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◆◆WMD(大量破壊兵器)関連
<◆経緯・背景
<イラクFAQ・目次
「WP」:Hussein Pointed to Iranian Threat――Specter of Arms Allowed Him to Appear Strong, He Told U.S.
「駐日米国大使館」:国連安保理決議に対するサダム・フセインの抵抗
【質問】
イラクの生物兵器開発は,いつ頃から始められたか?
【回答】
吉田一彦〔第2次大戦情報戦史家〕によれば,以下の通り.
1972年,イラクは生物兵器協定に調印したが,1979年に政権の座に着いたフセイン大統領は,それを批准することなく,1981年,秘密裏に生物兵器を開発する決定を下した.
そして,バグダッドの南,25マイルにあるサルマンパクに秘密の研究所を建設,技術研究センターという政府機関の管轄下に置いている.
ここにイラクの選りすぐりの生化学者をフセイン大統領は集め,広範囲に及ぶ攻撃型生物兵器開発に乗り出した.
集められた生化学者の中には,西側情報基間によって「ドクター病原菌」とか「毒性タハ」との異名を奉られているリハブ・タハ博士も混じっていた.彼女はイギリス,ノーウィッチにあるイーストアングリア大学のジョン・イネス研究所で博士号を獲得した微生物学者である.
イラクの生物兵器開発計画に含まれていたのは,炭疽菌・ボツリヌス毒素・コレラ・ペスト・サルモネラ・リシン・葡萄球菌・エンテロトキシン・アフラトキシンなどであり,「中東において最も規模が大きく,最も進んだ生物戦計画」という評価だった.
生物兵器生産は,砂漠の奥深くにあるアル・ハカムで行われた.
湾岸戦争が開始された1990年までに,このアル・ハカムの生産工場は,年間1300ガロンの凝縮ボツリヌス菌と1800ガロンの炭疽菌を作り出していたが,生産余力はまだ充分に残されていた.
また別のところでは,小規模ながらペスト菌生産も行われていた.
湾岸戦争で多国籍軍の爆弾が,このペスト菌保管所に命中したら大変だと心配していたのは,多国籍軍司令部ばかりではなかった.実は,イラク軍首脳部も極度の恐れを抱いていたのだった.
イギリスは,参戦兵士にペストのワクチンを投与する決定を下している.
湾岸戦争開始直前の1991年1月の時点で,生物化学兵器を搭載した爆弾並びにミサイルの弾頭が,サウディアラビアとイスラエルの隣接したイラク空軍基地4ヶ所に配備された.
アメリカとイスラエルの核攻撃によってバクダッドとの通信が途絶した場合には,時を失せず,それらを使用すべしとの命令が基地司令官に伝達されていた.
しかし,これらの兵器が実戦で使用される事はなかった.
(吉田一彦〔第2次大戦情報戦史家〕 from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.68-69, 抜粋要約)
【質問】
湾岸戦争時,イラクはどんな生物兵器をどれだけ保有していたか?
【回答】
吉田一彦〔第2次大戦情報戦史家〕によれば,以下の通り.
アンソニー・レイクの「6つの悪夢 6 Nightmares」,31項によれば,
・炭疽菌 2245ガロン
・ボツリヌス菌 5125ガロン
・VXガス 4千kg
国連と区別委員会 United Nations Special Commission on Iraq = UNSCOM による査察は,度重なるイラク側の妨害に出くわし,1998年には査察中止の事態に至った.それにより,上記兵器の行方が分からなくなった.
この他に行方知れずになっているものに
・細菌兵器を装填した航空機用爆弾が,少なくとも157発.
・細菌兵器を装備した弾頭つきのミサイルが,少なくとも25基.
・化学兵器を装填した各種弾薬が3万発以上
・前駆物質 precursor chemicals が4千t.
このリストを見ただけでも,並々ならぬ決意でイラクが生物化学兵器開発に取り組んでいたことが分かる.
(吉田一彦〔第2次大戦情報戦史家〕 from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.67, 抜粋要約)
【怪説】
大量破壊兵器は,湾岸戦争後の査察で大部分が破棄されている.
スコット・リッター Scott Ritter 氏によれば,90〜95%は破棄されているとのこと.
ブリクス Hans Blix 委員長も,今年2月頃未解決の問題としてあげていたのは30項目ほどで,かつてのイラクの保持していた武器からみれば一部だといっていいのでは?
イスラエルを攻撃した,かの有名なスカッド・ミサイルなどは,全て廃棄されている.
【事実】
スコット・リッター氏といえば,米国在住元国連主任査察官で,,日本を始め,世界中のテレビに出演してイラクを擁護し,反米派最強の味方になっていたが,最近になってフセインから40万ドル受け取っていたことがわかり,卑怯者扱いにされていることはご存知かな?
にも拘らず米国政府は寛容だな.さすが,自由の国だ.
http://www.worldtimes.co.jp/itenews/sample/2003/030504/04men/hired.html
(リンク切れのときはこちらへ)
(また,04年4月には,アル・カファジがスコット・リッターへの贈賄の事実を認めている)
「90〜95%は破棄されている」というのは,彼の都合のいい憶測であって,確認されたわけではない.
ブリクス委員長は,化学兵器3万発とか1千トン,生物兵器数千リットルとかが,廃棄された確認ができていないと言ってたね.テロには十分な量だ.
ブリクス委員長は,自分たちの出る幕がなくなり,最近はつんぼ桟敷におかれて批判めいたことを言ってるようだが,以前の国連報告との辻褄を合わせるために,
「フセインは自分を皇帝と思い込んだところがあって,力を示すために大量破壊兵器の存在を仄めかしていたのではないか」
などと言っている.
それとて裏を返せば,米国が武力行使に踏み切るに足る危険性を感じるのも無理はない,と言ってるようなもの.
http://www.imd-g.com/Debate_on_Iraq.htm
【珍説】
'02年11月8日に国連安保理が満場一致で採択した決議1441号を,フセイン政権は無条件に受け入れた.
【事実】
実際には,色々条件をつけているという.
以下引用.
「13日にナジ・サブリ外相が,国連のアナン事務総長に提出した回答書簡では,ブッシュ大統領を『暴君』,ブレア首相を『従僕』と呼び,さらに『悪の枢軸』に倣い,決議1441号を『邪悪な内容』としつつも,イラク国民に危害を与えないようにするため,『決議に対処する』となっている.
つまり,イラク側は大量破壊兵器の査察制度を強化した決議1441号を『受諾』したという表現はとっておらず,UNMOVIC(国連監視検証査察委員会)の査察についても,『行動を注視する』と述べており,明確な無条件受け入れではないということに注意すべきである.
決議1441号では,採択から30日以内(12月8日まで)に大量破壊兵器(NBC兵器・弾道ミサイル)の開発計画の全容を,安保理に申告しなければならないことになっている.
しかしイラクは,データ整理の時間がない『邪悪な内容』の決議であることを理由に,期限延長を求めるなどしている」
(恵谷治 from "SAPIO" '02 Dec. 11)
国連安全保障理事会決議1441(全訳はこちら)より抜粋
六七八決議は,一九九〇年八月二日の六六〇決議やそれ以降のすべての関連する決議を支持,実行し,その地域に国際の平和と安全を回復するため,国連加盟国にあらゆる手段を行使する権限を与えたことを想起し,
国連憲章第七章にのっとって行動し,
※国連憲章第七章とは「平和に対する脅威,平和の破壊及び侵略行為に関する行動」
13,これに関連し,安全保障理事会がイラクに対し,義務違反が続けば同国は重大な結果に直面するであろうと,再三警告してきたことを想起する.
【珍説】
フランス,ロシア等が決議1441の要件を満たしたと認めず,査察の延長を主張した以上,一方的に期限を設定し攻撃したブッシュの勇み足は免れようがない.
【事実】
査察の延長によって憂慮されていた核兵器が開発されてしまえば,国際社会はイラクに対して武力制裁が簡単にできなくなります.
また,過去虐殺事件で実際に使用された大量破壊兵器についても,現在に至るまで所在が判明していないものがまだありますからね.
これはどこに行ったのでしょうか? クルド人の圧殺に全て使用されたのですか? それとも他のテロ支援国家に持ち出されたのでしょうか?
そうであればそれで由々しき問題ですが,そのような報告は査察団によってなされていませんし,彼らの目的の一つに,この大量破壊兵器の発見と無力化と言うのもあったわけですが,時間切れが来るまでそれすら満足にできていませんでした.
つまり,そこまで周到に隠蔽されているというわけです.
追い詰められたフセインがイラクや周辺諸国へ,これら発見されなかった大量破壊兵器の使用を恫喝材料にして強硬な要求を行う可能性のほうが高いのですから,フセインは大量破壊兵器を廃棄した確証を査察団に明示する必要があったという事です.
これは北朝鮮にも言えることですがね.
対テロの戦いをアメリカに決断させたのはテロリスト自身の行動です.
イラクに対する開戦を決意させたのは自己の人道的責任を明確にしなかったフセインの責任でしょう.
ラディン,フセインへの懲罰によって多くのテロ支援国家の指導者が態度を改め,その元で暮らす市民達の血が流されずにすみそうなのは勝瑞です.
もちろん,一国の独断専行を許容するべきものではありません.
ですが,アメリカの行動に賛成している国があるという点で,一国による独断専行と言うものではないことは証明されてしまっています.
残念ながら世界には自国の犯罪的行為によって,悲しむべき孤立主義に陥リつつある国がいまだ存在し,国民は支配者の主張に無条件で従うしかない状況にあります.
米国が開戦を決意した時,米国国内やわが国においても反戦デモが起こりました.
イラクがクエートに侵攻した時,イラク国内で同じことが起きたでしょうか?
北朝鮮国内で,軍事パレードが行われているとき,その沿道に反戦,反体制の横断幕やプラカードがたったでしょうか?
どのように賛美しても戦争は忌むべきものであり,それに抗う精神を悪戯に貶めてはいけません.
しかし,少なくとも私の中において,テロ国家が私達に行う行動には口をつぐんで自らその誠心を貶めてしまうような人は,自己が属する民主主義の精神に基づいた自主独立のあり方について自己が評する言論について,何の説得力も持ち得ません.とても残念なことです.
【反論】
化学兵器じゃなく核兵器の話だというのに.
【再反論】
大量破壊兵器と核施設は別々に査察を受けていたんですよ.
それぞれ技術供与とIAEA協約の適切性と,国連軍によるイラクのクエート侵攻撃退後の戦後処理.及び人権問題調査です.
【珍説】
想像力を働かせすぎ.
同委員会のシャキール・アルジョバ応用核物理部長によると,精錬ウランは,核開発を目指していたイラク政府が78年にナイジェリアとポルトガルから輸入したものなどから作ったもので,ドラム缶約300本分を貯蔵.
その後,20年以上も貯蔵庫に眠っていた.
今年1月と2月にも国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)と国際原子力機関(IAEA)が査察に来たが,施設の安全性には問題はないと伝えられていたという.
http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200305060232.html
つまり,まずは濃縮施設を作らなきゃいけなかった訳だが.
イエローケーキなんてしょぼい話を大げさに書いて,恥ずかしくないのか?
イラク侵攻後,アメリカが貯蔵施設の管理をさぼっていたことの方が,よほど問題だ.
ちなみに,1981年イスラエルと91年の湾岸戦争の爆撃で原子炉は破壊された.
その他の国内関連施設3ヶ所も同様に,稼動できるような状態にないということで,イラク=イラク戦以前に精製された放射性物質が,用途を失ったまま長期間貯蔵されていたことになる.
このくらいの施設のプロフィールをIAEAが把握していないことなど,ありえない.
そうでなければ,襲撃事件はさぞアメリカの正当性を確実に優位にしていたと思われるが,その後略奪を放置した米軍のほうが逆にIAEAの被爆調査を妨害しておるわけです.
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/DU/no_du_report4.htm
【事実】
何をどう取り違えたか知りませんが,IAEAの要求は,『全ての核関連施設の常時監視』です.UNMOVICは核兵器も含む大量破壊兵器を調査していました.
またイエローケーキは,JCAサイトにおいて問題となっている劣化ウラン弾より放射能レベルが高く,そんな施設に管理の空白が数日できたとはいえ,一般人がやすやすと侵入して略奪が行えるような状態で,施設の安全性に問題が無いといえるわけが無い事は明白ですね.
また,同じ1月にUNMOVICのブリクス委員長,IAEAのエルバラダイ事務局長によって国連安保理で行われた『過去2ヵ月間の査察活動』について,イラクは「大量破壊兵器廃棄の要求に応えていない」と報告されている事については無視ですか?
それを受けて米国は態度を硬化させ,フランスは平和的解決のためにイラクへの国連査察の継続を呼びかける共同宣言を行ったわけです.
ここでやっと事態の深刻さに気付いたイラク側が生物化学兵器弾頭1発の存在を申告したり,ミサイル4基が解体されましたが,過去の事実を鑑みれば,それがイラクの全大量破壊兵器ではありえません.
その結果を受け,3月7日に最終期限が設定され,3月17日ブッシュ大統領がイラクに対してフセイン大統領の退陣などを求める48時間の最後通告を行い,ここにいたってフセイン政権にとっての悲劇が来たわけです.
ま,それより深刻なのは自分で『核開発をしている』とのたまう北朝鮮なわけですがね.
ちなみに,JCAサイトなんて客観性ゼロのサイトなんか,全然ソースとしての信頼性がないわけで.
【珍説】
国連憲章では「武力行使は慎まなければならない」と定められている以上,「深刻な結果」が直ちに武力行使に結びつくとは解しがたい.経済制裁の強化もある.
なお,1441号決議は国連安保理の新決議がなかったから無効.
【事実】
あのですね,こんなこと言いたくはないんですが,あなた関連資料をちゃんと調べてから書き込みしてますか? ちゃんと決議1441を全部読みました?
678決議には,
「以降のすべての関連する決議を支持,実行し,その地域に国際の平和と安全を回復するため,国連加盟国にあらゆる手段を行使する権限を与えた」
とありますね.
そして,「以降の関連する決議」の一つである687決議には
「イラクは,あらゆる化学・生物兵器,生物・化学剤のすべての在庫,関連するすべてのサブシステム,構成部分,およびあらゆる研究・開発・支援・製造施設を国際的監視の下で破壊,除去,または無力化することを無条件に受け入れなければならない
」
「イラクは,核兵器または核兵器に使用できる材料や研究・開発・製造施設を入手または開発しないことに,無条件で同意しなければならない」
という内容が含まれております.
