c

「兵器別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

◆◆◆運用
<◆◆火砲
<◆陸戦兵器 目次
兵器FAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【質問】
 どういう必要から砲の運用要員は,同じかそれ以上のサイズの砲をのせた戦車の乗員全体より多いんですか?

 【回答】
 戦車なら弾薬は戦車自体に載せて運べるし,そうであれば牽引式の砲と違って,「牽引車の乗員」や「弾薬運搬車の乗員」はいらない.
 弾薬を砲と分けて運搬してなければ,運搬車から砲まで運んでくる要員も必要なくなる.

 戦車砲用の砲弾は信管が分離してない(撃つ直前に装着するのではなく,車内に搭載する時に装着して積む)のがほとんどだから,信管を扱う要員もいらない.

 加えて,大口径の砲は弾頭と装薬(乱暴に言うと薬莢部分.薬莢式でなく袋に入れた火薬のことも)が分かれていることが多いが,これであれば弾頭を運ぶ要員と,装薬を運ぶ要員が両方必要になる.

 ということで牽引式の砲は,特に口径が大きくなると必然的に大所帯になる.

 戦車でも,大口径(128mmとか)の砲を積んでいるような戦車は,装填士が複数いたりするけど.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 着弾と弾着ってどう使い分けるの?

 【回答】
 日本語としての正確な使い分けはしらんが,慣例的には
着弾→弾が発射され,対象にあたること.またはその経緯.
弾着→発射された弾が対象に当たった事実.
というニュアンスの使い方が一般的かと思います.


 【質問】
 弾幕とは簡単にあらわせばなんでしょう?
 また,攻撃と防御,どちらに使われるものですか?
 それと,この言葉が使われ始めたのはいつ頃?

 【回答】
 弾幕ってのは厳密には「弾幕射撃」の事.特に「移動弾幕射撃」.
 前進する部隊の頭越しに「爆発で作るカーテン」を作って援護する事.
 部隊の前進に従って,「弾のカーテン」も前進する感じ.

 戦術としては,WW1時に使われだした.

 現代では「濃密な援護射撃」とか「命中を期待しない制圧射撃」の意味で使われる事が多い.

軍事板


 【質問】
 瞬時交戦能力というと砲撃支援要請が来て,初めの一斉射で発揮できる火力と解していいの?

 【回答】
 まあ,おおむね.

 というかね,着上陸された時点で悠長に観測しながら砲撃し続けるなんてことやってられんのよ.
 航空攻撃も同じ.
 対空火器の揚陸優先度は高いうえに,上空直援も厚いだろうから,高空から精密誘導兵器落とすなんてことやってられない.

 ある程度荒い照準でも投網をかぶせるかのごとく,ドカッっと一気にまとめて吹き飛ばすクラスターのほうが有効なんだよね.

 なにより少数機でも大火力,広域性圧力発揮できるのがクラスター爆弾の長所.

軍事板


 【質問】
 地上部隊の機動力を生かして敵に先制攻撃を行うような作戦では,友軍の野戦砲隊は自走砲に乗り換えるか,後方で控えるのですか?

 【回答】
 部隊の装備は,それで訓練しているもののため,すぐに他に切り替えるということはできません.
 切り替えるためには一定期間転換訓練などを行う必要があります.
 そのため機動戦を行う場合では,最初から自走砲を装備している部隊がついていくことになります.
 自走砲部隊が足りない場合はトラックなどで牽引して運びます.
 後方に控えていては機動部隊の火力支援ができません.

 まあ,砲兵を当てにせず,航空機などで火力支援をさせたことも過去にはありましたが.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 軍好きな私の知人が,某ファミコンウォーズの砲台を指して,
「間接砲撃だけで戦車が全滅するのはおかしい」
と言います.大砲の弾は,直撃しない限り戦車の装甲を破壊できないので,物凄く運の悪い一部の戦車しか壊せないはずだ,と言うことです.
 山越しに撃つ大砲って,そういう物なんですか?
 すると歩兵やタイヤ装甲車を吹き飛ばすのが,大砲の仕事なんでしょうか?

 【回答】
 砲撃のみで戦車部隊を殲滅するのは非常に困難.
 155mmHE弾(榴弾)でMBTを行動不能にするためには10m以内に着弾させる必要があるでしょう.
 無誘導弾の場合間接射撃は公算射撃(一定の範囲にランダムに着弾)になりますから,MBTを撃破するには非常に濃密な火力が必要になります.
 MBTが狭い範囲に停止(駐車)している場合を除いて,無誘導弾による間接射撃でMBTに大きな被害を与えるのは困難です.

 対装甲子弾を散布するロケットならもう少しマシかもしれませんが,榴弾砲で戦車を殲滅するのはほぼ無理.
 ただ,随伴歩兵にとっては半端なくコワイんで,どっかに隠れちゃいます.
 そん時は戦車も前進できなかったり,いろいろ困るんです.

 長距離火砲は,それのみで目標を破壊するのではなく,直接戦闘兵科(歩兵・機甲)を支援するのが主です.
 まぁ諸兵科連合,これにつきますね.
 例え戦車を破壊できなくとも,機動や視察,射撃を妨害する事は出来ます.
 その間に味方の直接戦闘部隊が,優位な機動を展開します.

