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<兵器FAQ目次
(画像掲示板より引用)
「Togetter」◆(2010/09/15)対地攻撃機夜話
「VOR」◆(2012/08/29)第二次世界大戦中の爆弾発見 アムステルダムの国際空港一部閉鎖
「東京の郊外より・・・」◆(2013/03/28) B-2爆撃機20周年:3月はB-2の当たり月
【質問】
爆撃機って何?
【回答】
爆弾やミサイルなどを積んで,敵の地上や海上の目標を攻撃するために使用される飛行機.
戦略目標を破壊するためのものが戦略爆撃機で,戦術目標を破壊するためのものが戦術爆撃機.
第二次大戦の頃には急降下爆撃機というものもあったが,最近では命中率を上げる目的で急降下爆撃をしなくても,精密誘導爆弾や誘導ミサイルといったものがあるため,絶滅.
目的を果たすため,大型機であり,長い時間飛べることが普通.
反面,高速性能や運動性能は低く,対空武装は自衛程度.
そんな機能をつけるくらいなら,余計に爆弾を積んだほうがいいからね.
B-17爆撃機
(画像掲示板より引用)
【質問】
世界で初めて戦車を破壊した航空機を教えてください.
【回答】
記録上で確認されているのはコンドルCondor
軍団のものです.
1936年7月に始まったスペイン内乱で,ナチス・ドイツはコンドル軍団と称された空軍義勇兵部隊を送り込みましたが,この部隊J/88(第88戦闘飛行隊)にはハインケルHe51が配属されていました.
1938年1月20日,第4中隊に所属するエッケハルト・ブリーベ少尉はこの機体で,テルエルの町から逃走を図ったロシア製T-26軽戦車に対し10kg爆弾6発を投下し,これを破壊しています.
おそらくこれが,記録上,地上攻撃機で戦車を破壊した最初の事例になると思います.
名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE :軍事板,2005/04/09(土)
青文字:加筆改修部分
コンドル大隊第4中隊のHe-51
(http://www.cbrnp.com/profiles/quarter2/he51.htmより引用)
ちなみに,攻撃機でないので範疇に入らないと思いますけど,坂田精一著「独逸航空人傳」(十一組出版(東京市京橋区銀座西8-4小澤ビル:当時),昭和十七年一月十五日発行)という戦時中の本に機銃掃射(近接射撃)でイギリス戦車を撃破(後に地上部隊が捕獲)した方の話が出ています.
同書の第3章「空軍の建設者」の174ページから178ページに,空軍大将ロベルト・グライムの紹介が書かれており,そのなかで
「1918年3月ソンム方面におけることで,2機で行動中会敵せず,帰投しようとしたところ,2台を発見500メートルより急降下し射撃しても効果無く,帰って反撃を受けたが,衝突寸前まで近づき射撃することで,2台とも撃破した」
ということが紹介されています.
1918年10月に28機撃墜と戦車撃破でプール・ル・メリットを受けたと有ります.
出版年から宣伝の可能性も指摘されるかもしれませんが紹介いたします.
(なお,大戦間の混乱期にヒトラーが政府の監視の目を逃れてベルリンに飛行機で乗り込んだときの飛行士(ヒトラーの最初の飛行機搭乗の飛行士:当時郵便機の飛行士だった)と紹介されています)
機種の範疇外と思いますが,参考までに.
なお,ロベルト・グライム Robert Greimの経歴は以下の通り.
Greimは戦前からの職業軍人.
1915/10/10,self-taught observer〔訳語不明〕として独習中に最初の撃墜をした.
彼はScheliessheimで飛行を学び,1917年4月,第34航空戦闘団に入った.
1917年後期から1918年にかけ,彼は第10臨時航空戦闘グループを指揮した.その部隊は後にグライム戦闘機隊として知られるようになった.
〔略〕
1918/10/8,彼はプール・ル・メーリト Pour le Mérite 勲章を受け,28機撃墜を記録して大戦を生き延びた.
彼はまた,英軍戦車1台撃破という公認記録を持っている.
1920/11/8,彼はマックス・ヨゼフ Max Joseph 勲章の栄誉に輝いて Ritter(騎士) von Greimとなり,また,航空界に残った.
1935年,彼は新生ドイツ空軍に加わり,最後は元帥 Generalfeld-Marschall に昇進した.
ドイツ敗北により彼は逮捕され,その僅か後に自殺した.
Alex Imrie著「German Air Aces of World War
One」
(Arms and Aomour Press,1987),p.28
翻訳:消印所沢
比較のため,上述の「独逸航空人傳」からも,グライムの部分を抜粋要約.
ロベルト・グライムは,1892年6月22日に,南独逸バイエルン州の都市バイロイトに生まれた.
父はリッテル(騎士)の家系を有する憲兵の大尉だった.
士官学校を出て,バイエルン鉄道大隊の見習士官になり,世界大戦の前年に少尉に任官した.
その頃から飛行将校に憧れて居たが,開戦と同時に連隊の副官として,西部戦線に出征した.
ロートリンゲンの激戦に参加し,勇敢に戦ったが,飛行士の活躍に刺戟されて飛行隊への熱望が再燃した. 間もなく偵察飛行士に採用された.
第3野戦飛行隊に属し,写真偵察,遠距離偵察,砲兵の着弾観測等に従っていたが,1916年11月にシユライスハイムの飛行学校に入校を命じられ,飛行機の操縦術を学んで,駆逐飛行士となった.
彼はドストレル中尉の指揮する駆逐第34中隊に属して,仏軍の死守するヴェルダン要塞の攻撃に参加し,めざましい空中戦をやった.
そしてドストレル中尉が本国へ帰還した後,その後を襲って中隊長となり,西部戦線の各地に転戦した.
1918年3月にソンム方面で独逸軍の大攻勢が企圖された時,彼の部隊もソンム河畔へ集結した.
敵の砲弾は,晝<昼>夜間断なく独逸軍の頭上へそヽがれた. グライムは部下の1機を従えて,灰色の霧の霽れ間を,ソンムの低地の基地から飛び立った.
敵機を覓めて,空しく帰る途中,敵の戦車2臺が独逸軍の陣地の方へ進んで来るのを発見した.500メートル上空から急降下して,機銃の猛射を浴びせる.
戦車はびくともせず,砲火を開いて応酬する.
この空地の戦闘は容易に決せず,引き分かれるかと見えたが,意を決したグライムは戦車にぶつかるやうに猛烈に突っ込んだ.
あはや衝突といふ所で,機銃を放って,上昇した.戦車は停止した.
この手を用ひて,もう1臺の戦車を仕止めた.
基地に還った時,戦線からの通知で,その戦車が抵抗力を失ったまヽ独逸軍の鹵獲に帰した事が分かった.
