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兵器FAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【Link】

DISC AIRCRAFT OF THE THIRD REICH (1922-1945 and Beyond)
 写真豊富.ただしオカルト注意

「RC Groups」◆Mystery Aircraft?

「シベリアンジョーク集積所」◆(2011/05/23)インテーク系での推力発生,そしてSR-71のエンジン

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2013/03/07) 【三谷流構造的やわらか発想法】航空事故調査から学ぶ【4】 〜アクシデントでなくインシデントから学べ!

●書籍

『いまさら流体力学?』(本田重雄著,丸善,平成6年)

 一般向けに,流体力学の概要をサラッと完結に流した感じ.
 図や写真を多く使って,直感的に分かりやすく説明されている.
 この手の本で時々感じる,「難解な本って格好いいでしょ」的な,持って回った言い回しもなく,簡潔に,しかし丁寧に解説してる為,純文系脳で「数式はちょっと」な人にも,分かりやすいと思う.

 ただ,さすがにさらっと流しすぎで,興味深い部分の詳しい説明がなく,やきもきする箇所があったので,『新物理学シリーズ21 流体力学』と一緒に読むのがちょうどいいと思う.
 概要を知るには,とてもいい本.

――――――軍事板,2010/11/18(木)

『新物理学シリーズ21 流体力学』(巽友正著,培風館,昭和57年)

 地元図書館の除籍本放出で入手.
 なにこれやべぇ,超面白い.
 流体力学の概要をさらっと網羅したそうだが,この1冊で軍事板のレベルは軽く超越できる.
 数式が豊富に掲載されているが,高校卒業レベル+α程度で難解さは感じず,むしろ文字だけの説明より,よほど分かりやすさに拍車をかけている.
 付録や参考文献が,かなり丁寧なのも好印象.

――――――軍事板,2010/11/18(木)

『静粛超音速研究機の空力設計の概要』

 まあ,書籍というか論文っつーか研究発表だが.

 静粛超音速機については,JAXAが近年力を入れていて,一般向けに公開されたドキュメントやらが比較的豊富なんで,英語は苦手って人や,興味あるけどあまり難しい内調はちょっとって人にも,割と気軽にお進めできる分野だったりする.
 今回紹介するのも,インターネットさえあれば誰でも気軽に読めるものに絞っているから,ちょっとした暇潰しにでも味見してみてはいかがか.

 静粛超音速については一言でいうと,
「圧縮揚力へのアンチテーゼ」.
あるいは「衝撃波との付き合い方をもう一度考える」.
 低ブームのための工夫や,膨張扇のより積極的な利用を通じて,超音速の世界にワクワクとドキドキを感じてもらえればこれ幸い.
 もちろんこの分野に関心を持てば,レガシーな衝撃波利用法にも,新しい角度から,より深い見解を持てる事は間違いない.
(つっても低ブーム化は,昔からある研究分野だけど)
 今の時代の日本人である幸運を,噛み締めてむせび泣け.

 読み終わった後,更に興味があればこの辺りもお勧め.
・静粛超音速研究機(S3TD)第3.5次形状インテークの空力設計
・超音速複葉翼理論に基づくサイレント超音速機の基盤研究

 より基礎的な部分から,じっくり考えたいあなたはこちら.
・超音速流中におけるタ?イヤモント?翼の剥離制御

――――――軍事板,2011/02/19(土)

『つくりながら学ぶやさしい工学4 風車』

 絵本です.
 対象年齢小学6年生以上.ただし内容はガチ.
 フィンの概念の進化を軽く眺められればいいかなと思ったけど,すみません,正直舐めてました.

――――――軍事板,2010/11/18(木)

『飛行機設計論』(山名正夫博士・中口博博士共著,養賢堂,1982)

『有限要素法入門 改訂版』(三好俊郎著,培風館,1994.11)

 流体力学やステルス機の電波回析計算で話題に上る有限要素法とは,具体的になんだろうかと興味が涌いて,あたってみた本.
 まず最初に有限要素法をブラックボックスとして扱い,基本概念を説明した上で,段階を踏んで丁寧に解説しているので,とても分かりやすく,ごく基礎的な数学的知識さえあれば,挫折する事もないだろう.
 後半3/5をすぎた辺りからは,FORTRANの解説と,それを用いたプログラムの構築に入る.
 昭和50年代に出版された古い本なので,この辺りは少々時代が感じられる記述もなくはない――記憶媒体がパンチカードであったりなど――が,そこは今のプログラム事情で置き換えてやればいいだけだ.
 具体的な計算対象は終始,弾性構造体が例に出されており,当初のお目当てであった非構造体の計算については,最後の最後で1.5ページばかりちらっと紹介されているのみだ,それでも不満を全く感じさせないぐらい分かりやすい良書だったと思う.

――――――軍事板,2011/02/28(月)
青文字:加筆改修部分

 【質問】
 航空機の設計の順序を教えてください.

 【回答】
1.目的とする飛行性能の決定(速度・加速度・旋回性能等)
2.飛行性能を得るために必要な機体形状の決定
3.必要とされる推進力の決定
4.推進力を得るために必要なエンジンの選定

 推力÷重量比を考慮すると,エンジン数は少ない方がよい.
 また,飛行時に於ける安全率は双発の方が高いが,地上での整備にかかる負担・飛行時の故障率は単発の方が少ない.
 従って,運用側としては単発の方を好む.

 エンジン数を決定する上で重要な要素となるのは,エンジンのサイズと保全性(整備のしやすさ・コストの安さ)であり,単一エンジンでは巨大となる場合,双発が採用される.

 「双発機の安全性の高さ」については,それ程差異が無いと考えて良い.
 通常,エンジンが突然停止することはまず無い.
 事前に軸振動,温度上昇等の予兆は必ずあり,これらは地上点検中に発見(PM)でき,飛行中であっても早期着陸で対処する(BM)余裕は十分ある.
 被弾時の生存性については,基本的に飛行機は一発でも被弾すればOUTであり,双発にしても有意差は殆ど見られない.
(ORで99.6%が99.8%に上がるだけのこと.)

追加@海 in 軍事板,2000/08/03(木)
青文字:加筆改修部分



 【質問】
>推力÷重量比を考慮すると,エンジン数は少ない方がよい.

 これは不同意なんですけど,定説と逆ではありませんか?
 レシプロ時代から言われている事ですが,エンジンの数を倍にしても,機体重量は素直に倍以上にはならないからです.
 どちらかと言うと,翼面荷重の方ならエンジンが少ない方が良いのですが.

>従って,運用側としては単発の方を好む.

 ずっと空自は双発指向だと思っていましたが,実際には現場は単発を望んでいるんですか?

