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(画像掲示板より引用)
「kojii.net」■(2012/07/06) 新刊発売のお知らせ
> 「現代ミリタリー・ロジスティクス入門」本日から発売.
> 軍事作戦を支える人・モノ・仕事について,さまざまな角度から取り上げてみた一冊で,特に燃料の話には力が入ってます.
「Net Bunker」(2010/04/05)◆最前線のドーナツ屋,カナダ政府から勲章をうけることに - GIGAZINE
Room of the relic of the past
「兵学の部屋」「糧食の部屋」など.
「Tech. Wave」:(2010年01月25日)米軍専用SNSのmilBook=階級組織にフラットな情報流通の導入は可能か?
Feeding Mars: Logistics In Western Warfare From The Middle Ages To The Present by John A. Lynn (ed)
ロジスティクスに関する名著.
紹介するのを忘れてた.
------------masatheman in twitter
『補給戦――何が勝敗を決定するのか』(マーチン・ファン・クレフェルト著,中公文庫,2006.5)
┃
┗「とりあえず」:そんなあなたに『補給戦』
あまりにリアルで冷徹で・・・ カッコよさの微塵も無いデス.
ちなみに,ロンメルもシュリーフェンもコテンパンに叩かれているデス(笑)
ちなみに,著者はイスラエル軍の方デス.
2002年現在は邦訳は絶版デスが,英語だと
Martin van Creneld
Supplying War "Logistics from Wallenstein to Patton"
Cambridge University Press
ISBN 0-521-29793-1
で出ているデス.
ペーパーバックデス.
amazon.co.jpで買えるデスね.
-------------81式:軍事板,2002/02/16
青文字:加筆改修部分
私見だけど,テーマに挙げられている各時代の戦役について,大まかな流れと,「勝敗を決した通説的な理由」を踏まえた上で読むと,理解しやすいと思う.
「名将の采配とか作戦の妙とか,そういう『一般受けする』要素とは別に,兵站という重要な要素が存在する」
ことを理解できるのが,あの本の長所だから.
例えば
ナポレオンのロシア遠征,
ヒトラーの対ソ侵攻初年度,
北アフリカのロンメル,等々.
このあたりなら良い概説書もあるし.
昔は,「補給を現地調達に頼る軍隊は駄目な軍隊」って思ってたから,初めて『補給戦』を読んだ時は滅茶苦茶驚いたもんだ.
「現地調達なんて中世の遺物(キリッ」
とか言ってた,過去の自分を殴りたい.
組織的な現地調達こそが,中世と近世の違いだったとはな…
考えてみれば現代だって,可能なら現地で買い付けたりするわけだしな.
軍隊の一部民営化だって,昔ながらの酒保商人への回帰だし.
――――――軍事板,2010/01/07(木)
『補給戦,何が勝敗を決定するか』を読み解く (2013/04/21)◆「国際インテリジェンス機密ファイル」
【質問】
「兵站」の範囲は?
【回答】
DOD(合衆国国防総省)の軍事用語辞典によれば,
>Planning and executing the movement and
support of forces.
>It includes those aspects of military operations
that deal with:
>a). design and development, acquisition,
storage, movement, distribution, maintenance,
evacuation, and disposition of materiel;
>b). movement, evacuation, and hospitalization
of personnel;
>c). acquisition or construction, maintenance,
operation, and disposition of facilities;
>and
>d). acquisition or furnishing of services
輸送や糧食の他に,施設維持管理や衛生,広報,会計など,民間人が想像するより範囲は広い.
【参考ページ】
http://www.dtic.mil/doctrine/dod_dictionary/
【ぐんじさんぎょう】,2012/05/24 20:40
を加筆改修
【質問】
兵站で良い本があったら紹介して欲しいです.
【回答】
総力戦戦争指導:中原茂敏「大東亜補給戦」
最前線個人戦記:金井英一郎「Gパン主計ルソン戦記」
『軍事とロジスティクス』(江畑謙介著,日経BP社,2008.2.22)
アフガン,イラクという新しい戦場での軍事行動を,兵員・軍需品の輸送・補給の観点から描いた意欲作.
軍事におけるロジスティックの革命を,膨大な資料をもとに解説する.
