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世界史なんでも質問スレッド 62


目次

 【質問】 ローマって寛容寛容言われますがほんとでしょうか?

 【質問】 何故君主の称号が皇帝なんですか?

 【質問】 サン=ステファノ条約にイギリスとオーストリアは反対したのに,フランスが反対しなかったのって何で?

 【質問】 ヒットラーは公共事業と軍備強化の財源を,どこから持ってきたんですか?

 【質問】 なぜ米国は,支那大陸の共産主義化を阻止しなかったの?

 【質問】 春秋戦国時代に,史書にあるように何十万もの軍隊を動員して作戦行動をとることって可能だったの?

 【質問】 寡兵で大軍を打ち破った戦いの中で敵との差が一番デカかったのは何?

 【質問】 ハンニバルって実は凡将なんじゃないの?

 【質問】 サウジアラビアのサウード家って歴史の無いパッと出の新興君主?

 【質問】 蛮族というのは「ローマに敵対する部族」という意味?

 【質問】 ローマ帝国が滅んだ原因は?


 【質問】
 ローマって寛容寛容言われますがほんとでしょうか?
 具体的にローマは何が寛容なんですか?
 例えば敵対民族は滅ぼしてますし,戦争捕虜は奴隷にもしてますよね?

 【回答】
「ローマ人の伝統は,敗者さえも許容するところにある.
 ザマで敗れたハンニバルへの対処の仕方が,それを如実に示している.
 敗者の絶滅は,ローマ人のやり方ではない.
 武装した敵に対しては武装した心で対するしかないが,武装を解いた敗者に対しては,こちらも武装を解いた心で対するのが,これまでは常にわれわれのやり方であった.
 ゆえに,今回もそれを踏襲するのが,ローマから軍勢を任された私の任務である」
―――――― フラミニヌス,ギリシア・マケドニア方面軍司令官

「私が自由にした人々が再び私に剣を向けることになるとしても,そのような事には心を煩わせたくない.
 何ものにもまして私が自分自身に課しているのは,自らの考えに忠実に生きることである.
 だから,他の人々も,そうあって当然と思っている」
――――――ユリウス・カエサル

「スパルタ人やアテネ人が戦争に勝っても最後には破滅した理由は他でもない,
 彼らが征服した民族をあくまで異国人として,分け隔てしたからではないか.
 その点で,我らが建国者ロムルスはとても賢明であった.
 数多くの民族を,敵として戦ったその日のうちに,もう同胞として遇したほどである.
 のみならず,外来者が我々の上に立ったことすらある.
 解放奴隷の息子に官職を委託したこともある.
 これらは多くの人が誤解しているように,最近のことではない.
 古い時代から,度々起こっていることなのである.

 …元老院議員諸君,現在諸君がたいそう古いと思っているものは,かつてみな新しかったのだ.
 例えば,ローマの貴族に続いて,ローマの平民が,平民の後でラティニ族が,ラティニ族の次には,その他のイタリアの諸部族が官職にありついた.
 同じようにして,当面の問題も古くなる.
 そして今日我々が,過去の範例をあげて正当化しようとしているものも,将来は範例とみなされることだろう」
――――――クラウディウス帝

 ローマ人は人道主義者でもなんでもない.
 ただ,「寛容に接したほうが利になることがある」と知ってただけだ.
 殺したほうがいいと思ったら,いくらでも殺す.

 そも,寛容(クレメンティア)とはなんであるか.

「同情とは,現に目の前にある結果に対しての精神的対応であって,その結果を産んだ要因までは心が向かない.
 これに反して寛容は,それを産んだ要因にまで心を向けての精神的対応であるところから,知性とともに完璧に共存できるものである」
――――――セネカ

 ローマ人とて人間,いつも誰もが「寛容」であったとは言えんわな.
 残虐な粛清を行ったスッラやマリウスは寛容であったろうか?
 カトーやブルトゥスは?
 ユダヤ人問題は?
 「寛容」であれば戦争は起きないのか?

