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<◆陸戦兵器 目次
<兵器FAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【link】

D.B.E 三二型」:やる夫で学ぶ銃の歴史(情報源:制作のしおり)

D.B.E 三二型」(2011-12-12)◆掃除してたら火縄銃でてきた

『銃・病原菌・鉄』書評:「地政学を英国で学ぶ」

『鉄砲伝来の日本史』(宇田川武久編,吉川弘文館,2007.10)

 現在,火縄銃や砲術の話では必ず登場する人,宇田川武久の編んだ論考集で,火縄銃の日本到来については,従来の種子島起源一辺倒を見直し,種子島も含む各地に,倭寇勢力などと縁が深い形で,分散波状的に伝わったのではと見ている.

 また,戦国期から江戸初期に成立した砲術の各流派の秘伝書をひもとき,どのような思想の要素を拾い出して秘伝が組み立てられているかをみている一編や,さらには,四国山間部における呪術と火縄銃のかかわり,南蛮と日本との関係をみている.

 そして,さらに幕末におけるミニエー銃などの受容,諸藩の調達状況やライフルカノンの模倣,史料と江戸川文庫に残る現物の突き合わせ,戦場医療と銃創などを扱った篇もおさめられている.

――――――軍事板,2011/02/28(月)
青文字:加筆改修部分

 【質問】
 銃砲を発明したのは誰なの?

 【回答】
 不明.

 1259年,南宋にて「突火槍」という竹製の使い捨て銃が発明されている.
 また,1280年の元にて,世界初の金属製の銃が発明されたようだ.
http://163.27.130.1/~peace/301/new_page_78.htm

 それ以前にも,火薬を利用したロケット弾や火炎放射器は色々ある.
 最古の物は,五代十国(10世紀)の壁画に描いてあった,火薬を使うことだけは判別できるが,銃とも何ともつかない謎の手持ち火器.

 時代は下って,イブン・ハルドゥーンが13世紀後期の大砲らしき攻城兵器のことを記している.
(「平凡社:イスラム世界の技術」より)※

 銃は南宋・大砲はマグリブ(北アフリカ)が元祖,と理解している.

世界史板

 ※詳細不明.『イスラム技術の歴史』(アフマド・Y・アルハサン他著,平凡社,1999,3)のことか?


 【質問】
 世界最古の鉄砲って,どんなものなんでしょうか?
 その性能は?

 【回答】
 1399年に破壊されたタンネンベルク要塞跡から,1849年に発掘された口径17mm程度の手砲,通称「タンンエンベルク銃」が今の所,実物が確認されている最古の火砲.
 引き金もストックもなく,片手で先端に火砲が付いた棒を支え,残りの手で火門に火種を放り込むタッチホール式の点火方式.
 射程は10m先に当てられれば御の字程度.
 防衛兵器としては使えるが,野戦では命中率,火種の準備の手間を考えると,とても使えなかった.

 文献や記録の中まで辿ると,宋代に使用された竹に火薬と金属片を仕込んで,敵に突きつけて炸裂させる突火槍ってのが,知られる限りの最古の火器.
 爆竹のでかい奴で,精々,敵を威嚇する程度の代物.

軍事板,2009/06/04(木)
青文字:加筆改修部分

▼ 現用銃に限るなら,M2キャリバーの元設計80年以上前.
 自動火器は動作機構の信頼性が命で,パターンもほぼ出尽くしてる.
 だから,ブローニングみたいな天才が作った,信頼性の高い機構が何十年も廃れずに残るってケースがある.

 逆にL85みたいに,生まれた時から失敗作みたいな例もあるけどな.

軍事板
青文字:加筆改修部分

初期の小銃
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 火薬の発見から銃が出来るまで随分と時間がありますが何でですか?

 【回答】
 銃(小銃)が運用されなかったのは,狙った位置に飛ばず,暴発の危険があり扱いも難しく連射が利かず,何より威力が無い為.