 ちなみに,大口径火砲の単独攻撃が致命的被害を与えることがないのは,装輪装甲車などに対しても同じです.
 特に歩兵に対しては,十分に防御された陣地に篭られたら殆ど意味無しです.
 まぁWWIIの東部戦線みたいに,地形を変えるくらい砲撃したらまた別でしょうけど(笑).

軍事板,2005/11/01(火)
青文字:加筆改修部分

間接砲撃のため,観測中の図
(うそ)
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 自分が砲爆撃を受けている際の,受身(というのかなあ?)では,爆圧から肺を守るため,口を開いておく方が良いそうです.
 では,発射する側の砲兵とかも,砲口から出てきた爆圧にさらされますが,同様に口を開けておいたほうが良いのでしょうか?
 例えばこの青ヘルメットの人
http://i.imgur.com/Pt6svU1.jpg
も,発射の瞬間(が分かっているのであれば)口を開けて,衝撃に備えた方がよいですか?
 それとも,爆弾・砲弾の爆発に比べれば,砲口から発生する爆圧はたいしたことないし,普段の実弾射撃訓練で慣れているので,気にするほどの事はないという程度でしょうか?

 【回答】
 後者でしょう.
 ただ,慣れの問題ではありません.

 爆圧が弱ければ難聴の原因になる,最悪鼓膜が破れるぐらいですみますから,耳をふさぐ,耳栓をする,プロテクターかぶるぐらいでOKです.

 爆圧が強いと,爆圧で肺が圧縮される,最初の陽圧に続く陰圧で今度は拡張される,肺や器官の毛細血管が破れ,あるいは損傷して肺水腫,肺血腫を起こして窒息する,となります.

 このとき口を開けていると外気-気官-肺が通じるため,陽圧も陰圧も内外同一になるので,上記のような障害をある程度避けることが出来ます.
 そのような処置が必要な場所には砲兵は配置しませんし,必要な配置位置で,そのような爆圧が生ずるような砲は欠陥品です.

system ◆systemVXQ2 :軍事板,2013/08/28(水)
青文字:加筆改修部分

 また,砲口から出た衝撃波や爆圧は,殆ど前方に向かう.
 ようつべにある榴弾砲(howitzer)を撃ってる動画でも,操作や装填を行ってる砲兵が,射撃時に耳を塞いですらいない場合がある.

 これがマズルブレーキ付きの榴弾砲だと,発射ガスが横,斜め後ろ方向にも吹き出すので,耳を塞ぎ口を開けてる砲兵もいる.
 また,砲身が短い迫撃砲でも同様.

 戦車砲の場合,長い砲身からガスが前方に吹き出すので,それほどでもない.
 まあ戦艦の主砲みたいな大物となると,話は別だけど.

軍事板,2013/08/28(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 砲撃の試射は必ずしなければならないもの?

 【回答】
 試射の目的は,射表と実際の射撃結果のずれを認識するためにするものなのね.

 だから,上空気象とか砲の磨耗とか,撃たなくてもわかる諸元を持っていて,それとの誤差さえわかれば試射って必要ないわけ.

 具体的な数値は言えないけど,GFTって値があって,数発試射すれば,その誤差がわかるから,一定時間はその誤差を使って撃つんだよ.

 効力射撃ちながら修正してくやりかたもあるしね.

緑装薬4 ◆8R14yKD1/k


 【質問】
 効力射って何ですか?

 【回答】
▼ 効力射って,煙弾や照明弾とかじゃなく,更に試射でもない,相手に損害を与える目的で発射することだよ.

 要は「試し撃ちじゃなく本気撃ち」って認識で,だいたい合ってる.

緑装薬4 ◆8R14yKD1/k in 軍事板
青文字:加筆改修部分

 効力射,と言うのは試射と修正射の後に,最大火力で行う射撃で,まあ本番と言う表現で間違いは有りません.
 観測手による間接照準の手順で,最終段階の一斉射撃となります.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板
青文字:加筆改修部分

 「効力射」の反対語は「試射」です.
 例えば,砲兵大隊(8門〜24門)が同一の目標に対して集中射撃する場合,状況によってはいきなり全力射撃を行う場合もありますが,通常は,敵の位置などの前線からの情報や射撃諸元が正しいかどうかを確認するため,まず1門だけを使って射撃し,その弾着位置を観測します.
 これが「試射」です.

 弾着位置が敵に対してずれていれば,その分緒元を修正して再度射撃します.
 これが「修正射」です.

 修正射が敵に対して有効であれば,同じ諸元で大隊全力で射撃を開始します.
 これが「効力射」です.


 【質問】
 小説のタイトル等で「クロスファイア」という単語を時々目にするのですが,戦術あるいは状況的にはどういう状態なのでしょうか?

 【回答】
 防御側が抵抗線(陣地)を形成する時には,必ず「火網図」というモノを作成します.
 これは,守備戦力の各火器(小銃や機関銃からATMや戦車砲も含む)がどこを主向し,どこまでの範囲を撃てるかを記したモノです.

 この火網図を作成する上で指揮官は,予め火力を集中するポイントを指示します.これが「キル・ゾーン(ポイント)」(KZ)と呼ばれるモノです.
 この時KZに対しては複数の火線が主向するように配置しますので,自然と十字砲火となります.