つまり,687決議違反を理由に,678決議を根拠に,武力行使を行うぞと,そういうのが1441決議なのです.
イラクの義務違反については,フランスやロシアなども認めていました.つまり安保理の判断です.
争点は武力行使に新たな決議が必要か否かということだと思われます.
では,
「新たな決議は必要無し.1441で充分」
というアメリカの判断がなぜ通ったかといわれれば,これは「大国の一致」を原則とする国連のシステムすなわち拒否権が,アメリカに与えられていたからです.
【珍説】
伊藤正巳・加藤一郎著『現代法学入門』(1997 有斐閣双書)54頁には,
“法令が新たに制定され,または改正された場合には,「後法は前法に優先する」あるいは「後法は前法を廃する」という原則がある.
法令の制定・改正の場合には,それと抵触する規定はそれに応じて削除されるか改正されるのがふつうであるが,それが残されていた場合でも,後法が優先する”
と述べられている.
ゆえに,武力行使の根拠となる国連決議678号や687号は,1441号によって無効.
その1441には武力行使について述べられていないので,アメリカの行為は国際法違反.
【事実】
国連決議1441号は,678号や687号の改正決議ではないので,その原則には当てはまりません.
また,国連決議1441号は678号や687号の決議を無効とする条文が無いので,前決議も当然ながら有効です.
仮に,法令が新たにされても武力行使の根拠の法令に関して,1441ではなんら触れられてません.
要するに武力行使に関して,1441で後法が制定されていないので,前法の効力は残ります.
それどころか,
13,これに関連し,安全保障理事会がイラクに対し,義務違反が続けば同国は重大な結果に直面するであろうと,再三警告してきたことを想起する.
とも1441には書かれているわけだが.
【珍説】
イラク戦争開戦後,核開発施設さえ見つかっていない.
【事実】
IAEAが査察しようとしていたのは,そのものずばりの核施設だったわけですが.同団体が技術供与したんですから,当たり前なわけですがね.
それに例えば,イラク戦争後,全く注意されていなかった施設からイエロー・ケーキが発見されたことは,ご存知の方も多いでしょうが,原料段階とはいえ核物質であることに変わりはないわけです.
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/nybomb/iraq/wide/
IAEAの保障措置協定には,平和的な原子力活動に係る全ての核物質について保障措置を受け入れること(フルスコープ保障措置)を義務づけています.
つまり件の核物質がIAEAに報告され,そこに核物質があることが予め判明していれば全く問題なかったわけですが,施設確保後もIAEAから注意が行われておらず,住民等に被爆者まで出たわけで,この施設がIAEAに報告されていなかったことは明白です.
重大な国際保障措置制度違反ですわな.
これ一つとってもイラクがIAEAに対して不誠実だったという十分な証拠といえるのですがね.
【質問】
イラク戦争のそもそもの原因だった「イラクの大量破壊兵器」とやらは何時になったら見つかるのか? アメリカのやった事は,理不尽ではないのか?
【回答】
大量破壊兵器なんてただの口実だからねえ.WMDは有無そのものが開戦理由なのではなく,「これはWMDテロ予防戦争である」という主張の論拠の一つに過ぎないし.
過去フセインは隠れてNBC兵器を作っていたし,今後,絶対に作らないかと言えば,作らないと断言するほうが難しい.
それがテロリストに渡る可能性は「高い」
「なら,やっちまえ」がアメリカ的判断.
フセインは,911テロを歓迎する声明を直後に出しており,これは,アメリカ人にとっては,アルカイダの仲間だと告白したようなものだろう.
少なくとも,今は組んでなくても,これからアルカイダと手を結ぶつもりだとは解釈されるだろう.
あのときのアメリカ人に,「だからといって,そうとは限らない」とかいう理屈はごく一部の人にしか通じないだろうし.
で,今,批判されているのは,この「高い」の根拠になったデータが,恣意的にゆがめられたことではなかったかってこってす.
化学兵器なんて証拠隠滅は簡単だから,出てこなくても少しも不思議ではないです.
なお,「根拠になったデータが,恣意的にゆがめられた」かどうかについては,否定的な見解もある.
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A64626-2004Jan30.html
No Evidence CIA Slanted Iraq Data Probers Say Analysts Remained Consistent CIAのイラクWMD諜報の査察報告ではCIAが大統領府の圧力に影響されたことはなかったとの結論
議会とCIAが行っていたイラクのWMDの諜報情報の検証作業の結果(CIAのWMD情報は結果的には正確ではなく,過大評価だったが),諜報情報の解釈や結論の引き出しにおいて,ホワイトハウスなどの外部からの圧力に影響されてホワイトハウスの求める戦争を正当化するような歪曲を行うようなことはなく,そうした証拠やそれを示すものはなかったとの結論が出された.
CIAのスポークスマンは関連して,イラクでのWMD捜索は終了しておらずWMD存在の可否の最終的な結論を出す時期ではないとも述べた.また「CIAのアナリストと言うのはとても独立性の高い存在なので,圧力をかけたりすればそれに逆らうように反応する.そういう文化なのだ」とコメントした.
CSMが明確に書いていることなのだが,WMD問題では,二つの異なる問題が混同されているのが問題.
@WMDについての諜報機関の情報に誤りはあったか・・Yes.これはほぼ全ての人が,ブッシュ政権やブレア政権を含めて認めることで,改善が必要.
しかしWSJの言うように第一次湾岸戦争やリビアやイランでは過小評価,イラク戦争では過大評価だったわけで,完全に正しいものが可能なのかというのはディベータブル.
AWMD情報を歪曲したり圧力をかけて捏造したのか・・No.これはハットン報告が否定し,ディビッド・ケイも否定している.これがあればブッシュ政権ブレア政権の大きな問題になるわけだが.
また,以下のような報道もある.
これらの報道が正しいとすれば,大量破壊兵器を保有する気はフセインにじゅうぶんあったことは間違いないだろう.
イラク:大量破壊兵器,フセイン氏も実態知らず? 米誌報道
米国がイラク戦争の理由の一つとした大量破壊兵器開発について29日発売の米誌タイムは,当時のサダム・フセイン大統領も部下らにだまされて実際にはない兵器が存在すると信じていたのではないかとの見方を報じた.
同誌は,イラクでの大規模戦闘終結後も見つからない核・化学・生物などの大量破壊兵器の行方を求め,3カ月にわたってイラクの兵器科学者,関係業者,旧フセイン政権当局者らに話を聞いた.その結果,ほぼ一致して(1)大量破壊兵器計画は90年代に中止され,再開されなかった(2)計画に関する文書は破棄されたか,または保管されていない―としている.
また,フセイン元大統領は保有兵器の実態を知らなかった可能性があるという.
軍内部の証言によると,兵器関係の当局者は上から下まで,資金を絶やさないために兵器計画や実験結果をねつ造,計画の失敗などは元大統領に伝えていなかったという.(ニューヨーク共同,2003年09月29日)
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20030929k0000e030053000c.html
フセイン元大統領,イラン恐れ大量破壊兵器保持装う=CIA
[国連 24日 ロイター] イラクのサダム・フセイン元大統領は,イランからの攻撃を避けるため,大量破壊兵器を保持しているように装っていた可能性が高い.
米中央情報局(CIA)イラク調査団のチャールズ・デュエルファー団長が明らかにした.
同団長は,元大統領にとってイランの脅威は極めて現実的で,軍備の規模を実際以上に大きく見せる必要があったと説明.「イランの脅威に対する恐怖は,ワシントンにいては想像もつかないくらい大きかった」としている.
(ロイター通信,2005/5/25)
イラクの大量破壊兵器 『前線に配備あった』 (12月8日 中日新聞)
【ロンドン=沢田敬介】七日付の英紙サンデー・テレグラフは「イラク戦争前,フセイン元大統領が前線部隊に大量破壊兵器を配備していた」とする元イラク軍中佐(40)=現イラク統治評議会顧問=の証言を掲載した.
元中佐はこの中で,英政府が昨年九月に公表した報告書の関連部分について「百パーセント正確であり,情報源は自分だと思う」と述べた.
証言によると,イラク軍は昨年暮れ,大量破壊兵器の弾頭を元中佐の部隊や民兵組織サダム・フエダイーン,共和国防衛隊などに,バグダッド近郊の工場から運び込んだ.
これらの兵器は現在もサダム・フェダイーンが極秘の場所に管理しており,元中佐は「元大統領が拘束されれば初めて関係者が口を開くだろう」と指摘.
兵器が実戦で使用されなかったのは「イラク兵の大半が元大統領のために戦うのが嫌だったから」と明かした.
一方,誇張が指摘された英政府報告書が「四十五分以内に実戦配備できる」とした点に関しては,弾頭が携行型のロケット砲で発射される形式のため「四十五分どころか三十分以内で配備可能」とした.
元中佐は,ロンドンを拠点とするイラクの反体制運動組織を通じ,昨年初めから数回,英情報機関にイラク軍などの情報を流していたという.
なお,パウエル国務長官は2004/9/13の議会証言において,大量破壊兵器について「この先も発見されることはないだろう」と明言している.
また,イラクの大量破壊兵器に関する米調査団の最終報告書によると,99年の終わりにフセイン元大統領の側近だったアベドハムード・マハムード氏=03年6月に拘束=らが,北朝鮮との貿易関係の樹立を検討.同年12月に北朝鮮側の使節を招き,00年10月にバグダッドで協議することで合意した.ノドンとみられる射程1300キロの弾道ミサイル,沿岸警備用の射程300キロのミサイルの輸入,北朝鮮ミサイル技術者の派遣などが議題に上った.
00年末にイラクは,北朝鮮と少なくとも900万ドル(約9億9000万円)分の契約を結び,頭金として130万ドル(約1億4000万円)を支払った.01年後半にも北朝鮮側とミサイルの誘導制御の関連部品で調達契約を結び,シリア経由で運ばれる予定になっていたという.
それが実施された証拠は確認できなかったとしている.
日本の企業については,99年以降,ミサイルの推進燃料関連の材料を輸出したという.イラク企業を通じて推進燃料などに使われる末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)や,潤滑剤のジオクチルアゼレートの購入契約を結んだ.企業名については明らかにされていない.
そして最終的に,捜索活動は2004/12に打ち切られている.
以下,ソース.
イラクの大量破壊兵器捜索を打ち切り
【ワシントン=菱沼隆雄】マクレラン米大統領報道官は12日の記者会見で,イラクでの米政府調査団による大量破壊兵器捜索活動が昨年12月に終了していたことを明らかにした.
ブッシュ政権がイラク戦争の大義の柱に掲げながら未発見となっていた大量破壊兵器の捜索は正式に打ち切られた.
報道官は,昨年10月に同調査団がまとめた最終報告書を補足する文書が,2月に公表される予定であることも明らかにした.
報道官は
「捜索活動は終了し,(収集した)文書を通した作業が続けられる」
と述べた.
また,
「現時点で手にしている情報に基づいても,大統領は同じ行動をとった」
と,開戦の正当性が失われたわけではないことを改めて強調した.
同時に,CIAも情報を今になって修正している.
CIA,イラク兵器情報の修正に着手=「北朝鮮・イランも見直しを」と議員
【ワシントン1日時事】米中央情報局(CIA)は最近,イラクの大量破壊兵器に関する情報評価を修正する報告書の作成に着手した.ロイター通信が1日伝えた.
それによると,1月18日付の報告書は「フセイン大統領は1991年の湾岸戦争後,大規模な化学兵器計画を放棄した」と結論付けている.
今後,核兵器や生物兵器に関しても,従来の情報を見直す内容の報告書が出る見込みという.
米調査団は昨年10月,イラク戦争の大義名分となった大量破壊兵器は,実際には存在しなかったと結論付ける報告書を発表したが,CIA自身による情報修正は初めて.
ハーマン下院議員(民主)はこれに関して声明を出し,
「CIAは大量破壊兵器に関する情報評価が間違っていたことをようやく認めた」
と指摘.北朝鮮とイランの大量破壊兵器に関する情報も,見直しが必要だと強調した.
結局,
「計画は頓挫していたが,フセイン大統領は,WMDが存在しているかもしれないよう見せかけた」
が,真相に近いと思われる.
【質問】
化学兵器の証拠隠滅は,簡単なんですか?
【回答】
オウム真理教レベルの組織でも,サリンそのものは簡単に隠せたでしょ?
サリン sarin やタブン tabun は殺虫剤の開発中に副産物として出来たものだし,エゼリン eserine なんか本来緑内障の治療薬だったりするので,”ヨーロッパ薬剤メーカーの支援”で作られたイラク内のBC兵器プラントも,24時間以内に通常の薬剤研究施設に完全な偽装が可能との調査結果が出てる.
査察なんかも抜き打ちで即日決行じゃなきゃ何の意味もない.
【質問】
イラク側は開戦前から,その種の化学兵器は全て処分したと説明してた訳だが,その説明通り,既に処分済みと考えてるんですね? つまりイラク側が正しかったと?
アメリカは信用せずに戦争を仕掛けて,しかし未だに見つかってないけど.
【回答】
お手軽に大量破壊兵器を製造・使用して自国民(クルド人・南部シーア派のイラク国民)やイラン兵を大量虐殺した前科が有り,契約違反を屁とも思ってない独裁者の自己申告を信用するほど,アメちゃんは甘ちゃんでは無かったと言う事ですな.
まあ,「殺られる前に殺れ」と「一発目は誤射かもしれない」の間で右往左往するのが外交ってもんよ.
査察制度に対する態度を見るに,フセイン政権が存続する限り,大量破壊兵器問題は本質的解決を望めないので,それゆえ打倒する,というのがブッシュ政権の論理です.
この論理を正当化できないとするなら,戦争しなくても査察の継続によって最終的な解決が可能だった,と証明することが必要になります.
【質問】
それは,要するに「アメリカ様の御意向が,世界の法律だ!!」,と?
「疑わしきは罰せず」が法の精神ではなかったろうか.
フセインが気に食わず信用できないのは良いが,だから戦争を仕掛ける理由にはならない.
