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◆◆階級
<◆軍事組織総記 目次
総記FAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【link】

「OSINTSUM」:(2010年1月23日)下士官最強? その1 "THE 12 RULES OF AN NCO"

「アラスカ物語」:「優れたリーダー」の弱点は希少性

「とらっしゅのーと」◆(2010/03/15)世界各地の「遼 来 来」 〜泣く子も黙る世界の勇将,知将,名将,殺戮者〜


 【質問】
 尉官〜将官の英語略称を教えてください.

 【回答】
【将官】

(大将)
GEN=General (陸軍大将)
Gen=General (空軍大将,海兵隊大将)
ADM=Admiral (海軍大将)

(中将)
LTG=Lieutenant General (陸軍中将)
Lt Gen=Lieutenant General (空軍中将,海兵隊中将)
VADM=Vice Admiral (海軍中将)

(少将)
MG=Major General (陸軍少将)
Maj Gen=Major General (空軍少将,海兵隊少将)
RADM=Rear Admiral (海軍少将)

(准将)
BG=Brigadier General (陸軍准将)
Brig Gen=Brigadier General (空軍准将,海兵隊准将)
COMO=Commodore(海軍准将)


注1:米国は陸海空3軍だけでなく海兵隊を持っていますが,その階級の呼び方は空軍と同じです.

注2:現在の米海軍では,「COMO」を使っていません.
 海軍准将は,正式には「Rear Admiral LowerHalf」といいます.
 しかし,文章で書くときは「Rear Admiral」,略語で書くときは「RDML」と書きます.
 そして海軍少将は,正式には「Rear Admidal Upper Half」と区分していますが,文章で書くときは「Rear Admiral」,略語で書くときは「RADM」と書きます.

(余談ですが,米海軍の将官人事発令ではたまに(selectee)という言葉が出てきます.
 これは「将官昇任予定者」のことで,たとえば,Rear Admiral(selectee) Henrique (エンリケ海軍少将(昇任予定))という感じでおき軍事は訳しています.
 米では将官の昇任にあたって議会承認が必要だからですが,これまでの経験では,陸空海兵隊での(selectee)を見たことがありません.
 見落としているだけかもしれませんけれど,興味深いです.
 また,米海軍における代将・准将・少将をめぐるドタバタの歴史も面白いです.
 Lower Half(下半分)とUpper Half(上半分)にいたった背景も興味深いですね.
⇒ http://tinyurl.com/y6gwraj )


【佐官】

(大佐)
COL=Colonel(陸軍大佐)
Col=Colonel(空軍大佐,海兵隊大佐)
CAPT=Captain(海軍大佐)

(中佐)
LTC=Lieutenant Colonel(陸軍中佐)
Lt Col=Lieutenant Colonel(空軍中佐,海兵隊中佐)
CDR=Commander(海軍中佐)


(少佐)
MAJ=Major(陸軍少佐)
Maj=Major(空軍少佐,海兵隊少佐)
LCDR=Lieutenant Commander(海軍少佐)


余談:独裁国家でよく見られる「上級大佐」はSenior Colonel(Captain)です.
 階級の前にSeniorがついた場合は上級〜とすればいいでしょうね.
 またロシア海軍では,中佐=2nd. Captain,少佐=3rd. Captainだそうです.


【尉官】

(大尉)
CPT=Captain(陸軍大尉)
Capt=Captain(空軍大尉,海兵隊大尉)
LT=Lieutenant (海軍大尉) 

(中尉)
1LT=First Lieutenant(陸軍中尉)
1st Lt=First Lieutenant(空軍中尉,海兵隊中尉)
LTJG= Liutenant Junior Grade(海軍中尉)

(少尉)
2LT=Second Lieutenant(陸軍少尉)
2nd Lt=Second Lieutenant(空軍少尉,海兵隊少尉)
ENS=Ensign(海軍少尉)


注:咸臨丸に乗って行ったブルーク大尉が「Capt」になっているのは,多分彼が海兵隊員だったからだと思います.


※ 幕末の安政七年(四月十八日に万延に改元)に渡米した徳川幕府の遣米使節団(正使:新見豊前守 副使:村垣淡路守,目付:小栗忠順)は,米海軍が派遣した「ポーハタン号」(指揮官:タットノール代将,艦長:ピアソン大佐)で太平洋を横断しました.
 このとき幕府海軍の軍艦「咸臨丸」が護衛随行しています.
 咸臨丸には,指揮官:木村摂津守(軍艦奉行),艦長:勝麟太郎(教授方取扱)以下,中浜万次郎(ジョン万次郎),福沢諭吉等が乗船しています.
 ブルーク大尉以下11名の米海軍軍人は,航海アドバイザーとして咸臨丸に乗り込んでいました.
 咸臨丸の航海は,往路では米軍人の世話になったそうですが,帰路は日本人のみで行われたそうです.

【咸臨丸関連の参考】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%B8%E8%87%A8%E4%B8%B8
http://tinyurl.com/y6x4glv
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E5%96%9C%E6%AF%85
http://tinyurl.com/y4dbfob
http://www.kanrin-maru.org/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%9D%E6%B5%B7%E8%88%9F
http://www.designroomrune.com/magome/daypage/06/0604.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%A0%97%E5%BF%A0%E9%A0%86

おきらく軍事研究会,2010/04/21


 【質問】
 軍の最高部の役職って,何つーの?

 【回答】
 古代〜現代に至る軍隊の最高司令官は,基本的には国家元首です.
(皇帝,国王,天皇,大統領,共産党書記長など)

 で,軍には編制と装備の維持をつかさどる軍政面と,作戦をつかさどる軍令面があり,軍政面のトップは国防省などの組織で,代表者は大臣.
 軍令面のトップは陸海空各軍の総司令官ですが,これを国家元首が兼ねるため,「制服組」としては,総司令官に隷属する各軍司令官がトップとなります.
 現代のアメリカ合衆国のように,参謀本部がある場合,参謀は(軍事に素人である)大統領のために作戦を立案するという存在ですが,彼らには命令権がないため,名目上は単なるアドバイザに近いです.

 しかし,国家元首が総司令官を勤める国家において,実質的な「軍のトップ」といえるのは,やはり参謀総長ということになるでしょう.

 戦前の日本なら,建前上は天皇.
 次に陸軍大臣,海軍大臣という役職がありました.
 内閣の大臣職の一つですね.
 その下となると,陸軍省海軍省の中の役職になります.
 大臣に次ぐ省のトップが次官で・・と,以下かなりの数の役職があります.

(「最高の役職」を,「形式上の最高責任者である天皇」は棚上げにして,「実質的な意味で開戦や終戦をも決定する者」と把握するなら,「形の上で合議を行って天皇の判断を仰ぐ御前会議」における陸軍大臣・海軍大臣・陸軍参謀総長・海軍軍令部長(など)」ということになるのかな?)

 まあ,現在に引き継がれる日本の官僚機構の特徴なのですが,組織上の上下関係はあっても,常に明確なトップダウン式の命令系統が機能していたわけではありません.
 特に昭和に入ってからの軍は,この機能が大幅に乱れ,正直めちゃくちゃになりました.
 大臣にしても次官にしても,周りによって「持ち上げられる」ことで就任するため,下の者の言いなりになることがありました.
 集団無責任体制ですな.

軍事板,2003/08/18
青文字:加筆改修部分

「最高司令官は,基本的には国家元首です」
faq100302mo.jpg
faq100302mo2.jpg
faq090319ki.gif
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 軍人の呼称について質問です.
 よく物語で「○○隊長」って呼ばれたりしてますよね?
 これは小隊〜連隊の隊長なら少尉〜将軍クラスまで,みんな隊長で良いんですか?
 その上になると「師団長」とか「軍団長」とか,或いはまとめて「団長」と呼ばれるんですか?
 また,師団や旅団は作戦内容に寄って編成されるもので,基本的には組織として活動&存在してるものではないのでしょうか?
 この辺がよく分かりません.

 【回答】
 「隊長」は「隊(対戦車隊,偵察隊等)」の長.または直属の長だけがいるときに呼ぶ呼び方.
 「師団長」は「師団の長」
 「団長」は「団(空挺団,施設団等)」の長
 「小隊長」は「小隊の長」
 「中隊〜以下略

> また,師団や旅団は作戦内容に寄って編成されるもので,
>基本的には組織として活動&存在してるものではないのでしょうか?

 普通,師団や旅団は常設単位.
 その都度編成されるのは,戦闘団や任務部隊(タスクフォース)等.

軍事板,2009/06/08(月)
青文字:加筆改修部分

 一方,旧陸軍では中隊長までを隊長,大隊長以上は部隊長と呼びました.

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE in 軍事板,2009/06/08(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 どーして軍隊では,歩兵や砲兵より,理系の技術者の方が階級が多かった高いの?〔原文ママ〕
 看護婦とか研究所の研究員とか.
 歩兵や砲兵の士気が保てないじゃん.

 【回答】
 いつの時代のドコの軍隊の話だ?

 陸自の看護師の「ほとんど」が幹部だってのは,民間との給料格差のためだが.
 そのため,1尉のベテラン看護師が2尉のなりたて研修医官を「誘導」して,診察つけさすようなことになるわけだが.


 たしかに,ベテラン看護師が研修医を誘導して仕事を失敗なくさせるのは,民間病院でも変わらないが,だからって患者の前で,医官の横に座って
「先生,風邪でいいですよね? お薬は○○でいいですよね?」
ってさぁ・・・
 そりゃあんまりだろうと.

 ちなみに陸自では,高等看護学院入校時(18歳)で2士です.
 それから4年後,国家試験を終えて卒業すると2曹(22歳)です.
 その後,1曹,曹長となり25〜30くらいまでに幹部試験(任用区分N)を受験します.

 昔は衛生学校で教育し,SLC扱いでしたが,最近は幹候校(久留米)で教育を受けるため,AOCさえ行けばCGSの受験もできるようになりました.
 運用的にも,ある程度ナースをやったら,後方支援連隊の運用幹部などに補職され,普通の幹部として運用されるケースも増えており,「戦うナース」になりつつあります.

緑装薬4 ◆8R14yKD1/k(黄文字部分)他 in 軍事板,2009/08/02(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 古今東西,列強とか先進国と呼ばれた国で,女性が国防大臣になり,かつそれなりの成果を挙げた国ってあるのでしょうか.
 士気向上の効果はあるでしょうが,養老孟司が「女は戦争をしない」と言ってたのがわたしにはどうも説得力があって.
 将校になった例ならアブグレイブの所長の准将とか知ってますが,あくまで文民,閣僚となるとどうなんでしょうか.

ネオ千曲屋 松坊堂

 【回答】
 まぁ,実際に案を練ってどうするかを決めるのは参謀の方々ですので,トップが誰であろうと,変な事を言い出さない限りは問題はないのでは.

