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「Evolution Force/MEDIA EYES」 ★国連南スーダン共和国ミッション・南スーダン派遣国際平和協力隊★
「sierraromeo's blog」◆(2014/01/02) 南スーダンPKO(UNMISS)と自衛隊南スーダン派遣の根拠法及び現状
「Togetter」◆(2013-12-25) 南スーダンの状況と日本の弾薬供与の理由
UNMISS(国連公式ページ)
「YouTube」◆ UNMISS VIDEOS(official)
「Youtube」◆(2014/08/24) 池上彰さん解説 自衛隊が活動する世界一新しい国 南スーダン
「外務省」◆ 国連スーダンミッション United
Nations Mission in the Sudan (UNMIS)
(キャッシュ)
「気になりますちゃんねる」◆(2013/12/27) 【韓国ミリオタの反応】自衛隊からの弾薬支援
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/02/22) 南スーダン 日本PKO第1次派遣隊の主力到着 スーダンとの関係,内部の部族紛争など難題山積
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/12/23) 日本のPKO ゴラン高原からの撤収決定 残るは南スーダン
「首相官邸」◆(2012/03/12) 南スーダン国際平和協力業務の実施について
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2011/__icsFiles/afieldfile/2012/03/12/1115KEIKAKU_PKO.pdf
「人民網」◇(2013/01/25) 国連が中国の駐スーダン平和維持部隊を表彰
「人民網」◇(2013/02/01) 外交部:中国は南北スーダンの平和実現に引き続き積極的役割を果たす
「生活ニュース 村ぶろ倶楽部」◆(2013/12/04) 陸自和歌山施設隊 南スーダンへ
「中東の窓」◆(2014/04/21) 南スーダンとPKOの自衛隊
「防衛省・自衛隊」◆ ここが知りたい:南スーダンへの自衛隊の派遣について
【質問】
ダルフール紛争へのPKO派遣はどうなっているのか?
【回答】
2006/6/19,スーダンのバシル大統領はダルフール地方への国連平和維持作戦(PKO)部隊の受け入れを拒否する方針を明らかにしていました.
⇒国連は「PKOにあたる部隊(PKF)派遣には,スーダン政府との了解が前提」との立場をとっており,来年1月までに派遣が行なわれるよう交渉していました.
軍駐留には当然受入国側の了解が必要で,これは常識です.
基本的に他国軍に足を踏み入れてほしくない,これも常識ですね.
立派な理念やフレーズでなんでも動くと考えたら大間違いです.
一方,国連安保理は8月31日,スーダン西部のダルフール地方に対し,最大で2万5千人規模となるPKO部隊を派遣する決議を採択しました.
過去最大規模のスケールですが,スーダン側が受け入れに反対しています.
受け入れ側政府の承認が得られない限り,部隊の展開は不可能ですから,実現するかどうかははっきりしていません.
⇒これは,政府軍と反政府軍の和平合意履行のため,現在スーダン南部で展開中の国連スーダン派遣団(UNMIS 約1万人)の任務や規模を拡大し,ダルフールに配置換えするというものです.
大規模部隊をダルフールに展開することで治安を回復させ,今年5月に調印した和平協定の履行支援にあたるそうです.
ちなみに現在アフリカ連合(AU)部隊が駐留し,同任務に当たっていますが,実力不足で両勢力から完全に舐められており,活動は失敗に終わっています.
UNIMSは,当面はAU部隊の支援にあたり,年内に任務を承継することとなっています.
【質問】
スーダンPKOの変遷は?
【回答】
・国際連合スーダン派遣団 (UNMIS)
2005年3月24日~2011年9月30日
安保理決議1590が根拠.
北部スーダン政府とスーダン人民解放軍の停戦監視など.
・アフリカ連合ダルフール派遣団 (AMIS)
2004年7月~2007年12月
UNMISを継承.
スーダン政府とスーダン人民解放軍の包括的和平合意の維持.
・国際連合アフリカ連合ダルフール派遣団 (UNAMID)
2007年7月31日~2011年7月8日
安保理決議1769が根拠.
AMISを継承.
・国際連合南スーダン派遣団(UNMISS)
2011年7月9日~
安保理決議1996が根拠.
南スーダン共和国の平和・治安維持
【質問】
UNMISSって何?
【回答】
UNMISSとは,国連南スーダン共和国ミッション(United
Nations Mission in the Republic of South
Sudan)の略称であり,南スーダン共和国に展開する国際連合平和維持活動(PKO).[1]
2011年7月8日に,その設立を定める国連安保理決議1996が採択された.[1]
2011年7月9日に北部スーダンから分離独立した南スーダン共和国における,和平合意の履行の支援,難民及び国内避難民の帰還の促進・調整等を任務とし,司令部を首都ジュバに置く.[2]
約7000名からなる,治安維持及び施設整備部隊と,警官約900人,事務要員2000人で構成されていたが,2013年12月24日,国連安保理は軍事要員5500人,警察要員423人の増派を決定した.[3]
軍事要員には,市民保護目的の武力行使が認められている.
【参考ページ】
[1] http://www.mod.go.jp/j/approach/others/shiritai/sudan/
[2] http://www.pko.go.jp/pko_j/result/s_sudan/s_sudan02.html
[3] http://bylines.news.yahoo.co.jp/mutsujishoji/20131225-00030994/
【ぐんじさんぎょう】, 2014/06/05 20:00
を加筆改修
【質問】
UNMISS設立の国連安保理決議が,南スーダン独立の前日と,やけに手回しがいいのは何故ですか?
【回答】
国際政治学者・六辻彰二によれば,
1) ルワンダ大虐殺の教訓
2) 屈指の産油国である南スーダンが,いまだ特定の勢力圏に取り込まれていないだけでなく,多くの国がアプローチしたがっている状況にあること
3) 米国と中国が事態収拾に積極的なことが,安保理決議をスムーズにしたこと
が要因だという.
詳しくは,
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mutsujishoji/20131225-00030994/
を参照されたし.
クロスチェックも図ったが,同種のテーマを扱った文献を発掘できず.
【質問】
UNMISSには死傷者は出ていないの?
【回答】
誤射や襲撃により,何人か出ている.
