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◆軍需産業
ロシアFAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【link】

「An Arms Watcher」◆(2011/08/30)ロシア,今年の武器輸出総額90億ドルにー前年より5億ドル増

「An Arms Watcher」◆(2011/09/01)露政府,40億ドルの貸し付け用意ありー兵器購入に

CRS@空挺軍 in mixi(2009年06月14日)◆
ロシアの軍需産業広報動画
Стрелковое оружие 21 века
Российские парашюты: второе дыхание
Тепловизоры видят всё
Тульское - высокоточное
Вертолеты России: визитная карточка страны
"Хашим" стреляет первым
 ヨルダン軍が視察に訪れています
 ユダシキン迷彩着用者多し

「Defense News」◆(2012/07/02)Russia Exports $6.5B in Arms in 2012: Putin

「Novosti」◆(2010/11/03)Putin pushes for more Russian arms sales

「VOR」◆(2012/02/13)ロシア 外資と軍事産業で協力

「VOR」◆(2012/02/16)国防製品受注の際の汚職は国家反逆罪に匹敵(2/16)

「VOR」◆(2012/06/10)パリ兵器見本市へのロシア企業の出展 人権団体が拒否

「VOR」◆(2012/08/08)ロシア 武器貿易条約の準備作業を継続する用意

「VOR」◆(2013/03/18) ロシア 世界の武器輸出ランキングで2位に

「VOR」◆(2013/03/25) 中国とロシア 軍事技術分野で10年ぶりの大型合意に調印

「VOR」◆(2013/04/03) プーチン大統領,12年のロシア軍事輸出は12%増

「VOR」◆(2013/05/18) ロシア製兵器,軍事機器の発注が380億ドルを超える

「VOR」◆(2013/06/25) ロシア,軍事輸出を増大中

「カラパイア」◆(2012/02/14)ロシアのブラックマーケットで取引される銃器.中には第二次世界大戦当時のものも

「ブラックニュース」◆(2012/01/08)ロシアのミサイル工場が完全に宇宙船な件 これは凄い

ラジオ技術企業「ラテープ」公式サイト

『ロシアの軍需産業 -軍事大国はどこへ行くか-』(塩原俊彦著,岩波新書,2003/7/19)

 まぁ,著者があれだ,赤い日のMoscow特派員だった経歴だけに,視点はちょっと偏ったものはあるが,冷戦崩壊後のロシア軍需産業の動きを俯瞰するには良いかもしんない.

------------眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2003/07/20

 【質問】
 第2次大戦後のソ連における軍需産業再編について教えられたし.

 【回答】
 1945年5月,ドイツが降伏すると,もう敵は日本軍しか残っていません.
 そうなると,ソ連としても何時までも軍需工業を残すのも国にとって重荷になるので,出来るだけ早くこうした工業施設を民生生産へと移行する必要がありましたし,軍需工業はこの大戦で肥大化した為,整理・縮小を図る必要がありました.
 こうした考えに基づき,5月20日付の国家防衛委員会は,弾薬人民委員部,迫撃砲・ロケット砲人民委員部,戦車工業人民委員部を即時廃止する決定を下しました.
 これに伴い,戦車やディーゼル機関の工場は,運輸機械人民委員部へと移管され,薬莢・弾薬筒工場,手榴弾工場は農業機械人民委員部に移管されるなど,省庁再編が進みました.

 続いて26日に,国家防衛委員会は,「兵器生産の縮減に伴う工業の再編措置について」を布告.
 残り3つの軍需工業関連人民委員部にも大幅な民需転換を指示しました.
 航空機工業人民委員部の生産能力の一部はエネルギー設備,電力設備,バス,オートバイ生産に振り向けられる事とされ,装備人民委員部の生産能力の一部は光学機器,巻揚げ機,輸送用機器,それに石油や石炭の採掘設備などの製作に振り向けられる事になります.

 また,戦時中の軍需工業関連の人民委員部を引き継いだ農業機械,運輸機械の両省と通信手段工業省(1946年3月15日以降は人民委員部は省と改称される)及び先の2省の生産高に占める軍需生産の割合は,1945年には34.5%に低下していましたが,1947年になると更に10.8%に低下すると共に,民生品生産の割合は1947年第2四半期になると49.1%(残りは軍民両用または中間財)にまで上昇していました.

