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◆WMD(大量破壊兵器) A tömegpusztító fegyverek
兵器FAQ目次

生物兵器(うそ)

(画像掲示板より引用)


 【link】

Atomic Weapons

「BBC」◆(2012/07/02) Lightning laser weapon developed by US Army
米陸軍の新兵器は「レーザー雷」
「痛いニュース(ノ∀`)◆(2012/06/06)米国の地上攻撃用宇宙兵器 “神の杖”  破壊力は核爆弾に匹敵

EEE会議

http://kakujoho.net/us/nw_status.html

「VIP Recycle」◆(2012/12/28) 【140枚】ガスマスクの画像貼って説明書いてく

「カラパイア」◆(2013/06/01) 画像で巡る,ガスマスクの歴史

『化学・生物兵器の歴史』(Edward M.Spiers 著,東洋書林,2012.7)

『世界を騙しつづける科学者たち』(ナオミ オレスケス , エリック・M. コンウェイ著,楽工社,2011.12)

 2009年にクライメイトゲート事件ってのがあったのを,ご記憶だろうか.
 気候変動に関する研究を行っている研究組織のメール等が流出し,それがもとになって,保守派を中心に,
「地球温暖化などやはり捏造だった,いかがわしい左翼の研究だ!!」
と,舌鋒鋭く攻撃した事件である.
 その後の調査により,研究内容自体の信頼性に問題がないことが,第三者によって確認され,問題は一応解決したのだが,この際の保守派の非科学的態度が頭にきた,カリフォルニア大学の科学史の教授とNASAのジェット推進研究所の研究員が,科学的事実を曲げて政治に利用してきたのは保守派のほうじゃないかと,保守派と御用学者を糾弾したのが本書である.

 この紹介だと,軍事となんの関係もなさそうに見えるが,本書上巻第二章はSDI構想の顛末,その非現実的で非科学的発想の糾弾に当てられており,科学史の視点からあの軍事プロジェクトを見ると,中々おもしろい.
 まあ,宇宙に衛星を浮かべて,それで飛来する大量の弾道弾を迎撃しようって発想には,根底から無理があり,本書のなかでも ,そんなもの実際に作っても,千の弾頭を迎撃できるか実験なんてできっこないし,そもそも完全に機能しないと意味のない防衛システムなんてナンセンスだと,当時の議論を再紹介するかたちで著述している.

 まあ,仮にアメリカがそんなもの作っても,ソ連は核弾頭の標的を,すべて都市に変えればいい話で,5000発のミサイルが発射され,それが すべて単弾頭だったとして,そしてSDIが99.%の弾頭を打ち落とすのに成功したとしても,50発はアメリカの大都市に降り注ぐ計算になるわけで ,重複して2発浴びる都市が,3分の1ほど出たとしても,34都市が壊滅.
 間違いなくアメリカは,再起不能の大損害をこうむるわけだから,無意味でばかげている.
 本書内では,システムの細かい技術的要素なんかは扱われてはいない(批判派の科学者の,今からみれば真っ当な論の紹介が主である)が ,記憶が正しければ,SDIシステムが完成する予定は2020年以降だったはずで,ソ連が崩壊しなければ,こんなものに延々とアメリカの納税者は金をつぎ込んでいたのかもしれないと考えると,馬鹿馬鹿しさは倍増する.
 一部にはSDIは,ソ連に対抗戦略をとらせて,国力を消耗させる,レーガンの狡猾な戦略だったという評価もあるようだが,本書によるかぎり,ただ単に愚かさゆえに進められた愚行としかとれない.

-----------------軍事板,2011/12/24(土)

●化学兵器

net bunker」:不気味すぎて欲しくなる,19世紀のガスマスク@奇想天外生物図鑑 カラパイア(D.B.E三二型)
 一部に,WW1英国戦車兵のマスクも混じっていますので,念のため.

朝目新聞」<2010/11/08~11/10>●古今東西ガスマスクの歴史と今がわかる画像  (of ザイーガ)

「カラパイア」◆(2010/11/15)ガスマスクを装備した兵士たちの画像

『神経ガス戦争の世界史 第一次世界大戦からアル=カーイダまで』(ジョナサン・B.タッカー著,みすず書房,2008.10)

 なかなか面白いな.
 イギリスとかも,同意の上とはいえ,結構人体実験やってんだな(笑)
 まあ,アメリカもキノコ雲に向かって防護服も無しに行軍させるぐらいだからな(笑)
 軍隊怖えぇ(笑)

――――――軍事板

 原書も買っていたけど,松本サリン事件と地下鉄サリン事件は,事実誤認が多々ありましたけど, さすがに翻訳では事実訂正がされていた.

 少々値段は高いですけど,化学兵器に興味のある人は買っても損はない.

 翻訳者が科警研の中の人だけど,当然ながら守秘義務があり,職務上知りえた情報は載せれないよね.

――――――軍事板
 化学戦全般に関しては無難かと.
 オウム事件に関しては江川詔子がソースなんで,ちと薄いが,他はまんべんなく濃い.
 ここの本の常として,値段はかなり張るけど内容はしっかりしてる.
 図書館で取り寄せる価値はあるかと.

------------------軍事板,2010/10/19(火)
青文字:加筆改修部分

『毒ガスと科学者-化学兵器はいかに造られたか』(宮田親平著,光人社,1991/11)

 マスタードガスから抗ガン剤第1号が作られた事は,この本で知った.
 読み易く面白いが事実上絶版かな.
 しかし探せば見つかるし,図書館にも置かれてる.

------------軍事板,2002/07/28
青文字:加筆改修部分

◆◆総記


 【質問】
 BC兵器について,お勧めの本はありますか?

