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「風月堂備忘録」:靖国における「遺体」と「英霊」の関係――日本人の死のかたち/波平恵美子 感想その2
『靖国神社 正しく理解するために』(三浦朱門監修,海竜社,2005.8)
【質問】
靖国神社と護国神社についてですが,陸軍と海軍どちらの影響が強いのでしょうか?
【回答】
当初は,主に陸戦による死者の慰霊が主でしたので,陸軍の影響も強かったりします.
但し,どちらかと言えば,当初は政治的な社としての存在でした.
靖国神社,護国神社共に根幹は同じです.
元の名称は招魂社といい,大抵が幕末の激動期に殉難した志士たちを弔慰・顕彰する為に作られたもので,特に水戸,長州の両藩で顕著でした.
長州藩では諸郡に招魂場を建設して,戦死者の埋葬と春秋両度の祭祀を実施する事を積極的に進めました.
もう一つの動きは,志士たちの間から殉難同志の忠霊を祀る動きで,1862年に福羽美静,古川躬行等が京都霊山の霊明舎で霊祭を行い,1863年には津和野藩士が中心と成って,京都祇園社内に小祠を建立.
三条実万,水戸斉昭,姉小路公知,梅田雲浜,吉田松陰等46柱を合祀しましたが,これが靖国神社の元宮として現存しています.
1868年5月10日の太政官布告にて,勅使が達せられ,黒船来航以来の激動期に殉難した憂国の志士,鳥羽伏見戦争以来の戦死者の英霊を祀る為,京都東山に霊山招魂社を建立し,以後,各地に招魂社が建立される事になります.
1869年の東京還都に伴い,九段坂上に東京招魂社が鎮座する事となり,これが後に靖国神社と改称されることになります.
各地の招魂社が護国神社と名称が変わったのは,1939年3月からで,内務大臣の指定で,府県社に相当する指定護国神社と,村社に相当する指定外護国神社の二種に分けられています.
なお,敗戦後から講和条約締結までは,殆どの護国神社は社名を変更し,公共殉難者や文化的功労者を祭神に増祀したり,宗教法人化したりと苦労しています.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
靖国神社に合祀されている人数は?
【回答】
以下の表の通り.
人数 (2004/10/17現在) |
備考 | |
明治維新 | 7,751 | 討幕軍側のみ. 戊辰戦争戦死者の他,桜田門外の変の浪士,安政の大獄の刑死者,坂本竜馬(暗殺),高杉晋作(病死)等,「国事殉難者」を含む. |
西南戦争 | 6,971 | 官軍側のみ. |
日清戦争 | 13,619 | |
台湾征討(1874年) | 1,130 | |
北清事変(1900年) | 1,256 | |
日露戦争 | 88,429 | 乃木希典(殉死),東郷平八郎(病死)は,戦死ではないので含まれない. |
第1次世界大戦 | 4,850 | |
済西事変 | 185 | |
満州事変 | 17,176 | |
支那事変 | 191,250 | |
大東亜戦争 | 2,133,915 | 原爆犠牲者・空襲犠牲者は含まれない. ひめゆり部隊の女生徒や日本赤十字社の従軍看護婦,台湾・朝鮮半島出身兵士を含む. |
合計 | 2,466,532 | 合祀は,未合祀者遺族の申し出を受け,毎年実施しているため,今後も増加すると思われる. |
(「週刊エコノミスト」 2005/8/2号,毎日新聞社,p.25-27)
【質問】
A級戦犯として刑死した方々は,靖国神社へ祭られる基準は満たしているのでしょうか?
【回答】
いちおうwikipdiaから引用しておくと,
靖国神社は,合祀について以下の規定がある.(2004年10月17日現在)
合祀対象者
1.軍人・軍属
*戦地,事変地,および終戦後の各外地に於いて,戦死,戦傷死,戦病死した者.
*戦地,事変地,および終戦後の各外地に於いて,公務に基因して受傷罹病し,内地に帰還療養中に受傷罹病が原因により死亡した者.
*満州事変以降,内地勤務中公務のため,受傷罹病し,受傷罹病が原因で死亡した者.
*サンフランシスコ講和条約第11条により死亡した者(戦争裁判受刑者のことで,政府では「法務死者」,靖国神社では「昭和殉難者」という.ABC級に関わらず死刑になった者).
*「未帰還者に関する特別措置法」による戦時死亡宣告により,公務上,負傷や疾病にかかり,それが原因で死亡したとみなされた者.
2.準軍属およびその他
*軍の要請に基づいて戦闘に参加し,当該戦闘に基づく負傷または疾病により死亡した者.(満州開拓団員・満州開拓青年義勇隊員・沖縄県一般邦人・南方および満州開発要員・洋上魚漁監視員)
*特別未帰還者の死没者.(ソビエト連邦・樺太・満州・中国に抑留中,死亡した者・戦時死亡宣告により死亡とみなされた者)
*国家総動員法に基づく徴用または協力者中の死没者.(学徒・徴用工・女子挺身隊員・報国隊員・日本赤十字社救護看護婦)
*船舶運営会の運航する船舶の乗務員で死亡した者.
*国民義勇隊員で,その業務に従事中に死亡した者.(学域組織隊・地域組織隊・職域組織隊)
*旧防空法により防空従事中の警防団員.
*交換船沈没により死亡した乗員.(つまり,「阿波丸事件」のことを指す.)
*沖縄の疎開学童死没者.(つまり,「対馬丸」のことを指す.)
*外務省等職員.(関東局職員・朝鮮総督府職員・台湾総督府職員・樺太庁職員.)
で,靖国神社のホームページにも書いてあるが,彼らは「戦犯」ではなく「昭和殉難者」として祀られている.
戦死者の定義は,戦争による殉難を受けた人,つまり軍務中に死亡した人であり,軍人とは限らない.戦死だけではなく軍人としての公務,訓練中の事故も含まれます.
彼らは極東軍事裁判による刑死,獄死で,日本国政府の見解としては法務死=公務死と言う扱いになっています.
それ故に彼らは特殊な例であるにせよ,合祀の基準を満たしていると言う事になります.
なお,これは彼らだけではなく他のBC級戦犯で刑死,獄死した方々も法務死と言う扱いになっています.
なお,刑死した戦犯はA級だけでない事をお忘れなく.A級だけ特別扱いにすれば,その害は他の戦犯の名誉にも及ぶでしょう.
祭る基準については靖国神社が決めることだから,政教分離の原則から,政府が口出すことはできません.
【質問】
そもそも,なぜ戦犯が靖国神社に合祀されることになったの?
【回答】
秦郁彦によれば,1958年5月までに戦犯たちの仮釈放が全て終わったことや,戦犯刑死者遺族への年金・扶助料支給がすでに始まっていたことから,これを戦犯の法的復権と見なして,まず1959年からBC級戦犯合祀が始まったのだという.
そして,それには「合祀基準」の拡大を実質的に主導していた,厚生省引揚援護局の旧軍人グループの役割が大きかったという.
同局は局長だけは厚生省キャリア官僚だが,腰掛的損罪に過ぎず,実務は殆どこの旧軍人に任されており,中でも1954〜62年まで局次長だった美山元大佐は,東條英機直系と言われ,東京裁判史観を否定する旧陸軍出身者のイデオロギーを代弁する立場にあった,と秦は述べている.
詳しくは『現代史の対決』(秦郁彦著,文藝春秋,2003.1.10),p.367-368を参照されたし.
【質問】
筑波藤麿とは?
【回答】
山階(やましな)宮家から臣籍降下した元皇族であり,1946年から1978年まで在任した靖国神社宮司.
秦郁彦によれば,欧米にも留学した,広い視野を持つ歴史家でもあったという.
A級戦犯の祭神名票が,美山グループから送りつけられてきた際,天皇家や宮内庁の空気も知悉していた筑波は,彼らの靖国合祀をは差し止めた.
以後,宮司選任権を持つ合祀諮問機関,靖国崇敬者総代会から合祀を迫られた――中でも合祀を強硬に主張したのは,元A級戦犯・青木一男元大東亜相だったという――にも関わらず,「時期は慎重に考慮したい」として合祀を先延ばしにしていたが,1978年,死去.
詳しくは『現代史の対決』(秦郁彦著,文藝春秋,2003.1.10),p.268-269を参照されたし.
【質問】
鎮霊社とは?
【回答】
筑波宮司が1965年7月に靖国神社本殿の横に建立した分社で,「1853年以降,戦争・事変に関係した世界各国すべての戦没者の御霊を祀る」とされているもの.
靖国神社生え抜きの禰宜,木山照道によれば,1963年秋,欧米視察旅行で無名戦士の墓などを巡拝,各国の宗教者と会談した筑波宮司が,帰国直後にその建立を言い出したという.
秦郁彦によれば,靖国合祀以前には,A級戦犯もここに祀られており,A級戦犯の「怨霊」の落ち着き先として作ったのではないか,と秦は推測している.
詳しくは『現代史の対決』(秦郁彦著,文藝春秋,2003.1.10),p.269-270を参照されたし.