この時以来グライムは,「戦車撃碎者」の綽名を取った.
その後,駆逐第9大隊の指揮官となった.この部隊は「グライム駆逐大隊」の名で知られた.
28機撃墜と戦車の撃砕により,1918年10月にプール・ル・メリット勲章を授けられた.
独逸軍の前線が崩壊した同年11月迄に,彼は敵機30機を撃墜して居た.
革命と敗戦のため祖国が死に瀕した時,彼は生活の方途を飛行士に見出し,ウーデットと共に曲技飛行をやって廻った.
次いで郵便飛行士となり,ミユンヘンとニユンベルグ両市間の急を要する郵便物の輸送に従った.
この頃の事であるが,ヒツトラーが時の政府の厳重な警戒の目をのがれて伯林へ乗り込んだ時,被蓋のない舊<旧>式な飛行機に乗せて,警戒網を突破させたのは,このグライムであった.
これは決死的な冒険飛行であったが,ヒツトラーはそれ迄一度も飛行機に乗ったことがなかつたので,「ヒツトラーの搭乗機の最初の操縦士」となったわけである.
その後職を失ひ,1924年に支那へ渡り,広東の陸軍飛行学校の教官となった.
在支三年にして帰国し,独逸航空スポーツ聯盟の経営するヴユルツブルグ飛行学校の指導教官となり,空軍再建後一躍して駆逐飛行兵監に抜擢され,空軍少将となり,航空省の空軍人事局長をも勤めた.
1939年2月の空軍新編成に当たり,中将に進んで,ミユンヘンにある第五飛行師団長に補せられ,1940年7月に戦功によつて空軍大将に昇進した.<以下省略>
【質問】
対艦ミサイル装備の攻撃機が,敵の小型舟艇を発見.
高価な対艦ミサイルぶっ放すには採算が合わない.
しかし不穏な行動してるし,放っておく訳にはいかん……なんて場合,どのように対処するのですか?
【回答】
ハープーンでオーバーキルの場合は,例えば搭載ヘリの武装を用いるなどの方法が考えられる.
最近は対潜ヘリでもヘルファイアとかが積める.
また,普通そういう場合は,状況が複雑でつかみにくい事が多いので,第一に偵察・追尾する.
「いきなり撃沈したら民間船舶でした」では非常に不味いので,そういう意味でもヘリは有効.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
えあ・れいど はスルーでつか.そうでつか.
【回答】
ここの説明は悪くないと思う.
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http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%F5%BD%B1?kid=88517&mode=edit
空中襲撃((air raidないしはair-raid))の略語.通常は航空機によって地上・水上の目標を攻撃すること.
対応する英単語としてはair raidとかair-raidとかair attackとかair strikeとか,aerial attackとかaerial blitzとかair campaignとかairborne attackとかaerial bombardmentとかaerial bombingとかair assaultとかair bombardmentとかairborne assaultとかがある((面倒になったんで途中から英辞郎から引っ張ってきてます)).
「空爆」とのさしたる違いはない.
厳密には
-空爆:空中爆撃=航空機で行う爆撃((日本語では「爆撃」だけで「飛行機から爆弾を落とす行為」になるが,英単語のbombingは字面では「爆弾する」であって,航空という概念は入ってない))のこと.
-空襲:空中襲撃=航空機で行う襲撃(=爆撃だけではなく,銃撃や雷撃等を含めた航空機による対地攻撃((実際にはair-to-surface,対地・対水上攻撃.航空機による対潜水艦攻撃を含めることも可能か))全般)
という違いがあるが,そこまで考えて使い分けてる人はそんなにいない
((実際,「空爆」の語で航空攻撃全般を指す用法もまま見られる)).
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えあーすとらいく,空爆は航空爆撃だし,えあーすとらいくの正確な直訳は航空攻撃.
えあーれいど,空襲は航空襲撃で,結局のところ攻撃も襲撃も日本語的にはほぼ同義語…
(つーか襲撃という言葉は広義の攻撃という言葉の中に含まれる一分類だよなあ)
こういう翻訳上の問題は日→英でも,こっちで二つ以上に厳密に区別されてるものが,向こうでは全部ひとまとまりで表記されるとかあってややこしいわ.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
湾岸戦争の頃あたりから,「空爆」という言葉をニュースなどで頻繁に見かけるようになりました.「航空爆撃」の略だと思うんですが,これはマスコミが作り出した流行語のようなものなんでしょうか?
もしそうなら,「爆撃」または「空撃」という表記をした方がいいんでしょうか?
【回答】
「空爆」は,英語のair bombardmentに対応する「空中爆撃」の略で,戦前からある用語です.
空爆という言葉自体は明治中期のジュール・ベルヌの小説の翻案に由来します.
ただしこれは,空中戦闘のシーンで出てくるもので,地上に爆弾を投げつける,という意味では使われておりません.
軍事板,2005/06/09(木)
青文字:加筆改修部分
その後,例えば「空戦に関する規則」(1922年12月11日署名)には,「空中爆撃」という文字がありますし,昭和12年『読売新聞』の広告(写真)にも見られます.
▼ また,以下は,『ああ梅林中尉』という歌の一節.
>四 春野の雲雀 野辺の蝶 敵があわてて 射ち出す
> 燃ゆる砲火を かいくぐり 阿修羅のごとく 空爆す
>http://www8.ocn.ne.jp/~nnn/C10_10.htm▲
日中戦争の頃にはそれなり流布していたのかもしれません.
▼ ただ,
若林 宣 @t_wak in twitter,2014/07/20
によれば,
>そんなメジャーな言葉ではなかったような.
とのこと.▲
ただし,砲兵のbombardmentに対する,Aerial
bombardmentを訳したあたりが起源とする説もあります.
戦後も,「ミサイル空爆戦隊」(1963年の作品)や「グロイザーX」というアニメなどに見られます.
一方,爆撃という語の初出は第一次大戦時ごろ,空襲は第二次大戦中のようです.
しかし,最近のメディアで”爆撃”と言うところを”空爆”と言っているのは,マスコミがいい加減な翻訳を(例によって)したために作られた言葉だと思います.
すなわち,aerial bombing ないし air strike
を,それに相当する日本語である爆撃と翻訳することなく,字面のままに空爆と訳してしまったものと思われます.
英語では,迫撃砲による砲撃から,自爆テロ,時限爆弾まですべてbombingと呼びますから,爆撃をaerial
bombingとして限定する必要があるのですが,日本語の「爆撃」にはaerial
bombingの意味しかありませんから,本来「空爆」という新語を造る必要はなかったのです.
bombingという単語の意味も分からなければ,爆撃という単語の意味も分からない愚か者が作った破廉恥な新語が「空爆」というわけです.
