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Második felsõ Oldalára hátrálsz

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 【質問】
 日本の潜水艦は実質,原潜のような使い方をされている,という書き込みをどこかで見たのですが,意味がよくわかりませんでした.
 誰か教えてください.

 【回答】
 まず最初に,潜水艦には「通常動力型」と「原子力型」があって,このうち通常動力型は潜っていられる時間に限界がある.
 なので,普段は安全な海域である事を確認して浮上航行し,必要な時だけ海に潜る,という行動を取る.
 「潜水艦」というけど事実上「可潜艦」(潜ろうと思えば潜れる)でしかないわけ.

 さすがに現代では浮上航行なんかしてたらどんなに「安全」と確認されたような海域でもヤバいので,シュノーケル(給排気筒)だけ出した水面ギリギリの状態で行動するけど,それだって「完全に潜るのは限定されてたときだけ」というのは変わらない.
 だから,長時間水中に潜る事を要求される任務――船の通行が多い海域で密かにパトロールするとか船の動きを見張るとか――にはあまり使えない.

 また,通常動力――ディーゼルエンジンで発電機を廻し,電池に充電してモーターでスクリューを廻す――だと馬力不足であまり大型に作れないので,長期間行動する事が難しい.
 小型の潜水艦は居住性が悪く燃料も物資も沢山積めないから.
 だから,「ちょっと半月くらい遠くをパトロールしてきます」というような任務には向かない.

 こう言った事を無理なく可能にするには原子力潜水艦の登場を待つしかなかった.

 原子力潜水艦ならではの任務は大きく分けて2つある.

 一つはその長大な可潜時間と存在の秘匿性を活かして,核抑止力となる任務.
 これは戦略原潜という専用の潜水艦の専売特許に近く,日本はこれを持ってないのでもちろん実行不可能.

 次に味方の戦略原潜を護衛し,あるいは一定水域をパトロールし,もしくは敵の原潜を追尾し情報を収集し,いざという時にこれと戦闘する原潜狩りも,通常動力潜水艦では原潜を長期間追尾するのが極めて困難なため,実行が難しい.
 これを可能とするための原子力潜水艦を攻撃型原潜と呼ぶ.
 また,二番目の任務の亜種になるが,米海軍は空母機動艦隊の護衛としても攻撃型原潜を活用している他,敵地への特殊部隊の送り込みにも利用しようと試みてる.
 これらは状況にもよるが,通常潜でも代用可能.

 では日本の潜水艦はどんなものかというと,通常動力としては極めて大きく,長大な航続距離をもつ代物になっている.
 これは離島が多く,広大な領海を持ち,警戒水域が遠くに存在するという,日本特有の事情によるためだ.
 例えば海自の偉い人が沖ノ鳥島付近をパトロールしたいなと思ったら,あるいは中国のとある港をこっそり監視したいと思ったら,そこまで辿り着けない潜水艦では困るというのはわかると思う.
 通常ならこれは原潜をあてて然るべき行動半径と任務機関だが,日本は通常動力潜水艦としては異例のものを開発して投入している.

 これを指して「日本は通常潜に原潜並の任務を〜」といわれる事はあるが,決して核抑止力を担ってるわけではないし,敵潜水艦狩りを積極的にねらって開発されてもない.
 もちろん仮想敵国の戦略原潜を追尾するような運用はしないし,できない.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 今の日本で原子力潜水艦って作れるの?
 原子力船作った事って実験船1隻だけでしょ?
 それも四半世紀前に.
 あの後も細々と設計研究とかしてるのかな?

▼ 【回答】
 別に国際条約で原子炉の研究を禁止された訳でも,原子力潜水艦の開発を禁止された訳でもないので,船舶用原子炉の研究はあの後もちゃんと続けてる.

 ただ,日本に限らず「原子力船」というものが廃れていったので,今では「そんなものあったねぇ」的位置づけでしかない.
 大型の地上設置発電用原子炉の研究開発はずっとやっていて,日本は実は世界最先端クラスだが,軍艦用の原子炉を開発研究してるって話は▼あまり聞かない.
 やっているとしても密かにしているか,マイナーなジャンルと化してるかどっちかだ.

▼ ”むつ”そのものが原子力船としては,「プールで水泳の練習するのに顔を水につけた」レベル.※
「あぁ,お船って原子力タービンで走るんだー,理論は間違ってなかったなー」
ってレベルのものでしかなく,
▲実用船としての能力がむつにはほとんどない.
(それは断面図を見れば解る)

 ▼なのでそんなノウハウが何になるんだ,というところでしかないな.
 全く何もないところからはじめるよりは,と言いたいが,正直「むつ」の設計が始められた頃のと今じゃ,原子力タービン関連の技術はずいぶん進歩してるので,むつの設計開発のノウハウはかえって邪魔なだけかも.

 自衛隊向けの技術開発は,スターリング機関の方に比重が入れられている(いた).
 公表されているものが「大和方式」でないのだとすれば,防衛庁(省)の予算規模からして,原子力潜水艦を密かに開発しているって可能性は限りなく低い.
 実験船を造ろうにも母港になれる港がない.
 唯一可能性があるのは完成品の購入だけど,それでも港の問題はつきまとう.

 なので,
「正式な決定が出たから予算が下り次第,原潜建造してくれ」
と言われてもそれは無理だろう.

軍事板
青文字:加筆改修部分

▼>別に国際条約で原子炉の研究を禁止された訳でも,原子力潜水艦の開発を禁止された訳でもないので

――――――
http://www.iaea.org/About/statute_text.html

4. Include undertakings by the member or group of members submitting the project: (a) that the assistance provided shall not be used in such a way as to further any military purpose; and (b) that the project shall be subject to the safeguards provided for in article XII, the relevant safeguards being specified in the agreement;
――――――

>a way as to further any military purpose

 核開発に関して語る際に,IAEAの存在を無視するのは勇気ありすぎると思うんですがいかがでしょう?
 ちなみに「むつ」はあくまで,日本原子力船開発事業団が主導した船舶です.

名無し三等兵 in FAQ BBS

 ツッコミどころ満載で,確か同様のことを一度回答したと記憶していた上に,実はいちいち直していったら全く原形をとどめなくなってしましたので,回答案は封印していたところでした.
 その旨お知らせすれば良かったのですが,ここのところばたばたしており,つい失念しておりました.どうもすみません.
 私的(仕事の方)に特に忙しい際に,あまりに酷いものとなると「それくらいは間違いだと気がつくだろJK」ということで,回答を省略することがありますが,その点ご察し下されれば幸いです.

 〔略〕
 付け加えるのであれば,「むつ」以降でも細々ながら舶用炉(船舶動力用原子炉)の研究は続けられており,「むつ」の実績は船体動揺時の応答解析など様々な方面に生かされていること.また,潜水艦つながりで言えば,深海探査用船舶の原子炉の提案もなされていることを挙げるべきでしょうね.
(こちらも以前回答させていただいた記憶がありますが,果てさて.)

 ソースはたくさんありますが,代表例として

原子力船「むつ」成果の活用|日本原子力研究開発機構青森研究開発センター

などによくまとまっています.

 また,専門家・研究者であれば「日本原子力研究開発機構(JAEA)」の文献データベース

JAEAの研究開発成果 > JOPSS

にて「舶用炉」などとキーワード検索を行えば,山のように公開情報が得られます.
 ただし,こちらの方はガチに専門家・研究者向けであり,文献の正確さが優先で,最低限の専門知識がなければ分かりやすいものとは言い難いため,その点での苦情は受け付けません(笑).
 しかし,他分野で言えば当然「有料情報(しかも信じられないほど高価)」であるのが,元々は税金で運用されているものですので,「無料情報」として公開されていることを評価していただきたいものです.

 以上をよく読めば,国際約束面以外でも,純技術的に上記回答部分が如何に失当であるか,直していったら如何に原形をとどめなくなるか,理解していただけるかと考えます.

 個人的には,当該回答者には
「自分の知識に満足するだけではなく,多少はググってください」
とも感じますが,これは当該分野プロパーならではの特殊な経験の有無もものを言う分野ですので,公には「感想なし」とさせていただきます(大汗).

