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用途その6「猫の保護」
(画像掲示板より引用)
「リアリズムと防衛を学ぶ」:(2010-01-26)なぜ災害時に軍隊・自衛隊が活躍するのか?
「リアリズムと防衛を学ぶ」◆(2010/03/24)続・のび太がジャイアンを抑止するには? 抑止の発展
【質問】
軍隊も公共サービスの一つなの?
【回答】
志願制の軍隊(自衛隊)は国家全体の公共サービスであって単なる公共サービス機関ではない.
〔略〕
私は自衛隊は国防という公共サービスを行う機関だと思っています.
というか自衛隊に限らず,先進国・中進国問わず志願制(事実上含む)の軍隊では,国防という公共サービスを行う機関であると思っています.
しかしそれは,単なる公共機関ではありません.
なぜなら警察は治安と対テロ,災害救助という国民に対するサービスと,国家体制の維持という国家に対するサービスを,消防は火災などの災害から国民と国家を守るサービスを行っていますが,軍隊(自衛隊)は国民やそれら(警察や消防)も政府,国会,裁判所などを守るためのサービスを行っているからです.
わかりやすく言うと,国民と国家全体のサービスを行うのが,軍隊(自衛隊)の任務なのです.
ですので国防はもとより,災害派遣や部外工事なども行うのも当然なのです.
海上で外国の艦船の攻撃でシーレーンが脅かされ,空中で戦闘機により旅客機など民間機が撃墜の危険にさらされ,陸で外国の軍隊が上陸して警察機関などが攻撃されたり,民間施設や住宅地に外国の軍隊の攻撃の巻き添えや攻撃そのものを受けて,被害が出る可能性を排除して,平和で豊かな生活を維持するのには,国防は不可欠なのであります.
警察力はもとより海上保安庁の火力では,とてもじゃありませんが外国の軍隊の火力には太刀打ちできません.
さらに災害では警察や消防,海上保安庁では手に負えない場合は,自衛隊の機動力が必要不可欠になります.
だから政府や議会は,軍隊(自衛隊)を完全に統制しする必要があります.
特に日本の場合は,文民統制が他国に比べても徹底しています.
これは戦前の大日本帝国陸海軍の失敗の教訓から来ているものです.
大日本帝国憲法(明治憲法)では
「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス(第3条)」
と書かれています.
小説「銀河英雄伝説」で専制君主である銀河帝国皇帝が「神聖にして不可侵なる皇帝!」と呼ばれる事があるので誤解されていますが,この条文は「君主無答責」を意味します.
これは早い話が,君主は責任を問えない→責任を負わないという意味であり,君主は「君臨すれども統治せず」という意味なのであります.
つまり明治時代から,日本は立憲君主国であったのです.※
ちなみに同じような条文は,ノルウェー,デンマーク,ベルギーにもあります.
そしてそれを裏付けるように
「国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責メニ任ス.
凡テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ副署ヲ要ス(第55条)」
と,大臣の助言と副署が必要であるとも書かれており,天皇大権は大臣の助言,つまり大臣が責任が負うとされています.
大臣に責任があるという事は,大臣が権力を有しているという意味でもあるのです.
その天皇大権にこんな条文があります.
>天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス(第11条)
この規定を見る限りでは,大日本帝国陸海軍は内閣の助言により,天皇陛下が軍隊を動かすので事実上,内閣(陸軍省や海軍省)の指揮下にあると思われますが,実は陸軍参謀本部や海軍軍令部は,内閣や議会から干渉を受けない,政治と対等な地位にあると解釈されているからです.
日本軍-Wikipedia
これはプロイセンの軍制をモデルとしたもので,軍事が政治に介入される事への防止や機密保持のための理由があるからです.
その一方で,軍部大臣現役武官制で,内閣が軍人を陸海軍の大臣を現役軍人に任命して,軍に対するコントロールが出来るようにする一方で,軍の意見を内閣に反映させるためとも言えるシステムが導入されたのですが,このシステムは軍部の同意が必要という,本来の意味から外れた結果をもたらしました.
しかも外務省の外務キャリア試験(現在廃止)が,後に外務省キャリアに特権意識を持たせてしまい,天木直人氏や野田英二郎氏のような電波(しかもラインハルト・フォン・ローエングラム元帥の言葉を借りれば,まさに「特権意識が服を着て歩いているような人」)な評論家を生んでしまったケースを引き合いに出すまでもなく,軍部(特に陸軍)に「政府と対等である」という特権意識を植え付けさせ,満州事変は日中戦争などの暴走を許してしまい,太平洋戦争に繋がったという歴史的事実があります.
