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◆◆◆◆騎兵
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総記FAQ・目次


(画像掲示板より引用)


 【質問】
 騎馬民族はなぜ衰退したの?

 【回答】
 騎馬民族が衰退したのは,土地に定住しない騎馬民族のライフスタイルでは近代型の国家システムを作れないから.
 中央集権制度を作るのが困難な騎馬民族の遊牧国家は,結局中央集権制度を確立した国家に勝てない.
 大モンゴル帝国自身,騎馬民族としてのライフスタイルは帝国が確立するのに従って捨てちゃったわけだし.

軍事板


 【質問】
 騎兵部隊とは一体どんな事をする部隊なのでしょうか?

 【回答】
 まず偵察.
 そして伝令・連絡.
 軽快な機動力を持つことによる.
 通信が発達する前は,馬の速度は貴重だった.
 迂回機動による奇襲なども任務だが,実際にはあまり行われていない.
 馬は目立ちすぎるからね.

騎兵
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 ヨーロッパでは騎士と呼ばれる職業軍人が馬と槍を持って突撃してたらしいけど,それって今でもある?
 バイクのってアサルトライフルもって突撃とか・・・
 それとラクダとかゾウとかでも行われたの?

 【回答】
 騎士っていうのは「身分」ね.
 君の言っているものは「騎兵」と呼ぶのが正確.

 戦術(戦う方法)は時代によって変化していく.
 現代に刀や槍を持った武士が自衛隊にいないのと同様,騎士は中世の終わりと共に,その役目を他に渡した.

 現在では実戦で馬に乗り,槍を振るうことはない.
 「騎兵」は儀礼用の部隊を除けば,装甲車やヘリコプターを装備する部隊に変わった.
 馬はヘリに変わり,槍は突撃銃に変わり,現代に至っている.
 「騎兵」という部隊名や兵科は一応今でも残っている

 中東の国には「ラクダ騎兵」があったし,古代には象に鎧を着せて背中にゴンドラを載せて,そこに兵士が載る「戦象」というものが存在していた.
 象部隊はカルタゴやインドが有名.ラクダ部隊はセレコウス朝シリアやパルミュラなどが有名.

 ラクダは小回りがきかないのと,気性が荒いので,馬より扱いにくかったけどな.
 それにラクダは「だく足」なんだ.
 だから上に乗る人はえらい揺れる.

 戦象は扱いがラクダ以上に難しいく,象そのものがパワーで,乗ってる人が主体とは言い難い.



406 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2008/07/05(土) 00:09:49 ID:???

 槍はともかく,馬を持って突撃するのは大変だろうなぁ.


409 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2008/07/05(土) 00:16:42 ID:???
>>406
>槍はともかく,馬を持って突撃するのは大変だろうなぁ

「馬を持つのは大変だ.
 そうだ,馬も四つ足鹿も四つ足.
 鹿を持って突撃すればいいんだ.
 俺ってあったまいい!」

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 騎兵部隊はどんな訓練をしてるのでしょうか?

 【回答】
 上の任務をこなすための訓練.
 基本は馬を乗りこなすことが第一で,これができなきゃ騎兵とは言えない.
 他は歩兵と大差ない.

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 昔の戦争だと馬が使われたってきくけど,実際,馬って人間に比べてどのくらい速かったの?
 そりゃ今の馬は時速七十キロとか出るけど,そんなのは血統かけあわせまくりのサラブレットの話であって,昔の馬はクソ重い鎧着させられた上で鎧きた人間背負ってたんでしょ?
 そうすると,普通の人間とそんなに大差があるようには思えない・・・

 【回答】
 サラブレットじゃない昔の普通の馬は,そんなにヤワじゃないよ.
 確かに身長は低く,今の競走馬とは根本的に体形が異なるが,まず通常の歩兵の進軍速度である時速4kmを下回ることは無いだろう.
 体力的にも馬の方が格上だし,どう考えても馬の方が速い.

