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◆総記
中近東FAQ目次


 【link】

「BBC」◆(2012/05/27)Fading optimism of the Arab Spring By Jeremy Bowen

「Bloomberg」◆(2010/05/07)OPEC:生産目標変えずに増産継続へ−現在の原油価格水準に満足

「CFR」:Crisis Guide: The Israeli-Palestinian Conflict
 米外交問題評議会(CFR)の中東問題特集ページ,日本語版が欲しいところ.

「CNN」◆(2011/05/14)Libya, Tunisia refugees land in Italy

「FT」◆(2011/01/26)The world will regret its neglect of Doha
Peter Sutherland

「FT」◆(2011/01/27)Be careful what you wish for in the Arab world
Anthony Cordesman

「IISS」◆05 July 2010 - IISS Middle East Lecture Series - H.E. Mr Nasser Judeh - Middle East Peace: Prospects for the Future

Lebanese Army Website(英語・アラビア語)

News from Middle East

「RAND Corporation」◆(2013/03/23) When it comes to Syria and Libya, it might be time to unlearn the lessons of Iraq, says Christopher Chivvis:

「Strategy Page」◆(2013/06/03) INFORMATION WARFARE: Believing The Islamic Lie
 イスラーム諸国が西欧諸国に敵対的ではない,というのはウソである――とする記事

「Strategy Page」◆(2013/06/14) ISRAEL: The Secret Treaty With The Arab Neighbors
 イスラエルとアラブ諸国の,隠された協力体制

「Today's Zaman」◆(2013/05/29) Reconciliation between Turkey, Israel paves way for greater business ties

「Togetter」◆(2011/02/25)Tweets on BBC #Newsnight "Revolution 2011" (24 Feb 2011)

「VOR」◆(2012/02/20)中国;中東危機解決の唯一の道は交渉

「VOR」◆(2012/03/08)ツイッター 右から左に書く言語への対応開始
>これによりアラビア語,ペルシャ語,ヘブライ語,ウルドゥー語(パキスタンや印北部など南アジアで使用されている)が対応可能となる.

「VOR」◆(2012/05/29) ロシア外務次官:「アラブの春」はまだ長く続く

「VOR」◆(2013/05/29) シェール革命と中東

「WSJ」◆(2011/02/18)The Post-Islamist Future
Maajid Nawaz

アラブログ

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/12/24)変革の動きに揺れるアラブ世界と,「アラブの春」のその後

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2011/11/18)次の注目はイエメンと,シリア 湾岸諸国は団結して運動弾圧姿勢を保つ ――東京外国語大学・酒井啓子教授に聞く

「地政学を英国で学ぶ」◆(2011/02/18)中東民主化危機でちょっと考えたこと

「中東・エネルギー・フォーラム」

「中東調査会」

「中東の窓」◆(2013/05/28) 米国(オバマ)の影響力の低下に関するイスラエル紙論説

「日経」●(2012/05/16) 中東・アフリカ諸国 水利権が紛争の種に,人口増・工業化で需要急増 利害調整難しく,

「日本語で読む中東メディア」(2009/07/31)コラム:中東における戦争の噂と各国の思惑 (al-Hayat紙)

「日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信」◆(2013/01/21) アメリカは中東から撤退せざるを得ない

「フォーサイト」◆池内恵 記事一覧

「ワールド&インテリジェンス」◆(2012/09/04) 「反米」について

●Arabian Language アラビア語

Ajeeb(翻訳サイト)

アラビア語入門(リンク切れ)

「スパイ&テロ」◆(2012/05/09) アラビア語フェイスブックのページが

東京外語大学アラビア語別館

日本語で読めるアラブ文学

●General Works 総合

Aljazeera Net(アルジャジーラ放送の英語版サイト)

「FSM」:中東民主化の夢を捨て冷戦期に戻ろう

MEMRI(中東報道研究機関.イスラエル寄り?)

「NY Times」◆(2011/05/23)Mideast Questions Likely to Surface in Obama’s Trip to Europe

「Togetter」◆(2011/05/23)バンビさんが語る―中東の人々

アラビア広場

アルメニアへようこそ

極東イスラエル協会/広報部

近現代アラブ・イスラーム研究

(財)日本エネルギー経済研究所中東研究センター(旧中東経済研究所)

進め!あらびあ街道

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中東コンフィデンシャル

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「中東の窓」◆(2013/01/01) 2013年の中東情勢

「中東の窓」◆(2013/03/16) イスラムと女性

「中東の窓」◆(2013/03/16) 女性に対する暴力反対の宣言案(国連)

「中東の窓」◆(2013/04/06) オバマの中東首脳との会談

「中東の窓」◆(2013/04/22) ハメネイとナスラッラ―の秘密会談

「中東の窓」◆(2013/05/03) カタールでの12か国合同軍事訓練

「中東の窓」◆(2013/05/04) 湾岸における合同演習

「東京の郊外より・・・」◆(2013-04-21) 商売繁盛:ヘーゲル長官初の中東訪問

日本語で読む中東メディア

パックスジャパニカーナ(中東情勢,ややイスラエル寄りか?)

「ワレYouTube発見セリ」:Amos-3 Satellite(アモス3通信衛星)

「ワレYouTube発見セリ」:Greek Cypriot Army Anti Aircraft Artillery

「ワレYouTube発見セリ」:Ofeq-5(イスラエル,オフェク5偵察衛星)

「ワレYouTube発見セリ」:Operation Mauser

●書籍

『アルジャジーラ 報道の戦争』(ヒュー・マイルズ著,光文社,2005.8)

 読了.
 リベラル系アメリカ人ジャーナリストによる,アルジャジーラ絶賛本だが,やたら面白い.

 アルジャジーラを規制するため,アルジェリア政府が主要都市を停電に.
 イラク戦争じゃイラク正規軍はサッサと逃げ,抵抗したのは外国人武装勢力.
 イラク暫定統治機構が設立したTV局が,ウダイの邸宅から押収したコレクションを用いて,番組を放送
――など,爆笑モノのエピソードが連発.

 とまれ,このスレッドの住人にはヌル過ぎるかも.

-----------------軍事板,2011/12/07(水)

『イスラム世界はなぜ没落したか?』(バーナード・ルイス著,日本評論社,2003.7)

『中東政治学』(酒井啓子編,有斐閣,2012/10/03)
>地域研究と比較政治の架橋をめざして

『中東の予防外交』(吉川元・中村覚編,信山社,2012/08/10)


 【質問】
 アラブ諸国で自然な世代交代を望むのは,高望みなのか?

 【回答】
 レバノンのような例もあり,決してそうとは言えない.
 以下,根拠.

 モザイク国家であるレバノンでは,
人口の20%を占めるマロン派キリスト教徒から大統領,
同20%のイスラーム教スンニー派から首相,
同30%のシーア派から国会議長,
というように,それぞれの代表を中央政界に送り出す形になっている.
 レバノンは,オスマン帝国支配下の時代,フランス委任統治下の時代,そして,国民協約に基づく独立国家としての時代,という歴史の流れの中で,3つの権力を分離する術を自ずから学んでいったのである.

 中東に無理矢理,民主主義を押し付けようとすることに無理があるとするならば,このレバノンの智恵をどうにかして生かしていくことはできないだろうか.
 イラク戦争で傷ついたアラブの心を癒し,そのプライドに配慮するという意味で,検討されてもいい選択肢だと考える.

(山内昌之〔東大教授,歴史学者〕 from 「諸君!」,
2003/6号,P.56-57,抜粋要約)

 ただし,レバノンの現状については以下のような見方もある.

 今日,着々と経済復興を進めるレバノンの平和は,パクス・シリアーナ(シリアによる平和)とも呼ばれている.

 イラクがクウェイトに侵攻した1990年8月当時,レバノンには様々な武装勢力が割拠していた.
 シリアは4万の兵力を置き,イランは革命防衛隊を派遣していたし,イスラエルは今も南部国境地帯を「安全保障地帯」として占領している※.
 その他,キリスト教マロン派,イスラーム教シーア派,ドルーズ派などがそれぞれ民兵組織を持ち,イスラーム聖戦機構といった過激原理主義の地下組織も暗躍していた.
 これら組織は多かれ少なかれ外国の影響を受けているから,各国の摩擦や対立がレバノンで火を吹くという側面もある.

 こうした状況をベンチャー企業林立に例えるなら,大資本(シリア)進出によって中小企業は次々に淘汰・系列化されていったのである.
 湾岸危機の中,「大資本」進出が本格化した背景には,アラブ世界の事情の他に,イラクを「正面の敵」とする米国とイスラエルの思惑も働いていた.

 アウン失脚後,レバノンのハラウィ政権は,シリアの後押しにより着々とレバノンの「正常化」を進めていった.
 空爆2日目には,ベイルートを東(主にキリスト教徒居住区)と西(主にイスラーム教徒居住区)に隔てるグリーン・ラインを撤去し,翌91年7月にはレバノン南部への政府軍進駐も実現.形の上では国の治安を政府軍が一手に握った.

 その過程であらゆる民兵組織にハラウィ政権は武装解除を命じ,
「なぜ我々が民兵組織なのか」
と抵抗するPLOに対しては,難民キャンプに激しい攻撃を加え,力づくで武装解除を実現したのである.
 政府軍とPLOが戦火を交えたのは91年7月初旬.湾岸戦争終結から4ヵ月余り後のことである.死者は65人を数えた.
 91年5月には,シリア・レバノンの「特別な関係」を認めた協定も結ばれる.

 湾岸危機で対イラク包囲網を作り上げるために,米国はシリアの協力を必要とし,ベーカー米国国務長官は,「テロ支援国家」のブラック・リストに載っているシリアを足しげく訪問する.
 シリアにしてもイラクは憎たらしい国である.
 だがアサド大統領は,最終的に米国に協力を約束するまで,気が進まぬ態度を取り続け,米国に対してある種の貸しを作ることに成功した.
 それはシリア軍機のレバノン大統領府爆撃に対し,米国がほぼ沈黙を守ったことからも明らかだろう.
 本来ならシリア機がレバノン領空に入った時点でスクランブルをかけるはずのイスラエル空軍も静観した.

 レバノンは現在,サウディアラビアで財を成した実業家,ラフィク・ハリリを首相に迎え,経済復興に努めている.
 ハリリはレバノンの国会議員がサウディで「国外議会」を開いた際,渡航費用を負担したと伝えられる人物.
 政治的・軍事的にはシリアに依存するレバノンは,経済的にはサウディを当てにする構図が伺える.

(布施広著『アラブの怨念』,新潮文庫,2001/12/1,P.339-351,抜粋要約)

 ※
 イスラエル軍は2000年5月23日,レバノンから撤退しました.
 時のバラク政権はレバノンからの撤退を公約に掲げてましたので,シリア,レバノン両政府との交渉が進められましたが,埒があかず,面倒だってことで一方的に電撃撤退してしまいました.
(ここできっちりカタをつけなかったことが,南部におけるヒズボラの跳梁など,後に禍根を残すわけですが)
 また同時に,イスラエルの傀儡であった南レバノン軍(SLA)の兵士たち(とその家族)も,後退するIDFに伴って故郷を脱出し,「亡命」しています.その数,約7000人.

(イスラエル国防相 ◆3RWR.afkME in FAQ BBS)

 なお,2005/5/8,シリアに追われ,15年にわたり亡命していたレバノンのアウン元将軍が,ベイルートに帰還し,支持者から歓迎を受けた.アウン氏は,シリアに抵抗するキリスト教マロン派住民の指導者.

 また,シリア軍も2005年6月にレバノンから撤退した.

 一方,たとえばUAEでは2007年に初めて連邦評議会選挙が始まり,投票を認められているのは有権者総数のうちわずか1%に過ぎないなど,政治的自由からは程遠い状況にあり,自然な世代交代などとうてい望むべくもない.
 以下,引用.

