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「kojii.net」◆(2006/11/20)核武装論議で忘れられていること
「Togetter」◆(2010/10/30)へぼ担当氏@hebotantoとその周辺のつぶやきまとめ
>核兵器・原潜保有について
「VOR」◆(2012/06/21)日本は核武装するか 原子力基本法改正
「VOR」◆(2012/06/22)日本の核爆弾 持つべきか持たざるべきか
「週刊オブイェクト」◆(2010年04月01日)戦略原潜の運用方法を学習しない共同通信と産経新聞がAP通信の誤報に引っ掛かる
『日本の核論議はこれだ』(郷友総合研究所編,展転社,2008.4)
日本における核武装の可能性を探ったものとしては,これ以上に信頼できるものを見たことがない
(こちらは万が一決心した場合,軍事的他オプションとして採れる方法を真面目に考察したもので,技術的な話は僅かだが,元自衛隊高級幹部だけあって全てに渡って真摯に議論されており,お勧めできます)
のです.
他,いろいろ読んでみましたが,所謂,反核平和団体のプロパガンダを読むより苦痛となるような,嫌がらせとしか思えないような酷いものばかりでしたので.
――――――へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
『日本は原子爆弾をつくれるのか』(山田克哉著,PHP新書,2009.1)
一言で言えば,著者が理解していることと,理解していないことの差が激しすぎる.
また,信頼できるところとそうでないところが奇妙に同居しているため,何とも扱いに困る.
そのため,本書を始め,著者の一連の著作は有る程度理解した上で,本書の誤り,もしくは誤解を招きかねない記載を指摘できるレベルになければ,お勧めできない.
初心者の方には正しい知識と誤った知識を混在させてしまうため,絶対にお勧めできない.
また,著者は
>東京電機大学工学部電子工学科卒業.
>米国テネシー大学工学部原子力工学科大学院修士課程(原子炉理論)修了.
>同大学理学部物理学科大学院博士課程(理論物理学)修了.
>現在,ロサンゼルス・ピアース大学物理学科教授.
との経歴をたどっているが,その経歴通り原子力(特に原子炉物理学)に対する理解は「大学院修士課程(原子炉理論)修了」レベルで「止まっている」と感じる.
さらに,厳しい言い方をすればそれも昔のお話であって,現状はほとんど忘却しているのでは,と考えざるを得ない.
平易に書こうとする努力は多としたいが,少なくとも現時点において原子炉物理学(原子炉理論)専攻の修士論文で,この程度の理解で修士論文を執筆した場合,間違いなく「落第(修士論文再提出必要)」のレベルと言える.
著者のキャリアとしては,「理論物理学」の専門の方が遙かに長いのであろうが,著者の一連の著作を読んでいて一貫して感じたのは,決定的に実際を理解していないことである.
理論面での説明も,理論物理学的な所での齟齬は少ない(ただし致命的なTYPOも散見される)が,原子力分野の意味合いが強くなると,いきなり信頼性が墜ちる(脱落というレベルではなく,なまじ誤解が強いために,素人が書いた方がまだ手当がつく)ので扱いに困るのが正直なところ.
理学者が工学の教科書を書くと,このような悲惨な出来映えになるとの,典型的な見本のように感じる.
以上,酷評となったが,平易に書こうとするために大変な努力を払ったにも関わらず,クロスチェックなどで平易に指摘できる誤り・誤解を招きかねない記述の除去を怠ったため,その努力が水泡に帰したと言えるだけに,大変残念に思うところである.
ただ,著者の一連の著作物は全て同じ調子であるため,著者には学習能力がない,とも指摘すべき所であろう.
学歴だけで人を判断すると大変,と言うことがよく分かる例と愚考する.
以上,ご参考まで.
――――――へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
【質問】
日本は核武装するべきだと思いますけど,どうですか?
中共の核に対応するには必要だと思うんですけど.
何時までもアメリカの核の傘には頼れないし.
【回答】
アメリカに日本が頼れなくなるってのは,アメリカが東アジアから手を引くってことでつ.
実際に核武装を検討するのは,そのような状況になる前後からでも遅くはない.
少なくとも今現在では,差引勘定では損.
中共の核に対抗する……ということは,中国が日本に向けて核攻撃をした際に,核による報復を自前で行いたい,というわけですね?
まず核爆弾そのものの開発は,それほど時間がかからないでしょう.
しかし弾道ミサイルとして飛ばすには再突入体の開発が必要です.
また,地上発射式にすると,国土の狭い日本では,中国の先制第一撃で報復戦力が全滅してしまう可能性があるので,生存性の高い潜水艦発射式にする必要があるでしょう.
となると,原子力潜水艦が必要となります.通常動力型では居場所が特定されやすいので,先制第一撃で無力化される可能性が高く,即応性も低いからです.
となると,政治的・経済的なものを完全に無視しても4,5年はかかるでしょう.訓練期間を含めればさらに伸びます.
つまり核の傘を外したにも関わらず,自前の傘を用意できるまでの間,雨に打たれ続けるというわけです.
さらに,日本の核武装化は,核拡散防止に尽力してきた今までの日本と世界の努力を無にする事になります.
核をどこかの国が新規開発すれば,世界各国から後ろ指さされる状況にまでせっかく持っていったのに,日本が自らそれをぶち壊すのですか?
確かに日本が持てる力を発揮してごり押しすれば,何とか日本の核武装も達成できるかもしれません.
しかし,そうなれば「日本がやるなら俺のところも」と思う国々を押さえる根拠が薄くなってしまう.特権を与えろと主張しているのと同じ事ですからね.
核開発を発表した時点で当然アメリカは有形無形の圧力をかけてくるでしょう.核拡散に最も敏感なのはアメリカですからね.
日本の周辺諸国,つまり中国や南北朝鮮は言うに及ばず,ロシア・オーストラリア・東南アジア諸国も不快感を表明するでしょう.
ヨーロッパ諸国もいい顔をするわけありません.
それだけのリスクを払って,まだ核兵器が欲しいですか?
やっとのことで,IAEAによって
「日本の核開発は兵器転用の意図および可能性無し」
と公式に認められる運びですので,核武装とかの妄想を安易に叫んで,(実質的に)反日するのはやめてください.
評論家諸氏も,核兵器保有に関する困難さを,具体的に例を挙げて以下のように説明する.
――――――
技術的には日本は核兵器を短時間で持てる可能性が大きい.
核爆発(核分裂型の原爆と,原爆の高温を利用して核融合を起こさせる水爆とがある)の原理や構造はかなり公開されているので,それを実際のものにするには大きな障害はない(小型化や効率を高めるにはいろいろな工夫が必要になるが).
核分裂物質のプルトニウム239やウラン235は既に日本にあるし,核兵器に使うために純度や濃縮度を高めるのはそれほど難しいものではない.
その施設は既に日本にある.
その気になれば半年もあれば造れるという推測は誇張ではないだろう.
しかし,物理的障害や政治的な問題もある.
技術的な詳しい説明は省略するが,広島に落とされた原爆の起爆方式(ガン・バレル=砲身型)はウランしか使えず,しかも大量に必要で,小型化も難しいから,爆弾にせよミサイルの弾頭にせよ起爆方式にはあまり適さない(核砲弾のような例外はあるが).
小型軽量化や核分裂物質の効率的利用を狙うなら,長崎に使われた原爆の起爆方式(インプロージョン=爆縮型)にするのが一般的である.
ところがこの方式はかなり複雑で,理論計算から実際の製造技術など不確実要素が多い.
そこで爆発実験をしてみないと,実際に核分裂の連鎖反応(核爆発)が起こるのか,所期の爆発力が得られるのか,などが分からないのだが,日本には核実験ができる場所がない.
これだけ活断層だらけの日本で,国民に不安を与えずに核実験を行える場所があるだろうか.
政治的には,日本が核武装に走れば,少なくとも近い将来の話で言えば,日本は世界に背を向けることになる.
米国が日本の核武装を許さないのは明白である.
核兵器を造ろうとするなら日本はNPT(核拡散防止条約)から脱退し,IAEAによる保障措置(核の不正利用監視査察制度)を拒絶する必要がある.
北朝鮮やイラクのフセイン政権が行ったのと同じことをせねばならない.
それで一億三〇〇〇万人の国民の生活を保障できるだろうか.
日本が核兵器を保有できるのは,世界の多くの国々がほとんど「当たり前の兵器」として核兵器を保有するような状態になった時だろう.
そうなれば,フランスやイギリスのように,海外に「核実験場」を求めることができるかもしれない.
――――――江畑謙介 in 『中央公論』 2006年12月号
――――――
まず日本の核武装第1の関門は,国内の政治的混乱である.
戦後日本は「非核3原則」を国是としてきた.
核武装政策は,この「基本政策」(防衛白書)を180度転換する事を意味する.
しかも,我が国は世界で唯一の被曝国である.「非核3原則」に対する国民の支持は高い.
政策転換となれば,全国規模の反核運動が巻き起こるだろう.
我が国が核兵器を製造または保有する事は,原子力基本法で禁止されている.
核武装政策は,第2条を始め,核燃料物質の管理などを定めた原子力基本法と真っ向から抵触する.
また,「核燃料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」その他,同法施行令など最低でも27以上の関係法令に抵触する.
これらの法改正を実現するためには,衆参両院で過半数の支持を得なければならない.
だが,現状でその望みは薄い.時の防衛政務次官が,核武装論議の必要性に言及しただけで更迭された事は,記憶に新しい.
野党はもちろん,与党からも反対の声が上がるだろう.
以上の国内問題を乗り越えたとしても,さらに国際法上のハードルが待ち構えている.
日本は,1976年に批准した核兵器不拡散条約(NPT)により,
「核兵器その他の核爆発装置を製造せず,またはその他の方法によって取得しないこと」
等を「約束」している(第2条).
NPTは無期限延長が決定されており,締結国数は187ヶ国に上っている(未締結国はインド,パキスタン,イスラエル,キューバ).
2000年のNPT運用検討会議では,「明確な約束」としての核廃絶も合意された.
日本は1994年以来,国連総会に
「核兵器の究極的廃絶に向けた核軍縮に関する決議」
を提出するなどして,核廃絶に向けた国際社会の旗振り役を務めてきた.
核廃絶は,国際社会の中で日本が主導権を握ってきた唯一かつ最大の外交カードであろう.
これを手放す事は,一つの大きなリスクだ.
「近隣諸国」は元より,国際世論の強い反発を受け,我が国は国際社会から孤立することもありうる.
現在,日本は世界第4位のエネルギー消費大国である.
と同時に,日本はエネルギー資源が極度に乏しく,多くを海外に依存している.
これを補うのに,原子力エネルギーは避けられない課題だ.
日本はNPT当事国として,国際原子力機関(IAEA)の保障措置を受諾している(第3条).具体的には,核物質の計量管理,封じ込め(封印)・監視,そして査察である.
日本が核武装するには,NPTから脱退し,北朝鮮同様,IAEAの査察を拒否せねばならない.
しかし日本は現在,アメリカ,イギリス,フランス,カナダ,オーストラリア,中国の6ヶ国,および欧州原子力機関との間で2国間協力協定を締結し,原子力エネルギーや技術協力を受けている.
また,アメリカ,カナダ,イギリス,南アフリカ,オーストラリア,フランスなどと契約し,ウランを購入している.
これらの国々が,NPTから脱退した日本に資源提供や技術協力を続ける可能性は想定し難い.