 単一の火線では,それに対して敵は迂回をして回避を図りますが,十字砲火になると左右への迂回が阻害されますので前進が困難になり,阻止効果が高くなります.

ドカン・オオカミ ◆s6tJH5.VuA :軍事板,2006/02/05(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「制圧射撃」ってどういったものですか?

 【回答】
 自動火器や砲で撃ちまくり相手を身動きさせなくすること.

 直接目標に当てられなくてもいいから,目標付近に大量の弾を送り込んで目標が活動できないようにする.
 その間に味方の部隊が敵に近づいたり迂回したりする.

 物陰に隠れているときに頭上をピストルの弾が飛び交っていたら,そこから頭を出して銃を撃とうって気にならないでしょ?
 これも制圧射撃です.

 また例えば,塹壕があって,ここに歩兵が走って突撃すれば撃たれ放題になる.
 しかし,塹壕に向かってガンガン撃ちまくれば,塹壕に籠もった敵兵を殺傷するのは不可能でも,敵は塹壕から頭を出して積極的な防御射撃ができなくなる.
 その間に味方が塹壕を抑えることができれば大成功.ということ.


 【質問】
 「面制圧」って具体的にどういうこと?

 【回答】
 砲爆撃で,正に「面」を制圧すること.

 例えば,1基の砲で砲弾を一発撃ち込んでも,弾が落ちた地”点”とその周囲が吹き飛ぶだけだが,18連発の多連装ロケット砲1基でなら,1発辺りの範囲は小さくても,最低でも18発のロケット弾が落ちた地点とその周囲を吹き飛ばせる.

 つまり,

前者= O

後者=・・・・・・
   ・・・・・・
   ・・・・・・

となるわけ.

 こうなると,後者が砲撃することによって制圧できる範囲は「面」なので,「面制圧」という.

軍事板


 【質問】
>面制圧兵器

 ぱっと見,「面白兵器」って書いてあるかと思ってびっくりした.

Posted by 名無しT72神信者 at 2008年06月05日 18:31:53

 【回答】
 つまり面制圧兵器として面白兵器パンジャンドラムを配備ですね.

Posted by 名無しT72神信者 at 2008年06月05日 20:54:57

以上,「週刊オブイェクト」コメント欄,2008/06/01付より


 【質問】
 火砲では具体的に,どの程度の損害を敵部隊に与えることができるのか?
 火砲で装甲部隊を狙うのは,弾の無駄遣いだと聞きましたが.


 【回答】
 手元にある『戦争のテクノロジー』(1984年度版)での記述はこうなっている.

――――――
<一〇〇トンの弾薬による死傷者のパーセンテージ.>
(前略)
 目標に命中させることは至難の技である.
 重大な損害をあたえるには,相当量の弾薬をつぎこまねばならない.
 補給が重要な問題となってくる.
 一部隊に損傷をあたえるには,実に多くの弾薬が要る.
 単純な算数でも,装甲車,あるいは塹壕にたてこもる敵を撃滅するには百平方メートルにつき,一〇五ミリから一五五ミリ砲弾一発を撃ちこむ必要がある.
 塹壕に入っていない,地上に露出した軍隊,あるいは非装甲車両なら,千平方キロ当り一発で十分である.

 だが,携行できる弾薬にはかぎりがある.
 西側の師団の場合,それは三〇〇〇トン(七万五千発),ソ連型師団の場合はその三分の二である.
 さらにできるだけ早く,目標上に弾薬を撃ちこまねばならぬという問題もある.
 応急守備位置についた機械化歩兵大隊を無力化するには,砲兵一個大隊には約十六時間かかる.
 それまでに,敵はこちらの突入を防ぐために,補強の一個大隊を投入することもできるだろう.
――――――(P84)

 ソ連のやり方によると,戦車一台を破壊するには五百発以上のHE弾が必要となる.
 さらに付加的制約もある.
 その一つは時間である.
 砲兵大隊がこれを五百発を撃つには約半時間はかかる.
 戦術的な戦闘は,その半分の時間で終わってしまう.
 したがって砲撃が対戦車兵器になりうる唯一の方法は,ICMを使用したときだけである.

※ICM……福次爆薬付き改良型通常弾薬

――――――(P84)

 さらに『新・戦争のテクノロジー』のp.119によれば,
「榴弾で装甲車を撃つのは足止め効果はあるものの弾のムダに近い」
という.
 以下引用.

――――――
 通常榴弾を装甲目標に発射するのは,無駄遣いの部類に入る.
 榴弾一トンの値段は約一万ドル,
 現用装甲車両(戦車,APC,その他特殊タイプ)は,一両当たり平均百万ドルである.
 表に記されている部隊は,約五千万ドルの車両をも持つことことになる.
 部隊を四散させるためには,全車両の五〇%から六〇%を破壊もしくは無力化しなければならない.
 それは,二千五百万ドル以下の砲弾でこれだけの損害を与えられなければ,引き合わない.
 しかし,会計担当者が,戦場の勝者を決めるのではない.
 この種の計算で最も大きな問題になるのは,いかにして,数千トンの砲弾を目標に撃ち込むか,である.

