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 【質問】
 航空機はどのように分類されるのですか?

 まず,空を飛ぶのは「飛行機」だと思われているが,軍事用語では有翼機とヘリコプターをひっくるめて「航空機」と呼ぶ.

林信吾著『反戦軍事学』(朝日新聞社,2006/12/30),p.108

というのは本当ですか?

 【回答】
 この林とか言う奴は無知にもほどがある.
 航空宇宙工学科の学生として言うが,有翼機とかいう区別は無い.
 これは混同とかそういうレベルじゃない.脳内定義だ.

 先ずLTA(軽航空機:空気より軽い)とHTL(重航空機:空気より重い)に分けられ,そのどちらも航空機だ.
HTAは

・固定翼機
・回転翼機
・V/STOL機

で,
LTAは

・気球
・飛行船

となる.

ヘリックス in mixi支隊

 航空機の分類は,まず,浮揚するために静的揚力を利用する「軽航空機」と動的揚力を利用する「重航空機」に大別されます.

 軽航空機には気球・飛行船といった,同体積の空気よりも軽い航空機が当てはまります.
 重航空機は翼に働く動的揚力を利用して飛行する航空機が当てはまります.

 「飛行機」といえば,「重航空機のうち,固定翼により動的揚力を得て且つ推進装置を持つ」航空機の事を指します.
 「ヘリコプター」といえば,「重航空機のうち原動機で回転翼を回して動的揚力を得る」航空機の事を指します.

 どうも林氏は重航空機と有翼機(?)と固定翼機を混同しているようです.

 ちなみに〔林の脳内では〕,ヘリコプターは「回転翼機の一種」ですが,これは「有翼機」には入らないらしい(笑)
 また,気球・飛行船の類は航空機の仲間に入れてもらえないらしい(笑)

:ゆきかぜまる in mixi支隊

 【質問】
 有翼機って言葉自体はありませんでしたっけ?

丼炒飯 in mixi支隊

 【回答】
 言葉があっても,航空機の分類では余り使われることは無いんです.
 航空機は専ら「固定翼」と「回転翼」で分けますから.
 講義でも習いませんでしたし,
 何しろ有翼機を「翼があるもの」という分類で分けると,飛行機・滑空機・ヘリコプターと「重航空機」が全て当てはまってしまいますから.

 ですから推察しますと,ロケットとか「大抵の場合翼がついてなさそうな物」の類を分類するときに使うのではないでしょうか.

ヘリックス in mixi支隊

 航空機の分け方としては,林氏のようには使わないです.
 何冊か航空機関連の書籍をあたりましたが,見当たりませんでした.
 耐空性審査要領にも有翼機なんてカテゴリは無かったはず.

 使うのは宇宙機に対してですね.スペースシャトルの類です.
 あとは,用法をみるに固定翼機と混同しているとしか思いません.
 航空機の分類として使用するのは,正確さに欠けます.

 まあ,使ったら,私のような人間に,鬼の首を取ったかのように突っ込まれるでしょう(笑)

ゆきかぜまる in mixi支隊


 【質問】
 空母艦載機の
「艦上戦闘機」
「艦上攻撃機」
「艦上爆撃機」
には,それぞれどんな飛行特性の違いがあったのでしょうか?
 また,どうして用途ごとに飛行機の種類を分けなければいけなかったのでしょうか?
 現代戦においてはこ,れらはみんな「艦上戦闘機」に一本化されたと考えてよろしいでしょうか?

 【回答】
 第二次大戦当時の艦上爆撃機というのは,急降下を行える復座の単発機で,250〜450kgの爆弾を搭載し,急降下を行うためのダイブブレーキを装着しているため,運動性と速度は最悪で,とても戦闘機との空中戦は行えません.
 また,艦上攻撃機は800kgの爆弾または魚雷を搭載し,敵艦に水平爆撃または雷撃を行う,三座の単発機で,これまた速度は遅く鈍重,しかも急降下爆撃は行えません.
 これらの攻撃用航空機を護衛し,また敵の航空攻撃に対して艦隊を守るため,各空母は艦上戦闘機と呼ばれる空母での運用が可能な単座,単発の戦闘機を搭載していたのです.

 ちなみに,英軍の場合には急降下爆撃機を装備せず,復座の戦闘機を用いたりと,その用法が異なったりもしますので,艦戦,艦爆,艦攻という分類は,あくまで日米の当時の空母航空隊にのみ当てはまるものだといえるでしょう.

 日本海軍も,最終的に流星で艦攻と艦爆を統合することになります.
 そして,流星艦爆の最高速度は,零戦と大して変わらなかったりします.
 このような艦攻と艦爆の統合は,世界の趨勢といってもよいもので,アメリカ海軍はスカイレーダー艦上攻撃機でそれを果たしています.

 で,朝鮮戦争のころから,ジェットの時代になって航空機の運用方法が大幅に変わったため,艦戦,艦攻,艦爆という分類は用いられなくなります.
 それでも1980年代までの米空母はF4またはF14戦闘機とA7小型攻撃機およびA6中型攻撃機を搭載していました.
 その後1990年代以降,F/A18という戦闘攻撃機が登場し,またF14が順次退役していくことで,「戦闘機に一本化された」というイメージを抱かれたのだと思います.これは,各種技術の進歩(余剰推力の向上によりペイロードの増大・航法アヴィオニクスの発達等)によって1機種で済ませる事が出来るようになったということです.

「流星」模型(画像引用元:「おもちゃじいさんの部屋」

◇      ◇      ◇

 例えば,97艦攻と零戦は「栄」,99艦爆は「金星」(画像右)ってエンジンを積んでるんだが,両方とも実は1000馬力級エンジンだったりする.その当時の技術水準で艦載機に搭載できる限界だった訳だ.

 エンジンが同じ程度という事になれば,800kgの魚雷を積む為には翼の面積を増やして揚力を稼ぎ,なるべく軽く作る必要が発生する.翼の面積が増えれば抵抗も増えるから速い飛行機には成らないし,軽いから急降下できる強度も確保できない.コレが艦攻.

 急降下を可能にする為には搭載量を250kgまで落として機体を強化して,ダイブブレーキを付けて・・・と,コレが艦爆.

 そこら辺の制約を無視して空中戦に必要な速度や機動性に割り振れば艦戦になる.

 これらが一本化されたのは,割と最近の話だ.同じ技術水準で性能を割り振るとこういう機種の差は大なり小なりできるが,艦載機の場合,一機種でいろんな仕事をさせたいという事情が先に立つ.本当ならステルス攻撃機も積みたい所だろうけどね.


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 【質問】
 世界最初の,海上からの航空作戦は?

 【回答】
 1914/9/5の,日本の水上機母艦「若宮」の搭載するモーリス・ファルマン機による,青島攻略支援偵察・爆撃.
 以下引用.

 青島攻略に当たっては,開戦前年の1913年に運送船「若宮丸」を改装した水上機母艦が4基を搭載し,金子養三少佐ら搭乗員8人を含む35人の航空要員(のち52人を追加)が乗り込んで出動し,11月7日のドイツ守備隊降伏まで,計49回の出撃を行いました.
 1回の出撃で1時間半に渡る偵察飛行を行って,作戦に多大の貢献をしただけでなく,8cm砲弾,12cm砲弾を改造した爆弾,計90発を投下し,汽艇1隻を撃沈,軍事施設,市街地にも損害を与えています.

 ドイツ軍はルンプラー単葉機1機しか持っていませんでしたが,活発に日本軍陣地の爆撃,偵察を行ったので,日本陸軍機3機,海軍機1機で包囲して,撃墜を図りましたが成功せず,脱出されてしまいました.

 第1次大戦の緒戦期に,既に日本陸軍のニューポール,ファルマン(派遣,計5機)が機関銃を装備し,陸海軍機共爆弾を搭載して,戦争前に水上機母艦も作られて訓練を重ねていたことは,同時期の欧州よりも先進的だったと言えましょう.
 陸軍機は10月末からは,滑走路のかがり火と着陸誘導装置を用いて,夜間爆撃まで行っているのです.
 日露戦争で旅順港内を望見する203高地を取るためだけに,多大の損害を出した苦い経験を持つ日本軍は,第1次大戦前から航空機の活用に積極的であったことは,記録するに値します.

「世界の艦船」2005年6月号,p.178(田岡俊次著述)


 【珍説】
 ところで,航空機の技術が急速に発達したのは,1930年代に入ってからである.
 布製の複葉(二枚羽)機が金属製の単葉機になり,より小型でしかも大馬力の発動機(エンジン)が開発された結果,速力,安定性,兵器搭載能力などが,いずれも飛躍的に向上した.
 これを受けて,英国,ドイツ,イタリアなどは,相次いで空軍を創設し,航空戦力の運用を一本化した.

林信吾著『戦争に強くなる本』,P198〜199

 【事実】
 英空軍は1918年4月1日に設立されています.
 ドイツ空軍の前進であるドイツ帝国軍航空隊は1910年に設立されていますが,第一次世界大戦に敗戦により解体.1935年2月,ヒトラーによりドイツ空軍として復活.
 イタリアは1923年に空軍を設立.

 それに,金属製単葉機は第一次世界大戦のドイツで作られていますよ.

90式改 in FAQ BBS


 【質問】
 米空軍飛行隊を例に,任務を実行するまでの道筋を教えてください.
(空軍のどの役職の人が作戦を考え,どの役職の人が飛行隊長に任務を飛行隊員に説明させるのか)

 【回答】
 まず,各飛行隊が単独で作戦を立てることは,ごくまれです.

 通常は,より上級の司令部で決められた作戦計画にもとづく各飛行隊に対する命令を飛行隊長が受領するところから,各飛行隊での行動が始まります.
 命令を受領した飛行隊長は,副官や作戦・情報などの各担当将校とともに作戦計画と命令の内容を分析し,飛行隊が行うべき作戦行動や予想される敵の妨害活動,気象などの阻害要因を分析し,必要な準備を行うより具体的で詳細な計画を作ります.

 その上で,必要な準備の一つとして,隊員に対するブリーフィングが行われます.
 ブリーフィングでの説明を誰が行うか決まっているわけではありませんが,通常は,作戦の目標や目的,参加兵力,開始時期などの概要を指揮官が説明し,飛行経路やタイムスケジュール,攻撃方法,予想される脅威,通信管制などの詳細は,各担当将校に説明させるようです.