軍事板
青文字:加筆改修部分
『山動く 湾岸戦争に学ぶ経営戦略』
ご存じ湾岸戦争での米軍兵站部隊の悪戦苦闘をその司令官が書いた本.
『ロジスティクス 戦史に学ぶ物流戦略』(谷光太郎著,同文書院インターナショナル,1993.8)
『ロジスティクス思考とは何か 戦史から解明する戦略的物流革命』(谷光太郎著,同文書院インターナショナル,1995.6)
日経ロジスティクスで連載されていたものを纏めた本.
あと,物流について学ぶ上で面白いのが
『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった』
とかかな.
鳥坂 ◆ItZu8OLJOg in 軍事板,2010/05/24(月)
青文字:加筆改修部分
『コンテナ物語』は冗談抜きで面白いな.
勉強だけでなく楽しむために読めるレベル.
国内のコンテナ物流に関しては,「日本の貨車技術発達史」が鉄道サイドの本だけど,恐らく日本のコンテナ物流の通史としては最高の出来だと思う.
一般頒布は終了している(つか2週間程度で売り切れたそうな…)けど,鉄道貨物だけでなく,物流の通史としていろんな意味で凄過ぎる出来の本.
軍事板,2010/05/24(月)
青文字:加筆改修部分
▼ イラク戦争なら河津幸英の
『湾岸戦争とイラク戦争』
『図説アメリカ軍対テロ戦争部隊の戦い』
『図説イラク戦争とアメリカ占領軍』
のどれかに,現地の兵站事情も載ってた筈.
軍事板,2011/01/27(木)
青文字:加筆改修部分
▲
▼ 『野戦給養発達史』(陸軍主計団記事発行部,1935年)ってのもある.
第一編 上古時代
第二編 中古時代
第三編 近古時代
第四編 近世史上ナポレオン時代
第五編 近世史上普墺戦役並普仏戦役時代
第六編 近世史上欧州大戦時代
第七編 戦争術ノ進化ト給養法ノ変化
附録 帝国野外(陣中)要務令給養編ノ今昔
目次を詳細に眺めると,おもしろそうなのがある.
軍事板,2012/02/03(金)
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
『補給戦』以外で,兵站に関する学術的著作には何がある?
【回答】
John Lynn編集『Feeding Mars』
クレフェルトをふまえたうえで,『補給戦』への批判を含む論文集.
『United States Army Logistics 1775-1992』全3巻
Charles R. Shrader
独立戦争から湾岸戦争に至る,米陸軍の補給に関する論文集.
軍事板,2010/05/24(月)
青文字:加筆改修部分
【質問】
「弾薬の消費が」「兵站への負担が大きく」ない軍隊など,存在するのでしょうか?
【回答】
兵站への負担が大きくなれば,兵站が崩壊し,軍事行動は頓挫します.
ボルトアクションの小銃の発射速度を基本に1会戦120発と定めたのは帝国陸軍ですが,これを射耗弾薬の多い自動小銃や短機関銃に当てはめるとまったく足らなくなります.
兵士により大量の弾薬を持たせると言っても限界は生じますから,結局は増大する弾薬消費に追いつく段列が整わないと,あっという間に弾切れになるだけです.
この段列とて馬匹でおっつかなくなれば,鉄道輸送なりトラックなりが必要ですし,そうなれば鉄道の敷設や道路の建設,外征するならそんなものが期待できない場所での補給を機械化するための工業力と資金が必要です.
軍事ドクトリンを変更するというのは,それなりに手続きが必要で,それは国家の能力とも密接に絡みます.
政府の一部門である陸軍省の「熱意」だけで解決できるものではありません.
ましてや怠慢などと罵倒したところで日本のGDPなり工業なりをチートできるわけもないので,「○○があれば」的仮想戦記な発想は無意味です.
【質問】
積ん読の中から,目当ての本を探すために,段ボールを一つずつ開けては閉め……
湾岸戦争?
こんな身近な所にも,兵站の困難さが分かる事例があるとは.
【回答】
いやいや,ノルマンディもそうですよ.
登場人物:
師団補給担当(自前で揃えたトラックや,他部隊から奪ったトラックを従え,ノルマンディの浜からボートに乗って,拡声器で)
輸送船(桟橋に係留中)
師「おーい,おたくのフネは何積んでる!」
輸「スパムとチョコレートだ!」
師「おい,このB波頭場にトラック二輌行かせて頂いてこい」
そして隣のフネへ.