 【回答】
 否定.
 重量とは機体重量ではなく,エンジン重量である.
 エンジン数を倍加しても,機体重量が倍とならないのは当然の事.
 空力抵抗・翼面加重については同意見.

 運用側は単発を望んでいる.
 これは良好な整備が行われる環境下にあっては,故障率に殆ど有意差が無く,単発の方が維持管理が容易だからである.

追加@海 in 軍事板,2000/08/03(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 開発中の航空機ってその時点で完成してるように見えるのに,どこか完成してないのでしょうか? F-22なんて2000年のごろには既に形になってたと思うのですが.

 【回答】
 開発中の兵器は一応動くようには作ってあるものの,様々な点が不完全です.
 例えば
・火器管制システムが搭載されていない,
・兵装が装備できない,
・装備できるよう作られていても,実際に装備して大丈夫かどうか試験されていない,
・パーツが間に合わせで十分な能力がでない,あるいは保たない,
などなど.
 例えばF-22も数時間ごとにシステムを再起動しないとハングしたり,バグで墜落したりしています.
 対地攻撃能力がないタイフーンを,「配備はされているが実用機でない」とからかう人もいます.
 戦闘機は兵装を搭載して飛び,航法を行い,目標を探知して兵器に伝え,無事兵装を切り離して命中させ,メンテが容易で故障しにくく,安価で操縦しやすく,特別な管理や施設が要らないものでないとダメなわけで.

軍事板

 上記補足.

 「戦うコンピュータ」にもいくらか書いた話ですけど,たとえば戦闘機にミサイルや爆弾ひとつ載せるだけで,

・さまざまな兵装搭載形態と飛行条件の組み合わせで,フラッター試験や兵装分離試験をやらないといけない(すげえ時間がかかる)
・射撃管制システムや爆撃コンピュータに,諸元の計算に必要なデータを入れなければならない(もちろん,そのためのデータ収集も必要)
・兵装とコンピュータがデータをやりとりできるようにする作業も必要.これがないと,どこに行って何をするのかを兵装に指示できない
・兵装の能力をフルに発揮させるための戦術開発が必要.それには,実際にさまざまな条件で使ってみないとダメ
・かつ,それを実地にパイロットなどに教えるための訓練シラバス策定,マニュアルの作成,シミュレータのプログラミングなども必要
・最近は何でもかんでもソフトウェアで動くので,実地に試しながらバグとりをする必要もある

と,やらなければならないことが多すぎるのですね.

 最近の戦闘機が,ブロックほげほげとかいって細々とバージョンアップしているのは,こういった作業を段階的にクリアした結果,あるいはソフトウェアがバージョンアップした結果,というのが大半.

井上@Kojii.net in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 戦闘機の試作機でテストをして実際に確認できた問題と言うのは,どのようなものがあるのでしょうか?

 【回答】
 個体しだいでいくらでもありますが,最近だとF-35のエンジンがF-35Bでエンジンコアと排気温度が高くなりすぎてヤバい,とかやってます.
 他にも吸気が不安定になるとか,高迎え角で尾翼の操舵が効かないとか,主翼のフラッターが強く出るとか,兵装投下時に気流が干渉してうまく落ちないとか,重量がオーバーとか,剛性不足でカバーすると重量オーバーとか,強度不足でカバーすると重量オーバーとか,吸気系の流れが悪くて,それを補正すると重量オーバーとか,レーダーの口径が思ったより大きくなって,それを搭載するように変えると重量オーバーとか,思ったよりエンジンの出力が取れないか.いろいろあります.

 重量がいつも設計範囲に収まり,いざというときに簡単に10%出力をオマケしてくれるエンジンがあって,それがメンテ簡単で価格安い……なんてことがあったら,試作機テストは天国です.

軍事板

faq01z17.jpg
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 近世程度の文明レベルの世界で,古代から細々とレシプロ機の技術が受け継がれていて,長槍にマスケットと航空機が並存するという世界を考えています.
 航空機に関しては,製造技術は失われていますが,修理保守の技術は劣化しながらも受け継がれ,この世界の人たち(のごくごく一部)は『何が何だかわからないけど,こうすれば動くと教えられたし,現に動く』という状態で使っていると言う設定です.
 ロストテクノロジー運用の現実はよく知りませんが,こういった設定に,それなりの現実味はあるでしょうか?

 【回答】
 ありがちな設定だが,現実味は感じない.
 現実感はこれっぽっちも無い.
 小学校高学年でも理解出来る理屈を理解できない「ごくごく一部」にも,磨耗したり劣化したりする保守部品が製造できないのに,「動いてしまう」にも,リアリティなんかカケラも無い.
 少なくともレシプロエンジン(内燃機関)の断面図を見たことがあるのなら,そんな事は言えないよ.

 ロストテクノロジー扱いであってもオーバーホールも出来ない,各種オイルも供給できない世界だと,内燃機関なんてすぐ駄目になる.
 焼玉エンジン(グローエンジン)のような,比較的単純な構造を持っている内燃機関でも,最低限の整備は必要だし,製造自体も困難だろう.

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:T%C3%A4ndkulemotor.png
(焼玉エンジンの断面図)

 第一,各種オイルをどうやって調達すんの?
 植物油で代用できると思っているのなら大間違いだべよ(エンジン内部は超高温).
 工業用の鉱物オイルを作るには,石油化学工業の発達が必要だし,近世世界にそんな物はない.

 『風の谷のナウシカ』のような不思議エンジンならともかく,レシプロだと予備部品の製造技術や各種オイルを自給できなかったら,一年ところか一か月も持たんぞ.

 現代技術を取り入れたいのなら変に用語を使わず,「レシプロ機関」やその他「内燃機関」の事をもっと調べよう.

 俺は物語に必ずリアリティが無ければいけないとは思わない.
 しかし,中卒の暴走族ですら「旧車はイロイロと大変」って事ぐらいは知ってるし,レシプロ内燃機関がどういう理屈で動いてるのかも知ってる訳だ.
「コンビニに置いてある車雑誌を見て,エンジンの解説の意味が分かる」
ってのは常識の部類だろう.
 一般的な常識を持ってる人(中卒の暴走族以上)に対して,「現実味の有る嘘」になるかと聞かれると,
「んな,アホな」
としか答えられない.
「江戸時代にタイムスリップしたのに,携帯電話は転移者同士で使える」
って設定の少女漫画を読んだ事があるが・・・・,コバルト文庫なら通用するかも知れないってレベルだ.

 まぁ,コッチも「美味しいドーナツの作り方」やら,「高いケーキに使ってるクリームの薀蓄」に出鱈目を書かれても分からんので,似たような物かも知らんが,質問者の設定は「読者を馬鹿にしてるか,作者に常識が無い」と思われてもしょうがない.

