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「Togetter」◆(2013/05/16) 軍隊生活における「飲む買う打つ」の解決について
「WIRED VISION」:音楽をエンドレスで聞かせる「拷問」,米軍収容所で実践
『強姦の歴史』(ジョルジュ・ヴィガレロ著,作品社,1999.8)
欧州.特にフランスにおける強姦という行為に対する社会の対処を,主に法哲学史的な視点から纏めて,分析した1冊.
強姦者の発明など興味深い分析が多く,兵士の犯罪や貴族,士官の犯罪なども挙げられている.
――――――軍事板,2011/01/09(日)
【質問】
シビリアン・コントロールって日本では重要視されてるようだけど,この制度って日本独特のものなんでしょうか?
【回答】
日本語で書くなら「文民統制」ね.
当然ながら日本独自のものでもなんでもない.
文民統制というのは文字通り,文民(議員や役人)が軍人を統制するという原則.
つまり軍の統制を,軍人ではなく文民出身の人間にやらせるというもの.
その原則がどれだけ取り入れてるとかは国によって異なるし,その原則がどれだけ守られているのかも国によって異なる.
民主主義国家では,主権在民の大前提により,国民に選ばれた政治家が軍を統制する.
ついでに言えば,アメリカより厳格にコントロールされている国は,そうそうない.
発祥は17世紀後半のイギリス.
「権利章典」によって明確化された.
その後,アメリカで確立.
日本では,GHQにより戦後憲法に盛り込まれ,現在に至る.
日本の制度下では,自衛隊が大臣(自衛隊の最高指揮官は総理大臣)の命令なく勝手に行動するのは,文民統制に反していることになる.
自衛隊が現実に出動する際の「防衛出動」「治安出動」「災害派遣」は,どれも総理大臣および防衛大臣の命令がなければ発令されない.
なので自衛隊が政治家の命令で行動すればそれは文民統制に反しない.
また,現状の自衛隊が,政府の意向に逆らって独自に行動することなどありえない.
というより,先進国の軍は全て政府の命令によって動く,これに例外は許されない.
もし独自に行動したら,反乱部隊とかクーデターとみなされても文句は言えない.
ただし,過去に自衛隊は総理大臣や防衛庁長官(当時)の正式な命令を待たずに,指揮官の判断で実弾を弾薬庫から出して部隊に配り,戦闘準備の体制を整えた・・・
という事例はある.
Mig-25亡命事件,で検索されたし.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
田母神問題ですが,国家の公式方針が間違っていた場合にどうするんでしょうね?
間違いを正すため政治家や国民に助言や進言をするのも,軍人(官僚)の仕事でしょうに.
ましてや,国家の公式方針なんていっても,与党と野党とで違った場合,どちらが「軍事的に」接合性があるか今後は問われた場合,政府与党の間違いを糊塗するだけが官僚の仕事ではないでしょうて.
もちろん間違いを正すのは「民主主義的手段に則り」「専門分野においてのみ」と但し書きがつくわけですが・・・
今回の発表のタイミングと手段はあまりに稚拙でしたよ.
【回答】
その「助言」や「進言」は本来,組織内部に向って行われるべきであり,組織外部に向って行われた場合,組織全体の意思について誤解を与えたり,あるいは組織内部の意思の不統一を露呈する事によって,組織全体の対外的信用を損ないかねんのよ.
で,そういう言動をしてしまう奴ってのは,たとえどんなに言ってる内容が真っ当でも,組織人たる資格を欠くわけよ.
今回の問題の本質はそこ,つまり田母神個人の空幕長としての適性であって,論文の内容や学術的に見た完成度なんてのはは枝葉末節に過ぎない.
(個人的には日本は侵略国家,ただし緊急避難的なものだし,ましてやコミンテルン陰謀論なんてのはトンでも以外の何物でもない,と思ってる)
にも拘らずマスコミからネットに至るまで,左右双方とも枝葉末節を論いすぎてるきらいがある.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
自衛隊とドイツ連邦国防軍の内面指導の問題点について教えてください.
【回答】
これらの軍隊の思想・政治統制は「内面指導」と言われていますが,自衛隊とドイツ連邦国防軍は特に,内面指導がうるさい事で知られています.
まずは自衛隊の問題をしていきましょう.
自衛隊ではこの内面指導のために,営内班では教官による指導を徹底する他,統合幕僚長直属の自衛隊情報保全隊が,各自衛隊の部隊を監視する任務に就いており,極左・右翼思想や反米保守思想を持っている(つまり政府の意向に反対している)自衛官を見つけ出して処分し,場合によっては自衛隊法違反で警務隊に逮捕させる任務に就いています.
これは一見して反民主的なのかも知れませんが,旧日本軍の反省から,政府が軍事力を完全に統制するのが日本の戦後の国防方針の一つである以上,やむを得ないのです.
それをしなかった結果が5・15事件であり2・26事件であり,関東軍の暴走や日中戦争なのですから.
ですが,こうした締め付けは,何かの拍子で爆発してしまう事があります.
そのいいケースが反戦自衛官です.
日本では1970年代に,極左過激派系学生組織の集合体である全共闘による,ベトナム戦争に対する反戦デモが吹き荒れました.
団塊世代はこのデモに共感する人が多いと言われていますが,それは誤りで,デモに参加した学生だった人にその傾向があるようです.
そして,反戦を訴える事に共感を持つ人が,自衛隊にも現れました.
その一人が,航空自衛隊の小西誠元三等空曹でした.
小西三曹は在隊中に法政大学法学部通信課程を受けており,その時に全共闘の学生と交流がありました.
その結果,極左思想を持つようになり,レーダーサイトのある佐渡分屯基地で,治安出動訓練に反対するビラを配る運動を開始,警務隊に自衛隊法違反で逮捕されています.
この運動を皮切りに,1972年には沖縄県出身の自衛官が,反戦自衛官として過激派の集会する事件も発生,防衛庁(当時)はこれらの自衛官を懲戒免職処分にしています.
反戦自衛官はその後も登場し続け,陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地(現防衛省)に駐屯していた第32普通科連隊に勤務していた片岡顕二二等陸曹が,極秘に反戦のための新聞を発行,さらに北海道への転勤を拒否して免官されると,東京地裁に訴訟を起こしたり,制服を着て成田空港反対デモに参加したりと問題を起こしました.
片岡元二曹は1991年4月にも,六本木にあった嘗ての防衛庁で,海自掃海部隊のペルシャ湾派遣に反対する書簡を防衛庁長官に直接渡そうとして,トラブルも起こしています.
『反戦自衛官』,敗訴 - 街の灯
現在でも反戦自衛官は,たまに出てくる事があります.
それとは逆に,今度は右翼(特に反米的)な思想に染まった「憂国自衛官」と呼ばれる自衛官もいます.
新右翼過激派組織・統一戦線義勇軍には,右翼思想に染まった自衛官がかなりいるとも言われており,実際新右翼を取り上げ(もちろん新右翼に肩入れしている)てる二十一世紀書院の「果てしなき夢」という新右翼運動のドキュメントによれば,統一戦線義勇軍やそれに近いと言われる新右翼団体・一水会に,「憂国自衛官」と呼ばれる元自衛官らしき人物の姿が書かれています.
その一人,2004年でのイラクでテロリストに拘束された渡辺修孝(最終階級不明)氏は,かつては陸上自衛隊第1空挺団特科部隊にいました.
退職後,自衛隊再入隊を経て一水会に入り,後に一水会を離れて極左系反戦自衛官組織に入るという,変わった過去を持っている人もいます.
鈴木邦男をぶっとばせ
主張265
最近では2008年5月に,自衛隊体育学校の鈴木田峻吾陸士長が,当時の福田自民党政権の対中政策に抗議するために国会議事堂敷地内で割腹自殺を図り(未遂),逮捕されています.
弁護士fujita的日々 @京都 : 麦の旧字の右に句の口が米
このように過度の内面指導は,思わぬ暴発を招く可能性が高いのです.
この暴発をどう食い止めるのか?
もし監視を緩めれば,それは戦後日本の軍事政策を否定する事になり,容認する事は不可能なのです.
バルセロニスタの一人 in mixi,2010年02月22日22:17
青文字:加筆改修部分
次にドイツ連邦国防軍のケースを書いてみましょう.
ドイツ軍も自衛隊と同様,やはり同じような問題を抱えています.
ドイツ軍には自衛隊とは違い,労働組合と酷似した組織として,「軍人連盟」と呼ばれる組織があります.
これは軍人の利益を代表する組織で,労使協議や場合によってはデモも行うこともあります.
また,ダルムシュタット・シグナルと呼ばれる,海外派遣に反対する軍人の組織も存在します.
ドイツ軍少佐からの白バラ ?? 軍人の抗命権・抗命義務
これは,ドイツ軍人は「制服を着た市民」だというモットーがあるからです.
ただし軍人連盟は,あくまでも軍人の利益のための組織ですし,ダルムシュタット・シグナルに参加している軍人も現体制を支持し,かつ防衛戦争のための出動命令には従います.
命令拒否をしたとされるフローリアン・プファフ少佐は,裁判でその主張が認められましたが,これはイラク戦争に反対している当時のシュレーダー政権と,彼の主張が一致した結果に他なりません.
そしてプファフ少佐も,防衛戦争は否定していないのです.
これは防衛戦争すらも否定し,革命に熱中している日本の反戦自衛官とは明らかに違います.
そもそも軍人連盟もダルムシュタット・シグナルも,将校団の流れを組む組織なので,認められて当然なのですから.
そしてドイツ国防省には,日本の自衛隊情報保全隊と同じ任務を担う組織として,ドイツ軍事保安局(MAD)が設置されています.
任務もほぼ同じです.
