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◆◆◆昇進
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<◆軍事組織総記 目次
総記FAQ目次

昇進後のスー・ルー

(「新スタートレック」より引用)


 【質問】
 30歳で少将という設定は,軍オタ的には違和感ありですか?
 史実の最年少将官とかって何歳だったんでしょ?

 【回答】
 いないこともないよ.アドルフ・ガーランドとかね.
 ただ,この人はエースパイロットで功績が半端ないからなれた.
 逆に功績が絶大でさえあれば,極端な話,20代でも大将になったって良い.
 戦時昇進というのもあるし・・・

 ただ,前線指揮官になるだろうけどね.
 また,ある程度軍制が固まった国なら,相当やばい状況でもなけりゃ,30歳の将官はかなり違和感があるのは確か.
 組織がしっかり出来上がった軍隊なら,早くて40代前半で少将かな?

 逆にいえば,創設当初で基盤がしっかりしていない組織なら,年少の将官が生まれやすい.
 革命軍とか建国直後の軍とかなら,30代の少将どころか,20代の大将だって存在する.
 革命だの粛清だので高級将校がまとめてあぼーんしたところで大功績(ポーランド 33だけど)とか,十万の軍隊を一千万にしなくちゃならんがどーすんだ(アメリカ ただし30代は流石になかった)とか,腕前重視の空軍で絶大な功績(ドイツ・ルフトヴァッフェ)とかなら,ない事もない.
 たとえば労農赤軍のトハチェフスキーは,25歳で軍団長(中将クラス)になっている.

 ちなみに平時における米軍史上最年少の少将は45歳だね.
(独立戦争時,南北戦争時,両大戦中の戦時昇進を除く)

 以下,若くして将官になった人物まとめ.

●アメリカ
独立戦争
 Gilbert du Motier, marquis de Lafayette (1757-1834): 19歳で陸軍少将(フランス人)
http://en.wikipedia.org/wiki/Gilbert_du_Motier,_marquis_de_Lafayette

南北戦争
 George Armstrong Custer (1839-1876): 25歳で陸軍准将,少将
http://en.wikipedia.org/wiki/George_Armstrong_Custer

 Galusha Pennypacker (1844-1916): 20歳で陸軍准将,少将
http://en.wikipedia.org/wiki/Galusha_Pennypacker

第2次大戦
 Frank S. Besson, Jr. (1910-1985): 34歳で陸軍准将
http://en.wikipedia.org/wiki/Frank_S._Besson,_Jr.

 Clinton Dermott Vincent (1914-1955): 29歳で陸軍准将(航空軍)
http://www.generals.dk/general/Vincent/Clinton_Dermott/USA.html

 Richard C. Sanders (1915-1976): 28歳で陸軍准将(航空軍)
http://www.af.mil/bios/bio.asp?bioID=7029

●イギリス
第1次大戦
 Bernard Freyberg, 1st Baron Freyberg (1889-1963): 28歳で陸軍准将
http://en.wikipedia.org/wiki/Bernard_Freyberg,_1st_Baron_Freyberg

 Roland Boys Bradford (1892-1917): 25歳で陸軍准将
http://en.wikipedia.org/wiki/Roland_Boys_Bradford

●ドイツ
第2次大戦
 Kurt Meyer (1910-1961): 33歳で武装SS少将
http://en.wikipedia.org/wiki/Kurt_Meyer_(Panzermeyer)

 Adolf Galland (1912-1996): 30歳で空軍少将
http://en.wikipedia.org/wiki/Adolf_Galland

 Harald von Hirschfeld (1912-1945): 32歳で陸軍少将
http://www.lexikon-der-wehrmacht.de/Personenregister/H/Hirschfeld-R.htm

 Otto Ernst Remer (1912-1997): 32歳で陸軍少将
http://en.wikipedia.org/wiki/Otto_Ernst_Remer

 Dietrich Peltz (1914-2001): 29歳で空軍少将
http://en.wikipedia.org/wiki/Dietrich_Peltz

 Erich Bärenfänger (1915-1945): 30歳で陸軍少将
http://en.wikipedia.org/wiki/Erich_B%C3%A4renf%C3%A4nger

●ソ連
第2次大戦
 Sergey Gorshkov (1910-1988): 31歳で海軍少将
http://en.wikipedia.org/wiki/Sergey_Gorshkov