 ガリレオによる弾道学の発見で正確性を得て,フリントロック式の開発により速射性と安全性を高め,ライフリングにより威力が増大し,ようやく弓を超えた.

 マッチロック式(いわゆる火縄銃)はもっと前からあったけど,やっぱりクロスボウやロングボウが優秀すぎたから,現代ほどには重視されなかったんだろうね.

世界史板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 火縄銃って,水平二連発の銃はつくられなかったんでしょうか?

 【回答】
 二連どころか水平8連の「扇銃」なんてゲテモノまであったりする.

でも,多連装の火縄銃は
*装填が面倒(短銃身でもメンドイのに)
*黒色火薬を火縄で着火する方式では,全銃身にちゃんと着火される保証がない
*重くなるので構えるのが大変(小口径(当時のね)の多連装銃を構えられる
 腕力あるのなら,大口径の単装銃(いわゆる大筒)を使った方がいい)
*そもそもまっすぐ狙ったところに弾が飛んでく保障が低いものなので,それを多連装にしたところでちゃんと弾が拡散する保証がない
といった問題があって,「発想倒れ」の品というのが,江戸時代になってからの鉄砲道楽の人の研究結果.

 多連装にして一度に撃つのではなく,多連装の銃身から次々と撃つ連発式に・・・という発想もあって,実際にそういうものも日本でも西洋でも作られたが,火縄銃(というか,あの手の黒色火薬先込め銃)の発火方式だと,かなりの確率で「発射したい銃身」以外の装薬にも火が廻って,一度に全銃身が発砲してしまうことが起きるので,やっぱり実用性が低い,という結論になった.

軍事板
青文字:加筆改修部分

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 火縄銃以前の初期の鉄砲は,当時の弓矢より威力も有効射程距離も低かったのですか?

 【回答】
 火縄銃も含めて,旋条が切られていない滑腔銃は弾道が不安定なので,熟練した射手の扱う弓矢よりも当たりにくい.
 だからごく初期の銃は弾の威力よりも,音と煙で人馬を驚かせるために撃たれたようなものだった.
 また,工作精度も低かったので火薬の燃焼ガスの漏洩が多く,鎧も貫く長弓や弩弓などに比べれば威力は低かった.
 しかし熟練するまで数年を要し,体格にも左右される弓と比べて,銃のほうが射撃操作が簡単で誰でも扱えるというメリットがあった.
 このため,後期の火縄銃やフリントロック銃では,横に隊列を組んだ銃兵による一斉射撃で命中率の低さをカバーした.

 ちなみに,宮本武蔵がこんな事を書き遺している.

>弓は合戦の場にてかけひきにも出合ひ,
>鑓わき其外物きわゝゝにて早く取合するものなれば
>野合の合戦などに取分け宜きものなり,
>当世に於ては弓は申すに不及,諸芸花多くして実すくなし,
>さやうの芸能は肝要の時役に立がたし,其利少なし,
>城郭の内にしては鉄砲にしくことなし,
>野合などにても合戦のはじまらぬ内に其利多し,
>戦既に始まりては不足なるべし,
>弓の一つの徳は放つ矢人の目に見えて吉し,
>鉄砲の玉は目に見えざる処不足なり,
>此儀能く吟味ある可きことなり

 <現代語訳>
 弓は合戦の場で諸々の駆け引きに使え,槍や刀などを傍らにおいて素早く攻撃できるから,野外の合戦で特に使い勝手がいいのである.
 今の世の中(江戸時代初期,寛永20年ごろ)の弓術は使い物にならない.
 どの流派も見栄えばかり重視して中身が少ないからである.
 この様な見せ物はいざというときに役に立たず,意味がない.

 城の防衛戦においては鉄砲に勝る武器はない.
 野外の合戦においても接近戦の始まる前に活躍する.
 敵が近寄った段階では役に立たないだろう.

 弓の利点の一つは放った矢が目に見える事である.
 鉄砲の弾は目に見えないのが欠点である.
 重要な違いだからよく吟味しなければならない.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 銃器の利点の1つに,
弓などと違い,単純威力が使い手に左右されない」
というものがありますが,実際の所現代の歩兵もムキムキですよね.
 結局,銃が登場する以前も以後も兵士に必要な筋肉量は変化していないのでしょうか?