投票できるのは有権者の1% きょうからUAEで初の連邦評議会選挙

  【アルジャジーラ特約14日】ペルシャ湾に面した連邦国家,アラブ首長国連邦(UAE,人口約400万人)は16日,1971年の独立以来,初めてとなる連邦評議会選挙を実施する.
 7つの首長国で構成されるUAEの有権者総数は約80万人だが,投票を認められているのはそのうちわずか1%.
 また,1院制の同議会の定数は40議席で,このうち投票によって選ばれるのは全議席の半数のみ.
 しかも,政党結成は許可されておらず,初選挙ではあるが,民主的選挙とは言いにくいものとなっている.

 〔略〕

 UAEの近隣諸国は内容はそれぞれ違っているが,いずれも選挙を実施しており,その意味でもUAEが最後に残されていた.
 このうちクウェートは今年6月,女性にも投票権を認めた議会選挙を実施した.保守的体質で知られるサウジアラビアも昨年,制限をもうけながらも,市議会選挙を行った.
 この結果,湾岸地域で政治改革が進む中,UAEだけが旧態依然とした政治体制を続けることが難しくなっていた.

 〔略〕
 また,次回,2010年に予定される選挙でも,選挙で選出される連邦評議会議員数は今回同様,20人に制限される.
 その上,連邦評議会には立法権が与えられていない.
 〔略〕
(翻訳・ベリタ通信=志岐隆司)

――――――2006年12月16日02時13分,アルジャジーラ

▼ 民主主義に関する,中東地域についての特異性を指摘する見解もある.
 マーカス・ノーランドは,資源からの収益が弾圧の資金になっており,そのため独裁体制であるにも関わらず,安定的であり,民主化には長期的な取り組みが必要になると分析している.
 以下引用.

――――――
 そもそも中東諸国の政権は他地域に比べて,非常に独裁的で,他の非OECD(経済協力開発機構)の開発途上国よりも安定しているという点でユニークだ.
 この「独裁」と「安定」という組み合わせは,他地域にはまず見られない.
 地域ごとの体制転覆発生回数を比較しても,南・中央アジアやラテン・アメリカ,アフリカなどよりも安定した地域といえる.

 独裁体制が民主主義体制に移行する基準や測定法については,過去さまざまな研究者による理論家・分析が試みられてきた.
 その手法は2つに大別することが出来る.

 第1の手法は,ある国の民主化レベルを個別具体的に分析するやり方である.
 これについては長年に渡って蓄積された経験則から導き出せる仮説がある.
 1つは社会の近代化レベルからの視点で,国民一人当たりの所得,教育,識字率,都市化レベルなどが指標となる.
 2つ目はかつて英国植民地だったかどうかだ.
 傾向として,旧英国植民地は民主主義国家である可能性が高い.
 3つ目は「環境」要因だ.
 民主主義化には時代の波がある.
 例えば80年代末から90年代初めにかけて,東欧や中央アジアといった旧ソ連圏で民主化の波があった.
 4つ目は,環境要因とも関連しているが,周辺諸国からの近隣効果・溢出(いっしゅつ)効果だ.
 つまり周辺諸国が民主主義国家であれば,隣国も民主主義国家である(となる)可能性が高い.

 すでに第1の手法の妥当性は,統計的に証明されている.

 第2の手法は,中東諸国に焦点を当てた分析である.
 1つ目は中東特有の,独裁政権と経済構造との関連性から導かれる.
 つまり,石油に代表されるレント(特別の収益)に恵まれた中東諸国では,国民に課税する必要がない.
 税金を納めない国民に対しては,政府はアカウンタビリティー(説明責任)を王必要がなく,国民からも民主主義を求める声が起こりにくい.
 さらに政府は,何もしなくても手に入る特別収益で,反政府勢力を買収できる.

 そして特別収益は,政治的弾圧のための組織の資金にもなり得る.
 政治的弾圧の資金源になっているかどうかの測定は難しいが,政府予算における軍事予算が占める割合や兵士数から,その度合いを数値化することは可能だ.
 事実,中東諸国は異常に軍事化した地域だ.
 世界各国のGDP(国内総生産)における軍事予算の割合を比較すると,トップ20ヶ国中,9ヶ国を中東諸国が占める(イスラエルを入れると10ヶ国).
 それに関連して,近隣諸国との軍事的紛争(しばしば対イスラエル)が,国民の不満の捌け口となる.

 ただし,この仮説はデータ上,立証できない.

 その他,中東の特異性に絞ったものとしては,「イスラム教」からのアプローチ――イスラム教自体が反民主主義的である,信者を従順にするため民主化を必要としない,という仮説――がある.

 しかしこれも,統計データでは立証できない.
 現実に,最大人口を擁するイスラム国家インドネシアは,比較的まともに民主主義が機能している.
 世界第2位のイスラム国家パキスタンも,独裁政権と交代しながらだが民主勢力が政権に就いている.
 イスラム教徒数で第3位のインドも,彼らは国内では少数民族だが,民主主義国家だ.
 統計的分析からは,イスラム教が反民主主義的だとは言えない.

 世界的議論を巻き起こした『文明の衝突』の著者,サミュエル・ハンティントン・ハーバード大学教授のように
「イスラム教が中東の独裁政権の原因だ」
と主張する人たちは,イスラム教徒アラブ諸国の政治の特性を混同している.

 アラブ諸国の世論調査結果を見ると,アラブの一般市民は自由を求めていることが分かる.
 しかし,アラブ諸国の政権の行動は,非常に反民主主義的だ.
 イスラム教徒が多い中東の旧英国植民地の大半は,英連邦のメンバーではない.
 一方,イスラム国家である旧英国植民地マレーシアは,英連邦のメンバーだ.
 また,イスラム諸国会議機構(OIC)の中でもアラブ諸国は,国連などに選挙監視や支援を滅多に依頼しないという傾向がある.

 以上のことから気づくのは,統治する側のエリートと一般市民との間にあるギャップである.
 アラブ諸国の多くで,民族・宗教上の少数民族が政治権力を握っており,彼らは自由化した場合に,権力の座から追放されることを恐れている.
 フセイン政権下のイラクで少数派のスンニ派がシーア派を支配・弾圧していたのは,その顕著な例であろう.

 アラブの民主化のプロセスで重要なのは,近隣効果,溢出効果である.
 興味深いのは今年,イラク,パレスチナ,レバノン,エジプトで多少なりとも民主化の動きがあったことだ.
 また,アラブ諸国のメディアはこれまで,政府がコントロールしてきた.
 しかし衛星放送テレビ,アルジャジーラやアルアラビアなどの氾アラブ・メディアは支持を増やしており,アラブ世界で溢出効果を及ぼすかもしれない.
 こうしたメディアの登場によって,アラブ諸国の国民も今では他国の情報を得られるようになった.
 したがって,ある国で民主化や政治的解放を求める動きがあったとき,他国にも波及する可能性は確実に増している.

アラブ諸国の民主化レベルを20段階で算出

 以上のデータに基づいて,70年から99年までの中東諸国8ヶ国の民主化の可能性を見ると,ほぼゼロから6%前後まで高まり,特定の年に民主化が進む可能性は低いながらも,増えていることが分かる.
 今後,国民の教育レベル,経済繁栄度が上昇していけば,独裁政権に対する不満度が高まり,徐々に民主化していくことになるだろう.
 経済発展は民主化を促進するものだが,短期的には高度成長は急進的な政変を求める国民の圧力を緩和することに役立つ.
 私の試算では,99年の平均が6%で,毎年の民主化可能性上昇率(複利計算)は3%であるから,民主化の可能性は10年後に8%,20年後は11%ということになる.
 長期的な取り組みの必要性が浮き彫りにされた.

 残念ながらイラクについては,イラン・イラク戦争当時から十分なデータが存在しないため,数値化することが出来なかった.
 しかし,中東諸国の民主化レベルを,+10から−10の範囲でランキングした場合,サウジアラビアは−10,クウェート,シリアは−7,ヨルダンは−2である.
 イラクはヨルダンよりマイナス度が高い.
 その根拠としては,ヨルダンの90%以上がスンニ派,民族的には70%がパレスチナ系であるのに比べ,イラクは宗教・民族面で分裂している上,石油資源がクルド族とシーア派という,フセイン政権下で従属的な立場にあった両グループの居住地域に集中していることなどが挙げられる.

 新生イラクは,かなりの自治権を持った3グループによる連邦制度が望ましいが,石油収入の分配が最大の問題である.
 スンニ派は政治的・経済的地位を失うことに激しい抵抗を見せるだろう.

 〔略〕
――――――国際経済研究所(IIE)上席研究員・マーカス・ノーランド Marcus NOLAND in 『SAPIO』 2005/10/26号,p.23-24

 ただし「アラブの一般市民は自由を求めている」というが,彼らの考える自由が,必ずしも欧米のそれとは一致するとは限らないので,その点は留意したほうがいいかもしれない.▲


 【質問】
 アラブ・メディアの客観性・信頼性は?

 【回答】
 多いに問題がある.
 池内恵によれば,ユダヤ陰謀論が知識人レベルにまで敷衍しており,しばしばそうした論が紙面を賑わすような情況がある.

 例えば,全EU向けにフランスが放送を許可したヒズボラ系の放送局が,
「シオニストがアラブ向け輸出品にAIDS等の病原菌を混入している」
と報道.
 フランスは同放送を中止させる方法を検討しているという.(エルサレム・ポスト,2004/12/3)

 またMEMRIによれば,例えば,アフマド記者(Fakhriya Ahmad)が,ヨーロッパの軍事筋の極秘情報と称するものをベースに,ブリュッセルから記事を発信,サウジの政府系日刊紙アル・ワタン(Al-Watan)が2004年12月18日付で掲載したという.
 イラクにいるアメリカ軍がイラク人から臓器をとりだして販売していると言う記事である.

 記事曰く,
「ヨーロッパの極秘軍事情報筋によると,イラク所在のアメリカの人道支援機関は臓器売買という商売に染まり,金儲けに精をだしている.アメリカ人医者が,死体から臓器をとりだし,或いは負傷者からも摘出して死に至らしめ,その臓器をアメリカの医療機関向けに売っている.アメリカ軍がイラクの武装勢力と戦う場合,秘密医師団が部隊に同行し,戦闘があれば直ちに出動して死傷者から臓器を摘出し,司令部の一画に集め,それを販売目的でアメリカへ発送している.(以下略)」

 翌日イランの日刊紙ジュムフリヤ・イスラミ(Jomhouri-ye Islami)※1とシリアの日刊紙テシュリーン(Teshreen)※2,も掲載した.

 MEMRIによれば,イラン・メディアでも,「ホロコーストはでっちあげ,ユダヤ人は諸悪の根源」という論調がしばしば登場するという.以下引用.

 イラン外務省傘下のテヘラン・タイムズは,1月27日のアウシュヴィッツ解放国際記念式典に合わせて,「嘘でなりたつホロコースト産業」と題しアミリ論説委員(Hossein Amiri)の署名入り記事を掲載している.
 この署名入り記事は,あのように大規模なガス使用は不可能とし,連合軍とシオニスト指導部が
「ナチス収容所におけるユダヤ人殺害について奇妙な考えをデッチあげ,ガス室のイメージをつくりあげた」
とし,ホロコースト生起そのものを否定.
 更にイスラエルとヨーロッパは,ホロコーストを利用してパレスチナ人の苦悩を当然視していると批判したうえ,
「ホロコースト問題は,パレスチナにおけるイスラエルの犯罪をカバーアップするだけの隠蔽工作用」
と主張した.

 この1ヵ月間イランの国営通信社MEHRは,反ユダヤ記事をシリーズで,発信している.
 それには,その道ではよく知られるヨーロッパのホロコースト否定者2名とのインタビューも含まれる.
 2004年12月29日,オーストラリアにあるアデレード研究所のトーベン博士(Fredric Toben)は
「イスラエル国は,ホロコーストの嘘の上に作られた」とし,「その嘘を暴くことが,シオニスト存在体の解体に繋がる」
と言った.
 フランスのフォーリソン(Robert Faurisson)も,2004年12月18日付インタビューで,「ユダヤ人の所謂ホロコースト」について語っている.
 イランの国営通信は,2004年12月29日付でハビビの「ユダヤ人がナチスと協力し,スターリンと組んで世界支配をたくらんだ」という記事を配信した.