 【質問】
 自衛隊は戦闘機の稼働率が高いと聞いた事があるんですが、この稼働率とはどーいう意味を言ってるのでしょうか? 直ぐに飛び立てる機体を指してるのでしょうか?
 実際、その稼働率はどのくらいなんですか?
 また、アメリカ、中国、韓国などもどの程度なんでしょうか?

 【回答】
 「稼働率」は部隊配備機数に対する飛行可能機数の割合
で、空自も米韓との技術レベルと大差ないので、楽観的に評価して6割前後.

 稼働率に関して一言で言うと
日本>アメリカ>韓国>中国
 ただし、アメリカはもともとの数が多い(含む予備)。日本と比較すると全部あわせて3桁以上違う。
 日本はむしろ,少ない機体を工業力による高稼働率でカバーしている感じ。
 韓国は準戦時国にしてはあんまり高くない。稼働率は4、5割くらい。
 中国はかなり低い。新旧混合で古い奴はかなり稼働率が低い。自慢のフランカーも低稼働率で,現時点では期待できない。

 ちなみに,ある作戦に必要な機数が実際に飛べるかどうかの割合を「可動率」と言う.
 これは,燃料入れて武装すれば直に作戦行動が取れる状態の飛行機の割合。

 戦時には可動率≒稼働率が成り立つけど、平時は違ってくる可能性がある.

 日本の場合,「作戦」は2機または4機編隊での訓練かスクランブルに限定されるので,「可動率」は9割以上をキープしているけど、特に誇ることでもないような.


 【質問】
 最近の他国の戦闘機の購入記事を見てると,契約総額が航空機単品での発注機数の総額よりも何倍も高額になったりしてますが,その内訳はどうなってるのですか?
 付属のパイロット・整備訓練や部品・装備品はそんなに高いのでしょうか?

 【回答】
 パイロット一人の人件費.1年雇うだけで最低でも数百万〜一千万以上吹っ飛ぶ.
 さらに,そのパイロットを育てるためのインストラクターその他の人件費もプラス.
 訓練に使う飛行機の燃料代.磨耗した部品代.その飛行機を整備する人件費.
 かくして雪だるま式に増えていく.


 【質問】
 飛行機雲が温暖化の原因となるという調査結果が以前に発表されたようですが、これに対して何か反応を示した空軍組織はありますでしょうか?

 【回答】
 「飛行機雲が温暖化の原因になる」ではなく、排気中の窒素酸化物が温暖化効果をもたらし、かつオゾン層を破壊するといった研究なら多数ある.
 しかし「飛行機雲が温暖化」はないと思うぞ.
 気象学的にいうと、雲の発生はむしろ寒冷化の要因だ.

 で、窒素酸化物対策なら,米軍や欧州の軍は燃料の改質などの手を打ってる.

 【参考サイト】
 飛行機雲と地球温暖化の関係。
http://www.agu.org/sci_soc/prrl/prrl9919.html

 関連して、 雲の形成による毛布効果を指摘したもの。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20020516304.html
も興味深い。

飛行機雲のシミュレーション


 【質問】
http://www.morizumi-pj.com/okinawa/nago-nenoko/nago-henoko.html
より

>ヘリの二倍の速度,航続距離で五倍,積載量で三倍という侵攻能力をもっている.

という文を読んだのですが,侵攻能力と輸送能力の違いが分かりません.
 侵攻=敵地への兵輸送 輸送=自軍基地への兵輸送 という事ですか?

 【回答】
 そもそも「侵攻能力」という言葉は,輸送航空機単独の性能だけで語れるものではありません.
 戦闘機などの制空能力,攻撃機の対地制圧能力,輸送機の輸送力といった,部隊トータルの能力の総和が「侵攻能力」です.
 オスプレイが単独で制空戦や対地制圧戦を行なえる訳ではありませんから,この場合,
「米軍の侵攻能力の一翼を担う」
とか
「本機の配備で米軍の侵攻能力は大幅に強化された」
とでも表記すべきでしょう.

 恐らく「侵攻」という,ある意味「悪い戦争」を印象付ける為に書いている人間が,自分でもよく解らない単語を使ったのでしょう.

 要は「軍艦=戦艦」「装軌車輌=戦車」と同列の,針小棒大な表現と言って良いでしょう.


 【質問】
 ペイロードの大きな双発機が制空戦闘機で,ペイロードの小さい単発機が攻撃機として使われてるのは,どういう理由があるんでしょうか.単発機では対戦闘機戦を戦うのに何か不都合でもあるんですか?

 【回答】
 たまたま昨今の制空戦闘機がF-15,F-22が双発でF-16,F-35が単発になっただけの話.
 ロシアのHI-Loミックスは両方とも双発だしSu-27,Mig-29とか.


 F-15が膨大なペイロードを持つに至ったのは,あくまで制空戦闘能力を追及した結果.F-15等の制空戦闘機には探知範囲の広いレーダー,高い重量推力比が必要だった.
 そういう意味ではF-15E系への発達はオマケの様なものです.
 実際,ストライクイーグルの構想が持ち上がった当初は,低翼面荷重から来る低空での安定性の悪さ,大型の機体ゆえの慣性モーメントの大きさから,米空軍の反応は冷やかなものだった様です.(翼面荷重に関してはF-16に関しても同様)

 対戦闘機の格闘戦を主眼とした場合,むしろ単発軽量の機体のほうが好適という見方もあります.
 F-16は元々そういうコンセプト(+簡素化による低廉化――F-15の大型化高価格化により調達数が減ぜられる可能性があったため,当時LWFと称してレーダー積まない,軽量安価な戦闘機を多数調達する目的もあった)で設計された機体です.
 設計チームの元メンバー(名前忘却)の言では
「現在の様な使われ方(対地攻撃を含む多用途対応)をするのが判っていたら,F-16をあの様な機体構成にはしなかっただろう」
との事.

 単発機(F-16)が専ら対地攻撃を専門に行なっている様に見えるのは,数の上での主力の座を占めているからでしょう.
 また,F-15EやF/A-18も対地攻撃は行なっていますし,F-14にも対地攻撃任務が付与されています.


 【質問】
 空軍戦闘機と艦載の戦闘機を一緒にしようという試みが殆ど失敗しているのは,陸上機と艦載機とで構造に違いがあるために,コストが余計にかかるからですか?

 【回答】
 空軍と海軍,という分け方でなく陸上機と艦載機,という分け方で考えれば,転用,両用はさして珍しい事例ではありません.
 たいていが艦載機→陸上機,という形ですが(運用の制約は艦載機のほうが厳しいですからね),たしかに艦載機のほうが色々と「厄介」なところはありますが,数打ちの利点は遙かに勝ることが多いわけですし,構造云々もあるでしょうが,やはりセクショナリズムが最大の壁となっていることは間違いのないところでしょう.

 例えば,F-8なんかも陸上運用されたたようですし,F-14なども,実際に輸入したイランやオーストラリア空軍とスイス空軍,購入を検討していた日本も当然空母運用など考えてるわけもなく...
 戦闘機以外の固定翼機もいっぱい採用されてます,海陸双方で.
 A-4やA-7,S.エタンダール.最初から海陸で共用するつもりの機体としてはラファールなんかもそうですし...
 探せばまだまだあると思います,

 コストに関しては意外と「空母で使うからかかるコスト」って少ないんですよね.
 海の上で使うからという防蝕措置や高い整備性,短距離離着陸性能,頑丈な脚などはいずれも陸上運用時も生きてきます.
 たしかに余計な場合も(過剰品質というか)はありますが,たくさん作ってたくさん売ることで(軍としては買うことで)コストの面は相殺に近づきます.

(軍事板)


 【質問】
 艦載機はカタパルトやスキージャンプを用いなくても,例えば陸上の滑走路等から,短距離で離陸できるものなのですか?

 【回答】
 2ch.軍事板に出入りしている技術者さん(TFR氏)によると,他の陸上機(F-16とか)に比べると,劣る面も有るようです.
→艦載機の地上基地での離着陸性能

286 名前:TFR◆ItgMVQehA6 投稿日:05/01/2918:02:05

 しばしば生じる誤解ですね.
 陸上機は自力のみに頼って離陸速度を獲得し,また引き起こしを行います.
 ですから(良い子は実施してはいけません)地上駐機状態のF−15のテールに人間が何人かぶらさがると,尻餅をつきます.
 そのようなバランスに(重心位置と主脚の位置関係に)設定されています.
 ロッキードが陸上機の経験だけで開発した当初のS−3なども似たようなものでした.

 が,カタパルト射出を前提としている米海軍の艦載機はそうではありません.映像でも見られるとおりにデッキを離れてから引き越します.
 それが可能なだけのエネルギーをカタパルトが与えます.

 で,足回りは滑走と駐機状態での安定性を優先して設定されています.F/A−18に尻餅をつかせるのは大変です.

 さて,この特性は陸上の滑走路から発進するときには困ったことになります.
 滑走時にテールを下げにくいということは,離陸引き起こしするには,水平尾翼が同クラス陸上機のそれよりも大きなダウンフォースを発生できないといけません.
 だからと言って,水平尾翼を大きくして重量と空気抵抗を増やすのは避けねばなりません.母艦運用時には離陸引き起こし性能は要らないのですから,不要な性能のためにハンデを負うことにしかなりません.
 垂直尾翼を傾け,ラダーにも上下モーメントを発生させることでいくらか補ってはいますが,たとえばF−15などの離陸時に比べれば,離陸機首上げパワーはやっぱり劣ります.

 【質問】
 航空機部隊の編成について便乗質問です.
 航空母艦には戦闘機の他に早期警戒機や攻撃機,電子戦機,といった各種の航空機が搭載されていますが,あれらは全部ひっくるめて「空母**搭載部隊」という1部隊なのでしょうか?
 それとも,機種ごとに別部隊なのでしょうか?
 国や年代によって違っているのかもしれませんが,その場合は個別にお教え下さい.

 【回答】
 アメリカ以外の場合.

 ロイヤルネイビーは,「艦隊航空隊(Fleet Air Arms)」という海軍航空隊の総元締め組織が有り,その隷下にシーハリアー部隊や艦載ヘリコプター部隊が有り,それが随時,支援空母に載せられる.
 だから,「インヴィンシブル航空隊」とか「イラストリアス航空隊」などというのは存在しないわけだね.