さらにはこの特権意識が,5・15事件や2・26事件などの軍事クーデターを誘発し,軍事政権を確立させ,太平洋戦争へと進み,日本を破滅させた原因にもなりました.
終戦によるGHQの占領に伴い,陸海軍は廃止されましたが,ナチ党の私兵または党の機関に過ぎなかった武装SSやゲシュタポ,アインザッツグルッペン(特別行動部隊)とは違い,日本軍は犯罪組織と東京裁判では宣告されなかった(というか軍事裁判で敗戦国とはいえ,軍隊を犯罪組織だなどバカな宣告する裁判官はいません)ので,戦後日本は将来軍隊を持っても問題なく,さらにサンフランシスコ平和条約で個別的・集団的※自衛権を認められたので,
「軍隊を持ってもいいよ」
から
「軍隊を保持しなければならない」
となりました.
ちなみに日本国憲法でも,第9条第1項の戦争放棄は侵略戦争の放棄を意味し,防衛戦争や制裁戦争は放棄していません.
第2項では侵略戦争放棄を達成するために軍隊を廃止するという事は,防衛戦争のための軍隊なら所持してもいいと定められている事になります.
これは駒澤大学の西修教授の論文で明らかになっています.
世界の現行憲法と平和主義条項
だから憲法66条第2項には,
「内閣総理大臣その他の国務大臣は,文民でなければならない」
と書かれています.
日本国憲法
軍隊を完全に否定しているのならば,この条文は必要ないのに,書かれているという事は,日本国憲法は軍隊保持を認めている証拠の一つに他なりません.
そしてこの条項により,戦後日本の軍隊である自衛隊は政府と議会の完全統制に置き,かつ自衛官の政治活動を禁止させ思想統制する必要があったのです.
つまり,自衛隊を完全に政府が掌握して自衛官に政治教育を行い,思想を統制するのが戦後日本の「過去の克服」なのです.
ドイツみたくナチスという政党を「犯罪組織の頭目」として,否定しておけばいいとは全く違うのです.
ちなみにドイツでは,連邦国防軍は戦前の共和国国防軍が志願制で,国民の介在が無かった事が,ナチス政権の軍の統制に繋がった事から徴兵制を採用し,連邦政府や議会だけでなく,国民の統制にも置くという措置が
,今日にいたるまで続いていますが,実際は志願制になっています.
これも戦前は徴兵制の下,国民が軍にクーデターを容認させた日本とは違いがあります.
だから,中沢一等陸佐の訓示はやはり無用心だったと思いますし,まして田母神・元航空幕僚長や柳内三等陸佐,来栖統合幕僚会議議長の発言や論文は更迭や懲戒免職されてもこれは仕方ないのです.
政府の統制に従わないと思っている軍人は排除する,それが日本の文民統制なのですから.
理由は上記に書いた通りです.
ただ中沢一佐については,政府の迷走が現場に影響しているという事で,余計な心配を現場にかけ,このような訓示を言わせたという点では,清谷さんの意見とは別の意味で同意です.
だからといって処分はいけないという理由にはなりません.
なお私個人としては,憲法改正後の自衛隊の名称は国防軍より,自衛軍の方がいいかと思います.
なぜなら自衛隊という名称が国民に定着しているから,無理に国防軍という名称を使う必要もなく,自衛軍が適当だと思っているからです.
これは舛添要一・自民党議員も言っています.
バルセロニスタの一人 in mixi,2010年02月22日00:17
※ この2箇所,異論も出そうだが……
▼ 異論が出そうな部分に,参考資料を送っておきます.
大日本帝国憲法第3条-Wikipedia
明治憲法への誤解を解く:豊葦原
レジュメサンプル
これも追加で.
――――――
日本国との平和条約
第5条【国連の集団保障,自衛権】
(a)日本国は,国際連合憲章第2条に掲げる義務,特に次の義務を受諾する.
(i) その国際紛争を,平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決すること.
(ii) その国際関係において,武力による威嚇又は武力の行使は,いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも,また,国政連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むこと.
(iii) 国際連合が憲章に従ってとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え,且つ,国際連合が防止行動または強制行動をとるいかなる国に対しても援助の供与を慎むこと.