平均的砲兵隊の破壊所要弾薬表 (P83)
(戦闘部隊,とくに装甲車を含むものの破壊にはぼうだいな弾薬が必要)

防衛部隊の  守備区域   100dの弾薬による   弾薬所要トン数
活動      (平方キロ)  死傷者の%
                                 無力化     全滅
                  装甲  非装甲   装甲 非装甲  装甲  非装甲
急襲         1 31 109 96 28 160 46

計画攻撃 1 21 75 143 40 239 67

集合 1.7 30 49 99 61 165 101

応急守備 3.6 9 18 345 169 576 282

計画守備      3.6 3 6 1,043 517 1,739 862

分散防衛 7 1 3 2,029 1,005 3,381 1,676
――――――

その後,解決策としてICMの採用と,ロケット,航空機,直射火器の広範囲な投入が考えられ,また破壊射撃は敵砲兵の脅威が無い場合にだけ使用され,無力化射撃は標準的なものになるだろう,と締めています.

 私見ですが,「無駄遣い」とは,砲弾が装甲車両に効果が無いと言うより,「砲撃単体での敵の破壊」は,補給や時間の負担のわりに,効果が薄くリスクが大きい事を問題視しての事に思えます.
 ロケット等他の火器との協同や,無力化砲撃は意味があるような記載でしたので.

 自衛隊のMLRSの運用は,部隊の破壊でなく橋頭堡への攻撃と聞きましたし,しかも射撃速度の速いロケットである事を考えれば,この記載と矛盾しないように感じます.

軍事板,2009/01/22(木)
青文字:加筆改修部分

※ 最新コンバット・バイブルによって補正する必要あり
 現代では砲撃の命中率は,初弾から非常に高いとされている.


 【質問】
 東郷平八郎の『百発百中の砲一門は,百発一中の砲百門に勝る』というのは,間違いなの?

 【回答】
 それは字面通りに解釈する類の訓言じゃない……
 要するに,「命中率を高めるよう訓練に励め」ということであって.

 科学技術や産業技術的に解釈したら,命中率が「砲の性能」に起因する場合,
・百発百中の砲なんて精度の高すぎるものは,現代技術で製造された砲.
・百発一中の砲なんて精度の低すぎるものは,戦国時代の大筒
みたいな技術格差が存在する事になり,命中率以前に射程も威力も格差が開きすぎており,現代技術の砲が一方的なワンサイドゲームで勝利するし,工業力・産業の格差的にも全く相手にならない戦争となる.

 砲の性能が同じで,砲を操作する人員の練度に起因する場合も,百発百中の精度を出せる砲を操作させてるのに,もう片方が百発一中なんて命中率は,殆ど素人に撃たせてるくらい酷い.
 そんなんじゃ撃ち合い以前に,まともな戦争にならないので,やっぱり一方的な戦いというか,もう虐殺になってしまうし,そんな素人に戦争させる国は終わってる.

 ……という点で,やっぱりこの理屈は間違ってないと思う.

 そもそも,確かに物量というのは質を凌駕できる面があり,物量こそ戦争の正義だが,しかし実際に物量で押したアメリカもソ連も,別に百発百中VS百発一中ってほど,性能や技術の格差が日本やドイツとの間にあったなんて事はなく,むしろ相手より上の技術で戦ってた事も多いわけだが…

 相手を圧倒できる物量が用意できる国ってのは,つまりそれだけの国力があるし,充分な産業も持ってるから,質の悪い兵器なんか使ってるわけはないんだよな.
 だから,「百発百中の砲百門」で挑んでくる.
 東郷平八郎の言葉を「戦力比のレート」って考えたら,やっぱりこの言葉は正しい.

 ちなみに元もとの発言は,
「平時は海軍って訓練がおろそかになりがちだけど,いざって時にそれじゃあ大変だから,普段から訓練しておこうよ」
って前置きの上での言葉だからな.
 ほんとは全文読まないとちゃんと意味が通じないところを,部分だけ抜き出して都合よく解釈するのは,国・民族共通しての人間の悪い癖だよな.

軍事板,2010/09/30(木)
青文字:加筆改修部分

▼ 【反論】
 弁護になっていませんね.
 敗戦前の海軍内部にも,該当発言への批判があったくらいなのに.
 たとえば,井上成美は海軍大学校教官時代,
「百発百中ノ門一門ハ, 百発一中の敵砲百門ニ対抗シ得トノ思想ヲ批判セヨ」
との問題を出したという.
(井上成美伝記刊行会『井上成美』, 井上成美伝記刊行会)

 数学が必須で重要な海軍において,確率論的に,数学的にでたらめを,軍神に述べさてどうするんでしょうか?
 秋山が草稿作ったそうですけど,あきれてしまいますし,技術格差やら持ち出して無理くり擁護は,ちょっとみっともないと思います.

閻魔さくや in FAQ BBS,2011/6/16(木) 12:22
青文字:加筆改修部分


 【質問】

―――――
霞ヶ浦の住人の訂正.
「昔から塹壕に篭る兵を『倒す』には大口径砲が」無力です.

説明.
 塹壕に付随して,地下壕が造られます.
 そこへ退避して,砲撃を避けるからです.
 第一次世界大戦の西部戦線で,何度も大砲撃戦が行われました.
 しかし,それでも地下壕で兵士たちは生き延びました.
 砲撃が済むと,塹壕へ飛び出し,進撃してくる敵兵を機関銃で迎え撃ちました.
 砲撃がだめだったので,「戦車による突破や浸透戦術」が生まれました.