 ロシアは,艦上戦闘機連隊1個を中核とした「空母航空隊」が一応は存在する模様.
 ただ,「艦上戦闘機」Su-33は,今のところ,合計24機しか生産されていないので,1個戦闘航空連隊の定数(36機)には及ばないね.
 パイロットは,少なくとも,2002年8月の時点で30人は居た.

夏光華(シア・クァンファ) ◆BFSytpS.uc


 【質問】
 なぜ航空機の速度の基準が,高度によって変わるというマッハになったんですか?

 【回答】
 航空機の速度は通常,対気流速度(単位はノットやkm/hなど)で表します.
 音速に近づく,あるいは音速を超えるような場合は,衝撃波の発生等特殊な状況が発生するため ,音速を基準としたマッハを併用します.

 フライトエンヴェロープ見てもらえば判りますが,航空機の飛行可能な領域は,失速,動圧,マッハ数,エンジンフレームアウト限界などにより制約されています.
 高速側は,普通 戦闘機では動圧と空力加熱(マッハ数)で,亜音速機では動圧と臨界マッハ数で規定されます.

 航空機の速度が大気に対して速くなると,大気が航空機の圧力によって割かれることがなくなり,直接ぶつかるようになります.
 航空機の前進が,大気の分子の運動によって航空機の前方に伝わり,先ぶれのようになってあらかじめ大気が別れる.そこに入っていく航空機は幸せです.
 この時の空気の圧力の伝達速度が,つまりはその空間でのマッハ1,音速です.

 これを超えると,実力で大気分子と衝突することになり,圧力波の替わりに衝撃波と会話しなければならなくなった航空機は,タフでないと生きていけません.
 この伝達速度は温度,高度によって変わり,航空機にとっては時速なんkmよりも,この伝達速度より遅いか速いかが死活問題なので,その高度での音速を基準にものを考えるのが道理に合うわけです.

(そういう事あまり考慮せず使ってる場合も確かに見られるけど)

84 :名無し三等兵 :2005/05/28(土) 20:30:27 ID:???

>(そういう事あまり考慮せず使ってる場合も確かに見られるけど)

 映画のタイトルに使ったりとか


85 :名無し三等兵 :2005/05/28(土) 20:33:40 ID:???

 プロレスラーのリングネームに使ったりとか.

 【質問】
 TRAPとは?

 【回答】
 航空機および人員戦術回収作戦(Tactical Recovery Aircraft & Personal)の略称.
 UH-1Nが前線統制のため現場上空を監視,揚陸艦からカタパルト射出されたRQ-2無人偵察機が捜索,上空をAV-8BやAH-1Wで警戒しながら,CH-53などの輸送ヘリで,武装した海兵隊員を一気に送り込み,クルーを救出する.

 詳しくは「航空ファン」2006年7月号,p.を参照されたし.


 【質問】
 スウェーデンや台湾で高速道路を滑走路に使用するのは,近くに仮想敵国が存在して,国内の滑走路が少ないからでしょうか?

ヤン

 【回答】
 その認識でOK
 滑走路が少ない上に敵国が近いと,下手すると,「敵の第一撃で航空戦力が壊滅しちゃいました」ってなる.
 第三次中東戦争みたいに.

 台湾はどうか知らないけど,スウェーデンはそれを最も警戒していて,平時から航空機を分散させてシェルターに隠してると聞く.

極東の名無し三等兵

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より


 【質問】
 イギリス軍機のあの丸いマークも国旗から?

 【回答】
 あい,その通り.

 1914年の第一次大戦勃発時には胴体と主翼に大きなUnion jackを書いていました.
 1914年から1915年にかけて,
「そんな手間なん書いてられるかヽ(*`Д´)ノゴルァ」(意訳)
と言うことで,海軍機では1915年3月16日から,方向舵にのみ白地にUnion jackを描き,主翼には赤白の丸(ラウンデル)を書きました.
 しかし,海軍と陸軍(まだ空軍は出来ていません)の機体で異なる国籍表示は如何なものか,と言うことになり,1912年7月26日に採用していたフランスの国籍表示と同様に,1916年初頭より,英国軍用機は,胴体と主翼に白縁付の外側から青,白,赤の丸(ラウンデル)を,方向舵に胴体側から赤白青の縦三色を描くことになりました.

 ちなみに,フランスは,胴体と主翼には外側から赤,白,青の丸(ラウンデル)を採用し,方向舵に胴体側から青白赤の縦三色を描くことになっていましたので,英国軍用機は全く逆の配置になっています.

(眠い人 ◆gQikaJHtf2)


 【質問】
 戦略爆撃機や攻撃機が地上攻撃をする際,戦闘機が編隊を組んで同行するのでしょうか?
 それとも,まず戦闘機が制空権を確保して,その地域は安全と判断して,爆撃機や攻撃機だけが戦闘機の護衛なしに目標に向かうのでしょうか?

 【回答】
 所謂戦爆連合と呼ばれる直協形式は,第1次大戦からベトナム戦争まで(いやまあ現在でも)一般的に見られます.
 ベトナム戦争では,まずワイルドウィーゼルが対空火器制圧を行い,敵機の来襲しそうな方向にはバリアーCAPを置いた中を援護戦闘機とエスコートジャマーに守られた攻撃部隊が(場合によってはパスファインダーに先導され)侵入する,
 後方にはタンカーが待機,AEWが見守る,と大変大所帯な物でした.
 AWACSの登場は確かに変化をもたらしましたが,各種サポートの必要性が減じたわけではなく,湾岸・イラク戦争では相手の空対空戦闘が不活発だった事が一番大きな要因でしょう.
(あと,ステルス攻撃機による単独攻撃が行われたりとか)


 【質問】
【国際】ロシアのTu-95爆撃機,米空母の上空600メートルをかすめ「挑発行為」も.領空侵犯当日に[2/12]

 領空侵犯とか米空母接近で,どうして撃墜されないんでしょうか?
 こんなんだと真珠湾攻撃じゃないけど,開戦と同時に艦隊壊滅とかなりそうな.

 【回答】
 武装してない偵察型だとわかってるから.
 もしミサイルの一発も吊り下げてたら,もっとアメリカ側だって警戒する.

 つか,この程度の事は冷戦中は毎日のようにやってた.
 このくらいで一々撃墜してたら,核ミサイル突き付けあって対立などしていられない.

 基本的に,アメリカとロシアは(融和は進んだが)核弾頭付きの弾道ミサイルを向けあっている仲.
 そんな相手に攻撃を仕掛けると言うことは,戦争覚悟と言うこと.
 そんな間柄なのに,たった一機で攻撃を仕掛けてくるなんてありえない.
 もし意表をついて攻撃して来ても,あとは全面核戦争覚悟の態勢になるだけ.
 空母が一隻損害を受けた事など大した問題ではなくなる.

軍事板


 【質問】
 ドラマ「24」にて;
戦闘機のパイロット「こちら目標確認,ミサイル発射許可を要請する」
管制塔「こちら管制塔,ミサイル発射を許可する」
戦闘機のパイロット「了解」

 ミサイルって独断で発射してはいけないのですか・・・・?

 【回答】
 基本的には.特に平時のスクランブルの時は,最高クラスの責任者の許可がなければ武器を使用してはいけない.
 もっとも,何か電子的なロックや暗号がかかってる訳ではないので,戦闘機の方で指示を待たずに勝手に撃つ事は出来る事は出来る.

 湾岸戦争のときは,早期警戒管制機の管制が,許可を求める戦闘機からの通信要求量に追い着かず,目標を逃す事を嫌って独断でミサイルを発射する戦闘機が続出して問題になった.


 【質問】
 C-X・P-Xの設計で使われたDMUは,どんな感じ?

 【回答】
 「19年度技本研究発表会」によれば,

・機体設計関係
 DMUは配線とか公差の大きい素材が苦手.
 短期間で干渉チェックが出来るので,設計チームのお仕事も短期高密度化.
 実機製作で発生する問題は減った筈.
 干渉してたら担当者がジャンケンして決めて下さい☆(パイプと壁で壁担当が負けて壁にパイプ穴開口とな)

メッサー=ハルゼー

 便利ですよぉ.
 なんと言っても,二次元の図面じゃあ分からない箇所までばっちり一目で分かりますから.

 公差との兼ね合いは三次元CADが出来た頃からの問題ですね.
 公差の大きい部品もそうですが,+0.5 -0 なんて片側公差も問題になります.
 まあ,小さい場合は干渉の問題と言うよりは,単品製作の場合に問題になるのですが.

 ただ,高密度化というのはどうなんでしょうか.
 要するにOA化ですからDMUの操作はともかく,三次元データを作る工数がずいぶんと大きくなっています.
 昔,製図工,今,CADオペレータの仕事は全くなくなりませんね.

 設計者・オペレータの工数が一番小さかったのは二次元CAD全盛期でしょうね.
 私はその時代を知りませんが.

ゆきかぜまる

 昔は図面送って実物作ってそこから干渉チェック上がってという感じだったのが,DMU上で干渉チェックするので実物製作工程の分,短くなって却って忙しくなったとかなんとか.
 まぁオイラは製図なんて中学の授業でやったっきりですが.
(変なポンチ絵は良く描くのにな)

メッサー=ハルゼー

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より


 【質問】
 航空機の代替燃料って何かありますか?
 車両や艦船だと水素・電池・核などイロイロ聞きますが,航空機はあまり聞かないような気がするのですが.
 将来,化石燃料がなくなって飛行機が飛ばなくなったら,仕事が半分以上なくなるので(笑)

雪風伍長 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 【回答】
 旧ソ連が一時,水素燃料を実験していましたね.

 ボイジャー(探査機じゃないよん)の様に超高空を飛ぶ偵察機みたいな機体だと,太陽電池でモーターを回すというものがあった様な記憶がありますだ.

 あとは,アルコール.
 これは旧軍が薩摩芋から精製していましたし…
 あ,忘れちゃいけないのが松根油でしょう(ぉ.
 上手くすれば,天麩羅油でもOKかも.

 それとラムジェットだったら,石炭の粉末を燃料に出来ますね.

 蒸気飛行機だったら,石炭と水??
 ボイラーを小型化出来れば有り得ない事ではないのかも.

 核は原子炉を積んだ飛行機はありましたが(X-6),流石に落っこちた後が大変なので,実際に核でタービンを回して放射能垂れ流しと言う飛行機は作られませんでした.