(b) 連合国は,日本国との関係において国際連合憲章第2条の原則を指針とすべきことを確認する.
(c) 連合国としては,日本国が主権国として国際連合憲章第2条第51条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有すること及び日本国が集団的安全保障取極を自発的に締結することができることを承認する.
――――――
バルセロニスタの一人 by mixi massage,2010年06月22日
▲
【質問】
地震や台風により被災した市民の救援活動を,軍隊が行う場合がありますが,消防や民間企業でなく,軍がそれに動くのはなぜですか?
【回答】
大規模災害現場という,現地のインフラが破壊された地域では,救援活動のためにはまず
「派遣された隊員が喰う飯と眠る場所を自力で確保する」
必要がある.
警察や消防にはその能力が欠けているし,そもそも民間企業はそう言う「金にならない活動」を行う組織じゃない
(無論,余力と必要に応じて協力するが)
ボランティアは組織力が不安定だし,結局,「インフラがない戦場で飯食って眠って戦う」組織である軍隊が,一番有効に動ける事になる.
また,災害時に求められる能力は,軍隊に必要とされる能力と部分一致する.
自前の情報収集能力を持つし,障害物は工兵が除去できる.
負傷者が出れば医療班が対応できるし,軍事作戦用の補給システムを流用すれば,生活物資も供給できる.
各業種にまたがって統一した,損害にも強い指揮系統がある.などなどメリットが多い.
もちろん裏の目的として,軍隊の自己宣伝も兼ねている.
(あくまでも副次的な目的でしかないが.
災害派遣は能動的にやるものではないからね.
狙って災害を起こすのは無理だ)
事実,自衛隊はこうした活動を黙々と行うことで,徐々に国民に対する信頼を得つつあった.
某幕僚長がトンデモ論文を発表して,それを叩き潰してくれるまでは.
軍事板,2009/06/30(火)
青文字:加筆改修部分
【珍説】
軍事組織は戦闘・殺戮の効率的な遂行を至上の任務とする組織
新藤宗幸 in 『自衛隊をどうするか』(岩波新書,1992/1/21),p.57
【事実】
やれやれ,第2章の序盤からしてこれですか.
認識が根本的に間違っています.
軍事力の第一義は抑止力.これは基本です.
江畑謙介の定義によれば,
軍事力(それは広くは軍隊自身を含め,兵士だけではなく国民の指揮や継戦能力,すなわちどれだけ戦闘を続けられるかの能力も含まれる)の最大にして最も根本的な役割は抑止力である.
〔略〕
他の国(あるいは民族など)から,本来その国に属するはずの(と,その国が考える)権利を侵害されたり,生存,繁栄が阻害されるため,やむをえず軍事力を行使するのだが,本来ならそのような事態が生じないようにするのが軍事力の役目である.
武道の強い人間に,喧嘩を売ろうとしないのと同じ理屈が,国家間,民族間などでも適用する.
『軍事力とは何か』(光文社,1994/12/20),p.24
事実,確実に殺害するより,負傷させて無力化するための兵器も作られていますね.
新藤君におかれましては失礼ながら,軍事に関する基本中の基本も理解しておられない人間が,国家安全保障問題を語らないほうがよろしいかと存じます.
【質問】
よく言われる,「軍事力が高い国になれば戦争を吹っかけられる事はない」というのは,開戦後でも通用するのでしょうか?
こっちの方が強いので喧嘩しかけてみる
↓
何故か相手側にアメリカロシア中国等のいわゆる国連軍が参戦
↓
ごめん,やっぱり戦争無かった事にして・・・
【回答】
開戦後でも通用,という言葉の意味がちょっとわかりにくいんだけど,やれると思って弱国にしかけたら強国がやってきた,という例はいろいろありますね.
・湾岸戦争
イラクがクウェートへ侵攻するが,アメリカを主体とする多国籍軍にボコられ返される.
フセインは,アメリカ参戦は無いと踏んで始めたはず.
・朝鮮戦争
北朝鮮が韓国へ.
すぐにアメリカを主体とする国連軍が半島へ.
アチソン声明を金日成がどう受け止めたかは議論のあるところだが,アメリカ参戦絶対無しとは彼は思ってなかったかもしれない.
逆にアメリカ側も,人民解放軍があそこまでなだれこんでくるとも思っていなかった.