これじゃまずかろうと思ったのか,この「空爆」は一応,現在では「air
strike」だけに対応するマスコミ用語とされています.
これは湾岸戦争開始直前のマスコミ各社用語委員会での用語統一として決定されております.
(ソースは共同通信社編集局報)
用語委員会の決定には文部省も一枚噛んでいるので,当時の官報にも記載されているはずです.
爆撃は第二次大戦中のような空軍単独の作戦であるのに対し,このAir Strikeはエアランドバトル構想に基づき,陸上部隊の作戦支援の一環として行われるものなので,ヘリのロケット弾攻撃も,B‐52による後方基地爆撃も空爆となります.
しかし報道現場等では,そんなの知ったことじゃない,というのが現実のようです.
軍事板,2005/06/09(木)(黄文字部分)
& "System" 他,日付不明
青文字:加筆改修部分
道浦俊彦/とっておきの話◆ことばの話1469「空爆と空襲2」
にも,「空爆」について記述がある.
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NHK放送文化研究所が出している『放送研究と調査』という専門誌の1999年6月号.
もう処分しようかなと思いながらパラパラとめくっていると,
「現代語としての『空襲』」
という見出しが!
「ことば・言葉・コトバ」というコラムです.
あっ!と思って読んでみると・・・
「90年代最後の年となる今年前半も,国際紛争は続き,空爆に関する報道が連日繰り返された.
この『空爆』という語は昔はあまり使われていなかったように思い,NHK放送データベースで調べてみた.」
という書き出しで,重野康人さんが記してらっしゃいます.
重野さんとは以前,新聞協会の用語懇談会放送分科会で,2年ほどご一緒させていただいたことがあります.
このコラムも読んでいたはずなのに,失念していました.
それで,調べた結果は,「空爆」という語を含む記事は,1991年1月の湾岸戦争を境にして,それ以前(1985~91年1月)は24件,それ以後(~1999年3月)は,937件と大幅に増えていたそうです.
重野さんによると,
「従来『爆撃』『攻撃』『空襲』などの語が用いられてきた場面で,一部これらに代わって『空爆』が使われてきており,これも『空爆』急増の要因になっている」
のだそうです.
そして,ハイテク兵器による「空からの武力行使」といったやや広い概念を含む語が必要になったことも,「空爆」がよく使われるようになった原因としています.
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軍事板,2004/04/24
青文字:加筆改修部分
【質問】
『急降下爆撃』ルーデル以外の攻撃機乗りの手記はありますか?
湾岸戦争でのA-10乗り達に興味がありますが,時代,国は問いません.
【回答】
微妙にずれてるかも知れんが,ヘンリー・ジーベル「ガンシップ」
あと,雷撃機で良けりゃ,チャールズ・ラム「雷撃」ってのがあるが.
日本語で読めるソードフィッシュ戦記は他にあるかな.
湾岸A-10ではないが,F4ファントムに乗って地上支援任務に活躍した人の,すばらしい対地攻撃任務本ならある.
「ベトナム空戦史」 J・トロッティ 朝日ソノラマ
ファントムも二人乗りなので,ルーデルと似たようなエピソードもあるよ.
後席が「神様お助け~~!」と無線で叫んでしまって,帰還した時に,「祝・帰還 神様お助け号」という垂れ幕が上がってしまったなど.
また,部品を請求しても届くのが遅いので,1機を部品取り専用にしていたり,日本に故障機を送り返す事になった時には,外部部品以外の使える部品ほとんど全て取り去ってしまって
「このファントムのドンガラを見て,日本の修理技術者がどう驚くか・・・」
などなど,苦笑いな話満載.
ジェット時代の空戦本としてイチオシ.
ちなみに「ブラヴォー・ツー・ゼロ」でも,湾岸戦争のA10パイロットについてちょっと語ってるから,抜粋しよう.
「州兵とおぼしいパイロットたちがおもしろかった.
彼らの本職は弁護士や製剤所の所長だったりした.
略綬をいっぱい付けた40代から50代のいいおとなが,葉巻をふかし,サンダーボルト攻撃機を飛ばして,空を暴れまわる.
彼らの話は非常にためになった」
他に彼らの話は載ってないと思うので,これ以上を目当てに買っても無駄だろう.
ただ,米軍の基地の恵まれた環境については,さらに数行程度は書いてある.
軍事板,2010/05/26(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
現代戦では,戦車部隊を航空攻撃で壊滅させることは可能なのか?
【回答】
「Strategy Page」:Tank Division Killers
Roam The Skies July 2, 2007
によれば,論理的には50機の戦闘機(F-16s,
F-15s, F-18s, F-35s, even F-22s)があれば数時間で敵の戦車師団(tank
division)を壊滅できるという.
F-18のBRU-55と呼ばれるラックには,ひとつにつき2個の500ポンド精密爆弾(JDAM)
を装填でき,このラックの為にF-18の搭載可能なJDAMが4個から8個に倍増する.
JDAMは大変効果的で,それが実現される以前はF-18は2000ポンドの通常爆弾4個を搭載し,それを全部使って攻撃目標を破壊するといったやり方であったが,今ではJDAM1個で事足りるという.
詳しくは同記事を参照されたし.
【質問】
空軍(の対地攻撃力)は砲兵の代わりになると言われますが,
航空爆撃・・・大威力の爆弾を目標を確認しながら瞬発的に攻撃
砲兵・・・中威力(?)の榴弾を目標を直接見ずに持続的に攻撃
と結構性質が違う存在ですよね?
本当にこれで砲兵の代わりになるんですか?
【回答】
確かに,突き詰めると特性にかなり差異はあると言ってもいいのだが,代用にならないわけではない.
どちらも遠隔地の,無線で指定された座標に火力を投射するという意味では同じ.
一つ例を出すなら,WW2ドイツ西方電撃戦における,セダン攻撃の局面.
砲兵が満足に届かない状況で攻撃を強いられたドイツ軍は,砲火力の代用品として航空攻撃を用いた.
この時の工夫として,わざと散発的に攻撃させることで持続的に敵に圧力をかけた.
軍事板,2009/07/04(土)
青文字:加筆改修部分
+
【質問】
民家・民間人を攻撃目標とした「都市爆撃」は,「戦略爆撃」ですか? 「無差別爆撃」ですか?
【回答】
どのような資料を読まれているか存じませんが.戦略爆撃は戦術爆撃と対になる言葉です.
戦術目標(前線の兵力や兵站)の破壊を目的にした戦術爆撃に対し,戦略爆撃は戦略目標(後方の工場等)の破壊を目的としています.
無差別爆撃ですが,これは乱暴に言えば,戦略/戦術爆撃の下位に位置し,精密爆撃と対をなします.
通常,攻撃目標を選定し破壊する精密爆撃が良いのですが,WW2当時の爆撃技術では困難で,攻撃目標を大きな範囲で破壊する無差別爆撃が行なわれました.
