c
「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ サイト・マップへ
治安の乱れ
(朝目新聞より引用)
【質問】
火炎瓶や奪った銃器で戦うゲリラ?・民兵?と,治安部隊との戦闘を書いた本を教えてください.
できれば,それぞれの立場から書いてあるのがいいです.
国内の騒乱でもかまいませんが,たとえば学生vs機動隊だったら,学生側の戦術戦略(そんなものがあったとして)と,機動隊側の戦術戦略が,多少なりとも語られていればありがたいです.
【回答】
佐々淳行とか書いちゃ駄目?
「それぞれの立場」で集めるのは実に簡単.
ま,それぞれの立場で忘れられがちなのは,思想がかった意味でない民衆の立場.
さらに疎かにされがちなのが,巻き込まれた縁の下の力持ち達かな.
例えば10.21反戦デー(新宿騒乱)がそう.
後世の本では,まず学生運動側,次いで警察側の事情が描かれ,通常はここまで.
多少配慮したものでも,新宿にいた一般客や商店主のコメント程度までしか触れない.
研究家(マニア的な意味での)は,そうじゃいかんね.
商店に触れるなら被害額まで出してもらわないと.
実はこれは,当時の新聞の東京版なんかには細かく出てる.
後,「戦場」にされてしまった国鉄私鉄の当事者の証言.
これも当時の業界誌や,『新宿駅90年のあゆみ』なんかに,輸送のプロから見た騒擾の流れが書かれてる.
私鉄の有価証券報告書には,学生運動による輸送混乱と,登校率の低下で営業的にマイナスとなった旨もかかれていたりしますな.
こういう情報を草の根レベルというと,個人的には思っているが,質問者が期待しているであろう,海外の騒乱では,昔はこのレベルまでは中々手に入らなかった.
今は,ある程度は入手できる.
時代は変わったよね.
岩見浩造 ◆Pazz3kzZyM :軍事板,2011/07/31(日)
青文字:加筆改修部分
ただし,岩見浩造なる人物の情報は,鵜呑みは避けたほうが賢明な模様.
その信頼性についての考察は,こちらを参照されたし.
永田洋子「十六の墓標 上下続」(彩流社)
坂口弘「あさま山荘1972 上下続」(同)
佐々淳行の文春文庫;
「連合赤軍「あさま山荘事件」」
「平時の指揮官 有事の指揮官」
「香港領事」
「わが上司後藤田正晴」
「危機の政治学」
「焼け跡の青春」
(発行年月日・値段は省略)
ZII ◆RPvijAGt7k :軍事板,2011/07/31(日)
青文字:加筆改修部分
立花隆の「中核VS革マル」
あと,あさま山荘事件なら,長野県警の人も本を出してるが,これが佐々淳行に対する反論になっていて,ある意味面白い.
連合赤軍本ならメンバー中,唯一ゲリラとして才能がありそうな植垣康博の,「兵士たちの連合赤軍」しかあるまい.
海外モノでは,民兵にしちゃ重装備すぎるし,治安部隊にしては精鋭すぎるが,BHDの原作本はどうかな?
非戦闘員を盾にしてヒット&アウェイとか,仰向けに寝てRPG発射とか,興味深いネタがある.
あと,火炎瓶どころじゃない,バリバリの反乱軍との対戦である
白善Y 著「対ゲリラ戦」
李 泰 著「南部軍」
もオススメだ.
軍事板,2011/07/31(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
各国の安全保障機関で,警察か軍隊か区別がつきにくいところがありますよね.どうすれば区別できるんですか?
【回答】
軍隊と警察の違いですが,法規上交戦権を有するのが軍隊で,警察等は外形的(制服・公然武器携帯・指揮系統)には交戦団体の必要条件を満たしてはいるものの,所管する国家から交戦権を与えられていないので軍隊ではない,ということになります.
有事の際に軍管轄下に置かれる沿岸警備隊・国境警備隊等は準軍隊となります.
よって,日本の旧保安隊やコスタリカの警備隊は非軍隊,中国の武装警察は軍隊となります.
