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●初心者歓迎 スレを立てる前に此処で質問を 149
※青文字:加筆改修部分
ただし,「である」「です」調の統一のため等の補正を除く.
※既に分類され,移動された項目を除く.
※レス回収基準は「v.e.r. = 8」
※既出Q&Aの関連記述は,「追記」で処理.
※編集に手間取りそうなもの,または,調査が必要なもの等は,<保留>として後日回し.
目次
** 【質問】
第二次大戦時の,日本の輸送艦が多く犠牲になった通商破壊について,書いた図書につきまして,知見のある方のご紹介をよろしくお願い致します.
特に艦隊決戦以外である輸送艦護衛に,日本側がこだわらなかったあたりを書いたものがあればと希望します.
【回答】
「海上護衛戦」(大井篤著 学研M文庫)で決まりだろう.
元海軍参謀で戦時中海上護衛作戦を担当する部署にいた著者が,日本海軍の海上護衛の実態,というよりも,いかに海上護衛を軽視していたかを綴ったもの.
統計資料も充実していて,資料的価値も高い.
10年前にNHKが放送した「ドキュメント太平洋戦第一集 大日本帝国のアキレス腱」は,実質これを種本にしている.
軍事板,2004/10/17
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
第二次大戦中の戦記において,誤爆など華々しい戦果とは裏腹の実態について言及した図書につきまして,知見のある方のご紹介をよろしくお願い致します.
【回答】
「誰にも書けなかった戦争の現実」(ポール・ファッセル著 草思社)を推薦する.
戦争に従軍した兵士や将校たち,銃後の市民たちの手記,新聞報道,文学などから,戦争の冴えない側面を書いたもの.
最後の章のタイトル「弾丸は睾丸にも当たる」が,この本の内容を象徴している.
軍事板,2004/10/17
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
陸自の新戦車TK-Xが重量40tクラスで開発を進めるのに対し,外国の戦車はどのような方針で新戦車の開発を進めているのですか?
イラクに駐留している,増加装甲などでゴテゴテしているチャレンジャー2の写真などを見ますと,重量が増えても防御力を求めているように思えますので,重戦車の方向に向かうのかな?と.
【回答】
多くの先進各国では次世代戦車開発のペースはスローダウンしております.
そんなわけですので,各国の次世代戦車の方向性は不透明です.
少なくとも,日本のTK-Xほど途轍もない要求の戦車を開発している,というのは他に聞きませんが.
・イギリス
チャレンジャー2の改良.
こだわりのライフル砲も,もはや自国だけでは‥で,主砲を滑腔砲に換装し,FCSも改良します.
また,パワーパックもドイツ製に載せ替えた改良型に.
チャレンジャー2もいい加減設計が古いのですが,もはや自国の技術力ではこれからの戦車開発,改良は厳しくなっているようです.
・フランス
ルクレールの輸出はそこそこ.
といってもフランス本国での配備数は,陸軍国にもかかわらず,かなり削減されました.
これはEUの成立が大きな要因となっています.
ルクレールの配備を進めている段階で,次世代は不明です.
・ドイツ
レオパルト2シリーズの輸出はかなり好調.
どうやらしばらくは傑作レオパルト2の改良でいくようです.
といっても装甲技術が厳しくなっている感がありますが,ショト装甲などの周辺技術でカバーしています.
・アメリカ
ファミリー化とモジュール化を協力に推し進めた次世代主力戦車を研究していたようです.
また,緊急展開能力の高い軽量戦車も?
といってもこれも研究レベルです.
・ロシア
わりと活発に新型を開発しています.
湾岸・イラク戦争での汚名挽回と外貨獲得でしょう.
ロシア式主力戦車は一般に機動力重視かつコスト重視のため,元々かなり軽量なのですが,最新のチョールヌイ・オリョールでは50トンの大台に乗るなど,すこしずつ重量が増しています.
ちなみにチョールヌイ・オリョールは,最小の開発コストで最大の効果とばかりに,いろいろとんがった技術を盛り込みまくっています.
アイデア勝負な感じです.
なお,次世代の140ミリ砲がそろそろ実用段階のようです.
軍事板,2004/10/18
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
SSに関するお勧めの本はありますか?
【回答】
・ヒトラーの親衛隊 グイド・クノップ著 原書房 ISBN:4-562-03677-X
・ナチス親衛隊 ゲリー・S.グレーバー著 東洋書林 ISBN:4-88721-413-8
この2冊を読め.
疑問は全て氷解する.
どっちか1冊じゃなきゃヤダというわがまま,かつ財政力が無いヤツなら,下の方を薦める.
他に
ハインツ・ヘーネの「SSの歴史」(講談社現代新書)
もええかもしれんね.
上下巻で3000円しないし.
軍事板,2004/10/18
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
第一次世界大戦で海軍・空軍が戦況に与えた影響って,どれくらいあるんでしょうか?
やはり西部戦線,東部戦線の内容だけで決まったようなものなのでしょうか?
【回答】
空軍
ライト兄弟が初飛行に成功してから10年ほどしか経っていないので,第一次大戦の時点では独立した軍としての空軍は,どこも持っていない.
各国の陸海軍が航空隊を作ってそこで運用していた.
空軍という組織が誕生したのは大戦後で,アメリカは第二次大戦後まで空軍はなかった.
まず空中からの偵察に使用され,やがて銃を搭載して敵の飛行機や弾着観測用の気球などを撃ったり,小型の爆弾を敵陣に落とすようになった.
やがて制空権を握るため,戦闘機が生まれ空中戦を繰り広げた.
さらにドイツは飛行船や爆撃機を開発し,ロンドンやパリに対する爆撃を行ったが,第二次大戦のそれに比べれば嫌がらせ程度のもの.
ということで,飛行機は戦争中に著しい発展を遂げたが,戦局に決定的な影響を与えるというところまでには至っていない.
海軍
イギリスの海軍力が圧倒的なものであったので,ドイツは極力艦隊決戦を避け,Uボートによる通商破壊戦を行った.