軍事関係の資料を見ると分かるのですが,重慶爆撃は精密爆撃を終始目指しています,が,目標を外れ,周辺に被害が出ています.
米軍による日本本土空襲も当初は精密爆撃を目指していましたが,後期は無差別爆撃を行なっています.
【質問】
戦略爆撃はあまり意味がない,効果がないっていう議論があったけど(ガルブレイスとか),本当なの?
日本の焼け野原とか見たら,効果ありそうだけど.
【回答】
それは要するに論議の力点の違いの問題なんです.
戦略学上,
「戦略爆撃は戦争終結に役立ったか?否か?」
と論じる場合,太平洋戦争は補助的にしか役に立たなかった,とする見解もあるわけです.
詳しくはCornell University Press(コーネル大学出版局)から出版されている
「BombingtoWin」(RobertA.Pape著)
の第1章を参照してください.
一方,米陸軍戦略爆撃航空団の報告にもあるように,戦略爆撃が日本に大損害を与えたのは明らかであり,作戦遂行上,米軍の負担を軽くしたのは間違いありません.
そういった戦術的視点から見れば,「戦略爆撃は大変有効だった」ということを否定する人は,まずいないと愚考いたします.
消印所沢 ◆z3kTlzXTZk :軍事板,2005/11/22(火)
青文字:加筆改修部分
なお,米国戦略爆撃調査団が,日本国民に対して戦後行ったアンケート調査によれば,
「日本が戦争に勝つことが出来ないと確信した理由を教えてください」
と言う設問に対し,東京都民では三分の一の人が,
「最後まで勝利を疑わなかった」
と回答しています.
一方で,大規模な空襲によって高度に破壊された大都市住民に聞くと,同じ設問で,「空襲要素のため」と回答した人が四割を占めています.
大規模な空襲で高度に破壊された中小都市住民でもこの傾向は変わらず,大規模な爆撃で軽度に破壊された中小都市,小規模爆撃を受けた,または空襲を受けなかった都市住民は,「空襲による」と「最後まで勝利を疑わなかった」というのが拮抗します.
一方で,田園共同体,つまり田舎の人については,意外なことに,三分の一が「空襲のため」と言う回答を返しており,「最後まで…」の人は,四分の一しかいませんでした.
当然,都市疎開者の場合は,「空襲のため」と回答した人が多いわけですが….
東京の回答に継戦意欲が高かったのは,東京という都市の疎開政策が,他の都会に先立って大規模に行われており,戦意の低い人々がいち早く東京を離れ,戦意の高い人々が残ったこと,東京の被験者の五人に一人が政府関係者であったこと,更に,回答者には高等教育を受け,聖戦意識が強く,政府の宣伝に近い立場にあって,一層完全に教化されていたと言う分析が為されています.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2005/11/22(火)
青文字:加筆改修部分
【質問 kérdés】
過去に無差別爆撃で国民の士気が挫けたのが原因で敗北した例は無いの?
【回答 válasz】
1940年のフランス戦役におけるドイツ軍のオランダ侵攻は,降下猟兵の都市部投入により1日で終わらせるつもりだったが,降下猟兵は壊滅し,5日経っても侵攻が終わらなかったので,無差別爆撃を敢行して降伏させている.
もちろんロッテルダム爆撃が降伏の直接な原因ではないが,その後にユトレヒト市にも同様の警告文がドイツ空軍から発布され,しかもハーレム,ハーグ等の都市も爆撃に晒される可能性を察知したことが降伏の理由になった.
総司令官ウィンケルマンの,降伏に伴う国内向けの演説には,ロッテルダム爆撃に関する言及が含まれており,影響が大きかったことをあらわしている.
http://www.waroverholland.nl/index.php?page=part-iii-capitulation
このことから総合するとロッテルダム爆撃が敢行され,更にそれ以降も同様の爆撃が繰り返される可能性が高いことが,この日のオランダ降伏を決定付けたということが言えるだろう.
ロッテルダム爆撃自体によって降伏したわけではないとか,国民の士気によるものではないとか,そういう文句を言う人がいるかもしれないが,ロッテルダム爆撃による"実演"が無ければオランダはもう少し抵抗していただろうし,オランダが民間人の爆撃による犠牲を無視できるような国家だったなら,やはり抵抗をしていただろう.
少なくともオランダは,「無差別爆撃による脅威により降伏した国」として,この問題に関して挙げるべき実例の1つと言えると思う.
軍事板,2022/03/06(日)
"5 csatornás" katonai BBS, 2022/03/06(vasárnap)
青文字:加筆改修部分
Kék karakter: retusált vagy átalakított rész
【質問】
じゅうたん爆撃に,土と木だけで作った防空壕は有効なのでしょうか?
直撃弾を受けなければ,簡単な防空壕でも結構耐えれる,と,お年寄りの方が言っていましたがどうなんでしょうか?
【回答】
アフガニスタンでは米特殊部隊による敵発見,次いでB-52などによる通常爆弾,クラスター爆弾による絨毯爆撃,精密爆撃が行われましたが,敵が遮蔽を取る技術を身につけるにつれ,有効性が落ちていったそうです.
このため,後半では事前爆撃をとことん行っても敵が十分生き残っており,進撃した地上軍が反撃を食うどころか撃退されてしまうことも珍しくなかったそうです.
十分に設計された防空壕は,アンラッキーな直撃を受けない限り,それなりに有効ということでしょう.
【質問】
核兵器を保有してない国が戦略爆撃機を持つのは全く無意味なのでしょうか?
例えば,航空自衛隊がTu-22Mを保有しても,使い道はないのでしょうか?
リビアやイラクはTu-22持ってましたけど,あれらの国は潜在的核保有国みたいなものですから,また意味が違ってくるでしょうし・・・.
それと,イスラエルが戦略爆撃機を保有しようとしないのは何故なのでしょうか?
確か,弾道ミサイルは持ってますよね? 核弾頭積めると言われてるものを・・・.
【回答】
当たり前のことだが戦略爆撃機を保有して意味があるかどうかは,どんな使い道を想定してるかにかかる.
核兵器の有無とは直接的な関係はない.
リビア,イラクについていえば,あれはイスラエルやサウジやイランを攻撃する(と脅す)ためという立派な存在理由がある.
イスラエルが保有しないのは,ミサイルがあるのと,そもそも戦略爆撃機を開発装備する能力がないためだ.
しかし米国がB-52を売るというなら,喜んで買うだろう.
過去,ミラージュⅣを買う寸前までいったこともある.
日本の場合,どう考えてもTu-22Mの使い道はない.
せいぜい北朝鮮南部の爆撃にしか使えない.