実際には,他国等が軍事力と見なすかはその国にとって脅威・障害となり得るか,市民が軍隊と見なすかは,外形的な印象やその人の思想信条で異なるかと思いますが,コスタリカの場合は準軍事組織(軍-警の中間)と見なすのが妥当かと思われます.
Costa Rica Map
(画像掲示板より引用)
【質問】
軍隊が治安維持を行う事は危険?
【回答】
「軍隊が市民に銃を向けるな!」
「軍隊が治安維持を行う事は危険です!」
・・・というセリフは反戦運動などでよく目にすると思いますが,これってどうなんだろうな,と思う時があります.
どういうことかというと,フランスやイタリアでは軍隊が平時から司法警察権・行政警察権を与えられ,一般警察と同様に通常警察業務(犯罪捜査や治安維持)に就いており,市民は普段から軍隊と身近に接しているからです.
これは『国家憲兵』(フランス−ジャンダルムリ,イタリア−カラビニエリ)と呼ばれる制度です.
ヨーロッパでは他にもオランダやスペインなど,幾つかの国で同様の「軍隊であり警察でもある組織」の制度があります.(国家憲兵 - Wikipedia)
国家憲兵は国防省に所属し,警察権を行使する時は内務省の指揮を受けます.
国家憲兵は軍隊内での憲兵の仕事と一般警察業務の他に,通常戦力として軍主力の補佐を行います.
空挺部隊や特殊部隊,装甲部隊をも保有しており,戦時の際は予備戦力として,また平時からは国連平和維持活動等に従事し,また場合によっては国連と関係なく海外での軍事作戦に投入されることもあります.
普通に考えれば国家憲兵は一般警察と仕事が被っている為,縄張り争いを生み,効率的とは言えません.
元々は警察では対処が困難な状況の中で軍隊が治安維持を担当するうちに出来た制度(ジャンダルムリの起源はナポレオン時代の騎兵で,本来の業務は脱走兵の追跡.その後に警察力の弱い地方で治安維持任務も行うようになった)なので,治安が落ち着いたならば不要なものですが,歴史と伝統の名の元に今でも残されています.
なにしろイタリアのカラビニエリは歴史的に国家警察よりも古く,カラビニエリの緊急電話番号は112でポリツィア(警察)は113.国民の認知度もその順で,イタリアンジョークの素材としてカラビニエリは欠かせない存在となっているくらい愛されています.
カラビニエリを題材にしたバルゼッレッタ(笑い話)はカラビニエリ公式サイトにも載っており,本まで出ています.
其処には「軍隊が治安を維持する」という悲壮感は何処にもありません.
結局の所,軍隊が治安維持に出動して問題となるのは法的手続きの点であり,アメリカでも治安が悪化したら州軍が積極投入されています.
ましてや上述のように平時から一般警察業務を行っている国もあるわけです.
日本も嘗てはフランスを倣って同様の制度を制定し,その憲兵隊は国家憲兵としての機能を持っていました.
元々「憲兵」とはジャンダルムリの訳語だったのです.
憲兵は太平洋戦争が無ければ今も日本に存在していた事でしょう.
とはいえ,戦前の時点から内務省の警察との棲み分けは考えられていて,朝鮮半島のような外地の派遣憲兵は一般警察業務が主で軍事警察業務が従,治安が十分確保されている内地(日本本土)ではその逆となっていました.
現在の自衛隊では「警務隊」が憲兵隊に相当しますが,権限は自衛隊内に限られています.
さて,こんな話を延々と続けた真の目的は・・・
憲兵隊を題材にした小だまたけし先生の「平成コンプレックス」の続きが読みたいので,早く連載再開してくれないかなと願う所存です.
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq07kd.jpg
そういうオチかい…….
【質問】
〔JSFが〕無邪気に
「憲兵が治安活動するのには何の問題もありません」
とか言ってるのには心底引いたが.
【回答】
「軍隊が治安維持を行うという意味」
についての話だろうが,JSF氏は憲兵制度についての明白な肯定も否定も,記事中では行っていないように見える.
