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「2ch. 政治金融板」◆パキスタンって最悪の国だとおもふ ←回収すべきレスなし
「An Arms Watcher」◆(2010/11/25)パキスタン,地対空ミサイル購入も視野
「BBC」◆(2010/12/01)Wikileaks: Pakistan rejects US fears on nuclear arms
「Chowk(Blog)」:Pakistan Crisis - Seven Problem, Seven Solutions
Daily Dawn(パキスタン主要紙,英語)
「Daily Excelsior (India)」:Pakistani Nuclear arsenal up for grabs
「Defence News」◆(2013/03/07) U.S., China Take Part in Pakistan Naval Drills
「HEAVEN」:従妹を誘拐,結婚しろと強いて拒まれ,従妹の鼻と耳をそぎ落とした兄弟に,同じく鼻と耳をそぎ落とすよう求める判決―パキスタン
「Indian Defence」◆(2013/05/20) Don't wear socks, hot Pakistanis told amid power crisis
「NY Times」◆(2011/02/01)Pakistani Nuclear Arms Pose Challenge to U.S. Policy
「OSINTSUM」◆(2010/01/17)パキスタン,漢級SSNを購入へ (Nuclear deal on Han) 20年前の話
「Strategy Page」◆(2013/04/23) INDIA-PAKISTAN:
Jail For The Generals
パキスタン政府の腐敗と,パキスタン軍の独断専行
「Strategy Page」◆(2013/05/05) INDIA-PAKISTAN:
The World Frets And Hopes For The Best
パキスタン軍の,腐敗とテロとの戦いとテロ支援
「VOR」◆(2012/03/05)パキスタンが核弾頭搭載可能な短距離ミサイル実験成功と発表
「VOR」◆(2012/04/08)パキスタン軍の兵士 135人が雪崩で生き埋め
「VOR」◆(2012/06/05)パキスタン 「ハトフ7」ミサイルの打上げに成功
「国際情報センター」◆(2010/10/11)米・パキスタン関係悪化の可能性
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2013/03/13) パキスタン イランからの天然ガス輸送パイプラインの起工式
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2013/03/21) パキスタン ザルダリ政権,パキスタン初の任期満了文民政権となる
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2013/04/17) パキスタン 総選挙に向けて「世直し」に動く司法 「司法クーデター」の批判も
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2013/05/17) パキスタン シャリフ元首相返り咲き 対軍部,インド,アメリカでは慎重姿勢
「人民網」◇(2013/02/01) 外交部:パキスタン・グワダル港の中国企業への運営権移譲について
「東京の郊外より・・・」◆(2013-03-09) パキスタンの港が中国企業管理に
「ワレYouTube発見セリ」:JF-17 SHOW-OFF: PAKISTAN DAY
「ワレYouTube発見セリ」:JF-17 THUNDER (CHENGDU FC-1): FIERCE DRAGON(パキスタン空軍、JF-17サンダー戦闘機)
「ワレYouTube発見セリ」:Pakistan Navy - Sea Warriors
『苦悩するパキスタン』(水谷章著,花伝社,2011/04)
国軍の章だけ読み終わった.
パキスタンであれほど国軍の権力が強いのは世俗化した政治家たちに比べて,腐敗のイメージが低く,安定した権力装置として国民から信頼されているからだそうだ.
軍部自身もそう自負しており,積極的に国政に発言する傾向があるという.
また,軍内部の主流派も,独立から現代まで思想が異なり,現在は親米派が少ないという(個人的にはここでアフガンでのグダグダに納得がいった)
あと,内部の感情としては,90年代のアフガン内戦による難民の国内流入に,国際社会が何もしなかった事に,根強い反感があるそうだ.
そしてその難民の流入っていうのが,多大な影響を今のパキスタン社会に及ぼしているってのは知らんかった.
まだ他のページが結構残っているけど,パキスタンの現代を理解するうえで,とても役立つ本だと思う.
------------軍事板,2012/01/17(火)
『現代パキスタン分析』(黒崎卓編,岩波書店,2004.1)
『知られざる素顔のパキスタン 日本人ビジネスマン奮戦記』(氏原やすたか & 波勝一廣著,共栄書房,2011/08)
『パキスタンを知るための60章』(広瀬崇子編,明石書店,2003.7)
フォーリン・アフェアーズ日本語版でパキスタン関連の論文が緊急無料公開されています.
ご興味があれば,どうぞ
パキスタンの混迷への正しい外交路線とは /ダニエル・マーキー (2007年)
パキスタンを内側から救うには /ベナジル・ブット (2007年)
流動化するパキスタン情勢 /ダニエル・マーキー (2007年)
―――代表戸締役 @株主 ☆ ◆jJEom8Ii3E in ニュース極東板
『もっと知りたいパキスタン』(小西正捷編,弘文堂,1987.12)
【質問】
パキスタンの国名の由来は?
【回答】
実はかなりトンデモな国名の代表格だったりする.
これはペルシア語の「パーキスターン」なわけだけど,ペルシア語で「清浄な,きれいにする」という動詞の現在語根「pak-」に819で説明した-estan/-istanがついて「Pakistan」という風に分析できる.
この「パーク:pak-」に「〜する」という意味の「kardan」という動詞がくっつくと,pakkardanで「掃除する」とかいう意味になるごく普通の単語だが,ペルシア語では動詞の現在語根は行為者的な名詞にもなるので,「pak-」単体で「清浄な人,きれいな人」という意味にもなる.
これによって「パーキスターン」全体で「清浄な人(々)の居るところ」という意味になるのだが,ここで言う「pak-:清浄な人,きれいな人」とは早い話,「インド世界」から分離独立したイスラム教徒たちの自称ということになる.
要は「パーキスターン」とは
「自分達は,偶像崇拝で多神教である汚れたヒンドゥーではなく,『イスラムの信仰に帰依する"清浄なる"イスラム教徒』だっ!!」
という『かなり』過激な主張が込められた名称で,「『清浄なる人々』の住むところ」=「パーキスターン」なわけで,既存の歴史的地域的な名称など全く関係が無い.
そのため,最初の独立でパキスタンがベンガル地方とインダス川流域方面の東西に分裂していたが,そもそも地域的な名称に全く関係しない人工的な国名なので取り敢えず問題なかった.
結局,無茶な独立だったので,ベンガルの方は再独立してバングラデシュとなる羽目になったのは,周知の通り.
それで,有名な
「パキスタンは,PAKiSTANで,Pはパンジャーブ,Aはアフガン(パシュトゥーン人のこと),Kはカシュミール,Sはスィンド,TANはバローチスターン」
という説明は,正直なところ,『幸い』に都合の良い地域名があらかた揃っていたために取り繕うことが出来た「全くの口から出任せ」.
流石に
「自分達は『清浄な人間』だからこの国はパキスタンだ!」
などという説明は,国際的に問題があり過ぎると思われたためにひねり出されたものだろう.
なにしろ,最後の「TANはバローチスターン」などは無理が有り過ぎる.
バローチスターンは歴史的に今までイラン世界の一部であって,インドとは全く関係がなかった地域だが,19世紀半ばにイギリスがイランのカージャール朝との戦争で,バローチ人たちの住んでいた地域を東西真っ二つに分断して,東側を英領インドに無理矢理組み込んだ経緯がある.
どちらにしてもこれでは当然ながら,最初の独立当時にベンガル地方の方でも「東パキスタン」と称していたことの説明は出来ない.
むろん歴史的にはイラン・中央アジアからすると,ヒンドゥークシュやバローチスターンを下れば,そこは「ヒンドゥー」世界とされていたし,インド側でもインダス川流域の分水嶺の向こうは,インド世界とは全く違うという認識はしていたようだ.
【質問】
パルダーの風習とは?
【回答】
パルダーとは「幕」の意味.
鹿島平和研究所理事で,元総領事の芦野弘によれば,女性の隔離を表しており,女性は家庭に閉じこもり,親族以外とは社会的接触をしてはならない風習だという.
これはパキスタン近代化の阻害要因になっている,と彼は述べている.
ただし,具体的にどういう状況で阻害となっているのか,詳しい根拠は述べられていない.
詳しくは『南アジア・大洋州開発選書2 パキスタン・アフガニスタン・セイロン』(鹿島平和研究所編,鹿島研究所出版会,1970.6),p.8を参照されたし.
ターリバーンの女性隔離令は,これに影響されたものと考えられる.
「ターリバーンの法令はアフ【ガ】ーンの農村の慣習」
などとトンチキなことを言っている奴もいるがね.
【質問】
ムハンマド・イクバールとは?
【回答】
ムハンマド・イクバール(1877−1938)は詩人兼哲学者であり,パキスタン・イスラム国建国の(イスラム主義)思想家と見なされている.
彼は,イスラム復興主義に賛同した著作を行い,社会主義を褒め称え,民主主義を批判した.
ドイツで学んだイクバールは,特にニーチェの「超人」観念を使用し,ムウミン━「(イスラムの)信仰者」━の意味を,イスラムの大義のために戦う理想的なムスリムというポピュラーな意味に変えたという.
【参考ページ】
http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP280610
【質問】
バルチスタン問題とは?
【回答】
パキスタン南東部に住む少数民族バルチ族を巡る問題.
データが古いが,以下参照.
パキスタンの南東部にある沙漠,山岳地帯のバルチスタン州は,総人口,約250万人,うち約100万人がパシュトゥン族で,残り約150万人がバルチ族.
バルチ族は西隣のイラン,北隣のアフガニスタンにそれぞれ約60〜70万人ずつ住んでおり,合計約270〜300万人が3国に跨って住む.
バルチ族は,西アジアのシリア地方から移動してきたセム系と言われ,独自の言葉を話す.
戦前,英領インドに編入されることなく,独自の英保護国の地位にあった.
1947年のインド,パキスタン分離独立の際,バルチスタンの土侯は,独立すればイランやソ連の勢力下に入る危険があると判断し,パキスタンへの参加を選んだ.
