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」´ ̄`lー) \
T¨L |_/⌒/ ←大戦初期の零戦
`レ ̄`ヽ〈
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_ゝ_/ ノ
L__jイ´_ )
| イ
| ノ--、 r'⌒ヽ_
ゝ、___ノ二7 /´ ̄l、_,/}:\
|ーi | l_/ /__ィ::. ゝ~_ィ´:; ,ゝ
__〉 { (T´ |1:::. \_>、};;_」
'ー‐┘ ! ` ̄''ァ一 、\ ヽ} ←中期の零戦
1 ヽ .:::レ ヽ、
|_イー-、_;;j|_:. ゝ、
__,,,... -- |. {―――‐フゝ、 〉 -- ...,,,__
_,, -‐ ´ ,r|__ト, 1ニノ ー'´ ` ‐- ,,_
, ‐ ´ └― ⊂(。Д。⊂⌒`つ←末期の零戦
軍事板,2003/02/20
青文字:加筆改修部分
『本当にゼロ戦は名機だったのか』(碇義朗著,光人社NF文庫,2010.4)
新しい史料の発掘やら,新しい解釈の流れに乗るために,このようなタイトルにしたのではないか?
最後に掲載されている参考文献を確認すると分かるが,殆どが普通に手に入る一般書籍.
参考文献の内容転載と,著者の経歴の中でインタビューした,関係者の証言で作った本.
・初陣の戦果に関しては従来の説のまま
・52型のマイナーチェンジの間の,栄の製造ミス事件の話が出てこない
・水メタノール噴射の解説で「酸素量を増やす」とあるが,これは「冷却による酸素密度の増加」では?
・巻末の参考文献で一次資料は操縦説明書くらいで昭和40年代刊行の零戦本が中心
・52型など後期の改造は,性能バランスを崩しダメになったと結論
突っ込みどころを探しながら読むなら,時間つぶしになる本.
ちなみに零戦に関しては,紫電改とか烈風とか後継機がシャンとしなかったことが,最大の不幸なんだろうけど .
――――――軍事板,2010/03/23(火)
青文字:加筆改修部分
『零式艦上戦闘機 2 〈歴史群像〉太平洋戦史シリーズ 33』(学研,2001/09)
一二型や四一型,排気タービン搭載零戦,カラーリング資料.
おまけにA7M1烈風試作4号機の写真と,初めて知る事だらけで,かなりビビッタ.
------------軍事板,2001/10/09
『零式戦闘機』(柳田邦男著,文春文庫,1980/04)
ゼロ戦英雄譚ではないが,ゼロ戦開発までの技術屋英雄譚(変な言い回しだが)としてはOK.
ビジネス書としても読めるかも.
------------軍事板,2001/06/19(火)
『零戦開発物語』(小福田晧文 著/光人社NF文庫)
同じ光人社NF文庫の『迎撃戦闘機 「雷電」』の中に小福田氏の名前が出てきたので,この本も買ってみたのだが,本の題名とは異なり,零戦だけでなく日本海軍の主な戦闘機開発の流れが載っている(10式艦上戦闘機〜烈風 他).
著者が技術者ではなく,零戦をはじめ各種の戦闘機に搭乗して実際に戦ったパイロットなので,そうした戦争でのエピソードも面白い.
また,海軍飛行実験部の主務者なども務めた事から,単なる戦闘機パイロット以上の視点で,飛行機について書かれているのも良い.
――――――軍事板
青文字:加筆改修部分
『零戦秘録 零式艦上戦闘機取扱説明書』(原勝洋編,ベストセラーズ,2001.7)
名前の通り,零戦の各型の取扱説明書を復刻したもの.
1944年に概説的な基準として,海軍が各型ごとに章分けしながら集成したものだそう.
巻末には自動消火装置の説明書と,米軍が捕獲した52型を使用して,空戦研究を行った報告が付属している(英語)
前に買った『B‐29操縦マニュアル』と比較してみると,こちらの方が運行・操縦のマニュアルに絞られていることもあるのだろうが,各課程ごとに図が入り,かつその図の中に人の絵が描かれているため,自分がどういう動作をすればいいのかというイメージが,しやすく感じられる.
――――――軍事板,2011/06/12(日)
【質問】
ゼロ戦は,米英の様々な技術をパクって作られたと聞いたのですが,実際の所,どうだったのでしょうか?
【回答】
パクった部分もあれば,ライセンス生産した部分もあれば,輸入した技術に改良を加えた部分もある.
パーツごとに見ると,
プロペラはハミルトン式のライセンス生産,
エンジンはプラット&ホイットニーの発展型,
引き込み脚はV-143の物の図面を参考に,
機銃はヴィッカースとエリコンのライセンス生産,
無線帰投方位測定器は戦前アメリカから輸入したもの.
パクりじゃなくてちゃんと買ってるのもある.
軍事板,2009/06/28(日)
青文字:加筆改修部分
また,ジュラルミンだが,少なくともWWIまではドイツ以外は作れなかった.
海軍を造機中将で退役した石川登喜治は,WWI真っ只中のイギリス留学中に,墜落したツェッペリン飛行船の調査に同行し,サンプルを入手,日本に送るが,日本ではこれと同じものをつくることができなかった.
戦後,海軍は「技術供与はできないが,製品は納入する」というドイツのメーカーと契約.
石川を含む14名が,ドイツの工場に派遣された.
このときに鍛造だの温度だのという冶金や加工の核心を,日本にドイツの工場にある設備と同じものを用意し,見聞きしたことを電報で伝え,追試できなければ何が悪いのかとまた探ると言う,非常な手間をかけて手に入れた.
日本がジュラルミンを作れるようになったのは1929年ごろ.
住友金属がジュラルミン製のカバンを,あちこちに配って宣伝していた.
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00077794&TYPE=HTML_FILE&POS=1
まあ,それでも七試単戦ではアレだったんだけど.
