000㎞の射程を持つと言われていますが,3連装TELは45〜55基.空軍のH-6K(旧ソ連Tu-16の中国ライセンス生産版)を82機程度.
 このうちDH-10の運用が可能なH-6K(6発搭載)やH-6M(4発搭載)は何機あるのかは定かではありませんが,H-6Kを41機,H-6Mを21機と仮定して,発射できる巡航ミサイルの数は単純計算でいくと501発.
 米空軍や空自のF-15系統ならば3個飛行隊あれば十分対応出来ます.
 嘉手納,那覇,築城または新田原のF-15部隊を哨戒させ,米空軍のE-3A,空自のE-767やE-2Cで探知しデータリンクでF-15部隊に情報を共有させた後で迎撃すれば無力化出来ます.

中国の主要な巡航ミサイル戦力 - 海国防衛ジャーナル

 なお,北朝鮮のミサイル実験によりミサイル破壊措置命令が常時発令されている事から,今後は巡航ミサイルの破壊をも想定し,空自の要撃機には常時AAMが搭載される事が予想されます.

破壊措置命令,政府が常態化 北朝鮮ミサイル:朝日新聞デジタル

 もう一つ気になるのが,GPS衛星や通信衛星の衛星攻撃兵器(ASAT)による破壊も想定されることです.
 中国は2008年にDF-31を改造した衛星攻撃ミサイルで衛星の破壊に成功していますが,衛星攻撃は実際にはかなり難しく,2008年の成功もあらかじめ命中するように設定されていた可能性が高く,あまり有効な手段とは言えません.
 実際,一昨年中国は衛星破壊実験を行いましたが,失敗に終わっています.
 また,2008年の衛星破壊実験では大量のスペースデブリが発生し,国際宇宙ステーションに衝突しそうになったり,ロシアの衛星に衝突し破損させる事故が起きており,これによる中国への国際世論の反発を考えると,衛星破壊は行わないと見ています.

中国がASAT(衛星攻撃兵器)実験をするという噂 - 海国防衛ジャーナル

中国が衛星破壊実験,ミサイル命中せず…昨年夏 : 大艦巨砲主義!

 A2ADで残る懸念サイバー攻撃でしょうか.
 この点については当方の専門外ですのでコメントは控えさせていただきます.
 どうかご了承下さい.

 また,兵站面で問題がある以上,渡海侵攻能力があるとは思えません.
 詳細は,後述しますがここでは述べない事にします(※).

 ただ,ランド研究所ではA2ADに対抗するために潜水艦とミサイルを強化すべきと提案していますが,我が国についてはそれはすべきではないと考えます.
 先の大戦とその前の日中戦争では,上海事変や重慶爆撃による旧日本陸海軍の空爆で中国軍のみならず民間人をもコラテラルダメージで死傷させた経緯もある上に,中国ロケット軍のミサイルランチャーは移動式TELですので効果があるかどうかは疑問があります.
 アメリカ軍による中国への報復攻撃と日本による報復攻撃とでは,中国人の受け止め方が違うという点を理解する必要があります.
 また,東シナ海で戦争が勃発すれば,中国経済を支える沿岸部の工業地帯に壊滅的なダメージを与えてしまう事になります.

 そして結論としては米中(そして日中)は戦争になりえないというのが当方の見解です.
 ただ,最近の南シナ海情勢でもわかるように,第二次冷戦が始まっているという当方のマイミクさんの意見には同意です.
 しかし米ソ冷戦のおかげで第三次世界大戦は起こる事もありませんでした.
 実際第三次世界大戦になりそうになったと言われるキューバ危機も,結果的にはソ連が折れて回避された事実を考えると冷戦も必要なのかも知れません.
 冷戦時代には旧ユーゴ紛争やナゴルノ・カラバフ紛争,ISILのような「国土」まで持つテロ組織も存在しえなかった事実もありますからね.


※ 中国軍による渡海侵攻能力については6年前の「着上陸論争」で当方は,内容にたいする真っ当な反論されましたが,議論が進むと唐突に不毛なトラブルに巻き込まれました.
 当方はそのような不毛なトラブルに対応する程暇でもありませんので,今回詳細は割愛させて頂きます.
 どうかご了承下さい.

ねらっずーり in mixi, 2016年08月12日
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 米中は戦略的に常に対立していると言えるか?

 【回答】
 必ずしもそうとは言えない.
 なぜならば,
China Lends A Hand
手を貸す中国

By Richard Holbrooke Thursday, June 28, 2007; Page A25

という,元アジア太平洋担当国務次官補(1977-81)でベテラン外交官の論客であるリチャード・ホルブルックの論文によれば,皆が気がついていないが,舞台裏で米中の外交協力がうまく動いていると言う.
 彼が挙げる事例は,要約すれば以下の通り.

[quote]

1)米中協力の実例No1:北朝鮮

 北朝鮮が6者合合意に復帰して次回会議に参加するといっており,今のところ2.13プロセスが再開した.
 ヒル国務次官補のみが脚光を浴びているが,北朝鮮をして態度の変更を行なわしめたのは中国である.
 米中外交協力が上手く動いている例で,中国は北朝鮮の核実験以降,朝鮮半島の非核化に前向きで北朝鮮を管理するモードになっている.

2)米中協力の実例No2:スーダン,ダルフール問題

 スーダンのダルフール問題で,中国はダルフール問題特別大使を任命し,スーダンに国連PKFを受け入れるように説得した.
 先週スーダンは国連PKFの受け入れに合意したといっている.
 これもアメリカの中国との協調外交の一例である.

3)米中協力の実例No3:ビルマとの対話

 ビルマ(ミャンマー)の軍事政権代表とアメリカの外交代表が北京で始めて対話する事が決まった.
 中国は表立ってこの問題に顔を見せていないが,中国の仲介抜きでこういう事が起こるはずは無い.
[/quote]

 その上で彼は,中国とアメリカの間には,多くの点で意見や方針の一致しないものがあるのだが,それでも相互のメリットの為に是々非々で協力しあえるものはあると述べている.
 中国とアメリカの関係が急に変わったりとか,そういう事ではないが,協力し合える範囲を広げる事は相互にとって大変有益であるという.北韓で協力できるのであれば,それはイランに対 しても可能ではないか?というように.