WW2後
 Vasily Dzhugashvili (1921-1962):スターリンの息子,1946年,25歳で空軍少将
http://en.wikipedia.org/wiki/Vasily_Dzhugashvili

●ポーランド
 Mieczyslaw Smorawinski (1893-1940): 34歳で陸軍准将
http://en.wikipedia.org/wiki/Mieczys%C5%82aw_Smorawi%C5%84ski

 Wojciech Jaruzelski (1923- ): 33歳で陸軍准将
http://en.wikipedia.org/wiki/Wojciech_Jaruzelski

●スペイン
 Francisco Franco (1892-1975): 33歳で陸軍准将
http://en.wikipedia.org/wiki/Francisco_Franco


 創作上じゃ,大ヒット小説で,19歳で上級大将というのがあるし,日本陸軍関係の漫画で19歳で少将というのがあるから,30歳で少将なら気にする必要ないぞ.


747 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2009/01/14(水) 00:39:58 ID:???

「ぼ,ぼくは,兵隊の位で言うと大将なんだな」

軍事板
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 【質問】
 指導者・経営者・ジェネラリストとしての資質能力のない,武辺(ぶへんしゃ)タイプの軍人が出世できる限界の階級は,だいたいどのあたりまででしょうか?

 【回答】
 国によって,時代によっての差があるが,「現代の」軍隊についてとして大雑把に答えるなら,まず,「兵卒」として入隊したら,下士官以上には基本的になれない.能力如何に関わらず.

 士官学校に入学できてちゃんと卒業できれば,まぁどんな人でも大きなミスをしなければ,大尉までは何とか昇進できる.
 ただし,大尉になれたのは定年退官1年前,ということもありうるが.

 士官学校以上の高度な教育(軍大学とか幕僚学校とか)を受けられなかったのであれば,現役将校としては中尉から大尉くらいが限度.

 ただ,現場指揮官があまり高齢(この場合は,30代以上くらいの意味)だと,いろいろと困るので,士官学校出でも高度教育のラインに乗れなかったのであれば,定年前に再就職先世話してやんわりと追い出すか,教官として実戦部隊からは遠ざける,というのがほとんど.

 一行で纏めるなら,質問への答えは「尉官」となるかな.

軍事板,2009/07/21(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 徴兵制のある諸国では,徴兵期間中の者は基本的に兵ですよね.
 その期間内に下士官や将校になることは可能なんですか?
 それとも,徴兵期間終了後に試験を受けないと下士官や将校にはなれないんですか?

 【回答】
 旧軍の場合は,平時ならば徴集期間満了時に志願することで下士官への道が開かれています.
 この場合は,徴兵期間満了後も軍で生活することになります.
 もう一つは,徴集期間が満了して,上等兵として除隊する場合,下士官適任証を受けると,再招集の際に下士官として任用されるケースがあります.

 また,高等教育機関(中学校卒業以上)ならば,先ず士官学校の受験を奨められます.
 これに応じて幹部候補生になり,将校にならなかったら,下士官に任命されます.

 戦時の場合は,兵としての在隊期間が長くなり,勢い,志願に拠らない下士官が多く生まれていますね.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 近現代の士官学校の履修年限って,どのくらいが普通なんでしょうか?
 戦前の日本やドイツだと,隊付の後4年も勉強して,さらに見習士官まで経て将校になってたのに,現代の自衛隊や米軍だと1年くらい,英軍だと9ヶ月だと聞きました.
 ナポレオンは本来4年で修了の士官学校を,11ヶ月で卒業したと聞いたことがありますし,昔は士官学校の履修期間が長かったんでしょうか?
 それとも,英米式の士官教育が著しく短いだけなのでしょうか?

 書いてる小説の主人公が,兵科学校卒業したての中尉なのですが,どのくらの年齢が適切なのか分からなくて質問しました.

 【回答】
 自衛隊が1年,というのは幹部候補生学校のことね.
 通常は防衛大学に4年通うし,アメリカの場合は将校になるのにもっといろいろパターンがあるから,中尉ならおおよそ20代半ば後半ってことになると思う.
 パイロットは訓練期間がずば抜けて長いから,若干年長になる.
 戦時は昇級が早いから,もっと若くなることも多い.戦時は例外がたくさんある.

