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◆◆◆翼
◆◆メカニズム
航空関連・目次
兵器FAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【質問】
 揚力を得る手段として複翼が主流でなくなったのは何故?
 戦闘は無理でも対潜哨戒とか滞空時間の必要な機種なら,まだ使えそうな気がするのですが.

 【回答】
 昔みたいに精々,100~200km/h程度の速度なら,むしろ翼が複数ないと揚力を確保できないのだが,エンジン出力が大きくなって速度が上昇してくると,複翼機の場合,二つの翼の空気の流れが干渉し合ってしまう.

 図で表すと,こんな感じになるのだが.

 →→→→→→
  ====
 ⇒⇒⇒⇒⇒⇒
 →→→→→→
  ====
 ⇒⇒⇒⇒⇒⇒

※→:早い空気の流れ
 ⇒:遅い空気の流れ
 =:翼

 こんな感じで,上翼の遅い空気の流れと下翼の早い空気の流れが干渉し合って,全体の揚力が低下してしまう.
 これにより揚抗比が悪化してしまう.
 一応,羽の付ける位置をずらしたり,翼の間隔を大きく空ける事である程度対処できるのだが,根本的には解決できない.
 ぶっちゃけ,単純に揚力が欲しければ最大速度を上げて,翼をU-2偵察機みたいに細長く伸ばす方が一番効率が良い.操作性や運動性は別にしてな.

軍事板,2006/01/21(土)
青文字:加筆改修部分

(画像掲示板より引用)

 【質問】
 航空機に関する質問です.
 胴体の上に主翼がついてるタイプと下についてるタイプがありますが,それぞれの長所と短所をお教えて願います.
 ちなみに輸送機の場合は,貨物の上げ下ろしを容易にするために下につけてると理解しています.

 【回答】
 高翼,中翼,低翼配置の空力的な得失は航空板のほうがいいと思いますが…….

高翼:胴体の上に翼
 航空機は主翼にぶら下がる形になり,横安定性はとてもよく胴体の空間も確保しやすい.
 エンジンナセルを主翼に取り付けた場合は,翼とナセルと胴体との間に空力的抵抗ができやすいが,その代わり地上付近で地面とエンジンの距離を遠くしやすい.
 大型機の場合,翼面と地面との間の距離が開くため,主輪を翼中に収納しにくい.

肩翼:中翼と高翼の中間
 幾分高翼っぽい性質を持った中翼.

中翼:胴体の真ん中辺に翼
 空力的には有利.
 ただし設計上,強度計算は複雑になる.
 主翼の桁構造を貫通させるかさせないか,スペースをとるか重量をとるかが設計士の悩みどころの一つだった.

低翼:胴体の下に翼
 胴体は主翼の上に乗る形になる.
 横安定性が低く,それによる不安定さはメリットにもデメリットにもなる.
 地面効果が発生しやすいので,離着陸と低空飛行に有利.
 だけどカスピ海の怪物達の低翼率はあまり高くない.
 ただし地面と近くなるのでエンジン配置には気を付ける必要あり.胴体下面を「翼の一部」と見なして設計しておくと,その分は翼面積が増えてお得になる.
 強度が要求される部分も重なって,重量軽減になるかもという話.

 軍用機でどんな損得があるかというと,基本的には最低地上高の問題になる.
 機体規模があまり大きく無い場合,低翼配置だと翼下のパイロンと地上の間隔がなくなり,搭載武装やタンクの寸法に制限を受けたりする.
 一方で主脚が短くていい=頑丈にできるという長所も.
 高翼配置であればこの逆で,翼下の搭載武装やエンジンボッドなどの配置が自由になる代わりに,翼からの脚が長くなるとか,胴体から生やしたらトレッドの確保に苦労するとかのデメリットに.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 F-16やSu-25などの軍用ジェット機はどれもこれも主翼が短いのですが,エンジン停止などしたらどうするのですか?
 滑空比もかなり悪そうだし,機体重量も半端ないので,不時着もできそうにありませんが,そのような場合は脱出しか無いのですか?

 【回答】
 Su-25はどっちかというとウィングスパンは長い方だけどな.

 基本的に軍用機は,エンジンが完全に停止して復帰の見込みがなければ脱出する.
 全く滑空飛行が出来ないわけではないが,エンジン停止状態で長距離長時間を飛行できるようには設計してない.

 双発機でも両エンジンが止まれば油圧装置が働かなくなり,滑空そのものが出来なくな
 油圧が抜けて操縦不能になるまでに1分程度だそうから,それまでにエンジンを1個でも再始動しなければならない

 それが出来なければ脱出.
 エンジンが全部停止しても滑空可能な距離内に着陸可能な滑走路があったら滑空して着陸を試みる.
 それが駄目でも,とにかく着水や着陸を試みる.
 墜落前提というのはさすがにやらない.
 実際そうやって無事に着陸した例があし,空港までたどり着けなくて道路や手前の海に降りようとした例もあ

 しかし,不時着はよほど陸地の条件に恵まれないと難しい.
 なるべく接近してから(あるいは敵地から離れてから)射出することになるのが普通.

