c
「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ サイト・マップへ
◆◆◆◆燃料の行方
<◆◆◆テロ特措法 目次
<◆◆日本のテロ対策
<◆テロ対策
<テロリズムFAQ目次
「ボーガス」:自衛隊インド洋給油活動に妙案─セルフスタンド方式採用へ
【質問】
これまでの給油量は?
【回答】
2007/10/18にペンタゴンが出した声明によれば,以下の通り.
[quote]
イラク戦争前の2001年12月から03年2月までに受けた燃料は,全体で7400万ガロン(2億8000万リットル)であるのに対し,燃料消費量は4億ガロン(14億リットル)で,日本からの提供は全体の19・6%だったとした.
03年3月から55カ月間では,提供されたのは5300万ガロン(1億9000万リットル),消費量が7億2800万ガロン(27億リットル)で,日本からの提供は全体の7・3%だったとした.
産経新聞,2007/10/19
[/quote]
また,増田好平・防衛事務次官によれば,補給の90%は米艦船(最近は30%)なので,総補給量は上記数字を約1.1倍した量になるだろう.
以下引用.
[quote]
90%が米向け,だから米の戦争を支援していると(野党から)言われるのではないか,を尋ねると,
[次官] この数字は6年間の総量で,米への給油量の大半は最初の2年間.直近では米は3割,残りの7割は他の国です.
最初の2年間,米が武力行使を強化したためだ.
2007年10月22日 メディア・レボリューション
[/quote]
ただし,別の数字もある.
海自給油:継続訴え12カ国大使が国会議員に説明会
〔略〕
各国側は,主に米国の担当者が海上阻止活動の現状や海自の各国に対する給油量などを説明.
海自の給油に頼っている割合は,米国が7%なのに対し,イタリアやパキスタンは9割以上に達しているなどのデータを示し,給油活動の中断は海上阻止活動に大きな影響を与えると訴えた.
―――毎日新聞,2007/10/31
消印所沢
給油は米国のみの支援のためじゃないか,という批判がありますけど,米国向けの給油量が多くなるのはよく考えれば当たり前ですよね.
艦艇の数がそもそも一番多いし.
【質問】
インド洋後方支援派遣部隊は,どんな活動をしたのか?
【回答】
「艦名」「これまでの出動回数」「母港」「展開期間」の順です.
<22次隊
「すずなみ」(1回) 舞鶴 070314〜070827
「はまな」(6回) 佐世保 070315〜070826
<23次隊
「きりさめ」(3回) 佐世保 070714〜071122
「ときわ」(5回) 横須賀 070713〜071123
○補給・輸送協力支援活動等の実績
平成13年12月2日(日)以降,平成19年8月20日(月)までに実施した協力支
援活動等の実績は以下のとおりです.
1 補 給
補給艦「とわだ」217回(艦艇用燃料),29回(水),9回(艦載ヘリ燃料)
補給艦「ときわ」191回(艦艇用燃料),16回(水),2回(艦載ヘリ燃料)
補給艦「はまな」216回(艦艇用燃料),31回(水),11回(艦載ヘリ燃料)
補給艦「ましゅう」99回(艦艇用燃料),26回
(水),30回(艦載ヘリ燃料)
補給艦「おうみ」51回(艦艇用燃料),15回
(水),12回(艦載ヘリ燃料)
[補給先]
カナダ駆逐艦(43回,3回(艦載ヘリ燃料)),
フランス駆逐艦(94回,1回(艦載ヘリ燃料)),
ドイツ駆逐艦(29回,9回(艦載ヘリ燃料)),
ギリシア駆逐艦(10回),
イタリア駆逐艦(40回,3回(艦載ヘリ燃料)),
オランダ駆逐艦(11回),
ニュージーランド駆逐艦(15回),
パキスタン駆逐艦(139回,117回(水),13回(艦載ヘリ燃料)),
スペイン駆逐艦(10回),
イギリス補給艦及び後方揚陸艦等(33回,4回(艦載ヘリ燃料)),
アメリカ補給艦及び駆逐艦(350回,31回(艦載ヘリ燃料))
[回数合計]
774回(艦艇用燃料),
117回(水),
64回(艦載ヘリ燃料)
[補給量]
約48万KL(艦艇用燃料),
約6430t(水),
約940KL(艦載ヘリ燃料)
2 輸 送
(1)補給艦「とわだ」による物品の輸送
(2)掃海母艦「うらが」による被災民救難物資の輸送
(3)輸送艦[揚陸艦]「しもきた」による建設用重機等の輸送
(4)イージス護衛艦[イージスシステム搭載型DDG]「こんごう」による物品の輸送
(統合幕僚監部発表 070823より)
【質問】
OEF後方支援・給油量の誤りの問題について,
「制服も背広も対応がイモだった」
以上の問題があるようには感じられないのですが,給油量でこれまでの解釈が覆るようなポイントがありましたらご教示願います.
【回答】
FAQでは訂正後の80万ガロンの数値しか用いられてないはずなので,記述自体に影響はないはずです.
ただまあ,この情報隠蔽は個人的には最悪だと思ってます.
ちょっと暗澹とした気持ち.
航海日誌に関しては,ときわの分は廃棄した後に出てきたので,単に文書管理が杜撰なだけだったわけで(それも問題ですが),意図的ではないのでまあ許せると思いますが,給油量に関しては間違いを知ってた上で隠した,ということなので弁解の余地はないですね.
守屋氏はもう顔つきからして悪いことしてそうですけど,これは守屋氏個人的な問題ではなくて,防衛省(庁)全体と関連業者との癒着問題としてとらえなければならんでしょうね.
山田洋行には自衛官が多数天下っているそうです.
守屋氏と元専務の関係も,そういうパイプを築くのに役立ったのでしょう.
田中良紹は,この問題によって,テロ対策新法の本質の議論がされないままになってしまうのではないかと懸念する.