 クレメンティア(寛容とはあえて言わない,日本語のそれとは概念が合致しないので)ってのはローマにとっての教訓みたいなもんだ.
 当時でもクレメンティアと言えば,まっ先に王政時代の例が出されるように,もっぱら対外戦略での,とくに勝者の振る舞いとして用いられた.

 簡単に言えば「昨日の敵は今日の友戦略」,これがクレメンティアの概要だ.
 戦略なので,その行動はあくまで現実主義的判断による.
 優しさだの愛だのによって敵を許すのでは全くない.
 殺すよりは取り込んで,国家の力にしてしまうわけだ.

 クレメンティアは内紛には全く適応されない.
 ローマ人は基本的に身内の敵,身内の寝返り者には全く容赦がない.
 この点ではむしろカエサルの行動が異例だった.

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 【質問】
 何故君主の称号が皇帝なんですか?

 【回答】
インペラトル(Imperator)
 命令者という程度の意味,共和制時代から存在した称号.
 ドイツ語のKaiser(カイザー)やロシア語のцарь(ツァーリ)など,後の時代の皇帝を表す言葉の語源となった.

カエサル(Caesar)
 即位時か確実な後継者として指名された時に名乗り,敬意を表す皇帝の称号として使われた.

 前27年に元首政(帝政前期)を開始し事実上,初代ローマ皇帝となったアウグストゥスが,肩書きの一部とした「インペラトル,カエサル」が,皇帝という称号の起源となった.
 インペラトルとは,命令する者すなわちローマ軍最高司令官の意味であり,カエサルはアウグストゥスがその養子相続人となったガイウス・ユリウス・カエサルの家名である.
 元首政の時代には,共和政の制度や建て前が残存し,事実上は独裁的な権力者だったアウグストゥスも,市民の第一人者という意味の「元首」と称した.
 しかしディオクレティアヌス帝に始まる帝政後期には,名目上でも専制君主政が確立し,皇帝は名実ともに地中海世界を統治する世界帝国ローマの最高支配者となり,神聖化も図られた.

 その後,日本でインペラトルを訳す時に,中華のエンペラーと大体同じ立場だと思って,皇帝と訳したんだろう.
 つまり,「皇帝」とはただの日本語の対応訳であって,「インペラトール」というものの概念は,中華帝国の皇帝や日本の天皇とは元来別物だ.
 ただ,序列の上で最上位となるものを,ひとくくりに皇帝と訳したんだ.
 天命をうけて皇帝となるのも,神の手により戴冠しカイザーとなるのも,大体同じくらい偉いだろうと勘定したんだ.

 ローマのカエサルアウグストゥスは,名目上は市民と元老院により,事実上は軍団の支持により登極する
神も天も関係ないが,欧州の概念としてカイザーやエンペリオンとおなじものなんだからしょうがない.

 このあたりの曖昧さは,中国語と比較すれば簡単に理解できる.
 マルクスアントニヌス帝を,北宋は大秦国王安敦と呼んだ.
 つまりそんなもんだ.

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 【質問】
 サン=ステファノ条約にイギリスとオーストリアは反対したのに,フランスが反対しなかったのって何で?

 【回答】
 フランスがサン=ステファノ条約を反対しなかったのは,簡単に言うと条約の内容がフランスに取って,デメリットが殆ど無いから.
 ロシアの東地中海への進出を狙っていたフランスは,西地中海をマルセイユから南に行ってアルジェリアまでがフランス生命線であり,東地中海は重要では無かった.
 逆にイギリスはロシアにバルカン半島進出されると,ロシアの東地中海への進出となり,ロンドンからインドへの交通の安全確保が困難となるから反対した.
 このルートはイギリスの生命線であり,これを確保,強化するのがイギリスの地政学的な戦略.
 オーストリアはバルカン半島への勢力拡大を目論んでいたから,ロシアの半島進出を許す事になる,この条約に反対するのは当然の成り行き.

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 【質問】
 ヒットラーはアウトバーンを中心とした公共事業と軍備強化をやったそうですが,財源はどこから持ってきたんですか?
 ○○国債? 国債は誰が貰っていたんだろう?