国連安保理での非難決議や経済制裁措置も覚悟する必要があろう.
そうなれば,日本の資源が枯渇してしまう.※
核兵器製造自体は,日本にとって技術的に困難な作業ではない.官民を挙げて開発すれば,最短数ヵ月で可能となろう.
だが,その過程には更なるハードルが待ちうけている.
核に限らず,あらゆる兵器は,配備・運用する過程で運用実験というステップを踏む必要があるのだ.
もしそれが「大気圏内,宇宙空間および水中」であれば,部分的核実験禁止条約の違反となり,他の場所でも包括的核実験禁止条約(CTBT)に違反する.
同条約は未発効とはいえ,日本は既に批准書を寄託済みである.
法的ハードルをなぎ倒した後は,実験場所が必要だ.
中国のように広大な領土を有する国であれば,地下核実験も可能だろう.
だが,国土が狭隘な日本に,そうした実験場はない.
核は,他の通常兵器と違い,自国領内で使用する可能性が考えられない.
相手国領内に運搬できる手段がなければ,宝の持ち腐れとなる.
では,どからどう運搬するのか?
最も簡単な方法は,爆撃機で空から投下することだ.ペイロード(重量制限)を気にせず,破壊力の大きな核爆弾を投下できる.
しかし現在,日本は長距離爆撃機を保有していない.
「専守防衛」を無視して導入しても,地対空ミサイルなどの標的となろう.
敵のレーダーに発見されにくいステルス爆撃機の導入・運用もありうるが,以上のシナリオで米国が日本に供与する可能性は考えにくい.
ならば北朝鮮同様,弾道ミサイルを保有し,その弾頭部分に搭載する方法はどうか?
情報収集衛星の発射に成功した日本にとって,ミサイル開発の技術的ハードルは低い.※2
問題は,弾道ミサイルが発射態勢に入った時点で米国の偵察衛星に発見され,「先制攻撃」される可能性だ.
米国が発射を容認するシナリオもあり得るが,独自の核武装に成功しても,しょせんは米国の掌の上で運用できるに過ぎないことになる.
さらに言えば,この狭い国土の,一体どこに核兵器を配備するのか?
仮に,核物質防護を含め,一定の安全性が確保できた(ないしは確保したと政府が主張した)としても,核の受け入れに理解を示す自治体はあるまい.
結局,国有地である自衛隊基地に配備するしかないが,強力な反対運動は避けられない.
核弾頭を搭載したミサイルを潜水艦から発射する手段も考えられるが,日本に原子力潜水艦はなく,長期間の潜航は不可能である.
今後,日本が潜水艦発射型核兵器を保有・運用するなら,それは米国にとっても脅威となる.
日本が独自開発に突き進めば,日米関係は全面対決の様相を呈しよう.
かかる状況で,独自の兵器体系を開発できるかは疑問である.
核武装は「自前の核抑止力」を持つことと同義ではない.対象国と同等以上の報復能力が担保されない限り,抑止力とはならない.
1995年,複数の防衛庁幹部が,日本の核兵器保有の可能性を検討した際に作成した内部文書が述べる通り,
「我が国の場合は,確証破壊による抑止力保持の意義については否定的にならざるを得ない」 なぜなら,「国土狭隘,人口緻密,都市集中など,極めて脆弱な地理的特性を有する我が国が,他国と恐怖を均衡できることが可能か,という問いに直結する」からだ.
結局,核武装政策は失うものが大きく,得るものは少ない.政策上のコスト・パフォーマンスは最低レベルに近い.
現実には,各種の精密誘導兵器を導入・整備するだけで,抑止力は飛躍的に高まる.
日本は原潜や空母はおろか,一発のトマホークも保有していない.
核の前に導入すべき兵器は,山ほどある.
仮に日本が今後,核武装することが現実的かつ有効であり得るとすれば,それは唯一,米国が容認する場合であろう.
その可能性はゼロではないが,その道は,日本が米国と共に国連から脱退するシナリオさえ含む.
そうなれば,日米同盟はかえって強化されるはずである.
そのシナリオを念頭に核武装を論じるなら,非核三原則を段階的に廃棄することだ.
第1段階として,「持ちこませず」の部分を廃棄し,核搭載原潜等の寄港を認める.
同時に,米軍の
「装備における重要な変更ならびに日本国から行われる戦闘作戦行動」を「事前の協議の主題」
とした日米交換公文も廃止・修正するか,自動承認すると宣言する.
実際には過去,核が持ち込まれてきたことは「常識」であり,日米は極東有事の際に自動承認する密約も交わしている(中馬清福「密約外交」文春新書).
以上の「現状追認措置」に反対するのは,お決まりの「近隣諸国」と,それに呼応する国内の一部勢力くらいだろう.
米国が反対するはずもなく,もちろん予算もかからない.
たったこれだけのことで,核抑止力が飛躍的に増大するのだ.
北朝鮮の脅威に対抗する上では,日本核武装より,遥かに現実的で即効性のある政策変更となろう.
――――――潮匡人 from "SAPIO" 2003/6/11, p.27-29,抜粋要約
――――――
※ 「日本は,米,英,仏,加,豪州,中国の6カ国と協定を結び,天然ウランや濃縮ウランを輸入しているが,これらの協定では,輸入した核関連物資の使用を平和(民生)目的に限定されている.
したがって,日本が協定に違反した場合,禁輸措置に直面することは明らかである.
日本の総発電量の約30%が原子力発電に依存していることを考慮すれば,こうした禁輸措置は,高速増殖炉を実用化し,核燃料サイクルを確立しない限り,日本経済に深刻な悪影響を及ぼすことが必定である」
――――――防衛庁防衛研究所第1研究部主任研究官 小川伸一
引用元PDFファイル(防衛庁防衛研究所サイト内)
※2 再突入体が大気圏内で燃えつきないよう,減速させる技術の新規開発が必要になるという意見もある.
――――――
核開発専門家の間では,一つの国が自力で核兵器を開発製造するには,
「GNPの0.5%以上の研究開発費」
「世界的な自動車産業を有するほどの工業レベル」
という2つの条件を満たす必要があると言われている.
しかし現実には,相当の工業レベルに達していない中国やインド,パキスタン,南アフリカのような国でさえ,核開発のみに集中的に予算や人員を投下すれば,製造可能であることが事実をもって証明されている.
しかし,これはあくまで潜在的開発能力がどの程度必要かという話に過ぎない.
現在の国際社会において核開発を始めれば,激しい批判と制裁に晒され,有形無形の莫大な損失を蒙ることは間違いない.
実際問題として,開発遂行も非常に難しいといわざるを得ない.
というのは,日本の原子力関連施設には,1ヵ月から1年に1回の頻度で,IAEAによる査察が入り,核燃料の量が帳簿と合っているかどうかなど,常に厳しい監視の目が光っている.
核兵器開発の途中で,その事実が公になれば,国際社会から様々な圧力がかかり,開発継続は難しくなるだろう.
〔略〕
核兵器を設計する上で鍵となる技術は2つある.
1つは,使用する核物質の組成から,どのように核分裂の連鎖反応を起こさせるかを設計する「核設計」であり,もう1つは「起爆装置の開発」である.
前者に関しては,大学院原子炉物理学専攻の修士2年程度の知識があれば,公開されている情報と原子炉設計用のコンピュータ・プログラムの利用でクリアできる.
問題は起爆装置の開発だ.
これの最も基本的な形は,ガン・アッセンブル型と呼ばれる,銃に似た構造である.
半球形の核物質を2つ用意し,片方(A)をシリンダーの底に配置,もう片方(B)を距離を置いてシリンダー内に配置する.
そして,Bの後方で火薬を爆発させてBを瞬時にAにぶつけ,臨界,核分裂の連鎖へと反応を進ませるという方法だ.
この時,AとBが接触して臨界に達すると,その時点で大きなエネルギーが生まれ,衝撃波が発生するため,核分裂の連鎖反応が目的の深さで進む前に,AとBが反発して離れようとする.
だから,ほんの短い時間ではあるが,打ち込んだ直後,衝撃波に抗ってAとBが接触を保ち,連鎖反応を深く進展させる機構が必要になる.
起爆装置の設計が難しいのは正にこの部分で,
どれぐらいのスピードで打ち込むか?,
衝撃派の大きさはどれくらいか?,
いかに核物質の接触を保持するか?,
など,開発経験のない国にとっては全く未知の領域の課題が山積している.
少なくとも私は,日本国内で核兵器の起爆装置を研究している研究者の存在は耳にしたことがない.
防衛庁や軍需産業の研究機関で秘密裏に行われている可能性がないわけではないが,仮にいたとしても,結局は核実験を実施しなければ,信頼性の高い核兵器はできないので,ゼロからのスタートに均しいと言えるはずだ.
核兵器を作る場合,核物質としてウランを使用するか,プルトニウムを使用するかでも,その製作過程は異なる.
プルトニウムを使う場合,不純物として含まれるアメリシウム241がガンマ線やアルファ線を放出するため,プルトニウムが高熱になり,溶解を引き起こすという問題が発生する.
そこで,プルトニウムの球体を2つではなく,より細かく分割し,表面積を大きくして放熱を良くし,場合によっては冷却システムも備えなければならない.
しかし,多数に分割した球体を火薬の爆発で一瞬にして集積させて保持するとなると,当然のことながら起爆装置は複雑化し,設計はより困難になる.
だからプルトニウムを利用する場合は,核実験による動作の検証が不可欠となる.実際の実験データがなければ,コンピュータによるシミュレーション実験をすることもできない.
兵器というのは99%の信頼性では不充分で,120%の信頼性がなければ兵器とは呼べないのである.
もし高濃縮ウランが手に入るのであれば,設計はかなり容易になるため,最もシンプルなガン・アッセンブル型を採用し,核実験なしでもそこそこ信頼性のある兵器が作れるかもしれない.
しかし,青森県六ヶ所村にある遠心分離機では,こういった兵器級の高濃縮ウランを作る事は,今のままでは不可能だ.
また,3年程度運転した軽水炉の使用済み燃料を再処理して,兵器級プルトニウム(プルトニウム239の純度93%以上)を作るのも不可能である.
使用済み燃料からプルトニウムを抽出し,プルトニウム239の純度60%程度で金属プルトニウムを作ると,この場合は搭載量を倍以上にすることで対応できる.
一般的に核兵器のプルトニウムの搭載量は,純度93%のもので約4kgだが,60%の場合であれば,10kg以上にする必要がある.
核爆弾は,起爆装置も含めた全体重量が100kgを超えるので,この程度の重量増は問題にならないはずである.
もう一つ裏技として考えられるのは,軽水炉を半年から1年ほど運転したところで,燃料集合体に異常が発生したと偽っていったん止め,燃料集合体を引き抜いて,核爆弾の材料として貯蔵していくことだ.この時点で引き抜いた燃料集合体は,高純度の兵器級プルトニウム239に変化しているからである.
実際に,燃料集合体にピンホール状の穴が開いていて異常が起きる事は希にあり,それをカムフラージュにする.
技術的課題は他にもある.
起爆装置や核燃料の再処理だけでなく,再処理した液状のプルトニウムを金属プルトニウムに加工し,ニッケル・コーティングを施す技術の開発や,精密誘導可能なロケットの開発などが挙げられる.