水上艦艇同士の戦闘もいくつか行われ,ユトランド沖海戦のように英独の艦隊同士が戦うこともあったが,英国の優位は揺らがなかった.
英国は制海権を握り続けたため,海上通商路を塞がれたドイツは次第に国力が衰えていった.
また,ドイツが大戦後半に行った無制限潜水艦戦は,結果的にアメリカの参戦を招いた.
最終的に出撃を命じられたドイツ艦隊で水兵の叛乱が起き,これがドイツ全土に波及して皇帝の退位とドイツの敗北へと繋がった.
海軍による制海権の維持が,イギリスに勝利をもたらしたといえるだろう.
なお,フランス海軍は当時の水準でも時代遅れの戦艦ばかりだったので,戦局にはほとんど寄与していない.
イタリア海軍は,魚雷艇がオーストリア海軍の戦艦を沈めるという快挙を成し遂げている.
軍事板,2004/10/18
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
WWⅡでアメリカが駆逐艦等を改装した機雷敷設艦の一覧でも分りませんか?
【回答】
WWIIの米国駆逐艦改装機雷敷設艦と言うことで良いのでしょうか?
Flush-Decker'sを改造したものが,
Gamble(DD123 → DM15)
Ramsay(DD124 → DM16)
Montgomery(DD121 → DM17)
Breese(DD122 → DM18)
Tracy(DD214 → DM19)
Preble(DD345 → DM20)
Sicard(DD346 → DM21)
Pruitt(DD347 → DM22)
Sumner級改造のものが,
Robert H. Smith(DD735 → DM23)
Thomas E. Fraser(DD736 → DM24)
Shannon(DD737 → DM25)
Harry F. Bauner(DD738 → DM26)
Adams(DD739 → DM27)
Tolman(DD740 → DM28)
Henry A. Wiley(DD749 → DM29)
Shea(DD750 → DM30)
J. Willoam Ditter(DD751 → DM31)
Linsey(DD771 → DM32)
Gwin(DD772 → DM33)
Adam Ward(DD773 → DM34)
眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2004/10/18
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
昔,海中から真上を向いて飛び立つ戦闘機の動画を見たのですが,実際そー言うのは存在するのでしょうか?
【回答】
海中から発進するものはは計画されていましたが,実際に作られたことはありません.
海上の船からから真上を向いて飛び立つ戦闘機なら,Convair FY-1とか,Lockheed FV-1とかがあります.
実際に姿勢転換飛行に成功したのは,FYの方ですが.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2004/10/19
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
戦後の再軍備についてですが当初,占領軍から大きな信頼を得ていた旧陸軍OBの服部機関の構想が容れられず,逆に吉田大佐を中心とする旧海軍OBのプランがすんなり採用されたのはなぜでしょうか?
また,旧陸軍OBと旧海軍OBの再軍備計画の違いはどこにあるのでしょうか?
【回答】
中公文庫に
「日本再軍備 米軍事顧問団幕僚長の記録」(フランク・コワルスキー著) ISBN:4-12-203486-8
というその問題を明らかにしてくれる名著があります.
まとめようと思ったけど,複雑で簡略化できないのでご自分で読んでください.
いわゆる「翻訳臭」が皆無な,読み易く理解し易い日本語のお手本のような文章です.
軍事板,2004/10/19
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
中性子爆弾というのが流行ってるらしいけど,どうしたら防げますかね?
なんかコンクリートだろうが戦車の中だろうが入ってくるらしいんで困ってます.
【回答】
1キロトンの中性子弾頭による致死半径(即死でなく)は,無防備で1350m,装甲車両内で1100mとされています.
「全身にアルミフォイルを巻いて地面に埋まる」
というギャグが秋本治先生の漫画に描いてありましたが,高速中性子相手にアルミフォイル程度では防備にならないでしょう.
そもそも鉄の箱の中の兵隊を殺すための兵器です.
中性子は原子量の大きい原子との相互作用では,エネルギーを失わずに単に方向が多少変わるだけなので,殺傷効果が保たれ易いのですが,原子量の小さい原子と反応するとエネルギーを失います.
原子炉の減速材として,水素を含む水が使われる所以です.
これを利用して,水素を多く含むシールド(水,炭化水素高分子,炭化水素燃料など,あるいは硼素添加材)が防御用に使われます.
ソビエトのタンクはウレタンの内張を施されていたと思います.
system ◆systemVXQ2(黄文字部分)他 :軍事板,2004/10/19
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
硫黄島やタラワでは勝算が無いのに,なぜ降伏しなかったのですか?
【回答】
戦争には,勝てなくても敵を足止めする事が意味の有る戦いも有るのです.
例えばペリリュー島攻防戦では,「バンザイ・アタック」をする事無く,最後の一兵まで戦いました.
そのおかげでマッカーサー軍は足止めを食らう事になり,その結果,日本上陸作戦は1945年秋から翌年春へずれ込む事に成りました.
また,硫黄島攻防戦では2万2千人の部隊は全滅しましたが,10万人以上の敵と戦い,2万6千人の死傷者を出させ,日本軍以上の損害を敵に対して強いました.
日本の死者約21000名
米軍の死者約7000名,負傷者約22000名.
つまり,まるまる3個海兵師団が,再編成のため次の戦場(沖縄)に投入できなくなりました.
またこれらの師団が戦力を回復するまで,本土上陸作戦は実行できないでしょう.
日本側は「想定内の損耗」でした.
米軍にとって「想定をはるかに超える損耗が出て,次の作戦に影響した」という意味で,「米軍のほうが被害が大きい」わけです.
その結果が連合国に対して,安易な日本本土決戦を躊躇させた遠因ともなりました.
結果的に,日本は本土決戦をせずに済んだ訳ですが,上記の戦いが無ければ本土決戦が行われ,より多くの人命が失われ,日本本土のインフラもズタズタに成った可能性も有り,戦後の復興も,より難しく成ったかも知れません.