 【回答】
 赤字国債もそうだけど,アウトバーンは雇用創出政策の一環なので,そのために雇用創出手形ってやつを政府が振り出した.
 赤字国債ってのはその当時,非常識な経済政策だったし,銀行家たちがより保証力が高いと考えていた手形の振出を要求したわけだ.
 その金額は年間6億〜10億ライヒスマルクで,ナチスドイツの年間軍事支出10億ライヒスマルクとほぼ同額.
 その金額が国家を破綻させる寸前だったと,シュペーアも回想している.

 もちろん,手形をもらったのは銀行や大企業.
 彼らに手形の代金を返すために,周辺国を併合する度に真っ先に,併合された中央銀行の金庫が開けられた.
 当然ながら,軍事国家として拡大していかないと,軍事費や雇用創出費用の前借分を返済することが出来なかった.
 借金返すために戦争に突入したという見方もある.

 ちなみに再軍備もダミー会社の手形(中央銀行保証つき).メフォ手形.

 あと,BISが率先してドイツ経済支援に走っていたので,結果として第一次大戦の戦勝国が,ドイツ国家経済を維持するために資金を投入し続けていた,とも言える.
 何でそんなことになったのか,今から見ると不思議だが,カエサルの借金みたいなものかもしれない.

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 【質問】
 なぜ第二次大戦に勝利した米国は,みすみす支那大陸の共産主義化を看過し,あまつさえ朝鮮半島を奪取されても支那共産党を批判しようとしなかったのでしょうか?
 さらに核実験をみすごし,ベトナム戦争での支那の関与,その後のポル・ポトへの関与も一切批判してませんよね?
 なぜでしょう?

 【回答】
 朝鮮戦争って知ってる?

 アメリカは蒋介石が台湾に亡命したとき支援してる.
 しかし大陸奪回までは面倒見切れなかった.
 そもそも大陸で共産党が国民党に勝ったのは,国民党がそれこそ国民から見放され,共産党が支持を集めたから.
 共産中国と全面戦争になったら,それこそ第3次世界大戦になりかねない.
 赤化を防ぐのに朝鮮半島に出兵するのがせいぜいだった.

 でもアメリカは中共を正当な政府とは認めず,長い間中華民国を承認していた.

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 【質問】
 春秋戦国時代に,史書にあるように何十万もの軍隊を動員して作戦行動をとることって可能だったの?
 通信用具や兵の所属先,指揮系統とかに工夫でもあったんですか?

 【回答】
 諸侯が何十万もの軍隊を動員なんて出来る訳ないだろ.
 仮に軍勢が1万なら3万とか水増しして,ハッタリかますのは極当たり前の行為.
 兵員誇張は西洋でも珍しくはない.
 フン族の軍隊が何十万とか,本当だったら餓死者続出.

 あと,赤壁で曹操が100万とか軍勢を投入したとかなってるけど,実際は多くても30万程度.

 指揮系統は一番下は5人単位とかで組織化されてて,ピラミッドになってたはず.
 統率の為の用具は旗と鐘や太鼓.
 これは孫子などが推奨している.
 まあ,烏合の衆でも「あれやっちまえ」程度の指示なら聞けるわな.
 ちょっとしたことで逃げ腰になるのはやむをえない.

 しょせん蛮族と大差ない非文明人の時代だし,有機的な作戦指揮に耐える練度の下での統率なんぞ,望むべくもない.

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 【質問】
 寡兵で大軍を打ち破った戦いの中で敵との差が一番デカかったのは何?
 敗れたのは無しで.

 【回答】
583 名前: 世界@名無史さん 投稿日: 2008/12/29(月) 21:43:10 0
カハマルカの戦い
ピサロ率いるスペイン軍(180人)がインカ帝国の2万を破る
584 名前: 世界@名無史さん [sage] 投稿日: 2008/12/29(月) 21:50:39 0
12世紀初めに遼が滅んだ直後,わずか17騎の女真人(金)の使節団が,
北宋の地方兵団2000人(歩兵)に襲撃されたことがある.

