c

「兵器別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

◆◆◆◆◆弾薬の種類
<◆◆◆◆弾薬
<◆◆◆小火器 目次
<◆◆個人装備 目次
<◆陸戦兵器 目次
兵器FAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【質問】
 イナート弾とダミー弾の違いが今ひとつピンとこないのですが,シーカーだけは生きてるのがイナート弾で,シーカーも死んでるというかないのがダミー弾という認識でよいのでしょうか?

 【回答】
 シーカーは関係ないよ.

 例えば,外国の軍事博物館でよく売ってる,みやげ物の火薬を抜いた銃弾の類は「イナート弾」と呼ばれる.
 外見がそっくりで,しかし作動しないのがイナート.
 本物の弾薬の代わりに積んだり装填するのがダミー.
 明確に区別されない〜出来ないことも多い.

 重量,重心,空力などを本物に近づけ,キャプティブテスト(搭載のみのテスト)される空対地ミサイルは通常ダミーと呼ばれ,センサー類まで全部搭載されて実際に発射され,命中までするが,信管や炸薬類を抜いたものはイナート弾と呼ばれることが多いが,厳密にそう決まったわけではないし,同じく信管や炸薬を抜き,爆撃競技などに使用されるのはイナートと呼ばれたり,ダミーと呼ばれたりする.

 雰囲気的には,入れたまま(乗せたまま)のものがダミー,ある程度使用されるが起爆しないのがイナートって感じ.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 弾薬の種類に『狭さく弾』なるものがありますが,こりゃ如何なるものですか?

 【回答】
 一般の小銃弾と口径やカートリッジの大きさは同じだが,発射薬量を減らしたり,弾頭が丸くしてある弾.
 主として大口径火砲の照準訓練に用いられる.
 用法は砲身内に狭窄弾を内蔵した縮射装置を装填し,通常の射撃手順でトリガーを引くと弾が出る仕掛け.
 数十m先に設置した小型の的に弾を当て訓練する.
 また小銃や機関銃でも使用する場合もある.

ドカン・オオカミ◆s6tJH5.VuA in 軍事板


 【質問】
 空包ってどういう仕組みなんですか?
 弾は薬莢だけの形なんですか?

 【回答】
 空包っていうのは,実弾を発射せずに,装薬のみを燃焼させるもので,火砲の場合は減量した装薬のみを装填して点火すれば良いのですが,小火器の場合は,火薬ガスによって動作させる必要があるので,空包専用の薬莢を使用し,その上でブランク・アダプターと呼ばれる,動作する為の圧力を保持する為の栓を銃口に取り付けて,空包(ブランク)で銃を動作させるようになっています.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s


 【質問】
 授業で米兵が,薬莢を拾っていた農婦を空包で射殺したという事件(ジラード事件)をやったのですが,空包で人を殺せるのでしょうか?
 ライフルグレネードを撃つときに使うような,木片を飛ばす空包で殺害したのでしょうか?

 【回答】
 ちょいと調べてきましたが,空包といっても,雷管だけの空包と,既成弾から弾頭を抜いて,ワックスで蓋をしただけの手製の空包があるようです.
 前者で人を殺せないかどうかは知りませんが,後者でならありそうなことですね.
 ともかく,空包での死亡は例外的でなく,報告されていたと思います.

system :軍事板,2001/06/15(金)
青文字:加筆改修部分

 イヤなやり方ですが,耳に突っ込んで撃つ,口に突っ込んで撃つ,などすれば,空包で射殺することは可能です.
 確実とは言えませんが.
 頭蓋骨底は比較的薄いので,十分近いところから衝撃波が加われば,たとえ貫通しなくとも,骨折,変形させて脳底動脈を破断することが可能です.
 脳挫傷という余録も得られるでしょう.
 向きを考えると鼻の穴から突っ込むべきですが,やや距離が空きますし,圧力の逃げもありますから,口の中に突っ込んで上に向けるやり方の方が無難と思います.
 また,二次的に気管,肺を破壊して殺すという可能性も残せます.

