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◆◆◆◆◆「燃料はイラク戦争に使われている」?
<◆◆◆◆燃料の行方
<◆◆◆テロ特措法 目次
<◆◆日本のテロ対策
<◆テロ対策
<テロリズムFAQ目次
(画像掲示板より引用)
【質問】
結局,自衛隊が補給した油は,イラクにも使われているの?
【回答】
物理的に言えば可能性はある(でも可能性としては低いし,断定は不可能)が,帳簿上で言えばno.
***
さて,「がりぽり軍事学」です.
本当は早く
「打倒!スーパー・ストロング・マシーン!!」
を書きたいのだけれども,
「お前は平田だろ」
とか言われそうだし(涙)
ということで
「テロ特措法下の給油問題」
について書きたいと思います.
今回のポイントは,
「物理的な話と
帳簿上の話を
分けて考える必要がある」
ということ.
小沢さん自身
よく分かってないみたいだから.(笑)
さて,話を思いきり分かりやすくするために
「Jオイル」
という架空の燃料があると仮定してみよう.
このJオイルは,
普通の軽油と変わらないんだけど
ただ色がピンク色していて
日本が給油した燃料であることが
見た目で分かるという...(笑)
じゃあ,このJオイルを1万バレル
米艦に給油してみよう.
自衛隊では米補給艦に給油することにしているから
米補給艦にすでにあった燃料と
Jオイルとが混ざって
燃料全体が薄ピンク色になるよね.
次にこの薄ピンク燃料を
米補給艦から空母に補給してみよう.
米軍だって無用の摩擦は起こしたくないから,
日本からもらった1万バレルは,
臨検活動中の艦艇に給油しようと考える.
実際にはすでに薄ピンク色なんだけどね.(笑)
そこでインド洋上の空母に
薄ピンク燃料が1万バレルが補給される.
普通は1万バレル使いきれば
問題はないんだけども,
軍事作戦に限った話じゃないが
予想外の事態が発生することがある.
たとえば,イラクでアルカーイダの幹部が発見されて
急遽空爆が必要になったとかね.
1万バレル給油したばかりだけれども
空母はイラク沿海に急行することになる.
1万バレル使いきってから行ったんでは
アルカーイダを取り逃がすことになるからね.
かといって,
いちいち日本政府の了解をとりつけてからでは
これもまた手遅れになるしね.
で.あとで1万バレル分返せばいいやということで
かくして薄ピンク燃料を積んだまま
イラクでアルカーイダを攻撃することになるわけだ.
だから,物理的に言えば
ピンク色の燃料が
まったく使われないことは
ありえないんだ.※
ありえないんだけれども,
これを立証するのもまた不可能だということは
分かると思う.
だって,現実の燃料はピンク色してないから.(笑)
見た目での区別はつけられないでしょ?
ここで帳簿の上の話になってくるんだけど,
さっき空母が予定外で使ってしまった1万バレル,
給油艦に返してしまうと,
帳簿上は帳尻が合ってしまう.
返したぶんの1万バレルは
給油艦が積んでいる
アメリカ政府自身が買ってきた油を
空母に給油するだけだし,
実際はそんなめんどくさくて無意味な作業はやらないで
帳簿上で動かすだけだろうけど.(苦笑)
日本政府としても,
この1万バレルは,
アメリカが勝手に借りて行っただけってことになるから,
「イラク戦争に使われることを想定して,
給油したわけではない」
という理屈が成り立つんだ.
「いや,勝手に借りていく可能性があると分かっていながら,
給油をすれば,
それは戦争加担だ」
と言い出す人もいるかもしれない.
でも,「可能性がない」状況とは
いったいどんな状況なんだろう?
援助というものを
援助を受け取る側から見れば,
援助された分だけ,
ゆとりが生まれるわけだから,
そのゆとりの生じた分を,
他に転用することは当り前にある.
そしてその転用先は
非軍事とは限らないんだ.
たとえば(昔,読んだ本なので題名が思い出せないんだけど),
中越戦争の頃,
日本の対中ODAがそっくりその戦費に流用されたんじゃないか?という
疑惑を指摘していた人がいた.
その人によれば,
戦費とODAとがほぼ同額だったんだそうだ.
これは日本の軍事援助ということになってしまうのだろうか?
あるいはまた,昨今話題のミャンマーもそうだ.
ここにも日本は多額の援助をしている.
その援助で生まれたゆとりを
ミャンマー政府は軍事予算に振り向けてはいないと
断言できる人がいるだろうか?
それからまた,世界の国連加盟国は
国連分担金というものを国連に払っている.
その国連は北韓(北朝鮮)に人道援助をしている.
その援助で生まれたゆとりを
北韓が軍事予算に次ぎ込んでなどはいないと断言できる人は
世ほどのお人よしだろう.
この場合,国連加盟国は,
テロ支援国家を支援する国家と見なせるのだろうか?(笑)
このように,
どんな援助であっても
それが軍事援助に流用される可能性は
ゼロではない.
でもだからといって,
可能性がゼロではないからというだけの理由で,
「援助をやってはダメだ,
それは戦争に加担する行為だ」
という話になれば,
日本はどこにも何も援助することはできなくなってしまう.※2
そうなるともう日本は鎖国するしかなくなってしまうね.
うひょひょ...(苦笑)
そして逆に言えば,
「Xという援助が実はYに使われている!」
という話は,
難癖をつけたいときに便利な,
どうとでも解釈できる主張でしかない,
ということも分かるよね.
とほほほ...
だから今回のイラク特措法に関するモノ言いというのは
「このボールペンを暴力団摘発以外に使ってはならない」
という条件で備品を援助
↓
すでに買ってあった,余ったボールペンを,交通課へ回した
↓
ボールペンが交通取締りに使われた!
↓
プロ市民大激怒
という構図と同じなんだ.
ただし,では与党には何も問題はないのかといえば
そうではない.
一番の問題は
「ここまでは日本もやる.
ここから先は日本はできない」
という原則を打ち出していないことだと思うんだ.
テロ特別措置法という存在からして,
「一時的な」ものでしかない.
その場しのぎのものでしかなく,
他に大きな国際テロが起きたらどうするのか,
というのが見えてこない.
某k●jii.n●tでは
テロ対策基本法といった恒久法の制定を主張していたけれども,
僕はそこまですることはないと思う.
今の政治風土では困難だろうし,
第一,恒久法にしたら
日本の場合だと逆にそれに縛られすぎて,
臨機応変な対応ができなくなるんじゃないかな.
それよりも,
半年に一度とかの定期的に
最新の分析を元に
「これからの半年間は,
テロ抑止について,
日本はこういうことを目指します.
そのためにはこういうことまではやります.
しかしそこから先はできません」
という原理原則を首相自ら宣言したほうがいいと思うんだ.
この場合,最新の分析を元に,
半年ごとに更新していくのがミソだ.
そうすれば
このままどんどん深入りしていくんじゃないかと
なんとなく不安を感じている人々も安心できる.
新しいテロ事態が起こっても,
その原理原則に従って迅速に対処できる.
日本人は長期戦略は苦手だけど,
中短期戦略は得意だしね.(苦笑)
そんなわけで,
なんだか本家の人の政治学の分野に
素人が片足突っ込んじゃった感もなくもないけど,
まあ安全保障問題と被る部分なんで
勘弁してね.
それでは,またね.
「がりぽりぽり」,2007/10/3
※この文章の文体は「かみぽこぽこ」のパロディであり,
実在のかみぽこ氏とはいっさい無関係です
※ 佐藤守は次のように述べる.
海自から補給を受けたある艦艇が,事態の変化に伴ってイラク紛争に関する作戦に出動したとき,海自から補給された燃料を一時抜いて,イラク作戦専用の燃料と積み替える,などという芸当は不可能である.如何に米軍といえども,艦艇数は限られている.
ちなみに,この手の間接給油はイラク開戦後,激減しています.
補給艦への給油,88%が米軍に=01,02年度に集中−防衛省公表
時事通信,2007年10月9日(火)20:27
※2 やはり佐藤守は次のように述べる.
湾岸戦争が開始された直後,三沢基地司令だった私は,ワシントンから来た大佐達を含む基地の主要幹部たちとの夕食会で,
「何故世界の平和のために,自由を守るために,日本は今回の紛争解決に協力できないのだ.