まず最初は2012/02/06.北部のユニティ州で地元の治安要員が機関銃を乱射し,住民ら37人が死亡.
PKO要員1名も負傷した.
乱射は,政府や国連の仲介で民族衝突への対応を協議するため,1日から開催されていた会議のさなかに起きた.
複数の治安要員がトラックに乗って現れ,発砲したという.
犯人の動機は不明.
次いで2012.12.21には,東部のジョングレイ州において,南スーダン軍がUNMISSのヘリコプターを誤撃墜.
ロシア人乗員4人が全員死亡 している.
ヘリは,新たな飛行場設営に適した場所を探すために飛行中だったが,南スーダン軍スポークスマンによれば,同軍はこれを,隣接するスーダンのヘリが,南スーダンの反政府勢力に武器を供給していると誤判断して攻撃したという.
2013.4.9には,ジョングレイ州において,UNMISSに協力するPKO要員が,武装集団の襲撃を受け,インド兵5人とスーダン人民間人7人が死亡.
他に兵士5人と民間人4人が負傷し,数人が行方不明となった.
2013/12/20には, ジョングレイ州アコボにおいて,国連PKO部隊の宿営地に避難していたディンカ族を狙って,ヌエル族と見られる武装集団が襲撃.
インド兵3名,避難民8人が死亡した.
政府軍と,元副大統領派との内戦の最中の出来事.
2014/08/27には,北部において,UNMISSのヘリがまたも撃墜され,ロシア人搭乗員3人が死亡.
なお,南スーダンではないが,2014.5.24には,スーダン西部ダルフール地方において,国連・アフリカ連合(AU)ダルフール合同活動(UNAMID)の部隊が,武装勢力による銃撃を受け,ルワンダ人要員1人が死亡,3人が負傷した.
部隊はダルフール地方で,部族間の紛争の調停に当たっていたが,うちアラブ系の武装勢力が部隊を襲撃し,銃撃戦となったという.
【参考ページ】
http://www.asahi.com/international/update/0205/TKY201202050178.html(キャッシュ)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012122200115
http://www.47news.jp/CN/201304/CN2013040901002443.html
http://news.tbs.co.jp/20131220/newseye/tbs_newseye2085323.html
http://www.47news.jp/FN/201408/FN2014082601002318.html
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/140525/wor14052517070024-n1.html
【質問】
スーダンPKFに自衛隊は参加するのか?
【回答】
日本の国連常任理事国入りを狙う外務省は積極姿勢だが,防衛庁はリスクが高いとして慎重姿勢.
スーダン南部へ1万人規模の平和維持軍(PKF)要員を
派遣する決議案は2005/3/25,国連安保理で採択された.
本事案に関しては安保理での協議が紛糾しており,決議案を「PKO」
「訴追」「対スーダン制裁」の3つに分けている.うちPKOのみが優先して採択された.
これは,
・軍部隊1万人と警察官715人からなる「国連スーダン派遣団(UNMI
S)」を編成.
・当初の展開期間は半年.
とされている.
国連はPKFへの自衛隊参加を求めており,アナン事務総長の「日本の常任理事国入りへの異例の言及」
と連動している.
これに対して日本政府外務省は,
「現地では停戦合意が守られており(……????),PKF(平和維持軍)への派遣条件は整っ
ている.
参加となれば初のPKF本体業務への参加となり,常任理事国入りのアピールには絶好の機会.
アフリカで活動することでアフリカ各国の票もほしい」
として積極姿勢.
ただ,「防衛庁の慎重姿勢は変わらないであろうから,ODAでの復興支援
を柱にすべきとの意見も出ている」という.
一方,防衛庁は,
「アフリカはわが国の安保と関係が薄いし,アフリカの同地域には防衛交流もな
く情報が乏しいため,隊員の安全確保に問題あり.
また,これ以上の海外派遣 は国内の部隊運用を困難にする.
一言でいえば,”国益のための派遣”として
隊員に覚悟を与える積極的な説得根拠に乏しい」
として消極的.
おきらく軍事研究会の見解では,
「問題は,ダルフール地方の大虐殺処理を代表とする”極めて流動的な現地情勢”.
特に,この決議案ではダルフールに関しても言及されており,
”UN MISが取れる行動を1ヶ月以内に報告”
”毎月情勢を報告する”
などを求め られている.
UNMISはその活動内容の変動幅が大きくなることが見込まれ,”いったん行ったが最後”となる可能性が高い.
モザンビークPKOで自衛隊は酷い目に遭っているので,同じ過ちは二度
と繰り返したくない思いもあるだろう.
自衛隊が参加する必要ない」
としている.
▼ その後,野田佳彦首相(民主党)が2011/7/8の国連総会演説にて,
「UNMISSに司令部要員として自衛官を派遣する準備を進めており,施設部隊の派遣の可否は現地調査を行った上で結論を出す」
との旨を表明.
11/15,「南スーダンにおける平和維持活動への参加と,その実施計画及び関係政令」が閣議決定.
1012/1/7,隊旗授与式が防衛省で行われ,
1/15,南スーダン国際平和協力隊の陸上自衛隊の,現地支援調整所要員と派遣施設隊先遣隊の隊員の計34人が,現地に到着した.▲
【質問】
なぜ日本政府は,南スーダンPKO派遣を決めたのか?
【回答】
上述のように,防衛省は現地の治安を不安視しており,消極的だったが,PKO参加を外交カードとしたい外務省が押し切ったと見られている.
スーダン派遣が最初に検討されたのは,鳩山由紀夫内閣のころで,2009年11月ごろ,岡田克也外相が,数百人規模の自衛隊部隊を派遣する検討を,外務省に指示したという.[1]
鳩山政権は当時,インド洋で補給活動中の海上自衛隊を2010年1月に撤収する方針で,日本の国際貢献活動が細る中,PKOへの積極参加で人的貢献の実績づくりを図る狙いがあったとされる.[1]
外務省が同時に,東ティモールPKOへの陸上自衛隊再派遣の検討も始めていた[1]ことからも,そういう狙いであった可能性のほうが,そうでなかった可能性よりも高い.
