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『世界の艦船増刊 日本巡洋艦史』(海人社,2011/12/15)
立ち読みしてきたぞ.
前半はWW2の艦じゃないのでスルー.
まあ,大体はどこかで見たような写真ばかりだ.
未発表写真もある程度あるみたいだが,おおっ!!と思ったのは,香取の司令官室,艦長室かなあ.
クリアーな内部写真が3枚ほど.
豪華だとは聞いていたが,ここまですごいとは.
軍艦とは思えん.
実の所,一番載せて欲しかった写真は,香椎の偽装煙突写真だったのだが,世界の艦船の予告編に載ったのに,この本には載せないなんて!
なんてこったい.
B林堂はどれとどれが未発表写真だと解説してて,プレミア感がわかりやすいんだが,こっちはその辺が上手じゃないなあと思った.
-----------------軍事板,2011/12/17(土)
【質問】
戦闘艦不要,海上戦力は潜水艦と空母,それから補給艦のみでいいのでは?
空母の護衛は潜水艦と艦載機とでします.
これでは護衛力不足でしょうか・・?
【回答】
それで十分だとしている国は聞いたことがない.
空母の個艦防御力はあんまり高くない.
ある程度離れたところからだーっと対艦ミサイル撃たれたら,潜水艦や艦載機じゃ対応できない.
そのため,防空は複数の兵器で重層的に行うのが原則.
米の空母打撃群なんかを参考にすると,
最外周に艦載機によるアウターゾーンを設定して迎撃,
その内側には護衛艦船のエリアディフェンス,
個艦単位で迎撃を試みるポイントディフェンス,
さらに内側にはCIWSとソフトキルを配する.
空母の護衛に主として艦載機を使うとすると,空母そのものを護るために空母の搭載機のかなりの数を割かなくてはいけなくなる.
そうすると,「空母自身を護るために空母がある」と言うよく解らない艦隊になってしまい,他のことが何もできない.
それでは戦力としての意味がなく,何をやっているのかわからん.
▼ また,潜水艦で潜水艦に対抗するのは難しい.▲
海底地形等を利用して待ち伏せるならまた別だが,動的な対象を攻撃してくる敵潜水艦を,潜水艦で護るのは困難.
潜水艦に対しては航空機が圧倒的なアドバンテージを持つ.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
何故,戦闘艦は同じ型を大抵,2隻を建造するのですか?
コスト面なら大量に造った方が1隻辺りは安くなりますよね?
それなのに兄弟艦と言って2隻なのか?疑問です.
なんらかのジンクスみたいなモノが,在るのですか?
【回答】
wikipediaですみませんが,とりあえずの例として.
海上自衛隊艦艇一覧
これを見てもらえれば,はるな型は2隻,こんごう型は4隻,はつゆき型は12隻です.
仰るとおり,同じ設計で大量に造ったほうがコストは下がります.
しかしこれと決めて大量に姉妹艦を抱えると,時代が下ると大量の旧式艦を持つということにもなります.
搭載する兵器や艦の形状などの技術開発,及び想定される戦闘の状況は日進月歩ですから,多少造って,新しく設計をして,また多少造って,という方法も組み合わせなくてはなりません.
同型艦を何隻建造するかは,その時代ごとの艦隊整備計画と,お財布の事情によりますです.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
何故,かつての世界三代海軍国は,現在ではいずれも巡洋艦の建造をやめてしまったのでしょうか?
あと,日本,アメリカ,イギリスが,今後巡洋艦を建造することはありえますか?
【回答】
巡洋艦がなくなったのではなく,駆逐艦が巡洋艦化した.
よって,昔ながらの『巡洋艦』という艦種区分と,現代の艦種区分を一緒くたにすべきではない.
その昔,海軍軍縮条約の時代は備砲と排水量で駆逐艦と巡洋艦の区別がされてたが,それが破棄されてからは明確に区別するものはない.
軽巡並みの多きさの駆逐艦もあるし,現代の巡洋艦の備砲は過去の駆逐艦クラスしかないものもある.
(その分,条約時代にはなかったミサイル兵装が整っているのだが)
●タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦
基準:7,652t〜
(建造時期,装備によって異なる)
満載:9,407 - 9,590t
(建造時期,装備によって異なる)
●こんごう型護衛艦
基準排水量 7,250t
満載排水量 9,485t
wikiから引っ張ったが,こんなもんだろ.
なので,巡洋艦にはあって駆逐艦には無い機能などないし,名称以外では両者の違いは現代では無い.
違いといえば,艦長ポストの階級差くらい.
アメリカなどは,艦長の階級ポストの数を確保するため,巡洋艦とクラス分けしてるだけとも言われている.
つまり,ある程度でかくて,艦隊指揮を取る能力があったりすると,昔の名残として,じゃ巡洋艦にしちゃえとばかり区分けしているような感じで,現代において巡洋艦という艦種そのものにあまり意味はない.
日本は全部,護衛艦という名称なので,そもそも駆逐艦すら持ってない.
旧海軍の区分に従うとするならば,
艦長が大佐(一佐)なのが巡洋艦
艦長が中佐(二佐)なのが駆逐艦
ゆえに,いまのところ海自には巡洋艦もない.
軍事板,2008/08/21(木)〜08/22(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
巡洋戦艦って何?
【回答】
装甲巡洋艦に戦艦並みの攻撃力を持たせた軍艦です.
装甲は巡洋艦そのままなので,防御力が弱いのですが,そこは速度でカバーする算段でした.
1908年に建造された「インヴィンシブル」級がその始祖とされますが,第1次世界大戦での戦いの結果,「やっぱ防御力が弱いとダメだ」ということになり,すたれていきました.
巡洋戦艦「インドミタブル Indomitable」(インヴィンシブル級)
before
after
【質問】
戦艦,巡洋艦,巡洋戦艦の区分がイマイチよくわかりません.
【回答】
戦艦=敵戦艦と殴り合う.それだけを考えた性能.WWUレベルだと最低でも30cm砲以上.速度は旧式艦だと20ノットがやっとだけど新鋭艦では30ノットを超えるものも.
巡洋戦艦=戦艦に準ずる攻撃力と巡洋艦に準ずる機動力.WWUではWWTから存在した,このカテゴリーに忠実な旧世代艦7隻(英3,日4)と,1930年代頃からブームになった,3万t前後でバランスのとれた,しかし戦艦とやり合うにはやや不足な攻防力を備えた新世代艦(仏ダンケルク,独シャルンホルスト,米アラスカなど)がある.
ただし,正式に巡洋戦艦と呼ばれたのは旧世代艦のみ.
他に,例外的に米アイオワも巡洋戦艦の一種と言える.
巡洋艦=戦艦が敵戦艦に備えるため簡単には動けない中,事実上もっとも活動する主力艦.巡洋艦のキモは航洋性で,攻防は二の次.駆逐艦では難儀する外洋をスイスイ行けなきゃ巡洋艦を名乗る資格なし.
軍事板
【質問】
フリゲート艦とコルベート艦って何? 海防艦って何? 戦艦とどうちがうの? 戦艦が古くて一線でつかえなくなると海防艦になるの? 砲艦って何?
巡洋艦・駆逐艦・フリゲート艦の区別がつきません.
海上自衛隊は護衛艦なんて訳分からん名称つかってますよね.
違いを教えて下さい.
(軍事板)
【回答】
中世以来,19世紀末になるまで,戦闘艦の区分としては,一番大きいのを戦列艦,中くらいの艦をフリゲート,
小さい艦をコルベットと称していました.
フリゲートは語源不明ながら,16世紀ごろのフランス語,fregate(最初のeの上にアクサン)
からきているという点は確かなようです.
もともと中世地中海あたりで使われていた小型の船で,帆走とは限らず,漕走のものも含まれていました.
英国の場合は,最初,乗員数で区分され,300名以上を一等艦,50人未満を六等艦としていました.
18世紀以降は砲門数で区分するようになりました.
アンソン海軍卿が定めたのが,100門以上を一等艦,84〜100門が二等艦,64〜84門を三等艦,50〜64門が四等艦,32〜50門が五等艦,
32門未満を六等艦,20門未満を等外艦としていました.
この一等〜四等艦を戦列艦,五等,六等がフリゲイト,等外艦をスループとしています.
フランスの場合も砲門数で等級を分け,76門以上3層砲甲板を有するモノを一等艦とし,以下30門以上1層
砲甲板を有する五等艦と呼び,五等艦以下をフリゲイト,ブリッグなどと言っています.
フリゲイトは,上記区分で,24〜40門程度の1層砲甲板の艦を指します.
更にシップ型,つまり,3本のマストの前の2本に横帆を,最後尾マストに横帆と縦帆を掛けるもので,排水量は
1000t未満.
打撃自体は戦列艦が行いますので,主任務は偵察,監視,情報や命令の伝達,沿岸警備,商船護送,要人急送,海賊,私掠船討伐,つまり,単独行動が可能で,快速力と小回りの効く艦であることが重要です.
コルベットは,フランスが最初に開発した艦で,フリゲイトよりも小型で,平甲板のシップ型で,植民地警備や土着民討伐,砲艦外交用に使用されています.
以下,等級艦に入らない艦船としてスループ,ボムケッチなんてのもあります.
後に蒸気機関,旋回砲が実用化されると,舷側固定砲門は意味が無くなり,艦の性格も変化していきます.
戦列艦は,外洋で敵艦と戦闘し,敵地の沿岸邦題を破壊する任務を持ち,激浪に耐える航洋性と,長大な航続力,大型の大砲と強固な装甲防御力を持つ戦艦に変貌します.
この戦艦のうち,任務,装備は戦艦と同じですが,戦闘場面を自国沿岸に限定したのが,海防艦,あるいは海防戦艦と言う艦になり,耐波性に劣りますが,陸地に接近出来,小型の船体に大口径砲を装備することで安価に数が揃えられると言うことで,中小国が挙って整備しました.
フリゲイトは敵商船と護衛艦を攻撃する通商破壊任務と,その逆で敵の攻撃を防ぐ任務を持ち,航洋性,航続力,高速力を持つ代わりに,攻撃力と防御力の制約を受ける,巡洋艦に進化しました.
巡洋艦と言っても,一等から三等まであり,一等,二等がこれに当たりますね.
コルベットは偵察,命令伝達を主任務とする三等巡洋艦,または,通報艦に進化します.
砲艦はボムケッチの進化型でもあり,小型の海防艦と言っても差し支えないでしょう.
小さな艦に大口径砲を1門程度持ち,浅喫水であるため,河川,浅瀬で行動出来ます.
(眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 世界史板)
(軍事板)
現代では,運用する国が独自に呼称しています.
現在の巡洋艦という艦種類別はWWU辺りまでの軍縮条約などで決定された,
巡洋艦(一等巡/甲巡):20,3cm以内の砲を装備
巡洋艦(二等巡/乙巡):15,5cm以内の砲を装備
という『砲』が基準となっている類別ではありません.
(第一,条約がとっくの昔に破棄された現代では,このような類別は意味を持ちません)
現代の戦闘艦艇は,昔で言う重巡以上の高い攻撃力を持つミサイルを装備しています.
外洋航行性能も高く,結果的に排水量や砲力で類別する事は無意味になりました.
そういった事から現代では,世界的な統一基準は無く,各国の海軍内での相対的な事でおおまかに巡洋艦,駆逐艦,フリゲート,ミサイル艇と類別しています.
アメリカのイージス駆逐艦だろうが日本のイージス護衛艦だろうが,その国が勝手に駆逐艦/護衛艦と呼んでいるだけで,何か明確な基準が有る訳ではありません.
(だからと言って,イージス・システムも無いのにイージス駆逐艦とか呼んでいいと言うことでは有りませんが)
とりあえずアメリカの類別.
簡単に言えば,航洋性が主で戦闘能力が従なのが巡洋艦.
駆逐艦はその逆.正式名称は水雷艇駆逐艦だから水雷艇が出てきそうな海で,それらを追撃退できる程度の武装と航洋性,排水量しか求められていませんでした.
しかし,時代が進むにつれて要求される任務や航洋性が増え,それに伴って排水量も増えていきます.
そしてミサイルの兵装化により,大口径の砲を持つ巡洋艦並み/以上の性能を持つ現代駆逐艦に発展し,それまでの2次大戦型を改装した巡洋艦の立場が無くなった.
その時に思い出したように付けられた呼称が(ミサイル)フリゲート.