以下引用.
[quote]
1987年の消費税導入や2004年の年金法改正案の時もそうだった.
この国では国家百年の計を議論する時になると,決まって問題の本質を議論しないうちにスキャンダルが暴露され,訳が分からないまま法案が強行採決されていくのである.
消費税の導入は国が将来にわたって福祉財源をどのように確保するのかという問題であった.
「福祉は悪だ」と考えるアメリカを除いて,福祉国家と呼ばれる先進国は間接税をその財源としている.
日本も福祉国家を目指すならば,直接税を主体とする税制から間接税を主体とする税制にどう転換していくかを議論しなければならなかった.
ヨーロッパ型福祉国家を目指していた旧社会党も福祉目的ならば消費税には反対でなかった.
ところが国会で議論が始まる直前にリクルート事件という「政治とカネ」を巡る大スキャンダルが暴露された.
これで国会は大混乱,野党はリクルート事件の解明を優先させて一切審議に応じない.
結局,何の議論もないまま消費税法案は強行採決され,国民は消費税導入の意味を考える機会を失った.
年金法改正案は迫り来る高齢化社会を前に国民の老後の安心をどう図るかという問題であった.
法案は負担を増やして給付を減らすというもので,容易に国民の理解を得られる内容ではなかった.
審議が始まると何が起きたか.
まずは社会保険庁の元長官が東京地検に贈収賄容疑で逮捕された.
次に社会保険料を未納にしていた政治家の名前が次々暴露された.
これに野党が飛びつく.
法案の中身よりも社会保険庁の体質や未納問題の方をクローズアップして廃案を目指そうとした.
連日未納議員の名前が小出しに出されてマスコミは大フィーバー.
国民の目も法案には向かなくなる.
名前を出しているのは権力の側だから,そのことに民主党は気づくべきだったが,そうはならずに最後は菅代表の未納が暴露されて,首までとられた.
さらに民主党は与党との三党合意にも引きずり込まれた.
法案は強行可決され,国民は年金のあり方を考える機会を失った.
それと似た事がまたまた起きようとしている.
テロ対策新法の法案審議では,日本の国際貢献のあり方と自衛隊の海外派兵の原則を議論する事が問題の本質である.
冷戦後の世界では安全保障問題での枠組みが大きく変容したわけだから,各国とも自国の安全保障戦略を巡ってそれぞれ真剣な模索を続けている.
わが国もどれほど議論してもしすぎる事はない問題なのだが,今やそうした議論がきちんと行われる環境になっていない.
〔略〕
そして案の定,テロ対策新法の議論が始まる直前になって守屋スキャンダルが噴き出してきた.
〔略〕
野党はいつものように,スキャンダルの解明がなければ審議には応じられないと言い,国会での証人喚問も決まった.
与党にとっても都合のいい証人喚問だと与党議員も言っている.
防衛省にまつわる不祥事を解明することに意味がないとは言わない.
しかしたいていの場合不祥事を生み出した構造そのものには手がつかない.
その構造にとって不要となった部分だけが排除される.そして本来議論されなければならない問題から国民の目がそらされ,大事な議論は国会では行われなくなる.
それがこの国のいつものパターンなのだ.
大事なときに何故か必ずスキャンダルが起こり,それで大騒ぎしているうちに国会審議は終わってしまう.
これはどういうことなのだろうか.
〔略〕
2007年10月29日,「The Commons」
[/quote]
やや陰謀論がかっているような記述もあるため,その部分は割愛した.
参考意見程度に読まれたし.
【質問】
海上自衛隊がインド洋で米軍に給油していますが,海上自衛隊の使用している燃料は軽油ではなかったでしょうか?
米軍はJP-8を使っていると思うのですが,わざわざ米軍用にJP-8を調達しているのですか?
それとも今は海自もJP-8を使っているのですか?
【回答】
米海軍はボイラー・ディーゼル・ガスタービンなどの艦艇燃料を統一してます.
当初はND海軍蒸留油という軽油を使用していましたが,現在はF-76と呼ばれる艦艇用軽油を使用している様子.
これはかつてDFM(ディーゼル・フューエル・マリン)と呼ばれていた燃料です.
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/systems/fuel-oil.htm
おそらく海上自衛隊が供給しているのも,このF-76と思われます.
【質問】
給油活動は憲法違反じゃないの?
【回答】
あのね,君がガソリン代会社払いの自車持ち込みの営業だったとしよう.
営業に出る前に自分のガソリンをタンクから抜いて,会社のガソリンと入れ替えたりする?
しないでしょ?,そんな事.
営業に要した走行キロ数を申告して,所定の燃費で計算したガソリン代を,会社からもらうでしょ.
それと全く同じ事なのよ.
航走距離と燃費で計算して,帳簿上合っていればそれでいいの.
てか,帳簿上で管理するしか管理のやりようがないの.
それにガタガタ文句を付けるほうが,馬鹿を曝しているだけなの.
なお,増田好平・防衛事務次官によれば,「補給であっても武力行使と一体化しなければ問題ないという憲法解釈」に基づいているという.
以下引用.
[quote]
補給であっても武力行使と一体化しなければ問題ないという憲法解釈があり,我々は非戦闘地域での補給活動は武力行使の一体化には当たらないと思っている.
2007年10月22日 メディア・レボリューション
[/quote]
つまり素人が考えそうな難癖は,すでに法案作成時点で想定済みだった模様.
【質問】
でも,日本政府は,給油した燃料がイラク戦争にも使われるかもしれない,と予見できたはずだよね?
【回答】
予見できたと仮定して,何か問題があるの?
自車持ち込みの営業は,自分の車を私用と社用の両方に使うことを予見できるけど,走行距離をきちんと管理する限り,ガソリン代の振り分けには何の問題もないよ.