 まあ,読んでる間だけ,現実を忘れさせる筆力があればいいのだがな.
 レシプロ機関(もしかして,レシプロの意味が分かってない?)の代わりに,ユニット化された「謎エンジン」って話なら良くあるしね.

軍事板,2009/09/08(火)〜09/09(水)
青文字:加筆改修部分

▼>第一,各種オイルをどうやって調達すんの?
> 植物油で代用できると思っているのなら大間違いだべよ(エンジン内部は超高温)

 かって2輪・4輪を問わずレーシングマシーンに使われていた「カストロールR30」は,純植物性(ひまし油が主成分)の潤滑油です.

 それと,第二次大戦前にヨーロッパで盛んだった航空機レース(シュナイダーカップ?)では,純植物性潤滑油が使われていたそうですので,レシプロ機関を使えない理由として,「鉱物性の潤滑油が得られないから」というのは不味いかと…

 植物性潤滑油が鉱物性に取って代わられた理由は,耐酸化性が劣悪でレース用の物は1レース毎に交換する必要があるからで,潤滑性能に関して合成・鉱物性潤滑油は植物性に及ばないそうであります.
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB

通りすがり in FAQ BBS,2009年10月7日(水) 14時52分
青文字:加筆改修部分

 97式戦闘機に搭載されていた,97式650馬力発動機(ハー1乙)は,潤滑油にヒマシ油が指定されていましたね.
 ただし,ヒマシ油は-8℃で凍結するので,寒冷地では凍結や粘度の増加による不具合が発生したそうです.

 ソースは「丸メカNo49 96艦戦,97戦」のp.63

極東の名無し三等兵 in FAQ BBS,2009年10月7日(水) 19時59分
青文字:加筆改修部分

 史上最強のバイク,スーパーカブのエンジンなら,古い植物油でも平気.
http://wiredvision.jp/news/200805/2008052623.html

仮 in FAQ BBS,2009年10月7日(水) 22時27分
青文字:加筆改修部分

 最後に.この質問者は「こういう世界観に現実味はありますか?」なんて聞き方はしないで,
> こういう世界観に,少しでも現実味を持たせるには,どういう設定が必要でしょうか?
> 私はこういう風にしたいのですが,知恵を貸してください
とでも書けば,また違った答えになったと思うんだけどね.

極東の(ry in FAQ BBS,2009年11月16日(月) 21時26分
青文字:加筆改修部分



 【質問】
http://thx4311.kir.jp/kakisute/text/ayaka/nasi01.jpg
http://thx4311.kir.jp/kakisute/text/ayaka/nasi02.jpg
 リンク先の画像は,16世紀末に作られた「鉄の梨」という拷問器具でして,当時の技術でもこの位の複雑さの器具は普通に作れる訳ですから,水車が動力の旋盤と中ぐり盤辺りに,鋳造施設を備えた小工場か工房があれば,アルコール燃料の2ストローク焼玉エンジン(動弁機構・点火栓が不要)ぐらいは製造可能かと…

 その場合でもエンジン性能は,第一次大戦初期の単発戦闘機程度で,中世の騎士が軍馬と鎧を揃えるぐらい高価で希少な物になるでしょうが…

通りすがり in FAQ BBS,2009年10月8日(木) 2時4分
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 不可能です.
 18世紀末に普及していた据え置き型の蒸気機関でさえ,3psi(0.2気圧)のものが標準であり,それ以上の高圧のものは,技術的に製造できませんでした.
 このころは,まだ蒸気機関車すら,実験レベルを出ていません.
 出力重量比が絶望的に低かったのです.

 ごく初期の実用的な蒸気機関車としては,トレヴィシックが1804年に製作した高圧蒸気機関車がありますが,それすら圧力は50psi(3.5気圧)程度でした.
 レシプロ機関自体は,1801年に特許がとられておりましたが,当時の技術的限界を超えていたため,実用的なものは1859年まで登場していません.

 以上より,それ以前の段階で,高出力比のレシプロエンジンを製造するのは,不可能です.
 強度のある材料を精密に加工するというのは,それだけハードルが高いのです.

極東の名無し三等兵 in FAQ BBS,2009年10月8日(木) 14時41分
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 代案ですが.
 文明崩壊後に生き残るとすれば,電動機の方ではないでしょうか?

 鉛電池やダニエル電池ならば,硫酸も18世紀に量産が開始していますので,近世程度の文明レベルなら(原理を知っていれば)製造は難しくないでしょう.

 問題は電動機の方で,こちらは20世紀に入らないと量産は難しそうですが,錆びやすいレシプロ機関よりは生き残る率が高いのではないかと思います.
(使用するとブラシが磨耗して寿命が来てしまいますが)

 飛行機に使うのは厳しいでしょうけど,電動装甲車を作って歩兵の列に突撃するような用途なら可能ではないでしょうか.
 バッテリー上がりが恐ろしいですが.

季節労働者 in FAQ BBS,2009年11月6日(金) 23時7分
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 それ,サンシャモン突撃戦車とか,VK.45.01(P)とかが通った道ですよね.
 原理的には可能ですし,電池モーター駆動のプロペラ付飛行船が1884年に飛行しています.

 ただ,残念ながら,どうしてもバッテリーが重量過多で,実用に足る十分な航続距離,出力重量比が(現在でも)得られない,というのが問題です.

極東の(ry in FAQ BBS,2009年11月16日(月) 21時15分
青文字:加筆改修部分



 【質問】
1.
 20世紀後半のレベルまで工業文明が発展した後に崩壊した.

2.
 エンジン(少し古いディーゼル)のシリンダーブロックに使用されているFC系普通鋳鉄や,ピストン・コンロッド・クランクなどに使用されているFDC系強靭鋳鉄の組成,および製造に必要な冶金工学的知識は,職人ギルド内に秘伝として継承(口伝+羊皮紙の写本などで…)されている.

 以上のような設定の下なら,4ストローク・サイドバルブ・焼玉エンジン(2ストローク多気筒はラビリンスシールが製造困難と思われますので…)なら製作可能ではないでしょうか?

 ちなみにハート4気筒ターボエンジンのように,シリンダーブロックとヘッドは一体でガスケット不使用,Oリング等シーリング材は天然ゴムから製造を想定しております.

 あと,旋盤・フライス盤・中繰り盤で使用される切削用バイトは,セラミック・焼結合金製は製造困難かと思いますが,ハイスピードスチール製は製作が可能かと思います.