日本の憲法が海外派遣を禁じているというのがその理由か?」
と真剣に聞かれ,
「その通り,尊敬するマッカーサー将軍が作ってくれた憲法に,我々日本国民は忠実なのだ」
と茶化したが通じず,
「あれから既に40年,いつまでもマッカーサーのせいにするのはおかしい.
憲法問題は日本人自身の問題だ.
独立したのに何故自分達の憲法をつくろうとしないのだ?」
と切り替えされた.そして
「自国の憲法を理由に自衛隊を参加させない理屈は分かった.
しかし,代わりに出した金の明細書を要求するのはどういうことだ?」
と詰問された.
思い上がった米国人め!というのはやさしい.
原爆を落としやがって!というのも分かる.
しかし,軍人として軍事的常識から考えると,彼らが明細書を出せという神経が分からない,という気持ちは良く分かる.
【追記】
2007/10/18に出されたペンタゴン声明も,上記言説を裏付けるものとなっている.
以下引用.
[quote]
「日本との合意に従った」 給油問題で米国防総省声明
朝日新聞,2007年10月19日01時44分
米国防総省は18日午前(日本時間同日深夜),インド洋での海上自衛隊による給油活動をめぐって声明を発表し,油の使途をたどることは複雑な作業だとしたうえで,「米国政府は(対テロの)『不朽の自由作戦』(OEF)に参加する艦船だけに油を供給するとした,日本政府との合意に忠実に従ったと信じる」との立場を明らかにした.
油が最終的に消費されるまでの経路をたどることが複雑な理由として,声明は
(1)海上自衛隊から提供された油は,〔海自専用の〕別のタンクに貯蔵されるわけではない
(2)他の補給艦を経由した場合には,さらに複雑になる
(3)(米海軍の)艦船は複数の任務を帯びることもある,
の3点を挙げて説明した.
声明はさらに,OEF全体で消費した油の量は,日本が提供した量を上回ると指摘し,「日本の提供した油はすべて,OEFに参加した艦船によって消費されたと説明できる」と結論づけた.
[/quote]
【質問】
「朝まで生テレビ」で江田けんじ代議士が
「テロ特措法で行っている艦船から給油されている油の,英米向けの8割はイラク戦争に使われている」
と言って,会場では司会者が
「これはだれも知らなかった情報だ!」
と言ってましたが,みなさんも初耳の情報ですか?
米国の軍関係の公式サイトに乗っていて,今はそれを読めなくなっているそうです.
【回答】
まあ,初耳といえば初耳.その「8割」という数字に根拠は全くないので.
江田議員は,アメリカ中央海軍HPの記事が書かれた時期を考慮せずに,平成17年度の日本側発表の給油量と比較しているだけ.
軍艦というのは一つの任務にだけ固定されるものではないので,日本が給油した燃料がイラク戦争に用いられていない,ということはないだろう.
が,給油した燃料が直接イラク戦争に用いられているという言質を与えないため,海上自衛隊は戦闘艦ではなく,補給艦に給油している.
そもそも援助されて浮いた分,その浮いたものを別の用途に振り向けられるわけで.厳密性を求めていったら,日本は何もできない,日本は何もするな,という意味に等しくなってしまう.
***
その放送等によれば,
「日本政府は,不朽の自由作戦(対テロ作戦)の開始以来,同作戦に8663万ガロン(=約33万kリットル以上の燃料を貢献した」
という事らしいのですが,これの根拠は,イラクの自由作戦を解説したページに記述があったから,というだけのようですね.
事実は”イラクの自由”作戦の副項目
「世界規模の戦争:有志連合の貢献」
『A Global War: Coalition of the Willing
Contributions』
内に,スペインの人道援助活動やカナダ海軍の”不朽の自由”作戦での活躍と並べられて,日本の給油活動が紹介されているだけなのです.
これを早とちりした挙句,平成17年度の日本側発表の給油量と比較した結果,おかしな事になってしまったわけです.
アメリカ中央海軍HPの記事が書かれた時期を考慮していないわけですね.
ちなみに防衛白書2003年版によると,累計供与量が
2003年6月末で31万キロリットル.
同2004年版によると
2004年5月末で35万7千キロリットルです.
アメリカ中央海軍HPの記事は2003年秋頃の数字を引用したのだと思われます.
ポポフ・改
発端は朝生での江田憲司衆院議員の発言です.
それを書き起こしたもの↓
http://nofrills.seesaa.net/article/53522653.html
江田議員による,もう少し詳しい説明↓
http://www.eda-k.net/chokugen/318.html
これを見ても分かるとおり,江田議員は
米国側の86,629,675ガロン(第五艦隊のOIFを記述したページ,約33万キロリットル,時期不明)
と
日本側の38.4万キロリットル(防衛省の資料,平成19年7月26日現在)
を比較して,
「8割以上の油が,アフガンではなくイラク作戦のために費やされた」
と主張しているわけです.
第五艦隊のページには
「since the inception of Operation Enduring
Freedom(不朽の自由作戦の開始以来)」,
つまりイラク戦争の前から,とはっきり書いてあるわけで,この「8割」という数字には,ポポフさんの言う通り,意味は全くないです.
ところで,このポポフさんが見つけてきた第五艦隊のページ(よく見つけられましたねえ,私は見つけられなかった)は現在は削除されています.
その経緯を説明した報道↓
http://www.asahi.com:80/international/update/0908/TKY200709080096.html
米海軍のホームページの記述は事態を一層難しくするとして日本政府が米側に対応を求めた結果,問題部分の削除に加えて改めて説明をすることになった.
米国防総省は7日,朝日新聞の問い合わせに対し「問題のページは誤解を避けるため修正された」「日本の給油活動はOEFを支援する艦船に対してのみ行われている」と回答した.
もう一点,江田議員が
「海上自衛隊の補給はイラク戦争のためである」
と主張するのに,米海軍横須賀基地の機関紙「シーホーク」の記事(2003年5月23日号の一面)を根拠として用いています.
「海上自衛隊艦船がイラク戦争から帰還.海上自衛隊の曹長が「『ときわ』は同盟軍の艦船に230回以上の給油を行い,600人以上がイラクの自由作戦に参加した.
『きりしま』,『はるさめ』が持つ高度な通信能力は,イラクの自由作戦の期間中,同盟軍の艦船を大いに助け,高い有用性を証明した」と述べた.」
これは赤旗からの引き写しです(元の記事は英文)↓
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-05-23/01_04.html
こちらの記事も,第五艦隊のページよろしく,赤旗等の指摘を受けてその後修正されています.
修正後のシーホーク↓
http://www.cfay.navy.mil/archive/su5-23-03.zip
この経緯を報道した赤旗の記事↓
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-05-24/01_03.html
同じく毎日新聞の記事↓(2003年5月23日,江田議員のページからコピペ)
「5月22日に米海軍横須賀基地機関紙『シーホーク』は,「ときわ」の給油活動,「きりしま」「はるさめ」の通信能力が「イラクの自由作戦」で同盟軍の艦船を大いに助けた,との自衛隊曹長談話を掲載した.
翌日,この記事は不注意に基づく誤りだったとの米軍からの緊急発表があった.」
まあ,執筆者が問題の記事は間違いだったと差し替えているわけで,これを根拠に「海上自衛隊は実はイラク戦争に参戦していた!」と主張するのはどうかと思うのですが,ただ,日米両政府の対応は後手後手の感じはします.
しかし,これは日本が給油した燃料がイラク戦争に用いられていない,ということを意味しているわけではないです.
というか,常識的に考えて用いられているでしょう.
燃料を区別することは軍事的にほとんど意味がないと思います.
以下参照.
米当局者は共同通信への補足説明で「転用したことはない」と明言した.
ただ,米艦船の運用では,対テロ戦,イラク戦を問わず,気象データを含むさまざまな情報収集や偵察,調査活動,艦船同士の警護などの任務を複数の艦船が同時にこなすのが通例で,航海中の艦船の活動をテロ対策の海上阻止行動という単独任務に限定することはできないと説明した.
(東京新聞,2007/10/06)
バグってハニー
そもそも艦艇は,両方の作戦に適宜融通される可能性が高いわけで,該当軍艦がイラク戦争「にも」使われたというだけでカウントしているのではないかとの疑念が拭えず.
アフガーン作戦「だけ」に使われた軍艦など,どこにもないだろうと愚考せり.