イラク戦争に使われたとかいうプロパガンダにしても同様です.
艦船が両方の用途に使われることは予見できるけど,航走距離をきちんと管理していれば,何の問題もないことです.
【珍説】
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-09-27/2007092725_01_0.html
志位 ええ.少なくとも最近は「海上阻止活動」なるものは,大幅に減っています.
実際には,何をやっているのか.
たとえば,これはアメリカの海軍のホームページですが,去年の九月四日に日本の補給艦「ましゅう」が,アメリカの強襲揚陸艦「イオウジマ」に補給している写真です.
米海軍のニュースでは,九月二十一日までに,「イオウジマ」から飛び立った攻撃機ハリアーが,アフガニスタンにたいする空爆のために,百三十六回の攻撃飛行をしたとあります.
つまり,日本が提供した油というのは,アフガン空爆に使われている.無辜(むこ)の民間人を殺すために使われているということを認識しないといけません.
【事実】
志位タン・・・インド洋からアフガンまでじゃ,爆装したハリアーの戦闘行動半径に全然足りないよ・・・
これって何にも積んでないハリアーを陸上基地に移送しただけでは?
でも「136回の攻撃飛行」ってなんじゃらホイ?
JSF
あった,あった.
全部見つかった.
ましゅうからの給油をイオー・ジマの中で見守る
(こちらより引用)
それを背後で見守るさざなみ(どちらも2006年9月4日撮影)
(こちらより引用)
イオー・ジマから飛び立つハリアー(2006年9月21日撮影)
(こちらより引用)
記事本文を読みますと,「136ソーティ」.
OEFとISAFの支援のために2トン近くの爆薬を投下してきたとあります.
元の英文はこれ.
Nearly two tons of explosives, in the form of 500-pound ordnance, have been successfully dropped since combat operations began earlier this month.
作戦開始以来とあるので,最初の数値は投下した総トン数を意味しているような.
ただ,136回の出撃で2トンというのは少なすぎるので,数字の間違いだけのような気もします.
136回の総出撃回数のうち17回は誘導爆弾だったそうです.
500ポンドというのはJDAM GBU-38(ザルカウィを爆殺したやつ)がちょうどそれに当たります.
それで,こういう記事も見つけました.
http://www.defendamerica.mil/articles/sept2006/a092606dg2.html
部隊の一部はカンダハル空軍基地で待機していて,爆弾を投下したハリアーが着陸するとすぐさま給油,再爆装して送り出すと(写真).そういう感じで2週間弱で136回の総出撃回数を稼いだそうです.
どこでも着陸できるVSTOLの利点を活かした作戦ですね.
(民主党(小沢先生)が主張するように自衛隊がISAFに参加するとなると,こういう感じでやばくなったら米軍に空爆を要請するわけで,そこのあたりは平和主義者の人々は大丈夫なのかなあと不安)
ただ,そもそもOEF-MIOはISAFの支援のためにやっているので,イオー・ジマに対する給油はまさに目的に適っている,
何が問題なのか私にはわかりません.
>志位 無辜(むこ)の民間人を殺すために使われているということを認識しないといけません.
ということが言いたいだけの,ただの反米なのでしょう.
バグってハニー
17 発で 2t とすると 1 発あたり 250lb ぐらいになるので,これはちょっと小さいですね.
500lb 爆弾がメインとありますし.
ただ,一度に兵装を 2t も積むと燃料が苦しいとも思えます.
>部隊の一部
原文では "inserting a small detachment
of maintainers and bomb-loaders" とあるから,整備員と兵器担当者を送り込んで,現地でターンアラウンドさせた場合があるということですね.
それでソーティ数が倍加したと.
艦上から発進するときは兵装は控えめ,Kandahar
から発進するときはもっと多量に,というのはあり得るかも.
井上@Kojii.net
>艦上から発進するときは兵装は控えめ,Kandahar
から発進するときはもっと多量に
私も同意見です.
一世代古いハリアーの話になってしまいますが,
『世界の傑作機 No.111』のp.56に「AV-8Aの現実的な運用重量」と言う下りがあり,大変条件が厳しいことが記載されています.
これから,少なくとも強襲上陸艦からの離発着より,ある程度以上の滑走距離が期待できる地上基地からの発進では,兵装や燃料を多く搭載できることは自明と思われます.
ただ,現地基地が高地かつ高温でそのメリットが相殺される可能性もありますが,これ以上の詳細については現用のハリアーIIが退役し,これらに関する秘密が解除されるのを待つしかないかも知れませんね.
へぼ担当
志位先生が引用している記事では9月はじめとなっているだけですね.
二つ目の記事(DoDのニュースサイト)では作戦は9月21日に終わり,13日間にわたった,Maj.
Pete “Chumly” Leeが9月9日にハリアーの最初のセクションをアフガンに導いた,と書いてあるので,9月9日に始まったようです.
バグってハニー
つまり,9/4に給油したところで殆ど関係が無い・・・ですね.
JSF
一方,江田議員は「イオージマは9月15日にペルシャ湾にいた」と主張.
いやはや,江田議員,まだまだやる気満々です.見上げたダイハード野郎です.
06年もイラク艦船給油の記録 江田衆院議員が指摘
2007年10月16日20時26分
江田氏が指摘した米海軍のHPには,イオージマが9月4日に「ましゅう」から補給を受けたと記載されている.
米海軍の別のページにある日記形式の活動記録には「9月15日にペルシャ湾で海上保安活動とイラクの自由作戦に従事した」と記述.
−−−
ありぃ? イオージマは同時期,ハリアーを使用したアフガン爆撃(OEF)に従事していたはずなんじゃあ?