 不時着水はどっちみち機体が失われるから,安全性がマシな射出を行うことになってるはず.
 まあ,輸送機なんかだと不時着水試みるしかないだろうけど.

 無事に降りられた事もあれば,大惨事になって生存者一桁とか全員死亡になった例もある.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 F-18やSu-27みたいに主翼の前縁が出っ張ってる戦闘機は,ストレークとして納得できるんですが,ビゲンやテジャスみたいにへっこんでる主翼は,なぜそうなってるのですか?
 あと,タイガー2の小さなストレーク(?)も,F-18と同じ役割ですか?

 【回答】
 ビゲンは大きなカナードと,深い前縁後退角の広い主翼を,エリアルールに合致するようねじ込んだ結果.
 テジャスはサージング対策として,迎角が負の時に,インテークに前縁渦が吸い込まれないためと推測される.
 後者は通常の戦闘機だと,主翼前縁より前にインテークを突き出して対処するんだが,テジャスの場合,深い前縁後退角をそのまま延長すると,機首に近い位置までくるので,その上でインテークを更に延長するのは,現実的ではないと判断したんだろう.
 ただし,以上はカスミンじゃないけど「想像します」なので,信じるかどうかは自己責任でお願い.

 F-5の前縁はご明察の通り.
 実はレガシーな Freedom fighter 時代からあったけどね.
 もう少し詳しく説明すると,あれは Leading edge root extensions (LERX)という構造.
 日本語に訳せば翼根拡大前縁だけど,大抵はストレークと大まかにくくっちゃう.
 F-5で失速抑止による運動性向上のために設けられ,P-530→YF-17→F/A-18と進化していく.
 まさにホーネットのストレーク直系のご先祖様.

軍事板,2010/12/08(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 エンテ型飛行機のメリット・デメリットは?

 【回答】
 エンテの利点は,
 1. 前翼は通常形式の尾翼より揚力を発生するため主翼を小さくできる.
 2. 飛行機の特性上,主翼は重心より後ろに取り付けられ,尾翼はマイナス揚力を発生する.尾翼のマイナス揚力分も,主翼はプラス揚力を負担しないといけない.
 ところがエンテの場合,先尾翼はプラス揚力を発生するので,逆に主翼の負担が減り,その分小型化できる.
 3. プッシャ-式を採用した場合はプロペラを最後部に置くことができるため,プロペラ効率がいい.
などであり,高速機とするのに都合が良かった.
 4. 戦闘機の場合,機首に武装が集中できる.

 欠点
 1. 設計上の困難さ.
 先尾翼は後尾翼より過敏に反応する事.運動性は高くなるが,安定性は落ちる(爆撃機や旅客機などには向かないが,戦闘機にはむしろ向いていると言える)
 すなわち,縦の安定性をプラスにするためには,前翼の揚力傾斜よりも主翼の揚力傾斜をきつくしないといけない.
 つまり,たとえば迎え角が+1されたときに前翼が2%揚力を増すとすれば,主翼はそれ以上の割合で揚力を増すように(つまり,全体として機首下げのモーメントが働く)設計しないとならない.
 また,安全な失速特性を得るには前翼が主翼より先に失速する特性を要する.
 しかし一般に,揚力傾斜のキツイ翼の方が失速は早い.
 つまり,相反する条件を満たさないとならない.
 2. プロペラが後方にあるので離着陸が難しい
 3. エンジン冷却とパイロット脱出時にペラに巻き込まれやすいこと.SAAB21は知らんが,震電の場合,後者は克服していた(脱出時にペラを火薬で吹っ飛ばした).

 結論的に言って,いくつかの難点を克服するための努力をするほどのメリットは無い.
 難点を解決してゆくと,ピッチトリムにだけ前翼を用いる(揚力を分担させない)変形無尾翼機に近づいてゆく(XP-55はその途中の姿と言える)

(haru, True/False ◆ItgMVQehA6他)


 【質問】
 大戦中のドイツやら戦後のアメリカは,円盤機を研究してましたが(アメリカのは,実験機が飛ぶところまでいったんですよね),円盤型にどんな意味があるんですか?

 【回答】
 チャンスヴォートXF5Uフライング・パンケーキ等の,通常のプロペラやジェットで推進し,滑走離着陸を行うタイプは,単なるリフティング・ボディで全翼機の亜種.
 アブロの一連の試作機等の,内蔵ファンで垂直離着陸を行うタイプは,いわばヘリの亜種でローターが露出しない事で対被弾性や取り回しの容易さ,被レーダー探知性の低減(ステルス性)を狙ったもの.

軍事板


 【質問】
 これまでに開発された円盤翼機を教えてください.

