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青文字:加筆改修部分
 ただし,「である」「です」調の統一のため等の補正を除く.

※既に分類され,移動された項目を除く.

※荒れ模様が酷いため,レス回収基準は「Ver.7」


スレ立てる前に此処で質問を 633

目次

 【質問】 「アフガン たった一人の生還」と言う本に,米海軍シールズが,アフガンで4人一組で出動する場面がありました.いくら精強無比なシールズとはいえ,なぜたった4人で出撃させるような事をするのでしょうか?

 【質問】 銃剣は長さを別にすれば,旧軍のような形の方がいいと思うのですが,どうなのでしょう?

 【質問】 制海権というのはどういう手順で握るものなのでしょうか?

 【追記】 護衛空母ってのは――

 【質問】 第2次大戦前のフランスには,ソフトパワーで国を守ろうという発想は出てこなかったのですか?

 【質問】 火炎放射器でやけどを負うと,どんな意味でやばいの?

 【質問】 空自でアパッチ調達中止の決まった原因は,アパッチの欠陥によるもの?


 【質問】
 最近読んだ「アフガン たった一人の生還」と言う本に,米海軍シールズが,アフガンで4人一組で出動する場面がありました.
 その4人だけの単独行動です.
 一番近い味方まで何十キロも離れています.

 いくら精強無比なシールズとはいえ,なぜたった4人で出撃させるような事をするのでしょうか?
 グリンベレーだと6人一組のようです.
 まあ,たった2人増えただけともいえますが.

 ネタバレになるといけませんが,出動したのが4人でなく8人,10人,12人・・・と多ければ,運命はまた変わっていたのではと思うのです.

 【回答】
 以下の記述を見る限り,最寄の基地までは大して離れておりません.
 Kunar州のCamp Blessingということは,Korengal渓谷での作戦でしょうし,2005年6月28日時点ではどうなのか調べないとわかりませんが,渓谷内に米軍は拠点を築こうと努力して,実際,今年4月に撤退するまでは,複数の拠点を持っていた時期もあります.
http://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Red_Wing

 負傷後に7マイル移動し,Sabray-Minah村の牧童に発見されて村に運ばれ,その村の長老が数マイル先のCamp Blessingまで手紙を届けたと書かれています.

 山岳地帯の道のりで7マイルとか数マイルですから,距離としてみればもっと短いかもしれません.

 作戦に出たシールズの人数については,ヘリで夜間に高地に投入できる人数,敵に察知されずに潜んでいられる人数などを,チームで検討した結論ではありますまいか.
 敵性地域であれば,付近の村落からいくらでも加勢が来ますから.
 多少,人数が増えれば長時間潜んでいられるようになるにせよ,あまり多すぎては目立ちすぎます.

軍事板,2010/06/05(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 銃剣について質問します.
 自衛隊では米軍と同じような銃剣を装備していますが,それは何故ですか?
 銃剣は長さを別にすれば,旧軍のような形の方がいいと思うのですが,どうなのでしょう?
 やはり銃剣においても米軍の方が優れていたのでしょうか?

 【回答】
 前提がちょっとよく解らんのだが,M1用M5銃剣と30式銃剣の比較だろうか?

 自衛隊に触れているから,とりあえず今について話すと,,
 銃剣は武器としての要求度が下がって,主にツールとして扱われてる.
 優れている優れていないではなく,そういう流れ.
 峰もノコになってるし,鞘とあわせてワイヤーカッターになっていたりね.

 だから持ち運びやすくツールとして使いやすい形,サイズに落ち着いてる.
 もちろん89式銃剣の制作にあたっては,M9銃剣も参考にされたから似ていると言うのもあるけど.

 塹壕戦やるようになったら,長い銃剣が欲しいという要望も出てくるかもしれないけど,多機能ツールとしての側面はなくならないだろうから,旧日本軍のような外形にはならないんじゃないかね.

 まぁ,銃剣なんてなまくらだから,意匠性,威圧効果を無視すれば,刀型にする意味は薄かったかもね.
 切先諸刃のM5銃剣の形状の方が,刺突と頑丈さは優れているだろうし.

軍事板,2010/06/06(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 制海権というのはどういう手順で握るものなのでしょうか?

パッと考えると
・空母が駆逐艦やイージス艦に守られていて,敵の駆逐艦や潜水艦や対艦攻撃機から身を守る
・空母から制空戦闘機が発信して制空権を握る
・空母から対艦攻撃機や哨戒ヘリが発進して駆逐艦や潜水艦を攻撃する
・終了
という風に思うのですが,実際のセオリーはまた違うもんなんでしょうか?
 教えて下さると幸いです.