以上のように,「負け」でも意味の有る「負け」も有るのです.
軍事板,2004/10/19
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
日本兵は洗脳されていたんですよね?
シンガポール・コレヒドール・グアム・スターリングラード等では,他国の兵士は投降してるし.
そうじゃなきゃソ連みたいに,逃亡兵は射殺みたいな軍規があったんですか?
とてもじゃないけど,連日砲爆撃されて,食料や医薬品もないのに戦えるとは思えませんが.
【回答】
洗脳の定義によると思いますが……
まず一つは降伏は恥であると教えられていたこと.
日本人っていうのは周りが言っていると,それが真実であると思いこみ易いので……
降伏などと言い出せる雰囲気などありません.
そんなこと言ったら,腰抜けだの何だのと言われ,いじめられます.
それと,敵に捕まったらひどい目に遭う,と教えていました.
人体実験に使われたり,戦車に挽きつぶされたりして,結局は殺される,と.
なので,撤退の手段がない状態で,いかに生き延びるかよりも,いかに立派に戦って死ぬか,に考えが行っていました.
降伏して殺されるくらいなら,戦って一人でも多く敵を殺して死のう,という考えがありましたね.
なお,全員が全員玉砕したって訳ではありません.
当時の日本でも,部隊から脱落・逃亡して様子見を決め込む兵士は,末期にはそれなりにいました.
大岡昇平「レイテ戦記」によると,レイテだけでも千人規模.
(もちろん組織から外れていたため,実数の把握は不可能だが)
同書下巻p.144,一月二日付けの方面軍への第35軍現状報告の解説に曰く,
>(総数約一万のうち)「右以外単独兵は尚相当数アリ」と報告は付け加えている.
>山中に迷って連絡できずに居るもの,あるいは出来てもわざと申告せず,
>単独あるいは4,5人ずつかたまって「自活」し,土民の舟でセブかマニラに
>帰ろうとしている者,つまり「遊兵」である.(略)この時期のレイテ島では
>「相当数」として公式報告に載せなければならないほど増えていたのである
(なお,戦記文学の古典であり,一般的にも広く読まれ,かつ資料的にも評価の高い著作なんで,作中の「遊兵」の意味をそのまま用いた.
同書では軍事用語上の「遊兵」ではなく,「連絡不可能な兵」と「意図して連絡不可能な状態にしてる兵」を合わせて「遊兵」と呼んでいる)
もちろん,捕虜になった後に連合軍相手に進んで情報を提供した例も複数アリます.
ただ,捕虜になるといっても実際のところ簡単では無く,気が立った敵兵に射殺されても文句は言えないし,味方に後から撃たれる例もあります.
極限状態の戦場心理として,味方を見捨てて捕虜に成ることへの罪悪感は相当有るらしいです.
それと大抵の軍隊では逃亡兵は重罪.
つか射殺もおかしいことじゃありません.
上記書以外の参考文献
・芙蓉書房「土壇場における人間の研究―ニューギニア闇の戦跡」
人肉食が常態化した飢餓戦場での部隊レベルでの投降,強盗,遊軍化など,兵士の行動の暗黒面について.
・文春新書「日本兵捕虜は何をしゃべったか」
捕虜と成った兵士の心理状況や捕虜の対敵協力について.
・文春文庫「私の中の日本軍」「一下級将校の見た帝国陸軍」
戦場経験の無い世代へ戦場特有の心理を説明しようと意識して書かれている.
軍事板,2004/10/20
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
巡洋艦と駆逐艦の違いを教えてください.
大きさだけでしょうか?
【回答】
昔は国際条約で「ここからこっちは戦艦」「こっちは巡洋艦」と定められていたが,今は失効しているので,おっしゃる通り大きさだけが唯一の分類法.
駆逐艦はもともと水雷艇(魚雷艇)から戦艦を守るための艦で,かつてはTorpedo Boat Destroyerと言われた.
速力は速いが小型で航続距離は短い.
やがて魚雷を搭載して敵艦を攻撃したり,爆雷を搭載して潜水艦を攻撃したり,対空火器を搭載して飛行機から艦隊や輸送船団を守ったりと,様々な用途で使われるようになった.
戦後は対空ミサイルを搭載したり,対潜水艦戦の為にヘリコプターを搭載したりと次第に大型化していった.
海自のこんごう級はDDHという駆逐艦の艦種番号がついてるけど,排水量は旧海軍の巡洋艦くらいの大きさはある.
現在の駆逐艦,特にアメリカのものは,艦隊の主力である空母を守るために存在しているといっていい.
巡洋艦は駆逐艦よりも大型重武装で航続距離も長いが,戦艦のように巨大な砲や敵の戦艦の砲弾に耐えられる装甲を施されてはいない.
戦艦は強力だけど作るのも維持するのも非常に高コストなので,これを使うまでもない任務,駆逐艦からなる部隊の旗艦や海外植民地の警備などに使われた.
戦後,駆逐艦が大型化していくに従って区別がなくなっていった.
現在,練習艦以外で「巡洋艦」と呼ばれる軍艦を保有しているのは米露だけ.
ロシアも今後は建造する事はないだろう.
艦長の階級による違いもある.
艦長が大佐なのが巡洋艦で,中佐以下が駆逐艦.
コレだと自衛隊のDDHやDDGは巡洋艦になってしまうが.
一応の定義はこんなところだが,時代によって大きさや用途はどんどん変化している.
現在では「駆逐艦と種別されているから駆逐艦」という感じ.
それどころか「駆逐艦」という名前すら使用されなくなってきており,独仏では一番大きいフネでも「フリゲイト」扱い.
この辺りの区別は,その国の海軍や政府の気分で決まると思って構わないだろう.
軍事板,2004/10/20
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
軍歴のない者が軍事を語ったり防衛当局を揶揄したりすることをどう思われますか?
サッカーをやったことがない人間がセリエAを語れるのか?
野球をやったことがない人間がMLBを語れるのか?
