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総記FAQ 目次


(画像掲示板より引用)


 【Link】

「2ch.軍事板」◆(2003/03/04~) おまえらRMA(軍事革命)についてどう思いますか?
 レス回収済

Armed Force Journal

blackfive.net(英語)

CRS@空挺軍 in mixi,2009年08月23日20:02
http://rg.ru/2009/08/17/reg-ural/reportazh.html
 軍と内務省が紛争地域に飛び込むジャーナリストのために,紛争地帯の身のこなし方や危険物についての講習会及び実演訓練を開催した

Defence

ЗАРУБЕЖНОЕ ВОЕННОЕ ОБОЗРЕНИЕ
 古今東西各国軍

「FSM」◆(2009/09/25) 軍隊の目的 ~王様の耳はロバの耳~

「LA Times」◆(2012/07/02)'Pacific pivot' by the U.S. needs rethinking
「軽量版エアシーバトル」をおススメするマックス・ブート(ネオコン)

「Military Times」

「Togetter」◆(2011/05/05)面白い戦闘描写の書き方講座とその応用

「YouTube」◆[MAD]Parade

朝目新聞」:●軍隊の面白い知識やコピペ貼ってけ  (of ぶる速-VIP)

「朝目新聞」(2013/03/12)●(歴史上)世界一厳しい軍隊ってどこ?(現在進行形)

「アルファルファモザイク」:(20100118)各国の軍事力について考えてみよう

「海洋戦略研究」:『陸軍と海軍』

「黒ワニとハーモニカ」◆軍事書庫

 メインは二次創作のようですが,コンテンツの書庫の下の方にある軍事書庫内の
米軍の輸送・補給システム
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Sirius/6597/transcom.html
は中々のものだと思います
 日本語のサイトでここまで明確に,しかも分かりやすい解説はないのでしょうか?
 参考文献も明記してありますし,「軍事とロジスティクス」や「現代ミリタリー・ロジスティクス入門」と合わせて読むと,より理解が深まるのではないでしょうか.

------------戸R in FAQ BBS,2015/1/27(火) 18:25

「小説家になろう」◆(2012/10/27~) ミリオタでなくても軍事がわかる講座

 連載されている場所は「小説家になろう」という名前通り,小説投稿サイトです.
 投稿場所について疑問や異論等あるかもしれませんが,内容は分かりやすく,癖の無い文なので読みやすいのではないでしょうか.

------------戸R in FAQ BBS,2014/6/17(火) 20:59

ストライクウィッチーズの軍事設定|第49回日本SF大会TOKON10 2010.8.7-8

戦時中,戦場でほのぼのとした話し

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2010/01/17)【3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言】組織にとって最適な規模とは 機能や仕事に必要な情報を最も有効に扱える規模である

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2011/09/12)【3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言】イノベーションに成功する者は 左脳と右脳の両方を使う
>ドラッカーは,1000件に上るイノベーションの事例を集めて,それらの発想に至る契機を一つひとつ調べて分類していったと伝えられる.

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/06/11)【3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言】ドラッカーが問いかけた いかなる組織にもかかわる「最も重要な5つの質問」
> 成果が現れるのは,今日ではなく明日かもしれない.
> しかし行動するのは,明日ではなく今日である.
> 今日以外に行動の日はない.

「地政学を英国で学ぶ」:大佐の体験:その1
 「摩擦」について

「地政学を英国で学ぶ」◆(2010/11/25)RMAに関する文献

「地政学を英国で学ぶ」◆(2010/11/25)RMAに関する文献:その2

防衛省◆(2001/09) 情報RMAについて
http://www.mod.go.jp/j/approach/others/kaihatsu/rma.pdf

電網将校参謀本部

「暇は無味無臭の劇薬」◆(2013/05/05) 「世界の軍人が楽しそうにしている画像が集まっているスレ」海外の反応

「ひろぶろ」:1960年代に描かれた「未来の戦争」や「未来の生活」の想像イラスト

「リアリズムと防衛を学ぶ」:世界の軍隊がつくったリクルートCMを比較してみる

「リアリズムで防衛を学ぶ」◆(2010-03-22)「桃太郎の軍事学」 から 「日本の海防史」まで

●書籍 →「軍事組織関連書籍総記」へ


 【質問】
 各国の防衛計画って結構広く知られたりしていますが,手の内がばれて問題になったりしないのでしょうか?
 我が戦力を隠して,(仮想)敵に我が軍を弱く見せておいた方が,敵の油断を誘えるので良いのではないでしょうか?
 我が方を弱く見せる
→敵は油断して攻めて来る
→しかし,実は精強無比な我が軍が敵を片っ端から返り討ちにする

こんな感じで.

 【回答】
 ばれても構わない情報なので公開しています.
 詳細が判らなければ,手の内を晒すことに繋がらないでしょう.
 計画への対抗策で敵対国に負担を強いる事で,優位を得たりする事も出来たりします.
 SDI計画等が良い例でしょう.アレは殆どブラフでしたが(笑).

 それに,無闇に情報を隠す事で敵対国が自国の軍備を過小評価し,結果として動乱を招きかねません.
 戦争の発生原因には,相手国の軍備の過小評価が例としてよく挙げられます.

 また,軍事計画を無闇に隠匿する行為は,信義で維持される国際関係を損なう行為と見られるでしょう.
 世界に緊張緩和と核軍縮を謳いながら自国だけ軍拡を行なったソ連が,露見した後に浴びた非難を見れば分かると思います.

 軍備とはあくまでも戦争を抑止する為の手段なのです.計画をちょっと公開するだけで戦争を抑止したり,侵略の意図を挫けるのなら安いもの.

ue ◆WomMV0C2P. :軍事板,2006/03/13(月)
青文字:加筆改修部分

 強く見せた方が抑止力効果が働く.
 仮に弱く見せれば,戦争以前の外交で,相手国との軍事プレゼンスを誇示しあう事が必要な場面が出てくる.であれば最初から強く見せた方が,軍備がもたらす効果をよく利用できる.

 例えば,軍事評論家・江畑謙介が戦艦大和を非難するのもそういう論理.
 戦争することを前提に軍事力を整備するわけだが,実際の殴り合いにならないと役に立たない兵器は,次善の策なんだ,と.
「性能を秘匿してアメリカ艦隊に大打撃を!」
「戦争が抑止できなかった時点で,軍事力としては失格です」
というわけ.

 なお,大規模な組織・予算・編成・練度の維持を必要とする軍隊で,敵国の情報収集の目を欺く事が出来るほど,実力を隠す事は事実上不可能.


 【質問】
 日露戦争でロシア海軍が消滅してから,日本海軍は(当面の脅威でないはずの)アメリカ海軍を仮想敵として軍備を増強したり,アメリカも現実味は薄くともレインボープランを立てたりしてますが,軍隊の常に仮想敵を求める体質は普通なんですか?
(まさか現代の仏軍は英や独との,韓国軍は日本との戦争をシュミレートしてたりして)

 【回答】
 仮想敵を求めるというか,実際に戦争が起こる可能性はともかく,地図を見れば相手は決まってくる.
 日本vsスイスの戦争といったようなものなど地政学上,まず起こり得ないが,その逆の存在もあるわけで.

 で,軍隊,そして安全保障というものは常に備えておくもの.
 仮に現時点で非現実的であっても,その状態が未来永劫続く訳じゃない.
 したがって,防衛計画立案の段階で,自国に脅威を及ぼす能力を持つ国を相手として想定するのは当然.
 しかし,全地球の国家それぞれを相手とした軍備など不可能だしその必要もないから,優先順位の高い順=利害の衝突や位置的に戦力の接触が起こりそうな順に,戦争状態に陥った場合の対応を想定する.
 これが仮想敵国.
 仮想敵を設定しないと,その国と戦争になった場合,こちらはどういう攻め方・守り方をすべきか検討できない.
 軍備の内容もそれに合わせて考えることになるしね.

 したがって,別にあなたが表現したような.
常に仮想敵を求める体質=次はこいつと戦争してみたい
と言う様な性質のものではありません.

 明日授業で当てられるのがわかってたら,億劫でも予習するなりアンチョコ作ったりするでしょ?
 学生なら恥掻くだけで済みますが,国家間では国が滅びます.

 現実問題として,流動化する国際社会で,仮想敵国がある時代が途切れる事が無いってのもある.
 日本だって,ソビエト崩壊したから北朝鮮や中国を敵国として想定したわけではなく,ソビエト崩壊以降の時代にあって,流動する国際社会の中で実際に敵として明確な存在になってしまったわけだし.

 で,そのプランを実際にどう活用するかは政治の役割.
 選択肢のはずのプランに,逆に政治や軍隊が振り回されることがあるのは,ご存じのとおり.