どちらかというと肯定的ではあるようだけれども,特に「こうあるべき」という主張は見受けられない.
すなわち,オブイェクトの記事ではフランスやイタリアの国家憲兵の話で,日本も戦前は朝鮮半島では憲兵が
治安維持任務を行っていた,という話だったはず.
別に今の日本で,憲兵が治安維持をするという話じゃ無かった筈だが.
国家憲兵のように警察の治安業務も受け持っているような憲兵は,世界には昔から普通にある.
たとえばフランスやイタリアでは,普通に平時から治安活動してる.
戦前なんかは自由主義陣営ですら珍しくない話だよな.
そして,戦前からそうした国家憲兵制度が存在するという命題と,そうした国家憲兵が望ましい制度かどうかという命題は別物だと思うんだが・・・
オブイェクトの元記事でも,国家憲兵制度については,
「普通に考えれば国家憲兵は一般警察と仕事が被っている為,縄張り争いを生み,効率的とは言えません」
と書いているし.
(長い伝統のある欧州で,日本のような感覚が共有されていないことも書いているが)
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
「警察の手に負えないほどの事態になって軍隊投入」の事例って,欧米ではあるの?
途上国に多そうだけど.
【回答】
日本や欧米は豊かな国かつ民主政の国なので,反政府活動があまりもりあがりません.
それでも警察の後ろ盾が軍であることは間違いありません.
反政府組織や犯罪組織は警察との戦闘に勝っても,軍隊がでてきて鎮圧されることが分かってるので,ガチでやりあう事がないのです.
また,欧米には国家憲兵とか警察軍といった治安維持用の準軍事組織を持ってくる国が多いのです.
それを軍隊といっていいのなら軍隊が出てくることがあります.
・フランスの国家憲兵隊(伝統的な位置付けの為)
・イタリア(フランスと同様だが治安が少々悪いのでもっとガチ)
・イギリス(あの国の水面下のやばさは想いっきりガチ)
でも中国みたいに,正規軍を投入して発砲してでも治安するとかいうのとは全然違うので,混同ないでください.
あくまでも警察式のやり方で暴徒を鎮圧します.
ちなみに有名なシチリア・マフィアを警察が一掃したときは,本土から陸軍歩兵連隊を送り込んで睨みをきかせました.
また,ロス暴動の時に州兵が投入されています.
軍事板
青文字:加筆改修部分
イタリアのカラビニエリ
(画像掲示板より引用)
【珍説】
ところで仮説なんだけど,
「未だに国家憲兵がある国は,ファシスト協力歴があるEU下流国が多い」(笑)
大日本帝国も滅びちゃったしね.
Posted by 九郎政宗 at 2007年06月07日 12:23:54
【事実】
へぇ,じゃあ九郎君の言う「EU上流国」とはイギリスやドイツを指すわけ?
あれ?,ドイツって元ファシストだよねぇ.
すると他にEUの大国で国家憲兵制度を持っていないのはイギリスくらいだけど,それでいいんだね?
以上,「週刊オブイェクト」コメント欄,2007年05月27日より
【質問】
なぜ軍隊が警察を兼ねない国家があるの?
【回答】
んー,一般教養なんて十ウン年前にやったっきりだからウロ覚えだが,
1) 原始状態では人間はおのおのが暴力を行使できた
2) 家族においては復讐権という形で,相互の暴力に対する報復が保障された
3) だが主権国家となるにあたって,国民個人の暴力行使権は国家に取り上げられる
4) 代わりに国家は内向きの暴力装置として警察を,外向きの暴力装置として軍隊を国民に提供し,協力を強制する
なので本来,外向きと内向きの暴力装置は,「国家主権を守る」という目的は同じでも方向性が異なり,混用はしないほうがいい.
しかし現実には,むしろ真逆に,内向きと外向きの暴力装置という極めて近しい性格から元々,歴史的にも「混用」されることは特に珍しいことではない.
例えば国家憲兵とは,平時には内務省などの権限の下に置かれる.