 【回答】
 邦書だったら最初は無難に,江畑謙介氏のそっち方面の本読んどけと.
 BC関連も何冊か出してる.
 同工異曲なつまらなさはあるものの,安心して読める.
 資料もしっかりとしたもの使って出典明示しているし,奇をてらわないんで基本をしっかり学べる.
 中小自治体の図書館でも,1冊は大抵置いてあるんで入手もしやすい.

 あと,軍事とか左翼の平和活動畑の人より,医学関連の人の本の方がしっかり調べてある上,話も客観的かつ濃くて面白い.

軍事板,2010/11/12(金)
青文字:加筆改修部分

▼ 生物兵器については亡命してきたソ連の生物兵器開発者が書いた「バイオハザード」(同名のゲームとは関係無いです)がオススメ.
 もちろん亡命者の本だから割引いて読む必要はあるけど.
(会社とけんかしてやめたリーマンが,元いた会社に良い感情を持つ可能性は低い.
 今世話になっている会社に不利なことを口にする可能性は,もっと低い.
 あと,亡命者ってのは基本的に不安定な身分だから,亡命元の脅威を必要以上に煽ることで,自分を売り込むことになりがち.
「彼らは我々と比べてこんなに進んだ技術を持っています!
 それに対抗できるのは,彼らの手の内を知り尽くした私だけです」
のような感じ)

 また,以下の書籍は良いと思われます.
「中毒学概論 -毒の科学」 
定価:4,800円(税別)
http://www.jiho.co.jp/shop/detail_search.msp?class=&n=&id=168
「化学・生物兵器概論 -基礎知識,生体作用,治療と政策」
定価:4,200円(税別)
http://www.jiho.co.jp/shop/detail_search.msp?class=&n=&id=276
「生物兵器,テロとその対処法」
定価:3,500円(税別)
http://www.jiho.co.jp/shop/detail_search.msp?class=&n=&id=657

 番外.生物系研究者向けの「実験医学」って雑誌で去年の10月ぐらいに3~4ページぐらいの「生物兵器とバイオテロ」みたいな記事があったものの,なんだか参考文献に「田中宇」の文字が・・・・・
 頭抱えた.

軍事板,2003/02/15
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 実際に使用された化学兵器,生物兵器で,効果が最も大きかったものを教えてください.

 【回答】
 マスタードガスあるいはイペリット,黄十字などと呼ばれる系統のガス.
 致死性は低いが,重質で滞留性能がよく気象の影響を受けにくく,
 浸透性が高いため防御も困難で,苦痛が激しいびらん剤で精神的効果も大きい.

 WW1中の第三次イープル戦でドイツ軍が使用開始し,両軍が多用した.
 西部戦線における英軍の毒ガス損害のうち,9割近くはマスタードガス被害だという.

 WW1後も実用性の高さから各国の主力化学兵器となり,
英国がロシア内戦で,
スペインがモロッコ植民地で,
イタリアが第二次エチオピア戦争で,
日本が日中戦争で,
エジプトがイエメン侵攻で,
イラクがイライラ戦争などで
と実戦例も多い.
 米国もWW2で使用を検討しており,イタリア戦線では搭載輸送船が爆撃されて大惨事となった.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 NBC関連で,事態が起こった際の軍や警察なんかの対処法を,できるだけ具体的に扱った本ってありませんかね?
 この手の本って大体が,個人がどう対処するかっていう内容で,行政がこういうマニュアルに基づいて,こういう風に動くという物が見あたらない.

 【回答】
『必携-生物化学テロ対処ハンドブック』(生物化学テロ災害対処研究会)
生物化学兵器早わかりQ&A集 米国テンペスト社及び米国テンペスト社著全部
『医療現場の安全管理とリスクマネジメント』
『感染対策実践マニュアル すぐに役立つ!医療安全管理・運営のポイント』(順天堂大学医学部附属順天堂医院医療安全推進部編)

 主軸兵器の医療から手繰っていくといいよ.
 撃っても無駄戦略をとった西ドイツ関連.
 あとソ連行政は,統治者の実行に関しては,「思わず憧れちゃうッ」くらい強引=目的のために合理的.
 それと西側の対策との比較に,主原則の塔が見えてくると思うよ.

 CDCならこういうのがある.
 治安よりも公衆衛生の視点だけどな.
Public Health Preparedness and Response to Chemical and Radiological Incidents: Functions, Practices, and Areas for Future Work
http://www.rand.org/pubs/technical_reports/TR719/

 『極秘捜査』(麻生幾)なんかどうだろう.
 オウム事件で警察や自衛隊がどう動いたかのルポ.
 「極秘捜査」は化学戦資料としてもう少し重視されてもいいと思う.
 作者が週刊誌ライターなので,月並みなドキュメントに思われてるフシがあるけど,オウム事件全般を扱った資料としては,非常に読みやすいし超一級だと思う.
 警察・自衛隊・オウムそれぞれの視点から,サリン事件を満遍なく扱った資料ってあまりないんだよな.

軍事板,2009/10/18(日)~10/19(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車でNBC対応のやつって多いですよね.
 フィルターとかで空気を濾過するというのはなんとなく分かるんですが,炭菌やマスタードガスやサリンや放射性物質が,なぜ一つのフィルターで濾過できるんでしょうか?

 【回答】
 フィルターは濾過能力の違う物が,何層(または何段階)にもなっているから.

 炭疽菌などの細菌はもとより,放射性物質も放射能を帯びた塵であり,それらは極小とは言え粒なので,その粒よりも小さな孔の開いたフィルターであれば除去は比較的簡単.

 また,神経剤を含めた毒ガス類は大抵エアゾルで体内に入ってくる.
 その為,フィルターでも戦闘室内の吸気の毒ガスは除去可能.
 濡れた布類で,火事場での毒ガス類の多くが防げるのと同じ理屈.
 しかしV剤とかでは残留性が高いものも多いので,室外の機材がべったり汚染されてる可能性は高い.

