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その他
<総記FAQ・目次

『From Wealth to Power: The Unusual Origins of America's World Role (Princeton Studies in International History and Politics)』(Fareed Zakaria著)
私が翻訳したミアシャイマーよりも前に出た「オフェンシブ・リアリズム」に関する本です.
著者はあのニューズウィーク/フォーリンアフェアーズ等の編集者であり,ビルダーバーガーとしても有名な,インド系アメリカ人のファリード・ザカリア.
彼の本はすでに日本では一冊,たしか民主主義に関する本が出ていたと思いましたが,これは彼の実質上のデビュー作のほう.
ハンチントンを指導教官として書いた博士号論文をそのまま本にしたものですが,書かれている主張は基本的に
「十九世紀のアメリカの拡大はネオリアリズムによって説明できない」
という単純なものです.
彼は自分の理論を「ステートセンタード・リアリズム」と名づけて,攻撃的な大国の行動を,ウォルツ式のネオリアリズムの手法を受け継いだミアシャイマーとは対照的に,モーゲンソー式の古典式リアリズムの手法で解析しております.
私はこの本によって,かなり多くのことを学びました.
ザカリアがなぜこれほど出世したのか,この本を読んでみるとよくわかります.
―――「地政学を英国で学ぶ」,2005-08-20-08:36
「The Use of Force: Military Power and International
Politics((国際関係における)軍事力の行使・有効性」(Robert
J. Art, Kenneth Neal Waltz 編)
戦略学,安全保障学,そして国際関係論の三つの学問を結ぶような論文のコレクションです.
アートとウォルツという,ネオリアリズムの代表選手が編集をした本です.
アメリカのリアリストの文献の中でも,とくに戦略学の匂いがするものばかりを30本以上集めたすぐれもの.
筆者たちもツワモノ揃いです.
第六版まで出ていることからもわかる通り,クオリティーの高さは保証済み.
アメリカの大学院の戦略学関連のクラスのリーダーとして活用されております.
「Man, the State, and War : A Theoretical
Analysis」(Kenneth N. Waltz著)
ご存知,二十世紀を代表する(ネオ)リアリストと言えばこの人,ケネス・ウォルツの実質上のデビュー作です.
1959年の発表ですから,もう発表から半世紀近くもたつのですが,いまだにその斬新さはスゴイものを感じさせてくれます.
内容は
「戦争の原因を三段階のレベル(人間・国家・国際システム)で考えてみよう!」
というものであり,後の国際政治学の枠組みを提供したといわれるほど影響力のある本です.
具体的にはこれらの三つの「レベル」(ウォルツは”イメージ”という言葉を使用)において,それぞれの有名な文献を縦横無尽に活用しながら
「戦争はなぜ起こるのか」
ということを論じております.
この本の良いところは,論文を書くときのよい見本になる,ということでしょうか.
新しい理論を提唱する,という類のものではなくて,むしろ既存の枠組みの中から文献を徹底的に復習するという形の論文の大成功例でしょう.
ウォルツの博士号論文がそのまま本になったもの,というところもミソですね.
The Use of Force: Military Power and International
Politics
Robert J. Art, Kenneth Neal Waltz(eds)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0847695549/ref=ed_oe_p/249-3587976-1363547
国際関係論のリアリストたちによる「軍事」と「政治」に関連した論文(32本!)の最強コレクションです.
2004年に第六版が出ておりまして,けっこうテロリズムに関するものが加えられております.
日本がなぜ負けたのかという分析など,歴史もののや,コソボ・アフガニスタンまで,かなり幅広い内容を扱っております.
kbk
『国家の威信―対テロ,人質・領土奪還作戦』(戦略戦史研究会著,ブイツーソリューション,2006/8)
【質問】
「軍事学」スタート・キットを教えてください.
【回答】
あまりにも無学なままこの分野に口を出す輩が後を絶たないので,とりあえず議論に必要と思われる各人で用意すべきテキスト類を列挙してみる.
●地球儀とヒモ
海上交通路の把握や弾道ミサイルの軌跡を考察するのに欠かせない.
●地図帳
中学や高校で使用していた物で良い.国内の軍事施設,島しょ部の脆弱性の把握に適応.
●地形図
正確な陸上戦闘シミュレーションに必要.
国内のものは戦域毎に必要になった都度,図書館でコピーするのがよろしい.
●最新の自衛隊手帳
単位換算一覧があったはず.
海外の資料を参照したいときにあると便利.
また,部隊所在地の一覧が意外と役に立つ.
●最新の防衛白書
我が国の周辺事情を知ることができる一冊.
●かや書房の『軍事学入門』(防衛学研究会編,1999.6)
頭にたたき込んでから議論に臨みたい一冊.
戦場では空理空論より過去の蓄積が物を言う.
思いのまま一通り書いてみたが,難解な理論書の類は僕はお勧めしない.
軍事学は社会科学の一カテゴリーに過ぎず,目的に手段が見合っているか否かの話に終始するのだから,目の前の事象と自分のポリシーの双方に素直になればいいだけのこと.
こういうものは電気回路やイラストと同じで,実践と失敗によって身に付くものだという確信はある.
というわけで,これを忘れちゃいけねえというものがありましたら是非ご教示ください.
クローム・ツァハル in mixi,2008年04月21日01:12
▼
●1m~3の容器一杯に水を入れると,水の重さは1tになる
●自衛隊の早足行進の歩幅は75センチ,120歩毎分の早さ.
●オームの法則
(電流)*(抵抗)=(電圧)
クローム・ツァハル in mixi,2008年05月31日07:38▲
▼ 「地球儀なんて買えるか」とか「そんなもん置いておけるか」と言う人にお勧めなのが
http://www.qsl.net/ve6yp/
のAzimuth3.zipという大圏地図ソフト.
これで任意の国からの各地への直線距離を出せます.
アメリカを中心に表示するとこのとおり.
http://www.qsl.net/ve6yp/Azimuth.html
▲
【質問】
軍隊が出てくれば全部軍事学には含まれないのですか?(強制連行,南京大虐殺,ユダヤ人虐殺,従軍慰安婦問題,他いろいろ,Q&Aにも一応載ってますが)
単に軍事板としては,歴史板の方が適切だから管轄外にしてるだけですか?
それとも,荒れるからそれらの話題は毛嫌いされてるだけですか?
【回答】
個人的見解.たぶん
それらの話題は毛嫌いされてるだけ
だと思います.
軍オタの間では白黒はっきりつけられる問題が好まれるという印象を私は持っています.
結局,これらの問題は歴史的事実がどうなのかはっきりさせようというよりも,左派右派双方が政治的に利用しようとしているだけなので,議論がこんがらがりますよね.
そういう状態で本当のところはどうなのか客観的に検証するのは難しいので毛嫌いされるのでしょう.
私はこれらの問題は軍事にとっても重要だと思うんですけどね.
強制連行…は植民地における戦時徴用という問題ですよね.
たしかどのような過程を経たか,眠い人さんがFAQで回答しているはず.
徴兵とセットの問題ですよね.
南京大虐殺…は非正規戦,ゲリラ戦の難しさということですよね.
ファルージャの戦いや第二次レバノン戦争など多くの戦争に共通している問題です.
ユダヤ人虐殺…は特にタブー視もされず,今でも十分に取り上げられていると思いますが.
こちらは日本人は第三者なので議論しやすいようです.
従軍慰安婦問題…軍隊と性は切っても切れない関係にあると思います.
独身の青年男子が主体ですからね.
以下サイトは昔,憂国・国粋調の方と議論しているときに教えてもらった,左翼的視点からまとめた米軍の売春史
http://www32.ocn.ne.jp/~modernh/paper71.htm
性病の蔓延は戦力ダウンを意味しますから,米軍はこの問題に軍隊らしく合理的に対処しているなあと感心したものです.
事実を積み重ねてその上で分析をするのであれば,その様なネタについてもソレナリに実のある議論にはなるのかと思いますが.
「事実とかそういう部分以外(感情論とか政治的なアレコレ)がウザイので寄るな」
ってのが理由じゃないかなぁ・・・と.
編者としての立場から言いますと,本当はどれも扱いたくありません.
プロパガンダが蔓延しており,素人にとっては,何が真実かを見極めるのが大変困難だからです.
だからそういうのは「プロに任せたほうがいいよ」というのが,本サイト内にも明記されている,編者としての基本スタンスです.
じゃあなぜユダヤ人問題は拡充しているのか?といえば,基本的には,
「リビジョニストがFAQ BBSに現れたので,それに対する反論とするための資料を漁っているうちに,あれだけの蓄積になってしまった」
からです.
また,調べているうちに,日本におけるユダヤ人コミュニティというテーマが個人的に面白く思えてきた,というのもあります.
「面白そうだから調べていたら,気がつきゃこんなに増えていた」
というパターンは,最近ではプーチン関連がそうですね.
また,「軍事板」じゃなくて「軍事学」全般として.見た場合,別項目内にある樹形図から考えると,強いて言えば社会科学的軍事学ということになるかもしれませんが,それはもはや研究上の視点の問題になるでしょう.
そして現在,巷間で議論されている南京事件,慰安婦問題が,社会科学的軍事学という視点での議論であるかといえば,これは大いに疑問ではないかと.
当方個人としては,この両問題では,むしろ諜報分野におけるプロパガンダ工作的な側面のほうが,大変興味深いものがあります.
【質問】
軍事系の講義してる大学ってないのかね?
【回答】
安全保障の方面に強い教師がいるかによるんだろう.
帝京大学に志方氏がいたりしたような.
他には慶応義塾の元塾長の鳥居氏とか.
高校の時に講演会で話を聞いたことがあって,世界各国の空母保有数の表とかスライドで説明してたな.
「インドは2隻持ってるけど古いのだから大丈夫(笑)」
という台詞が記憶にある.
拓殖大は異常に安全保障系の授業が充実しているぞ.
なんたって安全保障だけでなく,北岡元教授のインテリジェンスの講義があるくらいだからな.
ただ,北岡さんはGRIPS専任で,他でも非常勤もってるね.
全体的に見ると,赤い人は腐るほどいるけど,安全保障のプロは少ない気がする.
軍事板
青文字:加筆改修部分
我が母校である小樽商科大学には,赤い先生がうようよいますよ.
その筆頭が歴史学の荻野富士男教授.教授は岩波新書から「思想検事」って本も出してます.
私が1年生だった時の後期試験の問題は,「昭和天皇の戦争責任」でした(笑
ZII ◆RPvijAGt7k in 軍事板
青文字:加筆改修部分
小樽商科大学って,『天才柳沢教授の生活』のモデルの人が居たところか.
今は単なる三流国立だけど,戦前は結構な偏差値だったらしいね.
小樽自体が,戦前は活気がある大都市だったから.
今は単なる寂れた地方都市だけど.
軍事板
青文字:加筆改修部分
そのとおりです.
最近は小林多喜二ブームでも注目されていますよ.
ZII ◆RPvijAGt7k in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
良書を書いてる教授なら,一期無駄になるような講義はしないですよね?
【回答】
まあ,講義が眠い人とかいるけど・・・
一年間延々,研究ノートの朗読聞かされたり.
後に本になる内容で,純粋に中身のレベルは高かった.
資料とか配らないので,ノートとるのに死にそうになったが.
また,なぜか授業がうだうだな先生が,いい本を書いていたりすることもままある.
そういう先生の場合,講義の時間は本を読んでわからないところを質問に行く,みたいな感じにしてほしい.
空き時間で先生が本を書けて二重にお得.
前に防衛法制に関係した官僚OBの教官が,立法学と銘打って,やってくれたのは面白かった.
オフレコの内容が多くて詳しくはいえないが,ナポレオン戦争以降の欧州軍事同盟〜朝鮮戦争国連軍〜ユーゴPKOまで,日米安保からめて.
国内法の立法論を期待して受講した学生からは大不評だったらしい(笑)
まっとうな学者ではないので,本は出てないようだ.
まあ向こうの大学者でも,まとまった著書がなくて授業の講義録が主著書扱い,なんて人いるみたいだしな.
一方で,自分の書いたろくでもない本を教科書指定して学生に買わせた挙句,いざ講義に出てみるとその本さっぱり使いませんでした,とか.
ひどい奴になると,5月くらいに改版を出して,
「買い換えろ」
と言う.
「教科書を指定して買ってもらいましたが,この講義をすべて受講しても,皆さんには理解できないと思います」
最初の講義でこう言われた時は唖然とした…
福沢諭吉が,
「私は頭の良い人間にしか理解できない本よりも,猿にでも理解できる本を書く」
みたいな事を言ってたが,本当に頭の良い人間ってのはそういうもんだよな.
軍事でも,解りやすい(かつ間違えの無い)本を書く人は,たいてい深い知識を持ってるし.
657 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2008/08/31(日) 02:26:20 ID:???
>まあ,講義が眠い人とかいるけど・・・
講義に,眠い人がいるかと勘違いしかけた俺.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦争というのものの本質は,時代と共に変化があるのか?