外務省が派遣に前向きだったのは,父親が隣国ケニア出身のオバマ米大統領の誕生で,米国がスーダン和平問題に力を入れ始めたことが背景にあったという.[1]
大統領訪日に先立つ10月,米側は
「この地域を重視しているので,何か貢献できないか」
と日本側に人的貢献を求めてきたとされる.[1]
また,当時,各PKOに参加していた自衛隊員の人数は30人.
人数からみれば世界70位という状況で,外務省を中心に,国連安全保障理事会の常任理事国
りを目指す日本にとって,人数の底上げが必要との考えが強まったという.[2][4][5]
民主党政権は2009/11/24の事業仕分けにおいて,PKOのための人材教育施設「国際平和協力センター」(仮称)について,建設事業を廃止と結論づけている[3]ことや,以下の発言から推測するに,自衛隊を海外に出すことには消極的.
「民主党政権なら自衛隊派遣はさせない」会見で菅代表(2003/11/03)
http://www1.dpj.or.jp/news/?num=5795
「憲法揺るがす自衛隊派遣にははっきりノーを」岡田幹事長会見(2003/11/28)
http://www1.dpj.or.jp/news/?num=5882
「自衛隊派遣阻止へ立ち上がろう」菅代表ら街頭で訴え2003/12/8
http://www1.dpj.or.jp/news/?num=3174
「自衛隊派遣の説明責任果たせ」実施要項承認で岡田幹事長(2003/12/18)
http://www1.dpj.or.jp/news/?num=3215
「自衛隊派遣は憲法違反、総理は辞任を」菅代表(2004/1/20)
http://www1.dpj.or.jp/news/?num=2693
新たな国連決議も自衛隊派遣の根拠にならない 山岡国対委員長(2007/9/20)
http://www1.dpj.or.jp/news/?num=11835
にも拘らずの南スーダンPKO派遣は,経緯を見てみると,外務省主導の形で,防衛省や民主党を押し切った印象がある.
(まあ,ルーピーの負の遺産(日米関係悪化)により,就任後初の訪米の「目玉」探しをしていた野田首相の思惑もあったわけだが)
要するにルーピーのツケを払うために,自衛隊員の命を差し出したという事か.
【参考ページ】
[1]http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091129/plc0911290121000-n1.htm
[2]http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050201k0000m010170000c.html
[3]http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091124/plc0911241216010-n1.htm
[4]http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20050201k0000m010165000c.html
[5]http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050325-00000205-kyodo-pol
【質問】
南スーダンPKOの自衛隊は,どのような地理的環境下にある?
【回答】
現地の兵要地誌まとめ;
・派遣先は,沿岸の港から陸路での補給も出来ない場所.
距離的な問題だけでなく,車両通行困難な道路で,補給線として使えない.
補給はロスケの民間チャーター便のみ.
緊急時の輸送はできない.
外務省職員数人の赴任とは違い,自己完結した組織の派遣であるため,今回の派遣では,補給・緊急時の輸送手段が一番の問題点.
・衛生状態も悪い.
様々な疫病感染リスクのほか,エボラ出血熱の危険地域でもある.
・現地には助けるべき邦人(JICAや外務省職員など政府職員除く)はいない.
現地に滞在する外国人の殆どは中国人.
よって,中国政府の意向を受けた対日有害工作のリスクあり.
・長年の内戦,住民投票によるスーダンからの独立などの経緯により,正規軍である隣国スーダン国軍の直接・間接的な敵対行動の可能性もゼロではない.
自衛隊派遣部隊には,抑止力としても戦車・砲兵火力の増強が望ましい状況.
また,スーダンから軍事援助を受けた現地武装勢力によるテロや,直接襲撃の可能性もある.
2011年には,自衛隊派遣予定地にある難民キャンプが,スーダン空軍の無差別爆撃を受けている.
当然,自衛隊派遣部隊も経空脅威への備えが必要な状況.
加えて南スーダン内部でも,部族間対立がしばしば武力衝突へ発展している.
2014年には内戦が発生しているが,それ以前,2011年にも牛の盗難を巡る部族間紛争が発生している.
つまり,牛泥棒程度で武力衝突に発展する程の治安の悪い地域であることを意味する.
軍事板,2011/11/12(土)
青文字:加筆改修部分
【質問】
南スーダンに派遣されている自衛隊の規模は?
【回答】
第1次~第4次要員は約240名だが,第5次要員からは約400名に増加している.
人員内訳は殆どが施設科の陸自隊員で,他にUNMISS司令部に詰める司令部要員が3名.
4次要員までは,施設部隊及び現地支援調整所の2つの部隊が派遣されていたが,派遣期間が1年半を過ぎ,業務の手順が概ね確立してきた一方で,活動地域の拡大に伴い,情報の一元化や運用と兵站の連携の強化,緊急時における指揮の容易性などが,より必要となったことから,現地支援調整所は廃止され,「対外調整班」として施設部隊と統合された.
また,隣国ウガンダにも「対外調整班」10名が駐在している.
組織系統図は,以下のようになっている.
「南スーダン派遣施設隊」
┃
┣━━━隊本部
┃
┣━━━本部付隊
┃
┣━━━施設器材小隊
┃
┣━━━施設小隊
┃
┣━━━警備小隊
┃
┣━━━対外調整班(国連や南スーダン政府,関係機関などとの間の調整や協議を実施)
┃
┣━━━分遣班(東西エクアトリア州で活動するための部隊)
┃
┗━━━警務班
【参考ページ】
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012040201001781.html
http://www.mod.go.jp/j/approach/kokusai_heiwa/s_sudan_pko/pdf/gaiyou.pdf
【質問】
南スーダンPKOって何故駄目なの?
賛成っていうわけじゃないけど,何故反対意見ばかりなのか分からない.
【回答】
「目標の原則」
戦いの究極の目的は,敵の戦意を破砕し戦勝を獲得するにある.
戦いにおいては,目的に対し決定的な意義を有し,かつ達成可能な目標を確立し,その達成を追求することが必要である.
作戦,戦術で迷ったら,これに戻る.
イラク派遣のときは,「復興支援」というとてつもない目標を政治から与えられ,そのかわり補正予算で裏付けはつけてもらって,要塞並みの駐屯地と各種火器,装甲キットが与えられ,アントノフをチャーターして兵站を確保した.