消印所沢
第 5 艦隊の AOR はアフリカ東岸までありますから,ソマリア沖なんかでやっている海賊対策ミッションにも
(結果として) 使われている,という可能性はあるかも.
まあ,OIF にこじつけたい人にとっては,何でも
OIF がらみに見えるんでしょうけれど.
井上@Kojii.net
おっしゃる通りです.私が「軍事的にほとんど意味がない」と書いたのはそういう意味です.
海上自衛隊は間接補給,つまり,米国の補給艦に給油しています.
これは,イラクで戦闘行為を行う艦船に給油することを避け,給油した燃料が直接イラク戦争に用いられているという言質を与えないための,日本側の政治的配慮であるというのが私の読みです.
もっとも,江田議員もKojii.netさんと同様の指摘をしています.
そして,それが問題だと(頭痛い).
--------------------------------
ただ,この点は現在,むしろ私はこう考えている.
この数字は,イラク,アフガン渾然一体となった総計の数字ではないかと.
というのは,米海軍第五艦隊は,ペルシャ湾,紅海,アラビア海,インド洋までを責任海域とし,バーレーンに司令部を置く.
司令官は米中央海軍司令官が兼務している.
これを前提に,この燃料補給という兵站業務の実態を知れば知るほど,イラク,アフガンの両作戦は,そのオペレーションが少なくとも海域では一体化しているのではないか,と思うからだ.
そういう中で,自衛隊の燃料補給も,イラク,アフガンで統合運用されている(そうならそれ自体も問題)のではないか.
--------------------------------
バグってハニー
一応,CTF150というのが海自の給油対象になっているらしい事まではわかりました.
で,この部隊,OIFにも参加している様なのですが,詳しい事は未だ調べきれていません.
日本側としては,作戦毎に給油対象を選別する事で国内法をクリアしようとしている,と.涙ぐましいかな.
厳密性を求めていったら,全く意味がなくなってしまうんですけどね.
援助した分,浮いたものを別の用途に振り向けられるわけで.
間接補給云々以前にね.
ポポフ
MoD の Web から.
1 年ちょっと前のデータですけど.
https://rncom.mod.uk/uploadedFiles/RN/Maritime_Operations/0027_8Jun06.pdf〔PDFファイル〕
オレオレ証明書か何かの警告が出るけれど,閲覧を続行してください.
NAVCENT の麾下にいる 3 個 CTF の地域別分担が載ってます.
CTF152 と CTF158 は限定的なエリアでしか動いていないから,基本的には
CTF150 がインド洋・アラビア海を担任していると見て良さそうですね.
なお,来月の AFRICOM 発足に伴い,エジプト以外のアフリカはすべて
CENTCOM の AOR から外れるのですが,これが
CTF150 にどういう影響を及ぼすかは不明です.
AFRICOM の任務を考えると,「現状維持」だとは思いますけれど.
# 「CTF150 CTF152 CTF158」でググったら,出てきた日本語のサイトは,うちと,おき軍事だけでしたとさ.
井上@Kojii.net
ところで,疑惑はまだまだあって,江田議員のページにはさらにこういう赤旗チックな記事があります.
・補給艦「ときわ」が「イラクの自由作戦」に参加中の米給油艦「ジョン・エリクソン」にペルシア湾で給油している写真を掲載(米海軍海上輸送団の機関誌『シーリフト』2003年6月号)
これはオリジナルを見つけることができました↓
http://www.msc.navy.mil/sealift/2003/June/ericsson.htm
下掲写真はこの記事からです.
写真上がときわで,下がジョン・エリクソンね.
2003年2月25日にときわがジョン・エリクソンに給油し,さらに同日ジョン・エリクソンがキティホークに給油し,さらにその後キティホークがイラク侵攻に参加したと.
それで,赤旗系の人が「聞いてないよ!」と騒いで,石川亨統幕議長や石破茂防衛庁長官(当時)が釈明に追われたと.(写真は2003年3月撮影)
つまり,この疑惑は2003年にすでに問題化していて,それが江田議員の「8割以上」という珍説とイラク戦争の人気凋落によって再燃しただけであると.
ただ,このジョン・エリクソンに関する記事を読むとOEFとOIFの両方に参加したと書いてあるので,まあ,そりゃそうだろうな,
みんな騒ぎすぎとしか思わないのですが.
CTF150と海上輸送司令部(MSC)との関係がよく分からなかったのですが,少なくともジョン・エリクソンはどこかの海域や艦隊に張り付いているという感じではないです.
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq38n.jpg
また,江田議員は自身のホームページで気になる書き方してるんですよ.
>江田議員>私も,私が提起した数字や考え方がすべて正しいとは言わない.
変な書き方でしょう?
自分で見つけてきてテレビやホームページで主張したことが「正しいとは言わない」?
おそらく,このひと「8割」というのは詭弁だと知っててやってるのではないかと.
さらに,「朝生」ではシーホークの記事を振りかざして
「海上自衛隊は秘密裏にイラク戦争に参戦していた!」
とぶったわけですが,毎日の記事をホームページの最後で引用していることから分かる通り,このひと,この問題の記事がその後訂正されたことを知っているんですよ.
どうも,誠実な感じはしないです.
疑惑の目を向けられたということは,日本政府の広報・情報公開が足りていない,ということだと思いますが,この江田議員のやり方もどうにも信頼できないです.
バグってハニー
別に大した問題じゃないですよ.
湾岸戦争の時と同じ.
あの時,多国籍軍の戦費を日本が支払ったが,日本政府は「武器には使わないでください」とお願いしていました.
でも日本からの資金を,例えば人件費に充てたとして,その浮いたお金で武器を揃えれば同じ事ですよ.
今回の給油も一緒.
油は入れてしまえばどう使われようと油なんです.
あと,純粋に軍事的な観点からいくと,インド洋給油は最小限の労力で最大限の効果を得られる,大変効率の良い任務だと言えます.
せっかく「ましゅう」クラスの新型高速補給艦を送り込んでいるのだから,撤退など勿体無いですね.
今,民主党の出している対案だと,アフガンの陸地で自衛隊員に戦死者が出ますよ.
〔ちなみにこのように,左派系の人でもこのようにきちんと理解できた人もいるわけだが〕
さて,ゲル長官が始めた模様.
海自給油,米艦船「3日で消費」…防衛相が転用疑惑を否定
読売新聞,2007/10/10
米側統計によると,作戦行動時の通常型空母の平均燃料消費量は1日11万3000ガロンで,補給した燃料は単純計算で1週間程度の消費量にあたるが,米側からは,空母は25日から3日間ですべての燃料を消費したと説明を受けたという.
石破氏は,
〈1〉米側から03年に提示された標準的燃料消費は約20万ガロンだった
〈2〉空母はホルムズ海峡通過時に33ノットの高速で相当時間航行している
〈3〉数回の飛行作業実施時にも高速で航行したと考えられる
――との前提を示したうえで,
「1日約20万ガロンという標準消費量を上回ると推定するのが合理的で,3日間で(燃料を)消費したと考えるのが合理的だ.
燃料はOEFに使われたと考えられる」
と断言した.
また,
「ペルシャ湾に入ったからといって,燃料がOEF以外に使われたという推論は極めて乱暴で成り立たない」
と指摘した.
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キティは全速力33ノットを出していたので燃料消費は急速だったんだよ,というわけです.
>燃料消費
造波抵抗が原因で,所要馬力が速力の 3 乗に比例します.
そして,速力が上がった分だけ単位時間あたりの移動量は増えます.
だから,速度 A と速度 B を比較したときの実質的な航続性能は,
((B/A)^3)÷(B/A)
たとえば,速度が 2 倍なら燃料消費は 8 倍になるので,燃料がもつ時間は
8 分の 1 .
ただし速度が 2 倍になるので,燃料がなくなるまでに移動できる距離は,速度向上分の比率で割って
4 倍,になります.
でも実際には,速くなるほど空気抵抗が関わってくるし,加速・減速を繰り返せばまた影響が出てくるわけですけれど.
電力消費に絡んで発電機で使う分とか.
井上@Kojii.net in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
実はときわから間接給油された燃料はイラク戦争に転用されていないことは,ピースデポの解析結果から証明できます.
資料Dをみるとペコス一隻からキティーホークに対する給油は,4.6日に1回,一回当たり74.7万ガロンとなっています(2003年2月15日〜3月15日の平均).