 1946年4月22日の装備省のコルレギア(参事会,省の最高幹部会)でも民需転換は既定路線とされ,ウスチーノフも,「基幹建設の問題は,工業の新しい軌道,即ち,平和な生活の軌道への転換に関連して,我々,省にとって甚だしく重要な問題である」と発言しています.
 1943年当時は13.7%だった民生品生産は,1946年には47.0%に回復し,ピーク時64箇所もあった管轄工場は,諸企業の原省復帰などで47工場に減少していましたが,それらの工場では223品目の製品が生産されていました.

 この中には相当数の新製品が含まれていますが,これは新製品開発に従事する装備省所属の研究諸機関による開発研究,諸工場附属の設計ビューローなどに対し,装備省が事細かな規定を設けて研究業務,開発設計業務の仕事量に敢えて貨幣表現を与えた結果,研究所の稼働率が高く見える細工を行い,これを加えた結果,装備省の総生産高(1940年平価換算)は,見かけ上対前年比90%未満の数字となっていました.

 装備省の研究機関で一番古いのは,ドイツからの輸入に頼っていた光学ガラスが第一次大戦の影響で入手出来なくなった事を切っ掛けに,帝政ロシア政府が準備し,1918年に設立された国立光学研究所があります.
 この研究所はソ連の原子爆弾開発に非常に重要な役割を果たしていますが,そう言った軍事的な顔とは別に,1946年,民生用・軍用の新しい光学機器を35品目,計206サンプル,カメラ・レンズを14種,計133サンプルを試作し,関連諸工場や研究機関に72冊(306例)の報告書,243種の設計図・見積書を作成・送付し,研究書を5冊,論文は171本出版すると共に,技術面での指導・助言の為に54工場に延べ319名の研究員を派遣しています.
 また,ドイツから接収した広範囲な技術資料の解読と利用が図られています.

 但し,民生転換初期には,装備省は極めて重大な危機に直面していました.

 1945年12月10日付のウスチーノフに宛てた工業銀行からの書簡でそれを示しており,1946年6月17日の省参事会決議には,
「1946年5月1日現在の装備省管轄下工業の財政状態は極めて深刻である.
 装備省の納入業者,及びGosbank(国立銀行)に対する負債は装備省に現在ある資金,及び,装備省諸工場から出荷される製品に対して,発注者が払うべき未払い額の総額を5億2,530万ルーブリも超過してしまっている」
とあります.
 確かに,民生転換に伴う新製品開発,それに対応する新設備の導入,設置,調整作業,試作品完成までの一連のエンジニアリング業務その他,色々と投資が必要で,一定額の欠損を見込んでいましたが,実際にはその倍近い欠損を出してしまった訳です.

 その原因は戦後の混乱期に於ける石炭等燃料の不足,電力供給の不安定性,軍用品目に対する大幅な受注減,労働力の農業や土木事業など国土復興への供出,他省との資材・部品供給に対する連携の拙さなどが挙げられています.
 此処までは他責要因であり,他の省庁も等しく悩んでいた問題でした.
 しかし,装備省独自の問題としては,大量生産品として従来行ってきた製品は軍用品であり,民生品を直ちに生産移行する体制が整っていない事,計画に上っていない小口発注ばかりで,工場がこれら小ロット生産に追われた事,更に民生品の新製品を生産する過程で多くのロスが発生したうえ,完成品にも不良品が多かった事が挙げられています.

 特に不良品の問題については,他省の様に,元から民生品を生産し,大戦と同時に軍用品に転換した工場ではそれなりに経験や設備が残っていましたが,軍需生産を基盤にしてきた装備省の工場群は効率性の点で太刀打ち出来ない上,そのノウハウを受容れる事が無かったのが,失敗の原因でした.