【回答】
レーガン政権で五年間ほど軍事戦略アドバイザーをしていたという戦略学者によれば,以下の諸点において,戦争の本質は不変だという.
1,人間が存在する限り,戦争は消滅しない.
2,戦争の本質は変わらない(←まさにクラウゼヴィッツ)
3,戦争というのは様々な形態で行われる
4,未来の戦争は必ず政治的な理由にのっとって行われる (←これもクラウゼヴィッツ)
5,戦争というのは政治・軍事的な面だけではなくて,かならず社会面,文化面でも行われる
6,未来の安全保障問題というのは,必ず予測不可能の事態に直面する
7,戦争は国際機関や国際法などの取り決めでは完全に防ぐことはできないが,なんとかコントロールすることはできる.
詳しくは「地政学を英国で学ぶ」,2006-01-07-08:15を参照されたし.
【質問】
なぜ軍事力は必要なのですか?
「軍事学入門」(防衛大学校・防衛学研究会編,かや書房,1999.6)は読んだんですが,軍事力とは何かは書かれていても,なぜ軍事力は必要かという部分はなかったのであまり参考になりませんでした.
【回答】
自明な事柄を一々説明してたら終わらないからね.結局は社会における「暴力の必要性」って話になる訳だが・・・・・・・・.
誰もが法律を守るのは国会(話し合い)で決まってるからじゃなくて,違反すれば警察に拉致されて,刑務所に監禁されるからです.
そうなった奴が脱獄しないのも,見付かったら刑務官にタコ殴りにされるからで,話し合い(裁判)で決まった刑期に自分から従ってる訳では有りません.
強制力としても「暴力」は社会を維持する為の担保として必要で,ソレ無しの秩序というのは有り得ない訳です.
そしてソレは国際社会でも同様です.(最重要)

【質問】
軍事力など,結局のところ,行使されないで済むケースがほとんどではないのか?
軍事力に,本当に意味があると言えるのか?
【回答】
直接的には関係しなくとも,背景には必ず存在する.
例えば,ある国家の集まりで,直接的な武力行使が禁止されていたとしても,背景的には重要な役割を果たす.
以下,ナイ教授の文章を引用
「例えば,アメリカが同盟国への脅威を抑止したり,ペルシャ湾の石油など,重要資源へのアクセス(接近)を確保するために軍事的役割を担っていると言うことは,防衛力の供与が交渉の時に使えると言うことを意味する.
(省略)
このリンクは時には直接的なこともあるが,多くの場合,表立っては言及されない.
それにも関わらず,政治家の脳裏にはつねに存在している要因なのである」
また,これは「誘引」(にんじん)や棍棒(脅迫)といった,ハードパワーとも言うことができる.
これに対して,自分たちが望むことを,相手にも望むように仕向けるように誘導することを魅力の力(ソフトパワー)と言う力もまた存在する.
以下ナイ教授の文章を引用
「ソフトパワーが依存するのは,自らが他をひきつける着想,すなわち他国の選好そのものを形成するような政治課題を設定する能力なのである.
10代の子供を持つ親なら,子供を直接コントロールするよりも,子供の信念なり選好なりにある種の方向性を与えることに成功する事の方が,遥かに強力で長続きすることを知っているであろう.
(省略)
そのような選好そのものを打ち立てる能力は,おおむね文化とかイデオロギーとか組織とか言った,目に見えないパワー資源に関連しているようである」
「純粋な力」に依存したハードパワーと,「魅力の力」に依存しているソフトパワーは両輪なので,状況によって,使い分けることが重要だと思われる.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授「国際紛争」(有斐閣,2005.4)第3章を参照されたし.
【質問】
対話・圧力等の非武力による戦いをするなら,武力は必要ないのでは?
【回答】
話し合ったところで武力による強制力がない場合,相手はいつでも話し合って出た合意を反故にすることができます.
KEDO合意がまさにそうですね.
合意があったにも関わらず,それを北韓は約束を破ってその後,ウラン濃縮を実行しました.
一般社会では,警察と言う強制力があるので,約束事を破るとペナルティがあります.
しかし国際社会には,警察がいません.
そこで,必要最低限度の武力を持ち,その武力を背景に,相手国に対して約束の履行を迫るのは,各国が自分でやらなきゃならんのです.
消印所沢 in mixi
【珍説】
人類の歴史上,人間の群れに命令者と服従者の分化が起こり,それにより〈暴力機械〉が立ち現れることで戦争が出現した.
それこそが後(のち)の王権/国家であり,〔戦争は〕人間の本能ではない.
【回答】
権力者が暴力を持つのは,服従者(国民)から税金を取るためです.
この暴力システムをコントロールするために議会が生まれたのです.
暴力機械を王権の特徴として戦争が起こるのだとすると,ローマが当初,共和制であったにもかかわらず,戦争を行った理由が説明つきませんよ♪
【質問】
21世紀の世界は,どの方向に向かうのか?
【回答】
はっきりとした結論を導き出すのは不可能だが,専心世界の歴史を振り返れば,ある程度理解はできる.
まず,19世紀の初頭に第一次産業革命に伴い,製粉・交通に蒸気を使用することによって,経済・社会・政治に強力な影響を与えた.
これについて,ナイ教授は以下のように述べている.
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生産,労働,生活条件,社会階層,そして政治権力のパターンが変容した.
工場がますます複雑になり潜在的には危険性を増すにつれ,読み書きのできる労働者が必要になり,公教育が台頭した.
また,運河や鉄道といった必要なインフラ整備のために,補助金が支給された.
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20世紀の初頭には,電気・化学合成・内燃機関といったような「第二次産業革命」が起こり,第一次と同じように,政治・経済に大きな影響を与えた.
圧倒的な農業国だったアメリカは,工業化された都市型の国に変化した.
1890年代には,殆どのアメリカ人は農業の従事者か使用人であったが,その30年後には,大多数が都市で生活し,工場で働くようになった.
都市労働と労働組合の重要性が増すにつれ,社会階層と政治的な対立の軸も変化した.
さらに,これによって,またしても政治が変質したとナイ教授は述べている.
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そして再び,時差を伴って政府の役割も変化した.
超党派の革新運動によって反トラスト立法が成立し,食品医薬品局の前身による初期の消費者保護規制が生まれ,連邦準備制度理事会による経済的安定がもたらされた.
アメリカは世界政治の大国の地位を獲得した.
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これを見ると,次に起こる「第三次産業革命」も同様に,経済,社会,政治,そして世界政治に影響を与えるであろうという予測も可能である.
21世紀の世界政治における要因を理解する上で,こうした歴史的な類比は有益だとナイ教授は分析している.
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経済と情報のネットワークは,政府よりも急速に変化してきた.
主権や権威に関する政治的尺度は,未だに同様の規模に達していない.
「脱工業化社会に,とりわけ,それへの移行管理に,最優先の社会学的問題がひとつだけあるとすれば,それは規模の管理である.」
より簡単に言うと,世界政治の基本的な構成要素が,新しい技術によって変容しつつあるのである.
もし我々が国民国家のハード・パワーにだけ着目すれば,新たな現実を見失ってしまう.
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まとめ
・21世紀の世界政治を類推するには,過去の先進世界を振り返ってみると参考になる.
・二度に渡る産業革命は,社会・政治・経済に大きな影響を与えた.
・国民国家によるハードパワーにのみ着目すると,新たな現実を見失うこともある.
(ただし,ナイは他の項目では,国民国家の必要性は述べている)
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第8章を参照されたし.
【質問】
21世紀初頭の国際秩序の姿はどのようになるのか予想可能か?
【回答】
・冷戦崩壊後において「新しい世界秩序」は定義が曖昧であるがため,説得力に欠ける.
・秩序という言葉自体も,見方によってさまざまに変化する.
・単独の考えでは,今日の紛争原因を探るのは不可能である.
***
冷戦が終結したことにより国際システムに変化がおきたのは事実.
だが,それをもって「新たな世界秩序」の幕が開けるというのは,「秩序」という言葉をどう捉えるかで違ってくるため,説得力が薄い.
ナイ教授は,リアリスト・リベラリスト・コンストラクティヴィストの三つのアプローチから以下のように述べている.
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リアリストは,無政府状態の世界では,つまり,自助努力と軍事力以外に秩序を決定付けるものが存在しない世界では,国家が権力と安全を追求しようとするために戦争が起こると主張する.
この考えでは,"秩序"は主として国家間のパワーの構造あるいは配分を意味する.
リベラル[国際協調主義者]やコンストラクティヴィスト[構成主義者]は,紛争とその予防はバランス・オブ・パワーのみによって決まるのではなく,国内構造や,国家の価値やアイデンティティ,文化,さらには紛争解決にかかわる国際機関によっても決定されると主張する.
リアリストとは対照的に,リベラルは,国連のような組織は期待感の安定を図ることで紛争予防と秩序の形成に寄与し,ある種の継続性と現在の協力が将来向く応えると言う感覚を生み出すのだと主張する.
このため,リベラルにとっての秩序は,制度に加え,民主主義や人権などの価値とも結びつけれらるのである.
最後に,コンストラクティヴィストは,いかなんる秩序でもさまざまな成員が競合しており,価値中立的ではありえないことを想起させる.
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この他に「秩序」を悪意的に解釈する人たちも存在する.
アメリカのパット・ロバートソンとか,フランスのジャン=マリー・ルペンなどの排外主義者やナショナリスト集団では「新しい世界秩序」とは,世界を支配しようとする政界・財界のエリートの陰謀である.
(正直,自分で書いててMMRネタとしか思えん)
この考え方を元にすると,ウォール・ストリートやロンドン,東京の金融市場と連携して,他者の犠牲の上に私服を肥やす集団が存在し,彼らが世界を牛耳ろうとしていることになる.
また,イスラム原理主義者の中には,この「秩序」とは西洋社会が非西洋社会を支配しようとしている考えに他ならないと思うかもしれない.
上記のように,秩序に関していろいろな概念があるため,「新しい世界秩序」の定義を作ることは困難となる.
これらの考えは単独では,いずれも紛争の原因を理解するには不十分だからだ.
ナイ教授は以下のように分析する.
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長期的な社会変化が国家主権の現範を侵食しつつある現在,リアリストがバランス・オブ・パワーを強調することは必要ではあるが,それだけでは十分ではない.
主要な自由民主主義国家の間に平和が浸透しているという見方は正しいが,大国も含めて多くの国が自由民主主義国家ではないため,万能の解決策ではない.
冷戦期における2極構造は,ある種の安定をもたらした.
冷戦期に第三世界での紛争は増大したが,アメリカ,ヨーロッパ,日本の間の経済摩擦は,ソ連の軍事的脅威という共通の懸念のため抑制され,また東ヨーロッパでの悲痛な民族分断もソ連の存在によって押さえつけられてきた.
2極構造は崩壊したが,紛争は続いている.
けれども,それは異なる原因によるものである.
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詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.
【質問】
現在の国際社会において,軍事力はどの程度の影響力があるのか?
【回答】
もちろん,紛争解決に決定的な役割を果たすのは間違いないが,パワーの分布が複雑すぎて,「決定的な」影響を与える場面は限られてくる.
つまり,さまざまなパワーが多層的なチェス盤の上にあるような状況であり,しかもそれぞれが交差しているので,単純には語れない.
ナイ教授の見解では,
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仮に軍事力が貨幣のような代替可能物品であって,あらゆる分野で結果を左右できるのであれば,このような複雑さは問題とならない.
しかし,今日の世界政治上の経済や脱国家的ゲーム盤では,軍事力はそれらの結果を左右するほどのパワーは持っていない.
アメリカは,どの国よりも多様なパワーの源泉を所有し,恵まれてはいるが,現在の世界秩序は古典的な意味でのアメリカ帝国の時代を意味しない.
世界で唯一の超大国も独りではやっていけない.
グローバリゼーションにより,国際的な課題を巡って,最強の国でさえ他と協力せざるを得ないのである.
たとえば国際金融の安定や世界的な気候変動,伝染病の拡散,脱国家的な麻薬,犯罪,テロ・ネットワークなどを考えて見ればよい.
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軍事力は確かに巨大な強制力であって,決定的な役割を果たす力は持っているものの,それを行使する場面は限られており,さらに,軍事力で解決できな分野の問題は増え続ける・・・もしくは,違った意味合いでの軍事力行使が必要になると思う.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.
【質問】
観戦武官は普通は戦火の及ばないと思われる場所にいるのでしょうが,自らが戦闘に巻き込まれそうになった場合はどうするのですか?
また同行していた部隊なり施設なりが,敵に降伏または占領された場合,どうゆう待遇を受けるのでしょうか?
【回答】
戦闘に巻き込まれたら,その地域からは速やかに撤退させます(自国軍にとっても不味いですから).
但し,戦闘に巻き込まれて亡くなった方も居られたかと記憶しています.
基本的に,観戦武官と言えども外交官ですから,身分は保障されるはずです.捕虜になっても,その国が相手国にとっても中立国なら,即座に解放されます.