国連の査察も継続されていて,フランス・ドイツ他各国がアメリカのイラク戦に反対してた.
【回答】
「アメリカ様の御意向が,世界の法律だ!!」なんて,誰も言っとりゃせんがな.
まずね,サダム・フセインの約束は,これまでの前科から考えれば,空手形に終わる可能性が高い.
空手形を空手形で終わらずに済ませるには,誰かが手形に裏書きして,信用保証せにゃならんの.
ところが,裏書できるに足る保証人が,誰もいなかったわけよ.
国連は,1年間で終わらせるはずの査察をずるずるとフセインによって引き延ばされた上,フセイン・カーミル亡命事件によって,査察の間も極秘にNBC開発やってたってことが発覚したりしている.
上で述べられている抜き打ち査察だって,開戦が近付くまで全然できなかった.
これじゃ保証人失格だわな.
仏露が反対していたのは,要するに,ここでフセイン政権が倒れると,債権回収ができなくなるからという,実に下世話な理由.
しかも彼らも,はっきり「ない」とは断言していないし,
この2国が,フセイン政権の信用保証してくれるか?,
フセインが約束破ってNBC兵器作ってテロリストに渡して米国を攻撃したときに,この2国は米国へ損害を補填してフセイン政権を米国の代わりに叩き潰してくれるか?,
と言えば,そんなことはしてくれないし,できもしない.
(仏なり露なりが核を使えば,フセイン打倒自体は簡単にできるけど,国際世論が核使用を許すとも思えない).
じゃあ,国際法は保証になるかっつったら,この法は全然強制力ないんで,フセインが破っても,フセインが一国の権力者である限りは彼に何らペナルティはない.
いくら「疑わしきは罰せず」といったって,実際に被害を受けてからでは遅いし,そんなことになったらたまったもんじゃない,ってのがアメリカの立場だし,このアメリカの過剰な危機意識を和らげるくれるべき,保証人のある約束手形が存在しなかったってのが,開戦に至る一つの理由だろうね.
まあ,ネオコンがいなかったら,ミサイル攻撃だけで終わったかもしらんが,そのへんの「IF」は,神のみぞ知る,だわな.
【質問】
○○市在住の××氏は,「前科があって疑わしい」.家宅捜査を行ったが,証拠が出てこない.と言う事は,よっぽど上手く凶器を隠してるに違いない.
よって警察が急襲して,家を破壊し,抵抗する家人を殺傷し,家に火を付けて・・・で良いの?
あくまでも,今回のイラク戦争の理由は,こうだったはずだ.
「国連の査察でも見つからないが,フセインは大量破壊兵器を隠しているはずだ!
それがテロ組織に渡る危険性があるはずだ!
今すぐではないが,何年か後,あるいは何十年か後に,その危険があるように思えて不安でならない!
だからアメリカとしては国際的に承認を得ないままで先制攻撃してしまって構わない!」
こんな曖昧な身勝手な理由で,他国の政権を破壊し,自分の都合のいい政権をでっち上げることに,正当性や道義性があるのか?
(小林よしのり from "SAPIO" 2003/5/14,P.56,抜粋要約)
【回答】
「前科があって疑わしい」だけではなく,
「××氏は,密かに犯罪者とつるんで,犯罪者の銃口をこちらに向けさせている.
××氏をきちんと監視し,銃口を下げさせてくれる保安官は,町内(国際社会)には見当たらない.
だったら撃たれる前に撃て」
が,ブッシュ政権的見方.
その辺の外交的正当性は,上述の通り.
ちなみに,フセイン政権が存続していた場合,小林の書いている「あるいは何十年か後」より遥かに早く化学兵器を開発できただろう事は,オウムが何年でサリンを作れるようになったかを考えれば,簡単に推測できる.小林の言説は,明らかに詭弁めいている.
国際社会が刑法の論理で動いているというならば,米国が「アンタとは取引できん」と商売を切っただけで殴り込みをかけた日本なんか,一切弁護できないわけだが(笑). 湾岸戦争以来,イラクは大量破壊兵器に関する国連査察を欺き続け,16回に及ぶ国連決議違反を繰り返してきた.
査察で発覚した大量破壊兵器が一部廃棄されたと確認されたことは事実だが,政府が隠そうと思えば,広大な国土のどこかに隠せるのは当然で,パウエル国務長官の機密情報開示によって,イラク軍将校の会話が公開され,イラクがそのような意図を持っていることは,ほぼ確実だとアメリカ国民は思っただろう.
【国連査察団の査察開始前日の昨年11月26日に,二人のイラク軍将校同士が交わしたとされる通信内容】
大佐 「ちょっと質問があるのですが」
准将 「何だ」
大佐 「あしたの委員会(査察)ですが」
准将 「何だ」
大佐 「モハメド・エルバラダイ(国際原子力機関事務局長)と」
准将 「何だ?}
大佐 「改造車があります.彼らが見たら何と言えばいいのでしょう?」
准将 「改造なんてしていないし,そんなものは持っていないだろう?」
大佐 「一台あります」
准将 「どれだ.作業場からか?」
大佐 「(禁止されている武器を製造する)アルキンディ社からです」
准将 「午前中に会いに行く.心配だ.お前は全てを残しているのではないか」
大佐 「我々は全てを移動しました.何も残っていません」
准将 「あす会おう」
大佐 「わかりました」
准将 「本部で会議がある.その前に会いに行く」
【二,三週間前に傍受された共和国防衛隊の司令官同士の通信内容】
大佐 「これを書き取れ」
大尉 「了解」
大佐 「イブラヒム大尉か?」
大尉 「聞いています」
大佐 「使うな」
大尉 「(復唱して)使うな」
大佐 「あの表現を」
大尉 「あの表現を.了解」
大佐 「神経ガス」
大尉 「神経ガス」
大佐 「どこであろうと」
大尉 「了解.どこであろうと」
大佐 「無線の指示の中で」
大尉 「指示の中で」
大佐 「修正.無線の指示」
大尉 「無線の.了解」
大佐 「わかったか」
大尉 「了解しました」
しかも,日頃の演説内容や米国大統領暗殺未遂事件でもわかるように,フセインが米国に敵意を持っていたことも明らかだった.
イラク軍将校の会話や米国大統領暗殺未遂事件にどれほどの確証があるのかと言う者もいるであろうが,
(危険の程度)×(その危険が起こる確率)=危険度
において,感覚として得られる確率を非常に大きいものにすることに変わりはない.
しかも,大量破壊兵器が米国の大都市で使用された際の危険の程度は計り知れないものがある.
明白な証拠もなしに,そのような危険度で武力行使をするのは国際法違反だと言う人もいるだろう.
だが,他国であるという理由によって,FBIがやるような徹底した捜査ができない状況下では,証拠も示せない.
ならば,この種の危機に対し,無防備かというとそうではない.
そこに働くのは人間に生まれながらに備わっている危機回避のための予測に基づいた行動なのだ.
http://www.imd-g.com/Debate_on_Iraq.htm
+
「テロ戦争による臨戦状態を,アメリカの立場の理解という確度から眺めてみましょう.
アメリカは実際に,9/11テロで歴史上かつてないほどの傷を受けました.
テロの起きた後,何もしなければ,またこういう大打撃を受けるだろう,という懸念は,官民両方で広範に深まりました.現に政府高官がはっきりと,そう述べるのです.
『テロリストを放置しておけば,アメリカ社会はいつ,どうなるか,全く分からない』と.
だからそういう認識から,ブッシュ政権は,こちらに攻撃をかけてくる相手には,予防のための先生攻撃をしてもやむをえないという結論をだしました.
〔略〕
軍事超大国のアメリカでも,衝突の相手が国家ではなく,テロ組織となると,対応を根本から変えざるを得ません.従来の抑止という機能が効かないからです.
戦争や攻撃の抑止というのは,もし相手がアメリカに攻撃をかければ,その相手が確実に手痛い反撃を受ける.場合によっては攻撃の10倍,20倍もの反撃を受け,攻撃をかけた国は滅びるだろう.
もしそういう展望がはっきりしていれば,アメリカへの攻撃を考える国も,その攻撃は抑制してしまうわけです.この効用が抑止なのです.
ですから,抑止される側は,まずある程度の理性的思考と判断ができる主体でなければならない.でないと抑止という機能は働かないのです.自分が滅びても一向構わないと考える相手には,抑止は効きません.
しかも,抑止の働くもう一つの用件は,その相手の存在がはっきり目に見えて分かるということです.つまりは主権国家でなければならない.フセイン政権下のイラクであるとか,中華人民共和国であるとか,その存在がはっきり見えなければ,攻撃を受けたアメリカの側も反撃ができません.
ところがテロリスト組織は,抑止の機能に必要なこの2つの前提のいずれをも満たしていないのです.テロ組織は日頃目に見えない.しかも理性的判断をしない.自滅,自殺してもいいという場合が多いでしょう.
こういう相手だと,従来の抑止機能が作用しないのです.主権国家であっても,理性的判断をしないような国もあります.ブッシュ大統領が『悪の枢軸』と呼んだ3ヶ国などは,それに近いというわけです.
だからアメリカは,自国の安全保障のために,従来は反撃能力を誇示しておけば抑止が機能して,安全だったのが,反撃の態勢保持だけでは十分ではなくなってきたわけです.
〔略〕
目に見えないし,合理的な考え方もしない.こういう相手に対しては,相手がアメリカへの攻撃の準備に着手したと分かれば,その段階で先に攻撃し,相手の攻撃を防ぐという対応が必要になってきた.これがブッシュ政権のいわゆる先制攻撃の新戦略です.英語ではpremptive(=予防の)という言葉が使われます.プリエムプティヴ,まさに起きようとする事態を寸前に,前もって防ぐ,空洞化してしまうという意味,つまり予防攻撃です.
しかし,これもあくまで臨時の戦争状態の中での対応です.この状態がこれからもいつまでも続くというわけではありません.今の一種の臨戦状態の一部だけを見て,アメリカはちょっと異常だから,駄目だと断定して,反発しようというのは,木を見て森を見ず,という対応です.視野狭窄の,ためにする議論だと思います」
(古森義久 from 「反米論を撃つ」 恒文社21,P.236-238 )
【珍説】
国際法を考慮せずに戦争を仕掛けるような連中は,野蛮としかいいようがない.単なる馬鹿だ.
日本だって,幕末の頃には,竜馬は既に国際法の重要さを認識していた.
日清,日露を戦った日本政府とその軍は,国際法を常に意識しながら戦っている.
為政者なら,当然のことだ.
【事実】
国内では,ある人間がどんなに危険だと思われていても,確固たる証拠がない限り,刑罰を与えることはない.この原則を可能にしているものは,国内の場合は徹底的な捜査が可能であるということだ.
しかし,他国の場合はそうはいかない.
従って,各国は情報を基に危険度を予測して行動することになる.
もちろん,これを無制限に認めたなら,軍事大国がやりたい放題という世界になってしまう.
その辺の線引きが難しいのであるが,国際社会が国内裁判に匹敵するような証拠能力を求めるなら軍事大国は,端から国際世論を無視する姿勢をとることになる.
更に,当事国が感じる危険度というものが,他国にとっては過小に評価される傾向も考慮しなければならない.
以上のようなことを織り込んだ安全保障というものを考えないと,世界の真の安定は望めない.
http://www.imd-g.com/Debate_on_Iraq.htm
これらの条約〔国際法〕が無視されている兆候のほうが,遵守の兆候よりも各段に顕著である.
一つだけ例を挙げれば,1948年に制定されてから98年夏までの間に,ジェノサイド条約によって有罪とされた事例は一件もない.98年夏に初めて,ルワンダにおける集団虐殺の煽動者の一人が,アルーシャの国際法廷で有罪を宣告されたのである.
人権分野では条約の数は増え,各国における人権擁護活動家の人数も増加してはいるが,それでも酷い虐待がひっきりなしに繰り返されている.
戦争法規に関しては,戦場での道義は常態と言うより,以前として例外に留まっている.
実際のところ,我々は国際社会で,国家主権という古いドクトリンと国際的な相互依存および共同責任という新たに生まれた倫理との板挟みになって,どっちつかずの中間領域に留まっている.
(Michael Ignatieff, a writer & journalist,
「仁義なき戦場」,
毎日新聞社,1999/10/30,p.2-3,抜粋要約)
「戦争とは,敵を強引にこちらの意に従わせるための武力行為である.
武力には国際法とか慣習と呼ばれる,ことさら言うまでもないような,幾つかの自らの課した微々たる制限がついているが,それが武力を弱めることはまずない」
(カール・フォン・クラウゼヴィッツ)
【質問】
ケイ博士はWMDは無かったと言っている.戦争支持の根拠は?
平野達男議員(民主党)
【回答】
小泉首相:「ケイ博士はイラクは危険な国であり,米英の決断は賢明だったとも言っている」
平野議員:「ケイ博士がどう言おうと関係ない.根拠を聞いている.総理は関係ないことを言っている」
小泉首相:「ケイ博士が関係ないのなら,なぜ引用するのか」
平野議員:「私がどこで何を引用したというのか.引用したのは,WMDが無い,ということ.戦争支持の根拠を問うときには引用してない.私は大義の話をしている.もう一度答弁を」
小泉首相:「WMDが無い,って引用してるんでしょ? だから私も引用したんです」
平野議員:「じゃあもう一度お聞きします.大量破壊兵器…(以下,エンドレス)
上記該当部分を国会会議録より発見.
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/159/0079/15902090079005a.html
ボニャッキー in 「軍事板常見問題mixi支隊」
【質問】
サダム・フセインに対しては,
「大量破壊兵器がないということを示せなかった側に責任がある」
と言い,永田議員に対しては
「証拠がある,という側に挙証責任がある」
と言う小泉首相はダブル・スタンダードでは?
【回答】
イラク戦争直前まで,イラクに大量破壊兵器があるかどうかは
「持っている危険がある,そう疑う根拠もある」
と言うのがアメリカの主張だった.
それの真偽を確かめる為,欧州はイラクの施設査察を要求していたし,イラクが大量破壊兵器を
「持っていない」
と言うことを主張する為には,査察を受け入れるなり明白な証拠を提出するなりする必要があった.
それを拒んだ以上,冤罪であろうともその冤罪を晴らす機会を自ら捨て去ったフセインにも,責任の一端はあると言わざるをえないわな.