 また,クソ重い鎧を装備して戦ったのはほんの一時期.
 その時代ですら,戦場に到達したら馬を降りて戦うのがほとんど.
 よくある英雄譚のように馬上で戦ったりはしない.
 それだと普通に不利だもん.
 おそらく質問主は紀元前のサルマティア人の重装騎兵戦術と,100年戦争のフランス騎兵のことを言ってると思うんだが,両方とも実際の戦闘時には馬から降りてるよ.
 そのあたりは,近代戦における兵員輸送車としての運用に近い.

 馬に乗ったまま戦ったローマ騎兵や同時期のヌミディア騎兵,ガリア騎兵は全部軽装騎兵だよ.
 軽装騎兵は機動力を重視した兵科なので,馬上戦闘を行うけど,主な任務はかく乱・偵察・追撃だしね.

 また,古代において鐙(あぶみ)が開発されるまでは,基本的に騎馬民族は軽装で弓を撃って逃げるやり方.
 農耕民族は戦車(馬車)をくっつけて2頭立てで引っ張っていた.
 サラブレッドのようなスピードこそ無いが,足も太く力のある馬が用いられていたようだよ.
 人間を乗せたり引っ張るくらいは簡単.

世界史板
青文字:加筆改修部分

 「クソ重い鎧」とは何を指すのでしょう?
 ホーバークやフルプレートアーマーですら,戦場で使用された物は30kg以下の重量で,現代の歩兵の装備より軽い物です.
 そしてそれらはほんの一時期どころか,数百年に渡って使用されました.

トビ in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分

 全身を鎧で覆った重装騎兵の騎兵突撃は,大砲と鉄砲の普及までは,普遍的な戦術の一つでしたよ.
 特に中世においては,重装騎兵の突撃による衝撃力は,戦闘の趨勢を決めるほど大きな攻撃力でありました.

 一例としては中世末期のラヴェンナの戦いでは,両軍が重装騎兵による大規模な突撃を行っています.
 もっとも,神聖同盟軍の重装騎兵は大砲によって,大きな損害をこうむっていますけど.

極東の名無し三等兵 in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分



 【質問】
「騎兵は戦場に到達したら馬を降りて戦うのがほとんど.
 よくある英雄譚のように馬上で戦ったりはしない.
 それだと普通に不利だもん.
 おそらく質問主は紀元前のサルマティア人の重装騎兵戦術と,100年戦争のフランス騎兵のことを言ってると思うんだが,両方とも実際の戦闘時には馬から降りてるよ.
 そのあたりは,近代戦における兵員輸送車としての運用に近い」
というのは本当ですか?

 【回答】
>よくある英雄譚のように馬上で戦ったりはしない.
>それだと普通に不利だもん.

 何が「不利」なのかが不明瞭です.
 無論,槍衾を作った重装歩兵に正面から突撃すれば,不利どころか自殺行為でしょうが,軽装の散兵や戦列に穴が空いて崩れかけてたり,敵歩兵に拘束されて身動きが取れない歩兵隊の背面や側面をつけば,むしろ有利でしょう.

>おそらく質問主は紀元前のサルマティア人の重装騎兵戦術と,
>100年戦争のフランス騎兵のことを言ってると思うんだが,
>両方とも実際の時には馬から降りてるよ.

 これもちょっと解りません.
 サルマティア人のカタフラクトが戦闘時には馬を下りていたと言うのは聞いた事がありませんし,そもそもタクシーとして馬を使うのならわざわざ金をかけ,機動力を落としてまで装甲化する必要が解りません.
 100年戦争中のフランス騎士がしばしば下馬して戦ったのは,私が知る限りではイングランドの長弓兵の突撃破砕射撃によって,騎兵突撃が無効化されたからで,逆に言えばそれ以前は騎兵突撃が普通に行われていたと言う事です.
 ナポレオン戦争時代でも一部の兵科,例えば胸甲騎兵の役目は,崩れかけた敵戦列を突撃によって粉砕する事で,下馬して戦ったのではありません.

トビ in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分



 【質問】
「古代において鐙(あぶみ)が開発されるまでは,基本的に騎馬民族は軽装で弓を撃って逃げるやり方.
 農耕民族は戦車(馬車)をくっつけて2頭立てで引っ張っていた」
というのは本当ですか?