ヴァージニアやカルフォルニアなどの原子力推進ミサイル水上戦闘艦の建造当初の艦種類別が,巡洋艦ではなく,ミサイル・フリゲートだったのは,そういう理由から.
(アメリカには帆走外洋フリゲイトの傑作艦,コンスティチューションなどがあるのでそういうイメージだったのだろうか)
その後,ミサイルの兵装化が一般的になり,駆逐艦以上の戦闘能力を持つ艦が巡洋艦と呼ばれるようになった.
現在はフリゲートに類別される艦は,駆逐艦以下の性能を持つ戦闘艦になっている.
航洋性能の向上と,戦闘力を大きく重い砲に頼らない現代艦は,排水量や砲力で類別する事が無意味.
海自が「護衛艦」で呼称統一しているのは,ある意味正しい.
未来だが,Star Fleet Official Manualによると,Star Trekの時代にはえらいことになっているようです(笑).
軍事板
【質問】
軍艦について聞きたいのですが,巡洋艦と駆逐艦とフリゲート艦はどう違うんですかね?
ぶっちゃけほとんど変わりはなく,
巡洋艦:ミサイル山ほどつんでる艦隊の要
駆逐艦:なんにでも使える便利屋
くらいの認識でいいんですかね?
【回答】
巡洋艦:
外洋での作戦能力を持つ中型の軍艦.
逆に言うと,巡洋艦が確立した当時は,巡洋艦以外の軍艦は外洋で「単なる移動」以上の行動に出ることは出来なかった.
駆逐艦に近い小型艦から,殆ど戦艦と言える巡洋戦艦まで幅広い.
駆逐艦:
魚雷を搭載して敵主力艦を襲撃する小型艦.
当初は水雷艇の駆逐を目的として,「水雷艇並みの速力とそれなりの砲力」を求めたが,「それなら魚雷も積めばいいじゃん」と言うことになって,結局別の意味で水雷艇を駆逐することになった.
艦隊随伴の小型快速艦,と言うことで後に色々な役割を与えられて汎用艦になっていく.
フリゲート:
帆船時代は遠隔地への派遣や艦隊の偵察艦として用いられ,後に巡洋艦へと発展して消滅.
その後,駆逐艦より安価な護衛艦に「フリゲート」の名前が用いられることで,名前は復活するけど帆船時代のフリゲートとはあんまり関係は無い.
ちなみに,「フリゲート」で軍艦の種別を表すので,「艦」をつけるのは厳密には誤り.
明確な定義付けが行われたのは,海軍軍縮条約が有効だった頃で,それによれば
重巡洋艦:排水量1万トン未満で主砲が6.1インチ(約15.5センチ)以上8インチ(約20.3センチ)以下のもの
軽巡洋艦:排水量1万トン未満で主砲が6.1インチ以下のもの
駆逐艦:排水量1850トン以下で主砲が5.1インチ以下のもの
その後,条約の延長が行われなくなり失効してからは,各国が自由に呼ぶようになった.
で,現在ではどうかというと,駆逐艦やフリゲートも外洋での作戦能力を持つこと,ミサイルの登場で艦の大小が戦闘能力に直結しなくなってきたことで,「ほとんど変わり無い」といえなくもなくなっていて,各国海軍がそれぞれの基準で,「これは駆逐艦」「これはフリゲート」と名付けているのが現状.
軍事板
青文字:加筆改修部分
したがって同一海軍の中では,フリゲート→駆逐艦→巡洋艦の順で大型になっていくが,その基準は各海軍でまちまちなので,A国の駆逐艦がB国の巡洋艦より大きいみたいな事がおこる.
第2次大戦中あたりだと,ワシントン軍縮条約によって砲のサイズなどが規定されてたので意味があったんだが,今は所有国がどう呼ぼうと勝手状態.
役割についても,もともと
フリゲート(帆船じゃない方)が沿岸防衛や船団護衛用の簡易艦
駆逐艦が艦隊戦用,
巡洋艦が長距離航海用
みたいな性格があったんだが,現代だとみんな同じような形になっちゃってやっぱりどう呼ぼうと勝手状態.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ 【反論】
駆逐艦とフリゲートの違いが,現代では曖昧になっているとよく聞きます.
確かに現代の駆逐艦は,第2次世界大戦当時の巡洋艦並みの満載排水量となっていますし
同じように,第2次世界大戦の駆逐艦並みのフリゲートも存在します.
しかし当方としては,やはり駆逐艦とフリゲートは違いがあると愚考いたします.
それはジェーン海軍年鑑でDDが,フリゲートではなく駆逐艦と分類されている事です.
------------
護衛艦 - Wikipedia
ジェーン海軍年鑑では,全艦が駆逐艦に分類されている.
潜水艦を探知・攻撃する事を主な任務とし,一定の対空・対水上攻撃力も持っている.
------------
海自のDDは対潜水艦戦に特化している一方で,自衛用の対空・対水上攻撃力を持っています.
海外のフリゲートも対空・対水上攻撃・対潜を持っていますが,DDのように対潜に特化されておらず,どちらかと言えば自衛用にも思えます.
海自が対潜作戦に特化した護衛艦を,45隻も持っているからこそ,世界第2位の対潜作戦能力を持つ事ができたのです.
だから当方では,対潜または対空(あるいは双方)に特化しつつも,一定の対艦(または対空)戦闘能力を持つ艦艇を駆逐艦とし,特化されていないとはいえ,一定の対空・対艦・対潜攻撃能力を持つ艦艇をフリゲートとしたいと思います.
ただ,その国が駆逐艦だと言っても実際はフリゲートだったり,フランス海軍のように,艦艇の名称をフリゲートに統一したり,海自のように護衛艦に統一しているケースもあり,確かに駆逐艦とフリゲートの区別が曖昧になっているのも確か.
だから当方としては,駆逐艦の類を「汎用水上戦闘艦」,フリゲートを「水上戦闘艦」,巡洋艦を「大型水上戦闘艦」としたいと思います.
しかし巡洋艦は,最近では作られていないので,当方としては駆逐艦を「大型水上戦闘艦」と変えても問題はないと考えます.
なお,水上戦闘能力は対艦ミサイルだけというのは寂しい限りですが,現代の対艦攻撃は,潜水艦からの雷撃の他に,戦闘攻撃機や固定翼哨戒機による対艦ミサイルによる攻撃が主流です.
それは大日本帝国海軍の真珠湾攻撃や,米海軍のミッドウェー海戦での勝利が,それを証明しています.
バルセロニスタの一人 in mixi,2012年01月31日12:04
青文字:加筆改修部分
国によっては,明快に違ってる場合もありますよ.
英海軍は,エリア・ディフェンス対応の SAM
を積んだ防空艦が駆逐艦で,それがなければフリゲート.
米海軍は駆逐艦だと 2 軸推進で艦長が中佐,巡洋艦だと艦長が大佐,フリゲートだと
1 軸推進.
井上@Kojii.net in mixi,2012年01月31日 18:36
>井上@Kojii.netさん
どうもジェーン海軍年鑑の駆逐艦とフリゲートの区別は,英国海軍のそれを参考にしているのかも知れませんね.
まぁ,海自は満載排水量2000トン以下はフリゲートで,それ以上は駆逐艦という区別をしていますし.
バルセロニスタの一人 in mixi,2012年01月31日 20:12
前日の軍事日記の続きみたいなものですけど.
もう一つ,海自の護衛艦と,西側のフリゲートの違いを見つけた.
それは対潜ミサイルの存在.
海自の護衛艦には垂直発射式アスロック(VLA)が装備されているが,欧州のフリゲートにはそれは装備されておらず,専ら艦載している哨戒ヘリに対潜作戦を依存している.
もちろんドイツ海軍のザクセン級フリゲートのように,Mk.32
3連装短魚雷発射管から発射される,MU90 インパクト短魚雷を搭載したフリゲートもあるが,これは欧州諸国海軍のフリゲートでは珍しいケース.
大半はヘリに依存している.
中にはフランスのラファイエット級フリゲートのように,対潜装備すらないフリゲートも存在する.
これに対してイージス護衛艦で,ジェーン海軍年鑑ではミサイル駆逐艦とされているこんごう級,あたご級はもとより,満載排水量5000トン級のたかなみ級やあきつき級は,VLAを搭載している.
VLAだけでなく,国産の07式垂直発射魚雷投射ロケットも装備している.
これはもう,西側ではフリゲートという艦種とは言えないのではないのかな.
アスロック
あきづき型護衛艦 (2代)
ラファイエット級フリゲート
ザクセン級フリゲート
海自がこれだけ対潜作戦に力を入れているのも,第2次世界大戦中に海上封鎖で国が干上り,それが敗戦の原因にもなったという教訓がある.
第2次世界大戦末期に作成された,日本本土侵攻作戦(ダウンフォール作戦)では,統合参謀本部のリーヒ元帥,キング元帥,陸軍航空隊(後の米空軍)総司令官アーノルド元帥が反対したが,その全員が
「海上封鎖で日本は降伏出来る」
という理由からだった.
ちなみにリーヒは,人道的な面からも原爆投下に反対したが,その時も,海上封鎖で日本は無条件降伏の用意が出来ているから,投下すべきではないと述べている.
ウィリアム・リーヒ
やっぱり駆逐艦(汎用水上戦闘艦)とフリゲート(水上戦闘艦)の違いはあるのだろうね.
■追記1
鉄底海峡さんからの指摘によりますと,欧州各国のフリゲートにもMk.32 3連装短魚雷発射管が搭載されていました.
どうも中距離での対潜作戦では依存しているというのを,欧州のフリゲートは対潜作戦をヘリに依存して,短魚雷を装備していなかったと勘違いしていたいようでした.
大変申し訳ありませんでした.
深くお詫びしたします.
ただ,欧州のフリゲートには統合ソナーシステムやVLSが装備されていなく,中距離での対潜作戦は,ヘリとVLAがある海自の艦艇との違いを示したかっただけでした.
■追記2
今後,水上戦闘艦の艦種論争については,これで終わりにしたいと思います.
要は各国とも,運用の違いがあって種別しているのであって,どれが駆逐艦か,どれがフリゲートかは,一概には統一できないという事情があります.
〔後略〕
バルセロニスタの一人 in mixi,2012年01月31日21:02
青文字:加筆改修部分
ご無沙汰いたしております.
個人的にはジェーンズ年鑑の区分他,国際標準的な区別はある一定の意味を持ちますが,それ以上の意味も同じく無いと考えます.
運用思想上,それらが全ての国で一致するわけでもなく,ある一定の目安とはなっても,それが何処でも通用するかと言えば,明らかにNOですからね.
各国の中でのカテゴライズ事由が分かれば,それはそれで極めて有意義と考えますし,それに伴う運用思想他も分かりますので,そちらの方が遙かに意味のあること,と考えます.
以下は個人の考え方ですが,海自が対潜戦装備偏重と良く批判され,実際その通りで,一時は余剰感もあったところですが,最近の情勢では例え結果的にしろ,それが正解だったようにも思います.
ぶっちゃけて装備整備は比較的容易ですが,それを使いこなす方は遙かに難しく.その難易度から考えても,結果オーライであったとしても,それが幸いだった(勿論,軍備そのものの性格からして無用の長物の方が遙かによいが),と考えます.
どちらかと言えば,定員充足率(人手不足)の方が遙かに気になり,省力化の方が優先順位は高いと考えますが,それはまた別の問題ですので,ここではそれ以上取り上げません.
(何時かお話しできればいいですね.)
それではお休みなさいませ.
へぼ担当 in mixi,2012年02月01日 00:46
>へぼ担当さん
お久しぶりです!
おっしゃる通り,運用の面での違いで駆逐艦かフリゲートと分けていて,各国ともに違いがあるのは確かです.
海自の対潜偏重ですが,当方も正解だったと思います.
実際,バルト海や地中海のように,狭い海域に囲まれておらず,日本海,オホーツク海,太平洋,東シナ海に囲まれている日本では,水上戦闘艦艇による脅威より,潜水艦によるシーレーンや海自艦艇への雷撃が懸念されるのは,戦略上当然の事ですからね.
さらに対艦攻撃は,第2次世界大戦以降は航空攻撃が主流になっていますから,対艦に特化した艦艇が出てこないのは当然でしょう.
バルセロニスタの一人 in mixi,2012年02月01日 09:06
水上戦闘艦をどう区分しどのように呼称するかは,その海軍の戦略環境や用兵構想によるところが大きいんでないかな?
あとおそらくは,バルセロニスタさんの勘違いであると思われる箇所が一つ.