師「おーい,おたくのフネは何を積んでる」
輸「弾薬だー」
師「○○mmはあるかー」
輸「あるが捜さないとわからーん」
師「そっちに行かせるから,○○mm砲弾○○ケースと,○○砲弾を○○ケース用意しててくれ!」
輸「兵站司令部からは指示は出てないがーーー」
師「ツケにしておけ!」
3462009/12/09(水) 18:26:17 ID:???
んで,探すのを諦めて新品を買うんだよね.
そっちの方がどう見ても速い...
我が高校では,学園祭に使う資材を一括管理していたが,そこは戦場だった.
頼んだ覚えの無いサイズの木材,消えたドリル,集まる引受人……
責任者の俺は学園祭を休んだね.
装飾物一つ見るだけで気が狂いそうになってた.
スーパーとかドラッグストアの,雑然と積み上げられた在庫置場を見るたび,在庫から保管場所にいたるまでコンピュータで管理する事の便利さを実感する.
「ミッキー,箱を開けたら中身を書いといてくれよな」
by エリ8の整備兵
軍事板,2009/12/09(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦略シミュレーションゲームだと,街を占領すると,税収や補給機能が丸ごと自分のものになるけど,実際はそううまく行くものなの?
【回答】
ゲームのようには行きません.
水.
兵士も兵器も水を必要とします.
全部を後方から送るとえらいことになりますが,これが手に入るだけでも町を占領する意味があります.
ナポレオン戦争のころだと,軍隊は「補給品を持って移動」することができませんでした.
ひたすら町を目指して現地徴発,軍隊が食いつくし飲みつくすと別の町に移動「しないといけない」という.
現代の軍隊とて補給は重圧なのですから,単純な物資の有無のほかに鉄道や道路,電気水道のインフラ,医療や慰安は町を占領する理由になるのです.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
現代戦の陸の補給というと,ひたすらトラック輸送というイメージしかないのですが,各国は輸送用のトラックや運転手の確保に苦労しているのですか?
【回答】
米軍の場合,冷戦が終わってベルリンの壁が崩れてから陸軍,海兵隊ともに大きく削減している.師団の数や旅団の数で比較すると陸軍の場合,現役18個師団が10個に減り,総人員数も同じく大きく削減された.
トラックドライバーや憲兵については,師団以外に軍団や軍,あるいは機関陸軍に属している人員もいるだろうけど,これは人員不足であるらしい.
ある民主党議員の話で,交替できないトラックドライバーが引き合いに出されたり,アブグレイブ虐待事件では看守としての訓練を受けた憲兵部隊は1個のみで,アフガンで使われていたため,問題の部隊は交通統制関係の訓練しか派遣前に受けていなかったにも関わらず,刑務所での任務に付いた,という報道などがある.
後方職種について女性の戦闘参加が縛りになっているという話もあるけど,それで割り引いても通常戦闘以外の作戦に関して必要な部隊が不足しているというのは,あちこちの報道で出てくる.
運転手,確保しました
(画像掲示板より引用)
【質問】
兵隊さんが着てるセーターって,やっぱ戦地でもドライクリーニング用洗剤で洗うの?
【回答】
前線の兵士は,後方の陣地や基地に下がったとき,まとめて服を洗濯に出し,支給された(新品か洗濯の終わった)適当なサイズの服に着替えます.
セーターをそんなに頻繁に洗う必要があるか,ドライクリーニングじゃなくてはいけない素材かは知りませんが,後方(後方だって戦地)で洗濯係がどう洗うかは設備次第でしょう.
ただし,防寒着は必要数に満たない場合が多いので,替わりが確実にある場合だけ洗濯に出しましょうね.
【質問】
民間委託や後方支援を専門にしている部隊をひっくるめ,たとえば10万人の軍隊の戦闘行為をスムーズに行わせるために現代,どのくらいの人員を後方支援に使っているのでしょうか?
【回答】
『The Soviet Economy and the Red Army, 1930-1945』
によると,米軍の欧州戦域の総人員数を,戦域内の師団数で割った数値は4.3万名.
これに対して歩兵師団の定員は14316名.
ただし米陸軍の場合だと軍団砲兵,歩兵師団と大抵ペアになっている.