 【回答】
 弓はまともな戦力になるには,それこそプロ選手並の訓練と肉体改造が必要.
 銃なら健常な人間を付きっ切りで訓練すれば,1年かそこらで戦力化できる.
 その差.

軍事板
青文字:加筆改修部分

 そのため,たしかに銃器の登場は非熟練戦闘員の戦争参加を可能にしました.

 しかしプロの軍人となれば,数十キロに及ぶいろんな装備品を持って,何十キロも道なき道を行軍しないといけません.
 戦闘になればどれだけ走れるかで生き死にが決まります.

 さらに銃も正確に射撃するには,きちんと銃を保持する必要があり,ある程度の筋力が必要です.
 伏せ撃ちなど,筋力が必要ない撃ち方なら,女子供でも正確に撃てますが,戦場ではそうも言ってられません.
 手榴弾やロケットランチャー類は言うまでもないでしょう.

モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 馬に乗りながら鉄砲を撃っていた時代はあったのですか?
 弓ならあった思いますが,鉄砲は見たことも聞いたこともないです.

 【回答】
 片手用の銃ならいくらでも.
 ただ,マスケットの筒を切り詰めた初期の片手銃を使うぐらいなら,サーベルを抜いて馬の機動力で突っ込んだ方が強いから,あくまでサブウェポン.

 ヨーロッパでは,ランスよりピストルの方がリーチが長い分有利だという考え方から,16世紀ごろから騎兵用ピストルが流行り出した.
 重装備の槍騎兵が廃れた理由の一つとされている.
 ただし,ピストル装備の騎兵には歩兵の密集陣を破れるような衝撃力がないので,かつての槍騎兵のように戦場の主役になることはできなかった.
 ピストルで歩兵と戦うための「カラコール戦術」なんかも考案されたけど,結局は白兵突撃が一番いいということになった.

 両手を手綱から離して馬を操るのは,例え獲物が弓でも,遊牧民のような変態じみた能力がないと無理だから ,両手銃を携帯する騎兵(竜騎兵など)は基本的に降りてから使ってた.

 銃装した騎兵を,西洋では竜騎兵(ドラグーン)と呼んだ.
 ナポレオンの時代あたりに最盛期を迎えるが,竜騎兵が戦の花形だった時代は,そう長くは続かなかった.

 ちなみに言うと,ピストルが流行りだした時期とサーベルが多用されるようになった時期には,少しずれがあって,初期の頃は射撃後のピストルを,棍棒代わりにして白兵戦をやったりもしてたとか.

世界史板,2009/10/18(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 昔の先込め式(?)の鉄砲って,斜めにしたら弾がこぼれたりしなかったんですか?

 【回答】
 火薬と弾丸を入れたあと,槊杖(さくじょう)でがんがん付き固めますので,多少のことで出てくることはありません.
 あと弾を紙や柔らかい皮に包んで込めたりとか.

 ヨーロッパだとフリントロック銃が使われてた頃には,一発分の火薬と弾を紙包みにしたペーパーカートリッジというのがあった.
 包みの端を破いて火皿に点火用の火薬を盛ってから残りを銃口から注ぎ,最後に包み紙ごと弾を装填して槊杖でつき固めた.
 ちなみに紙には防水用に油脂が染み込ませてあったが,これに牛や豚の油が使われているという噂が発端になって起きたのがセポイの乱.

軍事板


 【質問】
 前装式銃の時代,何発も弾丸を詰め込んでしまった銃は,そのまま撃って大丈夫だったのですか?

 【回答】
http://kodaman-empire.kir.jp/Napoleon/weapon/weaponC18C.html
が参考になるかと.
 簡単に言えば,2倍の装薬によって銃身破裂などを引き起こし,最悪の場合,重傷を負うこともあったという.

 以下,関連部のみをコピペ.