 類例として,銃口に石詰め,口にくわえたまま引き金引いて自殺したってのを聞いたこともあります.

 ジラード事件は,空砲を詰めた銃の先に,物をねじ込んで発射させたと聞いています.
 本来まともに飛ぶはずが無いのですが,不幸にも命中してしまったらしいです.

軍事板,2001/06/15(金)〜06/16(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 何年か前,銃器雑誌で今後のアサルトライフルはケース(薬莢)レスになるとかで,試作品(メーカーは忘れた)の特集を読んだことがあるが,実用化はしないんでしょうか?

 【回答】
 実用化は既にしている.
 ドイツのG11がそれに当たる.

 ただし,
・弾が高い
・保管が面倒
・湿気に弱い
・薬莢が無いから薬室の加熱が問題
な具合でデメリットが多過ぎて,殆ど普及しなかった.

軍事板


 【質問】
 ケースレス弾とクックオフについて質問させてください.
 ケースレス弾を企画した段階でクックオフ現象が発生すると言う事は予想されていたのでしょうか?
 それとも試作実験段階になって気付いたのでしょうか?
 もし,企画段階からコックオフが予想されていたとしたら,どのように回避するつもりだったのでしょうか?

 【回答】
 ケースレス弾薬のクックオフ(コックオフは意味違う)は予測されており,低感度燃焼薬などで対処されました.
 よく誤解されていますが,G11は実用段階まで開発は終わっており,クックオフ問題も弾薬のパッケージと同様に解決されています.
 まあ,大量生産して実用段階になったらまた問題は起きたかも知れませんが,少なくともプロトタイプでは解決されていました.
 配備されなかったのは,ただただ冷戦終了による需要激減と,東西ドイツ合併に伴う大金欠ゆえ.


 【質問】
 暴徒鎮圧用のゴム弾は本当に死なないのですか?

 【回答】
 ゴム弾でも催涙弾でも当たり所が悪ければ死にます.
 今年(2003年)の話ですが,IDFがパレスティナ自治区における暴徒鎮圧作戦を行った際,ライアット・ガンの弾が,デモ隊に混じって投石していた子供にクリティカル・ヒットして死亡させた事例があります.

(イスラエル国防相 ◆3RWR.afkME)

人の死なないゴム弾拳銃
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 ゴム弾専用銃はありますか?

 【回答】
 現在判明している範囲では,ゴム弾を発射する専用の銃については見つかっていません(イスラエルは兵器開発が盛んだから,存在する可能性はあるとは思いますが).

 で,M-16などの銃口にカップをくっつけて空砲で小銃擲弾のように打ち出すタイプのゴム弾があるようです.
ソースはこちら.
http://www.mindfully.org/Health/2002/Rubber-Bullets-Israeli-Arab25may02.htm

 ソースにでてくるゴム弾はRCC-95とMA/RA 88です.
 前者は個人を狙うもので単発,
 後者は集団に向けて撃つもので,15発のゴム弾を飛び散らせます.

軍事板


 【質問】
 イスラエルのゴム弾は鉛をゴムでコートしたものというのは本当なんでしょうか?
 報道に思想が混ざってくるので,信用していいものかどうか疑問なんですが.

 【回答】
 一般には,金属を射出する低致死性弾種は,bean-bagと呼ばれる散弾銃の弾丸で,しっかり布でくるみ混むことで致死性を抑えています.
www.iejs.com/TechnologyandCrime/Law_Enforcement_Technology/less_than_lethal_weapons.htm

 ライフルから撃ち出す場合はゴム製が普通ですが,イスラエルでは,独自に開発したゴムコーティングした金属の弾を使用し,何十人もの死者が出ているとのことです.
 これは下肢に対して遠距離で使用すべき所を ,上半身に対し,至近距離で使用したためと考えられています.
ttp://politics.msn.com/id/1006194/

ttp://demilitarizethepolice.netfirms.com/rubberBullets.html
にも,イスラエルで使用されたゴムでカバーした金属弾の症例が記述されており,虚偽ではないようです.