堀越二郎の本を読めば,金属強度の限界で分厚い主翼にならざる得なかった七試単戦で,どんだけ悔しい思いをしたかが判ると思う.
とにかく,ドイツ企業との関係の中で,ようやくジュラルミンの作り方を知った日本は,その後,独自に改良を加え,超ジュラルミンを九試艦戦で,そして超超ジュラルミンを十二試艦戦で使えることになる.
ドイツ経由のジュラルミンが無ければ,零戦そのものが存在しないわけだ.
これが10年くらいの間での話だから,ドイツ企業が日本海軍の話を蹴っていたりもたついていたりすると,日本製航空機というのは,強度の低い金属を構造材としたまま,戦争に突入するかもしれなかった.
幸運だったと言ってよい.
ふみ in 軍事板,2009/06/28(日)
青文字:加筆改修部分
それをパクリと呼ぶかどうかについては,疑問の余地もあるところ.
改良に改良を重ねてもパクリ呼ばわりされるなら,この世の全ての飛行機はライト兄弟のパクリだ.
軍事板,2009/06/29(月)
青文字:加筆改修部分
【質問】
下記のHP(旧日本軍弱小列伝)で,零戦はグロスターF.5/34のパクリと書かれていたのですが,これってほんとなのでしょうか?
by mailform
【回答】
これへの回答は
「堀越技師の書いた本読め」
という1行で済ませてもいいですよね?
消印所沢
日本軍弱小列伝の中の人は,○○さんだと勝手に思っているのですが,それじゃあ敢えて,以下の意見を紹介しておこうと思いました.
http://www.warbirds.jp/ansq/12/A2003079.html
http://www.warbirds.jp/ansqn/logs/A001/A0005121.html
これとかも使えますかね.
内部構造云々は,グロスターF5/34が鋼管構造だと言われている事を指しているのだと思います.
一方零戦は,セミモノコック構造ですよね.
構造面で零戦は,ヴォートV-143のカウリングから排気管周りにかけた処理方法と引き込み脚の構造を,陸軍の97式戦闘機から主翼と胴体の接合部の構造を取込んでいるので,パクリ云々を言うなら,グロスターF5/34よりも,上記の二機を挙げた方が適していたと思います.
デザイン面で言うと,機首から尾翼の方にかけてなだらかに機体を絞っていくのは,7試艦戦以来の伝統ですし,また旧日本軍弱小列伝に載っている3面図を見ると,主翼と水平尾翼の位置とサイズ比,垂直尾翼の位置やサイズ,主翼の取り付け角や捩じり下げの有無など,どうも零戦とグロスターF5/34とでは結構違っている様です.
ただ,上記三面図はプラモ用の図面っぽいので,どこまで確かな事なのかは定かではないですが.
零戦というか12試艦戦が,発動機を金星ではなく瑞星にした事を,F5/34のカウリングに合わせた為としていますが,同機に使用されたマーキュリー\は直径1.3mで,瑞星の1.1mよりも金星の1.2mの方が近い値です.
あとパクリの「状況証拠」として,計画説明書提出(昭和13年4月)してから試作一号機(昭和14年3月)がわずか11カ月という値を挙げていますが,計画説明書は,これは昭和12年9月の「十二試艦上戦闘機計画要求書」発行や,その数ヶ月前に行われた同計画要求書の内示を受け,三菱側が延々と行った設計検討の結果を受けて行われたもので,要するに概略設計を終えた後に行われたデザイン・レビューです.
11ヶ月で設計および試作1号機製作を終えたかの様な描写は,単なる印象操作に過ぎないと思います.
――日本近代史板
JSF
F.5/34はださくたんのイラスト見て描いたことあるけど,あれと零戦が似てるという時点で「目が腐ってるのでは」と言わざるを.
まぁ世の中には,見た目が似てるってだけで
「PS-1はP5Mのパクリ」
だとか言うやつも居りますが.
(挙句の果てに「PS-1はP5Mベース」)
この,スケビに載ってた例のださくたんの蛇の目コラムでは
「外国機の中では,見た目とスペックでもっとも十二試艦戦に似ている」
と表現していたもっさ.
十二試艦戦の化け物染みた航続距離には一応触れていたけど,15%にもなる空虚重量の差には気付いていなかったもっさりが.
まぁ見た目でギャーギャー言う半可通には,C-130とC-133とベルファストとAn-12を並べて見せてやれば良いもっさり.
メッサー=ハルゼー
プロペラが前についてて,エンジンがひとつで,主翼と尾翼がついてる!
わぁ,ホントにそっくりですね!!!11!!!1
極東の名無し三等兵
画像↓は,軍板で拾ってきました.
これだけ,水平尾翼容積が違うと空力特性も結構違うでしょうねえ.
後は,翼型の情報でもあれば面白いのですが.
同じだったらパクリ疑惑が濃くなりますけど.
ゆきかぜまる
水平尾翼の面積もそうですが,胴体が長く,取り付け位置がより後方,
ここまで違うと,操縦特性はまるで違う飛行機の筈です.
JSF
▼ ちなみに『あっと驚く飛行機の話 新しい視線で眺めるWWU』(飯山幸伸著,光人社NF文庫,2008.5)によると,ヴォートV-143は元々,ノースロップ社が米陸海軍向けに設計した戦闘機(いずれも不採用)を,ヴォート社が購入,米陸軍への採用や外国への輸出を目的としたもの.
結局はこれも米陸軍からは不採用になったものの,日本へ輸出された機体は主車輪の引き込み脚が参考になり,このことがヴォート社関係者による「ゼロはV-143のコピー」という主張の根拠になっているそうです.
(日本での採用は九六艦戦や九七戦との比較審査の結果,ボツ)
本書では,「平面図なら零戦よりも隼の方が似ている印象」としており,また隼の独特の主翼の形状(前進も後退もしていない前縁からなっており,翼弦の最厚部は前進している)は,中島飛行機の小山技師長が考案したものである,と指摘しています.