バスケをやったことがない人間がNBAを語れるのか?
バイクに乗ったことのない人間がモトGPを語れるのか?
大学院で専門的な経済学のトレーニングを受けたことがない森永卓郎や紺屋典子のような輩に,経済問題を語る資格はあるのか?
…という問いに近いと思います.
【回答】
とりあえず釣られてみましょう.
あくまでも,個人的意見.
外野の意見は外野の意見として貴重なものです.
ともすれば,井の中の蛙大海を知らずと言う中の論理でしかものを見ないのは,組織として極めて危険です.
他の複眼的視点を以て多角的に物事を見る必要があると思いますが.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2004/10/20
青文字:加筆改修部分
政治家じゃないと政治の話をしちゃいけないと思うか?
一般国民は選挙に行くのを自粛すべきだとでも?
自分たちが全知全能じゃないと言うことを認識してる限り,建設的な議論は大いに結構だし,揶揄の一つや二つ構わんじゃないか.
もちろん公器でやる分には,それ相応の責任と言うものがあるが.
そもそも,軍歴の無い奴は軍事を語るなってことに成ると,シビリアンコントロール自体の否定に成る気がするのだが.
(背広組みの優位っつー意味のシビリアンコントロールではなく,選挙によって国民に選ばれた代表が軍をコントロールするっつー意味で)
軍事板,2004/10/20
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
遊軍/遊兵について教えて下さい.
国語辞典的なものではなく,軍事用語?的な解説でお願いします.
【回答】
「遊兵」とは「ちゃんと上級司令部の統制下にあるが,戦場にいるのに戦闘に参加していない」部隊のことを指す.
要するに,戦場に存在してるのに戦闘に参加していない(できない)ために戦局に寄与できず,無意味な存在と化してる部隊,もしくは戦力のこと.
戦闘に参加していなくても補給はしなければならず(戦闘に参加していないからといって放っぽっといたら,戦闘能力を喪失する),自軍の負担になるだけの存在となる.
例えば,
「敵軍の退路を断つ目的で配置しておいたのに敵軍が撤退行動を取らず,でも今更呼び戻しても・・・な状況になってしまって,待ち伏せ位置でただ待機しているだけになってしまった部隊」
とか
「峠道を抜けた平野で会戦するはずだったのに,峠の出口で敵軍と遭遇戦になってしまい,長い隊列の先頭の兵だけが交戦しているので,やることがなくなってしまったそれ以後の部隊」
とかが遊軍/遊兵となる.
史実ではドイツ軍機甲部隊がアルデンヌの森を突破してフランス領内に雪崩れ込んできているにもかかわらず,事前の防衛戦略にしたがってマジノ線に配置され続けてたフランス軍主力などが「遊軍」にあたる.
「遊軍/遊兵を作るな」というのは戦術の基礎の基礎.
軍事板,2004/10/20
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
昭和58年の時点で1000ppmの硫化水素ガスから2時間~4時間ばかり身を守れるガスマスクって,どれくらいあったか分かりませんか?
【回答】
100ppmが硫化水素に数時間晒されてなんとかなる濃度だと思います.
であれば,濃度を1/10に減らすだけで済みます.
最近のマスクは有毒ガスの濃度を1/50,顔から頭部を覆うフード付きだと1/1000まで減少させます.
また,フルフェイス型のガスマスクは8時間は使用できることが米の基準になっています.
www.cdc.gov/niosh/npptl/standardsdev/cbrn/apr/standard/aprstd-c.html
昭和58年と言えば20年前ですが,ガスマスクは技術としてはある程度完成されていました.
「どれくらいあったか」は,当時の世界のガスマスクの種類から数えないと回答できないのでなんとも分かりませんし,軍用と警察用,炭坑用と消火用,救急用と脱出用でも話が変わります.
「けっこうたくさんあっただろう」という気はします.
system ◆systemVXQ2 :軍事板,2004/10/20
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
ロシアの水爆のデザイン「スロイカ」設計の起爆メカニズムがよく分かりません.
どなたかご教授ください.
またこの設計を,アメリカの「B-28」タイプと比べたときの長所や短所などお知りでしたら,それもお願い致します.
最後にまことに申し訳ありませんが,このデザインの比較的詳しい図解などが乗っているサイトがございましたら,どうかご提示を お願い頂けないでしょうか?
(このデザインの形すらよく分かりません・・・.)
【回答】
Sloika型熱核爆弾はLayer Cakeデザインと呼ばれるものです.
これはアメリカのTeller等からはAlarm Clockと呼ばれ,英国でも独自に同様のものが発明されたようです.
(極秘なのでそれぞれ独自に発明することになった)
簡単に言えば,核分裂装置の周囲にリチウム6を主体とする核融合燃料を置き,周りをウランで囲んだデザインです.
分裂装置からの中性子がリチウムから三重水素を生じ,これが核融合反応を起こします.
周囲のウランが中性子を吸収,再放出して核融合を促進すると共に,核分裂装置の能率も高めます.
同時に高密度のウランは中性子圧力による拡大=密度低下も防止します.
最終的には周囲のウランが核分裂を起こします.
中性子源の核分裂装置には貴重なプルトニウムを使用しますが,周囲の核融合燃料とウランのケースを厚くすることでかなりの出力を得られます.
これがSloikaデザインであり,1953年に西側呼称Joe-4として実験され,400ktを得ました.
欠点は,出力の増大に伴って重量が非実用的なまでに増加すること,核融合の貢献する割合が小さいことです(20%以下).
形としては中心に種を埋め込んだゆで卵のようなものと思われます.
種が核分裂装置,黄身が核融合燃料,白身が外殻のウランに相当します.
W-28にはさらに進化した下記のようなデザインが使われていたと思います.
http://gawain.membrane.com/hew/Nwfaq/Tellerulam.gif
これはTellerがUlamと構想を熟成させた「Teller-Ulamデザイン」で,核融合燃料で核分裂装置を囲む替わりに,周囲のウランを利用してX線を核融合燃料の周りに誘導し,中性子で叩くのではなく慣性圧縮によって燃料を発火させます.