 ヨーロッパにおける影響力拡大を目的として「ホロコースト」と称する歴史的大嘘をまきちらしている,という記事を配信したのも国営通信である.
 その記事では,ヒズボラのアル・マナルテレビをフランス政府が禁止した問題が扱われている.

 2004年11月11日,カンバリ教授(Heshmatollah Qanbari)は,イランの第1チャンネルで,ユダヤ人を「人類史上稀にみる破壊分子,悪魔的反人間」ときめつけた.カンバリによると,ユダヤ人は「クリスチャン,ムスリム双方にとって,いや一神教全体にとって危険な存在」であり,「人類の腐敗勢力,腐敗源」で,「有史以来ほかの民族をだまし続け,奪い続けてきた.拡張主義の張本人」とのことである.

 目下イランのテレビでは,数本の反ユダヤドラマがシリーズで放映されている.
 そのうち2本はイランの制作で,「ザフラの青い目」と「洞穴の人々」.
 3作目の「アル・シャタット」は,シリアの作品ではあるが,イランの後援作品であり,もともとヒズボラのアル・マナルテレビで世界中に放映された代物※1.
 「ザフラの青い目」はイランのサハルテレビで毎週放映されている.
 そのなかでシオニストは,小さなパレスチナ人の子供達をさらい臓器を摘出する不逞の輩として描かれている.
 番組は,ユダヤ人の人種的優越性といった伝統的ステレオタイプの反ユダヤ観や反イスラエル宣伝を随所に織込んでいる.
 「アル・シャタット」は,最初ヒズボラのアル・マナルテレビで放送され,目下イランのサハルテレビで放映中である.この番組もステレオタイプの反ユダヤ色が濃厚である.番組によるとユダヤ人はグローバルな秘密の地下政府で世界を支配し,セックスがらみの政治,経済陰謀で世界を混乱させ,世界を戦火で焼き尽し政治暗殺を繰返す.
 諸悪の根源がユダヤ人であるという.過越祭にキリスト教徒の血を使うので,キリスト教徒の子供を殺して血を抜くといった血の中傷が,目をそむけるような場面構成で,まことしやかに語られる.

(MEMRI)

 さらにまた,「アラブ,ムスリム世界では,重大な国際問題が発生すると,まず例外なく陰謀論がとびかう」,とMEMRIは主張する.

 MEMRIによれば,2004/12/26のインドネシア・スマトラ島沖地震と津波においても,次のような陰謀論が見られたという.

 ・津波はバンコックの退廃に対するアッラーの怒り――ムディリス師(Sheik Ibrahim Mudeiris)の金曜説教.2004年12月31日,PA・TVで放送(録画はこちらで見られる)

 ・諸国は嘘,罪悪,不信仰の故に破壊された――アル・バシャル(Ibrahim Al-Bashar)=サウジ法務相アドバイザー.2005年1月5日放送アル・マジドテレビ(サウジ/UAE)にて.

 ・アッラーはクリスマスの同性愛者と未婚者同士の性交を怒り,罰せられた――アル・イマム大学のアル・ファウザン教授(Sheikh Fawzan Al-Fawzan).2004年12月31日,サウジ/UAEのアル・マジドテレビのインタビューにて.

 ・アッラーは地震で異教徒犯罪者に報復し始末された――サウジの聖職者アル・ムナジット師(Muhammad Al-Munajjid).2005年1月1日,アル・マジドテレビのインタビューにて.

 ・津波は米・イスラエル・インドの陰謀による人類抹殺テスト――エジプトの民族派週刊誌「アル・ウスブ(Al-Usbu′)」,バクリ記者(Mahmoud Bakri)の2005年1月1日付記事.

(MEMRI)

 おまけに,米国政府が財政支援している,中東の衛星放送Al-Hurraすら,反米色が強く,ホロコースト否定論を流すとか,基地外じみたものになっていたという事例も発生している.

Mad TV:U.S. taxpayers subsidize terrorist propaganda and Holocaust denial in the Arab world.
BY JOEL MOWBRAY Tuesday, May 1, 2007 12:01 a.m. EDT

という記事によれば,Al-Hurraは911以降の中東世界の反米的風潮やアルジャジーラ等の反米,プロ・イスラミストの放送に対抗するため,米国政府が財政支援している衛星TVで,国務省のパブリック・ディプロマシーのひとつであり,米政府が直接的に外国の放送局を管理することは禁じられているので,BBGという中立的な監視機関を作って,そのもとに財政支援を行なっている.

 この記事によれば,Al-Hurraは管理が不行き届きで,ヒズボラの指導者 Sheikh Hassan Nasrallahのスピーチを1時間余り放送するとか,反西欧,反米国の放送を流す機関になっている.
 昨年11月に元CNNプロデューサーのLarry Register を雇ってから反米色が強まっているのだと言う.(TV放送はアラビア語)

 税金を使ってテロリストの支援になるような放送を中東に流すとは何事か,と記事は糾弾して,国務省が調査と管理体制の立て直しをすべきと主張している.

 政府が,外国からの,「バイアスした広報宣伝」に対抗するために「公正で中立的」なメディアを支援して,パブリック・ディプロマシーに役立てよう,と言うのは良くある話で,そのアイデアは悪く無いように見えるのだけれど,問題は「中立性」で,政府の肝いりというイメージを避けるために第三者の学識経験者や専門家にゆだねると言う事になって,出来上がったものが反政府色になるというコメディが時々起こるような.
(外務省の支援する某フォーラムとか,このAl-Hurra衛星TVとか)

 中立性というものの解釈が人によって様々で,きちんとした管理監督をしていないと,一部の愉快な中間達のプレイグラウンドに政府が資金を出すというお決まりのコースになるような.
 こういう問題は結局のところ,人選の問題になると思えるけど.公共放送がねら〜から「犬」と呼ばれているような国に住んでいると,笑えない話・・

 ちなみに,BBCのアラビア語放送も反欧米でだめぽだという.
 詳しくは
The Biased Broadcasting Corporation
を参照されたし.

ニュース極東板

 プレスの自由も制限されている.
 アラブ・メディアの中では最も中立的と思われている衛星TV「アルジャジーラ」にせよ,母国カタールの批判を行うことはない.
 また,人権活動家でアムネスティ・インタナショナル前チュニジア支部長のアブ・ハウラ Abu Khawlaによれば,
「アラブ人は,信頼のおける情報を得るため,最近では衛星テレビ特にアル・ジャジーラとアル・アラビヤにチャンネルを合わせる.
 だが,この局は原理主義者が完全に独占する情報操作手段になっている.
 アル・ジャジーラの場合,説教師ユセフ・アル・カラダウィ(Youssef Al-Qaradhawi)が,エジプトのイスラム同胞団首脳のひとりであるが,有力な創設メンバーである.
 そして,そのニュース番組とトークショーを仕切っているのは原理主義者達である」
と述べている.(MEMRI)

 さらに例えば,米国人人質の首切り処刑事件を,アラブ世界のメディアは西欧と異なって,ごく控えめに伝えるか,あるいは無視している.そのためエジプトのコラムニスト,Nour al-Huda Zakiのようにそのメディアの態度を疑問視する向きもある.
 アルジャジーラとアルアラビアのTV放送は簡単な報道を行い,クエートやヨルダンのTVもごく控えめな報道にとどめている.
 エジプトの主要紙,アル・アーラムは事件を無視,他の二紙も写真なしの簡単な報道としている.
 政府が報道管制しているシリアでも首切り事件は報道されていない.
 UAEの新聞も写真脚の簡単な報道,ヨルダンの新聞も同様である.(Guardian)

 パレスチナ自治区ではファタハ支配時代からジャーナリストに対する脅迫や暴行事件が多発.
 2006年5月には,ハマスに批判的な報道を行ったガザのジャーナリスト7人がハマスから「殺す」などと脅迫を受けたと報告している.(ハアレツ紙,2006年5月2日)

 第5に,ネタが尽きたときはとりあえず西側に悪態をつく傾向が,アラブの報道機関にはあるという.
 以下引用.

サウジの著述家がアラブ報道機関を批判:「アイデアが尽きた?それなら,西側に悪態をつけ」

サウジの日刊紙ワタンのアブドッラフマン・アル・ハビブAbdul Rahman Al-Habibは4月5日,アラブの報道機関批判の記事を書いた.この記事は,サウジの(英字)日刊紙アラブ・ニューズに転載された.
 以下は,この記事の抜粋である.

「批評は,それが建設的なものであれば良い.問題は,批評がくどくどとした繰り返しに堕落する時である.無用な批評はしばしば,衝動的な習慣となる.
「アラブの著述家とコラムニストは大衆に迎合する意見をーーそれが良かれ悪しかれ,事実であれ虚偽であれーー(正しいと)確言する傾向がある.
 彼らが書くのは,国民が聞きたいと思うことだ.彼らが原稿を書くのは,読者を教育したり,読者の意見に挑戦するためではない.
 そうではなく,読者があらかじめ決定している意見と見解を(正しいと)確言するためだ.
 こうした,名声を第一に考える大衆迎合タイプの著述家たちが心がけるのはひたすら,自分の地位を高めること,そして自分のファンの同情を買うことだ.
「著述家にとって,感情主導のレトリックによる文章を蒸し返すこと以上に容易なことがあるだろうか.また,決まり文句を繰り返し,使い古された考えを繰り返すこと以上に容易なことがあろうか.

「もし,コラムニストがアイデアに尽きたら,常に一枚の,大向こうから(必ずや)拍手を受ける切り札がある.
 しかも,きわめて容易な(切り札)だ.その日のアイデアが尽きたらどうするか.
 簡単な表現で,アメリカ合衆国に悪態をつく記事を書きなさい.それが,その日の原稿料を稼ぐ容易な道なのだ.
「我々や彼らの社会の難問あるいは双方の社会が分ち持つ難問・・・こうした難問に関する厳格な調査や分析といった困難な道に入るなんて考えなくてよい.それは忘れなさい.
 アメリカに対する,使い古された痛烈な非難・・・それはあまりに容易で,捨てるなんて出来はしない.

「不当な批判といった罠にはまらない,身近な話題について訓練された批評を行う著述家たちもいる.
 しかし不運なことだが,結局のところ彼らは敬遠される.

「(アラブ・イスラム社会の)問題は,批評のプロセスに関する理解の欠如である.
 我々の社会は対話を欠く社会であり,批評という観念自体を拒絶する社会である.
 実際的教訓としての批評に関し,ひどく理解を欠いている.
 我々の社会においては,批評は名誉毀損と同義語だ.
「その結果,批評は多くのコラムニストにとって,他のコラムニスト,西側,そしてアメリカに対する攻撃の一つの形態となる.
 他者と,その見解ーー我々の見解がそうであるように,彼らの文化的,政治的,社会的背景に起因するーーその見解を理解しようとする思慮深い試みはまれだ.

「妙な話だが,ワープロを持つ誇大妄想狂患者の中にも,自分たちの仕事に関する思慮深い意見をしばしば同僚に求める者がいる.
 しかし,彼らは(同僚の)建設的な批判を前向きに受け止めて,その好意に応えようとは努力しない.

「実際,著述家の中には客観的になろうと努めている者たちもいる.彼らは自己権力強化の考えを放棄し,批判に偏らない思考を行おうと試みている.
 しかし,彼らですら適切な理解力の無さから,自分たちの(批評の)対象(つまり,西側,アメリカ,他の著述家たち)を非難することで終わってしまう場合がほとんどだ.
 彼らはまた,こう告白するかもしれない.『彼ら』との問題は,『我々』が自分たちの良さを適切に描かずにきたことだ,と.

「しかし,西側に対するテローーそれも,我々の子供たちの一人が引き起こすテロといった悲劇が発生すると,我々の『批評家たち』は結局,込み入った陰謀説ーー自分たちを犠牲者と見なす陰謀説を展開する罠に再び落ち込む.