軍事板
青文字:加筆改修部分

▼ 以下は機密にも該当しかねないため,歯切れが悪くなってしまいますが,簡単に気が付く点を.

 以下の点で異議があります.詳しくは下記の通りです.

> 放射性物質も放射能を帯びた塵であり,それらは極小とは言え粒なので,その粒よりも小さな孔の開いたフィルターであれば除去は比較的簡単.

 何もしないより,一般市民が購入できる範囲では花粉用の高性能マスク,軍事用(もしくは専門特殊用途)では全面マスクやNBC対応フィルターでろ過された空気を吸引する方が良いことは論を待たないが,放射性物質(放射能)はそれほど甘くはなく,知れば知るほど対処は困難である.

 そのため,放射性物質の性状をよく知っている人間なら,合理的に可能な限りの努力はするが「除去は比較的簡単」とは間違っても言わない.
 ただ,一般市民にとっては出来る限りの努力として,何もしないより「水に濡らしたタオル・ハンカチ」を口に当てるだけでも,たとえ僅かといえども効果がある(特に放射性ヨウ素に対する効果は高い)ため,最悪の場合は考慮されたい.

 空気中の放射性物質の除去においては,主に以下の2つの対応が用いられる.

1.HEPAフィルタ (High Efficiency Particulate Air Filter)により除去する方法

 HEPAフィルタについては
http://ja.wikipedia.org/wiki/HEPA
を参照願いたい.
 性能はJIS Z 8122 によって,「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち,かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ」とされており,「ある程度以上の粒径」を持った放射性物質の除去に有効な手法である.
 その一例を以下に挙げる.

----
「原子力施設排気フィルタ」
原子力施設では,換気後の空気は気体廃棄物として排気設備から排出する際に,排気中の放射性微粒子を除去するためにHEPAフィルタが使用されている.
----
(以上,出典"http://ja.wikipedia.org/wiki/HEPA".評価コメントは筆者文責.)

 ただし,注意が必要なのは上記のように『「ある程度以上の粒径」を持った放射性物質の除去に有効』ということであり,放射性降下物(フォールアウト・いわゆる黒い雨)などの粒子性物質には効果があるが,気体(放射性希ガスや昇華した放射性ヨウ素など)など「ある程度以下の粒径」しか持たない(もしくは粒子状ではない)ものに対しては,ほとんど効果を期待できなくなることである.
 もちろん何も防護しないより,事後の非常に対応が困難となる体内取り込みによる被曝(以下,内部被曝)を避けるために「ある程度以上の粒径」の放射性物質だけでも除去できた方が良いのは言うまでもない.
 そのため,NBC対応としてHEPAフィルタが用いられていることは容易に想像できるが,上記のように万能ではないことに注意が必要である.

2.気体(放射性希ガスや昇華した放射性ヨウ素など)を除去する方法

 原子力発電所等の原子力施設で放射性物質が放出される最悪の事故を考慮した場合,上記の通り「ある程度以上の粒径」を持った放射性物質の除去には,HEPAフィルタによるろ過による除去を期待できる(そのための非常用設備が存在する)ため,気体(放射性希ガスや昇華した放射性ヨウ素など)による被曝を主に考慮することになる.
 ちなみに原子力発電所等の原子力施設の事故評価では,これら気体(放射性希ガスや昇華した放射性ヨウ素など)の放出量が,被曝線量評価に致命的な影響を与える結果となっている.

 以上はNBC対応フィルターでろ過した場合でも全く同じ事が言える.
 これらに対しては,主に以下の2つの対応方法がある.

2.(a) 活性炭(冷蔵庫の脱臭剤であるキムコと基本的に同じ物)で保持する.

 HEPAフィルタより活性炭の方が微少な穴が開いており,そこでの吸着(正確にはトラップであり一時的なもの)を期待できるため,活性炭の層を通すことにより,活性炭に上記の気体(放射性希ガスや昇華した放射性ヨウ素など)をある時間『保持』させて,そのまま素通りさせないことが可能である.
 しかし,あくまでも時間制限がある「保持」であり,永久的な「除去」ではない点に注意が必要であり,保持の目的は「その間に何とか持ちこたえる(かつ,その間に放射能の減衰を待つ)」ことである.
 ちなみに原子力発電所の場合,大きな活性炭の除去層を何棟も構築し,1週間ほど保持(ただし,対象の気体により値は大きく異なる)し,その間に当該放射性物質の放射能の減衰を図っている例がある.
 このように当該放射性物質の大幅な減衰には巨大な施設が必要となるため,NBC対応フィルターの場合,その大きさ(容量)にもよるが事実上
「ある程度の時間内だけでも何とか持ちこたえる(その間に大きく減衰する半減期の短い放射性物質であれば幸運)」
のが限界である.そのため,仮にNBC対応フィルターに活性炭が含まれていても万能ではなく,ぶっちゃけタバコのフィルター程度の「無いよりはマシ」な程度のこともあり,使い方を誤れば全く効果がないことも十二分に考えなければならない.

2.(b) 放射性ヨウ素だけでも除去する.

 放射性希ガスの場合,元が希ガスで化学的に不活性なため,化学的に除去するのはほぼ不可能であり,上記 2.(a) のように活性炭により保持させる以外,事実上現実的な方法はない(現在一部研究中ではある).
 一方,ヨウ素の場合,昇華した物が中心であり,化学形にもよるが何らかの方法で化学的に吸着・除去させることが不可能ではない.一方,気体状に放出される放射性物質では放射性希ガス以外では,核分裂で生じる放射性ヨウ素の量が多く,ヨウ素の特性
(甲状腺に集中して蓄積・甲状腺ガン・様々な障害の原因となる)
から,放射性ヨウ素だけでも除去することには放射線防護上大きな意味がある.
 そのため,様々な方法でヨウ素を除去する方法(ただし高価)が開発されており,高価ではあるがNBC対応フィルターに適用されている可能性がある.