グロスターF.5/34は同社の複葉戦闘機グラディエーターからホーカー・ハリケーンやスーパーマリン・スピットファイヤの要求仕様にマッチさせたもの.
単葉になった主翼はテーパー翼で,引き込み脚は後方への半引き込み式.
また,開発・審査も零戦より先.
しかし,零戦21型とは外見は兎も角(細かいところは見なかった事にして),
搭載エンジンの差(零戦21型の方が百馬力ほど出力が高い)
空力処理の違い(零戦21型の方が翼面積が1u強大きく,全部重量は40s弱軽い)
能力差(零戦21型は6000mまで7分27秒で最高速度533km/h.F.5/34は6100mまで11分,最高速度508q/h)
など指摘しています.(F.5/34は試作二機のみ)
筆者の個人的な疑問なんだが,何でワザワザ外国の,それも「不採用機」をコピーせにゃならんのか.
不採用になるにはそれなりの問題を抱えてる訳で,そんなのを如何こうしてもリソースの無駄な気がする.
そもそも,V-143は兎も角,F.5/34は二機しか製作されていない訳で,そんな機体の情報を集める位なら,なぜ諸外国の航空エンジンの構造などの情報を集めないのだろうか.
そもそも「零戦はF.5/34のコピーだ」という話,なんで出てきたんだろう?
ていうか,本書の冒頭にこの三種類の飛行機の写真(零戦は32型だったが)があったけど,かすりもしてないほど似てないぞ.
〔略〕
この他に著者は零戦と「コンセプトが」似ている機体として十七試艦戦烈風とグラマンF8Fベアキャットを挙げています.
特にベアキャットについては,零戦が当時の米海軍の主力戦闘機F6Fヘルキャットに対し,低高度での運動性や上昇力で勝っている事から,それに対抗するため機体のスケールダウンや軽量化を行っています.
(F6F-5:全幅13.05m 全長10.24m 全高3.99m 主翼面積31.03u 自重重量4,190s 最大離陸重量6,991s
F8F-1:全幅10.92m 全長8.61m 全高4.22m 主翼面積22.67u 自重重量3,207s 最大離陸重量5,873s)
(この数字はディアゴスティーニ社のワールドウェポンから)
そして零戦と似ているベアキャットの特徴として,水滴型のキャノピーに覆われ胴体の一番高い所に置かれたコックピット,エンジンの大きさに合わせた極力小さな胴体,舵面の大きな尾翼,といった点を挙げています.
そう言われれば,そんな風に見えてきた気が…(笑).
グンジ in mixi,2008年05月11日16:52
▲
形状比較
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq01k07z03.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq01k07z03b.jpg
(軍事板より引用)
【質問】
〔上掲形状比較画像を見て,〕これむしろ「似てるなー」と思ったのは俺だけ?
パクリとは言わなくても,「参考にした」程度の類似性は感じられた.
特に飛行機や設計に詳しくない一般人なら,むしろその方が自然な印象じゃなかろうか…?
ぶり
【回答】
印象だけで断言するのは大問題ということです.並べている数値も全然足りないし.
>「参考にした」程度の類似性は感じられた.
それを言い出したら,全ての航空機は既存の機体を「参考にし」ています.よほどエポックメイキングな機体以外は.
ライトフライヤーでさえ「鳥を参考」にしています.
見た目だけでパクリが成立するなら,例えば最近の双発旅客機なんてほとんどの人には区別無理だと思いますけど.
330と767の写真を見せられてどっちって言われても,分かる人にはもちろんわかるでしょうけど,名前知ってるだけ程度の私には区別をつける自信はないです.
こちらのサイトさま
http://www.lnet.ne.jp/~aaa/
の航空機写真ギャラリーよりA330とB767の写真でも.
http://www.lnet.ne.jp/~aaa/TEI0619M.jpg
http://www.lnet.ne.jp/~aaa/TEI0406M.jpg
たいていの方には,零戦とF5/34より似てるように見えるのではないかと思いますが,でも私はこの両機がパクり関係にあるというようなお話は聞いたことがないのですよね.
要するに,構成要素が似通っていると,外見的にもある程度近くなるのは物理的にしょうがないわけで.でも,だからといってそれが即パクリの証拠にはなりません.
零式艦戦とF5/34では構造的な差のほうが顕著ですね,主翼の桁構造とか全然違います.
F5/34の正確な構造は知らないのですが,図を見る限り単桁−前縁でのD型トーションボックスか前桁−主桁トーションボックス構造で捩れ荷重を受け持ってます(主桁の後ろに大穴空けてタイヤ収納してるのがその証拠).
対して零戦のほうは,主桁−後桁でトーションボックスを形成して,タイヤは主桁の前に納める方式.
P-51の主桁構造と同じですね,
そのせいか,主桁はあの時期の飛行機としてはわりと後ろ目.
以上の差がありますから,主翼は同じように見えたとしても荷重分布とか,それに対応するための部材の配置やそのための計算はかなり違うと思います.
そこまで違うものにするなら,構造パクって手直しするより,自力で設計したほうが早いんじゃないかと.
それ以外に,主脚ですとか尾部構造もかなり違いますし(当然各部材の強度や接続方法も全然違う),性能的な面でもサイズはもちろん搭載量とか航続距離とかかなり違いますからねー.
あと,見た目だけなら多分イタリアの単葉空冷機のほうが似てると思います.
>よほどエポックメイキングな機体以外
リピッシュ博士のことかぁぁぁぁ?
【質問】
>名前知ってるだけ程度の私には区別をつける自信はないです.
この1文と後半の詳しい解説が全然一致してない気が…
前半では素人を装いながら,でも後半のパクリ否定ではいきなり専門家のような話を始めてるし…
別にパクリ説やそのサイトを全部肯定する気もないのですが,でも否定論者の言ってることも,まず否定有りきでバイアス掛かりすぎのような気がします.