>(まさか現代の仏軍は英や独との,韓国軍は日本との戦争をシュミレートしてたりして)

 現在,フランスは英独と同盟国だし,韓国も日本とは米を介しての準同盟国ではある.
 しかし,英独はフランスの,日本は韓国の主権を軍事的に侵しうる能力と地理にあるのは事実.
 で,あるならば.具体的な戦争計画立案とまではいかなくとも,研究くらいは当然している.
 日本も同様.
 在韓国大使館にだって自衛官や情報官僚が駐在している.


 【質問】
 軍人は戦争には消極的って本当ですか?
 本当だとしたら,旧日本軍の暴走はなぜ起きたのですか?
 参謀本部は好戦的だったのですか?

 【回答】
 一般的に軍人さんは戦争をやりたがらない.
 だって戦争になったら死ぬのは自分や自分の部下だから.

 だが,軍人は軍人でも,参謀本部や軍務省(日本だったら陸軍省と海軍省)勤務の軍務官僚は戦争になっても現場に出ないので,そういった観点からの戦争嫌悪はあまり強く持たなくなる.
 その替わりに「軍人の存在意義を示したい」といったメンツや欲望,他の省庁との縄張り争い,予算争いといった利権が行動の原動力になっていく傾向が強く,現実を無視した行動に走るようになる.

 あと,当たり前だが軍隊は戦争が起きた時にしか役に立たない.
 本当は平時でも軍隊の存在自身が「抑止力」として国を守っているのだが,そういった形にならないものはなかなか評価されないので,軍隊という組織は平和な時代は常に
「国民や為政者に役立たずと言われて削減される恐怖」
に怯える事になる.
 これは
「自分たちが役立つ組織であることを示したい」
「自分たちを役立たず扱いして見下す連中に,目に物を見せてやりたい」
といった歪んだ感情を軍人に持たせることが多く,過剰に仮想敵国を意識した行動をとって無意味に国際関係を緊張させたり,ちょっとした武力衝突を「現場の判断」で全面衝突に拡大してしまう,「軍部の暴走」を招くことに なる.
 また,平時に
「役立たずと思われているんじゃないか」
という思いは,逆説的に有事には
「ここは自分たちの素晴らしさを示そう」
「頼られたからには頑張らねば」
という,「信頼に答える結果」を出したいという軍人の奮起を呼び,必要以上に軍隊が「頑張って」しまうことがある.
 これも,「国民の声に答えるために」という名目で軍隊が暴走する結果を招く.

 なお,戦前の日本は,特殊例過ぎて参考にならない.
 参謀本部のみに限れば,支那事変の戦端を開く事には消極的だった.
 政府や海軍がイケイケだったり,現地軍が参謀本部の制止を振り切って南京まで侵攻したり,近衛や廣田がポカしてグダグダの果てに泥沼へと陥った.

▼ 【格言】
 勝利の軍というものは,先ず勝つ条件を満たしてから実際に戦う.
 敗北の軍は先ず戦い始め,それから勝ちを求める.

――――――孫子の兵法▲


 【質問】
 ちょっと事情があって,周りを軍隊色を濃くして,自分も軍人っぽいキャラになりたいので,軍人っぽい喋り方や,こつを教えてください.

 【回答】
 とりあえず自衛隊用語使うのが良いかと.

灰皿・・・エンカン
食事・・・契食
脱走・・・脱柵
引継ぎ・・・申し送り
新社員・・・新兵
~してください・・・~されたい
スコップ・・・円匙(エンピ)
教えてください・・・教示方
など.

 その上で,陸自風なら常に時間をチェックし,例えば十時なら「ヒトマル~」ってな具合に,口に出して確認します.
 その調子でいちいち予定を立てて,その通りに行動しましょう.

 海自風なら,陸自とは敬礼の仕方が異なります.
 やや小さく敬礼するのがコツです.
 ジェントルマンシップを忘れずに,常にスマートに行動しましょう.

 共産圏風なら,他人は全て「同志」と呼び,突撃する時は「ウラー!」と叫びましょう.

 一般的に,部下に何か命令を伝える際は,伝えた後に「命令を復唱せよ!」といって確認させましょう.
 誤解が減る効果が期待できます.


97 : 名無し通信兵[uge] 投稿日:03/05/04 20:19 ID:???

 ・・・やばい,お見合いで「私」を「自分」と言ってる.
 早く自衛隊用語から抜け出さなければ・・・(苦笑

軍事板,2003/04/18-05/04
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 何故,カナダ,オーストラリア,ブラジルの3ヶ国は,世界でも有数の広大な国土を有しているのにも関わらず,その割りに軍事力が低いのですか?

 【回答】
 人口と予算がなければ,国土だけあっても軍隊は作れません.
 国土と軍事力は単純に比例しないのよ.
 人口比やGNP比で見てみるといいんでないかな.
 オーストラリアに限って言えば,主要都市は沿岸部に点在していて,実質守るべき地域は狭かったりする.無人の荒野に軍隊を駐留させてもあんまりメリットはないので.

軍事板

 カナダにしてもブラジルにしても,豪州にしても身の丈以上の軍備を指向した時代もありました.
 しかし,それをすると国の経済が破綻することを身を以て知ったので,現在は相応の軍備を整えるようになっています.

 1950年代後半から60年代に掛けて,例えば,カナダは国産ジェット戦闘機の開発に成功した後,更に国産発動機を用いた超音速の超大型ジェット迎撃戦闘機を開発しようとしていましたが,その価格高騰に防衛予算が付いて来れずに破綻しかけ,結果開発を放棄して,前に不採用にしたF-101と,無人戦闘機ボマークを採用しています.
 後者は,実際に食わせ物で,直ぐに退役の憂き目を見ましたが,航空機産業はその失敗により壊滅的な打撃を被りました.

 豪州,ブラジルは,核兵器保有を志していました.
 豪州は英国の核実験に自国の砂漠地帯を提供していましたが,その実験データは,豪州にも渡されていました.
 ブラジルも核爆弾の国産化を指向し,それを搭載するロケットの開発に勤しんでいました.
 しかし,オイルショックによる経済の悪化で,それどころではなく頓挫しています.

 人的資源の少なさというのはその通りです.

眠い人◆gQikaJHtf2


 【質問】
 何故,西洋式の軍隊が世界の軍隊の主流になり,東洋式の軍隊は廃れたのでしょうか?

 【回答】
 19世紀,独立を保ってた東洋の国のうち,当時世界有数の東洋式軍隊大国であった清が西洋式軍隊を誇るイギリスとフランスに敗れ,日本は東洋式軍隊を捨てて西洋化に走っちゃったから.
 東洋式軍隊の二大国のうち,一方が敗れ,もう一方が西洋式軍隊を選んだ時点で,東洋式軍隊が廃れるのは決まったようなもん.
 他に独立してたのは,あとは緩衝国として残されたタイくらいなので.

 そして,維新頃から以後に日本が何に血道を上げたか調べれば,要するに兵器の違いが決定的と分かる.
 西洋式というのではなく,産業革命以降の最新式軍備に旧来の軍備が負けた,というだけ.
 産業革命以降の西洋軍隊は,それ以前の西洋軍隊と同質ではないのだから.

 この点については,「戦争の世界史」や「火器の誕生とヨーロッパの戦争」をお薦めする.
 単純に軍隊の違いだけじゃなくて,バックボーンとなる思想・技術・社会の,戦争に絡んだ発展が近世~近代での逆転を引き起こしたと言えるよ.

 例えば清とかは官僚制度がしっかりしてた分,保守的に陥り,社会全体の発展性は遅くなる性質になってたのと,学力と試験に合格した人間が優良とされる社会観から,肉体労働階級や技術職人はあまり省みられない,という状態になっていた.
 これでは技術とかが発展のしようもない.
 こういう性質は,科挙制度や儒学・儒学者優先の中国および朝鮮半島の歴代王朝・政権に共通して見られ,一部日本にも(現代まで)影響が見られる.
 西欧の戦国時代を目の当たりにしたトルコや,西欧との貿易で情報は入っていた清の軍隊が,それほど発展しなかったのも,それが原因と言える.

 余談ながら,イギリスだったかの外交官が清に使節に来て,テニスを紹介し,紳士・貴族のスポーツなんでやってみませんか?と清の高官に持ちかけたら,
「じゃあ従者にやらせましょう(高貴な私が肉体を動かさないのが当然)」
と答えたというエピソードがある.
 支配者階級がそんな認識なんだから…

 加えて,隣で戦争があっても自分の所で戦争が起きる必要性がなければ,それに対する備えや,現状の改良もおざなりになるのは当然.
 戦争で一部分野が発展するのは,平和な時にはあまり割かないリソースを必要に迫られてる時だからと,注ぎ込めるからでもある.