しかし,ここ10年間に教育を受けたバルチ族の若者は,アフガニスタンの変革に引きつけられてきたという.
パキスタン政府軍は3回に渡り,バルチ族の反乱を鎮圧するために出兵した.
そのたびに多くのバルチ族がアフガニスタン領に逃げた.
バルチ族の若者達はソ連への留学を熱望し,帰国するときは熱烈な革命家になっている者が多いという.
1978年4月のアフガニスタン社会主義革命は,バルチ族の左翼の若者にさらに大きな刺激を与えた.
ワリ・カーンの率いるパキスタンの有力政党である国民民主党(NDP)は,西北辺境州のパシュトゥン族とバルチスタン州のバルチ族を支持基盤としていたが,1979年4月,同党は左右両派に分裂した.
バルチ族は左派であり,パキスタン中央政府に対し反抗的で,アフガニスタンの社会主義政権に共感を抱くという.
バルチスタン州の分離独立運動はまだない.
パキスタン,アフガニスタン,イランの3国に跨るバルチ族の統合と独立も,現実の問題になったことはない.
朝日新聞調査研究室著「アフガニスタン事件」(朝日新聞社,1980/4/15),p.152-153
【質問】
ソ連のアフ【ガ】ーニスタン侵攻は,バルチスタンにはどんな影響を与えたのか?
【回答】
ソビエトがアフガーニスタンの次に狙うのはバルチスタン以外にない,という危機感が,バルチスタンの遊牧民にすら急速に高まり始めたという.
以下引用.
バルチスタンはイギリス支配時代,藩主が統治するネパールのような半独立国だった.
第2次大戦後,バルチスタン国家造りの動きがあったが,イランとアフガニスタンの反対に遭い,やむなくパキスタン領になったいきさつがある.
だから,住民の大部分を占めるバルチ族の間には,今でも反パキスタン感情がくすぶり,パキスタン側もバルチスタンを厄介者扱いしてきたきらいがある.
しかし,ソビエトと〔原文ママ〕アフガニスタン侵攻後,そうした情況は一変した.ソビエトがアフガニスタンの次に狙うのはバルチスタン以外にない,という危機感が急速に高まり始めたからである.
「暖い海に進出しようとする伝説的な南下政策は,今なお変わっていない.アフガニスタンまで進出したソビエト軍が,世界戦略上最も価値の高いアラビア海を狙わない道理はない」
と人々は考えている.
〔略〕
サイエド・イクバルを紹介してくれた.クエッタでただひとつの英字新聞「バルチスタン・タイムズ」の編集長で,バルチスタン問題の生き字引的存在だと言う.
サイエド編集長は気さくな人だった.
パキスタンの支配民族であるパンジャブ人だが,クエッタで新聞の発行を始めてから30年以上になるという.
編集長の説明では,バルチスタンの住民250万人の内訳は,遊牧民のバルチ族とドラヴィダ系ブラヴィ族が合わせて150万,残り百万はアフガニスタン国境に定住しているパターン人(アフガン人)である.
すでに国境を越えアフガニスタンでゲリラ戦を行っているパターン人を別にすると,将来のバルチスタンの運命は遊牧民の動向ひとつで決まると,編集長は指摘した.
「もしソビエトがバルチスタンに入ってくるとするならば,2つの方法が考えられます.
ひとつは,マリ,ブッティ,マンゲルといったバルチの有力部族の族長を懐柔することです.
バルチ族とブラヴィ族はざっと45の小部族に分かれています.
集団行動をとる遊牧民の族長の権力は大変なものです.生殺与奪の権限を握っていると言っていいでしょう.
族長がソビエト支持を決めれば,部族民の中に逆らう者はいません.
もう一つは,イランとの国境に近い地域です.あの辺りの遊牧民は中東方面に出稼ぎに行く者が多く,経済的に潤っています.
それだけ族長の権限は小さくなり,発言力はむしろ教育を受けたインテリたちに移ってきているようです.
少数民族のインテリというのは必ずと言っていいほどに反政府感情を持っています.
ソビエトがそれに乗じる可能製は極めて高いと言わねばなりません」
サイエド編集長は,
「すでにソビエトは前科者だ」
とも言った.
バルチ族はこれまでに何度か中央政府に反乱を起こして失敗し,多くの首謀者が外国に逃れた.
このバルチ族亡命者の何人かは現在もソビエトから資金援助を受けていると言うのだ.
続けて,ソビエトのバルチスタン侵攻がどの程度差し迫ったものなのか尋ねてみた.
「3,4年は大丈夫でしょう.ソビエトがアフガニスタンを完全に平定するにはそのくらいかかると思うからです.
しかし,侵攻が始まればそれで終わりです」
編集長によれば,バルチスタンに侵攻してきた場合,ソビエトの目指す目的地はグアダルだという.
グアダルは,イラン国境に近いアラビア海沿いの漁港である.
カラチから西に470キロ,ここにソビエト基地ができれば,ペルシャ湾,オマーン湾が完全にソビエトの制海権下に入ることは明かだ.
〔略〕
「ソビエトが来たら,南も北も,全ての村がこうなるんじゃろう」
廃墟の村で,アザム〔バルチ族の一部族であるコルド族の族長の弟〕が突然言った.この男とはそれまで政治の話はしたことがない.
無気味な静けさの中で,彼はこうも言った.
「アフガニスタンがソビエトの最後の目標ではないということぐらい,教育のないバルチの男だって分かっているさ.次は我々だということぐらいね」
地政学的に言えば,バルチスタンは極めて危険な位置にある.パキスタンの政府当局者もジャーナリストも危機感を募らせている.
だが,私にはアザムの一言のほうが大きくこたえた.ソビエトのアフガニスタン侵攻が,素朴なバルチスタンの遊牧民にまで確実に影を落とし始めている,という意味においてである.
園田矢 from 「危機の三日月地帯を行く」(日本放送出版協会,
1981/4/20),p.268-270 & 275
【質問】
2006年のバルチスタン騒擾は,どんなものなのか?
【回答】
バルーチ族首長で政治家のナワブ・アクバル・ブグティ氏がパキスタン治安機関の手で殺害されたのをきっかけに始まったもので,バルチスタン州はじめパキスタン各地で暴動が起こり,50人以上が負傷し,死者も出ているという.
以下引用.
バルチスタンで暴動続く パキスタン政府のバルーチ族首長ら殺害で
【アルジャジーラ特約28日】バルチスタン州のバルーチ族首長で政治家のナワブ・アクバル・ブグティ氏がパキスタン治安機関の手で殺害されたのをきっかけに,バルチスタン州はじめパキスタン各地で激しい反乱が続いている.50人以上が負傷し,死者も出た.
バルチスタン州の町ニシュキは外出禁止令が敷かれ,27日夕には州都クェッタにも無期限の外出禁止令が出た.州内各地には警察や準軍隊が大規模に動員,配備された.
イスラマバードでは,モハンマド・アリ・ドゥラニ情報相が27日,ブグティ氏の遺体は依然,殺害現場のコールの塹壕の瓦礫の中から運び出されておらず,遺族の到着を待って埋葬されることになろうと語った.
バルーチ連合は28日,ブグティ氏暗殺に抗議してゼネラルストライキに入るよう呼び掛けた.同連合の指導者であるパキスタン人民党(PPP),バルチスタン民族党(アワミ連盟)の国会議員たちは,反バルーチ勢力と呼ぶ相手闘争を継続すると語った.
ムシャラフ・パキスタン大統領は27日,政府はバルチスタンその他で人身保護のtsめ,「あらゆる措置」を取ると述べた.
同大統領は交渉の道は開かれているとして,
「これまで交渉のチャンネルを閉じたことはないし,これからも同じだ.
しかし,政府は何者にも治安部隊への攻撃を許さないし,もしそんな事があれば,そうした輩に懲罰行動を起こす」
と語った.
パキスタン政府は,連邦政府を支持するグループを支援し,バルチスタン州における開発事業の実施を早めることを決定した.
バルチスタン州民は.州内の天然資源が政府によって利用され,地方に何の資金的恩恵もないことに怒っていた.
パキスタン各紙は,バルチスタン州で少なくとも45台の車や数十の商店,銀行,政府の建物が略奪されたり放火されたと報じた.数百人の暴徒が拘束された.
州都クェッタは27日,抗議の群衆が市内で違いに交差する3主要道路を封鎖したため,外部から遮断された.
カラチ,ラホールからクェッタに向かう航空便はすべて運休した.
クエッタ行きの列車も止まり,パキスタン鉄道は同市発の列車も運休させた.
カラートでは爆弾事件が2件起きた.
パスニ,グアダル両町では,与党のパキスタン・ムスリム連合の地区事務所が放火された.
グワダルでは,警察官詰め所も襲撃された.
州内の他の多くの町でも,暴力的な抗議行動が起きたと伝えられ,シンド州の多くの市や町でも,パルーチ部族が抗議行動を起こした.
パンジャブ州では,ラジャンプールとデラ・ガジ・カンで抗議デモがあった.
ドゥラニ情報相は,7人の治安部隊員も死亡したブグディ氏襲撃事件で,同氏の孫のブラーマダグ,ミラリの二人が殺害されたかどうかははっきりしないと述べた.
しかし,部族側のスポークスマンはクエッタで27日,激しい攻撃が起きた際,二人の孫はコールーを離れていたので,生存していると述べていた.
バルーチ民族主義の古参指導者であるナワブ・カイル・バクシュ・マリ氏の子息,ナワブザダ・バラーチ・カン・マリ氏も生存しているという.
ドゥラニ情報相は,ブグティ氏がいた壕がレーザー誘導ミサイルで撃たれたという報道を間違っていると否定し,
「そのようなミサイルはパキスタンで製造されていない」
と述べた.
ブグティ氏の配下の抵抗が非常に激しかったため,同氏を生け捕りにするのは可能性がなかったとも述べた.
同相は
「コール地区のタラターニ地域に裏切り者の一団がいるため,情報収集に派遣された2機のヘリのうちの1機が砲撃された8月23日,作戦が開始された.