 なお,原子力発電所等の事故で想定されていることであるが,あらかじめヨウ素剤を服用しておくことでこれ以上ヨウ素を受け付けないようにしておけば,放射性ヨウ素の取り込みによる内部被曝を最小限に抑えることが出来る.
<そのため,原子力発電所等周辺自治体ではヨウ素剤の備蓄が行われているが,安易なヨウ素剤服用は健康被害
(投与厳禁の禁忌症状もあり,健康な人でも摂取過多の場合,ヨウ素による障害を起こすことがある.)
も起こしかねず,かつ効力を発揮する時間も限られる
(重要!また効き始めるまでに,ある程度の時間がかかるのにも注意が必要.)
ため,投与・服薬には医師による慎重な判断・指示厳守が必要である.

 以上より,合理的な対応時間があれば,NBC対応フィルター+ヨウ素服用との手段を用いるのが賢明である.

 もっとも上記1.と2.の方法を用いても,放射性物質による被曝を完全に防ぐことは出来ない.
 よって,当該の場合,NBC対応フィルターを用いるのは必須であるが,過剰な被曝を防ぐために,人員個々に個人被曝線量計を装着し,被曝管理を厳密に行い,当該区域退去後はホール・ボディ・カウンター等により,放射性物質の体内取り込みの有無(その量)を把握するのは必須と考える.

 以上,ご参考まで.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 鉄人28号に半径600mを廃墟にする廃墟弾という兵器が出てくるのですが,実在する兵器でこれに近い威力の兵器にはどんな物がありますか?
 本編描写だと,都心部の密集した民家やビル群がほぼ全壊(半壊状態もまばらに見られる),銀座の高層ビル群が半壊or全壊するぐらいです.

 【回答】
 半径600mは通常兵器では不可能に近い.
 MOABですらお話にならない.

 ありえるとすれば核兵器.
 「アレ」の元ネタは効果が勘違いされていた中性子爆弾だからな.
 んで,そういった広範囲を一瞬で破壊できる兵器となったら,核兵器しかないだろう.
 デイビー・クロケットのような限定核兵器とかポケット原爆辺りがそれに近いんじゃないかねぇ.
「wikipedia」:デイビー・クロケット
「wikipedia」:スーツケース型戦術核

 通常兵器でそれに近い破壊力のある爆弾となると,「燃料気化爆弾」くらいしか思いつかんなぁ.
 もっとも燃料気化爆弾でも,半径600mなんていう広範囲を瞬時に完膚なきまでに破壊できるかというと怪しいが.
 燃料気化爆弾の場合,破壊力の元になっているのが破片や熱などでなくて爆風になるから,効果範囲内の「人間や装甲車程度」が相手ならともかく,ある程度堅牢に作られているコンクリート建造物,それも複数を完全破壊できるかとなると,しんどいだろうな.

 他の可能性としては,ハリファックス大爆発のようなものが考えられないこともない.
 これの
被害は2km四方に及んだ.

 しかしこれは条件が特殊すぎる.
 爆発の原因となった爆発物の種類にしても,下瀬火薬の元になったピクリン酸からTNTまで色々だったし,確か爆発物の量も2000トンくらいあったはずだ.
 また,そんな通常兵器をわざわざ作るとすると,デメリットがメリットを軽く上回る.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 以前,「鉄人28号」の質問が出ていて,「廃墟弾は戦術核と同程度の威力」と考察されていたと思います.
 それで同じ劇場版に,鉄人が自身よりも装甲の厚いサターンというロボットを,一撃で破壊するシーンがあるのですが,戦術核に耐える強度の装甲を一撃で破壊するには,どれぐらいのパワーとエネルギーが必要なのでしょうか?

 【回答】
 核兵器というのは一瞬で広範囲を破壊する兵器であり,装甲に穴を穿つには向いてない.
 直撃などでない限り,爆風でひっくり返ることはあっても,厚い装甲に穴は開かない.
(装甲の薄い部分なら衝撃波でひしゃげるかも?)
 穴を穿つには,一点に力を集中した戦車砲弾の方が向いている.

 なお,核兵器の直撃の場合は,それに耐えられる装甲が存在しないため,前提条件が成立しない.
 爆発直後の火球は「数百万度」にもなるから,鉄すら蒸発するほどの高温になるし,鉄以外の非鉄金属であっても無事ではすまない.
 炭素素材であってもそこまでの高温に曝されれば変形,変質は免れない.
 フィクションであっても,核兵器の直撃に耐えるロボットはほとんどない.
 あっても何らかのバリアーを張っていたり.

 鉄人に関しても,廃墟弾は戦術核並の被害を周囲にもたらす,というだけで,戦術核の直撃と同等の威力はないだろう.
 廃墟弾が不思議兵器すぎて考察しにくい――人工物だけ壊して生き物無事,とか魔法かと――が,それでも強引に考えるならMOAB以上戦術核以下ってとこか?

 まあ,砲弾よりも明らかに遅い鉄人のパンチが,ものすごいパワーを秘めているのはフィクションだからこそ,ではあるが.


106 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2008/11/20(木) 23:53:14 ID:???

 人サイズのナマモノのくせに,バリア張るでもなく素で,核の直撃に耐えるテッカマンはHENTAI .


軍事板
青文字:加筆改修部分


◆◆化学兵器


(画像掲示板より引用)


 【質問】
 化学兵器の定義は?