 また点火薬と発射薬が別にあるため,点火薬だけが発火して発射薬に達せず,不発に終るということもよくあった.
 こういった場合,戦場の騒乱と黒色火薬の発する白煙とで発射薬の不発に気づかずにその上から装填を重ね,発砲してしまうと二倍の装薬のなす爆発の反動は凄まじかった.
 悪くすれば銃身が破裂して前腕や手,顔に重傷を負い,失明,良くても兵士の肩に強烈な一撃を受け,脱臼や打撲でしばらく腕が利かなくなる恐れがあった.
 フランスの有名な軍医長ラレイの報告によると,こういった”自滅”が1813年だけで3千件以上もあったという.

 南北戦争の記録では,回収された2万7千丁のマスケット銃の内,1万2千丁以上が装填されたままで,しかもそのかなりの物が複数発以上装填してあったという.
 つまり敵を目の前にした多くの兵士たちが,装填し銃を構えたものの引き金を引くことができず,空しく装填作業を繰り返していたというわけである.
 最高で一丁に23発もの弾丸が詰め込まれていたというから,兵士たちの一般社会での健全な心理的障壁がいかに大きかったかを物語っている.
 この殺人マシンとしての兵士の機能不全を含め,それらもろもろが兵器の”有効性”を下げていた原因ではないかと推論できるのである.

▼ 【反論】
 上記回答では『2倍の装薬によって銃身破裂などを引き起こし』とありますが,
 手元の書籍『戦場における「人殺し」の心理学』のp.074には,南北戦争時代の銃器の豆知識で,

――――――
〜頭が混乱して誤って二重装填することもあるかもしれない.
 しかしそれでも発砲できないわけではない.
 最初の弾丸で二発目は押し出されてしまうだけなのだから.
 めったにないことだが,弾丸が途中で引っ掛かったり,なにかの理由で銃が作動しなく〜
――――――

と書かれており,p.067には,

――――――
〜すでに装填済みなのを忘れて,二発目をその上から装填してしまうのは,珍しいことではなかった.
 しかし,それでも発砲できなくなるわけではない.
 銃身は頑丈だし,黒色火薬は比較的に威力が弱い.
 工場での試験やこの時代の試射などでは,複数の弾丸を詰めたらどうなるかしばしば実験されているし,銃身の先端まで目いっぱい弾薬を填めて,実験が行われた例もある.
 そのような状態で発砲すると,いちばん奥の弾丸が点火されて,ほかの弾丸はその勢いで銃身から押し出されるだけなのである.〜
――――――

とあります.

・二重装填された筒内の火薬が連鎖引火するか?
・そのときの反動はどうなるか?
・南北戦争のときの鉄砲と,フランスの鉄砲の強度の違いはどうでもいいの?

は調査と考察の要ありですが,安易に
「2倍の装薬によって銃身破裂などを引き起こし=絶対にダメ!」
と断言するのは,疑問が残るかと思います.

ぴぴぷー in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2010年03月18日 01:27

青文字:加筆改修部分

▼ 私も似たような疑問を感じていました.

 以下は,現代の工業製品的な感覚ですが.
 2重装填で事故が起きやすいというのは,原理的にはわかります.
 であればこそ,運用側もメーカー側も何らかの対策(ガス抜き穴を作る,強度を上げる)をするのではないかと.

 特に,初期の黒色火薬は品質も一定しなかったので,二重装填せずとも事故が起きた可能性も捨てきれません.
「通常の二倍の装薬を入れても暴発しません!(通常の使い方ならまず平気)」
みたいな宣伝をする銃器メーカーもあってよいんじゃないかと思います.

 一方,重量面の問題があるので,そこまで強度に余裕を持たせた設計も難しいかとは思いますが.

季節労働者@EMOBILE in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2010年04月10日 09:09

青文字:加筆改修部分

> 運用側もメーカー側も何らかの対策
>(ガス抜き穴を作る,強度を上げる)をするのではないかと.