 B-70のジェットエンジンは,特殊な燃料じゃなかったでしたっけ.
 確か,化学燃料で,燃やすと有毒ガスが出るからどうとかと言うのを,遠き日の航空ジャーナルで見た記憶がありますね.

 ちなみに,下掲画像は,X-6とその発達型.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 B-70 の燃料は "Zip Fuel" といって,いわゆるボロン燃料ですね.

井上@Kojii.net in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 代用ガソリン...というのは冗談で,今はやりのエタノール系燃料が一部で試験運用されているようです.
 ただ,ブラジルなどよほど恵まれた条件でない限り,アルコール系の燃料を精製するには,ほぼ同量の石油が必要という,笑うに笑えないようなお話しもありますが.
 ちなみに原子力は端から論外
(原子炉を積んだ実験機は,単なる遮蔽実験用で動力用ではありません).
 電池は重すぎてこれも論外
(太陽電池で浮揚・滞空する程度のNASAの実験機はありますが).
 水素も水素ボンベや水素吸蔵合金が重すぎて,こちらも難しいと言うことで.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 マジレスすると菜種油(を処理したバイオディーゼル燃料)
 もともと軽油の代替燃料なので,そのままガスタービンエンジンに使用できます.
 発熱量も,軽油46MJ/kgに対し,菜種油40MJ/kgと,それほど悪い値ではありません.

 よく言われているエタノールは,実はジェットエンジンには向きません.
 エタノールは,アンチノック性が高く,常温でも気化しやすいという優れた特性を持ち,ガソリンエンジンに使用することができる稀有な存在です.
 しかし,発熱量が27MJ/kgと低く,また水との親和性が高いため,通常の保管方法では吸湿してしまい,燃料の管理が大変です.

 石炭は,やはりそのままでは乗り物に使うには向きません.
 発熱量は石炭の種類により異なりますが,普通の物で30MJ/kg程度と軽油の65%のエネルギーしかありません.
(ただし,石炭液化技術の進展を見るにつき,人造石油などはかなり有望視されています)

 蒸気機関は…… 無理ではないかもしれませんが,熱効率がちょっと……

極東の名無し三等兵 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 そういえば,1980 年代に入ってからアメリカで「脱・石油のために蒸気機関車を !」という企画をブチ上げて,大コケしたことがあったなあ…

井上@Kojii.net in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 そういえばアメリカの開発予定のスクラムジェット爆撃機,燃料はスラッシュ水素を予定しています.
 エコロジー爆撃機の誕生か.

 ・・・これは自分のネタにしよう.

JSF in 「軍事板常見問題 mixi支隊」




◆◆操縦関連


 【質問】
 自衛隊のヘリコプターの操縦士とか,戦闘機のパイロット等の高価な機械を操縦する隊員が,程度によるだろうけどインフルエンザとか風邪に罹患した場合,回復するまで操縦しないものなの?
 熱でボーっとしてたから墜落した,ではちょっとまずいと思うんだけど.
 それとも「国防に熱も洟も咳も関係ない!!」と上官に言われて,休まずに勤務するの?

 【回答】
 市販風邪薬の裏面に使用上の注意が書かれてますからよく読んでね

 ロック岩崎氏は花粉症治療薬の副作用で意識を失い,結果,墜落したのではないかという憶測もあります.

軍事板

 咄嗟の判断力や反応スピードに影響するものは当然だめです,飛ばせられません.
 パイロットが航空機に乗る際の点検項目があり,最初にチェックする項目として「I'm SAFE」という言葉がありまして,これはIllness, Medication,Stress, Alcohol, Fatigue, Emotionの略でして,それぞれ病気,薬の服用,仕事等によるストレス,アルコール(飲酒後12時間以内はだめ),疲労,感情のたかぶりを指します.
 まぁ,疲労に関しては現状どうよ?って言われるとなんとも言えませんが.

Fabius (KT) in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 WW1というか,複葉機全般の空戦性能について質問です.
 ww2の機体については最高速度とか上昇力がどんなもんか,と言ったことが,戦闘機の強さを測るおおざっぱな指標になってるみたいなのですが,これは複葉機でも通用するのでしょうか?

 複葉機ではこうした速度/上昇力よりも運動性の方が重視されることもあるみたいですが,この運動性とは具体的にはどのようなものを指すのでしょうか? 
 横転性能と旋回性だったらどっちが重視されたのか,とか御存知の方は教えてください.

 【回答】
 複葉機は基本的に高いrollrate(横転性能)を持っています.
 差が出るのは旋回性能の方だったでしょう.

 高いrollrateは,後ろに目がついているパイロットにとっては敵弾回避に便利だったでしょうが,落とすには回り込む必要がありますし,前にしか目が付いてないパイロットにはあまり役に立ちません.
 また,複雑な機動を行うには,初期の複葉機は強度が不足していました.
 急旋回しようとしても,操縦翼面どころか全体がしなって,思うように旋回しないことも多かったようです.

 条件は多様でしょうが,意のままに旋回してくれる機体は貴重だったと思います.


 【質問】
 宮崎アニメ「紅の豚」の一シーンでの「豚が雲を引いた!」ってシーンを見て思ったんですが,あれは飛行機雲とは違いますよね?
 飛行機雲ってのは,人間が冬に息を吐くのと同じ原理で,ジェット・エンジンの排気が上空の気温の低さにより白くなっている物って聞きましたが.

それと,雲を引くってのは,あのシーンの周りの反応からして凄い事なんでしょうか?

 【回答】
 そうですね.
 あなたの言う飛行機雲はコントレールと呼びます.

 この場合のポルコが引いたのはヴェーパーと呼ばれるもので,翼の端で翼下面の空気が上面へと流れ込むことによって起こる渦によりできるものです.
 F-1のウィングの端にできるあれと原理的には同じです.

 で,何がすごいかと言うと,それは翼上面と下面の気圧差が極めて大きい時,つまりコントロールを失う寸前の限界に近い旋回をしなければ,まず引かれないのです.
 現在の電子制御で飛ぶ飛行機ならともかく,一切が人の手によってコントロールされるレシプロ機で,その領域での飛行を続けることは,かなりの腕前が必要とされます.


 【質問】
「飛行機がロールカップリングに陥って破壊された」
との記述があったのですが,ロールカップリングとは何ですか?

 【回答】
 カップリング発散とも言います.
 テキストで説明するのはちょっと難しいのですがロール運動を想像してみてください.
 たとえば10度機首上げから90度ロールしたときには機体は10度の横滑り状態になっています.実際にはもっとややこしくなりますが……この際,単純化して考えることにします.
 当然のことながら,この横滑りを打ち消す力を垂直尾翼が発生し,機首は横方向に振られます.
 慣性モーメントが大きくなりがちな超音速機では,この動きの慣性も結構大きくなります.
 さて,機首を振る動きを伴いながらロールは継続しています.
 するとどうなるか?
 ロールと首振りが合成され,機首は「の」の字を書くように螺旋を描きます.
 さらに回って270度になった時,首振りの力はさっきと逆になります.
 理想的にはこのとき螺旋運動は収まることになりますが,もちろん慣性というものがありますのでそうは行きません.
 結局,機首は螺旋を描きつづけます.
 これはどんな機体でも,たいていは気にならないほどですが,常に機首は螺旋を描いています.
 それが続くとどうなるか?
 ぐるぐると機首が描く螺旋は大きくなります.
 尾翼容積が足りない場合には,機体はこの拡大を押さえられなくなり,やがて垂直尾翼が失速すると,機体は90度の首振りに至ります.
 超音速で真横を向けば,どれほど頑丈な機体であろうとも,即座に風圧によって真っ二つにへし折られてしまいます.
 ノースアメリカンF-100は,まさにこうして主任テストパイロットを殺しました.


 【質問】
 空自時期主力戦闘機スレッドなどで,ここ何週間か前から,『踊り』なる機動についての記載があるのですが,これはどのようなものでしょうか?

 【回答】
 レーダー被覆域をかい潜る機動のこと.

 まず紙とコンパス(円を描く道具の方)を用意する.
 で,適当な間隔で×(いや,○でも●でも△でもいいが)を描き,それぞれを中心に一部が重なるように円を描く
 この中心の×がレーダーサイト,円がそれぞれの非ステルス機を探知可能なレーダー被覆域だ
 ステルス機の場合,レーダー断面積が小さいのでこの円が小さくなり,円(レーダー被覆域ね)は重ならずに隙間ができてしまう
 ここを通れば絶対にレーダーに探知されずに敵地に侵入できるわけだ.

 で,実際のサイトは間隔もばらばら,地形により高低差があったり,けしからんことにレーダー電波を妨害する高層建築物があったりするので,この隙間は3次元にうねった,複雑極まりないトンネルを描くことになるから,こいつをトレースすると,まるで踊りを踊っているような複雑怪奇な飛行となるわけだ.


 【質問】
 バーティゴは上下の区別がある重力下でのみ起こるものでしょうか?
 たとえば宇宙空間でSWのような格闘戦をしたらどうなるのでしょう?

 【回答】
 バーティゴ Vertigo をめまいと翻訳した場合,重力とは関係ありません.自己の姿勢運動安定,姿勢運動認識が保てない状態です.

 空間見当識喪失という意味で使う場合も,重力とは関係ありません.
 文字通り,自分が空間の中でどのような姿勢になっているのか.上下に限らず,例えば目標の衛星に対して自分がどの方向にいてどちらを向いているかわからない状態.
 したがって,どんな環境でも起こり得ます.

 ただ,地球上では,特に航空機では上下方向というのが絶対的,致命的意味を持つので,上下方向の空間見当識喪失が大問題になります.
 ここまできて重力云々という話が出てきます.


 【質問】
 高速飛行中の軍用機は,鳥とぶつかっても平気ですか?
 空気吸入口に鳥が吸い込まれると少々ヤバいような話を聞いたことがあるのですが….

 【回答】
 鳥がぶつからない飛行機というのが理想だが無理なので
 できるだけぶつかっても大丈夫なように作る.
 現在では,ニワトリ程度のエンジンに鳥を吸引しても一定の推力が確保できないような機体は,民間機・軍用機,またその種別を問わず空を飛ぶことが許されない.
 だからバードストライク=墜落ってのは有り得ない.