 ま,第二次世界大戦時の日本とかは.注ぎ込むリソースが元から不十分だった例だけど…

 と,いうわけで,
「西洋式軍隊,東洋式軍隊という区別は存在しない」
というものが回答になりそうだ.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 中国やソ連は地方によって,言葉がまったく異なりますよね.
 そういうやつらがごちゃごちゃに軍に入隊していたら,意思疎通はどうするんですか?
 指揮官が何を言ってるんだか分からないんじゃ,戦争どころじゃないだろうと思うのですが.
 それとも,出身地ごとに軍を編成するんですか?
 現在の中国の広州軍,上海軍とかいうのは,出身地ごとの編成という理解でいいんでしょうか?

 【回答】
 普通はその地域出身者でまとまってることが多いのであまり問題にはならない,のだが・・・.

 大戦中のソビエト親衛軍は「人口比率に従って」部隊の人員を構成したので,
「中隊長の命令は,自分が通訳してAに伝えます.
 Aは通訳してBとCに伝えます.
 BとCが通訳して・・・」
と,伝言ゲーム大会になったそうだ.

 結局,大概の指揮官は
「言葉で命令伝えなくていいから,とにかく俺のやったことと同じことをしろ.
 俺が走ったら走れ.
 伏せたら伏せろ.
 俺が銃を撃ったら同じ目標に撃て」
という「指示」を出す羽目になったとか.

 中には戦車中隊で,特に集中射撃の命令を出してるわけでもないのに中隊全車で同じ目標を撃ちまくり,
「みんなで同じ敵を撃ってどうする! 数の優位が生かせないだろ!」
「えー,だって隊長,『俺と同じ事やれ』って言ったじゃないですかー」
という,ギャグみたいなことになったりもしたそうだ.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 漫画『鋼の錬金術師』での質問です.
 舞台は,産業革命のイギリスでだいたい1910~1920年頃の軍事独裁国家が舞台なのですが,組織図がアンチ・スレッドで
「おかしい・ありえない」
と指摘されていたのですが,実際どうなのでしょうか?

 この国は20年前から今の大総統と軍部が支配している軍事独裁国家で,内陸地にある国家です.
 北は険しい山脈で大国と不可侵条約を結んでおり,西と南の国境は緊張状態で東には大きな砂漠とシン国間(国交がない)の鉄道が広がっています.
 内紛が度々起きていて,7年前に宗教観の違いから7年間続いた内紛で民族を滅ぼしています.
 軍属の国家錬金術師になると,少佐待遇になります.

 宜しくお願いします.

 ファンブックに出てた組織図がこんな感じ.

            ┏━━━━━┓
            ┃ 大総統  ┃
            ┗━━┳━━┛
支配・操作 ┌─────┸─────┐
┌─┬──┤   大 総 統 府    .┝━━━━━━━━┓
│ │    └─────┰───┬─┘     ┌────┸─────┐
↓ ↓    ┏━━━┳┻━━┓ └─┐    │ 中 央 司 令 部 . │
裁 議.    ┃    ┃    ┃    │     └─┬─┬────┬─┘
判 会    錬    国    錬    士.        │ │      │
所       金    家    金    官      憲  広   ┌┬┴┬┐
        術    錬    術    学      兵  域    西北南東
        学    金    研    校      司  司    方方方方
        校    術    究           令  令    司司司司
              師    機           部  部    令令令令
              機    関           │  │    部部部部
              関    │           │  └‐─┴┴┬┴┘
              │    │           └────┬─┘
              │  ┌┼─┬─┬─┐      ┌──┴──┐
              技  第 第 第 第 第      │ 憲兵組織│
              術  五 四 三 二 一      └─────┘
              研  研 研 研 研 研
              究  究 究 究 究 究
              局  所 所 所 所 所
                  ※
                  閉
                  鎖

軍事板

 要するに軍政上層部を乗っ取られ,錬金術で奇形的に発展した傀儡国家だから.
 乗っ取られたのと発展したのとの前後関係は不明だけど,国家が発展したのには大総統の関わる一派が相当に裏で関わっていると暗示されている.
 大総統自身,国家経営よりも一派の手先としての行動を優先し,そのために国家を疲弊させる真似を平気でしている描写がある(アニメ版だけだったかな?)

 民族テロが続いたり宗教家の煽動で内乱が起きたり,安定した治世でも何でもない.
 冷戦のころ,米ソから援助を受けまくって軍事力を肥大化させた独裁制の小国に一番近いイメージ.

 ちなみに主人公等は工兵的な働きもしている.
 軍用生物の研究,錬金能力を高める薬研究とかの裏方をやっている錬金術師も重要な話で出てくる.
 まあアクション主体の架空戦記の常として前線で戦うキャラが目立つわけで,主人公が後方なだけでも,まだ兵站とか描いている方.

サヨ@犬隊長

 【回答】
 まあ,「大総統府」とやらの組織図が分からないのが肝かと.
 おそらく巨大で複雑な組織でないかい? 大本営と内務省合わせた様な(笑).

 それと,士官学校が軍から切り離されすぎてる気がするんだが,
 これだと「大総統」のヒトラーユーゲントみたいな感じで培養された純粋まっすぐ君ばっかり排出してそうでちょっと怖いな.
 錬金術師が軍を支配している割に,これも組織的には離れてるんだな・・・・
 まぁ,悩むだけ無駄だろうけど.

 あと,やっぱり議会・裁判所が形骸化し,チェック機構を失っていたり,予算をどうとでも集めて組めるようになってるあたり,この国,絶対長くないよな…というのが印象かな.

 イメージというか参考にしたのはナチスドイツなんだろうな,これ.

 そもそもこの漫画って,大総統相手に人事で直接意見したり,上官の異動の指令に従えない!って異を唱えるような軍だからな….
 他にも,上官を公然と無能呼ばわりしたり,命令中に煙草を目の前で吸ったり,ボタン開けっ放しで上官の訓示聞く部下がいたり,祖父が将軍で父親は反体制思想もってる錬金術師って設定の中尉が出てきたり,左官や尉官が敵前逃亡や任務放棄繰り返してもお咎めナシだったり….
 一極集中の独裁国家でこれじゃ,もう国家崩壊寸前かも・・・

 それとあと,陸海空じゃなくて人民解放軍みたいに軍区制になってるみたいだが,大総統が死んだら一気に軍閥化して,群雄割拠になりそうだな~.
 内陸国だから,その国には独立させるほどの水上部隊は無いってことなんでしょうが.
 つーか,この軍隊って憲兵しかいねーの?
 しかも憲兵司令部とその他司令部の同率下位だし.

 てゆうか,国家錬金術師って,最前線で殺戮兵器として使うより,工兵として使った方がよくないか?
 瞬時にして障害物を焼き払い,爆破して,塹壕を作ったり,必要な物資を生み出したり
 もっとも,これでは,社会の厳しさと残虐描写を一緒くたにしているお年頃の読者様方には受け入れられないのかもしれんが(笑).

 まあ,軍関係の設定は完全無視して,ファンタジー漫画として楽しむのが勝ち組かな.
 そこら辺はそんなにこだわるべきとこじゃ無さそうだし.人気の秘密はそこじゃないだろうしね.

 ただ,この漫画でサブ主人公かもしれない軍人Mが大総統を目指しているので,軍組織が曖昧だと,その目指してるMの存在意義が無くなってしまう.
 そして12巻つづいた現在でも
Mの役職が原作でもガイドブックでも発表されていません
Mの補佐官である女性軍人が敵の虚言を信じて軍務放棄で自殺未遂
大総統を目指してるMにはまったく人脈が無い(Mもその補佐官の女軍人も「有能」という設定)
というありさま.

 鋼の話の筋立てとすると
1,兄弟の本筋
2,兄弟と絡む人造人間(ホムンクルス)の一派
3,兄を軍属に推薦して国家資格を取らせ,後に兄弟と絡むマスタングの一派
(4,軍を憎んで国家錬金術師を殺しまくるイシュヴァール人スカーとその仲間達)
(5,中華の皇子と皇女様一派)
の,基本的には三本柱だと思うんですよ.
 2.の人造人間の一人は大総統で,軍のトップは大総統が人造人間であるのを知っている.
 3のマスタングは大総統を目指している.
 1の兄弟達は軍属.
 軍をしっかりかかないと話が破綻すると思うんですよ.
 実際僕はマスタングを追って話を読んでいたので,思いっきり軍の話は本筋です.

公式ガイド1で少尉から士官と書いたのに,
公式ガイド2で士官学校卒業で准尉と書かれていたりと,
読んでるこっちは頭がこんがらがってます.

 個人的には別に穴だらけの軍事国家なんてリスキーな舞台じゃなくても,普通にファンタジー世界でいいじゃんとは思ったが(笑).

軍事板

 Mってマスタング大佐ですよね?
 階級と普段の仕事から察すると,司令部の情報課長か特務課長?にしては現場に出張り過ぎなような.大佐の割に現場出過ぎなんですよねぇ,マスタング.
(辻ーんがモデル?)

 組織図から指摘できることとしては,
・軍政組織の所在が不明
・広域司令部の存在意義も不明
・作中の憲兵は,国家憲兵のような振る舞いを見せる割に,軍令に近すぎる
というのもあるのではないかと.