 前装銃の時代の組織に,そういうことを求められても……
 全部ハンドメイドの時代なんですから.

 材料的な観点から見ると,砲口内圧力が倍になるわけでもなし,二重装填程度では,即座に破損につながるとは考えづらいですね.
 その上,反動も二倍未満でしょうね.
 それが射手にどういう影響を及ぼすかはわかりませんが……
 ただし,3発,4発,5発……と多重装填を繰り返し,(砲口内に土が詰まったのと同じような状態になってしまい),その上で点火した場合,銃が破壊される程度まで砲口内圧力が上がってしまうということは,十分に考えられると思います.

極東の名無し三等兵 in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2010年04月10日 12:45

青文字:加筆改修部分


 【質問】
 十七世紀の銃に安全装置ってありますかね?
 マスケット銃でしたっけ? 
 十七世紀の短銃ありますか?

 【回答】
 マスケット銃の安全装置というのはとても微妙な話なんだな.
 マスケット銃や当時の短銃の中でも,初期のマッチロックとよばれるいわゆる火縄銃については,火蓋がそのまま安全装置になっている.
 つまり,必ず安全装置が存在する.

 時代が下ると,マスケットはフリントロックとよばれる火打石タイプに変わるんだが,フリントロックの特徴は,マッチロック式では手で別に開けないといけなかった火蓋が引き金を引くと自動的に開き,同時に打ち金になって火花を飛ばすというタイプが主流だった.
 つまり,フリントロックになると火蓋は単なる湿気防止だけで,安全装置の役割を果たさなくなる.

 じゃ,フリントロック型のマスケット銃には安全装置がないのかというと,デュマの三銃士(銃はマスケット銃のこと)という小説に,新型のマスケット銃には安全装置が付いていて暴発しなくなったという話が出てくる.
 だから,フリントロック型のマスケット銃には安全装置があるものと,ないものがあった,というのが正解.

世界史板


 【質問】
 マスケットとかの前装銃の装填手順って……

1.まず防水脂で塗装した油紙で,弾丸・装薬を一包みにした実包を用意.
2.その実包を噛み切り,火皿に口火薬を入れ,残りの火薬を銃口から流し込む.
3.それから弾丸を転がし入れて,槊杖で一度突く.
4.(槊杖を元に収めて)発砲.
5.2.に戻って再装填開始.

っていう流れでいいですか?
 一発発砲したら,そのまま銃口に次の装薬を流し込んじゃっていいんでしょうか?

 あと,発砲を重ねると煤が銃身にこびりついて装填が遅くなるから, 少しずつ口径を小さくした弾を装填するようにしていくんですか?
 訓練された兵士なら,毎分5発ぐらいの発射速度は出せるんでしょうか?

 【回答】
 概ねそうだが,細かい点で

1.
 マッチロック(火縄銃)の時代だと,弾丸と装薬は別になっていることが多い.
 装薬はフラスコに入れて,ふたを開けると一発分の装薬が出るようになっていた.

2.
 パーカッションロックの場合,火皿に点火薬を入れる必要が無い.
 (というか火皿がない)
 実包とは別の雷管入れに入った雷管を取り付ける

 滑腔銃で連続射撃すると銃口が熱膨張で大きくなるから,口径の小さい弾にすることは無い.
 前装ライフル用のミニエ弾なら,もともと銃の口径より小さいから関係なさそうだし.
 また,弾丸を入れるときは包み紙も入れる.
 そうすると,槊杖で突いた後に弾が転がり落ちるのが防げる.

 発射速度は,訓練された兵なら20秒で1発という話もある.
 日本で古武術(古流法術?)の大家が火縄銃の早撃ちを試したら,1分に9発ぐらい撃てたって話もあったな.
 あと歴史群像の別冊の再現実験なら,9秒に1発ペースじゃなかったかと.

 【関連リンク】
http://kodaman-empire.kir.jp/Napoleon/weapon/weapon18-19C.html

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 マスケット銃って長い棒を穴につっこんでシコシコしてリロードしてますけど,あのとき使ってる棒ってなんて名前なんですか?
 詳しく画像つきで解説しているサイトなどがあったらあわせてお願いします.