 窓ガラスに直撃しても,まず大丈夫.
 これについては,ディスカバリーチャンネルでやってる「怪しい伝説」って番組で実験したこともある.
 題して「チキン砲」 (原題: Chicken Gun, Octopus Egg Pregnancy, Killer Washing Machine)

 実験のヒントとなったのは,次のようなエピソード.
 イギリスが高速列車を作成するに当たり,運転席のガラスが高速走行中に鳥がぶつかっても問題ないことを実験するためで,飛行機のガラスの耐久実験に使われている『チキン砲』なる鳥を発射できるものをNASAから借りてきた.
 そして実験をしたが,計算上耐えられるはずのガラスが破壊されたため,「威力が強すぎるのでは?」とNASAに問い合わせたところ,「肉は解凍したか?」と返事が返ってきたという.

 その伝説を元に,『解凍した肉』と『冷凍したままの肉』では破壊力が違うのか?という検証を行った.
 機材は空気圧で肉の塊を発射できるモノを作成.用意されたのはセスナの前面ガラスで,デビス・モンサンから何枚か拾ってきたモノ.結果は,どちらも変わらないだった.
 しかし視聴者から
「実験に使われた前面ガラスは強度が弱く,鳥の直撃に耐えられないモノだ」
と指摘されることに.
 そこで再検証を行った.
 今度は通常のガラスを,10枚ほど並べてどちらがより多くガラスを割ることが出来るか?で威力の違いを検証.
 結果は『冷凍したままの肉』の方が破壊力があることを証明された,とか.

 アメリカの場合は軍内にbird/Animal strike hazard divisionって組織があって,地道にバード・ストライク対策をやっている.

 ちなみに,飛行機にダメージを与える生き物は,鳥ばかりではない.
 一部地域では,離陸中に鹿が突っ込んでくることもあるそうな.
 まあ,飛行機にとって一番危険な生き物は,爆弾を仕掛けたり乗っ取ったりする,人間という生き物なのかもしれない.

軍事板・改


 【質問】
 世界最長の滑走路は何mありますか?

 【回答】
 旧ソ連や中国のデータが手元にないので正確とは言えませんが・・・

 確かアメリカのエドワーズ基地が,試験機のテストサイトという性格上,長い滑走路が必要で,乾湖を利用した10qオーダーの滑走スペースを設定していたと思います
 但し,これはただ平坦なスペースがあるというだけで,舗装も電波誘導もありゃしません

 舗装された滑走路に絞ると,世界で1番速いスピードで降りてくる飛行体スペースシャトルが降りられる飛行場(3000m以上)になります
 具体的にはヴァンデンバーグ,エドワーズ,ケネディー(NASA管理)の各アメリカ空軍基地などが持つ4576mが最長ではないでしょうか?

軍事板

 滑走路の長さを考える場合,降下速度も勿論重要ですが,滑走路が設置される空気の密度も考慮する必要があります.
 つまり標高の高いところだと→空気が薄い→パフォーマンス低下→同じ飛行機でも離陸するのにより長距離が必要,という事になります.
 同様に,気温が高いとその分,空気の密度が低くなり,これまたパフォーマンス低下します.

 従って,大型ジェット旅客機や輸送機を常日頃運用する忙しい空港で,かつ標高が高くて暑そうなところを探せば一番長い滑走路がみつかるはずです.

 で,AirNav.comでそこ等辺をみてみると,デンバー空港が4877mの滑走路があります.
Denver International Airport
Runway 16R/34L
Dimensions: 16000 x 200 ft. / 4877 x 61 m
http://airnav.com/airport/KDEN
 これが一番長いような.少なくとも民間では.

Fabius (KT) in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 着艦/着陸を自動的にやってくれる装置はないの?

 【回答】
 ALS(おーとまちっくらんでぃんぐしすてむ)ならば,かなり昔から有ります.
 民間航空機/民間飛行場も装備しています.
 実際は,滑走路への最終進入コースとどれだけ上下左右にズレているか分かるだけです.
 極めて乱暴な話で良いのならば,エースコンバット04移行での◇を合わせるようなものです.

 スティーブン・クーンツ(元米海軍のA-6パイトット,ベトナム戦争に従軍)がALSについて主人公に
「将来は自動着艦となるのだろうが,今はただの十字の表示にすぎない」
と言わせています.
 将来は,というのはALSという名前に対する皮肉でしょう.

 役に立たないと言っているわけでは有りません.

キルロイ ◆dtIofpVHHg in 軍事板


 【質問】
 現代の滑走路には,着陸の目印となるものは何か置いてないの?

 ILS(計器着陸装置)というものがあります.
 ILSの周波数を合わせたら,回答にあるとおり十字が連動してどちらにずれているか教えてくれます.
 悪天候時や視界の悪いときによく使われます.
 飛行機にILSインディケーターが装備されていないといけないんですけれども.セスナくらいの飛行機でも計器飛行可能な飛行機なら必ず装備されています.

 その他に,VASIと言って1〜4個のランプが並んでいる物があって,何色が見えるかで着陸進入高度の目安になるものがあります.
 こちらはILSと違って,飛行機側には何もいりません.
 赤と白のランプが横に並んでいて,赤が多いと低すぎ,白が多いと高すぎ,ってのを教えてくれます.
 横のずれまで教えてはくれないけど,流石にそれは目印無くてもわかるし,この光が見えるという事は大幅にはずれてないわけでして.

 なお,私はヘリも飛行機もやっとるんですが,基本的にはどちらも滑走路上のRunway Number(滑走路の方角を示す数字)めがけてアプローチしますね.

Fabius (KT) in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 米空軍基地での「Touch&GO」と呼ばれる(報道される)訓練は,着艦時のゴーアラウンドを想定して行われているのですか?

 【回答】
 タッチアンドゴーは軽飛行機の訓練過程にも組み込まれている.
 だからそれだけでは着艦の訓練とは限らない.
 離陸する時には当然,推力を増す訳だし.

 以下引用.

●タッチ・アンド・ゴー(touch-and-go):
http://www.jal.co.jp/jiten/dict/p291.html

 一通り基本操作を訓練すると,今度は場周経路(トラフィックパターン)を回る連続離着陸訓練(タッチアンドゴー)で各種離着陸操作を行います
http://www.runway24.com/student/data/skycap/1049796250.html

 タッチ&ゴーって意味あるの?
http://www.joy.hi-ho.ne.jp/cgi-bin/user/aero/wwwlng.cgi?print+200305/03050003.txt

 だが海軍機が大きな降下角で降下し,接地して再度離陸するような場合は着艦を想定しているだろうね.
 マスコミで騒音が問題になるNLPは,おおかた着艦を想定したものだと考えてよいだろう.

軍事板

 うーんと,「Touch&GO」ってのは,Closed Traffic Pattern(空港の周囲コースを回ってひたすら離着陸訓練)を練習するってことだと思うけど,Touch&Goはどんな飛行機でも基本の訓練です.
 免許とるまでに何回練習するか数え切れないくらいです.

 なおTraffic Patternにはあらゆる基本技能(操縦だけでなくて管制塔とのコミュニケーションも含めて)が含まれているという観点から,自衛隊は特に重視しているそうです(ソースは失念).
 また,訓練でそれをやるって事は技量維持の為でもあって,例えば自家用ペーパーパイロットが90日以上のブランクがあると,人を乗せる前に3回Touch&Goするのを義務付けられています(FAA).

Fabius (KT) in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 胴体着陸するときって,やっぱり燃料や爆弾,ミサイルは捨てるんですか?

 【回答】
 胴体着陸のときは可燃物は全部捨てる.
 例えB-52でも爆弾を全部捨てる.
 そういう事態に備え,基地(空港)のそばには投棄地域(海域)が指定されている.
 横田や嘉手納の場合,民間船多数が航行するルートに近接した海域が指定されているが,今とは状況がまったく違う.戦後すぐの指定が見なおされていないからだ.

 もっとも,現代の戦闘機は基本的に胴体着陸は禁止されていて,成功してもパイロットは処分対象になる.
 不合理に思えるかも知れないが,規律違反は軍では最大の罪だ.
 もっとも,試作機のように持って帰る意味があるのは別.


 【質問】
 歩兵になるくらいだったら,パイロットになったほうがお徳ですよね?

 【回答】
 軍隊での死亡率ではパイロットは歩兵より遥かに高確率です.消耗が激しすぎるんですね.
 食事面とかで優遇されているのは,パイロットが高カロリーを必要とするほかにも,どうせすぐに死んでしまうのだからすこしでもいい目を見せてあげようという配慮もあります.

 今の戦闘機なんて10年も乗りゃあ頚椎は歪むし脊髄はグズグズ,退役と同時に障害者手帳発行されてもおかしくないぜ.
 まあ,歩兵もBC兵器予防薬の後遺症とかあるし,大事にされてるだけパイロットのがマシかもね.

軍事板


◆◆◆気象の影響

 【質問】
 嘉手納基地などから台風避難の為に横田基地に戦闘機や空中給油機が来ているそうなのですが、なぜ避難に来るのでしょうか?
 きちんとパーキングブレーキ等で止めていおけば動かないと思うし、台風の風などで飛んでしまうものでもないと思うのですが.

 【回答】
 台風を舐めてはいけない。
 今九州に来ている台風は58.1mの最大瞬間風速を出した。
 嘉手納やグァム、サイパンといった南の方(台風が発生して強大になる海域)なら,もっと勢力がでかいこともある。

 そんな暴風雨の中では,パーキング・ブレーキなど何の役にも立たない。
 飛行場は平坦な地形がだだっ広く広がってるので,風を遮るものがないし、なにより飛行機は「風圧を大きく受ける」(だってそれで飛んでるんだから)構造になってるので,突風に煽られ易い。

 特に大型機は構造的に,地上で受ける突風に弱く、大型機故に建物内に収容することもできないので,台風の直撃を受けるようなところからは極力避難させないといけない。

 風で煽られるだけでも、機尾や翼端を滑走路にぶつけて損傷したり,点検が必要になったりすることは珍しくありません。
 台風に備えて装備を外したり固定したり、それを元に戻して以上がないか点検するだけでも大変です。
 避難させた方が簡単確実な場合も多いでしょう。

(system ◆systemVXQ2他)


 【質問】
 軍用機は高度飛行中,積乱雲や雷雲があったら避けて飛ぶのですか?
 あえて雲の中を飛行することはありますか?