「我々アラブ人やムスリムが,我々の発展がなぜ遅れているか自問する時,(我々の批評家からは)常に申し分のない答えが跳ね返ってくる:むろん,西側とその手先のせいだ.
 なぜ西側が発展し,先進社会であるか自問する時も,常に申し分のない答えが跳ね返ってくる;西側が我々の祖先の科学を盗み,今もなお自らの発展のために我々を収奪し続けているからだ.
「これよりも,おあつらえ向きの,大衆に迎合的する答えがあるだろうか」

MEMRI, 2006/4/21

 中東メディアの中では最も有名なアルジャジーラにしてからが,この有様.

「米軍が中性子爆弾使用」イラク元共和国防衛隊[4/9 U.S.FrontLine]
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 中東の衛星テレビ局アルジャジーラは8日,旧フセイン政権下のイラクで精鋭部隊とされた共和国防衛隊のハッサン・タハ・ラウィ元参謀総長とのインタビューを放映,ラウィ氏はフセイン政権崩壊直前の2003年4月,バグダッド国際空港での戦闘で米軍が
「中性子爆弾と白リン爆弾を使用し,(イラク兵の)骨まで焼けた遺体があった」と証言し米軍を非難した.
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中性子爆弾 - Wikipedia

 あからさまな与太話を平気な顔して流すなよ・・・生放送じゃないだろうに・・・これじゃ東スポ並み・・・orz.

 中性子爆弾とは核兵器で,水爆の一種です.爆発力よりも中性子線の発生を重視した設計ですが,核爆発そのものは規模は小さいものの当然,発生します.
 当たり前ですが,そんなものを使ったらすぐにバレます.
 こんな事では,もう片方の白リン弾の証言までも怪しくなってしまいます.

 アルジャジーラの信用性も,地の底に落ちましたね・・・え,前からだって? そりゃ失礼・・・.


<以下↓,コメント欄より>

 日刊ベリタも馬鹿記事で追従.

■米軍,イラク開戦直後に中性子爆弾使用? 元イラク軍司令官も「証言」

 2004年3月のイラク開戦間もなくの同4月に首都バグダッドが陥落する直前,侵攻した米軍はバグダッド空港などで旧イラク軍に対し特殊爆弾を使用したと疑われてきた.
 旧政権時代のイラク共和国防衛隊司令官が「米軍は中性子爆弾を使い空港で迎撃したわが軍を一瞬のうちに壊滅させた」と語るビデオをアルジャジーラ衛星テレビがこのほど放映した.
 戦術核のひとつである中性子爆弾は公式には実戦には未使用とされている.
 「米軍は密かに使用している」との証言はこれまでに幾つかある.
 可能性は小さくないものの,いずれもフセイン政権下の要人の発言で,その信憑性の裏づけはなされていない.
(斉藤力二朗)
-----

 wwwww斉藤力二朗wwwww
 自衛官死亡のデマを垂れ流すことに加担したことを反省せず,またデマを垂れ流すことに加担するのかwwwww
 馬鹿すぎwwwww

>可能性は小さくないものの

 小さいというか皆無だろ.

>「米軍は中性子爆弾を使い空港で迎撃したわが軍を一瞬のうちに壊滅させた」

 もうね,アホかと.馬鹿かと.

Posted by 名無しT72神信者 at 2007年04月13日 03:13:39


 ただ垂れ流すだけはジャーナリズムとして中々問題じゃないかと.

 リップマンの「世論」によって,客観主義ジャーナリズムが否定されてる今,批評主義と解析主義(だったっけ?)ジャーナリズムによる視聴者に考察と理解を促す機能がメディアに求められてる,と早稲田の教授のメディア系著書に書いてあったが,その意味で考えると,このアルジャジーラの報道は,証言の真偽を詮索しないですぐに垂れ流してる点で,解析主義ジャーナリズムとしては問題なのではないでしょうか?

Posted by 名無しT72神信者 at 2007年04月13日 15:10:30


アラブのニュースが知りたければKuwait News agencyを読め!
http://www.kuna.net.kw/NewsAgenciesPublicSite/GeoCategories.aspx?Language=en&id=200

 これを読んでると,日本のメディアのアラブ関連ニュースが三流に見える.

 英語が読めない奴は

日本で読む中東メディア
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/news_j.html

中東調査会
http://www.meij.or.jp/

中東報道研究機関(注:翻訳ソフト使ってるぽいので日本語が変です)
http://memri.jp/

Posted by 名無しT72神信者 at 2007年04月14日 12:53:44

「週刊オブイェクト」,2007年04月12日

 なお,欧米の報道もイスラームに不利な内容は報じにくくなっている,という見解もある.
 以下引用.

 数週間前,Bat Ye'or,_Eurabia: The Euro-Arab Axis_,Fairleigh Dickinson Univ Pr,2005.なる本を購入しました.

 内容は,かつてイスラム教徒の支配領域にあった異教徒(キリスト・ユダヤ教徒等)の従属的被支配状況たる「Dhimmitude」が現在の欧州に出現しつつあり(EUや国家の対中東政策,対パレスチナ,イスラエル政策で顕著),将来は対内的にはイスラム教の影響力拡大,対外的には反イスラエル・アメリカ的傾向を増すであろう,ということを結論づけています.

 著者はエジプト生まれのフランス人女性のようですが,同人によると欧州メディアは,70年来のEuro-ArabDialogueによって反イスラム的報道が事実上困難になっており,学会はいうに及ばず,政界,宗教界の指導者も同様です.
 興味深いのは,このような情勢の背景には,ナチスの影響がWW2以降のアラブやフランスで強かったことや,ゴーリズムの影響もあったことです.

 当然,パレスチナ問題に対しても公平な報道が期待できない状況が生起しているとしています.
 ちなみにサイードに対してはかなり辛辣な表現をしています.

 対中東政策(含むイラク問題)に関しては,ケーガンがかつて述べていた欧州と米国の国際問題に対する姿勢の相違や,日本との比較に関しては国家の「パワー」に起因する選択肢の差異があると思いますが,彼女が主張するには,Dhmmitudeの影響力の大きさは如何ともし難い段階に来ています.
 もっとも,一般国民レベルとEUや国家指導者との意識の乖離も指摘しています.
 〔略〕

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)5月15日

 アラブ・メディアの「ちょっといい話」をご存じの方はご一報を……(とほほ


+

 【質問】
 アル・ジャジーラTVのサイトは?

 【回答】
http://www.aljazeera.net/
(英語版はhttp://english.aljazeera.net/

 アラビア語のウェブ・サイトは2001年1月,英語のサイトは2003年3月に開設された.
 日本からはJulian Ryall記者が2004年から,日本に関する特集記事を英語サイトに送っている.

 アラビヤ語のアルジャジーラ・テレビは1996年11月,カタール政府などが出資して設立された.本社はドーハ.

 ベリタ通信によれば,

 中東のメディアとしては最も知名度が高く,最近の調査では,世界で最も影響力のあるブランドとして5番目にランクされた.アルジャジーラといえば衛星テレビ局を意味するようになっている」
という.

 しかし,
「検索エンジンにAljazeeraをかけると,アルジャジーラを名乗る少なくとも4つのサイトが引っかかる.
Aljazeera.net,
Aljazeera.com,
Al-jazirah.com,
Aljazeerah.info
である.
 アルジャジーラとはアラビア語で(アラビア)半島を意味する.このため,湾岸地域の他のニュース機関がこの名前を使用することは,不自然ではない.
 しかし,インターネットの利用者は .comというドメインを使ったサイトに行きやすいので,衛星テレビを目指す人がドバイのサイトに間違ってたどり着く可能性は高い.

(ベリタ通信,2005/03/28)

という.

 【参考サイト】
東京外語大学による「アルジャジーラ・ネット利用方法」


 【質問】
 中東での反米プロパガンダに対し,対抗プロパガンダは行われていないのか?

 【回答】
 行われてはいるが効果は非常に低い模様.

 「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー」によれば,アメリカ政府は中東向けにラジオ局「ラジオ・サワ(一緒)」,TV局「アル・サワ(自由)を開局したが,
・スタッフの雇用がデタラメ
・アナウンサーが名乗り,現地からレポートするという,ニュースの重要要素欠如
・重大事件が起こっているときでも,それを無視して娯楽番組を放送している
・組織内部の内紛
により,嘲笑される存在でしかないという.

 詳しくは 『SAPIO』 2005/7/13号,p.71を参照されたし.

 また,プロパガンダ戦はあくまで補助的な性格があり,イスラエルというカタキ役が確固として存在している地域では,そもそも対抗プロパガンダは難しいと思われる.


 【質問】
 ムジャヒデン?が着ている,長いYシャツみたいのは,何と言う名前なんですか?
 又,何処かで売ってますか?

 【回答】
「長いシャツイスラムORアラブ」でぐぐってみた.
以下のようなものがひっかかった.通販などしているところもあるようだが.

カミーズ(長袖で丈の長いシャツ)
http://www.wako.ac.jp/souken/touzai99/tz9910.htm

長身で痩せた彼は,軍隊用の作業衣の下にイスラムの伝統服シャルワール・カミーズ(だぶだぶのズボンに長いシャツ)
http://www.ne.jp/asahi/bluemoon/earth/19990111/19990111_Tr.html

イスラム教徒の人は,頭にトゥピー(つばなしの帽子)をつけ,パンジャビ(膝くらいまでの長いシャツ)
http://wiki.fdiary.net/Bangladesh/?%C3%CB%C0%AD%C0%B5%C1%F5

アラブの衣装にスニーカーを履いて歩いている人々.男性はトウブといわれる白い丈の長いシャツ
http://www.nhk.or.jp/gr/idobata/ido/ido051009.html

 イスラム系の人が運営してる雑貨屋に行けば手に入るかも.

軍事板

▼ また,『週刊アラブマガジン』Vol.260(2009.07.29号)によれば,以下のようなものがあるという.

------------
* サウブ:白い綿でできた長袖のゆったりした服で,首から胸の真ん中辺りまで開いています.

* タキーヤ:頭に被る綿のニット帽で,様々な形があります.
 ゴトラを固定させるために被ります.

* ゴトラ:白いカシミアウールでできた被り物.
 綿の布もあり,三角形に折りたたんで被ります.
 また,「シュマーグ」と呼ばれる,赤と白の布もあります.

* イカール:頭に載せる黒いわっかで,太い縄状のものです.

* ビシュトゥ:柔らかな肌触りのウールの外套.
 黒や茶色,ベージュ,グレーなどがあります.

* ヒジャーズ地方では,サウブとオレンジ色のヒジャーズ特有のイマーマを被り,イエメンの,あるいはアレッポのムサンナフ(ショール)を肩からかけ,腰に幅の広いベルトをします.

* オマーンとアラブ首長国連邦ではゴトラの代わりに,イマーマ(*訳注:ターバン様のもの)を被ります.

* ファルワ:内側が羊の毛皮になっているウールのコート.
 裾にはコートと同色,あるいは反対色の房がついています.
 様々な幾何学模様のデザインのものがあり,防寒用のコートです.

* スィディーリー:サウブの上に着る袖のない上着

* ディクラ:サウブの上に着る上着.
------------

 同メルマガより,以下女性編.

------------
* ダッラーア:長袖で裾の長い服で,綿または刺繍が施された絹で作られています.
 昔のアラブの女性たちが,よく着た衣装です.
 ダッラーアを愛用する女性は,今では高齢の女性に限られています.

* ギター:顔全体を覆う,透き通った布

* アバーア:ウールか絹でできた,全身を覆う黒い衣装.