 まあ,リアリティを売り物にしているわけではない話の,更に本筋に関係ないことで悩むのは精神衛生上よろしくないので,純粋に作品を楽しまれてはいかがでしょうか.

丼炒飯 ◆HY/YgdSbHM



 【質問】
 Mはそうです,マスタング大佐です.
 公式小説で彼は「東方司令部司令官の一人」という書き方をされていました.
 同小説中では「東方司令部に司令官は二人いる」とも書かれていました.
 特務課長や情報課長ってそのレベルの役職ではないですよね?

 【回答】
>司令官は二人

 ちょ,おま,待(ry
 さらっと書いてるけど,それ結構凄いよ.

 いや待て.軍政と軍令の二系統の司令官がいるとか.

 ……無理があるな.

大佐って連隊長だもんな…
わけわかめ

 指揮官が2人いるってのは組織として問題ありすぎる.
 2人の意見が対立した時,部下はどっちの命令を聞くのかってことになるし,なんか問題が発生した時,責任の所在が不明確になる.

 俺が知り合いの自衛官にこの
「司令官が二人は駄目なんじゃないのか?」
と聞いたところ
「実際には本物の司令官が使い物にならなくて,その下を司令官としてまわりが認識してることは有るかもしれない」
とは言ってましたが,この小説で「司令官が二人」と言われたのは,主人公のエドワードがマスタングの息子と間違えられてテロリストに拉致され,東方司令部に
「司令官の息子を預かった,身代金を云々」
と脅迫状が届き,ハボック少尉(?)がマスタングの仕事部屋で
「東方司令部には司令官が二人いますがどっちでしょう?」
 で,マスタングが
「私には子供などいないよ!」
と慌てた……という下りだったので当てはまらないと思うのです.

 その場の最高階級者を「司令官」と呼ぶ慣行のある世界なのかも(笑)
 先任司令官とか(笑).

軍事板

 武装SSの~~指揮官のように,大佐という呼称は通称で,正式には~~司令官という階級が……無理があるな.

丼炒飯 ◆HY/YgdSbHM

477 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2006/04/09(日) 23:40:51ID:???

 いや,NORADみたいにお昼の部の司令官と夜の部の司令官のパートタイム二本立てなんだよ!

 あの技術レベルで24時間稼働する必要あるのかい!(自己ツッコミ



478 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2006/04/09(日)23:45:21ID:???

 司令官二人はきっと江戸の北町奉行・南町奉行と同じなんじゃ?
 月番ごとに江戸の行政長官が切り替わる,というあの制度.で,主担当じゃない間は事務処理を進める.



479名前:名無し三等兵[sage]投稿日:2006/04/09(日)23:46:23ID:???

 どう理由をこじつけても,組織としてダメとしか思えん….



483名前:名無し三等兵[sage]投稿日:2006/04/09(日)23:55:13ID:???

 北町奉行はお白砂の時もろ肌をさらすし.
 南町奉行は大岡裁きを披露するし.



484名前:名無し三等兵[sage]投稿日:2006/04/09(日)23:57:23ID:???

 こんな軍事国家が二十年続くって,そんだけで奇跡だな(笑)



485名前:名無し三等兵[sage]投稿日:2006/04/10(月)00:06:23ID:???

 江戸のアレはお互いに手柄を競って切磋琢磨するという利点があったそうだが,軍でそれやったらどう見ても旧陸海軍も真っ青の手柄競争の暴走です.
 本当にありがとうございました.



486名前:名無し三等兵[sage]投稿日:2006/04/10(月)00:11:02ID:???

 腐女子ってこんなんで「軍カコイイ戦争コワス」なんだ….
 まあ…ある意味平和でいいよな.

軍事板

『鋼の錬金術師』
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq06l.gif

http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq06l.jpg
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(以上,『朝目新聞』より)


 【質問】
 A方面からB方面へ,○○○〔任意の航空機・ヘリの名前〕が尋常じゃなく飛んでるらしいんですが,これって通常の訓練じゃないよね!? 何かあったんでしょうか??

 ○○○〔任意の軍艦名〕が密かに入港してるらしいんですが,これって通常の訓練じゃないよね!? 何かあったんでしょうか??

 ○○○〔任意の軍艦名〕が大慌てで出港していったんですけど,これって〔以下同文〕

 【回答】
「特定の緊迫した国際問題とと何か関係あるのでは??」
とでも言いたいのでしょうか?

 あなたは空騒ぎに乗せられているだけです.
 その手の質問は定期的にありますが,ほぼ100%早とちりです.
 そうやって騒ぐ人たちには,平家の水鳥の話でもしてあげてください.
 「平和ボケすると平家のようになる」とは本当の話のようですね(笑).

 そもそも,「尋常じゃなく」って,何がどう尋常じゃないんでしょうか.
 明らかにメインローターがないのにヘリが飛んでるとか?
 中に人が乗ってないのに飛んでるとか?
 どう見てもマッハ5くらいで飛んでるとか?
 途中で消えたとか?

 Migやスホーイが大量に飛んできて爆弾落としてったら,大騒ぎでしょうが,上空を自衛隊機や米軍機が通ったからって,脊髄反射するのは考えものです.

 海事についても同様.
 「大慌てで出港」とは,何がどう慌てているように見えたのでしょうか.
 少し落ち着いてください.

251 :名無し三等兵 :2005/08/03(水) 23:42:14 ID:???

>大慌てで出港

 甲板にはパジャマ姿のやつ,服を後ろ前に着てる奴,全裸で女とつながったままの奴,
 全裸で男同士でつながったままの奴などが走りまわっては正面衝突し,艦が動いたと思ったらいきなり後進して岸に激突,ふらふらと前に進みだしてしばらく行ったあとで止まったので,なんだろうと思ったら慌てて抜錨.
 艦が見えなくなったところで,大きなトランクをかついだ男が
「置いていかないでくれー!」
と叫びながら,海に身を投げてバシャバシャと泳ぐが,トランクの重みで沈んでいく.

 そんな感じなら,確かに「大慌て」と認定してよろしい.

 【質問】
 一般的に言って,陸海空軍の仲は悪いの?

 【回答】
 悪い.
 なんで仲が悪くなるかっていうと,結局はライバル同士だから.
 つまり
1.手柄争い
2.予算争い

 どちらにしても相手が獲得すれば,自分とこは獲得できない.
 だから相手を出し抜こうとするし,相手に取られまいとする.

 有名なのがマレー沖海戦やインド洋作戦の英軍の悲劇.
 陸上航空隊との連携齟齬が,戦艦プリンスオブウェールズや空母ハーミーズの沈没の主因の一つに挙げられる.

軍事板,2008/09/14(日)
青文字:加筆改修部分

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 海兵隊って何?

 【回答】
 元は軍艦の乗組員によって編成された戦闘部隊.
 軍艦の警備,敵艦へ乗り込んでの白兵戦,港湾占領のための上陸戦のために編成された.

 その後,上陸戦などの都度編成するんじゃなくて専門の部隊を作ったほうが便利だね,ということになって海兵隊を常設するようになり,ある国では上陸戦を担う,陸海空3軍に次ぐ第4の軍にまで成長し(米海兵隊),ある国では一部が特殊部隊化する(英国SBSなど)などして,今日に至る.

 細かい差異については,各国の海兵隊史を調べたほうが良さそう.
 また,上陸戦を想定していない国の軍隊では,海兵隊が存在しない場合もあるので念のため.

匿名

▼ 上記に関してですが,こんな話もあります

『歴史的に海兵隊は軍艦内の秩序を維持するために生まれた部隊で,現在は大使館の警備および大統領の警護も任されている.
―――『デビルドッグ アメリカ海兵隊日本人伍長のイラク戦記』(越前谷儀仁 えちぜんや・よしひと著,並木書房,2008.1)

 筆者は海兵隊の座学で海兵隊の歴史を学んだ.といってますので,それがこの話の根拠だと推測します.

 これがアメリカの海兵隊の誕生の話なのか,他の国も含めた話なのかは記述がありませんが,少なくともアメリカの海兵隊では,「艦内の秩序維持のため」に誕生したと教えているようです

 検証は私には出来ませんが,こういう話もありますよ.という程度で.

山田洋行 in FAQ BBS

 まあ,上段文章のほうにも「軍艦の警備」とも書かれているため,特に矛盾は生じないと愚考する.

昔の海兵隊
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 海兵隊ってのは船に乗った兵隊が陸に上がってワーワーやるのであっているのでしょうか
 日本が海兵隊もつのってどうなのでしょうか?
 災害派遣とか活躍の場がありそうですけど.

 【回答】
 大体そんなイメージで合ってる.

 もともとは海軍の保有していた,接舷斬り込みや艦内治安維持のための兵力だった.
 例えば英国海軍の場合,船乗りの供給に苦しんでおり,強制徴募(港に上がって人攫いあるいは付近市町村に供出を割当)するなどしており,船員の質は今と比較にならなかったため,船の上での警察,士官と水兵を隔てる壁としての機能があった.
 例えば船乗りを艦上で懲罰するとき,士官と水兵との間に海兵隊が並んで壁となったりしたそうで.