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 そんなわけで当座,ざっと見て問題のありそうなところを削除し,爾後,より詳細に調査予定

編者


 【質問】
 SRBM積んだ戦略原潜を保有する国が増えると,始末に負えないかもしれんが,
「インド洋艦隊用に攻撃型原潜が欲しいだけなんだが」
ちゅうても核兵器並みの扱いなのかなあ( ・・)/
 まあ,つい最近まで原子とか核と名前がつくモノをすべて否定する体制を作ってきたから,しょうがないちゃあしょうがないが.

http://sorceress.raindrop.jp/blog/2009/08/#a001042
>中川「…….空からくる核も恐いですけれども,やはり潜水艦の持っている核が
>物凄く恐いわけです.これは中国とロシアですね.そうすると戦略型原子力潜水
>艦に対抗できるのは,それを防ぐための,名前が誤解を招くんですが攻撃型原子
>力潜水艦です.……,これを日本が持つか持たないか.原子力潜水艦というのは
>非核三原則とはちょっと違います.……,私はこの攻撃型という名の防御型原子
>力潜水艦を一刻も早く日本も持つべきだと最近強く思っています.」(p.133)

 政治家でもこんなレベルってことで.

緑川だむ,2009年08月15日 20:08〜21:03

 【回答】
 原子力協定に関して言えば,大して変わらない扱いですね.

 言うまでもないと思いますが,原子力協定は国際法の一種であり,国内法よりも上位に来るものです.

ゆきかぜまる,2009年08月15日 20:20

>中川「僕も核廃絶が究極の目標だと思います.だから日本は核を持つべきなんですよ.
>極端に言えば世界中が持てばいいんです.
>そうすれば止めますよ.それしかないと思う.」(p.141)

 まぁ,ケネス・ウォルツのつまみ食いなんでしょうが,核拡散ってことを何ら考えていませんなぁ.

 国際法は「無視」しても,それを上回るメリットがあるのであれば,無視してもいいとは思いますが,この場合,デメリットだらけで,とてもそれに見合う利益があるとは思えないですね.
 そもそも,国際法を無視してでもっていう事自体,日本にとってはマイナスですし.

ますたーあじあ,2009年08月15日 21:09

 仮に
「世界中が核を持てば,核はなくなる」
という言説の正当性が,100%立証されたとしても,国際法に背くというのはそれだけで大きな意味を持つってことがわかっとらんようです.

白い狐,2009年08月15日 21:20

 個人的には放置プレイ推奨なのですが,それを真に受けたり崇拝したりする,メルマガの中の人もいますので,頭が痛いところですね.
 まあ,メルマガの中の人に対しては,「もはや何も言うまい」というのが本音ですが(大汗).

 政治家ですか?
 国会議員の方の某「ひげの隊長さん」以外で,我が専門分野含み,この件でまともなお話が出来る方がいれば,是非ご紹介願います.

へぼ担当,2009年08月15日 21:53

 何が問題って,原潜を保有できない現実のデメリットよりも,原潜保有が出来ないことをベルサイユ体制みたいな不平等条約だとかわめき出す,ちょび髭のアジテーターが出てきかねない事だよなあ( ・・)/

緑川だむ,2009年08月15日 22:41

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
『世界の艦船』 2010年(平成22年)2月号 通巻719号
原子力潜水艦 日の丸原潜を考える

の内容はどうでしょう?

 【回答】
 楽しみにして読んでみましたが,いきなり盛り下がる有様...orz
 相変わらず,原子力の「げ」の字も知らない人間が知ったかぶりをすると,大やけどをするという見本.
 まあ,あまりにも無惨な間違いは少ないものの,思いこみが主原因であろうが,読んでいて吹き出してしまうような物もあり,こちらでも査読体勢が確立していないことは確か.
 フリーランスの軍事評論家ならともかくとして,元関係者である「筆者」及び「その元所属組織」の意識レベルが,手に取るようにかいま見えて,激しく萎えてしまうのは何とも.

 まあ,元運用者サイドがこの為体の認識であれば,日本の原子力潜水艦取得は遠い未来のお話しでしょう.
 真面目なお話しとして,元運用者サイドがこのレベルというのは,非常に恥ずかしいことから,これ以上の専門誌などへの投稿は止めておけ,と言いたくなりますが.

 必要でしたら,どうしても見過ごせない点に限って逐次指摘しますが,如何しましょうか.
 また,私個人の退職後などは「術科学校の講師などへの転職」も,真剣に検討すべきなのかも知れません(大汗).

<まあ,私的には年末年始とはいえ,いろいろ予定がありますが,「世界の艦船」レベルの雑誌では,なまじ信用されているために,その間違いは影響が大きいため,放置には少しためらいがあります.

へぼ担当,2009年12月28日 21:21

 個人的には某退役1佐の全く解説になっていなかった記事が最悪でした.
 貴君は調達本部やIHI等で一体何を見てきたのかと.ちまたにあふれる書物や入門書,パンフを真面目に読んだことがあるのか,と小一時間ほど(略).
 血祭りに上げても良いのですが,正直なところ,書き直した方が遙かに早い.
 p84の第1表に関しては,「何の冗談か?」と言ったところで.はい.

 一方,5人の論説の中,最後の2人の海将経験者の冷静な指摘が救いだったようにも.少々事実認識のずれはあり,修正は必要なものの,技術論や戦術論だけではなく,持続可能な装備という,識者ならではの冷静な観点が評価できます.
 ただし,国際約束や国内法に触れた点が,誰も何処にもないことだけは,あれだけ法律厳守が絶対である(元)自衛官の発言としては気になりますが.

 ぶっちゃけて言えば,「日本核武装論」と同じ様相ではいけないと言うことで.
 有れば確かに有利かも,しかしそれによる弊害があまりにも大きすぎる.それでも必要か?という問いに正面切って答えられなければ,全くどうしようもないと考えますが.

 なお,私個人の基本的な考え方(法的・技術論的)は,FAQにも一部引用の形で掲載されていますが,
「mixi」:本当の潜水艦のコミュ | 原潜保有問題
で説明したとおりです.

へぼ担当,2009年12月29日 01:01

 早速近くの本屋に出撃して確認したところ,以外に特集が薄くしかも他に読みたいような所もなかったので,購入は取りやめ.
 しかし,ちらっと見た範囲で気になった点を.

1,
 原発は火力に比べ,蒸気の圧力・温度が低いから,発電効率が低いとかありましたが,最新の火力プラントの発電効率が5割に迫る(一部は超えている)のは,ガスタービンを用いたコンバインド発電だからであった,コンベンショナルな火力であれば,たしか発電効率は決してそこまで原発より高いと言うことはなかったように記憶してます(ただし記憶モード).
 ただ,発電用タービンの構造・材料は当然かなり異なっています.

2,
 FBRが下火になった件について,技術的困難性のみ言及していますが,実際には政治的,経済的な問題の方が大きかったように思います.
 加えて,英米仏露のどこもFBRの開発から撤退してるようなことを書いていたと思いますが,そんなことはないです.
 アメリカでは21世紀に入って,Gen-IVやGNEP構想などがでてますし,中国やインドも実験炉・原型炉の開発を積極的に行っています.
 そも,ロシアに至っては50年も前から脈々と開発計画を続けています.
 原型炉BN-600に至っては30年近く(1980年運転開始)稼働しており,その平均稼働率は74%(!)です.

3,
 細かい話ですが,文中では「一次冷却水」となってるのに図では「一次循環水」に…

 なんかまだあった気がするんですが,思い出せないのでこれぐらいに.

D.B.,2009年12月29日 14:17

 そこまで高尚なお話しだったら,私個人は笑って見逃しますよ.
 ご指摘の部分は技術の解釈の問題ですからね.
(なおD.B.さんの指摘に間違いはありません――ただ,これでも朱を入れる余地があるのが,この世界の恐ろしいところですが.)
 それ以前の,肝心要の舶用原子力プラントの技術的評価がめちゃくちゃであり,根本的には「技術の技の字も分かっていない」のでは,と考えています.