とすると,ペコスからの給油量は一日当たり74.7/4.6=16.2万ガロン.これがそのままキティホークの消費量であるとすると,オーダーとしてはJSF氏が挙げた報道にある一日20万ガロンとぴたり一致します.
ときわの80万ガロンをキティーホークが使い切るのは80/16.2=5日もかからない.
ときわからキティーホークに間接給油されたのは2月25日だから,これをキティーホークが使い切ったのは3月2日,イラク開戦(3月20日)のずっと前という計算になります.
つまり,ときわが給油した燃料はイラク戦争には用いられていない.キティーホークがペコス以外からも給油を受けていたならば,一日あたりの消費量はこれよりも多くなりますから,もっと早く使い切っていたことになります(例えば報道にあるような3日間).
※ちなみに,この手の間接給油はイラク開戦後,激減しています.
補給艦への給油,88%が米軍に=01,02年度に集中−防衛省公表
時事通信,2007年10月9日(火)20:27
〔略〕
同省によると,米補給艦への給油は,01年度(41回),02年度(45回)に集中しており,03年度の1回を最後に行われていない.
その理由について,岡真臣国際協力課長は「米側の運用上のニーズ」と説明するにとどめた.
おそらく,イラク開戦後は03年度(2003年4月以降)の1回のみでしょう.
イラク戦争に転用されないための日本側の配慮である可能性もあります.
そして防衛省の結論.
海自の補給活動,イラク作戦への転用否定…防衛省調査結果
読売新聞,2007/11/6
防衛省は6日,期限切れとなったテロ対策特別措置法に基づき,海上自衛隊補給艦がインド洋で実施した補給について,イラク作戦への「転用」はなかったとする調査結果を発表した.
〔略〕
防衛省は,海自補給艦が2001年12月から今年10月までに実施した794回の補給活動に関し,相手国から航海日誌などの提供を受けて転用の有無を調査した.
防衛省によると,補給活動のうち艦船への直接補給が647回,補給艦への補給が147回だった.
直接補給のうち,対テロの「不朽の自由作戦(OEF)」や海上阻止活動のみに従事したフランス,ドイツなど7か国の艦船への提供が348回.
イラクに近いペルシャ湾の外側にある「作戦海域(CTF)150」に従事した艦船への提供が139回だった.
残り160回については,ペルシャ湾南部の「CTF152」で活動していたり,イラク作戦に同時に従事していたりする艦船だったが,「海自が提供した燃料は,対テロに従事する間に消費された」として転用を否定した.
一方,補給艦への補給に関しては,補給艦が再補給した給油量について,一部データが入手できないものがあったという.
そのため,過去の給油実績などをもとに「一定の推定を行いながら確認作業を実施」.その結果,転用はなかったと結論付けた.
また,防衛省は初めて補給を実施した海域を公表したが,最も多かったのはオマーン湾の625回で,ペルシャ湾でも2回の補給を行っていた.
【質問】
>キティホークが全速力33ノットを発揮し続けたら20万ガロンなど数時間で無くなる.
と言うことは,作戦行動中の通常型空母は一度に80万ガロン程度の給油を数日に一度以上(あるいは毎日)の頻度で行う必要があるということでしょうか?
航空機の離発艦が多ければ,その頻度も増すのでしょうけど.
【回答】
ええ,そうなります.
作戦行動時の形態にも寄りますが.
【珍説】
バカだなぁ.
そのピースデポに載ってる地図をよく見てごらん.
http://www.peacedepot.org/media/pcr/mediarelease3/annex7.pdf
3週間後に攻撃予定のイラクの目の前で,のんきにOEFをやってたってぇ?
それのどこが合理的〔説明〕なんだ?
それに,そのOEFは空母にとって,いったい何が対象なんだ?
軍事協力関係にあるパキスタンの沖からならアフガンに行けるがイランを挟んでいるから,アフガンに行くには大きく迂回しなきゃあならず不合理極まりない.
石破防衛相の
>「(アフガン作戦の)『不朽の自由作戦』(OEF)はペルシャ湾でも実施されている」
との言い分こそが詭弁もいいとこなんだが,それすらも分からないのか.
やれやれ...
【事実】
それはあなたの勝手な印象でしかないです.
イラク戦争に参加したキティホークに日本が給油したというピースデポの根拠は,給油後にキティホークがペルシャ湾に移動した,という事実の一点のみです.
私の反論の要点は,
「キティホークの主要な任務がオペレーション・サザン・ウォッチだとしても,ペルシャ湾にいたというだけでアフガンでの作戦に関与していないとはいえないし,この時点ではそもそもイラク戦争は始まっていない」
ということです.
なお,増田好平・防衛事務次官によれば,
[quote]
(戦争中の)イラクの近くまで行っているのではないか,の指摘がある点についても聞いた.
[次官] 誤解があります.閣議決定された同法の基本計画にも活動区域はインド洋,ペルシャ湾を含むと明記されている.
2007年10月22日 メディア・レボリューション
[/quote]
初めからペルシャ湾も含むといってるわけで,やはりイラク開戦前にキティホークがペルシャ湾に移動しようがしまいが,問題ないと思います.
【質問】
こんな記事もあるわけだが?
------------
米空母の元参謀長「100%イラク」
海上自衛隊が提供した燃料のイラク転用問題で,当時,アメリカ軍の空母「キティホーク」に乗って艦隊を指揮していたホセ・コーパス氏(52)が,報道ステーションの取材に対して
「我々の任務はイラク作戦のみ」
と断言した.
2003年2月25日に給油を受けたキティホークは,その直後にペルシャ湾に入っていたが,日本政府とアメリカの国防総省はこれまで
「キティホークは,アフガニスタンでのテロとの戦いに関連する海上阻止活動への支援を行っていた」
と説明.
しかし,コーパス氏は
「ペルシャ湾に赴いた目的は完全にイラクだけ.アフガニスタンでは一切何の業務にも就かなかった」
としている.
〔略〕
------------
ホセ・コーパスが当時キティーホークの実質的な指揮官であったことを示す記事.
http://www.filipinohome.com/03_03_03corpus.html
【回答】
なるほどなるほど.米軍第7艦隊第5群の指揮を取っていたホセ・コーパス元大佐は,当時の任務がイラク戦争のみだったと.
http://www.estripes.com/article.asp?section=104&article=12532&archive=true
「群」って何か知ってる?
http://www.globalsecurity.org/military/agency/navy/cargru5.htm
Carrier Groups are lead by an aircraft carrier and include an airwing and a small contingent of cruisers to act as carrier escorts.
空母群は,空母に指揮された,空母護衛艦艇や航空機から成る分遣隊.
英語版Wikipediaだと第七艦隊第五群は
>航空母艦(第7艦隊旗艦キティホーク)の護衛として
>「割り当てられない」駆逐艦および巡洋艦に責任がある
みたいだけど
第零群が空母機動部隊
第一群が特殊部隊
第二群が哨戒機,偵察機部隊
第三群が補給艦等兵站支援部隊
第四群が潜水艦部隊
第六群が上陸支援部隊
第七群が機雷掃海部隊
第九群が第3海兵遠征旅団から構成される上陸部隊
彼はこのうちの第5群を指揮していた.
別にキティホークの艦長だったわけでも,第7艦隊司令官だったわけでもない.
分遣隊がイラク戦争の準備に従事していたから,旗艦もイラク戦争のみに関わっていたと主張するのはおかしいな.
【質問】
------------
The USS Kitty Hawk Battle Group commander, Rear Adm. Steven Kunkle,was relieved of command Thursday, accused of an “inappropriate relationship” with a female officer
USSキティHawk Battle Group指揮官 スティーブンクンクル は木曜日に,女性との不適切な関係を責められ,解任されました.
Capt. Dick Corpus, the battle group’s chief of staff, will serve as acting battle group commander until Kunkle’s relief is identified.
クンクルの交代要員が確認されるまでbattle groupの指揮官の代理を務めます.
As the Acting Carrier Group 5 commander, Captain Jose Corpus is now responsible for 10 ships and nine air wing squadrons,
キャリアーグループ5の指揮官代理として,ホセコーパスキャプテンは現在10台の船 と9つの航空戦隊※に対して責任があります.
------------
コーパスはクンクルの次の指揮官が決まるまでのキティーホークの指揮官代理をしていた.