通りすがり in FAQ BBS,2009年11月15日(日) 23時39分
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 FDCじゃなくて,FCDね.
 ダクタイル鋳鉄とか球状黒鉛鋳鉄っていうんだけど,これ近世どころか戦後の技術ですよ?
 この手のものは,金属内の成分調整がそれだけシビアなんです.
 さらに金属だけじゃなく,炉の耐熱煉瓦や燃料,鋳物砂にまで気を使わなければなりません.

 高速度鋼はさらにシビアです.
 不純物を規定値以下に抑えつつ,成分(Cr,W)を所定の割合にして,均質にしなければなりません.
 また,十分な純度を持つCrとWの入手も問題ですね.

 加えて工作機械に関してですが,仮に出来たとしても,近世の技術レベルでは,工作精度が不十分でしょう.
 1774年に製作された中ぐり盤は,加工誤差は1mmでした.
 これが0.1mmを下回るのは,1850年頃です.
(コロナ社の『超精密加工学』(1997初版)のP2より)
 ルノアールが内燃機関を実用化させたのは,1860年でしたので,最低でもこの程度の精度が必要です.

 これらがすべてクリアできて,さらに飛行機製造に関するあらゆる問題をクリアできるような技術と社会があるなら,それはすでに近世ではありません.

極東の(ry in FAQ BBS,2009年11月16日(月) 21時15分
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 映画とかで,輸送機のドアを閉めないで足を出して座ったりしてるシーンがありますが,現実でもあんな座り方しますか?
 機体が傾いたりしたとき,落っこちたりしませんか?

 【回答】
 とりあえず,ヘリというのは自動車と違って(自動車もカーブの時はやや傾いてるけど),前進・後退にも左右旋回にも,機体を傾けなきゃならないというのは基本知識.

 その上で,かかる遠心力に対して,
・遠心力が足りず,機体の傾きが深すぎれば,旋回内側方向に向けて,乗せてるものはずり落ちてゆく
・遠心力が強すぎ,機体の傾きが浅すぎれば,旋回外側方向に向けて,乗せてるものはすっ飛んでゆく

 でもって,機体の旋回角度と,旋回速度(含むかかる遠心力の強弱)は相対してるので,大抵の場合は釣りあうので,乗せてるものは床に押し付けられる力が働き,落ちない.
 釣り合わなかった時や,旋回以外で機体が突然傾いた時のために,体を固定している.

 ちなみに旋回でない左右移動の場合は,遠心力はかからないけど,機体が動く事に変わりは無いので,ちゃんと床に押し付けられる力は働いている.
 ただこっちのは,機体角度の傾きによって落ちやすいのかもしれない.
(床に押し付けられる力は不十分な状態でも,左右移動は可能なため)

 UH-1の場合,床や屋根にフックがあり,そこにモンキーストラップをつけて落下を防ぐ.
 おいらも米海兵隊のヘリに同乗した際に付けたが,スゲー怖かった(笑)

軍事板,2008/12/10(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 フライバイワイヤの飛行機って,電気系が故障したり被弾したりしたら,どうなるんですか?
 墜落?

 【回答】
 フライバイワイアももちろん制御系が被弾し,破壊されれば墜落します.
 だからこそ,制御配線は多重になっています.

 ただ,すべてが機械系でつながっている場合でも,同様に被弾すれば作動しなくなり,墜落します.
 機械系を多重にすることは難しく,また,重量の追加も大きくなります.

 フライバイワイア(油圧系の動作を電気信号で行う)が,パワーバイワイア(油圧を使わず,制御も動作も電気で行う)に移行しつつあるのは,それによって油圧が失われても,多重電気系統でカバーできることが,ひとつの理由です.
 多重にしても重量増がわずかであり,また,嵩張らないシステムのため,被弾面積も小さくなるわけです.
 現代の航空機は,昔と違って,人力オンリーではどうにもなりません.
 増幅機構として,機械/油圧(従来型),電気/油圧(フライバイワイア),電気/電気(パワーバイワイア)と進化しつつあるわけです.

 人による入力操作が,操縦翼面の動作に直結する従来型と,間に電子制御系を挟みうるフライバイワイア,パワーバイワイアとは,制御システムとしても格段の,イヤ,決定的な違いがありますが,それは今回の抗堪性の話とは違ってきますので,ここでは触れません.

軍事板,2001/05/11(金)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 アナログFBW(フライ・バイ・ワイヤ)とデジタルFBWの違いは?

 【回答】
 アナログコンピュータがデジタルに比べて決定的に優れているのは,その高速性.
 どう頑張ってもデジタルコンピュータじゃアナログに追いつかない(それを捨てても,デジタルの方が使い勝手が良いって事だが…).

 デジタルとアナログの差は,演算を離散量として行うか連続量として行うかの差.
 であるから,例えば4ビット(16値)のを表すのに16段階の電圧を用いてコンピュータを構成する事も理論的には可能.
 とは言うものの,電子回路的にめんどくさいのでやらない.
 ただし,3値(つまり3進法のコンピュータになる)の研究はやっていたはず.
 なので,
「アナログフライバイワイヤはただ単に電気信号に変換するだけで基本的に補正を加えない.
 デジタルフライバイワイヤは伝達の途中で補正を加える」
といった解説は根本から違う.

 ちなみに,コンピュータによる補正が必要な静安定緩和(RSS)機であるF-16(Block30/32以前)やSu-27はアナログFBW.

 アナログコンピュータは,
 ・再プログラムの際には回路自体も換えなくてはならない
 ・精度が悪い
 ・デジタルコンピュータに比べ重い
などといった欠点があるが,今でもバックアップとして使われる事がある(F-2,JAS-39,X-29など).

軍事板


 【質問】
 フライバイライトで使われる光ファイバーの材質はなんでしょうか?
 又,フライバイライト化することで,従来より操縦系の整備性は上がるのでしょうか?

 【回答】
 まだ確立されたものはありませんが,用途と機械的性質を考えると,プラスティックになると思われます.
 ガラス系は伝送効率はよいものの,機内で取り回すには過剰ですし,曲げに弱く,重いので,機載用には向きません.

 従来のワイアーよりも軽く,嵩張らなくなる上,電磁遮蔽を考えずに済むので,シールドも機械的な力に対する保護だけで済みます.絶縁材の擦れによるショート,ノイズ混入もないので,運用,整備方法さえ確立されれば,故障の発生,不調時の原因究明ともに簡単になると考えられています.

 現在,樹脂性の光ファイバーは随分と普及しているので,価格もガラス性の物より安くなっています.
 ガラス性の物に較べると,熱や薬品に弱いと言う欠点はありますが,切断,接続が(ガラス性に較べて)容易で柔軟性がある為,取り回しの鷹揚さの面ではガラス性より優れています.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 トライデントD-5や,昔の軍用機では宇宙の星による天測によって自らの位置を割り出していたようですが,この機械による天測の仕組みや目標とする星などを教えていただけないでしょうか?