で,現在の永田疑惑に関してだが,むしろ永田こそフセインなんだよ.
「武部次男が堀江から金を受け取った証拠を持っている」
と主張して,それが嘘だと言う疑いに対して明確な証拠を出すなりメールの出所の検証を受け入れるなりする責任があるのにそれを拒んでいる.
まさにイラク戦争前のフセイン状態.
はっきり言って,本当に武部次男に金が渡っていたのが後に判明しても,現状のままでは
「捏造メールで一般人吊るし上げ」
と言う永田の蛮行が正当な行為だったと認められることはないだろうな.
フセイン「大量破壊兵器は破棄した!」
国連「・・・」
フセイン「早く制裁を解除したらどうなんですか」
ブッシュ「いや,先に施設を見せろよ」
フセイン「この施設は,最大限守ってあげたい」
ブッシュ「偽証なんじゃねえの」
フセイン「どのようにして,その先入観を打ち破る事が出来るのか.本当に悩ましい」
パウエル「査察団の立ち入りを拒否している間に証拠物件を持ち出してただろ」
フセイン「この一方的な攻撃.この風景.こんなところに施設を見せたらかなわないと感じるのは当然」
ブッシュ「だったら破棄したなんて言うなよ」
フセイン「一言聞いただけでガセだと決め付ける,言論封殺,もっとも恥ずべき行為」
パウエル「安保理決議で決めただろ.早く破棄しろ」
フセイン「どのような条件をクリアすれば,真性なモノと認める事ができるのか,知恵を貸してください」
ブッシュ「おまえが破棄したって言ってるんだろうが」
簡単に言うとこういうことですよね.
不正な金=大量破壊兵器,施設=銀行口座.
国連「大量破壊兵器無いって言うんだったらさ,一緒に見に行こうよ.ほんとに無かったら君が正しいんだからさ」
武部「本当にそんな振込みがあるって言うんだったらさ,一緒に見に行こうよ.ホントに有ったら君が正しいんだからさ」
黒木竜 in mixi 支隊
【珍説】
2004/5/25に発見されたサリン砲弾は,イラク戦争前にフセイン政権が意図的に保有していた大量破壊兵器の可能性は低い.
サリン含む爆弾と断定 イラク,湾岸戦争前に製造か
【ワシントン25日共同】
米国防総省は25日,イラクのバグダッド国際空港近くで発見された爆弾に含まれていた化学物質が猛毒のサリンだったと断定した.米CNNテレビなどが伝えた.
路上爆弾に転用された砲弾にサリンが含まれていた.製造時期を示す表示はなかったが,米軍関係者は砲弾の状態から1991年の湾岸戦争より前に製造されたとの見方を示した.
爆弾は15日,米軍の爆発物処理班が作業中に爆発,米兵2人が治療を受けた.現地試験の結果でサリンとみられていたが,同省は確認のためあらためて米国内で試験を行っていた.
イラク戦争前にフセイン政権が意図的に保有していた大量破壊兵器の可能性は低く,かなり前から放置されていた砲弾を,武装勢力がサリン入りと知らずに爆弾として利用したと見られる.
【事実】
「これはサダムが廃棄したといっていた化学爆弾が実際には廃棄されなかったことを示すもの」
という見解を米国防省は持っている.
事件をロイター(英文)が伝えると↓
U.S. Testing Confirms Sarin in Iraq Shell
国防省がイラクで発見の化学爆弾をサリンと確定
"This is likely to represent some of the stuff which he (Saddam) claimed to have destroyed and didn't," another U.S. official said.
"It doesn't demonstrate, doesn't prove at this point, new renewed production, but it is one piece of the puzzle and a not insignificant one," the official said.
国防省の高官は
「これはサダムが廃棄したといっていた化学爆弾が実際には廃棄されなかったことを示すもの」と述べた.「それは,今の時点で化学爆弾が(湾岸戦争後に)再生産されなかったと証明するものではないし再生産があったと証明するものでもない.これは謎のひとつであって,それは些細なことというわけではない」
なお,FOX NEWSによれば,
「イラク国内でもサダムがサリンなどの化学爆弾を使い,その被害にあったクルド族の地域では化学弾頭などがいまだにバース党員たちに秘蔵されていると疑う人は多い.
国連のクルド族代表,Howar Ziadは
『サダムの化学弾頭などが隠されていたり,隣国に運ばれている可能性がある』
という.
サダム政権は湾岸戦争後化学弾頭などのWMDを国連の指示より廃棄したとしているが
『サダムはこういう問題について,誰の指示にも従わない.彼は国民に化学弾頭を平気で使うような男だから.
それに,国連もWHOもクルド地域の化学爆弾被害には調査すらしていない』」
という.
ただし,Fox Newsは,報道の中立性に疑問もある.
【質問】
WMDの存在について,米諜報機関はなぜ情報分析を誤ったのか?
【回答】
情報源の不足と,9.11後の過剰反応,そして政権からの暗の圧力.
国連査察団がイラクを離れると,査察団に工作員を潜り込ませていたCIAは,貴重な情報源を失った.
最新の情報を入手できなくなったアメリカは,フセインの過去の記録を頼りに対イラク政策を考えるようになった.
代わって,イラク人亡命者やメディアが大きな役割を演じるようになった.
CIAの分析官はこうした報道の信憑性を疑問視したが,国防総省の情報部門はホワイトハウスに伝えた.
CIA自身も,新たな脅威を軽視するわけにはいかないと認識していた.9.11テロを防げなかった不手際をめぐって,批判に晒されていたからだ.
ブッシュ政権の高官が情報当局に圧力をかけた事実はないかもしれない.だが彼らは,国連の査察報告を軽視するなど,自分たちがどんな情報を欲しいのかを暗に示してきた.
(ニューズウィーク日本版 2004年2月11日号 P.22,抜粋要約)
情報機関に全ての責任を負わせるかのような論調には,Michael
O'Hanlonも,"Can the C.I.A. Really Be
That Bad?"と題する論文の中で,「責任転嫁である」と批判している.
以下,その全文(翻訳は機械訳).
WASHINGTON ―The Senate Intelligence Committee
has had its say on the debacles leading up
to the Iraq war, and America's intelligence
agencies have come in for the lion's share
of the blame. Some of the committee's findings
were useful and constructive. But over all,
the report's scathing indictment of American
intelligence is seriously unfair. Leave aside
the broader political issue, that of whether
the report was designed in part to find a
convenient scapegoat for the failings of
political leaders. Simply on the technical
merits of the case, the intelligence community's
performance, while far from superb, was hardly
as bad as the senators assert.
ワシントン―The上院情報委員会は,イラクの戦争につながる敗退の上にその発言権を持っていました.また,アメリカの情報局は,非難の大半のために中へ入りました.委員会の発見物のうちのいくつかは有用で建設的でした.しかしの上にすべて,報告書のアメリカの情報機関の痛烈な起訴はひどく不公平です.より広い政治的な問題(報告書が一部分政治的指導者のfailingsのために便利な身代わりを見つけることを目指したかどうかのそれ)を離れてください.単にその事件のテクニカル・メリット上で,知能コミュニティーのパフォーマンス,一方,遠くに,から,素晴らしい,上院議員が主張する同じくらいほとんど悪くありませんでした.
There are three main issues to consider.
Did Iraq possess chemical and biological
weapons in the period just before the American-led
invasion? Had it reconstituted its nuclear
weapons program? And did it have meaningful,
operational links to Al Qaeda?
熟慮するべき3つのメイン問題があります.イラクは,ちょうどアメリカ人主導の侵入の前の期間の化学・生物兵器を所有しましたか.それはその核兵器プログラムを再構成しましたか.また,それにはアルQaedaへの意味があり運用上のリンクがありましたか.
As we have been learning over the past 15
months, and as the Senate report has just
reconfirmed, the intelligence community indeed
did get its answers to the first two questions
wrong. But it clearly got the third right.
Moreover, on the vital matter of chemical
and biological agents, the agencies' overall
assessments were entirely reasonable. Yes,
with the advantage of hindsight and complete
access to Iraqi territory we now know they
were largely wrong. But we did not have such
hindsight or access in 2002 and early 2003.
私たちが過去15か月の間学習していたとともに,および上院報告書がたった今再確認したように,知能コミュニティーは確かに最初の2つの質問悪へのその答えを得ました.しかし,それは明白に第3の権利を得ました.さらに,化学と生物学の代理人の重大な問題においては,機関の全面的な評価は完全に合理的でした.はい,後知恵およびイラクの領域への完全なアクセスの利点で,私たちは,それらが大部分は間違っていたことを今知っています.しかし,私たちは2002年および2003年の初めの中にそのような後知恵あるいはアクセスを持っていませんでした.
Let's face it, it would have taken an overwhelming
body of evidence for any reasonable person
in 2002 to think that Saddam Hussein did
not possess stockpiles of chemical and biological
agents. Admittedly, the intelligence community
was too quick to believe the Iraqi exiles
who told stories about mobile biological
weapons laboratories and the like.
それに面しましょう,サダム・フセインが化学と生物学の代理人に備蓄を所有しなかったと思うことは,2002年に任意の合理的な人のための証拠の圧倒的な集まりをとっていたでしょう.明白に,知能コミュニティーは迅速すぎたので,可動性の生物兵器研究所およびその他同種のものに関する話を話した,イラクの亡命者を信じることができませんでした.
But the basic facts still suggested strongly
that Iraq had plenty of weapons of mass destruction.
The United Nations and most European and
Middle Eastern intelligence outfits had the
same incorrect beliefs as our agencies, for
the same understandable reasons. Saddam Hussein
had used chemical weapons in war and against
his own people in the 1980's. For more than
a decade after the Persian Gulf war, he obstructed
international inspectors' efforts to find
and destroy such weapons, ensuring that United
Nations sanctions that cost his country more
than $100 billion would remain in place.
He had his underlings confront the inspectors
on several occasions in ways that led to
military strikes against his security organizations.
It certainly looked as if he valued chemical
and biological agents a great deal, and was
prepared to do a lot to hold onto them.
しかし,基礎的な事実は,イラクが多量破壊の多くの武器を持っているとまだ強く示唆しました.国連およびほとんどのヨーロッパと中東の知能用品は,同じ理解し得る理由のために,私たちの機関と同じ正しくない確信を持っていました.サダム・フセインは,戦争の中で,および1980年代の自分の人々に対して化学兵器を使用しました.ペルシャ湾戦争の後の10年間以上の間,彼は,彼の祖国に1000億ドル以上を要した国連の制裁が適所に残るだろうということを保証して,そのような武器を見つけて破壊する国際的な検査官の努力を妨害していました.彼は,下級者に,彼のセキュリティ組織に対する軍事攻撃に結びついた方法でいくつかの場合の検査官に直面させました.確かにあたかも彼が化学と生物学の代理人を大いに評価し,かつそれらを保持するために非常に行う覚悟をしていたように見えました.
As for the supposed links between Saddam
Hussein and Al Qaeda, the available evidence
points strongly to one conclusion, the same
conclusion that the intelligence community
consistently reached: the Bush administration's
frequent insinuations that Saddam Hussein
may have had an active collaboration with
Al Qaeda, perhaps even assisting the 9/11
hijackers in some way, are without foundation.
The intelligence community clearly stated
this throughout the debate over Iraq. Even
when Secretary of Defense Donald Rumsfeld
was talking about "bulletproof"
evidence of strong linkages in the summer
and fall of 2002, the intelligence community
demurred ? within the halls of the executive
branch and in public.
サダム・フセインおよびアルQaedaの間の想像されているリンクに関しては,利用可能な証拠ポイント,1つの結論に強く,同じ結論,それ,一貫して達した知能コミュニティー:サダム・フセインがある方法で恐らくさらに9/11人のハイジャック犯を支援して,アルQaedaと活発な共同作業を持ったかもしれないというブッシュ政権の頻繁な当てこすりは,基礎がありません.知能コミュニティーは,明白にイラクについての討論の全体にわたってこれを述べました.国防長官ドナルドRumsfeldが"について話していた時,偶数です;bulletproof"2002の夏および秋の強いリンケージを示す証拠,知能コミュニティーは反対しました?行政部門の,および公的にホール内に.
It is only on the nuclear question ? admittedly
a very important one ? that the Central Intelligence
Agency and other agencies truly dropped the
ball. They bought into the idea that Saddam
Hussein had reconstituted his nuclear weapons
programs largely on the basis of flimsy reports
of possible Iraqi efforts to obtain uranium
and centrifuge components from abroad. Even
if those reports had all been true, the imports
would have been nothing more than raw materials
for a nuclear program that would have required
several more years to produce even a crude
bomb.
それは核質問上にのみあります?明白に非常に重要なもの?CIAおよび他の機関は本当にボールを落としました.彼らは,サダム・フセインが大部分は外国からウラニウムと遠心分離機のコンポーネントを得る可能なイラクの努力に関する薄弱な報告書に基づく彼の核兵器プログラムを再構成したという考えを受け入れました.それらの報告書がすべて真実だったとしても,輸入品は天然のままの爆弾さえ生産することをさらに数かの年に要求していた,核プログラム用まさに原料でしょう.
Again, less-than-credible reports from less-than-credible
people were used to confirm assumptions that
intelligence analysts should not have allowed
themselves to believe so strongly in the
first place. It seems likely that the intelligence
community, which had been surprised in the
aftermath of the Persian Gulf war at how
far Saddam Hussein had gotten in his nuclear
programs before 1991, did not want to make
the same mistake again. So it overcompensated.
And the mistake by George Tenet, the director
of central intelligence ? letting the famous
16 words about Iraq's purported pursuit of
African uranium into President Bush's 2003
State of the Union speech ? made things even
worse.
再び,未満で確実な人々からの未満で確実な報告書は非常に強くまず第1に信じることを情報アナリストがそれら自身認めてはならなかった仮定を確認するために使用されました.知能コミュニティー(それは,サダム・フセインが1991年の前に彼の核プログラムの中でどれくらいの距離得たことがあるかでペルシャ湾戦争の後に驚いた)が,同じ誤りを再び犯したくなかったことはありそうに見えます.したがって,それは過補償をしました.またジョージ・テネット,中央の知能の管理者による誤り?ブッシュ大統領の2003年の一般教書スピーチへイラクのアフリカのウラニウムのうわさされる追求に関して有名な16単語をさせること?事態をさらに悪くしました.