……と思って検索かけたら,江田議員のいう日記形式の活動記録は見つからなかったのですが,こんなの見つかりました.
http://www.defenselink.mil/transformation/images/photos/photo_archive/index_2006-09.html
9/19/2006
Craft Approaches
U.S. Navy Seaman Joseph Flaherty from Houston, Texas, stands watch as a landing craft air cushion from Assault Craft Unit 4 prepares to enter the well deck of the USS Iwo Jima in the Persian Gulf, Sept. 15, 2006. The Iwo Jima recently deployed from her homeport of Norfolk and began a regularly scheduled six-month deployment to the U.S. European Command and U.S. Central Command areas of responsibility to conduct Maritime Security Operations. U.S. Navy photo By Seaman Joshua T. Rodriguez
−−−
MSOのみでOIFの記述はないですが,2006年9月15日にペルシャ湾にいたと書いてありますね.
ペルシャ湾からアフガンまでハリアーを飛ばしたんですかねえ.
バグってハニー
※どちらにしろ日付から考えて,とっくに「ましゅう」からの燃料は使い切ってるだろう.
まぁ数字だけでも正しいだけマシなんじゃないでしょうか
ウチの大学の自治会(革マル)は
「燃料供給先の9割は米国」
とか
「デイジーカッターでアフガンの地形が変わった,民間人が大量に虐殺されてる」
みたいな大法螺を大真面目に吹いてたから,しかも昨日〔2007年09月28日〕の話.
勿論誰も聞いちゃいませんけどね,
配られてるビラも9割以上の学生が受け取ってなかったし.
たれ
【質問】
画像〔上掲ハリアー写真〕は爆弾を積んでいるのでしょうか?,いないのでしょうか?
あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【回答】
白いのはドロップタンク.増加燃料タンクです.
濃い緑色っぽいのは,レーザー照射器です.
これでレーザー誘導爆弾を誘導します.
http://en.wikipedia.org/wiki/LITENING_targeting_pod
もう一方の翼には何もぶら下がっていないようです.
したがって,「イオージマ」から発艦した際には爆弾は積んでいないようです.
ありえない.
インド洋上の空母からアフガンに直接空爆仕掛けるのは,CTOL機のF/A-18Cでも四苦八苦の仕事で,F-14Dが現役の頃は全部爆撃任務をそっちに任せてたくらい.
新型のF/A-18Eが就役してようやくコイツで普通に空爆できるようになった.
航続距離がギリギリ一杯なんだよ.
航続距離の短いV/STOL機のAV-8Bハリア-2+で,インド洋上の強襲揚陸艦から爆装で発艦してアフガンまで空爆してまたインド洋上の強襲揚陸艦に帰還する?
物理的に無理だ.
ワスプ級にスキージャンプなんか無いぞ.あっても届かん.話にならん.
最近のアフガン空爆作戦だと,南部のウルズガーン周辺になるが,それでもパキスタンの港湾都市カラチから900km以上,離れている.
カンダハル,ヘルマンドあたりの作戦区域でも,パキスタン沿岸から700km以上,離れている.
しかも当たり前の話だけど,米空母や強襲揚陸艦はパキスタン沿岸よりもっと沖合いで行動しているよ.だから,距離はもっと遠い.
AV-8Bハリアー2+の対地爆装時の戦闘行動半径は500km以下の筈.
しかもスキージャンプの無いワスプ級からの発艦の場合,搭載燃料と兵装にかなりの制限が加えられるから,これよりもっと短い.
物理的にどう見ても無理.
ノーマル・ホーネットでも苦しい爆撃行程なのに,ハリアーで行けるわけがない.
以下引用.
----------------
F/A-18E
http://weapons-free.masdf.com/air/usa/fa18e.html
1983年に海兵隊で初めて実働飛行隊が編成されて以来,F/A-18の狙いは見事に成功し,それまでの機体を追い出してアメリカ海軍・海兵隊の主力となっていたF/A-18A〜D(現在はC/D型)だったが,その一方で
「航続距離が足りない」
「ペイロードも足りない」
という評価もあった.
事実,アフガニスタン攻撃などでは航続距離の不足から,奥地への攻撃は対地攻撃可能なように改修されたF-14に任せなければならず,航続距離不足は深刻な問題だったということは想像に難しくない.
----------------
上掲ハリアー写真のアップ.主翼パイロン内側の黒い物体.良く見ると信管も安定翼も無い.
照準ターゲッテイングポッド.(別のハリアーに搭載された写真で確認)
一応,照準ターゲッテイングポッドの製造元の情報も貼っときますわ.
http://www.dsd.es.northropgrumman.com/litening/litening.html
スペルは LITENING なんだけど,ときどき LIGHTNING とミススペルする人がいるので御注意.
後者だと F-35 になっちゃうので.
井上@Kojii.net in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
【珍説】
「ましゅう」が「イオー・ジマ」に補給をした時は,どんぶらこどんぶらこと海の上でAV-8Bを運んでいました.
そのAV-8Bは,数日後にアフガンを空爆する予定で,実際に空爆しました.
というわけで,間接的には荷担していたと思います.
あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
>「ましゅう」が「イオー・ジマ」に補給をした時は,どんぶらこどんぶらこと海の上でAV-8Bを運んでいました.
イオー・ジマはMSOの旗艦なのだから,給油するのは当たり前で,特措法にも合致している.
給油したのは艦艇用軽油であり,航空燃料のJP-5ではない.
>そのAV-8Bは,数日後にアフガンを空爆する予定で,実際に空爆しました.
してません.
艦載機はカンダハルに移動した後,ISAFの指揮下で作戦参加.
インド洋上からの攻撃ではないのでMSOとは無関係の話.
それに,強襲揚陸艦「イオー・ジマ」からAV-8Bをアフガンに派遣したとされる作戦は,9/9〜9/21.
補給艦「ましゅう」がイオー・ジマに給油したとされるのは9/4.