交戦国でも,P.O.W.(捕虜)になったかと記憶しています.
(眠い人 ◆gQikaJHtf2)
【質問】
今度,友達が抽選に当たったら,彼女に連れられて御殿場の演習にいくのですが,どうせなら写真を撮ってこようと思ってます.
ニコンのCOOL PIX3200しかカメラ持ってないんですが,撮影可能ポイントというのがあるとしてCOOL
PIXで色々撮れるもんなのでしょうか?
撮影にまつわる小技などを教えていただけるとありがたいです.
なぜこんなにビクビクしているかと言うと,昔,トルコで,知らずに撮っちゃいけない建物の写真を,知らずに撮ろうとして注意された事があるからです.
激マブな軍用犬を撮りたかっただけなんですが〜….
:koz in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
【回答】
「御殿場の演習」とは,おそらく8月下旬に行われる富士総合火力演習の事だと思われます.
これは例年高い人気を誇っており,プラチナ・チケットになっておりますので,抽選に当たると良いですね.
撮影ポイントとしては,雑誌に載っているような迫力のある写真は超望遠レンズが必須となり,ニコンのCOOL
PIX3200では望遠の倍率が足りないため,「会場目の前を高速で通過する」戦車などの戦闘車両しか,撮るチャンスはないものと思われます.
ただし,慌てなくとも,午後からは装備品展示ということで会場が開放され,すぐそばから撮ることができますので,その時にゆっくりと楽しまれてはいかがか,と思います.
近くには説明役の隊員の方もいらっしゃいますので,一緒に撮ってもらったり,お話しされてみてはいかがでしょうか.きっと良い体験になると考えます.
雑誌のようなマニアな写真ではなく,自分やお友達などと一緒に写った,楽しい思い出を残されてはいかがでしょうか.
これは私の個人的な考えですが,迫力ある写真は雑誌等に任せ,午前のど派手な演習の方はアナウンス等で案内もありますので,無理に撮影しようとはせずに,自分の目でゆっくりと見物(コンパクトな双眼鏡――オペラグラスでも役に立ちます――があると最高ですが),そして,午後の装備品展示の時に,カメラを活用される方向がベストかと考えます.
女性と一緒にとせがまれると隊員の方も喜びますよ.
さて,注意点ですが,いくつか.
1.
現地は火山灰含みの砂地です.風が吹いたら,頭から砂をかぶるなど,ものすごいことになります.
また,ヘリコプターによる吹き下ろしの風もある場合があります.
そのため,その旨注意し,多少汚れても良い服装,靴(砂が入ると痛いです)を強くお勧めします.
2.
上の理由のため,演習の真っ最中での撮影は不可能ではないのですが,砂をかぶることを前提とする必要があります.できればビニール袋やタオルなどでカメラを覆って,砂をかぶらないように保護することをお勧めします.
また,保護しても多少なりとも砂が付着しますので,カメラの中に入り込むことの無いようカメラのホコリ取りようのブラシ,なければお化粧用の筆(もちろん未使用の物に限ります(笑))などで,砂をすぐに払い落とすことができる準備を強くお勧めします.
さらに,途中,記録メディア(ニコンのCOOLPIX
3200ならSDカードでしょうか)を交換される場合,特に気をつけてください.その際,カメラ内部に砂が入ると大変なことになります.
マニアな人でも同様の対策を取りますが,それでも修理に出すことが必要なほど,ダメージを受ける方が時折いらっしゃいます.
3.
トイレはまとまって存在しますが,午前中の演習終了時など頃合いには行列となることがあります.どうかご注意ください.
4.
会場内ならば撮影には基本的に制限はないと考えて結構です.
また,展示されている装備品も支障のない範囲での展示となっていますので,カバー等で覆われているような物をひっくり返したり等の非常識な事さえしなければ,全く心配要りません.
そこのところは,普通の常識をわきまえていらっしゃれば大丈夫です.
ただし,マナーとして
「立入禁止(必ずロープなどで仕切られていますので心配不要です)の所には絶対に入らないこと」
「立入禁止の箇所(撮影禁止との制限がなされることもあり得ます)にはカメラを向けないこと」
「警備の方の写真を撮ったり,警備の邪魔をしないこと」
は厳守するようお願いします.
とはいえ,これもあくまでも常識の範囲内ですので,普通に行動されていれば全く心配要りません.
心配でしたら,お近くの隊員の方に尋ねてみてはいかがでしょうか.
きっと親切に教えてくださるものと考えます.
5.
発砲音など音には気をつけてください.
もちろん注意を促すアナウンスはありますが,お腹に響くほど迫力のある物ですので,その旨ご注意を.
>昔トルコで知らずに撮っちゃいけない建物の写真
海外では基本的に軍用施設は撮影禁止と考えて頂いた方が良いかと考えます.
もちろん,ショーなどで解放されている場合――それでも制限がかかるケースがほとんどで,日本の自衛隊のように原則としてオープンなのは極めて稀なケースと聞いています――や,隊員の方が許してくだされば別ですが.
軍用犬も警備の一種ですので,お気持ちは理解できますが,「犬がかわいかったから」と言う理由だけでは許してもらえない可能性が高いどころか,下手をすればそのまま拘束されて,荷物(カメラ)を没収されたり,強制送還される恐れすらあった危険な行為です.
軍事施設に限らず,それまでは大丈夫だったような場合でも,911テロ以降は空港施設などの重要施設でも同様の対応が取られるケースが多発していますので,海外ではくれぐれもご注意ください.
元々トルコは隣国と緊張状態にあり,軍事的にはピリピリしているケースが多い物と考えます.
ただ,大の親日国として知られるだけに大目に見てもらった可能性が高く,他の緊張状態にある国で同様の行為をするリスクは,大変高い物と考えてください.
以上,長くなりましたが,ご参考まで.
へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
>発砲音
あれは音というより,衝撃波に近いんではないかと(特に戦車).
総火演の映像を見てると,90式発砲シーンの後に「びゃ〜」と子供の泣く声が……
丼炒飯 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
>衝撃波に近い
激しく同意です.戦車砲など燃えろよ燃えろ状態ですし,榴弾砲も,加減しているとは思いますが,空気が震えるのが分かりますからね.
それに匹敵するのは,原子炉給水ポンプ切替・起動・停止時の逆止弁の動作音(衝撃音)とウォーターハンマーぐらいしか思い浮かばないところで(謎).必ず現場立ち会いの人間には「その瞬間だけは耳をふさいでいろ!」と指示するぐらいで.指示を聞いていなかった人間からは,「爆発音か?」と問い合わせが来るほどです(笑).
へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
>発砲音
私も衝撃波に近い論に賛成ですね.
総火演に一度でも行けば,体で理解できますが,音ってより空気の塊が押し寄せてきて,その中に音が入ってるって感じですから.
EF63-24 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
90式の発砲音もそうですけど,野砲の弾が飛んでいく音は,本物ならではの体験デスヨ.
弾が飛んでいく音がするなんて,現物を見るまで考えもしなかったのにな〜.
よく考えたら当たり前なんですよね.
ナッシュ平蔵 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
和太鼓程度の衝撃波でも,生と録音では全く違うのが聞いて取れるよん.
あまりに違うんで,後で聞いて練習の参考に,とか出来なくて困った困った.
メッサー=ハルゼー in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
【関連動画】
「ワレYouTube発見セリ」:富士総合火力演習2007(90式戦車)
軍用犬

【質問】
○○○と△△△ではどちらが強いですか?
/ A国とB国の軍隊が戦ったら,どちらが勝ちますか?
【回答】
各国の軍隊の優劣,個々の兵器の優劣は単純に比較できるものではありません.
それぞれ想定する状況に備えて運用・設計されているので最強論などは意味をなしません.
また,現在の情勢や戦史から逸脱した状況をもとにした質問への回答は,憶測の域を出ないでしょう.
軍事板
なお,広島流れ川界隈の力関係では,
「地元ヤンキー>アメリカ海兵隊」
である.
昔,流れ川で,海兵隊員が地元ヤンキーにボコられるという事件が発生したもんで(w`;
ベタ藤原 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
【質問】
アヘン戦争は実際には負けていなかったとか,19世紀の東アジアの軍事力は西欧と比較しても,劣っていたわけではない,とかいう議論が時々出て来るのは,なんでなの?
【回答】
一般論として書いておくけど,ナショナリズムが高揚している国や民族においては,過去の明白な敗北や劣勢の史実を,新たな研究成果と称して否定したがる傾向がある.
例えば,かつては,清代のことは擁護する対象ではなかったが,共産主義の形骸化とともに,自国史の肯定的再評価が行われている.
南北朝鮮については言わずもがなだが,残念なことに日本でも過去の敗北の事実を粉飾しようとする努力は後を絶たないのが現実だな.
【質問】
ランチェスター戦略方程式とは?
【回答】
ランチェスター戦略方程式
赤軍、mt=戦術力,ms=戦略力,P=生産率
白軍、nt=戦術力,ns=戦略力,Q=生産率
3.戦略力は,敵の生産力のみに対応する.ms=>Q、ns=>P
4.戦術力は,敵の戦術力と戦略力に対応する
(mt)<=>(ntns).. (nt)<=>(mtms)
ランチェスター戦略モデル式
mt=(1/3)(2?n−m)
ms=(2/3)(2m−?n)=2?nt
nt=(1/3)((2/?)m−n)
ns=(2/3)(2n−(m/?))=(2mt/?)
戦略係数? ?3=(P/Q)
基準解...m<2?n...n<(2m/?)内
基本式では戦術1/3,戦略の2/3の戦力を分けるのが効率的となっています
つまり前線の戦闘で敵を潰すより,輸送船で運ばれている所を狙った方が効率的.
使われている兵器を戦闘で潰すより,生産工場を壊した方が効率的.
米軍は計算によって作戦を立てていたが日本は思いつきのみであった.
ランチェスターの法則による戦争標準化式
http://www.bekkoame.ne.jp/~bandaru/deta02p6.htm
【質問】
軍人が政府の要職に就く事を抑制する文民統制ですが,なぜ,要職に就く事が駄目なのでしょうか?
その辺りの具体例(戦前の日本)はあっても,納得のいく説明を聞いたことが無いので.
【回答】
簡単でしょ.
物理的矯正力と政治的指導者がだぶると,ほとんど自動的に独裁になります.軍事独裁政権の出来上がり.
独裁政権にほとんど共通した欠点は,国家の順調な発展より,自政権の永続を望むことです.
結果,軍事独裁政権は,国益を害し,最終的につぶれます.国ごとつぶれなかったらラッキー.
というわけで,軍事力と政治の指導権は分離するのが吉.
【質問】
そもそも民間人に降伏勧告させる軍隊がどこの国にあったかという話
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20080407/horyo
これによると
・降伏勧告というのは,一方の当事者(この場合米軍)を代表する者が伝えるべきものだから,軍とは関係ない民間人(この場合米軍に捕縛された沖縄県民)を軍使にすることは無効
という主張と
・条約上民間人を軍使として派遣することは禁止されていない
という意見があるようなのですが,この軍使の条項についての正しい解釈はいったい何でしょうか?
【回答】
ハーグ条約では「軍使」の定義は,
「交戦者の一方によって,他方と交渉することが認められた者(person)」
となっている.
素直に読むと,軍使そのものが交戦者の資格を持っている必要は無さそうだ.
>第32条: 交戦者の一方が他方との交渉を行うため,白旗を掲げて来た者を軍使と規定する.
>軍使,及び,それに随従する喇叭手,鼓手,旗手,通訳は不可侵権を有す.
>ハーグ陸戦条約
>Art. 32.
>A person is regarded as a parlementaire
who has been authorized by one of the belligerents
>to enter into communication with the other,
and who advances bearing a white flag.
>He has a right to inviolability, as well
as the trumpeter, bugler or drummer, the
flag-bearer and interpreter who may accompany
him.
http://www.yale.edu/lawweb/avalon/lawofwar/hague04.htm#art32
軍使として相手に降伏勧告や,交渉ごとを(能力的な意味で)行える人間が,民間人の中に,それも戦闘中の地域内にいる,なんてことを想定してないのだろうな.
民間人だったら戦闘地域からは,大抵避難してるわけで.だから,軍使として,「何故か戦闘地域の中にいた民間人」とか,
「後方からわざわざ呼んで来た民間人」
なんてのを選ぶ必要性も機会も少ない.
ただ,別にそうしてはいけない理由は無いし,民間人がたまたま戦闘地域内にいる状況も起こりえるし,民間人(というか,軍人でない人間)を送った方が適切かもしれない状況はあるかもしれない.
近代以前の戦争で民間人の中からそれなりに社会的地位のある人間を軍使として送るという例はないでもないし,背景として慣習があったからかもしれない.
解釈の余裕を持たせるために,民間人ではダメとか書いていない可能性も…
そもそも 質問のリンク先が,
>第32条: 交戦者の一方が他方との交渉を行うため,白旗を掲げて来た者を軍使と規定する.
