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(画像掲示板より引用)
「Togetter」◆(2011/06/26) 損耗と戦果の関係
「Togetter」◆(2013/03/12) ネットで広まっている「部隊の3割の損害は全滅」について
「オモロイド」:知能指数が高い軍人は,戦死しやすい(英研究)
【質問】
戦死の確認方法,定義を教えて下さい.
【回答】
陸軍の場合,定義としては,戦時において戦場で戦闘によって死亡,または戦闘による負傷が原因で死亡(厳密には戦傷死)し,認識票が回収された場合を戦死ということになります.
もっとも実質的には,戦時において戦闘地域および後方地域における事故による死亡も,戦死と認定されることが多いようです.
なお,戦場での病気による死亡は,「戦病死」として区別されることが多いようです.
上記のいずれにおいても認識票が回収されていない場合は,通常は,敵側の捕虜となった場合と同じ「行方不明」,という扱いとなります.
こうした手続きは,国によって差異はありますが,一般的には当該兵士が属する分隊長あるいは小隊長から,その部隊の中隊長へ認識票が提出され,中隊副官が書類として大隊>連隊本部へ,そして連隊本部から本国の留守部隊へと送られることになります.
【質問】
ウィキで第442連隊戦闘団をみたら死傷率314%ってあったけど,なんで100%を超えるの?
【回答】
100人の部隊が半分死傷の損害を受ける
⇒半数が補充される
⇒また半数が死傷する損害を受ける
⇒また半数が補充(以下略
ってのを繰り返しているとそうなる.
【質問】
よく,軍事の常識で「損害が全体の3割を超えたら全滅状態」と言いますよね?
では,ちょっと前までの自衛隊や末期のナチスドイツ軍みたいに,「戦闘参加以前に既に定数の7〜8割(あるいは,それ以下)しか人員がいない」というのは,どういう扱いになるのでしょうか?
「戦う前から全滅」してると見なされるのか,「定数割れしている状態が定数」という扱いになるのか,どちらなのですか?
【回答】
全滅とは,現在その人数で軍として機能している状態から,3割減少したら軍としての機能は期待できない,ということです.
サッカーでも,11人のチームのうち3〜4人が退場になったりしたら,人数は十分残っているし,試合続行も不可能ではないけど,もはやサッカーチームとして十分な能力は発揮できないし,まともな試合展開は望めない.
そんな状態が全滅だと思って下さい.
ですから,定員割れでもそれで立派に機能しているなら,そこから3割減るまでOK(実際には余裕が少ないからもう少し早いでしょう)ということになります.
定員というもの自体恣意的ですから,本当に機能するための数字もあれば,政治的あるいは予算獲得のためのスローガン,はたまた単にそれまでの数字を踏襲しているだけ等,内容は様々であり一概に定員割れだから人員不足とは言えません.
たとえばWW2時のドイツ歩兵連隊を例に説明しますと,連隊の定数およそ3000名のうち,実際に小銃や機関銃を手に敵兵と渡り合うのは,1200名ちょっとです.
ですからその部隊が定数3000名の30パーセントである900名の死傷者が発生した場合,損害のほとんどは1200名の前線戦闘員からでているわけで,損害率は75パーセントにも達します.
そのなかには数名を残して壊滅してしまった部隊や,指揮官全員が死傷した部隊が当然存在するでしょう.
よって,その部隊は「戦闘能力を失った」と見なされ,全滅と同様ということになるのです.
一方,上記の部隊にもともと2000名しか将兵がおらず,定員割れしている場合,前線戦闘員は2000名の40パーセントで800名ということになります.
これが先述の場合と同程度の損害を被るということは死傷者600名程度で全滅扱いということになるでしょう.
これは全体の30パーセントであり,定数を満たしている部隊と同じ,ということになります.
定数割れしている部隊は,完全戦力の部隊よりも狭い作戦地域でしか行動できず,無理に広い地域で行動すれば,より大きな損害を出すことになると思われます.
(HN "System" 他)
【質問】
全滅=損耗3割
壊滅=損耗5割
殲滅=損耗10割=玉砕
と「週刊オブイェクト」というところで見たんですが,何故,全滅よりも壊滅の方が損耗率が高いんでしょうか?
言葉の感覚では壊滅<全滅に思えるのですが.
【回答】
全滅とは,部隊が組織的な戦闘能力を失ったと判断される損害.