核融合燃料周囲の空間に核分裂のエネルギーで発生したプラズマ(容器壁などから)が充満し,核融合燃料を圧縮して密度を上げることで核融合連鎖反応を起こすのが,このデザインの基本です.
中性子量を稼ぐために大きな核分裂装置を使用する必要がなく,核融合効率がよいので重いウラン外殻も適量ですみます.
さらに全体を新たなエネルギー源として,次の核融合燃料体に点火することもできるわけです.
system ◆systemVXQ2 :軍事板,2004/10/20
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
最初の特攻隊長の関大尉の髪型がオールバックだったとどこかで聞いたのですが,航空隊は長髪でも良かったのですか?
【回答】
もともと,長髪じゃいけないなんて決まりは海軍には無い.
航空隊に限らず,海軍では士官は長髪でもよかった.
(きちんと手入れをしなくてはならなかったが)
ただし,戦争末期は部隊によっては切るように指示がでたところもある.
航空隊(というか,搭乗員)の長髪は一説によると,着陸に失敗して機体がひっくり返ったときに頭部を負傷しないようにするためとかいう話を何かの本で読んだ覚えがある.
ちなみに陸軍では「通常頭髪は短くすべし」という規定があった.
ただ,日本陸軍指揮官総覧(新人物往来社)をみてたら野津道貫元帥や川上操六大将は長髪だったし,昭和に入っても小林順一郎大佐や西竹一大佐の写真は長髪だった.
だから陸軍でも,ある一定以上の階級になれば長髪はOKだったのかもしれない.
軍事板,2004/10/20
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
イタリア軍が第一次エチオピア戦でみせたへタレぶりを解説している書籍はありませんか?
【回答】
「エチオピアの歴史」という本には,エチオピア軍がどんなに苦戦したか,またどんなに旧式装備だったかが載ってますよ.
「敵に備える近衛兵」という写真には,よぼよぼのじいさんたちが伝統的な派手な衣装を着ているなんてものが・・・
その本には,イタリア軍はかなり善戦したことがかかれている.
またかなり機械化されてて,士気も高かったとか.
所詮はヘタレかどうかなんて,作者の書き方次第だな,って思えてくる本.
軍事板,2004/10/20
青文字:加筆改修部分
** 【追記 utóirat】
※ 【質問】 フランカーやMigはF-15と同等に戦えるって聞きますけど,なにか実績は有るんですか?
へ追記
604 名前:名無し三等兵 :04/10/21 00:22:38 ID:yBHzyc3c
F15よりフランカーが強いそうですが日本のF15Jで大丈夫なんですか?
605 名前:名無し三等兵 :04/10/21 00:29:05 ID:???
>>604
F-15よりフランカーのほうが強いという認識が誤りです.
性能面ではF-15が勝っている部分もあるし,その逆もあります.
(そもそも何を以て性能の優劣を決めるのか,というのが最大の問題ですが.
三角形と四角形,どちらが優れた図形ですか,って聞かれても答えられないでしょう?)
また,戦争とは国家同士ガチの殴り合いですんで,個々の兵器の性能よりも
軍隊全体としての能力や国家の地力の方が問題です.
606 名前:名無し三等兵 :04/10/21 00:31:16 ID:???
>604
航空ファンを読んだんですね,心配しなくても大丈夫
飛行機単体で戦うんじゃなくて,防空システム全体として戦うのでいいんです
625 名前:system ◆systemVXQ2 :04/10/21 11:18:25 ID:DU+6midn
>>604
インド空軍のSu-30に負けた,ということから出た話ですが,その後
・Su-30:12機 対 F-15C:4機 のバトルだった.
・AMRAAMの間合いを外した近距離戦という制限であり,米空軍の基本戦術である,
多数の敵をAMRAAMで間引いた後,数的ハンディをなくして接近戦で片づける,という
先方が使えなかった.
などのハンディキャップ・バトルだったことが分かりました.それでもインド側は
さまざまな戦術を駆使し,パイロットの技量も高かったとのことです.逆に言えば,
ヘボな空軍では上記のようなオマケを付けられても米に勝てないかも知れない,といことでしょう.
さらに使われたF-15には今後装備されていく予定のAESAレーダーは搭載されいませんでした.
軍事板,2004/10/21
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
潜水艦の乗員は寿命が縮むというのは本当ですか?
【回答】
まぁ,閉鎖された環境で長時間過ごすわけだから,精神的にも肉体的にも良くはないだろうなぁ.
あまりに耐性の無い人はそもそも選ばれないけど.
でも潜水艦乗りの寿命が短い,って話は聞いたこと無いぞ.
第二次世界大戦中なら,ドイツと日本の潜水艦乗員は任務が過酷で損害も大きかったので,戦死する確率も高かった.
そういう意味では寿命は短いと言える.
あと,海上自衛隊の潜水艦乗員の話だが,艦内が狭く,運動量が水上艦の乗組員に比べて少ないのに,食事が多少豪華(食事くらいしか楽しみが無いから)なので,カロリー過剰で肥満になり易いとか.
これも「寿命が短い」という言い方は出来るかもしれない.
アメリカやロシアなどの弾道ミサイル潜水艦の乗組員は,一回任務に出ると半年くらい帰ってこなかったりするので,妻帯者は夫婦関係が悪化することが多く,妻の不倫や一方的な離婚要求をされることが多く,自殺率が高いそうだ.
これもまた,「潜水艦乗組員は寿命が短い」と言えるのかもしれない.
軍事板,2004/10/21
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
模型板から来ました.
フネって船首の方向に対して横向きに主砲撃つイメージあるけれど,船首方向というか正面に向かって撃った方が,船の姿勢が安定するし,相手から見た面積が小さくて安全そうに見えるのですが,本当はどうなんでしょうか?