But even on the nuclear issue, enough information
was available for others to reach their own
assessments. That the Bush administration
had a clear agenda and interpreted all intelligence
on Iraq in the most inflammatory way possible
was its failing. But members of Congress,
including those on the Senate Intelligence
Committee, had enough information to reach
their own conclusions, and yet the unnecessarily
hasty march to war went ahead.
しかし,核問題においてはさえ,十分な情報が自分の評価に(他のもの)達することができました.ブッシュ政権が明瞭なアジェンダを持っており,最も扇動的な可能な方法でイラクの知能をすべて解釈したことは,その短所でした.しかし,上院情報委員会のものを含む国会議員は,自分の結論に達するために十分な情報を持っていました.しかし,戦争への無益に急速な行進は進みました.
The point is not to excuse the intelligence
agencies for their failings ? a score of
33 percent is not a passing grade. They deserve
a stern rebuke for their sloppiness and gullibility,
and reforms are on the way. In particular,
the agencies' willingness to trust human
sources whose credibility should have been
much more suspect was a serious institutional
error. And, on the status of Iraq's nuclear
program, the agencies clearly stopped looking
at the evidence and bought into Washington
groupthink. Even if they were not directly
pressured by the Bush administration, many
analysts do seem to have wanted to please
the White House a bit too much.
ポイントは情報局にそれらのfailingsを許すことではありません?33パーセントのスコアは通過する等級ではありません.それらは,水浸しおよび間抜けのための厳しい非難に相当します.また,改革は途中です.その信用がはるかにより疑わしくあるべきだった人間の出所を信頼する機関の意欲は特に重大な制度上のエラーでした.また,イラクの核プログラムのステータスにおいては,機関が明白に証拠を見ることをやめて,ワシントン集団思考を受け入れました.圧力がブッシュ政権によって直接それらに加えられなかったとしても,多くのアナリストがホワイトハウスを少し非常に喜ばせすぎたかったように見えます.
But before we excoriate the work of our intelligence
analysts ? demoralizing their ranks and discouraging
recruits from joining organizations that
are being slammed by the right as well as
the left ? we need to take a deep breath.
Intelligence is a difficult craft, and getting
things wrong is an occupational hazard, not
necessarily a sign of negligence or incompetence.
しかし私たちが情報アナリストの仕事を擦りむく前に?連結する組織からのそれらのランクおよび悲観的な新人を堕落させること,それは左と同様に右によって閉められている?私たちは深い呼吸をつく必要があります.知能は困難な技術です,また,事態の誤解は必ずではなく職業上の危険です,不注意または不適当の表れ.
Blaming the intelligence community for the
government's (and most Americans') mistaken
views about the threat posed by Saddam Hussein
would seem to reflect a desire on the part
of Congress and the administration to pass
the buck. When the morale and effectiveness
of our intelligence organizations are at
risk, scapegoating is unacceptable and unworthy.
政府の(またほとんどのアメリカ人の)サダム・フセインによって持ち出された脅威に関する誤った見解のことで知能コミュニティーを非難することは,責任を転嫁する議会の側および政府の望みを反映するように見えるでしょう.私たちの知能組織の士気および有効性が危険にひんしている場合,犠牲は承諾しがたく価値がありません.
Michael O'Hanlon, a senior fellow at the
Brookings Institution,
from NY Times 2004/7/13
【質問】
911実行犯はイラクと接触していた,というのは本当か?
【回答】
信憑性は高いと思われる.
実行犯の一人,モハメド・アタは,チェコ政府が認めた分だけでも,2000年6月と翌年4月の2回,プラハに滞在している.
地元紙ホスポダルスクの報道では,この2回の滞在で,駐プラハのイラク大使館書記官アフマド・エルアニと会っていた,と報じている.
イラク政府は否定したが,チェコのグロス内相は2001年10月,アタとエルアニの接触を公式に認めた.
エルアニは,イラクに批判的なプラハのラジオ局「ヨーロッパ自由放送局」を狙ったテロ計画に絡んだとして,2001/4/22,国外退去処分を受けている.
なお,社会主義時代にはチェコにはスパイ養成機関があり,イラクなど中東諸国出身者も学んでいた.
テロ対策を担当するチェコ安全情報局の年次報告書によると,チェコは西側諸国を狙ったテロの「ネットワーク作りと破壊行為の絶好の後背地」とされている,という.
詳しくは朝日新聞アタ取材班著「テロリストの軌跡 モハメド・アタを追う」(草思社,2002/4/25)p.151-154を参照のこと.
【珍説】
〔略〕イラク攻撃に踏み切った「アメリカの大義」とはなんであったか,あらためて確認しよう.
いろいろな場所で述べてきたことだが,煎じ詰めれば,
(1)イラクのサダム・フセイン政権は,アルカイダなどイスラム過激派のテロ組織と深い関係があり,9・11にも関与していた疑いがある.
(2)イラク軍は,核物質や毒ガス,細菌など,大量破壊兵器を保有しており,米国や同盟国にとって重大な脅威である.
……というものであったはずだ.
そして,読者の多くも御存じのように,大量破壊兵器は発見されなかったし,9・11への関与についても,最初から確たる証拠があっての議論ではなかった.
林信吾著『反戦軍事学』(朝日新聞社,2006/12/30),p.130-131
【事実】
歴史を歪曲してはいけませんね.
上述のように,アメリカの当時の主張は,
『サダム・フセイン政権はWMDを開発している疑いが濃厚.
これは大量破壊兵器がテロ組織に渡る危険を阻止するための戦争』
ということです.
(1)ですが,テロリストのアブ・ニダルを庇っていたことは,当時のイラク政府も認めていた事実ですし,9・11テロの前の1993年のWTC爆破テロ事件の実行犯の1人,ラムジ・ユセフはイラクへ逃げこんだことが確認されています.同テロではまた,アブドル・ヤシンはイラク情報部の工作員の可能性が高いとされています.
▼ またサダム自身も,アル・カーイダとの関係,または将来関係する可能性を疑われても仕方ないような発言を行っている.
以下はアル・カーイダによるテロ事件についての,サダムの発言.
米軍駆逐艦コール爆破事件、2000年10月12日
「(イラク国民は、)あらゆる分野において、あらゆる手段を使って、闘争とジハードを強化すべきである」 イラク・テレビ、2000年10月22日 (国営) 9月11日同時多発テロ事件 「米国は、その指導者らが世界にまいた種から育った作物のとげを収穫しているのである」 サダム・フセイン、2001年9月12日
「(9月11日テロ事件の)真の犯人は、崩壊した建物の中にいる」 アリフ・バ紙、2002年9月11日 (国営紙)
「(9月11日テロ事件は、)神の懲罰である」 アルイクティサディ紙、2002年9月11日 (国営紙)
「9月11日の同時テロが3000人の命を奪ったならば、50州の100都市がニューヨークおよびワシントンと同様に攻撃された場合の損害はどの程度だろうか? 何百機もの飛行機が米国各地の都市を攻撃したらどうなるだろうか?」 アルラフィダイン紙、2002年9月11日 (国営紙)
「米国は自らを燃やし、今世界を燃やそうとしているというのが、(9月11日テロ事件の]単純な真実である」 アリフ・バ誌、2002年9月11日 (国営誌)
「人間の手に収まるような小さな缶で、すべてに影響を及ぼすウイルスをまくことのできる生物兵器を使用することも可能である」 バビル紙、2001年9月20日 (国営紙)
「米国は自らの毒を味わわなければならない・・・」 バビル紙、2001年10月8日 (国営紙)
[/quote]
―――「駐日米国大使館」:サダム・フセイン語録▲
さらに,「敵の敵は味方」となる可能性が高い国際社会では,フセイン政権とアル・カーイダが結びついたとしても,何の不思議もありません.
これはただの可能性ですが,核テロとなるかもしれないとすれば,「ただの可能性だから」と手をこまねくにはリスクが大きすぎますね.
さらにまた,9・11関与説はそもそも議論の本筋ではありません.
(2)ですが,「保有していた」と疑われたのではなく,「開発していた」と疑われたものです.
何しろ10年にわたって査察妨害を繰り返していますし,湾岸戦争後に行方不明になったWMDの行方も分かっておりません.
湾岸戦争後にはクルド族に対して毒ガス攻撃をかけたりもしていますね.
このような前科がありながら「イラクを疑ったことはおかしい」と主張する人々は,では,これまで査察違反や妨害,査察拒否などを散々繰り返してきた北韓についても同様に,北韓の主張を信頼しちゃうんでしょうか?
▼ 中央大学政策文化総合研究所の折田正樹教授も,次のように述べる.
――――――
イラク戦争については,その後,大量破壊兵器が発見されなかったこともあり,事後的に,特に米国に対して,種種の観点からの批判を行うことは容易である.
しかし,2002年から3年にかけて本件について英国政府と協議をしていた筆者から見ると,イラクが湾岸戦争時からの一連の安保理決議を遵守し,安保理理事国がイラクの決議逸脱に一致して対処し,2003年以降も一致した認識,判断,行動をしていれば,武力行使の事態は防げたのではないかとの思いがする.
特に9・11の同時多発テロ以降,米国がイラクの大量破壊兵器保持の可能性を,国際社会に対する脅威よりも自国の安全保障への脅威と受け止めることとなり,米国内では自衛のための先制攻撃論まで議論されたことの深刻さについて,他の安保理理事国の理解が不充分であり,そのことがイラクのサダム政権に,国際社会は割れているとの印象を与え,米国の意図を過小評価し,イラクの大量破壊兵器の存在について曖昧な戦略を許す事態となったのではないかというのが,筆者の考えである.
また,当時,安保理において米,英,西と仏,露,独の意見が対立したことに注目が集まったが,安保理を構成している他の諸国が,意見対立を調整するためにどれほどの役割を果たしたかについても,疑問の残るところである.
―――――― 『グローバルガバナンスと国連の将来』(中央大学出版部,2008.8.10),p.113-114
さしあたりイラク戦争の批判者に求められるのは,時系列,当時の状況を踏まえた上で,
「では,何が最善だったか」
を,非現実的ではない形で示すことだろう.
「後知恵」によるものではなく.
そうでなければ説得力がない.▲
それにしても,この『反戦軍事学』では小林よしのりもこきおろしているのですが,その小林とホホイとが似たような珍説かましているというのは,実に興味深いですね.
【質問】
結局,イラク戦争は大義のない戦争ということなんですか?
また,戦争には大義なんかあってもなくても構わないということなんですか?
【回答】
大義が,戦争の正当性という意味なら「予想されるWMDテロに対する予防戦争」
大義名分,戦争の口実という意味なら査察非協力(国連決議1441号違反)
An Essential War By GEORGE P. SHULTZ
WSJ:必須である戦争 by ジョージ・P・シェルツ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
上は,WSJのコメンタリーにある前国務長官のシェルツの論文だが,現在のテロとの戦争を歴史的なパースペクティブで論じていて考えさせられるものがある.現在の国際社会の最大の脅威は国際的なテロリズムだが,それは国家システムの失敗を利用し,既存の国家システムを破壊するものだという.
ソマリアやアフガニスタンのような破産国家がテロの巣窟になるようにサダムのイラクなどの独裁国家も同じ性格を持つ脅威である.第一次湾岸戦争の後,サダムは和平案に調印して各種の軍備解除をおこない平和国家に変わって国際社会に復帰することが期待されたが,サダムはそれをことごとく無視し,国連などの国際社会の既存のシステムはサダムの路線を修正させることに失敗した.その結果が第二次イラク戦争である.
シュルツは現在の状況を第二次世界大戦前の1937年になぞらえていて,1930年代に国際社会が充分なことをしなかったのが第二次世界大戦につながった,と警告する.こうした政治情勢下では柔軟策(和平策)は一切無力だ,という.シュルツのいう脅威にはイランと北朝鮮などが想定されているようにみえる.
まず,戦争においては,大義はないよりは,あった方がいいと言う程度.それより,勝てるかどうかのほうが最重要課題.
勝てば「大義」を書き換えることも可能だが,「大義」で勝敗をひっくり返すことはできん.
それに,大義なんて星の数ほどある.
その中で自分の得になる「大義」をチョイスすればいいだけの話.
イラク戦争の場合,「テロ支援国家を潰すことでテロを撲滅する助けの一つにする」も立派な大義だわな.
以下の記事からも分かるように,イラク戦争を目の当たりにして態度を変えた国もあるわけだから,その大義通りに世界が動いているとも言える.
過激原理主義勢力の強い(国民の2割)パキスタンでさえ,カーン博士の責任を問う方向で動き出している.
大佐が明かした核の闇ルート
昨年12月,大量破壊兵器(WMD:Weapons of Mass Destruction)開発計画の放棄や国際機関による査察受け入れについて米英と合意したリビアが,かつての盟友である「ならず者国家」のWMDについても重要な手がかりを提供しはじめた.
おそらく最高指導者カダフィ大佐の命令で,リビア当局者が核兵器関連の「ヤミ市場」にかかわる企業や個人名を明かしつつある.
これでヤミ市場を一掃できる可能性は低いが,爆弾用のウランを濃縮する遠心分離装置については進展があった.「パキスタン核開発の父」と呼ばれるアブドゥル・カディル・カーンから技術漏洩したと思われる証拠がリビアで見つかったのだ.
カーンは70年代に,勤務していたヨーロッパのウラン濃縮事業会社から遠心分離装置の設計図を盗んだ疑いのある人物.ヤミ市場の分離装置の大半は,この設計図を基にしているというのが捜査当局の見方だ.
米政権のタカ派にとってイラク戦争の大きな目的は,核保有に走ればサダム・フセインと同じ運命をたどると,世界中の独裁者に見せつけることだった.フセイン拘束の数日後にリビアがWMD放棄を宣言したことに,大いに満足しているだろう.
――――――ニューズウィーク日本版 2004年1月14日号 P.28 抜粋要約
んで,大量破壊兵器は「テロ支援国家である事を証明する」ものだから探しているんだが,
「WMDを捜索するはずのスタッフは抵抗組織を捜索する仕事にかり出されていて,殆ど動いていない」
http://abcnews.go.com/sections/primetime/US/bush_sawyer_excerpts_2_031216.html
ということだから,見つからなくてもおかしくないし,上述のように,仮に見つからなくても全然不思議ではない.