この時点で部隊を後方に下げて再編成しなければならない.
ところが,5割もの損害を受けてしまうと,再編成どころか基幹要員がいないので,部隊の編成を保てず,組織として崩壊した状態とみなされる.つまり壊滅.
何に書いてあったか思い出せないんだが,俺が見た本には,
・部隊内の比率は,直接戦闘を担当するものが半分,後方任務を担当するものが半分
・戦闘による損失は,直接戦闘を担当するものから順に生じる
って前説があった上で,
全滅:部隊三割減
戦闘担当の過半(六割)を喪失
組織的戦闘が不能なので戦闘単位として計上しない
再編するまで居ないものとするので「全」滅
潰滅:部隊五割減
戦闘担当の全てを喪失
部隊補充だけでは再編不能
完全に潰れてしまっているので「潰」滅
殲滅:部隊消滅
ペンペン草も生えてないので殲滅
って事だった.
軍事板,2006/03/21(火)
青文字:加筆改修部分
【質問】
3割損耗すると拮抗していた場合,瓦解しやすいというのはわかります.
が,壊走する状況であったとしても,それは『全滅という日本語』とは別の概念(壊走,敗北,3割損耗,維持不可能など?)ではないでしょうか.
WW2の戦闘をながめていると,1個連隊以下にまで損耗した師団が後退,休養,再編制無しの連続で戦闘を続けているケースなんかごろごろしています.
WW2の日本陸軍ではそのような語の使い方をしているとは聞いたことがありません.
特別な軍事用語であるなら,それはいつからの,戦後自衛隊の定義なのか,何かの輸入された概念の訳語(誤訳?
イメージとしては 壊滅の方が全滅よりも柔らかく,全滅は100%近い損耗のイメージが強くします)なのか.3割損耗を全滅というのは,いつの時代からの,どこの国の定義で,元の語は何で,いつから使われるようになったものでしょう?
あるいは,また別のどこかから出てきて,流布した用法なのでしょうか?
【回答】
「今現在,軍として機能している状態から〜」が抜けています.
3割・5割・というのは絶対的な数字ではなく,部隊の定数のみから求められるものではないのです.
それと,一瞬も空けないで戦闘が延々続く事なんてありません.
再編成は師団とか大きな単位でしかしてないわけじゃありませんから.師団の全員が同時に戦闘に参加してるわけじゃありません.小隊はしゅっちゅう入れ代わります.
WW2の日本軍での「全滅」の例を挙げておられますが,それは特殊事例なんです,悲しいけど・・・
どこかの島に上陸して陣地作って篭城しても,制空権と制海権失ってしまったら,降伏か玉砕しか選択肢がないわけなんです.
で,そこで降伏してしまうと,次の防衛線の準備時間が稼げないとか,敵を消耗させることができないといったことで,味方にとって不利なので,文字通り「全滅」するまで戦うしか選択肢がなかったわけです.
近代日本軍の設立から日中戦争中間ぐらいまでは,軍事上の「全滅」って言葉の意味は,西洋諸国と同じ「戦力の全滅」のはず.
ノモンハンぐらいからかな,「全滅」って言葉の意味が,戦力の「全滅」ではなく兵士一人一人の本当の全滅を意味し始めたのは・・・
ま,誰かが
「これが(軍事的な意味で)『全滅』という概念が生まれた初出です」
「それは,○○という文献の▲▲という単語から訳されました」
「そして,こういう経緯で広まりました」
という回答をするまで納得できないんだろうけど.別に軍ヲタは言語学者ではないので,そこまで知っている人が今はいない,と.
だから,とりあえずの回答は
「全滅とは軍事的にはこういう意味で使います.それは辞書に載っている意味と違っても,そういうもんです」
としか答えられない.
OK?
【質問】
師団規模の部隊が,所属する人員が全て死亡する事で消滅した事はあるのでしょうか?
やはり消滅となると大きくて連隊規模まででしょうか?
【回答】
師団レベルで所属する人員が全て死亡した例は無いと思う.
第2次大戦中,玉砕したとされている師団でも転属,捕虜,終戦まで生存などの理由で多少なりとも生還者がいるから.
フィリピン,ビルマ,ニューギニア,沖縄,サイパン,グアム,テニアン,硫黄島などでは全滅に近い事例がある.