【質問】
靖国神社のルーツは?
【回答】
1869年(明治2年)6月,戊辰戦争で落命した薩長の討幕軍兵士を顕彰・慰霊するため,明治政府が,皇居に隣接する東京・九段に建設した「東京招魂社」がルーツ.
建設に尽力したのは,「日本陸軍の父」と言われる大村益次郎.現在,参道に彼の銅像が立っている.
第1回合祀は,戊辰戦争で亡くなった3588人.
その後,1879年6月に,天皇に仕える忠臣を祀る「別格官幣社」と位置付けられ,靖国神社に改称.「靖国」とは,「国を平安(靖)にし,平和な国を作る」との意味.
以上,データは「週刊エコノミスト」 2005/8/2号(毎日新聞社),p.26より.
また,兒童百科大辭典10巻国防編(1937年)によれば,次の通り.(一部要約)
嘉永六年に黒船が浦賀に来てから後,多数の各版志士が東奔西走し,中には中途で志し半ばにして倒れるもの多数あり,しかし,死後の祭祀至らざるもの多数有り.
孝明天皇はこれを憂いて,早くから追祭の典を挙げようとされていたが,幕府の手元不如意にて叡慮に対応出来ず,僅かに文久年間に石州津和野亀井家の藩士によって私祭を行い,安政四年以降の殉難の志士達の弔祭が行われた.
明治元年5月,朝廷にて嘉永六年以降の殉難者の霊を京都東山に合祀する旨仰せ出され,7月10日,11日に京都河東操練場にて招魂祭を行った.
これが,京都東山の霊山招魂社の濫觴となった.
当時東征大総督であった有栖川宮親王は,東国鎮撫が一段落すると,元年4月28日に令旨を下して陣没者の為の招魂祭を実施する旨を達せられ,6月2日に江戸城内で祭典を行った.
これが,九段にある東京招魂社の濫觴となっている.
明治2年3月,東京遷都となり,麹町九段坂上に東京招魂社を建設し,6月29日より5日に渡って合祀の大祭典を行った.
この時の合祀祭神は,明治元年伏見,鳥羽上野,函館などの役の為の戦没者3,588柱であったが,後,明治8年の詮議を経て,東山の招魂社に奉斎されていた嘉永六年以降の殉国志士を調査して,悉く此処に合祀することとなった.
明治12年6月4日には,東京招魂社を靖国神社と改称し,且つ別格官幣社に列せされることとなり,6月25日に勅使を御差遣して奉告の祭典を行った.
なお,「靖国」という言葉の由来は,御祭文に以下のように書かれている.
(前略)明治元年ト云フ年ヨリ以降,内外ノ國ヲ荒振ル冠等ヲ刑罰メ服ハザル人ヲ言和シ給フ時ニ,汝命等ノ赤キ直キ真心ヲ以テ家ヲ忘レ身ヲ擲テ各モ死亡ニシ其ノ大キ勲功ヲ依テシ 大皇國ヲバ「安國」ト知食ス事ゾト思食スガ故ニ,靖国神社ト改メ称ヘ,別格官幣社ト定奉リテ,御幣帛奉リ齋ヒ祀ラセ給ヘ(以下略)
【質問】
靖国神社の財源は?
【回答】
1945年までは,兵部省(後,陸・海軍省)と内務省とで管轄し,主要財源は陸軍省からの「寄付金」至急など国庫負担.
ちなみに当時は,宮司などの神官6人の任命権や,祭典業務は,陸海軍省の権限で,建設や修繕,経理などの事務は陸軍省の扱い.
戦後,GHQによる「神道指令」(国家神道の廃止)により,靖国神社は一宗教法人となる.ただし,神社本庁には属さない単立宗教法人.所管は東京都生活文化局.
主な収入源は,戦没者遺族からの奉納金,寄付金,書籍やグッズなど博物館「遊就館」での販売,駐車場業等.
現在,予算は非公開だが,「靖国神社百年史」(靖国神社編)に記された最終年,1985年では「一般会計収入32億2721万円」.
以上,データは「週刊エコノミスト」 2005/8/2号(毎日新聞社),p.25-27より.
【質問】
靖国神社は,日本古来の神道に沿ったものなの?
【回答】
「神社と神々」(井上順孝国学院大学教授監修,実業之日本社,1999年)からについて纏めると,
「人神信仰」については
@奈良時代以前には存在せず,奈良〜平安期の「御霊(怨霊)」に対するおそれが起源か.
A「人神信仰」形については
a,「御霊(怨霊)型」・・・菅原道真,長屋王等の「祟り」を鎮める為
b,「宗主型」・・・自分たちの宗主(始祖)をまつる(藤原鎌足等)
c,「神秘型」・・・有名ではあるが実態等がつかめず,後世に神格化された場合(柿本人麻呂,安倍清明等)
d,「権力型」・・・吉田神道の影響により,近世以降の権力者が自らを神格化し,権威を高めた形(豊臣秀吉,徳川家康,各地の大名等)
e,「南朝正統型」・・・明治以降新政府の「南朝正統説」により神格化された形(楠正成,新田義貞等)
f,「仏⇒神型」・・・当初は仏としてまつられていたが後に神格化した(神仏習合の影響) 多田神社(元は多田院)
となっています.
つまり,靖国神社の形態(e)は,他の型とは異なっており,「日本古来の神道の文化」とは言えないようです.
志里賀雲黒斎 in mixi,改
【質問】
戦没者の行為を肯定することは戦争讃美ではないのか?
【回答】
橋爪大三郎によれば,それは間違いであり,戦争を防ぐ努力をすることと,戦争に参加した父祖達の行為を肯定することとは,両立しうるという.
以下引用.
私やあなたが,昭和10年代の日本に生きていて,ある日召集されたとする.
それは,国家の合法的な手続きに基づくもので,憲法(大日本帝国憲法)の定める国民の義務でもある.
とすれば,応召して戦地に赴くことは,断じて正しい.
誰でも家族は大事だし,平和を貴重だと思う.好き好んで戦争に行く者はいない.障害者となり,命を失うかもしれない.
そうした犠牲を覚悟して,兵士となり,前線に赴くことは,立派な覚悟である.それが誤りだとか犯罪だとかいう資格は,誰にもないはずだ.
負けてしまったから,意味のない戦争だったと言う人もいる.
しかし,戦争に勝敗はつきもので,戦争の半分は負けるのである.
そして,負け方が立派だったために,人々を鼓舞し,独立をまっとうしたり民族の誇りを高めたりする戦いもある.
侵略戦争だったから,参加してはいけない戦争だったと言う人もいる.
だが,召集された私やあなたが,個人の資格でそれを主張し,徴兵を拒めるだろうか.「良心的徴兵拒否」の制度があればまだしも,当時そんなものはなかった.
侵略戦争ではなく,アジア解放の戦争と信じて応召した者もいたろう.
侵略戦争であると知りながら,応召した者もいたろう.
いずれにせよ,個々人は,市民としての義務を果たす以外にないのであり,その戦争の性格について責任を問われなくてよい.
戦争の勝算や正当性に疑問がある場合のほうが,戦場に赴く兵士の苦悩は深いのである.
にも関わらず,徴兵に応じた祖父達を,私達は誇りに思うべきだろう.
そしてそれは,同時に,抗日戦争に立ち上がった中国の人々や,独立運動に身を投じた朝鮮の人々を,誇りに思うことに通じる.
個々人にここまで究極の選択を強いるのである以上,戦争を防ぐことは,政治の大きな目標の一つである.戦争の実態を知り,戦争の起こる原因を究明し,戦争指導者の心理や意思決定のあり方を解明することは,戦争を防ぐためにぜひ必要である.
このためにも,人々は歴史に関心を寄せ続けなければならない.
戦争を憎み,戦争を防ぐ努力をすることと,戦争に参加した父祖達の行為を肯定すること.
この二つは完全に両立する!
戦後を健全な市民社会に立て直すため,ここから議論を出発させるべきだ.
しかし戦後思想は,遂にこのことを理解しなかった.
(橋爪大三郎 from 「正義・戦争・国家論」,
径書房,1997/9/10,p.281-283)
歴史というのは国によって違うのは仕方ないんです.
ですから,中国には中国側から見た歴史というのがあっていいし,それと同時に日本には日本側から見た歴史というのがあっていい.
中国の歴史家は,彼らの全力を傾けて歴史的事実を証明し,一つのストーリーを作る.
日本の歴史家は,全力を傾けて同じ資料や別な資料に従って,こちら側のストーリーを作る.
また,民間人はそういうものを土台にして,概括的ながら歴史教養を持っている.
意見が違ったら,そこで議論してもいいと思うんです.
しかし,その知識もないし,スタンスもないという状態なんですね,我々は.それはやっぱりまずい.
しかも,その状態で謝る.これはなお悪い.
〔略〕
知識がないのに謝れるわけがない.それなのに謝る.
それは,その場を取り繕うという非常にこすい心でしょう.