* ブフナグ:小さな女の子たちが身につける,黒い被り物.
 頭の前から周りにかけて,金色の装飾が施されています.
------------


 【質問】
 イスラム系国家の世襲君主の「スルタン」は,王様とは別物なの?
 wikipediaを見て気になった.
>日本語では「王国」の語が充てられるが,
>厳密には王国(Kingdom)ではなくスルターン国(Sultanate)であり,

 【回答】
 「スルターン」というのはアラビア語で「支配者」「支配権」というほどの意味だが,コーランでは元々「(神に由来する)権威,権能」などの意味で使われている単語.
(聖書アラム語に似た単語に「君主」を意味する「ショルターン」というのがある)

 アラビア語には「王」を意味する,セム語の共通語彙のひとつである「マリク」malik があるが,本来イスラームはサーサーン朝のような王権思想を排する性格があったので,ブワイフ朝などが台頭するまで,ムスリムの支配者や君主の称号として「マリク」や,同じく「王」を意味するペルシア語の「シャー」などの呼称は使われない方向にあった.
(ちなみに「アミール」は「命令する(もの)」という意味で,カリフやスルターンなどのもとで軍や地方を統括していた.「県令」などの意味・用法に「令」に近いか)

 アッバース朝時代,スンナ派ムスリムは基本的にアッバース朝の君主を預言者ムハンマドの現世における代理人,「カリフ」と仰いでいたが,このカリフの雅称のひとつに「スルターン」の語があった.
 具体的には(軍事)政治権力者くらいの意味で使われ,ガズナ朝のマフムードがアミールや大アミール(アミール・アル=ウマラー)に代わる称号として用い,セルジューク朝から世俗君主の称号として一般化した.
(ブワイフ朝は「シャーハンシャー」「スルターン」の称号の使用許可を,アッバース朝カリフに再三要請したが,特に「スルターン」については許可されなかった経緯がある)

 「カリフ」ではなく,「マリク」ともやや趣が異なり,アミールたちを従わせる者の称号.
 敢えて日本語のニュアンスで言えば「君主」が一番近いだろうか.
(明代に書かれた辞書『華夷訳語』では,「スルターン」は君臣の「君」の語を当てられていたはず)
 かなり融通性のある単語だから,領土の大小に関わらず,独立的な権力を持つ君主であれば,「スルターン」と称しうる.
 だから,Sultanate やサルタナト Saltanat を敢えて訳すとなると,「君主国」というほどになろうか.

世界史板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 アラビアなどの名前のつけかたについて質問します.
 イブンやブンっていうのは,「〜の子」っていう意味ですよね?
 けど,例えば○○・ブン・△△ってのならわかるんですが,イブン・△△とかいうのは自分の名前はないんですか?
 あと,名前にも冠詞ってのは必ずつけるんですか? ○○・ブン・アル△△って感じになるんですか?

 【回答】
 うまれた時に,ちゃんとその人自身の名前は付けられている.
 イブン・△△っていう人ももちろん個人名を持っているけど,人に呼ばれるときは,イブン△△だとか,アブー○○(○○の父)だとか様々.
 結局,その人の有名な呼ばれ方が後世に残っているだけ.

 冠詞をつけるか,つけないかはケースによって違う.
 だから○○・ブン・アル△△っていう名前もある.
 でも,カタカナで書いたときにアルが省略されることがよくあるので,注意が必要.

 以下,余談
●その1
 原理上,アラブ人の名前は○○・ブン・××・ブン・△△・ブン・☆☆・ブン・……と続けていくことができるが,最終的には,建前として…ブン・アーダム,つまり「アダムの息子」に行き着く.

●その2
 アラブ系の名前に多い「アブド・○○」のアブドは「○○のしもべ」という意味.
 この時,○○にはアッラー「神」をあらわす語が入る.
 たとえば,
アブド・ッ・ラフマーン 「慈悲深い方のしもべ」,
アブド・ル・ハーキム「裁く方のしもべ」
アブド・ッラー 「神のしもべ」
アブドフ 「彼(神の)しもべ」
などなど.
 アッラーには99の美称があるので,「アッラー」「フ(彼)」と合わせて101の「アブド」系の名前が作れるはずだけど,実際にそんなたくさんの名前はない.

世界史板


 【質問】
 紹介されてる「イスラムの日常世界」読んだけどさ,この本イスラム社会は女性を尊重してますって言い張ってるのが,ちょっと気になったんだけどね.
 中東ではドメスティックバイオレンス酷いってよく聞くんだけど......

 【回答】
 んー,たしかに女性が夫に殴られるのは日常的だという話もあるし,街を一人で歩いていると硫酸をかけられるというケースむあるねえ.
 欧米基準では殴る行為はDVということになるだろうねえ.

 ただ,たとえば日本だって戦前から戦後暫くまで学校で体罰とか普通にあったけど,戦後しばらくまではそれが「教師の暴力」と認識されてはとくにはなかったよねえ?
 それと同じで,そもそも「中東基準」ではDVが悪いことだと思われていないみたいなんだよねえ.
 たとえば俺が読んだ本だと,「男は女を殴るのが当たり前なのよ」って第1夫人が第2夫人に言ってたくだりがあったねえ.
 でもって片倉先生はあの本で,「なんでもかんでも「欧米基準」の見方でいいの?」って散々問題提起しているよねえ?

 それに,片倉先生があの本で言いたいのは,西側が思っているほど女性差別は酷くはないのよっ!ということであって,あの本にもあったように,実際に大学の副学長している女性もいたりするしねえ.

 まあ,あの本ではちょっと筆が滑りすぎている感もなくはないねえ.
 よくは知らないんだけど,本の内容から考えると,元の原稿が書かれたのはイラン革命の直後ぐらいじゃないのかねえ?
 あのころは「アメリカざまあ!(プゲラ」とばかりに革命マンセーな人が結構いたから,その影響かもしれないねえ.

 あとねえ,硫酸ぶっかけられるのはパキスタンとかの特に保守的な地域に多い話でねえ.他にはサウジとかも厳しいよねえ.
 アフガニスタンでもそうなんだけど,やはり地域によって比較的自由な地域と保守的な地域と色々あってねえ.
 これはイスラームの影響と言うより,地域社会とか部族社会とかの問題になってくるんだけど,「イスラームの日常世界」では主に宗教と生活とのかかわりのことしか書かれていないからねえ.

 だからその点でも,初心者向けとは言いがたいところがあるんだよねえ.

社会学板,2009/12/16(水)
青文字:加筆改修部分

 サーレ・ノウ・モバーラク(あけましておめでとう!)

 とはいえ,アフガニスタンは太陰暦だから,日本の正月はアフガン人にとってはタダの平日だけどねえ.

 ちなみに「イスラームの日常世界」では,イスラーム圏では新年を祝わないかのごとく書いていたけど,一応ナウローズのお祭りはアフガンではやるそうだねえ.

 これも地域差ってことで理解して頂戴ねえ.

社会学板,2010/01/02(土)
青文字:加筆改修部分



 【反論】
 日本の学校教育での体罰って,宇垣軍縮だかで大量に余った予備役軍人の失業対策として,学校教練させるために,旧制学校以上の学校に配属将校として送り込んだ頃からで,戦前からずっとあったわけじゃなかったんじゃね?

 【再反論】
 んー,そのへんのことは専門外だから,それこそ軍事専門家を称する林って人(称してるんでしょ?)にでも聞いてみたらいいかもねえ(笑)
 いずれにせよ,たとえ一時的なものにせよ,そういう現代とは異なる価値観が日本にもあったということだし,それと同じように,現代欧米的な価値観とは異なる価値観も,世界には色々存在するんで,どれが絶対的に正しい価値観であるとか言うことはできないと思うんだよねえ.

 まあ,タリバンがやったようにマニキュア塗っただけで指切断とかはやりすぎだと思うし,実際やり過ぎだってんでその点ではアフガンでも評判悪かったからねえ.
 もし911がなかったらアフガンは今もタリバン政権が続いていただろうし,そうなったらさらに過激化して(過激派というのはどんどん先鋭化していくのがパターンだしねえ),しまいにゃポルポトみたいな大虐殺やらかしたかもねえ.
 同じような過激原理主義の政権であるスーダンのバシール政権が,まさに今,国民の虐殺をやってるのを見ても,そう思わずにはいられないねえ.



398 :名無しさん@社会人:2009/12/18(金) 15:51:17

>それこそ軍事専門家を称する林って人(称してるんでしょ?)にでも聞いてみたらいいかもねえ(笑)

 だめー!
 「1式2式3式」の人に聞いちゃだめー!
 逃げて逃げてー!

社会学板,2009/12/18(金)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 アラブって,UAEとかカタールとか統一して,大国を作り上げようという計画はなかったのですか?

 【回答】
 アラブの統一って構想は,アラブ連合をはじめ山ほどあった.
 ただ,アラブ人という枠自体が曖昧模糊としてるし(エジプト人とイラク人は何から何まで違うやね),国同士の思惑もあるしで,いずれも立ち消えてしまった.

 例えばアラブ連合は,ナセルのアジ演説にあてられたシリア側からの熱烈な求婚でスタートしたんだけど,結局エジプトがシリアを支配するような体制になってしまって(ちなみに財政的にはシリアの方が豊かだった),シリア人がぶちぎれてあっちうまに離婚.
 今は,オイルマネーで国ごとの貧富の差が大きすぎるから,余計に統一しようなんて動きは起こらない.

イスラエル国防相 ◆3RWR.afkME in 世界史板


 【質問】
 中東各国の軍事費はどのくらいか?

 【回答】
 以下,CIA, Fact Bookから抜粋.
  時期が前後していたりしますが,大まかな目安になれば幸いです

サウジアラビア 180億ドル(世界第10位)
トルコ 121億5500万億ドル(12)
イスラエル 91億1000万ドル(17)
イラン 43億ドル(25)
パキスタン 38億4800万ドル(28)
クウェート 25億8450万ドル(35)
アルジェリア 24億8000万ドル(37)
エジプト 24億4000万ドル(38)
モロッコ 23億560万ドル(39)
ヨルダン 14億6000万ドル(47)
イラク 13億(2000)(49)
リビア 13億ドル(50)
イエメン 8億8550万ドル(55)
シリア 8億5800万ドル(56)
カタール 7億2300万ドル(59)
バーレーン 6億2890万ドル(64)
スーダン 5億8700万ドル(67)
レバノン 5億4060万ドル(70)
キプロス 3億8400万ドル(73)
オマーン 2億5299万ドル(81)

軍事板


 【質問】
 中東諸国の兵役形態,兵力は?

 【回答】
 外務省のホームぺージの各国・地域情報を元に中東諸国の国防予算,兵役形態,兵力一覧をまとめてみました(予算順に並べてます)
(参照)http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/middleeast.html

サウジアラビア 
 予算:184億ドル(2003年)
 兵役:志願制
 兵力:正規軍12.45万(陸7.05万海1.55万空1.8万防空1.6万)国家警備隊10万

トルコ 
 予算:約120億ドル(国家予算の6.6%)(2004年度)
 兵役:15ヶ月(18歳〜40歳)(兵役終了後,41歳までは予備役)
 兵力:総兵力約498,400(徴集兵約391,000人を含む)陸軍381,000海軍52,000
空軍65,400予備兵力約378,700

イスラエル 
 予算:103.25億ドル
 兵役:男子3年,女子19-24ヶ月(更に予備役あり)
 兵力:正規軍16.8万予備役40.8万(陸軍38万海軍3,500空軍2.45万)
 戦車合計3750両
 作戦機  固定翼機:454機 攻撃ヘリコプター:135機
 パイロットの年間飛行時間  180時間(予備役80時間)
 早期警戒機(AEW)6機,空中給油機5機保有
 準軍隊:国境警察隊 8000人,沿岸警備隊 50人

イラン 
 予算:91億ドル(01年)
 兵役:男子2年
 兵力:51万3,000(99年)
 最高指導者を最高司令官とする国防組織を有する.
 軍隊は「正規軍」「革命防衛隊」「治安維持軍」から構成.
 前二者が国防,後者は国内の治安維持を担当.