このすぐ後,別のヘリが敵の砲火を浴びた.
26日になって,厳重に防備された壕にいる戦闘要員がハイテク兵器を使用して,治安部隊員7人を殺害したので,作戦は強化された」
と発言した.
ブグティ氏の遺族とジャムフーリ・ワタン党(JWP)指導部は29日,クエッタのサディク・シャヒード広場で葬儀を挙行する.
同党幹部の一人は,ブグティ氏が死去して2日も経ったので,政府はイスラムの教えと部族の慣習,人間としての価値観に従って,遺体を後継者に引き渡すべきだと語った.
一方,パキスタン政府はブグティ殺害事件によって,28日の国会審議では波乱が起きると予測している.
政府側は,感情を沈静化させようと,ブグティ氏に敬意を払うために審議を中断することを提案する可能性がある.
野党を構成する民主主義回復連合(ARD),統一行動評議会(MMA)などの諸党はすでに,問題を討議するため,休会動議を提出する方針を決めた.
この間,ナワズ・シャリフ元首相は,ブグティ殺害事件の首謀者たちは憎しみのタネをまいたのであり,全政党がパルチスタン州民との連帯の意思を表明した場合だけ,これ以上の損害を出さずに済むだろうと語った.
(翻訳・ベリタ通信=日比野孟)
泥沼の悪寒……
バルチスタンが比較的平穏だったのは,考えてみれば,ソ連という外敵が,バルチスタンの隣のアフガーニスタンにまで迫っていた頃だけだしね.
【質問】
米国の対パキスタン政策についての問題点は?
【回答】
英国の名門でブラッドフォード大との「トルストイ・カップ」でも知られるキングズ・コレッジ・ロンドンの国際関係・テロリズム研究のチェアで,米国のthe
New America Foundationのフェローで,元FT記者でもあるアナトール・リーベンの論説,「ブット後」が,アメリカのNational
Interestのサイトに掲載されています.
Apres Bhutto: Part 3
by Anatol Lieven
12.28.2007
「ベナジール・ブットの暗殺により,米国の対パキスタン政策はめちゃくちゃになってしまった.とはいえ,そもそも最初からかなりめちゃくちゃなものであったのだが」
という書き出しの,非常によく整理された論説です.
リーベンは米国の対パキスタン政策について,次のように指摘しています.
[/quote]
Too much of the U.S. approach -- by the Democrats, the media and the think-tank community, to an even greater degree than the administration -- has been based on three interlocking illusions: that Pakistan can be turned into a fully co-operative and obedient ally in the "war on terror" and the war in Afghanistan, when the overwhelming majority of Pakistanis oppose this and see it as contrary to Pakistan's own interests; that the return of "democracy" in Pakistan, embodied in Ms Bhutto, would help to make Pakistan such an ally; that Pakistani society at present is capable of generating and supporting democracy in the Western sense; and that in overall U.S. strategy, it makes sense to subordinate Pakistan to the needs of the war in Afghanistan, rather than the other way round.
米国のアプローチのあまりに多くの部分――現政権のアプローチもだが,それ以上に民主党も,メディアも,シンクタンクも――が,相互に絡み合った3つの幻想に基づいている.
ひとつは,パキスタンはいわゆる「テロとの戦い」とアフガニスタンにおける戦争において,アメリカに全面的に協力してくれる,ノーといわない同盟国になりうるのだ,という幻想.
実際にはパキスタンの圧倒的多数がこれに反対し,パキスタンの国益にはまったくかなわないと見ているにも関わらず.
ふたつには,ベナジール・ブットという形でパキスタンにいわゆる「民主主義」を回復することができれば,パキスタンは米国の望むとおりの同盟国となっていくだろう,という幻想.
そして,米国の戦略は全体的に,アフガニスタンにおける戦争にパキスタンを従属させることは理にかなっている,という幻想.
[/quote]
続いてリーベンは,
「アフガニスタンにおける米国の戦略がいかなるものであるかをはっきり把握している者は,もはや誰もいない.
したがって3点目の混乱はよけいにひどくなっている」
と述べています.
つまり,米国は従来どおりのタリバンとの全面対決を望んでいるのか,英国などが主張するように,必要とあらばカルザイ政権を犠牲にしてでも地域のタリバン司令官と新たに関係を構築しようとしているのか,どっちなんだかさっぱりわからない,ということです.
実際,最近のイラクで米国はスンニ派の部族長らを取り込んで「平和」を維持しており(→最近のファルージャについてのNYT記事などを参照),そういう方向性と全面対決路線との間で揺れているのではないか,と.
そしてリーベンは次のように指摘しています.
[quote]
全面対決を望んでいるのなら,米国とパキスタンの衝突は避けられない.
地域の軍閥との関係構築を望んでいるのであれば,それはパキスタン政府がアフガン国境の部族地域においてずっととってきたアプローチに近いことを米国もしようとしている,ということになる.
とはいえ,パキスタンのこの「対話路線」は,今のところ,成功しているとは言いがたい.
こういった混乱と,パキスタン情勢の不安定ぶりを考えれば,当座の米国の政策は,まさに,何もしないことであるべきだ.
ワシントンは事態を見守るべきである――暴力と騒乱がいかに悪化していくのか,ベナジール・ブットにかわるリーダーがPPPに現れるか.
現状,米国が「選挙は予定通り1月に行なわれるべきだ」と要求し続けることにはまったく意味がない.
実際,そのように行なわれた選挙は事態をさらに悪化させるだけ,ということにもなりうるし,そのような選挙は確実に暴力を悪化させることになる.
特にPPP支持者(シンディ Sindhi)と軍事政権支持者(ムハジール Muhajir)との衝突は大きなものになるだろう.
[/quote]
リーベンのこの指摘は極めて理にかなったもののように思われます.
しかし実際には,英国のブラウン首相がムシャラフ大統領への電話で「大幅な延期」は避けていただきたいと述べるなど,「とにかく選挙ありき」で米英がパキスタン情勢を扱おうとしていることは明白です.
自分たちの足元を見直すのではなく,パキスタンに選挙をやってもらって,それで「民主主義」という形式を整えようとしている.
(もちろん,「とにかく選挙ありき」でゴリ押しされた例は,アフガニスタンにもイラクにもある.
米英の言う「デモクラシー」――リーベンは二重引用符つきで
"democracy" と書いているが――は,「選挙」という形式を整えることなのだろう.
そんなんでロシアを非難できるのかなあ.)
リーベンは続けます.
[quote]
ベナジール・ブットの殺害は悲劇である.
それもパキスタンの将来的安定と統一にとって,非常に危険なことを示す悲劇だ.
しかし,これによってよりクリアになるものもあるだろう.
そして,クリアになったことから,現実に即し,真に米国の本当に重要な国益のためになる米国の対パキスタン政策をつくることができるようになるだろう.
これは,ブットの死が,政治評論家や英国のタブロイド,The
Sunの言うように,「デモクラシーの死」を表しているからではない.
ブットには美点もたくさんあったが,結局は改革改革と叫ぶだけの現代的民主主義者でしかなかったのだ.
[/quote]
以上で全体の3分の1くらい.読む価値は十二分にある論説記事です.
ぜひどうぞ.
◆◆核兵器関連
【質問】
パキスタンのIRBMの開発状況は?
【回答】
おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)5月1日付によれば,2006年4月29日,パキスタン国防省は中距離弾道ミサイル「ハトフ6」(別名:シャヒーン2)の発射実験に成功したと発表している.
この実験にはアジズ首相が臨席,インドへの事前通告も行なわれている.
ミサイルの射程は改良型は約2500kmで,CEPもかなり向上している.
どこで実験が実施されたかは不明.
また,おきらく軍事研究会,平成19年(2007年)2月26日付によれば,パキスタンは2007/2/23,射程2000キロの中射程弾道弾「シャヒーン2」(パキスタン名:ハトフ6)の試射に成功したという.
試射には統合参謀本部議長のハク大将が立会い,ムシャラフ大統領,アジズ首相からのメッセージも届いたという.
【質問】
「バーブル」とは?
【回答】
超低空飛行や迂回飛行のできる,パキスタンでは初めての巡航ミサイルで,射程は500km.
核弾頭搭載可能.
2005/8/11,発射実験に発成功した.
以下ソース.
パキスタン巡航ミサイル実験
パキスタンの軍当局は,核弾頭の搭載が可能な巡航ミサイル「バーブル」の初めての発射実験を,現地時間の11日朝早く,南部の町ソミアニからアラビア海に向けて行い,実験が成功したことを明らかにしました.
〔略〕
核弾頭が搭載できる巡航ミサイルは,対立する隣国のインドも所有していますが,今回の実験成功を受けて,パキスタン軍の報道官は,巡航ミサイルの性能では,インドを上回ったという見方を明らかにしています.
パキスタンでは,先月,ロンドンで起きた同時多発テロ事件以後,パキスタンがテロの温床となっているのではないかと指摘する声が国際社会から上がり,国民が反発を強めていました.
このため,今回の実験は,今月14日の独立記念日を前に,核とミサイルの開発を進める強い意志を国内外に示し,国民を鼓舞する狙いがあると見られています.
これについて,インド政府はこれまでのところ沈黙を続けています.
【質問】
1998年5月,なぜパキスタンは核実験をしたのか?
【回答】
パキスタンの核は,実験を十分に積んでいる中国の技術でもあったことから,実験を行う必要はなかった.
だが,インドはパキスタンに挑発をかけ続けたため,実験に踏み切った.
アメリカは制止にかかった.
しかし,通常勢力で更にインドに格差をつけられ,核依存にならざるを得なかったパキスタンを押し留めるには,通常戦力でその格差を埋める方策を提示する以外になかった.
だが,アメリカはそれを示さなかった.
詳しくは「ポスト・タリバン」(中公新書,2001/12/20),P.100-101(遠藤義雄著述)を参照されたし.