ドイツ軍事保安局 - Wikipedia
しかし,これだけの機関・組織があるにも関わらず,日本同様,「軍人の暴走」は起きています.
ギュンツェル准将が解任されたケース : 週刊オブイェクト
内容についてはJSF氏の書いてある通りなので任せるとして,このギュンツェル准将のケースは,ドイツでも同じような問題が発生しているのを如実に物語っています.
さらにかつては,ドイツのネオナチの顔でもあったミヒャエル・キューネン少尉のケースもあります.
戦後ドイツにおける「過去の克服」と極右勢力
第2章 戦後ドイツの極右勢力の歴史的変遷
キューネン少尉がどのような形でナチズムに賛同し,そして自発的に除隊したのか,それとも軍内部でやらかしてしまって除隊処分になったのかは定かではありませんが,キューネン少尉が除隊後にドイツ・ネオナチの顔になったのは事実です.
なお,キューネン元少尉はその後,同性愛が原因のエイズにより他界しています.
さらに驚くべきことに,ドイツ軍の兵士の一部には何とネオナチ的傾向があり,ドイツ連邦国防軍の「生みの親」であるUlrich
de Maiziere退役陸軍大将が,内面指導は常に課題であると言及してます.
平和憲法のメッセージ
連邦軍創設の父に会う 2000/2/7
やはり,抑えられるとかえって暴発を招くという事態は,ドイツでも証明されています.
ドイツではナチスを肯定したり,ホロコースト(ユダヤ人虐殺・絶滅政策)を否定するような言動は,刑法で罰せられます.
これは,ニュルンベルク裁判でナチス親衛隊が犯罪組織と認定され,ナチスはその首領であるという見解や,ホロコーストは戦争犯罪ではなく,自国民を含めたユダヤ人に対するエスニッククレンジング(民族浄化)を目的とした殺人事件であるという認識が,ドイツにあるからです.
ですのでドイツでは,敗戦は「ナチス(という独裁政権)に解放された」という見解を今も示しています.
しかしこうした内面指導で押さえつけると,人はかえって暴発しやすいという一面があります.
それは日本でもドイツでも同じ事なのです.
だからといって,これらの問題のある思想を持つのを容認する事など出来ません.
また,日本もドイツも第二次世界大戦敗戦国であり,戦勝国に何かしら因縁を抱く人がいても,不思議ではありません.
その人を軍隊(自衛隊)で改心させ,無理なら追放していくしかないのです.
これはイタチごっこになりますが仕方がありません.
ただ,これらの軍人(自衛官)はほんの数人しかおらず,ほとんどの軍人(自衛官)や元軍人・元自衛官(予備役・予備自衛官を含む)は,まともな人々ばかりです.
私の父は元陸自三曹で後に警察幹部になりましたが,厳しいけどまともな人でしたし,叔父(母方の叔母の夫)は空自の空曹長で定年退職しましたが,他の隊員とカラオケサークルを作って,慶事にはカラオケを披露する,ごく普通の人でした.
私の親族以外にも予備自衛官を知っていますが,まともな人ばかりです.
つまり暴発するのは,ごく少数の人間だけという事になります.
バルセロニスタの一人 in mixi,2010年02月22日22:55
青文字:加筆改修部分
【質問】
ROEって「交戦規定」ですか? それとも「交戦規則」?
【回答】
ROEとはRule Of Engagementの略.
rule
1.(行為の)準則,度(のり),掟,礼法.
2.戒律.
3.慣習,習慣,(競技などの)規則.
4.[法]規則.
5.(公私の団体の)規定,規約.
ま,規則でも規定で,もお好きな方をどうぞ.
日本政府や自衛隊の公式な訳語が,どっちかは知らず.
軍事板,2001/05/31(木)
青文字:加筆改修部分
【質問】
自衛隊法は軍法ではないんですか?
そもそも軍法とは何なんでしょう?
旧軍にはどんな軍法があったのですか?
【回答】
軍法ってのは,広い意味では,軍人を主な適用対象とする特別刑法です.
したがって自衛隊法も,服務関係の義務規定・罰則は広義の軍法です.
ただ,実際にそれに基づく処分をするための軍事法廷(軍法会議)がなく,一般の司法裁判所の手続きに乗る形になるので,軍事法廷で適用される狭義の軍法ではないです.
旧軍の場合,陸海軍がそれぞれ「陸軍刑法」「海軍刑法」というものを持っていました.
これに違反した場合,憲兵の取調べを受け,軍の司法官による軍事法廷にかけられて処分されます.
一般の司法裁判所とは別の,特別裁判所の手続きです.
有罪になれば,軍により刑が執行されます.陸軍刑務所行き.
適用対象は基本的にそれぞれ陸海軍の軍人軍属でしたが,例えば海軍軍人が陸軍の指揮下にあった場合には,陸軍刑法が適用されることになります.
第二次大戦末期に義勇兵役ができると,これにも刑を軽くしながら準用されてます.
また,利敵行為関係の罪のように,軍人以外の民間人に適用される場合もあります.
違反すれば,やはり軍事法廷で処罰されます.
(現在の少年法に,児童福祉関係の成人犯罪関係の規定があるのに少し似てるか.)
◆yoOjLET6cE in 軍事板
青文字:加筆改修部分
「戦場デモ窃盗ハ犯罪デス」
(画像掲示板より引用)
【質問】
軍法会議と軍律会議って,どう違うんですか?
【回答】
以下は一般論.
軍法会議:
軍が自律的に,その組織の秩序を維持するために行う司法手続き.
根拠は軍刑法で,対象になるのは自国軍の兵士,軍属,&規定があれば自国民.
軍律法廷:
占領地域住民や,捕虜などの敵国軍人およびゲリラなど,本来自国の軍刑法の適用埒外に居る人間を対象とした司法手続き.
この場合,例えば占領軍司令官などの名で布告された規範を基にして,被告を罰したりする.
つまり,占領した状態で戦争が終われば良いけど,もし結果的に負戦だったりしたら,今度はやり返される可能性が無くも無い.
こんなとこ.
軍事板,2001/04/15(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍事に法律の専門家って必要なんでしょうか?
つまり米軍や国防省のような組織が,顧問弁護士を雇ってたりするのかな?
【回答】
軍事部門も官僚組織の一つですから法務部門は必要です.
法務部と言う組織もあり,法務将校がいます.
また,場合によっては,占領した地域の治安維持の為,部隊で法廷を開催する必要があり,これには法務将校が充てられています.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
「オネアミスの翼 王立宇宙軍」という作品に,
「ダヤン監察中隊の**准尉であります・・・」
という台詞が出てくるのですが,軍隊には,「監察中隊」実際にもあるんでしょうか・・・?
【回答】
「監察」は官僚組織のうち内部調査を行う部門です.
監察組織が表立って行う調査を「監査」といい,定期的にアンケートや立ち入り・聞き取り調査などを行って部隊の実状を調査します.
監察の目的は,士気・規律の維持による人的戦闘力の確保です.
その中には,不正行為や規則違反などの摘発も含まれますし,規律の弛緩,いじめ・セクハラや部隊内の不融和など,人的戦闘力発揮の阻害要因になる事項については,部隊長に通報して改善を促します.
監察組織の人間は,その性質上,指揮関係にない部隊にも立ち入ることが出来ますし,兵隊から自由に話を聞くことが出来ますので,設定としては便利です.
【質問】
督戦って歩兵以外でもあったんですか?
例えば敵前逃亡した味方戦車を味方戦車が撃破したり,敵前逃亡した戦闘機に味方戦闘機がミサイル撃ったり・・・
何か実例があったら教えてください.
【回答】
督戦はあくまで後方ぎりぎりに弾を撃ち込んで,前進を強要するものです.
俗説によると,ソ連では戦車のハッチを溶接(ボルト留めという話もある)して,脱出を防止した,等と言う話があります.
ただし確かな出典元を見たわけではないので,真偽の程は怪しいですが.
一方,クルスクの戦いの際,ソ連航空部隊で,
「臆病な戦いを示すのなら,部隊を整列させて銃殺だ」
という警告が出たという話があります(第16航空軍での事例).
逆に言うと,帰還後の銃殺はあっても,現場で銃殺はない,ということのように見えます.
まあ,わざわざ戦闘中に機材ごと逃亡者を処刑するぐらいなら,敵を倒すのが先,と考える方が自然だったのではないでしょうか.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
在外国基地などに駐留中の軍人が,その国で犯罪行為を行った場合,その軍人は,当事国と自国,どちらの法律で裁かれるのですか?
外国基地に駐留する軍人は,当事国において,民間人とトラブルを起こさないように指導は受けているのですか?
【回答】
その2国間の協定がどうなっているかによる.
一般的には,外国に駐留する軍隊には接受国の法令は適用されない.
ただしその一方,接受国の法令遵守は,軍隊を駐留させている側の国の義務であるともされている.
トラブルを起こさないような教育もされているはずだが,たびたび犯罪が起きているのは報道されているとおり.
在日米軍については,日米地位協定があり,そこであれこれ決めてある.
16条にて日本法令の遵守義務を定め,17条で刑事裁判管轄と警察権を定めている.