そして,地元部族が納得するまで支援を実施した.
ひるがえって,南スーダンPKOは何なのか?
何を達成するのか?
その裏付けは何なのか?
何も国民に説明がないまま,外交の場で約束してしまう.
それがまず問題.
南スーダンは水資源や天然資源も豊富だが,交通路とパイプラインをスーダンに握られてる.
これを抜本的に解決して,独立国家として完結させるには,ジブチ~エチオピア経由か,ケニア経由で幹線道路と鉄道とパイプラインをひかにゃならん.
距離も長いし,途中の国々も安定してるとはいいがたい.
気が遠くなる話だよ.
明らかに南スーダン一国の話ではなく,西アフリカ全体に関与するくらいの気合と覚悟がないと,完遂できるもんじゃない.
やるなら,国民全体の覚悟がいる.
それを今の政府は説明したか?
パウエル曰く,
「全ての作戦行動には,戦死者の遺族に説明できる作戦目標が必要である」
どこにそれがある?
いつ説明した?
やることなすこと子供じみてる.
次に兵站上の問題.
現地が不穏な状況で,補給部隊の安全をどう確保するのか?
不時の戦闘が起きたときに,後退することが可能なのか?
政府から,この手の疑問に答える計画発表等が無い.
自衛隊最高指揮官(民主党・野田首相)は,最初から補給の破綻した,軍事的に不可能な任務を命令すべきではない.
海洋国家が,自力で補給できないアフリカ奥地に地上戦力を派遣するのなら,
より丁寧な説明が必要なのは,民主主義国家として当たり前のことだ.
それをせずに派遣すれば,文民統制(シビリアンコントロール)が崩壊する.
民主党は政権を取ってから何度も,
「文民統制を理解していない」
と批判されてきた.
さすがに今は理解していると信じたいのだが..
もし補給途絶で多くの戦死者を出したりしたら,日本の国威・海外信用は大きく傷つく.
派遣を決断する前に,派遣失敗のリスクを,自衛隊最高指揮官の野田首相をはじめ,民主党政権が真面目に検討したようにも見えない.
そもそも,これはPKO協力法に沿った事案とは言いかねる.
スーダンの背後には中国がいて武器を流してる.
南スーダンが独立すると南部の鉱物採掘権を失うから,殺る気満々.
この間のダルフールへの空爆も揺さぶりの一環だろ.
一方,南スーダンの背後には,アメリカの影が濃厚.
南はキリスト教徒も多いからな.
この常任理事国同士がシバきあってる現場に,PKO協力法の枠組みで送ろうとしてるのが,そもそも度しがたい.
普通に考えて,特措法を通さないとおかしい.
結局,この出兵は「アナバシス」なんだろうね.
陸自が現地に行くことで情報が入る.
そこに意義を見いだすしかない.
そのためには,要求されてる施設だけでなく,独立行動できる戦力と情報,兵站機能を付与してやりたいが.
軍事板,2011/11/12(土)~11/20(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
南スーダンPKOの兵站を,自衛隊が自前で準備することは可能?
【回答】
海自の海外根拠があるジブチから,自前の後方連絡線を南スーダンまで確保するなら,方面隊クラスの輸送力が必要.
役務輸送は使えるのか見えないし.
PLSを大量に調達して,コンテナごと空実交換する荒業が求められる.
加えて,後方連絡線と現地施設大隊のエスコートを間断なく行うためには,普通科連隊が複数いるでしょ.
プラス,偵察小隊,飛行隊,野整備隊,…とあげていくと,陸自だけでも旅団規模ってことになるんじゃないか.
それを,海と空で本国からジブチまでの輸送を担任すると,ジョイント・タスクフォース「アフリカ」を立ち上げる必要があるかもしれん.
一介の軍オタとしては,見てみたい気もするが.
ちなみにロンメルのドイツアフリカ軍団も兵站で苦しみ,ドブルクのような港湾の確保に奔走した.
使用したトラック・コンボイは,軍団としては破格で,東部戦線の軍集団並みだったと聴く.
それでもエルアラメイン前面で力尽きた.
アフリカは現地調達が難しく,昔から兵站泣かせ.
軽く考えるのは危ない.
軍事板,2011/11/20(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
【国際】自衛隊派遣予定の南スーダンで難民キャンプ空爆 緊張が高まる可能性[11.11]
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1320960495/
自衛隊が誤爆される恐れはないの?
【回答】
未来の事は誰にも分からない.
分からないが,誤爆防止のために,
1) 地上に日の丸を描く.
2) 地上に地上絵.
日の丸を描いた上で文字も書く.
「ここに爆弾を落とした国,勢力,部族には日本国は援助金を出さない(現地の言語や英語)」
3) とりあえず,攻撃したら金をやらんと広報しておく.
くらいは,素人でも思いつく.
そして素人が思いつきそうなことは,プロはたいてい思いついて,検討している.
当然,南スーダンPKOでも,対策はなされているだろう.
……しかし,アウトレンジなロケット弾やミサイルやスマート爆弾には,これらは効果が無いな.
しかし,そんなたいそうな兵器を使う勢力の背後にはどうせ,露中英米仏とかが居るから大丈夫か.
問題は現地人の,無理解による無差別攻撃か……
貧困と無知は,世界の大罪となりつつあるな.
軍事板,2011/11/11(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
南スーダンPKOについては,自衛隊や外務省から,治安や兵站が不安って声が,あんま聞こえんように思うんだけど.
カンボジアやイラクの時は結構内部からも反対意見が出たのに.
単にマスコミの関心が薄いってのもあるだろうけど.
【回答】
懸念する声は,それなりにあった.
派遣話が最初に出てきた2005年は,結局「治安がなお不安定なため,派遣は当面見送り」と政府は判断して,地雷探知機や巡回用の四輪駆動車,テントなど総額2億円程度の物資供与に変わったほど.[1]
最も人員派遣に積極的だったのは,おそらく外務省だが,その外務省内でも,積極論と「派遣は想像しがたい」(幹部)との消極論が交錯していたという.[2]
一方,防衛省は終始,「危険性が高い」(幹部)と慎重な姿勢だったらしい.[2]
陸自も,ハイチと南スーダンで二正面作戦を行うことには消極的で,当初計画では年内は2人の司令部要員だけを派遣しておき,施設部隊についてはハイチの活動終了をにらみ,来秋に派遣したいとの意向を固めていたという.[3]
そして,北沢俊美が防衛相だった頃は,彼が菅直人と近い存在であることから,上記の陸自の意向が事実上の政府方針となっていた.