【質問】
パキスタンの核実戦部隊はどのようなものか?
【回答】
2006/8/9までに明らかになったところによれば,
1.実戦部隊の名称は「戦略部隊」(ASF)といい,大統領は首相らで構成する「国家司令部」(NCA)が統制し,3軍それぞれに司令部を置いている.
1.ムシャラフ大統領は軍参謀長でもあり,実質的には大統領が全権を握っている.
1.陸軍のASFには6000名程度が配備されている模様
1.核兵器貯蔵施設は国内各地に分散している.インド国境地帯を中心に貯蔵施設の新設も行なっている.
1.核弾頭はウラン型30〜50個と見られる(ISISの推定)
【質問】
パキスタンによる核兵器技術流出問題は充分に解明されたのか?
【回答】
カーン博士周辺の取り調べをパキスタンは終えたが,未解明部分も多いとする見解もある.
・核兵器設計図をイランや北韓が受け取ったかどうか,
・核の闇市場にシリアも関与していたのではないか,
・闇市場の仲介業者などは無傷ではないか,
などの点が未解明のままだとされる.
以下引用.
「核の闇市場」解明ほど遠く 米下院公聴会「技術流出,物資転売も」
【ワシントン=有元隆志】パキスタン政府は先に,同国のカーン博士が関与した「核の闇市場 」に関する捜査を事実上終了したが,米国では二十五日の下院公聴会で核問題専門家から調査継続の要請や,闇市場が現在も存在するとの証言が出され,疑惑解明を求める声が相次いだ.
パキスタンは,博士が二〇〇四年二月に北朝鮮などへの核技術流出を認めて以降,国際原子力機関(IAEA)に協力したとするが,イランの核開発との関係など,核の闇市場をめぐる疑惑は深い.
パキスタン政府は四月末,カーン博士の側近で,北朝鮮やイラン,リビアに核開発技術などを漏洩(ろうえい)した疑いで拘束していた核専門家モハメド・ファルーク氏を釈放したと発表.事実上捜査を終了したとし,米国やIAEAによるファルーク氏への聴取も認めないとしている.
二十五日の米下院国際関係委員会国際テロリズム・不拡散小委員会で証言したIAEA元査察官で,米シンクタンク科学国際安全保障研究所(ISIS)所長のデビッド・オルブライト氏は「問題解決にはほど遠い」と語った.
同氏が未解明の点として挙げたのが,北朝鮮やイランが,核の闇市場を通じて,核兵器開発の設計図を受け取ったかどうかという点だ.同氏は
「イランが核兵器開発にどれだけ近づいたか判断しようとするときに,これらの問題が特に厄介だ」
と述べた.
同氏は闇市場がどこまで広がっているかも不透明と指摘した.これまで闇市場とつながりがあるのは北朝鮮,イラン,リビアとされていた.
しかし,米中央情報局(CIA)がこのほどまとめた大量破壊兵器の拡散に関する年次報告書では,シリアも闇市場を通じ,核兵器に関する技術を取得していた疑いがあることがわかった.
また,英軍事専門誌ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーのアンドリュー・コッチ元ワシントン支局長は,イランが闇市場を通じ,従来型のP1より高性能な遠心分離機P2を入手した疑いを指摘,パキスタンがIAEAなどの調査に協力すべきだと主張した.
さらに,コッチ氏はカーン博士が自宅軟禁状態に置かれ,協力者が拘束されても,
「闇市場の一部は無傷で,活動を行っていると思われる」
と述べ,闇市場に関与した仲介業者や,新規の仲介業者らが,引き続き核関連物資などの密輸を行っているとの見方を示した.
カーン博士は二〇〇四年二月,北朝鮮,イラン,リビアに核技術を提供したことを認めた.
このうち,リビアは核開発を放棄したが,闇市場を通じて購入した核関連の物資はその後,行方がわからなくなっており,闇市場で転売された疑いが持たれている.
▼ 【追記】
パキスタンは,カーン博士(現在軟禁中)を通じて,世界に核技術を拡散させた国として知られます.
その背後に軍の存在があることはよく知られています.
カーン博士は最近になって,政府や軍の「核の闇市場」への関与を示唆する発言を繰り返しています.
一部報道で,先日暗殺されたブット元首相自身の核疑惑があきらかになっていますが,軍の要請を受け,彼女自らが北鮮への核運び屋となったようです.
帰りの飛行機の中にノドンが積まれたというのは有名なはなしです.
ブット暗殺は,軍による口封じと見るのが自然ですね.
そんななか2008.6.28に軍が,カーン博士の話を公開しています.
この供述は2003〜2004年に行われたものだそうです.
少なくとも対イランに関して博士,パキスタン当局は,積極的な核拡散に関与する意図がなかったと,米に示す意図があるようです.
カーン博士の,軍に対する供述が明らかにされたのは初めてです.
内容のエッセンスです.
1.イランに渡った高濃縮ウラン製造用の遠心分離機については,新型の開発に伴い,旧型の処分が必要となったため,処分目的で民間に売却した
1.当初,核兵器開発に必要なウラン濃縮には,P1型とよばれる旧型のアルミニウム製遠心分離機を利用したが,'80年代後半に改良型のP2を開発した.
1.P1を溶かして再利用するため,カラチの「ALCOP」社に約3万ドルで売却し,代金は政府会計に参入された
1.その後,側近のスリランカ人ビジネスマン,タヒル氏が博士に転売を相談し,博士も合意.
'95年ごろ,「ALCOP」社などから約200台がイランに渡ったと見られる.
1.イランは中古の分離機を闇市場で入手したと認めている
1.IAEAによるナタンツの施設査察により,高濃縮ウランが付着したP1が見つかっている
1.イランは,「輸入当初から放射能に汚染されていた」と説明している.
博士も「放射能は除去して売った」としている.
しかし軍関係者は
「一度汚染された分離機を売るのは不自然.当初からイラン転売を計画していた可能性がある」
と述べている
▲
【質問】
パキスタンって色んな部族が衝突しあってタリバンもいるらしいけど,核兵器の管理はどうなってるの?
テロリストに流出する恐れとかないの?
【回答】
パキスタンの核管理,9・11以降強化される 英シンクタンク専門家が指摘
これは,IISSのマーク・フィッツパトリック上級研究員の発言.
核兵器は運搬手段のミサイルとは別々に保管されている.
何者かが核兵器を奪おうと思っても,構成部品を支配下に置く必要があり,核兵器を使用可能状態にするには公式に認定された暗号の一致が求められる.
米国と酷似した暗号システムを導入し,通常,別々の2人が暗号の認証を課せられる.
核管理は軍のエリート集団が担い,信頼と尊敬を集める将軍がこの4〜5年間,集団を率いている.
◆U9WXE91fGY in 軍事板
青文字:加筆改修部分
また,アメリカも,テロリストへの核兵器流出を心配してて,核管理の為の支援をしてる.
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20071118/1195388563
◆k19gTWoCVc in 軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ ただ,IAEAでは安全性に懸念を表明している.
以下引用.
――――――
IAEA事務局長が保有核の安全性に懸念,パキスタン政府は反論
【1月10日 AFP】 国際原子力機関(International Atomic Energy Agency,IAEA)のモハメド・エルバラダイ (Mohamed ElBaradei)事務局長が8日,パキスタンが保有する核兵器の安全性について懸念を示したことを受け,パキスタン外務省は9日,同国の核兵器が過激派の手に渡ることはないと強調,事務局長発言は「無責任」だと強く非難した.
〔略〕
IAEAのエルバラダイ事務局長がパキスタン情勢について
「30〜40基の核爆弾を保有するパキスタンの混乱や,過激派主導の政治体制の成立を懸念する」
「核兵器がパキスタンやアフガニスタンの過激派グループの手に渡る恐れがある」
などと述べたことが,アラブ諸国の日刊紙アルハヤト(Al-Hayat)で8日に報じられていた.
――――――
パキスタン政府の「反論」の中身は,具体性に乏しいので省略した.▲
◆◆軍事組織
【質問】
1958/10/7のアユーブ・カーン陸軍大将のクーデターは,なぜ起こったのか?
【回答】
鹿島平和研究所理事で,元総領事の芦野弘の記述を読むと,政治の機能不全が原因のようだ.
彼によれば,パキスタンでは独立してからクーデター直前までの11年余り,政情は極めて不安定であり,その政治は30人に満たない人物(地主,高級官僚,職業政治家)のもてあそぶままとなっていたという.
そしてクーデターの起きた年の1958年には,
カーン・サーヒブ共和党総裁暗殺事件,
東パキスタン州議会乱闘流血事件,
農業不振と食糧密輸,
汚職・闇取引横行,
ストライキ頻発
などにより,激しいインフレーションと外貨不足を生じ,政治的にも経済的にも危機的状況にあったという.
詳しくは『南アジア・大洋州開発選書2 パキスタン・アフガニスタン・セイロン』(鹿島平和研究所編,鹿島研究所出版会,1970.6),p.9-10を参照されたし.
その後のアユーブ大統領による改革断行ぶりを見るに,このクーデターは結果的にはパキスタンにとってプラスだったといえよう.
【質問】
基礎的民主主義制度とは?
【回答】
アユーブ大統領が議会民主主義制に代わって導入した政治機構.
鹿島平和研究所理事で,元総領事の芦野弘によれば,末端の町村会から州レベルの開発諮問評議会まで,5段階のピラミッド型の地方行政機構を設立.
この制度により,東西各州から約4万人ずつの末端単位の代表を選出し,これら代表が大統領,国民議会議員,州会議員の選挙人となると共に,農村山村地域ではユニオン・カウンシル,町市地域ではタウン・コミュッティーおよびユニオン・コミッティと呼ばれる地方行政組織の末端組織構成員となり,地域的プロジェクトの立案・運営実施を担当したという.
この制度は,
[quote]
『パキスタン国民の大多数は無教育であり,貧しく日々の生活に追われている.
このような人々は国家的政策という形で政治を考えることには慣れていない.