主砲前向きで撃つと,第一砲塔と第二砲塔の砲口前のガスとかで悪影響とか,反動が揺れとして吸収出来なくて都合が悪いとかあるのでしょうか?
それとも単に横向きだと後ろの主砲も使えるからでしょうか?
門外漢なので,スイマセンが教えてください.
【回答】
どういうフネかにもよると思うが,君が聞きたいのは戦艦のことか?
だとするならだが,
「横向きだと後ろの主砲も使える」
これが正解.
前部に2基,後部に2基,というような形で砲塔を配置している場合,船首を敵に向けた態勢で射撃したら,装備してる主砲のうち半分しか使えんだろ?
それじゃ戦闘力半減,
何故にわざわざ自分自分の戦闘力を半分にしなければならんのだ?
では,前部に全部主砲を集めたらどうなるか?
イギリスのネルソン級など,それを実行した戦艦もある.
ところが,40.6cm三連装砲塔三基を前甲板に置いたネルソン級は,斉射するとその衝撃がすさまじく,艦橋のガラス窓が割れたなんて話がある.
なにより戦艦は艦隊運動を行い,隊形と彼我の距離を適正に保ち戦闘を行う.
前方象限に限った射界は,射撃時に相手に対する突進か停止を強い,艦隊運動の自由を奪う.
よって,この形式は以後採用されなかった.
散布界で覆うという戦艦の戦い方から,使える門数の減少はそのまま戦闘力の減少となる.
すなわち戦艦の砲撃戦は,敵艦をその弾着範囲で覆い,命中する確率を増やすことを狙ったので,敵に向かって発射できる主砲は,できるだけ多いことが望ましい.
あと,遠距離の砲撃戦の場合,弾は斜め上から降ってくるように飛んでくる.
なので,斜め上から見た投影面積が,当たり易さということになり,真横から見た投影面積は問題では無い.
つまり,投影面積あたりの砲撃力ということで考えると,横向いて撃った方がお得.
(弾が水平にまっすぐ近飛んでくるような距離=水平の投影面積が問題となる距離というのは,とても至近距離なので,投影面積にかかわらず,まず間違いなく弾は当たる)
よって,砲撃戦の場合は敵となるべく平行した進路をとり,横にいる敵に向かって主砲を放った.
撃ち合いをやって敵が沈むか,耐えられなくなって逃げ出したら勝ちというガマン比べみたいなもの.
だから戦艦はできるだけ大口径の主砲をできるだけ多く積み,敵の砲弾に耐えられる装甲を持つことが求められた.
戦艦が凄まじい勢いで大型化していったのは,上記の条件を満たすため.
軍事板,2004/10/21
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
自衛隊はどこの国を仮想敵国として訓練してるんでしょうか?
【回答】
昔から言われてるのは
甲=ソビエト(ロシア)
乙=大陸中国
丙=北韓(乙と丙は入れ替わってる筈)
丁=アメリカ軍(冗談とも誠とも)
防衛出動Q1号計画=ソビエト(ロシア)の北海道侵攻
防衛出動Q2号計画= 〃 の新潟県侵攻
防衛出動Q3号計画= 〃 の対馬侵攻
防衛出動Q4号計画=第二次朝鮮戦争勃発
防衛出動Q零号計画=日米安保破棄時の在日および極東米軍排除計画(冗談ということにしておいてくれ)
等.
ちなみに,「仮想敵国」は「Hypothetical enemy」であって,これと合わせた総意は「敵国になりうる能力があるので,敵国になりうると仮定して,対処するための能力を整備する」という事.
政治の世界は一夜で急速会頭しかねない百鬼夜行の世界だが,守るべき物が多々ある国家としては,そのような場合に「念には念を入れて」備えているというわけ.
「仮想敵国」として勘定に入れているといって,まなじりをつり上げて「奴は敵だ!」と騒ぎ立てるような,敵国認定とは全く違う意味であることをご了承いただきたく.
たとえば戦前のアメリカは,世界の主要国と隣接国の大半について,色の名前をつけた戦争計画を練っていた.
レッドプラン=イギリス
ブラックプラン=ドイツ
オレンジプラン=日本
グレープラン=メキシコ
みたいに.
今日から考えると嘘みたいだが,ある時期のアメリカはイギリスと戦う可能性を真剣に検討していた.
軍事板,2004/10/21
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
自衛隊が出動するときは,どういったときですか?
今回のような広範囲の災害のときには「防災出動」といったものはないのですか?
【回答】
自衛隊法
http://www.houko.com/00/01/S29/165.HTM
第6章「自衛隊の行動」において,自衛隊の出動は以下の事態に行うことができると定められています.
*防衛出動
*命令による治安出動
*要請による治安出動
*自衛隊の施設等の警護出動
*海上における警備行動
*災害派遣・地震防災派遣
*領空侵犯に対する措置
今回の出動は,自衛隊法第83条に定められた災害派遣に当たり,都道府県知事等が防衛庁長官に自衛隊の派遣要請を行えます.
名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE :軍事板,2004/10/21
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
海外の兵器・銃器メーカーの活動について質問です.
雑誌で海外の兵器ショーなどの活発な活動を見てみますと,メーカーが好き勝手に作って売っているような印象を受けるのですが,兵器メーカーはどのような流れで注文を受けて売却しているのですか?
当局の許可を受けないと売ってはいけないとかの規制があるのでしょうか?
【回答】
兵器の種類によってまちまちですね.
たとえば戦闘機ですが,まず政府がこんな戦闘機を作れ,という指示を企業に与えます.
複数の企業は,その与えられた指示内容,主に戦闘機の性能(経済的なものや整備のし易さなどひっくるめて)を追求し,試作機を完成させます.
この試作機を作る金は政府が出すことが多いですが,企業が独自でやる場合もないわけではありません.
企業がそれぞれ試作機を出し合って,国がテストします.
そしてこのトライアルで勝つと,制式兵器となります.