そうした「大義」を,国際法上(といっても国際法自体があやふやな面を多く含むが)の諸条件を一応クリアして始めた戦争という時点で十分だろう.
ところで,大義がないから反対ということなら,大義があれば賛成なのか?
それはそれで恐ろしいような.
なお,オハンロンによれば,この「予防戦争」は特に新しいものでもない.
ブッシュ政権はテロリストからの攻撃にさらされる時代に際して,先制攻撃を可とする政策を公的に認めた.
このため,ブッシュ政権の先制攻撃ドクトリンはブッシュ・ドクトリンなどと呼ばれ,政治的な攻撃の対象にされたりする.
しかし,先制攻撃というのは国家が敵からの攻撃の危機にさらされた場合には行って当然の自衛的な権利のことなので,本来が自衛であり,昔からアメリカがやってきたことである.
冷戦時代のアイゼンハワー政権は敵の攻撃にさらされる場合の先制攻撃を政策にしていたし,キューバ危機のケネディ政権は先制攻撃敵にソヴィエトにミサイル撤去を要求した.クリントン政権は1994年の北朝鮮の核施設に,殆ど先制攻撃を行う寸前であった.
こういう具合に,アメリカの歴代政権は先制攻撃オプションを持ち,時にはそれを行使してきた.
NATOがミロセビッチに行った空爆攻撃も先制攻撃のひとつであり,欧州とてアメリカと異なるわけではない.
ブッシュ政権は先制攻撃を政策であるかのような表明をしたので誤解があるのだが,先制攻撃とは必要な場合に使う道具である.ブッシュ政権はそれを宣伝しすぎてアタマの悪さを示しているのだろうか?
まず,先制攻撃論というのはブッシュ政権に鷹派的なイメージを与え,世界の多くの国を引かせるようなところがあるのは事実だ.
しかし,ブッシュ政権が先制攻撃を辞さず,としていることがリビアやシリアやらをWMD放棄させる要因の1つになっているかもしれない.
先制攻撃ドクトリンは,イラク戦争直前の国連安保理のように,同盟国をアメリカの戦争に同調させにくくする効果があるのかもしれない.
あるいは,先制攻撃ドクトリンは北朝鮮をかたくなにさせ,ますます核爆弾製造に励むようにさせるかもしれない.
勿論この北朝鮮の場合について,先制攻撃をあきらめるのは正しくない.朝鮮半島で戦争が起これば悲惨なことになるわけなのでアメリカ大統領は軽々しく扱うことはあり得ない.
深刻な自衛の危機にはそれがなされるべきであるが,それにしても6か国協議の幾つかの国はアメリカに賛成しないように先制攻撃論はアメリカの敵に同情するものを増やす効果はある.
イラクのWMD諜報が正確ではなかったことが政治的問題になった現在,先制攻撃オプションは軽々しくは使えない.
ではそれをどうしたらよいのか?
イラクでは諜報機関が相手を過大評価していたが,リビア,イラン,北朝鮮などは従来の評価は過小評価だった.
ブッシュ大統領の言っていることで基本的に正しいのは,大統領は敵がWMDを増やし続けて攻撃してくるのを手をこまねいて待っているわけにはいかない,ということなのだ.
そううわけで先制攻撃論は大統領の政策として正しいのだが,誤解を招きやすいこの議論は大っぴらにせず,密かに隠しておくほうが賢いといえるだろう.
ちなみに,小林よしのりすら,SAPIO 2003/5/14のp.57において,
「産経新聞系ポチ保守が掲げていた,
『大量破壊兵器がテロ組織に渡る危険を阻止するための戦争』
というアメリカの大義は消滅する」
と書いており,大義はWMDの存在そのものではなく,WMDテロ予防戦争が大義であったことを認めた格好になっている.
【質問】
上記意見は相対主義も甚だしいのではないか?
色々な価値観,大義があるにしても,回りを納得させるだけの言葉というものが常に求められる,それが政治というものではないのか?
【回答】
それは,全員が納得する戦争が有ると仮定しないと成り立たない議論.
俺は,そんなモノ無いとおもうけどね.
「イラクによる隣国クウェートの侵略」に対して,「国連決議で決められた多国籍軍によるクウェート解放戦争(湾岸戦争)」ですら,何を突きつけられようが,意地でも納得したがらない人がいた訳だから.
また,アメリカの主張する大義に普遍的に優越する,イラク戦争反対の論理があるというのであれば,それを提示してもらいたい.
ただの,化石左翼じみた『何が何でも絶対平和主義』にしか見えないけど?
アメリカの主張するところの大義に普遍的に優越するような価値観を,もし提出できたら思想家としても大成できるだけでなく,その思想が世界に恒久平和をもたらすことができるだろうねえ.w
もし,フセイン政権への武力行使が国際協調に逸脱しているというのであれば,武力攻撃に反対した国々は,
危険度を求める式 (危険の程度)×(その危険が起こる確率)=危険度
において,「危険の程度」をゼロに感じているのではないかと疑われても不思議ではない.
確かにその国は自国が直接危険に晒される確率はゼロに近いし,アメリカに賛成しないことで不利益を被るという間接的な危険の程度を含めた,総合的な危険度は,アメリカの何分の一かにすぎないだろうということは言える.
その国にとっては武力行使を容認するに足る危険度ではないというだけの話だ.
しかも,フランスのシラク大統領は過去からイラク戦争直前までイラクのフセイン政権と武器や石油に関する取引に密接に関わり合い,フランス企業も大きな利権を持っていた.武力行使がなされれば,不利益になることは明らかだ.
武力行使の是非についても危険や利益,幸福の期待値が判断の重要な要素になる.
国内の場合は,期待値から判断される行動が法律に違反する場合が,しばしば見受けられ,そのような事例はテレビや映画のテーマになったりする.
例えば,悪事を働く組織があって,逮捕されるのは手下ばかりで,ボスは常に安泰という場合,法律を破ってボスを殺したら刑務所行きだが,ドラマを見ている観客はヒーローに惜しみない拍手を送るであろう.
だが,国際社会には今のところ,国家間の危機に関する限り,期待値から得られる判断を蔑ろにするような,具体的で強力な国際法は今のところ存在しないし,あったとしても統一政府がない以上,機能しない.
http://www.imd-g.com/Debate_on_Iraq.htm
さらに,以下の記事によれば,フセインは石油を巡る賄賂を資金として,各国の政治家に対する買収工作を行っている.買収された彼らもまた,何があっても納得しないであったろう.
Volcker's U.N. Cleanup
ボルカー前ERB議長による,国連の大掃除
国連のオイル・フォー・フード・スキャンダルの解明のために,ボルカー前FRB議長が任命されたわけだが,コフィ・アナン国連事務総長がボルカーに就任以来をしたのは実際には2週間前のことだった.
何故そんなに時間がかかったのかといえば,調査委員会の捜査に協力を約束させるための国連安全保障委員会の決議を渋る国があったからで,そうしたフレーム・ワークなしに高名なボルカー前議長を担ぎ出しても意味はない,と英米がアナン総長に圧力をかけたからである.
アナン事務総長は最終的に英米の主張を認めたのだが,ロシアの国連大使はそうした安保理議決に反対しており,
「調査委員会には賛成するが,新たな安保理決議が必要とは思わない」
といっている.
サダムの石油ビジネスの最良のパートナーの言として,ロシアの言い分は良く理解できる.
フランスは安保理決議について特に発言していないが,その胸のうちは容易に想像できる.
フィナンシャルタイムズ記事によれば先週,Shakir al-Khafajiがサダムの石油賄賂を受け取ったことを認めた.彼は前のWMD調査官Scott Ritterに資金援助し,サダム擁護のドキュメンタリーを作らせた.さらに反戦派議員への献金も行っている.
この繋がりについて,議会での調査委員会の聞き取りが予定されている.
国連の人道支援プログラムが各国の政治家への賄賂に利用されたのは,国連の歴史を汚す一大事であるし,この事件はサダム拘束後とはいえおろそかに出来ないものである.
それはイラクの現状を見ても,破産国再建のために国連の果たすべき役割が増大しているからである.
国連の権威を保つためにも,国連のプログラムの失敗を解明し,大掃除をして内部を清浄にしなければならない.
国連高官へ贈賄図る 旧政権「数百万ドルの用意」 査察担当者証言
【ニューヨーク=長戸雅子】イラクの旧フセイン政権が,同国の大量破壊兵器査察を担当していた国連高官に,政権に有利な報告をする見返りに巨額のわいろの提供を持ちかけていたことが分かった.
国連の「イラク石油食糧交換プログラム」をめぐる不正事件を調査している独立調査委員会(ボルカー委員長)の関係者の話としてロイター通信が十日伝えたもので,独立委員会が,一九九〇年代にイラクで活動していた国連大量破壊兵器廃棄特別委員会(UNSCOM)のロルフ・エケウス委員長(当時)から事情聴取して判明した.
エケウス氏によると,国連との交渉を担当していたイラクのアジズ副首相(当時)が「正しい報告をすれば数百万ドルを用意する」と持ちかけたが,エケウス氏は「これは(母国の)スウェーデンでの仕事のやり方ではない」と断った.
エケウス氏は先月,オランダのハーグで独立委員会からの聴取を受けた.
独立委員会は二月に発表した暫定報告書で,プログラムの最高責任者だった国連幹部に「倫理的に不適切な行為」があり,不明朗な現金収入が存在することを指摘したが,この幹部が個人的に利益を得たかどうかについては結論を示さなかった.
しかし,エケウス氏の証言は,旧フセイン政権が国連高官にわいろ攻勢をかけていたことを示すもので,こうした接触がどこまで行われていたのか,今後の調査が注目される.
独立委員会の関係者はまた,同委員会が来週にも,同プログラムをめぐる不正関与の疑惑が浮上しているアナン国連事務総長の息子についても報告を発表する予定だとしている.
2005年3月12日2時50分(産経新聞)
【質問】
そもそも,実際に攻撃されるまではこちらから攻撃してはならないという論理だっていいだろう?
【回答】
実際に攻撃されて被害が出てからでは困る.脅威を解消できる手段はある以上,黙視せず手を打つべき.
何しろ真っ先に狙われるのは俺たちだし,相手は前科だらけの札つきの悪党だ.
こう反論されたらどうするんですか?
(つか実際そう言ってるんだが)
例えば北朝鮮問題でも,どこかのバカが言ったような,
「一発だけなら誤射かもしれないから,先制攻撃は絶対ダメー」
な態度では,国民感情が到底納得しないでしょう.
【質問】
その理屈が通るなら,アメリカは世界中あらゆる国を攻撃してもいいてことになるんじゃないの?
今は親米的でもいつ牙を剥くか分からないんだから.
【回答】
そもそも,なぜイラクが先制攻撃理論の下の攻撃対象になったのかを完全に忘れてますよ,それ…….
そしてまた,この「先制自衛容認」こそがアメリカ外交の最大の特色の一つであり,これを可能とするための国際法上の努力を,アメリカが一貫して行って来たということにも注目すべき.
アメリカは国連憲章第51条に関しても,友好関係原則宣言に関しても,その批准に際し,一貫して
「これらは先制自衛を禁止しているとはいえない」
との解釈を主張.
そして国際法には,一貫した反対国に対する慣習法の不適用の原則があるため,例え「先制自衛禁止」が国際慣習法化してしまっているとしても,アメリカの行う「先制自衛」については違法性を問えない.
覇権国家はしたたかです.
【珍説】
いや〜驚いた.というか呆れた.「新・ゴーマニズム宣言13巻 砂塵に舞う大義」発売以降,親米論壇に連日舞い飛んだ「大義なんかいらない」の暴論の嵐!
こいつら開戦前はアメリカの掲げる「大義」を大宣伝してたんだよ.
完全論破されたらふてくされて居直るクソガキ以下の知識人の醜悪さを見よ.
醜悪な日本人になりたくなかったら大義を手放すな.13巻を読め!
(時浦〔小林よしのりアシスタント〕from SAPIO
2004/3/24号,
p.57欄外)
【事実】
幼稚な歪曲やね.
小林「この戦争に大義はない」
⇒反論「アメリカなりの大義はあるし,大義はそもそも重要ではない」
ってのが議論展開.
このうち,
「(アメリカなりの)大義はある(し,)大義はそもそも重要ではない」
を
「大義はある」「大義は重要ではない」
と()を取り去って,
「大義はある」
「大義は重要ではない」⇒「大義なんか要らない」
と変換すると,あら不思議,さも矛盾しているかのような「論説」が一丁できあがり,と.
こんな安っぽい歪曲しかできないアシスタントに存在価値あるの? もう少し優秀なスタッフを雇ったら?
【珍説】
戦争するのに大義も正義もいらんだと?
今の国際社会が単なる「弱肉強食の戦国時代」と捉えるネオコンまがいの馬鹿な知識人が,何でこうも次々出てくるんだ?
良くも悪くも「国際法」の時代じゃないか.
今も日本人を原爆と都市空襲で100万人虐殺したような戦争ができるとでもいうのか?
小林よしのり from SAPIO 2004/3/24号,p.58欄外
【事実】
できますよー.
小林よしのりクンが庇っていたターリバーンと同じ過激原理主義仲間のバシール・スーダン政権は,今も虐殺やってるよーん.
ちょっと前には,ルワンダでも大虐殺があったしねー.
その前には,セルビア人勢力による「民族浄化」ってのもあったねー.
インドとパキスタンは,どっちも核戦争やる気満々だしねー.
武力衝突にまで至らない「軽い」国際法違反なら,中国の潜水艦がしょっちゅう沖縄の海域でやってるけどー?
結局,法的拘束力も強制執行機関もない国際法は,国際世論に訴えることしかできないから,ごく限定的な役割しか果たせないってことです.
「ないよりはマシ」程度だし,しばしば国益のために無視される,あるいは言い逃れされてしまう,と.
そんな実行力の薄いものに一所懸命しがみつこうとしている有り様を見ていると,憲法9条に一所懸命しがみつこうとしている自称「平和主義者」とだぶって見えてしまうんですけど.
「戦争とは,敵を強引にこちらの意に従わせるための武力行為である.