一応,アメリカ以外の国が戦略爆撃機を使った事例としては,フォークランド紛争において大西洋アセンション島からはるばる空中給油機多数を従えて,イギリスの爆撃機が西フォークランド島本島の飛行場滑走路に爆弾を落としに行ったということがある.
また,イラクやアフガニスタンでは戦略爆撃機が爆弾を積んで,ボムシップとして地上からの要請に応じて爆弾を落とすなどしていたようだ.
一方,Tu-22Mは旧帝国海軍の陸上攻撃機,例えば一式陸攻のような性格もある.
つまり,かつてシンガポール防衛に差し向けられてきた英戦艦レパルスとプリンス・オブ・ウェールズを,一式陸攻がマレー半島沖で沈めたのと同様に,太平洋でしたらば日本列島の東側まで哨戒して,米空母戦闘群に大型対艦ミサイルにて飽和攻撃をする役目がある.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
デイル・ブラウンの本を読んでたんですけど,戦略爆撃機に対空ミサイルやHARMを搭載するのは非現実的ですか?
無論,対空誘導レーダーなどは追加しなければなりませんが.
大量に対空・対地ミサイルを搭載できれば,まさに空中戦艦といえます.
現実でもB-2やF-117でサイドワインダーを搭載したり,バックファイアに対空ミサイルを搭載したりするなど,あながち非現実的に思えないんですけどね.
【回答】
物理的に搭載可能か否かと言えば可能.
初期型サイドワインダーなんかはランチャーと簡単な配線さえ何とかすれば,搭載して発射する事は可能だったらしい.
また,フォークランド紛争直後の「エアワールド」には,英軍の輸送機にエアロ3Bランチャーを取り付けた写真が掲載されている.
「空中戦艦」という妄想は,誰しも一度は取り付かれるハシカみたいなものですが,はっきり言って「技術的には可能かもしれないが,まったく実用的ではない」
かつての大艦巨砲主義時代のアウトレンジ戦法と同じく机上の空論でしかありません.
現代の空戦においてミサイルは,一撃必殺を補償できるほど万能ではなく,機体そのものの機動性が必要とされる近接戦闘にもつれ込む可能性は非常に高いですし,遠距離からの初撃を外した場合,もう二撃目を放つ余裕はありません.
更に,「大量に」と簡単に言いますが,ミサイル一発がどの程度の重量で,その周辺機器が(レーダーを含めて)どの程度ペイロードを圧迫するか考えましたか?
まあ,「空中戦艦」は無理でも,「空中艦隊」にある意味近いシステムは存在してて,日本にも既に配備されてる訳ですが.
軍事板,2006/02/25(土)
青文字:加筆改修部分
なお,スタンドオフ・ジャマーには,基本的には敵戦闘機の中距離AAM射程外の後方に滞空しての運用が考えられたEB-52というものがありましたが,軍事研究の2006年4月号の「転換した米核兵器開発計画と新三本柱」の江畑謙介氏によると,EB-52は白紙還元されたとのこと.
技術的問題と巨費を要することが判明したためです.
以下引用.
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これに伴って,同じ日に議会に送付された2007年国防予算要求では,B-52Hの一定数をスタンドオフ・ジャマー(電子妨害機:EB-52H)に改造する案は白紙還元とされた.
B-52Hの,実際には殆ど使われてない翼端増加タンクを利用して,強力な電波妨害装置を出す装置を搭載しようとする計画であった.
もっとも,このEB-52Hの配備数を削減する構想とは直接の関係はなく,技術的問題と巨費を要することが分かったためだという.
技術的問題とは,強力な妨害電波を発信すると同時に,高感度の受信機(電波警戒装置)も搭載せねばならず,この受信機が妨害電波の影響を受けないようにするのが技術的に難問とされている.
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【質問】
ベトナム戦争前~F/A-18が空母に配備されるくらいまでの時代について質問します.
F/A-18が空母に配備されるくらいまでは,空母には多種類な航空機が配備されていました.
攻撃機も数種類配備されていた訳ですが,同じ用途・攻撃なら攻撃用の航空機を,当時は複数配備していたのは何故なんでしょうか?
A-4やA-6,A-7といった攻撃機を混在させないでA-6一機種にした方が,整備だったりでメリットがあるような気がします これをせずに混在させた理由があると思うのですが,この理由を教えてください.
【回答】
まず前提として,現代の様に
「何でもF/A-18(空軍の場合F-16)で対応できる」
という常識自体が,当時から積み上げられてきた技術の成果であるという点を認識しておいて欲しい.
で,A-4やA-7とA-6とでは用途が異なる.
まず前者2機種は主に軽防御目標に対する近接攻撃を行なう機体.
こういった任務には,A-6の様な重装備の機体よりは,比較的軽装で小回りの利く機種を当てる方が当時としては合理的だった.
特にA-4は電子装備その他でかなり思い切った簡略化がされている機材で,夜間攻撃などはある程度度外視している.
対してA-6は夜間の低高度侵入や長距離作戦が可能な言わば重攻撃機.
背景の状況としては,現代の様に全ての戦術機に電子的な防御手段が必要(かつそれが必要)な時代では無かったと言う事.
当時の地上部隊の対空火力は火砲を主体としたものが大半で,SAMの脅威が顕在化したのがベトナム前後だった事に留意されたい.
特に,現代では常識化しつつある携行SAMの類は,影も形もないと言ってもいい位.
結果的に,あなたが考えた通り「予算と合理性」の問題.当時としては機種を統一して整備や運用の合理化を図るよりは,用途に合わせて多数機を用意するほうが合理的かつ安上がりだったという事.
それが限界に達したからこそのF/A-18への統一化がある.
で,A-4は昼間軽攻撃(E型になっても全天候性能はA-1に劣った),A-6は全天候の重爆撃機だ.
同じ「攻撃機」という名でも中身が全然違う
またF-4はカタログ上のペイロードは立派だが,テールヘビーという宿婀があって,実際の搭載量はA-4並みでしかない爆撃機としては余りに力不足な存在だった.
軍事板,2006/04/09(日)
"2 csatornás" katonai BBS, 2006/04/09(vasárnap)
青文字:加筆改修部分
Kék karaktert: retusált vagy átalakított rész
【質問】
爆撃機のパイロットは,防弾チョッキを装着しないんでしょうか?
【回答】
米では第二次大戦のころから用意はされていた.
ヘルメットの他に「フラックジャケット」と通称される防弾衣があり,フルに着込めば中世の全身鎧のごとくだった.
でも20mmだの30mmだのといった大口径機関砲で撃たれるのでは,何の意味もないし,88mm果ては128mmといった高射砲の至近爆発で撒き散らされる弾片には,やっぱり大した防御力がなかった.