 【回答】
 化学兵器禁止条約 ChemicalWeaponsConvention ;CWCによれば,以下の如し.

 第二条定義及び基準

1 この条約の適用上,「化学兵器」とは,次の物を合わせたもの又は次の物を個別にいう.

 (a) 毒性化学物質及びその前駆物質.
 ただし,この条約によって禁止されていない目的のためのものであり,かつ,種類及び量が当該目的に適合する場合を除く.
 (b) 弾薬類及び装置であって,その使用の結果放出されることとなる(a)に規定する毒性化学物質の毒性によって,死その他の害を引き起こすように特別に設計されたもの
 (c) (b)に規定する弾薬類及び装置の使用に直接関連して使用するように特別に設計された装置

2 「毒性化学物質」とは,生命活動に対する化学作用により,人又は動物に対し,死,一時的に機能を著しく害する状態又は恒久的な害を引き起こし得る化学物質(原料及び製法のいかんを問わず,また,施設内,弾薬内その他のいかなる場所において生産されるかを問わない.)をいう.
(この条約の実施上,検証措置の実施のために特定された毒性化学物質は,化学物質に関する附属書の表に掲げる.)

3 「前駆物質」とは,毒性化学物質の生産(製法のいかんを問わない.)のいずれかの段階で関与する化学反応体をいうものとし,二成分又は多成分の化学系の必須成分を含む.
(この条約の実施上,検証措置の実施のために特定された前駆物質は,化学物質に関する附属書の表に掲げる.)

4 「二成分又は多成分の化学系の必須成分」(以下「必須成分」という.)とは,最終生成物の毒性を決定する上で最も重要な役割を果たし,かつ,二成分又は多成分の化学系の中で他の化学物質と速やかに反応する前駆物質をいう.

5 「老朽化した化学兵器」とは,次のものをいう.
 (a) 千九百二十五年より前に生産された化学兵器
 (b) 千九百二十五年から千九百四十六年までの間に生産された化学兵器であって,化学兵器として使用することができなくなるまでに劣化したもの

6 「遺棄化学兵器」とは,千九百二十五年一月一日以降にいずれかの国が他の国の領域内に当該他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器(老朽化した化学兵器を含む.)をいう.

7 「暴動鎮圧剤」とは,化学物質に関する附属書の表に掲げていない化学物質であって,短時間で消失するような人間の感覚に対する刺激又は行動を困難にする身体への効果を速やかに引き起こすものをいう.

8 「化学兵器生産施設」とは,

 (a) 千九百四十六年一月一日以降のいずれかの時に,次の(i)に該当するものとして又は次の(ii)のために設計され,建造され又は使用された設備及びこれを収容する建物をいう.

 ((i)(ii)はPLFファイル故障)

  (iii) 検証附属書第四部(A)4の規定に従い,他の国が所有し及び占有し,かつ,他の国の管轄又は管理の下にある場所に存在する化学兵器であって,自国の領域内にあるものを報告する.
  (iv) 千九百四十六年一月一日以降自国が直接又は間接に化学兵器を移譲したか否か又は受領したか
否かを申告し,及び検証附属書第四部(A)5の規定に従って化学兵器の移譲又は受領について明示する.
  (v) 検証附属書第四部(A)6の規定に従い,自国が所有し若しくは占有する化学兵器又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器の廃棄のための全般的な計画を提出する.
 (b)老朽化した化学兵器及び遺棄化学兵器に関し,
  (i) 自国の領域内に老朽化した化学兵器を有するか否かを申告し,及び検証附属書第四部(B)3の規定に従ってすべての入手可能な情報を提供する.
  (ii) 自国の領域内に遺棄化学兵器が存在するか否かを申告し,及び検証附属書第四部(B)8の規定に従ってすべての入手可能な情報を提供する.
  (iii) 他の国の領域内に化学兵器を遺棄したか否かを申告し,及び検証附属書第四部(B)10の規定に従ってすべての入手可能な情報を提供する.
 (c) 化学兵器生産施設に関し,
  (i) 千九百四十六年一月一日以降のいずれかの時に,自国が化学兵器生産施設を所有し若しくは占有するか否か若しくは所有し若しくは占有していたか否か又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に化学兵器生産施設が存在するか否か若しくは存在していたか否かを申告する.
  (ii) 検証附属書第五部1の規定に従い,千九百四十六年一月一日以降のいずれかの時に,自国が所有し若しくは占有し若しくは所有していた若しくは占有していた化学兵器生産施設又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在し若しくは存在していた化学兵器生産施設を明示する.
 ただし,(iii)に規定する化学兵器生産施設を除く.
  (iii) 検証附属書第五部2の規定に従い,千九百四十六年一月一日以降のいずれかの時に,他の国が所有し及び占有し又は所有していた及び占有していた化学兵器生産施設であって,他の国の管轄又は管理の下にある場所に存在し又は存在していたもの(自国の領域内にあるものに限る.)を報告する.
  (iv) 千九百四十六年一月一日以降自国が直接又は間接に化学兵器の生産のための設備を移譲したか否か又は受領したか否かを申告し,及び検証附属書第五部の3から5までの規定に従って当該設備の移譲又は受領について明示する.
  (v) 検証附属書第五部6の規定に従い,自国が所有し若しくは占有する化学兵器生産施設又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器生産施設の廃棄のための全般的な計画を提出する.
  (vi) 検証附属書第五部1(i)の規定に従い,自国が所有し若しくは占有する化学兵器生産施設又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器生産施設の閉鎖のためにとるべき措置を明示する.
  (vii) 検証附属書第五部7の規定に従い,自国が所有し若しくは占有する化学兵器生産施設又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器生産施設を一時的に化学兵器の廃棄施設に転換する場合には,そのための全般的な計画を提出する.
 (d) 他の施設に関し,自国が所有し若しくは占有する施設又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する施設であって,千九百四十六年一月一日以降主に化学兵器の開発のために設計され,建設され又は使用されたものの正確な所在地並びに活動の性質及び全般的な範囲を明示する.
 この申告には,特に,実験施設及び試験評価場を含める.
 (e) 暴動鎮圧剤に関し,暴動の鎮圧のために保有する化学物質の化学名,構造式及びケミカル・アブストラクツ・サービス(以下「CAS」という.)登録番号が付されている場合には当該番号を明示する.
 この申告は,その内容に変更が生じた後三十日以内に改定する.