(橋爪大三郎 from 「正義・戦争・国家論」,
径書房,1997/9/10,p.155)
【珍説】
靖国神社は国家体制維持のために戦死した人を祀り顕彰する場所.
すなわち靖国神社は,天皇のために死ぬ事を奨励するための神社.
〔ゆえに,それへの首相参拝は,日本の軍国主義回帰が懸念される〕
【事実】
違います.そのような方向に一時的に利用されたというだけの話です.
「総力戦」というのは,そういうものです.国家のあらゆる資産が戦争遂行に利用されます.これは靖国神社に限りません.
本来的には,時代によって変遷がありますが,同神社は決して「奨励」するためのものではありません.
別項目にありますように,
>「靖国」とは,「国を平安(靖)にし,平和な国を作る」との意味.
であり,したがって,ある一時期だけを切り取って
>天皇のために死ぬ事を奨励するための神社
などと断定するのは間違いです.
私見ですが,戦没者を何らかの形で弔わずにはいられない日本人的感性――なにせ,徳川家康など多くの戦国武将,果ては平将門でさえ,死後は神社に祭られている――と,明治以降の,〔近代国民国家の精神的支柱としての役割を期待しての〕神道に対する国家支援とが結びついた結果の産物ではないかと愚考いたします.
俺は
「国民国家として当時の日本を存続させるためには国家一丸となって国難にあたる必要があった.
そのため,一朝事有らば,己の身命を投げ出す覚悟で,その国難にあたらねばならない」
という「自覚」を促すための装置だったと思っています.
そして,靖国神社参拝問題はまずもって外交問題なのですから,外交上の損得をまず第一に考えるべきであり,
・分祀する場合
・分祀しない場合
のそれぞれについて国益上のメリット・デメリットを,最期の1円まで計算し尽くした上で,分祀するしないかを決めればいいだけの話です.
歴史的評価の問題は,安倍首相の国会答弁にもありましたように,
「専門家に任せるべき」
かと愚考いたします.
消印所沢
【珍説】
戦死者を英霊と呼び,賛美することは,すなわちそういう死に方を賛美することです.
SODA in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
えっと,例えば事故死した方は褒められないんですか?
事故死した方を「生前は頑張った,危険な仕事でよく働いていた」と弔辞でも送ったら,「事故死」することを賛美したことになるんですか?
「賛美」する対象をよく考えてみてください.
【珍説】
〔靖国神社の〕サイトで紹介されている兵士に関する記述例を書きます.
ーーーー
海軍中佐飯田房太命:第2次攻撃隊第2制空隊長として真珠湾の攻撃に参加.カネオエ飛行場を銃撃して大戦果を挙げたが,敵の対空砲火でタンクに被弾,部下に母艦への進路を誘導した後,反転してカネオエ飛行場の格納庫に突入,戦死した.
海軍中佐岩佐直治命:大東亜戦争開戦劈頭の昭和16年12月8日,5隻の特殊潜航艇に分乗し,警戒厳重なハワイ真珠湾に潜入,機動部隊の航空攻撃確認後,残存艦艇に決死の魚雷攻撃を敢行,甚大なる損害を与え,戦死を遂げた
―――
「決死の魚雷攻撃を敢行,甚大なる損害を与え,戦死を遂げた」という文章を読んで,戦死を美化していると思わないってのは,僕には理解できない.
SODA in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
ただの転勤を「栄転」と大袈裟に呼ぶような日本人的感性を理解したくないだけでしょ(笑
他方で靖国には,1発の弾丸も撃たないまま戦病死したような無名兵士も,わけ隔てなく祀られているのですが.
戦争賛美が目的なら,戦局に何ら寄与しなかった兵士を,海軍戦闘機隊のトップ・エースと同格に扱ったりしませんよ.
その文章を書き換えれば
「死を覚悟した魚雷攻撃を行って大きな被害を与えて戦死した」
となりますが,こう書くとただ単に事実を書いただけだと思うんですが.
多少勇ましく書いてあるぐらいですかね.
それならどう書けば美化していない表現になるのか?を逆に尋ねたいです.
まぁ「坊主憎けりゃ……」でしょうけど.
そして,靖国神社参拝問題はまずもって外交問題なのですから,外交上の損得をまず第一に考えるべきであり,
・分祀する場合
・分祀しない場合
のそれぞれについて国益上のメリット・デメリットを,最期の1円まで計算し尽くした上で,分祀するしないかを決めればいいだけの話です.
歴史的評価の問題は,安倍首相の国会答弁にもありましたように,
「専門家に任せるべき」
かと愚考いたします.
消印所沢
【珍説】
FAQに祭文がありますが,ここに国のために死んだ人を顕彰すると云うことが書いてありますよ.
社格制定時に靖国に改称したときの祭文にあるのですからスタート時から顕彰を目的としていると云うのは異論が無いはずですが.
1879年6月
靖国神社への改称の際の社格制定の祭文より
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汝命等ノ赤キ直キ真心ヲ以テ家ヲ忘レ身ヲ擲テ各モ死亡ニシ其ノ大キ勲功ヲ依テシ 大皇國ヲバ「安國」ト知食ス事ゾト思食スガ故ニ,靖国神社ト改メ称ヘ,別格官幣社ト定奉リテ,御幣帛奉リ齋ヒ祀ラセ給ヘ
----
そうそう,靖国神社崇敬奉賛会も英霊を顕彰すると言い続けているし,護国神社でも慰霊英霊の顕彰祭ってやっている訳で,靖国神社や護国神社が国のために戦死した英霊を鎮魂,顕彰する施設であることは,上の1879年の祭文から一貫していることです.
http://www.yasukuni.or.jp/annai/suukei.html
英霊を「顕彰」していると靖国もその信者も言い続けていると云うことです.それがいい悪いはまた別問題ですが.
1879年の改称のときに鎮魂から顕彰へと靖国がその目的を公式にシフトしたと云う話は靖国神社の歴史としては基本的な話だと思います.
親派も反対派もここで意見が分かれるところでもありません.
例えば,1868年の江戸城内での招魂祭では
----
恐き将士等の身も棚知らずいそしみ仕え奉りしに依て此の如き大きなる業は成し得し物と歓び勇みましつつも,今将士等の命過ぬる事を思食ば古え楠の朝臣が国の為に仕奉の労に並びぬべくおぼしめつつ嘆賜い悲賜い
----
とあり,京都での招魂祭では「其志操を天下に表し其忠魂を被慰度」と祭文にあるので,この時点では未だ勲功顕彰の意味合いは見られないが,1879年には「勲功」としっかりと書かれた訳です.
引用は,大江志乃夫,靖国神社,岩波新書より
Queso in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
でも実際には,官軍側の戦死者全員を,手柄の大小に関係なく祀っているでしょ?
その引用で言う勲功とは,ぶっちゃけ「戦に加わった」ぐらいの意味しかないのですよ.
ただの転勤を「栄転」と大袈裟に呼ぶようなもので.
まあ,生死を賭けるわけですから,全員,偉いといえば偉いとも言えるんですけどね.
どっちにしろ,「顕彰」の意味として国語辞典に載っている
>(名)スル
>隠れた功績・善行などをたたえて広く世間に知らせること.
みたいな大げさな意味じゃ使われていないですよね?,現実問題として.
そして,靖国神社参拝問題はまずもって外交問題なのですから,外交上の損得をまず第一に考えるべきであり,
・分祀する場合
・分祀しない場合
のそれぞれについて国益上のメリット・デメリットを,最期の1円まで計算し尽くした上で,分祀するしないかを決めればいいだけの話です.
歴史的評価の問題は,安倍首相の国会答弁にもありましたように,
「専門家に任せるべき」
かと愚考いたします.
【珍説】
以下は
http://secondlife.yahoo.co.jp/business/master/article/a102shiro_00011.html
より抜粋
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諸外国の政治家,外交官の遊就館についての発言
この“戦争博物館”は,リニューアル後の展示見直しで「第二次大戦を美化する場所」が強調された.そのため,日本を訪れる欧米諸国の政治家,外交官らが見学する場所になり,遊就館を知らない知日派外交官はまずいない,と言われるほど,という.
それらのいくつかを紹介する.
●ハワード・ベーカー前駐日米大使(昨年2月,離任前に自民党有力議員に,1月30日,毎日新聞)
「あれ(遊就館の展示)は日本が戦争に勝ったみたいだ」
●ポール・ジュラ元米国防総省日本部長(1月30日,毎日新聞)
「第二次大戦が他国の過失によるという印象を受けるどころか,日本の戦争が正しいとさえ思わせる高慢な内容だ.(その靖国神社への小泉首相の参拝は)常軌を逸している」
●盧武鉉・韓国大統領(1月16日,中曽根康弘・元首相,福田康雄・元官房長官らとの会談で,毎日新聞)
「(遊就館について)行きたいと言ったら周囲に止められた.日本が承知するなら,実際に見てみたい」と述べた.同大統領は『遊就館には戦争を賛美する内容がある』との報告を受けており,訪日シグナルではなく,小泉首相の靖国参拝を牽制したものとみられる.