 ホルブロックの解説は,なかなか面白くて,彼の説を全面的に支持するとか,しないとかいう事とは別に,考え方のヒントになるところが.

 北朝鮮は核施設封鎖やIAEA検査官受け入れで柔軟な態度を見せていながら,その一方でミサイル発射といった強硬なことをやる.
 普通の合理的思考では説明しにくいのだけれど,中国の圧力による押さえつけと,それに反発する勢力がある,と考えると,説明のシナリオが作りやすいかも.
 また,ヒル国務次官補の態度も,これによってある程度説明可能になるような.

ニュース極東板


 【質問】
 アメリカの対中戦略は,どんなところが問題なのか?

 【回答】
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/05/18/AR2007051801640.html
の,山葵の効いた評論によれば,中国へのエンゲージメントが中国の民主化を促し開放につながるという,国務省の標準解答)は誤っている,と,その著者は主張している.
 自由と人権,自由市場と民主主義を掲げるアメリカは世界中で非難され,人権無視で経済成長を続ける中国が世界で賞賛されている,と皮肉をこめた書き方を彼はしている.

 以下引用.

We need to get beyond the arid framework of seeing every policy dispute involving China as a choice between "engagement" and "isolation." Those loaded words set up a false selection and have little meaning anymore, if they ever did. With the third-biggest trading economy in the world, China is already engaged.
 中国を「エンゲージメント」と「孤立化」と言う二つの政策で見るフレームから離れるべきで,その言葉の使い方は誤った選択を与える.
 世界第3位の通商国である中国は既にエンゲージしている.

We also need to get beyond the notion that our trade, investment and interaction with China are going to transform its political system. Any serious policy must be based on China as it is, not on our mistaken assumption that prosperity and liberty inevitably go hand in hand. Trade and investment should be evaluated for their economic costs and benefits to the United States, not for their political impact on China.
 我々は中国との通商,投資等の関わり方を見直すべきで,それが中国の政治的変化を与えるという考えから離れるべきだ.
 経済的繁栄と自由が並行するという誤った考え方ではなく,中国をありのままに捉え,アメリカの国益によって政策を決めるべきであり,中国への政治的影響によって判断すべきではない.

ニュース極東板


 【質問】
 G.W.ブッシュ政権の対中姿勢は変化しつつあるか? 

 【回答】
 古森義久によれば,対中硬化の兆しが見られるという.
 以下引用.

 米中関係は二〇〇一年九月の同時テロ以降、中国が米国の対テロ戦争に協力を約したことを中心に,摩擦や衝突の少ない状態が続いてきた。
 しかし,中国が現実には米国の利益に反する多様な動きを強めてきたという認識が,2期目のブッシュ政権の対中政策を変える原因になりつつあるという。

 その兆しとしてはまず,ブッシュ政権にきわめて近い下院国際委員長のヘンリー・ハイド議員(共和党)による2004/12/4の香港での演説があげられる。
 同議員は中国の急激な経済拡張が軍事力増強、政治影響力拡大とあいまって,東アジアから全世界にいたるまで米国の利益を損なう形で混乱を生み始めたとして、この中国の動きを
「第二次大戦以後の米国主導の国際システムへの挑戦」
と特徴づけた。
 その上で同議員は、中国の最近の政策には懸念を生む要素が多いとして,中国が
(1)北朝鮮の核兵器開発の阻止に真剣には取り組んでいない
(2)イランの核兵器開発でも米国の阻止を妨げる動きをとっている
(3)パキスタンの核開発をも支援した
(4)自国のこの種の行動の国際的な影響への配慮が不十分である
ことなどを指摘した。
 ハイド議員はこの演説で,中国の独裁や弾圧までを非難したため,中国政府は三日、「中国への不当な悪意の攻撃」(香港駐在の外務省当局者)として激しく反発した。

 一方、同様にブッシュ政権に近いヘリテージ財団のジョン・タシック研究員も、一日の米紙への寄稿論文で、「米国のアジア政策の新たな出発」と題し、第二期ブッシュ政権はアジアを重視し、とくに中国のアジアでの影響力拡大に強固な姿勢で応じるようになるとの予測を明らかにした。

 同論文は中国が最近、経済力を利用して東南アジア諸国などに,米国との関係を薄めて中国に傾斜させることを目的とする多角的な働きかけを進めるようになったと指摘、その一例としてフィリピンへの接近で中国がフィリピンとの情報収集協力協定を結ぶようになったとし、フィリピンの米国からの離反に示されるようなアジアからの米国の撤退を図っていると警告している。
 同論文は,これまで東南アジア諸国が中国に傾斜したのは,ブッシュ政権のパウエル国務長官が中国の拡張志向に何の反対の意も言明しなかったことも大きいとする一方、後任のライス氏は,
「アジアでの米国の伝統的な主導的地位を堅持し、それを脅かす中国の動きには強固に対応する」
という新政策をとると予測した。
 同論文はその根拠の一つとして、ライス氏が四年前に発表した外交政策論文での
「中国は現状維持のパワーではなく、アジア太平洋地域での米国の役割に憤慨している」
という記述を紹介した。

(from 産経新聞,2004/12/5)

 【参照】
Geo-Strategic Implications of a Rising China


 【質問 kérdés】
 『オフショア・コントロール』って何?

 【回答 válasz】
 平成25年12月15日の読売新聞のコラム『政治の現場 日米同盟と沖縄⑩』の記事で,米軍ではエア・シー・バトル戦略の実現が難しいことから,代わりにオフショア・コントロール戦略が提唱されているのを報じました.