を
> 「交戦者の一方が」 (他方との交渉を行うため,)「白旗を掲げて来た者」を軍使と規定する.
と,変な切り方してるのが間違い.
英文を見れば,
>A person is regarded as a parlementaire
who has been authorized by one of the belligerents
であり,和文をこれに沿って切り直せば,
> (交戦者の一方が他方との交渉を行うため,)「白旗を掲げて来た者を軍使」と規定する.
となる.
休戦,降伏交渉を行う者が交戦当事者である必要は,ハーグ陸戦条約上はない.
歴史上も市長が,とかいくらでもあるよ.調べるの面倒だから放置するけど.
702 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2008/06/05(木) 16:17:11 ID:???
映画「遠すぎた橋」では,地元市長か誰かが一時休戦の仲介してなかったかな?
あれは単なるフィクションだったのかな?
【質問】
創作上,優勢に戦局が進んでいるのに,勝っている側が末期独軍のような最貧前線の状態に描くには,どのような状況設定が良いでしょうか?
【回答】
それは,負けてると思われてた側が,密かに蓄えていた,巨大な反撃戦力が,大打撃(大反抗の狼煙か,最後のやけっぱちかはともかく)を開始する寸前のフラグでは.
大打撃の例としてはモスクワのナポレオン軍/ナチスドイツ軍,スターリングラードのドイツ軍,やけっぱちのとばっちりを食らった例としては,アルデンヌの米軍第28歩兵師団かな.
前者はどこでも調べられるだろう.
後者は「ラスト・オブ・カンプグルッペ」に詳しいが,要約すると,作戦上の必要で,予め1個師団が立てこもってる森経由で,町を攻略しなければならない第28師団が,森に塹壕掘って立てこもる1個師団と,こんなこともあろうかと控置されていた1個師団と,たまたま通りすがった1個戦車師団の三個にボコられて,戦力半数を喪失.
戦線の一番静かな位置で,17000人の定員と定数の戦車を回復したと思ったら,11万人の将兵と,米軍の五倍の戦車(しかも豹と虎メイン)を備えた独軍が押し寄せてきた…てな話.
後は察して.
極論すれば,敵の司令官と参謀を,軒並みアホウにしてしまえばいい.
敵軍が,それこそ中世の軍隊並の発想で動いてればなんとでもなる.
ルーデルの1/10モデルくらいの英雄がいれば,戦争をひっくり返せるだろう.
694:名無し三等兵:2006/05/22(月)22:33:41ID:???
Sir! 0.1ルーデルでも「なにこのご都合展開!!」と編集さんに怒られそうな気がします,Sir!
695:名無し三等兵:2006/05/22(月)22:39:26ID:???
「0.1ルーデル」(笑)
聞いたところによると,ライト・ノベル方面で作家に「ルーデル的活躍は禁止」と言い放った編集は実在するそうだ(笑).
軍事板
ちょっとルーデル様の戦績を置いておきますね.
出撃回数…2530回
戦車…519台破壊
装甲車・トラック…800台以上破壊
火砲(100mm口径以上)…150門以上破壊
戦艦…1隻撃沈
巡洋艦…1隻撃沈
駆逐艦…1隻撃沈
上陸用舟艇…70隻以上撃沈
戦闘機…2機撃墜
爆撃機…5機撃墜
その他航空機…2機撃墜
(被撃墜回数30回)
(戦闘による負傷5回)
禁止でしょう,これは(笑).
Shaul in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
しかも片方が義足だしな.
なんか憑いてたんじゃないの?
ヘリックス in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
697:名無し三等兵:2006/05/22(月)22:42:31ID:???
「ルーデルだから」
それがルーデル・クオリティ.
軍事板
ルーデル以外の対地攻撃エースも紹介しとこうか.
オスプレイ社の「ドイツ空軍 地上攻撃飛行隊」によると,戦車撃破数の第二位は「アントーン・ヒプシュ上級曹長」
ルーデルと同じで第二地上攻撃航空団所属で,撃破数は120両以上 総出撃数 1060回 騎士鉄十字章授与.
第三位が「アロイス・ヴォスニッツ上級曹長」
撃破数は104両 総出撃数 1217回 騎士鉄十字章授与
あれっ? おかしいなぁ・・・ 出撃回数でも撃破効率でも二位以下を引き離し,異様に突出しているルーデル……
CRS in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
ルーデル「ククク…よくぞこの私を倒した.しかしこれで終わりではない! 必ず私の遺志を継ぐ第二第三のルーデルが(以下略
Shaul in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
【質問】
戦争に負けた際,その国が国債などは,やはり紙くずになってしまうのでしょうか?
勝った方が戦後処理のために,ある程度保障してくれたりすることはあるのでしょうか?
【回答】
「敗戦=滅亡」
としか考えられんのか?
債務の主体が存続してる以上,そっちが払うのが筋.
勿論暴落して紙屑同然というのはあるだろうが,それはまた別の話.
国債は英国の債券市場を規準としています.
太平洋戦争中でも英国で日本国債の取引が為されていました.
但し,満州事変からその価値は下がり続ける一方ですが….
最終的に日本は,1950年代半ばまで,20世紀初頭の債券について利子を支払い続けています.
その後,借換を繰り返し,1970年代まで保持し続けていたりする訳で.
ドイツも同様で,国内では高騰を続けたドイツ国債は,1938年頃から英国の国債市場で暴落し続けていました.
無価値になったものの代表例としては,帝政ロシア国債がありますが,これはソ連が債券のデフォルトを宣言した為です.
然し乍ら,1918年までは白軍側が債券の利払いをすると考えられていた為,また,ロシアの継承国家(例えば外国の支援で成立したウクライナとかコーカサスの国々など)が,一部でも債券を継承すると考えられた為,暴落はそれほどしていません.
白軍不利になり,ソヴェトの勝利が明らかになっても,かつての同盟国フランスが,一定の利払いをすると言う観測(実際に対象者限定でフランス国債と交換したり)が有った為,1924年頃まで,ゆっくりと値を下げながらも推移しています.
ある程度の規模の国ならば,継承国家が債務を継承しますし,その国の債券の暴落が自国に大きな被害を齎すとすれば,政府が利払いをして,損害は政府が被ると言う事もしています.
ちなみに,最近のデフォルトは1998年のロシア政府だったりします.
【質問】
結局,戦争とは為政者が起こすのではないか?
【回答】
重要な要因かもしれないが,充分とは言えないだろう.
イラク戦争や湾岸戦争の時は,サダム・フセインが重要な開戦要因となったし,キューバ危機では,ケネディとフルシチョフに最終決断権はあった.
しかし,彼らがなぜ,そのような立場にあったかを説明するには,個人のレベルからだけでは説明できない.
個人の特殊性ではなく,各人に共通する正確すなわち「人間性」にそれを求めることもできるが,それでは,なぜ特定の悪しき人間は戦争に走り,他の指導者はそうしないのかを説明できない.
そうした理論は「過剰予測」と呼ばれるが,それはあまりに多くのものを説明してしまうため,根拠に乏しい.
「過剰予測」に説得力を持たせるには,何らかの「区別」をつけなければ,説得力を持たない.
ナイ教授に言わせると
「止まった時計の針は,一日に2度正確な時間を告げるが,それ以外には用をなさないものである」
ケネス・ウォルツによると,戦争要因は「個人・国家・国際システム」に区別されており,互いに絡み合っているので,一つの要因だけでは判断することは不可能だろう.
【質問】
何故,カナダ,オーストラリア,ブラジルの三ヶ国は,世界でも有数の広大な国土を有しているのにも関わらず,その割りに軍事力が低いのですか?
【回答】
人口と予算がなければ,国土だけあっても軍隊は作れません.
国土と軍事力は単純に比例しないのよ.
人口比やGNP比で見てみるといいんでないかな.
オーストラリアに限って言えば,主要都市は沿岸部に点在していて,実質守るべき地域は狭かったりする.無人の荒野に軍隊を駐留させてもあんまりメリットはないので.
軍事板
カナダにしてもブラジルにしても,豪州にしても身の丈以上の軍備を指向した時代もありました.
しかし,それをすると国の経済が破綻することを身を以て知ったので,現在は相応の軍備を整えるようになっています.
1950年代後半から60年代に掛けて,例えば,カナダは国産ジェット戦闘機の開発に成功した後,更に国産発動機を用いた超音速の超大型ジェット迎撃戦闘機を開発しようとしていましたが,その価格高騰に防衛予算が付いて来れずに破綻しかけ,結果開発を放棄して,前に不採用にしたF-101と,無人戦闘機ボマークを採用しています.
後者は,実際に食わせ物で,直ぐに退役の憂き目を見ましたが,航空機産業はその失敗により壊滅的な打撃を被りました.
豪州,ブラジルは,核兵器保有を志していました.
豪州は英国の核実験に自国の砂漠地帯を提供していましたが,その実験データは,豪州にも渡されていました.
ブラジルも核爆弾の国産化を指向し,それを搭載するロケットの開発に勤しんでいました.
しかし,オイルショックによる経済の悪化で,それどころではなく頓挫しています.
人的資源の少なさというのはその通りです.
眠い人◆gQikaJHtf2
【質問】
クーデターとはどうすれば成功とみなされるのでしょうか?
また,どこをどうすればクーデターなのでしょうか?
例えば,日本で言うところの首相官邸や国会議事堂を押さえれば,クーデター成功なのでしょうか?
国会議事堂を押さえられたとして,国会議員が別所で国会を開くことなどある(できる)のでしょうか?
【回答】
なにを持って「クーデターが成功した」かとするのは,定義に幅がありますが,奪取した政権が機能し始めれば,クーデター(つまり,武力による政権奪取)はとりあえず成功と言っていいかと思います.
つまり,自衛隊が首相官邸や議事堂を抑えても,議員や官僚,公務員,さらには民間がそれに従わず,軍事政権が機能しなければ,それはクーデターの成功とは言えません.
新政府を国連が承認してくれないと,国際的に孤立しちゃうし.
>国会議事堂を押さえられたとして国会議員が
>別所で国会を開くことなどある(できる)のでしょうか.
内閣,もしくは国会議員の1/4による要請により,国会議員の1/4以上が集まれば臨時国会を開催することが可能です.
これは場所を問いません.
このあたりはクーデター対策というよりは,大規模災害(特に地震)対策として,首都機能の緊急バックアップはいろいろ検討されています.
ただし,現憲法下では天皇の詔勅がなけりゃ国会は開かれません.
国会議員が全員集まっても法的には全く無意味です.
ついでに言うと,国事行為は全て内閣の助言と同意が必要ですから,何等かの理由で大臣がいなくなると,国事行為すら不可能になります.
軍事政権とやらに実力があり,民衆がしたがえば,の話ですが,現行憲法を停止させて,新憲法を,軍事政権なりのプログラムの下で制定.天皇抜きの体制を作ってしまうこともできます.
そもそもどんな新体制を作り上げても,現行の憲法に基づいた現体制によって新憲法が承認されなきゃ,法的には新体制として認められないしね.
【質問】
クーデターの費用ってどれくらいかかるのでしょうか?
その費用が軍事予算からはみ出すなら,補正予算とか作るのでしょうか?
【回答】
ピンキリでしょう.
軍を用いて,それが成功したのならば,国防予算から,その動員にかかった経費は支払われますし,
失敗に終わったのでも,軍装備の維持費用は国防予算から出るでしょうし.何も分からずに,動員された兵士たちにしても,きちんと給与は支払われるし.
但し,私的会合など,事前準備に関しては,兵士,将校の給与をカンパして行うケースや,富裕階級が資金を援助する場合もあります.
よって,回答は「一概に言えない」と言うことで.
眠い人 ◆gQikaJHtf2
【質問】
戦争に纏わる陰謀論は,どうして生まれるのですか?
【回答】
「奇襲」で始まる戦争ってのは,陰謀論が付き物なんです.
戦史上の奇襲の大成功例にしても,今から見ればどうして事前に察知できなかったのか,不思議なくらいのことが多い.
しかし,奇襲を受けた側がことごとく間抜けで怠慢であったとも考えられない.
そこで出てくるのが陰謀論で,奇襲と陰謀論は切っても切り離せない縁がある.
(省略)
このような陰謀論は単なる思い付きではなく,公式な資料に裏付けられていたりする.
例えば奇襲の直前にあげられた警告の数々見ると,上層部は意図的にそれらの情報を無視して奇襲を容認したとしか思えなくなる.
しかし,そこにはトリックがあって,たいていは奇襲を警告する情報と,それを否定する情報が錯綜していたのが現実である.
――「戦史に見る奇襲のメカニズム」 in 軍事研究2006年7月号より引用.
ますたーあじあ in mixi
【質問】
第二次世界大戦後における,旧西欧諸国領からアジア・アフリカ諸国の独立の推移はどのようなものか?
また,ナショナリズムは,独立運動とどう関係したのか?
【回答】
WW2によって,西欧諸国が完全に弱体化し,アジア・アフリカで植民地からの独立運動が一大運動となった.