そう書いてあるが,君達はどうしてそういう解釈をしようとするのか意味が分からない.
どうやったらそう読めるんだろう?
その点が不思議だ.
【回答】
>The USS Kitty Hawk Battle Group
キティじゃなくて,「キティの空母戦闘群」じゃねーか.
お前の読解力が中学生以下なだけ.
やり直し.
ああそうか,
・キティホーク戦闘群司令部
・旗艦キティホークの司令部
の2つが別物なのが分かっていないのか.
・キティホーク戦闘群司令部(艦隊の司令部)
・旗艦キティホークの司令部(艦長以下,空母キティホークそのものの運行管理)
二点は分けないとならない
今回のコーパスは
・キティホーク戦闘群司令部(艦隊の司令部) 第五群指揮官クンクルの代理
命令系統を図にすると
第七艦隊総司令部
│
├・キティホーク戦闘群司令部(艦隊の司令部)─第零群(キティホークの護衛隊)─・空母キティホークの司令部
├第一群 Command and Coordination Force
├第二群 Patrol and Recconnaissance Force
├第三群 Logistic Support Force
├第四群 Submarine Force
├第五群 Surface Combatant Force(分遣水上艦隊)
├第六群 Amphibious Force
├第七群 Carrier Strke Force
└第九群 Landing Force
第七艦隊はこのような構成.
CTF-75には空母は所属しない.(任務自体が違う)
第七艦隊第五群には空母はいないし,
http://www.globalsecurity.org/military/agency/navy/cargru5.htm
から検索して
「Surface Combatant Force Seventh Fleet (CTF-75) 」の所属艦と搭載ヘリみると,ちょうど10隻,
ヘリ搭載されないの一隻だから.
常に空母に随伴する護衛艦隊は別にある.
で,第五群は状況に応じて第七艦隊司令部から離れ,キティホーク戦闘群司令部の指揮を受ける .
いずれにせよ第五群指揮官は,空母キティホークの運行や燃料状況を知る立場には無い
すなわち「旗艦」キティホークは第5群より上位.
第5群指揮官代理なんて,単なるキティの使いっぱなんだから,キティの行動を逐一把握なんてできてるわけがないし,そんなに情報をもらえる立場でもない.
また,イージス巡洋艦カウペンスは,2003年のイラク戦争では米艦で最初にイラク領内にトマホーク攻撃 をしている.
http://en.wikipedia.org/wiki/USS_Cowpens_%28CG-63%29
この部隊の指揮官代理として,空母部隊から離れてペルシャ湾内に入ったなら,代理の時期も含め,旗艦キティホークの行動とキティホーク自身の燃料事情なんて知る立場に無いことになる.
そして
http://www.filipinohome.com/03_03_03corpus.html
の記事に基けば,2003年2月28日から代理指揮官だった時期には,キティーホークに日本側が給油したとされる時期の燃料は,全て消費され終えていることになる.
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20071011-71.html
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_year_010204,00.html
Kitty Hawk Battle Group commander fired
http://www.estripes.com/article.asp?section=104&article=12532&archive=true
Kunkle is relieved as commander of USS Kitty Hawk Battle Group
米軍の準機関紙に該当するStars and Stripes - 星条旗新聞
http://stripes.com/article.asp?section=104&article=12711&archive=true
を見る限りでは,2月7日に前Rear Adm. Steven Kunkleが解任, Capt. Dick Corpusが一時代理 .
第七艦隊指揮官Robert G. Willardが後任発令しMatthew G. Moffitが2月22日中に着任となるようなのだが .
海上自衛隊補給艦「ときわ」から給油を受けたペコスが,キティホークに補給を行った2003年2月25日
(http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20071011-71.html
2003年2月25日の日本による米国補給艦ペコスへの給油について)
にはCapt. Dick Corpusは指揮を担当していないのではないか?
だいたい,空母群全体の指揮権掌握する指揮官は「中将」.
空母そのものの艦長も大佐だ.
代理に入った権限の低い大佐が,先に任命された空母艦長(大佐)と,戦闘群司令部の副官級の少将クラスたち飛び越えて,キャリアグループ5(第五空母群)全体の指揮を取れるわけないだろ.
第七艦隊第五群CTF-75 (Surface Combatant Force)の駆逐艦隊指揮官の罷免された少将の代理に入ったコーパス大佐が,空母も含めた任務群全体の指揮取れるわけないだろ.
※
Sqごときで「航空戦隊」とは片腹痛い.
普通squadronといったら「飛行隊」と訳すし,ここでは固定翼機じゃなくてヘリの飛行隊だわさ.
というか,訳すと「10隻のフネとヘリ9機の飛行隊」だな,これ.
【珍説】
コーパスのOIFでの活躍が認められ,勲章を授与されたニュースだ.
------------
Date: 11/18/2003 9:59:00 AM
http://www.navy.mil/search/display.asp?story_id=10589
ホセR. Corpus大尉(キャリアーグループ5の参謀長)は,イラクの自由作戦の戦闘活動についてブロンズスター勲章を賞賛に値する業績により授与されました.
------------
【事実】
貴殿の上げた
Date: 11/18/2003 9:59:00 AM
http://www.navy.mil/search/display.asp?story_id=10589
に拠れば,Capt. Dick Corpusの受勲の功績は,
「北アラビア湾の空母群の為の防空・攻撃計画のすべての面の計画そして実行」
すなわち航空戦における功績となっており,キティホークの実質的な指揮権を掌握した功績ではない .
これはKitty Hawk自身に加え五隻の船舶がOIFに参加した3/5以降の功績となるだろう.
加えて米軍では,空母搭載の航空団と搭載される空母自体の指揮系統は別だった筈だ.
これらとMatthew G. Moffit着任の時期を見て行けば
「ホセコーパスが当時キティーホークの実質的な指揮官であった」
点の信頼性に疑問符が付く.
この点に関しての疑問が解消できないままでは,余計に信頼性が疑われる.
いずれにせよ,Kitty Hawk自身がOIFに参加していた期間とは外れており,とわだより給油された燃料はイラク戦争前に使い果たされていると思われる.
【珍説】
2,3 日前,何気なく TV をみていたら,補給艦の記録から,やはり自衛隊の補給は,イラク爆撃に向かうトマホーク
(?) に使われたという事を調べた市民団体の
NEWS をやっていました.
なんともやりきれない思いになります.
Posted by あざみ子 at 2007年09月21日 23:55
【事実】
ななななんですって!
「ときわ」が間接給油した給油艦ペコスは,巡洋艦カウペンスと空母キティホークに給油していて,カウペンスが積んでいたトマホークにも給油した??
それは大変だー (棒読み
now restarting...
えーと.
BGM-109 トマホークのパワープラントは F107
ターボファンエンジン (最新のブロック IV TACTOM
は F415 ターボジェットエンジン) ですから,燃料は航空機と同じです.
海軍のミサイルですから, 〔略〕P-10 〔略〕.これもヘリコプター・航空機用燃料の
JP-5 と同様にケロシン系,つまり灯油です.
一方,海自が給油しているのは大半が艦艇用燃料で,後はヘリコプター用の燃料が少し
(防衛省の公表資料による).
艦艇用燃料とは,日本でいうところの軽油
2 号 (艦船用),米軍でいうところの F-76 (MIL-F-16884J)
で, 日本における名称の通りに軽油です.
これは航空燃料としては使えません.
ヘリコプター用の燃料は JP-5 ですが, あいにくとトマホークの燃料は発射時に積み込むようなモノじゃなくて,ミサイルを艦に積み込んだ時点ですでに装填済みですから,
海自がインド洋上で給油した燃料がトマホークに積み込まれることはあり得ません.
Mk.41 VLS に装填したトマホークに,後から燃料を補給して発射するなんて,物理的に不可能です.
そもそも,OEF が始まった当初ならともかく,ここのところ,
アフガニスタンにトマホークを撃ち込んだことなんてありましたっけか
?
アフガニスタン国内の Bagram や Kandahar
に飛行場を確保して,そこからハリアーや A-10
を飛ばせるんだから, わざわざインド洋から何時間もかけてトマホークを飛ばすような,そんな迂遠なことをする理由も意味もないんですよ.
そんなことやってる間にターゲットがどこか行っちゃうから.