●ヒュー・コータッツイ・元駐日英大使(3月27日,読売新聞)
「(中韓両国で靖国参拝が挑発的と受取られているのは)A級戦犯の合祀だけが問題ではない.靖国神社の博物館(遊就館)が戦争での日本の行動を美化しているかのように見えるからである.これらのことは日本政府が戦争責任あるいは東京裁判の合法性を認めていない,という印象を内外に与えている」.
※これらの批判的発言には説得力がある.「日本は第二次世界大戦について正当防衛,美化さえしている」と映っているのだ.そのような思想(靖国史観とも呼ばれる)で成りたっている靖国神社に参拝する小泉首相を問題視していることにほかならない.
サンフランシスコ講和条約に署名,歴代政府が侵略戦争を謝罪していることとの関係はどうなっているのか.外国からの「A級戦犯合祀と遊就館のあり方」への指摘を「内政干渉」で片付けられるのか.このことこそ,解決(是正)に向けて取組まなければならない急務の課題と思うのだが…….
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HARUKI in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
靖国参拝に関しては,それを否定しない諸外国の政治家も,大勢います.
否定的発言だけを集めても,肯定的発言だけを集めても,どちらも意味はありません.
外国の方の評価が気になるのでしたら.
他のコミュで調べてくださった方がいてその丸写しですが(笑)
★シンガポール リー元首相:
「靖国問題も中国が心理的なプレッシャーをかけているだけ」
★台湾,李登輝前総統:
「国のために命を亡くした英霊をお参りするのは当たり前の事.
外国が口を差し挟むべきことではない」
★台湾,陳総統:
「中国の反発に負けずに靖国参拝をする首相を評価」
★カンボジア:フン・セン首相:
「戦没者の霊を弔うことは当然のこと」小泉首相の靖国参拝に理解
★インドネシア:ユドヨノ大統領:
「国のために戦った兵士のためにお参り,当然」靖国参拝に理解
★ベトナム:
「我々は中国や韓国のような卑怯な外交手法をとるつもりはない」
★オーストラリア・マレーシア・タイ・フィリピン:
「私たちはまったく問題ではない.問題にするのは中国だけ」
★パラオ,レメンゲサウ大統領:
靖国参拝に「すべての人のために祈るのは正しいこと」と支持を表明
★ソロモン諸島のケマケザ首相:
「日本とソロモン諸島の共通の文化は先祖に感謝すること.
英霊が祭られている場所を拝見したい」
<アジア以外>
・アーミテージ氏:
「中国は靖国問題に言及するべきではない.
日本は戦後60年間,模範的な市民である」
・シーファー駐日大使:
「アメリカ政府は,日本の靖国参拝に干渉することはない」
・ラムズフェルド長官:
「中国は日本の靖国参拝への干渉を自制すべき」
・ウォーツェル米中経済安保調査委員長:
「『歴史認識非難』は単なる対日攻撃手段,靖国参拝,中止すべきでない」
・トーマス・スニッチ氏:
「中国には日本の戦没者追悼に対し一定の方法を命令する権利はない」
・アーサー・ウォルドロン氏:
「事の核心は日本に対し覇権を確立したいという中国の野望」
あと,珍説者の引用からでは,ハワード・ベーカー前駐日米大使は「戦争に勝ったようだ」とは書いてありますけど,別に賛美しているとは書いてありませんね.
そして盧武鉉大統領は行ってもいない.それを言われてもねぇ.
これで4つの談話の内の二つがここでは意味の無い談話になってしまったんですが,これで説得力があるんですか?
どうせならもう少しマシなソースを探して下さい.
それにしても,そこまでアメリカ嫌い,アメリカダメ,米帝国主義反対,米帝覇権主義反対だのとずっと言い続けている人が,いきなりアメリカ高官の談話を持ち出して
「ほら!遊就館は軍国主義賛美している!」
と勝ち誇ったように言う所が,かなりの謎で,かなり滑稽だと思うのは僕だけなんですかね.
都合の良い時だけアメリカに頼るのはやめませんか?
そして,靖国神社参拝問題はまずもって外交問題なのですから,外交上の損得をまず第一に考えるべきであり,
・分祀する場合
・分祀しない場合
のそれぞれについて国益上のメリット・デメリットを,最期の1円まで計算し尽くした上で,分祀するしないかを決めればいいだけの話です.
歴史的評価の問題は,安倍首相の国会答弁にもありましたように,
「専門家に任せるべき」
かと愚考いたします.
消印所沢
【質問】
戦死したと思われて靖国神社に祭られてた人がひょっこりと生きてた場合どうするんでしょうか?
【回答】
事例を挙げると,横井さんや小野田さんは靖国神社に祀られていましたが,帰国後廃祀されています.
【質問】
中国には,戦死者を称えるような施設は存在しないのか?
【回答】
中国共産党のために戦った人を「人民の英雄」として讃える人民英雄祈念碑というものがあるという.
また,同様の施設は中国各地にあり,学校や色んな団体が参拝に行っているという.
以下引用.
――――――
鳴霞
北京に人民英雄祈念碑(無宗教)がありますよね.
中国共産党のために戦った人を「人民の英雄」として讃える碑です.
その中には日本人や朝鮮人などの外国人を殺した人も沢山含まれています.
同様の施設は中国各地にあり,愛国心を養うために学校や色んな団体が参拝に行っています.
井沢(元彦)
つまり,世界のどこの国であろうと,自分の国のために戦って死んだ人の霊を慰めるのは当然のこと,ということですよね.
本来,それが健全なあり方でしょう.
――――――『SAPIO』 2005/8/24-9/27号,p.11-12
【質問】
靖国神社に代わる無宗教の国立追悼施設を作れば,靖国問題は解決するだろうか?
【回答】
次の「問題」を持ち出して来るだけだとする見方が,岡崎久彦・古森義久ら多くの識者にある.
▼ 李登輝も以下のように中国外交を見透かしている.
――――――
面白いのが中国人の手口だ.
小泉首相がたとえ参拝を止めても,次の難癖を必ずつけてくるだろう.
いくらでも材料なんて探してくるものだ.
彼らにとっての外交というものは,そういうものなのだ.
ただこのやり方は多くの周辺諸国ですっかり見抜かれている.
外交というにはあまりにも卑しい.
徳のない外交で,中国を指して外交大国というのは的外れである.
12億人という人口を背景に,弾圧と詐術的宣伝で押しまくっているだけなのだ.
――――――李登輝 in 『SAPIO』 2005/8/24-9/27号,p.9-10
▲
ちなみに,高橋哲哉〔東京大学大学院総合文化研究科教授〕は次のように述べている.
将来,靖国神社に代わる無宗教の国立追悼施設を作るとしても,靖国問題の最終解決にはならないだろう.
施設はあくまで施設に過ぎない.
政治がどのようにその施設に関わるのか,もっと言えば,政治が追悼施設にどのような意味を持たせ,利用していくかによって,その性質も大きく異なってくる.
造ったときは平和のための施設であっても,それが国の追悼施設であるがゆえに,新たな戦死者を受け入れて,首相が戦死者の功績を讃えるようになっていけば,「第2の靖国」になる可能性は十分にある.
国立追悼施設の建設で,政教分離違反という憲法問題は解決できるかもしれないが,今度はその施設が,新たに無宗教の下で神道と結びつかない形で戦争をする国家の一機能,一つの装置になっていく可能性は残る.
私は,現行憲法の戦争放棄の9条と,政教分離をうたった20条を,変えずにしっかり守るということが肝要と考える.
一方で,日本国内では,普通の国になって武力行使できるようにすべきだとの主張も増えつつあるようだ.
そういう視点に立てば,必ず,ある種の「靖国」が必要になってくる.神道と結びつかなくても,武力行使をして,そこで戦死者が生ずることを想定しうる国では,必ず「靖国」のような装置を必要とする.
それは,戦死者に名誉を与えなければ,国のために戦死者へ向かう新たな人材を確保できなくなるからだ.
(「週刊エコノミスト」 2005/8/2号,毎日新聞社,p.24)
「靖国問題」(ちくま著書)を著して顰蹙を買った,親中派のセンセーがこうおっしゃっているということは,すなわちそれが中国政府の本音だと読み取る事ができる.
要するに,
「『あれでは第2の靖国だ!』と,日本政府要人の国立追悼施設参拝を非難する余地はちゃんと残しますからね」
というわけであろう.
そして,靖国神社参拝問題はまずもって外交問題なのですから,外交上の損得をまず第一に考えるべきであり,
・分祀する場合
・分祀しない場合
のそれぞれについて国益上のメリット・デメリットを,最期の1円まで計算し尽くした上で,分祀するしないかを決めればいいだけの話です.
歴史的評価の問題は,安倍首相の国会答弁にもありましたように,
「専門家に任せるべき」
かと愚考いたします.
消印所沢
【珍説】
日本政府は一刻も早く靖国神社参拝をやめて,米国アーリントン国立墓地に準ずる国立の戦没者慰霊施設を作り,天皇陛下をお招きして,不本意な死に甘んじた方々の霊を鎮めるべき.