武力には国際法とか慣習と呼ばれる,ことさら言うまでもないような,幾つかの自らの課した微々たる制限がついているが,それが武力を弱めることはまずない」
(カール・フォン・クラウゼヴィッツ)
【質問】
なぜそこまでアメリカを支持するのか?
【回答】
別に支持も不支持もしていない.
アメリカの主張に一定の正当性を認めることと,アメリカの主張を支持することとは別問題.
【反論】
>「大義がないから反対ということなら,大義があれば賛成なのか?」
まず第一に,この文章は賛成と反対以外にも中立,無関心,態度を明らかにしない,などといった選択肢があるのを忘れています.
反対の理由がなければ賛成だ,ということにはなりません.
よってこの文章は,誤った二分法です.
その上,もし仮に賛成と反対しか選択肢がないとしても,この文章は間違っています.
その場合でも,「戦争反対の理由は大義がないからだ」という文章は,「大義があるなら戦争賛成」という文章と等価ではありません.
なぜならば,その場合,「大義があるなら戦争賛成」という文章と等価な文章は,「戦争反対の唯一の理由は,大義がないからだ」という文章になるからです.
「戦争反対の理由は大義がないからだ」,という文章にはなりません.
よって,
戦争反対の理由の全て=大義がないから
という前提が正しくない限り,
「大義がないから反対ということなら,大義があれば賛成,なのか?」
という文章は間違っています.
これは
「XはYである.Yである.故にXでもある」
という形式の論理であり,これは論理学で後件肯定の虚偽と呼ばれています.
命題から論証なしで「逆」を導き,それを用いる論証です.
このタイプの推論は,前件否定の虚偽と同じように,XとYが論理的に同値の時にしか成立しないので,恒真命題ではありません.
よってこの文章は,
「シャチは哺乳類である.故に哺乳類はシャチである」
という推論と同じ論理構造の詭弁です.
シャチが唯一の哺乳類でない限り,
「シャチは哺乳類である.故に哺乳類はシャチである」
という推論は成り立ちません.
だから,仮に「戦争反対の理由は大義がないからだ」という前提が真であったとしても,その前提から「大義があるなら戦争賛成」と結論することは,論理的に誤りです.
戦争反対の理由は,大義がないという理由からかもしれないですが,大義がないから以外の理由かもしれないし,大義がないからという理由からだけではないかもしれないからです.
(逆は必ずしも真ならず)
よってこの文章は,論理に2つの間違いがあります.
訂正を要求します.
間違っている文章は枝葉末節の部分なので削除したところで,回答の要旨とは関係がありません.
なので該当する文章を削除すべきです.
参考ページ:
HPのURL goo辞書こうけんこうてい‐の‐きょぎ【後件肯定の虚偽】
Yahoo!辞書こうけんこうてい‐の‐きょぎ【後件肯定の虚偽】
ウィキペディア,詭弁
ss in FAQ BBS,2011/4/29(金) 18:1
青文字:加筆改修部分
【再反論】
一般論であれば,貴氏の申される通りかと存じます.
ただしこの回答は,コヴァ(小林よしのり信者)相手の議論の一部分を取り出したものであることに,考慮する必要があるかと存じます.
戦争の正当性という意味における大義について,太平洋戦争に関しては,コヴァおよびその「教祖」は,「日本に大義があった」とする主張を繰り返しています.
そのことから,イラク戦争についても,「大義があれば賛成するのか?」とつっこまれているものです.
このツッコミには,
(大義があってもイラク戦争に賛成しないなら,ダブスタではないか?)
(まず初めに反米ありきな小林にとって,大義がどうこうというのは,ただの口実に過ぎず,実態は「何が何でもイラク戦争反対」なのではないか?)
という意味が言外に含まれていると推測されるのですが,その点はいかがでしょうか?
2011.5.8
http://twitter.com/post_tokorozawa/status/67024327345831936
http://twitter.com/post_tokorozawa/status/67024450012450817
http://twitter.com/post_tokorozawa/status/67024705445576704
http://twitter.com/post_tokorozawa/status/67024862757138432
確かに消印所沢さんの言うとおり,この質問と回答に至る全体の流れの中で捉えれば,自然に見えるのかもしれません.
よって,詭弁と決め付けたのは,たぶん私の間違いです.
謝ります.本当にすいません.
しかし,私は,それでもこの私が問題にした文に関して,納得できない点があります.
それは,この質問と回答だけで見れば,小林さんたちの意見をまるで知らない人が見れば,詭弁であると誤解しかねないのではないかという点です.
もしよろしければ,この点について,御一考くださるとありがたいです.
Sss on twitter, 2011/5/8
http://twitter.com/siroseiz/status/67207988934479872
http://twitter.com/siroseiz/status/67208260582785024
http://twitter.com/siroseiz/status/67208371459198977
もちろんその懸念はあります.
その点では,貴氏の申されることも尤もです.
on twitter, 2011/5/9
http://twitter.com/post_tokorozawa/status/67610388493115392
【珍説】
共同体と言う社会構成の中に必要な了解があるはずだ.
それを俺は道徳や倫理,合わせて大義と呼びたいのだが,国家,世界と言う枠組みでも同様のはずだ.
そうでなければ暴力団になったもん勝ちじゃないか.
(擬似林間)
【回答】
あるはずだ,とかいう個人の主義主張など根拠にならんのだが.
ここで踊っている林間もどきは,倫理や道徳のみが法の源泉だと思っているようだけど,実際はもう少し複雑な側面があるんだけどなー
例えば自動車の右側通行の規則(外国では左側のくにも多いけど)とかを考えると,
「交通方向をどっちかに統一した方が,個人にとっても社会にとっても便益が最大化される」
という理由なんだけどね.
法の源泉ってのは,そういう「社会全体の利益の最大化」という側面抜きでは語ることができないのよね.
この辺り,ゲーム理論を勉強すればよく分かるんだけどね.
というか,今時
「社会における法の源泉は?」
とかいう疑問に答えるのに,ゲーム理論を引かずに説明するのは殆ど不可能なんだけど.
そういうゲーム理論を学ぶと,国際社会や国内社会は案外,ホッブズ的な社会契約論よりもロック的世界観の方が正確なのかも知れないね.
まぁ,林間君もこれを機会にゲーム理論の一つでも勉強してみれば良いと思うよ.
俺のお薦めとしては「社会科学の理論とモデル7 法律」(太田勝造,東京大学出版会,2000年11月)かな.
かなり難しい本だけど,いつもえらそうな口を利いている林間君ならこれぐらいは軽いよねw
いやマジおすすめだから,すごくムズイけど
また,「全世界共通な道徳・大義」などありえない.
宗教一つとっても,対立の歴史だ.
宗教ってのは,特に一神教の場合は,「神から与えられたもの」だ.
異教徒を認めないのは,神がそれを認めないからで,人間の立場からはそれに反論することは許されない.
その辺の感覚は,多神教に端を発し,長い歴史の中で多くの事物を取り込んできた日本人には絶対に,といってよいほど理解できない.
はっきり言うが,「何とか違いの克服を」なんて,欧米やアラブではそういう発想すら浮かばん.
ある意味で「寛容」というのは,日本人に極めて特徴的な感覚なんだよ.
欧米のそれはパワーゲームにおける現状維持とか取引材料とか,そういう認識の方が良い.
市民レベルはともかく,政府レベルでは絶対にそう.
【質問】
大義が口実だろうが何だろうが,ブッシュは
「大量破壊兵器がある!」
と言って戦争をしかけて,今になって,
「大量破壊兵器を持とうとする意思がフセインにはあったから,この戦争は正当」
と言っているんだから,スリカエをやったことには違いないだろ?
【小林主体思想】(別名,マルチスタンダード)
(中西輝政批判に続き,)
だが周知のように,今回,国際社会の場で,
「フセイン独裁体制は人道上,打倒すべきか否か?」
などという議論は行われていない.
「独裁体制」が問題だったのではなく,「大量破壊兵器の有無」が問題だったはずだ.
(小林よしのり「戦争論」3,p.105)
【回答】
WMDの有無は「WMDテロ予防戦争」の論拠の内の一つに過ぎない.
スリカエを言うのなら,
「現状では将来WMDテロが起こる可能性が高く,それに悪の枢軸が関与する可能性が高い」(9.11テロ直後のブッシュ大統領声明)
だった戦争動機に関する議論を,その可能性を証明する論拠の一つである
「WMDがあるかないか」
の問題を議論のメインとするようスリカエたのは,サダム・フセインの開き直りのほうだったとも言える.
死線を何度もくぐりぬけてきたサダムのほうが,ボンボン息子の小ブッシュよりもやり手だったと言うことだ.
【珍説】
大義は重要ではない,というのは,外交交渉を行う事を念頭に置いていない意見である.
何も援軍や物資供給をさせずとも,中立を保たせるなども重要な課題であるし,戦争目的そのものを突っ込まれる要素を作るべきではない.
また,終戦後であっても大義に穴がある事を理由に,諸外国にカードを売り渡すのと同義の事態が予測されうる.
【事実】
外交交渉を行なう相手が「大義」で動いてくれると思うことこそ,楽観主義.
例えば,第2次大戦では米国は非戦闘民を殺しまくったわけだが,だれか強制力のある「突っ込み」を入れたか? 圧勝が全てを書き変えるいい例さ.
最後にスターリンのお言葉を.
「法王は何個師団持ってるのかね?」
【珍説】
今はまだ突っ込みがアメリカには入っていないだけである.
一度アメリカが衰退すれば,わかりやすい大義の山が,束となってアメリカに襲い掛かってくるであろう.
アメリカが常に最強であり続けなければならないのは,このような理由も含まれると考える.
【事実】
アメちゃんが衰退した暁にすら,大義無し戦争の非難など起きんよ.
アメちゃんを支持したり批判したりする理由とは,アメちゃんに力が有り,それを世界で行使できるからだ.
それを喪失した国を,あえて叩くのは労力のムダに過ぎん.
かつてのアラブやインドで二枚舌外交やらかしたイギリスも,衰退後はあまり叩かれない.
ソ連の脅威が衰えてからは,ソ連の大義無し侵略戦争の前科など,どの国も非難しない.
西欧の大概の国は植民地支配を行ったが,殆どの国が植民地を手放した今,今更それを誰が批判するかね?
現実がそうであるならば,大義やら正義云々で批判を繰り返す連中には言外の目的があると見るのが普通さ.
まさか,ユダヤ人がネチネチと繰り返すドイツ非難や,朝鮮人・中国人が同様に未来永劫続ける事を宣言してる日本非難に,何も裏が無いなんて言わんよな?
【珍説】
これまでのアメリカの勝利を支えてきたのは,国際的に支持を得られた大義ではないのかな.
まずは大義を勝ち取る外交こそがメインであり,軍事的勝利はそれを処理したに過ぎない.
ヴェトナム戦争でアメリカが負けたのも,大義がなかったからではないか.
逆に,大義に沿った戦争は,勝利をもたらしている.
南北戦争で言えば奴隷解放宣言による黒人兵の徴用であり,独ソ戦で言えばロシア文化の崇高性などを謳い上げたスターリンの演説(正式名称はよく知らないが)である.
【事実】
ベトナムでは大義が無いから士気が下がったんじゃない.
大軍を突っ込んでも勝てないから,世論が「あれ? おかしいぞ」となったもの.
ヴェトナム戦争でも最初は,米国世論はイケイケドンドンだったことを忘れてはならない.
ヴェトナムで勝ちたいなら,大義をどうこう言うより,戦争のやり方を見直すべきであったわけだが.
独ソ戦にしてもスターリン演説で勝ったわけではなく,戦車台数などの兵力差で勝ったのだが.
南北戦争の黒人兵徴用など,南北戦争全体に与える影響から見れば,ほんの僅かなものだ.
元々南部同盟は北部に対して国力差がありすぎて勝ち目がなかった上に,制海権を取られたのが大きい.
大義を重要視しすぎて精神主義に走ってはいないかね?
【珍説】
かくして「国益」の前に,正義は死に,戦争の道義は死に,戦争のルールが顧られることもなく,戦争犯罪は不問に付されることとなった.
あの大東亜戦争の後の「東京裁判史観」は,遂に,覆すことができなくなった!
勝者にのみ正義があり,敗者にのみ「悪」の汚名が着せられ,勝者が書いた歴史のみが残っていくのである
(小林よしのり「新ゴーマニズム宣言」 from SAPIO '03 Apr. 09,P.56)
【事実】
正義や道義が存在しなかったかどうかは,上述参照しとくんなはれ.
「戦争のルールが顧られることもなく」の例(?)として,同じコマの中に,
・劣化ウラン弾による奇形の子供
・MOAB
・民間人殺傷
という文字と共に,それらの絵(グロ注意)が描かれていますが,劣化ウラン弾の害が確定していない内に,決めつけちゃってるのは,かつて南京虐殺問題を小林が取り上げていたときに,彼が非難していた「印象操作」やないんでっか?
また,MOABは当時まだ実験段階で,1発のみイラク戦争に持ちこまれたのみで,使われてもいまへんで.
別に,破壊力の大きい爆弾を使うこと自体は,戦争法違反ちゃいますし.
民間人殺傷って言いますけど,これほど精密誘導爆弾を使うことで民間人の犠牲を最小に抑えようとした軍隊は,史上希でっせ.
それにイラクのどの都市も無防備都市宣言してへんさかい,民間人そのものをターゲットにしてへん限りは合法でっせ.フセイン政権側にも,民間人を疎開させる義務があること,忘れとるんちゃいますか?
小林は,重慶爆撃に関して,この無防備都市と防守都市の違いの議論もしてたんちゃいますか? 同じページで,
「あくまでも『大東亜戦争肯定』の立場でアメリカを見る」
言うてるやないですか.
同じページの欄外には,
「情報操作で『信頼』を破壊する手口は,今まで全て見てきたので,くれぐれも情報操作に乗せられないように」
と書いてはるやないですか.
欄外で情報操作に気ぃつけや言うてるくせ,本文で本人が情報操作してたらあきまへんがな.
後段2行については,論理が飛躍し過ぎちゃいますか? イラク戦争で「勝者が書いた歴史のみが残っ」たという実例挙げとくんなはれ.
ほんまに小林主体思想(マルチ・スタンダード)は,幾凡の人間にはついてけまへんわ.さっぱりわやややで.