 やがて,艦の運用に必要な技量を持つ水兵の損耗を押さえると同時に,困難な上陸任務を効果的にこなせる様に,陸戦の訓練を受けた専門部隊に変貌した.

 直接的に現代の海兵隊に繋がるのは,ヴェネチアとジェノヴァの石弓兵か,もっと直接的なものを求めるなら,大航海時代のイギリス海兵隊だろうな.
 まあ海兵隊は国によって,大分扱いが変わるから一概にはいえないけどさ.
 ロシアの海軍歩兵は殆ど陸上部隊だし,特殊部隊的な扱いの国も多いし,海軍じゃなくて陸軍が保有してる国まであるし.

 現代アメリカのそれは,海上からアプローチをかける殴り込み部隊として,独立した存在になってるけどな.

 今も海兵隊と言えば陸軍などに比べればエリート.
 帆船時代に大海軍を持ってなかった国には,海兵隊が無い事が多い.

 現代の日本の場合,侵攻能力に特化した海兵隊ってのは,憲法9条と専守防衛の関係上,専門の部隊として持つことは困難であると同時に意味が薄い.
 そもそも自衛隊は上陸作戦など侵攻能力に関しては,その能力はかなり低いから,海兵隊を持つならその前にまずその当たりをちゃんと整える目算を付けないと効果がない.

 旧日本軍であれば明治4年から9年にかけて,海兵隊を試み程度だけど組織していたし,それが消えてからは海軍陸戦隊という有名な部隊をもっていた.
 ただしこれは,海軍の保有する陸上戦力と言う意味合いが強いけどね.

 また,海兵隊と災害派遣についてだが,確かに米海兵隊の持つ強襲揚陸艦などの装備は,沿岸や離島,海外などでの災害救助には極めて効果的であることが実証されている.
 が,軍隊の存在意義は災害救助を第一とするものではない為,いざというときに流用する事はあっても,災害救助専門の部隊として海兵隊を整える事には大きな疑問がある.
 というか無茶な軍縮やらされてる今の自衛隊に,そんな予算はどこにもないし.
 そもそも災害救助に有用な装備として,自衛隊はおおすみ型輸送艦や第一空挺団,US-1AやUS-2(これから)など種々の有用な装備を持っている.

軍事板
青文字:加筆改修部分

ロシア海軍歩兵

同制服

同偵察部隊

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 日露戦争の映画で,ロシア兵と日本兵が戦闘の合間に酒とかを物々交換してたり,お互いの健闘をたたえ合うといったエール交換をした場面があったのですが,こういうのは日露戦争以外に見られたことなのでしょうか?

 【回答】
 膠着した陣地戦が続くと,放置された死体で衛生状態が悪化したりするので,一時休戦を申し入れて死傷者を収容するといったことがかつてはあったようです.
 で,その最中に物々交換をやったりすると.

 日露戦争では,たとえば明治38年3月の奉天会戦の際,東北方面から進出した第1軍近衛師団に対し,3月7日午後に露軍から一時休戦の申し入れがありました.
 日本側はこれに答えて翌日一日戦闘を停止し,双方死傷者の収容を行いました.
 その際に敵味方仲良く入り混じった記念写真が残っていたりします.

 あと日中戦争のエピソードで,日中両軍がにらみ合う最前線のトーチカで,いきなり向こうから
「こっちも撃たないから,そっちも撃たないようにしたらどうか」
という休戦の申し入れがあって,しばらくの間律儀にそれを双方守ったとか,中国兵を招き入れて飯を食わせて帰してやったとか,そんな話があったり.

名無し軍曹◆Sgt/Z4fqbE


 【質問】
 軍では超能力研究もやっているの?

 【回答】
 幾つかの国でやっていたことは確実視される.
 言うまでもなく無駄に終わったようだが.

 米国陸軍には"第一地球大隊"という名称の超能力部隊が,80~90年代に実在したという.
 テレポート,テレパシー,サイコキネシス,心霊治療などの軍事利用を研究していたとされる.
 中には,米陸軍がLSDなどの幻覚誘発薬を使って行なった『エッジウッド実験』なる,かなりやばい研究もあったらしい.

 一方のソ連でも国防省において,超常的能力を持った超人を養成する作業が行われていたという.
 ただ,それを指導したと自称するサヴィン博士は,
「人間の脳をして地球外知能と交信せしめるような特別のメソッドが研究された.
 その結果は素晴らしいもので,6名が物理的な接触に成功し,2名は宇宙船に滞在することに成功した」
などと証言しているので,信憑性に疑問符をつけざるをえない.

 さらに,日本では「宇宙人」を首相に据えるという,かなり無謀な実験を(以下省略

 【参考ページ】
ジョン・ロンスン『実録・アメリカ超能力部隊』(文春文庫,2011.01.07)
「WIRED.jp」◆(2009.11.13) 映画を超える?「米軍の超能力・麻薬研究」
「WIRED.jp」◆(2007.6.5) 米陸軍の幻覚誘発薬研究の実態が明らかに
「VOR」◆(2013/02/22) ソ連 宇宙人と交信できる超人が養成されていた

(映画『The Men Who Stare At Goats』より引用)

(某氏より,mailにて提供)

その成果
faq050702.jpg
faq050927.jpg
(朝目新聞より引用)

【ぐんじさんぎょう】,2013/02/26 20:30
を加筆改修


 【質問】
 軍隊と宗教は共存できるものでしょうか?
 宗教はたいていは平和を説くものですから,ある特定の宗教と軍隊が結託する,というのは論理的に矛盾ですか?

 【回答】
 共存というか,国家と宗教はどうしても切り離せないから,国家の重要な要素である軍隊と宗教とも,やっぱりつきあっていくしかないです.

 んで,結論から言いますと結託しまくりです.
「イエス様がおっしゃるには,右の頬を殴られたから云々…なので,軍隊なくして平和にやりましょう」
という国はないですな.
 逆に,古い話ですが初期の十字軍なんてのは,宗教と軍隊がごっちゃまぜになってるし,ムハンマドはアッラーのお告げのままに戦ってるわけですし,現代でも,アメリカとイラン・イラクとの対立は,やはりキリスト教対イスラム教の要素は否定できません.
 それのみに注目すると見誤りますが.

 従軍牧師などの仕組みは,たいていの国がやってますです.

軍事板
青文字:加筆改修部分

ロシア正教の従軍司祭
(Picture Prepositioning Ship : PPS@軍事板常見問題 mixi別館より)


 【質問】
 軍隊では,クリスマスとか創軍記念日とか元旦とかには,なんか行事をやったりするもんですか?

 【回答】
 ほとんどの国では,その国の暦での元旦は休日だと思うぞ.
 軍の記念日はなんか行事するのが多いな.

 ちなみに自衛隊の場合,クリスマスは年末年始休暇前だから忙しい.
 休暇態勢に備えて部隊は応急出動準備しておくとか,指揮官はその点検をしたり(←これが年末の儀式かな).
 公行事じゃないけど,音楽隊が養護施設で演奏会やったりもする.

 元旦は当直や待機要員を除いて,基本的に休み.

 年明けに部隊では訓練初め,本省では仕事始めの行事がある.

軍事板
青文字:加筆改修部分

faq061202m.jpgへのリンク
faq061227m.jpgへのリンク
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 RMAって何?

 【回答】
 既存の組織形態,ビューロクラシーにおける,職階・職位・職能ごとの権限と自由の範囲の確定事項が,情報技術の進歩によって変化するという事.
 軍事においては,
「情報通信技術をはじめとする,各種の新技術を適用したシステムを軍事組織に導入し,戦力の円滑・効率的な運用を行うことにより,従来より少数の戦力で,従来以上の戦果を追求する」
という考え方に基づいて行われている,情報通信技術等のシステム導入 & 組織改編のこと.

▼ まず過去の歴史において,新兵器が登場した後,その兵器が戦術や戦略に変革的な影響を与えることがあった.
例1)戦車の登場 --> ナチスドイツ軍の(戦闘機に支援された)電撃作戦
例2)飛行機の登場 --> 航空母艦を中核とした日米軍の機動部隊運用

 同様に,近年の飛躍的なIT技術の進歩は,従来の軍事作戦に対して,これまでの予測を超えた大きな影響を与える可能性がある.
 その最初の初歩的な成果が,湾岸戦争やイラク戦争における,米軍の一方的な勝利だ.

 この米軍が積極的に導入を進めようとしている,IT技術を中核要素とし,個別の設備システムを連携させることで,全体としてシステム化させ,軍の戦闘能力を飛躍的に向上させるという思想が,現在のRMA:「情報RMA(Information-based RMA)」である.