【回答】
えくれあ氏が「名前を知っている程度」とした対象は,旅客機のエアバスA330とボーイングB767の筈でしょう.
後半のパクリ否定は零戦とF5/34,P-51の話です.
>でも否定論者の言ってることも,まず否定有りきでバイアス掛かりすぎのような気がします.
否定有りきも何も,実際に間違ってるのだからしょうがないのでは? また,航空機の構造について高い知見を有することと,個々の機種の特徴を覚えていることとを両立させる必要性も必然性も全く無いのであるが.
そもそも民間旅客機など興味の無い人間にとっては,その程度のものでしかない,としか当方は当該文章から読み取れない.
それと具体的に指摘できないのであれば
>まず否定有りきでバイアス掛かりすぎのような気がします.
などと印象操作と看做されても仕方の無いことを書くべきではないな.
妥当性を欠いた見解が根本から否定された,
ただそれだけ.
直上のえくれあ氏による書き込み含め,本項目に収録されている否定論は技術的見地から見たものであり,バイアスのかかる余地なぞ一切ありません.
むしろ,件のサイト管理人(とその記述を鵜呑みにする人々)こそ,客観的・技術的観点から論ずることを忘れていることからして酷いバイアスをかけた見方をしていると言えます.
いえいえ,自分もわかりにくい文章だったかもしれません.
前段のほうですが,ある二つの製品を「詳しくない人が似ていると感じること」自体と,その二つの製品の間の関係(この場合はパクリがあったかどうか)には,直接の関連性はなにもない,という意味合いのことを言いたかったのです.
エアバスA330とボーイング767を例に挙げたつもりでしたが,別に車でヴィッツとフィットが似てるとか,カメラのニコンとライカは似てるとか,日立と東芝のDVDレコーダーは似てるとか,そう感じる人がいても全然不思議ではないと思います.
でも,似てると感じる人がいても,その間に技術的な相関やパクリがあったかどうかは,まったく異なる問題であることはおわかりになろうかと思います.
私自身,いま例に挙げた3つはやはり区別つきません(笑).
でも,区別が付かないもの=パクりであると即断するのは間違いであると思います.
後段については余談に近いものです.
私自身は技術工学的な知識はほとんどありません.趣味誌や趣味本を眺めているだけです.
それでも数冊,丹念に読んでいくと,ああ当時こういう手法が知られていたんだな,こういう手法を試してみたんだなということはなんとなくわかりますし,そうした知識や理解を前提に眺めてみると,後段で書いたような違いも浮かんでくるよ,ということです.
似ていると思ったら,じゃあどこが似ていてどこが違うのか,なぜ似ていてなぜ違うのか,それを探ってみるのもこの趣味の一つの楽しみです.
似てるという印象をパクりと一言で言ってしまうのは楽ではあるし,一刀両断してしまえば気持ちよくもありますが,それは同時に思考停止を誘発する言葉でもあります.
思考停止は,技術とかその辺りの趣味を掘り下げる楽しみをスポイルする,それは残念なことですよ.
知る楽しみ,理解する楽しみというのは実にスリリングで楽しいものです.
なお,私自身は「F5/34を参考にした」説にも否定的です.
なぜなら,せいぜい写真くらいしか手に入らなかったF5/34よりも,手元に自由に扱える参考製品を当時の日本はいくつか持っているからです.
結果的にF5/34に似た何かが出来たとしても,最初からわざわざF5/34に似せなければいけない理由は何も見当たりませんし,
である以上,パクりが成立する必然性そのものがそもそも薄いと思います.
<他にもまだまだある日本軍パクリ疑惑!!>
戦艦長門は40cm砲を積んでるからコロラド級のパクリ!
日本の軍用犬はジャーマン・シェパードのパクリ!
「金曜カレー」は猫のパクリ!
(画像掲示板より引用)
【質問】
問題のグロスターF5/34って,どういう飛行機?
【回答】
グラディエーターの後継機として開発した戦闘機.
そう言われてみれば,グラディエーターを単葉に改めた感もなくはないね.
主脚は半引き込み式で,下の図を見ても分かるように,飛行中はタイヤがちょっとだけ顔を出している.
全長9.69m
全幅11.6m
全備重量1.2t
エンジンはブリストル・マーキュリーmk.9で825hpだから,初期の零戦よりさらに非力.
最大速度490km/h
実用上昇限度9800m
必殺技はF5攻撃(うそ)
採用されませんでしたとさ.
【質問】
3DCGで零戦21型の透視図を作りたいと思っています.
機体本体やにフレームついては,図面などそこそこの資料が見つかりますが,栄12型のモデリングの参考になる資料を見つけられません.
栄12型の図面などが載っている書籍ってないでしょうか?
【回答】
外形写真+アルファ程度でいいなら,「丸メカニック」あたりにある.
現在入手可能で,大体のイメージがわかり,簡易なものでもOKなら,
●双葉社の3DCGシリーズ「零戦」
●学研の歴史群像<太平洋戦史スペシャル>Vol.2『決定版
零式艦上戦闘機』
あたりでいかがか?
他には丸や航空雑誌のバックナンバー,国産航空エンジン史みたいな書籍もあるにはあるが,探すのに苦労すると思う.
神田の篠村書店,菅村書店,文華堂あたりも廻ってみてくれ.
動作機構や細部まで知りたければ,恵比寿の防衛図書館か,神奈川の第二術科学校図書館あたりに行って,栄エンジンのマニュアル現物を拝んでくればよいと思う.
防衛図書館なら複写も出来る.
軍事板,2011/10/25(火)〜10/26(水)
青文字:加筆改修部分
ゼロ戦のエンジンに用いられているボールベアリングの精度は, 現在の日本が作ったパチンコの玉以下
ttp://www.satotekkou.co.jp/technical/steel_jis.php
……なのですか?
【回答】
相手にすべきじゃないのは分かっているのだが…,かつてベアリング会社の禄を食んだ身としては,これは看過できない.