 また,学校卒業したてならば,普通は少尉から始まるが,これまたいろいろケースがあって,いきなり中尉に任官することもある.
 技術職にそういうのが多い.
 帝大工学・理学部の学生は,卒業後日本海軍の造船・造兵中尉に任官されてるね.

軍事板,2010/01/05(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ゲーム「ロボット大戦」で,戦艦の艦長で階級は中佐ってキャラの士官学校時代の同期,っていうキャラの階級が伍長なんですが,士官学校を卒業していて任官されるのが少尉以下の階級って事態はありえるんでしょうか?
 あるとすれば,どういうパターンが考えられますか?

 【回答】
 まずない.
 士官学生の時点で予備士官扱い(准尉)の事が多い.
 となると2段階も降格されたということになるが,将校を降格して下士官にするという事は殆ど聞かない.
 なぜなら下士官の仕事が出来ないから.
 そこまでまずいことをすれば予備役に回されたりするのが普通かのう.

モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
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 【質問】
 新兵の期間を過ぎた後兵士は二等兵になるそうですが,このとき何か特殊な技能(例:戦闘機・戦車等パイロットとしての素質,狙撃手などの素質)を認められていれば,戦車や戦闘機などを預けるために特別に階級を引き上げるなどの措置をあたえることはありますか?

 あるいは,「前述の理由により階級は引き上げられてるが,実質扱いは二等兵」といった設定にして 無理はありませんか?

 【回答】
 技能と素質は違うもんだから・・・

 既に職種の技能を有している(医師など)なら,はじめっからそれ相応の待遇で採用するし,入隊後に素質を認められたのなら,技能を身につけるための教育を施したのち,技能と職責に見合った階級を付与する.
 すなわち,新兵教育の期間がすぎた後,
「君は有能でこれこれこういう才能あるから,**学校に行きなさい.
 推薦状書くから」
と,上官や教育部隊の長に言われて,教育隊卒業後そういう専門の職種学校へ転属する.
 職種学校に転属した段階で,二等兵よりは昇進する(伍長くらいで入校,ということになるだろうか).
 卒業後は,その国の戦車兵や戦闘機搭乗員の扱いに従い,下士官なり士官なりの階級が与えられることとなる.
 これは,特別扱いじゃなくて正規の教育課程.

 また,戦時で徴兵されて教育隊を卒業後,即座に前線配置されるのでもなければ,志願兵は初等の基礎教育受けた後は,適性に応じて「兵科学校」と呼ばれる専門教育過程に進んで,早い段階で下士官になることを念頭に置いた専門技術教育を受けることが多い.

 補足.
 自衛隊の場合,射撃や陸上競技でオリンピック級の選手なら,職種教育無しでいきなり幹部任官ってのもある.

軍事板


 【質問】
 徴兵制のある国では,普通の大学卒というだけで少尉になったりするらしいですが,そんなので上手く回るんでしょうか?
 教育段階で下級将校用の訓練を短期間で行えば,一応は勤められるんですか?

 【回答】
 一般的に言って,大学卒を徴兵したからいきなり少尉,ということはありえません.
 大卒でも中卒でも,徴兵の場合は二等兵になります.
 兵隊に至っては殆どが文盲だったりするような,よっぽどの途上国なら話は別ですが.

 大学卒が徴兵による入営後,もしくは入営前に士官候補生試験を受験し合格した場合,深刻な人材不足で試験が免除される場合は,士官候補生に志願した場合,「士官候補生」という身分(下士官か准士官相当)になり,教育期間満了後(国によって違いますが6〜18ヶ月程度)少尉になります.

 大学いけば徴兵されないというのは,徴兵猶予のことを言っているのだと思います.
 この制度は徴兵年齢に達しても,卒業するまで兵役につくことを待ってもらえる制度で,卒業後兵役に就きます.
 徴兵制を採用している国では珍しくは無い制度です.

 戦時中の場合,この猶予制度がなくなることがあり,その場合は在学中に徴兵となります.
(学徒出陣といわれるもの.旧日本軍の場合ほとんどがそのまま,士官候補生を志願させられました)

 また特殊な例として,戦前の商船大学などのように予備将校教育制度のある大学を卒業すると,徴兵後即少尉という例もあったりします.