 それはそれとして

>養老孟司

 正直,この人は女性蔑視というかなんと言うか・・・
 この人こそ,「女性はこんな生き物!!!」って先入観でひでー事を言いまくっているような気がします.
 ぶっちゃけ,男でも女でも大局的な物の見方が出来ない奴は,どうやっても出来ないわけで.

seld

 国防大臣じゃなくて首相なら,マーガレット・サッチャーという偉大な前例がありますが.
 メジャーどころで女性の国防相がいる国というと,現時点ではフランスやノルウェーが挙げられますね.
 成果云々については,他の皆さんの御意見も伺いたく.

井上@Kojii.net

 フランスのマリー女史のこともたまには思い出してあげてください.
http://www.asagumo-news.com/news/200703/070322/07032203.html

 シラク政権で5年間国防大臣を務め,今年5月から内務大臣です.

ラッキーマン.

>マリー女史

 この人の場合,国防相としての実績というと
「兵器のセールスのために,熱心に各国を飛び回っていた」
という印象が… (マテ)

井上@Kojii.net

 個人的には〔小池百合子については〕
・環境大臣時代にタフネゴシエイターと評価された手腕
・同じく,環境大臣時代に燃料電池戦車やハイブリット戦闘機なんて言い出したトンでもっぷり
のどっちが本性か掴みかねてるんで様子見ですね.

 首相補佐官んときの仕事も伝わってこないのも何とも……と思ってみたり.

ちくお

 ハイブリッド戦車だったら「石破氏以上の軍オタ」と呼ばれていたかもwww

ゆきかぜまる

 真面目な話,昨今の AFV は「EURO III 排ガス規制対応」という枕詞がつくのが半ばお約束なので,環境問題も無視できないファクターだったり.

井上@Kojii.net

 国家元首を入れていいなら武則天も.

唯野

 国家元首まで範囲を広げていいのなら,

・エリザベス1世

・北条政子(承久の乱限定)

・ベーナズィール・ブット(アフガーニスタンの対ソ紛争を支援して勝利させる)

・インディラ・ガンジー(第3次印パ戦争大勝)

・ゴルダ・メイア(第4次中東戦争奇襲の責任をとって辞任.……ダメじゃん)

・マリア・テレジア(徴兵制度の改新.実際の戦争遂行は,微妙…)

・エカテリーナ2世(露土戦争,ポーランド分割)

・百枝まりあ(県立西浦高校野球部)

消印所沢

 某宇津帆島の巨大学園の生徒会長は入れてもいいんだろうか.

あっとさせぼ

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より

マリア・テレジアたん11歳
(画像掲示板より引用)



 【質問】
 ただ国家元首は「戦争をするぞ」と言えばあとは軍師とか国防相が善処すると思うんで,
 むしろ背広組の代表として制服組に「戦え!」とか「死ね!」とか言うのは,やっぱり程度の差ですが男性の方が向いてると思うんですね.
 プロの女性棋士が男性棋士を負かして王位を取れない.何手も先を読むことにかけては男性の脳の方が優れているんです.
 また,職場で見ていると女性は局地戦の勝利にこだわって大局で負けるとか,そのために必要以上に焦土作戦を好むとかある気がするんですよ.
 具体的には,仕事上のポリシーの差から来た対立で,「正しいのはアタシ,間違ってるのはアナタ」と言う結論に持って行きたいがために,それで職場の空気がぶっ壊れてもお構い無しとか,
 新人教育でシゴイてシゴイて新人が潰れてもお構い無しとか.

 否,仕事のグチを言うために話題を振ったんぢゃ無いですが,
 そういうのを見ているので養老孟司が「女の脳は戦争に向いてないと言ったのが頭に残っていただけなんです.
 もちろん脳の能力の性差は,どんな種類の能力であれ,「性差より個体差の方が大きい」という結論が出ています.(カナダのドリーン・キムラ博士の研究)
 しかし大規模な統計を取ると,性差は厳然として存在することも彼女は証明しました.
 その最たるものが,将棋や囲碁で「何ても先を読む」と言う行為な訳です.

 確かに武器の売り込みと言った交渉ごとなら,上記の「正しいのはアタシよ!」と言う態度は有効かも知れませんが.

ネオ千曲屋 松坊堂

 【回答】
>プロの女性棋士が男性棋士を負かして王位を取れない.
>何手も先を読むことにかけては男性の脳の方が優れているんです.

 これは意味の無い主張です.
 女性棋士は数が非常に少ないため,数の多い男性棋士と比べTOPプロレベルの差が有るのは,当然の話です.

>しかし大規模な統計を取ると,性差は厳然として存在することも彼女は証明しました.
>その最たるものが,将棋や囲碁で「何ても先を読む」と言う行為な訳です.

 統計として見ても意味がありません.

JSF

 実際問題,女性に対する偏見を助長しているのは,女性であることを売りにして男性蔑視を推奨するような某政党党首とか某執行猶予中とかのような….

音木南樹

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 戦争の責任は命令を下した上官が全て負うもの?
 それとも,部下は非人道的な命令は拒否する権利と義務があるので,上官と部下,両方責任を負うものなの?

 【回答】
 その辺りの線引きは戦勝国の都合次第という面が大きいから,一概には言えない.
 ただ,実際の戦場で正式なルートで降りてきた上官の命令に逆らう事は,極めて難しいのもまた事実.
 東京裁判では拒否する権利と義務があったという判決が多く見られ,その結果,実刑を喰らった人も大勢いる.

 ちなみに日本の国内法では,判断を働かせる余地がある限り免責されないとするのが定説であり,判例でもあるが,情状により裁判官が刑の減免を行う事ができる.

 アメリカが第二次大戦中に改正した陸軍刑法も,そう解釈することも出来る.
 日本の陸軍刑法ではそのような条項は無かったような?

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 将軍(「征夷大将軍」「鎮西将軍」とかでなくて)って,軍隊ではどのような地位の人をいうのですか?

 【回答】
 うろ覚えだが,近代以前の欧州の軍隊は王や封建諸侯が保有し,大佐(Colonel)の指揮する連隊が基本単位で,これは通常彼らが経済的に保有できる最大の部隊だった(大体1000〜2000人くらい).
 これらの連隊からなる軍隊を王が直接指揮しない場合,有力な貴族が代わって指揮をとりその役職を元帥(Marshall)と呼んだ.

 時代が下って軍隊が巨大化すると,二つ以上の連隊からなる旅団(Brigade)が生まれ,その指揮官が准将=旅団長(Brigadier)となった.
 さらに軍隊をいくつかの単位に分割(divide)し,二つ以上の旅団とそれを支援する部隊からなる師団(Division)ができた.
 そして,その複数の部隊からなるDivisionを総合的(general)に管理・指揮する役職が生まれ,それを将軍(General)と呼んだ.

 さらに19世紀後〜20世紀に戦争の規模が拡大し,軍隊の規模がさらに巨大化すると,それに合わせて将軍の階位もいくつかに分かれるようになった.
 基本的には
師団を指揮する師団長は少将〜中将.
二つ以上の師団からなる軍団(Corps)を指揮する軍団長が中将〜大将.
その上の軍を指揮する軍司令官が大将〜元帥.

 ただし階級や部隊単位は国により異なっており,たとえば旧日本軍には軍団がなく,師団の上には軍,方面軍,総軍などがあった.
 西欧では軍の上にさらに軍集団があり,ドイツでは大将の上に上級大将,ソ連では元帥にも兵科元帥,ソ連邦元帥などいくつかの階位があった.

 上級大将という階級は,次のように誕生した.
 まず軍の大型化にともない
軍集団

軍団
師団
旅団
と言う戦略単位にすることにした

 軍集団に元帥,旅団に少将(連隊長の大佐より上だから)をあてると
師団 中将
軍団 大将

軍集団 元帥
となり,軍司令のポストにあたる階級が足りない.
 というわけで増やしてみたのが上級大将.

 と,言う訳で,「将官を4つに分ける為」で概ね間違い無い.難しく考える必要はない.フランスの将官の階級名を調べれば一目瞭然.
 アメリカ軍の「准将」ってのはフランス軍由来.
 ちなみに南北戦争以前のアメリカ陸軍では,准将-少将-名誉中将で通してた時代もある.コレもフランスの平時階級の影響だろう.

 近〜現代では元帥は特に功績のあった大将や上級大将に与えられた名誉称号的なもの.

 以上極めて大雑把なものであり,国により軍制やその歴史的経緯,階級には細かい相違がある.


 【質問】
 時々軍服に金モール(というのかな?)が付いてる人が居ますが,あれはどういう意味があるんですか? 邪魔なように思えるのですが.
 どれくらいの階級から付けるんでしょう?

 【回答】
 元々はナポレオン戦争時代の筆記用具.
 指揮官のそばにいて,命令書や報告書を作成したり,確認のサインをするために,ひもを付けて持ち歩いたのが起源.

 19世紀初頭,鉛筆は金属製の鞘に木炭を原料とする芯を差し込んだものだった.
 参謀が地図に部隊の移動経路や布陣を書き込む際,消すことのできる鉛筆は重宝されたが屋外や天幕の中では貴重な鉛筆を紛失することがあった.
 そこで,鉛筆につけた長い紐を軍服の肩章に縛りつけ,ブラブラしないように紐を軍服の前留めボタンに巻き付けて下げるようになった.
 これが後に参謀や高位の将官の象徴となったものが飾緒.
 だから,今でも正式な飾緒の先端には,ペンシルと呼ばれる金属棒の飾りがついている.

黄色いのが飾緒
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 中世〜近世の頃の戦争では指揮官の采配如何で勝敗が左右される事はよくありましたけど,現代戦において用兵の巧みさといった指揮官の個人的才覚は,どれくらい意味をもつのでしょうか?
 もちろん戦闘の規模によっても違ってくるので,一概には言えないと思いますけど.

 【回答】
 指揮官の判断というのはおそらく戦術レベルの話でしょうから,戦闘の現場においては,無能な指揮官より有能な奴が率いた方が,より良い戦果が望めるでしょう.無駄な犠牲も出さずに済みます.

 でも,いくら指揮官が有能でも,戦略的な勝敗までは左右できません.戦略的な優劣を覆すほどのものはないでしょう.
 スケジュールが遅れたり早まったり,犠牲者の数が増えたり減ったりするでしょうが,最終的な結果を変えることはないと思われます.

 複雑化した近代軍において,指揮官はマネージャーとしての能力のほうが問われます.
 特に,上級指揮官になればなるほど,幕僚組織をどううまく使うかってことと,他部隊との調整を円滑にするかって能力のほうが重要です.
 一人の天才より,マネージメントできる凡人が求められるのです.

 余談ですが,イラク戦争における衝撃的なバグダット突入は現場の指揮官の判断だったそうですね.

緑装薬4 ◆8R14yKD1/k他


 【質問】
 「名将」は死語になったの?
 アメリカの現役将軍などで名将呼ばわりされてる人はいないの?