 【回答】
http://newsgroups.derkeiler.com/Archive/Rec/rec.aviation.military/2007-10/msg00731.html
によれば,
1910 August Klein Ringwing (GER)
1911 McCormick-Romme/Vought Umbrella Plane (US)
1911 Lee Richards Annular Monoplane & Biplane (GB)

1922 Thule-Vril Jenseitsflugmaschine (GER)
1929 Tesla Electrogravitational Aircraft Design (RUM)
1931 Trenn Flying Platform (GER)
1932 Guido Tallei Diridisk Blimp (IT)
1933 Antes Annular Wing Design (US)
1933 Arup S-1 thru S-4 (US)
1934 Nemeth Round Wing (US)
1934 Franz Phillip Sonnenstrahl Flugscheiben Designs (GER)
1936 Kalinin K-12 (USSR)
1937 Thule-Vril RFZ-1 (GER)
1937 Thule-Vril RFZ-2 Heisswasserflashe (GER)
1937 Thule-Vril RFZ-3 (GER)
1938 Thule-Vril RFZ-4 (GER)
1939 Thule-SS E-IV RFZ-5/Haunebu I (GER)
1939 Focke Schnellflugzeug Rochen Design (GER)
1939 Josef Andreas Epp Helioplane Design (GER)
1939 SS Tesla Turbine Flugscheibe (GER)
1940 Thule-Vril RFZ-6 (GER)
1940 Schauberger- Kertl-SS Repulsin A (GER)
1941 Vril-SS E-IV RFZ-7/Vril 1 Jaeger (GER)
1941 AEG Kugelwaffen (GER)
1942 Vril-SS E IV Haunebu II (GER)
1942 Vril-SS Vril 3 Falkejaeger (GER)
1942 Vril-SS Vril 4 (GER)
1942 WNF Feuerball (GER)
1942 Vought-Zimmerman V-173 Flying Flapjack (US)
1943 Vril-SS Vril 5 (GER)
1943 Vril-SS Vril 6 and 6b (GER)
1943 Schriever-SS Flugkreisel (GER)
1943 Schauberger-Kertl-SS Repulsin B (GER)
1943 Josef Andreas Epp Omega Diskus Design (GER)
1943 Vril-SS E V Andromeda-Gerat (GER)
1943 Vought XF5U-1 Skimmer (US)
1943 Boeing B-390 Design (US)
1943 Discopter (US)
1944 Coanda-SS Lenticular Flugscheibe Design (GER)
1944 Miethe-SS FLugscheibe (GER)
1944 Miethe Elektro Luft Turbine und Raumschiff V-7 (GER)
1944 Vril-SS Haunebu II Do-Stra (GER)
1944 Leichtscheiben (GER)
1944 BMW Flugelrad I V-1 (GER)
1944 BMW Flugelrad I V-2 (GER)
1944 Vril-SS Vril 7 Geist (GER)
1944 Arthur Sack AS-6V-1 (GER)
1944 Wibault Gyroter (FR-GER)
1945 Vril-SS Vril 8 Odin (GER)
1945 Zeppelin Werke Kugelblitz (GER)
1945 Vril-SS Haunebu III Ostara (GER)
1945 BMW Flugelrad II V-1 (GER)
1945 BMW Flugelrad II V-2 (GER)
1945 BMW Flugelrad III Design (GER)
1945 DFS-360 Design (GER)
1945 Gerhard Faulker Feuersturm Design (GER)
1945 Heinrich Fleissner Dusenscheibe (GER)
1945 Guiseppe Belluzzo Turbo-Proietti Design (IT-GER)
1945 Riva Del Garda Piastra di Volo (IT-GER)
1945 Dampfstrahl Antrieb Flugzeug Design (GER)
1945 Achenbach Spiegeli Design (GER)
1945 Vril-SS Vril 9 Abjaeger (GER)
1945 Vril-SS Vril 10 Fliedermaus Design (GER)
1945 Vril-SS Vril 11 Teufel Design (GER)
1945 Vril Gammagische Auge Design (GER)
1945 Die Glocke/Bell Device (GER)
1945 Focke-Wulf Triebflugel Design (GER)
1945 Heinkel Lerche & Wespe Designs (GER)
1950 Josef Andreas Epp-USSR Pirna Flugscheibe (GDR)

Postwar Others:
Townsend Brown Electrogravitic Disc Designs (US)
Rene Couzinet Disc (FR)
AVRO Canada Spade (CAN)
AVRO Canada Ladybug (CAN)
AVRO Canada Project Y (CAN)
AVRO Canada WS-601 (CAN)
AVRO Canada-US Army Avrocar (CAN-US)
Republic Aviation Disc Design (US)
Lockheed Project Silverbug (US)
Northrop NS-97 (US)
Lockheed LRV (Lenticular Re-Entry Vehicle) (US)
Bundeswehr FU-1 and FU-2 Flugscheiben
NASA Disc Lifting Bodies Designs x3 (US)
Hiller Flying Platforms (US)
Tier III Darkstar UAV (US)
Cypher UAV (US)
Suchanov Discoplan 1 (USSR)
Suchanov Discoplan 2 (USSR)
Suchanov Discoplan 3 (USSR)
Suchanov Discoplan 4 (USSR)
MiG Disc Fighter Design (USSR)
Cosmoplan Design (Russia)
EKIP (Russia)
British Railway Saucer Design (UK)
Searl Disc Designs (UK)
Geo-Bat (US)
Kehl Ring Wing (US)
Go Aircraft Disc Design (US)
Perter Plichta Disc Design (GER)

 その他,民間でもいくつかが開発されたという.