 さらにまた,大学生も徴兵の対象である国では,徴兵時に予備役将校としての訓練をしてる場合もあります.
 その場合,再役時には最初から少尉〜中尉です

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 二等兵からはよほどの事がなければ佐官以上にはなれないと思うんですけど,兵学校出身者でも将校以上になるのはコネと運が必要なんですか?

 【回答】
 いわゆる「将校(士官)」になるには通常は「士官学校(日本の場合,海軍は「海軍兵学校」)」 というところを出ないといけない.
(旧海軍なんかの「特務士官」みたいな例外もある)
 士官学校を卒業した後,もっと細分化された専門的な教育を受けて晴れて正規の「将校(士官)」となり,その後しばらくは「尉官(大/中/少尉)」としてキャリアを積む.
 「尉官」から「佐官(大/中/少佐)」になるには大きな壁があり,更にその上,「将官(大将/中将/少将/准将)」になるには更に大きな壁がある.
 特に(国によって違うけど)「佐官」とそれ以上になるには,「軍大学」とか「幕僚学校」といった高等将校教育を受けていないと難しい.

 通常,2等兵で始めた人が「下士官(いわゆる軍曹)」以上になることはまずない.
 徴兵制のあるような国では,普通に徴兵されただけなら「兵」以上にはならないのが普通.

 兵として軍隊にいるうちに
「君は優秀なので推選するから士官学校に進んでみては?」
と言われ,将校への道を進む人も少数だがいたりはする.

 たとえば今の米軍の場合,二等兵など兵卒や下士官から士官になるには,士官候補学校へ行く必要がある.
 准士官については,例えば整備関係やヘリパイロットなど技術,技能の比重が大きい職種については多いようだ.
 士官学校や兵学校などの者でも早いうちに,大きな割合で軍の外に出てしまう.
 大佐から准将になるのも,准将から少将になるのもきわめて狭い門.

 一方,駆け足で昇進する例もある.
 最近,海兵隊でごく短期間のうちに昇進を重ねた将官の話を読んだ覚えがある.

 将官については大統領が指名し,連邦議会の上院軍事委員会,続いて上院本会議での承認を経る必要がある.
 軍人の戦局,時局に関する見識が問われ,秘密会合でもやるのだが,公開会合でもやり,その時の発言がマスメディアを通じて報道されることもある.

 判りやすく一般社会に照らして説明すると,「兵卒(上/1/2等兵)」はアルバイト.
 ずっとバイトで人生を過ごす人は普通いない(最近は色々とアレだが)ように,若いうちの一時か臨時に勤めるもの.
 「下士官(軍曹) 曹長/軍曹/伍長」は高卒の現場組正社員.
 チーフとしてバイトの人達を指導監督し,事実上現場を仕切ってるのはこの人たちだが,どれだけ勤めてもチーフ以上にはなれない.
 バイトから正社員採用されてチーフになる人もいる.

 「准士官(准尉)」は高卒正社員の最高峰.
 この道何十年,「この会社,この業界の事は何でも知っている」的なプロフェッショナル.
 でもあくまで高卒組なので,正社員ではあっても管理職にはなれない.
 とはいえ経験が長いので,社長であってもこの人達には一目置く.
 役員でも敬語で会話することは珍しくないし
 年功があるので,給料はなまじっかな大卒管理職よりも多かったりもする.

 「士官候補生」は大卒の新卒採用一年目.
 将来の管理職,ことによっては役員矢や社長になる人達だが,今は毎日研修に明け暮れるただの何もできない新人に過ぎない.

 「尉官(大尉,中尉,少尉)」は大卒正社員の現場組管理職.
 場合によっては異例の出世をした高卒正社員の人がやってたりもする.
 係長や課長として現場実務をこなし,より上を目指す.
 上級管理職の秘書や補佐として,現場組ではなく管理業務に就くことも.
 基本的にはキャリアの中間通過地点だが,人によってはここで定年を迎えることも・・・.

 「佐官(大佐,中佐,少佐)」は大卒正社員の上級管理職.
 大卒正社員ならよほどのミスをしないかぎり,定年までにはこのくらいの地位には就けるが,大卒で正社員として入社した人全員が,そうなれることが保証されているか,というと微妙.
 部長や支店長として完全な管理職となり,会社の経営全体にも決定権は弱くとも関わることになる.
 また,秘書室長や人事部長といった形で役員クラスの人を直接補佐することもある.
 このレベルになると,ただ業務の実績があるだけではなく,役員からの支持がないと,ここまで昇るのは難しい.
 「コネも実力も運もない」と,よほどのこと(課長時代に会社の命運を決めるプロジェクトで活躍したとか)がなければなれない.