だが,野田政権発足に伴い,北沢が退任し,「安全保障の素人」と公言した一川保夫がその後任に.[3]
また,同内閣の外相には,自衛隊海外派遣に積極的な外務官僚の意をくむ玄葉光一郎が就任.
玄葉と,ルーピーの負の遺産(日米関係悪化)により,就任後初の訪米の「目玉」探しをしていた野田首相の思惑が一致したことで,それまでの方針が覆ったとされている.[3]
軍事板,2011/11/20(日)
青文字:加筆改修部分
かくて国民に碌な説明もなく,PKO派遣5原則も無視して,武器使用基準も緩めず,拳銃・ライフル程度の小火器のみで,約400人規模の自衛隊(施設科)を派遣することになりましたとさ.
一番不可解なのはマスコミで,イラク派遣ではあれだけ批判していたにも関わらず,さらに問題だらけの南スーダン派遣は批判しないダブスタを発揮している…
【参考ページ】
[1] http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20050611AT1E1100B11062005.html
[2] http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200707060251.html
[3] http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111009/plc11100920000006-n1.htm
軍事板,2011/12/09(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
南スーダンPKOへの自衛隊派遣は,PKO参加五原則に違反しているのでは?
【回答】
PKO参加五原則は,以下から成る.
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1.紛争当事者の間で停戦合意が成立していること.
2.当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊への我が国の参加に同意していること.
3.当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく,中立的立場を厳守すること.
4.上記の基本方針のいずれかが満たされない状況が生じた場合には,我が国から参加した部隊は,撤収することが出来ること.
5.武器の使用は,要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること.
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pko/pko_sanka.html
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改めてこれを見ると,けっこう解釈の幅があることに気づかされる.
まず,「紛争当事者」という文言がマジック・ワードになっており,「紛争当事者」を誰がどのように認定するかに依ることになる.
たとえば,一部の過激派が停戦を不満として,これに従わなくとも,
「あれは当事者ではなく,一部のハネッ返りの仕業」
と言い張れば,一応はそれが罷り通ることができる条文になっている.
事実,カンボジアPKOでは,武装勢力の襲撃により,日本人にも中田厚仁国連ボランティア
(United Nations Volunteers) と高田晴行警部補の2人の殉職者が出たにも関わらず,自衛隊は撤収していない.
後者はポル・ポト派の犯行と見られているが,同派は公式には停戦合意の立場を崩してはいなかった.
では,2013/12/13に勃発した南スーダンのクーデター未遂事件はどうか?
停戦合意の意思のない紛争当事者が,戦闘を断続的に行っており,このまま紛争が継続するなら,五原則に抵触する可能性が高かった.
時の安倍晋三政権も,「撤収の検討に入った」と,12/24報じられた(朝日新聞)
2014/1/23に大統領派・反大統領派双方の停戦が調印されたが,それがなかったなら自衛隊は撤収していた可能性が高い.
また,派遣地域の状況について言及する文言もない.
上記項目1および2が遵守されていると言い張れる状況にあるなら,派遣地域において,どんなに銃弾が飛び交っていても,理屈の上では「原則には違反しない」という解釈もできる.
実際,2012年3月に発生した,ヘグリグ油田を巡るスーダン・南スーダン両国の紛争においても,2012/5/10の記者会見において藤村官房長官は,
「軍事的な緊張は限定的で,国連のPKO参加五原則は崩れていない」
として,「2次隊」を派遣する方針を変えなかった.
まあ,五原則策定当時の状況を考えると,海外へ自衛隊を出す事へのアレルギーが,2014年現在よりもはるかに強かったので,そんな国内政治的状況下で,安易にPKOから撤退して国際社会からの顰蹙を買わないよう,こんな文言にしたのだろう.
ただし日本では,前例主義の傾向が極めて強いので,過度に無茶な恣意的解釈はできないだろう.
もちろん,リアリズムの観点から見るなら,国益を損なってまでの厳格な原則墨守は,愚行以外の何物でもない.
が,本件はその観点から見ても,「常任理事国入りのための実績作り」というだけでは…
【参考ページ】
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120510/k10015039481000.html (キャッシュ)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/180/syuh/s180098.htm
http://dragoner-jp.blogspot.jp/2014/01/pko.html
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2404U_U3A221C1EA2000/
(キャッシュ)
http://ameblo.jp/gusya-h/entry-11735852028.html
【質問】
スーダンにロシアがPKO部隊を派遣する目的は何か?
【回答】
スーダンでは,中共が石油・資源他各方面で利権に食い込んでおり,このままではロシアの分け前がなくなってしまうので,ほんのわずかでも「人的貢献」をアピールし,スーダンでロシアのプレゼンスを誇示・発揮しておこうとしているため.
以下引用.
●ロシアがスーダンの国連平和維持作戦(PKO)に部隊を派遣します.
17日,イワノフ国防相は,スーダンPKO(ダルフール地方)に対し,117名の軍部隊と4機のヘリを投入し,数日中に派遣すると発表しました.
→スーダンでは,中共が石油・資源獲得のため各方面で利権に食い込んでおり,このままではロシアの分け前がなくなってしまいます.そのため,ほんのわずかでも「人的貢献」をアピールすることが目的です.
国連常任理事国としてイランや北鮮問題などに関わる上でも,スーダンでロシアのプレゼンスを誇示・発揮しておくことは得策と見ているわけです.
日本の此処にまでその内容が届いているわけで,世論操作・情報の扱いがわが国とえらい違いだ,とつくづく思わされます.
ちなみにスーダンでは,他の各国もいろいろ動きを見せているようです.
●ロシア,ダルフールに部隊派遣
15日夜から16日にかけてロシア空軍輸送機An-124がChkalovsky飛行場からスーダンに向け出立しました.軍航空戦隊の平和維持部隊30名とMi-8ヘリ4機を輸送するためです.