【事実】
千鳥ヶ淵に「千鳥ケ淵戦没者墓苑」があり,毎年天皇陛下にも御臨席賜って「全国戦没者追悼式」をやっていますが何か?
「……ええ?? とっくにあるのおおお??」
というオチでしたとさ.
▼ 不正確な点は直したほうがよいと思いますが,あんまり厳密に議論しても埒が明かないような....
「国立の戦没者慰霊施設」.
これは日本にもあります.千鳥ケ淵戦没者墓苑.
「天皇陛下をお招きして,不本意な死に甘んじた方々の霊を鎮める」
これも行われました.
――――――
千鳥ヶ淵戦没者墓苑について
平成14年2月1日
厚 生 労 働 省
(4) 竣工及び追悼式並びに拝礼式
1 昭和34年3月28日,天皇皇后両陛下の御臨席及び内閣総理大臣,各大臣,関係団体等の出席の下厚生省主催の竣工及び追悼式が行われた.
2 昭和34年の竣工式以降に収集された遺骨を墓苑に収納するため,昭和40年3月28日,天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ,厚生省主催による納骨式を行うとともに,併せて墓苑に納められた遺骨に対して拝礼を行うための拝礼式を行った.
その後毎年,皇族の御臨席及び内閣総理大臣,関係大臣,関係団体,遺族等の出席の下厚生労働省(厚生省)主催の拝礼式を行い,前回の拝礼式以降遺骨収集等で新たに持ち帰られた遺骨を納骨することとしている.
――――――
これに加えて毎年,天皇皇后両陛下の御臨席のもと,武道館で全国戦没者追悼式も行われています.
だから後に残るのは,千鳥が淵が「米国アーリントン国立墓地に準」じているのか,武道館の追悼式がアーリントンで行われるセレモニーに準じているのかどうか,という問題ですけど,これは「アーリントンに準じている」を厳密に定義するのが難しいので,主観に左右されると思います.
たとえば,面積で言えば千鳥が淵はアーリントンと比べてずいぶん小さいのですが,そのことだけをもって千鳥が淵はアーリントンとは別物だと言えるのか,ということですよね.
あと,アーリントンは様々な性格を持つ総合慰霊施設で,無名戦士の墓以外にも歴代大統領の廟などもありますけど,日本では天皇とか首相をそういうふうに祀る習慣がないですよね.
どの対象をどのように慰霊するのかには,その国の宗教観とか慣習が深く関わってくるので,ある二つの国でまったく同じ,というのはありえないんじゃないでしょうか.
日本では戦没者が,政府からあまり大事に扱われていないなあ,というのは私も主観としては持ってますが.
▲
【質問】
靖国神社に公式参拝した国と,公式に反対している国は,それぞれどれだけあるのか?
【回答】
以下の通り.
青 = 公式に 参拝
赤 = 公式に 反対
国名 | 東京裁判 に参加した 連合国 (戦勝国) |
SF条約 に署名した国 |
靖国神社 公式参拝 |
戦後補償 | 靖国神社公式参拝 反対 を表明している国 |
1.アメリカ | ◎ | ◎ | ◎ | ||
2.英国 | ◎ | ◎ | ◎ | 各種請求権 | |
3.ソ連 (現;ロシア) |
◎ | ◎ | |||
4.フランス | ◎ | ◎ | ◎ | 各種請求権 | |
5.中華民国(台湾) | ◎ | ◎ | |||
6.オランダ | ◎ | ◎ | 各種請求権 | ||
7.オーストラリア | ◎ | ◎ | ◎ | 各種請求権 | |
8.ニュージーランド | ◎ | ◎ | |||
9.カナダ | ◎ | ◎ | 各種請求権 | ||
10.インド | ◎ | ◎ | 各種請求権 | ||
11.フィリピン | ◎ | ◎ | 賠償 | ||
12.アルゼンチン | ◎ | ◎ | 各種請求権 | ||
13.ベルギー | ◎ | ||||
14.ボリビア | ◎ | ||||
15.ブラジル | ◎ | ◎ | |||
16.カンボジア | ◎ | 準賠償 | |||
17.セイロン (現;スリランカ) |
◎ | ◎ | |||
18.チリ | ◎ | ◎ | |||
19.コロンビア | ◎ | ||||
20.コスタリカ | ◎ | ||||
21.キューバ | ◎ | ||||
22.ドミニカ共和国 | ◎ | ||||
23.エクアドル | ◎ | ||||
24.エジプト | ◎ | ◎ | |||
25.エルサルバトル | ◎ | ||||
26.エチオピア | ◎ | ||||
27.ギリシャ | ◎ | 各種請求権 | |||
28.グアマテラ | ◎ | ||||
29.ハイチ | ◎ | ||||
30.ホンジュラス | ◎ | ||||
31.インドネシア | ◎ | ◎ | 賠償+準賠償 | ||
32.イラン | ◎ | ◎ | |||
33.イラク | ◎ | ||||
34.ラオス | ◎ | 準賠償 | |||
35.レバノン | ◎ | ||||
36.エルサルバトル | ◎ | ||||
37.リベリア | ◎ | ||||
38.ルクセンブルク | ◎ | ||||
39.メキシコ | ◎ | ||||
40.ニカラグア | ◎ | ||||
41.ノルウェー | ◎ | ||||
42.パキスタン | ◎ | ◎ | |||
43.パナマ | ◎ | ◎ | |||
44.パラグアイ | ◎ | ||||
45.ペルー | ◎ | ◎ | |||
46.サウジアラビア | ◎ | ||||
47.シリア | ◎ | ||||
48.トルコ | ◎ | ◎ | |||
49.エルサルバトル | ◎ | ||||
50.南アフリカ連邦 (現;南アフリカ共和国) |
◎ | ||||
51.ウルグアイ | ◎ | ||||
52.ベネゼエラ | ◎ | ||||
53.ベトナム | ◎ | ◎ | 賠償+準賠償 | ||
54.ミャンマー | ◎ | 賠償+準賠償 | |||
55.タイ | ◎ | 準賠償+各種請求権 | |||
56.イタリア | ◎ | 各種請求権 | |||
57.ドイツ | ◎ | ||||
58.ニューギニア | ◎ | ||||
59.イスラエル | ◎ | ||||
60.スペイン | ◎ | 各種請求権 | |||
61.トンガ | ◎ | ||||
62.チベット | ◎ | ||||
63.パキスタン | ◎ | ||||
64.フィンランド | ◎ | ||||
65.リトアニア | ◎ | ||||
66.パラオ | ◎ | ||||
67.スロベニア | ◎ | ||||
68.ルーマニア | ◎ | ||||
69.ポーランド | ◎ | ||||
70.スイス | ◎ | 各種請求権 | |||
71.マレーシア | ◎ | 準賠償 | |||
72.アゼルバイジャン | ◎ | ||||
73.デンマーク | 各種請求権 | ||||
74.スウェーデン | 各種請求権 | ||||
75.シンガポール | 準賠償 | ||||
76.ミクロネシア | 準賠償 | ||||
77.モンゴル | 準賠償 | ||||
78.中華人民共和国 (中国) |
ODA※2 | ◎ | |||
79.韓国 | 準賠償 | ◎ | |||
80.北朝鮮 | △※1 | ◎ | |||
81.ソロモン | ◎ |
※1:北朝鮮の戦後補償は日韓基本条約のときに,韓国政府の要望により,「個人補償と北朝鮮の分も含めて」韓国に支払い.
※2 「ODAが事実上の賠償代わりとされた」という説は,しばしば聞くが,現在までのところ真偽未確認.
【質問】
日本の靖国参拝や軍事大国化を懸念する,アジアの人々の声を聞け!
【回答】
はいはい,聞いてみました.
日本と関係良好,東南アで9割超…アジア7か国調査
東南アジア諸国では,「日本との関係が良い」と見る人が9割以上に達した.
「日本を信頼できる」人も7―9割を占め,対日感情の良さが裏付けられた.
東南アジア,インドでは,日本が国際社会で積極的な役割を果たすことへの期待も強かった.
人道復興支援のための自衛隊海外派遣に「賛成」は,インド洋大津波の被災地支援で自衛隊が派遣されたインドネシアで計83%に上った.
韓国以外の国で「賛成」が「反対」を上回った.
日本の首相の靖国神社参拝を「構わない」という人は,タイで59%,マレーシアでは52%に上った.ベトナム,インドでも多数だった.
韓国,インドネシアでは「そうは思わない」が各86%,41%で,「構わない」を上回った.
〜読売新聞,2006/9/3
何か問題でも?
▼ 以下の記述を信頼するとするならば,東南アジアの人々が懸念するのは参拝問題そのものではなく,参拝問題によって日米間系が悪化することにあるという.
[quote]
森 〔略〕
僕は去年の暮れから,シンガポールのリー・クアンユーさんやゴー・チョクトンさん,さらにマレーシアのマハティールさんたちと何回か会った.
彼らは福田ドクトリン以来,日本に非常に感謝している.