「海自の護衛艦と西側のフリゲートの違いを見つけた.
それは対潜ミサイルの存在.
(中略)
もちろんドイツ海軍のザクセン級フリゲートのように,Mk.32
3連装短魚雷発射管から発射されるMU90 インパクト短魚雷を搭載したフリゲートもあるが,これは欧州諸国海軍のフリゲートでは珍しいケース.
大半はヘリに依存している.」
の部分.
これは
「欧州海軍のフリゲートには(一部例外を除いて),ヘリ以外の対潜装備(含む短魚雷発射管)がない」
もしくは
「欧州海軍のフリゲートには(一部例外を除いて),対潜ミサイルがない」
という2つの意味に取れますが,その2つとも正しくは無いと思います.
いや,正確には後者は,“それだと例外としてあげているMu90の理解が?”と言うものですが.
wikiでざっとイタリア,スペイン,オランダ海軍を検索し,各国のフリゲートを見てみましたが,少なくとも上記の国のフリゲートではタイプ(mod)の違いはあれ,Mk32短魚雷発射管を標準装備として持っております.
確かに対潜ミサイルはありませんが,それをいうのならザクセン級だって対潜ミサイルはありません.
Mu90インパクトはロケット発射機から投射も“可能”ではありますが,mk32は魚雷発射管でありロケット発射機ではありませんし,MU90を装備してるのはドイツだけじゃない.
元々は仏伊の共同開発魚雷であり,仏伊独丁波豪で装備されております.
ちなみに,イタリアが次期主力フリゲイトとして導入するベルガミニ級フリゲート(FREMM計画艦の対戦型,仏伊共同開発)が,ミラス対潜ミサイル(弾頭はMU90短魚雷)を装備するようです.
同じくFREMM計画艦対戦型であるフランスのアキテーヌ級は,対潜ミサイルを持ちませんが.
鉄底海峡 in mixi,2012年02月01日 08:25
▲
【質問】
対艦巨砲主義の大砲の大きさに比べて,大きな船を用意する必要はあったのですか?
回転砲塔じゃなくて小回りのきく,小さめの船に大きな大砲を載せる発想とか無かったのですか?
【回答】
>対艦巨砲主義の大砲の大きさに比べて大きな船を用意する必要はあったのですか
そこはかとなく日本語が怪しい様だが,何処の国のどの戦艦もそんな事はしていない.
あれはあくまで「砲に適合するサイズの艦体」です.
>回転砲塔じゃなくて小回りのきく,小さめの船に大きな大砲を載せる発想とか無かったのですか
大艦巨砲主義の勃興以前,1800年代末にレンデル式砲艦という,船首方向の限定的な射界しか持たない,船体に比してでかい大砲を積んだ艦は,ある程度作られた.
日清戦争を始め,実戦での成績は芳しくなく以降建造がない.
ある意味では,でかい大砲はでかい船体に積まねば駄目だ,という発想を確固たるものにした,
大艦巨砲主義の一つの教材と言えるかも.
軍事板,2007/01/29(月)
青文字:加筆改修部分
【質問】
駆逐艦と巡洋艦の中間の軍艦という艦種は,考案・建造されたことがあるんでしょうか?
【回答】
それは,機能的にってこと?
潜水艦も十分狩れるし,外洋をスイスイ行けるってことなら,イージス艦なんか例に出せばいいかな?
それともサイズ的にってこと?
それなら,艦の名前なんてつけた者勝ちだから.「巡洋駆逐艦」なんてのは聞いたことはないが,艦の大きさは千差万別.
嚮導駆逐艦とか,フランスの通報艦とか,いくらでもある.
艦種が厳密に区別されているのは,何らかの条約で定まっている場合.
その場合では,駆逐艦と巡洋艦の中間にはなり得ない.
条約上の「巡洋艦の条件」を満たしていれば,中間の艦ではなく巡洋艦とみなされる.
そのような条約を批准してなかったり,現代のように艦種に関する条約が無い場合は,艦種はその国が勝手に付けるため,過去の巡洋艦クラスの排水量を持つ駆逐艦も現代では普通にある.
軍事板
青文字:加筆改修部分
556:名無し三等兵:2006/05/16(火)17:45:33ID:Cger0BqD
潜水艦と空母以外での原子力艦を持ったのはアメリカとソビエトだけのようですが,英仏など他の国では持とうという計画もなかったのでしょうか?
【回答】
557:名無し三等兵:2006/05/16(火)17:49:54ID:???
「シャルル・ド・ゴール」を忘れるなんてかんしゃく起こりますね!
560:名無し三等兵:2006/05/16(火)17:52:06ID:???
それ,空母じゃん.
561 :557:2006/05/16(火) 17:52:25 ID:???
∧||∧
( ⌒ ヽ
∪ ノ
∪∪
565:名無し三等兵:2006/05/16(火)17:53:17ID:???
原子力水上戦闘艦の,そもそものコンセプトは,「原子力で行動する空母の護衛艦」です.
原子力により無補給行動が可能で,常に最大速度で行動できる原子力空母と戦闘群を組むには,やはり原子力で無ければ行動に制約が出ると考えられ,結果,通常動力ミサイル巡洋艦を原子力化したCGN(原子力巡洋艦)トラクスタンやCGNベインブリッジが建造されました.
つまり,原子力空母を持たない国は,そもそも原子力水上戦闘艦を持つ必要が無いのです.
旧ソ連のキーロフ級の建造コンセプトですが,これもまた,旧ソ連では原子力空母の計画が存在したという理由があります.
568:名無し三等兵:2006/05/16(火)17:56:15ID:???
フランスの「シャルル・ドゴール」の護衛艦が通常動力なのは,原子力でも乗員を支える水や食料などの制約により,やっぱりCGNでもCGでも大した違いは無い,と判明して後の建造だからです.
つまるところ,原子力水上戦闘艦には莫大なコストに見合う性能が無かったと言えます.
(キーロフ級に関しては,これもまた別の理由で維持されているのですが)
軍事板
ちなみに,米海軍が,燃料価格がいくらになったら艦艇を原子力推進にしても元が取れるかを試算したら,こんな結果になったそうです.
・空母:1バレルあたり$55
・揚陸艦:1バレルあたり$80
・駆逐艦/巡洋艦:1バレルあたり$205
だから,現状だと駆逐艦/巡洋艦を原子力推進化するのは,まだまだ経済的に引き合わないということですね.
とはいえ石油価格の高騰は辛いので,省燃費型のエンジンや船形を開発するとか,特務艦などで代替エンジンを使う研究をするとか,といった話がボチボチ出てきておるようです.
【参考文献】
"Report outlines future fuel options
for USN" from JDW 2006/5/17
井上@Kojii in mixi支隊
【質問】
日本,イギリス,ドイツ,スペイン,イタリアの汎用艦はそれぞれ何を重視していますか?
優先順位も合わせて教えてください.
アメリカは何となく分かるので.
【回答】
「汎用艦」の定義にもよるが,
*日本 対潜重視
*イギリス/ドイツ 文字通り汎用 やや対潜軽視
*スペイン アメリカ海軍の旧式フリゲートを使用 バランス形
*イタリア 対艦重視
というところ.
概括して言えば,以前は対空戦闘が重視されていたが,最近は正面戦争の可能性がなくなったため,沿岸,近海での活動が重視されている.
このため,そのような場で有利な通常潜水艦対策として,対潜戦闘装備が重視されてきている.
例えば,フランスのFREMM級,新造フリゲートは対潜仕様となっているし,イタリア海軍のFREMMも6隻中の最初の4隻は対潜仕様.
英のType-23フリゲートも8隻が対潜能力向上改造中.
ドイツ海軍もF123級フリゲートをフェーズ2改造で対潜機能向上を図っている.
米のDDG-51駆逐艦もSQQ-89(V)15対潜戦闘システムを搭載.
同システムは既存の駆逐艦,巡洋艦にも搭載開始.
もちろん日本は以前から,また現在も対潜戦闘に熱心.
対艦ミサイルの搭載数は増えているが,DDG-51のように搭載しないものもあり,流れは対潜.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
第2次大戦以前の戦艦などには射撃指揮所がありますよね?
そこに直撃弾があったなどで,統一的な射撃が不可能になった時,個々の砲は独自に射撃を出来たのでしょうか?
高角砲や,機銃,極めて近い距離での水平射撃とかならわかりますけど,例えば戦艦の主砲のような大口径砲など,甲板上から見えないような遠くまで飛んで行くような射程の場合,どうしていたのでしょうか?
レーダー射撃も不能に陥った場合などです.
質問文が解かりにくいかも知れませんがお願いします.
【回答】
まず,後部マストや後部艦橋の上に予備の射撃指揮所があり,前檣楼の射撃指揮所が機能を失ったときはそこから指揮できる.
また,主砲にも測距儀が付いており,砲側でも射撃できる.
ただし,一番遠くまで照準できるのは前檣楼の射撃指揮所であり,また,レーダーが付いているのも前檣楼なので,予備や砲側では精度や射程は極端に落ちる.
なので,退避するのが得策.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
現在の戦闘艦の装甲はどの程度なのでしょうか?
第2次大戦のように「自分の攻撃に耐えられる装甲」のようなことは,現在ではどう変わったのでしょうか?
【回答】
現代の戦闘艦艇においては,舷側の装甲板で防御を図るといった直接防御は殆ど考慮されていません.
ただし,最新の艦では主に対艦ミサイルのスプリンター防御を考慮し,重要区画(CIC/弾薬庫/レーダー関連システム機器室等)には耐弾鋼やケブラーを使用して防御力を持たせてあります.
どの程度の性能を有するかは分かりませんが,アーレイ・バーク級駆逐艦ではその防御対策に費やした重量は130〜150トンに達します.
また,ニミッツ級空母はCVN-72エイブラハム・リンカーンから大幅に排水量が増加していますが,この重量増のかなりの部分が重要区画防御に使われた由.
しかし,あくまでも弾片防御が主で,対艦ミサイルから直接防御できるほどではありません.
(名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE)
例外として,ロシア海軍の重原子力巡洋艦キーロフ級は,舷側などに装甲板を貼っています.
しかも,このページ
http://www2.odn.ne.jp/~cae02800/russia/vmf/ship/kirov/kirov1.htm
を読むと,装甲防御の参考にするため,第2次大戦時の戦艦などの資料を引っ張り出したそうな.
「自分の攻撃に耐えられる装甲」かどうかは疑問ですが.
同級が搭載する100mmないし130mm砲の攻撃には耐えられるようですが,同級のメイン兵装の一つである,発射重量7tもの超音速対艦ミサイル「グラニート(SS-N-19)」の攻撃には,いくら何でも耐えられないっしょ.
同級が出現した時,西側は「巡洋戦艦(バトルクルーザー)」と呼んだが,装甲云々の観点から見れば,「マトを得た呼び方」だったんだね.
【質問】
装甲についての質問です.
今の護衛艦とかは60年前と比べてペラペラだそうですが,やはり使われている素材の分,以前の性能と比べると厚くなっているということなのでしょうか?
それとも対艦ミサイルが当たれば終わりだから,その頃よりも薄くなっているのでしょうか?
また,戦闘機,戦車についてもよろしくお願いします.
【回答】
今の護衛艦の祖は駆逐艦だが,駆逐艦の装甲は60年前もペラペラ.
あと,大型の護衛艦も装甲が無いのは,あなたの言うとおり
>対艦ミサイルが当たれば終わりだから
というのもあるが,その他にも,装甲化できない電子兵装(レーダーなど)が現代艦の能力に重要なため.
機関とか守っても電子兵装が失われれば,その護衛艦は無力化されたことになる.
戦闘機に関しては60年前に比べて飛躍的に上がった.
軽くて強い素材の実用化と,敵の攻撃が機銃からミサイルに変わったことが理由.
戦車も戦車砲の強力化やATMの登場により,60年前より強固になっている.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
アーセナル艦って何?
【回答】
大量のミサイルを積んで,他の艦から目標データもらってミサイルを発射するだけの艦です.
コスト高の空母に代わるか補完するものとして,アメリカ海軍が1995年から開発したロボット艦艇ですが,やっぱり護衛する艦艇がたくさん必要になるので,
「それならその護衛の艦艇に,ミサイルを分散して積んでいたほうがいいよね」
と気付いたアメリカ海軍は,1997年10月に開発を中止しましたとさ.
海上自衛隊のアーセナル艦
(画像掲示板より引用)
【質問】
アーセナル艦の開発はなぜ中止されたんでしょうか?