------------
読売新聞P4 『政治の現場 日米同盟と沖縄⑩』

(以下引用)

 一方米軍は,中国軍のミサイルや戦闘機の到達範囲外から中国の軍事拠点を攻撃する戦略「ジョイント・エア・シー・バトル(ASB)」を検討してきた.
 しかし国防費削減で,高性能兵器開発など多額の費用がかかるASBは困難視されている.
 これに代わって提唱されているのが「オフショア・コントロール(Offshore Control)だ.
 有事の際,同盟国と協力して中国を海上封鎖する.

(引用終了)
------------

 オフショア・コントロール(OC)とは米国防大学戦略研究センターの上級リサーチ・フェローのコロネル・ハリス氏が米海軍協会の機関誌『Proceedings』に寄稿したエッセイです.
 ASBはUCLASSなどステルス型無人攻撃機などの開発が必要になり,ただでさえ予算強制削減で四苦八苦している米軍には新たな負担になる上に,中国本土への奇襲攻撃は,中国側に『最悪の選択』ともいえる報復攻撃を招きかねず,良くも悪くも世界経済の支柱となっている中国経済に打撃を与える事で,我が国も含めた世界経済への打撃にも繋がります.

 OCは攻撃を主軸とするASBとは違い,同盟国と協力して有事には同盟国の防衛と中国の海上封鎖による経済的な圧力をかけるというものです.

アメリカの「オフショア・コントロール」戦略:海国防衛ジャーナル

コラム046 | 海上自衛隊幹部学校

 海自幹部学校のコラムと海国防衛ジャーナルの記事から一部抜粋して論文を引用してみました.

 まずは海国防衛ジャーナルからの引用.

--------------
・OCは,同盟国を守りつつ,中国のエネルギー・貿易ルートを締め付ける能力をパートナーに示すものである.

・中国のA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略に対抗しつつ,防衛にかかるリソースの削減を可能にする.

・OCは,同盟国が中国に攻撃された時にだけ米軍が保護する.
 
・この際,米軍も同盟国も中国本土へ侵入しない.

・この方法は現在の能力でも充分に実行可能であり,将来,高価な侵攻兵器を大量に買いそろえる必要もない.

・同盟国領内で海・空防衛力を統合して戦い,中国には遠距離に投射することを強制し,その地理的優位を無効化する.
--------------

 続いて海自幹部学校のコラムから一部引用.

--------------
 作戦上,オフショア・コントロールは3つの同心円からなる.
 第1に,第1列島線内の海洋使用の拒否.
 第2に,第1列島線上の海・空領域の防衛.
 そして第3に,第1列島線外側の海・空領域の支配.
 これにより,核エスカレーションの可能性は縮小し,コストを削減し,戦争の終結を容易にすることができる.

 第1の拒否の部分は,主として攻撃型潜水艦,機雷及び限定的な航空戦力による.
 第2の防衛の部分は,A2/AD概念によりあらゆるアセットを投入する.
 中国により長距離のレンジで戦わせることにより,中国の地理的優位をひっくり返すことができる.そこでは同盟国の陸上配備型の防空と対機雷戦能力を含めた短距離海上防衛に主として依存する.そして,第3の支配の部分は,中国のアセットの行動範囲外で戦われ,中国の主要船舶を阻止するため,空海陸兵力と借上民間プラットフォームの組み合わせで行われる.
--------------

 纏めると,OCでは同盟国が中国に攻撃された場合のみ軍事協力し,中国本土への攻撃は行わず,中国にはA2AD戦略に基づく弾道ミサイルや巡航ミサイルによる攻撃を行わせてこれを迎撃し,その一方で機雷や攻撃型潜水艦,限定的な航空戦力で東シナ海を海上封鎖するというものです.
 我が国を含めた同盟国には,陸上配備型の防空(つまり空自の要撃機部隊とSAM部隊)と対機雷戦能力を含めた短距離海上防衛(護衛艦と掃海部隊)の増強を提唱しています.

 ちなみにこのOCでは,同盟国が海上封鎖に参加する事はあまり奨励されておらず,同盟国には防空と海上防衛(特に対機雷戦)が奨励されています
 実際A2ADは単なる陽動作戦,心理作戦に過ぎませんが,やはりミサイル防衛(BMD)などの防空力による米軍と同盟国軍(我が国の場合は自衛隊)の基地・駐屯地防衛に徹するべきという事でしょうか.

 さて,自衛隊にOCにおける陸上配備の防空力と短距離海上防衛力はあるかと言えば,これは言うまでもないでしょう.
[中略]
 海自だけでも中国海軍の水上戦闘艦に匹敵し,さらにイージスシステムや対潜作戦能力に差がある以上,短距離海上防衛などそれこそ朝飯前でしょう.
 米海軍だけでも海上封鎖は可能なぐらいの艦艇を保有しています.
 米海軍だけで経済封鎖が可能なら,わざわざ海自が出る事もないでしょう.
(海自は中国に対する海上封鎖に参加すべきてはないと当方は愚考します.
 理由はわざわざ書くまでもないでしょう.)

 また,中国海軍/空軍には固定翼哨戒機が4機しか存在せず,新型哨戒機の高新6号も実戦配備がようやく始まったばかりです.
 海自だけでもP-3Cを75機保有し,24時間体制で東シナ海を哨戒飛行しています.

 空自も同様で,前にも書きましたが,中国空軍はSu-27ファミリーの機体を550機保有していますが,稼働率は60%レベル,飛行時間も最高でも150時間程度です.
 しかし空自はF-15JとF-2を合わせても280機,稼働率も90%以上で,飛行時間も240時間とスキルでは中国空軍を上回っていますし,要撃機数も60%程度の稼働率ではあまり変わりありません.
 さらに中国空軍のAWACS・空警2000やAEW・空警200は,空自が保有するAWACS・E-767やE-2Cに比べても索敵距離は劣りますし,E-767やE-2Cのようにリアルタイムで索敵した相手を要撃機やSAM部隊に戦術データリンク出来る,JADGEのような自動指揮管制システムが存在しません.