これがパ国において議会民主制が失敗に終わった一つの原因である.
しかし彼らは身近な問題に対処することは勿論できるし,自分達を助け導き,自分達のために働いてくれる人々を選択する力を持っている.
このように最下部のレベルに根ざした政治は必ず成功するであろう』
[/quote]
というアユーブ大統領の考え方に基づいていたという.
詳しくは『南アジア・大洋州開発選書2 パキスタン・アフガニスタン・セイロン』(鹿島平和研究所編,鹿島研究所出版会,1970.6),p.12-13を参照されたし.
上記引用も同所から.
政治後進国でのモデルになりうる,一つの興味ある試みといえよう.
【質問】
シャリフ政権に対し,1999年10月に軍部がクーデターを起こしたのは何故か?
【回答】
シャリフ首相はアメリカでクリントン政権に対し,カルギル紛争を終結に向ける約束をして帰国した.
が,それをおもしろくないとした部隊長達がいた.
対米関係を重視したシャリフ首相は,軍を抑えるよう軍人事に手をかけた.
ムシャラフは当時,参謀長だった.カルギル紛争は彼の作戦ではなく,その下の部隊長クラスがやったことだったが,責任をとらされることになった.
そこで軍はクーデターを起こした.
ムシャラフはクーデターの首謀者的立場ではなかったが結局,神輿に乗って政権についた.
国民はクーデターを歓迎した.シャリフ文民政権の腐敗と横暴に不満を抱いていたからだ.
しかし国際社会は反発し,経済制裁を強化することになった.
(遠藤義雄 from 「ポスト・タリバン」,中公新書,2001/12/20,P.103,抜粋要約)
【質問】
パキスタンでは軍部はどのような力を持っているか?
【回答】
軍部は長年,カシミールの領有権をめぐるインドとの対立を利用して巨額の軍事予算を手に入れ,パキスタンを実質的に支配してきた.もちろんカシミール問題がすぐに解決する見込みはないが,もし両国の交渉が進展すれば,軍事予算が削減されかねない.
軍は47年のパキスタン独立以来,4人の独裁者を輩出.長期にわたり国政を牛耳ってきた.ムシャラフ自身,腐敗した文民政権を99年に無血クーデターで倒し,権力を奪取した軍人だ.
現在,兵力50万の陸軍を中心とする軍は国家予算の22%,税収の70%を握っている.「軍がごっそりもっていくので,開発のための予算がほとんど残らない」と,軍事アナリストのアイェシャ・シディカ・アガは言う.
そのせいで一般国民は大きな犠牲を強いられてきた.アジア開発銀行によれば,総人口1億4000万の3分の1近くが絶望的な貧困にあえいでいる.医療や教育など,基本的な公共サービス向けの支出は予算全体の4%に満たない.
ムシャラフは今,カシミール情勢の緊張緩和が予算削減につながることを心配する軍首脳の説得に全力をあげている.インドとの関係が好転すれば経済成長の呼び水になり,軍事予算に手をつけなくても貧困層の生活水準を引き上げることができると,ムシャラフは訴えている.
軍首脳はこの理屈はともかく,大統領の指導力には今も信頼を寄せている.ムシャラフは9.11テロ後,アメリカの対テロ戦争に協力すれば大きな見返りがあると主張して軍部を説得.欧米寄りの穏健路線に対する支持を取りつけた.そして実際,軍は対テロ作戦への援助として,米政府から約15億ドルを受け取ることができた.
ロン・モロー(ニューデリー支局長) &
フセイン・ザヒド(イスラマバード)
from ニューズウィーク日本版 2004年2月18日号 P.30
また,
Geopolitical Diary: Making Sense of Pakistan
(STRATFOR)ムシャラフ大統領のやっていることは意味あること
November 05, 2007 03 00 GMT
という記事によれば,パキスタンは建国当時からずっと,軍隊が殆ど唯一の安定化装置であって,国を纏める基礎のようなものなので,それがなければ国が成り立たないという.
民族的其他で多様なパキスタンを,そもそも国といえるのかさえ(軍抜きでは)怪しげだとする.
その上で,現状のパキスタンでは,政治家が軍の実際のトップであることは他の国と異なっていて,非常時においては(現実問題として)必要だと述べている.
パキスタン軍憲兵隊
【質問】
パキスタン国内の暴力やテロを抑制できないのは,パキスタン軍の意志の問題なのか?
【回答】
アメリカの外交評議会の会長で中東および南アジアの専門家であるRichard
N. Haassが多くの人にインタビューした結果では,彼の結論はそうではなく,パキスタンの軍や警察の能力の問題なのだという.
装備や訓練など,パキスタンの軍と警察を育てない限り,過激派の制圧は難しいと思う,と彼は述べている.
詳しくは
Haass: In Pakistan, Radicalism Is 'Spreading'
Interviewee:Richard N. Haass, President,
Council on Foreign Relations
Interviewer:Bernard Gwertzman, Consulting
Editor October 19, 2007
を参照されたし.
【質問】
パキスタン軍事政権のメディア規制状況は?
【回答】
Pakistan Arrests Hundreds From Opposition
Parties
WaPo:パキスタンは野党勢力の活動家,数百人を逮捕
By Griff Witte Washington Post Foreign Service
Wednesday, June 6, 2007; Page A12
という記事によれば,政府は2007年に,TVなどのメディアの規制を強める法を決めており,ライブ放送への事前承認を定めるなどメディアの活動に干渉を強めているという.
そのため,これをめぐってメディアと政府の対立が深まっているという.
【質問】
ムシャラフが大統領であることの何が問題だったのか?
【回答】
各種報道によれば,ムシャラフ氏が軍最高司令官を兼務したまま大統領選に立候補
したことが,違憲ではないかと指摘されている.
この点については最高裁で審理が行われていたが,2007/11/3,大統領は全土に非常事態を宣言し,4日には政権に批判的だった最高裁のチョードリー長官が解任された.
しかし結局,2007/11/28にムシャラフは陸軍参謀長の座を,彼の腹心アシュフク・キアニに譲り渡すことになった.
【質問】
Ashfaq Parvez Kayaniって誰?
【回答】
ムシャラフの腹心であり,彼の後任の陸軍参謀長.
2007/11/28付,朝日新聞によれば,キアニは米国の陸軍軍事教練センターへの留学経験があり,リベラル派とされる.
2007年9月まで諜報(ちょう・ほう)機関の軍統合情報局(ISI)長官を務め,10月に陸軍副参謀長になった.
2003年12月にあった2度のムシャラフ氏暗殺未遂では,ラワルピンディ軍団司令官として捜査の陣頭指揮を執り,空軍内部の共謀者を割り出して逮捕.
2007年夏には,総選挙後の政権運営をめぐるブット元首相との秘密交渉に,大統領側近として参画.
「経験,能力,忠誠心でムシャラフ氏に高く評価されている」(陸軍筋)
という.
***
Ashfaq Parvez Kayani大将は故ブットー政権下で大統領副軍事補佐官を歴任.シャーリフ政権時に軍参謀として活躍.
カルギル戦争と後の国境紛争のエスカレートを抑えた立役者の一人で,パキスタン軍の最前線に立ち,政治面でムシャラフ大統領を補佐してきた.
Kayaniは先の大統領選挙においても,故ブットー女史と協議し調整を図っている.
先の選挙でムシャラフが当選した要因としてAshfaq
Parvez Kayaniが助力したためと言う話もある.
あとISI局長には,Ashfaq Parvez Kayaniの腹心で,ムシャラフの大統領軍事補佐官を務めた
Nadeem Taj中将が9月21日に着任してる.
今回の一連の経緯でミソつけたが,Nadeem
TajはAshfaq Parvez Kayaniとともに,ブットー以降のパキスタン大統領暗殺計画の阻止に大きな役割を果たしてきた人物であり,
程度問題ではあるが,各派より一定の信頼を受けていた人物ではある.
統合参謀本部と組んでイスラム原理主義強硬派のパージを行っていた.
まぁパキスタン軍内部のイスラム原理主義強硬派は対インド強硬派でもあるパキスタン版「国士様」が中心で,現状ではあまり動きが取れないだろう事が救いかな.
wikipediaで済まんがKayaniのキャリアね.
http://en.wikipedia.org/wiki/Ashfaq_Parvez_Kayani
Kayani is a graduate of Military College Jhelum and was commissioned in the Pakistan Army in August 1971 in the Infantry's Baloch Regiment as an infantryman.
He is a graduate of the Command and Staff College, Quetta, Command and General Staff College, Fort Leavenworth, Kansas, and National Defence College, Islamabad, where he holds a masters degree in War Studies. During his career in the army, he has commanded an Infantry Battalion, an Infantry Brigade, an Infantry Division and the prestigeous Rawalpindi Corps.[3]
Kayani rose to eventually serve Benazir Bhutto as her deputy military secretary during her first stint as prime minister in 1988.
Kayani's career progressed and he went on to serve as Director General of Military Operations (DGMO).
It was during his tenure as DGMO that the intense military standoff of 2001-2002 between Pakistan and India took place. Reportedly, Kayani only slept a few hours a night during that period as he diligently oversaw the army’s mobilization and preparedness on the border.[4]
以下略.
[/quote]
ISIとは,ムシャラフがシャリフとぜんISI長官を追放したカウンタークーデターをおこなってパキスタンの首相になるまで,全く接点はない.
アシュファク・キアニはパキスタンとインドの間での国境紛争でも参謀として活躍し,事態拡大を防いでいる.
軍人の本分に従い,国を守ろうとしているタイプに思える.
政治家の腹心以前に,パキスタン軍の軍人なのではないだろうか.
【質問】
パキスタンから北韓への軍事技術移転の内容は?
【回答】
ミサイル輸入の見返りに,パキスタンは北韓に対してウラン濃縮施設・機材を供与し,専門家を派遣していたようだ.
以下引用.