 情報RMAは,大きく4つの要素から構成される.
(1) 偵察衛星/電子偵察機/攻撃機/精密誘導兵器等の兵器(個々のサブシステム)
(2) (1)のコンポーネントを一元的に管理・指揮する統合システム
(3) 軍組織,資源,輸送技術を統合した兵站支援システム
(4) 組織体系/戦術/訓練といった人的側面の変革

 (1)(2)は,海軍(海上自衛隊)内に限れば,すでに「ミニ版」が実現されている.
 対空戦闘における,レーダー/SAM/CIWSといったサブシステムと,これらを統合して各兵器に最適な攻撃目標を割り当てるイージス・システムである.
 これを更に推し進め,陸海空の全軍に跨ったシステムの連携・統合化の実現が,情報RMAの最終目標だ.

 (3)については,展開した各部隊の兵站情報を自動収集し,適切な人員/兵装/補給品を自動的に配置・供給する.

 (4)は課題が多い.
 急激な戦闘状況に対応可能な,柔軟性のある組織構成,個人の処理能力の限界,情報共有化による意思疎通の混乱,高度なシステム運用の習熟,情報インフラ不全時の対応など.▲

 RMAの理解を深めるなら,ピタードラッカーのイノベーターやプロフェッショナルの条件を読む事をお勧めする.
 いわゆる組織経営論の範疇の話題だと思う.

ガヴィ・ディ・ガヴィ ◆Load.ZmmKI (黄文字部分): 軍事板,2003/03/04
軍事板,2003/05/06(2014.4.26追記)
青文字:加筆改修部分

 極端なRMA論なら日経新聞の出してる「オルフェウス・プロジェクト」.
 指揮者のいない管弦楽団のお話.
 ドラッカーには及ばないが.

 ドラッカー自身は
「ヒエラルキー構造は残る.ただしフラットになる」
といっている.
 知識で仕事する者の役割の明確化が必要であり,ある程度の権限委譲も必要になると思われる.
 というのも,知識労働者は自分の仕事は何であるべきかを自分で考えるし,仕事のやり方そのものを自分で改善・創意工夫しさえもする.

 軍事組織に当てはめて考えると,場合によっては,状況変化の速さが,民間企業のそれを遥かに上回るだろうと思われる.
 が,現在の軍隊が抱える問題は,早い変化に対応できないのではなく,その中で更なる効率化を狙うように出来ないかというものであろうと思われる.
 そして,「効率的」であるとはどういう事であるかと言う問題.

 どちらかと言うと,情報の利用と活用の仕方で変えられそう?という話と思う.
 今度やるという空地同時侵攻も,その一形態と思われる.
 局面によって戦術は微妙に変わるのものと思われる.

 ただ,RMAって一般的に明確な定義づけがされてないんだよね.
 経営学におけるはやりの「ベンチャー」やら「ビジネスモデル」やらと同じで.

 はやりになっちまって明確な定義付けがされていない単語って嫌いだなぁ…
 単語だけが先行しちゃって,その単語を使っておけば予算なり権限なりが手に入るけど,本質が歪曲されてしまう.
 よくある話といえば,よくある話なんだけどね.

 経営学における「中抜き」という話になるのであれば,二等兵の役割が,
「命令されたことを何も考えずに実行すること」
から,
「士官と目的を共有し,自分自身で考え実行する」
と大きく転換するわけであって…
 ある意味,カイゼン運動と同じ側面を持つ事になるわけで…

 二等兵と言えども頭脳労働が重要になってきてしまうってことだわな.
 徴兵制とは対極をいく思想.

 【参考ページ】
軍事における革命 - Wikipedia

軍事板,2003/03/04
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 RMAって,兵器の自動化を進めることじゃないの?

 【回答】
 RMAを誤解してます.
×自動化=ハイテク化
では無く
○情報化=ハイテク化
です.

 『Revolution in Military Affairs』すなわちRMAとは,主に情報技術の進歩によって引き起こされた『軍事に置ける革命』です.
 衛星通信を介したコンピューター・ネットワークの確立,GPS,精密誘導兵器等がネットワークによって結ばれたハイテク兵器で構成された軍隊が,『RMA化』された軍隊です.

 つまり,RMAによってもたらされたネットワーク化とは「個」が「衆」の目を持つと言う事です.


 (・∀・)                                            (・∀・)
  ↑                                               ↑
こいつが見た物を                                   こいつも見てる

 以前なら視界外・レーダー探知範囲外の情報は手に入らなかったが,リアルタイムの情報伝達技術によって物凄く広い範囲を交戦区域にする事が出来る.
 つまりそれは,

 (・∀・)                                         (・∀・)
  ↑                                            ↑
こいつが発見した目標に                     こいつがミサイルを撃って攻撃出来る

軍事板,2005/09/15(木)

 もうひとつ,「ネットワーク化」と関連しますが,「情報伝達のスピード化」も入れていいかもしれません.
 前線で起きていることや敵軍の動静に関する情報が,従来よりずっと迅速に伝えられるようになったことで,「第 34 任務部隊はいずこにありや?」みたいな騒ぎを減らせる可能性や,いわゆる time critical target を発見してから攻撃するまでのタイムラグを劇的に短縮できる可能性が出てきたと.

井上@Kojii in 常見問題mixi支隊

 "リアルタイム"で"高精度"の情報伝達が出来る,というのがミソだな.

 (´Д`)                                         (´Д`)
  ↑                                            ↑
こいつが指示した地点に                こいつが榴弾砲を撃って攻撃する

メッサー=ハルゼー in 常見問題mixi支隊

 別にやってることは以前と変わらず,探知目標に対して攻撃を行ってるだけです.
 したがって,兵士一人一人がやる仕事内容は別に革命以前と変わりはしません.
 より効率よくヌッ殺せるようになっただけです.

軍事板,2005/09/15(木)

 例えば,以下は米第4歩兵師団(機械化)Equipment(装備)

・ Combat Vehicles

Abrams Main Battle Tank
Bradley Fighting Vehicle
M6 Linebacker
Avenger Air Defense System
Paladin Howitzer
MLRS (Multiple Launch Rocket System)


・ Combat Support Systems

M88A2 Hercules
ACE
Wolverine
Sentinel Radar
TUAV (Tactical Unmanned Aerial Vehicle)
CGS (Common Ground Station)
SMART-T (Secure Mobile Reliable Anti-Jam Tactical Terminal)
LRAS (Long-Range Advanced Scout Surveillance System)

・ ABCS (Army Battlefield Command and Control Systems)

FBCB2 (Force XXI Battle Command-Brigade and Below)
AFATDS (Advanced Field Artillery Tactical Data System)
ASAS (All Source Analysis System)
CSSCS (Combat Service Support Control System)
AMDWS (Air and Missle Defense Workstation)
MCS (Maneuver Control System)

 上記のうちのハードではなく,ソフトに注目したいんだけど・・・.

ABCS (Army Battlefield Command and Control Systems)
http://globalsecurity.org/military/systems/ground/abcs.htm

 80年代から,C2(指揮通信)における意志決定が,情報過剰で困難になり,自動化が図られました.
 90年代に入ると4軍統合や協同の作戦が多くなり,情報交換の規格化,ルール化が行われました.
 また,欧州駐留軍による対ワルシャワ機甲軍を想定した戦闘から,米国本土からの緊急展開による海外派遣に想定紛争域が移り,ますます緊急時におけるC2のデジタルリンク化が急がれました.
 移動プラットフォーム間のデータリンク化は,その帰結です.

軍事板,2003/03/03/12-03/14
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 文庫でRMAの本読んだが,どうも分かりにくい.
「兵器の性能向上より情報化を」
と繰り返してるんだが,米軍は性能向上も同時にやってると思うが
 しかも,RPG持ったゲリラ工作員に,サイバー攻撃のしようがない.
 日本の仮想敵を考えると,それほど拘るのもどうかと.

 【回答】
 まず,陸はレーダーを代表とする機械の目の索敵追尾への活用が空,海に比べ,遅れていることは否めない.
 その原因は多分2つあって,
 一つはグランドクラッターや,森の存在のため技術的に難しかったこと.
 二つめは歩兵まで含めると目標数がベラボウに多くなることだ.

 たとえば対空戦闘では,200目標追尾し30目標同時対応とかで足りるわけだが,これが陸だと,師団規模のシステムだって,数万人の敵歩兵イチイチを追尾するのか?って話になる.
 対象を車輌に絞ればいいけど,車輌なんてレーダーに頼らずとも見えるので,現場がホントに欲しいのは,浸透してくる敵歩兵だったりするところが,悩ましい.

 ただ,最近は合成開口レーダーとかドプラーレーダー,赤外線画像TVとか,地上を索敵するのにいいセンサーが出てきてるので,これらのセンサーで掬った敵位置情報を,前線指揮官にDISPLAYするのはいいことだと思う.
特に,いままで現実上,砲兵の目は歩兵が勤めていたのに対し,歩兵が接敵する前に,砲兵火力で敵を漸減できるのはよさげである.