一応弓矢などで武装していた17騎は,即座に中央に7騎,左右両翼に5騎ずつを配して戦闘隊形をとり,
縦横無尽に馬を走らせつつ騎射して敵陣をさんざんに攪乱し,100倍を超える敵を潰走させた.
しかも17騎は1騎も失わなかった.これは北宋側の記録にあり,史実である.
585 名前: 世界@名無史さん [sage] 投稿日: 2008/12/29(月) 21:52:30 0
キラーヒルの戦い.
32人(一説では34人とも.まあ大した違いはないか)対4000人
586 名前: 世界@名無史さん [sage] 投稿日: 2008/12/29(月) 21:55:36 0
あれは白い死神様一人で500人以上殺してるからなあ・・・
587 名前: 世界@名無史さん [sage] 投稿日: 2008/12/29(月) 21:55:50 0
蛮族狩りはともかく,一応対等な文明圏の国家同士の戦争では
大体戦力差1:5で歴史的勝利,1:10だと奇跡的勝利だな
アレクサンドロスの大勝として有名なイッソスの戦いでさえ戦力差は4:10,
スカンデルベクは対トルコ戦1:5で連勝

590 :世界@名無史さん :2008/12/29(月) 22:04:32 0
>>581
井ケイの戦いは20万を1万で
赤壁の戦いでは3万で一応100万(実数25〜30万)を撃退
ヒ水の戦いでは7万で一応100万(実数25〜30万?)
オマケで項羽3万が劉邦の諸侯連合60万を撃退
他に完顔陳和尚8千でモンゴルのスブタイ率いる2万を破ってるケースとかもある

592 :世界@名無史さん :2008/12/29(月) 22:07:19 0
渡河最中の奇襲とにわか雨という特殊条件を認めてくれるなら
クリミソス川でコリントス5千がカルタゴ8万を撃破

598 :世界@名無史さん :2008/12/29(月) 22:13:59 0
>>591
ピサロ側は180人だが鉄の甲冑を纏った歴戦の勇士たちで,槍や剣,クロスボウと馬27頭,銃13丁,大砲2門を持っていた.
アタワルパ側は2万人だが,装備は石の棍棒やへろへろの弓矢,よくて青銅器.なにしろ鉄器がない.
しかもインカ兵は広場におびき出されて大砲の音でパニック状態.
アタワルパは輿に乗ってのこのこ出てきたところをあっさり捕らえられ,戦闘終了.

611 :世界@名無史さん :2008/12/29(月) 23:45:26 0
完顔陳和尚(かんがんちんわしょう)は
騎兵400で常勝無敗のスブタイ率いるモンゴル騎兵8000を
打ち破ってたの間違いだった・・・
ちなみにスブタイが生涯で負けたのは完顔陳和尚との一戦だけ.

613 :世界@名無史さん :2008/12/30(火) 01:11:57 0
少数で大軍を破った戦い
http://academy6.2ch.net/test/read.cgi/whis/1091912294/l50
74 名前: 例のにゃあにゃあ 投稿日: 04/08/14 00:28
ベリサリウスで探したら,たくさん出てきそうだニャ.
リデル・ハートが「歴史上比類に絶する」とか大絶賛してたし.
ペルシア相手のダラス戦役だと,ペルシア4万に対してベリサリウス約2万.
アフリカ戦ではヴァンダル10万に対して,1万5千.
エルサレム戦役ではペルシア20万に対して,約1万.
イタリア戦役だと,ゴート15万に対して,1万.
一つの会戦じゃなくて一つの戦役での兵力だけど,これだけ差があって全部で勝利するってけっこうすごい.
リデル・ハートの記述を信じるなら,相手に心理戦を仕掛けて
不利な条件で攻撃させるとか,戦わずして退却に追い込むとか,なんか「ペテン師!」と呼びたくなるような戦いが多い.
162 名前: 世界@名無史さん 投稿日: 04/10/26 19:37:57
明代,南海大遠征の時,鄭和がスリランカでセイロン王に謁見した際,
王の謀略で5万の大軍に包囲され,鄭和がたった20人の手勢で王宮に
乱入し王を人質にしたまま手出しの出来ない大軍のど真ん中を
通って港まで引き返し,セイロン王を北京まで連行した話はまだ出てませんね.
186 名前: 世界@名無史さん 投稿日: 04/10/30 06:45:27
1位 張飛・・・・・(100万倍)
2位 劉裕・・・・・(3000倍)
3位 漢の光武帝・・(333.3倍)
4位 楊芳・・・・・(222.2倍)
5位 岳飛・・・・・(200倍)
6位 超雲・・・・・(50倍)
7位 陳慶之・・・・(38倍)
8位 周の武王・・・(15.6倍)
9位 謝安・・・・・(11.3倍)
中国史ってビックリ人間がごろごろいるな
http://homepage3.nifty.com/alacarte/gines-sub-shouyoku.htm