 まぁ,沖縄や先島諸島なら空戦の可能性はないので,考えられるとすれば準中距離弾道ミサイルや巡航ミサイルでの攻撃,つまりA2AD(という名の陽動作戦)になりますが,BMDでも海自のイージス護衛艦のSM-3は何度も迎撃テストに成功しており,空自のPAC-3も弾道ミサイルの迎撃テストに失敗した事はありません.
 さらに将来はTHAADも配備されるので,弾道ミサイルに対する壁は厚くなります.
 また,巡航ミサイルも上記のようにAWACSとAEWで索敵し,NATOと比べてもかなり長い飛行時間と日米共同訓練や対領空侵犯措置で身に付いたスキルを持つ空自の要撃機のパイロットなら,簡単に迎撃されるでしょう.
 迎撃し漏らしても,やはり日米共同訓練で鍛え上げられたPAC-3部隊に迎撃されるだけです.
 何しろ自衛隊は旧ソ連からのKh-55巡航ミサイルの迎撃に力を入れ,1980年代後半には巡航ミサイル迎撃体制を完成させていたのですから.

ねらっずーり in mixi, 2013年12月23日
青文字:加筆改修部分

 去年の暮れに書いた『オフショア・コントロール』(OC)に関する記事の続きです.
 当方は現状でもOCは可能だと書きましたが,その一方でいくつかの改善点があると指摘しました.その改善点を指摘してみたいと思います.

■空自の飛行時間を冷戦時代までに伸ばし,ミサイル迎撃訓練を奨励する

ドッグファイトの科学 知られざる空中戦闘機動の秘密 (サイエンス・アイ新書)
 元空自パイロットだった赤塚聡氏の著書『ドッグファイトの科学』178ページによれば,空自も1980年代後半までに欧米並みの年間飛行時間まで伸ばしましたが,防衛費削減で訓練時間が削減されたそうです.
 とはいえ,現状でも240時間と,NATOに比べればかなり長時間の飛行時間という事ですので,1980年代後半は300時間はあったと思います.
 そこで現状の240時間から300時間までに戻し,周辺国空軍との差をつけるべきでしょう.

 もちろん飛行時間を伸ばすのなら,AWACSやAEWと連動した航空作戦の訓練も増やすべきです.
 また,A2AD(という名の心理作戦)に対抗するため,XASM-3の調達で将来は破棄が予想されるASM-1を用いた巡航ミサイル迎撃訓練を,硫黄島近辺で行うようにするべきでしょう.
 ロシア空軍などはA-50AWACSと連動したMiG31による巡航ミサイル迎撃訓練が行われています.
 弾道ミサイルに関する訓練は日本国内では難しいので,アメリカとの協議が必要になりますが,PAC-3(と将来導入が予定されているTHAAD)の訓練部隊を米本土に配備し,ATACMSによる弾道ミサイル迎撃訓練を励行すべきでしょう.

■対機雷戦部隊の投資の強化

 オフショア・コントロールでは同盟国の対機雷戦部隊の投資が奨励されていますが,現在の海自の掃海部隊の投資をさらに強化すべきでしょう.
 海自の掃海部隊は1980年代まで世界レベルと言われていましたが,1991年のペルシャ湾派遣では,諸外国に比べて特に掃討分野において装備が大きく劣る事が証明されてしまいました.
 そこですがしま型掃海艇が導入され,最近では水中航走式機雷掃討具『S-10・1型』を搭載したひらしま型掃海艇や,その後継にあたるえのしま型掃海艇が配備されています.

水中航走式機雷掃討具(S-10・1型):三菱重工

 ただ,海自も人員不足に悩まされており,既存のリソースを活用しなければなりません.
 ですので地方隊の掃海部隊も統合して,掃海部隊の増強すべきかと思います.
 実際10年前から海自では地方隊の廃止が論議されていますが,なかなか進んでいないので,ここは10年前の提案を実現すべきでしょう.
 地方隊の任務は海保でも出来る任務なのですから.

Hi-Low-Mix: 海自,地方隊廃止へ・護衛艦の効率運用目指す

 このOCは経済的に封鎖するという点では,戦争の終わらせ方が難しいとも言えますが,逆に言うと紛争を起こしにくくさせるという抑止力という点では,かなり効率の高い軍事戦略と言えます.
 エア・シー・バトル(ASB)のように紛争国本土への攻撃を想定した場合は,かえって戦争を終わらせる可能性が低く,しかも高価なUCAVの開発が必要になるなど問題点が多くあります.

 その意味からすればOCが一番無難,かつ紛争の抑止になりえる戦略と言えます.
 ここで大事なのは,紛争や戦争を起こさせない事なのです.
 まぁ,現状で我が国とOCの対象である中国との戦争が発生する可能性は,0に近いと言えますけどね.

ねらっずーり in mixi, 2014年01月05日
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 中国の西域経営の基本戦略は?

 【回答】
 古来より,北方の遊牧勢力と南方のオアシス諸国との密接な交渉の間に,東方から中国政府が,その軍事力を動員して無理に市場や交通路の支配を目差して割り込み,中国に活動を集中させようとするものであるという.
 以下引用.

 漢朝はまず河西に出兵してこの通廊を占領し,酒泉を基地化したが,やがて大宛国への遠征を起こして,このとき基地を敦煌に移した.
 敦煌はターリム盆地にとって,その最東端を占める一オアシスである.だから,タクラマカン砂漠の北を通る道を,また南道もこの町に会し,河西通廊を経て中国に向かう.
 この重要なオアシスを基地化したことは,中国が初めて西域に玄関口を開いたことを意味する.
 漢朝の西域貿易が急速に盛大になったことも,また,漢朝が河西に植民を送り込んで,この通廊の経営に努力したことも当然であった.