へぼ担当,2009年12月29日 15:26

>なおD.B.さんの指摘に間違いはありません

 恐縮です.
 後学のために朱を入れていただければ.
(「お話になりません.要再提出」とか言われたらどうしようとビクビクしてたのは秘密)

D.B.,2009年12月30日 18:39

 D.B.さんのご要望にお応え,以下添削モード(『』部分加筆修正)です.
 かなり細かいところまでつついていますが,その点はご了承ください.

1,
> 原発は火力に比べ,蒸気の圧力・温度が低いから発電効率が低いとかありましたが,最新の火力プラントの発電効率が5割に迫る(一部は超えている)のは,ガスタービンを『併用した』コンバインド発電だからであった.
 コンベンショナルな火力であれば,たしか発電効率は決してそこまで原発より高いと言うことはなかったように記憶してます(ただし記憶モード).

『この記載は正しく,従来汽力では43%とかの数字が,現在のところ限度』

> ただ,発電用タービンの構造・材料は当然かなり異なっています

『この部分は微妙です.
 従来汽力の場合,いろいろな形式があるため一概には言えませんが,タンデム・コンパウンドと呼ばれる発電機と高圧・(中圧)・低圧タービンが一直線に並んだ物
(大出力従来汽力での例は少ない
[中部電力碧南火力4号機がその少ない適用例の1つ.
 因みにこの場合,設計は似ていますが,その建設費と技術バランスの難しさ故に,タービン動翼にチタン合金を使うなど材料が異なってきます.]
が,原子力ではデフォルト)
ではさほど変わりませんので,必要とされる電気出力や建設費等に左右される蒸気タービン形式選択(もう一方はクロス・コンパウンドです)の問題と言えます.

 なお,通常の蒸気タービンであれば,先のチタン合金使用などの特殊な例を除き,それほど大きく材料に違いが出てくるものではありません.
 ただし,専門従事者から見れば大きな違いではありますが,一般の方には何が違うのやらと言うところです.』

2,
> FBRが下火になった件について,技術的困難性のみ言及していますが,実際には政治的,経済的な問題の方が大きかったように思います.
> 加えて,英米仏露のどこもFBRの開発から撤退してるようなことを書いていたと思いますがそんなことはないです.
> アメリカでは21世紀に入ってGen-IVやGNEP構想などがでてますし,中国やインドも実験炉・原型炉の開発を積極的に行っています.
> そも,ロシアに至っては50年も前から脈々と開発計画を続けています.
> 原型炉BN-600に至っては30年近く(1980年運転開始)稼働しており,その平均稼働率は74%(!)です.

『基本的に間違いはありませんが,最先端を行っているフランスでは,フェニックス炉が2010年まで運転予定(変更の可能性あり.最短では2010年1月までとも).
 また,フランスの場合は,スーパーフェニックスまでナトリウム冷却炉を経験しているため.代替としてガス冷却高速増殖炉への研究指向を強めていることが特記できます.

 ちなみに日本語wikiでは,「デタラメ極まりない悪書」である「山田克哉著『日本は原子爆弾を作れるのか』」を参考文献に持ってきているため,原理的な面など読むに堪えない記載が散見されて,これで学習するのは全くお勧めできません.』

> 悲惨なのは「p84の第1表」

この表は,全く何も分かっておらず,比較参照もまともな調査も行わずに,思いこみで書いているとしか考えられない典型例.
 この程度なら入門書やパンフレットでも丁寧に記載されており,真面目に読んでいれば普通の人でも間違えようがない.>
に代表されるように,誰が読んでも間違いでしょうと言う部分での間違い.

 後は
「いやしくも調達などを担当した海自OB(退役1佐)としては,当然のように技術内容が分かっていなければならないのに,一体何を勘違いしているのか.調達本部には,そのような極めて程度の低い人間
(まあ,専門が違うのかも知れないし,この程度であれば将官になれなかったのは当然.
 しかし,この程度の駄文を海自幹部OBとして投稿するのは,海自全体の技術レベル自体を疑わせるため,直ちに止めて欲しい.)
が大手を振ってまかり通っているのか?」
と言うような部分ですが,ここは内容の深刻さのあまり,直そうとすれば本格的な全面リライトになってしまいます.
 そのため,本当にやるとすれば,まず「世界の艦船」編集部宛に送付し,その対応を見極めた上で,回答がないなどの最悪の場合は晒し者
(当然,当該海自幹部OBの解説者としての信用性に重大な疑義を申し立てることとなり,その間違いを白日の下に晒すことになるが,仮にそうなった場合,誇り高いであろう当該海自幹部OBは耐えられるのであろうか?)
にするなど,どうしたものかと言ったところです.

 以上,長くなりましたが,ご参考まで.

へぼ担当,2009年12月30日 20:22

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 従来型の火力でも,過熱蒸気を使ってまわすので,飽和蒸気にしかできない原子力より熱効率はよい,と習った覚えがあるんですけど
 火力で夢の熱効率40%超をついに達成した,みたいな話を以前聞いたことがありますが,原子力はまだ35%くらいじゃなかったかなぁ.
 へぼ担当さんが詳しいと思いますが.

 コンバインドサイクルガスタービンは55%とかあるので別格ですねぇ.

Tamon,2009年12月29日 15:58

 【回答】
 電力会社が設置するような最新型の従来汽力
(普通イメージするような火力の事です――ボイラー・蒸気タービンを組み合わせた物で,ガスタービンを使用したコンバインドサイクルとは敢えて区別する際に用いる用語です)
 発電所の場合,蒸気は普通の過熱蒸気ではなく,そのさらに上の「超臨界圧」まで達しているのが当然のため,熱効率は最低の石炭火力でも43%前後には達します.

 なお,原子力の場合,従来型のプラント(軽水炉)では一番条件の厳しい夏場でも熱効率はほぼ33%(1/3)と覚えていただければ,まず間違えることはありません.
 実際にはそれから何%積み上げることが出来るか,というのが勝負なのです.
 また,現在三菱が改良投入を予定しているEU-APWR,US-APWRでは熱効率は39% (net 37%)に達しています.

 因みに,現在国家プロジェクトとして開発中の次世代軽水炉(日本国内導入2030年目度)では,熱効率約40%が目標となっています.
 これには様々な技術開発が必要なのですが,EU-APWR,US-APWRのように有る程度確実な目標達成への見通しが立っているところです.

へぼ担当,2009年12月29日 17:06

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分


 【珍説】

       _
     '´ ☆ ヽ 
   / ,.'´  ̄ ヽ!
  丶  ノリノ ))〉
   ノノ.|i.^ヮ^ノ!  中国の軍門に降ると,もれなく漢ちゃんの
  (( ( リi.._\_iリ  技術が貰えますよ?
     ∪_||j
     `し'ノ

 海軍に関する技術とノウハウは,明らかに中国海軍より数十年の長がある.
 教えを請われれば教えてもいいし,その見返りに,原子力潜水艦のデータを受け取るという方法もある.
 日本が原子力推進のノウハウを入手するには,「格下」の中国からでもいいのではないだろうか.

oiso.net 大礒正美研究室
AA: JSF

 【事実】
 出航と同時に補足され,台湾軍や自衛隊だけではなく,一般のマスコミにすら散々追っかけられて,あげくに全航路が大衆紙にすら載せられる原潜の技術ですか……

 素人考えでも,見返りとして,通常動力の潜水艦の技術を取られる方がダメージでかいですよね……

寄星蟲

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より


 【質問】
 日本でも原潜を建造するとしたら,ロシアのVM-A型潜水艦用実験原子炉
http://mltr.run.buttobi.net/faq21e02b.html#VM-A
のような,実験原子炉の建造も必要?

 【回答】
 ぶっちゃけたお話,「岸壁の女王」にならないためにも,新規設計の船舶用原子炉プラント(舶用炉)に対して,どこまで信頼性(及び原子力潜水艦の場合は静粛性)を求めるか,と言う問題に帰着すると考えます.
 三菱重工業の場合,商業用原子力発電所の製作実績が豊富であり,世界的に見てもトップクラスの信頼性を誇るに至っています.
 そのため,ぶっつけ本番で舶用炉を製作しても無謀とは言えず,それなりの物を見込めることから,「VM-A型潜水艦用実験原子炉」のような実験炉を作成する,絶対の必要性はありません.