 第二次世界大戦では,戦艦の巨大な主砲が砲撃に使われました.
 それでも,硫黄島で,日本兵は生き残って戦いました.

 下記,ウィキペディアの塹壕塹壕の塹壕突破戦術の砲撃を参照ください.
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%B9%E5%A3%95
―――――

……そうなのですか?

 【回答】
 そりゃ「掩蔽壕」に入っているなら,砲撃もある程度防げますよ.
(それでも直撃すると危ないことも).
 そうじゃなくて所謂,塹壕で呼ばれるところの「前進壕」には重砲に対する抗湛力が無いと言っているんです.
 前進壕は地表より上の線を飛ぶ砲弾の破片には効果が有りましたが,一旦,狙われると大抵の場合死ぬか生き埋めになります.
 だからこそ,第一次大戦において敵の準備砲撃と同時に第一線から退避する防御戦術や,「這う射撃」などの攻撃戦術が生まれました.

 また,野戦重砲が大口径化した支那事変に於いて,WWI型陣地であるゼークト・ラインに拠った国府軍は,日本軍の15cm榴弾砲によって大きな損害を受けています.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 榴弾砲も迫撃砲も擲弾発射機も,敵集団の真上から弾を落として敵を殺傷するんですよね.
 まぎらわしくて,区別がつきません.
 運用上の違いを教えてください.

 【回答】
 砲弾がほとんど真上から落下してくる様なのは迫撃砲.
 榴弾砲やグレネードランチャーは迫撃砲よりも浅い角度で発射及び着弾.

 それぞれ射程が全然違う.
 よって所轄の部隊がまたちがう.

榴弾砲:
 「砲兵」部隊の使う大砲.
 普通「大砲」というとこれを指す.
 今は150mm代の口径が主流.

迫撃砲:
 榴弾砲より小型の代わり,発射角度がずっと急な小型の大砲,
 「大砲」は砲口(弾の出るとこ)の反対側にある「砲尾」というところから装填(弾を込めること)するが,迫撃砲は通常,砲口から弾を入れて,砲身の中を滑り落とし,底にある撃鉄という部品にぶつけることで発射する.

 榴弾砲に比べて射程が短いが,発射角度が急なため落ちてくる角度も急で,弾の大きさに比べて威力が高い.
 「歩兵」部隊の中に設ける「迫撃砲部隊」で運用する.

擲弾発射機:
 手榴弾をもっと遠くに投げ飛ばしたい,という発想から生まれた.
 手榴弾に少量の火薬をくっつけて発射する兵器.
 当初は手榴弾にアダプターをつけて「擲弾」にしたが,そのうち最初から,一体化した専用の弾を使うようになった.
 「歩兵」が個人で持ち運んで運用する. 

 なお,特異な区別として,日本陸軍では迫撃砲を「迫撃砲」と「曲射歩兵砲」に分けていた.
 「迫撃砲」は砲兵が扱うもので,毒ガス弾の発射が主用途とされた.
 「曲射歩兵砲」は名前のとおり,歩兵が扱うもので,いわゆる迫撃砲として,軽量な前線支援用の火砲として使用された.

 さらに「擲弾筒」というのがあり,構造の実質は手榴弾などを撃てる小型迫撃砲.
 いわゆる擲弾発射機が,小銃などにアダプタを付けて使うのに対し,形が迫撃砲.
 個人で扱えるので,機能的には擲弾発射機の部類.

 「タテ器」というのもあり,これは典型的な小銃擲弾.
 主な用途は対戦車用のHEAT弾を撃つこと.
 諸外国でもこの手の対戦車用小銃擲弾は結構あった.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 野砲支援で,目標地点に対して砲撃する際,観測者や要請者からの連絡がないかぎり,そこへ向けて撃ち続けるのでしょうか?

 【回答】
 連絡がない限り打ち続ける場合もあるが,通常,撃ち始める前に撃つ量は決める.
 一般に観測者もしくは被支援部隊からの射撃要求に,期待効果もしくは射撃時間で含まれる.

 依頼の手順(用語等は一部不正確.分かり易さ優先)
「火集点××,煙覆5分間頼む」(××地点を5分間煙で覆ってください)
「座標○○,対戦車,期待効果,制圧」(座標○○に対戦車火器があるので,制圧してください)
等と要求する.
 そうすると,××地点を煙で5分間覆うためには発煙弾を何発,どのような射撃要領で送るか計算して射撃する.
 あるいは座標○○の対戦車火器を「制圧」するためには,どのような弾を,どのような射撃要領で,何発撃てばよいかが決まる(計算式が決まっている).

 ただ,砲兵部隊として,射撃可能な砲の数,弾の保有状況,あるいは別の任務等で,撃てない/撃たない場合もある.
 また,中国・北鮮といった旧式砲兵とか,米軍の対ゲリラ戦の場合,質問のような事例もあり.