【回答】
自己完結性の無い艦の運用に疑問符が抜けないから.
アーセナル艦が火力自体の大半を持ち,他の艦艇は策敵,指向に使用するとなると,艦隊全体に占めるアーセナル艦の役割が極端に大きくなり,その機能が失われると,艦隊自体の能力がなくなります.
このため,現在の空母艦隊のようにアーセナル艦を中核とし,護衛する大規模な艦隊が必要になります.
しかも,対潜機や早期警戒機を運用できる空母と違い,アーセナル艦は自身ではミサイルの発射しかできません.
また,高価で嵩張る精密誘導ミサイルを使用するには割の合わない標的も存在します.
結局,アーセナル艦を含む艦隊を,安全かつ効率的に運用するためには空母が必要となり,であればアーセナル艦の存在意義はなんなのだ,という議論となって終止符が打たれました.
半潜水構造にして発見されないようにする,といった対策も考えられましたが,それだけに賭けるには大きすぎる資産でもあったわけです.
(HN "system")
アーセナル艦イメージ図
(画像掲示板より引用)
【質問】
ナウシカにバムケッチって船がでてくるけど,あれはどういう艦種なのか気になるんですけど.
コルベットっての小型の艦艇で,いしかりとかゆうばりみたいなDEぐらいのものかなと思うんですが,これも正しいんでしょうか?
【回答】
帆走艦時代,ブリッグ brig ,カッター,スクーナー,ケッチ
ketch 等は装帆形式で区別されていました.
一般的にはカッターよりスクーナーの方が大型です.
ブリッグは二本マストの横帆船,スクーナーは複数マストの縦帆船でカッターは一本マストの縦帆船.
ケッチは二本マストで前マストが後ろより大きい形式を指す.具体的には
http://www.asahi-net.or.jp/~PH4M-TIRK/Ship-16.htm
の様にシップ(三本マスト船)の前マストを取り除いたような形式で,重量物を前部に積むのに都合が良いので,これに大型臼砲を搭載していたものを,ボブケッチ(バムケッチ)と呼んでいました.吃水線が浅い利点と,垂直落下の臼砲弾の利点を生かして,海岸線に接近して,砲台,援護物の陰にいる陸上の敵を攻撃するため,17世紀フランスにて開発されたと伝えられています.
また,その大型臼砲発射の反動を吸収するため,極めて船体は堅牢に作られており,更に船底は丸く,浅吃水なので,氷海での氷の圧力に耐えられ,氷の圧力を受けても丸い船底が氷の上に押し上げてくれるので,屡々,極地探検船としても使用されています.
コルベットは,上記の序列にも書かれていますが,時代,国によって異なります.
元々はフランスの艦種で,それがナポレオン戦争期に英国に伝わったもので,元来の意味はスループのフランス語名称でした.平甲板の小型艦で,上甲板の構造物が殆ど無く,極めて風通しが良かった上,戦闘力もそこそこ兼ね備えていたので,現地住民との砲艦外交や植民地に於ける叛乱の鎮圧など,植民地用艦艇としても良く用いられていました.
1850年代には,フリゲートの小型版としてコルベットの名が登場しますが,大体1000〜2000t級のものを言っていました.
第一次大戦には復活しますが,今度は1000t未満の対潜護衛艦艇を指し,以降それが定着します.
但し,米国では戦後の一時期,大型駆逐艦の対潜専用艦にコルベットを採用しようとして,混乱を来しています.
(眠い人 ◆gQikaJHtf2他)
【質問】
エルジック・クルーザーってなんですか?
【回答】
防護巡洋艦(通報艦などの艦種に機関部などの重要区画のみ水平防御力を持たせたもの)の俗称です.
名前の由来は,英国アームストロング社のエルジック造船所が初めて手がけたのに因みます.
日本ではエルジック式巡洋艦と訳されることが多いかな?
軍事板
【質問】
DE(護衛駆逐艦)とFF(フリゲート)とはどう違うのでしょうか?
【回答】
DE(DestroyerEscort)は米海軍(と海上自衛隊)で用いられていた(いる)艦種記号で,諸外国のフリゲイトに相当します.
米海軍は戦時中に船団護衛用としてDEを大量建造しましたが,これとは別にイギリスのリヴァー級フリゲイトを基礎にしたタコマ級を建造し,これをPF(PatrolFrigate)として就役させてコースト・ガードの乗組員によって運用しました.
第2次大戦後,諸外国では,高価で汎用性の高い駆逐艦に対して,比較的安価な護衛艦をフリゲイトとして整備しました.
ところが米海軍のみは,護衛艦をDEとして整備し,フリゲイトはむしろ駆逐艦より大型の艦と位置付けました.
例えば,1953年には対潜巡洋艦として建造した5.600トンのノーフォークと3.675トンの超大型駆逐艦ミッチャー級をDL(DestroyerLeader)に類別し,これをフリゲイトと称しています.
しかし,世界的な艦種呼称との違いには他国から違和感をもたれたのか,1975年にはついにフリゲイトを他国並みの艦種に変更しました.
これに伴い,PFとして整備が図られていたO.H.ペリー級とノックス級・ブルック級・ガーシア級などのDEをフリゲイト(FF)とし,これまでフリゲイトと呼ばれていた艦のうち4.700トンのクーンツ級を駆逐艦に,5.670トンのレイヒ級以上を巡洋艦に類別しました.
(名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE)
【質問】
MEKO型フリゲートの設計思想を真似した艦が,ほかに無いようなのですが,なにか不利な点があるのでしょうか?
【回答】
重くてスペースを食います.
同じ能力を与えるのなら,その能力に最適化した設計の方が当然小さく,軽くまとまります.
モジュール化されているということは,想定装備のどれにでも適合するように,冗長性を大きめにとられている,つまりデッドスペースやデッドウェイトが避けられないのです.
ゆうか ◆9a1boPv5wk in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
LCSはなぜ誕生したのか?
【回答】
LCS(Littoral Combat Ship;沿海域戦闘艦)は,スプルーアンス
Spruance 級駆逐艦,オリバー・ハザード・ペリー
Oliver Hazard Perry 級ミサイル・フリゲイトの後継艦.
1990年代にこれらの代替艦の話は具体化してきたが,当時,米海軍は基本戦略を「海洋戦略」から「リットラル沿海域戦略」に改めており,当然ながら後継艦は新戦略適合に向かって検討が進められた.
その案では既に大型の対地攻撃駆逐艦と,「安価大量の小型艦」とに大別されたが,1997年に決まった案では,DD-21
Zumuwalt級対地攻撃駆逐艦と巡洋艦CG-21の案が固まった.
が,2001/9/11テロによって案は12月,いったん白紙に戻され,新たにDD(X),CG(X),LCSの3種建造計画が発表された.
「バランスの取れた海上兵力には,相当数の小型艦が必要」との論が甦ったのである.
このLCSの原型は,1998〜2001年の間,米海軍大学校校長だったA.K.セブロウスキイ中将が主唱した「ストリート・ファイター」.
彼の論文によれば,艦は比較的小型で安価だが,その任務は危険な敵沿海域,すなわち敵の「縄張り」の中に殴り込みをかけることになる.「ストリート・ファイター」を母艦とし,その艦からのコントロールで,さらには自律的に,空中,水上,海中を運動する,センサー/兵器装備の無人飛行体/航走体によって,最低限のリスクでストリート・ファイターは任務を達成する.
そして,ある範囲にわたって任務を達成するには,多数艦の同時運用を要することから,「ストリート・ファイター」は数が必要になる.
詳しくは,「世界の艦船」2005年6月号,p.75-79〔藤木平八郎著述〕を参照されたし.
【質問】
アメリカの沿海域戦闘艦(LCS, Littoral combat
ship)って具体的に沿海域において何をするんですか?
ウィキには,
>地域紛争に対処するために,沿海域において,戦闘能力を十分に発揮できるものが求められた.
>冷戦期とは異なり,外洋における対潜能力には重点が置かれなくなった.
しか書いてなかった・・・
【回答】
普通の艦艇とまあ同じだが,名前どおり,特に沿岸部での能力が重視される
沿岸部は外洋と条件が異なる.
地形が錯綜しているのでレーダー波が届いてくれない.
浅海域ではソナーが有効に働かない.
陸地からの攻撃もあるかもしれない.
場合によっては民間船舶が混じって,敵味方識別が困難になる・・・・・・
それでは,足が速くて小回りの効く艦艇を大量投入して,ネットワークでつなげば複雑な戦場にも対応できるんじゃね?ということでLCS.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
水雷艇と魚雷艇って違うの?一緒なの?
【回答】
水雷艇のほうが古い.
魚雷登場以前の水雷を主兵装とする船が水雷艇の元祖.
魚雷の発展によって水雷艇は魚雷を扱う船になったわけだが,同時にこの種の船を効果的に撃破する方法が模索された.
その過程で「より大型で重武装の水雷艇によって水雷艇を撃破する」という発想が生まれ,駆逐艦が登場した.
この艦種がメジャーになった結果,水雷艇=小型の駆逐艦という位置づけになる.
一方魚雷艇は,水雷艇が大型になっていった後に出現した,
かつての水雷艇の役割であった「安価な小型高速の船による肉薄攻撃で敵大型艦を屠る」という位置に別の方向から入った船.
小型でありながら航洋性を有する船である捕鯨ボートを元にして作られたもの.外海を泳げるけど,ずーっと泳いでられるほど体力が無い.
つまり大きさでいうと魚雷艇<水雷艇<駆逐艦.
魚雷艇は本当に魚雷攻撃しかしないといってよいが,水雷艇のほうは大型なだけに,索敵などもこなせる汎用性がある.
魚雷艇を外洋で運用するには母艦が無いと厳しい.
軍事板
【質問】
「魚雷艇」と「水雷艇」って,定義されるような違いがあるのでしょうか?
【回答】
ちょっと違う.
昭和期の日本海軍の場合.
魚雷艇 小さい.数十トン.モーターボート.水上を高速滑走する.
水雷艇 (魚雷艇よりは)でかい.数百トン.艦首で水を切って走る,普通のフネ.
時代や国によって定義がかわるので,絶対コレだとは言えない.
でも一般的にはこう.
19世紀末ごろの水雷艇は,かなり小型の船体に,汽車缶と呼ばれるボイラーとレシプロ機関からなる蒸気機関を載せ,船体の上部に魚雷発射管を1,2門ないし数門積んだもの.
あまりに小さすぎて航洋性,居住性が悪く,駆逐艦に取って代わられた.
なお,ロンドン軍縮条約で駆逐艦の定数が制限された時,日本は条約のの抜け道をくぐるために水雷艇を復活させたが,これはあくまで条約の範囲以下にするためにサイズを小さくした駆逐艦なので,混同しないように.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【珍説】
【345】「キティ・ホーク戦闘群が攻撃」三沢・嘉手納基地からも中東へ [日本共産党神奈川県議団]
また,中東軍(ミドル・イースト・フォース)の一員として,横須賀軍港を母港とするミサイル・フリゲート「ヴァンデグリフト」と「ガリー」の2隻も参戦している.
ここからもトマホークが発射されている.
【事実】
撃てません.
ペリー級フリゲートにはトマホーク巡航ミサイルの発射装置はありません.
MK.13ミサイルランチャーからもトマホークは撃てません.
Mk.13が有ろうが無かろうが,ペリー級はトマホークを運用できないのです.
つまりトマホークを撃てるペリー級は,過去から現在に至るまでこの世に存在しません.
イラク戦争でFFG-48バンデグリフトとFFG-51ゲアリーは,空母戦闘群とは全く別任務の「海上臨検行動」という任務が与えられました.
攻撃任務には参加していないし,兵装からしてそんな事は不可能です.
・・・この共産党の記事を書いたジャーナリスト,松尾高志という人物を覚えておく事にします.
【関連項目】
【質問】 松尾高志とは?
【珍説】
「吉田俊弘の Political Handbook」: <追記4−2> 非核・自治つぶし,暴挙も2回目は手慣れたもの(井戸知事)
2003年11月28日,アメリカのミサイルフリゲート艦ヴァンデグリフト(4,100トン)が抗議の中,兵庫県の姫路へ入港しました.
兵庫県・井戸知事の手によってふたたび「非核神戸方式」に風穴が開けられ,地方自治を自ら否定する行政判断が行われたのです.
前回の米ミサイル巡洋艦ビンセンスの姫路入港以来,2年ぶりの暴挙です.
暴挙も2回目ともなれば手慣れたもの!