 【質問】
 この円盤機,何?

 【回答】
 アヴロ・カナダ VZ-9V「アヴロカー」.
 1952年,アメリカ空軍の資金援助を受けて開発開始.
 ターボジェット3基を内に向けて搭載し,その排気が中央にあるローターを高速回転.イブ・テルも高速回転(うそ).
 ローターが空気を機体の真下に吹き付け,揚力を得るという仕組み.
 どう考えても,ジェットの排気を直接,下向きに噴射したほうが効率がいいと思うのだが.

 機体周囲にはダクトが複数あり,あらゆる方向へ進むことが可能,な予定だった.

 しかし実際には,1.5m以上の高度では機体がぐらついて制御不能に.
(数cm浮いただけだった,という説もあり)
 このあたり,空の「ポポフキ」といったおもむき.

 搭乗員は2名だが,実戦ではさらに武装した兵士1名が機体後部に乗り組む予定だったとか.

 こうして計画はポシャったが,今もUFOマニアの間などで珍重されている(?)

消印所沢

▼ このVZ-9Vはいわば試験機で,ジェットエンジンも3基しか積んでおらず,将来的には量産機には8基搭載する予定だった.
 ただ,日本でも外地でも,これと量産機製造のY2プロジェクトが混同されている節があり,こっちのVZ-9Vのほうは「真のひみつのUFO開発計画」Y2のダミーだと,まことしやかに言いふらすのが多いので注意.
 たとえばムーとかムーとかムーとか.

 1959年7月,初飛行試験が実施されたが,高度1.5mで操作不能に陥り,そのため以後の試験は中断.
 最終的にY2も含めてキャンセルとなった.

 しかしなぜか,デイトンの空軍博物館にはおいてある.

ゆずこせう in mixi,2012年05月30日09:03


 【質問】
 震電で使われた,カナードと言う発想の機体も朝鮮戦争では使われませんでしたよね?
 これには何か致命的な問題があったんでしょうか?

 【回答】
 カナード形式機には大きく分けて,揚力を分担する「揚力カナード」と,揚力を負担せずピッチ制御のみ行う「制御カナード」があります.
 震電は前者です.
 いずれの形式においても,通常形式の機体(縦静安定がプラスのもの)では不可欠に近い水平尾翼ダウンフォースが無くなり,揚力が増します.

 言いかえると主翼を小さく出来て空気抵抗が減ります.これがメリットです.

 が,揚力カナード機は全翼機と同じ欠点,主翼のフラップその他制御翼面の生み出すモーメントを打ち消す能力が通常形式機よりも低いと言う欠点があります.
 震電の場合,ファウラーフラップを採用できなかった理由のひとつになっています..

 よって,主翼面積を増やす(元の木阿弥)か,同規模の通常形式機よりも高い着陸速度を受け入れるかということになってしまいます.

 制御カナード機は通常形式機と同等のピッチモーメント制御能力を与えることが出来ます.
 が,縦の静安定はゼロかマイナスになってしまいます.動的制御を前提としないかぎり,高度を維持して飛ぶことが出来ません.

(True/False ◆ItgMVQehA6)

ニセ震電


 【質問】
 前進翼の航空機の長所と短所を教えてクダサイ.
 採用してる軍用機もあるのかな?

 【回答】
 前進翼の特徴として
・胴体付け根から気流が剥離していくので翼端失速に陥りにくいため,高迎角でも飛行できる
・後退翼とは逆に負の上反角効果となり,ロール方向の安定性が減少する(=ロール方向の機動性を高められる
というものが挙げられます

 デメリットは
飛行中翼にねじり上げる方向に力がかかるため後退翼より翼の強度が必要
(=翼が重くなる 強度に方向性をつける事が可能な複合材を使用する事で緩和できる)
前縁に当たった電波は胴体方向に反射されるため,ステルス性に劣る
といったものがあります

 現在は多少の機動性を犠牲にしてもステルス性を重視する傾向のため,今後の機体に採用される望みは薄いです.

名無しAPG● ◆yvNqrnvsYY :軍事板,2006/02/22(水)
青文字:加筆改修部分

 特性としては,後退翼と同じく造波抵抗減少効果があります.
 尚かつ,高迎角時においても翼の特性が失われないと言う利点があります.
 失速は翼の付け根で発生する為,翼端失速の傾向はありません.
 つまり,失速しても翼端の補助翼に効きが残っているので,スピンに陥らないと言うことになります.
 これがために,戦闘機の機動性向上の手段として模索されていました.

 反面,前進翼では空力荷重を受けると翼端を捻り上げる力が強くなり,その変形が更に主翼の荷重を増大させ,捻れが拡大します.
 これに耐えるようにするには構造の強化が必要となり,翼が重くなると言う欠点があります.