ましゅうは航空燃料JP-5を給油したわけではない以上,イオー・ジマの作戦に関与しないし,補給した艦艇用燃料もとっくに使いきっている.
しかもインド洋上からの出撃は行っていない以上,赤旗の言う「136回の出撃」は間違い.
赤旗の指摘は全て的外れで終了.
志位タン(´・ω・`)カワイソス.
あっちゃん? 自業自得.
ISAFの指揮下に入ったという事は,その作戦行動は国連安保理決議1386, 1413, 1444, 1510, 1563, 1623, 1659, 1707, 1746と 1776に基づくもので,「自称崇高な反戦運動家」の御仁や共産党の志位氏の言うような「無辜の民を殺戮するのが目的」ではない・・・と言う事です,
赤旗や志位氏は「テロ特措法違反」の疑いより,そっちの方でファビョってましたよね?
2重3重に恥ずかしいと思いますが・・・(^^;)
http://www.cusnc.navy.mil/articles/2006/172.html
より.
-----------------------
Iwo Jima left its homeport of Norfolk, Va., June 6, and began a regularly scheduled six-month deployment to the U.S. European Command and U.S. Central Command (CENTCOM) areas of responsibility (AOR) to conduct Maritime Security Operations (MSO).
------------------------
海上警備行動(MSO)に従事していますので,明らかに海自の給油対象となります.
1. 認識操作
事実認識が違うから答えられないとつっぱねる.
2. 争点操作
質問の意味を勝手にすりかえて長々と答え,聞く相手があきれ疲労退屈し,再度質問する意欲を失わせる.
3. 前提操作
その質問の前に前提として○○の事実や理論を勉強してからにしろと突き放す.
4. 次元操作
「あなたは現在(一部,現象,たてまえ)のみを問題にしている.私は将来(全体,本質,本音)を問題にしているのだ」といい,次元の違う質問には答えられぬ,とつっぱねる.
5. 立場操作
質問者は少数のリーダーの立場に立っているが,自分は大衆の立場に立っているのだ.
6. 戻し質問
あなただったらどう考えますか? 答えられなかったら,質問者自身もわからない質問には答えられない,と突き放す.
7. 本心操作
そのような質問をする人の心の中はだいたい見当がついている.そのような否定的態度をとる人に対しては何を答えても無駄である,と質問を封殺する.
「オルグ学入門」 村田宏雄 勁草書房
写真はイオージマから臨むエアクッション型揚陸艇(LCAC)と,高速ゴムボート(RHIB)から臨むイオージマ(と女性兵士)
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq39d11.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq39d11b.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq39d11c.jpg
【質問】
インド洋での給油活動に関して質問.ご存知の方教えてください.
ぐぐると時折,英仏は有償給油,日本は無償給油と言う話が出てくるのですが,本当でしょうか?
本当なら,なぜ日本は貧しいわけでもない国の給油まで無償で行ってるのでしょうか?
政府はどのような理由で無償給油を行っているのでしょうか?
【回答】
日本が無償給油しているというのは報道に時々ありますし,米海軍のホームページにも日本がいくらくらい燃料代を肩代わりしたか書いてあったので,そうなんでしょう.
英仏に関してはそもそも他国にも給油しているかどうかも知らないのでちょっと分からないです.
ウィキペディアには,フランスは日本に対して燃料を贈答したと書いてありますが.
>本当なら,なぜ日本は貧しいわけでもない国の給油まで無償で行ってるのでしょうか?
まあ,米国は世界一の金持ちの国ですけど,日本はその在日基地の駐留経費を大部分負担してますしね.
最近は負担率がやや目減りしてますが.
同盟国に対する軍事貢献には人的貢献と経済的貢献に大別できると思いますが,日本は伝統的に海外派兵に消極的で,その分経済的貢献で肩代わりしてきた,という経緯があります.
対テロ戦争に関してもそうなんでしょう.
同じWWII敗戦国のドイツはOEF-MIO以外にISAFにも派兵してますから,もう,こういう問題がなくなりました.
こういう,貸し借りのある,いびつな関係はいやだというのであれば,日本も給油の他に臨検もして,かつISAFにも派兵するというのが一番だと思います.
無償給油を止めても誰も文句は言わないと思いますが,まあ,国内世論的にはありえないでしょう.
昔は「無料ガソリンスタンド」なんて揶揄が散見されましたが,今は国会等でそういう議論は全く盛り上がってないようです.
何でなんですかね.
自民党が年金問題の対応を誤って参院選で大敗したことからも分かるとおり,有権者は金にがめついですからね.
私,てっきり民主党は無料給油を争点にするかと思ってたら当てが外れました.
【珍説】
なぜ明かさないのか!「海自給油」納入2業者の社名
[2007/10/19 ゲンダイネット]
[quote]
--------------------------------------------------------------------------------
この問題を追及している民主党衆院議員の渡辺周氏がこう言う.
「インド洋で給油活動している海自に対し,現在,石油会社2社が油を納入しています.
防衛省は競争入札ではなく,随意契約を結んでいる.
が,その間に入った商社を含め,情報をまったく出そうとしない.
それで,油を市価の3倍近い値段で買っている可能性や,入手先は米国の石油会社ではないか,といった憶測まで流れています」
--------------------------------------------------------------------------------
[/quote]
【事実】
米軍標準価格資料から推測すれば,防衛省の購入価格は適正価格である可能性が高い.
一方,3倍説については,せいぜいがブログ「きっこの日記」ぐらいしかソースが見つからず,そのブログも,「パックインジャーナル」発の未確認情報をソースにしている模様.
つまり,デマが一人歩きしているだけ.
***
あんまりゲンダイの記事を扱う必要は無いとも思うのですが,紹介されている議員のコメントから妙な噂が流れている事を知り,そこだけ突っ込んでおく必要があると感じましたので紹介しておきます.