 ただし,新規設計の原子炉プラントには普通の機械と同様,初期トラブルはつきものであり,トラブルの事前回避の点で,実験炉を製作するだけの余裕があれば望ましいことは言うまでもありません.

 また,原子力潜水艦用の物となれば,信頼性の他に高度な静粛性も求められますので,条件が許せば是非,と言うところでしょうが,昨今の原子力発電所の立地の困難さを考えれば,技術的ではなく社会的に,また経済的にも非常に困難なものと愚考します.

へぼ担当 in mixi,2009年04月11日 09:09


 【質問】
 純粋に技術的には,日本でも原潜建造は可能なのですか?

 【回答】
 当該原子炉の製作経験豊富な「横三」の技術者に聞けば,誰でも「技術的に原潜の建造は可能」と答えるでしょう.
 (同じ潜水艦建造社でも「縦三」はそう答えないでしょうね.) ※

 ただ,中国海軍の例を取るのは悪すぎますが,よほどうまい設計をしなければ原子力航行は可能であっても,自身の騒音が酷くて耳の聞こえないフネ,と成ってしまいかねず,そこに難しさがあると考えます.

 軍事用ではありませんが,日本国内でも現在も深海探査用舶用炉他の開発は進められています.
 そのため,原子力推進システムとして不可能ではないでしょうが,軍事技術としての原子力潜水艦に求められる静粛性が,ネームシップから確立できるかどうか.確かに物理的な建造は可能であっても,用兵者の当たり前の要求に耐えうるかどうか,その点は別問題であることは指摘しておくべきと考えます.

 ※ 「横三」「縦三」は航空機産業が集積する名古屋市及び県営名古屋空港(小牧基地)近辺(主に「横三」)から,岐阜県各務ヶ原市・岐阜基地近辺(主に「縦三」)で良く用いられる表現なのですが,船舶の世界ではあまり用いられないのかも知れませんね.

 技術的可能性で言えば,究極的には
「そのフネに何処まで求めるか」
につきると考えます.

 速力など無視すれば,「しんかい」のような深海探査用潜水艇に搭載することを前提に提案されている原子炉すらありますので,小さくする方もさほど難しくないと考えられています.
 一方,各国の潜水艦はその用兵思想に基づき,様々な型があり,現用の原子力潜水艦で最小の物はフランス「リュビ」級の水中排水量2670トンという物があり,これは肥大化する一方の海自潜水艦のうち,「おやしお」級の水中排水量3000トンより小さいぐらいです.

 そのため,答えとしては
「用兵思想・要求次第でいくらでも.
 ただし,性能バランス・建造費は当然考慮方.多くを求めれば大きくなるし,小さい方が良ければ割り切りが必然.
 ただ,海自が「おやしお」級よりも小さい物を無理に求めるとは考えられないが」
と愚考します.

 ただ,繰り返しになりますが,潜水艦にとって致命的とも言える「静粛性」は全く別次元の問題であり,原子炉廻りの重量低減・コンパクト化より,そちらの方がノウハウ他,遙かに難易度が高いことを指摘すべきと考えます.

へぼ担当 in mixi
青文字:加筆改修部分

「おやしお」型
(こちらより引用)


 【質問】
 広々とした敷地で伸び伸びと配管を施工出来る原発と,曲げ配管だらけとなるであろうのSS用原子炉とでは,難易度が異なるのでは?

 【回答】
 原子力発電所でなくても火力発電所でも構わないのですが,各種配管がどのようになっているかご覧になったことがありますでしょうか.
 それによって,回答の程度を変えなければならないのですが,曲げ配管(以下,エルボ部とします)のない原子力発電所は存在せず,有る意味,芸術品の感さえ有ります.

 ただし,工学的な常識として,エルボ部の減肉(腐食)は直線の配管より大きいことから,当然考慮に入れなければなりません.
 また,エルボ部の減肉は水配管より蒸気配管の方が大きいこと他から,出来る限り蒸気配管を曲げずに,代わりに水配管を曲げるのは,設計者初めとする関係者の中では常識です.
 さらに,配管の熱膨張の吸収も当然考えなくてはならないため,敢えて曲げることもあります.
 そのため,狭いスペースの中で如何に無駄なく,メンテナンスも考えながらコンパクトに抑えるか,設計者の技量が問われるところであり,だからといって原子力潜水艦の原子炉廻りの設計が出来ないというわけではありません.
 
 「曲げ」を問題にするのであれば,それより原子炉格納容器を小さく抑えるために,蒸気発生器をどのように配置するか,そちらの方が課題でしょう.
 もちろん原子力発電所で多用されているように,縦置きが合理的(西側では例外無し)ですが,スペースの都合上横置きにしてトラブルを招いた事例(旧ソビエトの初期型の物で事例多数)があります.

 そのため,原子炉容器に近接して配置したり,一体型の構造にしたりするのですが,これ以上は専門かつ難解に過ぎるため,ここでとどめます.

へぼ担当 in mixi
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 原子炉は小さくするのはむつかしくても,大きく作るのは簡単?

 【回答】
 大型商用原子力発電所の場合,原子炉容器他の合理的な製作限界がありますが,原子力潜水艦クラスの場合,仰るとおりとなります.
 正確には原子炉出力を小さくしても,ある一定以上の大きさが必要であり,それからさらに小さくしようとすると,とたんに難易度が急上昇する,と言ったところでしょうか.
 そのため,技術的な常識論で言えば,小型の原子力潜水艦を指向しても,原子炉区画が占める割合が大きくなるだけで,早々に実用的な限界を迎えるのは必定と考えます.

へぼ担当 in mixi
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 日立のWH買収は原潜建造にプラスになりませんか?

こーちゃん in mixi

 【回答】
 二重の意味で事実誤認があり,マイナスにはなりませんがプラスにはなりません.

1.まず,WHを買収したのは「東芝」であり,「日立」ではない.

 日立は東芝・WHの対抗もあって,ゼネラル・エレクトリック社(GE社)と経営資源を融合,日本では「日立GEニュークリア・エナジー株式会社(略称;HGNE)」,日本国外では「GE-Hitachi Nuclear Energy(略称;GHNE)」を設立しています.

(参考)
http://www.hitachi-hgne.co.jp/
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2007/07/0702.html

2.WHを東芝が買収する前に,英国の旧BNFLが買収しているが,その際に例え血盟と言える同盟国の英国にすら米国の軍事用原子力技術・基盤を渡さないために,WHから軍事系原子力部門を切り離している
(それが旧BNFLによる買収許可条件の一つであった).
 その結果,今回の東芝によるWH買収の範囲に軍事系原子力部門は含まれていない.

 よって,残念ながらこーちゃんさんの仰ったことは全く当たらないことになります.

へぼ担当 in mixi
青文字:加筆改修部分


 【質問】
現時点で費用に見合う効果が得られるのかについての疑問は理解出来るのですけれど
なんでここは中国ですらとっくの昔に実現している原潜を
日本程の工業国が実現出来ないと言う話になっているんでしょうかね?

別に欧米の一線級の原潜を相手にするから
そのレベルの原潜をいきなり実現しろと言う話でも無いじゃないですか

>舶用原子炉では「むつ」の実績しか無く,「静粛性」という原子力潜水艦で
>最も重要なノウハウがない日本と組んでくれると楽観視できますか?

これも良く聞く主張ですけれど,原子炉とは言え騒音を発生するのは主に
給水ポンプや蒸気タービンなどですよね?
給水ポンプや蒸気タービンに使われている技術の大半は別に原子炉特有の物では
無いんじゃないんですか?

当然技術水準的には日本でもそれなりの高水準に達している分野ですよ
「静粛性」自体を非常に重視して技術開発していると言う事は無くても
実用レベルで妥協できるレベルの「静粛性」を実現する事が無理な程に研究がされていない
未開の分野って事は無いですよね?
仮に有ったとしても,それが原子力を導入するメリットを上回るデメリットになる
レベルなのでしょうか?