とはいえ,金属加工については主に放射能対策の問題であり,ロケット開発にしても,H2ロケットの技術は既にアメリカのそれを凌駕しており,それほど大きな障壁とはならないだろう.※
これらの技術開発は,同時平行で進めていくことが可能なので,核兵器開発にかかる期間とは,もっとも時間のかかる起爆装置開発にかかる期間だといえる.
その起爆装置だが,楽観的に見ても完成まで2~3年はかかるだろう.
私は,日本が核武装すべき理由はないと考える.
北朝鮮は非公式に核保有を認めているが,たった2ヶ月で8000本もの使用済み燃料を処理した等と,専門家が聞けば一笑に付すような脅かしや,使用済み核燃料貯蔵施設と再処理工場の間を,トンネルを掘れば隠れて運べるのに,わざわざアメリカの偵察衛星から見えるように,これ見よがしにトラックで走り回るなど,彼らの行動はデモンストレーションの色合いが極めて強い.
――――――桜井淳〔技術評論家〕,同 p.30-31,抜粋要約
※H2ロケットからIRBMへ転換するには,難点があるとの指摘もある.
▼「核兵器を装備するには長期間を要し,比較的高価につくので,核兵器が実戦使用可能となるまでの国防が弱体となる期間を避けるため,慎重な計画が必要」
――――――『スウェーデンの核兵器問題』(スウェーデン外交政策研究所編,鹿島研究所出版会,1967),p.100
私も前から同じこと考えていました.
日本が核武装に迫られるもっともありえる状況というのは,米国が提供する核の傘に重大な懸念が生じたときでしょう.
太田さんが核武装論を唱え始めたのも,ちょうど彼がそんな懸念を持ったときでした.
しかし日本は自由民主主義国家である以上,核武装に関する議論は開かれた場所で行われることになります.
「日本は核武装する」という決定は裏返すと,「我々は米国の核の傘を全然信頼していない」と公言することなので,核弾頭・運搬手段の開発・配備が済むまで,日本はまったくの無防備,脆弱性に晒されることになります. それまでに周辺国から核の脅しをかけられたら一巻の終わりです.
というわけで,実質的に日本に残されている選択肢は,核の傘への信頼性を維持さらには向上させるというだけだと思います.
どうしようもなかったら,SLBMに関しては一時的に何かで代替させて,大急ぎでとりあえず核弾頭だけ開発して実験する,ということになると思います.
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【質問】
日本ほどの経済大国に対して,経済制裁なんてありえないのでは?
【回答】
さて,よくある話で「日本ほどの経済大国に対して,経済制裁なんてありえない」という論がある.
グローバリズムが相互依存を促し,双方に切っても切れない縁があるという理論だ.
だが,これは間違いだ.
私は,「相互依存は戦争の可能性を低くする」という論者だが,それは単純に経済だけではなく,政治,民間交流による価値観の相互理解,コミュニケーションの深化,相手側の意図の理解といって「複合的な要因」での相互依存,つまり「複合的相互依存」によって達成されるものであり,これらの内,一つの不足から容易に紛争へ至ると考えている.
これは,WW1前に既にヨーロッパでは経済の相互依存が進んでおり,イギリスとドイツで航空機の合併会社があったくらいで,貿易額も巨額なものであった事からも証明可能な,歴史的事実だ.
にも関わらず,世界大戦は起きたし,一度起きた戦争に,もはや相互依存の経済は何の意味も持たなくなった.
つまり,上に書いた「コミュニケーションの不足」が,互いの疑心暗鬼を強め,破滅を迎えたわけだ.
WW2でも,日本は,最大の石油輸入国であり,貿易相手である「アメリカ」に戦争を仕掛けた.
これは「安全保障とは空気のようなものであり,なくなった途端,生命の危機を覚える」ものということの証左でもある.
つまり「生命の危険」と「経済的な充足感」を天秤にかけると,当然「生命の安全」が優先されるという事に他ならない.
だからこそ,経済的な相互依存だけでは不足であり,公・民でのコミュニケーションが必須になるのである.
これがない国同士は,紛争が起きやすいと愚考する.
話を元に戻すと,「経済的なつながり」だけで「経済制裁はない」と考えるのは間違いで,「政治的」「文化的」なつながりといった相互理解のコミュニケーションと,「経済的なつながり」が合致してこそ,紛争の可能性は低くなるのだと思う.
EUなんかは,まさにそうだと思うのだが,どうだろう?
ますたーあじあ in mixi,2010年09月30日23:33
【珍説】
中・米・露の主要都市に報復できるだけの核戦力を持つべき.
【事実】
それだけの報復核戦力を持ったら,間違いなく日本は世代第3位の核大国になります.
加えて,現在は米露二者のみでやっているSTART(戦略核削減交渉)に引っ張り出されるのは確定です.
作ったそばから廃棄する事になりますよ.
(鳥坂◆nSC8E.bvp6 in コヴァ板・軍事板出張スレッド)
【珍説】
石破茂や藤原帰一の核武装不可能論など,あっという間に破綻する.
血を流す独立戦争ほどの覚悟もいらぬ.
自立して,言葉による戦いを始めようと腹を括ればいいだけだ.
小林よしのり in 『SAPIO』 2006/12/27 & 2007/1/4合併号,p.74
【事実】
「言葉による戦いを始め」れば,どのようにして核武装に関する障害の数々が克服できるのか,説明が一切ありませんね.
これでは言霊信仰でしかありません.
核武装を宗教にしてしまうのは感心しませんね.
それでは「9条教徒」を笑えませんよ.
ベクトルが真逆なだけで,同じ穴の狢だと言えるでしょう.
【質問】
「核の前に導入すべき兵器は,山ほどある」
といっても,いくら最新の兵器を導入しても通常兵器じゃあ,核保有国の中露にプレッシャーかけれるとは思えないんですが.
だって核兵器対通常兵器じゃあパイの投げ合いになった時は,どう考えてもこっちが先につぶれるに決まっているし・・・
【回答】
核戦力はそのものズバリ最終兵器ですから,おいそれと使うわけには生きません,
ですから通常戦力でも十分プレッシャーをかけることは可能です.
例えば,いざとなれば中国に対して「制海権」を確保できる日本の海上戦力は,中国にとって十分脅威だと思います.
ドカン・オオカミ ◆s6tJH5.VuA
さて,近代史を見ればわかるとおり
「相手が通常兵器しか使ってこないのに核兵器を使うのは許されない」
という不文律が国際関係にはございます.
朝鮮戦争,ベトナム戦争,中越戦争,アフガニスタン侵攻,いずれも核保有国が万単位の死者を出した戦いですが,どの国も核を使用してはいませんね?
「核兵器では核戦争しか抑止できない」
というのは極論としても,相手が通常兵器で来る場合には,こちらも通常兵器で対応する必要があると考えていいでしょう..
そういう意味で,通常兵器による抑止力の向上は充分に意味があることだと考えることができます.
軍事板
「核武装しなくても,わが国を守る手段はいくらでもある」
と述べるのは,軍事評論家の佐藤守である.
以下引用.
〔略〕
毛沢東は「核を保有しなければ,米国に侮られる」と,核兵器を開発したが,同時に北京周辺に大地下壕を掘り,各種軍事施設は地上から姿を消した.
勿論,米国も巨大な核シェルターを整備している.
核兵器を保有するということは,同時に核攻撃からの防御のため,国家の中枢機能および軍事施設の地下要塞化が絶対不可欠なのだ.
核戦略上当然のことなのだが,核兵器を保有するには,この様に攻守両面からの準備が必要なのである.
数年前に私が視察した台湾の花蓮航空基地は,頑丈な岩盤をくりぬいた,NBC攻撃に耐えられる一大地下要塞になっている.
核装備をしていなくとも,国家安全保障上,これが常識というものであろう.
今回の北朝鮮のミサイル発射で,首相など関係主要閣僚が緊急安保会議を開催したが,これは本来地下要塞でやるべきものである.無防備な首相官邸では,ミサイル攻撃で一瞬にして破壊され,国家の中枢機能はズタズタにされてしまうだろう.
現在行われている核武装論が滑稽なのは,こうした防御思想が皆無であることだ.
こんな核武装論は,かってのガダルカナル戦と同様で,白兵戦の突撃思想でしかない.
安易に核武装論を唱える者に
「核兵器を陸海空自衛隊のどこに持たせるのか?」
を質問してみよう.
すると,皆返事に詰まる筈だ.
基本的には,脆弱性を避けるために海上自衛隊の潜水艦にSLBM(またはCM…核装備巡航ミサイル)を装備させるべきだが,原子力潜水艦も保有していないわが海上自衛隊が,SLBM(CM)など装備することなどナンセンスだ.
しかも,核発射ボタンは3自衛隊の統率者である内閣総理大臣が持つことになるが,「その時」,冷静的確に判断して発射命令を下せる宰相が果たしているのか.
こう考えてくると,わが国が核ミサイルを開発・保有しても,敵国からは「こけおどし」としか見られず,侮られること必至だ.
≪今求められる基本的な国家戦略の構築≫
一部識者は「日本の技術力があれば,核兵器開発など一ヶ月もあれば出来る」と豪語する.
確かに工学部の「オタク?」学生を集め,防衛産業の中核をなす重工業を動員すれば,作れはするだろう.
しかし,スパイ防止法もない状態で,核拡散に手を貸すような事態が起きれば,世界の非難を一身に集めることは疑いない.
また,仮に核兵器を持っても,直ちに自衛隊に配備できる筈がない.核を配備する前に,高度で十分な訓練が必要なことはいうまでもないし,その「要員選別」にも十分配慮する必要が生じる.
まずわが国が核兵器開発を始める前になすべきことは,いかなる核戦略を構築するのかであり,これが最も重要な課題なのだ.
外交評論家の岡崎久彦氏が言うように,日本の核戦略の基本は日米同盟と戦略的に両立するものでなければならない.米国の外交戦略に反対してきたドゴールのようなフランス型ではなく,英国型でなければ,実質的な意味がない.
一部の核武装論者のように,「核武装して米国に対抗する」というのは支離滅裂な議論だ.
核兵器開発を始めるには,こうした基本的な国家戦略を構築し,国民世論の指導と喚起を図ることが必要不可欠だ.
仮に核武装に踏み切れば,核拡散防止条約から脱退することになるが,果たして脱退するだけの覚悟が日本国民と日本政府にあるのだろうか?
勿論「唯一の核被爆国」などという情緒論は世界には通用しない.
私は核武装よりも,高度な精密兵器と長距離爆撃機を保有して,「寄らばきるぞ!」の姿勢を持つことのほうが,核兵器を保有して失う国際的な信用よりも,効果は大きいと考える.
今議論されているのは,長期的な国家戦略に基づいた核武装論ではない.
核兵器保有国は「強い」のではなく,彼らは逆に「弱い」のだ.
米国もソ連の核兵器増強が怖かったからこそ,死に物狂いで冷戦という外交戦(SALTなど)を戦い,ソ連を核兵器なしで崩壊させたのである.
核兵器を持っている国は「強い」と同時に,実は非常に「弱い」のだ.
金正日は今回ミサイルを発射したが,本心は怖くて仕方がないはずだ.
今回の北朝鮮のミサイル発射に対して,額賀防衛庁長官が「敵基地攻撃論」を示唆する発言をしたが,当然のことである.
ところが,韓国などがこの発言に噛み付いたのは,彼らが「通常兵器」で武装された自衛隊の攻撃でさえも怖いと感じているからに他ならない.