それまでの宗主国が,世界大戦によって弱体化したので,植民地における,いわゆるエリート達は,ナショナリズムを基幹として,ヨーロッパ帝国勢力に対抗した.
だが,「言語」と「エスニシティ」を基盤とした19世紀型のモデルでは,アフリカ・アジア共に,何千というミニ国家を作らなければならなかっただろう,
故に,エリート層は「国家がネーションを作る」権利を主張し,国を形成しようとした,
これは19世紀とまったく反対のパターンである.
アジア・アフリカの指導者たちについて,ナイ教授は以下のような見解を述べている.
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現地の指導者たちは,多くの小種族を束ねてネーションを形成するため,植民地主義者たちが残していった国家機関−予算制度,警察,公務員制度−を利用せざるを得なかったのである.
ナショナリズムという同一のイデオロギーが,ほとんど正反対の2つのこと−ネーションが国家を作るということと国家がネーションを作るということ−を正当化するために使われたのである.
ナショナリズムが,手段としての使用価値のある政治的用語だったからである.
この意味で,国家のアイデンティティは社会的に構成されるわけである(たとえフランスのように「国民が国家を作る」古典的な事例でも,国家はブルターニュのように[統合に]遅れた地域を組み込むために,教育と警察の力を動員した.)
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植民地解放の運動初期に見られる「ロマンティック」な時代には「汎○○」運動という形で,ネーションを形成を阻害する「小さな差異」をぼやかすことができた.
19世紀から20世紀初期に,すべてのスラヴ語圏の人々の共通自己認識を主張する「汎スラブ主義」が勃興した.
近代の中東では汎アラブ主義が,アフリカでは汎アフリカ主義が生まれた.
また,これらの主義者たちの共通行動として,ナイ教授は以下のように述べている.
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外部勢力による統治に反対した初期の人々は,植民地化された人々はみな外部からの植民地化主義者によって同様に苦しめられたのだから,汎アフリカとか,汎アラブという形で結束すべきだと主張した,
しかし,植民地主義への反抗とそれからの解放という段階が過ぎ,実際の統治という段階になると,予算制度や警察や公務員制度といった国家機関が必要になってくる.
そして,そのような統治機構は汎○○の領域に存在するわけではなく,植民地統治によって人為的に作り出された境界線の内部ごとに存在したのである.
したがって,ロマン主義が後退するにつれ,汎○○を基盤にした自己意識は,国家を基盤にした自己意識の主張に取って代わられるようになったのである.
とはいえ,その後も汎○○運動のロマンティシズムは,混乱をもたらす勢力として残った.
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・WW2で西欧諸国の力が弱体したので,植民地独立運動が一大運動となった.
・多くの植民地では,その初期はともかく,その統治に関しては,旧宗主国の残したシステムを利用せざるを得なかった.
・「ロマンティシズム」は運動初期には有効だが,実際の統治レベルになると,混乱をもたらすものになる.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第6章を参照されたし.
【質問】
なぜ,ナショナリズムはこれほど国家にとって,重要なファクターとなったのか?
【回答】
それまでの「王政」や「宗教」「文化」といった求心力が,戦争や領土戦争の結果,最上の求心力とならなくなったため.
18世紀には,ナショナリズムはそれほど重要な要素ではなかった.
この問題に関しては,コンストラクティズム(構造主義)の論理アプローチが分かりやすい.
コンストラクヴィストは,国家や身分の上下などに関して,複数の横断的な忠誠心を持っていると主張している,
故に「忠誠心」の対象は変化していっても,何の不思議でもない.
自らの生活が脅かされた結果,アイデンティティが揺さぶられ,忠誠の対象が変化するようだ.
これに関して,ナイ教授は以下のように述べている.
--------------------------------------------------------
ネーションという観念が生まれるのは,多くの場合,最も強く揺さぶられた人々の間である傾向がある.
これらの人々は,自らの通常の生活パターンが最も強く揺さぶられた人々の間である傾向がある.
これらの人々は,自らの通常の生活パターンが最も強く揺さぶられ,疑問を発するようになるのである.
したがって,ネーションの主張は,しばしば知識人や非主流の宗教集団から始まる.
たとえば,19世紀における初期のアラブ・ナショナリストは,ムスリムというより,キリスト教徒たちであった.
産業化や都市化が進み,農業社会の伝統的なパターンや忠誠心が揺さぶられるようになっていったのである.
--------------------------------------------------------
あるアイデンティティを人々に確立させようとすることによる動揺は,内圧・外圧の双方からもたらされる.
近代的なナショナリズムの確立は,フランス革命によって大きく促進された.
いわゆる「中産階級」の登場は,伝統的な政治・社会体制を揺さぶり,さまざまにできた政治勢力は,国王を中心とする「フランス」という国家を望まないようになった,
代わりに「ネーション」によって規定されるフランスを望んだ.
このフランスのナショナリズムについて,ナイ教授は以下のように分析している.
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外的に言えば,ナポレオンの軍隊はヨーロッパ中を進軍し,[それぞれの土地で]社会を揺さぶり,ドイツ語圏やその他の地方でナショナリティックな感情を呼び起こしていった.
19世紀中葉までには,それぞれのネーションが国家を持つべきだ,との考えが広範に支持を集めるようになったのである.
この理想は,ドイツとイタリアの統一によって頂点に達した.
皮肉なことは,ビスマルクが保守的な政治家であり,別にドイツ語を話す,すべての人々を統合しようとしたわけではなかったことである.
彼は,プロシア王室の下に制御可能な部分を統合しようとしただけなのである.
しかし,この目的のために彼はナショナリズムを利用した.
その結果,ドイツとイタリアの統合はナショナリズムの成功例と見られるようになったのである.
--------------------------------------------------------
・ナショナリズムは,それまでの「忠誠の対象」が没落したことによって台頭した.
・フランス革命が,近代ナショナリズムを大いに促進した.
・ビスマルクの意図はともかく,彼の政策によって,ナショナリズムの有効性が認識された.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第6章を参照されたし.
【質問】
宗教ナショナリズムとは?
【回答】
多神教や一神教の過激主義を包括的に説明するための新しい概念.
カリフォルニア大のユルゲンスマイヤー教授(宗教学)が導入したとされる.
・世俗ナショナリズム否定
・西欧的なものの拒否
・拒否の仕方が非常に激しい敵意,反感を伴っていて,ときとして暴力的な形をとる
・政治的なキャンペーンを非常に宗教的なレトリックを用いて行う
・宗教国家の実現を目指す
という特徴がある.
以下引用.
多神教の場合,絶対の聖典,教典というものがなく,教義の一部を選択的に選んで絶対視していく構造がない.
そこが原理主義の定義と多神教がなじみにくい点といえる.
そこで,多神教も含めた宗教と政治の関係を考える時に,カリフォルニア大のユルゲンスマイヤー教授(宗教学)が導入したのが「宗教ナショナリズム」という概念である.
従来のナショナリズムが,民族や領域国家など宗教とは関係のない「世俗ナショナリズム」であったのに対して,現在は宗教に基盤を置いたナショナリズムの形成が起きており,その視点で見ていくと,多神教世界で起きていることの説明がつくという.
たとえば,90年代のインドでは,ヒンドゥー・ナショナリズムが台頭したが,彼らが否定するのは独立後にネルーが敷いた路線である.
独立後のインドはこれまで,国家としてはどの宗教にも与せず,政教分離に徹し,国家が特定の宗教から距離を置くところにナショナリズムの基盤を置いてきた.
だが,ヒンドゥー・ナショナリズム,一部でヒンドゥー原理主義とも呼ばれる人々は,そういった世俗ナショナリズムを否定する.
つまり,宗教ナショナリズムの第1の特徴は,この世俗ナショナリズムの否定である.
ヒンドゥー・ナショナリストはヒンドゥー教の定義を,従来とは異なる独自の解釈をしており,インドで生まれた文化や宗教を総称してヒンドゥーであるという.
したがって,仏教やジャイナ教はヒンドゥーに含まれるが,中東から入ってきたイスラム教やキリスト教は異質なので排除しようとする.
世俗ナショナリズムを拒否する動機も同様で,政教分離という概念は西欧が生んだもので,インド文明とは異質であるとするからだ.
特に戦後のアジアやアフリカにおいては,世俗ナショナリズムは新植民地主義の別名であると捉えられる.
この,西欧的なものの拒否が第2の特徴である.
そして第3の特徴には,その拒否の仕方が非常に激しい敵意,反感を伴っていて,ときとして暴力的な形をとるという点である.
たとえば90年代初めには,アヨディヤのイスラム・モスクをヒンドゥー・ナショナリストたちが破壊する事件が起き,その後,南アジアでヒンドゥーとイスラムの大規模な暴動へと拡大している.
この事件の直前には,ヒンドゥーのお祭りの際に神様が乗る巨大な山車の上から,インド人民党というヒンドゥー・ナショナリズム政党のリーダーが
「イスラムは出ていけ」
とのアジ演説を行っていた.
このように,政治的なキャンペーンを非常に宗教的なレトリックを用いて行うところが第4の特徴と言える.
究極的にはそういった闘争を通じて,世俗国家ではない,宗教国家の実現を目指すという点が,第5の特徴である.
小川忠=国際交流基金企画評価課長 in 『SAPIO』 2005/3/23号,p.33
日本では類例がまだない――強いて挙げればオウム真理教か――ため,これがどれほど説得力があるかはまだ不明.
神道系右翼団体も,宗教国家の実現を目指しているとは思われない.
ゆえに信頼性の判断は保留.
【質問】
これから先も「領土国家」は普遍的な存在であり続けるのか?
【回答】
おそらくそれが主流ではあり続けるであろうが,そうではない場合も考えられる.
過去には,常に領土国家が存在してきたわけではない,未来に必ず領土国家が存在するとは限らない.
これについて,ナイ教授はツキュディディスを挙げている.
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分散した集団と国家システムはツキュディディスの時代から存在してきたが,国際政治の主要な構成要素として広大な領土国家が発展してきたのはルネサンス以降のことである.
17世紀の三十年戦争は依然として封建制度下での戦争の特徴を帯びていたため,それは封建制度下での最後の戦争であると同時に,領土国家による戦争の始まりでもあった.
今日見られる広大な領土国家が,近代世界政治の主要な制度となったのは,わずか3,4世紀前のことなのである.
数多くの未来学者が領土国家の衰退を予測しており,彼らの描く新しい世界秩序は,無政府状態のディレンマを克服する構造を内在している.
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「領土国家」という考えは,確かに現状の主流であり,これはしばらく覆(くつがえ)りそうになりものの,可能性を類推することは可能である.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.
【質問】
これからの世界において,国家主権と統制の問題はどうなっていくのか?
【回答】
これについては世界中で熱い議論が起きているが,今のところ,国家の自立性を損ねるような意見には,多くの政治指導者が抵抗感を持っている.
武力行使を制限しようとする国連の政治的役割,WTOによる経済問題の決定,環境に関する機構や条約の発展などの努力を憂慮している.
この立場からの意見では,国際共同体だと言う考え方は幻想に過ぎない.
だが,主権国家の運命についての議論の枠組みは,未だお粗末なものだとナイ教授は指摘する.
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主権国家の運命についての議論の枠組みはお粗末なままである.
コンストラクヴィストの政治学者ジョン・ラギー(John Ruggie)が指摘するように,「いまだに極端に貧しい思考様式しか機能していない.
それは,制度的に国家に代替しうる実体という観点からしか,国家システムへの長期的な挑戦を捕らえる事の出来ない考え方である」.
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ナイはさらに,中世の商人達と,現在の脱国家的な企業を比較例と出して,以下のように分析を行っている.
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より有効な歴史的類比は,封建時代初期の市場と都市生活の発展過程である.
中世の市は,封建的権威制度の代替物ではなかった.
それは,城壁を打ち壊したり,領主を排除できるものではなかった.
だが,それは新たな富,新たな連合,「都市の空気は自由をもたらす」という格言に要約される新たな雰囲気をもたらしたのである.
中世の商人たちは,主として商売を行うための一連の私的な決まりとして,自分達の関係を規定する「商人の法」[lex mercatoria]を発展させた.
今日では同様に,ハッカーから大企業に至るまですべての者が,インターネットの規範を部分的には公式の政治制度から離れた形で構築しつつある.
ファイアーウォールの中や暗号化の背後で進む脱国家的企業内のイントラネットは,「公共空間の私的流用を意味している」.
企業内のイントラネットや,環境などの特定の問題に関する世界規模のニューズ・グループといった,こうした私的システムは,主権国家の政府に正面から挑戦したりはしない.
それらは,主権国家が効果的に統制できない関係の層を付加するだけである.
人々は,忠実な市民でありながら脱国家的なインターネット共同体に参画しているだけなのだが,彼らの視野は,インターネット以前の典型的な忠実な市民のそれより広くなるであろう.
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ただ,インターネット時代を迎えたといっても,政治制度の役割が劇的に変化する可能性は殆どないだろう.