 これを克服したのが複合材で,この翼を実験的に取り付けたのが,GrummanX-29です.
 次いで,Sukhoi Su-47がこれに続きます.

 前進翼自体は古くから考えられており,一番最初に軍用機として実用化したのが,第二次大戦中に製作された,Junkers Ju-287です.
 米国のP-51やX-1にも当初は前進翼案がありました.
 その後,久しく絶えてなかったのですが,1964年にドイツのMBBが製造した,ビズジェットのHFB-320Hansaで,これは西ドイツ空軍に於いて,VIP輸送機,ECM訓練機として用いられました.

(眠い人 ◆gQikaJHtf2)

 さらに,低速に於いては,空力荷重の問題はさほど大きくないので,グライダー等に結構採用されています.

軍事板


 【質問】
 前進翼に付いて質問です.
 1,前進翼が採用された軍用機と言うのが,ロシアのSu-47ぐらいしか見当たらないのですが,そこまで前進翼には欠点が大きいのでしょうか?
 2,ステルス性を気にする機体であれば前進翼を採用されないのは分かるのですが,気にしてないような機体にも採用されていないのは何故でしょうか?
 3,ミサイルの様な高機動を要求されるような物にはぴったりだと思うのですが,前進翼の付いたミサイルと言うのを見ません,採用されない理由が何かあるのでしょうか?
 4,米軍のAGM-129にはステルス性を求められて,機動性は求められるような種類ではないように思うのですが何故前進翼が採用されているのでしょうか?

 以上お願いします.

 【回答】
 以下のページで書かれてる,デメリットがメリットを上回るということ判断されてるんだろうね.
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C1%B0%BF%CA%CD%E3

 前進翼は構造強度が必要なので機体が重くなる,というデメリットはデカい.
 なのであまり好かれない.

 前進翼はステルス性は高い.
 後述のAGM-129が前進翼にしてるのも,ステルス性追求のため.

 空対空ミサイルはほとんどが速度の関係から,翼なんかなくても飛べるし,人間が乗ってないから無茶な方向転換ができる(ただし,速度出してると小回りは利かなくなる).
 なので通常の航空機のような,機動性の追及は必要ない.
 ミサイルは動翼を丸ごと動かして機動できるので,「全可動」を前提に欲の機動性をデザインした方がよく,そうなると構造強度の必要な前進翼形状は不向き.

 なお,前進翼とは少し違うが,蝶型の操舵翼を付けたAAMはある.
http://www.eurus.dti.ne.jp/~freedom3/AA-10-AY.htm
 AA-10 アラモだ.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 第二次大戦末期に全翼機Ho229が高速度を発揮したという話がありますが,朝鮮戦争において全翼機が活躍したという例は寡聞にして聞きません,
 これには何か致命的な問題があったんでしょうか?

 【回答】
 全翼機は胴体が廃止されて空気抵抗が減るように見えます.

 が安定性その他にも問題が生じます.

 また,着陸のためにフラップをおろすと,普通は機首下げモーメントが働きます.
 水平尾翼ないしカナードがあればこれを打ち消せますが,全翼機ではそうも行かないのが普通で,フラップを付けられない,または付けられてもあまり効果がないものを用い,大きな翼面積を与えることで安全な着陸速度を可能にします.

 胴体を廃止したことによる有害空気抵抗削減と,翼面積増大による有害抵抗増大は,等しいか,あるいは後者の方が大きいのが通例です.
 ですから,速度性能の向上と言う形でメリットを活かすことは大抵は出来ません.
 ノースロップXB-49などは似たような総重量,エンジン性能の通常形式機より低速でした.
 Ho229のように搭載量が小さい機体は別ですが.

 一方,胴体のある機体に比して大きな翼面積を許される,と言うことなので,機体規模の割りに翼幅を大きくしやすく,航続性能を向上させるメリットは活かしやすいです.

(True/False ◆ItgMVQehA6)


53名前:名無し三等兵[sage]投稿日:2005/09/08(木)03:15:16ID:???

 そういえば昔,かの宮崎駿が,自作に出した巨大空中軍艦(全翼機)を指して
「こんなデカイ垂直尾翼のある飛行機は,たとえ飛べてもものすごく速度が遅くなりますよ.
 だからあれは実は,レシプロ機に追いつかれる程度の速度しか出ないんです」
と,のたまっていたっけ.


54名前:名無し三等兵[sage]投稿日:2005/09/08(木)03:18:27ID:???

 ギガントといい,バカガラスといい,宮崎駿は「鈍重であっさり撃墜される超大型機」が好きだよな.
 B-29コンプレックスの裏返しかしらん.

軍事板


 【質問】
 ノースロップの造った全翼機の種類を教えてください.