在日米軍の側が刑事裁判管轄を有しているのは
・合衆国軍法に服する者
(米側に一般的裁判管轄.ただし栽培管轄が日本側と競合する場合には例外あり)
・合衆国軍法に服する者で,日本法では罰し得ないが米法では罰し得る罪を犯した者
(米側が専属的裁判管轄)
・合衆国軍の構成員・軍属であって,もっぱら合衆国の財産若しくは安全のみ対する罪を犯した者
(米側に第一次の裁判管轄)
・合衆国軍の構成員・軍属であって,もっぱら合衆国軍隊の他の構成員,若しくは軍属,若しくは軍構成員・軍属の家族の身体若しくは財産のみに対する罪を犯した者
(同上)
・合衆国軍の構成員・軍属であって,公務執行中の作為若しくは不作為による罪を犯した者
(同上)
ここで,「合衆国軍法に服する者」とは,合衆国軍隊の構成員・軍属のみには限られず,米軍に雇用された者や米軍の随伴者,米軍基地内に所在する者も含まれ,日本側と裁判管轄が競合する場合があるが,米側が専属あるいは第一次の裁判管轄を持つ場合以外は,日本側に専属あるいは第一次の裁判管轄がある.
この辺りの話に興味があるなら,『外国軍隊に対する刑事裁判権』(津田実・古川健次郎,帝国判例法規出版社,昭和29年)という本を読んでみるといい.
古い本だが,参考になる.
【質問】
凄くくだらない質問ですが,戦闘において,よく「○月×日,△△を占領」などと見かけますが,「占領」の基準とは何なのでしょうか?
ある程度敵の抵抗が無くなれば「占領」したことになるのでしょうか?
【回答】
軍板でよく言われる「歩兵さんがその土地を踏みしめてくれる」事 ^^;
つまりだね,敵の組織的な反抗がなくなり,装甲でない歩兵さんでも自由に部隊移動できる状態.
敵は逃げるか壊滅するか降伏してる事になるね^^;
敵が立て篭もって反撃してる間は,占領にはならない(極小規模なのは除く).
あと,そこに民間住人が居住している場合は,それも支配下に置く.
具体的には軍政を敷く.
そこの政府・役所等の機構を残して利用する事が多く,其れ等を占領軍の支配下に置く状態にする.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
占領軍は,被占領国に対してどんなことができ,どんなことができないのか?
【回答】
スイス政府編「民間防衛」(原書房,1995/3/12)によれば,以下の通り.
――――――
国際法には次の通り定められている.
占領軍は,好き勝手に行動する権利を持っているわけではない.
占領軍であっても,陸戦に関するヘーグ条約およびジュネーブの赤十字協定を尊重する義務がある.
占領された国の国民は,これらの条約と協定によって,その生命・名誉・宗教・習慣・財産を保護されることになっている.
占領軍は,占領国民の生活手段や病人に対する手当てを保障せねばならない.
教会や学校に害を及ぼしてはならない.
また,行政活動が自由に行えるようにすべきである.
他方で占領軍は,被占領国の武器・運搬手段・通信機械(ラジオなど)を,戦時国際法に基づいて没収する権利がある.
また,税金を徴収することもできる.
もし占領軍が国際法規に違反した場合には,住民は,自分達に加えられた全ての危害について,公式に,占領軍当局または赤十字に訴え出る事ができる.
どのような場合でも,合法的な範囲内での抵抗をしなければならぬ.
抵抗すれば,敵を苛立たせ,我々の立場を悪くする.
しかし,黙っていると,敵のやったことに同意したものと思われるかもしれないから,占領軍軍隊の犯した過失は,全て記録しておこう.
いずれ解放の日が来た時,裁判所で公正に話をつけるために.
●占領軍は,次のようなことを行う権利を持たない.
1) 理由なしに国民を逮捕すること.裁判にかけずに国民に刑を言い渡すこと.国民を強制移住すること.
2) 報復のため,無実の人に危害を加えること.
3) 犯人がはっきりしていないことについて,集団を罰すること.
4) 人質をとること.
5) 住民を軍の工事に使用すること.戦闘作戦中の盾とすること.
6) 住民に戦闘行為を強制すること.
7) 良心に反する誓いをさせること.
8) 暴力を用いて,秘密を暴露させること.軍事的情報を無理に白状させること.
9) 病院を,その本来の用途に使えないようにすること.病院の医師や職員の任務遂行を妨げること.
10) 何であろうとも略奪すること.私有財産を没収すること.
11) どのような形であっても,個人に対して暴力を加えること.
――――――p.284-285
▼ また,国際法上,占領地域に占領国の法律を適用してはいけないことになっています.
あくまでも,自国の法律が通用するのは,戦後の講和によって,当該地域が自国領土になった場合です.
従って,占領する場合は軍政を施行して,軍刑法もしくは軍律令による法支配を行うのが一般的です.
まれに,当該地域に傀儡政権を打ち立てて,その権限の下に,傀儡政権から法律を公布するということもあります.
眠い人◆gQikaJHtf2,2006/08/26(土)
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
捕虜虐待禁止ルールは,いつ頃,どのようにして作られたのか?
【回答】
元々,1874年に欧州16カ国の代表が総合的成文戦時国際法について討議する為に,ベルギーのブリュッセルに集まったのが最初.
これの主唱者は,ロシアのアレクサンドルII世だったり.
この辺の捕虜の取り扱いを定めた規程は,南北戦争での北軍が1863年に発した
「陸戦の法規慣例に基づく軍隊の守るべき規則」(陸軍一般命令第100号),
通称,「リーバーコード」と言うのが最初です.
1874年のそれは,リーバーコードを敷衍した内容で,条約としての発効は成りませんでしたが,先駆けとなりました.
1877年に,そのロシアはトルコとの戦争に当り,「露国捕虜取扱規則」を定め,尊重します.
1899年には,こうした動きを受けて,ハーグで万国平和会議が開催されますが,これも提唱者はニコライII世です.
ロシアがこうした戦時国際法制定に動いていたのは,西欧先進諸国に対等の国として認められる為に必要となった訳です.
謂わば,大国のエゴから始まった事だったりする訳です.
因みに,戦争を行うのにはお足が要ります.
そのお足を頂くのに,自国で賄いきれない場合は,各国の金融市場で資金を調達しなければならない訳ですが,捕虜を虐待するような野蛮な行為を行っている事が知れれば,世論がその資金調達に対する批判を強める事が考えられます.
そこで,捕虜の虐待は各国とも極力避けようとする訳です.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
ジュネーブ条約が締結される1864年以前に,捕虜の概念はあったのでしょうか?
【回答】
中世では「捕まえたときの身分」で扱いが奴隷になるか捕虜になるか?て感じだった.
両者の区分はかなり曖昧だったと言って良い.
王侯貴族でも奴隷として扱われた事例だってある.
中世の戦争では身分の高い人間を捕虜にして「身代金」を得るのが,戦争の大きな目的の一つだったし,古代の戦争では奴隷を確保するためにも捕虜は重要な「戦利品」だった.
ちなみに,「人類皆平等」というのは一神教,特にキリスト教の思想.
「神の前には全ての人は平等」であり,「現世での身分の差など瑣末な事象に過ぎない」というわけだ.
身分の差をことさらに強調するのはむしろ多神教の文化.
ジュネーブ条約は
「人間は皆平等で人権というものがあるのだから,戦争に負けて捕虜になったからといって,人間としての扱いを受けない,なんて事があってはならない」
と,「人権のある人間としての「捕虜」の取り扱われ方」を定めたのであって,「捕虜」という概念を定義したわけではない.
【質問】
ジュネーブ条約では傭兵は捕虜になる資格を有していませんが,フランスなどにある外人部隊に所属している将兵は,どうなのでしょうか?
【回答】
ジュネーブ条約での傭兵の定義は
「主に金銭,利益を目的として雇用され,戦闘行為を行う第三国人,及びその集団」
となっています.
フランス外人部隊は公的機関で募集して,「志願兵」です.
ただし,通常の軍隊では「自国の国籍を持つもの」という条件があるのが普通ですが(自衛隊もそう),外人部隊の場合 フランス国籍という条件がないだけです.
【質問】
占領地の文民が公然と武器を携行し,戦争法規を守って交戦しても,捕虜資格がないのかどうか,よく分からんので,どなたか講釈プリーズ.
【回答】
ジュネーブ条約以前に
「陸戦の法規慣例に関する規則」
で,群民兵に関する規定は行われていたり.
第二条ね(1899年).
ただし,明文化されてないものの,規定を満たさない民兵については,マルテンス条項が適用されまつ.
> 占領せられざる地方の人民にして,敵の接近するに当り,第一条によりて編成を成すの遑なく,侵入軍隊に抗敵するため自ら武器を操る者が公然武器を携帯し,且戦争の法規慣例を遵守するときは,之を交戦者と認む.
占領地の民兵については
「捕虜の待遇に関するジュネーブ条約(第三条約)」4条A(2)
(1949年)
紛争当事国に属するその他の民兵隊,及び義勇隊の構成員(組織的抵抗団体の構成員を含む)で,その地域が占領されているかどうかを問わず,その領域の内外で行動するもの(を,捕虜の資格を有するものとして認める)
ただし,その構成員は,ハーグ規則第一条の1から4までの規定を満たした行動を行わなければならない.
で,そのあと1977年のジュネーブ第一議定書(正式名称長いんで)で,
>紛争当事国の軍隊は,部下の行動についてその当事国(それが敵国によって承認されていない政府または当局によって代表されている場合でも)に責任を負う指揮のもとにある,武装されかつ組織されたすべての軍隊,すべての集団およびすべての部隊から構成される.これらの軍隊は,とくに,武力紛争に適用される国際法規則の尊重を確保する内部規則制度に服しなければならない.
となりまつ.
軍隊の定義がずいぶん広くなったことに注目でつ.
捕虜となりうる戦闘員の条件は基本的に
「戦闘時,および戦闘以前の軍事展開において,公然武器を携帯すること」
となっておりまつ.
公然徽章を着用すること,などの規定がなくなっておりまつ.
この一方で,傭兵に対しては,
「捕虜資格を有しない」
としていることもこの議定書の特徴でつ.
以上,藤田久一「国際人道法」第二章第一節(pp.82-90)からでした.