 【回答】
さく杖(じょう)
ラムロッド(ramrod)

 さく杖,は古い言葉だと「込め矢」になる.
 下のサイトにいい感じの図解.
http://www1.neweb.ne.jp/wb/kaname/dord/arms/jacob.htm

軍事板
青文字:加筆改修部分

 射撃手順.
http://uk.youtube.com/watch?v=Ho-QCmnNMl8
http://uk.youtube.com/watch?v=2KTS8PQ06Qo

 Bess Lock分解.
http://uk.youtube.com/watch?v=q8qihssaWTA&feature=related

 教科書っぽい動画
http://www.youtube.com/watch?v=d47-51HhmxQ&NR=1

◆iqK7ZoWK2. in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 前装式のマスケットの空撃ちデモンストレーションの動画を見たんですが,火薬の紙袋を口で破って火皿にぱらぱらやったあと,紙袋と残りの火薬を棒で銃口の奥につめて,その後すぐに撃ってました.

 それで疑問に思ったのですが,実弾を込める場合って紙袋と一緒に込めるんですか?
 それとも紙袋詰めた後に,弾込めのためにもう一回棒でガチャガチャやるんですか?
 あともう一つ,弾を込める時に銃口の中で摩擦が起きて火薬に引火したりしないんでしょうか?

 【回答】
 ペーパーカートリッジは日本では早合(はやごう)と言い,再装填の速度を向上させるものです.
 通常は,発射薬を筒内に注ぎ込んだ後に弾丸を皮などのパッチに包み装填,ラミングします.

 パッチとは,抜弾防止と発射ガスを気密する目的で弾丸を包むものですが,ペーパーカットリッジはこの手順を省略する為に発明されました.
 つまり,この紙がパッチの役割を果たす訳ですね.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板,2009/06/03(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 密集隊形でマスケットの撃ち合いをしている時の下士官の仕事って何ですか?
 命令するなら士官がいるだろうし,士官の命令の復唱くらいしかないんじゃ?

 【回答】
 集団の大まかな動きを指揮するのが士官で,射撃命令を発するのが下士官.

>士官の命令の復唱くらい

 銃声,怒号,砲音で満たされた戦場において,それは重要な仕事ですよ.
 軍曹や伍長等,下士官の声がでかいのは演出や伊達じゃありません.

 隊列の端とか要となる部分に位置して,臆病風に吹かれて撃たない奴がいないか監視したり,隊列から逃げ出そうとする奴を撃ち殺したりします.
 隊列が崩れて壊走すればもっと死人が出るので,当然の処置です.
「戦場において,兵に敵よりも恐れられよ」
と言うのが,当時の優れた下士官の資質と言われています.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 何で前装式のマスケット銃って,握るところがまっすぐなんでしょう?
 反動とか考えると,現代みたいに曲がってる方が良いと思うんですが.

 【回答】
 頬付けして構える様に成ったのは,前装式のマスケットが登場してかなり経ってからです.

 それまでは両手で支え反動を受け流す形式が主流でした,
 初期には前装砲を小型化した手砲と呼ばれるものでした.

 ただ,銃本体が大きく重く,クロスボウのように頬付けして照準する事が困難だった為,初期の拳銃もこの形状を踏襲していました.

 これを軽量小型化したものが,イタリアのピストイア地方で製造され,ピストルの語源にもなっています.

 ちなみにピエトロベレッタ社は,この頃から銃器を製造している,最も古い企業の一つでもあります.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 近世のマスケット銃とかは,左利きの姿勢でも撃てるのでしょうか?
 撃鉄が邪魔ということはありませんか?

 【回答】
 マスケットのような火器は,右利き専用で造られているものが殆どですので,左利きに対応しようとすると火皿を左側面に配置しなければいけません.
 また,左で構えると火皿が目の前にあるので,火傷の危険があります.