記事本文の「なぜ明かさないのか!」というゲンダイの疑問は,
「テロ対策だからです」
という海幕の説明により,記事中で全て解決しています.
何処の港に何時入港して何処から搬入したか,という情報が漏れれば,テロリストの格好のターゲットになります.
米駆逐艦コール号が港で停泊中に自爆ボート攻撃を受けたように,港に居る時がテロ攻撃を受ける危険性が一番高いですし,納入業者の名が知れれば業者自体もターゲットになるからです.
そんな当たり前の事がわからないゲンダイの事は放って置いて,問題は民主党の渡辺周議員です.
『油を市価の3倍近い値段で買っている可能性』
↑これについて調べてみましたが,明確な証拠を発見できませんでした.
それにしては「3倍」という数字が妙に具体的です.
この数字が明確な根拠抜きに一人歩きしてあちこちで話題になるようでは,問題です.
果たして政治家が噂話やいい加減な話で
「〜といった可能性や,憶測まで流れています」
等とコメントしてよいものなのでしょうか.
もちろんゲンダイですから,渡辺周議員が実際にそんな事を言ってもいないのに記事にした可能性もあります.
ただ,実際にコメントしていたのだとしたら,週刊誌をソースにして国会で質問をするような馬鹿な真似の二の舞になりかねない,と思います.
渡辺 周 - Wikipedia
<オマケ>
A〔あつこば〕氏の解説〔(笑)〕による時系列纏め.
--------------------------------------------------------------------------------
A:「きっこの日記」に限らずですが,裏を取ればいいのだと思います.
3倍が真実かどうかは,他にソースが見あたらないため,わかりません.
ですが,問題点を探る観点,目の付け所としては良かったと思います.
「きっこの日記」にこの疑惑が掲載されたのが9月17日,
「愛川欽也 パックインジャーナル」が9月22日と10月6日,
「週刊朝日」が10月10日
「きっこの日記」をマメに読んでいれば,私ももう少し早くからこの問題に気が付いたと思っています.
まあ,早ければ良いという話でもありませんが,「きっこの日記」は問題点をつかむ嗅覚は優れているのではないかと思います.
--------------------------------------------------------------------------------
「裏取り」作業って,後からするものでしたっけ?
凄く心配になってくるんですが.(渡辺議員とか)
なお,上記文中のあつこばの記述の信頼性の問題だが,彼のようなイデオローグが,わざわざ自説にとって不利な事実を捏造,また輪歪曲してでっち上げるとは考えにくいため,普通よりやや劣る程度の信頼性はあると愚考する.
編者
きっこの日記
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20071006
もう何処から突っ込めばよいのやら・・・
リンク〔きっこの日記を〕見たけどバカらしいなあ.
アメリカを儲けさせたいなら,「思いやり予算」をちょろっと増額したり,輸入する兵器の価格をちょろっと上げれば済む話.
わざわざ船をインド洋に派遣するなんざ,無駄足食いすぎ.
きっこの日記は初めて真面目に読みましたが,無視しても構わないのと違いますかね.
ぱっと見た感じ,意味のないレッテル攻撃が約7割,残りの3割は出所不明の情報の劣化コピーという感じで,検証に耐えられない感じ.
占いみたく,どうとでもとれるような書き方ですし,書いてることどれか一つでも正しかったら文句を言うな,ということなのでしょう.
劣化コピーというのは例えば
『ニポンの防衛省は,この燃料のことを「一般的な船舶用の燃料」って言ってたけど,これが大ウソだったのだ』
というふうに,伝言ゲームの過程でいつどこで誰が言ったのかという情報が抜け落ちていることを指します.
我々は政府(谷内正太郎外務次官)の発言として
「パキスタン海軍の船は,自動車で言えばハイオクを使わなければいけない艦艇で,これを提供するのは自衛隊の補給艦しかない状況だ」
というような,きっこの日記で言われていることとはまるで逆の発言があったことも知ってますしね.
それでいて
『この「F76」って燃料がどんなものなのかって言うと,これは,アメリカ軍の戦艦や空母用に,特別に精製されてる「戦争用燃料」』
なんていう,ややバカっぽい(幼稚な)解説があるでしょ.
ちょっと反論する気にならないですよね.
>アメリカを儲けさせたいなら思いやり予算をちょろっと増額したり,
>輸入する兵器の価格をちょろっと上げれば済む話
後藤議員の発言
「例えばこの五年半をトータルした数字で五百七十一億円執行額がかかり,そのうちの燃料,要するに給油をする燃料の費用というのが二百十二億円ですから四割くらい,あとは隊員とかいろいろな部分の関連するオペレーションだということに理解をしております.」
から見て,燃料代よりも残りの部分のほうがもっとお金がかかっているので,これが上納金システムだとすれば,仰るとおり,非常に効率が悪いです.
〔略〕
きっこの日記〔の,今回の問題個所〕は大部分,同じ日に放映された「愛川欽也
パックイン・ジャーナル」の受け売りっぽいですね.
http://asyura.com/07/war97/msg/134.html
[quote]
山口一臣氏 (『週刊朝日』編集長)
山口氏: 油の仕入先を,判ったからって,じゃあどういう軍事的支障があるのかって,ぼく素人だから余計わからないんですけど,全くこう解からなかったです.
それで,しょうがないんで手を変え品を変えて調べてったら,おおよそのことが判ってきたのは,一つはですね,どうもバーレーンにある国営の石油精製所からF76っていうタイプの軽油を積み出してるんじゃないかって・・・,可能性が非常に高いことが判ったんですね.
このF76っていう軽油は実はね,アメリカ軍特製の仕様なんですね.アメリカ軍特注のもので,米軍とNATOの艦船にのみ使える油なんです.
一番最初に言ってたハイオクっていうのは正に嘘なんですね.
つまり米軍共通仕様の油を,まあ中東湾岸諸国,たぶんバーレーンが一番疑いが濃いんですけど,そこから積み出してると.