もう一つ,注意すべきなのは,ハーグ規則の時代から
「捕虜資格を有しない」→「正当な手続きなしに処刑しても良い」
とはならないことでつ.
軍事板,2003/03/17
青文字:加筆改修部分
【質問】
「大いなる幻影」「大脱走」などの映画を見ていると,捕虜収容所ってのが非常にヌルくて快適な施設のように思えるのですが,実際のところはどうだったのでしょう?
【回答】
捕虜収容所っても,シベリア行きとか非人道的な特別例を除けば,ある程度の人権は保障されてる所は多いです.
不当ないじめ等が無いとは言いませんが,全ての収容所が共産国家の政治犯収容所みたいな所では無いです.
それと,これは今の捕虜収容所や一般的な刑務所にも言える事ですが,いざって時の力関係は
囚人>>>監視員
って事は言えます.
そういう事もあって,囚人の自由をある程度は許容するか,過酷な労働で洗脳するか.のどっちかのスタイルになりがちなんですな.
第2次大戦の,ドイツに関して言えば連合軍空軍パイロットの収容所は比較的待遇はマトモでした.
ソビエト兵捕虜の収容所なんかはユダヤ人強制収容所以下でしたが.
軍事板
ただし,こんな例も.
『中国共産党が,アメリカ兵を「共産主義」に改宗させ,さらに仲間の脱獄をもらさず密告するまでの「協力者」に仕立て上げたのは,我々の想像を越えて「穏やかな方法」,たとえば,ただペンをとらせエッセイを書かせる,といったものだった.
「中国びいき」のエッセイを書いたものには賞品(しかし煙草程度のもの)が出されたが,ただアメリカへの望郷を記した者にも賞品が出された.
実は,この「穏やかさ」こそが,ポイントだった.
大きな利益が得られたり,厳しい罰がさけられたりするためならば,自分の心に対して偽りあることを書いても,アメリカ兵は動じなかったであろう.
そうした利益や罰がないからこそ,エッセイを書くことが強力なコミットメントとして働き,認知的不協和の解消を通じてアメリカ兵の思考を大きく変えていったのである.』
――「Real Hypnosis」;洗脳する
また,
「A tout le monde」:中国共産党の洗脳技術
も参照されたし.
【質問】
実例として,王族が捕虜になって大問題となったケースは,あるんでしょうか?
【回答】
捕虜になったことが大問題になった王族は,ベルギーのレオポルド三世がよく知られています.
WW2においてベルギー軍の降伏した後,レオポルド3世はあえて亡命することなくベルギー国内に留まり,ドイツ軍に幽閉されました.
ところが国王は,ロンドンに樹立されていたベルギーの亡命政府と行動を共にしなかったことを,他の連合国や一部の国民に批難され,終戦によって解放された後も,すぐに帰国することが出来ませんでした.
この混乱はしばらく続き,国王は国民投票に掛けられた後に,国内の混乱の責任をとって退位しています.
名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE in 軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ また,ナポレオン3世は普仏戦争中の1871年1月,セダンの戦いで8万の将兵と共にプロイセン軍に降伏,捕虜となった.
フランス軍はこの打撃によって,なすすべがなくなり,パリまで包囲される始末.
結局,パリにフランス臨時政府ができてドイツに降伏した後,ナポレオン3世は退位する羽目になりましたとさ.
水上攝堤 by mail,2009/6/10
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
捕虜となり,敵国深くにある収容所に収容された自国兵士を,軍が作戦を立てて救出しようとした事例はあるか?
また,それはどのような方法か?
【回答】
ある.
比較的有名なところでは,パットン将軍の「私的捕虜救出作戦」てェのがある.
うろ覚えだが,部隊を差し向けたはいいが,ドイツ軍に遭遇して敗走.
しかも,捕虜収容所の中にパットンの甥だかがいたことが,後で分かって,パットンは兵からの信頼を失うことに.
太平洋戦争だと,フィリピンのオドネル収容所からの救出作戦が行われて,餓死寸前の米兵を513人ほど助け出している.
ちなみにこの米兵は,バターン死の行進の生き残り.
この一件は「ゴースト・ソルジャーズ」という本になってるし,映画化もされるとかされないとか.
現代だとアルカイダが,イエメンとかイラクとかで,刑務所からの脱獄作戦をしばしば成功させてるね.
また,イラク戦争では,ジェシカ・リンチ救出作戦というものが行われている.
こないだはイスラエル軍の兵士が誘拐されていたのが,パレスチナ人テロリストと交換されたが,これもパレスチナによる捕虜救出作戦と言えなくもない.
でも大抵は,赤十字などを介した捕虜交換が普通だね.
軍事板,2011/12/17(土)
青文字:加筆改修部分
「ゴースト・ソルジャーズ」という本の映画化に関してですが,以下の経緯で「ゴースト~」の制作は中止となり,ほぼ同内容の「ザ・グレート・レイド」が,2005年に公開となったそうです(日本未公開).
http://www.geocities.jp/paolomfan/works/great-raid.html
映画中には英軍のFV432を改造した新砲塔チハも登場したそうですが,その車輌は現在,オーストラリアのリエナクトメン・トチームに引き取られ,ドイツ軍塗装でチェコ戦車を演じているらしいです.
http://www.flickr.com/photos/peppergroyne/2576907203/in/photostream/#/
本筋と関係ない余談へのツッコミですが,ジャーマングレーの新砲塔チハがカッコ良かったので,つい(笑)
のとっちょ in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2012年02月03日 00:15
【質問】
どうして戦争が起こると,侵攻してきた軍の兵士はレイプとかするんでしょうか?
古今東西,この忌まわしい行為を止めようとしないのは何故でしょう?
また,女性兵士によって少年に対する逆レイプも行われているのでしょうか?
【回答】
西欧の場合について言えば,止めようとしなかった,というのは間違い.
相手の気勢を削いだり,掠奪目的の場合以外,過度な乱暴は後々統治するにあたって禍根を残す.
俺が知っている限りだと,傭兵が暴虐を極めたと言われる,三十年戦争でのスウェーデン軍の軍規に,過度の掠奪,暴行を禁止する条項があったはず.
ただ,特に情報の行き渡らない前近代において,すべての兵士を統括することは不可能.
また,慣習的に給金の支払いが滞りがちだった傭兵たちにとって,攻め落とした都市での掠奪は黙認された権利だった.
テレビとラジオとゲーム機とマンガとオモチャに囲まれて育った人間には想像しにくいかもしれないが,昔の庶民には,セックスは最大の娯楽だった.
庶民は字も読めなくて小説すら楽しめず,音楽を聞くけるのすらお祭りの時ぐらい.
楽しみと言えば,洋の東西を問わず,呑む打つ買う(酒・バクチ・セックス).
仕事以外にはセックスしかすることがないから,昔の農村なんてみんな子だくさんだった.
そして,軍隊というところも基本的に,娯楽が少ない.
基地や駐屯地にいる時ならともかく,侵攻している時は作戦行動中だ.
作戦中は,酒も飲めず,バクチもまずできない.
聖人君子でもないかぎり,人間は長期間娯楽なしにはいられない.
よく,戦場で生命の危機にさらされていると,種族保存本能がはたらいて性欲が増す,なんて話も聞くが,そんなこと以前に,兵士は娯楽としてのセックスに飢えているのだ.
だから従軍慰安婦なんてのがいたし,軍隊は,侵攻した先で羽目を外してしまいがちになる.
敵国の女を口説き落とすのは難しいし,商売女を金で買うほど金もない.
たいていの交戦当事国は,敵国について悪いことばかりプロパガンダしているから,
「どうせ敵国の女,俺たちが抱いてやる方が幸せだ」
などという意識もあるだろう.
そんなわけで,手っ取り早くセックスするにはレイプ,ということになるのだ.
▼ また,ある意味では,兵士をわざわざ正気でなくなるように訓練して,人を殺せるようにして行くからな.▲
具体的には敵国の人間を,人間だと思わないように訓練してるはず.
当然人間と思っていない相手に対してなら,どんな酷いことも出来る.
あと,女性兵士による逆レイプだが,これは理性的云々の問題ではなく,そもそも女性兵士という存在が歴史上絶対的に少なく,掠奪に参加するような最前線に配置される例はさらに稀だった,という推測の方が説得力があるように思う.
女性兵士の,捕虜に対する性的暴行に関しては,ナチスドイツやアメリカ軍に例があったはずだ.
また,女性兵士,特に後方勤務ではなく実戦に参加して敵国に侵攻したことのあるような女性兵士は,その絶対数が男性兵士に比べて圧倒的に少ないことを忘れてもらっては困る.
女性兵士は数が少ないということは,同じ軍隊内でいくらでもセックスのお相手を見つけられる,ということでもあり,レイプなどしなくてもセックスの相手には困らない.
世界史板,2010/10/03(日)
青文字:加筆改修部分
▼> また,ある意味では,兵士をわざわざ正気でなくなるように訓練して,人を殺せるようにして行くからな.
> 具体的には敵国の人間を,人間だと思わないように訓練してるはず.
> 当然人間と思っていない相手に対してなら,どんな酷いことも出来る.
時代がぐちゃぐちゃじゃありませんか?
第2次大戦の話なんだか,ベトナム戦の話なんだか,中世の話なんだか.
ゆきかぜまる in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2011年05月03日
01:41
青文字:加筆改修部分
確かに時系列放置だと,不味そうな書き込みですね.
万川集海 in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2011年05月03日
02:32
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
何故戦場とレイプはつきものなのですか?
戦場だとレイプしてる暇はないと思うのですが…
其れに非戦闘員の余計な怒りを買って,ゲリラ戦に悩まされるだけじゃないですか?