昭和31年,鳩山内閣のとき,船田防衛庁長官は
「急迫不正の侵害が行われ,誘導弾などによる攻撃が行われた場合,他に手段がないと認められる限り,誘導弾などの基地を叩くことは,法理的には自衛の範囲に含まれ,可能である」
旨答弁している.
問題はその「叩く手段」を整備してこなかったことにある.
今わが国に必要なのは,こうした国家の基本的姿勢を確立する徹底した議論なのだ.
核武装しなくても,わが国を守る手段はいくらでもあるのだ.
当然ながら,
「核兵器を陸海空自衛隊のどこに持たせるのか?」
に対する有効な回答をまだ見たことがない.
【珍説】
核武装というような意見が真っ二つに割れてる問題を,一方の立場でのみ記述するのはどうかと.
大半の評論家が反核だから反核が正しいというわけでもないし.
そりゃ,このサイトに公平を求めるな,と言われればそれまでですが.
【事実】
現状,本サイトでの記述が,どちらかの側に寄っているように見えるとすれば,それはそうでない側の意見に,理がないからに過ぎません.
したがって,意図的に
>一方の立場でのみ記述する
などありえません.
意見が2つあるからといって,911テロ陰謀論が肯定的に取り上げられることがないのと同じこと.
現状,核保有肯定側の意見で,理のあるものは見当たりません.
もし「ある」と言われるのでしたら,具体的にそれを提示してください.
喜んで掲載させていただきます.
そもそも,
>意見が二つに分かれている
というのは,どこでの話でしょうか?
> 大半の評論家が反核だから反核が正しいというわけでもないし.
と述べているのですから,評論家の間での話ではありませんよね?
2ちゃんのどこかで,というのでしたら,論外です.
「FAQのFAQ」にある該当項目を読み返してください.
編者の私見では,スイスの例に倣って,机上の研究くらいはしていたほうがいいのではないかと愚考しておりますが,この私見とて厳密にメリット・デメリットを検討したものではなく,ゆえに根拠を欠く異見であるので掲載しておりません.
つまり本サイトでは,根拠のない「反論」にもとづく訂正要求は,たとえ編者自身の意見であっても門前払いです.
ですのであなたも確たる根拠をどうぞ.
ろくな根拠も示されずに,本サイトが公平ではないかのようなことを言われても,非常に迷惑です.
【質問】
日本は国土が狭いから核武装しても意味が無い,という話は本当ですか?
【回答】
あくまで米中露などにくらべて打たれ弱い,余計なコストがかかるって意味かと.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分
中学の地理の教科書でも読めばわかることだが,日本の国土の7割が山地.
人口の7割は都市に集中している.
日本人は,狭い平野部に都市を作り,工場を作り,米を作っているわけだ.
過剰なまでに人口,資産の集中した都市部,平野部を攻撃することで,容易に国家体制の崩壊へと追い込める.
弾道弾の射程からすれば,北海道も銀座も京都も目標としては変わらない.
かつての米ソの弾道弾のように,射程別の弾道弾を用意する必要もない.
行政単位としては別個の都市として計上されていても,京浜,中京,阪神の諸都市は同一弾頭の危害半径に収まってしまう.
▼都市一個が関東平野くらいの広さにある米中露とは,必要な弾頭数が全然違うわけだ.
都市が関東平野くらいの範囲に一個,というくらいに分散している米中露とは,必要な弾頭数が全然違うわけだ.▲
核戦争に抗甚するにはあまりにも国土が狭い,というのは事実だし,その国土の人口密度,こと都市のそれは少数の核であっても国がつぶれるだけの,人口何割で数える損害を容易に与えうることも事実だ.
ふみ in 軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ 政治経済中枢だけを破壊するのならそんなに違いはないと思いますが,できるだけ多くの住民殺戮,産業基盤の破壊を目的とするならば,分散していれば確かに効率は悪いでしょうね.
ちなみにワシントンD.C.は,千代田区よりちょっと大きいくらいですし,ニューヨークだって山手線内くらいです.
ワシントンを破壊するだけなら,京浜地区全体を破壊するより遥に低威力の弾頭で十分です.
都市を建物が延々と連なっている範囲ということなら,むしろアメリカなどは日本より都市規模は小さいです.
北京やモスクワも同様.
BMP in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
イスラエルのような小国ですら核抑止が可能なのでは?
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【回答】
あいまい戦略は核戦略であっても核抑止ではない.
周辺のアラブ諸国は(まあ最近はイランもあるけど)核武装していなかったし,しようとすれば阻止された.
アラブ諸国が核武装できなかった理由はNPTが機能しているから.
NPTが機能している間は,イスラエルは核武装を認めないし,中東の包括的和平が達成されるならNPTに加入すると言っている.
イスラエルの核は基本的に,戦時にアラブとの人口差を埋める戦術目的であって,核を抑止するものではない.
ふみ in 軍事板
青文字:加筆改修部分
C 「戦術目的」オンリーかどうかについて,『サムソン・オプション』などを元に要調査
【質問】
それでも,あえて日本が核武装を選択しなければならないとしたら,それはどんなときか?
【回答】
北韓の核開発問題など,日本が重大な危機に晒され,他に選択肢がもはやなくなった,というときには,あくまで「最悪の選択肢」として核武装を選択することもありうるという.
以下引用.
話し合ってもダメで,北朝鮮が核ミサイルを持つ懸念がどうしても消えない場合は,あらゆる手段を講じて阻止する必要がある.
同盟国アメリカがやらないならば,日本は日米同盟を破棄してでも,北朝鮮を攻撃する能力を自ら備え,場合によっては核武装し,金正日総書記を暗殺してでも,絶対にやめさせるというほどの覚悟を示しておく必要があります.
また,日本国民は核攻撃による犠牲に堪える覚悟があることを明らかにしておくとも,核による威嚇を退けるうえで重要なポイントとなります.
万一,北朝鮮が核開発を強行し,核ミサイルを日本に向ければ,日本では
「広島・長崎は二度とごめんだ,北朝鮮を先制攻撃せよ」
という世論が出てくるでしょう.
そんな事態は断じて望ましくありませんが,最終的に身を守るためには,日本の核武装や先制攻撃も,最悪の選択肢としてありうると考えなければなりません.
ここで必要なのは,日本にはそこまでの決意があることを北朝鮮に示し,ミサイルへの核の搭載や核兵器の開発を断念する選択肢しかありえないのだと,北朝鮮を導くことです.
「対話と圧力」と言いますが,日本の圧力として必要なのは「最悪の場合は容赦しない」という決意を示しておくことです.
小川和久著「日本の戦争力」(アスコム,2005.12.5),p.252-253
覚悟と言うのが曖昧な表現だが,本書を最初から最後まで通して読む限り,この「覚悟を示す」とは対外アピールを意味するものと推測される.
まあ,その「あらゆる手段」の中でも,核武装は最後のほうの優先度だろうし,現在でも「あらゆる手段」がつくされているかといえば,全然そのようには見えないわけで…….
またエマニュエル・トッドは,中国に対抗するために日本が核抑止力を持てば,東アジアはより安定すると述べている.
トッド 核兵器は偏在こそが怖い.広島,長崎の悲劇は米国だけが核を持っていたからで,米ソ冷戦期には使われなかった.
インドとパキスタンは双方が核を持った時に和平のテーブルについた.
中東が不安定なのはイスラエルだけに核があるからで,東アジアも中国だけでは安定しない.日本も持てばいい.
若宮 日本が,ですか.
トッド イランも日本も脅威に見舞われている地域の大国であり,核武装していない点でも同じだ.
一定の条件の下で日本やイランが核を持てば世界はより安定する.
エマニュエル・トッド&若宮啓文論説主幹(対談) in 朝日新聞,2006/10/30
【質問】
「核武装するつもりはないが,他の国が核武装の可能性を疑う」戦略をさらに進めるとなると,何がいるんかな?
・なぜか兵器級プルトニウムでないと動かない原子炉の開発
・その原子炉用のプルトニウム生産炉
・大遠距離からの対艦攻撃用弾道ミサイルの開発
あたりか.
3Fの2段目にあるLiDを核融合させるのに,核分裂以外のエネルギーを使う方法ってないもんかねえ( ・・)/
緑川だむ,2009年08月15日 13:45
【回答】
>・大遠距離からの対艦攻撃用弾道ミサイルの開発
ちょ!
Cpt.hige,2009年08月15日 14:02
> ・なぜか兵器級プルトニウムでないと動かない原子炉の開発
> ・その原子炉用のプルトニウム生産炉
こちらの方はとても簡単です.
IAEAにはモロバレとなり,経済上も全く割が合わなくなりますが,技術的な問題は僅かで,単純に運用を変えればよいだけのお話です.
原子炉の世界では,現状原子炉級プルトニウムで動いている物を,兵器級プルトニウムで動かす方は容易な方向ですので(逆は至難).
一方,抜けているのは
「兵器級プルトニウムを安全に取り出し,利用できる工程(再処理他加工施設)」
の方ですね.
原子炉以外で,意図しない核分裂反応が持続してしまう,JCO事故のような臨界事故を絶対に回避するための「臨界安全上のクレジット」
(要は兵器級プルトニウムの方が原子炉級プルトニウムより臨界になりやすいので,その旨の対策が必要となります.
まあ,運用で...とも言えますが,こちらは危険方向ですので一般に採用されることはありません.)
が一番の問題になるのですが,これ以上は機微情報ですので「げふんげふん」というところで.
以上,ご参考まで.
へぼ担当,2009年08月15日 14:03
以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分
【質問】
>原子炉の世界では,現状原子炉級プルトニウムで動いている物を,兵器級プルトニウムで動かす方は容易な方向ですので(逆は至難).
その場合,熱出力は高くなるんでしょうか?
あるいは,燃料全体の質量を減らせるという話なんでしょうか?
ゆきかぜまる,2009年08月15日 14:50
【回答】
> 熱出力と燃料全体の質量
以下,しばらくは動力炉(発電用原子炉や舶用炉)を前提にお話しします.
動力炉の場合,特殊な例外を除いて発電用の蒸気タービンの容量や,冷却系の容量,及び原子炉炉心での熱的制限値
(細かいお話となりますが,安全上で設定される原子炉の線出力密度や限界出力比などの冷却系各パラメーターです.)
の方で上限がやってきます.
よって,原子炉として熱出力は増加させることは不可能ではないが,それを受け止める方の上限で抑えられるため,熱出力の増加は基本的にありません.
また,燃料全体の質量も減らせないわけではありませんが,こちらも原子炉炉心での熱的制限値
(大雑把に言ってしまえば,核燃料の伝熱表面積や長さにも依存)
で引っかかってしまうために,ほとんど意味がありません.
質量という意味においては,例えばMOX燃料として
「天然ウランに混ぜ込むプルトニウムの質量を減らせる」
(大雑把に言えば燃えないプルトニウムがなく,かつ邪魔をしない分)
ことになりますが,これは少々別のお話です.
<必要でしたら解説しますが,若干難しくなりますのでここでは一旦割愛します.>
効果があるのは,炉心が持っている反応度が増加することによって,炉心の寿命が延びること(≒燃料交換なしで運転できる期間が増えること)です.
こちらにしても「余剰反応度の制限」他の事情があり,むやみやたらに延長できるわけではありませんが,核燃料として用いるプルトニウムの同位体存在比の違いによる核的性能の違いはこちらの方に活かすのが,当該分野における常識的な考え方です.