「われわれにとっては日本と中国や韓国がゴタゴタしているのがいちばんつらい.
われわれは親日だが,一方で中国の今の国際社会に対する呼びかけや動きを無視することはできない.
だから,日本と中国には良好な関係でいてほしい.
なぜ,日本は靖国神社参拝問題で中国との関係を難しくしているのか」
と言うんですよ.
東南アジアの人たちは日本と中国の間にゴタゴタを起こしてもらいたくないんですよ.
昔なら日本一辺倒でよかったんだけれども,今は,中国の積極的なアプローチやODA攻勢が凄いです.
とにかくこの地域において,中国の存在感が増しているのです.
[/quote]
―――『森喜朗 自民党と政権交代』(森喜朗著,朝日新聞社,2007/10/30),p.282▲
ちなみに,以下のような事例を見ても,A級戦犯合祀の件で韓国がゴタゴタ言うのも本気ではなく,あくまで外交上の方便であることが窺い知れる.
「加害者も犠牲者も極楽往生」
米バージニア工科大銃乱射事件の犠牲者のための33の灯りがソウル曹渓寺(チョゲサ)の大雄殿前にかけられた.
灯りは死者の極楽往生を祈るもの.
犠牲者らの名前と犯人チョ・スンヒ容疑者の名前も見える.
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=86783&servcode=400§code=400
そして,靖国神社参拝問題はまずもって外交問題なのですから,外交上の損得をまず第一に考えるべきであり,
・分祀する場合
・分祀しない場合
のそれぞれについて国益上のメリット・デメリットを,最期の1円まで計算し尽くした上で,分祀するしないかを決めればいいだけの話です.
歴史的評価の問題は,安倍首相の国会答弁にもありましたように,
「専門家に任せるべき」
かと愚考いたします.
消印所沢
【珍説】
イラク侵略戦争〔原文ママ〕を支持したのが石油の安定確保なら,経済第一が国益だったことになる.
経済第一が国益なら,靖国参拝を中止するべきだろう.
中国に対してはプライドに固執し,アメリカに対してはプライドをかなぐり捨てる.
そんな卑怯な国民性が日本のはずあるか!
小林よしのり in 『SAPIO』,2005/5/11号,p.66欄外
【事実】
その点については,同じ雑誌の同じ号の中で,
「靖国参拝を中止したからといって,反日はなくならない」
と,明解に否定されていて,笑えます.
以下引用.
一部の財界関係者が,小泉首相が靖国参拝を止めさえすれば,反日はなくなる,という示唆をしたことがあった.
だが,今回〔2005年〕の反日デモはそういう認識が誤りであることを,はっきりさせたわけである.
そもそも中国の「日本叩き」は,日本側が中国に直接,向かって,刺激するような言動をとったことへのリアクション(反応)として起こるのではない.
日本が特に何もしなくとも,常に日本を叩く状態になっているのだ.
また,日本がアメリカと連帯して,日本自身のための新たな安全保障の措置をとっただけでも,中国は自国にとって好ましくないと見れば,すぐに日本を叩いてくる.
靖国とか歴史教科書で日本が中国の求めに応じても,この種の日本糾弾は決して止まらないのだ.
中国という国は共産党が独裁を強いている国である.
いかなる大集会や大規模デモも,当局の了解なしには開けない.
今回の反日デモも明らかに共産党当局が許容していた.
いや当局が影で主導した形跡さえある.
だからその中国共産党の首脳部が,これ以上,無法な反日行動を放置すれば中国自体が損をすると判断した瞬間,こうした騒ぎは終わる.
〔略〕
中国の日本叩きが長年,続いてきたのは,結果として,その「叩き」が中国にとってのプラスを招き,日本からの反発によるマイナスがなかったからだろう.
中国政府が何度も歴史問題を持ち出して日本を糾弾するのは,結果として,中国に全く悪影響がないからだ.
どんなに日本を叩いても,日本企業は対中投資を続け,旅行者は中国に観光に行く.
日本側は日中友好を叫ぶ.
巨額のODA(政府開発援助)は絶やさない.
だから日本叩きは続くのだ.
もし逆に,日本を叩き,無理難題を突き付け,反日を煽れば,日本側が強固な対応策で報復し,かえって中国側にとって不利益を招くことが確実であれば,中国はやがて対日要求や対日抗議デモというカードを引っ込めるだろう.
古森義久 in 『SAPIO』,2005/5/11号,p.18
事実,2007年ごろには中国政府の日本叩きが沈静化しているのは,日本国民が反発して,日本の防衛力強化などを招くことを懸念しているためだと分析されています.
「中国自体を損をすると判断したときは日本叩きは行われない」とする古森の説を裏付けていると言えるでしょう.
そもそも中国で反日運動が盛んだった2005年当時,なぜか小林は沖縄論なるものを始め,殆どこの反日デモについて触れていません.
しかも僅かに触れている部分では,以下のように攻撃の鉾先が中国ではなく,あさってのほうに向かっています.
以下引用.
テレビ,新聞を見ていると,中国の「反日」暴動について,日本の知識人はもちろん,在日の中国の学者ですら本当の理由を分かっていない.
言論の自由がない共産党一党独裁の体制下での「反政府」的なストレスのガス抜きであることも,愛国反日教科書洗脳の成果であることも,日本へのコンプレックスである事も確かだが,その複合的な意味合いは誰もが頭悪すぎて理解できないようだ.
小林よしのり in 『SAPIO』,2005/5/11号,p.65
そのように他人を見下す態度で思わせぶりなことを言うくらいなら,その「本当の理由」とやらを書いたらいいのに,と思うのは一人二人ではないでしょうし,「頭の悪い」日本人は叩くが反日中国人を叩かないのは,極めて不審な態度と言えるでしょう.
それに少なくとも,これまでの多くの人からの多くの異論・反論から逃げまわっている小林に,「卑怯な国民性」などと言える資格があるとも思えませんが.
そして,靖国神社参拝問題はまずもって外交問題なのですから,外交上の損得をまず第一に考えるべきであり,
・分祀する場合
・分祀しない場合
のそれぞれについて国益上のメリット・デメリットを,最期の1円まで計算し尽くした上で,分祀するしないかを決めればいいだけの話です.
歴史的評価の問題は,安倍首相の国会答弁にもありましたように,
「専門家に任せるべき」
かと愚考いたします.
【珍説】
靖国参拝をチョロチョロ続ける小泉首相が,その理由として
「不戦の誓いのために」
などと,きれいごとぬかすのは笑止千万である.
小泉はアメリカの「侵略戦争」を支持したのであり,「占領統治」も支援しておいて,なのに自国の「防衛戦争」すらせずに,国を明け渡すつもりであろうか?
小林よしのり in 『SAPIO』 2005/1/5号,p.66
【事実】
無理矢理過ぎるでしょう,その難癖.
その「不戦の誓い」とは侵略戦争のことであって,自衛戦争までは否定していないことは,これまでの政府見解を読めば中学生でも分かると思うのですが.
【質問】
2006/8/15の,小泉首相靖国参拝の際の,青ヘル団と特攻服団の小競り合いの実際を教えてください.
【回答】
マイクロバスで靖国神社に乗りつけた左翼活動家達がマイロクバスに押し戻された,というのが事実の模様.
同日朝7時頃,どかちんヘルメットを青く塗ったのに,全学連..とか革命マルキストの略の革マル....40年前の左翼の姿.....それがマイクロバスで正門に乗りつけた....
しかし彼らは,通行人に傘で叩かれて,乗ってきたマイクロバスに押し戻されて一歩も靖国正門に降りれなかった.
警官は,30-40人の普通の参拝者に比べ3-4人しか居ず,ほとんどが普通の人たちだった.
10分ほどして来た右翼らしい背広デブは,殆どやることがなく,後ろから普通の群集の応酬を押していただけ.
道路標識のコーンとかバスに投げ込んで傘でつっつっいてたのは,おばさんや普通の人たちだった.
バスの上り口まで傘が粉々になるまで突っついていたおにいさんまで居た.
血出してマイクロバスに転げ戻る左翼.
警官たちは苦笑いで,有る程度やらせていたな.
右翼左翼よりも通行人や参拝者のほうが怖いとわかった瞬間だったなぁ.
民衆の良識,強えーと思ったよ.
マイクロバスは全ての窓ガラスが一分くらいで破壊されていたが.
全学連の一人がヘルメットを奪われてた.
奪ったおっちゃんに写真撮らせてって言ったら,こんなことしてくれた.
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1155640253/
より.
【珍説】
靖国は軍国日本の象徴でした.
首相が不戦の誓いを新たにするのには,あまりにも不適当な場所です.
〔ゆえに,日本の軍国主義回帰が懸念される〕
HARUKI in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
いいえ,靖国神社は明治から存在します.
戦時に利用されたからといって,その存在そのものを否定するのは非論理的です.
その論理がまかり通るのであれば,戦前から存在するあらゆる企業,神社仏閣,知識人,文化人が否定されなければならなくなります.
「総力戦」とは,そういうものなのです.