たとえばグアムの第29師団(1個連隊欠)は
在島人員 6987名
他隊転出等 108名
生還 381名
戦死者 6498名
また例えば,旧日本軍の第1師団がレイテ決戦にて玉砕したが,戦死者は97%,
生還者が455名いた.
ほかに
第16,20,29,109師団が終戦時壊滅状態.
第24,62は沖縄で全滅.
第43はグアムとテニアンで全滅
している.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
味方を撃ってしまうこととかは,近代の戦争では無いんですか?
【回答】
たぶん日常茶飯事かと.
味方撃ちは,そらもうしょっちゅうあります.
戦争じゃよくあることです.
例えば元NFL選手のパット・ティルマンが,味方の誤射で死亡しています.
彼は9・11テロの後に,所属していたアリゾナカーディナルスを退団して,米陸軍に志願しました.
第75レンジャー連隊第2大隊の一員としてアフガニスタンに派遣されていたが,
2004年4月に戦闘により死亡したと報道されました.
後に彼の死亡理由は敵との交戦ではなく,味方の誤射である事が分かります.
ジェシカ・リンチ救出作戦と共に,英雄扱いされた事件としてアメリカでは報道されてます.
http://en.wikipedia.org/wiki/Pat_Tillman
このようにたいていは誤認や誤解からですが,時々,味方とわかっていながら,味方を撃つやつもいます.
他人には親切にしましょう.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦う人ってどうやって敵味方を区別するんですか?
航空機や艦船には識別装置が広く普及し,近年は車両にも装備されつつある様ですが,戦う人はみんな同じような背格好,同じような制服,同じような携行装備品でどうなるんですか?
視界の悪い戦場で味方だと思って近付いたら,敵兵だったのでびっくりして撃ち合いになるとか,想像するとゾーッとするんですけど.そんなことないですよね.
戦う人の識別手段は?
【回答】
出くわした拍子の撃ち合いや誤認による味方殺しの例は山ほどある.
兵士個人レベルだと軍服とか装備とかで見分けをつけるが,やはり時々誤認は起こり,味方か?と思ったら敵だったとか,逆に「敵だ!」と思ったら味方で,危うく撃ち殺すところだったというのは,昔から現代にかけて,よくある話.
視界が悪いとか夜だとかだと,自分の部隊のつもりで敵軍と一緒に行動してしまうとか.
ならんで・・しゃがんで雉撃ちしてたら,横は敵兵だったとかという話もある.
これはどんな戦争でも一定の割合で発生し,大体死傷者の15%ほどは味方によるものだといわれてる.
識別手段は,相手方が来た方向とか装備とか.
(この辺りの識別手段は作戦や任務によっても多少変わってくるだろう)
見えるけどどっちか判別できない状況のために,符丁とか合言葉とかノックの回数とか,味方同士で通じるものでやり取りしてから接近するって方法をとった事もある.
つーか,素人には迷彩服とか装備とか,みんな同じように見えるんだろうけど,各国の兵士を並べて見ればそれぞれ区別付くようになってるし,
(だから,相手国の軍服を着て行動するのは条約違反になる)
区別が付けられるように,兵士は敵味方の違いを頭に叩き込むものだよ.
それでも誤認が起こる分には…まあ仕方ない.
ただ,陸兵は服装で判断できるからまだマシな方ではないかな.
海と空は,シルエットを覚えて対応する.識別帳なんかを配布する.
でもな,実際問題同士討ちなんていくらでも起きてるよ.
味方の浮上している潜水艦を攻撃してしまったくらいなら可愛いほうで,砲撃してくる敵艦を味方と勘違いして 必死に発光信号だしてたりとか(笑)
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
同士討ちを防ぐには?
【回答】
高部正樹は,自己の経験を元に,次のように述べている.
同士討ち――それは戦場でごく希に発生する.
一番気をつけなければならないことは,実戦経験の少ない兵の前になるべく出ないようにすることだ.
こういった兵は,いわゆる目の不自由な方と一緒と思ったほうがいい.ひとたび戦闘が始まると,一瞬の内に周囲の状況が見えなくなってしまう.何か変化が起こっても,その状況に対応することなどできない.ただ恐怖のため,ショット・ガンでも撃っているかのように辺り構わず弾を撒き散らすだけだ.酷いのになると,撃っている方向さえ見ていない.
恐怖のために正気を失った奴らは,ひたすら自己防衛のみに走ろうとする.