〔略〕
「kojii.net別館」,09/22/2007
&井上@Kojii.net in 「軍事板常見問題 mixi支隊」(空色文字部分)
……というわけで,技術面からのツッコミは,上記の通り.
どうも,この手の連中は,彼らが悪だと認定している兵器,あるいはネガティヴな出来事に,無理矢理に自衛隊を結びつけようとする傾向があるようで.
<次に予想される展開>
「自衛隊の補給は,劣化ウラン核兵器に使われていた!」
「自衛隊の補給は,ミャンマーの軍事政権に使われていた!」
「自衛隊の補給は,時空を超えて南北戦争に使われていた!」
「自衛隊の補給は,地震兵器に使われていた!」
【珍説】
今度は朝日新聞のスクープです.
「間接給油」ではなくて,直接,給油してもらったという証言が出てきました.
http://www.asahi.com/politics/update/0922/TKY200709220136.html
----------------------------------------------------ここから引用----
ペルシャ湾に展開する米空母エンタープライズのロナルド・ホートン艦長(47)がこのほど艦上で,朝日新聞記者のインタビューに応じた.ホートン艦長によると,艦長は05年当時,佐世保基地に所属する米軍揚陸艦ジュノーの艦長としてペルシャ湾周辺に展開.「当時は,いまよりも頻繁に海自の補給艦から給油を受けた.日本の貢献は絶大だった」と述べた.
--------------------------------------------------------------------
艦長の説明や米海軍の資料によると,ジュノーは05年当時,イラクの自由作戦(OIF)の一環として,沖縄に駐留する海兵隊をイラク国内に投入するためペルシャ湾北部に派遣.この間,インド洋のアデン湾などで海自の補給艦から3回にわたって燃料,食料の補給を受けたという.
-------------------------------------------------------中略---------
同じ艦船が複数の作戦にかかわることは米軍の運用上,かねて指摘されており,「対テロ」目的に限定して補給しているとする日本政府の説明と実態が食い違っていることを示している.
-------------------------------------------------------中略---------
エンタープライズ空母攻撃群などの米軍艦は現在,ペルシャ湾内側の作戦海域で「対テロ」と「対イラク」作戦を同時に実施している.特措法は,一連の作戦航海で複数の作戦を実施する米軍艦に補給することを想定していない.策定した01年当時の支援活動地域の概念が実態に合わなくなっている形だ.
-----------------------------------------------------引用ここまで---
今回の証言で出てきた米軍揚陸艦ジュノーは,「イラクの自由作戦(OIF)」「不朽の自由作戦(OEF)」の両方に組み込まれていたとのことですので,3回給油を受けた際の燃料が,どちらの作戦に使われたのかは,現時点ではわかりません.
(航海資料が見られればわかるでしょう.)
ただ,今回の場合は「間接給油」ではなく「直接給油」ですので,「中間に入った補給艦はその燃料を補給していない」という説明はできません.
米軍揚陸艦ジュノーの航海資料を公表してほしいですね.
あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
>インド洋のアデン湾などで海自の補給艦から3回にわたって燃料,食料の補給を受けたという.
おかしい.海自の補給艦はドライカーゴ輸送をしていない筈だし,その為の物資自体を積んでいない.
まるきりデマの可能性が高い.
医療品を緊急で輸送する,という可能性はあるかもしれませんが,食料品を,それも揚陸艦を満足させる(海兵隊も多数乗り込んでいて必要とされる食料も多い)量となると相当な量になるわけで,これを堂々とやっていたとは考え難いです.
当時の航海日誌と照らし合わせる必要があるでしょう.
【質問】
>海自の補給艦はドライカーゴ輸送をしていない筈だし,その為の物資自体を積んでいない
単に『食料』の補給については公表されてないだけかもしれないし,「燃料と『水』の補給」が「燃料と『食料』の補給」と何らかの手違いで誤訳されただけかもしれない.
「海自の補給艦がドライカーゴ輸送をしていない筈だし,その為の物資自体を積んでいない」
ことの確定情報の提示もない.
こんな歪曲サイトを喜んで見てるウヨってバカばっか?w
ちなみに05年当時であればドライカーゴが2つある,ましゅう型補給艦を派遣しているから,「能力」的には問題はない.
【回答】
よく読んで.「筈」と書いてある.
だから本文中でも,「航海日誌などをチェックする必要がある」と書いてあるだろう.
「できる」ということと「やっている」こととの間には,大きな差がある.
>何らかの手違いで誤訳されただけかもしれない.
ええ,誤訳の可能性が高いと思っています.海自分以外の物資自体を積んでませんから.
>海自の補給艦がドライカーゴ輸送をしていない筈だし,その為の物資自体を積んでいない」
>ことの確定情報の提示もない.
はぁ,日本食でよいなら少量であれば提供できますけど?
「無い事」の証明なんてしなくてよいでしょう.
むしろパキスタン艦艇に食糧補給するならパキスタン料理を提供しなければならないわけですが,それはどこで積んだのか,何か証拠を出してください.
JSFさん,フォローありがとうございます.
食料について.
僕は昔,防衛大学校の学生だったことがあるのですが,あそこはインドネシアとかベトナム(!),モンゴル,韓国などからの留学生を受け入れています.
当然,食事も同じ食堂で食べることになります.
んで,ある日の朝の食事で,普段学生が取り分ける山とは別に,バナナのたくさん入ったカゴが一つ置いてありました.
そこには,ラマダン食,と書かれた紙が掲示されておりました.
あまり詳しくは突っ込まなかったのですが,日中でも食べられる物があるのかと驚き,戒律というものは難儀だなあと嘆息したことがあります.
これは,「異国の地では食事一つ取るのも一苦労」という一例であります.
食料支援はそれぞれの国情に合ったものを調達する必要があります.
イスラム圏相手では食餌規定が厳しいですし,アメリカ相手でも自衛艦を相手にするようには参りません.
そんな日本平和委員会さんにアドバイスと指摘を一つずつ.
まずは,自衛隊の調達情報をご覧なさい.
補給艦の母港からしらみつぶしに探せば,(もし日本からの物資で食料支援をしているのであれば)きっと出てくるはずです.
ただそれが出てきたところで,補給活動は補給活動でありますから,油が入れてしまえば皆同じであるように,飯も胃袋に収まれば皆同じであります.
あと指摘ですが,軍板やここに書き込んでくださる方は立場や思想がそれぞれ異なります.
自分の中のバイアスと闘いながら,書き込みに際しては徹底したリアリズムを貫こうとするところ(私の印象にすぎません)には脱帽する次第であります.
そういった方々をひとまとめにウヨと呼ぶのは失礼極まり無く,モニターの向こうにいる人間を想像する力に欠けた発言と考えます.
ちょっと耳の痛い話をしてしまいましたが,この書き込みは日本平和委員会さんを排除することを意図したわけではありません.
きちんとものの性質を見極め,イデオロギーに拘泥せず自分の考えを言っていただけるなら,これに優る喜びはありません.
【珍説】
ペコスは2月24日にインド洋からアラビア海に入り,25日に「ときわ」から受油し,キティホークとカウペンスに給油した.
ところがその後,ペコスはまっすぐフジャイラ(アラブ首長国連邦)を目指し,8時間余りの翌朝にはフジャイラに寄港した.
フジャイラで,26日の長時間を費やして,ペコスは約280万ガロンという大量の油をターミナル施設から受ける.
この流れを見ると,ペコスはキティホークらに給油したことによって油の残量が少なくなった可能性がある.
ということは,キティホークに給油するためには,「ときわ」の油が必要であったと考えられる.
つまり,「ときわ」の給油目的がキティホーク給油であったという,これまでの理解をさらに裏付ける.
【事実】
ヘンリー・J・カイザー級の給油艦ペコスの最大搭載燃料は約766万ガロン.
それなのにフジャイラ港では280万ガロンしか受け取っていない.
タンクがこれで満タンになっていたとすると,ペコスはフジャイラ入港時点で486万ガロン積んだままだったと言える.
つまり三分の二近く残したままであり,これでは「残燃料が少なくなった」とは言えるものではない.
私が心配していたのは,最初からペコスがイラクの自由作戦の為に港を出て,さらに作戦日数を延ばすために「ときわ」から給油を受けていたのではないか,という事です.
ところが積荷の燃料が殆ど無い状況下で駆けつけた,という事は,ペコスは元々OEF-MIOの支援に就いていたと推測できます.