2 この条の規定及び検証附属書第四部の関連規定は,千九百七十七年一月一日前に締約国の領域内に埋められた化学兵器であっ,て引き続き埋められたままであるもの,又は千九百八十五年一月一日前に海洋に投棄された化学兵器については,当該締約国の裁量により適用しないことができる.

 【質問】
 戦争で毒ガスを使っちゃいけないっていうルールがあるって聞いたんですが,そのルールというのは具体的には何と言う名前のルールでしょうか?

 【回答】
 Wikipediaでいいから,毒ガスの項目を読んで,関連項目もチェックしてから質問してくれ.

 1899年締結,1907年改定のハーグ陸戦条約の第2条の禁止項目のひとつに,
「毒,または毒を施した兵器の使用」
が掲げられており,これが長らく毒ガス使用禁止の根拠になっていた.

 それでも第1次世界大戦で毒ガスが使用されたことに鑑み,1925年に
「窒息性ガス,毒性ガスまたはこれらに類するガスおよび細菌学的手段の,戦争における使用の禁止に関する議定書」(通称:ジュネーブ議定書)
が採択されている.

 それでも研究,開発,保有自体を禁止されたわけではなく,使用例は後を絶たなかった.
 ベトナム戦争では毒ガスは使われていないものの,枯れ葉剤でベトナム国土は大被害を受けているなどもあり,毒性化学物質全般を含めた化学兵器という概念で,1992年に
「化学兵器の開発,生産,貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」
(通称:化学兵器禁止条約,略称CWC)
が締結されるに至っている.

軍事板,2010/01/24(日)
青文字:加筆改修部分

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 CWCとは?

 【回答】
 高井晋〔防衛庁防衛研究所第2研究室長〕の解説では,以下の如し.

 化学兵器の開発・生産・貯蔵・使用を全面的に禁じた条約.1993年署名.
 1990年の湾岸戦争を契機に,米ブッシュ大統領主導で早期妥結した.
 CWCは,産業施設に対する査察や,違反疑惑に対する強制査察などの特徴を持つ.
 2000年現在,135カ国が加盟.

( from 「疫病最終戦争」,ビジネス社,2001/12/20,p., 抜粋要約)


 【質問】
 毒性は無いが,兵士を無気力にさせるガスは国際法には触れませんか?

 【回答】
 化学兵器禁止条約における化学兵器の定義で,「毒性化学物質」を
「生命活動に対する化学作用により,人または動物に対し,死,一時的に機能を著しく害する状態,または恒久的な害を引き起こしうる化学物質」
とあるが,
「兵士を無気力にさせる」
がどの程度かによる.
 一時的に気力を削いで撤退に追い込む程度ならOKだろうけど,丸っきり一歩も動かなくなったり,恒久的に鬱状態に追い込むようなのはNGかも.

 ちなみに,その手の「相手を傷つけずに征圧する兵器」ってのは,「非致死性兵器」として暴徒の鎮圧,あるいは市街地において,市民と区別しづらいゲリラを捕縛する目的などで色々研究されている.
 例えば定番の催涙ガスや類似のガス兵器(と言うかまさに「毒性はないが兵器を無気力にさせる(と言うか士気を削ぐ)兵器だな」),あるいはトリモチみたいな粘着液や,逆にツルツル滑らせる潤滑液で,相手の移動を妨げる兵器,ゴム弾やスタンガンのように相手に衝撃を与えて動きを止めることに主眼を置いた兵器,しばらく前にネタになったのでは,敵軍の兵士をホモにして部隊としての統制を失わせる兵器,なんてのも(笑).

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 化学兵器の内,どこからのものが「毒ガス」で,どこまでのものがそうでないのか?

 【回答】
 毒ガスの定義自体が曖昧なのですが,ガスそのものに致死性はないものは,化学兵器ではあるが,ジュネーブ条約によって規制される毒ガスにはあたらない,というのが現在につづく見方ではないかと思います.
http://www.tcp-ip.or.jp/~e-ogawa/ISHIMOTO.HTM

 なお,毒ガスをプロは化学剤っていいますね.使用前は殆どが液体ですので.

(JN,戦車屋他 in 軍事板)


 【質問】
 一般市民は,化学兵器にどう対処したらいいのか?

 【回答】
 スイス政府編「民間防衛」(原書房,1995/3/12)によれば,以下の通り.

 1. ガス・マスクを常に手元に置け.

 2. 警戒警報発令と共に:
a) ガスマスクをつけよ.
b) 隣人にも知らせよ.
c) 避難所に入れ.
d) 民間防災組織の指示に従え.
e) 食料品を密閉した部屋に入れよ.
f) 敵の攻撃開始の後は,果物や生野菜を食べるな.
 化学物質に触れた物体は汚染されているから,素手で触れてはならない.

 食物は,空気が入らないよう包装する.
 プラスティックの覆い〔サランラップ〕を使え.化学物質に触れた食品は汚染されている.

 扉や窓を閉めよ.危険が去ったという発表があるまでは,ガスマスクを外すな.
 窓には目張りをする.

(p.102-103)

 日本の場合,頼りになる避難所や民間防災組織を見つけるのが大変そうだが.