 【回答】
 ミサイルと軍用機では違う.

 軍用機では艦船同様,昼は太陽の位置と暦,八分儀で北の方位を得る.
 夜は星座の位置から北極星を見つけ,同じく北の方位を得る.

 ミサイルではそんなパターンを認識できないため,視野の中で一番明るい星を目標にするのが普通.
 ICBMは北半球で発射されるから,全天でもっとも明るいシリウスを目標にする.
 改良されたものでは,もう一つの星カノープスの位置も得て,より正確な誘導を行う.

 惑星探査衛星などではシリウスとカノープスを併用して航行の基準点としている.

 余談だが,日本の民生品だったら,CCDカメラで星を観て,パターン・マッチングでどの方向を向いてるか判別するものができた,という論文を読んだことがある.

軍事板


 【質問】
 飛行機の騒音を小さくする方法を教えてください.
 騒音が小さい飛行機というのは,政治的事情以外に機能面でメリットは在りますか?

 【回答】
 一言に騒音といっても,語り出したら本の一章を割くくらいのネタになるわけだが・・・・

 とりあえず騒音を減らせば,効率の改善につながる(吸音材は別だが)
 例えばジェットによる騒音は,V^8×d^2に比例して,推力はV^2×d^2に比例する.
 ってことで,推力を保ったまま騒音を減らすには,ジェットの直径を大きくしてジェットの速度を下げればいい.

 で,これは具体的には,ターボファンエンジンのバイパス比を改善すればいいわけで,高バイパス比のターボファンが燃費いいって言うのは言うまでもないよね?

 ちなみにこれは騒音の観点から書いたが,ターボファンエンジンの元々の目的は燃費の改善だから,正しい順番としては
「効率改善→結果的に騒音減少」
という流れなのであしからず.

 にあるとすればステルス性.
 航空機を探知するのはレーダーだけでなく,赤外線,目視,エンジン排気,電磁波輻射,音,飛行機雲もある.
 まあ現代のステルス研究では主にレーダー,赤外線,電磁波輻射の低減辺りに集中しているけどな.

軍事板,2007/09/24(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 航空機が出す衝撃波で実際に怪我をした人はいますか?

 【回答】
 地上近くを飛ぶ航空機のソニックブームの有名な例に,グリーネマイヤーのRB-104による速度記録の際の物が有ります.
 100ft以下(最低30ft)を990mphで飛ぶRB-104のソニックブームは,コースを示すために置かれた車のウインドウを割り,トランクの掛け金を飛ばし,見ていた女性の目からコンタクトレンズを弾き出したそうです.

 高空を飛ぶ航空機のソニックブームとしては,コンコルドが2lb/ft^2(100Pa)程度,
 核兵器の衝撃波の過圧による死者が出る閾値が5PSI(35000Pa)と言われてますので,それよりはかなり低いですね.

 ちなみに窓ガラスなんかは,もっと低い過圧で割れます.

軍事板


 【質問】
 航続距離や搭載量を示す際,「正規」と「過荷」ってありますよね.
 あれ「過荷」というのは何に対して「過」なんでしょうか?
 いわゆるカタログスペックとしては,「過荷」の数値が挙げられることが多いように思いますが,これが船でいう「機械全力」みたいな,いっぱいいっぱいの数値だとすると,諸元として出ているのはおかしいよなと思いまして・・・

 【回答】
 飛行機の構造は 「最大離陸重量XXkgにて荷重倍数2.5に耐えること」とか仕様で求められています.
 この場合 XXkgで2.5Gの機動が可能な訳で これが正規状態での運用になります.

 これを例えば2.25Gに運用を制限すれば,より大きな重量で飛べるわけで,これが過荷重(状態での運用)になります.
 ちなみに XXkgで2.5Gを超えたらすぐ壊れちゃうわけじゃなく,安全率(例えば)1.5を掛けた3.75Gまで構造が破壊されない事が求められています.

軍事板


 【質問】
 DC鋳造とは?

 【回答】

 さて,第二次世界大戦では,総力戦となった事から,政府所有の工場に於て使用されていた各社が開発した特許技術を,政府は無償使用したいと言う希望を各社に行っています.
 アルコアの場合,1942年に獲得した直接冷却による鋳造技術(the direct chill ingot casting:DC)と航空機用高硬合金75Sそのものと,その圧延に関する特許がそれに該当しました.

 アルコアがDC鋳造を開発する前の鋳造は,溶湯を鋳鉄の型に流し込む方法で鋳型の大きさに制限があり,維持,補修も高価なものでした.
 最大の鋳型でも4.75インチ×12インチ×20インチで重量も100ポンド未満と言うものでした.

 これに対し,DC鋳造は溶湯を鋳型に注ぎ水か油で冷却する代わりに,溶湯に水かその他の冷却液を吹きかけると言うもので,冷却されたアルミニウムは,鋳型の底を深くすれば無限の大きさで成形出来ますし,どんな形状でも,どんな寸法でも選択出来ます.
 急速冷却が可能になったので,鋳造製品の内部組成も制御が可能となりました.
 そして,この製品を生産するのにDC鋳造が非常に有効だった訳です.

 ところで,超ジュラルミンは,アルミニウムに亜鉛とマグネシウムを添加する合金です.
 これは引っ張り強度を向上させた反面,圧延段階で内部に封入された応力が,応力腐蝕割れ(SCC)を起こす原因であると疑われました.
 SCCは極弱い腐蝕でも悲劇的な金属破壊を起こす可能性があり,大量の商業生産を始める前にこの問題を是非共解決しなければなりません.
 また,これに代わるアルミニウム,亜鉛,マグネシウム,銅の合金76Sと75Sの開発も進みますが,これにも腐蝕の問題が生じました.
 しかし,1940年,実験機の主翼に使用されたAl-Zn-Mg-Cu合金板が,ほんの数ヶ月しか経過していないのに深刻なSCCを起こしていたことが判明します.

 このSCC問題は,少量のクロムを添加することでその発生を抑制することが判明し,76Sと75S合金はそれぞれ1942年と1943年に特許が成立しました.
 特に75Sの特性を活かした色々なデザインの機械の実験が始まり,その後,長く黄金時代を謳歌しました.