例えば横のブッシュが動いただけで,それが何か確認もせずに,いきなり弾をぶち込む.それが味方のいる方向だろうと,明らかに味方だろうとお構いなしだ.
そんな奴の前に出るということは,銃を持った精神異常の凶悪犯の前に無防備で姿を晒すのに等しいだろう.
だから間違っても,こんな奴の正面に出てはいけない.自分の死ぬ確率が飛躍的に上昇するのは間違いないだろう.
また,脅かしたり刺激したりしない事も肝心だ.そんあことをしたら,こちらを向いた瞬間に「ズドン」となって,すぐにあの世へ行くことになる.
どんなベテランでも,その状況如何によっては,同士討ちという事故を起こす可能性はある.
しかし新人の兵士に注意を払うことにより,この事故はかなりの確率で防ぐことができるだろう.
どうしても新兵に近付かねばならないときは,自分の存在を味方として強く印象付けることが大切だ.脅かさないように一声かけるのもいい.合図を送るのもいいだろう.
新兵の位置や動向に,指揮官やベテランは十分に注意する.
経験豊かな兵を新兵のバディにつけるのは,効果的な方法だ.それだけでも,その新兵の受ける心理的プレッシャーは,かなり楽になるはずだ.心が少しでも落ち着けば,周囲の状況が見えるようになってくる.
その他,同士討ちの例としては,希なケースではあるが,「怨恨」が原因となることもある.
対人関係には留意すること.戦場では互いに部隊の兵士がカバーし合わなければ,生還は期し難い.一緒に何度も死線を乗り越えていけば,普通はそれだけでお互いの信頼も深まるものだが,全ての人間がそうなるとは限らない.
みんなが即,人を殺せる道具と技術を持ち合わせている人間の集団だけに,対人関係は大切にしなければならない.
味方を敵と誤認して撃ってしまったというケースも耳にする.敵味方識別装置をつけていない歩兵の戦いでは難しいところだろう.
指揮官はもちろん,部隊の兵士も他の味方部隊の動向や位置を把握しておく必要があるだろう.
(高部正樹「傭兵の誇り」,小学館,2001/12/20, P.173-177,抜粋要約)
【質問】
戦闘中にTK(同士討ち)すると実際はどうなるんですか?
【回答】
明確に自分が撃ったという証拠なり証言が残っていたら軍法会議.
少なくとも査問会.
証拠が残ってなかったり信頼するに足る証言ではない,とされれば不問に付されるだろうが,次に戦場に出たときにどこかから弾が飛んでくるかもね.ありえない方向から.
大昔から,軍隊の損害のかなりの割合が実は味方撃ちだったのでは,と推測されてるが,記録技術が発達しないとそれを明確な証拠として確認するのが難しいので,その辺りがはっきりと判るようになったのは,つい最近のこと.
中世の戦闘だと,夜襲したら二手に分かれた味方同士で殺し合ってたとか,乱戦のうちに興奮し過ぎて,敵も味方も区別しないで殺し合ってて,気がついたら敵は逃げてて身内同士のみが殺し合ってた,とかそういう話が良くある.
【質問】
戦闘などで自軍兵士が死亡した場合,その遺体どの程度まで回収するのでしょうか?
新しく兵力を投入してでも奪還作戦を行う場合はあるのですか?
また,敵軍兵士の遺体はどうなるのでしょうか?
余裕があれば埋葬などするのでしょうか?
【回答】
米軍海兵隊などでは戦友を一人も置き去りにしない,として,死体さえも必ず回収するし,捕虜を取り戻すなどについても同様.
いかなる犠牲を払っても,仲間を救い出す,と掲げている.
事実,北朝鮮に金を出してまで,朝鮮戦争時代の遺体まで回収している.
そのために,余計な犠牲が増えることもあり,本末転倒かもしれないが,これは「お前を見捨てないぞ」という兵士の士気と結束に繋がるメリットであるので,ここまで行なっている.
ま,海兵隊以外では必ずしも,そこまでして回収するとは限らないので,あくまで一例として留めてくれ.
最近の他の先進国だと,外交交渉に持ち込んででも回収するだろうね.
遺体は余裕があれば回収する.キリスト教圏なら特に.
逆に言うと遺体回収も出来ないくらいの敗退となると,相当手痛い打撃を被っている事がしばしば.
戦闘後に戦場掃除などの名称で遺体の回収を行ったりする.