 以下,砲撃の大雑把な流れ

1)位置方位を確認して砲を固定
 防御陣地で待ち伏せなら,見つかったときに移動する場所が欲しいので,何箇所か作っておく

2)試射
  砲身の摩滅具合,風による流れ 火薬のロットによる違いなどを確認
  計算上で当たるはずのところ火薬量あわせて,まず撃って見る(距離は砲身の角度より,まず火薬量で調整します)
  防御陣地の場合は,敵がくる前にここまでやって微調整無しで撃てるようにしておく

3)修正射
  自分からは弾着見えないので観測員から「もっと右 近く」とか連絡してもらって微調整

4)効力射
  予定数量に達するか「もうこれ以上撃たなくてイイよ」って連絡くるまで打ち続ける

5)移動
  撃つことで場所がばれて反撃が来るので,撃ち終わったらすぐに移動.


 【質問】
 ミルって何?

 【回答】
 ミル(mil:mに横線を加える)は1,000m先で1m(厳密には約98cm)の幅を見る角度.
 なんで「60度/6400の角度」が"1ミル".=0.05625度.

▼ MOA(minuite of angle)は1/60度=1秒=0.01666…度.
 MOA(minute of angle)は1/60度=1分=0.01666…度.▲

 小銃で言えば照準器を1クリック動かすと弾着点が1/4ミル(300m先だと約7.5cm)移動する.
 "ミル"は特に"特科(砲兵)"(迫撃砲含む)で使用.

軍事板
青文字:加筆改修部分

 【関連リンク】
http://www.warbirds.jp/ansq/41/D2001802.html


 【質問】
 敵砲兵の発射した砲弾を観測すると発射地点がわかりますよね.
 だから味方砲兵は,観測して敵砲兵のいる地点へ砲を撃ち返す.
 しかし敵も,撃ち返して来るのを分かっているから,すぐに場所を移動する.
 で,敵も同様に観測する.で,味方砲兵がいる場所に撃ち返す.
 味方砲兵もそれを分かっているから,同様に場所を移動する・・・・

 これを繰り返すと考えると,現代戦では,砲兵を砲兵で潰すのは,過去の戦争に比べて非常に困難である,と解釈していいんですか?
 もしそうなら,他のどの兵科で砲兵に打撃を与えるのが有効なんですか?

 【回答】
 いやいやいや,
昔・あんまり撃ちかえされないので腰を据えて砲撃できる
今・すぐに場所がばれるので撃ったらすぐに移動せざるを得ない
というわけで,今の方が潰すのが楽とするのが一般的だろう.
 対砲レーダーと航空偵察ですぐに見つかるようになった.
 砲も機動化・自走化で対抗してるが限度があるし,それだけのコストを払わないといけなくなったともいえるわけだ.

 そのうち,砲弾が知能化して軌道から発射所元を特定しにくくなるかもしれないが,やはりその分コストを払わなければいけないわけで.

 砲兵叩くのに有効なのはやはり空爆だろうな.
 陸上部隊で蹂躙すればイチコロだけど,最近の砲兵は逃げ脚がはやいから.
 大昔は重い砲を捨てて退却したもんだが

モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 対砲レーダーや対迫レーダーが普及する以前,敵の砲陣地位置を特定はどのように行われていたのでしょうか?
 もちろん砲陣地がむき出しなら航空偵察や偵察隊が発見するでしょうが,砲陣地の多くは偽装されているでしょうし,敵は偵察を迎撃しようとするし.
 敵砲陣地を発見するのはなかなか困難だと思います.

 【回答】
 1917年にカナダ軍のMcNaughton中佐は,ドイツ軍火砲の位置を求める為,Lawrence Bragg(ノーベル物理学受賞), Charles Darwin, Lucien Bellらの科学者に協力を求め,2種類の測位方法を編み出しています.

 (1)音を観測する方法
・最前線の監視所が砲声を確認.直ちにリモコンキーを押すと後方司令部の録音機が作動開始.
・録音機には3つのマイクロフォンを繋げて,各マイクは大きな三角形の頂点に配置しておく.
・録音機には各マイクと火砲(音源)の距離に応じたタイムラグで砲声が録音される.
・三角測量の要領で火砲の座標が求められ,さらに着弾音も拾えれば,砲弾の飛翔距離と時間も判るので,火砲のタイプや口径まで推定が付く.
・barrage砲撃の場合は役に立たないので,閃光を観測する方法と併用された.

 (2)閃光を観測する方法
・前線で2つの監視所が,火砲の閃光を視認すると,方位角をそれぞれ求めて司令部に電話報告する.
・監視所の相互距離と方位角から火砲の座標を求める.各監視所が同じ火砲を捕らえて報告している事がキーポイントだから,特別なアジャスト方法が採用された.
・1万ヤード先の火砲を最良5ヤードの誤差で求める事が可能.

 カナダ軍はVimy Ridgeにおいて,敵火砲の83%を対砲兵戦で叩くことができたそうです.

軍事板,2004/11/19
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 あくまで素人の想像ですが,敵の迫撃砲なり榴弾砲なりで撃たれたとして,地面に開いた穴をよく観察すれば,落ちてきた弾の種類や角度が分かりませんか?
 そうすれば結構,簡単に相手の大砲の位置が分かるから,後は空爆なり砲撃なりやり放題な気がするのですが,やっぱり難しいんですか?