 ただし,システム一般に言えることだが,
「屑を入れても屑しか出てこない」

 そういった意味で,上記のセンサーのコストダウンと,それを装備したUAVの大量配備が,まず優先かと.
 あと,敵の攻撃で既存の通信インフラが大打撃を蒙った場合,短時間でリカバリーできるダメコンを考えるべきだろうな.
 電話交換局なんて,いの一番にやられるが,車載交換機によるバックアップなんて聞いたことないから,対策取られてないんじゃないかと心配だ.

軍事板,2003/03/03/12
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 RMAでは,補給は今より楽になるの?

 【回答】
 「軍事革命とRMAの戦略史(芙蓉書房出版)」と言うウンチク本を読んでいる真っ最中なんだが.ムズイ.何でコンナ本を買ったんだろう? と思うぐらいにムズイ.
 ただまぁ,RMAとは戦術分野の効率化(楽して手っ取り早く勝つ)であって,戦略(国家・軍事込み込み)の自由度を増やすとか,政治家が妄想するような魔法ぢゃないと言う事は分かった.

 で,ここからは件の本を斜め読みした素人の私見ですが.
 RMA化によって戦場の効率化は進むが,逆に補給量(と言うか補給部隊の負担)は増大すると思う.特に外征の場合.

 何故か?
 RMAの目的は,「戦闘目的を如何に手っ取り早く達成するか?」であり「戦闘目的達成に必要な弾薬その他の消費量を如何に減らすか?」ではないから.
 RMAで仕入れた情報で敵を迂回すれば補給路は迂回分だけ延びるし,迂回した先鋒は無人の荒野をがんがんブッ飛ばすから燃料消費も増える.
 逆に敵部隊を粉砕するとなれば,「高機動」を売りにするが故に手持ちの弾薬が少ない上に時々刻々と移動する前線部隊へジャストインタイムで弾薬を集中せにゃナラン.
 んで,「敵が動く前に短時間で粉砕」となれば単位時間当たりの投射量も増える.
 索敵不良が少なくなれば無駄足を踏ませる部隊が少なくなり,万が一に備える予備部隊の必要性が少なくなる.
 そうなれば,それらを重要正面に集中したくなるのが人の情であり,先鋒部隊が大きくなって前線の物資消費量は跳ね上がる.
 つまり,不良在庫は減るが,実質の消費量は変わらず,しかし消費時間は短くなるから単位時間当たりの輸送量と距離は伸びる.
 兵站屋から見れば悪夢だろう.

 無論,これは現状兵器の進化をあえて無視した話である.
 確かに兵器のスマート化が進めば単位戦闘時間当たりの弾薬消費量はある程度減るだろう.
 が,それでもメシと燃料の問題は残る.輸送物として考えればこっちの方がマスが大きい.
 結局,外征型RMAと言うのは,アメリカのような「十二分な兵站能力」を持っている事が前提の戦術思考じゃなかろうか,と.
 イラク戦では,それでも「トラックが足リネー!」って州軍の中古トラックまで動員していたから,アメリカにとっても負担だったと思う(これが,ラムズフェルドがペンタゴンが要求する派兵戦力の増強を嫌がった理由かもしんない)
 ぶっちゃけ言ってしまえば,オフィスのIT化が進んだら,ペーパーレスどころか紙の消費量が飛躍的に増えちゃった ・・・みたいな勘違いをしとりゃせんだろうか?

 今の陸自にRMAを導入すれば,1会戦当たりの効率は上がるだろうが,お粗末と言うにも程がある補給能力を考えると,その1会戦1会戦の勝利を果たして連続戦として繋げられるかどうか,大いに疑問だ.


戦闘目的達成に必要な弾薬その他の消費量を如何に減らすか?」
 これは難しい問題ですね.

 単位部隊あたりの消費量が増大することになっても,前線の部隊規模自体が縮小すれば,結果としてトータルの消費量は減るという可能性もある訳でして.

 また,兵站部隊には飛躍的な機動力の向上と効率化が求められる訳でもあり,この分野のRMAの発展がどの程度進んでいるのかは非常に気になるところです.トラックの共通化・装甲化,貨物パレット・コンテナの共通化,コンテナへのチップ埋め込みによる流通(?)管理なんてところにアメリカさんは力を注いでいるようではありますが.

 直接関係ありませんが,先日仕事でシンガポールのコンテナ・ヤードに行った際,そのあまりの規模とハイテクさに圧倒されました.
 大黒の数十倍はあろうかという巨大なCYに,これまた10段以上の40フィート・コンテナがぎっしりと配置され,全てのコンテナはICチップにより整然と管理されていました.
 トレーラがコンテナを搬出入する際には,ゲートが自動的にICチップを読み取り,ドライバーに指示が送られる仕掛けになっており,日本より遥かにスピーディーかつ効率的なコンテナ積み下ろしが実施されていました.
 コンテナ1本引っ張るのに,下手すれば1日潰れる日本とは大違いです.
 これでは絶対勝てないと強く感じました次第.


>前線の部隊規模自体が縮小すれば
 これが,自分には難題だと思うんですよ.
 RMA化によって,1個連隊で敵(ローテク)1個師団を翻弄して粉砕する事も,状況次第では理論的に可能でしょう.(航空戦力まで考えるとややこしくなるので,とりあえず外して概念的に考えます)

 ですが,用兵側からすれば(魅力的ですが)一種のバクチであり,むしろ3個連隊を投入して今までの1/3の時間で片づける事を選ぶのではないか? と.

>この分野のRMAの発展がどの程度進んでいるのかは
 いわば「戦場のカンバン方式」が徹底されていくと思います.

 結局RMAと言うのは,前線というミニマムな視野と,戦争というマクロな視野では革命的なモノですが,その中間の戦場として考えるとアンマ今までと変わらないのでは?
 前線での「便利さ」「有効性」「効率化」は,もう言うまでもないでしょう.
 戦争での便利さは,情報の不確実性を補う為に発生する「予備戦力・予備物資」を減らす事が出来,計画物資量と実績使用量が近くなっていく.
 ↑前線から後方へ「余ってる兵力(物資)をよこせ」と言われても「ダメだよ.不測の事態に備えいるんだから」と言うのが無くなる(低減する).

 究極的には「不良在庫」を減らす事によって,戦争資源(人・物)を減らす事が出来る,と.
 予算を立てる側からすれば,これほど有りがたいモノはありません.

 以前,某公共事業の概算総工費を弾いた時と,実際の工程管理をした時に悩んだのが,この「予備(転ばぬ先の杖)」と言う数字をどう弾くかでした.
 まぁとりあえず,「物流と消費」と言う一側面から見た場合の話なんで,別の視野から見れば「戦場の大革命」かも知れません.


 むしろRMA化の恩恵を最も受けたのが後方支援分野ではないかと.

 RML(Revolution of Military Logistics)という用語があり,量に依存した補給から速度に依存した補給へ,と言われたりもします.
 要するに「必要になるかもしれない,万が一に備えた」方式から「ジャスト・イン・タイム」方式への転換.
 イラク戦争で実際に集積された物資は湾岸戦争当時から比較してだいたい4分の1から5分の1になるなど,
実際高効率になったのは疑いようがないですし.



 エアコン効いた室内でドーナッツくわえてパソコン叩いている事務屋の連中はホクホクでしょう.
 自分がで注目しているのは,実際にハンドル転がす部隊への負担です.
 砂漠を延々飛ばして前線へ運ぶ手間は変わっていないのに,「ジャスト・イン・タイム」を要求されるわけですから.
 カミオンがチェックポイントかコロコロ変わるラリーに参加してるようなモンではないかと.
 実際,イラク戦争の捕虜騒ぎ(リンチ上等兵でしたっけ?)が起きたのも,米軍補給部隊内では劣等装備の州軍部隊を「急げ急げ!」と急かしたのがそもそもの原因ですし.

 米軍はトラックから新開発して輸送手段そのものをRMLに対応させようとしています.
 が,これはそのトラックだけで数千台のオーダーが見込める顧客(巨大兵站部隊)を持っている米軍だから可能な事で.
 戦車輸送車輌以外は民生トラックからの転用(一部改修)で済ませようとする他国では真似の出来ない事でしょう.

 で,自分が言いたいのは,RMAってのは戦術分野だけに注目するモノではなく,兵站システムまで含めた「戦場」で見なければアカンのではないか? と言う事です.
 自衛隊は,その予算と規模とドクトリンの関係上から,正面装備に重点を置いて成長してきました.
 おそらく今後10年の間に,RMA化した野戦部隊が出来るでしょう.
 その時に,彼らに釣り合うRML兵站部隊(システム込み)があるのか/作れるのかどうか? それが疑問なんです.
 まぁそれは,彼ら(RMA部隊)を何処で活躍させるつもりなのか? その戦争計画によって兵站部隊のサジ加減も変わってきますけどね.