 【回答】
 これは単に事実誤認かと思われます.
 最初に鐙が確認される1500年前の8世紀BCに,アッシリア人が騎兵隊を実用化していますから.中東における戦車の全盛期は,6世紀BCの始めには過ぎ去っており,ヨーロッパにおいても4世紀BCの終わりには,ブリテン島を除いて戦車が実戦に使われる事は稀になりました.

トビ in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分


 【質問】
「昔の竜騎兵は乗馬歩兵のことで,現代の機械化歩兵のようなものだよ」
と先輩に教わったのですが,機械化歩兵が機甲部隊に同行して歩兵戦闘を行ったように,竜騎兵は他の騎兵部隊に同行して歩兵戦闘を行ったのでしょうか?

 【回答】
 時代,地域ごとに変遷はあるが,17世紀頃の初期の竜騎兵の任務は偵察や拠点確保だった.
 全軍に先んじて戦場の地形を観察するとか,戦場近辺の重要な橋を占拠しておくとか.
 要するに歩兵では時間がかかりすぎるが,騎兵にやらせるほどの任務でもないという場合に竜騎兵が使われた.

 つまるところ,初期の竜騎兵は雑用係,戦場の穴埋め役のようなものだったんだろう.
 であるから騎兵と協同して戦闘を行うというケースはあまりなかったんじゃないかな.
 もっとも,ナポレオン戦争ごろにはほとんど普通の騎兵と同じように使われてたけれど.

 したがって,機甲部隊に追従して戦闘を行う現代の機械化歩兵とは,かなり意味合いが違う.
 そもそも,機動的な戦闘というのが20世紀頃まではほとんどなかったわけだし.

軍事板


 【質問】
 竜騎兵は騎兵が下馬して歩兵戦闘を行うようになってできた兵科なのでしょうか?
 それとも歩兵が乗馬してできた兵科なのでしょうか?

 【回答】
 当初は乗馬歩兵として発達したが,19世紀に騎兵化した.

 もっとも,国によって事情は違って,フランスでは長銃装備の騎兵として猟騎兵(軽騎兵)や騎銃兵(重騎兵)が 成立したので,乗馬歩兵としての役割が多く残ったし,プロイセンでは逆に殆どが重騎兵化した.

 彼らに与えられる馬はたいてい小型で,重騎兵のように突撃には使えなかったそうだ.

軍事板


 【質問】
 最近,騎兵に興味をもったんですが,近代の騎兵,特に日本とロシアの騎兵についての書籍があれば,教えていただきたい.

 【回答】
 騎兵戦術全般については学研の
・歴史群像別冊「戦略/戦術/兵器辞典3 ヨーロッパ近代編」がお勧め.

 ロシア騎兵関係は,和書の解説本はほぼ皆無といってよいが,WW1〜国内戦期を扱った小説で騎兵戦術について触れたものが多い.
(例)・ショーロホフ「静かなドン」
  ・オストロフスキー「鋼鉄はいかに鍛えられたか」

 日本の騎兵に関しては,佐久間亮三「日本騎兵史」原書房,1970年というのがある.
 いささか古い本だが,旧軍騎兵関係者作成のいわば公式史なのでまとまっている.
(逆に言うと公式史なので,美化しすぎな部分もちょっと感じられるが)
 比較的,図書館への収蔵が多いはず.
 類本で,萌黄会「日本騎兵八十年史」というのもあり,これも関係者編.

 あとは,グランドパワーの記事でWW2中心に特集したものがある.
 乗馬部隊については2002年ころ,機械化されたものについては2001年5月・6月.

 別冊歴史読本の「日本陸軍機械化部隊総覧」には,機械化の経過について約10ページの概説

軍事板,2009/07/02(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 現代の軍では騎兵部隊は役に立つのでしょうか?

 【回答】
 自衛隊に限らず,現代の軍で騎兵部隊を運用する国はない.
 儀仗兵(儀式やパレードなど)は馬に乗る必要があることもあるが,実戦では使われない.
 アメリカ陸軍には現代も「騎兵」なる部隊があるが,伝統的名称にすぎず,実際には装甲車両を用いた偵察部隊.