現代のパチンコ玉はJISの鋼球規格にしたがって作られているわけだが,1940年当時,真球度0.25(単位:μm
− 鋼球一個を地球直径にまで拡大した場合で富士山程度の凹凸に相当)のベアリングを量産出来ていた国がどこにあったのかと.
つか,パチンコ玉一個製造するのにどれだけ高度な技術が投入されていると思っておるのだ,
>「ゼロ戦のエンジンに用いられているボールベアリングの精度は,
>現在の日本が作ったパチンコの玉以下」
ってのは,技術史ってものを理解していない物言いだな.
そもそも計測機器が貧弱で,そんな精度のベアリングなんざ,もし作れても計測できんがな.
ただし,今のパチンコ球の精度はともかくとして,当時の日本のボールベアリングの品質はかなりひどかったと聞いています.
精度の点もありますが,強度や耐久性もいちじるしく問題があったそうです.
なにしろ戦闘機どころか,自転車部品のベアリングでさえ輸入にたよっていたという話もありますから.
東部戦線
質問内のリンク先で問題なのは,測定器具や生産後術といったインフラが比べ物にならないくらい発達した現在と,精々マイクロゲージ程度のものしかなかった当時とを比較している点でしょう.
これでは酷い印象操作でしかありません.
これが当時の米国のベアリングとでも比べていたら,まだ学問的にも価値がある比較でしたし,ここまで叩かれることも無かったでしょう.
ゆきかぜまる
ベアリングについてはこれが.
>欧州SKS製のそれに比べると,凡そ10倍も精度が悪いものでした.
JSF
【質問】
零戦開発時,防弾が考慮されなかったのは何故なの?
【回答】
俺たちは戦闘機に20mm機関砲を搭載した
↓
俺たちがやったということは,敵だってやる.次世代の航空機関砲の主流は20mmになるはず.
↓
20mmを装甲で防ぐのはさすがに現実的じゃないし,効かない装甲はただのウェイトだ.機動力で被弾率を下げる発想でいこう.
と言う流れ.
しかし実際には,
アメリカ「新型機の武装は12.7mm多連装になりますた」
日本海軍「えっ」
となるわけだが.
ちなみに20mm以前に,12.7mmを単発機が防ぐのも重量的に無理で,米国機の防弾だって7.7mmにしか対応してなかったし,中に火薬が詰まった20mmが炸裂したら4発重爆(B-24やB-29)も無事じゃいられなかった.
ただし日本海軍のエリコン20mm,特に1号銃の弾の信管は敏感すぎて,敵に当たった時,角度によってはジュラルミンの表面で着火してしまうことがあった.
単発機に撃っても効かないことがあったのの多くはそのせい.
漫画板,2015/01/31(土)
青文字:加筆改修部分
【質問】
ゼロ戦は防弾性能は無視しても,機体構造を強化して急降下を可能にしておけば,弱点は防弾の不備だけの名機になっていましたよね?
▼ 【回答】
まず,零戦は制限速度以上での急降下”も”可能です.
制限はあくまでも“その範囲なら壊れない”目安であって,それを超えたらすぐに壊れるわけではありません.
今回の場合,速度制限より,速度が早くなるにつれて重くなっていく舵の方が問題で,600km/h以上だと,操縦が困難になります.
また,ロール遅いため,急降下などへ移る際の初動が鈍い,また,翼面荷重が低いので,降下時の加速が遅いなどの問題が別に存在します.
結局のところ,制限速度は,いくつかある弱点の一つに過ぎません.
すべての弱点を直す,というのは不可能です.
例えば,制限速度を向上させれば,機体重量がかさみます.
高速時の機動を優先すれば,低速時の機動で不満が出ます.
このように,飛行機の性能はポイント制であって,どのようにポイントをふっていくかの問題でありました.
極東の名無し三等兵 in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2010年04月27日 03:22
▲
▼ 急降下に関しては,ゼロ戦は耐えられるほどの強化を持っていました.
川崎での急降下試験においても,堀越タンの「計算どおり」に900キロ強の速度に耐えられました.
しかし,問題はその後で起こりました.
試験機が実験終了後に速度を落として機体を引き上げたとき,突如空中分解を起こしたのです.
上昇に転じたとき分解したので,地上の人間からは打ち上げ花火のように見えたそうです.
「なぜ速度を落としたのに分解したのか」
これは堀越タンにとって予想外の出来事でした.
堀越タンは超一流の技術者でしたが,科学者ではありませんでした.
その頃はアメリカ様との学問的交流を絶たれていたため,技術はパクれても理論はパクれませんでした.
実は彼も知らなかった流体力学による最新理論によると,高速飛行中の機体の挙動においては,猫大好きカルカン渦が生じてしまい,開缶のときの「キュパッ!」の音に反応する猫たちがまとわりつくように,空気の乱れた流れによって生じた真空状態が,機体にダメージを与えるのです.
そのことを考慮すると,堀越タンの計算値は理論値より大幅にずれてしまうのです.▲
しかし自分の計算が間違っていたことに,彼は終戦後になるまで気がつきませんでした.
やむを得ず堀越タンは開発ノートに,「機体の欠陥未解決」と書き残すしかなかったのです.
ふみ in 軍事板,2010/03/22(月)
青文字:加筆改修部分
【反論】
上記回答(削除済みの箇所)は誤りですね.いろいろ.
戦中に空力的な問題は理解されて,戦闘機・急降下を行なう爆撃機を優先的に制限速度の検証が行われています.
機体の再設計はされて居ませんが,国家レベルでは研究と対処が行われています.
また,こうした研究は国家(もしくは軍の)航空技術研究組織が行なうことはむしろ効率的な方法で,堀越技師が個人で航空機が高速化したことで直面した最新の研究課題に無理解でも何ら問題は無いですね.