〔ゆえに,あなたの心配は杞憂です.〕
そして,靖国神社参拝問題はまずもって外交問題なのですから,外交上の損得をまず第一に考えるべきであり,
・分祀する場合
・分祀しない場合
のそれぞれについて国益上のメリット・デメリットを,最期の1円まで計算し尽くした上で,分祀するしないかを決めればいいだけの話です.
歴史的評価の問題は,安倍首相の国会答弁にもありましたように,
「専門家に任せるべき」
かと愚考いたします.
【珍説】
日中国交回復の際,中国は日本との国交回復に反対する勢力を納得させるため,「日本の戦争責任はA級戦犯にあり,一般国民は自分たちと同じ犠牲者である」としたのです.
それが,日本の首相がA級戦犯を合祀する神社に参拝していたら,説明がつかないですよね.
その共同声明の背景,靖国参拝問題との関係については
自民党の河野太郎氏のWebサイトに分かりやすく載っています.ご一読ください.
http://www.taro.org/ml/mailmagazine/index.php?mode=day&log=200412&date=1
〔ゆえに,日本の軍国主義回帰が懸念される〕
HARUKIin mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
そのような説明をしたのは,中国側の内部事情であって,日本がそれに振り回されねばならない謂(いわ)れはありません.
そのサイトから引用しますね.
>その日中共同声明のなかで,日本は「過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し,深く反省する」との立場を明確に文書にしました.
ここは文書で確認できる事実ですね.
>当時の中国国内には,日本に戦時賠償を求めよとの世論もありましたが,毛沢東主席,周恩来総理をはじめとする中国の指導者は,戦争は日本国内の一部の軍国主義者によって発動されたものであり,大多数の日本国民も戦争の犠牲者であるとの認識を示して,戦争の被害者が同じ戦争の被害者に賠償を求めることはできないとの立場を取りました.
これは中国側の国内事情の説明ですね.
>日本側が戦争の責任をきちんと受け止めて反省していることを前提に,共同声明では中国側が賠償を放棄することを明確にしました.
これも同上.
これ,単なる向こうの事情の説明でしかありませんよ?
したがって,あなたの主張の補強材料とは何らなっておりません.
結局のところ,靖国神社参拝問題はまずもって外交問題ですので,ディプロマティックに冷静に対応すれば済むだけの話です.
国益にかなうのであれば参拝し続ければよいし,国益に反するのであれば参拝をやめればいい.
・分祀する場合
・分祀しない場合
のそれぞれについて国益上のメリット・デメリットを,最期の1円まで計算し尽くした上で,分祀するしないかを決めればいい.
それだけの話です.
歴史的評価の問題は,安倍首相の国会答弁にもありましたように,
「専門家に任せるべき」
かと愚考いたします.
情緒論など持ち出すと,話がこじれるだけです.
それだけ解決は遠のきます.
【珍説】
靖国神社遊就館に兵器が展示されているのは,軍国主義思想の現れ.
【事実】
戦争記念館なのだから,兵器が展示がないことのほうがおかしい.
世界各国,例えばオランダやベルギー,フィンランドやスウェーデンのような国にも戦争記念館があって,戦車や戦闘機が展示されているのだが,君の論法に従えば,それら各国が好戦的である,ということになってしまう.
そんなおばかな妄想は,いまだかつて聞いたことがない.
「軍事=悪」という,あまりに単純な思い込みの虜なのだろう.
戦闘機が飾ってあるから好戦的だというなら,世界にはこの手の展示がもっと充実した博物館が掃いて捨てる程あるので,「全世界はもっと好戦的で,とんでもなく軍国主義を賛美してる」ってことになりますぜ(笑)
そして,靖国神社参拝問題はまずもって外交問題なのですから,外交上の損得をまず第一に考えるべきであり,
・分祀する場合
・分祀しない場合
のそれぞれについて国益上のメリット・デメリットを,最期の1円まで計算し尽くした上で,分祀するしないかを決めればいいだけの話です.
歴史的評価の問題は,安倍首相の国会答弁にもありましたように,
「専門家に任せるべき」
かと愚考いたします.
消印所沢
【珍説】
スミソニアンや大英博物館がどうかは知らんが,少なくとも靖国は,日本が行って来た戦争を肯定し,美化する文脈のもと,戦闘機や武器を展示しているわけでしょう.それが問題なんだっつーの.
しかもそれが,ただの一宗教法人がやることなら別に文句をつけるまでもないわけだけど,首相や閣僚が近隣諸国の反対にも関わらず,わざわざ参拝してるわけでしょう.
靖国の提示する歴史観を肯定する行動と受け止められても仕方ないでしょ.
SODA in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
アメリカのスミソニアンの航空宇宙博物館には全世界の戦闘機とか飾ってあるし,アメリカ史博物館なんかだと,アメリカが行った戦争関連の展示がしてあるし,ロプキー戦車博物館,パットン戦車博物館,アバディーン陸軍兵器展示場ハワイの戦艦アラバマ記念公園,全米日系人博物館などなど色々ある.
イギリスの大英博物館にしてもしかり.
ボービントン戦車博物館とか空軍博物館,帝国戦争博物館,科学博物館色々ある.
で,それら戦争博物館で自国の行為を卑下するような展示は普通しない.何処の国でも.
スミソニアンは,原爆投下をした爆撃機である「エノラ・ゲイ」号を,肯定的な紹介文と共に展示している.表面ポリッシュ仕上げてピカピカ状態だよ,アレの保存は気合が入っている.
ちなみに日本は,陸上自衛隊武器学校や靖国神社,横井記念館,国立歴史民俗博物館,所沢航空発祥記念館くらいしかない.
私としては,事実を淡々と解説するだけの,軍事物の展示に徹した戦争博物館がもっと増えても良いとは思う.
その意味で大和ミュージアムに来年,潜水艦が丸ごと展示されるのは期待大.
そんなことより,戦時中に使われてた兵器が飾ってあるだけで「兵器の展示=戦争賛美」とかいうおかしな思考を疑うね.
お前の思考だと,
ユンボとかの重機=履帯(キャタピラ)=戦車=戦争賛美=悪
になりかねんな(笑).
あと,海外の博物館なんかでは,空を飛べるぐらいまで戦闘機を復元したりします.
そんなことをやらかすなんて,なんてとんでもない軍国主義・帝国主義賛美の国なのでしょうかね(笑) 明日にも世界征服を夢想した覇権主義国家として隣国の侵略を開始しそうです(笑).
それに比べて,動かないのを飾る日本人はなんと奥ゆかしい(笑)
【珍説】
靖国自身が出している遊就館のサイトを見ても,戦争を賛美し,戦死を美化する内容であることは明らか.
まず,軍事オタクには分からんのかもしれんが,最初のイントロで戦闘機が出て来るだけで好戦的なイメージ.とても平和を願うような趣旨のものには思えない.
SODA in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
そりゃ,単なる客寄せパンダでしょ.
その程度で好戦的呼ばわりなら,ショーウィンドーに戦闘機の模型を飾ってあるプラモ屋は,みんな戦争賛美だわな(笑
いい加減に,感想は根拠にならんことに気づけ(笑
【珍説】
靖国神社がオーム真理教の100万倍もの人々を殺したカルト宗教であるという視点が完全に抜け落ちている.
オーム真理教の宗教施設に,オーム真理教の犠牲者を弔うために参拝するに等しい行為が,なぜ「平和を祈念する」行為になるのか理解しがたい.
http://www.ohmynews.co.jp/blog/archives/2006/08/post_108.html
【事実】
国家神道が原因の戦争なんてあったっけ?
日本が経験した近代戦争は,国家利益が理由の戦争ばっかりだけどな.
宗教戦争はないはずだぞ.
【珍説】
日本の宗教観は世界に通用しない! カルトじゃないか!
【事実】
前に,中国の方と靖国についての話になった時
「日本の宗教観は世界に通用しません!」
といわれました.
努めて冷静に
「中国の鞭屍も世界に通用しませんよね」
といいましたら,だまっておいででした.
宗教観の普遍化なんて無理なんすから,それぞれにそれぞれの立場でやる他ないんじゃないですか.他国にどう言われようと.
まりう in mixi
【珍説】
靖国神社は,大日本帝国では,国のために死んだ人を回収・顕彰する立派な国家の機関だった.
これに首相が参拝するということは,先の戦争を日本が本心では反省していない証拠.
【事実】
貴方がおっしゃっているのは,「別格官幣」としての靖國社ですよね・・
もはや国家神道が存在しない現在における靖國社とは,本質的に異なると思いますが・・
もっと言えば・・
「財務省」も大日本帝国では,「戦争遂行の為に戦時国債を発行して財政面で戦争に協力していた立派な国家の機関」,
「朝日新聞」も「戦闘機献納運動等で戦争に協力された立派な国策報道機関」
みつき. in mixi
ちなみにエマニュエル・トッドは,以下のように述べている.
――――――
若宮 パリの街にはドゴールやチャーチルの像がそびえてますが,日本では東条英機らの靖国神社合祀(ごうし)で周辺国に激しくたたかれる.