 【回答】
X-216H 全翼研究機(1929年)
N-1M   全翼研究機(1940年)
N-9M   XB-35空力試験機(1942年)
XP-56  全翼戦闘機(1943年)全翼と言うには胴体部が大きいかも・・
MX-324 XP-79空力試験グライダー(1943年)
MX-334 XP-79空力試験ロケット機(1943年)
XP-79  全翼戦闘機(A型=ロケット,B型=ジェット)1945年
JB-1   全翼巡航ミサイル(1944年)
JB-10  全翼巡航ミサイル(1945年)
XB-35  全翼4発爆撃機(1946年)
YB-49  全翼6発ジェット爆撃機(1947年)
X-4    ジェット遷音速実験機(1948年)
B-2    ステルスジェット爆撃機(1989年)

 もっとあるかも・・

19 ◆NNFamWkE in 軍事板

 細かいところでは,YRB-49も単独でカウントしても良いのではと思いました.
YB-49はJ-35の8発.
YRB-49なってからがJ-35の6発 (翼内4+外翼パイロン2)であります.

軍事板


 【質問】
 全翼機に対するノースロップの偏愛について教えてください.

 【回答】
 全翼機は,ノースロップ社の創業者であるジャック・ノースロップの夢であり,そもそも会社そのものが彼の夢を実現するために設立されたものである.
 しかし,ジャック・ノースロップの夢はYB-49爆撃機の開発失敗によってはかなく潰え,彼は1952年に航空工業界を引退する.
 その後のノースロップ社は,堅実な機体の開発に努める事となる.
 だが1980年,パーキンソン病に冒され余命いくばくもないジャック・ノースロップは社に招かれ,軍の特別許可を得て,製作されたB-2の模型をプレゼントされた.
 それを見た彼は
「今こそ,神が25年の余生を与えたもうた理由が分かった」
と涙を流したという.

 翌年ジャック・ノースロップは,85年の生涯を閉じた.

軍事板
青文字:加筆部分

B-2爆撃機


 【質問】
 デルタ翼のメリット・デメリットってどんななの?

 【回答】
●メリット
 高速時の空力特性に優れる.
 後退角がでかい(斜めの角度がきつい)ので空気抵抗が普通の翼より小さい.だから加速も良い.
 翼の幅の割りに(三角形だから)面積を確保できる.
 翼の幅の割りに面積がでかいので,搭載スペースが増える.
 翼と胴体の接続面積がでかいので,強度を確保しやすい.
 翼を大きくしなくても搭載量が確保でき,加速も最高速度も良いので機体をでかく,強力なエンジンを用意しなくても良い.
 機体を小さくするにはもってこいな代物.

●デメリットは
 低速時の運動性,安定性が悪い(空気抵抗が低いからその分空気を捕まえられない)
 低速時に揚力が得られない為,離陸距離が長くなる.
 水平尾翼がなく,主翼の1番ケツだけで機体の上下をするので,支点がケツにある.よって上下方向の動きがチト鈍い.
 低速時に大迎角を取らないと十分な揚力が得られない.このため離着陸時の視界が大きく損なわれる.現代において純デルタがほぼ廃れ,カナード付きが増えたのはこの悪癖を緩和するためでもある,
(ただ,機首付近に突出物(=カナード)のあるデザインは,正面方向のRCS(レーダー被探知面積)を増大させる.いわゆる「ステルス性」にとってマイナス要因.よって将来の戦闘機ではカナード付きデルタは廃れて行くと予想されている)
 んな感じ.本当はもうちょっとあるけど.

 これらを対処するため,主翼の前に小さい翼(カナード)付けてみたり,コンピュータ制御でねじ伏せてみたりと色々試されてる.

 欧州機にデルタが多く,米には昔ちょっとあっただけなのは,欧州の国は予算と規模が限られてるので,一機種で色々やらなければならない.
 一機種で出来て規模の小さい機体でいけるのがデルタなので流行ってる,という感じ.
 米でも一時期デルタな迎撃機があったけど,デルタじゃなくてそれができる専用機が用意できるようになったので,結果消えた(その後グダグダでさらに次が生まれる)

 偏見とか入ってるけどこんな感じでどうでっしゃろ.
 なんか違う所もある気もする・・・

軍事板,2006/05/02(火)
"2 csatornás" katonai BBS, 2006/05/02 (kedd)

青文字:加筆改修部分
Kék karaktert: retusált vagy átalakított rész

(画像掲示板より引用)

 【質問】
 デルタ翼は低速時の安定が不安定(格闘戦に弱い)のでしょうか?

 【回答】
 デルタ翼は低速での安定性が低いなんてことはない.
 大仰角の画像をみてそう判断したのかも知れないが,あれは安定しすぎるぐらい安定した飛行だ.
 格闘戦については,たとえば中東では純粋デルタ翼のミラージュⅢが最強の格闘戦闘機だった.
 戦況を左右する要素が多すぎて,条件をよほど厳密化しない限り,結論はでにくい問題だ

 F-4はクリップトデルタ(尾翼付き)であって,カナード付きデルタのユーロファイターとはざっくり言って同じジャンルだ.
 極論だが尾翼が前にあるかないかの違い.
 航空機は一般に同じ形式であっても,各機種ごとに操縦特性はイヤってほど違う.
 逆にたとえばF-15とF-86は,格好も性能もずいぶん違うが,操縦特性は驚くほど似ているらしい.