時にはそれを名目に失地の奪還を計画することも(ノモンハン).
状況によっては両軍一時休戦し遺体を回収したりもする.
だが,さまざまな理由で回収できないままの遺体も
(今も南方のジャングルで放置されている遺体もあるし).
自軍が戦闘後にその戦場を占有した場合,そこにある遺体は敵方のものであっても埋葬する.
そうしないと衛生上,問題があるから.
もちろん激戦の最中で埋葬の余裕が全く無い場合は別だが.
回収後は戦場に埋めたりする場合から,埋葬されたのを掘り起こして本国の家族のところまで届けようとする場合まで様々.
北フランスには第1次世界大戦当時の戦没者のための集団無名戦士墓地があるし,ノルマンディーには第2次世界大戦の墓地がある.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【関連リンク】
「とりあえず」:ツッコミのヴァルキュリア(10)
>コワい話
【質問】
戦争の後片付け,動けなくなった戦車の回収などは,勝った方がやるのか負けた方がやるのかどっちでしょうか?
もしよかったら例を挙げて説明してください.
【回答】
勝ったほう負けたほうというか,「戦場を確保したほう」ですね.
そして現代戦においては,戦場の確保はしばしば勝利を意味します.
第四次中東戦争が良い例なのですが,近代戦の兵器消耗率は信じられないほど高く,撃破された戦車を回収して修理し戦場復帰させることは非常に重要です.
逆にいえば,戦場を確保できなかった場合は,故障車を含めてすべての戦車を回収できず放棄しなければならないわけです.
イスラエル軍は,この戦車の回収・再生の技術において非常に優れており,敵のT-55などを回収して自軍の戦車戦力の一部に当てていたりします.
名無し軍曹◆Sgt/Z4fqbE
戦車は貴重品.
味方がその地域を占領している場合は,自軍の戦車を回収し,戦線後方の整備部隊,場合によっては本国まで持ち帰って修理する.
修理不能な場合はパーツ取りに使ったりする.
敵の戦車の場合,新型で損傷が少なければ研究の為回収したり,場合によっては修理して自軍で使用する場合もある.
そうでなければ,増加装甲に使えそうな部品などを引っ剥がしたり,とりあえず邪魔にならない所に移動して放置.
戦争が終わればただのくず鉄だから,現地の業者が払い下げてもらったりして熔かして再利用.
回収した戦車を修理してたら,腐った人体の一部が出てきたり,修理された車両に乗ったら異臭がしたなんてことはよくあったそうだ.
【質問】
戦死した兵の死体は,どのように処理して遺族に送られるのでしょうか?
勿論,そんな余裕無ければ草生す屍なんでしょうが.
【回答】
いつどこの国かにもよる.
たとえば現在の米軍は,可能な限り祖国に遺体を持ち帰る.
敵の手に渡らないよう,戦闘をしてでも遺体を回収する場合もあるし,圧力をかけるなり交渉するなりして遺体を引き取る場合もある.
国に送り返す場合は,簡単な防腐処置などをして棺に入れる.
第二次大戦時は戦地が遠く持ち帰るには時間がかかったので,戦地に仮埋葬した.
その場合も戦後仮埋葬地を発掘して遺体を国に持ち帰ったり,現地の軍人墓地に正式に埋葬するということを長い間かけて行っている.
朝鮮戦争の戦死者の遺体も,未だに北朝鮮と返還交渉を行ってるくらい.
うちのひいじいさんガ帰ってきたときは,白木の箱には砂しか入ってなかったけどな.
【質問】
軍の中に死体処理専門のチームはいないの?
【回答】
そんな専門処理班がいたとして,平常時は何やるのよ?
普通に兵隊使った方が早いやん.
戦争中と言えど,兵員が長らく駐留する地域では,防疫面で死体や糞尿の始末は重要.
いちいち専門チームなぞ待ってられない.
そんな者を待たなくても,命令されれば下っ端がやらざるを得ない訳だ.
ただし,人権意識的な物が軽視された時代には,懲罰的任務が存在した国があった.
死体埋葬,地雷源突破(≠処理),シュトルモビクの旋回銃手,逃げることも困難な激戦地へ配置など,過酷な任務(と言っても特に訓練されたエリートで無くてもこなせる類)専門の部隊が作られることはあった.
WW2のドイツの場合だと,戦死と行方不明の区別が厳しいので,友軍兵士の遺体は出来るだけ将校が認識票を確認して,その後に兵士が仮埋葬した.