 騎兵が実戦で役に立ったのは,ギリギリ19世紀末まで.
 日本では日露戦争くらいまでだが,この場合も実質歩兵として機能している.
 WW2でも大量の馬が使われているが,基本的にトラックの代わり.騎兵部隊じゃない.
 あとは馬は非常食料代わりになる.

 ただし,第三世界での不正規戦では,今でも活躍することがあるとか.


 【質問】
 騎兵は儀礼用とかで今も細々と(一個大隊ぐらい?)で生き残ってそうですね.王制の国とか.
 兵種として,実戦の有力手段として活躍したのはいつまででしょうか?
 日露戦争ではけっこう活躍してますよね?

 【回答】
 日露戦争のときは永沼挺身隊くらいしか活躍してないような.
 ロシア軍自慢のコサック騎兵もほとんど何もしていないに等しい.
 それ以前のクリミア戦争のときから,火器の発達から,「バラクラバの戦い」のように騎兵突撃は時代遅れになっていた.

 ただし,独ソ戦でも双方が騎兵を使用してる.特に赤軍はコサック騎兵を効果的に使ってる.
 このケースでは騎兵というより,馬の機動力を軽輸送力として生かしたわけだが.当時はまだ軍隊が完全に機械化されてたわけじゃないから,馬匹に頼らざるを得ない面があった.

 アフガン戦争でも,騎兵はまだまだ現役だったようで.北部同盟軍に派遣された米軍の特殊部隊員も馬に乗って駆け回ったそうだ.カコイイ.

(世界史板)

 正確には,アフガン戦争で使われたのはロバだけど.

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 昔の騎兵はランスチャージと呼ばれる攻撃を,馬と鎧と槍を用いて行ってたと聞いたのですが,彼等は塹壕戦が一般的になったあとは何をしてたんですか?

 【回答】
 馬と鎧と槍を用いて行うランスチャージは,主として騎兵っていうより騎士の時代の話だよ.
 17世紀には廃れてしまう.
 で,塹壕戦が一般的になる20世紀までの300年間は,機動力を生かして「偵察,後方攪乱,追撃」なんかを主任務とするようになった.
 乗馬で機動して戦闘は下馬を主とする竜騎兵が作られ,ソレをサーベル持って追い掛け回す軽騎兵とかの時代になる.

 戦線が膠着する塹壕戦の時代になると,そういう用途でも使いづらいので斥候,伝令程度の用法が主になり,戦車やトラックが戦場に登場するようになると,「乗車騎兵」って形になって機甲化していく.

 あるいは第一次世界大戦のときは,戦線後方で大突破が出来たら投入されるのを待っていた.

 第二次世界大戦のときは,難地形や開放翼で機動して敵後方に回り込んだり,ゲリラ警備などしている.

 ちなみに19世紀初頭のナポレオンの時代でも騎兵突撃はやってます.
 有名なのがワーテルローでのネイ元帥が率いた突撃.
 イギリスの方陣目掛けて突撃しました.
 ランスチャージではなくて,胸に鎧をまとった胸甲騎兵がサーベルを使って突撃したのです.

軍事板
青文字:加筆改修部分

▼ 「一般的になったあと」というのが「以降」ということで,「一般的になったとき」を含むと理解した場合ですが,『機関銃の社会史』(ジョン・エリス著,平凡社,2008.2)に塹壕戦における絶好?のネタが載っていたと思います.
 同書より引用.
 当時の騎兵隊に対する信念がわかる.

――――――

(引用者注:1916年,英国首相ロイド・ジョージ)
『 私の乗った車は,仰々しく前線に向かって行進する騎馬大隊のあいだを走りぬけた.
 あれは何をしているのだと私が尋ねると,ダグラム・ヘイグ卿はこう説明した.
 彼らは,できるかぎり前線に近いところまで繰り出し,竜騎兵が襲撃をかけてできた間隙をついて,いつでも攻撃を仕掛けられるように備えているのです.
 騎馬隊は機先を制して勝利をおさめ,ドイツ軍を徹底的に壊滅させるでしょうという.