クウェート 
 予算:51億ドル(2002年)
 兵役:兵役 2年間(但し大卒以上の資格者は1年間)
 兵役:5,500(陸11,000 海2,000 空2,500)予備役23,700

パキスタン
 予算:2,235億ルピー(約38億ドル)(2004/05年度予算案,経常予算の20.3%)
 兵役:志願制
 兵力:陸軍55万海軍2.2万空軍4.5万

アラブ首長国連邦 
 予算:約37億ドル(2003年度推定)
 兵役:徴兵制度は実施されていない
 兵役:41,500(陸35,000,海2,500,空4,000)

オマーン 
 予算:約25億ドル(国防:治安費/2004年)
 兵役:なし
 兵力:39,800(王立軍6,400,陸25,100,海4,200,空4,100)

アルジェリア
 予算:22億ドル(ミリタリーバランス2003年)
 兵役:徴兵制度あり
 兵力:兵力 12.75万(ミリタリーバランス2003年)

エジプト 
 予算:約27億3200万ドル(03年) (ミリタリーバランス2004・2005)
 兵役:徴兵制12ヶ月〜3年
 兵力:陸軍32万海軍2万空軍3万防空軍8万

モロッコ 
 予算:18億2,600万ドル(ミリタリーバランス2004・2005) 
 兵役:徴兵制(18ヶ月)
 兵力:19.63万(陸軍17.5万,海軍7800,空軍1.35万)予備役15万

イラク 
(外務省Hpにないため http://en.wikipedia.org/wiki/New_Iraqi_Army による)
 予算:13億(2004)米軍拠出
 兵役:再編中
 兵力:60,000(2005年2月)

シリア 
 予算:12.1億ドル(2005年予算 政府発表)
 兵役:24カ月
 兵力:32.1万(うち陸軍21.5万予備役約35万推定)

リビア 
 予算:12億ドル(2002年)(ミリタリーバランス)
 兵役:選抜徴兵制(期間:1〜2年)
 兵力:76,000(予備役40,000)

ヨルダン
 予算:8.86億ドル(ミリタリーバランス2004・2005)
 兵役:志願制
 兵力:100,500(陸軍85,000海軍500空軍15,000)

レバノン 5億4060万ドル(70)
 予算:5.12億ドル
 兵役:
 兵力:約72,100(陸軍70,000 海軍1,100 空軍1,000)

カタール
 予算:19億カタール・リヤル(約5億2千万ドル 03年:推定)
 兵役:なし
 兵力:11,800(陸8,500,海1,800,空1,500)

イエメン 
 予算:968億9600万イエメン・リアル(約5億ドル 03年度)
 兵役:2年
 兵力:61,000人(陸49,000,海空:不明)

チュニジア
 予算:4.94億ドル
 兵役:徴兵選抜制(12ヶ月)
 兵力:35,000(陸軍27,000 海軍4,500 空軍3,500)

スーダン
 予算:4.26億ドル(2003)
 兵役:徴兵制(18歳〜30歳 2年間)
 兵力:約104,800(陸軍100,000海軍1,800空軍3,000)
 他に志願制からなる人民防衛隊(約17,500)

 (南部)スーダン人民解放軍(SPLA)20,000-30,000

バーレーン 
 予算:3億3100万ドル(2002年)
 兵役:志願制
 兵力:正規軍11,200(陸8,500海1,200空1,500)準軍事組織10,160(保安警察
 9,000国家警備隊900(1997年首長令により創設)沿岸警備隊260)

キプロス
 予算:3億3千万ドル(2000年)
 兵役:26ヵ月
 兵力:国家守備隊10,000人(2000〜2001ミリタリー・バランス)

 中東の枠を広く取って,北アフリカやパキスタンなどの国家も加えております.

イスラエル国防相 ◆3RWR.afkME:2006/02/09(木)11:47:00ID:???

 見よ,イスラエル海軍の偉容を!!
http://www.globalsecurity.org/military/world/israel/navy-equipment.htm

orz

軍事板


 【質問】
 湾岸のオマーンやUAEなどの産油国にはチャレンジャーやルクレルクなど高価な兵器が配備されてますが,オイルマネーにより予算が豊富なので高い品物を買えるのは分かるものの,軍事的に高性能な戦車が必要な程の脅威があるのですか?

 【回答】
 サウジや湾岸諸国の仮想敵は基本的に(旧)イラク,イランです.
 なんぼなんでもIDFがペルシャ湾くんだりまで攻めてはいけません.

 イラクが潰れた今はイランが最大の仮想敵となりました.
 特にバーレーンは歴史的経緯からイランが領有権を主張してますし,UAEの領土であった大トンブ島,小トンブ島,アブムサ島を勝手に占領しています.
 また,このへんの国はいずれもマイノリティとしてシーア派を抱えているため(バーレーンでは多数派),イランによる「革命の輸出」に警戒を怠ることができないのです.
 ある意味,国民が仮想敵でもあるわけですね.

 イスラエルとサウジ(+湾岸諸国)の仲は別に良くも悪くもありません.お互いに無視してる状態です.
 現時点でイスラエルの侵攻を本気で恐れてるのはシリアぐらいでしょう.

(イスラエル国防相 ◆3RWR.afkME)

 ちなみに
イスラエルには1700両のメルカバを含む3000両の大規模戦車部隊,
エジプトが2500両のソ連戦車と700両のエイブラムスを,
リビアが2000両の戦車を保有.
サウジアラビアは300両のエイブラムスを含む1000両の戦車を装備.
サウジと接するオマーンはチャレンジャ−2を持っているがわずか38両.M60を含めても120両程度しか戦車が無い.
アラブ首長国連邦が400両のルクレール.戦車全体では500両足らず.
クェートもかつてはチーフテン今はM1A2持ってるよな.国軍の全体数から考えるとものすごく高い比率の・・・.
ヨルダンが1000両,
シリアが4600両,
イラク戦争開戦直前のイラクが2200両(湾岸戦争直前は5800両だったのに……).

 中東はたぶん,地球で一番戦車の密度が高い地域(笑)

かつてイラクが大量に持っていたT-72
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 中東地域にはトヨタのランドクルーザーを改造した軽装甲車両が制式に配備されてると聞きましたが,どのようなものかわかりません.

 【回答】
 エンジンが本田とか日産とかトヨタとか言う車輌はいくつかありますが,ランクル改造型は無かったかと記憶しています.
 強いて言えば,ヨルダンにFJ40系のシャシーを持つ機関銃搭載車輌があった程度では無いでしょうか.

 後,インドにはJONGAと呼ばれる4WDがあります.
 これは日産「パトロール」が原型で,対戦車ミサイル搭載車輌がありました.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板


 【珍説】
 メーリングリストで流れていたものです.
 ご参考までに転載します.

------------------------------------------------------ここから引用----
▼中東に兵器売りまくり 米国 [7/28]
 イスラエルに対して米国が矢継ぎ早に爆弾誘導装置などをイスラエルからの注文により運んでいるとの報道が先週,ニューヨークタイムズから流れていたが,
 今度,米国は中東の米国寄りの国々とも兵器の大型取引をすることがわかった.
 取引総額は46億ドル.

  ブラックホーク攻撃ヘリ 8億ドル相当 UAE
  アパッチ攻撃ヘリ 4億ドル相当 サウジアラビア
  ブラックホーク攻撃ヘリ 2.5億ドル相当 バーレーン
  装甲輸送車のアップグレード 1.5億ドル ヨルダン
  対戦車ミサイル 4800ドル オマーン
  アブラハム戦車のリニューアル 29億ドル サウジアラビア
http://asyura2.com/0601/war83/msg/111.html

あつこば in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 その筆頭国のサウジアラビアなんだけど,実は最近アメリカ以外からも兵器を買いまくりなんですよ.
 パキスタンから戦車を購入(中身は中国製のZTZ-98)したり,欧州からユーロファイター戦闘機を購入したり.
 あの辺りの金持ち国は,最近の原油高のせいで無駄遣いを覚えてしまったのか,どうも趣味で買ってるとしか思えないラインナップで・・・

 アル・ハーリド戦車の場合,UAEがロシアからBMP-3を買ったことに触発されたと思うんですが・・・
http://www.pakistanidefence.com/PakArmy/AlKhaildMBT2000.html
によれば,MBT 2000 アル・ハーリド Al Khalid は 90-U戦車をベースにして中国・パキスタンで共同開発された戦車.
 パキスタンのHeavy Industries Taxila製.
 パキスタンはこれまでトルコやサウジにこの戦車を売り込んでいたが,今回のサウジの購入が実現すれば初の輸出になる.

 JDW,2006/3/15によれば,サウジアラビアは今年4月から,同車のトライアルを開始する.
 結果が良好なら150両を調達する予定.
 金額にして6億ドル,パキスタンの兵器輸出としては過去最大の案件.

 しかし,M1A2を保有しているサウジがなぜアル・ハーリドを購入しようとしているのだろうか?

JSF in mixi

 ちなみに,「兵器FAQ」より中東編

・アルジェリア:ロシア,南ア,米,チェコ
・バーレーン:米,英
・エジプト:米,自国,フィンランド,ドイツ,中共,ロシア,イタリア,オランダ,オーストリア
・イラン:自国,中共,ロシア
・イラク:ポーランド,ヨルダン,スイス
・イスラエル:米,自国,フランス
・ヨルダン:米,英,トルコ,ロシア
・クウェート:米,英,ドイツ,イタリア
・モーリタニア:イタリア
・オマーン:英,米
・サウジアラビア:ロシア,米,フランス
・チュニジア:米
・アラブ首長国連邦:フランス,米,自国,ドイツ,イタリア,インドネシア,ロシア
・イエメン:ロシア,チェコ,フランス,オーストラリア

 「中東に兵器売りまく」っているのは「米国」だけなのではなく,世界中から武器セールスが中東へ殺到しているんですね.
 中東の軍拡について問題点を指摘したいのなら,そこまで見なくてはダメです.
 でないと,ただの反米プロパガンダに堕してしまいます.

 そもそも,「ソースが阿修羅」という時点で論外.

消印所沢 in mixi・改

「アパッチ」ヘリ
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 欧米だとアメリカやイギリスの陸軍が有名ですが,アラブの国で陸軍(特殊部隊でもいいです)が強いとされてる国はどこですか?
 強いというのは装備や実戦経験などで評価されてるという意味です.

 【回答】
 イスラエルの視点から見て一番強い隣国はエジプト.
 ただし,イスラエルとエジプトが戦えばエジプトは困ったことになる.
 理由はエジプトの主力装備がアメリカ製だから,部品の供給とか弾薬の供給とかで米国の支援が停滞,打ち切られる可能性がある(どの程度の支援を普段から受けているかについては本回答者は無知です).

 ちなみに両者が一番最後に戦ったのは第4次中東戦争のときね.1974年だったかな.
 このときはエジプトはソヴィエト製の装備が中心だった.

 他のイスラエル隣接国はそれなりに実戦経験はあるが,「強い」と一概にいえるものではない.

 サウジアラビアは装備は豪華だが「強い」と一概に言えるものではない.

 2008年現在では,国家の軍隊ではないが,イスラエル軍に対して非常に善戦したヒズボラが,アラブ最強と言えるのではないだろうか.

軍事板
青文字:加筆部分


 【質問】
 サウジとか中東の金持ち国は,軍隊に外国人傭兵をたくさん雇ってるけど,それを代わって自国民にやらせるようにする気はないのでしょうか?
 サウジとかは人口増加もしてるし,若年層の失業率が激しいのだから,公務員として軍隊に吸収するのが,テロ対策の一つになるのように思えますが.

 【回答】
 外国人の傭兵といっても,いわゆる民間軍事企業の社員で,彼らの仕事は実際のドンパチよりも,戦略計画の策定,情報収集と分析,航空機や陸戦兵器の整備,新兵の訓練(あと王族の警護もあって,これはいわゆる傭兵っぽい仕事ではある)など.

 こういった高度で重要な仕事を外国人に任せているのは,そもそもサウジなど中東の金持ち国家では
・特権階級が国家を私物化している
・特権階級の子息しか高度な教育を受けられない(=人材の不足)
・社会制度が能力主義ではない
といった社会体制になっているからで.