【小林主体思想】(別名:マルチ・スタンダード)
さらに今回のイラク攻撃で,
「政治と道徳は切り離すべきだ」と主張しているポチ公もいた.
だが,そもそもアメリカが「悪の枢軸」という言葉で,道徳的に,あるいは倫理的に,相手国を断罪しているではないか!
(小林よしのり「戦争論」3,2003/7, p.108-109)
【ツッコミ】
相手の非道徳性,非倫理性を攻撃し,目的や行動の正当性を主張するのは,極めて現実主義的な戦略だと思うけど.(´ー`)y─┛~~
ねえねえ「建前」って知ってる?
イラク戦で息子を失った両親に向かって,
「貴方の息子は,貴方や貴方の友人がローンで買ったメイド・イン・ジャパンのSUVや,ハリウッドや東海岸のセレブが買ったハマーが,無駄にガブ飲みする石油を確保する為に死んだんです」
と言うか,
「貴方の息子は,自由主義社会の正義の為ウンウンカンヌン」
と言うか,どっちが聞こえが良い?
世の中,魂の平穏を保ちつつ平穏に生きる為には,ある程度ファンタジーは必要ですよ.
【質問】
政治における建前の是非を論じているのではない.それは話のすりかえである.
例え建前であっても,米帝が善悪を口にし,倫理や大義を掲げた瞬間に,世界中のメディアからその倫理や大義を注目され,監視されることになるのである.
その結果,米帝が,そのメディアを通じた国際世論の非難を恐れるあまり,倫理道徳に沿った行動を軍に強い,軍隊の行動を自ら縛ることになっている.
例の捕虜虐待の一件での処罰などまさにそうであろう.
このように,現代では道徳・倫理・大義が国益に優越せざるを得ない状況にあるのだが,にも関わらず,いまだに国益が大義に優越するなどと主張しているのが親米ポチであり,ゆえに現実を見ていない証拠なのである.
(タリバン警護隊 ◆x6mY8MRvkA)
……という意見があるが?
【回答】
う〜ん,そもそもねぇ. 道義とか気にせずに軍が戦略目的を達すればいいなら,ファルージャなんか絨毯爆撃で吹っ飛ばせるのよ.(´ー`)y─┛~~
でも,それじゃあ余計に反発を買ったりテロがひどくなる恐れがあるでしょ.
そういうのはタリ警のいう国益に全く沿わない訳.
まあ,おいらはイラク戦争は大義がある派だからいいんだけどね.(´Д`)y─┛~~
あ,タリ警が出した,その行動も国益を守る為にやってる事だからね.(´ー`)y─┛~~
ただでさえ大規模のテロやらなんやら想定外の事が起こってるのに,これで士気がさがっても困るでしょ.
タリ警はまず国益になるのに米が道義を守る事により国益を損ねているという例を出さなきゃ.(´Д`)y─┛~~
>このように現代では道徳・倫理・大義が国益に優越せざるを得ない状況にあるのだが,
それこそ,
>政治における建前の是非
でしょ.彼らは別に己に誓った大義に縛られているのではなく,人事部と有権者と議会に気を使っているんだから,充分に政治的手段でしょ.
軍隊は政治の暴力装置であり,軍事的整合性より政治的側面が優先される事がある.
同じイスラム教徒を吹っ飛ばしても厚顔無恥の大義無き無法者集団・馬鹿タリバンとは違って,制約が多いんだよ.
>国益が大義に優越するなどと
「モノは言いよう」の大義が先に来るのではなく,国益を追求する行動を正当化する為に大義が後に来るのだ.
ソレを取り違えると,ソマリア・モガディシオ(BHD)みたいに散々な目に遭う.
【質問】
ファルージャを絨毯爆撃しないことで,陸上部隊への負担を増加させていることこそ,国益を損ねている行為ではないのか?
(タリバン警護隊 ◆x6mY8MRvkA)
【回答】
>でも,それじゃあ余計に反発を買ったりテロがひどくなる恐れがあるでしょ.
>そういうのはキミのいう国益に全く沿わない訳.
これ読んでるかい? まず落ちつこうね.OK? (´ー`)y─┛~~
まあ,戦術レベルで絨毯爆撃で,君のいう陸上部隊への負担を軽減できたとしよう.
んで,それでサドルが死んだらどうなるだろう?
第一に,宗教指導者が殉教した場合に,ファルージャ以外のサドル支持層が活気付く可能性が十分あるよね.宗教指導者は生きてる時より殉教した時の方がなお怖い.
道義的じゃないやり方に,他の宗教指導者が立ちあがる可能性もある.
これだけでも大変なのに,他国のシーア派がイラク国内にぶりぶり入ってきたりしたら,広いイラク国内でアメリカはどうするの?
テロ頻発. 新しい武装集団の出現.君がいったような負担の軽減なんて一瞬で立ち消えるよ.
あとさ,イラク政府だって,アメリカがファルージャで武装勢力民間人ともども消し飛ばしたらどうなるかな? イラクの暫定政府にシーア派の人だっているのに快くなんて思わないでしょ.戦術的勝利を重ねて和解だってできるのに.
アメリカはイラクの暫定政府にまで敵にまわすの?
あと,イスラム国家の反発を受けて領海領空を使わせないと言われる可能性もあるし,兵站が大切な事くらい解るよね?
上記に関連して,他の派遣部隊の撤退までありうるわけよ.
で,最後に国内の世論が撤退に向いたら,民主主義国家な以上どおいしくないでしょ? 選挙もあるし.
もう少しさ,視野を広くしてデメリットを考えるようにしようよ. いやマジで(´Д`)y─┛~~
【質問】
大量破壊兵器が実在しないと困るという発言をいろんな所で聞きますが,発見できないと具体的にはどのように困るのでしょうか?
【回答】
「疑わしきは罰せず」
というのは法治社会の鉄則ですけど,国際社会においては,
「強い者が疑わしきでも罰すると言えば,罰するということがまかり通ってしまうのか」
というような世論の非難が巻き起こる可能性があるということです.
また,国連決議もその「疑わしき」というところで無視して,イラク攻撃をやってるから,国連というシステム上の慣行を破っているということになり,これもイラク制裁を非難する勢力に,世論上の力を与えることになります.
まあ,しかしながら,圧倒的な軍事力と政治力を持っていれば,居直り,開き直りはいくらでもできますけどね.
【質問】
予防戦争が良いか悪いかは意見が分かれますが,この戦争が発生するに当たり,フセイン政権の側の落ち度は有りますか?
【回答】
予防戦争については,たしかに賛否ある.実際に大量の犠牲者が出てから行動したら,「予見できたのに放置した」と,より批判されるのが,火を見るより明らか.
落ち度:
◎湾岸戦争後,幾度にも渡る国際査察への妨害.
国連による査察をごまかして核開発を続けていたのが,フセイン・カーミル亡命事件により発覚しています.(酒井啓子「イラクとアメリカ」,岩波新書)
逆に言えば,この事件がなかったら,NBC兵器開発が発覚していなかったかもしれないわけです.
また,その前もその後も,イラクはゴネまくって査察を妨害し続けています.(アメリカ側の言い分による,査察妨害の数々)
イラク戦反対を唱える人々がスコット・リッターを引用する際に,一様に無視しているのが,スコット・リッター自身,猛烈な査察妨害を受けていることを記述していることです.
「アメリカの元諜報将校で,当時の査察団の中心メンバーであったスコット・リッターは,97年10月初めに自らが指揮した抜き打ち検査とイラク官憲との一触即発状態を,次のように回顧している.
『(イラクで最も機敏な組織である特別公安機関を,夜間,抜き打ち査察しようと決めた我々査察チームの車は)交差点に差し掛かり,イラク官憲側の随行車が不審を抱いていないのを見て……そろそろと黄信号の中を進んだ.共和国防衛隊の若い歩哨が飛んできて,我々を止めたが,同僚の車は進み続けた.……前進し続ける車の後を,イラクの随行車と交通警察のパトカーが追いかけ,……(他の)査察メンバーの車は,マシンガンを水平に構えた兵士に囲まれ,ロケット砲まで持ち出されていた.威嚇射撃が行われる音を聞く頃には,私は同僚に命じていた.
"止まれ.こいつらは銃を持っている"』」(「イラクとアメリカ」)
さらに,怪しいと思われる場所にすんなり入れるわけでもありませんでした.証拠類を他に移すような時間稼ぎは幾らでもできたわけです.
◎自国民を虐待する指導者のいる国には介入してよし,という国際常識の変化を見誤った
◎そして,最終的には これ↓を無視したこと
ブッシュ大統領,サダム・フセインに対し,48時間以内の国外退去を通告
http://usembassy.state.gov/tokyo/wwwhj20030319a1.html
【珍説】
大量破壊兵器を持っていて,最後まで使わなかったのなら,フセインは理性ある指導者だったことになる.
ならば,国連の査察継続でよかったことになる.
(小林よしのり from "SAPIO" 2003/5/14,P.57)
【事実】
「理性ある指導者」と見なすべきかどうかは,こちらを参照.
したがって,「査察継続でよかった」ことには全然ならない.
また,査察に対して従順にイラクがなったのは,米軍が巨大な軍事力で威圧をかけて以降.
いくら米軍でも,永遠に威圧をかける国防予算なんかないから,米軍が撤退すれば元の木阿弥.
小林は米軍のカネに甘えすぎ.これじゃ「マナーとしての反米」じゃなくて,「甘えんぼの駄々っ子の反米」だよ.
それに,侵攻不可能になる砂嵐の季節が来れば,嬉々としてフセインはWMD開発を再開するだろう(とブッシュは見ただろう).
ちなみに,サダムが逮捕されるや,小林はてのひらを返したかのように,「大それた武器を使う度胸なんかないボケた独裁者」呼ばわり.
しかもフセインは,遂に生物・化学兵器を使わなかった.
なんだ? 全然,危険な男じゃないじゃないか!
大それた武器を使う度胸なんかないボケた独裁者だ.
(小林よしのり「新ゴー宣」199章,from SAPIO)
【小林主体思想】(別名:マルチ・スタンダード)
イラクが今日,明日にでも,アメリカを大量破壊兵器で攻撃するという逼迫した危機はなかった.
(小林よしのり「戦争論」3,p.104)
【ツッコミ】
まず,イラクが攻撃されたのはテロ支援国家,いわゆる「悪の枢軸」だからです.
この見方によれば,イラクが直接アメリカを攻撃するものではありません.しかし,イラクはテロリストにWMDを渡すのではないか?と,アメリカは懸念していました.
そのテロについては,9.11以後も度々,発生警報が出されています.
その両者をアメリカ政府が結び付けて考え,WMDテロの発生に重大な懸念を持ったとしても,少しも不思議ではないでしょう.
2005年のデータですが,米国が核テロを相当の脅威と見ていることが,これからも分かります.
米国では核テロ攻撃に対する警戒感が益々高まっていますが,連邦議会上 院外交委員長のRichard Lugar議員が纏めた研究報告書によれば,今後10年 間に核攻撃が起こる可能性は29%,化学・生物兵器による攻撃の可能性は3 0%,「汚い爆弾」(放射性物質をばら撒く)による攻撃の可能性は40%.
また,核攻撃能力については,現在の8カ国(米,ロ,英,仏,中,印,パキ スタン,イスラエル)に加え,新たに4カ国が「核クラブ」の仲間入りをする だろうとしています.
米国を中心に世界各国の国際政治学者,政治家,外交官 などのアンケート調査結果に基づいた予測であるとのこと.
詳細はLugar議員 のHPでどうぞ.
「The Lugar Survey on the Proliferation Threats and Responses」
(2005/6/25 EEE会議 )
しかも,WMDテロが実は比較的容易であることが,我が国のサリン事件によって証明されてしまいました.
小林自身,「オウム真理教にVXガスで殺されそうになった」と主張しているではありませんか.
仮にこう例えたら,分かり易いかと思います.
過去にサリンを使ったオウム真理教という組織がある.
オウムはサティアンを査察させることを約束したが,実際の査察ではそれを妨害してばかりいる.
業を煮やした警察が機動隊で包囲したら,急にオウムは邪魔をしなくなった.そして,「サリンなどもう作っていない」と連呼している.
一方,本当にオウムと繋がりがあるのか,確たる証拠はないが,小林を狙った犯人は今も暗躍を続けている.
このような状況で,小林は機動隊のサティアン突入に断固反対するでしょうか?
ぜひ聞いてみたいものです.
【珍説】
今回の米国によるイラク攻撃は,疑いもなく「侵略」すなわち「予防的ならざる先制武力攻撃」だ.
相手が自国なり国際社会なりに武力先制攻撃を加えてくる恐れがある場合,それを予防するために相手を叩くことは,予防的先制武力攻撃であり,自衛行為と見なすことができる.
だが,イラク側には事前的にも事後的にも,大量破壊兵器を所有し,国際社会に先制武力攻撃を行う恐れはなかった.
すなわち米国の行為は予防的先制攻撃ではなかった.
紛れもなく予防的ならざる覇権的武力先制攻撃,つまり侵略であり,このことに関してはいかなる言い逃れも不可能である.
(西部邁 from 「SAPIO」 2003/12/24,p.28)
【事実】
典型的な後出しジャンケンですな.
あれほど疑惑が叫ばれ,それについては誰も否定できる材料がなかったというのに,もう忘れたのか,「ウソでも100回言えば……」とでも思っているのか,…….もし後者なら悪質ですな.
以下引用.
イラクの大量破壊兵器の多くは,「沙漠の嵐」作戦と国連の大量破壊兵器廃棄特別委員会(UNSCOM)によって破壊・廃棄されている.
UNSCOMは,国連安全保障理事会決議687の実施を目的に,1991年に創設された(同決議は,イラクの弾道ミサイルおよび大量破壊兵器の保持を禁じるものである).
それでもなお大半の西側アナリストが,イラクはUNSCOMの査察をかいくぐって製造施設を残し(査察官は1998年後半に強制退去させられた),限定的ながら生物・化学兵器の製造を再開することができると見ている.
Michael T. Klare著『世界資源戦争』(廣済堂出版,2002/1/7),P.106-107
さらに,延々とこんな妨害行為をサダムは続ていたわけで,こんな人物を「恐れはなかった」というのは,当時としては無理があり過ぎるでしょう.
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