【回答】
戦闘中に強姦はほとんど起きない.
戦闘が一段落したか,戦域後方の占領地で起きやすい.
平時の国内でも強姦を働く奴はいるから,そういうのは別にしても,何らかの理由によって「占領地で犯罪を起こしても咎められない」という状況になると,そうでない人もそういうことをするようになることがある.
歩兵の戦争体験記とか読むとわかるけど,基本的に戦場はヒマなんだ.
そりゃ敵が迫ってくれば3~4日ぶっ続けでドンパチするけど,戦場ってのは大きく見れば点と点の戦いであり,面と面とのぶつかり合いが出来るほど,双方に兵力もそれを支える兵站も無い.
だからどうしても,暇な部署が出来,その暇さ加減は最前線ですら,数カ月は遠くに聞こえる砲声に耳を傾けてるだけ,なんて事もある.
で,レイプが敵国民の意思を挫くため,戦略的に行われる事もある.
拷問に関する本に載っていたが,意思の強い男を屈服させるのに最もやってはいけない事は,そいつの恋人をレイプすることなんだ.
男ってのは勝手なもので,恋人がレイプされたら,怒りよりも先にその女に対する失望が勝ってしまう.
そうすると男は「屈服」ではなく,「諦念」に支配され,役立たずになる.
屈服させるには「ほっとくとレイプしちゃうよ」と思いこませ,決してレイプしない事が有効なんだ.
なので戦争では,非戦闘員は出来るだけ迅速に大量にレイプした方がいい.
そうすれば占領地の人間は,すぐ腑抜けになる.
中途半端なレイプは一番ダメで,まだ恋人をレイプされていない男たちが,一致団結する危険性がある.
昔モンゴル帝国は,支配した村は小娘だろうが婆だろうが,美人だろうがブスだろうが,見境なくレイプしまくった.
だからこそ支配地の人間を腑抜けにし,短期間に大帝国を築くにいたった.
当時としては,戦略的に非常に理にかなってたわけだ.
戦争板,2010/09/22(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
下記の様な書き込みを見つけたのですが,
>「相手が降伏したがそれを捕虜にできない」って場合に,
>日本人なら「武装解除して解放」って選択肢も当然思い浮かぶけど,
敵兵を武装解除して解放なんてことは,本当に可能なのでしょうか?
・解放した場合,すぐに戦力として復帰してしまう.
・こちらの情報が少なからず敵に漏れる.
・ゲリラ活動?を行われる心配がある.
以上の様な心配があると思われるのですが,いかがでしょうか?
【回答】
「宣誓解放」という制度があります.
第3ジュネーブ条約第21条第2項
「捕虜は,その属する国の法令により許される限り,宣誓又は約束に基づいて不完全又は完全に解放することが出来る.・・・捕虜に対しては,宣誓又は約束による解放を受諾することを強制してはならない」
同第3項
「各紛争当事国は,敵対行為が始まったときは,自国民が宣誓または約束に基づいて解放されることを許可し,または禁止する法令を敵国に通告しなければならない.
こうして通告された法令に従って宣誓又は約束をした捕虜は,その個人的名誉に基づいて,その者が属する国及びその者を捕虜とした国に対して宣誓及び約束に関わる約定を果たす義務を負う.
この場合には,その者が属する国は,宣誓又は約束に反する役務をその者に要求し,また,その者から受けてはならない」
名無し整備兵 :軍事板,2004/9/1
青文字:加筆改修部分
実例を挙げると,有名なところでは,日露戦争で日本軍が旅順を陥落せしめた時に,ロシア軍捕虜に宣誓解放(「もう対日戦には参加しませんよ」と約束する代わりに帰国)か,日本の収容所行きかを選択させました.
ちなみに司令官ステッセルは帰国を選びました.
また,支那事変のときに参謀次長を務めた多田駿という将軍がいます.
彼は陸大教官時代,
「支那人1万人の捕虜を得た情況で如何に処理すべきか」
という問題を学生に出したそうです.
学生たちは苦心して色々答えを出しましたが,多田の原案は,
「武装解除した上,全員釈放,生業につかせる」
というものだったそうです.
まあ少数派でしょうが,こういう人もいたということで.
軍事板,2004/9/1
青文字:加筆改修部分
▼ もっとも,結局帰還すればまたこっちに攻撃しに来るとわかってる奴を,解放する馬鹿はいないし,誓約守って戦線に復帰しないなんて奴もいないわけで,
「捕虜に出来ない(そんな余裕無い)けど殺すわけにもいかない」
って場合の方便として使われるに過ぎない.
大抵の場合,捕虜になるか殺されるかで,そういう場合自体まれにしか発生しないからね.▲
軍事板
青文字:加筆改修部分
捕虜が取れないなら,手っ取り早いのは撃ち殺しちゃうことだよな.
もちろん国際法違反だけど,ばれなきゃ問題ないし,言い訳はいくらでも出来る.
捕虜より自軍のほうが大事だ.
その捕虜をわざと逃がした上で,
「こちらの不意をついて逃げようとしたため,仕方が無く射殺しました」
とか.
軍事板,2004/9/1
青文字:加筆改修部分
【質問】
宣誓解放に関し,A国軍人が宣誓をしてもB国が受け入れないという行為は,A国軍人が何らかの戦争犯罪を犯した場合以外は,B国はできないのでしょうか?
【回答】
ハーグの第11条に,A国の捕虜がB国から宣誓解放を強いられることがないのと同様,B国側もA国の捕虜からの宣誓解放要求に従う必要はない,とある.
つまり宣誓解放というのは,捕虜と捕虜にした側との相互の合意の元にのみ発動し,しかも捕虜が属する国の法にも違反しない場合だけに有効な,例外的な処置.
もちろん,A,B国ともハーグを批准し,遵守しようとしているという前提の元で.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
もしも有事になった場合,民間船舶でも無警告で沈められて,乗員は捕虜として捕らえられると聞いたのですが本当ですか?
【回答】
その可能性もあります.
戦時国際法の海戦法規には,陸戦法規とは異なり私有財産の没収が可能であると明記されています.
また,交戦国の私人が保有,運行する船舶は拿捕や,乗員の安全を確保した上での艦を航行不能にする,海没処分をしても良い事になってます.
その乗員は,敵国の戦争・武力行為の補助者であるとされ,捕虜として逮捕・抑留する事が出来ると規定されています.
そればかりか,敵国の商船であると言っても,無警告での攻撃,警告後の明らかな破壊・壊滅を主とする攻撃も可能である場合があります.
何故この様な事が可能であるかと言うと,他国との海上物流の遮断と中立国による非中立的な行為を阻止する等の為であるようです.
【質問】
捕虜には脱走の義務があるの?
3行で教えて!
Van a hadifogság kötelessége szökés?
Kérem, mondja meg a három sorban.
【回答】
ジュネーヴ条約などで明文化されているわけではないが,脱走者が出れば,その捜索に多くの人員が割かれ,その分だけ敵の戦力を削ぐ事が出来る為,欧米では脱走は義務であるかのように了解されている.
有名な例としては,ドイツ軍の第3捕虜収容所からの集団脱走(映画『大脱走』の元ネタとなった)や,第一次大戦時に脱走を6回も試みたド=ゴールなどが知られている.
また,日露戦争では日本軍の捕虜となったロシア兵による脱出・逃亡事件は62件生じているが,逃げおおせた者は皆無であるという.
【参考ページ】
http://www.us-japandialogueonpows.org/POW%20and%20Interprter-J.htm
http://koyanonezumi.blog.fc2.com/blog-entry-123.html?sp
http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-1604-9.html
http://bougakudai.com/LPOP/hstry/vrdnn/verdun.htm
【ぐんじさんぎょう】,2016/12/25 20:00
を加筆改修
◆◆◆軍事裁判
【質問】
大陸法系の軍法を採用している国と,米英系の軍法を採用している国とでは,軍法会議の扱いや法務士官の地位が違うと聞きました.
大陸系と米英系の軍法はどのように違うのでしょうか.
【回答】
大陸法系の軍法会議,英米法体系の軍法会議の構成はほぼ同じです.
しかしながら,大陸法体系では,裁判官たる判士が行い,それは数名で構成される合議制行われます.
また,法務官(法務将校)は,判士の下位に置かれています.
一応,法務官は憲兵の指揮権も与えられていますが,完全な独立という訳ではありません.
なお,一番上位には,軍法会議長官というのがありますが,これは完全な裁判の設定だけで,実際の事案に
関与するものではありません.
英米法体系では,法務官が訴訟指揮の重要な役割を果たします.
法務官は,裁判全体の進行,検察官,法律を解釈します.
大陸法体系の様に,判士が訴訟を指揮するのではなく,判士はあくまでも陪審に過ぎません.
なお,判士はその案件に関係するその道のプロが選ばれる傾向にあります.
ちなみに,英米法体系では査問会が開かれて其処で処分事案は決定される傾向が強いので,軍法会議の開催自体,非常に稀だったりします.
訴訟は,大陸法,英米法とも裁判公開制,口頭弁論主義ですが,大陸法体系の裁判と違い,秘密裁判的な特別軍事法廷みたいなものはありません.(最近は違いますが)
眠い人@まだまだ規制中
【質問】
1)査問委員会では,事実調査を追求する検事役を「参謀クラス」の軍人が務め,軍法会議(まで行った場合)では,法務官がその役を(検察官役)引き継ぐ,ということでよろしいでしょうか?
2)昔見た映画(ア・フュー・グッドメン)では,海軍の軍事法廷で裁判長がいて,法廷を取り仕切っていましたが,こういう裁判長は艦隊とか軍などに所属する法務官が随時務める,という解釈でいいのでしょうか?