 【回答】
 crater analysis というのがある.
 沖縄ぺリリュー戦記の著者(米海兵隊)は,戦地に行く直前にこの訓練を受けている.
 敵味方が戦場で使う火砲の発射音,飛翔音,着弾音,地面に残る着弾の痕跡,信管の種類による炸裂の様相の違いなどを学んで覚えておき,戦場でどちらが何を撃っており,戦闘はどのような局面なのかを判断し,もって生き残るのに大変役立ったそうです.
 大まかな発射方向と口径が分かるので,あとは地図と見比べて,その方向に砲を推定される門数だけ展開できるだけの便利さと広さがある土地があるかを検討するって話らしい.

 ちなみに,昔の砲兵は敵砲が撃つときに発する火光や音声や煙などを三角測量して,敵砲兵の展開位置を推定して,それをもとに対砲兵射撃をしていたので,昔から似たようなことはやっている.

軍事板,2010/01/19(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 大砲について質問があるのですが,装甲のない榴弾砲と自走砲の運用に違いはあるのですか?
 装甲のない榴弾砲は不要だと思うのですけど.

 【回答】
 まず,自走砲の「装甲」と言ってもそんなにスゴイものではない.
 戦車砲や対戦車兵器や重機でガツンとやられたら無理.

 また,99HSPみたいな砲塔がぐるっと囲まれているものを想像しているのだろうけれど,砲が剥き出しの自走砲はいくらでもある.
 自走砲の最大の利点は,あくまで自分で走れるという点にあって,戦車のように激しい砲火の中をぐりぐり戦うための装甲というものではない.

 運用の違いは,自走砲は機械化部隊の一部として,戦車などに追随できる(ことになっている),陣地移動が素早くできる,機械がひとまとめになっておりすぐ射撃ができる(じっさいは通信設備のセットアップやら,いろいろ時間がかかるらしい),要員が少なくて済む,機力を活用してカタログ上の連射性能が高い(ものもある),など.

 いいとこばっかりじゃん!と思うが,まず,お値段が高い.
 複雑な装軌車両なので,整備も手間がかかる.
 ガソリンも要る.
 自走砲は不整地をガンガン突破できることになっているが,軽い牽引砲もお手軽にトラックで運べ,ものによっては空輸も可能.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 自走砲じゃ駄目で,ヘリなどで運搬する榴弾砲が必要な状況というのは,どのような状況があるのでしょうか?
 ゲリコマなどの歩兵掃討?
 沿岸に上陸する兵に対しては,準備する時間があるわけですから,自走砲でも困りませんよね?

 【回答】
 現用の155mmクラスの自走砲は,必然的に大型大重量になるので,山岳部とかには布陣できない.
 高規格の道路がない限り.
 あと,諸島部に砲を配置したいような時も,自走砲は持って行くのに物凄い手間が掛かる.

 それと戦車がそうであるように,自走砲も長距離を自走させて移動させたら,入念な整備が必要になる.
 急いで移動させたら,目的地に付いたあと整備で膨大な時間が,ということも充分ありうる.

 さらに,ヘリボーンかけたときに,砲を持ってると取れる戦術に幅が出来る.
 空挺に砲火力の支援をつけれれば,心強いぞ.

軍事板
青文字:加筆改修部分

 敵がどこに上陸するか,どこを攻撃するかは敵が決めることであり,前もって攻撃地点を完全に予想することはできません.
 ゆえに,どうしても一般の砲兵では対応できる範囲に限度があり,緊急展開能力では空中砲兵に一歩劣ります.
 また兵器は一度に二箇所に存在できないので,A地点の敵と交戦した後,迅速にB地点に移動したい場合などにも威力を発揮します.
 さらにまた,戦場では陸路あるいは海路では目標までたどり着けない場合も多々あり,空中部隊が投入されることがあります.

モッティ@いもば ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ヘリでの榴弾砲空輸というのは,どういった状況で有効なのでしょうか?
 M-777という軽量榴弾砲は,ブラックホークでも運べるというのが売りっぽいですけれど.

 【回答】
 米軍だと軽歩兵の航空旅団にすら,強襲中隊(UH×10)が3個と重航空中隊(CH×12)が1個付いてる.
 合計で歩兵3個+3個中隊か,歩兵3個中隊+砲兵1個大隊が輸送できる水準だ.
 つまり2往復で前線後方に「歩兵旅団」を出現させられるわけ.

 師団レベルの戦力と師団長の決心で,「空挺作戦」が実行できてしまう.
 コレが最大のメリット.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 最近では目標エリアに爆撃機を派遣して空襲するよりも,近場に輸送機などで榴弾砲などを展開させ,榴弾砲で砲撃した方が効率が良いと言われている,と言うのを聞いたことがあるんですが,これは何でですか?

 【回答】
 最近でなくとも,連絡が付くなら砲撃は,航空機より対応が早いのは,WW2の頃から変化ありません.
 というか米軍みたいに,支援要請したら飛行機が飛んでくるほうが珍しいです.
 航空支援は操縦者が目標を狙って攻撃するため,散布界に依存する間接射撃よりは効率いいですし,さらに近年の航空機では精密誘導兵器を使用できるので,1回で片が付いてもっと効率よく見えます.
 効率のよさは誘導によるものが大きいわけです.