戦車大隊,戦車駆逐車大隊などは歩兵師団の編制に含まれておらず,戦局に応じて配属される建前になっている.
たしか一昨年あたりのPANZERに,高井三郎(元陸自高射学校教官)が,歩兵の部隊に占める比率の変遷の数値を出していた.
それによると治安戦が進行するにつれ,編制に占める歩兵の割合は増加するが,60%前後が限界だと予想していたと思う.
これは歩兵師団や旅団などの部隊での定員の数値.
ちなみに今の米軍旅団の場合,3500名が新聞報道での見当で,5個旅団増派のときは総派遣兵力は3万規模になった.
一方,WW2開戦当初のソ連軍は,本当に後方支援が0に近かった.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
後方ってやっぱり,戦闘職種に入るだけの体力のない人が担当するのですか?
【回答】
意外かもしれないが後方支援任務は体力ないと出来ない.
例えが悪いかもしれんけど,体の弱い人は宅急便のバイトとか倉庫作業のバイトとかは出来ないでしょ.
たいがいは精神的適性(戦闘意欲が低いとか,極限状況での精神力に難がある,とか)で戦闘職種か支援職種かに振り分けられる.
あと,旧日本軍では輜重と並んでバカにされてた工兵(自衛隊だと施設科)だが,世界的に見て工兵はエリート職.高度な知識と技能の要る兵科だからね.
かのマッカーサー元帥も工兵科の出身だったり.
デスク・ワークのほうでは,質問者の言うようなマイナス面での考え方だけではなく,兵站や管理が得意な人材が重用される.
軍事板
【質問】
各国軍隊の軍楽隊(自衛隊では音楽隊)って必要なんでしょうか?
リストラするなら,こういうところから切られそうなんですけど
【回答】
軍楽隊というのはオスマントルコ帝国に端を発し,それに倣った西欧諸国の軍隊の伝統.
軍隊につきものの閲兵や叙勲などのセレモニーに必要.
レクリエーションとして兵士の慰安や地域住民との交流に役立つ.
だから金がかかるからと簡単に解隊して,セレモニーのたびに民間の楽団を雇ったりテープで音楽を流したりするのはいささかみっともない.
また,有事には後方支援任務についたり,最後の予備部隊として戦闘に投入された例もある.
軍事板,2009/07/21(火)
青文字:加筆改修部分
遠吠犬 in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2011年07月09日 16:38
【質問】
軍楽隊の起源についてお尋ねしたいのですが,
軍楽隊は,ヨーロッパ独自のものなのでしょうか?
それともオスマン帝国の風習を 取り入れたものなのでしょうか?
オスマン帝国からヨーロッパ諸国への伝搬ならば,オスマン帝国の軍楽隊は,オリエント起源なのか
,東ローマ帝国起源なのか,つまり西洋起源か東洋起源か,
知りたいのですが.
【回答】
近代欧州の軍楽隊は直接的にはオスマン帝国の軍楽を取り入れた物である.
ただ軍楽自体は,文献に残っている物だけでも古代イスラエル(旧約聖書)や古代ギリシャ時代(トゥーキュディデース),あるいはそれ以前からあった(ここでの主力は太鼓ではなくラッパ,笛の類)わけで,その起源を問うのは難しいが,打楽器に特色のあるオスマン軍楽の直接の先祖は東方イスラム系のものらしい.
なお,この問題は以下の本に詳しい.
上尾信也「音楽のヨーロッパ史」講談社現代新書
この本はよく調べてある良書だと思うが,ギリシャ悲劇の上演形態などの点で思い違いがあったり,その他全般的にギリシャ関係の記述が今ひとつなので注意.
トルコ軍楽隊
(画像掲示板より引用)
【質問】
軍楽隊(及び音楽隊)について質問です.
平時は演奏会や練習に勤しんでいるんでしょうが,戦時(有事)の際は何をやるんでしょう? 慰問演奏?
あと,銃持って前線に出たり車両を扱ったりする訓練も受けているんですよね?
【回答】
司令部のデスクワークなど,非戦闘任務に就くことになってます.
銃の扱いなど,必要最低限の訓練は受けているはず.
もっとも,激戦になれば前線で戦うこともあるようで,米軍の硫黄島上陸作戦の際には,歩兵部隊の将校が次々に戦死したため,指揮を軍楽隊の士官が執ったこともあるそうです.