534 :あ~る :2005/06/24(金) 14:44:05 ID:AEfWLEM4

 コンテナが来んてな~


535 :鳥坂 :2005/06/24(金) 16:21:24 ID:FK0JBNjN

 ふん・さい・バァーット!

(「鳥坂」,名無し四等兵 ◆clHeRHeRHo他 in 軍事板出張スレッド)


 【質問】
 RMAによってデジタル化された戦場の上で,部隊が将棋の駒として指示されるとしたら怖いのですが.

 【回答】
 ベトナムでは黎明期のIT技術で,「現場への過剰な口出し」をやった訳だが.
 さらにアフガニスタンでは,戦場全体をリアルタイムで見渡す能力を持つ指揮官が,細かい指示を出すやり方に,現場指揮官から不満が出ていたと....

 CPU処理能力や回線の速度の問題ではない,
 「局在化する」とされる「情報」「情報処理」の本質に関わる問題を含む.

 政治レベルまで含む戦略目標を遂行する為の判断と,局面(現場)における戦術的な打開策とが,常に幸福な一致を示す訳もない.
 マクナマラの負の遺産が残っているウチはいいけど,ラムズフェルドの輝かしい勝利が,いずれしっぺ返しとならなきゃ良いが.
(イラク占領政策において,手痛いシッペ返しを食らいましたとさ――編者)
ある業界には,
「成功は失敗の母」
という警句もある.

軍事板,2003/05/08-10
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 自衛隊の場合,RMAが「戦場をIT化しますた」で終わってしまいそうで怖いのですが.

 【回答】
 日本の企業・官庁は,ネットを張ってPCを配ればIT化だと思っているところもあるから,確かに怖いかも(苦笑)

 日本の場合,官庁に比較して,企業はネット化がかなり進んでいることになってはいる.
 とは言っても,果たして,
「ヒエラルキーはあるが,フラット化する」
「指揮官(リーダー階層)と二等兵(平社員階層)が目的を共有化する」
というところまでいってる企業が,どれだけあるかっていうと,「?」ではないのかなあ….
 マジで,ネット張っただけっていうところが,多いよなあ…っていうのは,私的感想.
 「人」が組織の運用を変えていかないと,結局,
「ヒエラルキーがあって,フラット化しない」
「上と下は目的を共有化していない」
が続くだろう.

 たぶん自衛隊でIT化しても,報告とか通報とか連絡とか,むやみやたらに上級部隊が余計な仕事増やして,一般幕僚や特別幕僚が,細部にまで口出しするような構造になると思う.

 ただ,安全保障上,アメさんがRMA化すれば,日本も相互運用できる――足でまといにならない――レベルには対応せざるをえないはずだから,ほどほどには進むのではないかと楽観視する見方もできる.

軍事板,2003/05/06
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 コール・サインが統一されてないと,
「お前誰だよ?」
「どこの部隊だよ?」
「いくつ部隊が来てるんだよ?」
みたいな混乱が起きそうな気がするのですが,問題ないということは現代戦ではもしかして,同部隊内でTACネームで交信するような事はあっても,前線で他部隊と交信するような事は無く,交信はAWACS等の後方のみで,自分と後方が把握していればそれで良い,という事ですか?

 例えば「こちらメビウス,これより貴隊を援護する」とか,「グールはタイプ1を叩く」みたいに,他部隊に宣言するような事は創作の中だけで,実際は作戦計画に従って飛んで目標を叩くだけ?

 【回答】
 コール・サインってのは,通信系内で通信局に割り当てられた呼出符号.
 プロバイダから割り当てられたアカウントや,NTTから割り当てられた電話番号のようなもの.
 部隊が設定した通信系に参加しないって事は,そもそも通信ができない.
 単にみんなが勝手な希望ナンバーを申告して,それが通ったとしても,命名に一貫性がないってだけで,通信系統図にはそれぞれのコール・サインが記載される.
 確かに覚えにくいが,場合によっては保全上,無意味であったりランダムなコール・サインが推奨される場合もある.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 観戦武官は普通は戦火の及ばないと思われる場所にいるのでしょうが,自らが戦闘に巻き込まれそうになった場合はどうするのですか?
 また同行していた部隊なり施設なりが,敵に降伏または占領された場合,どうゆう待遇を受けるのでしょうか?

 【回答】
 戦闘に巻き込まれたら,その地域からは速やかに撤退させます(自国軍にとっても不味いですから).
 但し,戦闘に巻き込まれて亡くなった方も居られたかと記憶しています.
 基本的に,観戦武官と言えども外交官ですから,身分は保障されるはずです.捕虜になっても,その国が相手国にとっても中立国なら,即座に解放されます.
 交戦国でも,P.O.W.(捕虜)になったかと記憶しています.

眠い人 ◆gQikaJHtf2


 【質問 kérdés】
 革命政党や革命勢力が軍の文民統制を信じないのは何故?

 【回答 válasz】
>イランはなぜ軍隊がふたつ? 国軍とは別に陸海空戦力を揃えるイスラム革命防衛隊とは | 乗りものニュース
>https://trafficnews.jp/post/93075

 イラン・イスラム革命防衛隊やイラクのサッダーム・フセイン政権下での共和国警備隊,ナチス・ドイツの武装SS,ソ連のNKVD軍など革命政党や革命勢力は,政権を握ると必ず独自の武装組織(私兵)を設置します.
 これは上記リンク先で関氏が言うように正規軍のクーデター防止の均衡力として私兵を作りたがるからですが,では何故革命勢力は正規軍の文民統制を信じていないのかを3つの事件から述べていきたいと思います.

 1つ目はクロンシュタットの反乱.
 ロシア革命で政権を握ったボルシェビキ(後のソ連共産党)は,労働者と兵士が武装した革命軍を革命を守る国軍たる赤軍とすべく,旧ロシア帝国軍将校を採用するにあたり,党から派遣された政治将校制度を発足させました.
 にも関わらずクロンシュタット基地で赤軍の水兵が反乱が発生.
 赤軍は鎮圧したもののレーニンは,当時の国内警備軍を秘密警察のチェーカーの指揮下に置いてボルシェビキの私兵としました.
 チェーカー軍は後にNKVD軍となり,第二次世界大戦後の人民委員部制度の廃止で発足した内務省軍(国内軍)となり,スターリン死後は共産党の私兵から本来の国内軍の役割に戻っています.

 2つ目はカップ一揆.
 これはドイツ革命の時にドイツ共産党勢力の鎮圧のために組織された旧ドイツ帝国軍の将兵で構成された義勇軍の反乱で,ヴァイマル共和国政府は当時のドイツ共和国国防軍(ヴァイマル共和国軍)に鎮圧を命令したものの,ヴァイマル憲法では軍は政府の命令に従うと明記されているにも関わらず,国家の内部の国家と化していたヴァイマル共和国軍のハンス・フォン・ゼークト兵務局(旧プロイセン参謀本部)長は,鎮圧命令を拒否.
 一時国内は内戦状態になりました.
 最終的にはカップ一揆は鎮圧されましたが,ナチス党が政権を掌握した時,アドルフ・ヒトラーは軍の反乱を恐れ,党組織の親衛隊に軍と同じ装備と軍事訓練を施した武装親衛隊(武装SS)を発足させています.

 最後はチリ・クーデター.
 1970年にチリで左翼の人民連合のサルバトーレ・アジェンデ政権が発足すると,アメリカ政府はラングレー(CIA)に政権転覆工作画策を命令したものの,当時のチリ陸軍総司令官のシュミット将軍は軍は政治的に中立で無ければならないとクーデターを拒否.
 ラングレーはシュミット将軍を排除しプリッツ将軍が陸軍総司令官になるも,プリッツ司令官もクーデターを拒否し,やはり排除.
 その後就任したアウグスト・ピノチェト将軍はクーデターに同意,1973年にアジェンデ政権打倒のクーデターを行い成功しています.

 かつて自衛隊やドイツ連邦軍では文民統制が行き届か無かった反省から,文民統制だけでなく文官の官僚が軍(自衛隊)をコントロールする文官統制が行われており,文民統制が定着した現在では運用(作戦)に限り廃止されたものの,今でも防衛省の防衛部員は自衛隊の佐官クラスの地位におり,人事権を握っています.
 ドイツでも議会から派遣された防衛委員が軍のオンブズマンとなっています.
 世界の革命政党や革命勢力も同じことをしていた(政治将校制度)のですが,どうやらそれだけでも正規軍は信用しておらず,私兵を作りたがるのかも知れません.

 文民統制が定着した国では軍は安全保障の公共サービス機関とされており,これは別な言い方をすれば軍は官公庁で軍人は公務員となります.
 これは自衛隊や自衛官も例外ではありません.

 しかし革命政党や革命勢力は,文民統制を定着させるより私兵創設を選びたがるようです.

ねらっずーり in mixi page,2020年02月
青文字:加筆改修部分


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