 はじめ西域の南北道は,ロブ・ノールの東岸で分岐していた.
 だから漢朝は,この湖の南岸や北岸に,また北道が湖北から天山山脈の南麓に達した部分などに屯田兵を配置した.
 遂には,屯田兵を統領する西域都護を烏塁城(今のチャーディル)に駐在させた.紀元前60年の西域都護府の設置である.
 その主要な目的は,オアシス諸国を常に中国に結びつけておき,中国人の隊商を保護することにあり,シルクロードと市場の確保に他ならなかった.
 また,東部天山を越えて南下する匈奴の勢力を,この辺りで断ち切ることも目的とされた.
 中国史を彩る西域経営の始めである.

 ここで特に留意しておかねばならないのは,この現象が従来説かれているような歴史の自然の流れではなく,北方の遊牧勢力と南方のオアシス諸国との密接な交渉の間に,東方から中国政府が,その軍事力を動員して無理に市場や交通路の支配を目差して割り込んだ形をとっていることである.
 シルクロードは既に東トルキスタン諸オアシスの隊商活動によって中国に結びついていたのであるが,それを政治力で支持して中国に活動を集中させようととしたのが西域経営の主旨であった.
 中国歴代政府の西域経営は,全てこのような軍事力の行使と見てよい.

山と渓谷社編「シルクロード1 中国・ソ連・アフガニスタン」(山と渓谷社,1975/6/1),p.94

 現代でも同じ戦略かどうかは未確認だが,私見では基本的には変化ないように思える.


 【質問】
 中国の対東南アジア戦略は?

 【回答】
 資源の安定確保という見方と,覇権を唱えようとしているという見方とがある.

 前者の見方は次のようなものである.

 開放経済で石油需要が高まり,国産石油で賄い切れぬ中国は,中東からのタンカー・ルート確保に強い関心を見せている.

 76-79年にカンボジアを支配した残酷なポル・ポト政権を,中国が積極支援した背景には,カンボジア南端のシアヌークビル港を拠点にして,インド洋での中国船舶の航路を確保する意図もあったと見ることができる.

 ポル・ポト政権崩壊後,すかさず中国はミャンマーに接近,鉄道,港,端などのインフラ整備,さらに南に連なるアマンダン諸島の港湾建設に協力してきた.
 ミャンマーの陸路を使えば,マラッカ海峡経由を最大3000kmほど短縮して,インド洋と中国雲南省を結ぶことができる.
 増強中の中国海軍がミャンマーの港を拠点に,中国船舶保護に当たることも想定される.

(浅井信雄「アジア情勢を読む地図」,新潮文庫,2001/12/1,102-103,抜粋要約)

 中でもミャンマーは,インドと中国が影響力を競い合っているという.
 以下引用.

ミャンマーに急接近天然ガスなど確保狙う中国・インド

 【シンガポール9日勝木晃之郎】インドと中国が天然ガスなど豊富な天然資源を持つミャンマーに接近している.
 九日にはインドのカラム大統領がインドの大統領としては初めてミャンマーを訪れ,軍政最高決定機関・国家平和発展評議会(SPDC)のタン・シュエ議長と会談し,エネルギー分野などでの協力拡大を確認した.
 中国も投資拡大を図っており,人権侵害で国際社会から孤立するミャンマーにとって国境を接する両大国の接近は渡りに船だ.
 カラム大統領はタン議長との会談で,ミャンマー沖で産出する天然ガスをバングラデシュ経由でインドに送るパイプライン計画の推進や,両国を結ぶ船舶航路の再開などを協議した.
 すでにインドの国営石油会社が韓国企業と組んで探査活動を進めており,ミャンマー沖で九百億立方メートル近い埋蔵量を持つ天然ガス田が確認されている.

 インドと並び,ミャンマーの資源獲得に熱心なのが中国だ.
 中国の温家宝首相は二月半ば,訪中したミャンマーのソー・ウィン首相と原油・天然ガスや鉱物資源の開発,中国企業の投資促進などに合意.
 中国はミャンマーから中国雲南省を結ぶ内陸の原油パイプラインの敷設を進める計画で,ミャンマーで産出する原油に加え,中東産の原油をマラッカ海峡を通らずに輸送する構想も進める見通しだ.

 ミャンマーは民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんの自宅軟禁で国際社会から孤立し,西側諸国からの投資や援助が滞っているだけに,経済大国として浮上してきたインドや中国との関係強化は欠かせない.
 特にインドは先に訪印したブッシュ米大統領との間でミャンマーの人権侵害を非難する声明を出しながら,急増する国内エネルギー需要への対応から,経済面で軍政との関係を強化する「政経分離」の姿勢を強めている.

北海道新聞,2006/03/10/01:23

 一方,そのような,「資源の安定確保を図ろうとするもの」と見る見方に疑問を投げかける見解もある.

 本当の意図は,もっと地政学的・権力的なものではないだろうか.
 それというのは問題のアジア権益には地元消費用として地域経済に深く織り込まれているものが多く,おいそれと対中供給源に転用しづらいものが少なくないからである.

 例えばタイ.
 〔中国が買収しようとしている〕ユノカルは,タイ湾上に100基のプラットホームを構え盛んに天然ガスを掘り出しているものの,出てきたガスの大半はタイへ送られ,同国の発電を支えている.
 実際,同社がアジアで掘り出す石油と天然ガスには地元の直接消費用が多く,そのせいで売り値は国際市況価格をそのまま反映したものになりにくい.
 それがユノカルの低利益率につながっているとの見立てがあるほどである.

 そんな権益を手に入れて,中国は資源確保に役立てることができたと言えるのだろうか.
 もし言えるのだとすると,現有鉱区以外の採鉱がよほど成果を上げるのでない限り,タイやインドネシアはいざという時,自分に回るはずのガスや石油が中国へ持っていかれる事態を見越しておかねばならないことになる.

▼海上プラットホームが基地になる日?

 すなわちユノカルを手中に収めた中国は,これら諸国に対して無言の圧力をかけられ,常日頃にらみを利かせる力を手に入れられることになる.
 ユノカルを買うとは,中国にとっては覇権の装置を買うことを意味する.