 これらの問題が解消するのは,左右対称にできる管撃ち式の撃発機構が発明されてからになります.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板


 【質問】
 火縄銃ってどうやって縄に火をつけたんですか?
 火打石でもあったんでしょうか?

 【回答】
 火打ち石の他に火箱(ほばこ)と言う物もあり,焼けた炭を灰に埋めて容れていた.
 火縄への着火性は火箱の方がいいけど長時間は持たないし,事前に火を起こして炭を作って置く必要があった.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 後装銃がなかなか普及しなかったのは何故ですか?

 【回答】
 そもそも初期後装砲は,鉄の鋳造技術が低い,青銅は値段が高い(あと腐食に弱い),かといって鍛造では砲尾を塞げない……という妥協の結果使われてただけだから.ライフリングや尖鋭砲弾でも普通の前装砲より絶対性能が劣るぞ.
 命中精度は向上したとしても射程は確実に同じクラスの砲に負ける.それに危ない(爆発事故が多い)

 マスケットが小型化したのは,威力は確かに上がったが,重く,反動が強く,取り扱いにくくなった(体格のいいドイツ人傭兵ですら,支持架がないと構えられなかった)から.
 また,銃自体が重いので装填が大変で,いちいち支持架で支えないと狙いが付けられない=発射頻度が低下.
 つまり,威力より命中精度や発射率の点で使い勝手の悪さの方が際立ってしまったわけ.
 しかもそのうち装甲騎兵が戦場から姿を消して,大威力は不要になるし.
 射程距離はのびても,所詮滑腔銃だから命中率は大して変わらないし.(マグヌス効果で弾がカーブする)

 結局,マスケットという名前は十七世紀以降,(アルケブスという言葉の消滅とともに)小火器全般を指す言葉になる.


 【質問】
 前装銃について質問です.
 信長が使っていた火縄銃と,ナポレオンあたりのフリントロック銃は,どちらもライフルなし先込め.口径も同じくらいで,黒色火薬使用.点火方式以外は同じに見えるのですが,命中精度や威力などに差はあったのですか?

 【回答】
 「マスケット」は先込め銃の総称です.
(この部分,ソースはマール社の『武器』ていう本)
 言ってしまえば火縄銃もフリントロックも,どっちもマスケットです.

 〔ただし〕点火方式は大きく違います.
 種子島はマッチロックと言って火縄式で,火種が消える可能性があり,ロックタイム(引き鉄を引いてから発砲まで)が長く,マスケットのフロントロック方式は,フリントとバッテリー(当て金)の摩擦で火花を飛ばして点火するので,ロックタイムは比較的短いです.


 命中率に関しては『戦略戦術兵器事典3』(学研・戦史群像)P13において,
「(火縄銃は,フリントロックのような)打撃で点火する方式より,ショックが少ないという利点があった」
と述べられています.
 これは火縄銃の方が射撃時に動揺が少なく,命中率が高かったと示唆する文章です.

 また同,P89において,以下のように述べられています.
「フリントロックマスケットは,改良されたマッチロックマスケット(火縄銃のこと)より不正確で射撃速度が遅いと言う欠点があった(1670年当時)」
(しかし,射撃速度に関しては,早合の使用や,後にフリードリヒ大王の改造によって,五発/分を達成しています)
 〔なお,〕究極のマッチロックと言われた堺筒は,前装銃の中でもトップクラスです.

 以上,一部時代の技術の進歩を一部無視してますが,18世紀初頭と末期とでは,銃自体,ほとんど進化していないので,ナポレオンあたりのフリントロック銃についても,同様のことが言えるのではないかと愚考します.

 ちなみに現代の小火器に当てはめますと,その威力はほぼ軍用拳銃(9mmPARA/.45ACP)と同等です.

極東の名無し三等兵 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
および
三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板(青文字)


 【質問】
 日本産の火打石は質が悪くて,フリントロック銃には不向きだそうですが,これを補う方法は無いのでしょうか?
 戦国〜江戸時代くらいの技術で.