 最初にこれが用いられたのがB-29爆撃機の主翼縦桁と上部外板です.
 この合金の採用に依り,B-29は1機当り180kgの軽量化に成功します.
 ただ生産過程で,この合金は工場側に非常に多くの難題を提供しました.
 先ず,ひび割れ無しに鋳造を行うのが難易度が高く,特に戦時需要を満たす為に工場側は素早く対応する必要がありましたし,戦争が進むにつれてあらゆる合金屑が環流し,それを使用するのは難儀でした.
 また,75S合金をDC法によって鋳造するにはどうしても寸法制限があり,12×12インチ以上のものが生産出来ませんでした.
 アルコアの技術陣は,75Sと言う重要な合金とDC法による生産と言うジレンマに陥ります.
 巨額の量産設備を投資する前にこのジレンマを解消しなければなりませんし,腐蝕については既にアルコア技術陣,工場がそれなりのノウハウを溜めているのですが,これらは戦争の中で全然整理がついていませんでした.
 その研究要員達も国全体に於ける生産部門での問題解決の為に徴用されており,腰を据えて問題に取り組める状況では無かったのです.

 しかし,戦争の帰趨が見え始めた1945年,技術部門内ではDCに用いられる冷却液に問題の原因があると言う事で一致し,社内研究機関に冷却液の試験指示を出しています.
 取り敢えず,戦争終了直後はDC鋳造の際の濾過とガス抜きの改善に集中していました.
 これは戦争中は充分な熟練工が確保出来なかったのと,戦後直ぐは実験を維持する熟練工員が工場に戻っていなかった為です.
 1950年になると世の中も落着き,アルコア社内でも75Sと76S合金に拘わるSCCの問題は種々の対策により影を潜めたかに見えました.

 ところが,技術の進歩で航空機の設計が変わると,再びSCCが目につき始めます.
 第二次世界大戦までの航空機の構造と言うのは,「板と桁」であり,その上に薄い板を張るか,板を肋材に鋲止めするものが主流でした.
 しかし,戦後の機体はB-52に代表されるが如く,着陸車輪や翼の指示部などが大型の構造材となり,中には大型厚板や押出材から削り出したものもありました.
 アルコアは7075(1954年にアルミニウム協会が75Sを改称したもの),特に最も硬度の高いT6材が薄い材質と厚い材質とでは挙動が異なりSCCが引き起こされる事を発見しました.
 そして,このSCCは以前には問題にされなかったことが起こる事に気がついたのです.

 例えば金属疲労に対する耐性であり,破壊靱性です.
 これらは合金の微細結晶から発生するもので,合金の硬度を得る為の段階で発生しています.
 7075のうち,TM3材に関しては,過時効させたものでもSCCに耐性がある事が分かりましたが,強度は劣化していました.
 航空機の性能は益々向上し,航空機の設計者達はより速い,より荷重に耐える材料を求めたので,重量を減らしながら強度は下げないものを供給する必要があった為,解決は他の方法を探す必要がありました.

 1954年にドイツで,実験室の腐蝕テストではSCCに耐性のある合金が発明され,製品として売り出されましたが,間もなく差し替えた材料より遙かに劣ることが判明しました.
 アルコアとしてはライバル社に負けない為にもSCC耐性が充分あり,しかも強度を犠牲にしない新合金の開発の必要に迫られました.

 この頃のアルコア研究陣は,X線と電子顕微鏡を用いた時効硬化についての研究が主でしたが,段々と物理冶金の研究も始め出しました.
 アルコアはケンブリッジ大学で開発された薄い箔の見本を電子顕微鏡を使用して精査する電解研磨法を採用し,これにより微細組織の析出効化の過程が追跡出来ました.
 この様な地道の研究の結果,1960年代中にアルコアは各種の合金,特に厚い断面材のSCC耐性を約束する7075合金と割れに強い7475の開発を開始します.

 この頃,米国の航空機業界を騒がせていたのは,国防長官のマクナマラが大いに肩入れして開発していた海空軍統一大型戦闘攻撃機のF-111の相次ぐ墜落事故でした.
 この機体の墜落原因は鋼部分が微視的な割れを生じ,飛行中の圧力で悲劇的な大きさまで成長する結果でした.
 騒ぎの度合いは,ステンレス,ニッケル,マグネシウムなどが絡んだ,1920年代のZR-1の破壊事故以上のものでした.
 合金の開発は強力な顧客である米海空軍のプログラムに組み入れられ,7075合金は主として合衆国海軍航空隊から大きな財務援助を得ていました.

 こうしてF-111の墜落事故対策は海軍主導で繰り広げられ,その対策製品としてアルコアは7000シリーズの各種合金,更にはアルミニウム/リチウム合金へと発展していきました.

 しかし,この墜落事故で散々叩かれたせいか,ジュラルミンの呼び名はアルコアの合金リストからひっそりと消えていったのです.

眠い人 ◆gQikaJHtf2,2013/08/28 23:30
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 【質問】
 航空用接着剤とはどんなものですか?

 【回答】
 手元の航空機材料の本を開けたら,近年の構造用接着剤は,ほぼすべて熱硬化性で,接着作業にはオートクレーブ(120~180℃に加熱できる釜)が必須.
 主な用途は,金属材同士とハニカムコアの結合でした.
 現在の材料と組み立て工程においては,リベットの代わりになるものでも,機体の最終組み立てに大々的に使用できるものでも,無さそうです.

 ちなみに,接着剤でつけた上から,リベットで止めちまうという方法もあったり.

極東の名無し三等兵 in 「軍事板常見問題 「軍事板常見問題 mixi支隊」」


 【質問】
 海に着水した航空機は,回収すればまた使えるのでしょうか?
 すぐ沈んだり,機体そのものがオシャカになることもありますか?

 【回答】
 海軍機以外は,水になるべく長く浮くための工夫がされてない
(逆に言うと,これが艦載型の戦闘機なんかを重くする理由の一つ)
のですぐ沈む.

 あと,どんなにうまくやっても,着水した段階でフレームが歪んだりするので,回収したところで修理復旧は不可能なのがほとんど.

軍事板
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 基本的にすぐ沈んじゃうので,すぐに救命胴衣かゴムボートで避難します.
 フロート付きの水上機や飛行艇除く.

モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
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▼ ただし過去の特殊例でよければ,フィンランド空軍のメルスで少なくとも1例あるのは,ご存じの通りです.

bugaisha in FAQ BBS,2009年8月8日(土)
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 【質問】
 ボーキサイトについて,3行で教えてください.

 【回答】
 水酸化アルミニウムを主成分とした,アルミニウムの鉱石で,「南フランスの産地ボー(Baux)地方の石」というのが語源.
 これから二酸化珪素や酸化鉄などの不純物を取り除いた後,融解塩電解することにより,アルミニウムに精錬される.
 そのアルミニウムに,約4%の銅,0.5%ずつのマグネシウムとマンガンを含ませた合金は,ジュラルミンと呼ばれ,鋼に比肩する強さを持ちながら,重量は鋼の1/3強なので,航空機胴体などの材料に使われる.