 【回答】
 基本的に,避けて飛びますが,そんな甘い事言ってられないときもあります.戦時はとくにそう.

 太平洋戦争後期,ある取り残された基地要員を救い出すために,二式飛行艇が派遣されることになりました.
 しかし,敵の制空権下で鈍足の二式飛行艇が,無事に行って来られるはずがない.
 すでに,何機もの飛行機が消息を絶っている任務でした.

 そこで,基地近くまで山脈が走っているのに気付いた機長さんは,山脈の上=(積乱雲や雷雲が常に発生していて,普通の航空機は避けて飛ぶべきところ)を飛行することにしました.
 優勢な敵は,わざわざ危険を犯してまで,そんな危ない空域にはいないだろう,という読みでした.
 神レベルの操縦技量を持つ機長さんは,苦労しながらも雨と雷と暴風がうずまく危険な雲の中を数時間以上飛行して(普通なら墜ちる,乱流と暴風・の上に,下は起伏の大きな山だぞ?)見事,基地要員を救出しましたとさ.
 めでたしめでたし.

 要は危険度の判断でしょう.
 敵機に見つかって落とされる危険と,墜落覚悟で雷雲の中に突っ込む危険.
 後者の方が安全ならば,突っ込むべきだと思います.


 【質問】
 ジェット気流を発見したのは日本が先ですか? 他の国が先ですか?

 【回答】
 発見したという事なら,この人
http://www.kousou-jma.go.jp/share/publication/archive/2005/jouabs_6500.htm
が一番最初の模様.
 ただ,発表当時は世界中から華麗にスルーだったらしいし,これはあくまで発見した人が日本人というだけで,
「“日本”が世界で初めてジェット気流を発見した」
とは言えないだろう.

 先に“利用”したのは風船爆弾だろうけど.


◆◆メーカー


 【質問】
 軍需の航空宇宙産業メーカー吸収合併の歴史について調べているのですが、大よその流れを教えてください.

 【回答】
                            ヒューズ──┐
ダグラス  ────────┐            1984├マクダネル・ダグラス ──┐
               1967├マクダネル・ダグラス ──┘                │           
マクダネル────────┘                             ..1997│    
                                                     .│                   
ボーイング──────────────────────────────┬─┴─ボーイング
                                              .1996│
ノース・アメリカン─ロックウェルインターナショナル(1973)──────────┘
      .1967│
ロックウェル──┘

アメリカン・マリエッタ ──┐
            1961├─────────マーチン・マリエッタ───┐
       マーチン ──┘              .│              │         
                           .1993│              │     
コンベア─ジェネラルダイナミクス(1961).────┘          1994├─ロッキード・マーチン
                                               │
ロッキード────────────────────────────┘

チャンス・ヴォート──┐
         ..1961├─LTV───────ヴォートエアクラフト(1992)──┐
       ..LTV ──┘                                 │
ノースロップ─────────────────────────┐   │
                                        1994├─ノースロップ・グラマン
グラマン ──────────────────────────┘
                                     
フェアチャイルド・ヒラー ──┐
             ..1965├─フェアチャイルドエアロスペース─┐
       リパブリック ──┘                  1996├フェアチャイルド・ドルニエ─倒産(2002)
                              .(独)ドルニエ──┘

(名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE)


 【質問】
 ダグラス社の輸送機のうち,
DC-**が民間機で
C-**なら軍用機
という理解で合ってますか?

 【回答】
 違うな.
 DCはダグラス社の社内名.
 それを軍が採用すると,軍がCナンバーを付ける.
 だからC-54がDC-4(の軍用型)とか,両者は重複している.

軍事板

 蛇足ですが,DCはDouglas Commercialの略,つまり,Douglas社製の民間機っつ〜意味でんな.
 輸送機を表す機種記号であるCは,普通にCargoの略です.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板

Douglas DC-7


 【質問】
 ボーイング社ではB-29などの軍用機を旅客機に改造したりはしなかったの?

 【回答】
 やっています.

 確か昔,ミュージカルでやってましたっけ. 「ボーイング,ボーイング」
 パリに住んでいる伊達男が,当時の飛行機の遅さを利用して,フランスとアメリカとドイツの三人のCAと宜しくやっていたところ,突如,彼女たちの会社にジェット旅客機が導入されて,大西洋横断の時間が短くなり,伊達男の家で彼女たちが鉢合わせして大騒動になるというコメディーでした.

 ボーイングは,第二次大戦前に爆撃機B-17の主翼と尾翼を利用して成層圏旅客機,ボーイングストラトライナーという機体を飛行させた後,第二次大戦が終わる前には,軍需から民需への転換を見越して,B-29の主翼と尾翼と胴体下部を利用して,ボーイングストラトクルーザーという巨大旅客機を試作します.
 量産に入ると,B-29から発達型のB-50の部品を応用した訳ですが,その前に戦後の不況による財政破綻一歩手前に追い込まれ,積極的な営業が出来ませんでした.
 偶々,その巨大な搭載量と爆撃機との互換性が空軍の目にとまり,空中給油機としての需要が有ったために完全な破綻は免れました.

 その後の旅客機については,当時,英国のコメットという世界初のジェット旅客機が製作されており,当然,ボーイングも次期モデルはジェット旅客機とする予定でした.
その概念モデルは,最初,ストラトクルーザーに単純にジェットエンジンを取り付けた機体から始まり,途中で空軍向けのB-47,B-52爆撃機の理論や概念を流用しながらも,今度はこれを旅客機に改造することなく,後退翼のジェット機を開発します.
 これが,前述の「ボーイング・ボーイング」に出て来る707型機の原型,367-80になります.

 ちなみに,367型は同社のストラトクルーザーの番号で,その存在を隠蔽しますが,この開発費用としては1945年から52年までの同社の純利益累計の3分の2に当たる,1,600万ドルという巨費が費やされました.
 この機体は全米の注視を集めますが,実際にはデモに使われたに過ぎず,この機体から発展して空中給油機としたのがKC-135として米空軍に採用されました.
 空中給油機としては大分少なくなりましたが,この機体は,北朝鮮のミサイル発射や核実験の際,沖縄などに改造型がやって来ています.

 この胴体を大型化したのが,本命の民間旅客機型,707型になります.
 この機体は,当時,大西洋の女王として君臨していた,クイーンメリー号の年間乗客数と同じ数の旅客を,その建造費3,000万ドルの6分の1の500万ドルの投資と10分の1の燃料費で運ぶことになり,航空機時代の本格的な幕開けを宣言した機体です.

 で,この話を何で思い出したかというと,これの日本映画版みたいなのが何か有った気がして,その伊達男が植木等だったような気がして,前々から気になって,色々検索しているんですが,どうにも引っかからないんですね.
 まぁ,数多作られた1960年代の邦画ですから思い出せなくても別に良いと言えば良いのですけど.

 植木等と言えば,何故か一番印象に残っているのが,20年くらい前の火曜サスペンスです.
 確か,公募脚本だったかのドラマで,年に一回,今年退職する人の中から抽選で一人が,一日だけオーナー社長の代りになる,というもの.
 その抽選で選ばれたのが,工場の警備員をしている植木等で,替った直後にホンモノの社長が入院,跡目を狙う反社長派の陰謀と対決したり,沈滞気味にある社内を改革し,最後に,役員会で反社長派のクーデターを潰して,病院から帰ってきた社長と交代,何事もなかったかのように家に帰って,ビール片手に女房と世間話をして終わり….

 こんな筋立てだったか,と記憶しているんですが,警備員の時の気楽な部分と,社長として,クライマックス,緊張して役員会の部屋に入る時の鬼気迫る表情,そして,最後に家でくつろぐ時の表情,何故か強烈に印象に残っています.

 そういう意味では,凄く存在感のある役者さんでした.
 晩年,衛星だかハイビジョンだかで,『スーダラ伝説』だったかな,そんなタイトルの番組がありましたが,年を取った植木等は,何かホンモノの植木等ではなく,抜け殻の様に思えてしまいました.
 本人もこんな番組で取上げられたくはなかったんじゃないかなと思ってみたり.
 役者にしても潮時というのはあるんでしょうか.

 そういう意味では,味のある役者だったかなと思う反面,ずっとクレイジーキャッツのボーカルとしての印象が付きまとって,本人も残念だったんじゃないかな,と思います.
 多分,本人は凄く木訥な人柄で,虚像であるクレージーの植木等を冷めた目で見ていたのかも知れません.
 谷啓さんなんかは,そうした割り切りというか,切り替えが上手いんでしょうね.

 兎に角,今更ながらご冥福をお祈りします.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in mixi,2007年04月03日

 【関連動画】
B367-80のバレルロール飛行
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070109_boeing_roll/
http://www.youtube.com/watch?v=w051kpDCelc

仮 in FAQ BBS


 【質問】
 Lockheedの歴史について教えて下さい(田中角栄)

 【回答】
 The Lockheed Aircraft Co.は、1932年に設立された企業ですが、その前史があります。

 1904年、Allen Lougheadと言う青年が、San Joseに居ました。
 彼は、同年に操縦を学び、暫く操縦士として活動した後、1913年にModel Gと言う三座水上機を製作、Christoffersonに、Alco Hydro-Aeroplane Co.を設立して、営業活動を続け、1915年には、この機を用いてパナマ・太平洋博覧会で乗客輸送(遊覧飛行)を行い、600名を乗せて4,000ドルを稼ぎました。

 この資金を基に、Allenと、彼の兄弟のMalcomが1916年3月、Santa Barbaraに於いてLoughead Aircraft Manufacturing Co. を設立し、John K. Northropを主任技師として、大型の飛行艇F-1を開発します。
 1918年、F-1は初飛行に成功しますが、第一次大戦が終了した為、海軍の採用は見送られ、暫くは忍従を強いられます。
 この間、1920年にはOaklandに工場を持つ、Christofferson Aviation Co.と合併しています。

 1926年、Santa Barbaraを引き払い、Burbankの小さな工場に移ります。
 また、この年、Lougheadでは発音がわかりにくいと、社名をLockheedに変え、Lockheed Aircraft Co.となります。
 此処でVegaを開発し、それが久々の同社のヒット製品となり、以後単発小型流線型旅客機を次々に開発します。

 しかし、開発費を得る為、1929年7月、Lockheedは投資家組織が設立したDetroit Aircraftの傘下になります。
ところが、この会社は投資回収を先行させ、各社が行う新規投資、製品研究を禁じ、為に各社は大きな損害を被ることになりました。