 【回答】
 一定の評価をされている将官はいるものの,それが名将であるかは,現代で名将というものの基準も曖昧になってしまっているので,はっきり名将って評価することは事実上不可能に近い.
 後世の時代になってからでないと,多分,今の時代における名将って評価される人物は,名前が出てこないだろうなあ…

 イラク戦争とかでも,作戦責任者とかの将官の名前は出てくるものの,彼らは「軍」という組織全体で立案した作戦計画の下,作戦を遂行してアメリカが勝利した結果になったというだけ.

 たとえば湾岸戦争とかでは米軍の司令官とかの名前は出てきたけど,「名将」って感じの紹介じゃない.
 現代の軍隊は一人の軍人の指揮采配ではなく,システムで勝利するものだからな…

 だから,昔のような,
「この人の能力があったから作戦は成功した」
というのは今はなかなか出てこないかと・

 現代では軍閥の自称将軍くらいしか名将と呼ばれないのかもしれない.
 北部同盟のマスード将軍とか.

 でも,戦闘に巻き込まれて兵卒と一緒に敵に向ってライフルを撃っていたという,米軍の旅団長は「闘将」だと思う.
 米軍の旅団長は将軍じゃないけどさ.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 軍隊には,総司令官より,No2の参謀の方が有能と言われた例がままあるのはなぜですか?

 【回答】
 現代の先進国の軍隊において司令官に要求されるのは,組織のシステムを正常に維持し,不測の事態に対応する能力を確保し続ける能力.
 いってみればマネージャーとして優秀である事が求められる.

 一方,参謀は状況検討・作戦立案などを行い,作戦面で指揮官に提言する能力が求められる.
 一般人の感覚では,現状維持という仕事は地味でつまらないものに見えなくもないので,作戦という派手な方面で活躍する参謀にばかり,目がいくケースがある.

 また,WW1のドイツの様に人事面の裏道として参謀職を利用する場合や,WW2の日本の様に参謀が司令官放置プレイしてかなり好き勝手する風潮があるケースもある.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 大江志乃夫の「日本の参謀本部」に,「スター・システム」って言葉が出てきました.
 信長みたいに,参謀に頼らずトップが決めるシステムとして.
 スター・システムってライン・アンド・スタッフ・システムの対語として,業界では市民権を得ている言葉なんですか?
 たとえば,小泉首相のリーダーシップ型指導について,マスコミは「トップダウン型」なんて呼んでますよね.

 ていうか,ライン・アンド・スタッフ・システムが,一般的な業界用語なのかも自信がないんですが・・・
 スタッフだけ取り出して,「スタッフ・システム」なんて言ったりもしますね.
 あと,サーヴィスも別にシステムにからんでくるし.

 ああ,自分でわけわからなくなってきた.
 ともかく,参謀主導で指揮官はどっしりというシステムと,指揮官がなんでもばしばし決める型のシステム,それぞれの正しい呼び方を教えてくだされ.

 【回答】
 定型的な呼び方は無いと思う.
 問題の把握の仕方や君の考え方で,いろいろ変わるからね.

 極端な話,「ライン・アンド・スタッフ」を官僚制の一形態ととらえる見解(政治学)すらもある.
 経営学ではスタッフ組織の導入を,近代的経営組織の要件とする考え方もあるそうだ.
 バーリとミーンズが古典的だが,アルフレッド・チャンドラーも面白い.

 また,社会学系システム論や旧サイバネスティック(古い!!)などでは,
ラインにおける認識
→スタッフにおける分析
→Coの意思決定
→ラインにおける実行
→ラインにおける認識
といった具合に,情報フィードバックのループから,スタッフ・ラインの関係を引きだそうとしている.
(というかそういう研究人もある)

 たぶん質問者氏は,組織における意思決定が,どの程度下方分散化されているのかを,知りたいのではないかな?
 だったら,まず経営学か組織論の書物をあさるのが,手っ取り早いと思う.
(昔は軍事を参考に経営学ができたのだけど,今では軍事が経営学・組織論に学んでいる)
 日経から出ている,伊丹敬之助あたりの本から入っていくと楽だよ.

軍事板,2001/05/26(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 指揮官は常に先頭に立つものですか?

 【回答】
 戦場における殿軍は最も危険で,「退却は侵攻よりも困難」というのが軍事作戦の常識です.

 1570年に越前朝倉攻めをした織田信長は,妹婿たる浅井長政の離反で挟み撃ちになり,即座に撤収を決め,自らはすたこらさっさと京都に逃げました.
 そのとき織田軍の殿軍を務めたのが,木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)と信長の同盟相手だった徳川家康です.
 いずれも志願して殿軍になったのは有名です.

 1989年のアフガンからのソ連軍撤退時も,撤退する最後の車列の最後尾の無蓋小型車の後座席に派遣軍司令官が乗って帰りました.
 ソ連軍も「指揮官先頭」の退却戦における伝統を守っていました.

 海外に派遣されるわが自衛隊部隊指揮官も,最初に現地に出向き,最後に現地を後にする「指揮官先頭」の伝統を守っています.
 報道等を通じ,こういったことにも目を向けると面白いと思います.

おきらく軍事研究会,平成22年(2010年)5月24日(月)


 【質問】
 前近代の軍事的指導者には,個人としても,腕力や武芸などの戦闘能力に秀でていることが求められていたのでしょうか?
 それとも,虚弱体質でも指揮能力が優れていれば問題なかったのでしょうか?

 【回答】
 古代中国の戦術書(孫子)にも,ルネサンス期ヨーロッパの戦術書(マキャベリ・戦術論)にも,指揮官に一番大事なのは決断力だが,従軍に耐えられるだけには健康であることが前提だと書かれているね.

 というわけで実際の戦闘能力は求められなかったが,病弱な天才,みたいなのも求められていない.

 ただし,指揮官が前線で戦うことで士気が上がるから,直接戦ったこと自体で評価される,というのはある.
 ビザンチンには兵士皇帝なんて呼ばれ,支持された人もいるくらい.
 現代戦でやったらただの馬鹿だけど.

 クラウセヴィッツ以降は現場指揮官と作戦指揮官は,完全に分離された.

世界史板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 いつの時代あたりから,
「個人として武勇のある人物=優秀な指揮官」
という図式が崩れたんですかね?
 昔は個人として勇猛で自ら突っ込んで敵倒しまくりの人が英雄だったけど,最近の指揮官司令官がそういうことするとは思えん(やったら馬鹿にされるだろう)
 アレクサンドロスみたいなタイプは,いつの時代まで英雄・優秀指揮官でいられたんだろう?
 武辺はからきしだめで,頭脳だけは優秀のタイプ(そんなバランスの悪いもん実際にいるのかわからんが)が,優秀な指揮官としてうけいれるようになったのはいつ?

 【回答】
 与えられる機会は少ないけど,いわゆる名参謀や名軍師のような人は昔からいました.
 ですが,まずそういう人が指揮権を得る機会が特異
(家柄がよくても武芸だめだと,不肖の子扱いになります)
なので,所属するものがかなり追い詰められ,なりふり構ってられない状態が多いです.
 指揮権を得られる家柄の出で,武芸が駄目な子は宗教関係(僧侶や神職など)に入る場合が多いので,そっち方面の出身者に多いです.

 武芸に優れてないけど優秀な指揮官としては,「破竹の勢い」で有名な杜預(ドヨ)とか.
 正史にまで「弓馬の道に優れず」と書かれてるくらいですから,よほど下手だったんでしょう.

 武芸がまるでなってない猛将なら陳慶之.
 むちゃくちゃ激しい戦いぶりと,本人の武芸が拙いというギャップで,2chでもネタ扱いされる人気者です.

 他にも,虚弱体質で騎馬が出来ず,輿に乗って竹杖で軍を指揮した名将韋叡とか,
足斬りの刑を受けた所為で車上から指揮してた名参謀・孫ピンや,
自分で兵を率いる才能はゼロでしたが,プランナーとしては超一流の張良とかがいます.

 つまり,勝つための準備ができる人を名将と呼ぶのは古今東西,マキャベリでも孫子でも変わらないのです.

 しかし現場の名指揮官となると,昔は

1. 白兵戦が主体であったこと
2. 連絡,通信手段が限られていたこと
3. 比較的小規模の合戦が多く,指揮官も直接,戦闘に巻き込まれたこと

等により,緻密な指揮が行えず,猛将タイプが有利だったということでしょう.
 逆に銃や大砲による遠距離戦闘が主体で,合戦が大規模になると,指揮官が後方で指揮を取って,緻密な作戦を実行できるようになり,知将タイプの指揮官が活躍できるようになります.

 すなわち,鉄砲や大砲などの火薬の武器が力を発揮するようになる以前は,一軍の将が剣を振り回して敵陣に突っ込んでいくのが勇猛な戦い方でしたが,火薬で距離の離れた敵を効率よくぶっ飛ばすことができるようになったら,敵と至近距離で戦うことがなくなりました.
 となると「作戦」が物を言うことになります.

 厳密に言うと現代でも,「頭でっかち野郎」というようなやっかみはあると思いますけどね.



749 名前: 世界@名無史さん 投稿日: 2008/09/01(月) 06:22:19 0

 川上哲治が著書『悪の管理学』で書いてるが,
「名選手必ずしも名監督ならず」
 けだし名言だね.


750 名前: 世界@名無史さん [sage] 投稿日: 2008/09/01(月) 07:37:57 0

 しかし
「名監督はすべからく名選手」
というのも併記しないと,実際は片手落ちですね.
 2つあわさらないと,バカが読んだ場合,
「実技がダメな僕だって,ひょっとしたら指揮官の能力があるのかも」
という勘違いをしてしまう.
 実技が凄くても指揮能力がない人はいますが,指揮能力が高く実技が駄目な人はいませんので.
 野球に限らず,企業の社員まですべてね.

 まぁ,エジソンは学校でだめでしたと言い張るバカな小学生のメンタリティのまま,大人になった人もいるのですよ
 さすがに学問板であるここにはいないでしょうけど(笑)

世界史板,2008/09/01(月)
青文字:加筆改修部分

▼ 【反論】
>750 名前: 世界@名無史さん [sage] 投稿日: 2008/09/01(月) 07:37:57 0

 これは,
いくらなんでもスポーツ界の実情に即していない喩えではないでしょうか.
 私は野球には知識がありませんが,例えばサッカーですと,

デットマール・クラマー……怪我で若くして現役を引退.
オットマー・ヒッツフェルト……代表歴はオリンピック代表まで.
アリゴ・サッキ……プロサッカー選手としての経験無し.
マルチェロ・リッピ……代表歴はオリンピック代表まで.
ジョゼ・モウリーニョ……ユース代表経験あり.プロサッカー選手としての経験無し.
アルベルト・ザッケローニ……健康上の問題のため若くして現役を引退.
クラウディオ・ラニエリ……主に地方のクラブでプレー.