2002年10月には,パキスタンが北朝鮮にウラン濃縮施設・機材を供与していたとの証拠を米国が北朝鮮に提示し,北朝鮮がこれを認め,さらに,パキスタンの核開発責任者であるカーン博士が2004年2月になって,パキスタンの核開発計画や装置の一部を北朝鮮・リビアに不法に供与していたことを自供するという事実が発生したことである.
これによって明らかになったパキスタンによる核開発計画の拡散が,グローバルな核拡散問題に持つ意味合いという問題がある.
パキスタンと北朝鮮は過去数年間に渡り,ミサイル開発や核開発計画の分野で相互に情報交換・技術支援・装置供与を行ってきた形跡があり,北朝鮮の弾道ミサイル発射実験のたびにパキスタンの専門家が北朝鮮を訪問し,また,パキスタンの核実験・ミサイル発射実験の際には北朝鮮の専門家が視察していた事実もある.
パキスタンとしては北朝鮮からのミサイル輸入の見返りとして,ウラン濃縮施設・機材の輸出を行ったものと見られるが,パキスタン政府は政府としての関与を否定している.
しかし,この情報提供が事実であるとすれば,パキスタン政府側の協力なくしてこのような情報が米国側にもたらされるはずはなく※,したがって,パキスタン側がいかなる背景事情によってこのような情報を米国に提供したかについても注目する必要がある.
森本敏 in 『南アジアの安全保障』(日本国際問題研究所編,
日本評論社,2005.10.10),p.196-197
※引用者注
仮に諜報機関がパキスタン内部に情報提供者を作りあげることができたなら,必ずしもパキスタン政府の協力は必要ないので念のため.
イスラエルと南アフリカの協力のように,このような「不良国家同士の野合」はよくある事例.
なお,パキスタンの核兵器技術は中国から移転されたものであることも忘れてはならないだろう.つまり,すでに実証された技術だという事.
【質問】
パキスタン軍って戦車持ってますか?
【回答】
パキスタンはインドとの対抗上,侮れない軍事力を持ってます.
パキスタン・オードナンス・ファクトリーズなんて,弾薬類をせっせと作って軍に納品のみならず,40ヵ国以上に対して輸出中.
戦車の種類と保有数は,
アル・カリド主力戦車(中国90式の改良型):325輌,
T-80UD:320輌,
T-85IIAP:200輌,
M-48:200輌(モスボール),
69式(中国製):250輌,
59式(アル・ザラルに改造中):1200輌,
T-60:100輌.
【質問】
なぜ新聞に掲載されていないのかが不思議ですが,パキスタンが原子力潜水艦を建造する?かもしれません.
どうして報道されないのか不思議です.なぜ?
Hanif Khalid, "Pakistan acquires capability to develop N-sub, "
The News, 8 Sep 2006,
<http://www.thenews.com.pk/top_story_detail.asp?Id=2944(9 Sep 2006)
ISLAMABAD: Pakistan has acquired the capability of developing its own nuclear submarine.
Pakistani scientists and the engineers have developed indigenous technology for building the nuclear submarines at the existing facilities.
This capability will strengthen the naval defence of the country. President Gen Pervez Musharraf will discuss this matter with the Chinese President during his visit to Islamabad in November this year.
Pakistan started exploring alternative sources and strategies to bridge the wide gap with India in conventional and strategic weapons/forces to sustain its independence and sovereignty.
The gap was widening due to the United State's tilt towards India as compared to Pakistan. According to a military comparison,
Indo-Pak conventional and strategic asymmetries until now are not primarily in favour of Pakistan.
製パン居士
【回答】
無理ではないでしょうか.
およそ不可能,と多くの人達が見るから〔殆ど〕記事にもならないのだと思います.
核動力以前に,潜水艦の船体自体を造るには高い技術力が必要です.
WW2以来,潜水艦の潜航可能深度は何倍にもなりましたが,その差の多くは内穀を構成する鋼材の強度(一般には単位平方ミリあたりの降伏点kgで表す)の進歩によるものです.
良い鋼材が無いと,まともに潜れる潜水艦は造れません.
それは丁度,薄くて丈夫な鉄板が生産できなければ良い乗用車が作れないのと同じです.
また,工作精度も重要です.真円度と呼びますが,耐圧内穀の切り口が歪みの無い正確な円形でないと高水圧に耐えられず,圧壊してしまいます.
高度な溶接技術も必要です.高熱を加えるので鉄の性質が劣化して均質が保てなくなるおそれがあるからです.
かてて加えて,静粛化です.
艦内には駆動部分,回転部分が沢山ありますが,それ等の振動が航走雑音となって外部に漏れるような潜水艦では「頭隠して尻隠さず」ですから,直ぐに発見されて潜水艦の意味がありません.
帝国海軍の潜水艦はドイツ海軍から「おもちゃ箱をひっくり返したような」と評された雑音過大艦でした.
これは高度な技術と経験を要する難しい分野なのです.
以上述べたことからお分かりのように,世界一の造船王国を自負する韓国すら,未だに潜水艦だけは自力で造れないのです.
ことほど左様に,電池潜水艦すら造れない国に原潜は問題外ですね.
パキスタン原潜は,当分無視して良いと思います.
以上,ヨーソロの管見でした.
【異論】
1 中国のパキスタンへの援助関連
中国による,パキスタンの核兵器及び運搬手段開発への援助は広範に及んでいたことは周知の事実ですが(※1),近年ではパキスタンの「国産」巡航ミサイルの開発援助に関与していることが指摘されています.
2005年8月11日,パキスタンは「国産」巡航ミサイル「バーブル(ハトフ-
7)」(Babur: Hatf-7)の発射実験を行い,9月から生産されると発表されていました(※2).
しかし1度の発射実験のみで生産を開始することは考えられず,過去の技術協力の経緯から判断すると,この「国産」巡航ミサイルは事実上中国製でしょう.
リチャード・フィッシャーは,このミサイルは中国の巡航ミサイル「紅鳥(HN:HongNiao)
」であると指摘しています.
パキスタンのシェイク・ラシード情報・放送相は,1,000km級のミサイルを「開発中」であると述べていますが,これはより長射程の「紅鳥-2(HN-2)」の取得が近いことを示唆している,と指摘されています(※3).
ちなみに米空軍のNASIC(The National Air
and Space Intelligence Center)によるミサイル関連報告書Ballistic
and Cruise Missile Threatは,バーブルを核弾頭搭載可能とする一方で,インドのブラモスは核弾頭搭載可能とはしていません(※4).
近年の印米関係強化やインドの戦力投射能力増強を考慮すると,パキスタンがMNNAとしての地位を有しているとしても,長期的に継続すると思われる(その理由は省略)中国とパキスタンとの間の「全天候型関係」によって,中国の軍事援助は広範に及び続けると思われます.
2 パキスタンの潜水艦建造能力関連など
ヨーソロ様の御指摘の通り,パキスタンが自力で原子力潜水艦を開発できる可能性は,皆無と断じることは可能でしょう.
1980年代初頭から開発を続けていたインドのATVも遅々とした歩みで,ようやく来年進水しそうな様子です(※5).
ここで,パキスタンの国産潜水艦製造過程を概観してみたいと思います.
同国は99年,フランスのAgosta B級潜水艦の2番艦の建造を,カラチ造船所においてフランスの技術援助の下で開始しました.
同艦は02年2月就役する予定でしたが,9/11により中断され,02年5月,同市での爆弾テロでフランス人技師11人が死亡したことからさらに遅れ(※6),03年12月に就役しています(※7).
3番艦は今年8月に進水しています(※8).
パキスタンの潜水艦建造の力については,海軍参謀長であるMohammad
Afzal Tahir大将は,Jane's Defence Weekly誌
のインタビューで,"[F-22P] is a very
importantproject for us." Adm Tahir
asserted. "because after having attained
the capability of constructing [our Agosta
90B Khalid-class] submarines,
Large-ship construction is of course the
next logical step and F-22P provides us with
that opportunity."
と述べ,その後も潜水艦建造計画に言及しています(※9).
この発言が,同国自力で潜水艦を開発する能力を取得したことを意味するものではありませんが,相応の地位にある軍人による,自国の潜水艦建造能力に関する発言として着意(あくまで,「自国」が「自国」の能力に言及する,という意味において)すべきではないかと思います.
潜水艦の能力については,10年近く前と記憶していますが,Jane's
Defence Weekly誌に米のONIによる分析資料の一部が掲載されていました.列国潜水艦の放射雑音レベルを線グラフで比較したものです.
その資料には「ゆうしお」級潜水艦も含まれていましたが,雑音レベルの高さには非常に驚き,落胆した記憶があります.
日本の主要メディアでは,乗員の練度は勿論ですが,我が国の潜水艦の優秀さが喧伝されており,小生も額面通り受け取っていました.
日本のメディアの報道は,「自国」が「自国」の能力に言及するという意味において,パキスタンメディアのそれと大差ないように思います.もっとも報道の自由度は隔絶していますが,記者クラブの性格を考慮すると,ソースがISPR発表かピンナップ資料であるかの違いに過ぎないと感じます.
3 パキスタンと原子力潜水艦関連
パキスタンは,以前にも原子力潜水艦の取得を考慮していました.
88年からインドは旧ソ連のチャーリー級SSGNを貸与されていましたし,2隻目の空母を取得したのもこの頃です.当時の西側諸国,特に豪州の警戒心は大きかったようです.
それでパキスタンの対抗措置は,The most
sustained efforts appear to have focused
on the procurement of a Han-class nuclear
submarine from China.であり,運用,整備要員約200人を訓練する計画でした(※10).
4 パキスタンによる潜水艦からの核運搬能力関連
まず,パキスタン海軍と核兵器の関連について若干示したいと思います.
ある研究者は,[I]n May 1998, the Pakistani
navy was apparently "assigned nuclear
role, "with the establishment of a "Strategic
Directorate" at naval HQ,although it
is not quite clear what this actually meant.
(※11)という経緯を示し,海軍による核兵器運用の可能性に触れています.