 1932年4月、投資家の逃避と1929年の大恐慌の波に洗われたDetroit Aircraftは没落しますが、その前に、Loughead達は、トンネル会社としてVega Airplaneを子会社化し、各種研究、投資を行って、1932年6月21日、改めて、Stearmanを援助したRobert E. Grossによって、Lockheed Corp.として再出発し、最初は全金属製Orionの開発を提案しますが、却下され、改めて双発旅客機Model10 Electraの開発を行い、1934年に初飛行に成功し、これは、Executiveの移動用などに大いに重宝されました。

 これの開発とその成功で、Model12 Electra、14 Super Electra、18 Load Sterと言った各種の高速旅客機を開発します。
 特に、Model 14は各国に輸出され、英国ではMunich会談に向かうChamberlainの乗機と成った他、日本では陸軍と大日本航空が導入を決定し、立川飛行機では製造権購入と技術提携を行い、1939年から本格生産を開始しました。
 立川製はエンジンがハ26に換装されたほか、客席を再設計していました。
 1940年以降は川崎航空機でも生産を開始、川崎では14の欠点だった低速時の安定性不良改善や、搭載量の増加のため、胴体をストレッチした一式貨物輸送機を製作しています。
 ちなみに、奇しくもLockheed 18の改善点も全く同じだったりします。

 また、軍用機メーカーとしては、英国が発注したModel14改造のHudson哨戒爆撃機を手始めに、18改造のVentura哨戒爆撃機が製造され、これらは、米陸軍でA-28/29、A-34、AT-18としても用いられ、米海軍ではPBO-1、PV-1、PV-2として生産されました。
 なお、これらの軍用機Versionについては、1938年に傘下に置いたVega Airplane Co.を1941年に完全子会社化し、1943年に吸収してVega Divisionで製造されています。

 更に、Model22と言う双発の重戦闘機が開発され、これはP-38として採用されました。
 これ以降の機体は、K.K.Johnsonによって行われ、彼はその後、P-80、F-90、F-104などの戦闘機開発の他、Skunk Worksを率いて、U-2、YF-12、SR-71、F-117の原型機などの開発に携わることになります。

 また、民間機として、Model 14のOwnerだったHowerd Hughesの依頼を受けて、彼の息の掛かったTWA向けに高速旅客機Model 49 Constellationを製作し、これは発展を重ねてL-749、L-1049、L-1649と進化していきます。
 同時に海空軍向けに、C-69、C-121、EC-121(WV)も製造していました。
 ちなみに、C-69の爆撃機型としてB-30と言うのも提案したりしています。

 1950年代の民間機のジェット時代に対応する為、Lockheedはターボプロップを選択し、L-188 Electraを製作しますが、最初のCL-303案はAmerican航空の要求に適合せず、CL-310案が採用されました。
 ところが、新規就航の直ぐ後に2件の重大事故を起こし、その対応に追われている間にB.727などの新型機が就航し、多大な損失を被りました。

 対潜哨戒機としては、PV-2がトラブル続きで、新たに専用機として、P2Vが製作され、これは米海軍の主力対潜機に採用されました。
 その後継として、L-188を基にしたP3Vが製造され、これは今日に至っています。

 一方で、戦術軍用輸送機として、西側代表的な機体となったL-100、軍用名C-130が製作され、これも長らく主力生産機種となっています。

 Lockheedはラムジェットについて幾つかの実験機を開発していますが、宇宙開発、ミサイル開発への進出は遅れ、地上発射は抑えられていたので、人工衛星、SLBMの開発を始めました。
 海軍と共同でSLBMを開発、これをPolarisと名付け、社内組織にMissile System Div.を設け、その生産に入る頃になる1961年6月より、Lockheed Missiles and Space Co.に社名を変更しています。

 その後、C-141、C-5などの輸送機開発などを経て、1977年に再度社名を変更し、Lockheed Corp.とし、社内組織を、Vegaから発展し、新工場を建設したMariettaを拠点として輸送機開発・製造部門となったLockheed-Georgiaと、従来からのLockheedの拠点であるCalifornia各地で、戦闘機などの小型機開発、研究部門となっていた、Lockheed-Californiaに分けました。

 民間機部門では、久々に開発したAirbusであるL-1011 Tristerが大転けに転け、会社経営を危うくしますが、丁度、軍需関係の受注で一息つき、1987年には完全分社化を企図した、Lockheed Aeronautical Systems Group(LASG)に社名を変更しました。
 この時、旧Skunk Worksも独立し、Lockheed Advanced Development Co.(LADC)となっています。

 1993年3月1日、A-12計画とATF採用で敗れ、苦境に立ったGeneral Dynamicsを買収して、Fort Worth部門が新たに誕生し、1995年3月15日には、Lockheed Corp. & Martin Mariettaとなりました。
 この会社の航空機開発・生産部門はLockheed Martin Aeronautical Sectorで、これは、Mariettaに本拠を置き、旧Lockheed社製航空機製造を主な事業とする、Lockheed Martin Aeronautical Systemsと、Palmdealに本拠を置き、先端技術開発を行う、Lockheed Martin Skunk Works、Fort Worthに本拠を置き、旧GD社製航空機製造や軍用機開発を主とする、Lockheed Martin Tactical Aircraft Systems、更に物流を担当する、Lockheed Martin Logistics Managementと、ミサイル、ロケット、人工衛星などを開発する、Lockheed Martin Aero & Naval Systemsに分かれています。

 この会社は更に、1997年7月、B-2以外製造する機体が無くなったNorthlop Grummanとの間で買収合意に至っていますが、米国政府によってその買収は拒否され(イカロス出版旅客機年鑑),買収は白紙撤回されました。

(眠い人 ◆gQikaJHtf2)


 【質問】
 P.Z.L.が戦後に開発した主な航空機について教えてください.

 【回答】
 戦前のP.Z.L.と戦後のP.Z.L.は途中で断絶しています.
 と言うか,一応,P.Z.L.の名前を冠してますが,一種のブランド名という感じです.

 Iskraは,WarsawのOKL(ポーランド語でOsrodek Konstrukcji Lotniczych(航空機製造センター))が開発したポーランド最初の国産ジェット機です.
 元々が,レシプロのTS-8練習機の後継中間練習機として,ダデウシ・ソルチクという人の設計で1956年から設計したものですが,国産ジェットエンジンが中々完成せず,機体の完成は1960年になりました.
 一応,1964年には,C-1-d級のFAI公認国際速度記録を樹立したこともあります.

 で,1962年,ワルシャワ条約機構の標準練習機コンペがあって,ソ連のYakovrev Yak-30とチェコスロヴァキアのAero L-29の競作となりました.
 いずれも性能が優秀だったのですが,確かスピンに入りやすいのが原因で,選から漏れてしまいました.
 しかし,ポーランドは断固としてL-29の採用を拒否し,自国用に1963年3月から生産を始め,500機以上が引き渡されました.

 更に,第二次ワルシャワ条約機構標準練習機コンペ第二弾に,I-22 Irydaと言う機体を開発しますが,対するチェコスロヴァキアのAeroは,L-39を開発.

 原設計1950年代のターボジェットエンジンの鈍重な双発機と,1970年代のターボファンエンジンの軽快な単発機では,勝敗は自ずと明らか.
 こちらも負けて,試作のみに終わりました.

 ちなみに,このOKLは後に,WSK-MIELECと言う組織に変更されており,現在は,PZL-MIELEC部門になっています.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in mixi


 【質問】
 ポーランド以外に,東欧圏でジェット機を自製した国はあるのでしょうか?

 【回答】
 マジャールは残念ながら,飛行機生産は叶わなかった(その代わり,バスやトラック,鉄道車輌生産に特化した訳ですが)ですし,ブルガリアは基本的に農業国ですから,戦後は重工業より軽工業にシフトしてますね.

 東ドイツでは,Junkersの工場がEisenachにありました.
 工場自体はソ連軍に一切合切接収されてしまいましたが,技術者もそれなりにおり,旧Junkersのブルーム・バーデという技師は,独立後復活したDresden航空研究所の指導者となり,国産ジェット機と国産ジェットエンジンを開発しています.
 この機体は,Dresdenの第2航空機工場(第1がMiG-15を生産し,第2はIl-14などのソ連製輸送機を生産していました)で1957年に開発された57人乗りのBB-152輸送機で,152と言うのはJu-52にあやかったものだそうです.
 ジェットエンジンは,Ju-287に使う予定だったものの発展型だったとか.
 東ドイツのLufthansaで中距離路線に使う予定で,90人乗りの発達型BB-153も開発されていました.
 しかし,ソ連の方針(Tuporev使えボケ!)で潰えました.

 ユーゴスラヴィアは,意外に米国などの技術を吸収して,初期にジェット機を試作し,英国からジェットエンジンを購入して練習機,Soko G-2 Galebを1961年に完成させ,1968年にそれを単座化してJ-1 Jastrebを作りました.
 でもって,ソ連寄りから徐々にシフトしていったルーマニアと組んで,日本のF-1/T-2とほぼ同等機で,ぎりぎり超音速攻撃機兼高等練習機のJ-22 Orao(ルーマニアではCNIARの担当で,IAR-93)を1977年頃から作ったりしています.
 これも,流石にエンジンは無理で,G-2と同じ練習機用エンジン2基で無理矢理超音速なんですが….

 ルーマニアはこの経験を生かして,1985年にIAR-99 Soimを作ってます.
 こちらは,英国のHawkと同等の練習機で,米国海空軍にも売り込まれたり.
 チャウシェスク時代の1979年には,英国からLicenseと設備を購入して,1960年代製の英国旅客機BAC-1-11を製作していますが,今のところ余り売れなくて年産1機という状況です.

 蛇足ながら,ポーランドのPZL-MIELECでは,ソ連製An-2農業機の後継として,Antonovと共同で,農業機を開発してたのですが,開発されたM-15と言う機体は,時代錯誤なジェット複葉機だったりします(当然試作のみ).
 農業機の分野では,冷戦時代に,米国のRockwell(スペースシャトルやB-1の開発元)が,パテントを有していた農業機の技術を導入し,パワープラントと脚をソ連のAntonov An-2のものに変えた米ソ折衷の農業機を生産したりしています.