 (中略)

 敵の防衛線の背後の,何マイルにもわたって有刺鉄線と機関銃が一杯ある前線で,騎兵がいったいうまく作戦行動をとりうるのかという疑問を,わたしがあえて表明したところ,(中略)将軍たちは私にくってかかってきた.』
(p226-227)

 一九一七年七月二十日,この頃になってもまだ,ジャック将軍は日記にこう書いている.
「最高司令部は(中略)いまだに歩兵の攻撃でドイツ軍の守備を破り,そこに騎馬隊を攻め込ませよう,と考えている.
 (中略)
 だが,第十軽騎兵は去年の春,アラスの戦いで仲間の三分の二をなくし,もはやこうした戦法を信用していないようだ」.
(p227-228)

 一九一六年五月,フランス軍歩兵隊の仕官も,槍騎兵の連隊が攻撃の陣形をとっている光景に出会った.
 仲間の仕官が彼のほうを振り向いて,諦めきったような口ぶりでこう語った.
「この連中はみんな突破作戦に備えて待機させられていて,われわれはその栄えある突破を二年も待たされているんだ.
 (中略)
 機関銃に対抗するのに槍に勝るものはないというのにね」

 だが,この騎馬隊は少なくとも馬があるだけましだった.
 一九一八年六月,このフランス人士官は,前線にいる別の部隊との交替を要請された部隊に加わっていた.
 彼らと入れかわりに戦線を離れる兵隊は竜騎兵だとわかったが,彼らは,前日にドイツ軍を攻撃するよう命じられたいきさつを語ってくれたという.
「おまけに,騎士道精神を忘れるなという命令に従って,槍を構えて徒歩で突撃したとも付け加えた」.
(p228)

――――――

 歩兵の銃剣突撃も普通に行われているので,別に異常ではないところが恐ろしい.
 この場合,スピアチャージ?

仮 in FAQ BBS


 【質問】
 史上最後の騎兵突撃は?

 【回答】
 史上最後だか伊太利亜軍史上最後だかの騎兵突撃は,1942年ロシア南部ドン河流域の戦いで伊太利亜陸軍サヴォイア騎兵連隊がソ連軍に対して行ったモノらしい.
 で,現在のサヴォイア騎兵連隊の軍馬たるセンタウロ装甲車には,このとき戦死した軍馬の名前が各車の固有名として付けられているらしい.

 また,「戦車マガジン別冊 中国大陸の機械化戦争と兵器」によりますと,老河口作戦内におきまして,騎兵第4旅団が老河口飛行場占領のために投入され,1945/3/17,急襲により,飛行場占領に成功.
 これが史上最後の騎兵突撃である,と同書では述べています.

 ただ,ターリバーン戦争においても驢馬隊が投入されており,ことによっては…….

(消印所沢 ◆z3kTlzXTZk他)

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 馬に乗った騎兵による攻撃は日露戦争や第一次世界大戦でも行われたとき聞きますが,ランスを構えての突撃(所謂ランス・チャージ)はいつ頃まで行われていたのでしょうか?

 【回答】
 いわゆる「騎士」のあれ?
 それなら十六世紀.1525年パヴィア(伊)の戦いでフランス騎士がスペイン軍にチャージしかけて大打撃をくらった.フランス王フランソワ一世まで捕虜になる始末.
 この戦争以後,「騎士の国」だったフランスも騎士→ピストル騎兵へとシフトしていく.

 「騎士」はなくなってしまうが,しかし,槍騎兵は18世紀末から19世紀初頭にかけてヨーロッパ主要国で復活している.
 ポーランドの分割でポーランド騎兵の伝統が移植されたからというから,ポーランド士族の騎兵は近代までランスの装備をしていたのだろう.
 まぁ,着剣したマスケット銃を持った歩兵相手の場合は,サーベルより有効なのは自明なので,当然の処置とも言えるわな.

 そして時代は下って,1898年9月2日,英軍がスーダンのマフーディ反乱軍をオムドゥルマンで壊滅させた際,英陸軍第21槍騎兵(lancers)連隊が行った突撃が最後とされる.
 若き日のウィンストン・チャーチルが参加していたことで有名.
 チャーチルは肩を脱臼して槍,サーベルが使えなかったので,当時の最新兵器であったモーゼル1896ピストルを使い,数名の敵を倒している.