 【回答】
 ヨーロッパから輸入するしかない.
 現に戦国時代▼の一時期までは▲,硝石は輸入に頼ってた.

 火打石は,硬く鋭い稜角で火打ち金を打撃し,一点にかかる力を集中させて,火花を発生させるもの.
 つまり,ある程度鋭く硬い石なら,それが何であれ,材質関係なくその性能を果たすんだよ.

 良い火打石とは,
1,十分に硬いこと.
2,割ることによって容易に鋭い稜角が得られること. 
3,幾度もの打撃に耐えるために,十分な耐久性を持つこと.ってあたりかな?

 ここからは想像なんだが,たぶん日本の火打石は,3の耐久性で劣っているのだと思う.
 そのため,銃の着火に使うと,数発程度で損耗して使えなくなる.
 対策としては,数発撃ったら火打石を次々取り替えるっていうのが妥当かな?
 実際の西欧製のフリントロック式も,そうしているらしいし.

 てか,実際に江戸後期に試作した記録があるんだよね,フリントロック式の銃.
 これが普及しなかったのは,日本の火打石の性能が悪かったというより,単純に平和だったので火器の需要と新造が非常に少なく,火縄銃でその需要を十分に満たせていたからだと思う.

 また,フリントロックだと火打石ががつんと銃に当たって揺れるから,一発ごとの命中精度にこだわる日本人には好まれなかった.
 火縄なら縄だから当たりが柔らかだ.

 江戸時代後期になると,討幕運動やら外圧やらで世の中物騒になって来るんで,フリントロック式の銃の試作はされるようになるんだけど,量産性の点で外国製の銃に劣る部分があったり,南北戦争などの内戦やら紛争やらで,在庫がだぶついた中古兵器が大量に出回るようになるんで,結果的に国産化が進まなかったという実情もあったり.
 あと,銃の開発自体が幕府から目を付けられるという理由も伴って,大々的に出来なかったというのもある.

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青文字:加筆改修部分


 【質問】
 現存する古流砲術の中で,実際に銃を造ったりする流派ってあるんですか?
 また,実弾を込めて実際に撃つ練習するとこはありますか?
 それと別のサイトで見たんですが,関流以外は全て捏造か復元と聞いたんですが,ほんとですか?

 【回答】
 古式銃の新規製造は,日本だと法律で禁止されてるので,全て骨董品を直して使ってる.

 火縄銃の射撃(空砲ではなく,実際に弾を撃って的に当てる射撃のこと)は前装銃射撃連盟の管轄.
 小野尾さんっていうおっちゃんが孤軍奮闘で作り上げたような組織で,連絡先がちょっと見つからないんだけれど,千葉の小間子射撃場が本拠地だったと思った.

 日本ライフル射撃協会の下部組織なんで,日ラを通せば連絡は付けられると思う.

 京都の船岡祭では,火繩銃の射撃の腕を競う祭が3年ごとぐらいの間隔で行われている.

 日本での前装銃射撃は,まず程度の良い火縄を見つけるところから始まるから,けっこう大変ではある.
 銃の値段+それを直す値段で足して200万が相場とか聞いたことがある.

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青文字:加筆改修部分


 【質問】
 世界で初めて雷管が作られたのはいつ?
 それと,最初の雷管を作るのに使用した材料はなに?

 【回答】
 最初の雷管材料は雷酸水銀.
 発明者はエドワード・C・ハワードで1800年ジャスト.
 1807年に雷薬としてフォーサイスによって特許が取られた.
 応用されたのは彼の作った散弾銃.
 それまでの火打ち石式では,発火用黒色火薬の燃焼で鳥が逃げてしまうのが,燃焼の速い雷薬使用で防止できると考えた.
 同時に引き金を引いてから発射までの時間も短縮したが,普及には至らなかった.

 金属製の「雷管」は,ジョシュア・ショーが1814年に発明したとされているが,特許は1822年であり,発明年は明確でない.
 この鉄製の雷管が銅製の雷管となり,現代に至る.

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