 またユノカルは,西側による制裁下にあるミャンマーで操業を続けた数少ない米国企業の1つだった.
 これが中国の手中に入ると,ミャンマーを衛星国化しようとしてきた中国にとっては十分の相乗効果を見込めることともなろう.

 そして海上プラットホームに必ずあるのがヘリポートである.
 東シナ海からインドネシア,タイ,ミャンマーにかけてユノカルが持つプラットホームが中国の手中に入り,今後さらに増えていくならば,中国人民解放軍ヘリの寄港地がシーレーンに沿って100の単位で散らばることを意味する.
 これは米第七艦隊が提供し続けてきたシーレーンの守りに対し少なからぬ挑戦を意味しよう.
 それら洋上のヘリポートが構造材の補強によって垂直離着陸型ジェット機の基地にも転用し得ることは,平松茂雄・杏林大学教授がつとに指摘するところだ.

(谷口 智彦=編集委員室主任編集委員&ブルッキングズ研究所CNAPSフェロー
「中国海洋石油,ユノカル買収に向かった深層」

 しかし,米石油大手シェブロンが,180億ドルでユノカルを買収.中国による買収は阻止された.(産経新聞,2005/4/4)

 ……と思いきや,中国は買収額を引き上げて再度参戦.

 ●中国の石油大手「中国海洋石油」が,米国の石油会社「ユノカル」買収に手 を上げています.
 ユノカルについては,米石油会社「シェブロン」が買収する ことで基本合意していますが,買収額を引き上げて参入してきたものです.
 →2005/6/22日にユノカルが「買収提案を受けた」と明らかにしたものです.
 この種のビッグ・ビジネスに関する中国の企業活動は,共産党の指導下にありますので,単なる私企業間の買収合戦と見るのは甘すぎると思います.
 資源確保 のためになりふり構わない中国の姿勢を強く感じます.
 エネルギー事情は逼迫の度を高めているようです.

(おきらく軍事研究会)

 けれど最後に2005/8/2,米石油大手ユノカル の買収を断念.
 今年初めに買収意向を決めていましたが,迅速な対応を取ることなく,共産党と買付資金の手当の相談をしているうちに,石油大手シェブロンに割り込まれました.
 より高い値段で買収する意向を示したシェブロ ンとの間で買収合戦がはじまりましたが,7月頃より米議会から
「エネルギー 安保上,CNOOCによる買収には問題がある」
との反発が強くなってきました.
 ここでCNOOCは,ユノカルに対し「米議会の批判を抑えるよう」求めましたが, この中華的態度がユノカルの経営陣を激怒させ,7/19に行なわれた取締役会で ユノカルがシェブロン支持を決定したものです.

 この件については,当初より民間企業によるM&Aと主張していた中共ですが, お里というものは隠しても隠し切れないものです.

(おきらく軍事研究会)

▼ 【追記】
 2010/12/06付, boston.comによれば,米国も,ミャンマーとカンボジアが中国の属国化しつつあることを警戒感しているという.
 以下引用.

――――――
China gains influence with development push into Cambodia

Here in the depths of the Cardamom Mountains, where the Chinese-backed Khmer Rouge communists made their last stand in the late 1970s, China is asserting its rights as a resurgent imperial power in Asia. Instead of exporting revolution and bloodshed to its neighbors, China is now sending its cash and its people. clangorous,Monroe Doctrine, Chinese-style,closer ties with its old foe Vietnam,to open doors to Myanmar,Secretary of State Hillary Rodham Clinton,“forward-deployed diplomacy.’,You don’t want to get too dependent on any one country,’,cementing ties with Thailand,no-go zones for Cambodian police,building eight hydropower dams,exceed $1 billion,additional quarter-million immigrants and businessmen from mainland ChinaCambodia has avoided criticizing the dams under construction along China’s stretch of the Mekong River,Taiwanese investment in Cambodia
――――――


 【質問】
 「厚黒経」って何?

 【回答】
 「孫子」と言えば,中国には数多の兵法書がありますが,兵法進化論の行き着くところというか,毛沢東が愛読して発禁にした2書があるそうです.

 一つは方位術で「奇門遁甲」ですが,肝心なのは「厚黒経」だそうです.
 今の中国を考えると恐ろしい兵法書です.
 必ず御一読を.

dr-tantan in おきらく軍事研究会,平成20年(2008年)4月7日

 ただしぐぐっても殆どネットの噂レベルのしか情報しか出てこないので,本情報の信頼性については保留としておきたい.


 【質問】
 高度経済成長期から始まった日本のODA戦略と,現在中国がアフリカを中心に行っているODA戦略を比較した場合の,それぞれの目的,経緯,性質を教えて下さい.

 【回答】
 正直な話,対象地域が違うだけで目的や経緯,性質は左程代わり無いと思われ.

 日本のODAは,戦後賠償とアジアへの進出を目的とした物.
 中国のODAは,アフリカへの進出を目的とした物.
(此処での進出とは,基本的に経済的な進出を示す.)

 日本の場合,軍事的にアジアに進出しようと戦争を始めたが失敗.
 敗戦後,経済的に進出してそれなりに成功を収めた.
 日本の場合は,侵略者のイメージを引っくり返す為に,賠償的性質を帯びたODAや,インドネシアや韓国への独立祝い金等のオプション付きにする必要があった.
(対インドネシアでは,宗主国オランダからの独立支援も含まれる.)

 中国も同様に経済的な進出(資源目当て?)でアフリカへのODAを行っている.
 日本も東アジア,東南アジアで民主化が始まる前は,独裁政権へODAを行っていた実績がある.

 ODAを通じて影響力を行使するに当って,日中ではその障害に差があった・・・と言うお話です.
 但し,現在の日本は独裁国家へのODAは認められない,と考えます.
 ある程度,民主化が進んだ国相手のODAしか国内・国際世論上許されないと思いますので,今日,中国が行っているような独裁国家相手へのODAは難しいでしょう.