(稀に全て不合格となる or 複数が合格となる場合もあります)
国は必要数の戦闘機を発注し,企業は発注されてから,その戦闘機の生産を行います.
これ以外にも,企業が独自に実験機などを製作する場合もありえますが,これは兵器ではないですね.
兵器輸出はもろに政治的な側面があるので,政府による規制が大きいですね.
兵器ではない普通の商品の輸出でも,政府が口を出すことは可能ですので,兵器の輸出については国が全権を握っていると言っても過言ではないか,と.
軍事板,2004/10/21
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
『沈黙の艦隊』を見て潜水艦に興味を持ったんですが,戦略型原子力潜水艦の"戦略"とは長距離ミサイルを撃ち込めるということですか?
それなら攻撃原水は普通の魚雷だけってことかな・・.
それと原潜の中もやっぱり臭いですか?
【回答】
戦略ミサイル潜水艦とは,”戦略”兵器,つまり敵の艦船や航空機などではなく,都市や司令部など,「戦略」のレベルでの目標を攻撃する任務に使われる潜水艦.
そういう兵器は必然的に弾道ミサイルか巡航ミサイルしかないので,そういった兵装を搭載していることになる.
出番があるときは,相手の都市をSLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)で核攻撃する場合だけ.
通常は他国の船があまり通らない場所で静かに待機している.
海の中のICBM発射サイロだと思えばいい.
”攻撃型”潜水艦でも巡航ミサイルを装備しているものもあり,区別が難しいが,”攻撃型”とついている場合は第一目標はあくまで艦船などであり,都市攻撃などは二次的目標とされる.
最近のアメリカの”攻撃型”潜水艦は,その辺の垣根を超えつつあるけど.
あと,攻撃型潜水艦は大概は,魚雷の他に対艦ミサイルを装備している.
原子力潜水艦の艦内通常動力型潜水艦に比べれば遥かに快適だそうだが,それでもやっぱり空気が濁ってる感じは多少するそうだ.
ただし,通常動力型潜水艦の宿命のディーゼル油臭はしない.当然だけど.
戦略原潜は激しい戦闘をする必要はない一方,長期間,潜航し続ける必要があるので,船体は大きく,内部の居住環境はなるべく向上させておく.
ロシアの戦略原潜には簡単なプールもあったらしい.
戦術原潜は戦闘を行うのが任務なので,居住性よりも,いかに素早く動き,相手を撃沈するか,を考えて設計される.
船体は必要以上に大きくすると動きが遅くなる.
また,魚雷が使えなくなるぐらい深い海に潜る必要もない.
軍事板,2004/10/22
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
何故ライフル銃を国産する必要があるのですか?
ミサイルとか弾丸は生産できるようにしておく必要性は分かります.
また,戦車や飛行機は国産できる能力がないとボラレルってのも,理解できました.
しかしライフルは生産している国も多く,いつでも購入できると思います.
だから,ライフルはバトルプルーフされたものを必要数(予備役の分まで)輸入しておけば国庫負担も減るのではないのか?と思うのですがどうなのでしょう?
【回答】
これも自前で生産できないと,かなり上乗せされてしまうわけです.
また,整備したりするのには補修部品が要りますよね?
小銃生産を国外に頼ると,その部品が必要になったときに,すでに国外の生産ラインが閉じてしまっている,あるいは何らかの原因で輸出してくれなくなった,という事態になったら困りますよね.
そもそも,小銃の生産なら大して技術も必要でないので,自前で用意できるならその方が良いのです.
多少コストがかさむとしても.
コスト安よりは,そういった後の安全保証のことまで考えているわけです.
軍事板,2004/10/22
青文字:加筆改修部分
【質問 kérdés】
回答ありがとうございます.
>小銃ですが,これも自前で生産できないと,かなり上乗せされてしまうわけです.
弾の種類は実質数種類,メインは2種類くらい?
いろんな国が作ってるみたいなので,アイミツとったら可也安く購入できそうなのですが.
>補修部品
はそれなりに購入するときに考えてスペアを持つのでは?
他の輸入兵器と同様に.
>小銃の生産なら大して技術も必要でないので,
日本なら短時間でなんとかコピーくらいはできるので,そんなに気にしなくていいと思うんですが.
どうなのでしょう?
【回答 válasz】
そういう,目先のことだけを考えていては国防は成り立ちませんよ.
小銃は比較的安い上に,軍の基幹をなすものです.
たしかにあなたの言う方法で,少し安くあげることは可能かも知れません.
しかし,一抹の不安が残るのも事実ではないでしょうか?
世界各国は,この一抹の不安を解消するために,自国で生産しているわけです.
補修部品を最初から必要量購入しておけば,と言っていますが,「ストックが尽きたら」という不安がいつも拭えませんね.
あるいは,何かの理由で部品が使えなくなったとしたら……
そんな不安を抱えているくらいなら,自国で作った方が良いわけですね.
まあ,ライセンス生産という手がないわけではないケド.
また,それぞれの国によって,小銃に求める要求も異なります.
日本の場合は,値段は二の次でどちらかと言えば,性能を重視する傾向は強いです.
反面,米国などは多くの兵士に供給する関係上,コスト面にそれなりの重点を置いて作っています.
こういう,お国柄の違いも考えた方が良いですね.
こういう「一抹の不安」が多少のコスト増で回避できるなら,その多少のコストを払うというのが日本の方針です.
当方はこれは間違っていないと思います.
軍事板,2004/10/22
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
もしホントに最新イージス艦が隊員共に万全の状態でが第二次大戦中にタイムスリップしたら,大活躍できますか?
弾薬などの問題もあるでしょうから数回(一回?)の戦闘でいいです.
そこまで機体差ってでるんでしょうか?
【回答】
第二次世界大戦当時と現代では,電子機器の能力に絶対的な技術の差がありますから,「ジパング」のような事が起きれば,無敵に近い能力を発揮できる,かもしれません.
しかし,どんなに優れた装備でも,弾薬の数には限りがあります.