 今ではその米軍でもGPS誘導ロケット弾なんて物を持ってますから,それで間にあうなら航空機を飛ばす必要が減ってきています.
 もっと安く済む誘導砲弾も開発してたと思います.

 で,上記のような兵器の地道な進歩があっただけなんで,「これは何でですか?」には適切な答えを思いつきません.
 RMA……の一環なのかな?
 兵器の精密誘導化は一般化してきたんだなあ,という感じで理解していただけますでしょうか.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 203mm榴弾砲をトーチカに固定しミサイル除け兼掃射用のCIWSをつけ,装甲砲台のような形にしたものって,使い道ありますか?
 要所においておけば,それなりに敵側からすれば厄介なものでしょうか?

 【回答】
 そういうトーチカ類は,「何が何でもここは守らなければならない」という場所の防備には,依然として有用です.
 スイスのアルプス要塞なんかは,まだ運用できる状態じゃなかったかな?

 ただ,敵がそれ対策の装備を持ってくるのは当然だし,避けてくるかもしれません.
 それを考えた配置にしておかないと,ただ置いただけになって金の無駄,となります.

 というか,文字通り移動できないものの価値はかなり落ちてきています.
 単純な例だと迂回されちゃいますからね.

 今は航空機があるし精密誘導兵器が進歩したので,動けない上に偵察されると位置がバレバレな固定要塞には,上述以外の場合は意味がありません.
 せめて長射程の対艦ミサイルでも設置されていれば,「沿岸要塞」としての意義もあるでしょうけれど,最大射程でも30kmがやっとの榴弾砲では,大した役には立ちません.

 だから,自走砲+対空部隊のセットのほうが価値があります.
 現代の砲兵は,数発から10発くらい撃ったらすぐ移動する,ってのが鉄則ですしね.
 そのために砲兵の皆さんは日々迅速設置,迅速撤収の訓練を繰り返しています.
 一カ所にじっとしていたら,撃ち返してくれっていうのと同じです.

 あと,CIWSは陸上に設置すると,障害物が多すぎて見通しが利かず,探査範囲も照準範囲も狭くなりすぎる上,死角が出来まくるので役に立ちません.
 かといって高く見通しの利くところや開けていて障害物のない所に設置したら,いい的になります.
 位置バレバレですからね.
 CIWSは海上で艦船に装備するからこそ意味があるもので,陸上に設置するには不向きです.

軍事板,2008/06/14(土)
青文字:加筆改修部分

自衛隊のM110 203ミリ自走榴弾砲@総火演・装備品展示

 こういった古兵も現役です,

よしぞうmaro' in mixi,2007年08月27日01:21
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ドイツ軍が使ってたカニの目玉みたいな望遠鏡は,なんという名前ですか?
 なんのために1本の筒じゃなくて,あんな形になったのですか?

 【回答】
 砲隊鏡(scissors scope)といい,ドイツに限らずどこの軍でも使っていた.
 あの形は三角測量の原理で距離を測定するためで,名前の通り主に砲兵が観測のために使った.

軍事板

http://www.sure.ne.jp/member/eastwest/diary/diary___9290ceaa6a69e98b23a8e7388c459124.html
によれば,以下のような機能があったという.

――――――
 砲隊鏡の接眼部は樹脂製カップで覆われ,真鍮ピンを押してロックをはずして伸縮させる事ができます.
 視度調整はこのカップ部分を回して調整します.視間調整はカニ目の開きで調整します.
 上部プリズム部は回転するようになっており,少し調整が面倒です.プリズムの鍍金ミラーには少々曇りが出ています.
 胴体と三脚の固定は螺子レバー式です.華奢な三脚なのに,しっかり固定できます.
――――――

砲隊鏡
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 榴弾を直接射撃で撃ち込んで火力支援するのは有効なんですか?

 【回答】
 建造物や塹壕に籠もる敵兵とか,そういった目標には有効.
 かつては歩兵砲というものもあったわけだし.
 WW2のドイツ軍なんかじゃ,四号どころか150mm歩兵砲を載せた一号戦車に直接射撃させたりしてる.

 少しずれるが,自衛隊はカールグスタフの代わりに01式対戦車誘導弾を配備する計画だが,そうすると対戦車能力は向上しても,対人榴弾とか無くなって逆に不便じゃないか?,という意見もある.
 直接榴弾をぶち込む機会はそうそう無くならないと思われる.

軍事板

 状況説明
「イラクにて,射ちまくったあと,抵抗が止んだので邸内奥に潜伏下と判断し,ミサイルを叩き込んでいるところ」

 以前に見たNHK-BSのイスラエル関係のドキュメントでも,テロリストがイスラエル兵を拉致するためにトーチカというか監視所を潰すのに,対戦車ミサイル叩き込んでる映像がありましたので,一応こういう状況はありえるって事なんでしょうね.

 さすがにこうなっちゃうと手持ちの物使うんでしょうけど,一発のお値段考えるとちょっと考えものですね(汗

ナッシュ平蔵 in mixi支隊

 フォークランドでは,英軍がアルゼンチン軍の機関銃陣地をつぶすのに,ミラン対戦車ミサイルを使ったと聞きました.狙撃兵を使うより,早くて安全と好評だったとか.

onom in mixi支隊


目次へ

「兵器別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