たとえば,領土国家が台頭した17世紀の頃にしても,イタリアの都市国家や,ハンザ同盟のような中世的な社会は,ほぼ2世紀に渡って生き残った,
現代の真の問題は,主権国家が存続するかどうかではなく,そのエッセンスと機能がどのように変化していくかである.
国家の活動領域は,ある分野では拡大し,ある分野では縮小してきた.
指導者たちは,自分達が解決できない問題を遠ざける事で,かえって効果的な支配体制を促進できると認識していたのである.
(これは,かなりの部分正しかったと思う)
現在,金融の流通・麻薬密売・気候の変化・AIDS・難民・テロリズムなど,国家統制の及ばない領域は増え続け,全ての国家がこれらの問題に直面していると言っていい.
だが,これら国家統制と言う問題が複雑になっていく事と,主権が侵食されるという事は同義ではない.
政府は,これらの問題に適応するだろう.
だが,この適応の過程で,主権的な管轄権の意味や統制の役割は変化していく可能性が極めて高い.
これについて,ナイ教授はアメリカの国境管理問題を例に挙げている.
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たとえば,アメリカの国境管理の問題を考えてみよう.
1年に4億7500万人の人々と1億2500万台の乗り物,2100万個の貨物が,301の通関地点の3700のターミナルから,この国に流入している.
40フィートの満載の貨物コンテナを検査するには丸5時間はかかるし,そうしたコンテナが毎年500万個も搬入されるのである.
さらに,最近は旅券などを持たない270万人もの移民が,メキシコやカナダから徒歩や自動車で国境を越えている.
9.11テロ事件が示したように,テロリストは容易に忍び込めるし,毎年運び込まれる何トンものヘロインやコカインよりも,数ポンドの生物・化学兵器を持ち込むことの方が簡単である.
国家安全保障省がこうした流入に対処する唯一の方法は,国境を越えて他国の情報収集と協力を行い,国際的な商業流通を追跡する透明性の高いシステムを作り上げるよう民間企業に依頼する事によって,積荷が国内に入る前に,司法当局が「事実上の」検査を行うことなのである.
税関関係者はラテンアメリカ各地で,民間企業に対し麻薬密輸業者につけこまれるリスクを軽減するための安全対策の実施を支援しており,麻薬の流通を監視するするための協調的な国際的仕組みが発展しつつある.
このように主権国家は順応する.
だが,そうする事を通じて,政府の管轄の意味と排他性は変容していく.
法的な境界は変わらないが,実際にはそれはぼやけている.
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まとめ
・国家主権の問題は,世界で多くの議論が交わされているが,政治指導者たちは,これについは抵抗を見せている.
・国家主権の運命についての議論は,粗末なものに留まっているが,新たな雰囲気の醸成は行われている.
・現在の人々は,脱国家的なインターネットの一参加者にすぎないものの,インターネットを使用する以前の人たちよりも,視野が明らかに広くなっている.
・国家主権の意味が変容していく事は,ほぼ確実であるが,主権が無くなる事もないだろう.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第8章を参照されたし.
【質問】
現在,国家の主権問題は,どのように変化しているのか?
【回答】
1945年の国連憲章以来,人権条項が,国家主権を擁護する条項と共存してきた.
国連憲章第2条7項において,国内が管轄する問題に関して,国連がそれに干渉する権利を一切認めていない.
だが,反人種主義のグローバルな規範と,南アフリカのアパルトヘイト政策に対する批判が強まるにつれ,国連の大多数はこの原則を弱める方向に動いたし,コソヴォへのNATOの介入は,国際法学者の論争の的となった,
つまり,国連の承認を得ていないので,NATOの介入は違法であると言う論理と,国際的な人道的介入に照らして合法であるという論理があった.
チリの大統領在職中の人権侵害と犯罪を根拠として,ピノチェト将軍(元チリ大統領)の身柄引き渡しを要求し,イギリスがピノチェトの身柄を拘束した事件などは,この問題の複雑さを示す好例である.
情報技術,特にインターネットは,人権活動家の調整を容易にして,彼らの力を強化したが,旧植民地の政治指導者などは,法としての主権が外部からの干渉に対して持つ保護機能に執着している.
これからの世界では,こういった国家の主権に対して矛盾する2つの国際法上の立場が並立し続けるだろう.
<まとめ>
・国家主権と人権保護の問題は,国連憲章が出来て以来,並立して存在している.
・国家の主権に対して,国連は不干渉が原則ではあるものの,必ずしも,それが至上のものではなく,干渉が行われている例が増えている.
・これからの社会は,主権と介入という矛盾する二つの問題が並立して存在していくだろう.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第8章を参照されたし.
【質問】
以下のように述べている人がいますが,21世紀の軍隊は「重武装した警察」を目指すべきなのですか?
――――――
先進国同士が正面切って戦うことが考えにくくなった代わりに,国籍だの国家システムだのといったものにとらわれないテロリズムこそが脅威である今,〔略〕 21世紀の軍隊は「重武装した警察」の方向を目指すべきであり,日本の自衛隊にはその先駆けとなれる可能性がある,ということだ.
――――――林信吾著『反戦軍事学』,p.205
【回答】
たしかに脱国家的な脅威は,これからの安全保障上,重大な脅威となりえるでしょう.
それはジョセフ・ナイなども指摘していることです.
しかしナイは同時に,これから先も領土国家が主流であって,しばらく覆ることはないとの見方も示しています.⇒more
したがって領土国家間の紛争も,これから先も存在し続けるでしょう.
そのような紛争には,「重武装した警察」では対応できません.
ホホイのような考え方は,偏っていると言わざるを得ません.
【質問】
フランシス・フクヤマが言うように,「自由主義」に対抗するようなイデオロギーはもはや存在しないのか?
【回答】
ある意味で正解,ある意味で間違い.
確かに冷戦の崩壊で,自由主義的資本主義に真っ向から対抗するイデオロギーは無くなった.
これについて,ナイ教授は以下の見解を述べている.
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自由主義的資本主義に対抗しうる統合的イデオロギーはもはや存在しない.
そして,裕福な民主主義諸国間の関係は,根本的に変化した.
ドイツとフランス,あるいはアメリカと日本は,もはや相互間の戦争を想定も計画もしていない.
カントのリベラルな予測通り,複合的相互依存の形態が,民主主義的平和と言う広い諸島を形成している.
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>「ドイツとフランス,あるいはアメリカと日本は,もはや相互間の戦争を想定も計画もしていない.」
に関しては,異論があると思うので,反論プリーズ.
私としては,「少なくとも現在は」という保留条件を付けたいところ.
アメリカも,日本に対する戦争は計画していなくても,想定してシミュレートはやっているはず.
一方で,冷戦の終結は「歴史の終焉」というより「回帰」ではないかという見方も行っている.
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冷戦後の世界は「歴史の終焉」というよりはむしろ,歴史への"回帰"であると言えるだろう.
歴史への回帰とは,より通常の状態,すなわち単一のイデオロギー対立が国際政治におけるより大きな紛争を引き起こさない状態のことである.
自由主義的資本主義には,まとまってはいないが,多くの対抗勢力がある.
中国やロシアは資本主義や世界市場を利用するが,両国とも自由主義でも完全な資本主義でもない.
他の地域では,宗教原理主義者が自由主義的資本主義の規範と実践に挑戦している.
宗教原理主義はひとくくりにされることがあるが,実際には原理主義にも多くの種類がある.
共通しているのは,それらが世俗的な自由主義的資本主義に対する反発であり抵抗である,と言う点である. 冷戦後の自由主義的資本主義に対する主要な対抗勢力は,人種的・宗教的・民族的な共同体主義である.
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<まとめ>
・冷戦の崩壊により,自由主義や資本主義に対抗する「統合的な」イデオロギーは存在しなくなった.
・ただし,自由主義・資本主義が単一のイデオロギーになったわけでも,至上のイデオロギーになったわけでもない.
・自由主義・資本主義に対するイデオロギーは多く存在している.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.
【質問】
サミュエル・ハンチントン「文明の衝突」の問題点は?
【回答】
彼の理論は,バランス・オブ・パワーの論理を8つの文明にわけ,その相違からくる紛争要因を分析しているが,各文明における「内なる対立」を軽視しすぎている.
ハンチントンは,紛争の要因としての文化に着目しているが,トインビーのやや恣意的な文明の分類を援用したため,ハンチントンの議論は単純化しすぎたものとなった.
ナイ教授は以下のように分析している.
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第7章でみたように,文化は平均的でも静的でもなく,重複し流動的なものである.
ハンティントンの世界地図が示す大「文明」間よりも,「文明」の内側(たとえば,アフリカやイスラム内部)で,より多くの紛争が発生してきた.
オサマ・ビン・ラディンによるテロ攻撃と西洋に対するイスラムの聖戦の呼びかけは,ハンティントンの議論が正しかったことを証明するものだ,と見る向きもあるが,2001年9月11日以降の出来事を過激な原理主義者と穏健派によるイスラム内での内戦とみなすことも十分可能である.
多くの穏健なイスラム教徒は,オサマ・ビン・ラディンよりも,穏健なキリスト教徒やユダヤ教徒と,より多くの共通点を有している.
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「文明の衝突」の問題は,「内なる対立」を軽視しすぎると言うことか.
私も「文明の衝突」は読みました,
確かに各文明の分析や衝突要因などには見るべきところも多いものの,冷戦崩壊後,多くの紛争は「内戦型」なので,「文明間の衝突」だけでは紛争要因を説明できないと思う.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.
【質問】
サミュエル・ハンチントン,フランシス・フクヤマ双方に共通する問題点は?
【回答】
「冷戦後」の世界を,一つのパターンに押し込めようとしているところ.
冷戦後の世界は,むしろ冷戦前よりも複雑化しており,多様な文化,多様な経済的な近代化のパターンが存在する.
これについて,ナイ教授は以下のような見解を示している.
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フクヤマの賛美する自由主義的資本主義や民主主義的平和は,ほとんどの脱工業化社会にうまく該当する.
前工業化段階の国々と工業化段階の国々との関係では,リアリズムの説明能力の方が高い.
文化的対立に焦点を当てたハンティントンの議論は,前工業化段階の世界と他の世界のとの関係では,より説得力をもっているのである.
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やはり,最大の問題点は「一つの型」にすべてのパワーを押し込めようとしたところだろう.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.
【質問】
ジャガイモの栽培が世界に広まったのは,戦乱のため?
【回答】
戦乱も要因の一つ.
***
『ジャガイモの世界史』(伊藤章治著,中公新書,2008.1);
世界各地で栽培され,痩せた土地でも育ち,栄養価も高いことから戦乱や飢饉,社会的混乱などの時に人々を救ってきた「貧者のパン」ジャガイモ.
そのジャガイモから見た世界史・日本史を纏めた一冊.
南米原産のジャガイモがどの様に伝播し,その国々の歴史とかかわってきたのかを考察しています.
南米からスペイン人が持ち帰った後も植物学者や研究家の間に留まり,本格的に普及していくのは,
・英国に肥沃な土地を奪われ,痩せた土地で耕作するしかなかったアイルランド
・三十年戦争など度重なる戦乱とそれによって農地が荒廃したドイツ
・度重なる飢饉と戦乱,王室の浪費などによって常に食糧不足に苦しんだフランスやロシア
など,ほとんどが飢饉や戦乱がきっかけになっています.
例えばフランスでは,七年戦争でプロイセン軍の捕虜になった農学者・薬剤師のパルマンティエが,食事で出てきたジャガイモに興味を持ち,帰国後に王室の援助を受けながらジャガイモ栽培の普及に努めています.
そしてそれがフランス革命時の混乱による食糧危機を救い,ナポレオンの時代には生産量が急上昇しています.
(但しパルマンティエ自身は革命の際,「王室の援助を受けた」咎で処刑されそうになっています)
日本でも1600年ごろにジャガイモが伝播して各地で栽培され,飛騨地方では天保飢饉の時に人々を救ったので,「お助け芋」「善太芋(飛騨でジャガイモ栽培を広めた飛騨代官幸田善太夫に因む)」と称されています.(P.168)
〔略〕
またこれ以外にも
ティアガルテン全体がジャガイモ畑と化した敗戦直後のベルリン
ダーチャ(別荘)の庭をすべてジャガイモ畑にしたソ連崩壊直後のロシア
など,さまざまな事例が挙げられています.
終章での,ジャガイモがもてはやされる時代は「民衆にとって苦難の時代」,という言葉には考えさせられます.
ジャガイモを通じて,世界史や日本史,人間と社会・環境について違う角度から見ることのできる一冊です.
グンジ in mixi, 2008年03月23日12:34
◆ゲリラ戦関連
【質問】
ゲリラとは?
【回答】
分散し,かつ移動性の高い軍事組織が軽火器を使用して奇襲・待ち伏せ等によって行う交戦行為(非正規戦),又は,bこれらの戦闘方法で戦う集団.
かつては外国の侵入軍に抗する場合に,この語が用いられたが,現在ではこのような状況に限られない.