 【参考ページ】
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/202861/m0u/
http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/NORMDB/PDF/30.pdf
http://www.keirinkan.com/kori/kori_chemistry/kori_chemistry_n1_kaitei/contents/ch-n1/3-bu/3-2-C.htm

ボーキサイト採掘に用意されるビッグキャタピラローダー
(こちらより引用)

【ぐんじさんぎょう】, 2013/07/20 20:00
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 【質問】
 炭素繊維の世界を占めているシェアは日本製が非常に大きいということを聞いたのですが,例えば米国や欧州の軍用機に使われてる炭素繊維製の部品も元は日本製ということですか?
 それとも,それぞれの国に炭素繊維を扱っているメーカーがあって,そこで製造しているのでしょうか?

 【回答】
 今や炭素系複合材料の製造は日本の独壇場.
 増産の契約をしに赴いた席で,その場で更なる増産を要望されたなんつう冗談みたいな本当の話もある.
 最近の日経に載ってるからあさってみ.

 スポーツ用品なんて,日本が作ったカーボン繊維が台湾で製品になって,欧米メーカーのお名前が入ってクソ高い値段で日本に帰ってくることを考えると,ちょっとむなしくなる…

 ついでに現在,民生機・軍用機でカーボン需要が跳ね上がり&原油高で,カーボン繊維は絶賛高騰中.

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 【質問】
 F-22とF-15のマニューバエンベロープを比較したグラフがありますが,マニューバエンベロープとフライトエンベロープはどのように違うのでしょうか?

 【回答】
 フライト・エンヴェロープは,航空機の飛行可能なパラメータの範囲を示した物です.
 一般的には,高度/速度の2次元で1G飛行可能範囲をプロットした図を指します.
 これらの中で機動性に関連したものを,マニューバー・エンヴェロープと呼んでいるのでしょう.
 示された図は,高度/速度の2次元で5G飛行可能範囲を示した物ですね.
(差を際立たせる為にデータ選んでるんだろうけど色々怪しい図だな)

 俺の知識が正しければ,超音速飛行時は多くの飛行機が機動を大幅に制限されます.
 F-22は超音速でも推力偏向ノズルで,無理やり機動することができると言うことでしょう.

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 【質問】
 ラム圧って何?

 【回答】
 航空機には,全エンジンストールに備えてラムエアタービンが備え付けられている.
 こう聞くと,ラムジェットエンジンなんかあるのか!と異常に反発する無知がいるが,そもそもラム圧とは,対気圧のことだから,別にそれを利用して空気を押し込む機構を持っている必要は無い.

 対気圧により,空気を押し込むのではなくタービンを回すのもラムエアシステムである.

 航空機はこれで発電を行って,全エンジンがフェイルしたときでも電圧を確保するのだ.
 モノによっては油圧も確保する.

 たとえば,
「80km/hで走行する車から手を出すと,ナオンのパイオツに近き感触が得られる」
 これだってラム圧を利用したラムエアシステムだ.

 なぜか日本人というのは,ラムエアシステム=空気を押し込んでさらに加速するシステムのみを言う などという,誤った知識をどっかから仕入れて得々としているバカがいる.
 これではいけない.

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ラム
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 リフティング・ボディって何?

 【回答】
 大きな翼がなく,ボディ全体で空気を受け止めて機体を支える揚力を生み出すよう,空気力学的に工夫された,航空機・宇宙往還機などの胴体のこと
 翼の突き出しが無く,丸々とした形状で,機体の容積が大きく,機材搭載に有利である.
 また,速い速度領域では,大きな抗力発生源となる通常の固定翼機の翼胴形状に比べ,揚抗比が良くなることや,曲率半径が小さく空力加熱が大きくなる部分を減らせる利点もある.
 一方,低速での空力特性が悪く,また空力設計がむずかしいという欠点も持つ.

 空軍より宇宙軍向きの技術である模様.

 【参考ページ】
http://iss.jaxa.jp/kids/kousaku/kousaku04.html
http://www.rocket.jaxa.jp/fstrc/wrd_h/i06.html
http://www.webmodelers.com/201001RaianPhoto.html

 【関連リンク】
http://www.youtube.com/watch?v=D4iZw3ui5Uw

【ぐんじさんぎょう】,2010/07/09 23:03
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<身近にあるリフティング・ボディ>

・伊集院光

例題

・三角ビートル

クローム・ツァハル in mixi,2010年06月28日 21:42

・ハイブリッド飛行船がリフティングボディですから,近く空軍が保有する事になると思います・・・
 というか近日アフガンに投入します.

JSF in mixi,2010年06月28日 22:44

リフティング・ボディ
その1
その2
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 現代の軍用航空機は,高度は何mまで上げられるんですか?
 空気が薄くなるから限界があると思いますが,ジャンボジェットが10000mくらいだから,それ以上は余裕で上がれますか?

 また,実際に空戦や爆撃や偵察を行う場合,上がりすぎても目的が果たせませんよね.
 実用的な高度というのはどの程度なんですか?

 【回答】
 ジャンボジェットでも45,000ft(13500m)位まで上がれますよ.(主な制約は機内与圧)
 戦闘機だと,ServiceCelling(運用限度)50000ftくらいに記載されている場合が多いです.
(詳細な数値は明らかにされてないし,それほど意味も無い)
 でもこれくらい,コンコルドだと常用高度なんですよね.
 F-15だと60000ft.
 高い方だとU-2で70000ft,SR-71で80000ftくらい.

 水平飛行するんで無ければ,F-15やMiG-25はズームアップで100000ftを超えれます.
(ただし人間や機体に,それなりの装備が必要)
 でも実運用では戦闘機の運用高度は,殆ど30000ft以下です.
 50000ftとか上がるには(たいていの機体は)与圧服が必要となりますが,最近では装備してる事も少なくなりました.

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 【質問】
 映画で戦闘機が低空を飛行することでレーダー網を逃れるというシーンがあったのですが,現代でも実際に低空を飛ばれるとレーダーで捕捉出来なくなるのでしょうか?
 また,どの程度のサイズまでなら精密にレーダーは表示できるのでしょうか?

 【回答】
 基本的にレーダーには見通し線内のものしか映りません(うん.例外はある).
 だから,穴の底にレーダーを置いても真上の空しか見えないし,山のてっぺんにおいても谷の底は見えません.
 低空を這うように飛んだら,一瞬しか見えなかったり,地面と区別がつきにくいこともあります.
 特にゆっくり飛べば.