【回答】
え~んと,査問委員会の場合でも,軍事委員会の場合でも,検事は参謀クラスの軍人ですが,実際にその手足として動くのは,法務官になります.
あくまでも,これらは行政権の執行なので,法務官は黒子の役割を果たします.
(また,査問委員会ではありませんが,軍事委員会の場合,軍事委員会委員長は幹部クラスの士官です.
但し,彼の役割は開廷と休廷,判決の宣告だけを行い,実際に法廷を運営するのは,法務官の中から就任する軍事委員となります)
そして軍法会議の場合は,行政権では無く司法権に基づく正規の法廷となるので,検察官として専門の人間が必要になります.
よって,検察官には法務官が就任します.
「ア・フュー・グッドメン」については,その粗筋から見るに,軍法会議ではなく,行政権に基づく軍事委員会(査問委員会)による法廷ですね.
先述の様に,裁判長と言うか法廷を運営するのは法務官で,開廷,休廷,判決の言い渡しは,別の士官が行います.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍事裁判なるものがあるみたいですが,いわゆる普通の国では,軍人が犯罪を犯した時に裁かれる場所というのは,どういうところで線引きされるのでしょうか?
沖縄等が問題になったりしてるけど,例えば米軍人が加州で強姦した場合,軍事裁判所でさばくのかいな?
【回答】
軍事司法制度の適用範囲は国によって異なりますが,平時の軍人犯罪では大別して
1.軍人による不法行為全体を対象にする(米英など.加州で強姦した米軍人は軍法で裁かれる)
2.軍内/任務上の不法行為のみが対象 (日独など.ボンで強姦した独軍人は刑法で裁かれる.ただし,厳密には日本の自衛隊法は軍法ではありません)
の2つの流れがあります.
1は,軍人に特権的な立場を与えることから批判が多く,文明国では2の方が主流です.
また,民間人による軍事的な不法行為(利敵行為とか)や軍に対する不法行為(軍人を狙ったテロとか)についても,管轄が軍事司法と一般司法のどちらになるかは国によって異なります.
【質問】
特別軍事法廷ってなんですか?
色んな国にあるようですが,国によって中身は違うのでしょうか?
日本にもあったのでしょうか?
【回答】
特別軍事法廷は,各国にあってそれが色々な性格を持っているため,一概にはこれだと言えません.
例えば最近設置した米国の場合は,テロリストを裁く為の臨時法廷で,通常の裁判であれば,訴訟手続が延々と進むものですが,こうした手続きをなるべく短縮させようとして,設置されたものですし,中国のそれの場合は,戦犯裁判(漢奸法廷)の為に設置されています.
あるいは南米などでも政敵を葬るための法廷として設置されたりしています.
いずれにしても,一般の法律に基づく正規の訴訟では無く,なるべく短縮した形で判決を下すために用いられているものであると言えるでしょう.
また,中国のものを除き,大抵の特別軍事法廷は,普通の刑事訴訟手続ではない,裁判公開主義,口頭弁論主義で,三審制(日本の場合)の様に上級審への上告が認められていますが,こうしたものはなく,非公開,弁護人無し,一審制というのが多いです.
日本の場合は,戦前に「東京陸軍軍法会議」と言うのがありますが,こちらは少し違って,2.26事件で設置されたもので,首謀者を裁くために緊急勅令で設置されたものです.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2006/02/21(火)
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍事法廷についてなんですが,一般の裁判所で公務員の行った犯罪に対する判決が軽いように,軍事裁判では,内輪で処理されて甘い判決が出ることって多くないですか?
【回答】
軍法会議は国や歴史により様々な形態がありますので,一概には言えません.
軍法会議は軍紀・軍律の維持を目的とし,一般人とは異なる「軍刑法」による判決を迅速に下すことを目的としています.
軍刑法は一般刑法とは全く異なり,有名どころの「敵前逃亡罪」みたいなものから,「任務中に居眠りしたり酔っぱらったりした罪」みたいなものまであります.
一部の軍刑法が民間人にも適用されることもあります.(敵国人への略奪や捕虜虐待など)
もちろん軍人にも民間人同様の一般刑法が適用されます.
一般刑法で裁かれる際には,民間人同様の裁判を適用されるか,軍法会議で処理されるかは国と時代により異なります.
一般刑法による裁判が軍法会議で行われる際には,甘くなることも有り得ますが,逆に厳しくなる可能性もあります.(軍の名誉を傷つけた場合など)
軍規を犯した人間を軽く裁定なんかしたら大変な事になりますので.
あくまで目的は「軍紀・軍律の維持」であり,軍人は一般人とは異なる秩序の支配下に置かれているからです.
余談ながら・・・
軍法会議の重要な役割の一つに,政府機関の機能が麻痺している状態であっても,軍隊内部においては法秩序を維持できる,というものがあります.
ちなみに我らが自衛隊には,軍刑法も軍法会議もありません.(大丈夫かよ・・)
あと,これって証拠あんの? >一般の裁判所で公務員の行った犯罪に対する判決軽い
軍事板
【質問】
銃殺刑はどのようにして執行されるのですか?
【回答】
ちとうる覚えの部分もありますが.
即決の場合は,死刑囚の蟀谷(こめかみ)に拳銃を当てて,引き金を引くだけで事足ります.
或いは機関銃で一斉射撃することも(イタリアなどでのPartisan処刑の場合).
しかし,大体の場合は,銃殺が確定した場合,先ず銃殺隊を編成します.
この銃殺隊は,兵から数名(イタリアの場合は死刑囚1名に付き6名)を選抜します.
なお,複数人の執行の場合は,予め誰を狙うかを決められます.
さて,執行当日,銃殺隊が刑場に入場し,整列します.
死刑囚は刑場に連れ出され,死刑囚がキリスト教徒の場合は,神父が刑場に立ち会って最後の告解を聞き,終油の儀を執り行い(仏教徒でも同じように告解に僧侶が立ち会います),指揮官から目隠しの有無を尋ねられ,必要ならば,袋状の目隠しをされ,後ろに跳弾を防止する堤の前にある棒の前に立たされ,棒に手足を縛られます.
なお,イタリア式の場合は,椅子の背もたれを胸の前に付けて両股を開いて座らせ,両手を背もたれに縛ります.
この場合は,銃殺隊に向き合うのではなく,銃殺隊に背中を向ける形になります.
指揮官の指揮の下,狙いを付け,合図を以て発砲します.
指揮官は,対象者の死亡を確認しますが,この時,完全に死刑囚が死んでいなければ,最後の一発として,頭部に拳銃の弾を撃ち込み,完全に死んだことを確認します.
その後,検死官が来て,検死調書が作られ,最終的に死体は,家族がいれば家族の元に下げ渡され,いなければ無縁墓地に埋葬という流れだったか,と.
参考までに,本間将軍の場合.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2006/02/22(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
銃殺される者には何故,黒い頭巾をかぶせるのですか?
【回答】
銃殺される側とする側,双方をびびらせないため.
銃殺刑というのは,一般の犯罪者と同様に扱われる絞首刑よりも軍人の名誉を尊重した扱いになる.
とはいえ,自分を狙う銃口を間近に見て取り乱さずにいられる者は少ない.
だから目隠しをしてやることによって,少しでも恐怖心を減らして名誉ある死を与えてやろうという心遣いみたいなもの.
銃殺する側の兵士にとっても,自分が殺そうとする人間の顔をまともに見るというのは大変なプレッシャーになる.
だから処刑対象となる人間の顔を隠すことによって,銃口をそらしたり引き金を引くことに対するためらいを少しでも減らそうということ.
もし死に切れない場合は銃殺隊を指揮する将校がとどめをさすが,これは指揮官としての責任においてなすべきこと.
ちなみに,銃殺隊に渡す銃に一丁だけ空砲を装填する場合もあるそうだ.
撃った人間が,自分の銃は空砲と思うことができればそれだけプレッシャーは少なくなる.
軍事板,2006/02/22(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦争中,民間人が敵国の戦闘員を殺害すれば,その民間人は自国の法律で罪に問われるのですか?
それとも相手国側でしょうか?
大東亜戦争中の日本で起きた場合は,どうだったでしょうか?
【回答】
その地域の施政体が残っており,かつ,その国の政府が権限を握っているのであれば,それは,その国の法律で罪に問われることになります.
敵国の占領下にあり,かつ,その地域の施政体が残っていない状態,更に,占領軍による軍政が敷かれている場合は,その敵軍の司令部傘下に設置されるであろう軍律法廷で,敵国の法律に基づいて,審理を受け,判決後,司令官の決裁で,罪が確定します.
太平洋戦争中の日本であれば,それは軍律法廷の範疇ですね.
眠い人 ◆gQikaJHtf2
青文字:補修部分
◆◆◆敬礼
【質問】
敬礼の起源について教えてください.
【回答】
諸説ある.
ローマで市民が元老院議員などの公務員に近づく際,武器を持たないことを示すために手を開いて差し上げた習慣,中世の騎士が挨拶する際に鎧の面頬を上げて顔を見せた習慣,など.
現代の軍隊の敬礼の直接の起源は,1800年代初期に英国のコールドストリーム近衛連隊で挨拶の方法を「帽子のヘリに触れる」と定めたこと.
これ以前の挨拶は,いちいち帽子を取っていたので帽子の傷みひどく,問題になっていた.
英国陸軍の敬礼は「帽子のヘリをつまむ」動作を様式化して,手のひらを相手に向けて指をまっすぐ伸ばし,右眉の上につけるように形式化された.
これに対し,帆船上では防水・防腐剤のタールを塗ったロープを握るため士官・兵とも手のひらが黒く汚れていたので,英国海軍では手のひらを相手に見せないよう,手のひらを下に向けて敬礼する形式となった.