しかもその国営石油会社をよく調べると,アメリカのシェブロン(Chevron)という大手石油会社とすごく密接な関係があって,まあこの会社は・・・知ってる人は知ってるんですけど,ライス国務長官がかつて役員を務めていたことがあるという,まあアメリカの政府の中枢にもつながるような会社なんです.
山口氏: 要するに,買えば買うほどアメリカの会社が儲かる・・・かもしれないっていう状態なわけ.
しかも,当然ですけど,それを買うにあたって日本の商社2社が絡んでるんですね.
山口氏: で,この2社の名前も明らかにしろっていうことも取材したんですけど,これは「言えない」って言うんですね.
いま調べてる.
間もなく判りますけれども.その2社から6年間,随意契約で買ってるんですよ.
山口氏: つまり言い値で買ってるっていうことなんですね.
で,少なくともそうすると,先ず大元の売り元,それから手数料稼ぎをしてる日本の会社2社に確実にお金が落ちるスキームであるわけ.
[quote]
>きっこの日記ははじめてまじめに読みましたが,無視しても構わないのと違いますかね.
あそこ,噂・珍説の発生源なんです.信じて,あちこちで触れ回る人がいるんですよ.
反論したくも無いようなばかばかしい話が広まるのを防ぐために,発信源を批判するのは有効であると思います.
〔その後も〕結局,「三倍価格説」の根拠は見付からず終いでした.
〔略〕
「三倍価格説」はF76軽油を市価の三倍で買っているという指摘なのですが・・・
海軍艦艇用燃料F76の「市場価格」とは一体,何を指すのでしょうか?
軍用燃料に市価なんて無いような気がするのですが.
米軍やNATO軍への納入額と比較したいのなら,先ずのその基準値が重要だと思うのですが,三倍価格説を唱える人たちは誰も気にしていないようです.
例によって単純計算.厳密さはあまりないのですが....
まず,米軍の調達価格.例の“消えた”第五艦隊のOIFのページには
「日本がそれまでに提供した86,629,675ガロンのF-76は,7千6百万ドル以上に相当する」
と書いてあるので,これを米軍調達価格とします.とすると一ガロン当たり76,000,000/86,629,675≒88セントとなります.
1ガロン=3.785リットル,1ドル=120円(※)として換算すると,一リットル当たり約28円となります.
他方,日本の調達価格.
海上自衛隊の資料によると
「2007年2月24日までに有志連合に約47万キロリットルを給油した」
とあり,同時期(2007年4月27日)の国会答弁には
「この五年半をトータルした数字で五百七十一億円執行額がかかり,そのうちの燃料,要するに給油をする燃料の費用というのが二百十二億円ですから四割くらい」
という後藤斎衆議院議員(民主党)の発言があるので,
一リットル当たり21,200,000,000/470,000,000≒45円かかっていたことになります.
というわけで,日本のほうが約5割増しということで分は悪いのですが,いくら相場の変動を無視した大雑把な概算とはいえ,3倍というのはありえないのではないかと言えるかなあ.
※円ドル相場はここ↓を見て,イラク戦争が激しかった時期に合わせて,「えいやっ」と決めました.
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=USDJPY=X&d=c&k=c3&a=v&p=m130,m260,s&t=ay&l=off&z=m&q=l&h=on
〔略〕
おもしろい資料を見つけました.
https://zinc.ois.disa.mil/nolsc/navpet/documents/
(セキュリティエラーは無視すること)
ここのFY0* PRICE MESSAGE.docという文書に,各種燃料の米軍標準価格が載っています.
これによると2004会計年度(2003年10月から2004年9月)のF-76の値段は一ガロン当たり84セント,ということで例の“消えた”第五艦隊のページの記述はこの値段に基づいているようです.
その後この単価は$1.73(2005年度),$2.13(2006年度),$2.29ドル(2007年度)というようにどんどん上昇していきます.
単価が上がるということは,日本側調達価格が適正である可能性がますます高まることを意味します.
海上自衛隊の時期別の給油量が分かれば「5年半で二百十二億円」というのが適正な支出であるのかどうかを厳密に検証できそう.
なお,防衛省は時期別の給油量とそれにかかった費用をすでに公表しているようですが,原文がみつからない.
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-10-03/2007100301_02_0.html
3倍説の「根拠」は,どうやら2003〜2004年当たりの調達費用と,2006〜2007年当たりの調達費用との混同である可能性がありますね.
イラク戦争開戦当時と現在では,F76調達費用が2.5倍ぐらいになっています.
JSF by mail
ただし割高であることは確かなようです.
質問主意書の回答
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b168043.htm
に年度毎給油量が,
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b167003.htm
に年度毎艦船用燃料費があります.
米軍標準価格が調べられる2004(平成14)年度以降をについてまとめると
日本側購入価格 米軍標準価格
2004年度 約45円/L 約25円/L(FY2004)
2005年度 約78円/L 約50円/L(FY2005)
2006年度 約73円/L 約65円/L(FY2006)
2007年度 約45円/L 約70円/L(FY2007)
となります.
実際には日本と米国の年度は半年ずれているので,それを考慮する必要があります.
例えば日本の2004年度は,アメリカのFY2004とFY2005の半分づつの期間なので,平均すると米軍標準価格は約38円/Lくらいになり,日本の購入価格は18%程度高いことになります.
まあ,中間マージンがかかっていると思われ.
【珍説】
F76っていう軽油は実はね,アメリカ軍特製の仕様なんですね.
アメリカ軍特注のもので,米軍とNATOの艦船にのみ使える油なんです.
山口一臣 (『週刊朝日』編集長) in 「愛川欽也
パックイン・ジャーナル」
2007/10/17
【事実】
kojii.netによれば,まったくそんなことはないようで.