当選直後の前回とは違い知事はまるで簡易な事務処理を行うように,前回同様「非核証明」が提出されないまま,そして前回に比べ実に淡々とヴァンデグリフト姫路入港の手続きを進めました.
【事実】
O.H.ペリー級フリゲートに核兵器は積んでません.
アメリカとロシアは核軍縮条約スタート2において,海軍の戦術核兵器を全廃する方針を固めました.
戦略型原子力潜水艦に搭載するSLBM(水中発射弾道ミサイル)以外の核兵器を廃棄するという事です.
事実,アメリカ海軍は核攻撃型トマホークを艦船から降ろし,地上に封印しています.
もうアメリカ海軍の駆逐艦やフリゲートに核兵器はありません.
しかも,ペリー級はそもそもトマホークを発射できないのですから・・・
スタンダード対空ミサイル,ハープーン対艦ミサイル,76mm砲弾に核弾頭型なんてありませんよ?
一体,何を心配しているのです?
【質問】
ラ・ファイエット級フリゲートって何?
【回答】
ラ・ファイエット La Fayette 級は,1990年から建造開始された,フランス海軍のフリゲートで,設計段階からステルス性を重視して建造された大型水上戦闘艦としては,世界初の実用艦.
海外領土の警備・EU域外における初期作戦への投入を主目的としており,対潜兵装を持たない代わり,特殊部隊の投入能力を有している.
輸出にも積極的なのは相変わらずで,派生型が台湾海軍,サウジアラビア海軍やシンガポール海軍に採用,輸出されている.
台湾ではこの輸出にからむ汚職事件も起こっていたり.
レジン・キットの1/700模型が存在する模様.
【参考ページ】
http://ja.wikipedia.org/wiki/ラファイエット級フリゲート
Marine nationale > La Fayette (F 710)
http://www.defense.gouv.fr/marine/decouverte/equipements-moyens-materiel-militaire/batiments-de-combat/fregates/type-la-fayette/la-fayette-f-710/presentation
http://www.eurus.dti.ne.jp/~freedom3/LaFayette-Fr.htm
http://hush.gooside.com/name/l/La/Lafayette/Lafayette.html
http://hp.kutikomi.net/military-guide4/?n=page321
写真
faq120401lf.jpg
faq120401lf2.jpg
(こちらより引用)
【ぐんじさんぎょう】,2012/04/02 20:00
を加筆改修
◆◆◆◆イージス艦
【質問】
イージス艦の具体的定義を教えて下さい(あればですが).
もしかして,商品名として登録されていたりとかしませんか?
【回答】
イージス・システムはアメリカが開発した同時多目標処理を中心とした総合戦闘システム.
当時の防空艦はせいぜい2〜4目標を同時処理するのが精一杯だったところを,十数目標の処理が可能なため,画期的な防空システムとされた.
その前後,欧州や旧ソ連などでも同時多目標処理システムは実用化されているが,イージス・システムとの直接の関連はない.
(軍事板)
▼ つまり,イージス級というクラスがあるのではなく,イージスシステムを装備した艦のことであるから
,別に形とかはまったく関係がない.
オリバー・ハザード・ペリーに似た形をしていれば全部イージス艦だと思いがちだが,実はそうではないのだ!
▲
ちなみに旧ソ連では,同時多目標処理システム(フォールト)を有するキーロフ級の一番艦就役が1980年.
イージス艦第一号のタイコンデローガが就役したのは1983年だから,3年早い.
キーロフ級は同時に12目標までの処理が可能で,この数字だけ見れば,アーレイ・バーク級やこんごう級と同じ.
もちろん,「イージス・システムはアメリカが開発した同時多目標処理を中心とした総合戦闘システム」のことだから,キーロフは,「イージス相当のシステムを持つ」艦であって,「キーロフはイージス艦である」という表現は正しくない.
ただ,「イージス相当のシステムを持つ」艦とは言っても,タイコンデローガ級などのイージス艦はフェイズドアレイレーダーSPY-1を装備しているのに対し,キーロフ級はパルスドップラーレーダーなので,その点では見劣りする.
さすがに1980年の時点では,艦載用フェイズドアレイレーダーがまだ実用化に達していなかったので,こうなったのだろう.
ついでに書くと,同級は,世界初のVLS搭載艦&世界初のステルス艦でも有る.
【質問】
イージス艦はなぜ開発されたのですか?
〔エイラート号事件により,〕天文学的なコストをかけた空母が,モーターボートに毛の生えたような高速艇の餌食とされてしまう可能性が出てきたのである.
さらには,海中の潜水艦から発射できるミサイルも開発された.
あるいは,爆撃機が上空まで来て爆弾を落とす,というやり方でなく,超音速で飛ぶ攻撃機が,こちらの弾丸が届かない位置からミサイルを撃ってくるかもしれない.
こういった,新たなる脅威に対抗するため,米軍は,多数の目標を識別でき,かつ電波の妨害にも強いレーダー・システムや,飛来するミサイルを撃ち落とすための各種兵器の開発を急ぐことになった.
その集大成がイージス・システムなのである.
林信吾著『反戦軍事学』(朝日新聞社,2006/12/30),p.97-98
というのは本当ですか?
【回答】
ええと,その著者は,新型レーダーやミサイル迎撃システムの開発というのは,普段から継続的に行われるものではない,とでも言いたいのですかね?
集大成といえば集大成かもしれませんが,イージス艦が開発されたのは何故か?といえば,ソ連海軍の飽和攻撃に対抗するためのものです.
ソ連海軍としては,まともに殴り合ったのでは,とてもじゃないが米艦隊には叶わない.
特にあの,攻撃空母ってぇヤツぁ凶悪過ぎる.50年代には核攻撃も米攻撃空母の任務の1つだったし.
そこでゴルシコフ元帥,考えた.
「米空母機動部隊が対処できないくらい大量のミサイルを撃ち込んでやればいい」
しかも,ただつるべ撃ちするんじゃない.遠くから,色んな方向から撃ってやるんだ.
これが人呼んで「飽和攻撃」
テストによく出るから覚えておこう(何のテスト?)
ソ連艦隊はこの戦術にしたがってせっせと対艦巡航ミサイルを整備した.
爆撃機にはAS-4やAS-6.
艦艇にはSS-N-3.
1958年から対艦巡航ミサイルの開発を開始して,その努力が実ったのがソ連海軍の演習「オケアン70」(1970年),「オケアン75」(1975年).
いずれも90秒以内に100発が仮想目標に着弾するという実績を出した.
1秒ごとに1発以上のミサイルが,違う方向から飛んでくるというわけだ.
さすがのアメリカ海軍も,これじゃたまったもんじゃない.
だが,数を増やして問題を解決するのがロシア式なら,テクノロジーで何とかするのがアメリカ式.
まず,タイフォン・システムの開発が1958年開発から始まったが,これはタイフォン原子力フリゲートの価格が高くなって中止.
ちょうどマクナマラ国防長官の時代,しかもヴェトナム戦争が始まったころに当たってしまったのが不運だった.
代わってスタートしたのが,1963年から始まったASMS計画.
Advanced Surface Missile System だから「先進的艦載ミサイル・システム」とでも訳すべきか.
海軍内には否定論者もいたようだが,開発最中,エイラート号事件が1967年に起こって,開発が一気に加速.
1973年12月には,プロトタイプのイージス・システムを試験艦「ノーザン・サウンド」に搭載して試験が行われるところまで漕ぎつける.
そして,1978年9月にはイージス巡洋艦「タイコンデロガ」の建造契約が交わされ,1983/1/22,同艦就役.
かくして,ギリシャ神話のゼウスが娘アテナに贈ったという神盾(イージス)は,この世に具現化した,という次第.
このように,まず戦術が先にあり,兵器はその戦術が要求するものに従って開発されるものなんだ.
決して,一つの事件で慌てて開発が始まるというものではない.事件が戦術を見直すきっかけにはなるかもしれないけどね.
第一,それじゃ現代では時局に間に合わない.
兵器はガチャポンとは違うんだから.
消印所沢
【質問】
「イージス艦は同時に12目標への攻撃が可能」
と聞きましたが,「ジパング」によるとシー・スパローは2発までしか誘導できないらしいです.
こんごう型はスタンダード・ミサイルを積んでますが,スタンダード・ミサイルを使ったなら12目標への攻撃が可能,ということなんでしょうか?
【回答】
少なくともイルミネータの数は攻撃できます
旧式艦だとイルミネータの一つを捜索用に使用し,攻撃に使わないということもありましたが,フェイズド・アレイ・レーダーを搭載した艦ではその必要も無いでしょう.
つまり,中間誘導用に慣性誘導システムを持っていないミサイルでも,3発は誘導できます.
ちなみに日本のイージス艦には現在,シー・スパローは搭載されていません.
米軍艦は発展型シースパロー,ESSM(EvolvedSeaSparrowMissile)を搭載しているのだが,
ESSM
誘導方式:中間誘導:慣性誘導+データ・リンク
終末誘導:セミ・アクティブ・レーダー・ホーミング
よってESSMも同時に12発かは知らないが,イルミネーター数より多く発射できる.
同時誘導の仕組みを考えれば分かると思うが,12発同時に命中させることができるわけではない.
現在の一般的な艦対空ミサイルのほとんどの終末誘導方式は,SARH(Semi-ActiveRadarHoming)終末誘導,つまりミサイルが目標に接近し当てる段階になったら,母艦からレーダーを照射しなければならない.
まあ,発射のタイミングをずらせばいいわけだが.
軍事板
なーんとなく,「短SAMは1目標に対して2発指向するのが標準的運用」なのを〔「ジパング」は〕誤解してるっぽいスメルが・・・
【質問】
アニメ「ジパング」を見て,はじめてイージス艦というものを知ったのですが,本当にあんな事
(大和の主砲の砲弾を,ハープーンで撃ち落としたり,レーダーで艦隊の種類まで見分けたり等)まで出来るのでしょうか?
【回答】
大和の主砲弾をスタンダート艦対空ミサイルで狙って,「命中させるだけ」なら,なんとかなる.
でも,大和の主砲弾を空中で爆発させるのは無理.
あのミサイルは目標に近寄ったら命中する前に爆発し,ミサイルの破片で目標を破壊する.
本来は航空機や対艦ミサイルを狙う物なので,それで十分な威力とされる.
でも,大和の砲弾はミサイルの破片食らったくらいで自爆するとは考えられない.
運良く砲弾1発2発は爆発するかも知れないが,9発すべてを空中で爆発させるのは,現実的に考えれば無理.
CIWSは,弾殻1インチのウォール・アイ爆弾の迎撃に成功している.
MK15ファランクスは実用評価試験の際に無人のボートに搭載され,この爆弾を4発投下された.
結果は,4発中3発を所定距離以遠で直撃し,破壊に成功.
ただし,CIWSで大和の主砲弾を完全に破壊できるかについては甚だ疑問.恐らくというかほぼ確実に無理だと思う.
軍事板
【質問】
イージス戦闘システムを構成する上で,対空迎撃のウエイトが結構しめてるような話をよく聞きます.実際はどうなのでしょうか?
【回答】
イージス艦はSPY-1レーダーやMk.41VLSが注目されがちだが,(まぁ優秀な兵器である事は確かだが),この艦の本当に凄いところはイージス・システムにある.
イージス・システムは本来,対艦ミサイルの大量攻撃(飽和攻撃という)に対応するために作られたので,対空迎撃が本分.
でもって,イージスシステムの中核を占めるフェイズドアレイレーダー(個別目標追尾用)がいくら優秀でも,それだけでは意味を為さない.
広域を監視できる対空捜索レーダーと組み合わせる必要がある.
米海軍の場合は,艦の対空捜索レーダーだけではなく空母搭載の早期警戒機と組み合わされていて,これがイージス・システムを「すごい兵器」にしているといってもいい.
逆に言うと,早期警戒機とリンクさせなければ,「ちょっと高機能な対空ミサイル・システム」程度の能力しか示せない.
イージス艦自体に搭載されている対空捜索レーダーは大概,標準的な性能のものがほとんど.
艦のサイズの制約上,余り大きなレーダーは積めないし,レーダー・アンテナを高い位置にすることもできない.
電力消費量もデカイので,小さな艦には制約が大きい.
かといってかつての戦艦のような巨大なイージス艦を作っても,効率とコストが悪すぎる.
そういう意味で,「イージス艦」だけでは「兵器システム」としてはあまり意味がない.
あくまで「システムの一部」に組み込まれてこそ,真価を発揮できる.