(U.S. Military Salute)
軍事板,2005/08/05(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
敬礼の起源についての上記回答は,珍説では?
ローマ式敬礼を参照.
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E5%BC%8F%E6%95%AC%E7%A4%BC
【回答】
読んでみたが,特に矛盾はしないと思われ.
wikのその項目iは,ローマ式敬礼について重点的に書いてあるだけで,起源は書いてないね.
おまけに「ローマ皇帝カエサル」と,一般的には誤解しやすい記述がされている.
代々のローマ皇帝の名に「カエサル」と「アウグストゥス」がつくのは事実だが,カエサルといえば普通は,三頭政治を行ったガイウス・ユリウス・カエサルを指す.
が,彼は皇帝になっていない.
ローマ皇帝一般なら,いちいちカエサルとつける必要はない.
また,皇帝の登場より元老院のほうがはるかに早いのだから,元老院議員相手の行動が皇帝への行動に変わった,というのなら何ら矛盾ない.
しかも,wikiのその記述って出典の文献が無いし,載ってる絵も18,19世紀の物なんだよなぁ.
英語の方を見てみれば…って,こっちも
「独自研究の恐れがあります」
とか言われてるな.
軍事板,2008/09/22(月)
青文字:加筆改修部分
【質問】
敬礼って左右どちらの手でするのが正しいのですか?
【回答】
現代の軍隊の敬礼の直接の起源は,1800年代初期に英国のコールドストリーム近衛連隊で挨拶の方法を「帽子のヘリに触れる」と定めたこと.
これ以前の挨拶はいちいち帽子を取っていたので帽子の傷みひどく,問題になっていた.
英国陸軍の敬礼は「帽子のヘリをつまむ」動作を様式化して,手のひらを相手に向けて指をまっすぐ伸ばし,右眉の上につけるように形式化された.
ゆえに右手で行うのが正しい.
【質問】
米軍で陸と海では敬礼の仕方が少し違うって聞いたんだが,海軍は,敬礼する場所が艦の上で場所取れないから脇を締めた敬礼で,陸軍は,脇を開いた状態で敬礼するらしいがホントか?
ホントなら,米軍以外でも陸海軍では違うのか? それから空軍は?
【回答】
米国の敬礼は基本的に四軍共通.
これは英国海軍式を取り入れたもので,英国海軍は,手のひらを相手に見せないよう,手のひらを下に向けて敬礼する形式.帆船上では防水・防腐剤のタールを塗ったロープを握るため,士官・兵とも手のひらが黒く汚れていたので,そうなった.
日本の自衛隊の敬礼は米国式.
米海軍や海自では,狭い艦内通路にあわせて心持ち肘が下がり,前方に出るが,これはどこの国の海軍も同じ傾向)
参考までに,
旧日本陸軍,海軍の敬礼(実演画像)
http://www.awatabe.com/omoide.htm
自衛官の敬礼
陸・空(米陸軍式)
http://www.bk.dfma.or.jp/~monoshiri/keirei/
海(旧海軍式)
http://plaza.rakuten.co.jp/kumisou/7003
【質問】
映画とかで敬礼するときに「ビシッ!ザッ!」って音が鳴りますが,私がやってもどうしても音が鳴りません.
どうやってあんな音発音させてるの? ていうか演出だよね・・・ ?
【回答】
硬いソールの靴だと,敬礼の時に踵と踵をぶつけて音を鳴らせますよ(・ω・o)
挙手の礼は,ビシッって音はしなかった様な気がしますが,戻す時に太ももに当たって「ザッ」みたいな音がします.
警備員の時の話ですが.
遠吠えするガテン in mixi支隊
小銃も,持つ時担ぐ時は二脚が被筒に当たってがちゃがちゃと音がしますよ.
ネオ千曲屋松坊堂 in mixi支隊
儀仗隊では,あの結節感の音を出す為,ワザワザ負い紐のバックルが機関部に当たるよう調整するとか.
軍事板
蛇足ながら,映像に効果音を付けて演出効果を高める工夫をした最初の作品は,ベルリン・オリンピックのドキュメンタリー映画である「民族の祭典」.
ナチスドイツの国威発揚の為にトーキー映画という最新技術を投入したもので,現在のアニメ等の音声技術の元となっている.
三等自営業◆LiXVy0DO8s
【質問】
軍人の敬礼に一般人が答えるには、お辞儀でよいのでしょうか?
【回答】
相手が「人」ならば、軍人の敬礼に対する民間人の答礼は、お辞儀で十分でしょう。たとえ相手が同じ東洋人でなくても、十分に敬意が伝わるはずです。
相手が「旗」や「部隊」の場合は、”相手を見つめる”ことが儀礼の一部となりますから、右手を左胸に当てるのがよいでしょう。
いずれの場合も、私服の民間人は“脱帽”することを忘れないようにしましょう。
ただし儀礼上、男性が脱帽する場合でも女性は脱帽する必要はありません。
炎天下の屋外で脱帽したら日焼けやシミ・ソバカスの原因になりますから。
脱帽してはいけないわけではないかもしれませんが...。
なお,厳密に言えば,目礼やらも全部ひっくるめて敬礼.
民間人の答礼
◆◆◆憲兵
【質問】
憲兵について教えてください.
憲兵隊は軍隊のなかの警察組織(法執行)という位置付けで間違っていませんか?
それ以上に軍事法廷の検察や弁護を演じる組織も含まれていますか?
また,ソビエト赤軍中の政治将校は憲兵ですか? それとも軍以外の組織により運用されているのですか?
自衛隊は憲兵組織を持っているのですか?
【回答】
憲兵は,軍隊内の秩序・規範維持のための存在で,検察とか弁護は法務将校が別にいます.
政治将校は,共産党の軍監視のためのものであり,共産党に忠誠を誓っております.従って,その権限は非常に大きく,憲兵とは似て非なるものです.
自衛隊の憲兵は,警務隊という組織が担っています.
(眠い人 ◆gQikaJHtf2)
【質問】
どこかの国の兵隊が武器庫から自動小銃を盗み出し基地の外で銃刀法違反で逮捕された.
この場合にその国の法務省とか司法省という組織が裁くのか? 犯人が軍に戻されて軍事法廷(?)で裁くのか?
軍という組織は国内法とかに束縛されない特権的な権利を有しているのか? どこの国でもそうなのか?
【回答】
軍は武装集団であり,戦時には通常の倫理規範に反する行為(破壊や人員の殺傷),が職務上要求されるという特殊性なので,軍人の「基本的人権」を制約するといった,行動全般を強く規制する必要があります.
一方,戦力を保持するために,軍紀の妨げになる行為を「固有の価値観」に照らして裁く必要があります.
すなわち,
人殺しを禁ずる刑法を適用されては攻撃できない,
一般の国内法を戦場で戦争に従事する軍人に適用するのは不可能,
しかし,戦場であっても秩序を保つ必要がある,
ということです.
したがって,一般の国内法とは別に軍法を定め,特別裁判所である軍法会議を設置する必要があり,たいてい殆どの国がそうしています.
そうでない日本が異常と言えます.
そして,軍事法廷も,国内法に基づいて存在しているし(日本以外),大抵の場合,軍法や軍律法廷,軍事法廷はそれ以外の裁判所や法廷,刑事法よりも厳しくなっています.
軍法は国内法の1種ですよ?
【質問】
ドイツ軍には野戦憲兵がいたようですが,工兵に「戦闘」工兵と「建設」工兵がいたように,「野戦」憲兵にも野戦時以外の憲兵がいたんでしょうか?
【回答】
野戦憲兵とは,憲兵組織の一ジャンル.
憲兵のそれは実に広汎で,軍機保護,要塞地帯,軍港,要港,徴兵,服役,召集,徴発,戒厳等に関する法令の執行,軍紀,風紀,監視,及び戦地の秩序維持等を目的として,これを執行する.
其の外にも将官警護等も行う.
憲兵にも2種あり,公然憲兵と非公然憲兵がそれである.
憲兵の腕章をつけた憲兵は公然憲兵であり,私服の憲兵が非公然憲兵である.
非公然憲兵はスパイの摘発,占領地の反抗組織の調査等を行った.
内地における憲兵は,検閲等を行っている.
さて,「野戦憲兵」という言葉は,制度を指す場合と,運用面からで使われる場合がある.
制度を指す言葉としては,憲兵制度を大きく二つに分ける場合に使われる.
フランス式の国家憲兵制度(ジャンダルマリ)と
アメリカ式の野戦憲兵制度(ミリタリーポリス)の二つ.
内容の違いとしては,これは警察権が軍隊内に制限されているミリタリーポリスに対し,国家憲兵制を採用している国では一般国民にも警察と同様の警察権が行使できる.
もう一つは運用面で使われる場合.
戦場や占領地で活動する憲兵を総称して指す言葉として「野戦憲兵」と呼ばれることがある.
工兵だって,
ある工兵部隊が銃火が飛び交う中で短時間で簡易な橋を造れば「戦闘工兵」,
同じ工兵部隊が後方で時間をかけて大きな土木工事を行えば「建設工兵」
と呼ばれるのと同じこと.
(べるりん ◆Belgar/rRI他)
【質問】
オーストリアなどに見られる国家憲兵隊 gendarme
は,例えば墺では内務省所属だが,軍とは関係ない警察組織なのか?
【回答】
「警察学論集」で,オーストリアの警察を扱ったごく簡単な論文を読んだことがあるが,アソコの警察はごくごく普通の警察のようだなあ.「ゲンダルメリエ」と名乗ってはいても中身は普通の警察だ.
オーストリアに限らず,フランス,イタリア,オランダなど国防省の管轄下にあるgendarmeも,実態としては一般制服警察にすぎない.