自衛隊の音楽隊の場合は,警務隊の補助をすることになっている.
つまり有事にはMPに変身する.
音楽隊の業務↓.
http://www.military-powers.com/tanks/jsdf02-5.htm#2
【質問】
軍人の警察手帳のような物は支給されているのでしょうか?
【回答】
身分証ならたいていの国の軍隊が支給している.
それどころか最近じゃ,民間の会社だって身分証を持ってないと,そこの社員だって玄関払いを食う.
ジュネーブ条約第17条三項より
各紛争当事国は,その管轄の下にある者で捕虜となることがあるもののすべてに対し,その氏名,階級,軍の番号,連隊の番号,個人番号若しくは登録番号又は,それらの番号に相当する事項及び生年月日を示す身分証明書を発給しなければならない.
身分証明書には,更に,本人の署名若しくは指紋又はその双方及び紛争当事国が自国の軍隊に属する者に関し,追加することを希望するその他の事項を掲げることができる.
身分証明書は,できる限り,縦横がそれぞれ六・五センチメートル及び十センチメートルの規格で二部作成するものとする.
捕虜は,要求があった場合には,身分証明書を呈示しなければならない.
但し身分証明書は,いかなる場合にも,取り上げてはならない.
【質問】
アメリカ軍は映画に積極的に協力していますが,これは世界の軍でも少数派なのでしょうか?
大概の国では映画への協力はどの程度なのですか?
【回答】
1「国策映画派」
人民解放軍協力の中国歴史映画やソ連軍協力(動員?)の「ヨーロッパの解放」などなど.
2「外貨稼ぎ派」
「地獄の黙示録」に協力したフィリピン陸軍,
「復活の日」に潜水艦を出したアルゼンチン海軍,
「スパルタカス」でファランクスを演じたスペイン陸軍※.など.
「クリムゾン・タイド」に協力したフランス海軍も広義にはこれ.
3「イメージアップ戦略派」
典型的な例が「トップガン」.
米軍イメージアップの宣伝効果を期待して米軍が協力.
事実これらの映画が公開されると,志願者が増加するなど抜群の効果を発揮.
自衛隊も広報活動の一環として映画への協力をする事があります.
ただし自衛隊としての描写に限られ,架空の組織(対ゴ○ラ部隊とか)は現在お断りだそうです.
もっとも,「トップガン」の場合,米海軍はパラマウント映画に燃料代を請求しており,完全に無償だった,航空自衛隊の「ベストガイ」協力とはややトーンが異なります.
余談ですが,第1次カンボジアPKO派遣の折,防衛庁広報が「オークン・チュラン〜ありがとう〜」なる広報映画を作り,部内広報の他,地方自治体に「希望があればビデオソフト無料貸し出し」までアピールしましたが,ほとんど貸し出し希望例がなく,興行的?に見れば”コケた”ことがあります.
軍事板
※のみネオ筑摩屋 松坊堂 in mixi支隊
【質問】
映画やドラマの世界で,民間の会社は自分とこの商品or施設が,(フィクションの世界とはいえ)壊されたりするのを嫌がる話はよく聞きます
軍隊でも「やられ役なら撮影に協力できん」と,突っぱねられたりするのでしょうか?
【回答】
組織によって様々.
米軍だったか,コミック作品の映画化で
「○○(ヒーロー名)にやられるなら本望だ!」
といって喜んでやられ役になった事があったような.
逆に,「そういう使われ方・やられ方はちょっと…」という事で,協力が得られず,兵器類がCGモデリングになった作品もある.
軍隊批判がテーマの「GIジェーン」も,協力が得られなかったハズ.
空自の場合は,実際の空自機だろうとフィクションのだろうと,航空機が落ちる事に関しては凄く過敏.
「飛行機が墜落する事」にはフィクションでもナーバスになる.
現実にありうることだし,それで民間人を死なせて非難されたこともあるから.
そのため,「墜落するシーンがある場合は協力できません」って取り決めがある.
バッシングが怖いからなんだろうが…
逆に言えば,空自機が墜落するシーンが映画に出てこなければ協力できるので,撮影も可能になる.
ゆえに「ゴジラ」シリーズにも空自は協力してない.