 また,Angelo Acquista〔NY市危機管理局医療ディレクター〕によれば,
・できるだけ迅速に対処する
・地下に降りたり,横になってはいけない
・救助活動を試みてはいけない
・ガスマスクは熟練者以外お勧めできない
という.
 以下引用.

 サリンやソマン,タブン,VXなどの神経剤は,人間の神経系統を攻撃する人工の猛毒で,多くの経路から体内に侵入する.
 鼻や口からだけでなく,濃度が高ければ目や皮膚からも吸収される.
 致死率は極めて高く,高濃度のガスを1~2回吸い込んだだけでたちまち意識を失い,呼吸停止・麻痺・痙攣に襲われ,数分で死に至る.
 例えば,サリンは急激に症状が始まるのが特徴で,液状の場合は皮膚が触れただけでも死亡する.

 強力な殺傷力を持つ神経剤を入手できるのは軍隊だけだが,市販の殺虫剤の中には精製次第で兵器レベルに近付ける事が可能なものがもあり,サリン,ソマン,タブンの合成には専門知識も必要ない.

 神経剤を使ったテロに遭った場合は,いかに迅速な対処ができるかが生死を分けることになる.
 一般に神経剤は無味無臭なので,自分や周囲の人々の様子に注意する.
 空中で撒布された場合は,鳥や昆虫の屍骸が降ってくることもある.

 被曝した場合,まずすべきなのは,鼻と口を布で覆って,できるだけ現場を離れること.
 神経剤は空気よりも重いので,地下に降りたり,床や地面に横になってはいけない.
 また,残酷なようだが,倒れている人を助けようとしないことだ.一般人が救助活動を試みても,こういった現場で被害者に対してできることはないと,よく認識することだ.人工呼吸についても,行う側に危険がある.
 とにかく,何かしようと思わず,早急に避難する事が重要だ.神経剤の場合は時間が勝負である.

 その後に,専門家からアトロピンおよびプラリドキシム解毒剤の投与を受け,対症療法と呼吸補助も受ける.
 衣服を脱いで二重のビニール袋に密閉し,大量の石鹸と水で身体を洗い流す.
 目からも吸収されるので,片目につき5~10分ぐらい,水を流し込みながら洗う必要がある.

 活性炭フィルター付きガスマスクは防護効果があるが,重さが2kgもあり,携帯に向かないので,あまり実用的ではない.
 また,使用法を間違うと窒息を招くことがあり,医療専門家は熟練者以外のガスマスク使用を勧めていない.

( from SAPIO 2004/1/21-2/4号,p.26-27)

「ガスマスクを着けよ」
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 ダイオキシンって毒性がサリン以上と聞いたけど,これを化学兵器に利用しようとした試みってないんですか?

 【回答】
 ダイオキシンがやばいと言われてるのは,モルモットでの半数致死量が非常に少ないことが実験で確かめられていることが根拠です.
 ただしモルモットは,一部の化学物質にきわめて敏感なことが知られております.
 たとえばハムスターの場合,ダイオキシンの半数致死量はモルモットの8000倍(体重比)とされております.
 人間の場合はそれ以上じゃないかとか考えられているようですね.
 確かめた人はいないと思いますが.

 イタリアのセベソで起きた農薬工場の爆発事故で,キログラム単位のダイオキシンが周囲にばらまかれた,という事例がありますが,ダイオキシン中毒でなくなった方「は」いないそうです.
 無害というわけではないでしょうけど.

 ダイオキシン単体の危険性や人体内での作用については,未だ不明なことが多いのです.

 ちなみに,ベトナム戦争で使用された枯葉剤にはダイオキシンが含まれていますが,これは枯葉剤の製造工程の問題でついでに出来ちゃった副産物でして,ダイオキシンを化学兵器として使用しようとしたものじゃありません.


 【質問】
 マスタードガスってその名の通り,マスタードの匂いがする訳ですが,匂いがしたらもう死亡確実なんですかね?

 【回答】
 死亡確実じゃない.
 そもそもいわゆるマスタードガス,つまりイペリットは致死性がそこまで高くない.

 イペリットは「びらん剤」とよばれる系統のガスで,相手を即死させるよりも,目や呼吸器,皮膚などに炎症を起こさせて戦闘力を奪うのが用途.
 なので,神経ガスなんかと違って,少し匂いがするくらい吸っても死なない.

 高性能の毒ガス検知器が普及するまでは,匂いが重要な毒ガス感知手段だった.

軍事板
青文字:加筆改修部分


◆◆◆歴史

 【質問】
 『神経ガス戦争の世界史』どう? 7000円近いだけのことはある?

アドバンスト杜聖 ◆REH634FRNQ in 軍事板
青文字:加筆改修部分

 【回答】
637 :名無し三等兵 :2009/03/04(水) 21:02:47 ID:???

 いんや.七千円はぼり過ぎ.三千円くらいが妥当だろ.
 基本的な化学兵器史及び化学兵器開発史と,それに絡む政治史,外交史が書かれているだけだから,この辺りのことについてある程度知ってるようなら敢えて読む必要もないと思う.
 内容は入門者レベル.
 関係者や実験についてのエピソードとか,書簡や回顧録の抜粋や引用もちらほらあるが,これだけのために七千円はきつい.
 ただ,地下鉄サリン事件についての記述もあるから,外国の研究者がこの事件をどう見るか,という部分には,個人的に興味深いものがあった.


644 :名無し三等兵 :2009/03/05(木) 03:39:23 ID:???

 俺も買ったけど意見は正反対だなぁ.
 値段はかなりお高いけど,類書と比べたら買っておいて損はないと思う.
 サリン事件の前後に,雨後の筍のように出版された化学兵器本とはレベルが違う.