普通の警察とほとんど変わりのない警察業務を行なうものだが,名義上の所属は軍だったりする.
また非常時には軍隊そのものが治安維持を行なう場合が,法律で定められているのは一般的な事で,現在の日本の法律でも,自衛隊による治安維持というのが内閣の要請があればできるようになっている.
「軍隊は国民に暴力を振るうもの」
という観念がそもそもおかしいわけで,文民組織であっても極めて軍事色の強い純軍事組織のようなものは,軍隊と違うのかといえばそんな線引きなどどこにもない.
平時にはそういう組織が軍に編入されたりするわけだ.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
要人警護について質問です.
日本の場合,天皇や皇族の警護は皇宮警察が行っているようですが,他国では近衛兵が担っているところもありますよね.
皇宮警察は警察なので国内治安維持組織の一部で,近衛兵は兵隊なので国防組織の一部なのだと認識していたのだけれど,君主の警護を警察組織が担う国と,軍隊が受け持つ国,それぞれどんなデメリットとメリットがあるのですか?
それとも,どっちがやってもあんまり変わらないのかな?
【回答】
近衛兵が君主を警護するというのは,伝統的な側面があるから.
軍が警護するのは元々,君主の示威目的だった.
日本の場合は,乱暴な言い方だが,近衛兵は明治に西洋から輸入した風習だから,敗戦後に近衛兵をやめて警察にしても特に問題なかった.
アメリカの場合は,君主制や国内に常備軍がいることへの反感があり,近衛兵というものは持っていない.
今は普通のどこの国でも,平時の警護は警察が主力となって行う.
軍の国内出動にはたいていの国で,それなりの法的なくびきがあるし,治安対策上も警察のほうが動きやすいし,情報も豊富.
来賓や重要人物といった君主以外の警護にも人を配置しやすいし,私服での警護や事前の情報収集といったことも行える.
観光的には,近衛兵のほうが見栄えがするが.
軍事板
青文字:加筆改修部分
英国宮殿の近衛兵
(画像掲示板より引用)
【質問】
以下のように述べている人がいますが,21世紀の軍隊は「重武装した警察」を目指すべきなのですか?
――――――
先進国同士が正面切って戦うことが考えにくくなった代わりに,国籍だの国家システムだのといったものにとらわれないテロリズムこそが脅威である今,〔略〕 21世紀の軍隊は「重武装した警察」の方向を目指すべきであり,日本の自衛隊にはその先駆けとなれる可能性がある,ということだ.
――――――林信吾著『反戦軍事学』,p.205
【回答】
たしかに脱国家的な脅威は,これからの安全保障上,重大な脅威となりえるでしょう.
それはジョセフ・ナイなども指摘していることです.
しかしナイは同時に,これから先も領土国家が主流であって,しばらく覆ることはないとの見方も示しています.⇒more
したがって領土国家間の紛争も,これから先も存在し続けるでしょう.
そのような紛争には,「重武装した警察」では対応できません.
ホホイのような考え方は,偏っていると言わざるを得ません.
◆◆補給
【質問】
補給の本っていいのありますか?
【回答】
▼私見だけど「補給戦」は,少なくともいきなり包括的な内容を一気に詰め込むより,ツボを押さえた上でピンポイントなエピソード紹介にとどめる点で,むしろ初心者には理解しやすい.と感じたわけだけど…
軍事板,2009/07/02(木)
青文字:加筆改修部分
▲
原書房の「補給戦」でしょう.
バロバルッサの項を読むと,無謀だったのが分かります.
随分前に廃刊になってるはずです.
湾岸戦争んときの補給担当者が書いた,「山,動く」ってのはどうでしょう.
▼ 「山・動く」は,湾岸戦争時の米軍兵站担当将官の回想録.
機甲部隊指揮官のそれである「熱砂の進軍」と併せて読むと,前線,後方それぞれの行動や思考と互いの関連性がよく分かります.
軍事板,2009/07/02(木)
青文字:加筆改修部分
▲
もしくはシュヴァルツコップフの回想録とか.
大半は自画自賛だけど.