空軍広報官のドロビシェフスキー大佐が16日に語ったところによれば,An-124は南スーダンのエンテベ空港に着陸し,そこで工兵と専門家がヘリを組み立て,テスト飛行後,ロシア軍部隊展開地域に向かうそうです.
ロシア部隊の空輸作業は4月20日からはじまっており,イリューシン76がスーダンに向け6回の空輸を行ない,150トンの物資を空輸しています.6月1日までに残り9回の空輸が行なわれます.
【質問】
スーダンへの陸自のCH-47の派遣は無理ですか?
【回答】
やはり無理なようです.
スーダンPKOへの輸送ヘリコプター派遣は困難
防衛省が表明:北大路機関
スーダン・ダルフール紛争では,スーダン政府軍とスーダン政府軍に支援されたアラブ系民兵「ジャンジャウィード」と,非アラブ系アフリカ黒人民兵との紛争が2003年から発生し,政府軍とジャンジャウィードによるアフリカ黒人に対する人権侵害が表面化
(アフリカ黒人民兵もアラブ人への人権侵害を行いましたが,ジャンジャウィードの人権侵害が多い),
国連とEU,アフリカ連合(AU)による介入により停戦協定が結ばれましたが,双方の武装解除は進んでいません.
ダルフール紛争-Wikipedia
また,政府軍はともかく,ジャンジャウィードは政府軍から軍事援助を受けているので,携帯型地対空ミサイルSA-7や対戦車ロケットRPG7を保有している可能性も高く,対戦車ロケットによるヘリへの撃墜は稀なケースと言われていますが,撃墜の可能性は排除できず,また地対空ミサイルならCH-47なら撃墜は可能性です.
となれば陸自のCH-47のスーダンへの派遣は,不可能といっていいでしょう.
スーダンでもダメなんだから実際,RPG7でヘリを撃墜した経験を持つターリバーンがいる,アフガニスタンへの陸自のCH-47の派遣なんて無理です.
やはりインド洋給油再開が現実的選択だとは思いますが.来年からアフガニスタンから米軍部隊の撤退が始まります.
ただし一般部隊のみで,特殊部隊は継続して駐留,アル・カイーダのウサマ・ビンラーディンの逮捕または「消去」を行います.
米軍特殊部隊は自前のヘリがありますから,陸自のヘリは必要性は無くなるでしょう.
バルセロニスタの一人 in mixi,2010年06月25日19:03
【質問】
南スーダンにおける自衛隊PKOの生活状況は?
【回答】
現地ジュバでは,夏には日中の気温が40~45度を超える日もあるため,体力の消耗が激しいという.[1]
生田目徹・現地支援調整所長によれば,
「日本では1日朝晩2食だったが,ここでは3食を取っている」
「(野外活動が中心となる)宿営地整備隊は相当疲れている」
と,記者会見にて述べている.[1]
当初,自衛隊の宿営地には,まだ厨房が整備されていなかったため,隊員はほぼ3食を戦闘糧食に頼っていた.[2]
メニューは豚角煮やサンマかば焼き,肉団子など17種類で,体力を消費する隊員向けに味は濃いめ.[2]
隊員は配給されるのを自由に選んで食べるが,既に1カ月以上もいた隊員もおり,
「どうしても飽きがくる」
との愚痴も出たという.[2]
その後,4月頃から自炊できる体制が整い,今では南スーダンで唯一日本食を食べることのできる場所になったという.[5]
>日々の規則正しい生活と自炊による日本食を中心とした食事を心がけ,[4]
との記述が,防衛省サイトにも出てくる.
居住環境に関しては,当初は天幕を張って事務所や隊員宿舎を設営.[3]
当時,施設隊副隊長の小野栄二2佐は記者団に,
「隊員はいつ熱中症になってもおかしくない」
と語っている[3].
2012/2/20の本隊到着後,雨期に備えコンテナの設置などに取りかかった.[3]
2014(平成26)年1月現在,隊員は宿営地内のコンテナで居住している.[4]
宿営地には食堂のほか,入浴施設やトレーニングジム等も備えており,また,インターネット電話などを使って日本の家族と連絡をとることもできるという.[4]
疾病予防に関しては,アフリカ大陸に特有な感染症を予防するための衛生教育を受けるとともに,必要な予防接種やマラリア予防薬の服用を実施.[4]
また,医師などの衛生科隊員が医務室を運営し,隊員の診療を行う[4][5]と共に,派遣期間の半ば頃には,医務室において臨時の健康診断を行い,隊員の健康状態をチェック.[4]
日本人の医者がいると,隊員の安心感が違うという.[5]
加えて,
「日々スポーツに参加して健康的な生活を営むことで疾病を予防することに努めています」
「さらに,ストレス予防として,毎日のストレスを持ち越さないよう,心のケアを目的としたグループディスカッションを行っているほか,
定期的に精神科医師を現地に派遣し,隊員の心の健康もサポートしています」
と謳っている.[4]
ただし,体力練成のための運動は,活動時間外.[4][5]
なお,朝7時半から夕方17時までが施設活動.[4][5]
雨季(4月頃から)に備えて,マラリアの発生源となるハマダラカ発生予防等のために,ルワンダ隊内のPOCエリアをはじめとするUN施設内の排水溝整備を行った他,避難している現地住民に対して,給水,医療支援,トイレ構築及びUNハウスにおけるPOC(文民保護)エリア敷地造成・防護壁構築を行うなどしている.[7]
【参考ページ】
[1] http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2012021800259
[2] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120220-00000013-jij-int
[3] http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120219/plc12021920350007-n1.htm
[4] http://www.mod.go.jp/j/approach/others/shiritai/sudan/
[5] http://www.pko.go.jp/pko_j/liaison/liaison18.html
[6] http://www.pko.go.jp/pko_j/faq/faq_s_sudan.html
[7] http://www.mod.go.jp/gsdf/news/pko/2014/20140414.html
[0] http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki3/557834.html
【ぐんじさんぎょう】, 2014/09/21 20:00
を加筆改修
【質問】
クーデター未遂事件に伴う治安悪化により,PKO南スーダンの韓国軍に日本から小銃弾薬1万発が提供されたとの事です.