あと,現行のイージス艦の問題として,ミサイルの発射/誘導能力の問題がある.
あたりまえだが,例え同時に256個の目標を追尾できても,艦にミサイル・ランチャーが単装一基しかなければ,一度に1目標しか攻撃できない.
連続発射するという方法もあるけれど,ミサイル・ランチャーは,速射砲のようにミサイルをバンバン撃つという構造にはなってない.
世界初のイージス艦タイコンデロガ級の初期シリーズは,ミサイル・ランチャーが連装2基しかなく,イージス・システムの能力にミサイル発射能力が付いて来ていなかった.
まぁこれはVLS(垂直発射機システム)で解決されたけど.
そして,ミサイル誘導の問題.
対空ミサイルはイルミネーター(ミサイル誘導/追尾用のレーダーアンテナ)で管制されているのだけれど,これも艦に沢山積むことはできない.
また,積む位置によってこの方向にはミサイルを誘導できない,といった制約がかかる.
イージス艦では極力最大効率が行かせるように工夫してイルミネーターを積むけど,それでも一度に誘導できるミサイルは,イージスシステムの目標補足能力からすると,とても少ない.
かといってイルミネーターを積みまくれば,他の装備が積めなくなってしまう.
イージス・システムにはそういった問題がある.
解決策は色々考えられたが結局,「艦をでかくする」「数で補う」しかなく,金がかかって効率が悪い事には変わりない.
軍事板
【質問】
米海軍巡洋艦ヨークタウンの軍事用コンピューター(Windows
NT)がフリーズし,管制システムが停止した,という話は,本当だったのだろうか?
「巡洋艦よーくダウン」とか「マイクロソフトのOSは巡洋艦すら撃破できる」とか色々言われてましたが.
【回答】
あれは軍当局が導入を焦って無茶苦茶な納期を設定し,それを真に受けた業者が,まともな開発体制もテスト体制も整えられず構築し,普通なら社外に出せない開発初期版並の品質のシステムを,無理矢理稼働させたため.
アプリ・レベル上の例外処理すらまともにトラップせず,結局要求された機能が軒並み停止.
こんな開発体制なら,元のOSがSolarisだろうがHP-UXだろうがまともに動くわけがない.
言い訳にされたMSは,いい面の皮だ.
(軍事板)
この話が広まったのは,私は米海軍自体の発表よりも,下のHotWiredの記事により広く知られるようになったためと考えている.
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/1077.html
●まずHotWiredは,根本的にアンチMS指向が強い.そしてAppleの肩を持つ.
また,全体的に文系的(乱暴な表現だが)な傾向が強いのは兎も角,技術的な知識や能力が足りない.
HotWiredに似た所も有るslashdotも,同様にアンチMSの傾向を持つが,技術的,論理的な整合性を重んじている.というか,HotWiredはこの点を軽んじている.
さらにこの記事自体,書いたものがネットワークの知識に疎いか,でなければ意図的にWinNTに悪い印象を与えようとする意図で書かれたと考える.このような事はHotWiredの記事ではよくある事だが.
このようなバイアスが有るこの記事でも,ちゃんと読めば,この問題の真の原因は理解できると思う.
●この問題の責任は,MSよりも軍と開発サイドに有る.
これは既に述べられている通り.
たしかにMSは営業で「WinNTは堅剛」等と売り込んだろう.
しかしこのような,自社製品に優越性が有るというような売込みは,あらゆるもので行われている.
個人的には当時(97年)のWinNTは(一般に)信用しがたく問題が多いものだと思うが,この自体の責任は,採用を決め開発をした側に有る.
●WinNTは,この船のどの部分にどのように導入されたのか?
>市販のパソコンを使い,これまで乗務員が行なってきた業務を自動化するもの.
と記事にはある.
しかし肝心の「具体的に何を自動化するか」は書かれていない.
技術的に問題あり,という文意の記事ならばこれは欠かすべきでは無いのでは?
>LANで動いている16台のコンピューターのうちの1台のアプリケーションに
>不良データが送り込まれたことだった.
>このデータには,あるべきでないところにゼロが含まれていたため,
>ソフトがゼロで数字を割ろうとしたときにバッファがあふれ,
>ネットワーク全体がクラッシュし,その結果,
>船の推進システムが制御不能になってしまった.
(注:ここでのコンピュータとは,下に有る通りPCである)
まず疑問に思うのは,WinNT「自体」は,堅剛さが要求されるハードウェアを,確実に高いリアルタイム性で直接制御するようなモノでは無いと思うのだが.
通常はLANによって制御される,別の独立性の高い推進制御システムが必要なのでは?
この推進制御システムは,LANがクラッシュしても巻き込まれない独立性と堅剛性,そしてダウンした最には確実,即座に復旧する能力が必要だ.
そして,通常これを制御するLANが不能になった時,即座に推進システムをコントロールするバックアップの推進システムの制御系も必要だ.
最低限,このスマートシップという新しいシステム部が不能になった場合,このシステムを導入前のような形で運用できるように切り替えるられるようにしておくべきだ.
(そうなっていたか,それが可能だったかは解らないが)
一系統のみのLANにより制御される推進システム,そしてそのLANのダウンのみで制御システムが不能になるという設計の方が間違っている.
この部分の方が,LANのネットワークOSよりも先に直すべきだろう.
私はこのようなシステム設計は狂っているように思えるので,内容自体の方が間違っている可能性も高いと思う.
●この問題がおきたのは「テスト中」で制御不能になったのは「2時間半」
>「2時間半というもの,船はいわゆる『水の中で死んだ状態』になってしまった」
>ヨークタウン号は新しいシステム『スマートシップ』をテスト中だった.
超大型タンカーは,機関停止から実際に静止するまで30分以上かかるものも有るそうだが・・・
いくら制御不能と言っても,手動で機関停止は出来る.
このシステムの導入決定,設計,構築等は,かなり悪い状況のようだ.
しかし「テストにおいての」「2時間半のダウン」というのは,個人的にはまるで大した事では無いと思う.
ネットワークにしろプログラムにしろ(これらは軍民問わず)テストを繰り返して実践配備となってから,大きな問題が出てしまうというのは良く有る事だ.
(プログラムやネットワークだけでなく,兵器もだが)
アマチュアでも,プログラムやネットワークに関わった者ならば大抵知っている事だ.
またこのような事は,このような記事を書く者ならば知っているべき事だと思う.
この記事でのヘッドラインは,この二点を意図的に無視する事により,「通常の運用をしていた軍艦が大きなトラブルを起こした」と読ませたいかのように思えるのだが.
【質問】
なんかの本で,アメリカ軍のイージス艦のイージス・システムは68030プロセッサ4基で動いてるとか言う話を聞いたんですが,ホントにそんなアホなんですか?
だって,マックで言ったらIIciとかだよ?
【回答】
初期のイージス艦(タイコンデロガ級)では68030プロセッサを使うUYK-43が4台と,UYK-44(計算能力は0.9MIPS!)を23台使用していました.
ただ,システム・デザインが上手く行けば,能力の低いコンピューターでも,相当な仕事をこなせます.人類を月に送ったのは確か8ビットコンピューターだったかと.
ちなみに,これらのシステムは民間のものに比べ,はるかに対衝撃性や温度・湿度変化に強く,平均故障時間間隔が2000時間程度を確保していました.
現在のイージス・システムのソフトウェアはPOSIX準拠に書き直されているそうで,HP-UXなどの商用UNIXが動くプラットフォーム上で動きます.
しばらく前に聞いた構成では,PA-RISCのサーバが何台かで構成されていたと思いますが.
概して軍使用のCPUは,オタクのゲームパソコンに比べるとしょぼい事が多いです.
開発開始から配備まで20年かかるのが普通.
プロト段階で使用しているパーツをむやみに変えると設計変更が面倒になり,低率生産段階で使用しているパーツをむやみに変えるとトラブルにつながりかねない.
例えばCeleron400あたりを前提で作られた軍用品を,Atholon64X2に変えたりしたら,電源も替えないと作動不良が出る,廃熱を考慮しないと信頼性が落ちる,
メモリーが付いて来れない,そもそもソケットからチップセットまで変更が必要などいろいろひっかかりが出てきます.
そこで,ひとまず仕様通り動いているならそのままでいいじゃん,と言うことになります.
軍事板
【質問】
ミサイルの飽和攻撃でイージス艦を撃沈することは可能?
【回答】
理屈の上では可能.
しかし実際には,イージス艦だけでなく,他の艦艇(いた場合)の個艦防御システムにも迎撃されたりするから,飽和攻撃っても全部が有効弾になるわけでもない.
母数が一定以上多ければ,対応できる限界を超える.
ま,地上発射にせよ,航空機の発射にせよ,一番の現実的な問題は例えば航空機搭載ASMで搭載数2発の場合,200発で飽和攻撃するなら100機で攻撃隊を揃えなきゃならず,しかも攻撃隊だけで100機.
護衛機とか,全部の航空隊を運用する支援機材とか大変な規模になり,それを満たせる国あるいは状態ってのはそうそうあるもんじゃ無いって事だね…
それ考えると,F-2のASMを4発搭載って,ほんととんでもない仕様要求なんだな…
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
イージス・システムが搭載されているからイージス艦らしいけど,現実的に可能かどうかは置いとくとして,イージス・システムさえ搭載していれば,イージス爆撃機とかイージス歩兵とかというのも存在できると言うことですか?
【回答】
「陸上イージス」などと妄言を吐いてた奴が居たが
「イージスを歩兵に搭載しろ」
などと驚天動地な事を言ったのは,君が初めてだよ.
できません!
初心者をバカにする気は無いが,ものには限度というものがある.
そもそも「イージス・システム」がMacやWinとごっちゃになってないか?
かみ砕いて説明すると,イージスってのはSPY-1っていうでかいレーダーと,レーダー情報を解析して目標の識別・脅威度の評価・迎撃ミサイルの割り振りを行う指揮装置と,それによって誘導される対空ミサイルで構成される,軍艦用の防空装備.
だから,サイズ上,航空機や陸上のユニットには搭載するのが難しい.
陸上ユニットや航空機の場合は,それぞれに適したサイズの別の防空システムがあるので,あえてイージスを装備しなくちゃならない必然性がほとんどない.
ゆえに,イージス歩兵とか,そういうのは出現しないかと.
軍事板
【質問】
こんな感じに,イージス・システムがミサイル発射する時,発射口以外からも火が吹いているのはなぜですか?
【回答】
あれは発射筒の底と繋がっててミサイルの発射ガスを逃がしてるのです.
もし筒の底が塞がっていると,超高温の発射ガスが筒内に充満するため,飛び出す途中のミサイルが壊れる上に発射筒自体の寿命も縮みます.
携帯ロケットからSLBMまで各種のロケット兵器に同様の問題がありますが,RPGのように後ろを吹き抜けにするとか,コールドランチといって窒素ガスなんかでミサイルを発射してから点火するとか,いろんな方法で回避します.
軍事板
【質問】
湾岸戦争ではイージス艦からトマホークが飛んでいく映像が多く流れましたが,イージス艦の対空ミサイル搭載量を減らして,ほとんどのセルをトマホークで埋めるのは可能ですか?
【回答】
可能.
実際湾岸戦争からこの方,アメリカのVLS搭載艦はそのほとんどをトマホークにしています.
弾道ミサイル迎撃試験に就いてる艦以外は
「アスロック? なにそれ?」
ってな状態らしい.
ちなみに,セルほとんどにトマホークを入れる延長線上にアーセナルシップが構想された時代が有りました.
一つの船に大量にトマホークを載せておけば,現場の海域に張り付く艦船のやりくりが楽なはずという発想があったのです.
しかも共同交戦能力をデータリンクで実現すれば,トマホークの発射計画と,どの艦船に割り振り攻撃計画をたて,航空機の任務と調整をつけるかも楽になるという話でした.
ただし,トマホーク巡航ミサイルにしてもALCM(航空機から投下する巡航ミサイル)にしても,炸薬量からすると1t爆弾程度であり,これに加えて弾体に残る燃料の焼夷効果に弾体の運動エネルギーがあるだけなんで,偵察を十分にやりどこに撃つか攻撃計画をきっちりくまないとそれほど,意味は無いです.
【質問】
イージス艦はどうしてあんな大きな艦橋が必要なんですか?
CICなんてものがあるんだから,戦闘はレーダーやソナーを見ていればいいだろうし,付近の見張りなら見張り台に何人か置いておくだけで十分ではないでしょうか?