簿記・経理が大っ嫌いな自分は,本書の中の「『伝票との格闘』が司令部の仕事」の趣旨の記述を見て,自衛官になるのを断念しました.
▼金井英一郎「Gパン主計ルソン戦記」
中原茂敏「大東亜補給戦」
藤原彰『餓死(うえじに)した英霊たち』
エバタンの『軍事とロジスティックス』
『帝国陸軍場の衣食住 糧食を軸に解き明かす"知られざる陸軍"の全貌』
(〈歴史群像〉
『コンテナ物語』は面白かった.
単なる読み物としても良質だったが,何よりハコを見る目が変わった(笑)
軍事板,2009/08/27(木)
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
故江畑氏の『軍事とロジスティクス』とかどうよ?
俺はまだ読んでないけど,手を出したい本なんだが.
【回答】
あの本は『補給戦』とは趣が違って,現代のアメリカ軍の最新の兵站システムのカタログブックという感じだよ.
(元々,ロジ系の新聞社の連載を纏めた物だし)
陸海空の格輸送システムから,そしてそれらを纏める基幹システム,電子タグや事前備蓄補給船など内容は盛り沢山.
読んでみて損は無いかと.
軍事板,2010/01/07(木)
青文字:加筆改修部分
【質問】
現・近代では航空機や鉄道がありますが,ナポレオン戦争やそれ以前の戦争はどうやって補給線を維持していたのでしょうか?
【回答】
当然ながら馬匹輸送か人力搬送.
あとは現地徴発.
その当時は使用する弾薬量が少ないので,補給はもっぱら食糧が多かった.
食糧は人の住んでいるところなら手に入りやすい.
このため,現地調達(対価を払う場合もあったが,大抵は徴発)した.
だから,戦線が膠着したり、包囲戦に移行すると,周辺の物資を食いつぶして包囲側が難儀したりした.
弾薬や,一部の食糧などは馬車で運んだ.
また,河沿いなら船で運ぶこともできる.
船なら大量の物資を運べるため,近代以前の戦争では川筋は戦略を左右するものでもあった.
『補給戦』という本が詳しい.
軍オタ必読の一冊.
『補給戦 何が勝敗を決定するのか』
マーチン・ファン クレフェルト著, 佐藤佐三郎訳,中公文庫BIBLIO,2006.5,サイズ:422ページ
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍事作戦において,補給の概念が大事になってくるのはいつごろから?
【回答】
M・V・クレヴェルトの「補給戦」(原書房,1980/11)に詳しいですが,弾薬や銃器の劇的な増加は第一次世界大戦の頃に起きました.燃料もそのころからです.
逆にそれまでは,補給の殆どは馬匹の餌と糧食だったから,現地調達が可能であったと.
________∩_∩
/ ノ ヽ ( ノ⊂ ̄))) ̄⊃
/|ヽ (_ノ ._ ̄ 0'ヽ 0'
/ |ノ .) (_) ヽ i
( むしゃむしゃしていた。
∋ノ | /――、__ ./(∩∩) 馬匹の餌なら何でもよかった。
/ /| ヽ__ノ | / ./ 今は反芻している。
| ( | ( ’’’ | ( /
|__ヽ.L_ヽ Lヽ_ヽ
''" ""''"" "'''''"
""''"" ''" ""''""
''" ""''"" ''"
""''"" "'''.
【質問】
近・現代戦では,兵糧攻めという戦法は行われますか?
【回答】
拠点を包囲して餓死を待つ本来的な意味での兵糧攻めと言うのは,攻撃側が膠着状態を打破できず,しょうがなくやるもの.
今は要塞は迂回してしまうので積極的にはやらない.レニングラード戦みたいなのは.
敷いて言えば,政治的な理由で直接的に攻撃したくない時とかかな.
しかし相手の補給を断って弱体化させることは,戦術の王道であり基本である.
これを兵糧攻めと言ってよいなら,行われているといえる.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分
例えば,湾岸戦争における空爆作戦(砂漠の嵐作戦)では,補給施設や輸送車両を片っ端から潰していったので,地上戦に移行した頃には,最前線のイラク軍部隊では,食料を含む補給物資がほとんど枯渇していたとされる.