仮に海上自衛隊が今度建造する7700トン型護衛艦を例に取るなら,対空ミサイルが最大でも96発,対艦ミサイルが8発しか積めません.
ので,敵の射程外遥かな距離から攻撃できるのは,航空機96機,艦船8隻だけです.
しかも,第二次世界大戦当時の戦艦であれば,現代の対艦ミサイル1発では沈まないでしょう.
(大損害は与えられるでしょうけれど).
ので,酸化した最初の戦闘でミサイルを使い切り,あとは何もできなくなるかと.
更に,当時の技術(特に日本の)ではガスタービン機関もフェィズドアレィレーダーを始めとする電子機器も,修理に必要な交換部品が作れないでしょう.
ので,早々に港にただ係留されているだけの存在になるかと.
どんなに戦闘力が優れていても,一隻でできる事には限界があります.
それに,現代の兵器は高度な技術的バックアップを運用の前提条件としているので,その技術がない時代では戦闘力を継続できません.
兵器と言う物は,それ単体で存在している訳では有りません.
まず主体となる国家なり集団なりが置かれた状況が有り,そこから戦略目標が生まれ,その目標を達成する為の戦術ドクトリンが発生して,そのドクトリンを達成させるツールとして兵器が有る訳です.
艦艇の場合でも,現在の海軍は単艦で行動するのではなく,複数の艦艇や航空機,無人機(人工衛星も含む)が連携して作戦行動することが前提になっています.
イージス艦は本来,艦隊の防空を担当するのが目的の船であって万能艦じゃありません.
そんな船が単独で過去に言っても,かなり行動が制約されます.
本来,有効に機能させうるべき状況とは全く違う状況に放り込まれ,しかも運用支援体制も全く隔絶された場面において“活躍出来るのか” と聞かれましても,もはや論理的に考察出来る訳は無く,“加持祈祷”
の類に近い物になってしまうでしょう.
軍事と言うよりは,ファンタジーですね.
軍事板,2004/10/22~10/23
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
日本の海上保安庁の巡視船は排水量に比べてあまりにも武装が貧弱だと思うのですが,世界の沿岸警備隊の保有船を調べてみると,標準という感じでした.
しかし,世界の沿岸警備隊の巡視船の中で,アメリカの沿岸警備隊と旧ソビエトのKGBの保有する巡視船だけ異様に重武装です.
何故この両国の巡視船だけ同排水量の軍艦並の武装をしているのでしょうか?
【回答】
米の沿岸警備隊は米5軍とか言われるときに入るのが示すように,有事には真の意味で準軍隊と化します.
平時の沿岸警備隊の任務は,海上警備,漁業資源保護などですが,有事の場合はそれがそっくり海軍艦艇の補助となる第二海軍の役割を果たします.
比較的戦域の後方等で哨戒・臨検任務についたり,海軍が遠征しているときの本土防衛も担ったりする.
確かペルシャ湾にも派遣されていたはず.
このため,戦時には簡単な改造で護衛任務などに就けるように,重武装の艦艇を整備していった訳で.
KGBのも大体は同じような意味だったか,と.
海上警察というよりは国境警備軍なのだろう.
先日,台湾の漁船を思いっきりロケット弾攻撃してたし,あんまり警察力比例の原則とか考えてなさげだ.
眠い人 ◆gQikaJHtf2(黄文字部分)他 :軍事板,2004/10/23
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
>あまり知られていないが,ソ連はベルリン入場の時,
>3日間だけ略奪暴行は罪に問わないからドイツ人の女性を全て犯せ,って云う
>スターリン閣下直々の勅令が出たらしいからな.嘘かホントかは知らないが
>ベルリンにいた6才から60歳までの女性が犯されたとか何とか.兵士の暴動を
>押さえるための策だったらしいが,政府の御触書付きの組織的暴行は,
>南京の日本軍の粗暴より遙かにヤバイ気がする.勝てば官軍負ければなんとやら
これ(組織的レイプとそれに関する命令)って本当ですか?
個人単位での多少の略奪やレイプはあったでしょうが,スターリン閣下直々の勅令云々の話が信じられないし,ググッても出てこないのですが...
【回答】
スターリンとは関係あるかどうか不明ですが,1944年末から,オストプロイセン侵入時の頃に前線将兵に対して,プロパガンダのチラシなどが配られています.
『収容所列島』にも作者本人のレイプシーンが書いてあるね.
『最後の百日』『失われた勝利』(違ったかな?)など書籍にも記載されてますね.
自力で探しましょう.
一等自営業 ◆JYO8gZHKO. :軍事板,2004/10/23
青文字:加筆改修部分
勅令は嘘.
ドイツ人女性~については,ゲッペルスの宣伝によれば,エレンブルクの書いた檄文にその内容が有ると言うが,エレンブルクは否定.
また,ビラの原文は発見されず,独語訳とされるもののみ伝わっている.
ただし戦闘開始時,軍の憲兵部隊に何故か休暇が出た事実はある.
こちらはスターリンの命か司令部の判断かは不明.
ベルリン戦については最近良い本が出たし,陥落後の暴行事件に関してもよい研究書の邦訳有り.
ネットより書籍入手をお薦めする.
ドイツへの復讐云々のプロパガンダは,概ねソ連領内での作戦中に行われ,略奪暴行の防止の観点からドイツ領への侵攻前後からは抑制された.
ただし,独の宣伝への登場頻度は増加.
政治委員 :軍事板,2004/10/23
青文字:加筆改修部分
当時ソ連兵に人気のあったラジオ番組で,ロシアの女流詩人が作った,兵士の戦意高揚のための詩が朗読されたのだが,その中で詩人が占領地でのドイツ兵の暴虐を訴え,ロシアの老人や子供や女たちの恨みを晴らせと訴えたところ,単純なソ連兵に文字通りに受け取られたという話.
いつの時代にも,マスコミの力は慎重に使ってもらわないと凶器になりかねないという見本.
軍事板,2004/10/23
青文字:加筆改修部分
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