海上自衛隊に全く問題はありません.
アメリカ補給艦の運行スケジュールを助けただけです.
「ときわ」からの補給が期待できなければ,ペコスはOEF-MIOに対する補給活動からより早く離脱していたわけですから.
もっとも,ペコスには艦艇燃料以外に航空機燃料も積んでいるので,それを考慮すると,「3分の2近くの艦艇燃料を残したまま」とも言えない可能性がある.
どの程度の航空燃料を空母打撃群が必要とするのか不明だが.
肯定派にせよ否定派にせよ,ペコスの残燃料についてはもう少し調べる必要があるだろう.
USNS Pecos
(うそ)
(ほんと)
(画像掲示板より引用)
【珍説】
ペコスは空母キティホークとイージス巡洋艦カウペンスに,一貫して給油を続けた.
空母は言うまでもなく空爆を主任務とする軍艦であり,巡洋艦カウペンスは空母の対空防衛,ミサイルによる対艦・対地攻撃などの戦闘艦である.
【事実】
>空母は言うまでもなく空爆を主任務とする軍艦であり,
このように固定的な見方だと,簡単に足をすくわれます.
空母は移動する航空基地,として捉えなければなりません.
航空機を用いての海上監視にも,もちろん有効です.
>巡洋艦カウペンスは空母の対空防衛,ミサイルによる対艦・対地攻撃などの戦闘艦である.
戦闘艦は臨検活動が行なえます.イージス艦を用いるのは贅沢ですが.
そういえば今回は,イージス艦は情報収集力にすぐれた艦だ,という与太を飛ばしていませんね.
結構な事です.
【珍説】
●2003年の国会答弁上は,イラクへの作戦に燃料を使ったことを認めることになる.
〔略〕
については反論は無いということで,よろしいですね.
あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
>2003年の国会答弁上は,イラクへの作戦に燃料を使ったことを認めることになる.
ならない.ぺコスの残燃料次第でどうとでもなる.
仮にぺコスが残燃料400万ガロンとする.(最大搭載量766万ガロン)
↓
ときわ,ぺコスに80万ガロン給油.
↓
ぺコス残燃料480万ガロン.
↓
ぺコス,キティホークに給油.「ときわから貰った分はまだ使っていない.元からある分を入れただけ」
↓
ぺコス,その後対テロ作戦へ.ここで初めて「ときわからもらった燃料を使って給油活動」を行う.
という答弁が可能となる.
【珍説】
◆要点9
1割に過ぎない日本からの油を別扱いにすることは現実離れしており,圧倒的多くの他の油の一部になるだけである.
【事実】
これは無敵の理論です.
この言い分が通るのであれば,例えば1年前に給油していたとしても
「日本の油が圧倒的多くの他の油の一部になった」
と強弁することができます
(別項目のピンクのインクをたらした水のアナロジー参照).
要するに言ってることは,海上自衛隊から一度でも補給を受けた艦艇,さらにそれから間接補給された艦艇は「きれいな軍艦」になったのだから,それ以降は一切OEF以外に使用してはならない,と主張しているようなものです.
【珍説】
防衛相が海自給油のイラク戦争転用を否定 それでも払拭できない疑惑
〔略〕
石破茂防衛相は,03年2月25日,「ときわ」がインド洋上で米補給艦「ペコス」に給油した80万ガロンは,米空母「キティーホーク」(67万5,000ガロン)と巡洋艦1隻に補給したと説明.
さらに米国がキティホークは給油後,ペルシャ湾に入ったが燃料は3日以内に消費したと回答したことを明らかにし,「(アフガニスタンでの)『不朽の自由作戦』に使われたと考えられる」とイラク戦争での転用を否定した.
それでもこの答弁で転用疑惑が払拭されたと考えるのは早計だろう.
キティホークのウェブサイト内「About Kitty
Hawk」には,次の記述がある.
「キティホークは2003年2月に命令を受け,間もなく(イラク)南部の監視(飛行作戦)とイラクの自由作戦(OIF)のため,北アラビア湾上で104日間従事,5月6日,(母港である)横須賀(基地)に帰港,10月17日まで乾ドック(船体修理)を行った」
(Kitty Hawk received orders in February
2003 and was soon involved in Operations
Southern Watch and Iraqi Freedom in the North
Arabian Gulf, serving 104 continuous days
at sea. Kitty Hawk returned to Yokosuka May
6, entering a dry-dock period ending Oct.
17.)
キティホークの燃料積載量は400万ガロン.給油時,キティホークにどれだけの燃料が残っていたかは定かでないが,「ときわ」から「ペコス」を経由して給油された67万5,000ガロンのほかにも燃料が入っていた場合は,「3日間以内に消費した」という説明が危うくなるだろう.
【事実】
例のピンク軽油で分離可能なのかしら?,この手の人達の脳内日本製軽油は,
それともまさか薄ピンク軽油全部使うか入れ替えろと?
物理的には混じるんだから使い分け不可能だし,帳簿上はアフガン関連に従事中に消費した分が67万5000ガロン以上なら,それは帳簿上は日本の油は転用してないって事になるんじゃねーのか,
ちなみにグーグル・ニュースに引っかかったから持ってきたが,BNNの素性が良くわからん,
オーマイ系統の市民記者的アレっぽいけど.
BNNの市民記者なら田中昭成さん(スパイク通信員)が居ますね.神浦元彰さん繋がりで.
BNNの素性? まぁそれで何となく分かるかと.
【珍説】
◆要点5
ペルシャ湾内でOEFと言われるものは,多くは実はイラク作戦であり,この時期ではイラク戦に連続してつながる作戦行動である.
【事実】
これはゲル長官(石破防衛相)も述べていますが,反米左翼の詭弁と見て間違いないでしょう.
「ペルシャ湾内でOEF」
「イラク作戦」
「イラク戦」
というように,わざわざあいまいな書き方をしています.
「イラク作戦」とは,イラク開戦前までキティホークが従事していたOperation Southern Watch のことで,これは湾岸戦争から続く国連決議に基づく軍事作戦です.
そして,日本は湾岸戦争に対し,これまで協力もしています.
「イラク戦」というのはOIFのことで,2003年3月20日から開始されたというのが,一般的な見方であると思います.
二つの作戦は引き続いているので,どこで線引きするのかは難しい問題ですが,2003年3月20日より前にペルシャ湾内にいるというだけで,「キティホークがOIFに従事していた」と認定するのは暴論というものです.
一方で,自衛隊はキティホークはこの時期OEFにも従事していたという見解を当時表明しています.
「石川亨統幕議長は(中略)キティホークがアフガニスタンのテロ掃討作戦に参加していたことを理由に,間接的な燃料補給の正当性を強調した」
(日経新聞 2003年5月9日)
【珍説】
国連決議688を「理由」にした米国のOperation Southern Watchを「国連決議に基づく軍事作戦です」と,いかにも国連が承認した軍事作戦かのようにミスリードを誘っている.
【事実】
「基づく」は「基づく」でしかないでしょ.
それを勝手に「国連が承認した軍事作戦かのようにミスリード」している,とミスリードしているのはあなたでしょ?
少なくとも米国はそう主張し,英仏はそれを是としたから作戦に参加したわけで(仏は1998年に撤退).
【珍説】
「日本は湾岸戦争に対してこれまで協力もしています」
としているが,戦費を出しただけで現地での軍事支援活動はしていないのにしていたかのように見せ掛け,それをしていいかのように更にミスリードを誘って
「どこで線引きするのかは難しい問題」
と,線引きがあやふやなことが問題であるかのように摩り替えているが,実際にはどちらであれ,OEFで出ている海自がやっていいことではないのだから,ピースデポの主張を「暴論」と言ってる時点で歪曲バカとしか言いようがない.
【事実】
湾岸戦争には海自の掃海部隊が派遣されてます.
戦費を出すのも支援の一つなのでは.
他の方もすでに指摘済みですが,停戦後に海上自衛隊は掃海部隊を派遣しております.
>それ(註:現地での軍事支援活動)をしていいかのように更にミスリードを誘って
これはミスリードではなくて,私の主張の核心です.
日本は今まで湾岸戦争にまつわる軍事行動を支援してきたわけで,仮に日本の燃料がイラク戦争前にイラクでの戦闘に流用されていたとしても,あまり目くじらを立てる必要はないのではないか,ということです.