同別館ブログによれば,民生用の軽油と大きく異なるものではなく,自衛隊の軽油に比べ,船舶機関規則の関係で引火点が11度違うという点だけが「特別」(笑)なのだとか.
以下引用.
[quote]
問題の燃料,海自では「軽油 2 号 (艦船用)」と呼ばれていますが,基本的には F-76 と同じものと考えてよいでしょう.
日米以外に,NATO 諸国やその他のアメリカの同盟国も,同様の燃料を使っているはずです.
でないと,演習なんかでお互いに燃料を融通することができませんし,主機だって同じモノを使っている場合が多いんですから.
だから,NATO 諸国から中古艦を購入すれば,これまた必然的に F-76 規格の燃料を使うことになります.
では,これらがどんな燃料かというと.
「軽油 - Wikipedia」に,さまざまな軽油の比較表が載っていますが,「軽油 2 号 (艦船用)」は載っていません.
基本的には JIS の軽油 2 号 (海自規格の 4 号軽油) と同じものですが,船舶機関規則の関係で引火点を 50 度から 61 度に引き上げたのが,「艦船用」の相違点です ※1 .
ちなみに米海軍の F-76 だと,引火点の規定は 60 度 ※2 .
あと,以前に本館で書きましたが,艦艇用燃料の方が民間用よりも長期保管する可能性が高いため,品質の安定性などに関する規定※3 が民間用より厳しくなっています.
余談ですが,F-76 から長期保管時の安定性に関する規定を除外したのがB-76.
半年以内に使うこと,という条件付きで,アメリカ国内の一部で使っているようです ※2 .
こういったあたりの質的な違いが,
「パキスタン海軍向けの燃料はハイオクみたいなもん」
という答弁につながったのでしょう.
とはいえ,民生用の軽油と大きく異なるものではなく,値段が 3 倍も違うなんてことは考えにくいですが.
価格差が発生する原因としてはむしろ,輸送費の違いや為替変動の方が大きいのでは ?
※1 : 「世界の艦船」1992 年 10 月号,特集「艦艇用燃料の話」
※2 : Fuel Oil (Global Security)
※3 : Naval Distillate, F-76, Stability Requirement ――What Does It Mean? (Word 文書,オレオレ証明書の警告が出る)
と,いろいろ調べ回って書いてみたわけですが.もしも不備があったら,詳しい方の突っ込み希望…
[/quote]
―――「kojii.net ココログ別館」,10/27/2007
山口一臣は何をどう「手を変え,品を変え調べたのか知りませんが,まずは基礎知識をしっかり固めた上で正確な調査を行うことをご提案いたします.
written by ベンガルキヤン(うそ)
【珍説】
同じ日の契約(F76軽油)であるにもかかわらず,1キロあたりの値段が6000円も違っていた.
原口一博・民主党議員 in 第168回国会 安全保障委員会,200710/19
【事実】
単位の勘違いである可能性が高い.
これがkgあたりの話なら,40倍となって,現実にはまずありえない.
これがkl当たりの話なら,市場変動の範囲内の話.
以下,これに関しては,mixiにあった,ボケ(A)とツッコミ(J & Y)の掛け合い漫才でお楽しみください.
[quote]--------------------------------------------------
A:「同じ日の契約(F76軽油)であるにもかかわらず1キロあたりの値段が6000円も違っていたそうです.(出典:原口議員)
J:「はぁ? 何言ってるんだ?
軽油は(仮に市価で計算すると)リッター120円くらいだろう.軽油の比重は0.8ちょいだから,1キロあたり150円.
そんなものに対し1キロあたりの値段が6000円も違うなんて馬鹿な真似をするわけが無い.
3倍どころか40倍じゃないか.
それ根本的に単位を間違えているだろう,問題外だよ.」
A:「1キロリットルあたりの値段が6000円も違っていた,でした.」
J:「(おいおい・・・)キロリットルとは1000リットルの事.
仮に日本国内の販売価格がリッター120円なら,キロリッターで12万円.
で,仮に真実だとして12万円と12万6千円で大騒ぎするような事なんですか?
5%くらいしか違いませんが.」
A:「ちなみに「3倍」という説については私も出典は知りません.
この議事録でも,同じ日に「一キロリットル当たりの値段が会社によって六千円も違う」とされているだけで,いくらだったのかはわかりません.
で,会社によって違う理由は,「油船(バージ船)を通すか,真っすぐパイプラインで油を引くかの違い」のようです.」
J:「停泊位置によってはパイプラインが使えないから,バージ船を通す場合もあるでしょうね.」
Y:「ガソリンで5%位だったら一週間での値動きでもありうる.」
A:「ですから,「同じ日で」こんなに違う,と原口議員は主張しているんですよ.」
J:「パイプライン経由とバージ船経由の違いが手数料差で5%.・・・何か問題でも?」
Y:「何が同じ日付なんですか?
契約した日付ですか?
引き渡された日付ですか?
引き渡された日付が同じであるだけならば,価格が違うのは当然です.
価格の決定は契約した日の状況によって決定されます.」
--------------------------------------------------------[/quote]
【登場人物】
A:Atsukoba
J:JSF
Y:Yukikazemaru
〔略〕
原口議員の拘っていた6000円の差についても,キロリッターあたりの差なら5%の差でしかありませんし,そもそも比較対象が違います.
6000円の差はA社とB社,同じ日本企業での比較(差額は給油形態の違いによる手間賃差)です.
もしかしてガロンとリッターを間違えて,そのせいで計算も間違えたんでは?という可能性もあるが,どれにしたって,国会で言いたてるにはあまりに恥ずかしい,低レベルな珍説.
もうちょっと真面目にやってください.
written by 尾崎行雄(うそ)
「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ サイト・マップへ
軍事板FAQ
軍事FAQ
軍板FAQ
軍事初心者まとめ