と,プロサッカー選手としての実績または経験が無い,あるいはあっても名選手と言われるほどではないという人でも,監督として実績を挙げた人は相当数います.
 まぁ,
「その人は名監督と言えるのか?」
「オリンピック代表まで行けば充分なんじゃないか」
という反論はあるかもしれませんが.

 こういった実例からは,私は,監督に必要なのは,選手の才能を見極め正しく活かすこと,選手育成,戦術指導,指揮などといったスキルだと考えます.
 実技も必要になるでしょうが,指揮下にある選手ほどそれが必要になるとはとても思えませんし,実際,プロとしての経験がなくとも名監督と評価されるに相応しい実績を挙げた人間が複数いる以上,それを無視して「名監督はすべからく名選手」と言ってしまうのは如何なものかと.

 ちなみに,サッカーの場合,オリンピックはあまり重要な大会ではない,とは言われます.
 ですので,やはりオリンピック代表までの選手を,「名選手」とまで言ってしまうのはどうかな,とは思います.

名無しルーデル神教教徒 in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2012/4/10(火)
青文字:加筆改修部分

▼ 名監督はすべからく名選手の例外です.

 陸上界の場合,小出監督がその代表かと.
 小出監督は,一応,箱根には出ていますが,区間順位も最高で3位.
 弟子の有森や高橋尚子の成績に,遠く及ばないことは確かです.

 野球の場合も,鶴岡一人や藤田元司のように,戦争や故障で現役期間が極端に短かった選手の例もあります.

季節労働者 in FAQ BBS,2012/4/17(火) 1:39
青文字:加筆改修部分

 以下,参考リンク追加希望(笑)
http://oyoguyaruo.blog72.fc2.com/blog-entry-4189.html

七師三等兵 in FAQ BBS,2012/4/19(木) 13:9
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 かつて,難関兵学校や大学校を上位で卒業し,軍事におけるノウハウをさんざん叩き込まれ,将官にまで出世したにも関わらず,無能と蔑まれたり,間抜けな作戦を真面目に強行し恥をさらす司令官が存在するのはなぜですか?

 【回答】
 1:平時における軍も官僚化の弊害を受ける.
 そうなれば,学校の勉強だけできる馬鹿が要職に紛れ込みやすい.

 2:その軍事におけるノウハウが時代に適さないものだとしたら?
 研鑽してきた軍事技術が時代遅れになっていた,あるいはハナから誤りだったりしていたら?
 そうなれば多少知恵が回る程度では勝てない.

 3:出世には縁故,人格,閥のように能力以外のものも関わる.
 1項のような弊害が加われば,無能が要職に就く可能性は高まる.

 4:「ピーターの法則」
 優秀な少尉は,必ずしも優秀な将軍になるわけではない.

 5:実は無能ではないのだが,状況に強要されて誤った作戦指導をするハメになる場合.

 6:やっぱり無能ではないのだが,魔がさして誤った作戦指導をしてしまったケース

 上記の理由により,軍隊(だけとも限らないが)では,しばしば自分の能力を少し超えたところまで昇進してしまうことがある.
 牟田口だって師団長止まりだったなら,あそこまで悪名を晒すことはなかっただろう.

 すなわち,部隊を指揮する能力と軍隊を動かす能力は異なる.
「優秀な参謀は教育で育成できるが,優秀な将軍は教育では育成できない」という言葉もある.
 それを柔軟に取り入れたのがアメリカ.
 平等すぎて上が評判の良い前線指揮官になったのが日本.
 政治的信頼性のある奴が上に行くのがソ連.

 さらに言えば,日本人に限ったことではないが,不利な局面に入ると挽回しようとして失策をさらに重ねる傾向がどうもあると思う.
 有利なときにはあまり目立たない欠点も,一旦劣勢となると非常に大きな作用をもたらす.

 付言すれば,軍の教育制度については,一般大学での勉学の機会や読書,他国語の研鑽,外国留学などが視界を広げるのに有効とされるが,一般的に言って軍で養成される人材は,その軍を包む社会が養成できる人材の縮図と考えるべきではないだろうか.
 戦争は軍のみがするにあらず.
 社会,国家が戦争を行う.
 中には「文明が戦争をする」と主張する向きもあるが.

軍事板


 【質問】
 学校で俺が先生に質問したんですが,
「軍人というのは,上に絶対服従なんですか?」
と聞いたら,その教師は違うと言っていました.「軍の命令は絶対だから」服従するのではなく,「国のためにその命令が必要だから」従うものなんだと.
 だから必要かどうか判断がつきかねるときは,その命令を下した上官なり司令官に,
「本当に国のために必要なのか?」
と反問すべきだと.
 先生の言う通りなんですか?
 自分は,軍人は命令に従うべきだと思っていたのですが.

 【回答】
 その先生の言ってることは超理想論です.
 現代の日本で直接民主制を唱えてるのと同レベル.

 そこまで高度な判断ができるのは,ある一定以上の階級の軍人に限られるでしょう.
 通常の「兵隊」は,そんなことを考える暇も無く,下士官にどやされて命令に服従するのがオチです.
 普通の一兵卒が上官に反論しようものなら,旧軍だとぶっ飛ばされて終わり.
 現代での軍隊でも,そんな事を許してたら統率が取れなくなる.
 兵士一人一人の意見を聞いて検討してくれる軍隊なんて無いです.
 戦場では状況は刻々と変化します.
 もし,兵士と上官が「本当に国のために必要なのか?」という議論などしていたら,その間に状況がどんどん変わりますので,その部隊は事態に対して何もできません.
 もちろん,上官に対して反論の機会は与えられていますが,
「それでもやれ」
と再度言われたら,従わなければなりません.

 自衛官の場合ですと,以下の法規にありますように,上官の命令はなんでも従うのではなく「職務上の命令」についてのみ従うようになっています.
 この命令は原則的に,
「いかなる場合においても法令及び上官の命令に反する命令を発し,又は自己の権限外にある事項を命令してはならない」
ことになっているので
「国の為に必要(国防上必要)」
だというロジックは成立します.
 不明な点は問いただすことはできますが,命令の適否を受令者側が判断することはできません.

 意見具申はできます.
 すなわち,「命令」が出る前の「構想下達」の時点なら,いくらでも「それ,おかしいよ」と上官に言うことができます.これを意見具申(海自ではリコメンド)と言います.
 しかし一旦命令下達されれば,それがたとえ自分が死ぬような内容であっても,それが職務上のものであるなら,それに「忠実に従わなければならない」.

【自衛隊法】
第五十七条上官の命令に服従する義務)
 隊員は,その職務の遂行に当つては,上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない.

【陸上自衛隊服務規則】
第17条(服従)
 上官の職務上の命令は,忠実に守り,直ちに実行しなければならない.
 2 命令の内容に不明の点がある場合には,直ちにこれを聞きただし,その実行に誤りがないようにしなければならない.

 それに,もしも自分で考えた結果,「これは国のためにならない」と判断したとしましょう.
 その判断が間違っていたら,それこそ国の一大事になるかもしれません.
 上の人間はそれなりに広い範囲で情報を集めて命令を下しているわけですから,それに従うほうが無難ですね.

(ドカン・オオカミ ◆s6tJH5.VuA,緑装薬4 ◆8R14yKD1/k他)

兵士が命令に「?」を感じた瞬間
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 兵隊は与えられた命令が明らかに間違っているというときも,命令を聞かなければならないのでしょうか?

 【回答】
 その国家が大陸法と米英法のどちらかを採用しているかによって違います.
 前者では上官の命令は極めて重く,その反面責任は上官に帰します.

 後者では,上官の命令が明らかに逸脱していると判断される際は逆らう義務が生じ,万が一実行した場合の責任は被命令者にもあるとされます.

 旧軍では前者であり,それもまれに見る極端さでした.

「下級のものは上官の命を承ること実は直に朕か命を承る義なりと心得よ」(軍人勅諭より)

 これに見る通り,旧軍では兵の絶対服従を大前提としており,命令違反は許されない代わりに,たとえ大逆罪であっても,上官の命令であれば罰せられませんでした.

 その最も代表的で象徴的な事例が二・二六事件です.
 この事件を計画した者たちは当然罰せられましたが,兵たちには基本的に無罪判決がおりました.
 例外とされた者の判断基準は以下の通りです.
・その主張に賛同し,他部隊から駆け付けた,日頃から同じ意見を持ち積極的に協力した,など自らの意思で動いた者.
・自分自身で善悪の判断を行い,「良いこと」だと考えて行動を共にしたと証言した者.

 このように,自らの意思と判断のもと行った行為については,例え命令の下とはいえ罰せられる例がありました.

 まあ,罰せられない代わり,部隊丸ごと死地に追いやられたりするんだけどね.
 226事件後の安藤中隊とか.

 自衛隊は少々特殊.

>自衛隊法
>第57条 隊員は,その職務の遂行に当つては,上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない.
>第123条 3.上官の職務上の命令に反抗し,又はこれに服従しない者

とある通り,職務上の命令であれば命令に服従するのが義務とされ,それに反抗するには正当な理由ではなく,正当な権限が必要とされており,この点でいえば大陸法系に類似する.
 が,あくまで職務上の命令に限るので,明らかにそれを逸脱する命令については,被命令者に従う義務はないとされているため,自らの判断を挟む余地が生じている.
 ただし,どこまでが職務上の命令であるかについて,法学上での議論はまだ浅い.

 また,職務上の命令に服従した結果が違法性の認められる犯罪行為だった場合,被命令者の違法性の阻却を明確に規定している条文は存在しない.
 というか日本には軍法がないので,普通に刑法が適用されてしまう.
 この為,被命令者の意思と判断は,通常の刑事事件と同様に重要な焦点となることが予測される.

軍事板
青文字:加筆改修部分

▼ ただし,大陸法に属する現在のドイツ軍でも,WWIIで軍人が盲目的に戦争犯罪に加担した反省から,上官からの違法な命令には抗命する義務があるそうです.

 以下に二つ引用.