>線引きがあやふやなことが問題であるかのように摩り替えている
まず,イラク戦争という言葉は地上軍の侵攻を伴う3月20日以降の軍事行動を指すというのが一般的だと理解してください.
日本が米空母キティホークに間接給油した燃料が「イラク戦争」に用いられたかといえば,答えは否です.
それはイラク開戦のはるか前のことであって,そのときの燃料はとっくに使い切っていると考えるのが自然だからです.
私が「線引きは難しい」というのは,第一に,そうは言っても3月20日以前のオペレーション・サザン・ウォッチにはイラク戦争の露払いという意味があるということです.
2つの作戦はひとつながりなのであって,軍事的には3月20日の前と後を純然と区別することは難しいです.
もう一つ線引きが難しいのは,そもそも主要な補給相手である米軍は,OEFとそれ以外というように艦艇を明確に区別して運用しているわけではないということです.
そのことは,米国防総省の諮問機関である国防科学委員会のウィリアム・シュナイダー委員長による次の発言から窺い知れます.
[quote]
海自給油:「中止は同盟関係に影響」…米国防科学委員長
毎日新聞 2007年10月14日 3時00分
「空母への給油の場合,艦上から飛び立ったE2(早期警戒機)がインド洋上でイラク関連情報を探知すれば,イラクの戦場へ伝えないとは言えない」
と述べ,厳密な区分は作戦上の各国の関係を困難にするとの見解を示した.
[/quote]
平和主義者の日本人にはこのような軍事常識が備わっていないだけのことです.
しかしながら,日本政府がそのような可能性を知りながらあえて国民に知らせなかった,放置しておいたとすれば,咎められても仕方ないとも私は思います.
イラクとアフガンを明確に区別するのは難しいのだから,日本は初めから給油活動を行うべきではなかった,という反論は有効かもしれないですね.
私は今のところ,日本政府は燃料が転用されないようにできるだけ努力してきたし,この問題に誠実に対応しているとは思いますが.
【珍説】
それ〔インド洋での給油活動における「燃料の転用〕問題〕は,「現場の都合」みたいな話では終わらず,日米同盟の今後につながる話だってことを,軍オタは(たぶん意識的に)無視して印象操作してるね.
【事実】
こりゃ,まるっきり逆ですよ.
FAQには採用されませんでしたが,私前,「給油前に流用しないことを確約させる,日本の油を使い切るまでアラビア海に貼り付けさせるというのであれば,支援の名の下に同盟国の軍事行動の足を引っ張っているだけです」と書いたでしょ?
日本の支援なんて欧州・アングロサクソン諸国に比べればずいぶん控えめでしかないのに,洋上給油に反対している勢力(例えば委員会さんが好んで引用するピースデポ)のほうこそ,油一滴がイラクに使われたかどうかだけを問題にしていて,大局的な見地にまるっきり欠けてるじゃないですか.
対テロ戦争という国際的な取り組みが,もうまるっきり単なる国内感情の扇情へと矮小化されている.
自衛隊のISAF派遣は,ピースデポや委員会さんの思い付きではないですけど,これも言ってることは無茶苦茶ですよ.
一方で,
「お前らのやってることは憲法違反だ!」
と自衛隊を犯罪者呼ばわりしておいて,他方で,
「でも,明日からアフガンで戦ってね.
弾に当たるかもしれないけどよろしく」
って,こんなので自衛隊が戦えるわけないじゃないですか.
臨検はおろか洋上給油さえできないというのであれば,治安がまだ回復していない地域で日本にもできる国際貢献なんてないですよ.
【珍説】
「空母が海上封鎖をするわけないんです.空母は甲板の位置が高すぎて,臨検できないんですよ」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1379102
浅尾議員の発言は22分30秒あたりからです.
【ノリツッコミ】
甲板の位置を下げたかったら,サイドエレベーターを下げれば問題解決♪
(同縮尺)
空母キティホーク
右:駆逐艦アーレイ・バーク
上図を見れば分かるように,空母のサイドエレベーターを下げた状態は,駆逐艦の上甲板とほぼ同じ高さとなる.
【マジツッコミ】
海上臨検で洋上横付けなんて,駆逐艦クラスの大きさの船でもやりませんよ.
小回りが効きませんし,相手船からの攻撃(自爆含む)への対処が困難になりますから.
海上臨検する場合は,艦載艇に臨検班を乗せて相手の船に乗り込みます.
又は艦載ヘリコプターを使い,空中からリぺリング降下させます.
その間,母艦は相手との距離を保って何時でも反撃できるよう準備しつつ,援護します.
強行移乗:海上警備友の会
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止まれと言っても止まらない,往生際の悪い犯罪者が相手となると,これはもうしょうがないからまだ動いてる相手船に無理やり乗り移る事になります.
足の速い小型の巡視船艇は自分から突っ込みますが,中/大型の巡視船ともなるとそうも行きません.
自身は足も遅いし小回りも効かないので,代わりに搭載している警備救難艇に行かせて自分は援護に回ります.
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上記は海上保安庁の海上臨検(強行移乗)についての話ですが,海軍の駆逐艦やフリゲートは海保の大型巡視船並みの大きさになります.
駆逐艦やフリゲートですら自ら横付けして海上臨検などしないのに,
「空母の甲板は高いから海上臨検などできない」
とする浅尾議員の主張は,海上臨検の基本的なやり方を理解しておらず,更に空母のサイドエレベーターの存在も知らないようです.
そしてヘリコプターを使ったリペリング降下による強行移乗も知らない(空母ならヘリを搭載していて当然であり,それならば臨検行動が可能)・・・
つまり浅尾議員は到底,軍事面について明るいとは言えない人物です.
海上阻止行動について何も理解していない.
そのような人が民主党のネクスト防衛大臣を担当し,自民党の石破防衛大臣と相対していく・・・
とても務まりそうにありません.これでは結局,前原議員や長島議員が前面に出て来ざるを得ないでしょう.
アメリカ海軍はMSO(海上阻止行動)に空母や強襲揚陸艦(空母同様,甲板位置が高い)を普通に投入しています.
海上臨検には数十隻の艦艇が参加し,海上自衛隊が支援している海域のCTF150では10〜20隻の艦が活動しています.
その作戦海域はインド洋といってもペルシャ湾入り口からオマーン,イエメン沿岸,紅海の入り口までと,面積的には日本海と同じくらいですが,この海上阻止行動は艦船だけでは行えません.
航空機からの空中哨戒による支援が無ければザルのようなものです.
つまり陸上基地からの哨戒機に加え,空母艦載機による支援もあるなら大変役に立つ事でしょう.
浅尾議員の
「空母が海上封鎖をするわけないんです」
という主張には,同意しかねます.
ましてやその理由が
「空母は甲板の位置が高すぎるから」
では,最早,笑い話になってしまうのです.
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>浅尾:「漁船の高さってせいぜい,1mか2mぐらいです.航空母艦の一番高いところって何十メーターあるわけです.漁船をどうやって航空母艦で取り締まるんですか?取締りようがないんです.」
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おかしいですね,航空母艦の飛行甲板の高さは15mくらいです.
「一番高い所」って,まさかアンテナマストの高さの事でしょうか.それなら確かに数十mあるでしょう.
でも比較している漁船とはダウ船の事ですよね.舷側は1〜2m程度でしょう.
でもセイルマストの高さは十数mはありませんか.
比較の仕方がおかしくありませんか.
浅尾氏は上甲板高度と最頂高を混同している(どころか,自分の言っている数値の意味を理解していない可能性が高い)・・・
いやそもそも,海上臨検で空母の高さを論じる事自体がおかしいのですが.ダウ船が相手なら駆逐艦だって直に横付けなんて出来ませんよ.搭載艇を出します.
dhows - Google イメージ検索
それに,テロリストの武器・麻薬輸送は木造のダウ船ばかりではなく,大型貨物船の荷室に紛れ込ませるケースもあります.
民主党のネクスト防衛大臣を担当する浅尾慶一郎議員は,元銀行員の保守系若手議員で,以前はネクスト外務大臣も担当していました.
浅尾慶一郎 - Wikipedia
この浅尾議員,本人の公式サイトに掲げてある政策などを見ていると,どちらかというと内政向きの人なんじゃないかなぁ,と思うのですが・・・
どうやら軍事面での知識はかなり怪しげなモノのようです.
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