これは軍事的には
「安直に」
(それほど単純なお話ではないという意味です.
ただ,日本国内の軍事ライターでこの点を理解されている方は寡聞して残念ながら,ただのお一人も存じ上げておらず,落胆してばかりなのです.
しかし,同時に極めて高度な知識・実務経験が必要な分野ですので,それを期待するのも少々無理であることも理解しています.
ただ,個人的には「詳しい人間を捕まえて聞いてよ」とは常々考えていますが.)
良く言われる
「ウラン濃縮度の増加による軍事用舶用炉の炉心交換(RCOH他)間隔の延長」
に相当する考え方なのですが,「RCOH他間隔の延長」は上記の「余剰反応度の制限」他の事情も含め,「単にウラン濃縮度の増加だけによるものではない」ことを,蛇足ながら追記させていただきたいと考えます.
<それほど「RCOH他間隔の延長」は生やさしい技術ではありません.>
ちなみに動力炉以外の「冷却をほとんど無視できる特殊な原子炉」
(典型例:臨界集合体と呼ばれる原子炉の臨界を実証するような実験を行う施設:熱出力は多くとも数kWオーダー.多くはmWレベルであり,事実上冷却を無視できるか,自然冷却されるのが普通です.)
の場合,当然ながらその分だけ核燃料全体の質量を減らしても臨界を達成できるため,使用される核燃料全体の質量を減ることになります.
ただ,これは原子炉臨界のデータを取って,他に役立てると言うことになりますので,多少勝手が異なります.
一方,その中間の研究炉の方では,ほとんど動力炉と同じ事情になります.
ただ,こちらの方はその研究炉毎に様々に大きく異なる特性上,それぞれ別の複雑なお話となり,一般化は難しいため,詳細は省略します.
以上,ご参考まで.
へぼ担当,2009年08月15日 16:28
以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分
【質問】
ありがとうございます.
化石燃料にたとえるならば,燃費の改善に寄与する,ということですか?
ゆきかぜまる,2009年08月15日 16:38
【回答】
そのような理解で差し支えないと考えます.
より詳しくお話しするのであれば,レギュラーガソリン仕様の車において,レギュラーガソリンからハイオクガソリンに変更したことによって,燃費が若干良くなり,滑らかになったといったところでしょうか.
一方,ハイオクガソリン仕様の車にレギュラーガソリンを給油することは,動かないことはありませんが,所期の性能を発揮することは出来ませんし,ノッキングなどの何らかの悪影響が出ないとも限らないところですね.
例え話は本質を突かなければならないため,非常に難しいのですが,大きな誤解のない範囲でお話しすれば,以上のようなお話になるかと考えます.
以上,ご参考まで.
へぼ担当,2009年08月15日 16:56
以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分
【質問】
> (典型例:臨界集合体と呼ばれる原子炉の臨界を実証するような実験を行う施設
> 多くはmWレベル
触って「あちっ」で済みそうな出力ですが,そんな小さいものがあるんですね.
クローム・ツァハル,2009年08月15日 18:56
【回答】
> 臨界集合体
日本国内の代表例(学習目的も兼ねるため利用経験者が圧倒的に多い)は,以下の京都大学「臨界集合体」実験装置です.
KUCA Homepage
私自身が生まれて初めて,ウランはじめ核燃料を扱ったのも,原子炉を起動・操作させたのも,実際の原子炉スクラムを経験したのも皆,ここです.
私自身はKUCAでの通常出力10mW前後から,熱出力3292MWtの大型商業炉まで,その差,実に4×10の11乗という恐ろしい状況の運転経験を持ちますが,原子炉の挙動を理解するにはこれ以上の教育施設はありません.
また,全てを把握するのは難しい大型商業炉の前に,コンパクトで全てを学生でも理解できる,KUCAの運転経験は何にも代え難く,それまで机上の空論であったのが,実際の物理現象としての臨界に立ち会うことで,全く違う道が広がったことを痛感しています.
ちなみにここでは毎年,夏の暑い時期に「大学院生実験」が行われ,全国の大学から希望者が集まり,地獄の1週間となる原子炉ブートキャンプが行われます.
さすがにビリー隊長はいませんが(笑),各大学の原子炉物理学の権威などが結集して,体力・精神力の続く限り実験とレポート提出(恐ろしいことにその期間内に提出が要求される)が繰り返され,最終日には完全徹夜確定.
皆へとへとになりながら各大学に帰還するという,地獄の様な日々が繰り広げられます.
ただ,ここで一緒に学んだ仲間・先生方は一生モノであったりし,就職してからも発注元と元請けで再会したり,先生方にはお仕事でお世話になったりと,交流が長年続く物となっています.
残念ながら,カリキュラムの専門性・難解性から
「原子力系の大学院生限定――私の当時は東大を除く旧七帝大と,現神戸大学(当時の神戸商船大)のみでした」
という条件が付いてしまいますが,人気(ただし相当の覚悟が必要)実験であることは間違いなく,私自身も学生時代にこれを経験したことが大変な誇りであり,その後のキャリア形成にも大きな影響を与えたことを思い出します.
以上,一部昔話ですが,ご参考まで.
へぼ担当,2009年08月15日 19:57
以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分
,;r''"~ ̄^'ヽ,
./ ;ヽ 核分裂を起さないウランは濃縮されていない238だ!
l _,,,,,,,,_,;;;;i
l l''|~___;;、_y__ lミ;l 核分裂を起こすウランはよく濃縮された235だ!
゙l;| | `'",;_,i`'"|;i |
,r''i ヽ, '~rーj`c=/ ホント,核分裂は地獄だぜ! フゥハハハーハァー
,/ ヽ ヽ`ー"/:: `ヽ
/ ゙ヽ  ̄、::::: ゙l,
|;/"⌒ヽ, \ ヽ: _l_ ri ri
l l ヽr‐─ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| | / |
゙l゙l, l,|`゙゙゙''―ll___l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
| ヽ ヽ _|_ _ "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ
/"ヽ 'j_/ヽヽ, ̄ ,,,/"''''''''''''⊃r‐l'二二二T ̄ ̄ ̄ [i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`"
/ ヽ ー──''''''""(;;) `゙,j" | | |
_,,,,,,,,,ヽ、 ,,,,,r-'''''ーー'''| | | |
''" ヽ,,___,,,r‐''''''二__ |__| | |
\'''" / ノ | |
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原子炉ブートキャンプとか聞いて,不謹慎なねたを思いついてしまいました.
ゆきかぜまる,2009年08月15日 20:08
某国「げんしけん」の場合
\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
独 核 ../::::::::::::::::::::::::,::::::::::::::::::::::::::::::
い 裁 兵 ヽ:::::::::::::::::::::::::ヽ、,:::::::::::::::::::::::::
ま 者 器 〉∧i i゙i .|l, 、ヽ斗l' ヽ::::::::::::::
せ な が /`トl、{.ヽ.l!、 イ℃)ヽ,i::::::::::::
ん ん 嫌 >! (℃}`ヽ ヽ!"´´ ヽ l,:::::::::::
!!!! か い l ."/// ////// u |:::::::::
な i /// ヽ ._....-- 、. !::::::::
v-"!、u . .r‐''''"゛ l .il:::::::::
.、., i〟 ..,,/ヽl::::::::`-..,'!, /・/ l::::::::
! ./ `'".!::::::::::::::::::::`''!-ii=--;;'''".ノ |:::::::::
″ !:::::::::::::::::::::::::::::::::`"''ァ'"゛'., ー''│:::::
,!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/],,/ l::::::::
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iヽ,∧/i,7::::::::::::::::::::::::::::/ / ,l'l ,,i'!:::::::
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.| ...〟 l::::./ ゙゙ノ,ljZr"''''''゙゙".、/ ./:::::
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.゙'、ヽ_,,,..i''|′.l ./ ./ ''''ー′ l /::::::::::::
::::::.`'ー--'゙/ ./ .│ .| / ""''''""l .!::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::ヽ! ,! ''!'' i |/:::::::::::::::::
井上@Kojii.net,2009年08月15日 20:57
...!
<ツボにはまって苦しいらしい.
へぼ担当,2009年08月15日 21:43
【質問】
核武装論自体,やってはいけないものなのですか?
【回答】
核武装論の是非を問う議論をそのものを排除してはならない.
核武装に反対するならば,議論の場で堂々と否定すればよい・・・
私は日本が独自に核武装することについては反対ですが,議論そのものまで封殺しようとする旧時代的な動きには反対です.
それに対し民主党の小沢さんや鳩山さんは,過去に核武装についての議論を容認すべきだと訴えていたのに,いざ政府を叩けそうだとなると,簡単に前言を翻して議論そのものを否定しようとするのは・・・
まぁ,相変わらずの行動だな,としか.
そして国民世論の動向を読み間違える,と.(これも相変わらずのパターン)
初陣2勝,政権に弾み 衆院補選[10/23朝日新聞]
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中川昭一自民党政調会長や麻生外相の核保有議論をめぐる発言を批判したが,流れを変えられない.
「(核保有発言に)世論や報道が反応しなくなっている」
小沢氏は18日,こうぼやいた.
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日本テレビ2006年11月定例世論調査[11/13]
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[問15]
政府・自民党内で,日本の核保有をめぐる議論が出ています.
安倍総理は,「核は保有しない」「非核三原則は守る」とした上で,核の議論を容認する考えを明らかにしています.
あなたは,核について具体的な議論をすることについてどう考えますか?
(1)積極的に議論すべきだ25.4%
(2)議論があってもよい46.6%
(3)議論をする必要を感じない12.1%
(4)絶対に議論すべきでない9.7%
(5)わからない,答えない6.2%
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核武装の論議についての容認が72%,
これは別に驚くような数値ではありません.
実は冷戦時代の真っ盛りの頃の似たような調査でも,核武装の“可能性自体”は否定しない,という意見が5割ありましたから,北朝鮮の核実験という昨今の情勢を考えれば十分予測できる数字です.
何故,民主党が世論の動向を読み間違えたのかは,条件反射的な政府叩きや党内左派への配慮もあるでしょうが,それ以上に「独自の調査能力の欠如」が大きいと思います.
自民党は独自に世論調査を行っている事が既に知られています.
今回の閣僚の核武装論容認発言も,事前に得た国民世論のデータを踏まえた上で発言を行っていると考えるべきです.
民主党はこのままでは政権交代など覚束ない事は間違いなく,二大政党制の先輩たち(英国の労働党,米国の民主党は政権奪取の折にライバル政党の政略を真似てより強化する場合がある)に学ぶ事もないのでしょう.
さて,そこで議論自体をすべきでないと主張する方を紹介して見ます.
議論すること自体の問題:la_causette
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そのことは,「国土防衛の手段として核兵器を独自に保有」しようとしている北朝鮮政府に対してそれは「選択が許されない政策」だとして,これを止めさせようとしている国際社会を裏切るような話なので,非難囂々となることは仕方がないことです.
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ところが前述のように国内世論は7割が容認していますし,国際世論でも非難轟轟とはなっていません.
何故なのか?
実は,20年前にヨーロッパで同じような先例があるからなのです.
それは,ソビエト連邦が新型中距離核ミサイル「RT-21M(NATOコードSS-20SABER)」を配備したことから始まる狂想曲でした.
このIRBM(中距離弾道弾)としては大柄なSS-20は,ヨーロッパ全域を射程に収めた上にMIRV化し,三つの核弾頭を搭載する非常に強力な核戦力であり,只でさえ核戦力に差を付けられていたと思っていた西側諸国は恐慌状態に陥りました.