――――――
市川ひろみ広島大学平和科学研究センター客員研究員
ドイツにおける徴兵制の変容−国家と個人の相克−
http://home.hiroshima-u.ac.jp/heiwa/JNL/24/Ichikawa.PDF

 「制服を着た市民」とは,兵士も「原理上,他の国民と同様の権利・義務を有すべきであって,それは一定の職務上の必要によって制限されるにすぎない」とするものである.
 この兵士のあり方を規定する上で,カギ的役割を果たしたのが「内面指導(Innere Fuhrung)」の構想であった.
 この発想は,国民は軍隊内にあっても自由な人格として,責任感のある市民でありつづけるべきだというものである.
 軍隊内では家庭や職場とは全く異なり,兵士は服従することを求められ,個人の自由は大きく制限されるが,普段の日常生活にある拘束からは解放される.
 その非日常の場において,日常の市民生活では許されない行為も免責されてきた.
 それゆえどんな命令にも従うという無責任さが,人道に対する罪を生み出したとの反省に立つ.
 軍隊内であっても市民であり,たとえ上官の命令に従ったのであっても,責任をもって行動することが要請される.
 戦後の戦争犯罪は国際法廷で裁かれ,その際,上官の命令に従った場合でも,犯罪行為を免責する事由とはならないと認識されるようになっている.
 ニュルンベルクの戦犯法廷では,「国家行為の抗弁」も「上官命令の抗弁」も否認され,兵士には「抗命義務」があるとされた.
 ドイツ軍事刑法は,違法性を認識していたか,あるいは違法性が明白であった場合には,上官の命令も行為者の責任を阻却しないとしている.
 兵士には,命令の違法性を判断する義務がある.
 無条件の服従ではなく,自らの良心にしたがった判断が個々の兵士に求められる(西原208頁).
(註:元ネタは西原博史「良心の自由の法的保障」,『法の理論16』,成文堂,1997年,所収.)
――――――

――――――
ドイツ軍 制服を着た「市民」 (中) 兵士必須の『内面指導』 良心優先『造反も可』
2009年3月12日東京新聞,三浦耕喜

 スクリーンに「任務」「良心」と書かれた二つの円が現れた.
「これが重ならないとき,命令に従う必要はない」.
 ドイツ西部コブレンツにある独連邦軍「内面指導センター」では,国外派遣を控えた士官らへの研修が行われていた.

 一週間の研修は,殉職した際の社会保障の説明で始まる.
 続いて教官は遺書を書くよう勧める.
「普段でも事故で死ぬこともある.
自分の死を思えば,任務に対し『なぜ』と真剣に問える」
と教官のペステル中佐.

 「なぜ」を問うことで,任務を自身の良心と照らし合わせる.
 ドイツ軍はこれを「内面指導」として,兵士必須の資質とした.
 ヒトラーの命令に従い,軍が利用された教訓から,良心に反する命令に抵抗する権利を認めたのだ.
 ドイツの軍人法は人間の尊厳を冒したり,犯罪となりうる命令への服従を禁じる.
 ヒトラー暗殺を試みて処刑された,旧国防軍のシュタウフェンベルク大佐は,今や全兵士の模範とされる.

 実際,兵士は時として命令に反する.
 2007年3月,ドイツ政府がアフガニスタンへの偵察機追加派遣を決めたのに対し,国外派遣の後方支援担当だった中佐が任務を拒否.
「偵察機派遣は,ブッシュ米大統領による“十字軍”への手助けになる」
と政府を批判した.

 兵士は政治への口出しを慎み,命令に従順であるべきではないのか.
 そう問うと,内面指導センター長のバッハ准将は答えた.
「まさに,そういう考え方で旧軍はナチスに利用された.
 それに,兵士に求められる資質も大きく変化している」

 教官のモルベ大佐が解説する.
「軍が国家間の戦争に備えた冷戦以前には,戦場での敵は明確で,兵士は命令に従えばよかった.
 だが,1990年代以降の国外活動では,現地情勢は複雑だ.
 向かってくる人間が敵か味方かもはっきりしない.
 判断は一瞬で,事前の命令通りにいかないかもしれない.
 その時の情勢と良心から,兵士自身が考える必要がある」

 しかし,兵士が正しく判断できるとは限らない.
 昨年8月,アフガン北部の検問所で,独軍兵士が民間人の車に発砲,
 女性一人と子ども二人を殺害した.
 警告発砲でも車が停止しなかったため,車体を撃ち抜いたという.
 兵士はドイツに戻され,刑事裁判を待つ身だ.

「任務はますます難しくなっている.
 現代の兵士は時として政治家であり,外交官でなければならないのだから」.
バッハ准将はそう例えた.
(コブレンツで,三浦耕喜,写真も)
――――――

 ちなみにウィキペディアには,

――――――
 第二次大戦で「人道に反する犯罪行為」を拒否しえなかった理由として挙げられた,上官の命令に絶対服従(忠誠宣誓)という伝統は否定され,戦後のドイツ基本法には「抗命権」の行使が明文化されている.
――――――

と書いてありますが,ドイツ基本法(憲法)にはそんなこと明文化されてないです.
 あと,現ドイツ連邦軍にも忠誠宣誓はあります.
 参照
http://en.wikipedia.org/wiki/Reichswehreid#Bundeswehr

バグってハニー in 「軍事板常見問題 mixi支隊」,2009年07月26日
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 軍隊は,司令官や上層部より,
「都市の民間人を無差別に殺害せよ」
など,明らかに国際法や人道に反する命令を受けた場合,どのように対処するのですか?
 それを実行した場合,その責任は部隊と司令側のどちらにかかってきますか?
 部隊側は反対の意思を伝えたり,
「無線機の調子が悪くて聞こえませんでした」
など,命令のサボタージュを行うこともありますか?

 【回答】
 軍隊は国の機関であり,国民は国法に従う義務がある.
 したがって,その命令がその国の法,軍法に適ったものであれば,従わなければならない.

 その場合,責任は命令の責任者が問われるのが理屈であるが,最近では倫理や国際的な常識に反した命令の場合,従った人間も責任が問われるという考え方が一般的になりつつあるらしい.

 最後のサボタージュの可能性については,その場,その人次第としか言えないが,上記の2項目を合わせて考えると,悪くない選択のように思える.
 気の利く指揮官なら適当に理由をつけて極力命令を実行しない.

 また,
「どうしてもやれ.今すぐやれ」
と言われたら
「正式な文書にした命令書下さい」
と言っておく.
 これがあれば,(上司がちゃんと書いてくれればだが),例え命令を実行させられても,あとから
「現場が勝手にやりました」
と言われずに済む.

 軍隊への命令は当然命令を出した人間の責任になるが,後から命令が問題になると大元の命令出した人間は,
「そんな命令は出してない」
「現場の独断だ」
と逃げるのが常態.

軍事板
青文字:加筆改修部分

▼ 日本が平成19年10月1日から正式な加盟国となっている国際刑事裁判所の規程では,上官命令について33条で以下のように定めています.

――――――
「第三三条(上官の命令及び法律の規定)

1 裁判所の管轄の範囲内にある犯罪が,政府又は上官(軍人又は文民を問わない.)の命令に従ってある者によって行われたという事実は,次のすべての条件が満たされない限り,当該者の刑事責任を阻却するものではない.

(a)当該者が,政府又は当該上官の命令に従うべき法的義務を負っていたこと.
(b)その命令が違法であることを当該者が知らなかったこと.
(c)その命令が明白に違法ではなかったこと.

2 この条の規定の適用上,集団殺害犯罪又は人道に対する犯罪を実行するよう命令することは,明白に違法である.」
――――――

 なお,規定の全文については,外務省のHPで公開されています.
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/icc/

lala in FAQ BBS


 【質問】
 男の上官よりも,女の上官の方が厳しいんですか?

 【回答】
 軍隊に限らず
「女性が上司だと,不必要に態度が厳しい気がする」
と訴える男性は多い.
 大概は
「女に命令されるなんて・・・」
という男の意識だが,男性優位の世界で女性は必要以上に「気張る」傾向があるので,意識的にも無意識的にも男性の部下には厳しくなりがちである,という調査結果がある.

 これは男性から女性へのセクハラ問題と並び,性差の無い社会を築く上での大きな障害となっている.


 【質問】
 敵前逃亡しようとする兵士を,将校はその場で射殺してもいいことになっているのか?

 【回答】
 将校には「生殺与奪権」があるようにいわれていますが,敵前逃亡でも軍法会議によって処罰が決定されるのです.
 敵前逃亡に死刑を課していないのは日本ぐらいのもので,そもそも軍法会議が存在しないのですから当然です.ほと んどの国の軍隊では,敵前逃亡の最高刑は死刑とされています.繰り返しますが,その判定は軍法会議によってなされます.
 指揮官の眼前で今まさに戦場から離脱しようとしている兵がいる場合に,逃 亡を防ぐために射殺したならば,部下を射殺した指揮官も軍法会議もしくは査 問委員会にかけられて射殺にいたる状況を厳しく審判されます.
 すなわち「〔将校が〕射殺せねばならないことになっている」という規則 は存在しないのです.

 尚,白兵戦のような激しい戦闘を行うために必要とされるのは「体力」と 「戦技」の修錬であって,厳しい軍規を定めたからといって個人の戦技が向上するわけではありません.

ひら☆やん from おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)3月14日


 【質問】
 今,ファルージャ関係の本を読んでいるんですが,米軍の偉い人(少将とか大佐クラス)はボンボン最前線に出ていますが問題ないのでしょうか?
 大佐が普通に武装勢力と交戦してM16撃ってたり,会議に行く途中の少将が,近くで囲まれてる分隊の為に,挟撃する小隊の一方を率いたりしてるんですが,これはどこの軍隊でも同じなんでしょうか?
 特に自衛隊ではどうなんでしょうか?
 一佐とか将補が曹クラスの名前をたくさん覚えていたり,下士官と気軽に飯を食ったりするんですか?

 【回答】
 イラクのような地域は,どこが最前線かというのが曖昧.常に最前線にいるといえる.

 そしてまた上官といえども軍人.戦闘が勃発したときに安全な場所に逃げ隠れるわけにはいかない.
 ある程度指揮の出来る場所に必然的にたたされる.

 バグダッドへの第三歩兵師団の戦車大隊基幹の機甲襲撃戦では,大隊長(中佐)や,その二日後の旅団一体となっての襲撃戦では旅団長が直接率いていた.
 また,現在の対内乱戦闘において,大隊長は各種のパトロールなどに行くし,旅団長は外交官的役割を果たしていることも多いらしい.
 大隊長が負傷して報道された例もある.

 他にも,ある少将が,自分の師団の兵と腕立て伏せ競争をして勝つ話があったり,ある基地の食堂で自爆攻撃があったとき,負傷者を運ぶ手伝いを少将がしていたという話があったり.
 かつての海軍レスリングチャンピオンであったラムズフェルド国防長官も,911テロの際には,損害を受けたペンタゴンの内部で負傷者救出を手伝っていたと聞く.

 中国の古典では,兵の腫れ物を将軍が直接口で啜ってやる話がある.
 それを聞いて兵の母がどうたらという展開になったが.

軍事板

 IDFでは指揮官先頭が当たり前です.
 国の規模が小さいって理由もありますが,政治家も将軍も偉ぶってたら仕事になりません.
 ただそのせいで将校の戦死率は高めですが…

 中東戦争の際には,某旅団長が素のジープに乗り込み,配下の戦車隊を引き連れて砂漠を敵中横断(本当に車列の一番前を走ってた),一番乗りを果たしたことも.