あんな艦橋じゃ素人目にも,ステルス性やサバイバリティでマイナスなんじゃないかと思います.
【回答】
米軍のタイコンデロガ級の場合はフェイズドアレイレーダーの配置の関係上,加えて自衛隊のこんごう型やあたご型の場合は,旗艦代行の際の司令部機能を持たせたため,艦橋構造が原型のアーレイバーク級に比べて大型化した,と言われている.
あと,周辺の視界はなるべく艦橋の高いところから観測したほうが視界がよく,レーダーやソナーだけで周囲監視が完璧にできるというわけでもない.
【質問】
イージス艦って,実戦参加したことはありますか?
あるなら,その戦果と評価はいかがでしたか?
【回答】
イージス艦の初実戦は,1984年のレバノン沖.
当時の評価については,世界の艦船2006年12月号より,藤木平八郎氏の記事『イージスシステム・開発の歩み』 から一部転載すると
――――――
タイコンデロガ装備のSPY-1レーダーの,信頼性の高い目標探知・識別能力が注目の的となった.
他のレーダーでは探知困難な,砂嵐によるクラッターや東地中海特有のダストによる,異常な電波伝搬の中で,航空目標の90パーセント,海上・陸上目標の50パーセントを確実に補足・追尾した.
――――――
――――――
具体的に高い評価を与えたのは空母航空団のパイロットたちだ.空母打撃部隊周辺の目標識別確度が上がったことで,それまでの識別・確認のための飛行回数が減少し,空母航空団の運用効率が格段に改善されたという.
――――――
とのこと.
同記事によれば,それまではテストが不振だったり,従来艦船の数倍の価格がすることもあって,議会などから批判が出ていたらしい.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
イチローとイージス艦が戦ったら,どっちが勝つの?
【回答】
以下,参照.
http://blog.livedoor.jp/michaelsan/archives/50585805.html
【質問】
イギリスやフランスはイージス艦を建造しないのですか?
【回答】
欧州は米イージス艦とは別系統の艦隊防空艦を開発しています.
現時点で欧州の防空艦は以下のような感じです.
NFR90計画┬ホライズン計画(英仏伊)
┬Type-45デアリング級(英)
VSR │ PAAMS,アスターSAM
│ サンプソンMFR,独自兵装
. (S1850M,│ S1850M │
SMART-L)│ │
│ └フォルバン級(仏),カルロ・ベルガミーニ級(伊)
│
EMPAR,共通兵装
│
└TFC(独蘭西)─ザクセン級(独),デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級(蘭)
│ APAR,SMART-L
×
└アルバロ・デ・バサン級(西)
イージスシステム,SPY-1D
│
フリチョフ・ナンセン級(ノルウェー)
SPY-1F
◆◆◆◆駆逐艦
【質問】
駆逐艦に興味あるんだけど,オススメの本ある?
国籍はどこでもいいけど,日本語に訳されてるやつで.
『第二次大戦駆逐艦総覧』という訳書は,もうすでに持ってる.
ブラジルとかペルーのやつまで載ってて凄いけど,その分内容が薄いなぁと感じた.
【回答】
堀元美の「駆逐艦―-その技術的回顧-」とかはどうよ.
海軍造船官の本だから,日本海軍中心の記述になるが.
他には,
海人社増刊
「日本駆逐艦史」
「イギリス駆逐艦史」
丸メカニック
「軍艦メカ 日本の駆逐艦」
Arms & Armor Press
"English Destoyers of World War I"
軍事板,2012/02/27(月)
青文字:加筆改修部分
【日本水雷戦史】木俣滋郎(図書出版社)
【日本駆逐艦物語】福井静夫(光人社)
とかもどうよ.
ムック本を持ってくるなら,学研が艦型別に何種類かだしてような…
松型とか陽炎型とか秋月型とか.
Lans ◆xHvvunznRc :軍事板,2012/02/27(月)
青文字:加筆改修部分
【質問】
駆逐艦に艦偵を積まないのはどうしてなんですか?
【回答】
そもそも艦上偵察機とは,水上偵察機のような,軽巡などの甲板からカタパルト発進させるものではなくて,空母の飛行甲板から発艦するものだから,両者の違いを区別してもらいたい.
WW2以前の駆逐艦では艦偵どころか,水偵積むスペースもない.
また,軽巡が一緒にいて率いていることが多いし,当時ならば多用途機ではなく対潜にも使えるというわけでもないし,船団護衛と防空直衛では必要でないし,といった感じで搭載されていない.
米軍の駆逐艦ならば,捜索・偵察用にそのうちにヘリ型のUAVを積むと思われる.
艦載ヘリは艦艇の活動範囲を広げるもので,重宝されている.
現に米海軍のアーレイバーク級ではフライトUAから,艦載ヘリの搭載スペースが艦尾に設けられて,搭載するようになった.
艦載ヘリを艦上偵察機,水上偵察機と同様のものと言いきれるかはちょっと微妙だが.
またDD-21計画では,UAVによる観測で長射程弾を撃つ可能性がある.
同艦は誘導弾駆逐艦という分類をされており,排水量はおおよそで1万5千トン.
明らかに従来であれば重巡洋艦の仕事と排水量の船だが,一応建造開始されているはず.
だが,
http://www.naval-technology.com/projects/dd21/
には着艦甲板はあると書かれているが,格納庫があるかはちょっと知らない.
今のところ,同型艦は3隻のみになる予定.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
日本の軍艦でヘリを積んでるのがありますが,あのヘリは何のためにあるのですか? 以前テレビで敵の潜水艦を見つけると言ってたような記憶がありますが正しいですか? そもそもヘリの音で逆に潜水艦にバレそうな気がするんですが・・・
【回答】
艦隊のワークホースSH-60の役割は他にもイロイロ有るのですが,主な任務が対潜であるのは確かです.
空中の音は海中には伝わらないし,ソーナーやソノブイの音が聞こえると言うことは,もう見つかってるわけです.
それに,ヘリの音で潜水艦にばれても,潜水艦はヘリを攻撃出来ないので大丈夫
原潜などは,水上艦よりも高速であり水上艦だけでは原潜などを撃破するのは難しい.
なので,より高速なヘリと水上艦の組み合わせで潜水艦を見つけ,撃破する.
軍事板
【質問】
駆逐艦って何のために存在するの?
弱いし,沈められるために存在してるとしか思えない,創作でも現実でも.
数そろえるためだけの捨て駒ですか?
【回答】
戦艦等の大きくて強いフネは,数をそろえることも難しく,燃料も沢山使ってしまう.
それにくらべて駆逐艦などの小さいフネは,安く,数もそろえられたので,それこそ地上への砲撃から,輸送船の護衛,潜水艦狩り,物資の輸送まで,ありとあらゆる事に使われた.
フネとフネの戦いだけが戦争ではないんです.
パソコンと電卓,計算機としての能力はパソコンが上だが,数が必要な場合もあるよね.
元々は,戦艦を狙ってくる水雷艇(魚雷艇)を「駆逐」するためのフネ.
そのうち,
「水雷艇と同じ速度が出せて,水雷艇より航洋力があって,水雷艇より武装が強力な駆逐艦に,魚雷攻撃させれば良いんじゃないか?」
ということになって,対戦艦の魚雷攻撃と,水雷艇からの戦艦の護衛を兼務するフネになった.
「潜水艦」というものができると,「駆逐」する対象に潜水艦が加わり,輸送船が船団を組むようになると,正面きって軍艦と戦うには武装不足だが,護衛用途なら充分,その分航続距離が長いという「護衛駆逐艦」も生まれる.
駆逐艦は戦艦や空母とは違い,小型な分建造費も安く,建造に大きなドックが要らないので量産が効く為,「使い捨てにしてもある程度惜しくない」「数で勝負」な兵器となった.
だが現在では,搭載する装備が大型化,複雑化した結果,そうした安価な兵器としての位置付けはない.
第2次大戦後,原子力ミサイル潜水艦が登場して核戦略の主力となった.
また,攻撃型原潜の発達で空母その他の水上艦艇に対する潜水艦の脅威が増大,水上艦の主要任務は対潜水艦戦となった.
さらに航空機,対艦ミサイルの発達で戦艦,重巡などの巨艦が時代遅れになり,駆逐艦は対潜兵器だけでなく高度な対空兵器も装備し,これにともなって次第に大型化しつづけた.
現在の大型駆逐艦は第2次大戦の軽巡洋艦なみの排水量(1万t〜1.5万t)があり,その役割も当時の巡洋艦と駆逐艦を合わせたようなものとなっている.(対潜,対空,対水上戦の主力艦)
【参考サイト】
http://www.warbirds.jp/truth/index.html
↑の「魚雷は大人になってから」シリーズが非常に詳しくためになる.
オタキャラの会話方式に耐えられればの話だが…….
軍事板
【質問】
空母機動群の駆逐艦って何のためにあるんですか?
対空・対艦・対潜全て,空母一隻でカバー出来ると思いますが.
【回答】
第2次大戦当時の話なら,当時は戦闘機,(急降下)爆撃機,対艦攻撃機(雷撃機)が完全に分業してて,任務を兼用できないため,この3つを必要なだけ積むと空母の搭載能力に余裕がなく,対潜哨戒機を積む余裕がなかったので,対潜警戒,攻撃用に駆逐艦が絶対に必要だった.
他に,
・空母からの離着艦に失敗した飛行機の乗員救助用.
・空母の離発着作業中は攻撃に対して脆弱なので,空母の護衛.
・空母が戦争中に飛行機の離発着ができなくなった場合,安全なところまで護衛する為.
今も基本的に航空母艦は,搭載能力は全て本来の用途(敵艦隊攻撃と対地攻撃)に充てたいので,自分自身及び機動部隊としての艦隊を防御する任務は,護衛の艦艇をつけてそれにやらせたいもの.
アメリカの空母も,どうしても艦載固定翼機でないと出来ない長距離長時間哨戒任務以外は,対潜航空機は積んでない.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
艦種記号で「DD」というのがありますよね.DDのうち,片方はDestroyerというのは分かるのですが,もう片方のDはどういう意味なのでしょうか?
【回答】
もう一つもdestroyerです.
1単語の艦種の場合,誤解を避けるため,同じ記号を重ねることになっています.
戦艦のBB,潜水艦のSSなども同様です.
軍事板
【質問】
駆逐艦と護衛駆逐艦ときょう導駆逐艦の違いを教えて.
【回答】
駆逐艦,って言うのは大分類だから置いておいて,
*護衛駆逐艦:
Escort Destroyerの和訳.
米海軍が大戦中に量産した,主に潜水艦から輸送船団を「護衛」するための駆逐艦.
最高速力が遅い代わりに航続距離が長く,武装も最低限.
*きょう導駆逐艦:
駆逐艦部隊を指揮する設備のある駆逐艦.
指揮設備の分やや大型.
駆逐艦が大型化したり通信指揮設備が小型化した事によって,特別な艦を建造する事が無くなったり,水雷戦隊の指揮を巡洋艦で行う方向に行ったりした,
【質問】
世界各国の海軍では,DDクラスの艦は,対潜重視,対艦重視,防空重視,対地重視など,それぞれの任務に特化したものを複数種類用意するのが普通ですが,何故アメリカは,DDクラスの艦を万能艦一種類に絞っているのですか?
【回答】
任務に特化した割り振りは60年代まで.
当時はDDA,DDK,DLなどがあった.
現在の分類はDD,DDG,DDH等があるが,DDHが個艦防御が出来ないとか,DDGが対艦ミサイルを撃てないわけではないので,DDAなどに比べれば任務への特化というよりも,装備の特色をあらわしている程度,ともいえる.
昔は,例えば対空目的であればまず,重く大きなレーダーをマストに高く掲げ,SAM実用化以前であれば,高性能な対空砲を撃墜が期待できるだけ並べる必要があり,SAM実用化以降であれば,初期のやはり重いイルミネーターとやたらかさばるミサイルを搭載した.
対潜任務であれば射程別に,リンボーだのボフォースだのヘッジホッグだのが甲板を占領し,対水上砲戦を意図すれば,やはり重い砲塔が甲板に並んだ.
当時の駆逐艦と呼ばれた2000トン程度の船では,どれかの「任務」に特化する必要があったのは事実.
これが70年代以降になると,対潜であればヘリと短魚雷,追加してもサブロックの組み合わせに収斂され,対艦はキャニスターに収めたASMで済むようになる.
対空も個艦防御であればシースパロー,小口径速射砲,CIWSと軽くコンパクトになった.