 「将官」のうち「中将,少将,准将」は,常務として会社の意思決定に直接関わる役員だが,現場にもある程度は関わる人達.
 会社が大きなプロジェクトを立ち上げたりしたときには,それを統括指揮する人になる.
 さすがに大卒の正社員でもここまでなれる人は少ない.
 また,役員なので,単純なエスカレーター式出世では昇れないポジションで,株主の承認がまったく得られないような人は無理.
 このクラスになると業務以上に,役員同士の派閥争いやせめぎ合いを,どうこなすかが重要になってくる.
 大卒の正社員であっても,同期入社組の内,ここまでこれるのは何人いるか・・・という地位だが,一族経営で筆頭株主=社長(会長)みたいなワンマン会社だと,大学出ていきなりこの地位に就く人がいたりもする.
 あと,会社の経営権が他社に握られてると,その会社から監視役としてこの地位に就けられる人がいたりするし,同業他社から引き抜いてきた人を,いきなりこの地位に就けて,新事業の牽引指導役にしたりもする.

 「大将」は専務として会社の総合統括を行う人達.
 基本的には現場からは遠く離れた雲の上の人々だが,会社の社運を賭けた一大プロジェクトとかだと,直接指揮を執ることも.
 この人達の中からこれまでの業績,人望,派閥的根回し,人脈,金脈等諸々の要素で,社長や副社長といった「会社の顔」が選定される.
 同期入社組の中でも,ここまで昇り積めるのはホンの数人.
 でも,任命されれば就任できる役員なので,外部からいきなりの地位に就いたり就けられたりということも結構ある,のは上に同じ.

軍事板
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 【質問】
 軍人の昇進は年に一度ですか?
(順当にいくのは大尉くらいまでだと思いますが)

 また,平時や大きな戦時中でなければ,辞めたいときに普通に辞められますか?

 【回答】
 兵卒か下士官か将校か,によって違ってくるが,軍人の階級は定期的に昇進するようなものではない.
「任官して*年経ってるのなら,大体このくらいの階級には〜」
という目安みたいなものはあるけど.

 基本的に,兵・下士官で軍歴を始めたら,退役するまでに曹長になれていれば出世できた方.
 士官学校出でない人が将校になることはまずない.

 将校も,大尉以上になれる人はそういるものではなく,特に経歴の華々しくない人が佐官になれれば出世できた方になる.

 徴兵されたのでなければ,基本的には辞めたい時に辞められるが,志願制でも
「最低*年(*ヶ月)は勤続すること」
という決まりがあるのが普通だし,任期を中途半端に辞めたり,入隊後一ヶ月で辞めたりしたら恩給が貰えないとか,不名誉除隊扱いになるとか不利が多くなる.

 ただし旧軍の場合,将校だと実役停年と言うものがあり,同じ階級で一定の年数を勤務しないと,昇進の対象にならなかった.

軍事板
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 【質問】
 兵学校や士官学校を卒業していない叩き上げタイプの軍人は,多くの武功を上げたとしても,出世や昇進には限界があるのですか?

 【回答】
 法制度の問題なので,国や時代による.

 貴族じゃなきゃ駄目とかいうころもあった.

 日本海軍の場合,階級社会の英国海軍に学んだので,明治時代は叩き上げは士官になれない.
 大正時代に特務士官制度というものをおいて,叩き上げを士官並にする制度ができた.
 特務士官になるには,一旦,兵学校の特別課程を経る場合もあったが,直接昇進のケースもあり.次第に緩んでいったが,最後まで特務士官制度は存続.
 叩き上げでは中佐までいったケースが最高といわれる.

 日本陸軍の場合,特務士官制度のようなものはなく,たたき上げの下士官の優秀者を,士官学校へ転入させるシステムだった.
 戦時特例の類で,たたき上げの下士官が,直接に士官になるシステムもあり.

軍事板


 【質問】
 よく小説やアニメでは「叩き上げの士官」なんて言葉が出てきて,一兵卒から実戦で功績あげて昇進してきて,今では部隊を指揮する佐官,みたいなイメージがあるんですが,実際は兵卒からだと軍曹まで,頑張ってせいぜい少尉留まりで,「士官」とは少し違うんではと思います.
 古代や中世では無く20世紀の軍隊で,ほとんど軍功だけで出世した,これこそ叩き上げの士官だ,なんて人は誰かいるんでしょうか?