 信憑性についてですが,上記の最後のリンクを見るとわかる通り,実際の症例が「Lancet」誌に紹介されているようです.
www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=12044373
 「Lancet」は有名な外科学雑誌で,単に権威があるだけでなく,英米のトップクラス医学雑誌の常で査読も大変厳しいのでも有名です.いい加減な論文は決して通してもらえません.
 まして,このように政治的なからみもあれば,事実関係は十二分にチェックされたはずです.
 また,このような内容であれば,加害した原因物体の写真を論文に掲載するのが常識です.ゴム弾の話でなくとも,しなければ査読は通りにくいでしょう.
 残念ながらLancetは購読していませんが,上記の理由でまず間違いなくゴムでカバーされた金属弾が使用されていると考えます.

 ちなみに,命中すると高圧電流が流れる弾なんてものもあります.

イスラエルで使用されている,暴動鎮圧用の弾丸(琥珀樹脂被帽)
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 催涙ガスを噴出す催涙弾の中身を,毒ガスに入れ替える事はできませんか?
 あと,そのような兵器が今まで無いって事は,やっぱり何かしら欠点があるのでしょうか?

 【回答】
 宣言やら議定書やら国際条約だらけなのに>毒ガス禁止

 技術的に不可能ではないけど,国際的違法行為.

 あと,手持ち式のグレネードランチャーでは所詮大した距離には飛ばないので,自分達が被害受けないように完全防護で使用する必要がある.
 なぜなら風,気温,相手の防護装備などもろもろの要素のせいで効果が不安定だから
 戦場でそんなまだるっこしい運用はしてられんだろう.

 毒ガス弾発射機は,せめて迫撃砲レベルじゃないとな.

 期待通りの働きしたとしても結構,値段がかかる(維持管理の要素が考えから抜け落ちてる人は結構居る)
 安定して効果が予測しやすい銃砲弾,爆弾に比べると,コストパフォーマンスがかなり微妙.
 条約違反という政治的なデメリット無視して,金の問題だけ考えたとしても,な.

 催涙ガスは非殺傷という,銃砲弾爆弾にはない優位があるので,今でもフツーに使われてる.

 ちなみに,殺傷能力のない(少なくともスペック的には)催涙ガスでも,戦場で正規軍が正規軍に対して戦闘で使用するのは,「化学兵器」の扱いになるので国際的違法行為.

軍事板,2009/10/15(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 催涙弾でも当たれば死ぬの?

 【回答】
 催涙弾は初速は確かにそんなに速くないけど,弾頭重量は結構あるんですよ.
 外殻を強化した催涙弾なら,木製のドアを抜くこともあります.
 そんなもの食らったら,あざじゃ済みません.
 近距離でメット無しの頭に当たれば,たいてい死にます.
 1960年代の学生運動では,催涙弾の直撃を受けて死亡した事例もあります.

 機動隊には,催涙弾水平撃ちっていうお家芸もあります/ありました.
 水平撃ちって内部規範的には禁止.
 ターゲットに危険だからってことなんでしょうが,

 この催涙弾水平撃ちって,ターミネーター2でやってましたね.
 背中に当たった人はぶっ倒れてましたが,やはりテキ弾を50メートル以上も飛ばす爆薬ですから,近距離で当たれば死ぬでしょうね.
 信号弾を撃つってのもありましたか.(致死性だけど)

 ゴム製の弾丸を撃ち出す鎮圧銃(H&K MP5のカスタムで,量産されてる)も,5メートル以内の距離では体内に入ってしまうそうです.

軍事板


 【質問】
 催涙弾やゴム弾以外の非致死性弾について教えてください.