「SS-20に対抗する為,我が国にNATOの新型核ミサイルを配備しろ!」
という要求がNATO・・・いえアメリカに出されました.
当時,左派SPD政権のシュミット首相のドイツからさえも.
そこでNATO,アメリカは決断を下します.
「ソ連に対しSS-20の撤去を要求する」
「SS-20の脅威に対抗する為に,パーシング2を配備する」
「ただしSS-20を全廃させれば,パーシング2も撤去する」
こうしてドイツに中距離弾道弾パーシング2(終末誘導に画像認識装置を装備し,IRBMとしては驚異的な命中精度を誇る)と核攻撃型トマホーク巡航ミサイル(G型)が配備されました.
ソ連の軍拡に対し軍拡で対抗しつつ,同時に軍縮(お互いにゼロにする)を提案するというzero-zero
offer,いわゆるゼロオプションの提示です.
SS-20の配備を非難し撤去を要求しておきながら,自身もパーシング2を配備する為に『二重決定』として知られています.
そしてこれはご存知のとおり,中距離核戦略全廃条約(INF条約)へと発展し,外交戦略として大きな成功を収め,核軍縮の道筋を開きました.
ただ単に相手に放棄を迫っても聞く耳を持たれないから,こちらも対抗戦力を用意するという手法の有効性を指し示しています.
果たしてこれが現在の朝鮮半島核危機に参考になるかどうかは分かりませんが,一つの事例として議論の材料となるべきものであることは確かです.
日韓の核武装化,在韓米軍・在日米軍の再核武装化などの選択儀を議論の対象として排除しないという事です.
<以下,コメント欄より>
【2002年の小沢一郎発言】
★「核武装は簡単」 中国側に軍備増強を牽制(2002.04.07 朝日朝刊)
★小沢一郎・自由党首が福岡市で講演 「日本だって核弾頭の4000発くらい持てる」(2002.04.07 毎日朝刊)
★その気になれば核弾頭保有 小沢党首が中国けん制,日本「核武装」論に言及(2002.04.07 読売朝刊)
★小沢党首 中国の軍事化牽制 「日本は一朝で核を保有」(2002.04.07 産経朝刊)
え~,小沢さんって,4年前に自分が言ってた事を覚えてないの?
Posted by 名無しT72神信者 at 2006年11月21日 15:00:04
JSFさんに少しだけ補足させてください.
Wikipedia「Pershing II」によると,その配備が始まったのは1984年1月からです.
これは独首相がシュミットからコールに交代した後のことです.
岡本行夫は,配備をめぐって国が二分される中で下されたコールの大英断を称えています.
http://www.yukio-okamoto.com/article/paper/paper20061108.html
日本にもシュミットやコールのような政治家が現れるといいですね.
また,江畑謙介は以下のように,空理空論ぶりを批判している.
前述の日本核武装論についても,一体どれだけ現実を踏まえた議論が国会やメディア上で行われてきたか.
ただ核兵器はいかん,議論することすらだめだ,知識を持つのも悪だ,というのがこれまでの日本の姿勢ではなかったか.
それはあたかもダチョウが地面の穴に首を突っ込んで,ただひたすら厄災が通り過ぎるのを待つかのごとき状況である.
有事法制もそれを定めなければ日本が非常事態にならないかのような反対論が展開された.
日本が本当に核廃絶を望むなら,核兵器の実体を研究し,現実的で具体的な方策を世界に提示すべきだろう.
エマニュエル・トッドは,国民感情とは別に世界の現実を直視せよ,と述べる.
若宮 極めて刺激的な意見ですね.広島の原爆ドームを世界遺産にしたのは核廃絶への願いからです.
核の拒絶は国民的なアイデンティティーで,日本に核武装の選択肢はありません.
トッド 私も日本ではまず広島を訪れた.国民感情はわかるが,世界の現実も直視すべきです.
北朝鮮より大きな構造的難題は,米国と中国という二つの不安定な巨大システム.
著書「帝国以後」でも説明したが,米国は巨額の財政赤字を抱えて衰退しつつあるため,軍事力ですぐ戦争に訴えがちだ.
それが日本の唯一の同盟国なのです.
エマニュエル・トッド&若宮啓文論説主幹(対談) in 朝日新聞,2006/10/30
もっとも,トッドは日本の核武装を容認する立場なので,その点には留意すべき.
【珍説】
〔略〕
〔世界で唯一核攻撃を受けた国である,〕その日本において,軍事問題や核問題に関する議論のレベルが,これほどまでに低く,およそ軍事常識を無視した「徴兵制復活論」「核武装論」等々が幅を利かせているという事態は,私には不可思議で仕方ない.
林信吾著『反戦軍事学』(朝日新聞社,2006/12/30),p.142-143
【事実】
徴兵制については既に指摘済み〔別項参照〕ですが,核武装論についてもおかしな話です.
日本では今まで核武装論は唱えることすらタブーだったのが,唱えるだけなら排除されないという状況に変化しただけで,核武装論が幅を利かせるような事態にはなっていない筈です.
(実際に近年の各種世論調査では,「議論は容認」すれど「核武装には反対」という勢力が最も多いという調査結果になっている)
私自身も「議論は容認,その上で反対」という立場です.
【質問】
産経ニュース「日本の核武装 「議論だけでも行うべき」が96%」
という記事において,『核武装するべき』も85%もいる,という結果が信じられないのですが.
【回答】
無作為抽出もへったくれもないネットアンケートに,何を期待しろと.
2010年12月17日 00:21 緑川だむ
アンケートを広島の原爆ドーム前で聞いた場合と,靖国で聞いた場合と,実弾撃ちまくりツアーの客に聞いた場合と,アキバのヨドバシカメラ前で聞いた場合で,ずいぶん違いますからね.
ま,議論をすべきと言うだけましかと.
2010年12月17日 02:15 tacticaltomahawk
「議論」はすべきでしょう.
反米の癖に,アメリカとの核シェアリングをぶち上げる空幕蝶みたいなのや,核弾頭さえあればMDなんか要らないとか言う,右のお花畑を増やさない為にも.
2010年12月17日 00:07 たかふみ
議論はするべき.
ただ,
つ 「予算はどうするの?」
つ 「核実験はどこでやんの?」
つ 「IAEAはどうするの?」
つ 「アメリカの反応は?」
つ 「周辺国の反応は?」
等々の問題は,そう簡単にクリアできるとは思えないな・・・
2010年12月17日 07:02 島の人
アメリカとかの協力なしに,仮に日本独自に核持つってことになれば,NPTとかIAEAを脱退しないいけないし,もし経済制裁を受けたら,輸入国の日本は立ち行かなくなるが?
あれ?これなんて大日本帝国?
2010年12月17日 18:54 島の人
速報+板あたりで核武装賛成投票スレでもたってないかと思って見に行ったら,あそこですら「無理」という論調だった.
まあ,どっかで投票工作があってたと思うんだけどねえ( ・・)/
2010年12月17日 07:24 緑川だむ
議論てやつは,それが出来る程度の知識の裏付けがあって,初めて出来る.
知識なしの議論なんか,ただの「床屋政談」.
ま,産経新聞が核アレルギーからの解放を意図するなら,清濁併せて全部の情報を,1ヶ月の特集記事で連載してからだな.
2010年12月17日 07:56 Bernoulli
ではガチ調査で(かなり前ですけど)
http://www.ntv.co.jp/yoron/201003/soku-index.html
[問14] 日米密約では,永らく日本の港に入港するアメリカ海軍艦船に核兵器が搭載されていても黙認するなど,「核兵器を持たず,作らず,持ち込まさず」の非核三原則が,必ずしも守られていなかったことが明らかになりました.
あなたは,非核三原則について,どうするべきだと思いますか?
(1) 全面的に見直すべきだ…34.3%
(2) 非核三原則を見直す必要はない…25.6%
(3) 『持ち込まさず』は国際環境の変化などにより緩めてもよい…33.8%
(4) わからない,答えない…6.3%
隔世の感がありますなあ.
2010年12月17日 14:15 Shaul
> 【金曜討論】日本の核武装 「発言力得るために必要」田母神俊雄氏
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101217/plc1012171300009-n1.htm
> 「国際社会で発言力を得るために必要」と主張する元航空幕僚長の田母神俊雄氏
> 「将来の選択肢としてはあるが,今はその時期でない」という元内閣情報調査室長の大森義夫氏
・核を持って得られるという発言力は,現状の発言力に比して本当に高まるのか.
・威力(大)や政治的都合で適宜に使いづらい核のために,正面装備を削って大丈夫?
・"核ミサイルが発射可能なアメリカの潜水艦に,海上自衛隊の高級士官を乗艦させてもらう"
という,大森義夫氏の「中間ステップ」は現実味あるの?
というか,どちらも「核があった方が望ましい」という点では一致してるのか……
2010年12月17日 14:40 Ai
「核があったほうが声が大きい」って,インド・パキスタン・イスラエルの声が,安保理加盟国並に大きいかといえばさにあらず,而して耳目を集めてはいるし,なんだろうか,無視されるくらいなら暴れたれって感じにしか見えない.
2010年12月17日 15:00 Bernoulli
核兵器が「何のリスクもなく」手に入るのなら,そりゃ欲しいですけどね.
導入・運用コストの前に,犠牲にしなけらばならん事が多すぎて,想像すらできない.
他のコミュニティで一回「核兵器を導入する前提」を考えたけど,あまりにも範囲が広すぎて,議論の要点すら纏められなかった.
2010年12月17日 15:04 ますたーあじあ
発言力つっても,どこの誰に対する,どういう場面での発言力かで,何が必要かは全然違う筈なんだが.
日本が核兵器(戦術核?)持ったとして,どういう理屈でどこの国に対して発言力が得られるんだか.
海保に漁船が特攻かけるような場面で,核兵器の有無は関係ないと思うぞ.
2010年12月17日 18:20 HASU
まあ,非核三原則は,日米安保の円滑な活用のためにも,ない方がいいのでは?
2010年12月17日 16:31 MotoKo
というか,今更日本に核を持ち込む必要性があるのかと言われると・・・.
在日米軍でALCM積める機種って,何かありましたっけ?
2010年12月17日 16:36 ますたーあじあ
アメリカが核使うなら,グアムからB2飛ばしてALCM使うかオハイオ級からSLBM使うか,本土からICBM使うか.
どれにしても戦術核が無くなった今,日本国内に核弾頭を置く必要は無いんだよなあ.
日本がアメリカの保護領である以上,アメリカがアメリカの判断で核を使うのに,こっちがなんか言う権利も提供できるものもないし( ・・)/
2010年12月17日 19:20 緑川だむ
>核兵器を導入する前提
全面核戦争が発生して数十億人が死亡し,主要な国が壊滅的な打撃を受けて国際秩序が消滅した状態とか( ・・)/
2010年12月17日 20:42 緑川だむ
NPTの形骸化とアメリカ軍のプレゼンスの低下,中国の増長が併されば有り得るかもしれません.
そういった場合においても,日本の通常戦力の強化が為されない場合,通常戦力の補填として戦術核を配備するというのは,無くは無いと思うのですが…
2010年12月17日 21:41 ペッパー
今まで逡巡していましたが,やはり「【思考】敢えて核武装を目指すトピック【実験】」を作るべきでしょうか?