 これを自国民の,それも一般大衆に任せようと思ったら
・民主的な政治体制
・特権階級の廃止
・教育制度改革
……等,諸々の難しい問題を解決しなくちゃならない.
 でも,国家の指導層はそんなことするつもりはさらさらない.

 ま,古代から,自国民を信頼しない支配者が外国人傭兵に頼るには普通のことだ.

軍事板

 付け加えますと,いわゆる湾岸諸国の内実が一枚岩でないことも理由に挙げられるかと.

 例えばバーレーンなどはイスラム教シーア派の方が多く,支配層(スンニ派)は少数で,常にシーア派(とその後ろにいるイランの影)に怯えています.
 サウジにしても東部産油地帯にシーア派住民を多く抱えています.

 宗教面の他にも,あのへんは部族主義が根強く残っていますから,仲間うち以外に銃を渡すことへ抵抗感があるのです.
 UAEとか首長国同士,決して仲は良くないですしね.
 サウジなどは軍以外にも王家の親衛隊=国家警備隊を持ってます.

イスラエル国防相◆3RWR.afkME


 【質問】
 中東で,兵器国産をしているのはイスラエルだけ?

 【回答】
 中東諸国の軍隊では(イスラエルや,禁輸でやむなく国産化を強いられているイラン等の例外はありますが),多くの装備を輸入に頼っています.
 そのため,メンテナンス込みで20億円でM1A2を売りつけられたり,せっかく購入してもモンキーバージョンだったりすることが多々ありました.

 中東諸国でも国産化の試みはまま行われているのですが,技術者不足や基盤工業力の問題から多くが失敗しているのが現状です

 その中で注目すべき動きを見せているのがヨルダンです.
 ヨルダンは石油も取れず,これといった産業も乏しい状況にありました.
 この状況を打開するため,国家主導で工業化政策を行うことになり,その一環として国防装備の国産化を行うための開発局が設立されました.
これがキング・アブダッラー2世設計開発局(KADDB)です.

 できる所からの国産化を目的としてますので,装備の近代化や軽車両の開発が中心となってますが,イギリスから輸入したチャレンジャー1の砲塔を新型無人砲塔「ファルコン」に換装した「アル・フセイン戦車」や,M60戦車にスイス製120mm砲を搭載した近代化改修「フェニックス」,「Temsah」重歩兵戦闘車などの興味深い車両を改修・製作しており,南アフリカ(ルーイカットラテル装甲車)やウクライナなどとも合弁企業をつくり,技術交換を積極的におこなっております.
 このような地道な経験の蓄積こそが,将来的には大きな成果を挙げるのではないかと思います.

軍事板


 【質問】
 アラブ諸国に戦闘機国産計画はなかったの?

 【回答】
 その昔,スペインのHispanoがメッサーシュミット技師の基本設計で,ドイツ人技師の協力を得て開発していた超音速戦闘機HA-300が,回り回って,当時,Hispanoの同じくメッサーシュミット技師が設計していたHA-200ジェット練習機を製造していたアラブ連合に引き継がれ,ドイツ,スペイン,オーストリア,スイスなどの技術者が雇われて,カイロ近郊のヘルワンにある国営第三航空機工場で開発を始めていました.

 また,オーストリア人で,Jumo004だったかBMW003だったか忘れましたが,その設計に携わったブラントナー博士が,その機体用に新型エンジンを開発しています.

 しかしながら,予算不足,技師の給料問題に起因する技術者の大量引揚げによって,予定は遅れに遅れ,機体は2機完成したものの,性能はパッとせず,エンジンの完成も遅延.
 そうこうしているうちに6日戦争で大被害を受けたために,軍備立て直しが急務となり,革命の元勲だったナセル大統領が急死するなどして,結局雲散霧消してしまいました.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2004/12/30
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 アラブ諸国がヨムキプール戦争のように一斉にイスラエルに軍事侵攻することは,もう不可能ですか?

アフマディネジャド

 【回答】
 大統領閣下,よほど外交手腕に優れた指導者がどこかの国に出現するなら別ですが,現実にはほぼ不可能と思われます.

 アラブ諸国と一口に申しましても,互いに隣国同士で水利紛争や資源紛争や国境紛争などを抱えている国々も珍しくございませぬ.
 これでは一致団結など望むべくもございませぬ.

 また,先のイラク戦争で,量は質をカバーしないことが判明してしまいましたので,装備優秀なイスラエル軍に対し,束になっても勝ているかどうかという問題もございます.

 さらに,イスラエルは核兵器保有国でございます.
 やけになったイスラエルに核で報復されてはひとたまりもございませぬ.

 さらにまた,中東諸国の軍隊は,治安維持のための軍としての性格も強く有しております.
 クルアーンをないがしろにするサウド王家などは,軍隊が国内を留守にした隙に起きるであろう大規模な反乱を恐れるでありましょう.

 さらにさらに,本心ではイスラエルが潰れるのを望まず,ただただ国内の不満そらしのために反イスラエルを煽っているだけのアラブ諸国も多うございます.

 そのようなわけでございますから,アラブ連合軍による侵攻案などお捨てになられたほうがよろしいかと存じまする.

 ところで閣下,核開発やハマスやヒズボラ支援も結構ではございますが,もう少し我が軍のほうにも予算をつけていただきたく…

イラン前国防相◆2ahDXUlKbw

名前:名無し三等兵 投稿日:2006/07/22(土)

>大統領閣下,よほど外交手腕に優れた指導者がどこかの国に出現するなら別ですが,
>現実にはほぼ不可能と思われます.

 暗に「オマイの外交はヘボなんだよ,ヴォケ」って言ってる様に聞こえるが(笑)

 【質問】
 中東ではなぜ争いが続いているのでしょうか?

 【回答】
 荒れ地や砂漠が多いため,都市間が断絶しているので,基本的に「隣町の連中はしらない連中」でしかない.
(町によっては氏族間の繋がりとか有る場合もあるが)
 逆に数少ない豊かな土地は,他の勢力に常に狙われるハメになる.
 特に水や(現代では)石油の利権が絡むと血を血で洗うハメに.

 っつーか,一言で「中東」言っても,おおまかにわけてもいろんな民族がいるわけであって.
 この状況がアカンと思って
「一つの宗教を旗印に民族・人種を越えた共同体を作ろうぜ!」
と言ったのがムハマンド(マホメット)だったんだけど,本人の死後がどうなったかはご存じの通り.


 【質問】
 中東戦争・紛争の特徴は?

 【回答】
 これについては,ナイ教授の意見をそのまま書いたほうが理解しやすい.
 以下,ナイ教授の分析.

--------------------------------------------------------
 中東情勢は,他の紛争でわれわれが既に検討したのと同様の,個人,国家,国際システムに関するダイナミクスを描いている.
 あるレベルでは,アラファト,ラビン,シャロン,サダト,そしてフセイン国王といった個人が,和平合意を纏めるか否かを決定した.テロリストや暗殺者も重要な役割を果たした.
 この地域の現状は,リアリストのモデル―パワーと安全保障をめぐる他国との競合―にしばしば合致している.
 だが,個人や非国家主体と同様に,国際法と国際組織も政治闘争の形態に関与してきた.
 宗教や人種,経済的未発展,そして国民の圧力が,依然として中東の政治を不安定にしている.
 この地域を通じて,専制的政府はその権威に対する国内的な原理主義者の挑戦に直面し,これらの政府の多くはアルジェリアやスーダンに見られるように内乱勃発の脅威にさらされている.
 中東の更なる紛争は,大いにありうることである.
--------------------------------------------------------

 で,これはまったく正しかったことになる.
 事態があまりにも煩雑化していて,中東情勢が一定の方向に向かうことすら困難だと個人的には思う.

 詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第6章を参照されたし.

ますたーあじあ in mixi


 【質問】
 中東情勢はコンテナ船建造に,どんな影響を与えてきたのか?

 【回答】
 コンテナ船は就役後,大きく速くなっていきます.
 しかし,その巨大化は,第三次中東戦争によるスエズ運河封鎖により,パナマ運河周りの航路を取るしか無かった為,パナマ運河の大きさによって制限を受け,30ktsを越える高速化も,第四次中東戦争に伴うオイルショックによって頓挫しました.

 しかし,1970年代初頭は,未だそんな事を顧みる必要が無かった為に,各社のコンテナ船は巨大化,そして速達性を重視する高速化に進んでいました.
 また,従来,コンテナ船の運用は大西洋航路や米国航路程度だったのが,日本が高度経済成長を謳歌し,日本から各国への輸出が盛んになったお陰で,欧州〜日本航路の様な長距離航路が続々開設されています.

 日本〜欧州航路は,日本,英国,ドイツの5社で結成したTRIOと,北欧やオランダ,そしてフランスの5社で結成したScanDutchの二大勢力に分かれて競争を続けていました.
 TRIOは17隻を擁し,第一船は日本郵船の世界最大のコンテナ船である鎌倉丸で,以後,これに準じた同型船が陸続と就役しています.
 機関は40,000軸馬力のタービン2軸ですが,商船三井のえるべ丸だけは,ディーゼル推進で,中央に33,800馬力1機,両脇に25,400馬力2機の3軸推進船でした.

 一方のScanDutchは,主に北欧の会社の持ち船は,ディーゼル3軸推進船が建造されています.
 実は,えるべ丸は,当初はタービン2軸で予定されていたのですが,造船所(三井玉野)で,ScanDutchのToyamaと同時期に建造されていた為,コストダウンを図ってScanDutch側の仕様に合わせた結果,ディーゼル船として建造された訳で.
 ScanDutchの持ち船は,30,000軸馬力程度のディーゼルを中央軸に,22,000〜23,000軸馬力程度のディーゼルを両脇に搭載するものでした.

 これらの船舶は最高速力を26〜28kts出す事が出来ました.

 一方,距離の短い欧州〜北米東岸航路には,画期的な高速船が投入されました.
 1971年3月にSeaTrain社が運航したEuroliner級4隻がそれで,その主機は,P&W FT4A-12航空機転用ガスタービンエンジンで,これを2基備え付けて2軸の可変ピッチプロペラを駆動し,26.7ktsを叩出します.
 民間の大型船で,この手のエンジンを採用したのは,この船が初めてでした.
 これは初期投資額が低く,機関室が小さくて済む為,其の分をコンテナ積載量に回せる,更にエンジンが軽くなるので載貨重量を増加でき,メンテナンスはタービンに比べると容易で,その稼働率が向上すると言う利点が,高い燃料費の不利を補って余りあると言う調査結果が出された為です.

 エンジンは定期点検や故障を見込んで,予備が2基陸上保管されており,必要に応じて機関室にあるエンジンを取り外して,機関室と後部7番船艙間の隔壁にある水密扉から7番船艙に移動し,クレーンで取り出し,逆の作業で新しいエンジンを7番船艙にクレーンで降ろして,機関室に移動させ,設置する作業を7時間…つまり,定常停泊時間内…で行える様にしていました.

 米国の大手Sea-Landは,米国と欧州,アジアの航路を最短で結ぶ為に,有名なSL-7型コンテナ船を1972年9月に投入します.
 これは先ずドイツに2隻,オランダに3隻発注されましたが,主機は60,000馬力の蒸気タービン2基で,5枚プロペラの2軸推進で,最高速力33kts,航海速力でさえ30ktsと言う化物船でした.
 35ftコンテナは896個,40ftコンテナは200個を搭載出来,1973年末には最終的に8隻が建造されて,2隻は米国東岸〜北欧州のウィークリーサービスに,残りは米国西岸〜東アジアの5日サービスに投入される事になりました.
 後者には山下新日本汽船,ジャパンライン,商船三井,日本郵船,川崎汽船が大型コンテナ船7隻を投入しましたが,これらは何れもディーゼル推進の25ktsと言う中速船でした.

 そんな所へ,SL-7型コンテナ船が投入されたので,これは日本にとっても脅威で,対抗して9隻のコンテナ船を投入し,SeaLandの速度に対して,数で対抗すると言う作戦に出ています.