 1946年7月27日,財政相ズヴェレフは,装備省が特別回転資金の欠損補填を求めたのを機会に,装備省の財政問題について閣僚会議ビューローでの審議を要請します.
 この問題は随分先送りされた挙げ句,1947年12月4日のビューロー会議で審議されることになりました.
 この時,財政省が作成した資料によれば,装備省は支払期限済みの借款(焦げ付き)が,Gosbankに2億4,300万ルーブリ,納入業者に3億2,100万ルーブリ,賃金未払いが400万ルーブリあり,10月1日現在,標準的な在庫の規模を超える資材の予備を9,100万ルーブリ抱え込んでおり(生産用資材は2億3,900万ルーブリ),負債は4億3,520万ルーブリ,更に不良品による損失は何と1億1,560万ルーブリとなっていました.

 元々,装備省は1936年に重工業人民委員部から分離独立した国防工業人民委員部から,更に1939年に装備人民委員部,弾薬人民委員部に分割された,生粋の軍需産業管轄官庁でした.
 戦後,弾薬,戦車工業,迫撃砲・ロケット砲人民委員部が廃止され,同時に分割成立した弾薬人民委員部までも廃止された現在では,唯一の軍需産業管轄官庁でしたが,他の産業部門が民生部門へと転換していく中,それに抗い続けるのは難しく,結果として,自らのアイデンティティを否定する形で民生部門に進出した訳です.
 しかし,これは「武家の商法」と言うべきもので,結果として大きな損失を出す事になります.

 スターリン体制下でのこうした失態は自らの失脚や,省庁の閉鎖に繋がる事は珍しくありませんでした.
 財政省のみならず,ソ連の権力中枢部では少なからぬ人々が,装備省も早晩他の省庁と同じ運命を辿るのではないか,と思ったのも不思議ではない状況が存在しています.

 しかし,ウスチーノフは諦めませんでした.
 ドイツから齎されたとある新技術に目を止め,これを自家薬籠中の物にしようと画策したのです.

眠い人 ◆gQikaJHtf2,2009/03/25 23:47


 【質問】
 ロシアが,この数年間,軍事的取引に相当の力を入れているのは何故か?

 【回答】
 外貨獲得により,国家財源を安定させると共に,ロシア軍近代化のための財源を確保しようとしているためだという.
 しかし,「危ない橋」であると見るジャーナリストもいる.
 以下引用.

 GDP2倍増を目標としているロシアは,この数年間,軍事的取引に相当の力を入れている.
 インド,マレーシア,イエメン,エジプト,中国,ヴェトナムなどに積極的にアプローチし,次から次へと取引を成立させた.
 日本へも,民間転用できる軍事技術を積極的に売却しており,
「買ってくれるなら,何処にでも売ります」
という状態なのだ.

 この「大セール」の理由は2つある.
 ロシア国防省の機関誌「母国」は,それを次のように説明している.

 第1の理由はやはりカネ(外貨獲得)である.
 現在,ロシアで国際競争力のある商品と言えば,石油と軍事的技術しかない.
 それをフル活用し,外貨を稼ぎ,国家財源を安定させるという目的だ.

 もう一つの理由は「ロシア軍の完全立て直し」である.
 急速に軍の近代化を進めているアメリカやイギリスに比べ,ロシアの軍隊は衰退していく一方.
 時代遅れの技術や兵器を売れる内に捌き,軍隊編成の効率化,特に,高額な投資が必要となる軍事情報技術屋宇宙計画の財源に充てるという狙いだ.

 だが,この2つの目的を両立させるのは至難の業.
 「一石二鳥」にも見える軍事技術の大セールだが,下手をすれば「唯一の輸出品」を失った上に,最新技術獲得も頓挫するという事にもなりかねない.
 膨大な出費が避けられない軍事改革によって,またしても経済が崩壊するというシナリオもある.
 「超大国ロシアの復権」を目論むクレムリンは,非常に危ない橋を渡ろうとしているといえよう.

(Domitry Novikov from "SAPIO" 2004/2/25号,p.53)

 余談だが,アメリカにもロシア製兵器を購入する計画があるという.
 イラク向けに輸入するつもりなのだとか.

 以下引用.

ロシアから4億ドル相当の武器購入 米国 [7/15]

 アメリカ政府がロシアから4億ドル相当の武器を購入する計画を立てていることを武器輸出商社Rosoboronexportが示唆している.