また,不正規軍に限ってゲリラの語が用いられたこともあったが,現在では正規軍についても上述の戦闘方法を使う場合にはゲリラ(行為)というのが一般的である.
わが国では,上記bの意味で,遊撃隊・便衣隊の表現があるが一般化していない.
(『国際法辞典』(有斐閣)p8)
軍事力で勝る正規の外国または自国の軍隊に対し,一般人の支持を背景として,隠密に軍事行動をとる不正規の小軍隊.
ゲリラ戦にはこれまでの戦時国際法は適用しにくく,ゲリラが正規の軍隊構成員でないため,捕虜になっても捕虜としての人道的待遇と保護が与えられる余地がなかった.
またゲリラは徹底抗戦するため,戦争の残虐性が増大することがあった.
1949年ジュネーブ第3条約に対する77年の追加第一議定書は,ゲリラにも捕虜資格を認めるとともに捕虜資格の条件を緩和し,ゲリラ行動中に自己を一般住民から区別できればよいとした.
(現代用語の基礎知識2000年度阪)
【質問】
ゲリラ戦を行うに当たっては,大衆或いは民衆の支持が欠かせないとの事ですが,それはいかなる理由からそう言われているんですか?
【回答】
反政府ゲリラの場合は,
「大衆或いは民衆の支持が欠かせない」
と言えるが,正規軍がゲリラ戦(コマンドと言う)を行う場合は,航空機による補給等もあるのでその限りではない.
補足説明として,
「ゲリラ」・・・マスコミ用語としては,非正規軍・反政府軍と云う感じで使われる.
本来の意味では,戦線を作らず,小規模の部隊に分かれ,会戦を徹底して回避して,
小規模な襲撃や待ち伏せ,敵方の施設破壊等の後方攪乱によって戦争を継続する方法,
そのような展開になった戦争,さらにそうした戦争を行なう組織を言う.
「ゲリラ活動」・・・・戦線を作らず,小規模の部隊に分かれ,会戦を徹底して回避して,
小規模な襲撃や待ち伏せ,敵方の施設破壊等の後方攪乱によって戦争を継続する方法.
【質問】
大国相手に戦うには核武装して攻撃されない状況を作るか,徹底抗戦するならゲリラ戦しかない.
で,このマンガ(日本国大統領桜坂満太郎)とか「ブラックホークダウン」みたいな映画を見てて思ったんだけど,AK47くらい,RPG(対戦車ロケット砲)が世界中に普及するような時代になったら,アメリカみたいな大国の軍事作戦のほとんどは成り立た
なくなるのでは?
なんか,何十億円もする戦車とかを何十万円のRPG一発で破壊するのを見て,大国にとっての戦争が,すごい割の合わない(採算の取れそうも無い)行為に成り果てるような気がしてならない・・・
【回答】
アフガンでもイラクでも,AKやRPGは大量に出回っていました.
それでも米軍は簡単に勝ちました.
ついでに言えば,戦争と言うのは兵器の値段の交換で勝敗が決まるものではありません.
戦争による損失がいかに大きくとも,勝利した後の利益がそれよりも大きいのなら,十分に意義があります.
また,ゲリラ戦といっても,武器弾薬,資金などの供給がなければそうそう長く抵抗を続けられるものではない.
世界中のゲリラ達からゲリラ戦のバイブルとして読まれているチェ=ゲバラの『ゲリラ戦争』では,ゲリラ戦で長く抵抗を続けるためには,次の3つが必須だとしている.
1.地元住民の積極的な支持と献身的協力.
2.逃亡,休養,訓練,再編成などを安全に行う後背地(聖域).
3.兵器や物資の安定供給を約束してくれる支援国家.
それに,その供給者の影響を受けることになるので,政治的な独立性を保てなくなるリスクがある.
それにまた,ゲリラ戦は自国を主な戦場とすることになるので,戦果が上がれば上がるほど国土が荒廃することになる.
さらに攻撃の矛先が敵に協力した自国民にも向くので,国民の分裂も招く.
つまり勝ったとしても,得るのは荒廃した国土であり,その復興には外国の協力を得なければならなくなる.
ついでに言うと,RPG7では第三世代MBTの正面装甲をぶち抜けませんので,側面や背面に回り込む必要がありますが,それは自殺に等しい行為です.
基本的に漫画や映画は作り話と思ったほうがいい.例えノンフィクションと銘打っていてもね.
「日本国大統領桜坂満太郎」なんてツッコミどころ満載だし.
465 :名無し三等兵 :05/02/12 23:27:09 ID:???
この理屈で行くとー.
一機何百億円もする戦闘機を,一発何百万円の歩兵携行型のミサイルで破壊可能
↓
戦闘機作る意味無し.空戦はできない.
一隻何千億円もする艦船を,一発何億円の対艦ミサイルで破壊可能
↓
艦船作る意味無し.海鮮はできない.
一人育てるのに何億円もかかる兵士を,その辺の石で撲殺可能
↓
兵士育てる意味無し.
【質問】
原則として非正規戦の場合は,民間人が誤認で殺傷されるのは物理的には避けられないと見るのが正確なんでしょうか?
【回答】
というかテロやゲリラ戦を行う側の狙いでもあったりする.
民間人を隠れ蓑にしつつ,楯にとってあいての矛先を鈍らせる.
テロを起こして人民の海に逃げ込めば,
逆上した体制側が無関係の市民を殺傷する→反体制感情が高まってウマー
って感じ.
要は,「民間人を殺した」方も残虐なら,それを前提の戦術を取る(取らざるを得ないとも言えるが)ゲリラ側も悪辣ってこと.
100%クリーンな戦争なんぞあり得ないって事ね.
そのへんわかりやすく解説した,「テロリズムとは何か」(佐渡龍己著,文春新書,2000年09月)という本がある.
おそらく物理的にも心理的にも避けられないだろう.
国際法的に言えば不正規戦は,それを行っている側(ゲリラの側ね)の違法行為なのだが,
「違法行為だからやめましょう」
といって誰もやらなくなるなら苦労はしないし.
ゲリラが「げりら」なんて看板立てて行動してないし.
アメリカ軍が,ひよこの鑑別師並に民間人とゲリラを判別できる装備を持ってない限り,誤認攻撃は必ずあるだろうし,一件でもそれが起これば,反対勢力はそれを盛んに喧伝して,次のゲリラ戦を用意できる.
次のゲリラ戦が起これば,誤認攻撃は必ずあるだろうし,一件でもそれが起これば……というスパイラル.
特に,中東では安手のアメリカ・ユダヤ陰謀論が知識人層にまで広く浸透しているので,喧伝が素直に信じられ易い.
ただ,第2次大戦の時の日本やドイツでは,組織だったゲリラ戦は起きなかった.
これは占領された側に
「負けてしまった.でも仕方がない」
という意識があったからで,そういう意味では,占領された側に抵抗運動を諦めさせる事に失敗している占領側の問題が大きいといえる.
「対ゲリラ作戦には外国の占領軍は関わってはいけない.あくまで地元の国の正規軍が主体でなければゲリラの根絶はできない.
もっと言うなら,ゲリラを産み出すような統治はしないことだ」
と言われるが,それができれば苦労はないしね・・・.
ただ,これはロボット兵器の投入によって改善される,という考察もある.
ゲリラ戦のような状況で民間人が多数犠牲になるのは,
「何時何処から誰に撃たれるかわからない.殺される前に殺さなければ自分が死ぬ.
死にたくない.殺されたくない.
殺されたくなければ誰であろうと怪しい奴はまず撃つしかない.
まず撃ってみてそれから判断するしかない」
という心理状況に兵士が追いこまれるから.
とにかく
「撃たれる前に撃つ!」
という事しか頭になくなるので,目に付いた動くもの全てに銃弾をぶち込むような状況になる.
この点,遠隔操作のロボット兵器なら,
「撃たれても自分は傷つかないし死にもしない.確かに装備を壊すと大変だけど,自分は安全なのだから,ます確認してから撃っても遅くはない」
という心の余裕が生まれ,誤射の発生率も減るという.
実際,イラクで試験的に投入されているロボット兵器の運用部隊では,誤って民間人を撃ったりよく確認しないまま味方を撃ってしまったり,と言う事故が格段に少ないという.
【質問】
毎日新聞vs既女板〔既婚女性板のこと〕についてですが,軍板から既女板に戦術指南をしているのですか?
弾や火は見えないけれど,本で読んだベトナム・キプロスのゲリラ戦を見ているような既視感があります.
既女が知識でなく経験で身に付けたものだとしたら,かなり恐ろしい.
【回答】
指南などしていません.
その件はゲリラ戦とは全く別物です.
むしろ,どう見てもただの市民運動です.
ゲリラ戦を誤解してるようなので,該当項目でも読んでください.
ちなみに
>チェ=ゲバラの『ゲリラ戦争』では,ゲリラ戦で長く抵抗を続けるためには,次の3つが必須だとしている.
> 1.地元住民の積極的な支持と献身的協力.
> 2.逃亡,休養,訓練,再編成などを安全に行う後背地(聖域).
> 3.兵器や物資の安定供給を約束してくれる支援国家.
仮に毎日vs鬼女板をゲリラ戦に見立てたとしても,1はともかく,2も3も欠けてるでしょうに.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【関連リンク】
「gigazine」:テレビや新聞で詳しく報道されない「毎日新聞英文サイト変態記事事件」,一体何が問題なのか?
Japanese newspaper admits infamous sex column
was untrue
世界に広がる毎日新聞変態記事問題.
毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki
- トップページ
「ハムスター速報 2ろぐ」:やる夫で学ぶ毎日新聞変態記事問題
◆◆情報パワー
【質問】
情報のパワーはどのように変遷してきたのか?
【回答】
・情報の力は,古くから認識されていた.
・情報革命は,現代にいきなり起こったのではなく,様々な時代にもあった.
・現代社会においては,情報伝達のコストがまさしく「飛躍的」に減少している.
***
17世紀の思想家,フランシス・ベーコンが「情報は力である」と論じたように,国家間の間でも,情報は大きなパワーであり,国内,国際問わず多くの人たちが,この力を享受している.
(そもそも,孫子の時代から言われていたことだが)
政府は常に,この「情報」の流通/管理に腐心していて,現代だけが情報技術の変化に強く影響されているわけではない.
これについて,ナイ教授は以下のように分析している.
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グーテンベルグ(Bible Butenberg)による活発印刷の発明は,聖書の印刷とそのヨーロッパでの大々的な普及を可能にし,宗教改革の第一歩に重要な役割を演じたと,しばしば評価されている.
政治的パンフレットや文通による結社は,アメリカ独立革命への道を開いた.
コンストラクヴィスト[構成主義者]が指摘するように,情報の流通の急速な変化はアイデンティティや利害の重要な変化を導きうる.
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現代において,この情報革命は,インターネットに代表されるコンピューター,通信,ソフトウェアの急速な技術的進歩に基づいている.
コンピューターの処理演算能力は,過去30年間,18ヶ月ごとに倍増していて,21世紀のはじめには,そのコストは,1970年初頭の1%にまで減少した.
もしも車のエンジンが,半導体のように急速に価格低下を起せば,今の自動車は,5ドルほどで買える計算になる.
現在の情報技術の発展例として,ナイ教授は以下のように述べている.
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1993年には,世界中のウェブサイトは50ほどしかなかった.
10年後には,その数は優に500万を超えている.
2003年までに,インターネット上の国際的情報流通は急激に拡大しており,通信コストの低下速度は,電算処理能力が上昇する速度をはるかに上回っている.
1980年の頃でも,銅線を用いた電話は1秒でわずかに1頁ほどの情報しか伝達できなかった.
それが今では,光ファイバーで1秒に9万冊分もの情報が伝達できる.
1930年当時の大西洋をまたいだ3分間の電話の料金は,現在のドルに換算すれば250ドルであったが,21世紀の初めにはそれが1ドルを大幅に下回っている.
1980年には,1ギガバイト[約10億バイト]を収納するには1室が必要だったが,アップルのi-ポッドはポケットに収まり,40ギガバイトを収納できる.
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詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第8章を参照されたし.
【質問】
情報革命の特徴とは?
【回答】
情報伝達コストの大幅な減少.
この130年の間,ヨーロッパと北米の間では,ほとんど瞬間的な通信が可能だった.
しかしながら,これを共有できるのは,富者に限られていた.
ところが,情報伝達手段の大幅な向上により,情報の伝達コストが無視できるレベルになったことにより,世界中に伝達できる情報量は,事実上,無限となった.
これにより,情報の爆発が起きた.
これについてナイ教授は以下のように分析している.
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ある推計によると,現在15億ギガバイト,つまり世界全体で一人当たり250メガバイトのデジタル情報が磁気媒体によって蓄積されており,そうした情報の流通は毎年倍増している.
21世紀の初頭にあって,コンピュータ利用者は毎年およそ4兆通の電子メールを発信し,ワールド・ワイド・ウェブは画面上に170兆バイトの情報を掲載していた.