たとえば「ゴジラVSキングギドラ」で,F-15Jがキングギドラと空中戦をやっていたけど,この映画に登場するF-15Jの実写映像は,資料映像を使っているだけで,空自がそのために撮影を許可して新規に撮ったわけではない.
ガメラ(平成)の場合も,一回も墜落させないという制限上,苦労しながら脚本を書いてた.
(スタッフとしては空自戦闘機と怪獣を,もっと戦わせたかったそうだが)
たとえば「ガメラ 大怪獣空中決戦」には
「ギャオスをF-15が迎撃するが,逆に反撃されて有楽町マリオンに突っ込む」
というシーンが予定されてて,特撮も準備体勢に入ってた.
でもシナリオ見せたら,空自の広報から
「いくら怪獣相手でも,こんなに一方的にやられるのは・・・」
と難を示され,
「健闘するも相手が強すぎる」
ってふうに直したら,
「いや,そもそも都心の上空で戦闘命令なんか出せないかと・・・」
と渋られて,
「・・・何がダメなんですかね?」
と訊いたら,つまりは「撃墜されて地上に落っこちる事」がダメなのだ,ということになり,
「出動するけど攻撃許可が出ないので,引き返すしかない」
というシーンに変更した.
このとき準備したもの(コクピットのセットとかF-15のモデリングとか)は,「レギオン襲来」や「イリス覚醒」で流用してる.
その時のことを踏まえて,次と次々では「戦闘するけど撃墜はされない」というシーンにして,全面協力を取り付けた.
映画「宣戦布告」なんかでも,ゲリラを掃討するAH-1Sは,演習の資料映像.
一方,陸自はやられ役だろうとなんだろうと,空自よりはかなり協力的.
とはいえ,陸上自衛隊は「人間同士が殺しあう事」にはフィクションでも嫌がる.
「要するに陸上自衛隊やってることって人殺しですよね?」
というイメージが着くことには協力したがらない.
戦国自衛隊(旧作も)とか,
「戦国時代の人間とはいえ,自衛隊が日本人に銃を向けるのはちょっと勘弁」
っていうような口は挟む.
また,「イリス覚醒」では「陸自の一個小隊が怪獣と戦って全滅する」というシーンがあるが,これも当初の予定から
連隊戦闘団1個
→中隊1個
→小隊1個
に減らされている.
陸自広報が
「いくら怪獣相手でも,そんな数で負けるとは思えません」
と言ったから.
ただし,
「1個小隊くらいならあるでしょう」
と言われたあとは,積極的に協力してくれたそうだが.
海自は基本的に映像協力どんと来いだったが,その勢いで何にでも協力してたら
「・・・さすがにこれはないだろ」
と庁内(当時)で問題になって,姿勢変えた.
タイトルは忘れたが大昔,
「日本再生を叫ぶ元傭兵が,核兵器を持って島に立て篭もる」
なんて内容のVシネマにすら協力したくらいだ.
この映画,シナリオも内容もアホの極みみたいな映画だが,海自提供の実弾射撃シーンの映像を使いまくっていた.
もっともこれは,事前にシナリオを真面目にチェックしなかったためで,あとで広報担当の人が
「こ,こんな内容だったとは・・・」
と頭を抱えたとか.
最近では「民間軍事会社のフリゲートが舞台で,乗組員がみんな女性」という内容のアニメに協力して,放映されたものを観て,やっぱり担当の人が
「こ,こんな内容だったとは・・・」
と頭を抱えた.
隊員募集のCFもいち早く「泥臭くない」「お役所臭くない」もの作ってたし,海自はその辺が妙に緩い.
最近はその反動で,揺り戻しが来ているみたい.
映画「亡国のイージス」は海上自衛隊全面協賛だったせいで,原作の小説では「艦長」以下幹部が反乱して・・・と言う内容だったのが,
『艦長は無謬である.よってよろしくない』※
ということで,「副長」以下幹部が反乱して,しかも艦長は工作員によって非業の死を遂げる,と改変されてしまったというケースがあった.
軍事板,2008/11/13(木)
青文字:加筆改修部分
※要出典
【質問】
廠舎(しょうしゃ)って何?
3行以上で教えて!
【回答】
「祇園廠舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」
という平家物語の冒頭のフレーズでも知られる(うそ)廠舎とは,四方にかこいのない簡略なつくりの建物,仮小屋のこと.