 一般的な回答が無い問題といわざるをえない.

軍事板,2009/06/21(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 デルタ翼の戦闘機の空力特性について質問させて下さい.
 デルタ翼は前縁後退角を無理なく増やせるだけじゃなく,翼面積が広くとれ翼面荷重が低下するから,面積辺りの揚力は少なくていいので薄い翼にできる.
 だから抗力が減って揚抗比も高い.
 ここまではよく分かります.

 ですが,低速で揚抗比が低くなる理由がわかりません.
 タイフーンやラファールがカナードをつけているのは,離陸の時にそのままだと揚力が小さいからだそうですけど,なんで面積が広くて翼面荷重が小さいのに,そんなに揚力不足になるんですか?

 【回答】
 前縁後退角の深い典型的なピュアデルタの前縁は,翼端として機能しやすいという特徴があります.
 そのため,外気流の速度ポテンシャルが十分あるなら,前縁のかなり前方から翼端渦が発生します.
 この状態で迎角を増やした場合,翼上面に翼端渦が成長しヤギの角形に,左右一対二本の強い縦渦が発現します.
 このため,翼上面の気流のエネルギーが消費され,動圧が減少し,迎角辺りの揚力増加が抑制されて,抵抗も増えるため,揚抗比が低くなります.
 反面,渦により気流が制御されるので完全な剥離にはなりにくく,エネルギーの損失こそ大きいものの,失速迎角は大きくする事が出来ます.
 これにより「低速域で揚力を稼ぐ際の大迎角」という,コンコルドの離着陸で有名なデルタ翼独自の姿勢がとられるのです.
 カナードはこの姿勢をとる際に,機首を持ち上げる事で手助けし,
(離陸時,尻から持ち上げようとしすぎると地面に頭から突っ込みます)
同時にストレークとして機能し誘導抵抗により縦渦を後方に放出する事で,翼上面の気流にエネルギーを与え,失速を抑制する働きがあります.

 蛇足ですが,この現象は,迎角がマイナスの際に翼下面に向けて起こる事もあり,エンジンが翼下面後部に懸架されている機種では,サージングの原因となる危険があります.
 これを防止するために,コンコルドでは前縁を少しだけ下げており,前縁フラップと同じ原理によって,よどみ点の翼上面方向への移動を抑制しています.

 前半部分でもいくつか誤解が見られます.
 とりあえず一般的なデルタ翼についての話ですが,デルタ翼はそのアスペクト比の低さから,揚力傾斜が小さく,その反面,失速角が大きくなります.
 また,高迎角において,大きな後退角の前縁から発生する前縁渦により,揚力増大と失速を遅らせる(失速角の増大)効果があり,低アスペクト比・薄翼であっても 高迎角では比較的高い揚力係数を得る事が可能です.
(その反面,抵抗は大きい)
 そして翼根部のコードが大きい事から,構造上翼厚比を小さく出来,超音速域での造波抵抗を低減出来ます.
 ですので 亜音速の巡航状態や高迎角(高揚力)の飛行状態では,揚抗比は高くない というか低いです.

 今日的なデルタ翼がカナードを持つ意味ですが,
1.縦(ピッチ)の静・動安定性を得る.
2.縦のコントロールパワー(操縦力)とトリム(釣合い)を得る為の操縦翼面.
3.主翼上面の気流をコントロールするストレーキとしての役割.
といったところです.
 1.はかつてのエンテ機では機能として必要な物でしたが,今日のCCV化された機体においては低下しつつあります.
 2.のトリムは,かつての無尾翼デルタが着陸時揚力を得るため高迎角を取るためエレボンを上げると,貧弱な揚力係数がさらに下がってしまうという欠点に対する答えです.
(あなたが言ってるのもこの点でしょう)
 しかし今日のRSS(静安定弱化)された機体では,やはり重要性は低下してきています.
 反面,コントロールパワーの必要性は更に増大しています.
 3.は高迎角での安定性や揚力の増大に寄与し,機動性を拡大します.

軍事板,2010/12/01(水)
青文字:加筆改修部分

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 欧州はミラージュ2000やラファール・タイフーンなど,比較的新しい機体はデルタやカナード付デルタばかりですが,なぜなのでしょう?

 アメリカ機よりエンジンに劣る分,欧州機は空力の面でカバーせねばならないというのは分かりますし,米軍はすでにステルス重視になっているので形状が一歩や二歩以上進んでいるというのは分かるのですが,デルタがそんなに優秀だというのなら,F-106あたりからこれまで,米戦闘機に純粋なデルタ機やカナード付デルタの機体がないのが不思議です.