619 :世界@名無史さん :2008/12/30(火) 04:53:10 0
>>613
>中国史ってビックリ人間がごろごろいるな

殆どの例がフィクションですがねw
張飛なんて100万を別に打ち破ってないし.
謝安も心理的作戦での勝ちの部分が大きく
前秦が自滅した様な物だし.

620 名前: 世界@名無史さん [sage] 投稿日: 2008/12/30(火) 06:35:55 0
張飛の1対100万っていつの話だ?
621 名前: 世界@名無史さん 投稿日: 2008/12/30(火) 07:17:28 0
張飛が長坂橋の向かいで曹操軍をくい止めたって奴.
三国志演義の中に出て来るお話.
613のリンク先にも書いてる.
622 名前: 世界@名無史さん 投稿日: 2008/12/30(火) 07:19:50 0
つーか曹操軍100万の時点で(ry

629 :世界@名無史さん :2008/12/30(火) 12:27:07 0
赤坂城の戦い
楠木正成軍500人で幕府軍20万を破る

640 :世界@名無史さん :2008/12/30(火) 13:56:46 0
>>636
井ケイの戦いで陳余が20万軍を抱えながら韓信の1万に敗北
あとはここ見てみな
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/chinahero/1165592836/

つーか寡兵で大軍を打ち破ったのと逆バージョンなだけじゃん
寡兵に打ち破られた方の武将がそれに当たるだけだろ

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 【質問】
 ハンニバルって凄い名将のごとくいわれるが,戦術ぱくられた途端にあっさり敗北って実は平凡なんじゃないの?

 【回答】
 寧ろ優秀な戦術だからこそ研究されパクらたんだろ.

 通信手段も無く,幕僚も補佐官も無く,望遠鏡すらなかった当時に,あれだけの軍勢を手足のように操れる人間が凡将なわけがない.
 もちろん,その戦術を盗むことが出来たスキピオも天才だが.

 ザマの戦いの敗北は兵質によるところが大きい.
 今まで騎兵を生かして戦ってきたハンニバルが,ザマの戦いで十分な数の騎兵を得られず,逆にスキピオは大量の騎兵を抱えて来れた.

 幾ら名将でもポテンシャルを十分に発揮出来ない状況下でなら,負ける可能性もあるつーの.
 例えば100戦して生涯成績99勝1敗なら凡将なのか?
 しかもその100戦は小競り合いのレベルとかじゃない場合だぞ.

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 【質問】
 サウジアラビアのサウード家って歴史の無いパッと出の新興君主?

 【回答】
 サウード家は元来,アラビア半島中部のディルイーヤという小さな町を治める,地方の一豪族だったらしい.

1744年〜1818年:第一次サウード王国(ワッハーブ王国)
 ワッハーブ派というイスラーム原理主義教団の祖師アブドゥルワッハーブが,迫害されてサウード家に身を寄せる.
 彼と手を組んだサウード家の首長が,オスマン帝国の辺境領土であったアラビア半島をほぼ統一.
 北はイラクやシリアに至り,西はヒジャーズに攻め込んでメッカとメディナを征服する.
 しかしオスマン帝国の反撃に遭い,王国は滅亡.残党は各地に散らばる小勢力となる.