 【回答】
 ディスカバリーchでやっていたのの受け売りだけど,粘着剤(それも専用溶液じゃないと取れないやつ)を吹き付けて動きを止めたり,とうがらしエキス入りの水を強力な水鉄砲で吹き付けたり,とかやってた.
 粘着剤はゴキブリホイホイ状態で,おかしかった.
 あんなのが戦場で大量に使われたら,さぞマヌケな光景が繰り広げられることだろう(^^;

 あと建物の中に進入された時には泡を充満させるのが効果的だというのをやっていた.
 通路の天井に届くほどにすれば行動できなくなるし,後かたづけは水で流して終わりだからだそうな.

 最高に笑ったのが室内限定用の,テトラポッドみたいなカタチの風船を部屋に充満させるやつ.
 テスターの写真見たけど,無数の風船に壁に押し付けられて苦しそうだった.(笑)

 散弾銃ではルイジ・フランキのSPAS15って,実弾が赤と緑の2種類あって赤が致死性(スラッグやバックショット),緑が非致死性(ゴム玉や消しゴムを細かくしたような物)なんだって.
 M629で有名なS&Wからも,暴徒鎮圧用の装置(外見が銃とは言えないんです)で激辛の液を霧状に発射する「ペッパーフォッグ」っていうのがあるけど,中世ヨーロッパだったら世界一贅沢な兵器だと思うよ.
 当時は香辛料が同じ重さの金と取り引きされてたからね.(^_^メ)


 イギリスでは失明兵器を作った人がいるそうですね.

 こういう類の非致死性兵器の問題点は,「動きを止めたあとどうするか」だそうです.
 戦意を失わせなければ,粘着剤を溶かしたり風船を割ったあとまたすぐ襲ってくるだろうということで,
 言われてみれば納得.
 ,,,片っ端からスタンガンあてるか?(笑)

 非致死性兵器の話は,江畑謙介の『殺さない兵器』(光文社,1995.6)という本に詳しく書かれてます.
 読んでみては?

パーポー(青文字)他 in 軍事板


 【質問】
 銃の種類か銃弾か,よく分からないんですけど,撃ったあと対象のなかで破裂する銃(銃弾)って,なんていう奴ですか?
 散弾銃はなんか違う気がするのですが.

 【回答】
 複数の回答がありますが,基本的に銃弾と言うものは,十分な残存速度で人体に命中すると,体内の弾道分,体組織を瞬時に拡大します,
 この衝撃はまさに爆発的な威力を持って組織を破壊し,さながら爆発したかのような創傷を形成します.

 また,弾頭に窪みを持つ弾種は,体組織抵抗により弾体が急激に破砕し,キノコ状に変形して体組織を破壊するように設計されています.
 これは弾丸が人体を貫通する事によって,二次的な被害を防ぐ事と,一発の弾丸の持つ運動エネルギーを人体内で消費する事で,ノックダウンパワーと言って打倒威力の向上を狙った形状になっています.
 これらは英国で発案されたダムダム弾を原型とし,軍事用には「非人道的な武器」として使用を禁止されていますが,二次被害の防止を第一とする警察任務においては制限されていません.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ダムダム弾について,これが条約で禁止されるにいたった経緯についてまとめられたサイト,あるいは書籍などありますでしょうか?
 特定の銃弾だけが「非人道的」と認定されるに至っているのはどういうことか,疑問に感じています.

 【回答】
 ダムダム弾でググれば色々出てくるが…wikiでもいいが.

 人体突入後に弾頭が変形し不規則な弾道を描くことで,多くの臓器を傷つけるから,「不必要な苦痛を与える」として軍用としての禁止条約が制定された.

 まずは条文.
http://avalon.law.yale.edu/subject_menus/lawwar.asp

Declaration III - on the Use of Bullets Which Expand or Flatten Easily in the Human Body; July 29, 1899
を参照のこと.

 ダムダム弾の歴史については,ここ
http://www.thegunzone.com/dum-dum.html

 あと,エンフィールド銃についてのページだが,
http://www.diggerhistory.info/pages-weapons/303.htm#.303
も詳しい.