その運用形態としては,沿岸からのミサイル基地,水上艦からの弾道弾発射,潜水艦発射巡航ミサイルに核弾頭搭載,を挙げています.
もっともこれらに対しては,技術的可能性,予算の制限,戦略的合理性の観点からいずれも否定的見解を示しています(※12).
また,別の研究者も海上配備の核運搬手段が検討されていたことを指摘しています.
同人はPakistan has also pursued sea-based
nuclear arms, but the expense and complexity
of these appear to contradict the key requirements
of cost-effectiveness and simplicity. While
a nuclear "triad" has been viewed
as a crucial step in obtaining as assured
deterrent among existing nuclear powers,
it does not fit Pakistan's needs or budget.
と述べており,このオプションが視野に入れられていたことは認めていますが,その実効性については否定的です(※13).
上記の研究者はいずれも,パキスタン海軍による核兵器運搬能力取得については否定的です.
ここで当のパキスタン海軍軍人による発言を見てみましょう.
2001年1月,海軍参謀長が,潜水艦に核運搬手段を付与することを考慮していることが以下のように報道されています.
The Chief of Naval Staff Admiral Abdul Aziz
Mirza said if needed we will install nuclear
arms on our submarines, but everything has
to be decided by the government.
He was talking to newsmen on Friday at the
9th Parents Day of Cadet College Larkana.
He said we are more advanced than India in
submarine technology, for India has just
started fitting missiles on its submarines,
something we had done 15 years ago.
中略
He said it should be our policy to posses
selective deterrence in specific areas and
add that the government was giving importance
to the navy. (※14)
同年2月,海軍作戦部長(現海軍参謀長)はサウジアラビアとの共同訓練「シー・スパーク」演習終了時にインドのATVが装備する巡航ミサイルによる核第2撃能力について言及し,さらに
"[I] n order to have credible defence
against such strategic threats it was essential
to deter the enemy from the employment of
platforms carrying strategic weapons by developing
proportionate capability,"
と述べています.
この発言は潜水艦発射の核ミサイル搭載に直接言及していませんが,同記事では
Pakistan Navy is thinking of equipping its
submarines with nuclear missiles for defensive
purposes.
と報道されています(※15).
別の報道では,海軍スポークスマン発言として,
"Pakistan may equip its submarines with
nuclear missiles to defend its key naval
installations," said navy spokesman
Roshan Khayal.
とあり,さらに
Tahir also said Pakistan would induct nuclear
weapons into its submarine fleet.
There was no time frame given by either Tahir
or the spokesman.(※16)
と報じられています.
同年6月にも海軍参謀長が,
The chief of Pakistan's navy, Admiral Abdul
Aziz Mirza, has said the navy has geared
up to go nuclear by equipping its surface
as well as submarine platforms, and awaited
the study commissioned by the government
to nuclearise the armed forces.
``Going nuclear is the Government's decision.
If the country has become a nuclear power,
it is obvious that the Government has to
think of the means of delivery,'' he said
in an interview with the Pakistan Observer.
(※17)と述べており,水上艦のみならず,潜水艦への核運搬手段の付与を想定していることが明らかです.
これらの報道から,少なくとも01年6月までは海軍首脳部では,潜水艦への各運搬能力を付与する企図が確認されています.
ところが2003年になると,海軍作戦部長のIftikhar
Rao少将が予算の制約により,これを否定しています.(実は2001年7月以降の資料はあまり集めていないのですが.)
Pakistan has ruled out equipping its submarines
with a nuclear platform in the near future,
but said it is building a third Agosta class
French submarine to be commissioned by 2006
and plans to acquire frigates from China
to strenghten its navy.
中略
The possibility of equipping the new submarines
with nuclear platform in near future was
remote due to prohibitive cost, he told reporters
at the Tactical Naval School in Karachi yesterday.
(※18)
この変化は,海軍自身の変化というよりも,2001年12月から翌年半ばまで続いたインドとの緊張状態において,「それどころじゃない」ということが大きいかと思います.
そもそもパキスタン軍は陸軍主導ですから,潜水艦による核運搬手段の開発などは,準戦時において予算が獲得できる可能性は極めて低いと考えられます.
また,カーン博士による核技術拡散関連事案が露見したことの影響も否定できないでしょう.(一種の報道統制が及んでいた可能性がありますが,本稿では触れません.)
予算の制約が現在のところどの程度まで影響しているのかは不明(というより不勉強!)ですが,潜水艦による第2撃能力の構想は,現在も海軍首脳の間では共有されていると見るのが自然でしょう.
現に,退役軍人によるものですが以下のような発言が報じられています.
Agosta 90B next-generation stealth submarines
are capable of carrying sixteen Harpoon sea-to-land
cruise missiles each. Those missiles can
deliver atomic warheads.
According to PN Captain Iftikhar Riaz Qureshi,
who commanded PNS/M Khalid and Saad, the
first two subs in their test phases, Pakistan
purchased its Agosta 90Bs to provide itself
with "second strike nuclear capability."
(※19)
現時点では上記の能力がありませんが,「国産」のバーブルミサイルの搭載も考えられています.
同ミサイルは,小生が揚げ足取りのように『防衛白書』にいちゃもんをつけたものですが,潜水艦からの発射が可能であると公表されています(※20).
このミサイルは,533mm魚雷発射管から発射するには大きすぎますが,
The Babur's vertical launch mode also points
to a possible ship-board configuration, which
would be an obvious first step for such a
missile.
と指摘されています(※21).
このJane'sの記事を引用して,S.M. Haliは,
In case Pakistan takes the strategic decision
of mating nuclear warheads to Babur Cruise
missiles and equips its Agosta 90Bs with
them, Pakistan's second strike capability
would reach credibility, much to the horror
of its adversaries.
と結論づけています(※22).
さらに,Jane'sで指摘されているのは,SLBMを開発中の可能性です.
同誌は
In a related development, JDW has learned
that Pakistan is actively negotiating with
China and France for the purchase of two
or three new submarines.
These same sources say that Islamabad aims
to develop its first submarine-launched ballistic
missile by 2006.
と続けています(※23).
果たして技術を導入するにしても,上記の計画は可能なのか?という疑問が大きいのですが,少なくともパキスタン海軍首脳部では上記のシステムの「保有が望ましい」ではなく,国家存立のために「保有すべき」であると構想しているものと思われます.
ただ,インドとは異なり,パキスタンの戦略コミュニティーに上記の認識が共有されているとは思えません.
そのような発言は小生の知る限りは(笑)確認していません.
ですから,国家レベルで上記の認識を示す兆候に注目していました.
5 パキスタンによる原子力潜水艦建造能力は?
冷戦終結まで,米国のパキスタンへの「tilt」は継続していましたし,現在同様にパキスタンはソ連のアフガン撤退まで「前線国家」であり,今は「テロリスト」と呼ばれる「ムジャヒディン」を訓練していました.
パキスタンにとっては,米国は必ずしも頼りになる同盟国ではありませんでしたし,現在の対テロ戦が当面続くとはいえ,米国に「見捨てられる」可能性は常に考慮しているでしょう.
対テロ戦で協力しMNNAの地位を得て,海軍はCombined
Task Force 150 (CTF-150)に参加してその司令官にパキスタン人が就任したとしても(※24),安心感は得られないでしょう.
パキスタンは,「同盟のジレンマ」以上の経験を有しています.
ツキュディデスの時代から,戦争は名誉,恐怖,利益によるものですが,同国の恐怖は,西脇文昭がつぶさに論じています(※25).
したがって前述のように,MNNAであっても中国との「全天候型」の関係は継続されるでしょう.
かつてインドが2隻目の空母を保有したように,現在インドはゴルシコフ級空母の改修をロシアで受けており,国産空母も建造中です.
ATVは間もなく進水する予定であり,パキスタン艦艇取得が比較的順調とはいえ,安閑とした状況ではありません.
パキスタンの原子力潜水艦建造関連報道は,上記のような関連報道に接しているが故に無視しえないものです.
本報道に関しては以下の観点から注目しています.
まず,技術的可能性です.
ヨーソロ様の御指摘通り,自力で建造するという可能性は無視してよいでしょう.
縷々述べたように,パキスタンに限らず,「某国が某能力を取得した.」という報道は割り引く必要がありますし,「某国が某を開発.」なる報道に対して軽挙妄動する必要はありません.
しかし中国という「同盟国」の存在があることに小生は注目しています.
本報道では,
President Gen Pervez Musharraf will discuss
this matter with the Chinese President during
his visit to Islamabad in November this year.
の部分が実に気になります.
これは,自力開発ができないことを図らずも現したものと言えますが,反面,中国の支援を予期しているとも読み取れます.
次に注目するのは,パキスタンの核戦略や周辺諸国の動向の面です.
小生は核戦略の専門家ではなく,まして印パの抑止に関する理論的,戦略的考察能力は有していません.
しかし少なくとも海軍高官の発言からは,国家存立のための望成目標ではなく,必成目標であるように思われます
.
ただし,目標達成のための予算等の資産がどの程度充当されるかによって大きく変化するでしょうし,近隣諸国との関係という変数によって進捗状況は左右されるでしょう.
計画そのものの変更もあるでしょうし,大きな可能性としては米国の阻止もあり得るでしょう.
一方将来イランが核武装した場合,パキスタンの核は最早「イスラム」の核ではなくなりますし,核保有国に挟まれることになります.
本報道とその対外的影響について考察するのは,本稿の目的ではありません.
しかし,小生が日々ジャガイモの皮を剥きながら考えるには,本報道は,核運搬手段とプラットフォームの関係,海軍と政府首脳の認識という観点で実に興味深いものです.
しかしもっとも怖いのは,本報道が事実かどうかが不明であることです.
【注釈】
(※1)Baldev Raj Nayar & T.V.Paul, eds,
India in the World Order: Searching for Major―Power
Status(London: Cambridge University Press,
2003), p.226.では,中国によるパキスタンの核開発援助について,
「中国のパキスタンに対する援助は,リング・マグネットなどの緊要な部品を供給するものから,爆弾の設計や,爆弾を実際にロプ・ノールで実験することまでに及んでいた.」
と指摘されている.