これは,米国連邦議会図書館が所蔵する活字文献の17倍に等しい.
コンピュータと通信が結びついた技術の劇的な変化は,特に「第三次産業革命」と呼ばれるが,政府や主権の性質を変え,パワー[力]の拡散をもたらしている.
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まとめ
・情報革命の特徴は「情報伝達コストの減少」による,情報の爆発が起きたことにある.
・情報革命は,政府・主権の性質を変えて「パワーの拡散」を起こす.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第8章を参照されたし.
【質問】
(第三次)情報革命は,新しい世界政治を作り上げる可能性があるのか?
【回答】
反実仮想としての考えると,意外に可能性はある.
現実的に,情報革命が中央政府に与える影響は初期的なものだが,人によっては,今までの中央集権的な社会を変える可能性があると,ナイ教授は指摘する.
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ピーター・ドラッガー(Peter Drucker)や,トフラー(Heidi and Alvin Toffler)夫妻は,情報革命が,産業確革命の時代を特徴付けた階層的な官僚機構の終焉をもたらしているだろ,と論じている.
市民社会で分権的な組織や仮想共同体がインターネット上で発展するにつれて,それらは領域的な管轄を横断し,独自の統治のパターンを形成していく.
もしこうした予見が正しければ,その結果は,市民の重層的なアイデンティティと帰属意識に対応する,重複する様々なコミュニティと法制度からなる新しい「電脳封建制度」ということになるのかもしれない.
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これによって,過去300年に渡って主流だった近代中央集権国家が反転することがありうる.
「国際政治」ではなく「世界政治」となる可能性だ.
中世のヨーロッパでは,地元の領主・君主・国王・ローマ法王に同様の忠誠心を有していた.
将来のヨーロッパにおいては,宗教・仕事,それに電脳共同体と並び,パリやベルリンに帰属意識を持つかもしれない.
現在においては,主権国家こそが国際関係の主要なパターンではあるが,1648年のウェストファリア条約で,国家の主権を決定付けた以前の状況ににて,共同体や統治を横断して,政治的な境界を越えた脱国家的な接触が多くなっている.
これは,中世には多く見られたが,中央集権政府の台頭で,徐々に制限されていった.
また,主権自体の形が変化しつつあるとナイ教授は述べている.
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30年前にも脱国家的な接触は既に増大しつつあったが,それは多国籍企業や科学者の集団,研究機関などにかかわる比較的少数のエリートによるものであった.
今では,何百万人もの人々に,インターネットが低コストで脱国家的なコミュニケーションの道を開いているのである.
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まとめ
・情報革命が,政治に対して決定的な影響を与える可能性はある.
・国家の主権を超えた脱国家的な接触が多くなってきている.
・国家の主権自体,変化してきている.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第8章を参照されたし.
私見:少し急進的な見方だとは思うが,たしかに「脱国家的な接触」は善悪織り交ぜて増えていると思う.
【質問】
情報技術の革命による「分権化」は,どのように進行しているのか?
【回答】
・情報革命による「分権化」には肯定的な意見と否定的な意見がある.
・否定的な見解は,テロなどの新たな脅威を,肯定的な見解では,交易の無国境化があげられている.
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元々はジョージ・オーウェルの小説「1984年」のように,コンピュータ技術は中央集権化をもたらすと思われていたが,情報技術の革命によって情報通達のコストが劇的に下がることにより,権力は逆に分散化している.
情報革命がどれくらいの範囲と速度で分権化を推進するかは,国によって異なるし,これに対して対抗勢力が台頭するかもしれない.
しかしながら,政府は外交政策の独占を失いつつあり,世界政治の舞台は非国家主体と共有せざるを得なくなる.
この「権力の分散」メリット・デメリットについて,ナイ教授は以下のように述べている.
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権力の分散は,肯定的な帰結と否定的な帰結の双方をもたらしうる.
肯定的な見解では,技術が経済発展を促進し,権威主義体制を揺るがすことになる.
その結果,民主主義的平和の諸島が拡大する速度が増すであろう.
否定的な見解では,破壊的意思をもった個人やテロ集団,さもなければ弱小国家が大量破壊兵器を入手して,国家間システムの無政府状態ではなく真の無政府状態を作り出す,つまり新しい封建主義の出現ということになる.
こうした不安定な世界では,経済のグローバル化は遅れ,基本的な人身の安全を図るためにホッブス流の専制的政府が必要となり,市民の民主主義自由度は犠牲にされるかもしれない.
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肯定的な見解では,コミュニケーション手段の発達で,国境を超えたやり取りが容易となり,地球上のほかの地域で起こっていることの情報へのアクセスが簡単になるし,地球規模での組織化もより可能となった.
NGOは環境・人権といった大義の為に脱国家的キャンペーンを展開できるし,インターネットは市民に情報を提供することで,権威主義体制を弱めている.
脱国家的主体で最も注目を集めるのは,多国籍企業だ.
世界中で投資を拡大し,いろんな世界の市場で利益をあげながら,多国籍企業は従来とは異なる世界経済を形成している.
各国の政府間では,国際投資の誘致をめぐって競争が行われており,世界貿易の大部分は,多国籍企業によって担われている.
これについてナイ教授は以下のような例を挙げている.
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ホンダは,今では日本国内よりもアメリカ国内でより多くの自動車を生産しており,アメリカ製の自動車を日本に逆輸出している.
アメリカ政府は,EUにアメリカ製のホンダ車を受け入れるように圧力を掛けている.
つまりアメリカは,アメリカ製の日本車をヨーロッパに輸出することがアメリカの国益であると考えているのである.
同様に,IBMはに日本における大型コンピューターの最大の生産者なのである.
日本IBMは日本で研究を行い,日本人を雇っている.
このような中でロバート・ライシュ(Robert Reich)元労働長官は,「われわれは何者なのか」という疑問を投げかけた.
企業の本社の所在地を重視すべきであろうか,それとも,研究を生産を行う場所を重視すべきであろうか.
彼は,アメリカ国内で生活する人々にとって重要なのは,日本にあるアメリカ企業よりも,アメリカ国内で活動する外国企業であると主張する.
ライシュに異を唱える者たちは,彼が必要以上に先を見すぎていると批判する.
多国籍企業の大分文意は基本的に国籍があり,アメリカ国内生産の4分の3はアメリカ国内に本社を置く企業によってなされているのである.
けれども,ライシュの主張は将来を考える上での興味深い示唆ではある.
国境を超える投資の増加に伴って,アイデンティティが混乱し,「我々は何者なのか」という問題が複雑化しており,環境問題での相互依存の深化とともに,これが長期的な地球規模の問題に影響を与えるであろう.
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もし,アメリカが国内市場から「外国企業」を締め出したらどうなるか?
多分,世界規模での競争に耐えられない非効率的な企業を生み出すだけだろう.
保護主義的な政策の問題は,それが相手だけではなく,保護対象にもダメージを与える可能性があるところだろう.
この対応問題について,ナイ教授は1990年代の日米両国の貿易障壁についての交渉を例に出している.
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アメリカは日本の国内管轄問題に関して,強く圧力をかけた.
日本にはスーパーマーケットの規模に関する法律や,外国企業の市場への参入を阻む習慣があった.
このアメリカの外圧は日本の消費者を利することになったで,多くの日本の政治家と消費者はそれを歓迎した.
いわばアメリカの生産者と日本の消費者との間に,国境を越えた連合ができていたのである.
その代わり,日本政府はアメリカに財政赤字の削減を求めた.
アメリカの貿易赤字は財政赤字と関連しているからである.
つまり,日米の官僚は皮相な交渉をしていたのではなく,両国の主権に深くかかわる問題について交渉していたのである.
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詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.
【質問】
グローバルな情報時代におけるパワー分布とは?
【回答】
・現在のパワー分布は3層に分かれたチェス・ゲームのようなものである.
・3層のパワーのうち,最上位ではアメリカは帝国的単極化を達成できるものの,2層目,3層目となるにつれ,その力を行使できる場面は限定される.
・アメリカは「帝国」の定義とは異なる.
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従来の上から下への垂直式のパワーに加え,横のつながりによる水平のパワーが展開され,それぞれが複雑に絡み合う事によって「3層のチェスゲーム」のようなパターンが諸国家間に展開している.
この「3層のチェス」の1層目は「政治・軍事」であり,これが垂直方向の最上位に位置していて,この場面において,アメリカが軍事的な単極を展開している.
チェスの2層目は「経済」であって,この場面では,アメリカの単極と言えず,例えばEUが足並みをそろえた時は,アメリカも対等の立場での交渉を強いられる.
これについて,ナイ教授は以下のように例を挙げる.
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たとえば,反トラスト問題や貿易問題では,合意に達するために,アメリカも半ば妥協しなければならない.
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チェスの最下層,3層目は,政府の統制が届かない脱国家的主体がメインであり,テロリストから銀行家まで色々なアクターが存在してる.
この層では,パワー分布はかなり広くなっているとナイ教授は述べている.
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テロ以外の例を少し挙げるなら,国際資本市場での個人投資家の動き次第で金利によるアメリカの経済運営が制限されたり,麻薬貿易,エイズ,移民,地球温暖化が2国以上にまたがる深層の社会的原因を持ち,アメリカ政府の統制の及ばないものとなっている事が挙げられる.
こうした問題を論じるのに,1極構造や覇権,アメリカ帝国と言った伝統的な用語を用いる意味はない.
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さらに,アメリカ「帝国」論に関して,以下のように批判している.
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伝統的な軍事力基盤に帝国を論じる者は,一面的な分析に頼っている.
だが,3層構造のゲームでは,1つの層だけに集中して他の層や3層間の垂直の連関に注意を怠れば,失敗する.
テロとの戦いで最上位での軍事行動では,アメリカがイラクの専制体制を倒したが,同時に最下層の脱国家的局面では,アル・カーイダのネットワークが新たな志願者を募る能力を高めているという連関が想起されよう.
グローバリゼーションの闇の部分を代表するこうした問題は,本質的に多国間のものであり,問題解決のためには協力が必要とされる.
こうした世界をアメリカ帝国と表現しては,アメリカが直面している世界の実態を見誤ることになる.
さらに,そうした分析の別の問題として,アメリカの世論が古典的な帝国の役割に耐えうるか否かというものがある.
1898年に世界大国として浮上した時に,アメリカは一時的に真の帝国に陥る誘惑に駆られたが,公式の帝国の幕間は長く続かなかった.
イギリス人とは異なり,帝国主義はアメリカ人にとって,快適な経験ではなかった.
一貫して帝国への関心がほとんどない事を,世論調査は示している.
むしろ,世論は引き続き多国間主義に好意的であり,国連の活用を望んでいる.
おそらく,帝国と言う比喩を用いるよう勧めるカナダのマイケル・イグナチョフ(Michael Ignatieff)が,世界のアメリカの役割を「軽い帝国」と呼ぶのもそのためである.
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詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.
【質問】
もしこの先,ネットが普及している国同士(例えば日本と韓国とか)が戦争になったとして
,ネットの規制はどのようになると思いますか?
国内では2chのように好き勝手に言える掲示板があるし,韓国と日本ならネットで会話も出来る.
韓国のサイトへ行けないようにしても,アメリカの掲示板とかで韓国人と話そうと思えば話せる.
戦時下に敵国の国民と話せるという状況は,国としてはだめなんじゃないですか?
【回答】
以前NATOがセルビアを爆撃した時,セルビアでネットに繋いでるセルビア人の日記サイト(当時はまだブログという単語は一般的ではない)に空爆下の日記が綴られて,「自業自得」という英仏独の閲覧者と開設者の間でBBSで論戦が繰り広げられた,という例もある.
実際そのような形で国民個人レベルで外国の反応が直接聞けた,というのが,セルビアの政権が内発的に打倒された原因として大きい,と言われる.
なので敵国政府の情報統制を無効化する手段として,ネットは大いに用いられるのではないだろうか.
マトモな政府なら,もはや国民を露骨に情報統制することなど出来ないということは解っているはず.
もし仮に,法律などで他国との通信を制限しようとしても,インターネットはもともと中央の存在しない分散構造になっているし,さらには先進国の国民であれば世界最高の暗号が容易に手に入る.
Freenetなどの高い匿名性を実現するソフトなども開発が進んでいる.
そのことから,ネットの完全な情報統制は不可能,ということを前提に各国は情報戦略を練るだろうと予想はできる.
そこでむしろ,敵国の国民向けにも自国の国民向けにも情報をコントロールする手段の一環としての利用法を考えると思われ.
イラク戦争で,米軍はネット経由の情報操作を試みたが,イラク国内は端末が少なく影響力は限定的だったと思われる.
これ以上はなんとも.
軍事板
イラク戦争におけるバグダッド在住イラク人blog上の交流例をまとめた本として
「サラーム・パックス バグダッドからの日記」
があります.
あまりにもファンキーな兄ちゃんだったので,一時は実在してんのかと疑われたほどでした.
だがそれだけに,彼の戦争に対する皮肉には痛烈なものがあり.