 現行のホローポイントについての参考サイトなら
頑住吉ガンスミスの部屋 「知識の断片1」

 蛇足だが,今ではダムダム弾より凶悪な弾もある.
 それらは警察等の治安組織用で,周囲への被害を防ぐ為に犯罪者の動きを即座に止める必要があるし,貫通弾に因る第三者の被害をとめる為.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ナイフとカナズチでコンコンと十字の切れ目を入れれば,ダムダム弾は作れますか?

 【回答】
 軍用弾丸であるFMJ(総被甲)弾は,弾丸の後部は鉛の弾芯が露出しています.
 その為,ダムダム弾のような切れ込みを入れる加工を行なうと,発砲時にジャケットと弾芯が分離してしまう事があり,銃身内にジャケットが残留してしまい,銃身破裂などの事故に繋がります.

 また,ダムダム弾から発展したソフトポイント/ホローポイント弾など,「弾頭の変形により傷能力を向上させた」弾丸は軍事行動では使用できない事になっています.

 ですので,手作りする事によるリスクを考えると,手加工でのダムダム弾製造は推奨されません.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板


 【質問】
 この画像は「ゴルゴ13」の一シーンなのですが,どうも薬きょうがついたまま飛んでるんじゃないかとおもうのですが,それともこれってこういう特殊な弾丸があるのでしょうか?

 【回答】
 先端がこのように段差のある形で成型された弾丸は実在しますし,劇中でも頻繁に弾丸や銃器などを特注であつらえたりしています.
 実際にこのような弾丸が持つ効果としては,防弾硝子や装甲や硬目標に対する貫徹能力が高くなります.

 構造としては,タングステンなどの弾芯を鉛や銅で包んだ二重構造を取る事が多く,またこのような弾種は防弾装備を無力化すると言うことで,一般人の所持は禁じられています.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板


 【質問】
 FMJ(フルメタルジャケット)は,マンストッピングパワーが足りないと聞きました.どういう事なんでしょうか?
 FMJは,ボディアーマーも通りそうだし,威力ありそうなんですが?

 【回答】
 銃弾は貫通するだけでなく,その周辺の組織を破壊する事で人を倒します.
 その大元は銃弾の運動エネルギーで,まずこれが十分でないと人を倒せません.
 次に,そのエネルギーで組織を破壊する過程ですが,小銃弾ほどの高速弾ですと,銃弾に接触した(人体の)部分が爆発的に膨張し空洞を作るエクスプロージョン効果が(その空洞は直ぐに潰れますがその範囲の組織は破壊されます)比較的効果的に銃弾のエネルギーを組織破壊に転化します.
 しかし,拳銃弾くらいのスピードですと,FMJではあまり空洞も作らずズボッと貫通する事になります.
 運動エネルギー自体も小銃弾に比べると遥かに小さく,そのままではストッピングパワーが足りないという事もありえます.
 そこでホローポイントの様な着弾時弾頭が変形し,そこで極力エネルギーを伝えて破壊を大きくするという工夫がされているわけです.
 ですから「FMJだからストッピングパワーが足りない」と一概に言えるものではありません.

こんなケガになるそうです.
http://home.snafu.de/l.moeller/Zielwirkung/Frog.html
イタタ

 ひとつはっきりさせておかねばならないのは,「ストッピングパワー」は物理的打撃力とはなんの関係もない,ということです.それは射撃した者に与える反動以下でしかあり得ないからです.

「ストッピングパワー」には,
http://www.firearmstactical.com/hwfe.htm
http://home.snafu.de/l.moeller/military_bullet_wound_patterns.html
などの多様な要素があります.
 とはいえ,破壊力の原資は運動エネルギーですから,弾着時,厳密には皮膚到達時の残存運動エネルギーがひとつの目安にはなります.
 あとは弾の設計次第.
 逆に言えば,運動エネルギーが同等でも,弾の設定によっては,上記引用サイトに示された条件の違いで「ストッピングパワー」には大きな差が出ることがあります.

system ◆systemVXQ2他 :軍事板,2001/05/18(金)
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 ストッピング・パワーとは「相手をぶっ飛ばす力」のことですか?