 【回答】
 日本だと大和の第二主砲塔長だった奥田特務少佐とか.
 最近だと,一兵卒から米作戦本部長まで登り詰めたボーダ大将とか.
 ボーダ大将については,ここのボーダの項とか,
http://en.wikipedia.org/wiki/Jeremy_M._Boorda
とか見てみてください.

unknown

▼ ソ連軍には叩き上げの将官は非常に多いです.
 例えばK.Kロコソフスキー.
 父親はポーランド系鉄道技師.
 WW1開戦でロシア帝国陸軍入隊,1917年に下士官で終戦とあるので,士官として入隊したものではないものと思われる.

 ジューコフも同じく.

 探せば他にもたくさんいると思われます.

米軍ではジェームズ・“ジャンピングジム”・ギャビン将軍は…まあ,兵卒として入隊後,ウェストポイントに入りなおしてるけど.
 米陸軍の拡大期にあったとはいえ,34歳で少佐,37歳で准将という,「どこの銀英伝ですか?」状態の人.

名無しT72神信者 in FAQ BBS,2010/4/19(月) 23:58
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 【質問】
 映画とかで現場の隊長が戦死したりすると,佐官が
「そこの軍曹! お前を中尉に任命するから,こいつらの指揮を執れ!」
って命令したりしてるけど,佐官にそんな権限あるの?
 あと,臨時中尉で終戦迎えたら,そのまま中尉に昇進したままでいられるの?

 【回答】
 仮に中尉が任命されるべき中隊長になれ,という(命令と言うよりは)指示ですな.
 新たにそこの地位につくべき人間が着任して来たら,速やかに元の地位に戻ります.

 このような,上官の命令による戦闘中の臨時の昇進を「野戦任官」と呼びます.
 野戦任官による階級はあくまで臨時のものですので,戦争終了後は原則として元の階級に戻ります.
 ただし特例として,戦争終了時に,野戦任官による階級が,正規の手続きにより追認される場合もあります.


 【質問】
 野戦昇進の場合,「あれはあの場限りの一時的な処置だ」とか言われて,後になって降格されたりしないんでしょうか?
 それと,現場ではなく帰還後に,(定期昇進等ではなく帰還直後,特別に)評価されて昇進するような事は無かったんでしょうか?

 【回答】
 野戦昇進は普通の昇進とは違う.

 野戦昇進でぽんぽん昇進させると,終戦後軍が縮小されるので,据えるべきポストが無かったり,給料その他の人件費が負担になるという問題がある.
 だから戦争が終わると元の階級に戻された.

 第二次大戦時のドイツ軍や赤軍のように数年間戦い続けた軍では,たとえば開戦時には大尉で中隊長だったのが,終戦時には少将で師団長だったりするケースはけっこうある.

 あと,忘れていけないのは,階級は功績に対する報奨ではなく,指揮系統を作るために必要な権限と責任の付与ということ.
 いくら個人的なスキルが高くても,指揮能力がなければ昇進させる意味がない.
 だから個人的な功績に対しては,勲章という形で報いるということをする.

 米国の例だが,野戦昇進で少佐が少将になって,戦後また少佐に戻ったような事もある.
 別に降格じゃなくて,少将昇進は「戦中の特別な処置」だから.

 また,アメリカにオーディー・マーフィーという映画俳優がいたんだが,彼は戦中に戦功で昇進を続けたガチの英雄.
 年齢を誤魔化して1942年に,16歳で一兵卒として米陸軍に入隊.
 第3歩兵師団に配属されてモロッコ・シチリア・イタリア本土と転戦していく間に,仲間が次々と死んでいくなかで生き残って昇進を繰り返し,名誉勲章・殊勲十字章・銀星章・ブロンズスター・パープルハートなど ,勲章を山のように獲得して終戦時には中尉にまで昇進していた.

 パットン,アメリカが第一次大戦に参戦した時は大尉だったが,戦時昇進で大佐に昇進.
 しかし戦争が終わると少佐に戻された.
 ただ,これはアメリカ軍の参戦期間が短かったことと,元々小規模だった軍の規模を急速に拡大させるための措置.