結果,それらを搭載して対空,対艦,対潜と一通り出来る3000トン台の船が汎用駆逐艦,DDと一括りに呼ばれるようになる.
このDDに対して,ヘリの運用能力を向上させればDDHになるし,高価なエリアディフェンス可能な長射程SAMを搭載すればDDGになる.
ヘリもSAMも高価だったりかさばったりするので,DDとは設計から異なってくる.
>何故アメリカは,DDクラスの艦を万能艦一種類に絞っているのですか?
冷戦末期における最新の戦闘システムを搭載したにも関わらず,それを安く大量に建造することを目的とした艦があったから.
冷戦後の縮小期であれば,なおのこと量の差を埋める質が欲しかった.
フライトIIAのヘリ搭載などは,DDGのDD化とも見て取れる.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
現代の駆逐艦って,何で足が遅いんですか?
第虹世界大戦でも40ノットの船とかあったのに.
【回答】
名前は同じ駆逐艦でも,かなり用途が異なってきてる面があるのです.
WW2頃の駆逐艦は,敵大型艦に接近して魚雷を打ち込み,逃げるというのが重要任務のひとつ.
そのために,襲撃・離脱をする際の一時的な最高速が要求されました.
敵大型艦よりかなり高速でないと,有利な位置が取れませんし,接近する前にやられてしまいます.
逃げるにも足が速いほうがもちろん有利.
現代の駆逐艦は,そうした魚雷攻撃任務を持たなくなったため,極端な最高速は重要で無いです.
そのかわり,巡航速力は技術進歩のおかげでかなり速くなってますね.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
中国海軍の最新鋭ミサイル駆逐艦のニュースを見たのですが,そもそもミサイル駆逐艦というのは,ミサイルを積んだ駆逐艦という意味でしょうか? それともミサイルを駆逐する艦艇という意味でしょうか?
【回答】
元々,駆逐艦という言葉の前には,「水雷艇」というのが付いていました.
「水雷艇駆逐艦」,すなわち,「水雷艇」を「駆逐」する「艦」と言う意味であり,
その成り立ちから言って,「ミサイル」を「駆逐」する「艦」ではありません.
で,「ミサイル」を積んだ「駆逐艦」かと言いますと,米国の場合では,個艦防空用のミサイルを積んだだけでは,単なる「駆逐艦」としてしか定義されません.
米海軍で「ミサイル駆逐艦」と言うのは,「戦域防空用の艦対空ミサイルを搭載した駆逐艦」と言う意味となります.
一方,ロシアでは,大型かつ長射程の「対艦ミサイル」を搭載した艦のことを「ロケット艦」と呼称しています.
中国の場合は,ロシアの影響が強いですから,「大型,長射程の対艦ミサイル」を搭載した駆逐艦であることから,日本語訳的には「ミサイル駆逐艦」となったのではないでしょうか.
上まぁ,Mass mediaでは,その辺の言葉をごっちゃにして,「ミサイル」を搭載しているから「ミサイル駆逐艦」と言ってしまう向きなきにしもあらずですがね.
(眠い人 ◆gQikaJHtf2)
【質問】
榴弾砲を駆逐艦に命中させれば沈みますか?
また,そんな使い方は可能ですか?
【回答】
さすがに一発や二発では沈まないだろうな.
装甲のない艦艇なら,155mm砲弾であれば一発でもかなりのダメージは受けるだろうが.
ミサイルのない時代には,沿岸に要塞や砲陣地を作って,海岸に接近してくる敵艦艇を撃つ,という砲の使い方は普通にあった.
実際陸地からの砲撃で損傷した艦艇は数多い.
でもミサイルが発達・普及してくると,艦艇は砲の遥か射程距離外から陸地を攻撃できるし,陸地から艦艇を攻撃するのだって遥か水平線の向こうの目標を狙えるから,海岸防衛兵器としての砲は廃れた.
ただ,艦艇が陸地を艦砲射撃することは,ミサイルが発達しても結構行われているので,逆に陸地から反撃されたって例も結構ある.
ヴェトナム戦争の時には,アメリカの駆逐艦が沿岸砲撃中に反撃されて損害を出している.
軍事板
青文字:加筆改修部分
更に更に蛇足.
日本で建造されたタイの海防艦Sri Ayutthayaは,1951年7月3日,陸軍のクーデターにより,陸上からの155mm榴弾砲射撃で大破着底し,後に引上げられてスクラップと成りました.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
駆逐艦が対地砲撃を行ったことってあるんですか?
【回答】
あります.
一例をあげると….
ヴェトナム戦争では駆逐艦が恒常的に艦砲射撃を行っています.
1966年以降,北爆に呼応して米第7歓待は隷下のTF-70-8(第70任務部隊第8グループ)を北ヴェトナム沖合に派遣して艦砲射撃を行うようになりました.
当初は旧式の大戦型巡洋艦が砲撃の中心でしたが,8インチ/6インチ砲弾の備蓄不足や旧式化による退役が進むにしたがって,5インチ砲搭載の駆逐艦が砲撃の主力になっていきます.
当初はTF-70の戦力は巡洋艦2隻に駆逐艦30隻でしたが,一時は最大で50隻の駆逐艦がこの作戦に従事しました.
これらの駆逐艦は,北ヴェトナムの砲兵部隊による反撃で多くの死傷者を出しています.
また,これに協力してオーストラリア海軍の駆逐艦も砲撃に参加しています.
名無し軍曹◆Sgt/Z4fqbE
【質問】
駆逐艦に底曳き網曳かせて,魚を捕るのは可能ですか?
いつも新鮮な魚が食べられて,士気の維持にもいいと思いますが.
【回答】
あれは専門の船でないと無理.
駆逐艦に網だけ曳かせても,転覆するのがオチ.
また,外洋は「青い砂漠」とも言われている場所なので,底引き網漁は無理.
ああいうのが出来るのは,あくまで大陸棚周辺の海域で専用の漁船を使っての話.
基本的に魚は沿岸にしかいないから,そんな事するぐらいなら近くの基地に食糧を補給しに行く方が楽.
外洋で採れる魚っていったらせいぜい回遊魚くらいのもんだ.
それでも漁船に取らした方がマシだな.
魚の捕獲・収納スペースも確保が困難だろうしな.
それに,食いきれない量の魚を捕えてしまった場合,海に放棄するのは政治的によろしくない.
外聞が悪いだろう.
軍事板
青文字:加筆改修部分
◆◆◆◆◆スプルーアンス Spruance 級
【質問】
なぜスプルーアンス級は7,800tと,それ以前のチャールズ・F・アダムズ級の4,525tから大幅に大型化したのか?
【回答】
第1に,リットン社の当初案では,ガス・タービン3基で高速を出すことを狙ったため.
当初案では,ガスタービンを3基とし,巡航時には1基のガス・タービンから電気カップリングを介して2軸を駆動するというものだった.
そして,3基で最大30ノットの速力を発揮するため,船体の長さを大きく設計した.
しかし後に,米海軍はその方式に不安を持ち,ガスタービン4基によるCOGAG方式へ変更される.
第2に,静粛性に対する要求から,各機器類や装備からの騒音低減や遮断のために,多くの容積や重量が割かれることになったため.
対潜作戦を主任務とする以上,駆逐艦と言えども静粛性が求められたのである.
詳しくは,「世界の艦船」2005年6月号,p.148(岡部いさく著述)を参照されたし.
【質問】
スプルーアンス級の建造費は?
【回答】
一括建造発注方式による節減が期待されたが,労働問題や技術的障害から建造が遅れ,それと共に,計画総経費は予定の25億ドルから,最終的には推定で37億6千万ドルに高騰.
1隻当たりの平均建造費は,見積もり8.350万ドルに対し,実際には1億2,430万ドルと,約50%膨張した.
詳しくは,「世界の艦船」2005年6月号,p.149(岡部いさく著述)を参照されたし.
【質問】
駆逐艦に過ぎないスプルーアンス級にまで,トマホーク巡航ミサイルが搭載されたのは何故か?
【回答】
冷戦末期に共産圏との対立姿勢を強めたレーガン政権の方針で,最奥部は別として,水上艦艇にも戦略攻撃を行う任務を担わせることになったため.
まず,メリル Merrill DD-976に1981年,トマホーク4発を収納する,装甲付き箱型発射機が搭載された.
これは,当初計画,戦艦アイオワ級4隻,原子力巡洋艦ヴァージニア級と同ロング・ビーチ,スプルーアンス級7隻に搭載する計画のためのテストだった.
スプ2ルーアンス級で最初にトマホークを実用搭載したのはコムト・ド・グラース
Comte de Grasse DD-974で,1984年.
他に5隻が同様に箱型発射機を搭載した.
その後,トマホーク搭載艦と各艦の搭載数をそれぞれ増すため,Mk41
VLSを装備させることになり,スプルーアンス級では箱型発射機搭載艦以外の23隻にそれを搭載.
また,コムト・ド・グラースのみ箱型発射機からVLSに改められた.
ハリー・W・ヒル Harry W. Hill DD-986のみ,どちらも搭載しなかった.
なお,湾岸戦争では1991/1/17の開戦初日,ポール・F・フォスター
Paul F. Foster DD-964は米艦艇中,最初にトマホークを発射,これが「湾岸戦争のオープニング・ショット」とされている.
詳しくは,「世界の艦船」2005年6月号,p.150-151(岡部いさく著述)を参照されたし.
【質問】
質問させていただきます.
スプルーアンス級の内,ただ1隻,ハリー・W・ヒルのみトマホーク巡航ミサイルが搭載されなかったそうですが,それは何故でしょうか?
消印所沢 ◆z3kTlzXTZ
【回答】
例によってグロセキュから.
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/dd-963.htm
によれば,
"DD986 lacks most of the update sgiveno
the run its of the class;
she acts as "Smart Ship'' cost-reduction
trials ship for the Pacific Fleet."
つまり,ハリー・W・ヒルは他の艦に与えられた(VLSを含む)最新装備を欠いたまま,「スマート・シップ」のテスト艦として太平洋艦隊で使われていた,ということみたいです.
名無し軍曹◆Sgt/Z4fqbE
【質問】
スプルーアンス級の戦歴は?
【回答】
1991年1月の湾岸戦争では,スプルーアンス級5隻からトマホーク巡航ミサイルが計112発,発射された.
1993年1月には,核施設査察へのイラクの協力が不充分だとして行われた懲罰攻撃に,スプルーアンス級3隻が参加して,トマホーク46発を発射.
同年4月のイラク情報本部攻撃には,パターソン
Peterson DD-969が参加し,14発を発射.
1996年には,フセイン政権のクルド人住民への迫害に対する懲罰作戦「デザート・ストライク」に,ヒューイット
Hewitt DD-966が参加.
1998年,停戦協定違反に対する懲罰攻撃「デザート・フォックス」では,スプルーアンス級4隻が参加.
なお,1999年のコソボ紛争を巡るユーゴスラビア攻撃「アライド・フォース作戦」にも2隻が参加したが,実際にトマホークを発射したかは不明.
詳しくは,「世界の艦船」2005年6月号,p.151-152(岡部いさく著述)を参照されたし.
【質問】
スプルーアンス級の派生型は?
【回答】
計画当初,共通の船体を使ったミサイル駆逐艦の建造が考えられたが,予算の制約など様々な制約から,米海軍はこれを発注しなかった.
しかし,イランがこれを4隻発注.
だが,1979年のイラン・イスラーム革命によって,これら4隻は米海軍に購入され,キッド級として就役した.
また,イージス・システム搭載艦計画でも,新規設計・建造では建造費が高額になるため,スプルーアンス級の船体を流用し,これがタイコンデロガ級となった.
大きな余裕を予め見こんで作られてあったスプルーアンス級の設計ではあったが,イージス・システム搭載は難しく,「靴べらを使って押し込んだ」と表現されている.
さらに,スプルーアンス級の船体設計を基礎とした小型VSTOL/ヘリ空母構想「Sea
Control Ship(制海艦)」が,1970年代に米海軍で検討された.
米海軍ではこれは結局ボツとなったが,スペイン海軍で採用され,軽空母「プリンシペ・デ・アストゥリアス
Principe de Asturias」が建造された.
詳しくは,「世界の艦船」2005年6月号,p.152(岡部いさく著述)を参照されたし.
【関連動画】
「ワレYouTube発見セリ」:スペイン海軍,プリンシペ・デ・アストゥリアス型軽空母
制海艦
faq39d01sc.jpg
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(画像掲示板より引用)
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