・南オセチア紛争
プーチン大帝がオリンピック開会式で遊んでるじゃん,
このタイミングだぜ…!
……露軍,準備万端だったじゃん(´;ω;`)ブワッ
・フォークランド紛争
アルゼンチンが英へ.
鍵はアメリカの動向で,アルゼンチンとしては中立を期待し,アメリカもふらふら迷っていたが,最終的にはイギリス側へついた.
・スエズ動乱
英仏がエジプトへ.
米ソは参戦したわけではないが,ブチ切れた.
安保理は機能不全なので,平和のための結集決議とかで,まあこれは「んじゃなかったことに」.
つまり,「無かったことにして」は,なかなか難しいということでしょうか.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
日本では海自,対潜を重視しているように思えるんですが,このようにある能力に特化している現代の軍隊って具体的にどこになりますか?
【回答】
具体的に言えばたぶんきりがなく,地政学的要因ってヤツで考えるしかないでしょ.
ロシア空軍は防空空軍に特殊化してたし,北欧の海軍は全部そうだが,特にスウェーデンは沿岸防御に特殊化した海軍になってる.
その国家の国情とか地理的要因に合わせて,その軍隊が適応するのは,海自の対潜能力程度の例ならばいくらでもある.
もっとも,英国みたいに,近海防御に徹すればいい地政学的位置にありながら,外征的な空母艦隊作りたがる国もあるから,歴史や国民性も無視できないねえ.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍事顧問団ってのがありますが,どういう連中の構成でどういう扱いなのでしょうか? 大使館のミニタリー版と考えて差し支えない?
【回答】
たとえば今イラク陸軍やアフガニスタン国軍に派遣されている訓練チームの場合,身分は米軍人で,出身も米軍人.
イラクの場合は多国籍治安移行軍−イラク(MNSTC-I)が親組織で1つのチームは12名.イラク陸軍,国境警備隊などの旅団,大隊階梯にまで派遣されている.
なお,イラク国防省などにも別に顧問が派遣されているんだったかな.
それとイラク警察にも憲兵からなるチームが出ていたと思う.
やっていることは,大隊での人事管理制度,支給品管理制度の確立,訓練計画,作戦計画,命令手順,士官下士官を先導して育成するなど.
イラク側とのやりとりは任務上欠かせない.
このほか,イラクに駐留する各部隊は,それぞれ地元のイラク治安部隊とパートナーとなり,訓練チームを連絡として共同で作戦を行い,育成を援助している.
これは例えば,クウェートにいる輸送部隊の元締めとなる輸送群でも,同様のことをしている.
これが例えばベトナム戦争のときの奴や,ソヴィエトがアフリカ各地に送り込んでた奴だったら,かなり性質は異なる.
ベトナム戦争の高射部隊の「ソ連軍事顧問団」はSAM-2の運用に当たっていて,そこの部隊長をベトナム戦争でのトップエース(たしか22機撃墜)と呼ぶ資料もある.
中東では,エジプト空軍に派遣された「ソ連軍事顧問団」が,MiG-21でイスラエル空軍機と激しい空戦を展開し,少なくとも10機が撃墜されている.
この後,「ソ連軍事顧問団」は直接戦闘に参加するのを取りやめ,経済援助の代償として,北朝鮮やキューバなどの軍を現地に送り出すようになった.
【質問】
イラクやアフガニスタンの国際治安維持部隊には,いろいろな国から派遣されていますが,小国が数人程度の小部隊を,派遣するのは意味があるのでしょうか?
言語とか指揮系統がややこしくなるので,いないほうがいいような気がします.
【回答】
戦争ってのは昔からそんなだよ.
兵は参加する事に意義がある.政治家や将軍はどれだけ頭数を揃えられるかが仕事.
実際に戦うとか,役に立つとかは二の次.
日本の戦国時代なんて,数万の大軍同士の戦いでも,前線の数百人しか戦わずに勝敗が決するなんてのは普通だった.
それに政治的アピールも含まれているので,純軍事的な理屈だけの問題じゃないって面があるからねぇ.
アフガンなどに関わる発言権や影響力を持ちたければ,例え少部隊でも派遣している国と,そうでない国では全然違うでそ?
日本は過去,金銭だけで済まして来たが,全く相手にされなかった苦い経験がある.
戦争・国防板,2009/09/12(土)
青文字:加筆改修部分
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