戦略的な視点で言えば,経済制裁も現在の兵糧攻めと言えるかもしれない.
軍事板
青文字:加筆改修部分
ちなみに,たしかアフ【ガ】ーンではターリバーンが国連などからの援助食糧の流れをシャットアウトする兵糧戦術を,ハザラ人だったかに対して行っていたはず.
これについて,当時のペシャワール会では何のアクションも起こしていない.
ターリバーンが米軍の空爆を受けたときには,ペシャワール会はカーブル(ターリバーン占領下当時の)で食糧配りをやったのに.
その前に遡ればビアフラ紛争でも,反旗を翻した内陸部に対する糧道遮断作戦が行われた,はず.
◆◆予算
【質問】
複数の国の国防費の高い低いを比較するには,どんな指標が目安になるでしょうか?
【回答】
例えば,
(国防費)÷(国境線)で,1km当たりいくら
とか.
(国防費)÷(国民)で,一人当たりいくら
とか.
ちなみに,
http://www.epa.go.jp/99/d/19990603seikei/menu1.html
で,内外価格差がわかります.
(比較国の国防費)×(比較国との内外価格差)で出た数字を,日本の国防費と比べれば,高いか安いかわかります.
「内外価格差」だと,円建てで計算します.
例えば,M16がアメリカで10万円.対米内外価格差が1@`08とすると,M16は日本で10万8千円となります.
一方,「購買力平価」だと,ドル立ての金額で直接.例えば,M16がアメリカで1千ドルとすれば,購買力平価が141で,日本では14万1千円になります.
でも,最近ではGDPの方が主に使われています.
【参考画像】
.「全世界のいろいろなデータを可視化して図示すると真実が見える」より
【質問】
どこの国の軍もその年に割り当てられた予算で運営されるのだと思いますが,戦争状態のような予算措置があらかじめとられる場合を除いた,災害出動や,警備出動,スクランブル,機材の故障,事故などで費やされる費用については,どうなのでしょうか?
ある程度,予備費のようなものが予算に含まれているのですか?
【回答】
はい.
というか,当然それらを予想し,発生頻度を考えて年あたりの蓄積を行います.退職金支払準備費みたいな(笑).
それでもアメリカみたいにイラク戦争に金注ぎ込んで三軍大貧乏状態に突入,なんてこともざらにあります.
どちらかといえば,戦争状態の方が頻度の推測も費用の推定も困難であり,そこで軍人は高官になるほど戦争を嫌う,という話になるわけです.
【質問】
「それとは別に、軍需とりわけ正面装備というのは需要弾性値が高いという面があります。
つまり機械製品ですから,自動車のように(下請け・購買などの)裾野が広いんです。
更に設備投資の面が全くありませんから、過剰設備の不安がありません。
つまりランニング・コストで首が絞まることがないわけです。
この結果、国家の支出としては、土木・箱よりも、軍需の方が経済に好影響を与えます。
軍備拡充というのは、新規技術の固まりですから、景気浮揚の効果は大きいでしょう。」
とありますが、軍拡で景気回復は可能なのでしょうか?
【回答】
不可能ではありません。ケインズ先生の説によれば、単に穴ほって埋め戻すという公共事業でも効果があるそうですから。
ただ、一般の公共事業にくらべて、乗数効果は低くなります。市場への波及が相対的に弱い。
「土木・箱よりも、軍需の方が経済に好影響を与えます」という説はトンデモにすぎません。
さらには、現在の日本の不況は、公共事業を増やすことで何とかなるもんじゃない。それで何とかなるものであるのなら、不況に突入してから山ほどやってるんで.※
軍需産業の裾野は民生品に比べて裾野が狭い,というのも周知の事実です。
開発コストが莫大なわりに、生産数が少ないから生産コストも高い.当然、手作業が多く生産性も悪い。
オマケに軍事機密の保全の問題もあり,さらに非効率化してしまいます。
また民生品の様に頻繁なモデルチェンジが出来ない為,同分野の民生と比べると、技術レベルが廃れやすい。
軍需産業にとっては輸出以外には、経済的にプラス要素はありません。
また,我が国の国防予算の内の人件費が占める割合を見れば,「ランニング・コストで首が絞まる事が無い」とはとても言えません。
言うなれば軍備は掛け捨ての保険と一緒で,その国の国力、経済力によって,破綻せず払い続けられる(支出しつづけられる)限界が当然あるのです。
【格言】
「軍事力を育てて使っても,まったく儲からない.しかし軍事力がなければ,もっと儲からない」(古代ギリシア人の言葉)
松村劭著「新・戦争論」
▼
※
>現在の日本の不況は,公共事業を増やすことで何とかなるもんじゃない.