「それでもないよりマシ」
というのが大方の感想ではあったそうだが,人間が着込んで動けるのの限界に近い重量があったため,大半の搭乗員は規定を無視して着ていなかった.
着用している者も,「ヘルメットだけ」「ベストだけ」「ヘルメットとベストだけ」という形にして,フルには着込まず,ほとんどの搭乗員は通常のフライトジャケットとフライトジャンパーだけで活動していた.
現代では薄く軽いのがあって,スーツの一部でもあるので,たいていのパイロットは着てるだろう.
他の国については知らない.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
アメリカの ダグラス スカイレイダーや,実戦には使われなかったマーチン モーラー といった戦争後期の艦上攻撃機や艦上爆撃機は一人乗りみたいですが,どうして急に一人乗りになったのでしょうか?
それまでの機体は2~3人乗りが普通ですよね?
というか,それまで複数人数で動かしていた機体を,どうやって一人で動かしたのですか?
技術の進歩だとすれば,何が進歩した結果なのでしょうか?
【回答】
艦爆も艦攻も実は,操縦士さえいれば問題なく飛べるし戦闘できる.
急降下爆撃も雷撃も照準して投下スイッチ押すのは操縦士だからね.
艦爆は 操縦士兼爆撃手+通信士兼後方機銃手
艦攻は 操縦士兼雷撃手+航法士兼水平爆撃照準手+無線士兼後方機銃手
ってのが標準的な配置だが,アメリカ軍は
「艦攻で水平精密爆撃なんかしねーYo!」
ってことにしたので,爆撃照準手は要らなくなったし,無線機が馬鹿デカくて扱いが面倒というものではなくなったので,専業の無線手も要らなくなった.
航法機器も自律型のものが進歩したので,航法士も要らなくなり,エンジンパワーが増大して機体の機動性が増したので,戦闘機に後ろに着かれても機動でかわせばよく(スカイレイダーやモーラーは爆装や雷装しても急旋回とかできる),後方機銃も要らない.
ということで操縦士一人でよくなった訳.
【質問】
西側の空対艦ミッションで,ハープーン登場までは無誘導弾がデフォ,核保有国は核もアリ.オプションで空対空誘導弾(ただしマグレあたりしか期待できない,核弾頭ならもしかして)もアリってことですか?
なんか艦載対空ミサイルの発達に,攻撃側が追いついてないって気もしますね.
艦対艦でもハープーン登場までは,水上砲戦か対空誘導弾のまぐれ当たりしか期待出来ないから,面倒な事は潜水艦か航空機に任せるって事でしょうか?
8インチクラス大口径砲速射砲での対艦ミッションもアリかな?
【回答】
西側の空対艦ミッションという話なら,空対地ミサイル(昔の話だとブルパップとか)や誘導爆弾も選択肢に入ります.
当然核弾頭つきもあり.
空対空ミサイルは核弾頭つきであっても,基本的に使われません.
艦対空ミサイルであれば,既出のターターやスタンダードが使用可能です.
WW2以降の水上戦闘というと,インド・パキスタン戦争でインド艦隊vsパキスタン艦隊とか,中国の内戦での人民解放軍vs国民党軍とか,後はベトナム戦争のキッカケとなったトンキン湾事件なんてのがありますが,どれも砲戦で行われています.
8インチクラスの大口径速射砲は米軍でMk71がテストされていますが,対水上砲戦用というより対地艦砲射撃用で,当時はまだアイオワ級があってそれに対して威力不足だったり,実用的な誘導砲弾も無かったりで実用化に至っていません.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦闘攻撃機と戦闘爆撃機の違いは?
【回答】
どちらかというと,言葉が使われ始めた経緯が違うというくらいの差です.
第二次大戦で戦闘機の急激な大馬力化が進むと,戦闘機にも十分なペイロードが搭載可能となり,
爆弾を搭載して地上攻撃に用いられる様になり,これらは戦闘爆撃機(Faighter-Bomber)呼ばれました.
敵戦闘機に遭遇すれば駆逐される存在であった攻撃機・軽爆と違い,爆弾を捨てれば戦闘機としての運動性・速度を持つこれらの機体は,次第に攻撃機・軽爆を駆逐していきます.
ジェットの時代に入ってもこの傾向は続き,60年代には純粋な制空戦闘機・迎撃機の方が少数派で,戦術戦闘機≒戦闘爆撃機な状態となりました.
F-105やF-111などがその極みで,もう制空戦闘が行える機体とは言えません,
という事は反面,高度な航法・夜間/低空侵攻・大ペイロードと言った点で専用の機体にメリットが有ったという事です.
(ベトナム戦争時には,B-66がF-100やF-105を先導するパスファインダーといった役割を果たしたりしてます.)
80年代に入ると,アヴィオニクスの小型・高度化により,これらの機能も小型の機体でも一般化します.
そうして戦闘機型(F-18)と攻撃機型(A-18)が別々に作られる筈だったホーネットが,F/A-18として完成し,戦闘攻撃機と呼ばれました.
今日では多くの戦闘機はマルチロール化され戦闘攻撃機と呼ばれます.
(そしてそれを戦闘爆撃機と呼んでも間違いでないだろう)
機体がマルチロール化出来てもパイロットをマルチロール化するのはまた別で大変です.
かつて米空軍においては,同じF-4を装備しても制空部隊と攻撃部隊でわりとはっきり分かれてました.
今日JAS-39やF/A-18など,パイロットのワークロードを減らし複数の任務を効率よくこなせる(訓練できる)よう留意されています.
軍事板,2005/03/29(火)
青文字:加筆改修部分
【質問】
今までに輸送機を爆撃機として使ったことはありますか?
【回答】
ちょっと搦め手的ではありますが,スペイン内戦では,コンドル軍団はJu-52/3mを爆撃機として使っていますし,エチオピア戦争では,イタリア軍が,S.M.82やC.101を用いて爆撃に用いています.
英国でも,中東とか東アフリカ,インドなどの二線級の戦線用には,爆撃輸送機というのを使っていました.
フランスも同様に,輸送機を爆撃機兼用に用いています.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板
ベトナムでC-130を橋梁攻撃(上流に機雷投下)やヘリポート構築用の爆弾投下に使用した事が有ります.
1939年にソ連がフィンランドに侵攻した冬戦争では,スウェーデン貴族のカール・グスタフ・フォン・ローゼン伯爵が自ら持ち込んだDC-2「ハンシン・ユッカ号」でソ連軍を爆撃している.
その後も彼は,ビアフラ戦争でビアフラ側につき,再び輸送機から手製爆弾でナイジェリア政府軍を爆撃したり,サーブ社の民間プロペラ機部隊で敵の空軍基地を攻撃して戦果を挙げている.
ちなみにこの人の父親のエリック・フォン・ローゼン伯がフィンランド空軍の生みの親ってのは有名な話.