 しかし第四次中東戦争と,それに伴って発生したオイルショックによる燃料高騰により,こうした高速競争は終わりを告げ,各社は如何に既存船舶を経済的にするかと言う事に腐心する事になります.

 先の日本〜欧州航路のTRIOが建造した高速タービン船は,その主機を相次いで26,000馬力級のディーゼル2軸に換装します.
 これにより,速力は24kts弱になったものの,燃料消費量は1日当り366.3tから165.6tと半減以下になりました.
 また,ディーゼル船でさえ,35,000馬力の2軸推進を26,000馬力級の1軸推進に大改造され,速力は25.6ktsから20.5ktsに一気に下がりました.
 ただ,燃料消費量は220tから71tと激減しています.

 先ほどのSeaTrain社のガスタービン船も結局,1979年にはディーゼルに換装する事となり,速力は23ktsに低下しました.

 この速度低下の原因は,機関室の長さが短い事により,その容積内に同程度の馬力を持つディーゼルエンジンを押し込む事が出来なかった事に依ります.

 こうした速度低下を補う為,各社はトランジットタイムの短縮をキャッチフレーズにする事を諦め,各ルートへの投入隻数を増加して,サービスの定時性を売りにする戦略に転換しました.

 しかしSL-7級のコンテナ船は,船型其の物から高速船型であり,今更機関を換装するメリットが無く,大赤字を垂れ流した結果,1981年に米海軍に泣きついてMSC船舶として引取って貰う事になりました.
 これが水を得た魚なのか,RO船に改装されて高速車輌運搬船となり,湾岸戦争では大活躍でしたけどね.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in mixi,2007年11月05日22:50


 【質問】
 ベイルート宣言とは?

 【回答】
 サウジが02年に打ち出した中東和平案.
「イスラエルが67年の第3次中東戦争前の境界線に戻り,ヨルダン川西岸,ガザと東エルサレムで構成するパレスチナ新国家の樹立を認めれば,直ちにアラブ22ヶ国・機構はイスラエルと和平条約を結び,紛争を終わらせる」
という内容です.

 2006/9/25のイスラエル紙「イディオト・アハロノト」「ハーレツ」によれば,オルメルト・イスラエル首相はこれに関心を示しており,同月に同首相はサウジを訪問し,バンダル王子(前駐米大使)と会談したと報じています.
 しかし,両国ともこの報道を否定しています.

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)10月2日・改


 【質問】
 カタールとバーレーンとの間の国境紛争とは?

 【回答】
 ハワル諸島と西沿岸沖の二つの砂州を巡って争っている.
 係争地には大規模な石油・天然ガス資源が眠ると見られる上,その波紋は湾岸諸国内の対立にまで広がっているという.

 詳しくは,Michael T. Klare著「世界資源戦争」(廣済堂出版,2002/1/7),P.120を参照されたし.
 なお,M. T. Klareは「平和と世界安全保障に関する5大学研究プログラム」理事.


 【質問】
 イランとUAEとの間には,どんな領土紛争があるのか?

 【回答】
 ホルムズ海峡の島を巡って争っている.現在はイラン優勢.
 以下引用.

 イランはまた,ホルムズ海峡の西に位置するアブムサ島および大トンブ島,小トンブ島への支配権拡大にも出ている.
 大・小トンブ島については,1971年にラスアルハイマ(アラブ首長国連邦内の首長国)から奪い,以後,占領を続けている.
 アブムサ島はシャルジャ(同じく首長国)と共有していたが,1994年に島全体の支配権を握った.
 アラブ首長国連邦側は領有争いを国際調停に委ねるよう迫ったが,イラン政府は「イランの不可分の領土の一部」であると宣言.
 イランはアブムサ島に対艦ミサイルを配備し,大・小トンブ島でも支配権を固めている.

 Michael T. Klare著「世界資源戦争」(廣済堂出版,2002/1/7),P.110-111


 【質問】
 チグリス・ユーフラテス川を巡り,どんな対立があるのか?

 【回答】
 シリア・トルコ・イラクが三つ巴の争いを続けている.
 この水系は対立する国々と民族によって共用され,水を巡る問題も紛糾を続けてきた.
 加えて,全域的な水利計画も,今のところ全く実現していない.
 また,人口増加も水資源問題の大きな圧力要因となっている.

 水資源を巡る最初の大きな危機は1975年,シリアがユーフラテス川のタブカ・ダム(後にアッサラー《革命》ダムと改称)建設を終えようとしている時に起こった.
 これは灌漑のためのものだったが,ダムの貯水が始まると,イラクは,ユーフラテス川の流水量が激減して農作物に壊滅的な被害が及んでいると非難.
 シリアは流水量の大幅な減少を否定し,両国間に緊張が高まった.
 サウディアラビアの仲介努力は合意に達せず,両国は国境地帯の兵力を増強した.
 両国が配分方式について合意するのは,1990年4月,アタタルク・ダムで遥かに大きな危機が起きてからのことだった.

 シリアとイラクの突然の和解を促したのは,トルコがアタタルク・ダムの貯水池を満たすため,1990年1月13日〜2月12日の1ヵ月間,ユーフラテス川の流れを完全に堰き止めた事だった.
 さらに,トルコは,チグリス川とユーフラテス川の発電・灌漑水利計画も進めていた.
 この南東部開発計画(トルコ語の頭文字でGAP)は,1960年代に打ち出された巨大プロジェクトで,発電と食糧増産を通じ,貧しい南東部の開発を促すというものだった.
 チグリス・ユーフラテス川とその支流に合計22の大型ダムと19の水力発電所を建設し,200万ヘクタールの土地に灌漑用水路網を張り巡らす計画で,このプロジェクトを通じて300万人の雇用創出をトルコは見込んでいる.そしてその多くは,クルド人住民を対象とするものである.

 軍事力の大きな格差から,トルコは公然と優位を口にしている.
 しかし,シリアには切り札があった.クルド人勢力PKKを支援し,匿う事により,トルコ南東部を慢性的不安定状態に陥れることが可能だった.
 トルコ政府とPKKの戦いは,1990年代半ばに入って激しさを増した.トルコ軍が南東部に派遣され,数十万人ものクルド人が政府側の焦土作戦によって家を追われた.この紛争で少なくとも3万人が死亡,さらに多くの負傷者が出た.拷問,投獄,追放されたものも多い.
 1998年にトルコ政府は,シリア内の支援拠点を潰すことでPKKのゲリラ活動を根絶する方針を固める.
 トルコ政府はシリアに対し,PKKの訓練キャンプ閉鎖と指導者アブドラ・オジャランの国外追放がなされない限り,武力行使に踏み切ると警告した.
 結局,各国首脳の仲介努力の結果,トルコとの正面衝突を恐れたシリアは,PKKへの支援停止に応じることになる.

 1999年夏,再び緊張は高まった.深刻な旱魃に加え,トルコが,ユーフラテス川のビレジクで4つめの大型ダムを着工したからである.

 21世紀に入り,チグリス・ユーフラテス川流域の水をめぐる政治的関係は,これまでにも増して紛糾している.
 PKKが勢いを失うと,トルコ政府はGAPを再開したばかりか,同計画をチグリス川上流にも拡大することを1999年に発表している.
 シリアとイラクにとって,ユーフラテス川に代わりうる水源はチグリス川しか存在しないため,その水量減少は,両国の食糧供給と生活安定を大きく脅かすことになる.

 紛争を確実に防ぐ手段はただ1つ,流域3ヶ国がチグリス・ユーフラテス川の水利について,公平かつ総合的な取り決めをまとめることだ.
 しかし現在のところ,3ヶ国にその意思は見えない.

 詳しくは,Michael T. Klare著「世界資源戦争」(廣済堂出版,2002/1/7),P.252-263を参照されたし.
 なお,M. T. Klareは「平和と世界安全保障に関する5大学研究プログラム」理事.


 【質問】
 ヨルダン川の水資源を巡っては,どんな対立があるのか?

 【回答】
 イスラエル,ヨルダン,およびパレスチナ自治区は,殆どが乾燥または半乾燥地域であり,いずれも水不足問題が起こっている.
 したがって,イスラエル,ヨルダン両国は,地上にある唯一の大規模な水資源,ヨルダン川の最大利用を図っている.
 1948年のイスラエル建国以来,ヨルダン川とその源流の支配権が大きな争いの火種となってきたことも,何ら不思議ではない.

 1946年のヨルダン・ハシム王国,48年のイスラエル建国の後,両国はそれぞれ独自のヨルダン川水利計画の策定を開始した.
 アメリカによる仲介努力が失敗に終わった後,イスラエルはヨルダン川の水を海岸部とネゲブ沙漠に引く「国家水道(NWC)」建設を急いだ.ヨルダンは,東グホール運河および関連プロジェクトの推進を強化した.
 NWCが完成に近づいた時,これをヨルダン川の水を盗み取るものであるとするアラブ諸国により,1960年,NWCの最大の水源,ヨルダン川上流とティベリアス湖に流れる水を,ヤルムク川に迂回させる計画が纏められた.そのためのダムを,レバノンのハスバニ川とバニヤス川に建設する計画だった.

 1964年11月,ダン湧水付近でイスラエル軍とシリア軍が衝突,翌年の春と夏にも衝突が報じられ,戦闘機同士の空中戦も起きるようになった.
 8月には両軍機がティベリアス湖上空で交戦.
 地域全体の緊張が高まり,各国は臨戦体制に入った.
 1967年4月7日,イスラエル空軍機がシリア領内の建設現場を攻撃.
 5月18日には,エジプトがシナイ半島から国連緊急軍(UNEF)――イスラエル軍とエジプト軍の兵力引き離しに当たっていた――を追い出し,アカバ湾からイスラエル船を締め出した.
 そうして水争いは6日戦争の1つの要因となった.
 6日戦争ではイスラエルは圧倒的勝利を収め,ヨルダン川上流域でアラブ各国に対する戦略的立場を大幅に強めることになった.

 しかし水を巡る紛争が終わったわけではなかった.
 1967-69年,PLOはヨルダン渓谷でユダヤ人入植者に対する武装攻撃を何度も行ったが,その多くはイスラエルの水利施設を標的にしたものだった.
 イスラエル側は東グホール運河への攻撃に出た.
 それは,ヨルダンがPLOを国外追放するまで続いた.

 1980年代に入ると,ヨルダンとシリアが,ヤルムク川のマカリンでのダム建設計画再開に向けて動き出し,危機が再燃した.
 イスラエル側は,ゴラン高原および周辺のユダヤ人入植者に必要な水が奪われることになると主張,武力行使も辞さない構えを取った.
 この危機は結局,ヨルダン川が計画を断念する形で終息した.

 一方,ヨルダン川西岸を占領していたイスラエルは,パレスチナ人が地下水源からの取水を増やすことを認めなかった.
 しかし,イスラエル国内および西岸のユダヤ人のために地下水源をイスラエルは利用していた.西岸のユダヤ人入植者はパレスチナ人に比べ,一人当たり5〜8倍の水を割り当てられていた.
 パレスチナ人は怒り,1987年から数年に渡って続くインティファーダに油を注ぐことになった.

 1991年にアメリカの仲介の下に始まった和平プロセスの一部として,水資源問題の当時各国は平和的解決策を検討し始めた.
 しかし大した進展は見られていない.

 各国が全ての基本的懸案事項で合意し,共通の問題の解決に強調すれば,この地域における水不足を回避することも可能となる.
 だが,時間的猶予は少ない.
 ヨルダン渓谷の人口は,1990〜2020年に960万から2120万へと倍増し,その後も増え続ける見通しにある.
 各国が共通の水利政策に合意しなければ,現在の水利システムは人口増加などの圧力によって破綻し,全域に慢性的不安定を招くことになる.

 詳しくは,Michael T. Klare著「世界資源戦争」(廣済堂出版,2002/1/7),P.241-252を参照されたし.
 なお,M. T. Klareは「平和と世界安全保障に関する5大学研究プログラム」理事.


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