イスラエル交通相 ◆3RWR.afkME

最高司令官なのに,わりと最前線に立つことが多い人
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 基本的に将校は武装しないんでしょうか?
 戦場で指揮をする人間は,やっぱり,銃なんて撃ってる暇ないのかなあ?

 【回答】
 指揮官の階級にもよります.

 小隊長・分隊長クラスだと,最前線で自ら銃を取り,敵の砲火に身を晒さないと,部下がついてきませんし,銃を持ってるのに撃たないなんて,そんなもったいないことできません(笑
 ただ,戦闘(銃撃)に専念すればよい一般兵卒と異なり,下士官将校は周囲を見,状況を判断し,指示を下し,連絡を取り,と非常に忙しい.
 その意味では発砲の機会はやや減少し,発砲は自衛目的に偏る傾向はあるでしょう.
 でも,いろいろ同時にできないと,指揮官の器ではないし,上級者は当然有能であることを要求されるのです.
(もちろん指揮官全員が有能なら,こんなに良いことはないのですが)

 高級指揮官は後方の司令部で,大所高所に立った判断を下すのが仕事ですから,当然銃を射ってる暇なんかありません.

 中堅クラスの指揮官だと,自ら戦うこともありますが,やはり戦闘全般を見守り,適切な命令を下す方が重要ですから,銃を射つ機会は少なくなります.

 しかし上級指揮官(佐官や将官クラス)でも,稀に銃を持って戦うこともありました.
 特にドイツ軍ではその傾向が強く,佐官将官の死亡率が高かった.
 これは伝統と指揮に関する考え方の違いで,後方にいる指揮官が臆病だというわけではありません.

 なお,将校の武装については,他に重要な役割が2つあります.
・回復の見込みがない重傷の部下を,安楽死させる
・作戦が失敗に終わったとき,責任をとって自決する
 以上.

軍事板,2003/08/10
青文字:加筆改修部分

最前線で自ら銃を取る分隊長
(Picture Prepositioning Ship : PPS@軍事板常見問題 mixi別館より)


 【質問】
 これって正しいですか?

――――――
 ナポレオンとか東郷平八郎とか昭和天皇のようなのは本当に楽だろうな.
 なにせ勝っても負けても戦死することはないし,安全地帯で高みの見物ができるし.
 しかも戦争での名誉とか地位とか独占できるのは元帥・大将といった,社会的に高い地位にある連中ばかりだもの.

 でも悲惨なのは一般庶民.
 勝っても負けても死ぬ以外になく,軍事上の統計数字になるだけ.
●●●の戦いで何万が死んだ」
という扱いを受けて,歴史に名を残せる訳ですらない.
――――――

 【回答】
 例えばバグラチオン作戦では,ドイツ中央軍集団の師団長クラス以上20人ほど死んでいるが.
 ナポレオンや東郷平八郎は,普通に戦場で死ぬ可能性があった.
 特に東郷なんか,日本海海戦の連合艦隊旗艦「三笠」でバリチック艦隊からの集中射撃受けて,序盤かなりボコボコにやられてるし.
 ネルソンなんかは実際に戦死しちゃったしな.

 昭和天皇のような君主は確かに戦死しないだろうけどな.

 まあ,そもそも言いたい事は「一将成って万骨枯る」という奴だと思
 自分の中で答えを持ってる人のようので,相手にするだけ時間の無駄.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 下士官って何?

 【回答】
 下士官は,士官・将校の下,兵卒の上に位置する軍隊の階級.
 すなわち伍長,軍曹,曹長といった下級幹部(国により,この階級区分は細かくなったり,細かくなかったりする).
 多くの場合,兵からの昇進者であり,士官学校を出ておらず,士官の下にあって,兵を直接指揮する.

「やつらは分裂して増えるんだ
 バクテリアのように・・・ 」
(from『ワンマン・アーミー ゲイツ』)

 【参考ページ】
http://www.uraken.net/military/yo_02.html
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B2%BC%BB%CE%B4%B1
http://kotobank.jp/word/%E4%B8%8B%E5%A3%AB%E5%AE%98
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/33867/m0u/%E6%AD%8C%E8%A9%9E%E7%94%BB/

【ぐんじさんぎょう】,2010/01/26 23:05
に加筆改修

 自衛隊の場合,
3曹〜曹長,状況により准尉を含む範囲
が下士官ですかね.
 ただし幹部候補生たる曹長については,下士官扱いしません.
(あくまで幹部候補生)

Cpt.hige 2010年01月25日 23:44

>「やつらは分裂して増えるんだ  バクテリアのように・・・ 」

 これ,元ネタはハインラインの「宇宙の戦士」です.

唯野 2010年01月26日 04:14

「軍曹」いろいろ
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faq07sf20z.jpg
faq07ysz11k.jpg
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 現代の下士官に求められる能力はなんですか?
 現代戦では,関羽や張飛や項羽なんかの豪傑が下士官として活躍し,軍功をあげる余地は,もはやないんですか?

 【回答】
 歩兵部隊の下士官だよね?
 士官と兵の間をうまく繋ぐ能力,すなわち,
・兵の訓練を監督する.
・兵の風紀や体調を管理する.
・兵たちの不満や要求を汲み上げ,上に報告する.
・士官の命令とその意図を理解し,兵たちが指示に従って動けるようにする.

 こんな感じかなー.

 関羽はまだしも,張飛みたいに下に嫌われるタイプや,項羽のような突撃馬鹿は,現代の下士官には向かないかもなー.

 もはや時代は白兵戦を必要としないのだ.
 最終局面における小さな局地的戦闘においてのみ功績をあげ得るが,それも微々たるものである.
 然るに,必要であるかないかと言えば必要ないのである.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 下士官などによく先任○○というのが有りますが,どういう意味でしょうか?
 特別な権限などを持っているんでしょうか?

 【回答】
 先に任づるという意味です.
 例として中隊本部,大隊本部などで最上級の階級の下士官を指します.
 同じ階級でも年功序列で任官が先なら上級に値します.
 職種としては中隊本部,大隊本部などでは,副官ではありませんが,補佐職となり,中隊本部の先任下士官なら,新任の中隊長を補佐します.小隊でも同じです.

一等自営業 ◆JYO8gZHKO.


 【質問】
 「星の数よりメンコの数」の「メンコ」って何?

 【回答】
 ぐぐったらこういうの出てきました:

――――――
http://www.geocities.jp/mor25/sikann.htm

 メンコとは兵食のことである.
 明治時代の兵食は,檜の曲げ物で作った,
 「面つう」という器に盛りつけて,一人づつ配食した.
 内務班で,飯を盛りつけるようになったのは,大正時代になってからである.
 昔は,炊事班で一人分づつ,盛りつけたのである.

 「面つう」は,元来,乞食の持つ食器であった.
 これがメンコ飯の由来となった.
――――――

 面つうというのは「面桶(めんつう)」,いわゆる「わっぱ」のことと思われますね.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 階級のない軍隊ってあるんでしょうか? 実際にある場合,メリット・デメリットってどんなとこなんでしょうか?

 【回答】
 創立当初のロシア赤軍.
 文化大革命の頃の中国人民解放軍.
 クメール・ルージュ.
 これらは階級を撤廃しています.
 また,スペイン内乱の際,政府軍の一部の部隊では,階級どころか指揮系統まで廃止し,部隊の行動を多数決で決めていましたが,まともな作戦を行うことができず,負け続けでした.

 中国軍も,ベトナム戦争後に起きた中越戦争で,階級のないまま戦闘を行い(ポケットが多いのが指揮官としたようですが),百戦錬磨のベトナム軍相手に解放軍は大損害(笑).
 これを機会に階級制度が復活したと言われてます.

 軍事作戦には,「民主的」な手続きは似合わず,上からの強制的な命令が必要なのです.

(一等自営業 ◆JYO8gZHKO.他)


 【質問】
 一般的に連絡将校とはどのような仕事をするのでしょうか?

 【回答】
 自分が代表する組織の能力と特性を派遣先に伝える.
 派遣先の計画策定において,自分の組織の行動が絡んでくる場合,どのような行動をとるのか,その理由を説明する.

 派遣先の意見を自分が代表する組織に逐一伝える.

 階級は自分が代表する組織の大きさと,派遣先の規模により様々.

 派遣先は他軍種,他国軍,他国行政府,自国の行政機関,国際機関,国連の平和維持活動部隊などこれも様々ある.

 日本の場合,米軍に連絡将校を出しているケースが幾つかある.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 国際関係上では,「将校」にはどんな意味があるのか?

 【回答】
 基本的に,外敵と戦う部隊を指揮する資格は将校にしかありません.
 これは,外敵との戦闘が国家主権の発動であり,その指揮官は国家元首の代理者たる公人である,という西欧の考え方に由来します.まさに将校Officerとは公人Officialであるわけです.

 陸上戦闘は個人が戦闘単位であるため,小部隊では下士官指揮でもやむを得ない場合がありますが,海軍の場合は厳格です.
 軍艦や自衛艦は在外公館と同様,外国に於いて排他的な治外法権等の様々な特権を有しています.いわば一国の領土がエンジンを付けて動いているようなものですが,その軍艦たる要件は,
 (1)将校名簿に記載された将校CommissionedOfficerが指揮している.
 (2)政府の定めた軍艦旗を掲げている.(自衛艦旗は国際的に軍艦旗とみなされている)
 (3)乗員が(1)項の指揮官の指揮下にある.(反乱を起こしていない)ことが必要です.武装は必要ありません.
 逆にこの3条件が満たされていれば,内火艇や手漕ぎボートであっても,相手国に対して軍艦の特権が主張できます.
 軍用機の機長が必ず将校であるのも同様※2で,例え単座の戦闘機でも一つの部隊である,という考え方に由来します.
 ことほど左様に,指揮官たる将校は外交官と同様に背中に国家を背負っているのです.

 ※ 軍艦には必ず,将校が指揮していることを示す旗がマスト頂部に掲げられています.長いヒモのような旗(艦艇長の長旗)の他,四角形や燕尾型の旗(旗艦で掲げる指揮官旗)の場合もあります.

 ※2 旧軍では戦闘機等のパイロットに予科練出身等の下士官が珍しくありませんでしたが,自衛隊では原則的に幹部です.

(NH「ヨーソロ」 from おきらく軍事研究会)


 【質問】
 複数の国の軍人が一堂に会したときの席次には.階級順・年齢順・在任期間順・アルファベット順などの基準があるのでしょうか?
 各国ごとの都合によって変化するのであれば,日本の場合はどうなのでしょうか?

 【回答】
 特別の配慮を伴わない儀礼的な席の場合,まず階級が優先されます.
 各国の階級制度は完全に同じものではありませんが,この国のこの階級はこちらの国では大体これぐらいの階級だろう,という目星を付ける事は十分に可能です.

 ただし時には,
「自分は○○相当の階級だと思ってたのに,訪問先では◇◇相当の敬意しか払われなかった.不愉快だ」
って事態も起こってます.