軍事板
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 【質問】
 士官が一人残らず戦死するような状況も考慮して,平時から上等兵や伍長クラスにも部隊指揮のノウハウは教育されているものでしょうか?

 【回答】
 普段は師団・旅団の中枢となる人員だけで構成,有事の際は召集された予備役人員を昇格された,あるいは平時よりほぼ下士官・士官以上で構成された中枢人員で指揮することにより,平時は人件費や維持費の節約を出来るという「即応部隊」とするのは,幾つかの国で検討されたことはあるそうだが,実施した国がどれだけあるかに付いては不明.

 れは,ベルサイユ条約下のドイツが,来るべき再軍備のため,再軍備時に不足する士官,下士官を確保するため,1階級上の教育を施した例からの発想だったはずと記憶している.
 2004年時点での『コンバット・マガジン』辺りにも,記事中でちょっと触れられていたような.

 しかし所詮,予備役人員が多数の部隊なんで,戦力としては疑問が残るし,他に戦力がある上で後備を任せるための意味での「即応」でしかない.

 余談,自衛隊もそれに近いことはやるのではと言われた事がある.
 まあ,曹が士より多い現象を,海外の軍事研究家が勝手に,上記と同じ事をするつもりでは?と誤解した例だったが…

 ただし,下士官や士官になりうる素質を持ってる人間は,選択的に教育を施す(出世を見込んで)ことはある.
 が,正規の下士官・士官教育とはいかない,予備講習的な物.
 階級が下がれば下がるほど「下の階級の人間」の総数は多くなるわけで,とても全員に下士官や士官の教育を満足に行えるものではない.
 下士官候補・士官候補らが自ら下士官・士官になった時のための勉強を自発的に行い,それによって補われている面も大きい.
 下の階級の人間も
「一つ上の階級・役職が何をするべき,何を求められる仕事なのか」
を把握してなきゃ自分の仕事を一人前にこなしたとは言えないから,

 自衛隊で言うなら,「曹に昇格する試験のために,前もって士長が猛勉強する」というのがある.
(この試験に合格しないと曹に昇格できないし,曹としての教育訓練に参加もできない)

軍事板
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 【質問】
 陸軍に入隊して6年目の兵士ってどういう扱いなんでしょうか?
 会社だと入社6年目って若手社員だけど軍隊の世界じゃどんなもんでしょうか?

 【回答】
 学歴とか夫れまでの経験,成績,勤務態度などそう言ったものに左右されますので一概には言えませんが,士官ならば中尉程度には進級しているでしょうし,兵ならば下士官くらいには進級していないとおかしいでしょうね.
 尤も,星の数よりメンコの数と呼ばれる世界ですから,進級していなくとも,それなりに敬意を払われる事も多かったりしますが.

 普通の会社や役所では,入社6年と言えば,掛長からそろそろ課長になる人が出てくる時期ですわな.
 軍隊もそう言った組織の一つですから,中堅社員的な役割が期待されている状況には変り有りません.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板


 【質問】
 士官として軍隊に入った場合,最初は少尉になると思いますが,出世レースなどに負けた場合,少尉の人はずっと少尉のままでしょうか?
 まさか100人士官が入って,全員大佐や少佐になるとは思えませんし・・・

 【回答】
 少尉というのは企業で言えば,研修中の新入社員みたいなもの.
 普通は自己都合でやめるとか,よほどの無能でもないかぎりは,2〜3年で中尉に昇進する.
 その後も企業と同じで,その軍隊の置かれている状況,たとえば予算が潤沢か,平時か戦時か,その人物が有能か無能か,適してるポストがあるか,いい人脈を持ってるかなどで決まってくる.
 能力と運と状況に恵まれていれば,出世の階段を駆け上がっていくし,そうでなければ大尉あたりでストップするか,どこかで見切りをつけて退役したり予備役に入って,ほかに職を得るか.

 まあ,士官学校出てるなら普通は,少佐くらいまでの昇進は保障される.
 まず少尉から中尉への昇進はほぼ一斉だし.

 少佐くらいからは完全に実力.
 少なくとも参謀教育(軍大学とか,日本なら幹部学校)を受けてないと将官にはなれない.

 自衛隊だと防大出ても,一佐になるのは難しいと聞く.

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青文字:加筆改修部分


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