 一方で,日本(とアメリカ)が中国の影響力をインドに向けさせるような経済援助を行っている事実もあります.
 インドが経済成長を果たし,大国に相応しい軍事力を持てば,中国はその影響力をインドにも向ける必要があります.
 ここ数年の経済援助には,地政学的な戦略もあるかと考えます.

 これは,中国が北朝鮮を援助している?と言うのと似たような戦略です.
 北朝鮮が核保有しつつ存続すれば,周辺諸国は北朝鮮に注力する必要が出ますので.
(但し,私自身が中国が北朝鮮へ援助している,と言う情報のソースを持っていないと言う点に,ご注意下さい)

111 in 戦争・国防板,2009/11/07(土)
青文字:加筆改修部分



 【反論】
 質問は,中国のODAによってアフリカ諸国が実質的な経済支配をうけており,間接的な中国の植民地化している事を知ってのものだろう.
 ヨーロッパは元宗主国として自国の影響力を守るためにと,将来の温暖化対策ビジネスのために ,防衛的なODAを行なってるが苦戦している.
 中国は日本とは違うよ.
 金を大砲の弾のように使う.
 奴らが行なっているのは,形を変えた侵略戦争.

? in 戦争・国防板,2009/11/08(日)
青文字:加筆改修部分

 【再反論】
 私の表現に誤解を招く箇所が合ったのは事実です.
 確かに中国のような新植民地主義は取っていません.
 植民地経営的な行動は,取れないように世論が形成されましたからね.

 ですが,基本的に日中は一緒ですよ.
 やっている時代と対象が違うだけです.

 戦後の日本のODAを見れば解りますが,東南アジアの植民地戦争に参加していたんです.
 インドネシアに対する独立祝い金や,ODAの歴史を見れば解ると思いますが.
 日本としては,ヨーロッパの影響力を排除する事で,経済的な進出を果たしました.
 中国のODAのように,日本も独裁政権に対する援助を行ってきましたし,それが悪いとは申しません.
 当時の東南アジア情勢を考えれば,独裁主義国家であっても賠償・援助する必要がありました.
 その為に日本も随分と多額の金を出してきたんですよ.
 韓国の何とかの奇跡を起こせる程度には,出しています(笑)

? in 戦争・国防板,2009/11/08(日)
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 何で日本のODAは,日本にしか使えない紐付きODAにしないんですか?
 紐無しODAはたんなるばら撒きで,国民の血税の無駄遣い以外の何者でもないと思いますが.

 【回答】
 紐付きODAって単語を知っている以上,批判された過去を知っているんだよね(笑)
 質問の意図がよく解らないな.

 さて,日本のODAは,半分以上が円借款・・・つまり途上国に金を貸し,利子を付けて返して貰うもの.
 この段階で,ある程度紐付きな訳です.
 それに紐付きでなくとも,日本に利益誘導が出来るのであれば,それで充分.
(元々戦後賠償としての性質がある為.)
 発展途上国が成長,親日であれば日本のビジネスパートナーになるからねぇ.

 批判している連中は,発展途上国をダシにして政府批判をしたがる連中だと思われ.
 世の中には権力を批判する事を,無上の正義と思う連中がいるからね.

111 in 戦争・国防板,2009/11/08(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 パンダの戦略利用の歴史について教えられたし.

 【回答】
  2008年5月12日付,『AERA』によれば,一説によればパンダの戦略利用の歴史はAD685年ににさかのぼるという.
 中国四川省臥竜のパンダ施設の展示資料には,次のような記述があるという.
「685年,唐の女皇・武則天が生きた雌雄の白熊と毛皮70枚を,日本の天武天皇に贈呈したと,『日本皇家年鑑』に記載されている」
 ただし685年には則天武后はまだ皇帝として即位しておらず,上記は史実かどうか疑わしいという.
 『日本書紀』(岩波文庫版)には,斉明天皇4年(658年),「阿部引田臣比羅夫」が「生羆二つ,羆皮七十枚」を献じたとあり,それが誤って伝わった可能性を,同誌は指摘している.

 一方,同誌によれば1941年,蒋介石夫人,宋美齢がニューヨークのブロンクス動物園に赤ちゃんパンダを贈っており,これが近代におけるパンダの戦略利用の始まりと考えられる.
 第2次大戦後も,ニクソン訪中時に当時の周恩来首相がパンダを贈っている.

 ワシントンのコンサルティング会社「パシフィック21」のディレクターで,中国の「公共外交」に詳しいマイケル・ユーは,
「あどけないパンダのイメージと結びつくことで,中国は対米外交戦略で予想外の成功をおさめた」
と著書で指摘すしており,それは「トロイの木馬」だと揶揄する向きも,米国内にはあるという.
「パンダは中国にとって,もっとも国際競争力のある『商品』なのです」(ユー)

 詳しくは同誌を参照されたし.



パンダきました.
          _         _        _
         /::::::;ゝ-──- 、._/::::::ヽ-──- 、._/::::::ヽ
        ヾ-"´         \::::::|       \::::::|
    フフン  /              ヾノ         ヾノ  フフン
 フフン   ,,.r/     _     _ ヽ_     _ ヽ
       ,'::;'|     ゞi" ̄ フ‐! ̄~~|  | i" ̄ フ‐! ̄~~|  |  フフン
     l:::l l      `ー‐'、 ,ゝ--、' / `ー‐'、 ,ゝ--、' / 
フフン  |::ヽ` 、   、、、  / "ii" ヽ  /、、、 / "ii" ヽ  /  フフン
     }:::::::ヽ!`ー 、 _  ←―→ / _  ←―→ /  
 .    {:::::::::::::::::::::::::.ー―――''"´::::::.ー―――''"´
     ';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/   フフン
 フフン   `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ`' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ
           `ー-"        `ー-"


(朝目新聞より引用)


 【質問】
 質問させていただきたいと思います.