 あ,Lufthansaも東西分裂してありましたので念のため.
 BB-152を採用しようとしたのは,あくまでも東ドイツ(後のインターフルク)の方でやんすから.
 そう言えば,インターフルクも倒産しましたねぇ.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in mixi


 【質問】
 ルーマニアの航空機メーカー,I.A.R.について教えてください.

 【回答】
 Romaniaという国は、世界最初のジェットエンジンによる予期せぬ飛行をした、アンリ・コアンダに見られるように、それなりの水準を誇っていました。
 しかし、それはあくまでも個人レベルのこと。
 第一次大戦では、国土が戦場になったために、それ以上発展しませんでした。

 トリアノン条約の結果、新たにRomania領土になったAradの地に、旧マジャール王国のMAVAG鉄道車輌工場がありました。

 1923年、この会社はRomaniaに接収され、Astra-Aradと言う会社組織に変更されます。
 Aradの地には、マジャール王国にBenz航空機エンジンを供給していたMagyar Automobil Restzbenytarsasag(M.A.R.)の工場もあった為、航空機製作に移行していきます。
 そして、Polandの航空機技師、Stanislav Sasefskiを主任技師に招き、1923年、初めての航空機、250馬力のBenzエンジンを搭載した、ASTRA-Sasefski複座複葉機を製作します。
 この機体は非常な成功を収め、Arad-Bucharest間の民間航空航路を開拓するのに使用されました。

 これで自信を深めた会社は、1924年、会社は、Fabrica de vagoane ASTRA din Aradと名称を変更します。
 次いで、自国の航空工学を修めた教授を主任技師に、空軍向け偵察機を製作しますが、これは失敗します。
 偵察機なのに、安定性が悪かった様ですが、それでも国産機なので、練習機として25機、採用されました。

 しかし、根本的な梃子入れを図った政府は、この会社とは別に、航空機を製造する公営企業を資金200,000Leiで立ち上げます。
 この会社、Industria Aeronautica Romana, Societate Anonimaの設立は、1925年8月6日で、FranceはPotezの資本が多く入っていました。

 まず、この会社が手を付けたのが、当時、資本提携関係にあった、Potez社の最新鋭多用途軍用機、Potez25の生産です。
 この間、製作工場の建設費を惜しみ、11月1日には、前述のASTRAを傘下に組み入れ、1927年には吸収しています。
 ちなみに、Industria Aeronautica Romana, Societate Anonimaとは別に数社が航空機製作を行なっていましたが、これらは、独立していますが、ブランドとしては、一時期を除き、I.A.R.で統一されています。
今回は、Industria Aeronautica Romana, Societate Anonimaの方だけを取り上げることにします。
 Industria Aeronautica Romana, Societate Anonima(略称I.A.R.)は、機体開発部門、エンジン開発部をBrasovに、また分工場をAradに持っていました。
 また、Brasovでは飛行場も経営していました。

 この体制で、最初は先述のように、1927年から33年にかけて、Potez25を250機生産し、次いで、Morane-Saulnier35練習機を1927年に30機、米国製Fleet 10G練習機、更には、P.Z.L.P.11cの生産と言う感じで、外国製機の生産を行なって技術を蓄積していく傍ら、Potez25をパラソル単葉化したPotez25Mと言う機体を試作しています。
 また、エンジンは、Gnome-RhoneK-7/K-9/K-14、De Havilland Gipsy-Majorを中心に、第二次大戦前までに1,100基のエンジンを生産していました。

 国産機としては、1930年から戦闘機の開発を始めますが、いずれも習作に終わって、本格的な戦闘機は、I.A.R.80まで待たなければなりませんでした。
 その代わり、練習機、多用途機として、I.A.R.22/23/24を、複葉偵察爆撃機として、I.A.R.37を、複葉偵察機としてI.A.R.38を、それぞれ試作、生産し、国産機の開発能力もそれなりに付いてきました。
 また、ItalyのNardi練習機なども国産化しています。

 このほか、車輌、工作機械、建築資材なども製造していました。

 戦時中はドイツ製の機体の修理、製造を行ない、1940年にRegia Autonoma Industria Aeronautica Romana に改組されました。

 戦後、ソ連に工場を接収され、Sovromtractorとなり、トラクター製作を主な事業にします。
 1949年から航空機製作を再開しますが、1951年にURMV-3となり、1960年には脱Stalin化で、I.I.L.と名前が変更されます。
 この間、小型軽飛行機を中心に試作製造を行ないます。

 1968年、今度は、ICA-Brasovとなり、Romaniaの独自路線で、Helicopterの生産を主に行なうようになります。
 また、脱ソ連化の一環で、AerospatialeのSA316B Alouette IIIを生産し、次いで、SA330L Pumaの生産を行なっています。
 1991年、独裁体制が崩壊した後は、社名を再びIAR SAに戻して、Kamovと提携して、Ka-126を生産しています。

 と言う訳で、I.A.R.80が出て来ないのは、これが、本体の製品ではなく、傍系のS.E.T.が製作したものだからで、他に、最近のI.A.R.ブランドで製造している、ICARなんてのもあって、何が何やら…。

(眠い人 ◆gQikaJHtf2)


 【質問】
 ルーマニアには,I.A.R.以外にメーカーはないのですか?

 【回答】
 I.A.R.とは別に第二次大戦前に存在した航空機メーカーとしては、他に2社がありました。
 今日はその中の一社を取り上げてみませう。

 さて、航空省の管轄下に民間機製造を専らとする会社、Intreprinderea Pentru Constructii Aeronautice Romane(略称:ICAR)があります。
 1932年にFleet社の軽飛行機を製造する会社として設立され、1936年に多座民間機であるICAR-1と複座複葉練習機を製造していました。
 第二次大戦中は、Fieseler Fi 156 Storchを製造しています。

 その後、この会社は政治体制に翻弄されます。
 まず、戦後はソ連の接収を受け、共産化によって、1951年にAteliere de Reparat Material Volant 2(ARMV-2)に改組されます。
 ここでは主にソ連製航空機や自国開発機の改造、修理を行っており、戦後、空軍で用いられていたI.A.R.80の複座改造型なども手がけていました。
 しかし、非スターリン化に伴い、1957年にCentrul Tehnic Industrial Aeronautic(CTIA)に改組され、この間、Yak-11の国産化、Yak-23の複座化改造などを行っています。

 その後、1959年にIntreprinderea de Constructii si Reparatii Material Aeronautic(ICRMA)となり、IAR-811/813などの軽飛行機を開発しています。
 また、この組織はURMV-3の傘下に入り、68年にIntreprinderea de Reparatii Material Aeronauticとなります。

 以後、Romaniaが独自路線を取るにつれて、1978年からはIAv Bucurestiとなっています。
 製作する機体は、西欧の機体となり、英国のBAC-111旅客機、BN-2アイランダー軽飛行機であり、この国産化は現在でも行われています。
 Romaniaの政権崩壊後は、1990年11月20日にRomaero SAと改組され、主にBAC-111を年産1機で製造しています。

(眠い人 ◆gQikaJHtf2)

 もう1社はS.E.T.です.

 Fabrica de Avioane Societatea pentru Exploatari Tehnice(通称、S.E.T.)は、1923年に設立されました。
 この会社は主にRomania空軍の軍用機を中心に製作しています。

 最初の4年は技術研究とか空軍装備機の研究に費やし、1927年にProt-I、Prot-IIと言う試作機を製作します。これは2機しか作られず.
 次いで、1929年にS.E.T.3複葉機を作りますが、これは政府に採用されないと言う余りぱっとしない状況でしたが、それでも、12機が生産されました。
 次いで10機生産のS.E.T.4を作りますが、これは欠陥品ですぐ退役.

 やっと,1930年製作した複葉複座中等練習機のS.E.T.7(写真)が、軍の採用するところとなり、主力練習機として50機が生産されました。
 このS.E.T.7は成功作と言って良く、これを基に、更に発展型としたS.E.T.7Hを1936年に8機、同じく、観測機に改造したS.E.T.7Kシリーズが60機も生産されています。
 また、これを単座化し、戦闘練習機とした、S.E.T.Xが試作されましたが、それは売れず、試作に終わりました。

 このため、S.E.T.では、本物の戦闘機を試作して、それとセットで売り出すことを考え、1934年に本格的な複葉戦闘機、S.E.T.XVを開発します。
 この機体の性能は良く、外見もNACAカウリングを採用したスマートなモノでしたが、これもRomania空軍でP.11を既に採用していると言う理由で、採用を見送り、結果的に試作のみに終わっています。

 以後は、S.E.T.10練習機、S.E.T.31初等練習機を開発しますが、S.E.T.31が10機、空軍に売れただけで、結果的に新規開発は以後行なわず、下請けになっていきます。
 1936年から、米国のFleet社の練習機、Fleet10Gのlicense生産の割当分80機で糊口をしのぎ、
 1939年から、I.A.R.の完全下請けとなり、I.A.R.27観測機、I.A.R.39急降下爆撃機の製造を行ない、イタリア製Nardi F.N.305練習機の国産化を担当してこれを124機生産し、並行してI.A.R.80の開発・生産を行いつつ、He-111H-3のLicense生産を準備したところで、敗戦に至っています。

 戦後は下請工場という地位に落ちていたこともあり、余り顧みられず、他の会社が曲がりなりにも生き残ったのに比べ、1947年に解散に追い込まれてしまいました。

(眠い人 ◆gQikaJHtf2)

SET主宰(左端)▼


 【質問】
 退役した航空機は,どのような最期を迎えるのでしょうか?
 道路に放置されてる写真をよく見ますが,鉄クズにして廃棄,ということはしないのでしょうか?

 【回答】
 「道路に放置」というのは,ひょっとしてアメが砂漠に飛行機を置いてあるアレ?
 あれは放置してあるのではなく,取り敢えず稼動させとく必要のない機体を,言わばフレームやモノコックだけの状態にして「保管」してあるだけ.
 必要に応じて再整備して就役させられる.別に捨ててる訳じゃありません.

 で,「保管」されない殆どの機体は,エンジンや電子部品などを抜き取ってスクラップ.
 歴史的・技術的に有意義な機体は博物館に収蔵されたり,好事家に買い取られたりもする.
 また,一般的な機体でも,基地の展示機やゲートガードとして余生を送る場合もある.

航空機の墓場画像
(引用元:http://www.mediabum.com/html/Airplane-Graveyards.html










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