 特に冷戦期の西側化学兵器開発史が丹念に触れられてるのが良かった.
 アメリカの化学兵器開発のgdgdとか,大抵はしょられる部分なんで参考になった.

 難点は,東側に関しては(研究者が流出した)冷戦末期を除いて冷淡なこと.
 あと,オウム事件は海外の研究者がどう見ているかという点では参考になったが,事件の展開についてかなり認識の粗さが目立つ.
 医学面以外の参考文献が江川紹子というのは何だかなぁ.
 せめて麻生幾と朝日文庫のオウム裁判位読んでくれ.

 まぁ,その辺差っ引いても読む価値はあるかと.
 決して入門向けではないと思うな.
 薬物の特性とか基礎知識がない人間にはきついと思う.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 化学兵器が実戦で初めて使用されたのは?

 【回答】
 紀元前423年のペロポネソス戦争から.
 以下,ソース.

 鉛や銀の精錬に発生するガスが有毒だということは,古くから知られていたのですが,このガスが硫黄を燃やしたときに発生する「亜硫酸ガス」だと突き止められると,早速戦争に使われました.
 化学兵器の最古の記録は,紀元前423年のペロポネソス戦争です.
 スパルタの同盟軍はアテネ軍の要塞に対して,火のついた石炭,硫黄,松ヤニの煙を城壁の亀裂から注ぎ込み,そこを占領することに成功しました.

(井上尚英「生物兵器と化学兵器」,中公新書,抜粋要約)

 「生物化学兵器」(和気朗著,中公新書 ナンバー98 昭和41年3月発行.毒ガスの製造プロセスまで記載されているため重版は多分無理だと思います)でも,この例は「化学兵器の使用例」として扱われており(from 軍事板),そのように見なすことに特に問題はないのではないかと.

 ただし,常石敬一(科学史家)は 「疫病最終戦争」(ビジネス社,2001/12/20)において,「第1次大戦のフランス軍が初」であるとしている(p.21).

 余談ながら,クリミヤ戦争(1853-56)では,イギリス人化学者リヨン・プレイフェアが,カコジル・シアン化物(cacodyl cyanide)を軍艦の砲弾に詰め,ロシア艦船に向けて発射してはどうかとの提案を行った.
 また,トマス・コークラン提督は,セバストーポリ要塞の前面で大量の硫黄を燃やし,ロシア兵を陣地から燻り出す計画を立案した.
 南北戦争(1861-65)では,ニューヨーク在住のジョン・W・ダウティという人物が,塩素を詰めた砲弾作成の手順を陸軍省に提出しているし,ニューヘイブンの住人フォレスト・シェパードがリンカーン大統領に行った提案では,水素塩化物(hydrogen chloride)を使って南軍部隊をバージニア州ピーターズバーグから駆逐する手筈になっていた.

 しかし,これらの提案はいずれも採用されるまでには至らず,実戦での効果を実証する事はできなかった.

(吉田一彦〔第2次大戦情報戦史家〕 from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.48-49)


 【質問】
 神経ガスが初めて実戦で使用されたのは?

 【回答】
 イラン・イラク戦争において,イラク軍がタブンを大規模使用し,イラン軍に多大な打撃を与えたのが初.
 また,クルド人攻撃の際にもイラクはサリンを使用している.

(常石敬一,科学史家, from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.21, 抜粋要約)


 【質問】
 化学兵器が初めてテロで使われたのは?

 【回答】
 1993/2/27のWTC爆破事件では,使用された爆弾にシアン化物が仕込まれていた形跡があった.
 シアン化物は気化しないで燃焼してしまったため,犠牲者が少なくて済んだと報じられている.

 実際に負傷者が出たケースでは,1994年にオウム真理教が起こした松本サリン事件が初.

(吉田一彦〔第2次大戦情報戦史家〕 from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.72, 抜粋要約)


 【質問】
 最近,旧日本軍が不法投棄した毒ガス兵器が大量に見つかってなんたらかんたら」という報道があるじゃないですか.兵器として生産した毒ガスは,終戦から50年以上経った現在でも,人体に多大なる影響が残ってるんですか?
 マスコミ報道が強調しすぎているような気がしないでもないので・・・・

 【回答】
 保存状態がよい化学(C)兵器の効力が無効化することは無いと思った方がよいでしょう.
 化学物質が変化する要因としては,光,水,空気,熱等がありますが,密閉容器に充填された薬剤が砲弾等に搭載された状態で冷暗所に保管されていれば化学変化(分解)が起きにくいかと思います.
 密閉が破れて水に触れる環境にあれば,多くの化学兵器に使われる化学剤は加水分解されやすいため,兵器としての目的に利用された毒性は失われることが多いのですが,分解生成物にもリンやヒ素などが含まれているので,土壌や地下水汚染などを引き起こす可能性があります.
 実際に日本や中国でもつい最近に被害が発生している模様です.ヨーロッパでは,90年以上前の第1次世界大戦時に使用された毒ガスによる被害なんてものもあります.ほとんどはマスタード・ガスですが.
 年月が経っても,かなりの毒性が残っていると考えるべきでしょう.

 中国国内で見つかった大量の化学砲弾の処理作業に,日本からも数名の陸自武器科隊員および化学科隊員が派遣されています.

 この件に関しての報道が胡散臭いのは,日本には法的な責任が無いということを報じないからです.⇒more

 そもそも不法投棄したのは中国側,当時は中華民国だったので,台湾に言うべきことなのですが,北京は台湾に責任を求めることは,台湾政府を認めることに繋がりかねないので,できないのです.
 で,日本にたかってくる訳ですな.

 日本は単に政治的判断で援助しているだけです.

(ドカン・オオカミ ◆s6tJH5.VuA他@マスコミ板・軍事報道を考えるスレッド)


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