軍事板,2010/03/22(月)
青文字:加筆改修部分
▼※ どちらもソースがなく,真偽の判断がつかないので,とりあえず両論併記.▲
▼ 上記回答(削除済みの箇所)には,致命的な誤りがいくつかあります.
間違っている点
>試験機が実験終了後に速度を落として機体を引き上げたとき,突如空中分解を起こした
試験機(二号機)の空中分解は,急降下中に発生しています.
引き起こし後の空中分解事例は,二一型百四十号機と百三十五号機であり,試作機ではありません.
(『零式戦闘機』 柳田邦男 文春文庫 該当部分)
>学問的交流を絶たれていたため,技術はパクれても理論はパクれませんでした.
逆です.
むしろ,フラッター対策については,
「海外の文献や方法に頼りすぎていた」
と松平技師が回想しているように,海外の文献,理論,研究の多くを参考にしていました.
彼は続けて
「推定や概算で済ませた部分が多くあった.
実際に自分の手で模型を作って,実験してみるべきであった」
と書いています.
(『零式戦闘機』 柳田邦男 文春文庫 p393
要約)
>猫大好きカルカン渦が生じてしまい
「カルカン渦」ではなく,「カルマン渦」です.
英語で書けば「Karman Vortex」となります.
>高速飛行中の機体の挙動においては,猫大好きカルカン渦が生じてしまい
カルマン渦は,流れが遅い状態(円柱の場合 Re=60〜5000)でも発生します.
「高速飛行中の機体の挙動」などと限定するのは誤りです.
(『水力学』 富田幸雄 実教出版 p53 要約)
>空気の乱れた流れによって生じた真空状態が,機体にダメージを与えるのです.
カルマン渦では,圧力の低い部分は生じますが,通常,真空は生じません.
▼また,機体を破損させるのは,真空ではなく,カルマン渦列によって発生する振動,および共振現象です.
また,機体を破損させるのは,真空ではなく,カルマン渦列によって発生する振動,および自励振動です.▲
>実は彼も知らなかった流体力学による最新理論によると
カルマン渦列の発見は,1911年です.
▼カルマン渦列による共振現象は,「タコマ橋の崩落」などにより1940年以降に注目されますが,それは流体力学ではなく,振動工学や材料力学の範疇ですね.
カルマン渦列による自励振動は,「タコマ橋の崩落」などにより1940年以降に注目されますが,それは流体力学ではなく,振動工学や材料力学の範疇ですね.▲
>開発ノートに,「機体の欠陥未解決」と書き残すしかなかった
零戦の三件の空中分解事故の原因は,いずれも明らかになっています.
一件目は昇降舵マスバランス,あとの二つは,主翼ねじれと補助翼フラッターです.
これらはすぐに対策が取られて,(1941年6月)以後,同様の空中分解はおこっていません.
(『零式戦闘機』 柳田邦男 文春文庫 該当部分)
ということで,あまりにも誤りが多いので回答を差し替えた方が良いと思います.
また,上述誤りに関しては,正直,あまりに酷い(少なくとも技術的素養のある人間が書いたものではない)ので,“珍説”扱いにするのが,最も簡単でかつ妥当だと思います.※
以下,差し替え文案.
「まず,零戦は制限速度以上での急降下”も”可能です.
制限はあくまでも“その範囲なら壊れない”目安であって,それを超えたらすぐに壊れるわけではありません.
今回の場合,速度制限より,速度が早くなるにつれて重くなっていく舵の方が問題で,600km/h以上だと,操縦が困難になります.
また,ロール遅いため,急降下などへ移る際の初動が鈍い,また,翼面荷重が低いので,降下時の加速が遅いなどの問題が別に存在します.
結局のところ,制限速度は,いくつかある弱点の一つに過ぎません.
すべての弱点を直す,というのは不可能です.
例えば,制限速度を向上させれば,機体重量がかさみます.
高速時の機動を優先すれば,低速時の機動で不満が出ます.
このように,飛行機の性能はポイント制であって,どのようにポイントをふっていくかの問題でありました」
極東の名無し三等兵 in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2010年04月27日 03:21
※ なお,本サイトの2010.4.27現在の「珍説」認定要件に該当しないため,珍説扱いとはしませんでした.
編者
▲
▼>「カルマン渦列による共振現象」
とありますが,タコマ橋やフラッタは共振ではなく自励振動です.
共振とは,外から加えられる外乱の周波数が,系の固有振動数に一致してしまう場合の現象です.
これに対し自励振動は,外乱が周期的でなくても起きてしまうことがある現象です.
以下の動画は,A-6を使って実際に自励振動を起こさせた模様を撮影したものです.
http://www.youtube.com/watch?v=8D7YCCLGu5Y
HDK in FAQ BBS,2011/1/24(月) 0:6
青文字:加筆改修部分
その文章を書いた人間です.
訂正ありがとうございます.
おっしゃるとおり,正確には「自励振動」でありました.
当該項目に「共振現象」と書かれた部分が2箇所ありますが,これを「自励振動」に差し替えていただけると助かります.
極東の名無し三等兵 in FAQ BBS,2011/1/25(火)
14:45
青文字:加筆改修部分
▲
▼ 著者の方,レスポンスありがとうございました.
えらそうに申し訳ありません.
youtubeでflutterをキーワードにして調べるといろいろと見つかりますね.
B-747は圧巻ですね.
http://www.youtube.com/watch?v=ca4PgyBJAzM
HDK in FAQ BBS,2011/1/26(水) 16:24
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
零戦は軽量化のために防弾が皆無だったそうですが,開き直ってもっと重量を減らすことはできなかったのでしょうか?
そうすれば運動性は更に向上したのではないのでしょうか?
【回答】
もとからギリギリでした.
だって飛行テストで急降下したら,主翼もげて空中分解したんですよ.
あれ以上軽量化(それこそ肉抜きと言うべき)してたらまともに飛行できないでしょう.
急降下以前に普通に高速飛行してるだけで主翼がグワングワン歪んでますし.