 【回答】
 尾翼のいらない三角翼機は,尾翼のある後退翼機や切欠き三角翼機に比べて,構造的に軽量で部品点数や工数が比較的に少なく安価に作れるなどの特長があり,できるだけ調達価格を抑えたい欧州諸国では半世紀近く前から人気があります.
 欠点としては,
・尾翼付きの機体に比べて低速時に迎え角を大きくとらねばならないため,機首上げ姿勢の角度が大きくて下方視界があまり良くないので,着陸が少し難しいこと
・地上の目標をパイロットが目視で探して攻撃するような任務には使いにくい
ことでしょう.
 カナード付きデルタ翼機のカナードには,尾翼の代わりにこの欠点を補う役割もあります.
 しかし,ただカナードを付けるのでは,デルタの特長を相殺してしまうので,結構苦心しているようです.

 米空軍が,迎撃専用の戦闘機であるF-102やF-106にはデルタ翼を採用しながら,それ以外の機種には現在までデルタ翼機を採用していない理由は,米空軍と欧州諸国の空軍の戦闘機に対する設計思想の違いが原因です.
 仮想敵国と国境を接していることの多い欧州空軍は,戦闘機の迎撃性能を主に重視し,海外に遠征して戦う米空軍は,様々な任務を幅広くこなせる万能性を戦闘機に求めたのです.
 この万能性という点で,米空軍はデルタ翼機に満足できなかったのです.

軍事板


 【質問】
 アスペクト比の計算式教えていただけないでしょうか?

 【回答】
http://www.jal.co.jp/jiten/dict/p030.html#03-03
によれば,
アスペクト比=(翼幅)^2/翼面積.

 以下,上記サイトより引用.

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(3)アスペクト比,縦横比(aspectratio)
 翼の細長さを示す値で,翼幅を翼弦長の平均値で割った値.
 したがって,グライダーの翼のように細長い翼では,アスペクト比は大きくなる.
 この値は,翼弦長が一定の翼,すなわち矩形翼のような翼では,翼幅を翼弦長で割って求められるが,一般の翼では翼弦長が翼幅方向に変化するので,下式を用いて求めている.
------------

軍事板,2006/05/02(火)
"2 csatornás" katonai BBS, 2006/05/02 (kedd)

青文字:加筆改修部分
Kék karaktert: retusált vagy átalakított rész


 【質問】
 トリムタブってなんですか?
 ついてない飛行機はどういうこと?

 【回答】
 トリムとは釣合調整の事.
 飛行機は速度の変化や燃料消費による重心位置の変化により釣り合いが変わる,
 それを調整する専用の翼面をトリムタブと呼ぶ.
 専用の翼面を持たず,他の翼面で調整する機体もある.
(ピッチのトリムを調整するのに,エレベーターや水平尾翼自体を動かすとか)

軍事板


 【質問】
 垂直尾翼が2枚になったのは,いつごろから? 又なぜ?

 【回答】
 はじめから.

 垂直尾翼を2枚にする場合,1枚の高さを低くして収容スペースを削減でき,また2枚にすることで生残性(1枚生きてりゃなんとかなる)とか機動性(2枚を連動させる)を向上させるメリットがあります.

 デメリットは当然,2枚にすることによる重量や整備性,コスト面(部品数が増えるから)などの問題が生じます.

 垂直尾翼を1枚にするか2枚にするかは,飛行機が誕生した頃からメリット・デメリットを勘案して決められてきた,正解のない(あるいは正解しかない)問題なのです.

 超音速時代になると,垂直尾翼の利きが低下する事と(尾翼容積の増大が必要),機動性の向上の為 高迎角特性が重視され,幅広の胴体の機体では胴体の背面(剥離流)で尾翼の利きが低下する為(特に背が低いと),出来るだけ高い尾翼を出来れば両サイドに付けたいとなった.
 (更にストレーキ等でエネルギーの有る気流を尾翼付近に誘導とか,でもおかげで振動起こしたりとか有ったりして)

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 F-4ファントムあたりの世代機体だと垂直尾翼が小さいのに,その次世代の,F-14以降の機体には巨大な垂直尾翼か,あるいは2枚もつくようになったのは何故?
 機動性を確保するため?
 垂直尾翼を大きくすれば,機動性が良くなるのですか?

 【回答】
 F-4が設計されたころは,超音速戦闘機は高い迎え角での飛行を滅多に行わないものと見られていました.

 しかしベトナム戦争などありまして,超音速戦闘機であっても旋回を繰り返して敵を追うこと,またその最中に機体姿勢の制約を厳守することは訓練されたパイロットであっても難しいと分かりました.
 そのため,MIL-F-8785規定が定められ,「敵の動きに注視している」"Head-out-of-cockpit"状態のパイロットが何をやっても,機体特性が原因での操縦不能状態に陥らないことが戦闘機に求められるようになりました.

 というわけで,空気抵抗も重量も増えることを承知で大きな垂直尾翼を備えるようになりました.

 F-14の場合,距離を離して配置されたエンジン系統の間を流れる空気とフィンもこれに寄与しています.
 また,制御系にも高迎角時の水平尾翼作動制限を(飛行試験の結果)加え,「失速してもデパーチャーに入らない」特性としています.

軍事板

F-14

(画像掲示板より引用)


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