 【回答】
 ストッピングパワーに対する,よくある誤解です.

 ストッピングパワーとは物理的に相手の運動を止めることではありません.
 アメリカの警察,銃器関係の詳しいサイトには,ストッピングパワーを「相手の行動力を奪う」能力であり,「中枢神経の破壊か,中枢神経の能力を失うほどの大出血」が必要であると定義されています.

http://www.firearmstactical.com/hwfe.htm
 のFBIの論文が,もっとも詳しく,的確ですが,要するに 狂気じみた,あるいは確信に満ちた犯罪者に対しては,頭を撃ち抜くか,大量出血させるしか,「ストップ」させる方法はないのです.

 骨格や内臓にダメージ与えても,気弱い人間なら戦意喪失するかも知れませんが,怒り狂った熊ならとりあえず撃った人間をたたき殺してから痛がるでしょう.

 繰り返しになりますが,ストッピングパワーとは即死,もしくは行動不能にする力であり,中枢神経破壊か短時間の大出血とイコールの言葉です.
 物理的運動量とイコールという考えは間違いです.

軍事板,2001/05/18(金)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
>http://news22.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1177109970/l50
>【バージニア工科大銃撃】チョ・スンヒ容疑者 弾頭の先を削り殺傷力を高めた「ホローポイント」と呼ばれる弾丸を購入

 ホローポイントってどんな弾丸?

 【回答】
 鉛頭弾,被甲弾どちらでも同じだけど,弾頭の先端に小さな穴を開けてあって,その奥は少し広い空間が設けてあります.
 生体に着弾すると,多少なりとも水分を含んだ組織がその小穴に突入して,内部の空間で衝撃波が発生.弾頭を勢い良く膨張させます.
 先端の小穴は弾道に悪影響を与える場合もあるので,その場合は蝋で栓をします.
 別に,射手が自分で弾の先端を削るわけじゃないです(そんなことをすると敵に捕まった場合に即決処分されますから)

 命中後拡がることによって,貫通深さは減りますが,トンネルの直径を大きくすることで標的へのダメージを増やす仕掛け.

http://cartridgecollectors.org/intro9mm/
のFig9とか
http://www.npsa.lt/biblioteka/Puli/4.gif
http://cartridgecollectors.org/22box/22sllr.jpg
http://www.hipowersandhandguns.com/P220ammo_files/image010.jpg
とか.

軍事板


 【質問】
 鉛が剥き出しなままの弾丸は,なぜ軍では使われなくなったの?

 【回答】
 メタルジャケットが考案された一番の理由は,銃の発射サイクルが速く,かつ多くの弾丸を連続で発射できるようになったため,銃身が鉛の融点以上に加熱して銃身内で弾が詰まるのを防ぐためです.

 そのため,オート拳銃の弾には基本的にメタル・ジャケット弾が用いられるのに対して,装弾数が6発程度のリボルバー拳銃には今でも鉛剥き出しの弾丸が普通に使われています.

 また,軍用小銃に関しては,鉛のままの弾丸は,体内で破壊されて摘出困難になるので原則としてFMJの使用が義務付けられています
 現在米軍で使用しているグリーン・チップも,対人効果を増すために,ジャケットと弾体の間に空隙があったりします.
 それでも貫通してしまい,あまり効果が無いようですが・・・

 鉛剥き出しのホローポイントも射撃競技および狩猟用のLead弾として普通に販売されています.
 ただし,狩猟用のショットガンも,クレー射撃場の鉛汚染が問題になって,今後は鉛使用は規制される方向にあります.日本国内でも国体関連で問題が表面化しているので,検索すると色々出てきます.
 代用素材であるタングステン系の弾は,高価であるとして揉めているようです

 なお,拳銃弾に関しては,シルバーチップなどの軟質弾頭弾もあります.
 これは警察関係以外には販売および使用が規制されています.アメリカでは州によりますが.