騒音に変換されるエネルギーだってエネルギー効率を下げる要因ですし
当然騒音が発生する様な力の掛かり方にも注意を払って技術開発していると思うのですけれど
違うのでしょうか?

それと法制度上のハードルが高いのは理解出来ますけれど
本当に必要性が高まってきた際に米国その他が動力としての原子力にすら
反対すると言うのも疑問ですね

良くこの話題については断言しますけれど,それって何か根拠が有るのですか?

私も少なくとも暫くは原潜を導入する必要性はなさそうに思えますが
反対する側の主張には疑問を持ってしまうんですよね

中の人 in mixi,2010年10月30日 10:20

 【回答】
> >舶用原子炉では「むつ」の実績しか無く,「静粛性」という原子力潜水艦で
> >最も重要なノウハウがない日本と組んでくれると楽観視できますか?

> 給水ポンプや蒸気タービンに使われている技術の大半は別に原子炉特有の物では無いんじゃないんですか?

> 当然技術水準的には日本でもそれなりの高水準に達している分野ですよ
> 「静粛性」自体を非常に重視して技術開発していると言う事は無くても 実用レベルで妥協できるレベルの「静粛性」を実現する事が無理な程に研究がされていない 未開の分野って事は無いですよね?

 技術発展の方向が全く違います.
 こちらの方の技術は基本的に高熱効率,信頼性の方向
(こちらの方はしのぎを削っています;競争力の原点ですから)
に向かっており,「静粛性」については殆ど関心が向けられていません.
 もちろん一般産業としても,「低騒音」は歓迎されますが,それよりも「経済性」に目が向くのは当然でしょう.
 つまり,民生用ではその必要性が低いため,現在の所そちらへの研究が余り進んでいない訳です.
 軍用(自衛隊用)では必要となる技術ですが.
 よって,静粛性に関心が向かうのはそれから,と言うわけです.

 かつ,静粛性(遮音性)についてはかなり経験工学的な分野です.
 そのため,
「やって出来ないことはない.
 でも,ある程度のレベルに達するまで試行錯誤が必要で,最初(第一船:ネームシップ)からうまく行くと考えない方が良い.
 経験工学的なノウハウとはかくも難しい物」
というのが正確でしょう.
 少なくとも最初からうまく行くなどと,甘い考え方をする技術者の方が,その技術的センスを疑いたくなります.


> 騒音に変換されるエネルギーだってエネルギー効率を下げる要因ですし
> 当然騒音が発生する様な力の掛かり方にも注意を払って技術開発していると思うのですけれど 違うのでしょうか?

 例えば発電用原子力タービン(1100MWe級)で,騒音によるロスが軸出力の0.1%でも有ったら,凄まじいことになります.
 この場合だと1.1MW,つまり1100kWもの出力のスピーカーでがなり立てるのと同じですから,そんな破壊的な機械が存在するわけがありません.

 当然,熱効率の低下に繋がらないよう,様々な工夫がなされます.
 例えば熱バランスやタービン翼の改善の他に,信頼性のためにも適切な潤滑など様々な配慮点がありますが,騒音レベルというのは上記に示したとおり,熱効率の上では極めて僅かなロスにしかなりません.
 たった0.1%の騒音ロス(これでも過大評価気味ですが)を改善するのであれば,保温材の強化など熱的ロスを最小限にする方が優先されるのは言うまでもありません.
 つまり,熱効率に対する騒音低減の寄与は小さい
(逆は成立する:例えばスムーズに動くように,適切な潤滑を行うことにより,そのロスが低減され,結果として振動や騒音も低減する.)
ため,余程のことがない限り,民間技術で騒音の方に手を回すのは後回しとなるわけです.

 繰り返しますが「出来ない」のではなく,
「(民生用では)その必要性が薄いため,手を付けていない(後回し)」
だけです.
 ただ,その改善には経験工学的なノウハウが必須であり,
「多大な時間と経験が必要(例:ロシア原潜の静粛化に時間がかかった)」
ということを忘れてはならず,
「それだけ悠長に待てる時間があるのでしょうか?」
と言えます.


> それと法制度上のハードルが高いのは理解出来ますけれど
> 本当に必要性が高まってきた際に米国その他が動力としての原子力にすら反対すると言うのも疑問ですね

 先に挙げたかと考えますが,日本の国内法改正ならまだ簡単です.
 しかし,「日米他二国間等原子力協定」によって「平和目的外への核物質等の使用」,つまり核兵器だけではなく「軍用(自衛隊用)への核物質等の使用」は明示的に禁止されています.

 これをクリアするには,「日米他二国間等原子力協定」の全面改定,もしくは解釈変更が必須であり,その上で更にその状態でも「核兵器への転用」を防ぐための措置が必要となります(核武装まで認められるのでしたら話は別ですが).
 そうなると,原子力潜水艦への適用除外を許した上で,核兵器へ転用されないためにはどのような仕組みを構築するか,極めて大きな問題となるのは必至であり,最低限うまく行っても原子力潜水艦への査察・監視活動や,海上自衛隊基地等への査察立ち入り等が必要となります.

 難しい査察技術論にはこれ以上踏み込みませんが,事はNPT・IAEA査察体制と表裏一体となった「日米他二国間等原子力協定」にて,ほぼ
「核兵器と同等に軍用舶用炉への使用」
にも制限がかかっているため,それを改定するのは極論「日本の核兵器保有可能性」と同程度の「極めて困難」と言えます.
 なお,人形峠等の国産ウランを用いた場合でも,現状では何らかの形で「日米他二国間等原子力協定」に抵触しますので,結論は同じです.
 それほど同協定はザルではありません.


 以上,ご参考まで.


 上記の根拠条文を引用します.
 特に重要な部分は強調しておきました.
(なお,他の二国間原子力協定においてもほぼ同様の規定があります.)

----
 原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(通称:日米(新)原子力協定)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/04/23/s630702_05.pdf
----
第8条
1 この協定の下での協力は,平和的目的に限つて行う.
2 この協定に基づいて移転された資材,核物質,設備及び構成部分並びにこれらの資材,核物質,設備若しくは構成部分において使用され又はその使用を通じて生産された核物質は,いかなる核爆発装置のためにも,いかなる核爆発装置の研究又は開発のためにも,また,いかなる軍事的目的のためにも使用してはならない.
----

 補足すると,「資材,核物質,設備及び構成部分」と,核物質だけではないことが最大のポイントであり,「資材,設備及び構成部分」が一体どのような意味を持ち,(核不拡散を含み)影響を及ぼすのか,十分な理解が必要です.

 これ以上は原子力の各プロセス(工程)
(核燃料サイクル・特にフロントエンド(上流)部分)
を正確に理解しておくことが必要となりますが,それについてはある程度,機微情報(非公開情報・法令管理秘密情報)にも触れなければならないため,解説は一旦差し控えることにします.

へぼ担当 in mixi,2010年11月03日
青文字:加筆改修部分

 これら回答の中での最大のポイントは,私たち専門従事者が日米他二国間原子力協定について触れる際に「核(燃料)物質【等】」と,必ず【等】を何故付けるのか,です.

 これらは,ここでは明示的に触れていませんが,日本の核武装や原潜保有議論の際に避けられない「国籍管理概念」と密接に関連する,理解必須(ただし極めて難解かつ機微情報有り)の部分であること.

 そして,在野の核武装や原潜保有議論は本部分を根拠にほぼ一蹴できること.
 寡聞ながら,この部分について触れた上で,それをクリアにする言説は,
今の一度も見聞したことがありませんし,これらの完全性こそが日本の核不拡散・核武装阻止体制の最重要部分であることを,併せて述べさせていただきたいと考えます.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2010年11月07日 06:18


 【質問】
 何か…我が国では「専門家」と称する方々は「可能性を否定」する事が,存在意義であるかのように感じられるのですが.

こーちゃん in mixi

 【回答】
 これは皆さんがどのように感じられるか,考えられるかの問題のように思いますが,技術者は確かに困難な問題を解決し,道を切り開いていく物だと考えており,私個人も微力ながらそれに尽くしているつもりです.