『日本の核論議はこれだ』(展転社)で語り尽されているから,必要ないかな?と思っていたのですが.
もしトピックを立てた場合,そもそもの問題として,日本が核武装を決定する前に,その決定のための準備に関わる問題が山積みになっているように思われますので,そこから始めることになってしまうのではないかと.
<準備に関わる問題の一例>
・そもそも日本自身に,国家戦略を策定するためのマトモな機能がないので,核武装の是非を決定する前に,それを設立する必要がある.
・そもそも,国家戦略を策定するに当たって,情報をきちんと分析して議論の土台とする機能がないので(以下同文
・そもそも,情報を分析するに当たって,諜報機能が大幅に不足しているので(以下同文
そこらへんをきっちり詰めて議論していくとしますと,おそらく核兵器そのものの議論に入る前に,トピックがvol.10くらい行くのではないかと.
2010年12月17日 22:08~12月18日 00:38
消印所沢
そうなんですよねぇ.
本来ならこちらが完全に機能していなければ,国家の形を為さないのですが,その点を一切合切後回しにしてきたきらいがありますので.
そのため,いくら威勢の良い核武装論でも,
「誰が発射ボタンを押すのだ?」
の一言で終わってしまうわけで(今上陛下との論もありますが,それは論外として).
その意味では,色々と仮定を設けたり,あるトピは○○中心に
(ただ手戻り多数と愚考しますが)
とした方がよいのかも知れません.
軍事趣味と言っても色々で,重視する分野もそれぞれに異なるため,どのような点に絞るのか,それだけでもトピ1つ消費しそうですね(大汗).
2010年12月18日 00:49 へぼ担当
まずはアジェンダを決める作業が必要でしょうね.
しかも,優先順位度付きで・・・.
一つの事柄に対する結論だけでも,100ポストは行きそうな予感.
2010年12月18日 00:58 ますたーあじあ
じゃあ,まず,どのような準備トピックを作るかの準備トピックを(ry
だいたい,こういうのはプロ(シンクタンクやぼーえーしょー等)がやるべきことなのでは?と,「カーテン開け閉め係」の独り言.
2010年12月18日 01:25 消印所沢
えてしてそういうアジェンダを打ち合わせて持っていったら,勝手に上が決め打ちして進めていた虚脱感ガガガガガガが(昨日を思い出し憤悶)
2010年12月18日 06:11 Bernoulli
以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分
【質問】
核兵器である事を表向きは隠せば,反応兵器を日本が所有しても憲法に触れませんよね?
これは核兵器ではなく反応兵器です,と国民やマスコミに説明すりゃ良いだけだし.
【回答】
原子力基本法その他に触れるので大問題.
核兵器でない反応兵器というのは現在存在しません.
存在するようになれば,規制されるでしょう.
あと,ウランやプルトニウムといった核兵器の原料そのものに対して,所持や保管や使用に規制がかかっているので,反応兵器と名前だけを変えても無理です.
今までの核物質を使用しない新しい核兵器を開発しない限りは,
原子力基本法と核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律をよく読んでください.
▼ まあ,新しい核兵器を作っても,その証明のために核実験をすれば,まったく被害が無くても懲役7年以下の刑にはなります.▲
そして,日本は世界中で最も厳しくIAEAから監視/査察を受けてる国なんですが.
そんな国でどうやって,核物質を隠匿して兵器転用するつもりですか?
軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ 法的にはまず,最低限,原子力関係規制の中核となる
「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(通称;原子炉等規制法,または炉規法)」
(wikipediaでは,こちら)
では,過去,以下の条文に引っかかる.
<現行は当該項目を「放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律」に移行させたため,削除済.
----
旧七十六条の二(抜粋;ただし現在は本項削除)
核燃料物質の原子核分裂の連鎖反応を引き起こし,又は放射線を発散させて,人の生命,身体又は財産に危険を生じさせた者は,「十年以下の懲役」に処する.
----
このように事の重大性に比べ,核テロリズムに対する処罰が大変軽かったことから,現行法令では以下のようになっている.
----
放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律
----
第三条
放射性物質をみだりに取り扱うこと若しくは原子核分裂等装置をみだりに操作することにより,又はその他不当な方法で,核燃料物質の原子核分裂の連鎖反応を引き起こし,又は放射線を発散させて,人の生命,身体又は財産に危険を生じさせた者は,無期又は二年以上の懲役に処する.
2 前項の罪の未遂は,罰する.
3 第一項の罪を犯す目的で,その予備をした者は,五年以下の懲役に処する.ただし,同項の罪の実行の着手前に自首した者は,その刑を減軽し,又は免除する.
第四条
前条第一項の犯罪の用に供する目的で,原子核分裂等装置を製造した者は,一年以上の有期懲役に処する.
2 前項の罪の未遂は,罰する.
第五条
第三条第一項の犯罪の用に供する目的で,原子核分裂等装置を所持した者は,十年以下の懲役に処する.
2 第三条第一項の犯罪の用に供する目的で,放射性物質を所持した者は,七年以下の懲役に処する.
3 前二項の罪の未遂は,罰する.
----
以上のように,従前に比べ遙かに具体的で,厳密(+厳格化)になっている.
また,各用語の定義は各リンクの前後など,それぞれ検索願いたい.
<説明は可能だが,引用するには非常に長く,冗長になるため省略.
ただ,これらの中では法令用語(定義政令有り)となるため,一般の感覚とは多少異なることに注意が必要.
<ちなみに純粋水爆の場合,核融合反応であることから「核燃料物質の原子核分裂の連鎖反応」にはあたらないが,確実に「放射線を発散」にあたるので,念のため.
なお,上記では「懲役7年」と具体的だったために,色々調べてみたが,検索で引っかかったのは以下の通りである.
----
爆発物取締罰則 - Wikipedia
----
公共危険罪としての類型
本罰則が規定する犯罪のうち,1条から5条及び9条に規定する類型(爆発物使用罪,爆発物使用未遂罪,爆発物使用予備罪,爆発物使用脅迫・教唆・煽動・共謀罪,爆発物使用幇助罪,爆発物犯罪者蔵匿・隠避罪)は,放火罪に近い公共危険罪として位置づけられる.
基本となる犯罪類型である爆発物使用罪(1条)は,爆発物の危険性を重視したこと,「治安ヲ妨ケ又ハ人ノ身体財産ヲ害セントスルノ目的」を成立要件とする目的犯であること等から,罪を犯した場合の刑が死刑又は無期若しくは7年以上の有期懲役又は禁錮刑と,法定刑が著しく重い.
----
詳細(未遂の場合等)は同上前後と
爆發物取締罰則 - Wikisource
を参照願いたいが,それを見る限り先の記載は「懲役7年『以下』」ではなく,「懲役7年『以上』」の単純な間違いのようである.
まあ,目的はさておき,国内法規だけでもただで済まないことは明白.
また,個人の犯罪であっても,国内法規だけではなく,国際法的に大問題となることは言うまでもない.
ただし,あくまでも刑事責任追及等は,日本国内の場合,国内法規で行われるのが大原則であるが.
▲
▼ 今回は続報という形で,過去の回答への追補を行いたいと考えます.
前回の回答では,法令として未施行
(状況から言って,より正確には「未施行のまま死文化され,かつ上書きされているためり,関連の施行には更なる改定が必要となる状態」)
のため,混乱を来す恐れから割愛したが,現在も各blogやslashdot
スラッシュドット・ジャパン | 自宅で核融合を試みる「フュージョニア」達
等で誤解を招いているため,大部分が先の回答と重複となるが,ここに当該罰則の背景・未施行条項と変遷について整理する.
1.誤解に至る背景
従来法制では,「核爆発」「放射線発散」等の核テロリズムに対しては,刑法その他の法規定は別として,前述の
「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(通称;原子炉等規制法,または炉規法;以下では,特に断りのない場合,新聞等でも良く記載される『原子炉等規制法』と略記する.)」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E5%8E%9F%E6%96%99%E7%89%A9%E8%B3%AA%E3%80%81%E6%A0%B8%E7%87%83%E6%96%99%E7%89%A9%E8%B3%AA%E5%8F%8A%E3%81%B3%E5%8E%9F%E5%AD%90%E7%82%89%E3%81%AE%E8%A6%8F%E5%88%B6%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO166.html
によって,『過去』以下のように規定及び施行されていた.
----
旧七十六条の二
(抜粋;ただし現在は本項削除のため,上記URLにも当該記載無し.)
核燃料物質の原子核分裂の連鎖反応を引き起こし,又は放射線を発散させて,人の生命,身体又は財産に危険を生じさせた者は,「十年以下の懲役」に処する.
----
911のテロ以前から原子力に携わっている人間には,上記条項は非常に有名なものであり,誰しもがすぐに思いつくものであった.
ただ,原子炉等規制法が構造的に抱えていた難点として,原子炉等規制法は拡張に拡張を重ねたものであり,さらに未施行の部分があるなど,当該分野を専門にしている人間にとっても,非常に複雑・かつ理解しにくいものである.
そのため,法令判断を必要とする場合は最新の法令をその都度再確認すると共に,場合によってはノー・アクション・レター制度
http://www.meti.go.jp/policy/no_action_letter/index.html
を法令適用の可能性を事前に確認する等,細心の注意を図る必要がある.
(これは他分野でも同じ事であろうが,某官庁の見解によると経済産業省所管分野だけではなく,他含めても特に難解とのことである.)
2.誤解の元となった記載(未施行条項)
実は「核爆発を生じさせた者は,七年以下の懲役に処する.」との記載は,webで検索すれば,かなりの数でヒットする.
その1例を以下に挙げる.
<ただし,例示・真実(実際)の提示のみであり,blog主及びその見解を批判・中傷する意図はないので,念のため.
D.B.E遊撃隊>第七十六条の三 核爆発を生じさせた者は,七年以下の懲役に処する.
詳しくは当該エントリー,並びに指摘された法令
(注意:本部分は『未施行法令』であり,現時点においても有効ではない.有効な条項と誤認して引用しないよう,十分に注意・留意されたい.)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/houritsu/14019970613080.htm
を参照願いたいが,当該blog主は当該法令
----
(注意:上記繰り返しとなるが,上記条項は『未施行』であり,有効ではない.有効な条項と誤認して引用しないよう,十分に注意・留意されたい.)
第七十六条の三 核爆発を生じさせた者は,七年以下の懲役に処する.
2 前項の未遂罪は,罰する.
----
及び問題点,すなわち附則にある限界
----
附 則
この法律は,包括的核実験禁止条約が日本国について効力を生ずる日から施行する.
----
を実に的確に指摘している.
つまり,「核爆発」「懲役」で検索すれば上記条文に行き当たる.
しかし,ある意味避けがたいことであるが,法令には公布・施行の段階を踏むことを失念し,『未施行法令』であることを見落とすと,上記条項を根拠としてあげてしまうことになる.
今回の発端となったFAQ原文は,これにより不正確になったものと推察する.
現行の原子炉等規制法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO166.html
には以下の通り記載がある.
----
核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
(昭和三十二年六月十日法律第百六十六号)
最終改正:平成一九年六月一三日法律第八四号
(最終改正までの未施行法令)
平成九年六月十三日法律第八十号 (未施行)
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxmiseko.cgi?H_RYAKU=%8f%ba%8e%4f%93%f1%96%40%88%ea%98%5a%98%5a&H_NO=%95%bd%90%ac%8b%e3%94%4e%98%5a%8c%8e%8f%5c%8e%4f%93%fa%96%40%97%a5%91%e6%94%aa%8f%5c%8d%86&H_PATH=/miseko/S32HO166/H09HO080.html
平成十八年六月二日法律第五十号 (未施行)
(以下略)
----
この「平成九年六月十三日法律第八十号(未施行)」が当該条文を含むものである.