弾薬1万発というのは,実用にしてはかなり数が少ないと思うのですが…
たったの1万発ぽっちが足りないという韓国軍も韓国軍なら,提供する日本も・・・ってことで,何か政治的意図があると思うのですが,考えすぎでしょうか?
【回答】
まず,国連からの銃弾提供要請に基づくモノであることをお忘れ無く.
そもそも,難民が韓国軍担当地域に逃げ込んできて,「さあどうしましょ」って事態.
すでに反政府軍が現地を掌握したとかしてないとか,そんな状態なのが現地なんで,補給送ろうにも困難なんだとか.
韓国側のコメントとしては,
「作戦遂行分はすでにある.
ただ,長期の銃撃戦もありえるから,予備として借りた」
ということを言ってるから,これだけで戦おうってことはない.
韓国軍280名ほどのうち,殆んどが医療や工兵で,警備任務=戦闘員は70名ほど.
それに15000発(日本10000発,アメリカ5000発)が供給されたから,とりあえず当座しのぎにはなる.
正面戦争やってるわけじゃないんだから,一人5個配布すれば,60名にがっちり弾持たすことができるわけで.
治安維持~最小限の陣地防備なら,それでそこそこガンバレルだろ.
弾はあればあるほどいいに決まってるが,自衛隊自身の分もあろうし.
本気で撃つならむしろ重機関銃,迫撃砲の類だし.
ていうか,韓国軍の後方支援体制が貧弱なのはよく知られていて,「返す」予定の1万発がなかなか集められなくて,C-130の出発の目処がついてない.
軍事板,2013/12/24(火)
青文字:加筆改修部分
【反論】
日本政府の虚偽的説明を鵜呑みにするバカ奴発見www
当の韓国政府が,弾を不足していないと言っている.
【再反論】
つーか,そもそもそういうことに言及せざるを得ない局面こそ,事態の切迫を示しているのだが.
裏が読めない人は,そういうこと気づかないのよね.
「弾が不足してる」なんて,おおっぴらに言えるわけないじゃん.
そしたら反政府勢力につけいる隙を与えるだけだよ.
本当は「不足してない」だって言いたくなかったはず.
そんな話題が出てくること自体,部隊の窮状を示してしまって不都合なんだから.
今回の件を穏便に納めるには,本来なら事後,落ち着いてから発表すべきだったんだ.
リアルタイムで発表するのはとってもまずかった.
なお,日本政府は韓国国防省報道官の発表に対し,以下のように反論している.
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菅義偉官房長官は24日の記者会見で,南スーダンに国連平和維持活動(PKO)で展開する韓国軍への銃弾提供をめぐり,韓国国防省報道官が「(銃弾は)不足していない」との認識を示したことに反論した.
「日本政府には国連,韓国から要請があった.それが全ての事実だ」と述べた.
銃弾提供後,国連から日本政府に謝意が示され,現地の韓国軍からも自衛隊に謝意の表明があったことも明らかにした.(共同通信より)
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軍事板,2013/12/24(火)
青文字:加筆改修部分
【質問】
スーダンでPKO活動を実施中の陸上自衛隊が,その保有する弾薬1万発を,同じくPKO活動中の韓国軍に無償譲渡したそうだが,これは違法ではないのか?
【回答】
花水木法律事務所によれば,何らの法にも触れないという.
なぜなら,
a)
「武器輸出三原則」には法律上の根拠がない.
単なる政府見解に過ぎない.
b)
わが国で武器の輸出を規制しているのは外為法(外国為替及び外国貿易法)だが,単なる譲渡は,この法律の定義する「輸出」には該当しない.
定義上は,自衛隊がPKOのため弾薬を持ち出すこと自体が「輸出」に該当するが,すでに「輸出」されたものを譲渡しても「輸出」にはならない.
もし今回の措置が,外為法に違反する場合があるとするなら,それは弾薬が持ち出される際,「他国に譲渡してはならない」という条件(外為法67条)が付されていた場合である.
詳しくは,
http://blogos.com/article/76477/
を参照されたし.
これを批判的に報じている朝日新聞も,その点は把握しているようで,
>歴代内閣はこれまで,PKOでの国連への武器・弾薬の譲渡を否定している.
>今回の安倍内閣の決定は,PKOにおける従来の政府見解を抜本的に見直すものだ.
>http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312230201.html
と,急変ぶりを問題視するに留めている.
もっとも,中には「憲法違反だ!」と騒いでいる団体もあるが.
>「人の殺傷,物の破壊を目的とする武器・弾薬」を提供することは,武器輸出三原則に抵触するだけではなく,憲法の平和主義の理念にも反するものである.
>日本が提供した弾薬によって多くの人命が損なわれる可能性が生じている.
>社会民主党 幹事長 又市征治
【質問 kérdés】
自衛隊は南スーダンから撤退すべき?
【回答 válasz】
2011年に南スーダンが独立すると同時に国連南スーダン派遣団が派遣され,それに伴って我が国も自衛隊が南スーダンに派遣されました.
しかし南スーダンの治安情勢は悪化の一途を辿り,2013年にはサルバ・キール・マヤルディ大統領率いる政府軍と,リエック・マチャル・テニィ副大統領率いる反乱軍による戦闘が勃発.
この戦闘は内戦状態になり,2014年1月には停戦合意されたものの,再び戦闘が勃発.
中国軍PKO部隊が装備と物資を捨てて逃走するという事件まで起きました.
PKO法によれば停戦合意が破られた以上,撤退すべきという声が出るのは当然ですが,現状では撤退は無理でしょう.
というのも南スーダンPKOは当初は復興と治安維持の支援が目的でした.
実際,南スーダンがスーダン領だった頃に南スーダン独立を掲げて反政府ゲリラ闘争を行ってきたSPLA(スーダン人民解放軍)は内部分裂の危機まで起きたぐらいで,独立後は南スーダン政府内で内部分裂が起きました.
このためキール大統領出身の部族で構成される政府軍と,マチャル副大統領出身の部族で構成される元政府軍の反乱軍との間で戦闘が起きてしまい,それにより多くの避難民が,日本を含む各国のPKO駐屯地に避難してきました.
難民を置き去りにした撤退は,国際社会から非難を浴びるだけでなく,人道的にも認め難い行為と言えます.