(※2)"Muhammad Saleh Zaafir 'Babur's
serial production by next month,"
The News, 12 Aug 2005,
<http://www.jang.com.pk/thenews/aug2005-daily/12-08-2005/main/main5.htm
(12 Aug 2005).
(※3)SandeepUnnitan, "Cruise Contest,"
India Today, 29 Aug 2005, p.41.
本報道によると,98年にパキスタン領空を通過して,アフガニスタンのビン・ラディン訓練キャンプを攻撃したトマホーク巡航ミサイルが2発不発となっており,中国の手に渡って,リバース・エンジニアリング(逆行分析)がなされたとしている.
また「バーブル」の重要な点は,かつてのロシア製ミサイル技術が,中国経由でパキスタンに渡り,対インド攻撃兵器に使用されることになったことである,と指摘する.
このミサイルが中国に渡った経緯については,Ahmar
Mustikhan, "Did Pakistan give cruise
missiles to China?: New evidence points to
Beijing ally as suppl ier,"Worldnet
Daily, 25 Mar 2005, <http://www.worldnetdaily.com/news/article.asp?ARTICLE_ID=17020
(16 Sep 2006) を参照.
一方トマホークのリバース・エンジニアリングはパキスタンが行い,その成果が中国に渡ったともされている.
同資料によると,パキスタンの巡航ミサイル開発は98年に開始されたが,トマホークの獲得により加速された.
その水準が高いことは,[T]hey are quite
good in reverse engineering,と指摘されている.
Robert Hewson and Andrew Koch, Pakistan tests
cruise missile," Jane's Defence Weekly,
17 Aug 2005, p.4.
(※4) Hans M. Kristensen, "Ballistic
and Cruise Missile Threat Report Obtained
," The Nuclear Information Project,
<http://www.nukestrat.com/us/afn/NASIC2006.pdf
(17 Jun 2006)
(※5)Rahul Bedi, "Indian SSN reactor
fully online," Jane's Defence Weekly,
30 Aug 2006, p.15. - AUGUST 30, 2006
(※6)"Pakistan submarine ready for
trials," BBC, 20 Jan 2003,
<http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/2677371.stm
(16 Sep 2006)
(※7) S.M. Hali,"Second strike capability,"
Nation,16 Aug 2006,
<http://www.nation.com.pk/daily/august-2006/16/columns5.php
(17 Sep 2006)
(※8)"Pakistan has no offensive designs:
President launches submarine," Dawn,
11 Aug 2006,
<http://www.dawn.com/2006/08/11/top9.htm
(17 Sep 2006)
(※9)Jane's Defence Weekly, 6 Sep 2006,
p.34.
(※10)Rahul Roy-Chaudhury, "India
and Pakistan: Nuclear-Related Programs and
Aspirations at Sea," in Lowell Dittmer.
ed, South Asia's nuclear Security Dilemma:
India, Pakistan, and Cina, (New York:An East
Gate Book), 2005,pp.73-94, at p.92.
(※11)Ibid.
(※12)Ibid., pp.92-93. なお陸上発射ミサイルと海軍との関係については以下のような経緯が明らかになっている.
Ayesha Agha, director of Naval Research with
the Pakistan navy from June 1998 to October
1999, told a seminar in Islamabad the navy's
current role of controlling some land-based
nuclear weapons stationed at naval facilities
was allowed in May 1999 after ''persistent
pressure'' from naval headquarters ''for
a role in nuclear weapon deployment.''
"Pakistan's navy wants greater nuclear
role, scholar says," Kyodo, 22 May 2001,
<http://www.findarticles.com/p/articles/mi_m0WDQ/is_2001_May_28/ai_75259034
(16 Sep 2006)
(※13)Timoth D. Hoyt, "Strategic Myopia:Pakistan's
Nuclear Doctrine and Crisis Stability in
South Asia," at Lowell Dittmer. ed,
South Asia's nuclear Security Dilemma: India,
Pakistan, and Cina, (New York:An East Gate
Book),
2005, pp.110-136, at pp.117-118.
(※14) "Submarines may be equipped
with Nuclear arms: PN chief," DAWN WIRE
SERVICE, 27 January 2001,
<http://www.lib.virginia.edu/area-studies/SouthAsia/SAserials/Dawn/2001/jan2701.html#subm
(16 Sep 2006)
(※15)Habib Khan Ghori,"Nuclear missiles
for subs under study: Pakistan Navy,"
Dawn, 21 Feb 2001,
< http://web.archive.org/web/20011111103910/http://www.dawn.com/2001/02/22/top9.htm
(19 Oct 2005)
(※16)"Pakistan may equip subs with
nuclear weapons," AP, 22 Feb 2001,
<http://usatoday.com/news/world/2001-02-22-nukes.htm
(22 Mar 2006)
(※17)Pak. navy to go nuclear," PTI,
11 Jun 2001,
<http://www.hinduonnet.com/2001/06/12/stories/0112000d.htm
(17 Sep 2006)
(※18)"Pak rules out nuclear platform
for subs, to upgrade navy," PTI, 15
Jan 2003,
<http://www.defenceindia.com/13-jan-2k3/news23.html
(7 Oct 2005)
(※19)S.M. Hali, "Second strike capability,"
The Nation, 16 Aug 2006,
<http://www.nation.com.pk/daily/august-2006/16/columns5.php
(17 Sep 2006)
(※20)Iftikhar A. Khan, "N-capable
cruise missile test-fired, Dawn, 22 Mar 2006,
<http://www.dawn.com/2006/03/22/top3.htm
(22 Mar 2006)
(※21)Hewson and Andrew Koch, op.cit.
(※22)S.M. Hali,op.cit.
(※23)Hewson and Andrew Koch, op.cit.
(※24)Admiral Muhammad中将が4月24日付で就任した.ARSHAD
SHARIF, "Pakistan Takes Command Patrolling
Straits of Hormuz," REUTERS,4 Apr 2006,
<http://www.defensenews.com/story.php?F=1727930&C=navwar
(14 May 2006)
(※25)西脇文昭『インド対パキスタン』(東京:講談社,1998年)を参照.
(※26)Donald Berlinはパキスタンの潜水艦による抑止能力取得に関して,以下のように指摘している.
Pakistan has launched two submarines and
is constructing a third. Berlin says
"Pakistan will likely want a submarine-based
nuclear weapons delivery system"
to deter India. Iran has several submarines.
Richard Halloran, "China's subs coming
into play," Nov 29, 2004,Page 8,
<http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2004/11/29/2003213055
(16 Sep 2006)
製パン居士 in おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)9月17日
パキスタンの原潜の話題ですが,通常潜水艦の建造能力について一点,原潜の取得方法について一点,それぞれ気になる点がありましたので,確認させていただければと思います.
1.パキスタンの通常潜水艦の建造能力について
パキスタンはフランスDCN社(旧海軍工廠)からアゴスタ級を何隻が調達していますが,そのうちの何隻かは,ライセンス生産としてパキスタン国内の造船所(工廠)で建造していたかと思います.これDCN社のホームページで説明されています.
http://www.dcn.fr/us/medias/popup.php?id=117
つまり,設計する能力はまだパキスタンにはないと思いますが,図面があれば建造する能力は(ある程度)育っているのではないでしょうか?
2.原潜の取得方法について
パキスタン紙The Newsには,「ムシャラフ大統領は,来る11月に中国国家主席とこの件(原潜取得)について議論する(President
Gen Pervez Musharraf will discuss this matter
with the Chinese President during his visit
to Islamabad in November this year)」と書かれています.これが明確に何を意味するのか,よくわからないところもあるのですが,「中国の原潜技術導入に向けて交渉を行う」というように理解することはできないでしょうか?
つまり,パキスタンは純国産原潜を開発を目指しているのではなく,中国の技術をつかって開発しようとしている,と理解できないでしょうか?
以上,2つの疑問点について,コメントを頂けたらと思います.
余談ですが(というか,ここからが最大の懸念事項ですが),上記の私の認識が正しいとすれば,更に別の問題に繋がってくるのではないかと考えています.
中国が原潜技術をパキスタンに売るとして,中国はパキスタンから何をもらうことができるでしょうか? もしかしたらパキスタンは,フランスから獲得した通常型潜水艦の技術を中国に売るのと引き替えに原潜技術をもらおうととしているのではないでしょうか?
中国が欧州の武器技術を欲しがっているのは周知のことですよね(さらに言えば,フランスも中国に武器技術を売りたがっていますね).通常型潜水艦の静音技術等が原潜にどこまで有効であるか,またパキスタンがどの程度フランスの技術を会得しているのか,そのあたりが不明ですが,もしかしたら,中国にとっても,パキスタンにとっても,うま味のある取引となる可能性があるのではないでしょうか?
(Kさま)
■Re:060917号「パキスタンが原潜製造?」
ヨーソロ様と別の観点から,パキスタンの原潜の可能性は無いと考えます.
現在のパキスタンのムシャラフ大統領以下は,内陸部のパンジャブ地方出身者(ペシャワール近郊)で構成されており,カラチ等南部・海側の勢力から政権奪取の機会を伺われております.
アフガニスタン戦争の時も,9.11事件の際にも革命騒ぎがあり米軍で阻止した経緯があります.現在も大統領・首相とも暗殺を恐れて官邸に不在であり,所在を明らかにしていないとの情報があります.
パキスタンの核科学者はタキシーラ(北部)の研究所におり,同じくパンジャビーです.
パキスタンは原子力発電等の核平和利用の目論見はありますが,原潜となると国内事情(海側に反政府勢力があること)から,私は,困難と考えています.
ムシャラフ政権の前のシャリフもパンジャブ出身であり,ムシャラフの次に政権を取るであろうジャベッド氏もパンジャブ出身なのです.
カラチ勢力の政権奪取は悲壮ですね.
(匿名希望さま)
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