<なお,私自身は当該条項が存在し,かつ未施行状態であることを把握していた(そうでないと職責が果たせないため)が,この点を指摘すると冗長に過ぎる恐れがあったため,割愛したところである.
ただ,その点が裏目に出てしまったことを,改めてお詫びする次第である.
一方,上記blog主は実に聡明であり,上記附則による限界,すなわち
「包括的核実験禁止条約が未発効であるために上記条項が施行されていない」
ことを示唆しているが,そこで現時点で有効な法令への考察に進まずに,論評が止まってしまったことが大変惜しまれるところである.
<なお,当該エントリーにおいて,現行法令「放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律」と「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」への言及がないのは,当該エントリーが上がった2005年当時では現行法令が作られていなかったためであり,その点に対しblog主には何ら瑕疵はない.
3.現行法令「放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律」と「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」について
現在は,
「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」
(外務省による解説)
http://www.mofa.go.jp/Mofaj/gaiko/atom/kaku_gai2.html
(官報による公布分・条約全文)
http://folomy.jp/heart/?m=pc&a=page_c_topic_detail_target&commu_id=404&topic_id=31&com_range=1
が2007年7月7日に22か国による締結を得て発効.日本国内では2007年8月8日に公布されたことにより,これを受け「原子炉等規制法」以外にも「放射線障害防止法」等の罰則条項改正が施行され,現在の
「放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律」
http://hourei.hounavi.jp/hourei/H19/H19HO038.php
----
(抜粋)
第三条 放射性物質をみだりに取り扱うこと若しくは原子核分裂等装置をみだりに操作することにより,又はその他不当な方法で,核燃料物質の原子核分裂の連鎖反応を引き起こし,又は放射線を発散させて,人の生命,身体又は財産に危険を生じさせた者は,無期又は二年以上の懲役に処する.
2 前項の罪の未遂は,罰する.
3 第一項の罪を犯す目的で,その予備をした者は,五年以下の懲役に処する.ただし,同項の罪の実行の着手前に自首した者は,その刑を減軽し,又は免除する.
(以下省略)
----
による規制に移行している.
これにより従前より具体的かつ厳密,厳格化したのは先の回答で指摘したところである.
なお,先に紹介した「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」は,国際情勢を勘案した軍事的にも非常に示唆に富むものとなっているため,国際約束,条約,法令の常で難解ではあるが,是非一読を強く推奨する.
最後に,未施行条項の取り扱いにおいて混乱を避けるために割愛した部分が,裏目に出てしまったことを繰り返しお詫びする次第である.
以上,ご参考まで.
▲
【質問】
「わが国には原子力技術と軍事をつなぐ勇気と見識を持つ実務家が存在しない」(おきらく軍事研究会,平成20年(2008年)8月18日付)ように思えるのですが.
【回答】
〔略〕
確かに,現在の原子力基本法では平和・民主(追記注釈:自主という場合もあり)・公開の原則があり,早々に軍事と結びつく仕事が公式に出来る状況にはありませんが,個人の資格で様々な場に参加している方は意外にたくさんいます.
そういう私自身,差し支えない範囲で核開発関連他の議論に正確な情報を提供することで参加しています.
(私自身は本サイトなどで参加)
一方,私自身からみて,個人的なつながり(肉親及び高校の先輩など)は別として,軍事担当者からのアクセスが皆無なことが気になります.
某原子力発電所には所管する陸上自衛隊幹部が見学に来たりしていますが,それどまりで幹部もしくは担当者と率直な意見交換をしたことは残念ながらありません.
確かに警備については第一義には警察・海上保安庁の所管であり,そちらとは密接な情報のやりとりをしている一方で,自衛隊のこの対応はどうかと考えます.
もちろん,この件は当該自衛隊幹部の責任ではなく,下手をすれば所謂「(似非)反戦・反核団体」の格好のターゲットとなってしまうため,慎重に慎重を期し,情報を最大限絞っているのでしょうが,肉親に自衛官幹部がいて,それなりに機密保全の状況を知るものとしては,あまりの遠慮深さに同情するところです.
要は,秘密・機密保持を最優先にした上で,当該実務者同士の率直なる意見交換が何より求められる物と愚考しますし,私自身それに対して個人的な活動に限られますが――(そうでなければ自衛隊側の方に責が及ぶ可能性がある)――,可能な限り最大限の支援をお約束する次第です.
また,この点については軍事関係メディアについても言えます.
私自身は某所FAQ;http://mltr.ganriki.net/index02.htmlなどで参画していますが,それ以外の「軍事研究」誌や本「軍事情報」も購読しています.
しかしながら,議論に直接参加でき修正も可能な某所FAQは対応が素速く,確かな物ですが,有料情報のはずの「軍事研究」誌については,当該分野記事の品質はお世辞にも高い物とは言えません.
こちらについては何度も問題点の指摘などをさせて頂いておりますが,ほとんどがとってつけたような対応でしかなく,情報を積極的に活かそうとする意志も,今後の改善・レベルアップに繋げようとの意志も伺えません.
また,本「軍事情報」にも情報提供させて頂いた事がありますが,他のメールに紛れてしまったのか,全く対応どころか応答すらなく,失望したのが正直なところです.
この状態で,
>それ以上に思うことですが,わが国には原子力技術と軍事をつなぐ
>勇気と見識を持つ実務家が存在しませんね.
>現在の実務家に変化は期待できませんし,期待するのも酷な話です.
(おきらく軍事研究会,平成20年(2008年)8月18日付)
とおっしゃっても,こちらからのアクセスを軽視・無視しておいてそのご発言はいかがな物か.というのが偽らざる本音です.
期待する・しないは個人の感情も含めたものと理解し,問題にするつもりはありませんが,こちらの働きかけ等を軽視・無視した上で,そのご発言はあまりにも一方的なものと思いますし,個人的に活動されている方へ冷や水をかぶせるだけの失言,と愚考します.
願わくば,この一文をきっかけに何らかの形で査読体制をひいたり,アドバイス・相談・議論を受けたりして,立ち後れている当該分野での対話の活発化(もちろん機密・秘密厳守の信頼関係構築の上でのお話しですが)と,当該分野の抜本的なレベルアップを期待します.
繰り返しになりますが,堅固な信頼関係を構築できれば,私自身は協力を惜しまない所存ですし,信頼できる自衛隊関係者との接触をサポートしてくだされば幸いです.
以上,大変失礼ながら,意見具申まで.
へぼ担当 by mail
【質問】
原子力資料情報室って信用できる機関なんだろうか・・・?
seld
【回答】
wikipediaを参照願います.
個人的な評価としては,設立メンバーの故高木仁三郎氏の個人商店の感が強く,立場は別として信頼度は氏自身の能力に大きく依存していたと言えます.
故高木仁三郎氏はその学識から,所謂反対派の中では極めてまともな人物であり,平行線をたどる論争の中でも,まだ話が技術的な話も成立しました.それでも得意・不得意分野があり,聞くに堪えない電波を垂れ流すことがありましたが(汗).
しかし,賛否別れてもその言説は,ある程度の議論の材料にはなると考えられていました.
そのため,氏が故人となってからは,それに代わりうる人材が居ない(技術的な後継者を育成できなかった)ため,原子力資料情報室の信頼度劣化は顕著であり,現在では見る影もないと考えます.よって,彼らの言説は故高木仁三郎氏の生前,没後(2000年)で区別するべきと愚考します.
以上,ご参考まで.
▼ 【反論】
>(技術的な後継者を育成できなかった)ため,原子力資料情報室の信頼度劣化は顕著であり,現在では見る影もないと考えます.
>よって,彼らの言説は故高木仁三郎氏の生前,没後(2000年)で区別するべきと愚考します.
私も震災前は,そういう風に見ていたことは否定しない.
だが震災後,思想はともかく,指摘には正当な内容「も」あると思うようになった.
私が情報室の出版物で読んだのは
『原発は地震に耐えられるか』(2008年3月31日)
というか,ウェブサイトを別にすれば,情報室の本でまともに読んだのはこれだけ.
各地の反対運動家が,地元原発について書いた記事を集めたもの.
この本も大抵の原発震災本と同じく,記述の大半を活断層評価への疑問で埋め,発電所に近辺が大地震の震源になり得ることを強調している.
ざっと見た感じ,津波への脅威について述べたのは,福島県にある原発について書いた斉藤氏の記事だけ.
津波は情報室としては.恐らくメインの売りではなかったのだろう.
しかし,この記事の指摘が現象面では最も近い.
津波の過小評価への疑問と言うだけなら,正鵠とすら言えそうだ.
「当てずっぽうで言ったら,当たったに過ぎません」
と切り捨てようとは思わないね.
――――――
昨年推本がホームページ上に公表した,主要海溝型地震の評価結果は,「今後30年以内に7%以下の確率で福島県沖において,マグニチュード7.4前後の地震が発生する」という.
(略)
福島県が2001年度に策定した地震防災緊急事業5カ年計画は,津波について,同県沖において,過去に100~200年程度の周期でマグニチュード7前後の地震が同一の場所で数回繰り返し発生したと認めている.
富岡町仏浜を中心とする地域で最大6.1mにおよぶ津波水位を想定する.
津波対策の現状では,概ね津波高が海岸保全施設の天端高(設計高潮位+設計波に対する必要高+余裕高)を下回っている.
しかし,海岸地形や海底地形などの特性により,実際の津波高が,想定地震による津波高を上回る可能性がある.
また,地震動や液状化により海岸保全施設の構造物自体が被災し,施設が持つ本来の機能が損なわれる可能性もあるので,
「津波対策のより一層の充実強化に努めることが重要である」
としている.
では福島原発は,どのような津波対策がなされているのだろうか.
東京電力は,
「既往最大の津波を考慮し,さらに,原子力発電所の津波評価技術に基づき,過去最大及び,想定される最大規模の津波を考慮した検討も実施している」
という.
実際はどうなっているのか.
99年8月付と思われる,福島第2原発2号機の「原子炉設置許可変更申請書」中の,「設計波高」の部分を参照すると,
「津波に対しては,記録にある異常潮位(チリ地震津波)」がO.P.(小名浜港平均海面)+3.122m.
この時の潮位は小名浜測候所において,平常潮位より2.2m高い(仙台管区気象台報告)塑望平均満潮位O.P.+1.490mの時に同程度の津波が来襲してもO.P.+3.699mであり,敷地地盤高はO.P.+4.0m~O.P.+1.2mであるので安全」
としている.
余裕は計算上,たったの40センチ弱しかない.
東京電力は,計算上の40センチ弱の余裕を安全と表現し,私たちはこれを危険であるととらえる.
――――――斉藤春光「福島原発は地震に耐えられるのか」(全国一般全国協議会いわき自由労働組合加盟)
↑ 惜しいのは全交流電源喪失への言及が無いことで,それは例の吉井議員が,風車が表紙の著書(題名は忘れた)で,ネットで読めるものより,もう少し詳しく書いて結びつけている.
軍事板,2011/04/28(木)
青文字:加筆改修部分
「一つ当てたら即,再評価」というのも,乱暴な話だと思うがね.▲