 アクターは
・制空戦闘機:制空権を握って敵の対艦攻撃機や哨戒機を攻撃するよ!
・対艦攻撃機:空母や駆逐艦を攻撃するよ!
・哨戒ヘリ:索敵能力が強いよ! 主に潜水艦を攻撃するよ!
・空母:飛行機を乗せるよ! でもそれそのものには攻撃力・防御力はほとんどないよ!
・駆逐艦:ミサイルや魚雷で対空対艦対潜攻撃するよ! でも対艦攻撃機に弱いよ!
・イージス艦:駆逐艦などに対空システムを乗せたよ! 対空攻撃・防御力で皆を守るよ!
・潜水艦:対艦対潜攻撃するよ! ステルス性が高いよ! でも哨戒機に弱いよ!
くらいしか分かりません.
 他にもあるかも知れないので,それも教えて下さると幸いです.

 【回答】
 制海権とは文字通り「権利」「権力」です.
 その海域を自分たちが好き勝手に使える,よそ様にでかいツラさせない力,これが制海権の定義と考えてください.
 だから制海権を握ってない国がそこで活動する場合,親分の顔色をうかがう小物のごとく,コソコソと動くしかありません.
 見付かったら「ウチのシマで何しとんじゃくらぁ!」とばかりにフルボッコにされるからです.

 で,制海権を握る手順 色々状況に応じて変わりますが,最近は空軍と海軍の協同を重視し,宇宙,サイバー空間,策源地までも含めて考えるものが出てきています.

・敵の超水平線レーダー,ミサイルや精密誘導弾薬,指揮統制通信施設(地中敷設光ファイバーを含む),港湾などに対する打撃
・敵の衛星網と海底通信ケーブル,サーバー群や軍と軍需産業を繋ぐ商用ネット空間に対する撹乱,破壊,再建妨害
・逆に敵の妨害に対し,我がネットを即座に修復,再建する(人工衛星打ち上げ能力などを含む)
・自立行動ステルスUAVによる敵地侵入と偵察即攻撃
・敵港湾・泊地に対するステルス爆撃機による機雷封鎖
(機雷は自立行動し,固定海底センサーを敷設し,群集で機能するUUVのようなもの)
・空軍のタンカーによる大洋架橋と,後背の聖域化を空母打撃群の艦載機で保証
(通信網への打撃により状況不明な海洋上空,海中で敵性目標を掃討し,空中給油機や指揮統制機が安全に飛べる空間を作り出す)
・島嶼線などにそった対潜戦闘

軍事板,2010/06/06(日)
青文字:加筆改修部分


 【追記】
護衛空母ってのは,商船船隊の護衛をするのが目的なので,敵は潜水艦と小型戦闘艦と航空機.
商船船隊の護衛ごときにたくさんの運用機は不要なので,小型になっている.
というか,敵艦隊とガチンコで殴りあう目的で使用するわけではないので,防御面が手薄になってる.
防御面を手薄にしても数が欲しいので,戦時標準輸送艦などの設計をそのまま流用し,細かい不便な
点は見ないことにして,建造が容易なことを優先している.

大戦が始まって大量に護衛空母を建造したら,余ってしまって,最前線まで戦闘機の輸送用に使用
してみたり,どうせならそのまま艦隊決戦に使ってしまえとなったりして,最後は正規空母と同じような
扱われ方をしたけど,ま,それはアメリカが圧倒的に勝っていたからできたこと.

反対概念の正規空母ってのは概念が入り乱れているけど,こちらは敵艦隊・敵陸上基地などを攻撃
する機動部隊での運用を想定している艦なので,もちろん防御面をはじめあらゆる面で,しっかりとした
空母として設計がなされている.ま,戦艦や巡洋艦,あるいは大型客船を流用したりもしてるけどね.

要するに,新しい型を作るたびに,戦訓を取り入れて一からしっかり設計する正規空母に対して,
数が必要だった護衛空母は,その辺で大量に建造している戦時標準輸送艦なんかの設計を流用
してやっつけで大量に数を建造した空母という事になる.

軍事板,2010/06/07(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 第2次大戦前のフランスには,ソフトパワーで国を守ろうという発想は,誰からも出てこなかったのですか?
 ひたすらマジノ線と言うハードに頼りっぱなしだったように思えるのですが.