よって,
「かこいができたってねえ」
「へー」
の段階で,廠舎とは言えなくなる.
特に,軍隊が演習先などで宿泊する簡単な建物のことを指し,カマボコ型のやつとか超有名.
軍用の場合,現地で仮設されることもあれば,恒久施設として設置されることもある.
旧軍や自衛隊では,国内の演習場では後者であることが多い模様.
旧軍の廠舎内には簡易水道,厩舎,砲舎などがあり,師団が来た時だけ,酒保が開かれた.
一般民間人は中に入れなかったが,うどん屋や米屋などの業者が出入りしていた.
自衛隊の廠舎は,コンクリート若しくは木材による施設が建設されており,内部にはベッド・マットレス等の寝具が備えられている他,トイレや風呂場・炊事場所等が設けられている.
【参考ページ】
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/108666/meaning/m0u/
http://www006.upp.so-net.ne.jp/tsuji/chikusa.html
http://増殖難読漢字辞典.com/honbun/zoukan-3e33.html
http://www.mutusinpou.co.jp/%E6%B4%A5%E8%BB%BD%E3%81%AE%E8%A1%97%E3%81%A8%E9%A2%A8%E6%99%AF/2014/10/33542.html
【ぐんじさんぎょう】,2016/06/04 20:00
を加筆改修
【質問】
軍事的な部隊に定数割れはつきものですが,近代以降で,逆に「定数オーバー」になってしまった部隊は存在するのでしょうか?
【回答】
例えば,第二次大戦中の欧州戦線に於けるカナダ軍高射砲部隊.
1945年になると,目標となるべき枢軸国の機体が飛んでくることは滅多になく,しかも,戦闘損耗を見込んで定員より多めに配備したために定数オーバーとなった.
ちなみに,同じ時期,歩兵部隊は定数割れに苦しみ,戦線が維持できなくなる一歩手前の状態でした.
眠い人◆gQikaJHtf2
また,第25SS所属武装擲弾兵師団「フンヤディ」(ハンガリー第1)は,1944年11月3日に編成が下令され順調に義勇兵が集まった,
最終的には定数を大幅に越える2万4千名もの兵員が集まった.
ただし,兵に支給する装備の調達が間に合わなかったため,一部兵士は私服のまま,小銃は兵士10名に1挺という有様だった.
12月末には兵員8000名を分けて,第26SS所属武装擲弾兵師団「ハンガリア」(ハンガリー第2)が編成された.
後期に編成された武装SS部隊にしては珍しく定数を上回った部隊だったが,上記のように装備は貧弱な物で,改善されても5人に1挺しか小銃は行き渡らなかった.
数だけあってもどうにもならんという典型みたいな部隊.
◆◆◆◆補給
【質問】
補給の本っていいのありますか?
【回答】
▼私見だけど「補給戦」は,少なくともいきなり包括的な内容を一気に詰め込むより,ツボを押さえた上でピンポイントなエピソード紹介にとどめる点で,むしろ初心者には理解しやすい.と感じたわけだけど…
軍事板,2009/07/02(木)
青文字:加筆改修部分
▲
原書房の「補給戦」でしょう.
バロバルッサの項を読むと,無謀だったのが分かります.
随分前に廃刊になってるはずです.
湾岸戦争んときの補給担当者が書いた,「山,動く」ってのはどうでしょう.
▼ 「山・動く」は,湾岸戦争時の米軍兵站担当将官の回想録.
機甲部隊指揮官のそれである「熱砂の進軍」と併せて読むと,前線,後方それぞれの行動や思考と互いの関連性がよく分かります.
軍事板,2009/07/02(木)
青文字:加筆改修部分
▲
もしくはシュヴァルツコップフの回想録とか.
大半は自画自賛だけど.
簿記・経理が大っ嫌いな自分は,本書の中の「『伝票との格闘』が司令部の仕事」の趣旨の記述を見て,自衛官になるのを断念しました.
▼金井英一郎「Gパン主計ルソン戦記」
中原茂敏「大東亜補給戦」
藤原彰『餓死(うえじに)した英霊たち』
エバタンの『軍事とロジスティックス』
『帝国陸軍場の衣食住 糧食を軸に解き明かす"知られざる陸軍"の全貌』
(〈歴史群像〉
『コンテナ物語』は面白かった.