やはり汚れ仕事なので,最下級の兵隊や主に捕虜の仕事.
場合によっては現地住民を狩り出して行う場合もあった.
その後にそこが後方になると,戦場に仮埋葬された遺体を掘り出して,新たなドイツ軍人用墓地に移設する作業も,後方部隊により行われた.
ドイツ軍では,部下に行方不明者を多く出した将校は,人事考課が悪くなるために,夜間等に敵の制圧下にまで潜んで,認識票を取りに行く者も多かった.
軍事板,2003/11/24
青文字:加筆改修部分
ドイツ軍の遺体埋葬
(画像掲示板より引用)
【質問】
死体処理の仕事をやらせてグロ耐性がつけば,兵士として充分活躍できますか?
【回答】
戦場に対する耐性ってのは,グロ耐性っていうよりも殺人耐性のほうが圧倒的に重要.
戦場で「活躍」するっていうんなら,これがないとどうしようもない.
銃器が一般に流通してるアメリカだって,人殺しが一般市民から縁遠いのは変わらない.
そもそも殺されることよりも殺すこと自体が自体が,人間にとってかなりのでかいストレス源だったりする.
近代兵器とナショナリズムが生み出した過酷な総力戦ってイメージの強い第二次大戦ですら,直接敵と対峙する小銃部隊の平均的な発砲率が15-20%.
五人に一人がアパムだったわけ.
弾を持ってくるかこないかは個人差あるだろうが.
撃たなきゃ殺されるし,運命共同体である戦友に臆病者と罵られる可能性がある状況でも,それだけの人が撃てなかった.
人間は冷静に同属殺しができるような設計じゃなくて,人殺しには強烈な心理的抵抗が実装されてる.
まあ,そういう性質がないと社会が構築できない=生存競争に勝ち残れないからな.
つーわけで,『戦争における「人殺し」の心理学』お勧め.
軍事板
青文字:加筆改修部分
▼人間の倫理は非理性的か:「トロッコ問題」が示すパラドックス
トロッコ問題 - Wikipedia
「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?」
という倫理学の思考実験で,
『調査対象の実に85パーセントが,5人を救うためでも1人を突き落とさないとした』
と,非発砲者と同じ程度の割合で,意図して他人を死なせることを拒否.
『教育の程度,宗教的背景,民族などの影響がほとんど無かった』
とのことで,殺人への抵抗感は大多数の人間が持っている本能と考えられます.
狙撃手や銃剣が恐れられる理由が,
『人を直接死に追いやるとき,強く否定的な反応を示すようである』
という部分にあるように思われます.
▲
▼ オランダでWWUを経験して,死体処理のバイトで生計を立てていたポール少年は,後に嬉々としてセックスとバイオレンスを題材にした映画を撮るようになりましたとさ.
http://www.paulverhoeven.net/
クローム・ツァハル in mixi,2009年04月23日11:49
▲
【質問】
映画や記録写真で,戦死者の棺の上に国旗を被せているのをよく見ますが,これを行う基準は何かあるのでしょうか?
【回答】
元々,高位の人の棺をその人の存命中保持した権威の表徴類で飾ったのが始まりとされています.
これが転じて,長らく官職や軍務にあった人間の棺を表徴旗にて飾ることになりました.
政府や軍が行う葬儀では,国旗を棺衣旗として,棺を蔽います.
但し,一般的に棺衣旗は棺を墓穴に降ろしたり,海中に放つ前に取り外します.
遺体を正装安置した葬儀前の棺や,葬送行進中の棺も,棺衣旗で蔽いますが,国によっては,遺体其の物を
旗で包んだり,棺に旗を塗装表示する場合もあります.
なお米国の場合は,国家的な人物や軍人の棺を蔽った棺衣旗は,最近親者に渡されることになっています.
また,警察官,クラブ会員の墓には,所属する組織の旗を墓に使う場合もありますし,退役軍人の墓の場合は,国旗を墓の一部に組み込む場合もあります.
更に,西洋では葬儀の際に使う意匠旗もあり,これは紋章を置いた小型の葬儀旗や,死神の顔を表示した葬儀旗
(ガンフィオン)と言うのもあります.
霊柩車には小旗が付きますが,濃紺地に白十字,もしくはダヴィデの楯紋を置いた物が多いです.
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