軍事板
【質問】
零戦には大幅改良の余地がなかったの?
それとも日本の改良の度合いが足りないだけ?
ドイツだったら大戦末期には零戦85型丁とか平気で造ってたのかな?
【回答】
まず,零戦の仕様は海軍の要求から始まりました.
エンジンは現実的選択で栄に決定.
逆に機体は誉の性能をフルに引き出すべく,空気抵抗の低減と機体の軽量化を徹底的にやりました.
ちょっと大げさに褒めれば,当時の日本の工業力の限度以上とも言える性能を得たのです.
しかし徹底的な軽量化をされた機体なので,強度やバランスの問題から大型,大出力のエンジンは載せようがないのです.
そういったエンジンを載せるのなら,機体を強化したり改造するよりも,一から別の機体を作るのが普通な選択なのです.
そもそも,日本は小さく大出力で実用的なエンジンの開発ができませんでしたが.
一方Bf109は,強度等の余裕が大きく,エンジンもいいのが生産運用できたので,どんどん大出力化できました.
最初の零戦とBf109を比べると,零戦の航続距離は大雑把に3倍程度のはず.
(海軍がそう要求したから)
零戦は艦載機として設計されたというのも.艦載機だとどういったハンデを負わされるかはここでは略.
運用目的そのものが大違いというのも.
キルロイ ◆dtIofpVHHg in 軍事板
初期のBf109Bと後期のG型じゃ,エンジン出力が倍も違うし,武装も格段にグレードアップされている.
当初,680馬力7.92ミリ機銃×2の機体が,最後には13ミリ機銃×2 + 30ミリ×1
or 20ミリ×2(+状況に応じて手翼下にガンパック)加えて与圧コクピットと2000馬力エンジン積んでるんだ.
ほとんど別の機体と言っても過言じゃない.
でもゼロ戦は,エンジン出力も武装ほとんど変わっていない.最後まで1000級馬力エンジンだった.
機体の改良で重量増加してる割には,エンジン出力の増加がそれほどでもないので,出力重量比で見ると,ほとんど変わってない.
機体云々より,日本の技術でマトモな大出力エンジン作れなかったのが痛い.
雷電/紫電の開発・製造がもっとスムーズに行けば19年には交替できたかもしれないので,やむをえないのかもしれないが…….
軍事板
【質問】
零戦の性能向上としては,どんなことが試みられたの?
【回答】
零戦はわずか1000PSのエンジン出力であれもこれもと欲張りすぎたため,性能向上が難しかったともいわれています.
事実,初期の零戦2号戦(11型と21型)が一番航続距離も長く,離陸速度と着陸速度も一番低く操縦性も一番高かったそうです.
3号戦(32型と22型)の32型は横転速度の改善とスピード,急降下制限速度の改善をねらいましたが,航続距離が30%減ったため,ガタルカナルの作戦に有効に使用することができず,航続距離を伸ばすため22型ができました.
しかし32型の特長は無くなってしまいました.
5号戦(各種52型)は集合排気管をロケット排気管に改め速度と上昇性能は向上しましたが,運動性はさらに落ちました.丙型は重くなりすぎて最悪だったそうです.
64型はエンジンを金星に換装し性能も大幅に向上しましたが生産準備中に終戦になりました.
「零戦は,機体の防弾の要求が無かったので世界の一流機になれた」
と言っているパイロットも多くいます.
でも,1000PSクラスの戦闘機では最高の飛行機であると思います.2000PSクラスの戦闘機に充分対抗することができたのですから.
零戦は長く使用されすぎたのではないでしょうか.
後続機の烈風が後一年早くできていたら,雷電が一年早く実用になれば,紫電改が一年早く量産されれば,名機として引退できたのにと思います.
日本の航空エンジンの実力が低いため後続機ができるのが遅くなりすぎて残念だと思います.
零戦はつまるところレーサー的存在だったんだと思う.
それもフォーミュラカー.
商品化をまったく考えていないから,発展余裕も何も必要ない,
レギュレーション内で最大の性能を引き出すことに傾注されているフォーミュラカー.
絶対性能で零戦が劣った(当時として)存在だったとは思わないけど,何よりもまず工業製品である軍用装備ではやっちゃいけない設計手法だったとは思うね.
むろん,これは設計局の責ではなく,当時の日本の技術力を無視した軍側の要求にあったことは明白なんだけど.
2000psクラスエンジンにしても,まともに量産できなかったというよりも一切量産できなかった,というべきか...
例のハ45も,私としては2000psに届かなかった2000psエンジンというよりもむしろカリカリチューンでなんとか1800psを絞り出した1300psクラスエンジン,と見なしています.
そう考えると結局最後まで手なずけられなかったのも納得...
町工場でレース用のチューンド・エンジンを作って,それを乗用車に載せて日常利用,維持管理...悪夢です^^;
結局,零戦に限らず日本の軍用機はどこかレーシングカーのイメージがあるんですよね.先鋭化したチューンで無理矢理スペックだけ出す,っていう....
そうでもしない限り,工業先進国の「工業製品」に対抗するスペックを絞り出せなかった,というのがあるわけですが.というよりもスペックで並び,追い越すことだけに気を取られ,基礎となる技術についに無理解なままであった軍部..
それを象徴するのが零戦でありハ45であったように思う.
【余談】
凄いのは零戦100型(written by 志茂田景樹).
10番目の機体にエンジン無しという物凄さ!
……何も考えてないことが容易に想像できて悲しい…
【質問】
レーシングカーを戦場に送り出すような設計は,失敗と言えるんじゃないの?
【回答】
それは結局は軍中央の戦略・戦術思想の問題だから,どうしようもないと思います.
ドイツに影響されて総力戦思想を語る人は多かったけど,第一次大戦を体験してないので真の理解はしていなかったということでしょう.
そのため,戦略思想としては短期決戦,戦術思想としては格闘戦を念頭においていた.