単なる読み物としても良質だったが,何よりハコを見る目が変わった(笑)
軍事板,2009/08/27(木)
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
故江畑氏の『軍事とロジスティクス』とかどうよ?
俺はまだ読んでないけど,手を出したい本なんだが.
【回答】
あの本は『補給戦』とは趣が違って,現代のアメリカ軍の最新の兵站システムのカタログブックという感じだよ.
(元々,ロジ系の新聞社の連載を纏めた物だし)
陸海空の格輸送システムから,そしてそれらを纏める基幹システム,電子タグや事前備蓄補給船など内容は盛り沢山.
読んでみて損は無いかと.
軍事板,2010/01/07(木)
青文字:加筆改修部分
【質問】
現・近代では航空機や鉄道がありますが,ナポレオン戦争やそれ以前の戦争はどうやって補給線を維持していたのでしょうか?
【回答】
当然ながら馬匹輸送か人力搬送.
あとは現地徴発.
その当時は使用する弾薬量が少ないので,補給はもっぱら食糧が多かった.
食糧は人の住んでいるところなら手に入りやすい.
このため,現地調達(対価を払う場合もあったが,大抵は徴発)した.
だから,戦線が膠着したり、包囲戦に移行すると,周辺の物資を食いつぶして包囲側が難儀したりした.
弾薬や,一部の食糧などは馬車で運んだ.
また,河沿いなら船で運ぶこともできる.
船なら大量の物資を運べるため,近代以前の戦争では川筋は戦略を左右するものでもあった.
『補給戦』という本が詳しい.
軍オタ必読の一冊.
『補給戦 何が勝敗を決定するのか』
マーチン・ファン クレフェルト著, 佐藤佐三郎訳,中公文庫BIBLIO,2006.5,サイズ:422ページ
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍事作戦において,補給の概念が大事になってくるのはいつごろから?
【回答】
M・V・クレヴェルトの「補給戦」(原書房,1980/11)に詳しいですが,弾薬や銃器の劇的な増加は第一次世界大戦の頃に起きました.燃料もそのころからです.
逆にそれまでは,補給の殆どは馬匹の餌と糧食だったから,現地調達が可能であったと.
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/ ノ ヽ ( ノ⊂ ̄))) ̄⊃
/|ヽ (_ノ ._ ̄ 0'ヽ 0'
/ |ノ .) (_) ヽ i
( むしゃむしゃしていた。
∋ノ | /――、__ ./(∩∩) 馬匹の餌なら何でもよかった。
/ /| ヽ__ノ | / ./ 今は反芻している。
| ( | ( ’’’ | ( /
|__ヽ.L_ヽ Lヽ_ヽ
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【質問】
近・現代戦では,兵糧攻めという戦法は行われますか?
【回答】
拠点を包囲して餓死を待つ本来的な意味での兵糧攻めと言うのは,攻撃側が膠着状態を打破できず,しょうがなくやるもの.
今は要塞は迂回してしまうので積極的にはやらない.レニングラード戦みたいなのは.
敷いて言えば,政治的な理由で直接的に攻撃したくない時とかかな.
しかし相手の補給を断って弱体化させることは,戦術の王道であり基本である.
これを兵糧攻めと言ってよいなら,行われているといえる.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分
例えば,湾岸戦争における空爆作戦(砂漠の嵐作戦)では,補給施設や輸送車両を片っ端から潰していったので,地上戦に移行した頃には,最前線のイラク軍部隊では,食料を含む補給物資がほとんど枯渇していたとされる.
戦略的な視点で言えば,経済制裁も現在の兵糧攻めと言えるかもしれない.
軍事板
青文字:加筆改修部分
ちなみに,たしかアフ【ガ】ーンではターリバーンが,国連などからの援助食糧の流れをシャットアウトする兵糧戦術を,ハザラ人だったかに対して行っていたはず.
これについて,当時のペシャワール会では何のアクションも起こしていない.
ターリバーンが米軍の空爆を受けたときには,ペシャワール会はカーブル(ターリバーン占領下当時の)で食糧配りをやったのに.
その前に遡ればビアフラ紛争でも,反旗を翻した内陸部に対する糧道遮断作戦が行われた,はず.
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