については,以下のような異論もある.
今の日本はバランスシート不況で需要ギャップが発生しています.
積極財政が行われた小渕内閣と,まだ需要ギャップが収まっていないにも拘らず緊縮財政を行った橋本・小泉内閣.
このグラフを見ていただければ分かると思います.
http://www.tek.co.jp/p/bitmap/070801_chart.gif
今の需要ギャップがある日本には,積極財政(公共事業)が必要なのです.
その事が分かれば,この表記はどうかと思います.
この部分だけ削除ないし書き直したほうが良いかと.
ちなみに私はケインジアンではないのであしからず.
需要不足の日本経済を考える
http://www.adpweb.com/eco/eco47.html
需給ギャップと景気回復
http://www.adpweb.com/eco/eco116.html
減税の経済効果
http://www.adpweb.com/eco/eco49.html
橋本総理退陣を考える
http://www.adpweb.com/eco/eco75.html
▲
【質問】
軍事への支出は非生産的であり,道路建設のような公共事業への支出より経済への貢献度は低い,と他の板で見ましたが事実ですか?
なんか「道路建設」としてる点で,族議員の人が道路を造りたい為に言ってるような気もしますが.
【回答】
軍隊と言うものは,現代においては健康保険のようなもので,自国を仮想敵国とする仮想敵国に対する抑止力としての存在です.
過剰な軍備は財政の負担になりますが,国家が無くなればそれどころでは無くなります.
また道路などのインフラストラクチャーも,造った以上は維持するにも費用が掛かりますし,耐用年数を経過して寿命が来れば,解体し再度構築する必要があります.
これらが無用である,と言う考え方は,社会資本について何も知らないと言っても過言では有りません.
「戦争」への支出が非生産的なのは確かだが,「軍事」への支出は似て非なるもの.
軍事部門への投資で得られた技術が,民生部門に転用されたりして産業への貢献は相応にある.
たとえばどの国も,航空宇宙産業は軍事産業と表裏一体.
国によっては,軍事兵器の生産輸出はその国の重工業の何割かを支えてたりもするので,道路作るよりも重要だろう.
でも,国家予算を投じて行われる「軍事支出」は,一般論として経済にそれほど貢献しない.
軍事支出が転用されて民需に生かされた例は多いが,それだって「民需の為に」やったわけではないので.
技術のスピンオフどうこうは軍需産業の言い訳.
基本的に軍事機密で自由にならないのだし,最初から民生目的で政府が援助してれば,もっと安くできる.
公共投資云々も同様で,雇用が目的ならもっと少ない予算で多くの人間を雇用し,なおかつ生産財への投資ができる.
軍事支出は「無駄だけどやらないわけには行かない」からやっているのであって,生産的だからやっているわけではない.
そういう意味で軍事支出ほど非生産的な支出もそうそうない.
だからといって減らせばいいというものでもない.
ちなみにケインズの有効需要の原理では,公共投資の内容が何であれ,雇用が拡大できれば経済効果は同じ.
恐慌対策としてアメリカで行われたニューディール政策は,この原理に基づいていた.
もっとも新自由主義の流行で,ケインズ批判も高まってきたが.
目次へ 「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ サイト・マップへ
軍事板FAQ
軍事FAQ
軍板FAQ
軍事まとめ