 中国は未曾有の経済発展の中にありますが,この発展事態砂上の楼閣的な危うさの上に成り立っているように思えます.
 確かに,特にIT関連の技術はこれまでの技術の蓄積を必要とせず,ICの組み合わせだけで対応できますが,根本となる機器の製造技術はどこまでの物を持っているか判りません.(有人ロケットを打ち上げるくらいですから,それなりの技術があると思いますが,共産主義の場合国家と民間の差は大きいと思うのです.)
 そうした場合,我国でもバブル崩壊から再生まで10年以上の月日がかかりました.
 北京オリンピック後に中国バブルが崩壊すると,彼らは国内の混乱から国民の目をそらす為,台湾侵攻に走るのではないかと思うのですが.

 とっぴな構想ですが,中共軍はチベットに対し,大殺戮を敢行し,ダライラマは印度に身を寄せています.
 昔の一向一揆ではありませんが,ダライラマを中心に仏教国の連帯で中共包囲網は引けないものでしょうか.
 中共内部で宗教はどうなっているか分かりませんが,中には呼応する組織も出てくるのではないでしょうか.
 排除された太極拳のグループのような組織が.

 ご意見をいただければ幸甚です.

PAGI

 【回答】
 ある方にいわせると,
「北京五輪後の中共大混乱のどさくさにまぎれて,台湾が独立するのが現実的では?」
となりますね.

 わが国はどうも,必要以上にシナを気にしすぎるように思います.
 シナ大陸で何がどうなろうと,どうでもいいのではないでしょうか?
 わが国益にはなんの関係もありませんし,現在のわが国が,他国をコントロールすることは不可能です.
 ましてやシナのようにややこしい国をやですね.

 経済的な代替先はベトナム,インド,マレーシアなどなどいっぱいあるわけですし,シナが絶対に必要な理由は,わが方には全くありません.

 それよりも,われわれが見失ってはいけないのは「台湾」です.
 わが国の死活を握るシーレーン確保にあたって,「親日国・台湾の存在」は絶対条件です.

 ですから,
「台湾は自国の一部である.絶対に独立させない」
と明言している中共政権の姿勢が問題なんです.
 中共海軍が台湾に進出したら,潜水艦や水上艦,航空部隊の展開範囲が今とは比較にならないほど広くなり,わがシーレーンの3つのルート,ロンボク海峡ルート,マラッカ海峡ルート,グアムルートすべてが,中共海軍の明白な脅威下に置かれます.
 そうなれば,わが国は中共にキンタマ(失礼!)を握られることとなります.

 ですので,五星紅旗(中共の国旗)が台湾に翻ることが「絶対に」ないよう,わが国は全力を尽くす必要があります.

 そのためにも,官民上げて陰に陽に台湾を支援しなければならないと考えます.
 (民側では,各レベルでかなり活発に動いていますが,官がさっぱりです.どやしつけましょう)

 はっきり申し上げて,この分野で米におんぶに抱っこというのは,あまりに危険すぎると思います.
 日米同盟を十全に機能させるためにも,台湾についてはわが軍が主体的に対応できるよう整備を進めるべき,と考えています.

エンリケ航海王子

 シナが国内の混乱に際して対外的な冒険にはしる可能性はおおいにあるでしょう.
 但し,大陸国が島嶼国に侵攻するにはそれ相当の準備が要りますので,日米を始めとする世界中の情報網から隠れることは難しいでしょう.
 米国が睨みを効かせている間は,シナの海空軍だけで臺灣を落とすことは出来ないと思われます.

 陸兵を送るとなると渡洋および敵前上陸能力が必要で,これは相当の装備,訓練と経験が必要ですし,航空優勢の確保が絶対条件ですが,米空母やイージス艦が健在ならばまるで夢まぼろしです.
 21世紀のバトル・オブ・ブリテンですね.
 これは1950年代にも失敗の先例があり,シナも身に滲みていることでしょう.

 核兵器を使うことは,占領のメリットが失われるばかりか,国際的な非難を浴びてしまうので,現実的ではありません.

 むしろ危険なのは,最近のアメリカ小説にも登場しますが,尖閣列島をシナが占領することです.
 これは小規模の陸兵で足るので,日本政府がモタモタし,米国政府がアタフタしている間に既成事実化できる可能性があり,直接臺灣に上陸することよりも蓋然性が高いですね.

 でも,その結果は日本人の国防意識の寝た子を呼び覚ますので,国内の不満逸らしには一時的に成功するとしても,長い目で見ればシナの損になるでしょう.

 何れにせよ,2010年前後からの極東は,WW1に至る20世紀初頭のヨーロッパのような不穏なものになる可能性が大きいように思われます.
 特に米中の動向から目が離せませんね.

 以上,ヨーソロの管見でした.

ヨーソロ

以上,おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)9月24日付より

▼ それよりも,「先の大戦の失敗を繰り返さない」,つまり

・中国のなかのまともに話が出来る連中を,確保・支援する.
 連中の面子を潰すようなまねをしない.

・対中交渉の窓口の一本化.
 自称事情通やらなんやらに頼らず,意思統一して相手に臨(のぞ)む体制つくり.

・相手の挑発に乗らず,チキン・レースに巻き込まれない.
 それはアメリカ御大に振る(笑)
 「昔朝日,今ネット」のような,在野の好戦的言論に引き込まれない.

 まぁ,あたりまえの外交体制確立が先です.

閻魔さくや in 「軍事板常見問題 mixi支隊」,2009年08月11日 11:29


 【質問】
 呉邦国とは?

 【回答】
 政治局常務委員兼全人代常務委員長.
 胡錦濤国家主席に次ぐ党内序列ナンバー2

 「現代中国に関する考察」,2008/05/24 20:23付によれば,メドヴェージェフ・ロシア大統領訪中の際,面談者の中に呉邦国がいたことから考えて,ロシア利権を握っているのがこの人物であろうと言う.

 詳しくは同ブログを参照されたし.


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