 【回答】
 それは一面的な見方.
 マジノ線がガードしてるのは,あくまでも独仏が直接国境を接している地域であり,裏返せばベルギー国境は無防備だったことを失念している.
 フランス軍の一般的な将軍達は決戦場はベルギー,フランドルの平野で,両軍の歩兵と戦車と大砲によるものだと予想していたのであって,マジノ線が主戦場になるとはほとんど誰も思っていない,
 「マジノ線はドイツ軍に迂回させ,ベルギーを通らせて遠回りさせて消耗させる」というのは,1冊でもこのころについて書いてある本を読めばわかると思う.
 「ベルギーは中立国だから」なんて言い分は,先の世界大戦で実際にドイツ軍がベルギー国境越えている以上,説得力はない.

 そう,マジノ線はもっとも危険と思われた独仏国境に要塞で蓋をし,ベルギー側から侵入してくるドイツ軍には,あなたがいう「ソフトパワー」で対応する戦略だったんだよ.

 なお,当時のフランスは,重要な38〜40はダラディエが首相で一貫してるし,それ以前もダラディエが国防相の期間が長い.
 基本的には社会党が第一党だし,戦略以前と言うほど悪い状態ではない.
 左翼と右翼の疑心暗鬼が非常に強かったが,それが戦争に与える影響は大きくない.
 細かい事の前に,反ファシストで概ねフランス国民の心は統一されてはいたと言える.
 これはむしろ,大量動員の国民軍が故のシンプルさで有利に働いているとさえ言えるだろう.

軍事板,2010/06/08(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 火炎放射器でやけどを負うと,どんな意味でやばいの?
 普通の火災とどのように違うんですか?

 【回答】
 普通の火災なら,状況にもよるが,火がないところまで素早く逃げれば助かる可能性がある.
 また,火炎放射器でも,屋外で放射された場合は同様かも.

 ただし,
・火炎放射器がガソリンなどの燃料を使用していた場合
・洞窟の中とかに対して火炎放射器を使われた場合
は,非常に生存率が低くなると予想します.
 なぜなら,この場合は長時間炎に晒されますので,(1)全身熱傷および(2)気道熱傷の可能性が高いからです.

(1)まず,全身のある程度の皮膚が熱傷を起こしたら,程度によりますがもう生存は厳しいという基準があります.
(2)また,このような場合は,気管の中に長時間高温の空気を吸い込むことによって,気管の中や喉頭(のどの入り口の空気の通り道)がやけどをおこし,その結果むくんでしまって窒息,というケースが多いからです.

 (1)については後送が間に合えばいいですが,当時(WW2)の技術では救命は困難な場合も多々あったでしょう.
 また,(2)については気管切開を速やかに行えればあるいは・・と思いますが,人工呼吸器もない当時では,熱傷の程度によってはやはり救命は困難かもしれません.

 現在なら,救命率は非常に上がったと思いますが.
 速やかに後送して,気管切開,皮膚移植,大量の輸液,人工呼吸器など行えば.

耳鼻科医 in 軍事板,2010/06/08(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 空自でアパッチの調達中止の決まった原因は,アパッチの欠陥によるもの

 【回答】
 アパッチがダメだとか欠陥だって話じゃなくて,陸自の運用からみてマッチしなかったの.
 だから「ダメだこりゃ」
 戦闘団正面へ随時的かつ継続的に投入出来る航空火力が欲しいわけで,ハンガー整備必須の精密機器じゃダメなんだよ.
 森の中に隠れて,擬装網下で無灯火整備できるような機材じゃないと,師団段列にいとけない.
 米軍みたいに,一線TFに野戦ハンガー作らせるような兵站能力ないしな.
 せいぜい野外シェルターが限界.

(狭い日本でそこまでの使い勝手が本当に必要かどうかは微妙,というか疑問視する意見もあるけどね.
 現場としちゃ,あそこまでのものがあればそれに越した事は無いんだけど…)
 ていうか,これから装備のC4I化とか精密電子機器とか増えていく時代になる以上,ヘリに限らず戦車でも装甲車でも,野戦整備がしにくい装備ってのはどんどん増えていく事になると思うぞ)

 かといって,コブラじゃよほどの数を揃えない限り,積載弾数・航続距離ともに継続的な支援が可能とは言えない.
 まぁ海兵隊も似たような要求でスーパー・コブラ作ったんだから,次はこれおねだりすりゃいいんじゃない?

軍事板,2010/06/08(火)
青文字:加筆改修部分


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