根本が間違っていたのだから,現場の一技術者がいくら優秀でもどうしようもない.
ただ,戦略が短期決戦ならば戦争全体をそれにあわせて設計すべきであったのであり,それができなかったのが敗北の原因.
【質問】
零戦のエンジンを「金星」へ換装することは考えられなかったの?
【回答】
金星60系という1500馬力級の出現は18-19年だし,堀越チームは多忙でそれどころじゃなかったようだ.
実際,金星は直径1218mmで単座戦闘機用としては手頃――戦前はともかく,戦時中ならむしろ小さい部類――だったので,金星装備の打診は金星出現後すぐにあって堀越技師も賛成だったんだけれど断わったそうだ.
堀越氏の回想では1年以上早く出す事も可能だったとか.
エンジンを金星にして,武装を20mm×2に押さえれば,重量,出力ともにバランスが回復でき,結構有望だったとの事ですが・・・
三菱は戦闘機設計グループが堀越チームしかなかったので,零戦改造,雷電開発,17試艦戦開発で全く余裕がなかったらしい.
これが中島だったら設計をする余裕があったんだろうね.
また,昭和17年では航続距離の要求が高かったし,改造するにしても栄30系が有力候補だった.
さらに,上述のように各種戦闘機が開発中で,零戦の改造では中途半端だと思われていた.
栄が31型で打ち止めになったのに対し,金星が60型まで進化したことと,Bf109等の同時期に出現した戦闘機の搭載エンジンの出力推移を考えると,やはり金星を選ぶべきだったのだろう.
【質問】
金星エンジン搭載型の零戦の性能は良かったの?
【回答】
碇氏の『飛燕』に,金星搭載の零戦と5式戦の性能比較の記述があった.
エンジンは同じで全備重量は5式戦の方が重いのに,速度・上昇力・上昇限度とも5式戦が優り,格闘性でも劣らず,急降下では大きく差をつけられたと書いていた.
空力設計の点で5式戦が優ることを意味しているが,同時に陸軍機が海軍機ほどさまざまな制約(要求)を受けなかった点も大きいそうだ.
陸軍がともかくも1〜5式戦と毎年新しい戦闘機を登場させたのに,海軍はほとんど零戦の後継機を出せなかった,としめくくっていた.
また,”大いなる零戦の栄光と苦悩・第五巻”によると,五四丙型/六四型の性能は五式戦と比べ最高速度が7〜17Km/h劣ったが,上昇力,実用上昇限度,航続力は同等またはやや勝り,火力は同等,ということらしいです.
ちなみにこの本によると,誉発動機の不調で公称データより低い性能しか出せない紫電改より,金星発動機を載せた零戦のほうが性能が良かった可能性があるそうです.
【質問】
ゼロ戦は,7.7ミリと射程の違う当たらない20ミリ積まないで,7.7ミリ6丁か12.7ミリ4丁にすべきだったのでは?
7.7ミリは非力だって意見があるでしょうけど,6丁積んでたら,20ミリなんかより当たる可能性は格段にアップするでしょうし,敵機を撃破できなくても相当バランスくずせるのではと思いまして.
【回答】
「どうして20ミリに拘ったのですか?」
というような形式の質問でないのなら,
「ここは自説を開帳するための場所ではありません,適切なスレにご移動ください」
としか答えは返ってきません
で,なぜ拘ったのかというと,一発の威力が大きいからです.
もともと(20ミリ機銃に限らず,旧軍全般の傾向として)兵器の命中率の悪さは,技量で補えという見方も強くありましたし,もし7.7ミリや12.7ミリにしてても,米軍機の防弾性は高いんで容易には落ちなかっただろう,という分析意見も出ています.
たしかに,零戦の13mmは敵のブローニングM2をコピーして,オチキス系の13.2mm弾を使えるようにしたものですから,同じM2のデッドコピーである陸軍のホ-103よりは強力ではありましたし,坂井三郎は晩年,
「20mmは不要で13mmに統一すべきだった」
と言っていますが,日本のより数段威力が大きい13mmを持っていたドイツが,20mmでも威力が足りないって感じて30mmに移行した現実を見るべきでしょう.
また,朝鮮戦争でMiG15と戦ったF86パイロットのインタビューでは,M2だと威力不足で,敵の23mmの方がいいと言っています.
軍事板
青文字:加筆改修部分
その坂井の有名な体験談に「7.7mmつかえねー」って話もあるんだよな.
零戦でグラマンの後ろ取って,操縦席めがけて7.7mmを弾がなくなるまで撃ち込んだけど,防弾板を貫通できなかったと.
坂井はそれでも
「工夫すればパイロット殺して勝てる,角度とか」
みたいなこと言ってるけど,現実にはなかなかそう理想通りにはいかないわけで.
もちろん20mmは弾道性能悪いから,13mmが優れとるというのは反対しない.
特に防弾装備を捨ててる日本機は,戦闘機だろうと爆撃機だろうとバタバタ落とせるから,米機の12.7mm多連装が有効だった.
一方,日独は連合軍の重爆撃機や空飛ぶ黒死病を落とさんといけんので,20mm,30mm,あるいはそれ以上が必要と.
以上が通説と言っていい見方かな.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
零戦の補助翼は,なんであんなにでかいの?
【回答】
旋回性能を重視するなら,補助翼の効きは大事です.
(三舵の効きのバランスが大事ですけど,まず傾けないと機体は旋回出来ません)
零戦の場合は中低速での効きを重視して,大面積の補助翼を使いました.
その弊害で,高速域で重くなってしまったんですけどね.
(主翼の剛性不足もありますけど)
補助翼は設計でも苦心するところで,設計者のほう々は色々と工夫してますよ.
(日本機は離着陸性能に制約があるので,特に戦闘機以外になるとフラップとの兼ね合いもあって,なかなか十分な面積をとれないって事もあります)
軍事板
青文字:加筆改修部分
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