 アメリカがロシア製の武器を購入する意図は不明とされるが,イラクに進駐する米軍が使用するものと見られている.
 Rosoboronexportではこの3月末までに170億ドルの受注を受けており,昨年度は61億2600万ドル相当の武器を61カ国へ輸出している.
 ロシアから海外へ輸出された武器の52%は海軍用の機材で,44%を空軍向けの機材が占めている.
 同社が昨年締結した契約では契約高は90億ドルを超えている.

 【質問】
 ロシアの軍需産業の武器輸出は,「軍需産業を復興拡大して強いロシアの復活を」という,特別の使命感に燃えているように思えるのですが.

消印所沢 in mixi支隊

 【回答】
 それは確実にありますね.だから,メーカーを集約して無駄を省き,競争力を高めようとしていますし.
 でも,親方三色旗の下に統合しようとしているあたりが,ちと不安を感じさせる要素ではありますが.

 余談ですが,ロシア人がなかなかの強かぶりを見せる,ボーイングとロシアのチタン・メーカーのジョイント・ベンチャー話をめぐるあれこれ.
http://www.defenseindustrydaily.com/2006/08/titanium-boeing-signs-deal-with-vsmpoavisma/index.php#more

http://www.defenseindustrydaily.com/2006/08/titanium-sanctioned-rosoboronexport-buys-1-producer-vsmpoavisma/index.php#more

井上@kojii.net in mixi支隊

 また,経済誌によれば,ロシアの武器輸出は,武器輸出額の9割弱を占める国営企業「ロシア国防輸出」を中心として拡大戦略を採り,民需産業を主導してその立て直しを図る方向に向かっているという.
 以下引用.

 04年4月,ロシア国防輸出のチェメゾフ第1副総裁が総裁に昇格し,ロシア国防輸出を金融産業コングロマリット化する政策を打ち出した.
 それは,国防産業の再編に絡むものと,自動車産業の再編に絡むものという2方向で進められた.

 国防産業については,04年11月29日付大統領令によって設立されることになったヘリコプター製造持ち株会社が,ロシア国防輸出の子会社であるオボロンブロム(ロシア国防輸出とロシア資産管理庁の保有する株式比率は82%)をもとに設立されることになった.
 また,ロシア国防輸出は直接には関与しないが,プーチン大統領は06年2月,ロシアの航空機製造会社を統合した統一航空機製造会社を設立する大統領令に署名した.
 この統合とともに,ジェットエンジンを製造する国内の6企業を統合する計画もある.

 自動車産業の再編に関しても,ロシア国防輸出が重大な役割を果たした.
 ロシア国内最大の自動車メーカーであるAvtoVAZ(アフトワズ)の支配権が05年12月,事実上,国家に移行した.
 それまで,同社株の62%は子会社2社に属していたが,ロシア国防輸出が7億ドルでその子会社を買収.
 アフトワズの臨時株主総会で,ロシア国防輸出のアルチャコフ副社長が取締役会議長,エシポフスキイ部長が社長に任命された.
 ロシア国防輸出がアフトワズの支配権を握ったことで,国防企業であるアルマズ・アンテイに自動車部品の一部を生産させる構想もある.

 こうして,軍需産業が民需産業を主導し,その立て直しを図るという方向性が明確に打ち出された.
 プーチン大統領の元,ロシアの軍需産業は国内産業全体の再編に関わる重大な役割を果たしたことになる.
 ただし,その成否についてはこれからだ.

塩原俊彦(高知大学助教授) in 「週刊エコノミスト」 2006/7/18号,p.42

 その国営企業が赤字ぬるま湯体質にならなきゃいいんだけどね.


 【質問】
 ロシアの兵器輸出に関する問題点は何か?

 【回答】
 大きな利権の巣窟であるために政治が絡んでくること,ほぼ1社の独占状態であるための弊害などが生まれているという.

 以下引用.