 【質問】
http://www.youtube.com/watch?v=I0lMEwaqBio
について,ハローポイントというのはわかるのですが,ハイドロショックというのはどのような弾頭なのでしょうか?

 【回答】
 ハイドロショック弾は,フェデラル社と海軍特殊部隊シールが開発したホローポイント弾です.
 弾丸中央に,直径約一ミリの短いピンが入っていて,貫通力を高めると同時に,弾丸に入った切り込みによって拡張性が高められています.
 口径10mm,
 軍用の弾丸です.

軍事板


 【質問】
 銀の弾丸は普通の弾丸とはどこか違ってくるの?

 【回答】
 銀製の弾丸では,真鍮無垢のAP弾に次いで高い貫徹効果を持つ事が期待できます.
 ホローポイント形状にした場合,通常のものと同様マッシュルーミング(きのこのような形に変形)します.
 これは金属としての変形しやすさが鉛と真鍮の中間であるため,ソリッドカッパー(銅無垢)とジャケッテドホローポイント(金属被甲変形効果弾)の中間の弾頭効果をもたらすと思われます.
 従って,通常の弾丸よりも強い貫通力と,変形する事による体内へのダメージが,ある程度バランスした威力を持つと考えられます.

 また銀には魔を払う効果があるとされ,ファンタジー世界においては人外の魔物に対しても大きな威力を持つでしょう.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板


 【質問】
 訓練では実弾は使わないで模擬弾だと思うのですが,どういった模擬弾なんですか?
 当たると痛いんでしょうか?

 【回答】
 「模擬弾」なる小火器関連装備品は,自衛隊(少なくとも陸自)には無い.
 操作訓練や調整用の「擬製弾」ってのはあるが,これはいわゆるダミーカートで,発射能力はない.
 戦闘訓練用の空砲は弾頭無しだが,至近距離で発射すればガス圧だけで,週刊誌に穴開ける程度の威力はある.
 よって訓練中も,発射方向や距離に制限がある.
 縮射射撃用の「狭窄弾」は,ゴム製弾頭の実弾.30mでベニヤ板を貫通する程度の威力.

 弾薬ではないが,小火器にレーザー発振器を装着する交戦訓練装置もある.

 ただ,戦闘訓練のほとんどは「武装しての行動」を訓練するものだから,射撃は重視されていない.
 射撃訓練は別の課目だからね.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 サブマシンガン等でゴムやプラスティックの弾頭の模擬弾はどれ位の威力なるのでしょうか?

 【回答】
 サブマシンガンなどに使う模擬弾は他にウッドチップで作った弾丸も在る,どちらかというとこっちを使う.
 火薬のカスがこびりついたりと,これらの模擬弾は使うと銃の寿命を縮めることも在る.
 威力はそこそこ,至近距離ならゴーグルなどは余裕で貫通するので,素人が使うと危険.
 当然のことだが,ボディーアーマーを着て使う.
 余談ではあるが,実際あてられてみると尋常じゃなく痛い,結構面白いが.

名無し上級大将 ◆80fYLf0UTM

 40mmから発射する低致死性弾薬にも木弾,ゴム弾,ゴム散弾,袋弾,刺激性物質入りスポンジなどさまざまなものがありますが,
http://www.bradford.ac.uk/acad/nlw/research_reports/docs/BNLWRPResearchReportNo6_Oct04.pdf
の18ページあたりにあるように,頭頸部,胸部への直撃は重傷から死に至る可能性がある,とされています.

 また,イスラエルのゴム弾による障害を調べたレポート
(Mahajna Aetal. Lancet. 2002 May 25; 359(9320): 1795-800)
では,201例中4割は皮膚を貫通する創傷になっており,2例は眼球を貫通し,脳に入った弾で死亡.
 1例は治療中の事故で死亡したと報告されています.


目次へ

「兵器別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