軍事板
▼ ちなみに「エアアメリカ」の中に,“有名な親会社”の現地駐在員(書中と表現は違います)に個人的に頼まれて,エアアメリカ等の子会社の末端社員が,自社の営業機で自家製ナパームなど時々撒いていたと言う記述が有ったかと.
(そのうち中止命令がでたそうです)
▲
S.M.82
(画像掲示板より引用)
よしぞうmaro' in mixi,2007年05月14日01:34
【質問】
戦前の爆撃機も現在の爆撃機も,パイロットはどのように地上を目視してるのでしょうか?
コックピットや翼など,死角が凄そうに感じるのですが.
【回答】
第二次大戦の場合,離陸以降目的地までは航法士が天測で経緯度を測定し,それと速度などから算定された現在位置や目標までの距離・所要時間を元に,あらかじめ定められたコースを飛行.
後半では,出撃地から発振されるビーコン電波を傍受して,それで現在位置を測定.
パイロットは航法士から指示されたコースに基づく操縦と,対空見張りに専心.
目的地に近づいたら爆撃手が,地上の地形や建物・河川などのランドマークを元に,現在位置を測定し,操縦士にコースを指示し,爆撃を行う.
戦争後半では目的地近くになると爆撃手が操縦を引き継ぎ,目標までのコースを微調整しながら飛行するようになった.
また,レーダーが導入され,地上の地形をこれで確認しながら飛ぶようにもなっている.
高い精度を必要としない絨毯爆撃の場合は,先導機が目標上空で発煙弾や照明弾を投下し,これを目標に後続の本隊が爆撃を行っている.
【質問】
歩兵が,携帯型のレーザー計測機でミサイルか何かを誘導するというような画像を見たのですが,あれは,GPSで歩兵の位置を特定,歩兵がそこから爆撃地点をレーザーで計測,その場所に爆撃という感じで合っていますでしょうか?
【回答】
あれは照射したレーザーが目標に当たった反射波を,誘導ミサイルや誘導爆弾のシーカーが検出して,反射波が来る方向=目標の位置に向かって自己の誘導を修正,目標に命中するもの.
これにおいてのGPSはあんまり関係ないはず.
その映像を見ないとなんともいえないが,その場合ならレーザー誘導の誘導爆弾や空対地ミサイルを歩兵の側のレーザー照射機で誘導している,と考える方が自然.
移動目標でなければ,GPSで歩兵の場所が特定できるなら,直接目標のGPS座標を入力して投下したほうが早い.
投下する時はGPSで目標の大まかな座標を入力し,最終段階ではレーザー誘導で精密に照準する,という誘導兵器があった気はしたが.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
空爆の際,自宅の防火対策は,どのようにすべきか?
【回答】
スイス政府編「民間防衛」(原書房,1995/3/12)によれば,以下の通り.
屋根裏部屋のガラクタを片付け,床の上に砂を撒く.
砂の厚さは5cmくらい.
各階および地下室には,20㎡当たり5kgの砂を用意すると共に,できるだけ多量の水(少なくとも1㎡当たり1リットル)を,風呂桶・樽などに入れておく.
バケツ・鍋・工具・救急用品・非常用食糧などは,避難所に用意する.
●消火の補助手段
布を箒(ほうき)に巻きつけた火叩きは,小さな火災を消し止めるのに役立つ.
鳶口は,燃えているカーテンを引き裂いたり,燃え易いものを火から遠ざけるのに使う.
水に浸した布や毛布は,消火作業に当たっているものを防護したり,衣服に火がついた人を助けるのに役立つ.
(P.118-119)
【質問】
爆撃機・攻撃機編隊が敵地に侵攻する際,対空ミサイルや敵迎撃機を回避するのにどのような対処法をとっていますか?
【回答】
規模による.
基本的にはレーダーに捕まらない様に超低空侵入する.
見つからなければSAMにも迎撃機にも撃たれずにすむから.
ただ,いつも上手くいくとは限らないので,電子戦機でジャミングをかけたり,前もって対空ミサイルを破壊したり,あらかじめ近くの敵飛行場を攻撃したり,と,ありとあらゆる手段を使う.
202保守中隊 ◆tsQRBnY96M
正面攻撃で,こちらにゆとりがあれば事前に偵察,挑発で敵のSAMサイトを確認し,敵の飛行場を特定して第一撃の巡航ミサイル,ステルス爆撃機による攻撃,状況によっては弾道ミサイルでそれらを無力化します.
同時に敵の対空攻撃の中枢,通信路を破壊します.湾岸戦争のイメージですね.
ついで,AWACSの指揮下に敵の迎撃機を監視しつつ,SEAD部隊が侵入します.
これで敵の残存対空部隊をあぶり出し,カウンター攻撃で殲滅,あるいは沈黙させます.
その間に上がってくる敵の迎撃があれば,随伴する制空戦闘機がこれを処理し,同時に出撃基地を特定して臨機優先目標に加えます.
もちろん電子戦機はジャミングを加え,攻撃機はデコイを牽引するでしょう.
各機は自己防衛電子戦装備とステルス性を鎧とします.
簡単に言えば,できることは全部しながら対処します.
【質問】
近接支援において,地上車輌や歩兵が,数百メートルの距離からレーザー・デシグネーターで目標指示をする場合に,歩兵の安全は確保されているのでしょうか?
歩兵が霧中でレーザー・デシグネーターを照射したら,レーザーは散乱するでしょう.
その場合,歩兵が意図したターゲットの反射光との強弱の差は確実とまでは言えないのではないかと.
【回答】
おっしゃるとおりです.
ただ,霧による散乱光は目標からの反射光より遥かに弱いので,センサー側のフィルタリングで排除されます.
逆に,目標からの反射光と比べるぐらい霧による散乱光が多い状況であれば,そもそもレーザー照準自体が役に立ちません.
また,霧による散乱光は一点から反射するわけではなく,棒状の光源になりますから,センサーによる誤ロックオンを防ぐことになるでしょう.
なぜかデシグネーターの直近のみ濃い霧がごく狭い範囲に立ち込め,しかも照準手が目標の不適当な箇所にレーザーを照射してしまったような(窓とか)例外的な場合には,誤誘導が起きるかもしれません.
これもGPSとのデュアル誘導兵器では,発射前にセーフティゾーンを設定し,その地域内にはロックオンしないよう設定できる,だかそのように開発中だかしてます.
軍事板,2005/07/05(火)
青文字:加筆改修部分
【質問】
「こちらブラボー おお・・・ブラボー.ポイントファッキントッシュを爆撃してくれ!! オーバー
」
「こちらヒルトンホテル.ブラボー おお・・・ブラボー了解した」
ヒューン!ドカードカードカー!!