 ただし,同時に現在までの日本の原子力は平和利用が大原則であり,そのために国際社会の信頼を獲得し,非核保有国では唯一と言っていい再処理工場まで保有するに至るまで,様々な仕組みを構築してきたのが実際です.
 そのため,それを否定するような動きに関しては,どうしても
「そうしないように今の今まで努めてきたのだから,出来ない」
という回答が返ってくるのは,ある意味当然と言えます.
 また,本音として
「そのようなことが出来るのであれば,ここまで原子力の立地について苦労しない」
という思いがあるのも否定しません.

 ですから,技術者としては困難な課題に挑戦し,解決していくのが当然ですが,政治・社会的な問題に対し,同じ事を期待されてもなかなかうまくいかず,結果として『「可能性を否定」する事が存在意義』と感じられるのかも知れません.
 これは究極的には,「皆さんがどのように考えられるか」にかかっている問題と考えますが,如何でしょうか.

 以上,数々の失礼のほど,どうかご容赦を.

へぼ担当 in mixi
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 静粛性,ですが,初期の原潜は,減速装置からの騒音が最大でしたから,現在は発電機と電動機の組み合わせでそれを解消しています.
 発電機と電動機は,日本にも実績があるわけですからよしとして.
 蒸気タービンと,1次2次の冷却水に関する装置と言うことになるのでしょうか?
 ポンプは気になりますが,回転型にするなど,が考えられますね.
 へぼ担当さんは,静粛化に最も障害になる機械は,なんだとお考えですか?

ふくろう in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【回答】
> 減速装置からの騒音が最大でしたから,現在は発電機と電動機の組み合わせ

 原子力推進艦で「発電機と電動機の組み合わせ」を用いるものを,「原子力ターボ・エレクトリック推進」と称することが多いのですが,通常,原子力潜水艦と言われて思い浮かぶSSNやSSBN(特殊用途艦除く)で,「原子力ターボ・エレクトリック推進」のものは,フランス海軍の一連の物「ル・トリオンフォン」級,「ランフレクシブル」級,「リュビ」級ぐらいしか承知していません.

 少なくともアメリカ,イギリス,ロシア,中国の特殊用途艦除く現役原子力潜水艦で,「原子力ターボ・エレクトリック推進」を採用しているものを承知しておりません.
 もちろん蒸気タービン発電機を搭載していますが,大多数は蒸気タービンから減速装置を介して推進軸を回すものと,私個人は理解しています
 ただし,私個人は一民間人でしか有りませんので,公刊資料しかアクセスすることが出来ませんので,事実誤認が有りましたらご指摘ください.
(以上出典:海人社 世界の潜水艦ハンドブック 改訂第2版)

> 静粛化に最も障害になる機械

 原子力発電所の運転員の感覚でしか有りませんが,以下の順と考えます.

1.蒸気タービンから推進軸への減速装置
 (原子力発電所ではその逆の増速装置がありますが,その取り扱い動力に関わらず騒音レベルは最大級であり,耳栓が必須となります.
 だからこそ,システム的には過大となっても,フランス海軍は原子力ターボ・エレクトリック推進にこだわったものと解釈しています.)

2.蒸気タービン・蒸気系配管
 (蒸気系配管の騒音はいずれも大きいのですが,その意味ではこれが最大になります.)

3.各種軸受・発電機・ポンプ・モーターなど回転を伴うもの
 (某海自潜水艦見学の際に説明された乗組員の方にそう伺ったことがあります.民生用機器と比較できないこともありませんが,機密に触れることになりかねませんので,これ以上は言及できません.
 私個人の経験では,確かに回転式ポンプは騒音を発しますが,キャビテーションなどの異常を起こしていない限り騒音レベルは低く,ほとんどがモーター,及び軸受に依存しています.
 これも最小流量運転など特殊な運転をしない限り,正常なら風切り音程度ですから,1.2.に比べれば大したことはありません.
 もちろん容量が大きければ,その分騒音も大きくなる傾向にありますが,原子力潜水艦レベルのポンプであれば,蒸気系の音でかき消されるでしょう.)

番外:往復型(プランジャー)ポンプ
 (ふくろうさんの頭の中には回転式ポンプの対称として,これが思い浮かんだのかも知れませんが,潜水艦でどのような物が採用されているか承知していませんので,言及を避けます.
 ただ,私個人の経験上では,この形式の物ではポンプ自体の騒音も大きいのですが,モーターから減速装置を介していると,減速装置の発する騒音にかき消されてしまいます.)

 結論:一番は減速装置(歯車).その後は蒸気系(タービン含む・希に水配管でも騒音を発する場合があるが,これは特殊例.).
 ディーゼルエンジンのような内燃機関を除き,単純な回転式の物で騒音が激しい場合は,それが非常に大きな容量(例:ディーゼル潜水艦の推進用電動機)を持っているか,特殊な運転モード以外,何らかの故障・不具合・欠陥を疑うべきでしょう.

へぼ担当 in mixi
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 メンテナンス施設や要員など,周辺の設備人員整備には原潜専用が必要と考えますが,コストは甚大なものになるのでしょうか?
 そして維持のためのコストも含め,見合ったメリットなのかと気になるところです.
 昔,日本の技術での核兵器保有について,
「開発は問題なくできるが,設備整備と設備維持は簡単ではないので,実現困難」
との意見交換の記事を読んだことがあったので,別物とは思いながら気になりました.

ぱお・ぱお in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【回答】
 現在のディーゼル潜水艦でどの程度のコストがかかっているのか,各段階のものを承知していませんので詳しく言及できませんが,少なくとも現状よりメンテナンスコストがかかるのは間違いないでしょうね.
 ただ,コスト的に最大となるのは放射性廃棄物が発生する工程ですので,就役期間中に原子炉炉心の交換を行うか否か,にかなりの部分を依存しているように考えます.
 どちらにしても解役後,解体の際に原子力推進艦の場合,多額の費用がかかるのは確かであり,それが工面できない場合どうなるか,かつてのロシアの解役されたまま放置された原子力潜水艦群が,何より物語っていると考えます.

 手短にかなり省略しましたが,以上のように考えます.

へぼ担当 in mixi
青文字:加筆改修部分

 ※ただし誤解が起きないように付け加えておくならば,ペースこそ遅いながらも1990年代前半から,ロシアは除籍原潜解体に着手している.
 ノーボスチの記事によれば,遅延の原因は,処理のための特殊な安全方策を確立するのに時間がかかった模様.
 G8は200億ドルを拠出しているが,大部分の費用はロシアが賄っているというから,解体費用総額はその何倍ものものになるだろう.
 他方,廃棄すべき原子力艦船総数は200隻であったという.

 詳しくはロシアFAQの該当項目,およびそのリンク先のノーボスチ記事を参照されたし.
http://mltr.run.buttobi.net/faq21e02b.html#03462


 【質問】
 日本にも原潜は必要でしょ?
 中国やソ連の原潜や主力艦を追撃したり,
巡航ミサイルで奇襲したり,
遠くインド洋まで出張したり.

 【回答】
 原潜って物に何の期待を持ってるかしらんが,そもそも主力艦の追撃が出来るような速力は無いし,対潜戦は海上戦力が圧倒的優位.
 そういう任務はもっと適任がいて,既に配備されてる.

 それに潜水艦で奇襲が出来る戦いなど,WW2で終わっている.
 撃てば自分の位置がばれる.
 自殺行為でしか無い.
 よほど特攻しなきゃならん理由が無い限り,3Dで他艦艇との連携は必須.

 同じ理由で,潜水艦だけインド洋に行っても何の意味もなし.
 核搭載するなら別の意味もあるだろうが,もう核武装の議論は散々出尽くしている.

戦争・国防板,2010/03/14(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 コスト面で見た場合,原潜保有は海自にとってメリットがありますか?

 【回答】
 技術面ではもっと指摘したいことがありますが,夢も希望もないお話しとして建造費のお話しを.