日本が戦争のトラウマを捨てたら,アジアは非常に警戒する.
我々は核兵器をつくる経済力も技術もあるけれど,自制によって均衡が保たれてきた.
トッド 第2次大戦の記憶と共に何千年も生きてはいけない.
欧州でもユダヤ人虐殺の贖罪(しょくざい)意識が大きすぎるため,パレスチナ民族の窮状を放置しがちで,中東でイニシアチブをとりにくい.
日本も戦争への贖罪意識が強く,技術・経済的にもリーダー国なのに世界に責任を果たせないでいる.
過去を引き合いに出しての「道徳的立場」は,真に道徳的とはいいがたい.
――――――エマニュエル・トッド&若宮啓文論説主幹(対談) in 朝日新聞,2006/10/30
一つの意見として,参考までに.
【質問】
外交上の損得をまず第一に考えるのなら,
>答えはすでに出ている
http://titan351.blog59.fc2.com/blog-entry-105.html
のでは?
【回答】
上記ブログを見れば分かるように,この靖国参拝問題をきちんと分析していないにもかかわらず,主観判断をもって「分析したつもり」の方が多くおられるのではないでしょうか.
例えば上記ブログを見るに,
>肯定的発言はほとんどが自分は特に問題とは思わないというような
>消極的肯定や中国による干渉への批判に過ぎず,
というのはブログ主の感想に過ぎません.
そしてその「感想」を出発点にして,
・「否定意見は反発」「肯定意見は消極的」だから否定のほうを重視すべき
という「結論」を導き出しています.
「反発」「消極的」のそれぞれの評点も曖昧なままに.
しかもこれら列記されている意見は,肯定・否定,共に前後の文脈不明な断片的なものに過ぎず,発言の真意が本当はどこにあったかなど不明なものです.
>否定的発言だけを集めても,肯定的発言だけを集めても,どちらも意味はありません.
というのは,そういう意味です.
これは分析とは言い難いものです.
本当に各国でどのように靖国問題が評価されているのかを調べたいのであれば,アンケートなどをとり,可能な限り客観的な方法でデータを取得せねばなりません.
(しかもオピニオン・リーダー級の人々や一般市民の世論のそれぞれを,外交上それだけの意味があるかも評価しなければならない)
第2に
>分祀や参拝中止は中国による日本叩きのネタをノーリスクで潰せる手段である.
については,
「どのように分析して,そのような結論に至ったのか」
という記述自体が見られません.
一例を挙げれば,
1) 分祀というのは神社のシステム上,一つの英霊を分割するだけの行為であって,特定の英霊を分離することはできない」ので,Aタイプ戦犯を祀る神社が増えるだけの結果に終わるという指摘があるが,その点はどのように分析したのか?
2) Aタイプ戦犯を祀るのをやめれば,中国が日本叩きをやめるという確率は,どの程度か?
Bタイプ戦犯にも言及する言説が一部中国側にもあるそうだが,それをネタにする可能性もあるのではないか?
日本叩きが中国の国内政治要因に起因するものである以上,無理矢理にでも次のネタを持ち出してくる可能性のほうが高いのではないか?
等の点が考察されていません.
ゆえに,これも分析とは到底言えません.
本当に分析するのであれば,上記の点のほか,他にも多数あるであろうファクターを,すべて分析し尽くす必要があります.
おそらく1000や2000では済まないでしょう.
第3に,相手の側の譲歩を引き出さない,こちら側だけの一方的な譲歩がもたらすデメリットがどれほどのものか,上記ブログでは分析どころか言及さえありません.
――――――
そして,靖国神社参拝問題はまずもって外交問題なのですから,外交上の損得をまず第一に考えるべきであり,
・分祀する場合
・分祀しない場合
のそれぞれについて国益上のメリット・デメリットを,最期の1円まで計算し尽くした上で,分祀するしないかを決めればいいだけの話です.
――――――
という当方の記述を,「こすい心」「逃げ」であると上記ブログは批判していますが,分析というのはそこまでやらなければなりませんし,実際,そのような分析が行われているのを見たことがありません.
(クローズの場ではもしかして行われているのかも,……いや,やっぱやってへんと思うわ,日本外交を見ていると)
今からでもいい.
ぜひやるべきです.
そして靖国問題に対する,国家としての戦略方針を早期に決定すべきです.
でなければ,いつまでも山勘(やまかん)外交が続きます.
以上,たまたま検索中に発見しましたので,これをネタにしてみました.
検索という偶然に頼るのも困りますので,ご意見などございましたら,ぜひ今後はご一報を.
【珍説】
靖国神社は他の宗教施設と異なり,戦没者名簿を政府から提供してもらうという優遇を受けている.
これは日本政府が,先の戦争を本心では反省していない証拠.
【事実】
一般人ならば,
「え?,戦没者名簿を政府から提供してもらうことの,一体何処に靖国優遇されてる要素があるの?
というか,そういった物を必要とする宗教団体って他にあるの?」
というのが普通に感じる事かと.
愚者 in mixi
ただし,遺族会などは1950年代から「靖国神社国家護持」を正式決議に掲げて,特権をもたせるための運動を続けてきました.
63年には内閣に「靖国神社国家護持に関する委員会」が設置され,「靖国神社国家護持要綱」が発表されます.
67年には「靖国社法案」が委員会に提出され,攻防の末,69年に国会提出.74年までの間に5回出ています.
靖国を宗教法人の中の特権的地位におくために,法案が繰り返し出たわけです.
トリトン in mixi
【珍説】
高裁レベルで首相敗訴が出ている裁判もある.
にも関わらず首相が靖国参拝をやめないのは,先の戦争を本心では反省していない証拠.
【事実】
1991年1月の仙台高裁判決のことなら,あれには法的拘束力は在りません.傍論の部分で批判しただけですから.
しかも,県が上告しようとしたら,
「主文では県側が勝ってるから,上告は出来ません」
なんていうことで確定された件です.
これ以外で,そのような判決があるなら教えてください.「法的拘束力のあるもの」を,です.
葉月 in mixi
地鎮祭も伊勢神宮参拝もクリスマスも葬儀も宗教的活動です.
問題はわざわざ法で規制すべき20条3項の「宗教的活動」に当たるかどうかです.
・公費を使っているか(玉串料)
・世俗的なものか(地鎮祭,クリスマス,伊勢神宮初詣などが当たると考えられる)
・儀礼的なものか(葬儀,皇位継承儀式参列)
を総合的に判断するのが裁判所の役目ですが,ご覧のとおり,基準はきわめてあいまいですね.
数十年後には世俗的なものと判断されるかもしれませんね.
カンベー in mixi
地鎮祭については,最高裁判所のホームページで
「判決年月日昭和52年7月13日 ,事件番号昭和46年(行ツ)第69号」
と入力すれば見られると思います.
確かに合憲で,社会的慣習として行われたと見なされてますが,一応,
「本件起工式は,宗教とかかわり合いをもつものであることを否定し得ない」
とあります.
バシレイオス in mixi支隊
また,愛媛玉串料訴訟では,
「靖国神社の例大祭や護国神社の例大祭の玉串料として公金を支出したことは一般人の考える社会的慣習とは認め難い」
と判示されています.
政教分離関連の訴訟:
1965年 津地鎮祭訴訟
1968年 キリスト教牧師角田氏による合祀取り下げ訴訟
1972年 自衛官合祀取り下げ訴訟
1978年4月 台湾人,朝鮮人無断合祀に対する反対報道
1981年 岩手靖国訴訟
1982年 愛媛玉串訴訟
1985年 播磨靖国訴訟,関西靖国訴訟
1986年 九州靖国訴訟
【質問】
靖国参拝が政教分離に反するのであれば,外国の要人が亡くなられた時にキリスト教だったり,イスラム教だったりするかわかりませんけど,それに出席することも厭わねばならないんではありませんか?
【回答】
政教分離は各国において捉え方が違うんですよ.
日本とアメリカはいわゆる「厳格分離主義」という立場をとっています.
日本の場合,とくに戦前,国家神道が戦争の推進に役割を果たしたことへの反省がベースになっており,ある特定の宗教法人・宗教団体に対して,国もしくは国家の代表が宗教行為を行うべきではないとされています.
地鎮祭など,ある種の行事に関しては「社会的慣習」※として認められていますけどね.
それが,日本の「厳格分離主義」の考え方です.
アメリカにはアメリカの基準があるんですよ.
※日本では公的には,「社会的慣習」と認められる行為については,「宗教行為」と見なされません.
この境界がかなりあいまいなのですが,世間的に納得いく範囲ということになるんでしょうね(^^;
地鎮祭は,通常,宗教とは関係なく,社会的慣習として行われたと見なされて,合憲という判決だったと記憶しています.
(手元に判例集ないからなあ…とほほ)
この際,そこに与えられている宗教的意味合いというのは,あまり焦点ではないのではないでしょうか?
慰霊とか,追悼とか,除霊とか…関係ないのだと思います.
トリトン in mixi
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