 だからこそ対艦ミサイルは敵艦の防空圏内では低空飛行しますし,巡航ミサイルも同様です.
 サイズ,精密,は相対的な問題ですし,なによりティッシュペーパーは100m四方でもレーダーには映りにくいでしょう.
 バックが空でその物体だけが目立つ場合,バックが岩だらけだけどその物体が高速だから目立つ場合,いろいろです.

 精密といっても,相手の存在がわかればいいのか,おおよそのサイズが知りたいのか,凸凹もわかりたいのか,はたまたジェットエンジンの種類まで見たいのかで話は変わります.レーダーの波長,出力にもよるでしょう.
 一般にレーダーの波長が短くなるほど相手の位置が精確に,また細部までわかり,逆もまた真です.
 同じ波長,出力でもレーダーの性能が良ければ(サイドローブ,コヒーレンシーなど)精度も上がります.
 波長が短ければ細部がわかる替わりに到達距離が短くなり,逆も真です.
 レーダーには単なる反射波検知から,波長遷移,位相遷移,空間周波数変位などさまざまな解析モードがあり,合成開口(レーダー側の位置の移動によって目標を捉える),逆合成開口(目標の位置の移動によって捉える)などもあります.

 一例として,Lバンドの波長を用いた最新の大型(比較的)AESAレーダーを機載したウェッジテールAEW&C機は,360km離れた戦闘機サイズの空中目標,270km離れた哨戒艇サイズの海上目標を探知可能といわれています.
 しかしこれは,「標準的な目標を探知可能」であり,ステルス機であればどうか,戦闘機とセスナを識別できるかまではわかりません.

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◆◆◆兵装総記


 【質問】
 空対空戦で機銃を食らった飛行機が,爆発する理由がわかりません.
 機関砲も20mmになると,炸薬が入っているのですか?

 【回答】
 第二次大戦の話なら,燃料はガソリンなのですぐ火はつくし多少なりとも燃料を消費してると,タンクの空洞部分に揮発したガソリンが溜まってるので,容易に引火して爆発した.
 とは言え,「必ず爆発した」というものでもないけど.

 機銃弾も20mm以上になると炸薬が入っているものは多いが,飛行機はそんなに頑丈な構造でできてるもの ではないし,分厚い装甲が張ってあるわけでもない(例外あり)ので,大口径機関砲食らうと着弾衝撃だけでバラバラになってしまうことも多かった.

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 【質問】
 マリアナ沖海戦で零戦がバタバタ落とされる映像を見たことがありますが,現代の軍用機は,対空機関砲弾の直撃には耐えられる設計になっているのですか?

 【回答】
 基本的に現代の軍用機は,弾を「装甲で防ぐ」という構造にはなっていない.
 これはミサイルや誘導爆弾の発達によって,機関砲の射程圏内での作戦行動をするということが少なくなったため.
 もちろん当たり所によってダメージの大小は異なるが,基本的に機関砲弾の直撃には耐えられない.

 例外的にA-10やAC-130のように地上からの攻撃に晒されやすい攻撃機は,機体の下部に装甲板が仕込まれていて,最低でも乗員は守れるようになっている.

神゛聖\(^o^)/オワタ帝國 ◆u8nX3fKy0k in 軍事板
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 【質問】
 VT信管は現在でも使用されているのでしょうか?

 【回答】
 使われています.対空砲弾からミサイル等.

 流石に,構造は当時のものとは完全に別物ですが.

 かつては電波近接信管が普通でしたが,電波近接信管自体,使用される波長や電子戦対策としての電波の変調,符号化,広帯域化が行われており,さらに赤外線やレーザーを使用した光学近接信管も登場,普及してきています.

 特にレーザーを走査することで,目標を確実に識別すると共に,最適な起爆位置,起爆方向(指向性破片の場合)を判断するLADARが最近の進歩と言えます.
 このような高価な信管は,主に対空ミサイルに使用されています.

 ミサイルで言えば,スパローは電波信管,サイドワインダーは9Bが赤外線信管,9Dが電波,9Lがレーザー信管となっています.

軍事板

 【参考画像】
近接信管構造図


 【質問】
 ミニガンは銃身が所定の回転数に達しないと弾が発射できませんが,バルカンはどうなのでしょうか?

 【回答】
 やはりトリガーを引くのと一発目が発射されるまでにはタイムラグがある.
 ただ,航空用のM61は装弾の段階で整備員が調整して,スイッチが入ればすぐに薬室に弾が送られるようにはしてあるけど.

 バルカンは銃身の回転が安定するまではスペック通りの発射速度が出せない上に,弾着のバラけが大きくなるという構造的欠点がある.
 F-22に搭載されている改良型はそのあたりは多少改善されているらしい.

 ベトナム戦当時緊急に機関砲が必要だということになって戦闘機に積んだバルカンポッドは,動力が風力タービン(要するに風車.ポッドに風車がついてて,それが回転することによる軸動力で動かす)だったので,トリガーを引いてから定数回転になるまで一秒もかかった.
 ガス圧駆動の改良型はタイムラグが0.4秒にまで短縮されたが,これでもパイロットには「一呼吸遅れて弾が出るのでターゲットを逃す」と不評だった.

 M61A1バルカンのスピンアップ(定数回転になるまでに掛かる時間)時は,0.25秒ほどと言われる.

軍事板


 【質問】
 ミニガンをガンポッド化して,固定翼の航空機に搭載することもあるのでしょうか?

 【回答】
 確か,AC-119Gだったかがそれを装備していた様な….
 勿論,翼下に釣り下げずに,貨物室内に固定されていましたが.

 あと,O-2とその派生型の仏製FT-337が自衛用として装備していますね.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in mixi,2009年03月15日 22:25


 【質問】
 ロータリーランチャーの利点って何でしょうか?
 爆弾槽の容積を無駄にしているように感じるのですが.

 【回答】
 例えば,
OOOO
OOOO
 こういう爆弾の吊り下げ方法だと,上段のものは下段のものを全部投下しないと投下出来ない.
 また,例えば一発だけ落としたい時でも,吊り下げ方によっては重量バランスが偏ってしまうので,そういうことはできない,ということになったりする.

 結局「抱えてるものを一度に全部落っことす」には向いてても,それ以外の事に向いてないので,爆撃機がただひたすら爆弾積んで都市を焼き払う,という任務以外に使われるようになると,この形式では使い勝手が悪くなった.

 それで開発されたのがロータリーランチャー.

 あと,ロータリーランチャーであれば,爆弾とミサイルとか種類の異なる兵装を手軽に混載できる.

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