伊勢崎賢治 Tumblr— 南スーダン:自衛隊は今は撤退するべきではない.
また,PKO活動ではボスニア紛争時に発生したスレブレニツァの虐殺やルワンダ内戦でのフツ族によるツチ族への虐殺を防げなかった経験から,難民防護も任務となっており,自衛隊の撤退はこの任務に反する事になります.
スレブレニツァの虐殺 - Wikipedia
ルワンダ内戦:世界史の窓
南スーダンの自衛隊を憂慮する皆様へ〜誰が彼らを追い詰めたのか?(伊勢崎 賢治) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)
安保法制では駆けつけ警護も議論の焦点になりましたが,今はまず駐屯地に逃れた難民の保護と防護が急務になります.
正直,派遣している国はまず難民の防護が急務となっており,駐屯地の外に出て活動するとかそういう次元ではないのは明白です.
そうなると自衛隊スーダン派遣での装備である89式小銃や軽装甲機動車,MINIMI分隊支援火器だけでは不十分ではあるのは明らかです.
重装備が必要になります.
10式戦車や90式戦車,89式装甲戦闘車は行うべきでしょう.
撤退が不可能である以上,陸自が出来る事があるとすれば装備を強化し,駐屯地の建物を強化するか流れ弾やRPG-7などの対戦車ロケットが駐屯地の人命と建造物に危害を加えないように壁を設置する(これなら派遣されている施設隊なら設置は可能です)しか手だてはないと言えます.
実際,国連はPKOに機甲部隊は砲兵部隊を創設する計画があった他,レバノンPKOではフランス軍はルクレール戦車を派遣しており,大規模戦闘に巻き込まれても問題がないレベルにまで戦闘装甲能力を上げていました.
PKOに戦車,砲兵隊も=国連,異例の強力部隊検討―スーダン係争地 - 日本軍事情報センター Japan Research Center Of
Military affairs
停戦監視任務に就くフランス軍の装備は?:2nd Lebanon Conflict|軍事板常見問題 アジア別館
安全の確保のために重装備を派遣すべきという意見もあります.
それは真っ当ではないとは言えないでしょう.
少なくとも非人道的な撤退よりも重装備の強化の方が現場にとっては重要なのですから.
こちらは南スーダンの反乱軍と戦争をやりに行くのではなく,部隊の装甲化により部隊や部隊が防護する難民に対して危害を加えれば猛反撃するという意思表示,つまり抑止力を見せればいいのですから.
孫子の兵法における精神的衝撃を与えれば十分なのです.
ただ,戦闘ヘリの派遣には反対です.
RPG-7の的になるだけで,それこそ陸自から海外派遣で初の殉職者を出しかねませんからね.
南スーダン内戦再危機 首都ジュバで停戦後最大規模戦闘,国連南スーダン任務へ自衛隊派遣中 - 北大路機関
ねらっずーり in mixi, 2016年10月10日
青文字:加筆改修部分
【質問 kérdés】
陸自の南スーダンPKO撤退について教えてください.
【回答 válasz】
陸自の南スーダンPKOが5月に終了し撤退する事になりました.
理由としては治安悪化ではなく南スーダンでの道路の整備が終了した事によるものです.
> 南スーダン派遣の陸自施設部隊 撤収へ | NHKニュース
> http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170310/k10010906281000.html
もちろんこれが理由だけでなく,やはり治安悪化もあるのでしょう.
しかし問題はあります.
駐屯地にいる避難民はどうするのか.
南スーダンではキール大統領率いる政府と解任されたマシャール前副大統領の間の内戦は部族紛争の意味合いも出てきており,ルワンダのような虐殺も懸念されています.
> 南スーダンは大量虐殺前夜 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
> http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/12/post-6525.php
当方が南スーダンPKO撤退に批判的だったのもそのためなのですが,防衛省が撤退を決断した以上はどうこう言うよりもこれからの事を考えなくてはいけません.
そこでこれは当方の個人的な考えですが,撤退と撤退前に陸自の護衛の元で難民を隣国のケニアに連れて行き,ケニア政か府にはODA等経済援助で納得してもらった上で,我が国と国連難民高等弁務官事務所が経費を出して,我が国の地震災害で使われる仮設住宅を南スーダンとの国境付近に設置し,南スーダン情勢が沈静化するまで難民キャンプとして避難させるというのはどうでしょうか.
国連としてもスレブレニツァの虐殺やルワンダの虐殺を繰り返さないためにもこの措置はPKOに兵力を提供し,やはり駐屯地に難民がいる各国軍のモデルともなります.
撤退する以上はこれぐらいはするべきかと当方は愚考いたします.
南スーダンPKO終了を以て我が国のPKO派遣は2017年現在では一件も無くなりました.
今後は米中冷戦,米露冷戦とも言える状況の中で我が国は人員をジプチ以外の海外に派遣する人的リソースはあまり無い状況ですので,今後PKOの参加は凍結すべきかと思います.
実際,韓国出身の潘基文前国連事務総長の失政,というより無策によりリビア内戦やシリア内戦では全く行動しなかった上,ISILのテロ活動や勢力拡大もロシア海空軍の空爆とアメリカ空軍の攻撃によりようやく収まりましたが,ここでも国連は無策のままでした.
そればかりか潘基文氏は2015年の中国共産党政府の「抗日戦争勝利70年」記念式典と軍事パレードに参加し,人道に対する罪,戦争犯罪,ジェノサイド罪の容疑で国際刑事裁判所から訴追されてるスーダンのオマル・アル=バシール大統領が同席した事実があります.
潘氏は自ら国連加盟国に逮捕状執行を呼びかけていただけに,これでは国連が舐められても仕方ないでしょう.
現在,国連はポルトガル出身のアントニオ・グテーレス現国連事務総長の元で再建に取り組んでいますが,コフィ・アナン氏やプロスト・ガリ氏のような実行力のある国連に戻すのには時間もかかる上に,上記のようにアメリカと中露の冷戦下では果たしてその機能は戻るかどうか怪しい以上,PKO参加は見合わせてもいいかと思います.
ねらっずーり in mixi, 2017年03月11日
青文字:加筆改修部分
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