 世界の艦船2009年1月号P.137によれば,米海軍のヴァージニア級で2400億円.
 一方スターリング機関を搭載した日本の「うんりゅう」は580億円.
 つまり,原潜にすることでざっと4倍の費用が掛かります.
 そして,1哨戒ポイントに常時張り付けるとして,最低限2交代で当たるとして,整備中の艦も含めると最低3隻は必要.
 すると建造経費だけで,従来型の12隻分の費用が掛かります.

 潜水艦に特化した運用を海上自衛隊が行わない限り,厳選哨戒ポイントを1つ設定しただけでも,ほぼ建造費ベースで2/3取られてしまうわけで.
 現在の16隻体制から原潜3隻+ディーゼル潜水艦4隻と,同時哨戒ポイントは半減以下と,大幅に戦力ダウンとなってしまいます.
 これが皆さんにとって許容できるのでしょうか.
 日本が防衛すべき海域は広く,死活的に重要な海峡だけでもそれだけでは足りなくなってしまいますが,それでも良いのでしょうか.
 ハイ・ローミックスとは言え,数だけではなく最低限の能力を備えなければ意味がないことは,指摘するまでもないでしょう.

 また,戦闘機のライセンス国産の例を採るまでもなく,米海軍のヴァージニア級で2400億円だからといって,国産の原子力潜水艦がその価格で出来るとはとても思えません.
 ライセンスにしても,一からの開発にしてもいずれにせよ,現在の海上自衛隊の戦力攻勢を大幅に縮小再編成しなければ,予算という死活的な枠で問題外となってしまいます.
 また,それだけ潜水艦にリソースをつぎ込むとしても,現在の16隻体制ではたった16年で除籍するとして,造船所に1年1隻分の仕事が回ってきますが,原潜の場合どうなるでしょうか.
 予算の都合上3隻しか作れないとなると,早晩技術伝承の問題や改良改善が非常に後に伸びてしまうなどの問題点も指摘できます.

 以上,あまりに夢のないお話しでしたが,あたご型イージス艦でも1470億円で留まることを考えた際,その運用方法含め費用対効果も厳密に考え,原潜を導入したことによって,かえって海上自衛隊全体の戦力ダウンにならないようにしなければならないと愚考します.
(技術的な面はまたいずれ.)

2010年07月04日 01:28,へぼ担当

以上,mixiより
青文字:加筆改修部分



 【反論】
何でヴァージニア級をあげる必要があるのかが,まず理解できないが
全世界規模で展開するアメリカの原潜と,日本に求められる原潜が同じなわけがない
そもそも現在の日本の「うんりゅう型」は600億円以上の建造費が求められている.
この価格は中国の漢級原潜より高価だったはずだ.
シーウルフ級やヴァージニア級のような大型原潜まで目指さなくても,リュビ級のような2000トンから4000トン級の原潜であれば,うんりゅう型とさして価格に差はない.

それにさ,原潜の場合はライセンス生産など,最初から考えていない
だってさ,核戦略に直接結びつく原潜のライセンス生産など,アメリカだって容認しないよ.
潜水艦を建造するのであれば,国産か,少なくとも米英仏の何れかとの共同開発くらいを視野にいれてやらないと無理だよ.
小型の原子炉開発の技術は,日本にはすでにあるし
必要なのは粛音性だが,それも原子力技術の発展で,音を極端に抑える事もできるようになっている.
要するに原潜を作るのに必要なものも,充分にあるわけですからね

あと,16年交代は,もう取りやめにして,潜水艦の数は25隻くらいに増やし
25年から30年交代くらいにするのが妥当だろう.
さして予算も必要なく,それくらいの事はできる

2010年07月04日 02:33,Pick

 【再反論】
 ヴァージニア級を挙げたのは,実際に建造コストが公にされているためであり,大意はありません.もしリュビ級の建造コストをご承知でしたら,極めて示唆に富み参考となりますので,是非ご教授下さい.

 さて,原子力潜水艦を小型化すればコストが劇的に下がるのか?
 答えはNO.確かに船体等小さくなればコストは下がるが,小型化しても相対的にコストが下がりにくい原子力推進機器が早晩ネックになる
(逆に,だからこそ民生用原子力発電所では大型化による相対的なコストダウンを計った)
のは必然.
 ましてや,実績のあるはずのディーゼル潜水艦の「そうりゅう」型の昨今のコストアップを考えれば「さして価格に差はない」と楽観的に考えることが出来る方が不思議でしょう.
 仮に同程度の船形として,中身がディーゼル発電機・モーター・蓄電池と,+αで原子力機器,どれほどのコストアップになると考えておられるのでしょうか.原子力機器の場合同じような部品でも品質保証関係費用で,請求費用の桁が軽く1桁違うことをご存じないのでしょうか.
 因みにほとんど知られていませんが,原子力推進が不可能となるような故障,原子炉再起動,その他対策で原子力潜水艦でもディーゼル発電機・モーター・蓄電池の搭載は必須です.

> 原潜のライセンス生産

 船体は別物としても,先進国の英海軍ですら,原子力潜水艦の原子力推進プラントはアメリカからのライセンス(技術供与品)ですが.
 また,フランスとの共同開発を行うとしても,既に曲がりなりにも実績のあるフランスが,舶用原子炉では「むつ」の実績しか無く,「静粛性」という原子力潜水艦で最も重要なノウハウがない日本と組んでくれると楽観視できますか?
(それでなくとも自主開発のフランスの原潜では,トラブルが多いことが伝えられていますが.)

 なお「静粛性」が求められるのは軍事用途であり,民生用原子力ではそもそも全くその必要性がないことから,当初から全く求められていません.
 ちなみに民生用原子力施設の原子炉給水ポンプや発電用蒸気タービンなど,大型回転機器は大きな騒音を発生し,そのレベルはディーゼル発電機・モーターの比ではありません.
 その点が原子力潜水艦保有国と日本の舶用炉技術の致命的な違いなのですが,両者に求められる技術的な差異を理解されていますか?

 なお,以前に指摘したため,ここでは詳しくは繰り返しませんが,日本国が原子力潜水艦用の核燃料を自前で確保することは不可能
(そもそも核爆発用以外にも「軍用目的」でのウラン等核物質の使用は,日米原子力協定その他二国間協定によって禁じられており,どうしてもの場合は関連する全ての協定の改定が必要で外交上ほぼ不可能.)
です.
 また,その他ウラン濃縮や加工上その他の厳重な制約があり,実際問題として無理矢理可能とするには,核燃料とセットで原子力推進プラントの一括ライセンスもしくはFMS調達が必要(特に核燃料はライセンスすら不可能)です.

 民生用が出来るから,軍用も出来る,というのは仮に技術的に可能であっても,そうはさせない仕組みを厳重に作り上げていること.さらに,仮に実現させるとなれば当該関連施設の一からの建設となり,膨大な労力とコストが必要となることを指摘できます.
 この点は現在の国内法規である原子力基本法,原子炉等規制法や,日米原子力協定その他二国間原子力協定等を良く読んでから,発言されるとよろしいかと考えます.

 以上,予算面・技術面・関係国内法規・国際約束等について触れさせていただきました.その上で言えることは
「核武装はもちろんのこと,「軍事転用」もしない,させないことを前提に発達した日本の原子力技術に過大な期待を持たれても,技術的な面はさておき関係国内法規・国際約束等で無理があります.
 さらに民生用では全く必要とされない「静粛性」という要素を軽視するのは,騒音問題で苦労した中国の二の足を踏むだけ.予算面(費用面)に至っては論外.」
とのまとめになるかと考えます.

 夢も希望もないと言われるかも知れませんが,技術含めた実際の現場を直視せずに語られても,実現性は極めて乏しいという結論にしかなりませんが,如何お考えでしょうか.
 以上,一応専門従事者
(原子炉の日常運転(事故時対応訓練含む)保守・核燃料管理(設計・技術的評価含む)・IAEA核不拡散対応経験有り)
の視点より,ご参考までに.