「何やってやがる! こっちに爆撃してどうすんだ」
ドカーン!
「うわー!」
・・・ってのがよく映画に出てきて,実際にもよくあったようですが,空軍はどこに目をつけているのですか?
【回答】
どこに目をつけてるというか・・・目が無い爆弾の場合,
・FACが指示を間違えた.
・パイロットが指示の解釈を誤った.
・機体の爆撃装置を作った奴が何かを間違えていた.
・何も間違って無いが,あえて言えばパイロットがヘタクソだった.
とかで,仕方が無い事.
それに,地上から爆撃を要請する兵士が通達する座標を間違えたら,パイロットとしてはどうしようも無い.
ベトナム戦争時のアメリカ陸軍と空軍では,使っている地図の種類が違う(したがって座標も異なる)ので,そういった誤りはよくあることだった.
目がある爆弾(誘導爆弾)の場合は,少なくとも誰も間違えてなければ,こうした悲劇の可能性は少なくなっている.
軍事板
青文字:加筆改修部分
フライトゲームでいいから実際にやってみれば,敵味方識別の難しさが分かると思うよ.
もちろんターゲットのユニット名表示はOFFでな.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
超音速機を爆撃機として使う上で,難点があると聞きましたが,それはどのようなものですか?
【回答】
超音速飛行中にミサイル撃ったり爆弾落としたり(もっと正確に言うなら,切り離すと,というべきか)すると,機体が大気を切り裂いてる(衝撃波が発生してる)範囲外に出た時点で,ミサイルなり爆弾も衝撃波を発生させる.
というか,まず機体の発生させてる衝撃波にぶつかることになる.
当然それに巻き込まれて滅茶苦茶なことになる.
母機自体それらが発生させた乱流の影響で,機体のコントロールが大変なことに.
爆弾倉式の飛行機は超音速飛行中に爆弾倉を開けると,機体表面の空気の流れが乱れ,これまたいろいろな問題が出る.
XB-70ヴァルキリーという爆撃機はスライドドア式爆弾倉の前に収納式の整流版を設けて,それが派生させる衝撃波で機体の発生させる衝撃波から投下する爆弾を守る,という機構を持っていた.
【質問】
最近の対艦攻撃機は,F-2やF/A-18の様に戦闘機型のものが増えていますが,何故対艦攻撃機なのに戦闘機型のデザインが採用されているのですか?
戦闘機型が好まれるようになった理由ってあるんですか?
【回答】
F-2とF/A-18では出自がまるで違うので統一的な回答など出来ない.
違う経過で同じような状況に辿り着いたもんに,「何でそうなった?」とまとめて聞かれても,まとまった答えは出ないよ.
F/A-18は軽戦闘機の開発計画で,F-16に敗れたF-17を,海軍が改良化の上で採用した.
双発であった点が,洋上で行動する海軍機に向いていると言う発想だったようだ.
海軍としてはA-7攻撃機の更新も考えており,始めから優秀な戦闘攻撃機が出来上がったんじゃなく,軽戦闘機(としては双発で大柄な機体を)発展させて採用に到った.
開発当時,ソ連のミグ25がマッハ3出したの出さないので騒ぎになってたりしたんだけど.軽戦闘機と割り切って設計されており,始めから攻撃機としての性能を有していた訳ではないし,戦闘機としても高性能機でも無かった.
当初はマイナーチェンジしたFとAの2機種を採用するつもりが,コンピュータソフトを簡単に交換出来るようになったので,戦闘機と攻撃機,事前のソフトウェア変更で共用出来るようになった.
後日訓練してみたら,攻撃機部隊のパイロットも攻撃機側の要員が制空任務の訓練に適応したとかで.
採用当時,A-7より爆弾搭載量が小さいと言われたが,これも射爆コンピュータの発達で爆撃精度アップでカバー出来ると判断された.
つまり,コンピュータ(ソフトの交換手段も含めた)の発達や,攻撃機も高性能化して,何時の間にかそのパイロットもマルチロールな任務に適合出来る人材で占められていたことが大きい.
F-2は国産機を作ろうと考えていたところに,F-16ベースの開発をアメリカさんにごり押しされており,実は開発当事者の間には,F-16をベースにしたことに,これと言った理由は無い.
日本の台所事情で防空ミッションにも使用することは判っていたから,当時,電子機器の強化で攻撃性能が向上(その代わり,幾分鈍重になり,スイス空軍にはF/A-18の方が機動性が高いとまで判定されている)F-16をベースに薦めたのだろうと思われる.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦闘機のGUNと同じで,攻撃機のGUNも現代ではおまけという事でしょうか?
【回答】
一番に言える事は,機関砲弾は,そこそこ威力があって安いということ.
威嚇や,わざわざロケット使うまでの無い相手とかに,手軽に使えるんだよね.
艦船から砲がなくならないのと同じで,機関砲にもそれなりに利用用途があると.
あと,ミサイルを使うまでの無い相手(トラックや集団)を撃つときとか,“狙撃”が必要なときには有用.
じゃあ20ミリで十分では?と思うかもしれないけど,それなりに威力のある榴弾を撃ちたいなら,30ミリが必要になってくる.
プラットフォームに余裕があれば,30ミリを積みたいと思うのは,そこまでおかしいことではないよ.
そんなわけで航空自衛隊の場合,機関砲で地上に設置された標的を射撃する訓練もやっている.
実戦での機関砲による射撃は,以下のリンクによればA-10がやっている.
GBU-38を投下,ロケット弾を発射し,機関砲で掃射したらしい.
http://www.globalsecurity.org/military/library/news/2008/12/mil-081212-afns01.htm
軍事板
青文字:加筆改修部分
【関連リンク】
http://jp.youtube.com/watch?v=TBVm6BNL2Kg
【質問】
ガンスモークはもう開かれないの?
【回答】
ガンスモークは,対地攻撃がパイロットによる差のほとんど無い精密誘導兵器中心となったために1995年をもって終了しました.
以後は空対地の競技会は開かれていないようです.
なお,1995年のガンスモークにおいては,B-52やB-1が一発の爆弾を投下して,その命中精度を競うなどといった恐ろしい競技が行われていました.
軍事板,2006/05/29(月)
"2 csatornás" katonai BBS, 2006/05/29 (hétfő)
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ちょっと古いソース(AW&ST 2004年12月13日号,p.69-70)ですが,Gunsmoke,William Tellは3年ごとに交互に(1年は休み)行われることになり,Gunsmokeは2005年開催で準備中とありました.
この2004年の記事では,「8年ぶりに復活した」William Tellについてレポートされています.
2005年のGunsmokeが行われたかどうかは,寡聞にして存じません.
軍事板,2006/05/29(月)
"2 csatornás" katonai BBS, 2006/05/29 (hétfő)
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