 この戦いでは,数丁のマキシム機関銃が多数の回教徒兵を倒し,大きな威力を示した.
 逆に,騎兵突撃は無用の死傷者を出し,時代遅れであることが明らかになった.
 Battle of Omdurmanを参照されたし.

 伝説では,第2次世界大戦のポーランド侵攻に対して,ポーランド騎兵が槍を構えて突撃したという話があるが.裏はとれていない.


 【質問】
 近世以降,騎兵が最大の戦果,もしくは戦略的意義を発揮した会戦名を教えてください.

 【回答】
 「最大の」とすると回答が極めて困難(主観による)ので,参考までに有力そうな例をあげますと,日露戦争の奉天会戦では騎兵が無視できない戦略的意義を発揮しています.

 会戦に先立ち,日本側は永沼挺身隊をはじめとする複数の騎兵部隊を組織し,ロシア軍の後方攪乱に投入しています.
 彼らの規模は,敵手たるロシア軍の騎兵と比べると微々たるものでして,直接的には,戦局に影響する様な戦果はあげていません.
 ただし,敵地深くへ潜り込んで破壊活動を行い,一部ではロシア騎兵を蹴散らしたり,となかなか派手に暴れています.

 で,彼らにやられたロシア軍将兵が大げさにその脅威を言い立てた結果,ロシア軍司令官クロパトキンは最終的に
「我が軍の後方で日本軍騎兵1万が行動中」(!)
などという途轍もない虚報を受け取ることになります.
 この虚報にクロパトキンは深刻に動揺し,奉天会戦での決定的局面において
「鉄嶺に日本軍大騎兵部隊出現,後方遮断の危険あり」
というこれまた虚報を信じ込んで,全軍退却を命じる結果になりました.

 これが奉天会戦における日本の勝利に結びつきます.
 まあ,あまり華々しくはないのですが,戦略的意義,という点では重要な役割を果たした,と言えるのではないかと考えられます.

軍事板


 【質問】
 山岳戦に騎兵は使えないっていう人もいますが,日本土着の馬は傾斜地も歩けるんですよね?
 実際のところ,どうなんですか?

 【回答】
 山岳でも騎兵というか騎馬,ロバの類は使える.
 具体的には,佐々木春隆の日中戦争物を読むといいです.
 歩兵連隊の力強い味方である大隊砲などを,分解して弾薬と一緒に運んだりしています.
 また,佐々木自身は騎乗して連絡に出たりもしています.

 ただし傾斜地を歩けるか以前の問題として,騎兵の運用は常に馬の飼料補給を考えないといけない.
 その辺の木の葉っぱを与えればOKというわけにはいかない.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 騎兵科の衰退の原因は,銃と野戦陣地の登場でしょうか?

 【回答】
 騎兵は第二次世界大戦でも存在してたし,ナポレオン戦争でも高い破壊力を示してたように,銃の普及は騎兵の衰退とはあんまり関係ない.
 機関銃+塹壕という組み合わせが登場するまでは,銃があっても歩兵では騎兵の突進に対抗するのは難しい.

 騎兵が衰退したのは自動車の発達と機関銃の登場,つまり「装甲戦闘車両」に取って換わられてしまったから.

軍事板

騎兵華やかなりし頃
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq17t.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq17t02.jpg
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 フランス軍では馬もいない部隊に,何で龍騎兵なんて名前つけてるんですか?
 まぎらわしくないんですか?,フランスの軍人さん的には.

 【回答】
 竜騎兵という名前をつけたころは竜騎兵の部隊だった.

 伝統ある名前を付けることで部隊の士気が上がる,精鋭部隊であることが分かる,といった効果があります.
 検索してみれば歴史ある部隊であることが分かるかと.

 フランスに限らず,「伝統ある名前だから」という理由で歴史的な名称を使い続けてる部隊は各国にあります .
 例えば,ダムバスターズの隊の番号はナンバリング方式が変わった後もそのまま爆撃隊のままで残ってる,といった感じです.

軍事板

現代の第2龍騎兵連隊
(画像掲示板より引用)


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