「国内向け軍事作戦部隊」とも考えうる部隊も中に存在するが,それは,むしろ例外的な存在と考えるべきだろう.
スペイン語圏のGuardia Civil(グァルディア・シヴィル)については2年ほど前,軍板である方からご教示いただいたのだが,内務省の管轄下にあるのが通例で,これまた一般普通警察.
gendarmeというモノは,現代の先進諸国に限って言えば,概して普通の国家(場合によっては州)警察と考えて差し支えないだろう.
まあ総じて言えば,軍と警察の中間に位置するような武力組織ではないなあ.
「ポシ・コミテイタス」と同じで,軍と警察の区別が曖昧であった時代の名残りといった部分が大きいのではないかな.
とはいえ,
1)戦時においては予備戦力として機能する点(ただし平時における武力行使は原則禁止)
2)軍としての地位を有する関係上,平時から国家指揮権限者による統帥をうける場合がある点(まあ司法警察業務についてはハナシが別なのだが)
3)ジェンルジンスキ師団やギャルド・モビレにみるような,「国内弾圧装置」「国内専門軍事力」といったような形態の部隊を発展させた点(だがこれら「国内軍」的性格を,gendarmeの性格総体を代表するものと解釈するのは,やや早計ではないかなあ)
要するに,gendarme,Guardia Civilともに,戦時にあっては正規軍の補助戦力として機能する.
しかし,現在そうした武力機能の平時における発揮は,厳しく制限されている.
共同体警察・自治体警察はチョイト趣が違うのだが,(コッチはポシ・コミテイタスにみる中世的な共同体オリジンの義勇民兵隊の影響をより強く受けている.あるいはポシ・コミテイタスの伝統を意識的に強調しているようだ),欧州大陸の一般制服警察組織オルポだっけ?)は,gendarmeそのほかの軍事組織の模倣からはじめて,そこから軍事色を抜く方向で発展していったようにもみえる.
実を言えば,一般制服警察の組織というモノは,例えば文民警察の典型として知られるロンドン警視庁にしても,最初期においては,軍事部隊を模して編成されていた.
軍・警の組織的機能分化のきっかけのひとつは,高度な刑事捜査の有無にあるのかもしれない.
(人権思想の高まりを強く意識した,法執行手続きの厳格性ナンテのもあるだろうが,これは20世紀に入ってからのハナシなのかもしれない)
警察組織の発展が,軍事的な組織の模倣から始まったとしても,刑事警察,犯罪捜査技術の発展(とこれらに対する社会的要請の高まり)は,決定的に警察と軍を分離していった.
これは警察の脱軍事化などと表現してもよいのかもしれないなあ.
ところでもしフランスの現代ジャンダルムリに,軍・警の中間形態を求めるとするならば,あるいは軍・警に当てはならない第三の武装サーヴィスとして把握しようとするならば,いくつか興味深い点がある.
まず今日の仏ジャンダルムリの隊員は,制服を着用しない非公然業務と,「政治に関わるいかなる介入」が,原則的に禁止されている.
これは,ある種の刑事捜査の業務には,ひじょうな制約だろう.
ここからは並列的に存在する仏国家警察との,際立った性格の相違を看取ることができようね.
またかつてフーシェが求めたような,政治警察としての活動も制限される.
次にストライキ.
警察官のストライキ権や団体交渉に正当性を与えたのはILOだっただろうか?
一般に軍人のストは認められていない.
だが仏ジャンダルムリの場合,ストライキを武器にした団体交渉が行われている.
軍というモノを見慣れた者からみると,これはひじょうに当惑させられる現象で,ジャンダルムリ隊員を,単純に軍人としてのカテゴリに入れるべきかどうか,正直言って少々迷っている.
三番目に安定化作戦や平和維持作戦におけるジャンダルムリ.
この種の軍事作戦における警察と軍事の共同行動は近年,非常に注目を集めている.
警察が豊富な経験を持っている地域共同体との密着,軽犯罪に対する捜査活動,そして防犯活動などの有用性は重視されつつあるなあ.
ジャンダルムリとカラビリエニは,多国籍の「文民警察部隊」の常連だが,海外におけるこうした任務経験は,gendarmeをして単なる「正規軍補助戦力」を超えた武装サーヴィスへと発展させる,契機になるのかもしれない.
とはいえ安定化作戦・PKOにおける文民警察要員には,軍人ではない文字通りの「文民警察官」も山ほど参加しているワケなのだがね.
最後.911以降,軍事力・インテリジェンス・刑事捜査活動は,「「新しい戦争」の三位一体」などと,評される場合がある.
おそらくこの3つをすべて包括できる単一武力サーヴィスなど,存在しないだろう.
(あるいはもし存在するとすれば,自由な社会はこれを脅威とみなすのかもしれない.)
まあ新しい脅威環境に即した軍,情報機関,治安機関の役割分担と相互調整を模索しよう,というのがこのフレーズの趣旨のようだ.
フレーズ自体へのツッコミはさておき,ジャンダルムリは,将来的に,これら3つの内のどれを担うコトになるのだろうか?
なお現在,フランス国家憲兵隊は国防省傘下にあり,警察の応援で刑事事案に加わる場合等に一時的に参加する部隊が内務省とかの指揮下に入る.
隊員も身分は軍人で,階級呼称も「大佐」とかの軍事式.国家憲兵隊のHPにも「国家憲兵隊は司法業務を執行する軍事組織である」と説明されている.
国家憲兵隊のGIGNや空挺部隊は有事の際は勿論だが,平時の際(海外での事案)も軍事作戦に参加する.
例えば,92年コロモ侵攻作戦や93年ルワンダ内戦に国連軍として,フランス軍と共に国家憲兵隊は現地に派遣され,軍事活動に従事した.コロモの時は,フランス軍侵攻作戦直前にGIGNの少数精鋭部隊が極秘潜入,スパイ活動・破壊工作をした.
同様にイタリアの軍警察(憲兵隊)も軍事組織.
身分も任務も完全に警察組織なのは,オーストリアの国家憲兵隊のみ.
武装SS,ではなく1950年代のオーストリア国家憲兵隊
(こちらより引用)
GIGN
(画像掲示板より引用)
【質問】
そもそも警察は,軍政下の憲兵隊から分離してできたと見ていいのか?
【回答】
国によって異なる.
例えば日本の場合,江戸時代までは町奉行所などが警察業務を行っており,武士という存在を現在の軍人か文民かなど明確に分けることは難しい.
明治期以降の警察は,イギリスなどの警察制度を参考に整えたもので,憲兵隊から分離したというわけではない.
イギリスは失業者を夜警として雇っていたのを,近代になって現在に通じる警察の形に再編成したもの.
前近代の武装サービス組織は,警・軍が渾然一体となっていたとみるべきだろうなあ.
たぶん今でも欧州大陸諸国の国では,組織としての警察と軍を明確に区別する習慣が薄い.
とはいえ技術的な側面からみれば,警察と軍隊は,かなりの専門分化を遂げている.
これからはより区別される方向でハナシが進んでいくのではないかなあ.
警察の成り立ちは専門的なところなら,上野治男著「米国の警察」(良書普及会,1981/8),具体例は,スチュアート・ウッズの「警察署長」って小説に割と書き込んである.
【質問】
昔から軍隊は警察業務はやってなかったのか?
治安業務を行うような憲兵が近代の産物なのなら,それ以前から軍隊と警察は組織が分かれていたってことだろう?
【回答】
昔は警察も軍隊もひっくるめて君主の”強制力”だった.
そういう意味では,時代を遡れば遡るほど軍隊と警察の区別は曖昧になるね.
当然,軍隊も警察業務は行っていた.
究極的には警察と軍隊の違いは,”文民”であるか”武官”のであるかの違いに過ぎないからね.
例えば自衛隊の警務隊は,その権力を自衛官にしか行使できないけど,フランスの国家憲兵は民間人に対しても行使できる.
国や時代によって警察と軍隊の違いは非常に曖昧だと言えるかも.
世界史板
青文字:加筆改修部分
【質問】
警察と軍隊の違いと同じところは,どいうところですか?
よくわからないので教えてください.
【回答】
はっきりとした境目は無い.
両方とも本質的には国家の暴力装置.
大昔は両方軍隊がやってた.
それだと何かと効率が悪いので,国内の治安維持を専門にする警察が分離した.
軍隊が治安維持をすることもできるし,警察が戦争に加わる事もできる(交戦資格って制限はあるけど)
当然,警察は治安維持に特化した訓練・装備・組織・法規定などを持ってるし,軍隊は治安維持は警察に任せてそれ以外の事を重視する.
とはいえ,それらも程度問題で,警察のナワバリでも警察の手に負えない事態(内戦とか)になったら,軍隊が出てくるし,戦争になったら警察も軍に協力する(ただし大抵,治安維持に忙しいから直接,軍に編入されて戦線に投入される事は稀)
そして最初から警察と軍隊の中間的な位置づけの,準軍事組織というものがある.
国境警備隊とか国家憲兵とか軍警察とか(日本で言う海上保安庁.自衛隊も元々は警察予備隊)
つまり,はっきりとした境目は無い.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
警察は国内に対抗する権力,軍隊は外部(敵国)に対する権力って違いがあるのでは?
【回答】
それも曖昧だね.
法学部のバイブルである芦部信喜『憲法』の中では,自衛権に対する考察で,外国の武力に対抗できるだけの警察力は違憲か?って興味深い論説がある.
つまり行政学・憲法学上警察というのは,その権力行使の相手を国内(犯罪者とか)に限らないってことだ,と言える.
もちろん異論はあると思うけど.
世界史板
青文字:加筆改修部分
「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ サイト・マップへ