 自衛隊の場合は同じ階級でも,役職によって実質の階級が変わったりと厄介ですので.階級が同じ場合,先任順,つまり在任期間が問題になります.
 無論,在任期間が長いほど,より多くの敬意を払われます.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 軍事大国の大尉が,小国の少佐にへこへこするとかありえん(笑)

 【回答】
 へこへこするのとは違うよ.
 指揮系統が違うんだから.
 でも外国だろうと自国だろうと,階級に対する敬意は払う.
 軍人はそのように教育されている.

 まあ小国の上官相手では,慇懃無礼を絵に描いたような態度になる,ということはありえる.
 しかし表面上はあくまでも敬意を払った言動をとる.
 それができないようでは国外に出たり,外国の軍人(や政治家)に触れる機会を与えられることはないってーか ,処罰の対象になり得る.
 外交上の無礼な振る舞いは,下手すると開戦のきっかけになるほどの重大な問題に,しばしば発展するからだ.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦争映画見てると,「プライベート・ライアン」でのアパム伍長に対する他の二等兵の態度とか,「ブラック・ホーク・ダウン」での,デルタ・フォースの軍曹のレンジャー隊の隊長さんに対する態度とか,階級上の人間にもなんか舐めた態度取っているように見えますが,軍隊では階級は絶対では無いのですか?

 【回答】
 星の数よりメンコの数.
 軍隊で食った飯の数が多い,つまり勤務年数が多いのをメンコの数が多いって言う.(メンコ=飯)

 階級は軍規が許す限り絶対だが,尊敬は階級だけでは得られない.
 心からの忠誠が金では得られないのと同じようなもの.
 階級が高くても経験が浅かったり,実力がなかったり,高圧的な態度をとってたりすれば,敬意は得られんわな.
 軍隊以外でもそうでしょ?

 それと,デルタ・フォースは階級無視が伝統.

 後,その映画は見てないけど,字幕だと文字数の都合から,本来敬語にすべきところをそうしない事がある.
 英語には敬語はない,なんて思ってないだろうな.


 そもそも,階級って役割分担の為に分けているんであって,階級下の人間は上の人間にペコペコしなきゃならないってワケじゃない.
 なんか体育会系のノリ=軍隊式って思っている人たちが誤解しがちだけど.
 例えば,歴戦の下士官に頭が上がらない新米士官とか,新米時代に世話になった軍曹さんに生涯頭が上がらないエリート軍人さんとか,そういう例は普通にある.

エリート軍人の卵「薬莢の数が合わないよ〜.どうしよう〜」
軍曹〔声:大山のぶ代〕「仕方ないな〜,三尉殿は.はい,員数外〜〜〜!」
とかな(笑).

 階級上でも下っ端をアゴで使えるってワケじゃない.
 そんなことしたら部下から総スカンを喰らい,上官からは
「あいつは部下と仲良くできない馬鹿」
と,評価が下がるだけ.
 士官の主な役割は,下士官と以下に上手くやるかだといっても過言では無い.

 もちろん命令には絶対服従だけどね.

「軍隊は上からの命令には絶対服従の非人間的な場所」
とか言う人間は
「弾は前から飛んでくるとは限らない」
とか
「五人に一人」※
とか言う警句を甘く見ている.

 ※ベトナム戦争時,米軍の士官の戦死者の5人に一人は実は部下に殺されている,という報告書から出てきた言葉.
 士気が低く,軍規が乱れた状態では,そういう事が起こるという実例.


 【質問】
 軍隊では,たとえ士官の自分より階級が下でも,古参の軍曹など,年齢・勤続年数が自分より相当上であれば,それなりの敬意を払って接するものですか?

 【回答】
 当たり前だけど,その軍隊の性質にも依れば,その士官の性格にも依るからなんともいえない.

 しかし,まともな軍隊なら,士官学校で経験ある下士官の意見には耳を傾け,その能力を活用するよう教育されるし,そうでなくてもまともな人間なら,自分より年上で現場経験もある相手には敬意を払うだろう.

 といっても,士官が古参軍曹に対して Sir! とか言うはずはなく,形式上は軍曹が士官に対して敬意を払う(Sir!)わけだが.

 現代の先進国のまともな軍隊で,古参下士官に敬意を払えないような士官が,軍という組織に適応できる確率は限り無く低い.

軍事板,2008/08/03(日)
青文字:加筆改修部分

▼ ちょっと前の日本で例えると,
・下士官は中卒で入って現場で叩きあげた技術屋
・下級士官は大卒で入ってくる管理職候補生

 下士官で態度が良くても長年やっても武功をたてても,普通は士官にはなれない.
(下士官も少人数チームの指揮はするので,こいつは指揮官向きだと思ったら,士官学校に入れて士官にすることはままある)

 だから上級下士官はある程度年配が多く,単純に戦闘技術なんかだと下級士官より遥かに上なんで,少尉なんかは部隊内の実務面で軍曹や曹長に頭が上がらないのが普通.
 分かり易く言うと,20代始まったばかりぐらいの,訓練は真面目にやって,いい成績で,座学も好成績で,みたいな青年が少尉になって部隊に行くと,そこにはリー・アーメイ『皇国』の猪口曹長みたいなのがいるわけだ.
 んで,最初は曹連中が怖いもんだから,割と人当たりの良い幹部か下っ端兵士とばかりと話すという…

 まあ,普通は下士官は新米の士官の言うことを尊重するから,そう対立するなんてことはない.
 どちらかというと,新入社員を見る優しい目で黙認される感じで.

 ただし,星の数に物を言わせて無茶を言うと…
 不思議なことに新米士官の死亡率は,下士官やベテラン兵より統計見ても高かったりする.
 きっと率先して部隊率いて名誉の戦死なんだろうなー(棒読み)
 まあ,空気の読める士官なら先任の軍曹殿の「意見を参考に」する訳だ.

 まあ,それでも下士官兵と士官には深くて長い河があって,士官になるにはそれなりの課程を経ないといけない.
 部隊運用のノウハウとか勉強しないといけなかったり,海軍なら英語喋れないと話にならなかったり.
 「ペーペーの実戦知らない青二才だ」と思っていると向こうが出世して…というのもよくある話.


790 :名無しんぼ@お腹いっぱい@転載は禁止:2015/02/01(日) 12:22:26.04 ID:VFcMX4cv0

 新米将校はいろいろ大変.
 20年以上前に,日米共同訓練の一部で日米相互の装備品展示を見たことがあるが,米軍の装備品を,士官学校出たてくらいの若い米陸軍少尉が,英語で説明してた.
 ちょっと離れた所から見てたら,装備品の説明を聞いている自衛隊員の人垣の外側に,米軍の下士官やら兵士やらが,ニヤニヤ笑いながら10人くらいこっそり集まりだした.
「何するんだろう?」
と思って見てたら,少尉の説明が一段落した瞬間に,集まった奴がせーの!っていう感じで
「分かりましたあ少尉殿っっ!!(英語)」
って声を揃えて大音声.
 突然のことに狼狽してた少尉が可愛く見えた(笑

漫画板,2015/02/01(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 孫子の格言に,
「将,軍にありては,君命をも受けざるところあり」
てのがありますが,今の軍隊でこれをやったら処罰されますか?

 【回答】
 昔は通信技術が超貧弱であり,また国から届いた王の指示が本物と認証できるシステムも貧弱で,指示が最初の命令と異なっている場合の真偽確認が大変面倒だった.
 そのため現場指揮官の裁量範囲が大きかったので,君命無視も許された.

 今は,通信技術が進歩しているので緊急事態の場合,現地からすぐに政府に指示を仰げる.
 またきちんとした国は,軍隊に有事にどこまでならどのように行動してよいかといった判断権限を,事前に法として定めている.
 いわゆる有事法制というもの.

 君命というか政府の命令を無視しても,本国と時間的・技術的に通信不可能で指示が受けられず,事前に定めてあった法律どおりに行動しました,ということが立証されれば問題は無い.
 事前に定められた法を無視して行動したら駄目だけど.

軍事板
青文字:加筆改修部分

▼ 防大辞めた後の話だけど,遠隔地の仕事で,上司からあまりにむちゃくちゃな――言われた通りすると信用をなくしたり大損害を出すような――指示を出された時に,端末の電波状況が悪いと言って聞き取れない振りをして,ROE通りに処理して帰ってきたことがありました.
 反抗してもよかったのですが,当人は自分の判断が絶対だと信じ込んでいるため,論破してもへそを曲げられたら困るので,穏便に処理した次第です.

 なお,「通信機の不具合」は,軍隊ではよく使う手段らしく,パゴニス准将の『山・動く』でも紹介されていました.

クローム・ツァハル in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2010年09月23日 00:30


 【質問】
 「無能な働き者」というのは誰が言い出した言葉なのか?

 【回答】
「将校には4つのタイプがある.
 第一に,怠惰で無能なタイプ.これは放っておいても害にはならない.
 第二に,勤勉で有能なタイプ.このタイプはどんな細かいことでもきちんと分析する優秀な参謀になる.
 第三に,勤勉で無能なタイプ.このタイプがいちばん始末に負えないので,即座に除隊を命じなければならない.
 第四に有能で怠惰なタイプ.このタイプを最高の位につけるのがよい.

▼ フォン・マンシュタイン元帥の「ドイツ将校団について」より.

 無能で勤勉なタイプが指導層に存在することは,国家の損失です.
 「目に見えないけれど,時間とともに発生している損失」という意味の,「機会費用」という考え方が経済学にありますが,「この種の人がいるために発生 した国家の機会費用」を考えた場合,天文学的な数字になります.
 それ以上に,国益を損ねる事態を回りの人間が注意しなければいけないという点で,回りの人間にも無用な機会費用が発生します.

(おきらく軍事研究会)

▼ 【反論】
 おそらく,出展がマンシュタインの「ドイツ将校団について」ってのは↓の本の孫引きだろう

人生を変える80対20の法則
http://www5a.biglobe.ne.jp/~NKSUCKS/jinseiw.html

(英語圏wikiでもマンシュタインのそれに触れているのは,原作者のRichard Kochの本ばかり)

 ゼークトの組織論と似たようなデマソースの臭いがしまつ.

軍事板

▼ 今日はお休みで,『頑固なハマーシュタイン』を読んでいたのですが,マンシュタインの言葉となっていた例の話,「部下を4つのタイプに分けると…」.
 これは,ハマーシュタインが言った言葉として書かれて居ました.
 以下引用.