2010年07月04日 07:24,へぼ担当

以上,mixiより
青文字:加筆改修部分



 【反論】
>答えはNO.確かに船体等小さくなればコストは下がるが,小型化しても相対的にコストが下がりにくい原子力推進機器が早晩ネックになる

日本で主流となっている軽水炉は,もともと原潜用に開発されたものですよ
加えて,すでに小型の原子炉に関しては,人工衛星への搭載用などのために日本で開発が続いています.
何でそれがそこまで高くつくと考える理由がわからん.

>「静粛性」という原子力潜水艦で最も重要なノウハウがない日本と組んでくれると楽観視できますか?

自然還流という語句でぐぐった方がよろしい
すでに先進国の原潜は哨戒型に匹敵するほどの粛音性が確保されているのも,そうした新しい技術からです.

>日本国が原子力潜水艦用の核燃料を自前で確保することは不可能

アメリカも日本が本気で作るとなれば,それを抑える事はできませんよ
不可能と考える理由がわからん
実際,アメリカはフランスどころか,ブラジルの原潜開発すら抑えられませんしね

>夢も希望もないと言われるかも知れませんが,技術含めた実際の現場を直視せずに語られても,実現性は極めて乏しいという結論にしかなりませんが,如何お考えでしょうか.

何で不可能と考えるかがさっぱりわかりませんけどね.
かなり強引に理屈を並べているとしか思えませんよ
すでに完成しているものを,不可能だとか言われたところで理解できない
時々,あなたのように専門家を気取って言う人もいるけど,聞いていると本当に専門従事者の見解とは思えませんが?

2010年07月04日 07:38,Pick

 【再反論】
 出来る限り簡明に書いたのですが,お望みなら専門用語も遠慮しません.

>日本で主流となっている軽水炉は,もともと原潜用に開発されたものですよ

 先祖返りするから安く付く,と言うのでしたら大間違いです.
 全く理由になっていません.

> 加えて,すでに小型の原子炉に関しては,人工衛星への搭載用などのために日本で開発が続いています.

 JAEA開発の民生潜水艇用原子炉(PWR)を例に挙げるならまだしも,宇宙炉とは.
 軽水炉とは作動原理もまるで違うため論外.
 せめて東芝の4S程度を例示してください.
 ところで東芝の4Sってご存じですか?

> 自然還流という語句でぐぐった方がよろしい

 正確には原子炉1次冷却系の「自然循環」ですが,何か?
 たまたま知った言葉を間違って覚えていませんか?

> すでに先進国の原潜は哨戒型に匹敵するほどの粛音性が確保されているのも,そうした新しい技術からです.

 論外.自然循環は「原子炉一次冷却系のポンプ」を省略できても,肝心要の蒸気タービンは省略できない.
 さらに,確かに静粛性は増すが,自然循環だけでは出力に限界があることも理解していない.本当に理解しているのなら何故か,解説してみてください.
(厳密には不可能ではないが,実用的ではない理由も)

> アメリカも日本が本気で作るとなれば,それを抑える事はできませんよ

 日本が核燃料のウランをどこからどのように調達しているのか,日米原子力協定その他二国間協定を読み直してください.

> ブラジルの原潜開発すら抑えられませんしね

 ブラジルの核燃料がどこから来ているのか.
 その強気はどこから来ているのか.
 また,イラン核開発の仲介に入った思惑は何故なのか,IAEA追加議定書締結を何故ブラジルがかくも嫌がるのか,全て説明してください.
 それが出来なければ全く分かっていないと同様.

> 時々,あなたのように専門家を気取って言う人もいるけど,聞いていると本当に専門従事者の見解とは思えませんが?

 別段私個人の見解を疑うのは自由ですが,Pickさんの論拠は全て失当です.
 疑うだけの見識がおありなら,少なくとも以上の疑問点に全て答えることができるはずですが,如何でしょうか?

2010年07月04日 09:43 へぼ担当

以上,mixiより
青文字:加筆改修部分



 【反論】
>JAEA開発の民生潜水艇用原子炉(PWR)を例に挙げるならまだしも,宇宙炉とは.軽水炉とは作動原理もまるで違うため論外.まだ東芝の4S程度を例示してください.ところで東芝の4Sってご存じですか?

何れにしても,あなたの指摘するほど原潜には予算は必要ありませんよ.
それほど予算が必要なら,イギリスが十六隻もの原潜を運用できるわけがないでしょう.
イギリスの国防費は日本より少ないのですよ.
たかだか3500億円程度の原子力空母を一隻作るのにあっぷあっぷ言っているフランスが何隻も原潜を保有できるわけもない
フランスのような小型原潜の建造価格は詳しくは覚えていないが数百億円くらいだったはずだ.

> 日本が核燃料のウランをどこからどのように調達しているのか,日米原子力協定その他二国間協定を読み直してください.

ウランの調達先は旧共産圏にも存在し,何もアメリカに頼る必要もありませんよ.
それにアメリカが日本のウランの供給を絶つことなど出来るわけがありません
原子力への電力依存が大きい日本では,そんなことすればマジで経済が破綻しますよ.
密接な関係のあるアメリカ経済も無事ですむわけが無い
北朝鮮のような小国に対してのウラン供給も止められないアメリカが,日本に対してそこまで覚悟を決められると考える方が理解できませんね

2010年07月04日 10:05,Pick

 【再反論】
 とりあえず私の指摘点には全く答えられない,という理解でよろしいですね.
 論点ずらしは良くありませんし,少なくとも私には通用しません.

> 北朝鮮のような小国に対してのウラン供給も止められないアメリカが

 冗談や悪ふざけもほどほどにしてください.
 重油やKEDOを通じた支援と,ウラン供給の区別すら出来ない段階で,全く持って失当以外の何物でもありません.
 一体何処の国が,核疑惑で制裁を受けようとしている国に,ウランを供給すると考えているのですか.
 この1点を持ってしても,Pickさんの指摘が完全に失当であり,全く持って考慮に値しないことが分かっただけ,収穫だったと考えます.

 なお,軍用原子力に関して,ちまたにあふれる軍事雑誌(日本国内での出版分)のデタラメをそのまま受け売りするのだけは,止めておいた方が良いと考えます.
 軍事研究誌ですら,軍用原子力に関しては読むに堪えない間違いだらけという為体ですので.
(必要でしたら,軍事研究誌に過去に示した間違い点を提示する用意があります.)

 また,キーワード検索で分かったつもりになっていても,何故そうなのか原理や基本的な考え方まで簡明に,説明されているのは極めて稀です.
 その点を説明できるか,何処がポイントで何処が課題なのか,専門従事者にとってはイロハのうちですが,そこが真偽を見分けるポイントかと愚考します.

 以上,ご参考まで.

2010年07月04日 11:52,へぼ担当

以上,mixiより
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 主機,補機など騒音発生機器や配管は,船体への振動を遮断するために,ゴム製緩衝材を介在させて取り付けるのが世界的な傾向だと認識しています.
(オハイオ級紹介テレビ番組でも,例えば,パイプの太さと同じくらいの厚さの緩衝ゴムを使用していました.
 この雑音対策でも排水量のかなりの部分を占めています.)
 この場合,発生雑音が高周波の方が低周波より遮断効果がある,とイメージしていますが,間違いでしょうか?

ふくろう in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【回答】
> ゴム製緩衝材

 個人的にはコストパフォーマンスが最大の方法と考えています.

 低周波と高周波の問題ですが,両方共に決定的な方法はなかなか無く,地道に解決していくしかないように考えます.
 また,ゴム製緩衝材は扱いやすく,かつ効果的な方法ですが,それだけで解決できないのは,高温部の取り扱いなどの例を挙げるまでもないでしょう.

 なお,実際に放射雑音の低減を考えた場合,高周波の取扱は難しいもの,と経験しています.
 もっとも水中では,ふくろうさんの仰るとおり高周波の減衰が大きいため,低周波の低減に重きが置かれることでしょうが,これはバランスの問題であるようにも考えています.

 そのため,先の見学の際も,同時期にほぼ同種の機器を取り扱っていた経験上,比較で物を見ていき,民生用機器との相違点を中心に伺っていくうちに,どんどん歯切れが悪くなったことを良く覚えており,見学条件他から注意することとなっています.

へぼ担当 in mixi
青文字:加筆改修部分


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