1824年〜1892年:第二次サウード王国(リヤド政権)
 サウード家の生き残りであるトゥルキーが,アラビア半島中部のナジュド高原に本拠を移し小王国を復興.
 しかしかつての勢力はなく,やがて在地豪族のラシード家によりクウェートへ追放される.

1902年〜 :イブン・サウードの王国
 名高い英雄アブドゥルアジズ・イブン・サウードがリヤドを奪還.ナジュドに王国を再興する.
 大英帝国の支援を背景に勢力を蓄え,1925年にはハーシム家のヒジャーズ王国を征服.
 1932年より「サウジアラビア王国」と国号を改め,初代国王となる.

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 【質問】
 蛮族というのは「ローマに敵対する部族」という意味?

 【回答】
 原始人同然で理を説いても話が通じず,法に従わず隙を見せれば国境を侵し,村を襲い略奪する.
 それが蛮族.

 蛮族だって,謂われなくそう呼ばれてもるわけじゃない.
 とくに理屈が通じること,すなわち現実主義的な利害調整によって,諸問題の外交解決を図れるということは重要だ.
 これができない相手を対等に扱えと言うほうが無理がある.
 だからローマにとって,パルティアは対等であり続けた.

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 【質問】
 ローマ帝国が滅んだ原因は?

 【回答】
 単純に言えば制度疲労.

 制度を変えちゃえば,まだ続くかもしれないが,変えた前後で同一国家としての連続性があると,後世に見てもらえるかどうかは難しいところがある.
 ローマに関して言えば,王政から共和政,帝政前期,帝政後期,コンスタンティノープルのキリスト教帝国(とその宗主権下の西ヨーロッパ),と変化していっているわけだが,普通の人は西のローマ皇帝がいなくなった時点でローマ滅亡としちゃってるね.

 また,2世紀末ごろから北半球規模での寒冷化が始まり,7世紀ごろまで続いている.
 この間にシナでは後漢が滅亡して,鮮卑など北方異民族が押し寄せ,黄巾の乱・三国志・五胡十六国・南北朝の大戦乱期となり,日本では倭国大乱の中から,邪馬台国やヤマト王権が誕生する(古墳寒冷期).

 ローマ世界では2世紀末に五賢帝の治世が終わり,セヴェルス朝・軍人皇帝時代に突入.
 フン族に押されてゲルマン諸族が,ドナウ・ライン防衛線を越えて南下し,ローマ帝国の防衛費は増大する.
 カラカラによる市民権の非特権化は,かえってローマ人の階級格差を固定化する.
 相次ぐ疫病,天変地異,冷害と戦乱による飢饉,農地の荒廃,貨幣の悪鋳によるインフレ,押しかかる重税,インフラ整備の放棄,国家財政の破綻,東方の帝国ササン朝ペルシャの興隆,さらに終末論を説くキリスト教の蔓延.
 皇帝は文字通り軍事指揮官(インペラトール)となり,辺境を転戦せざるを得なくなる.

 3世紀末〜4世紀にアウレリアヌス・ディオクレティアヌス・コンスタンティヌスらが出て混乱を終結させるが,もはや帝国の中心は東地中海に移り,帝国はいくつにも分割され,西方は荒廃していく.
 6世紀のユスティニアヌス以後,「ローマ帝国」はもはや地中海を制圧する力を失い,中世ローマ帝国=東ローマ・ビザンツ帝国へと変化していった.

 ローマ帝国の「最後」に限定するなら,いわゆる「西ローマ帝国」は,最後の皇帝ロムルス・アウグストゥルスが傭兵隊長オドアケルに廃位され,オドアケル自身は皇帝になる気など無く,帝位を東の皇帝ゼノンに返還し,この時が西の帝国の滅亡と認識されている.

 で,いわゆる「東ローマ帝国(ビザンチン帝国)」は,オスマン帝国に周囲を奪われて最終的にコンスタンティノポリスを落とされ,皇帝コンスタンティノス11世パライオロゴスが乱戦の中で消息不明となって戦死したと見なされ,これを以て滅亡となった.

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