――――――
『あるとき,どのような視点で部下の将校を判断するのか,と聞かれた時,ハマーシュタインはこう言った.
「私はね,部下を4つのタイプに分けるんだ.
 利口な将校,勤勉な将校,馬鹿な将校,怠け者の将校,にね.
 たいていの場合,ふたつのタイプが組み合わさっている.
 まず,利口で勤勉なやつ.
 これは参謀本部に必要だ.
 つぎは,馬鹿で怠け者.
 こいつがどんな軍隊にも9割いて,決まりきった仕事に向いている.
 利口で怠け者というのが,トップのリーダーとして仕事をする資格がある.
 むずかしい決定をするとき,クリアな精神と強い神経をもっているからね.
 用心しなきゃならんのが,馬鹿で勤勉なやつだ.
 責任のある仕事をまかせてはならない.
 どう転んでも災いしか引き起こさないだろうから」』

――――――『がんこなハマーシュタイン〜ヒトラーに屈しなかった将軍』(ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー著,晶文社,2009.4),p.98

 因みに彼は,ワイマール共和国からヒトラー政権最初期に,陸軍軍務局長並びに陸軍最高司令官を務めた軍人で,1934年に職を免じられ,予備役に編入されています.

 この本自体は,彼方此方話が飛んで混乱する場面もありますが,ワイマール共和国末期の陸軍裏面史でもあり,また,ナチスやソ連との関係,ドイツ国内の共産党諜報網の動きなんかも様々に織り込まれていて,結構読める本になっています.

 ついでに,この発言は後に英語に翻訳されて,第二次大戦中,バッキンガムシャーのラティマー卿の屋敷を根城にしていた,英国陸海軍の秘密司令部に勤務している将校のデスクの後の壁に大きく,この言葉が掲げられているのを,米国の派遣将校であるエリック・M・ウォーバーグが記しています.

眠い人 ◆gQikaJHtf2

 Wikipediaのクルト・フォン・ハンマーシュタイン=エクヴォルトの項目にも載ってますね.
 独語版のほうだとさらに原語(?)で,

――――――
"Ich unterscheide vier Arten. Es gibt kluge, fleisige, dumme und faule Offiziere. Meist treffen zwei Eigenschaften zusammen. Die einen sind klug und fleisig, die mussen in den Generalstab. Die nachsten sind dumm und faul; sie machen in jeder Armee 90% aus und sind fur Routineaufgaben geeignet. Wer klug ist und gleichzeitig faul, qualifiziert sich fur die hochsten Fuhrungsaufgaben, denn er bringt die geistige Klarheit und die Nervenstarke fur schwere Entscheidungen mit. Huten muss man sich vor dem, der gleichzeitig dumm und fleisig ist; dem darf man keine Verantwortung ubertragen, denn er wird immer nur Unheil anrichten.“

――――――

Tono

 「利口で勤勉」ならカール・ムーア大佐,「利口で怠け者」ならレイモンド・スプルーアンス大将を思い浮かべますけど,「馬鹿で勤勉」は…ゲホンゲホン.

井上@Kojii.net

 牟田口中将の悪口はそこまでにしていただけますか?

クローム・ツァハル

 ん,私が想定したのは別の人だったんですけど…

井上@Kojii.net

 そこで杉様ですよ.

ゆきかぜまる

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より

▼ ちなみに
「馬鹿は死ななきゃ治らない」
は,戦前の浪曲師,2代目広沢虎造が流行らせたフレーズであって,マンシュタインとは関係ないので念のため.

 詳しくは『興行界の顔役』(猪野健治著,ちくま文庫,2004.9.10),p.429-431を参照されたし.▲



 【質問】
 有能な働き者を参謀にしたがるのは分かるのですが,司令官が「有能な怠け者」なのはなぜでしょうか? 司令官も参謀同様,有能な働き者を付けないと不都合では無いでしょうか?

 【回答】
 司令官の部分ははもともとは前線司令官だったと思う.
 死の危険のあるところに配置することで,怠けさせることなく,その有能さをフル回転させるため.

 あなたも会社で働くようになれば実感をもって理解できるかと.
397 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2005/10/01(土) 18:33:38 ID:???

 まぁ,上司が働き者だと,部下は苦労するわな.

 【質問】
 「実際にはまずあり得ない」という事を前提に置いた上で,質問です.
 よく漫画等にあるような,「無能な上官の命令に逆らい独断で行動した結果,大きな戦果を上げた」という場合,実際にはどのような罪に問われるのでしょうか?

 【回答】
 ケースバイケース

 ・上官が無能であるかどうかを,軍事法廷で証明できれば無罪を勝ち取る事ができる.
 ・その兵の独断で「無能だと」決め付けていた場合は,結果の如何に関わらず「命令不服従」で有罪になる可能性が高い.但し刑は情状酌量される可能性が残る.

 いずれにしても,将校は上層部の命令を受けて行動する(指揮する).
 一般の兵には見えない情報も,指揮官は持っているわけで,それを知らないバカひとりの単独行動でもたらされる隊へのリスクは大概,高くつく事が多い.
 たまたま結果がいい方に転んだとしても,そのリスクが冒された事実に変わりが無く,指揮系統を乱したバカは責任をとらされるのである.

 指揮官が無能かどうかは,その程度によるが,下士官,兵が下すものではなく,その上位指揮官が評価するものである.


 【質問】
 手持ちの「統帥綱領」や,「労農赤軍1936年臨時野外令」を読んでみると,どっちも「上級指揮官の意向に沿うべく」との留保条件付ながら,独断専行を推奨している.
 定番「失敗の本質」をはじめ,旧軍を批判的に分析する書物では,ここが辻のような参謀の暴走に繋がったと指摘する内容の物が多いが,逆に独断専行が成功した事例を始め,「良い独断専行」と「悪い独断専行」の区別について,具体的事例を挙げて分析してるような書物があるか否か,お集りの諸賢のご高説を賜りたい.

 【回答】
 第3次ハリコフのマンシュタインあたりはそうかも…
 なにせ独断に怒って総統閣下が前線に飛来してましたから.

 あとは,北アフリカのロンメル独断の大後退.
 これで英軍の包囲を逃れてますし.
 これも総統閣下の死守命令に反した独断専行かと…

 ただ,どれも「上級指揮官の意向に沿うべく」とは逆ですが.

Lans ◆xHvvunznRc in 軍事板
青文字:加筆改修部分

 パウルスの決断は考えさせられますね.
 全滅するよりも幾人かでも本国へ生きて帰したいという決断だったんでしょうが,降伏してはいけない相手に降伏した時の顛末がいかなるものだったのかという教訓.
 ベターな決断が,必ずしも良い結果を生むとは限らないという事かな.

名無しの愉しみ in 軍事板
青文字:加筆改修部分

 パウル・カレルが,ヒトラーの「死守命令」をして,
「あの命令があったおかげで,ドイツ軍は東部戦線の崩壊を免れた」
と,一定の評価を与えているな.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 軍人は自分の上司達について,異動の度に小隊長はどうの,中隊長はこうの,大隊長はそうの・・・ といったふうに国防大臣に至るまでずらーーっと覚えさせられるんでしょうか?
「さっきから見回りに来てるお偉いさんは誰?
 え?,うちの連隊長?」
なんて事もありえますか?

軍事板,2009/06/17(水)
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 身内の中の人2人に聞いてみましたところ,両方とも普通の経験とはかけ離れているため,全く参考にならない回答が返ってきましたが,大体は次のようです.

1.直属上司の顔と名前を覚えられないのは,単なる馬鹿

 よって,小隊長,中隊長,大隊長は確実に覚える.
 しかし,それ以上となると,検閲の時ぐらいしか顔を見ないため,名前は組織表(職位,階級と氏名が書かれている)で知っていても,気づかないことがある.ただし,制服を着ていれば階級章他で分かるため,敬礼は欠かさず行う.
(ちなみにこれは霞ヶ関でも同じこと.
 あちらの方は階級章がないため大変であり,内閣改造や高官の人事異動のたびに苦労する,とはキャリアの弁.)

2.とはいっても,隣の部署の人を知っているかと言えば,ピンキリ.

 空自の場合,教育部隊を除きやたらと細分化されていて,幹部の数も多いため,階級章に敬礼しても,顔まで覚えるのは難しい.
 これは市ヶ谷に行けば,文官含めて大変なこととなるため,はなから諦めている.

 ちなみに田母神氏の場合,元部下の面倒見の良さには定評があり,幕僚長就任後も
「たまには遊びに来い」
どころか,元部下が市ヶ谷勤務の場合,
「近くまで来たから様子を見に来たぞ」
と,アポなしで突然訪問.
 事情を知らない元部下の上司(さすがに幕僚長の顔を知らない市ヶ谷勤務の幹部はいない)を仰天させることもあったとのこと.

 陸自の場合,駐屯地規模にもよるが,偉い人の割合は空自より限られるため,比較的覚えやすいとのこと.
 しかし,非常に特殊な例として富士学校の場合,その性質上カオス状態であり,直属上司を覚えるのが精一杯.来校する幹部は最低2佐ぐらいではないと,陸士から敬礼もしてもらえないとのこと.
 陸士経験者曰く,3佐で敬礼していたら手を下ろす暇がないだろ!とのこと.

3.政治家<そんな人間まで知るか!

 総理大臣を知らない馬鹿はさすがにいないが,防衛大臣,副大臣としょっちゅう変わる政治家となると,顔と名前を一致させるのが大変とのこと.
 特にメディア露出の少ない副大臣となると,苦労するらしい.
 よって,先述の組織表と顔写真が必要となるとのこと.

 以上,特殊例で恐縮ですが,ご参考まで.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」,2009年06月17日 23:40

 防衛大学校では,自身の属する大隊の首席/次席指導官・中隊の各指導官(中隊次席指導教官/小隊指導教官)・訓練担当指導教官(≒中隊の各指導官が兼任),そしてライトをつけて走る車に乗る方々(学校長,副校長,幹事・訓練部長,内閣総理大臣・防衛大臣・副大臣etc)の名前を覚えることになります.
 これ,入校してすぐテストに出ますから,覚えておいてください.
 成績が悪いと消灯後に,上級生の部屋で(以下削除

> 「さっきから見回りに来てるお偉いさんは誰?え?うちの連隊長?」なんて事もありえますか?

 学生舎内においては,VIPの接近情報を放(以下削除

クローム・ツァハル in 「軍事板常見問題 mixi支隊」,2009年06月18日 02:30

 陸軍の場合,所属部隊の長などに付いては,連隊が基本となるため,下っ端の兵隊が顔を知っているのは連隊長まで.
 また,兵隊にとっての帰属は中隊のため,中隊長や中隊の士官・下士官などはよく知っている.

 士官の場合,連隊で1つの将校団として交流しているので,同じ連隊の士官なら良く知っている.
 上の階級の士官なら連隊の上級部隊ともやりとりがあるが,下の階級の士官だと,せいぜい自分らの連隊が所属している旅団や師団の長の顔を知っている,というレベル

 当然,配属したてだとその限りではないし,最高司令官(米軍なら大統領)の顔と名前はさすがに知っている.

軍事板,2009/06/17(水)
青文字:加筆改修部分


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