兵器の輸出は大きな利権の巣窟で,「ロスボオルジェーニエ」の経営はしばしば政治問題ともなっています.
 「ロスボオルジェーニエ」という独占体では,兵器輸出の手数料が高くなると多くの工場から不満も出て,1997年には「プロムエクスポルト」,そして「ロシア・テクノロジー」の2つの企業にも兵器の輸出業務が認められました.
 それでも「ロスボオルジェーニエ」の輸出シェアは90%に上り,事実上の独占状態が続いていました.
 しかし2000年11月にプーチン大統領は,「ロスボオルジェーニエ」と「プロムエクスポルト」の2つの国営会社を統合し,新たな国営会社「ロスオボロンエクスポウロト」を設立しました.
 統合の理由としては,兵器の輸出産業が互いの利権を追求するあまり,兵器のダンピングに走り,結果的に双方の経営に大きなダメージを与えることが挙げられますが,社長に自らのKGB人脈の人物を据えるなど,プーチン大統領が武器輸出に自らの影響力を強めたかったというのも大きな理由の一つでしょう.

 〔略〕

 プーチン大統領は就任以来,積極的に外国訪問をしていますが,訪問先はロシアの兵器の主要輸出国か,将来輸出市場になる可能性のある国であることは注目すべきです.
 プーチン就任の初年,2000年には,ロシアの兵器輸出額は38億ドルと最高を記録しています.

小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.94-96

 財政難にあえぐ新生ロシアにとって,通常兵器は,石油や天然ガスなどの天然資源と並んで重要な輸出品で,輸出に力を入れています.
 1993年には,ロシアで生産される兵器を独占的に輸出する国営会社「ロスボオルジェーニエ」が作られ,海外への売り込みを活発化させました.
 特に,アメリカが唯一の超大国として世界への影響力をより増していく中で,一極支配に強く反発するロシアは,伝統的な兵器供給先の中国・インドなどとの関係を強化し始め,兵器の輸出を積極的に進めています.

 〔略〕

 イギリスの国際戦略研究所が纏めた「ミリタリーバランス2000-2001」によると,1999年の世界各国の兵器の輸出割合でロシアは,アメリカ,イギリス,フランスに次いで4位を占めています.
 アンリかが全体のほぼ半分の割合を占めているのに対し,ロシアはおよそ35億米ドルで6.6%.前年に比べれば2ポイント延ばし,1991年のソビエト崩壊以来の最高額を記録しましたが,かつて争ったアメリカには大きく離されたままです.
 ロシアの輸出主力兵器はスホイやミグといった戦闘機,戦車,戦艦〔原文ママ〕,そして地対空砲などです.

小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.94-96


 【質問】
 ロシアの軍事産業の現状は?

 【回答】
 現存するのは1500ほどで,それらの生産能力の内,活用されているのは50%程度.
 国からの発注に半数を頼っている状況.
 ジリ貧は必至.

 以下引用. 

 ロシアの軍事産業関連の通信社「TS-VPK」の資料によると,軍産複合体企業は1999年でおよそ1500あります.
 このうち国営企業が600余り,国と民間が株式を持つ企業が500,民間企業が300余りです.
 全体の生産能力を100とすれば,現在活用されているのは,半分程度の生産力であるとされ,その半分近くが国からの発注です.
 軍民の生産量割合で言うと,軍事品・民政品はほぼ半々で,軍事品のうち6割は輸出されています.

 部門別の企業数で言うと,
航空産業が20%,
ミサイル製造17.8%,
造船11.5%,
通信関連10%
などとなっています.

 〔略〕

 新生ロシアの財政難で国防費は大きく削減され,軍需発注をこれまでのようには受けられなくなった軍産複合体企業は,その収入源を大きく失いました.
 さらに,完了した契約についてさえ,国からの支払いが滞る事態まで起きる有り様です.
 これはこうした企業が国に税金を支払わないことにも繋がり,未払いの連鎖がこの部門では顕著に見られるようになったのです.

 例えばシベリアの多くの町では,独ソ戦の最中にドイツからの攻撃を避けるため,ソビエト・ヨーロッパ部にあった軍需工場が数多く移転してきました.
 こうした工場は,その後,地域の基幹産業として発展しましたが,国の支えを失った今,厳しい状況に追いやられています.
 〔略〕
 多くの工場で,国からの発注がなく稼動できなくなったものの,国防関連ということで有事の際に生産を即時に再開できるよう設備を整備することが義務付けられ,経営の大きな負担になっているという話も聞かれます.

小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.91-94

 現在,地方産業の生産指数は,90年代の初めに比べ40%も減少し,賃金の目減りや未払い,失業率の上昇の傾向を加速させました.
 生活費に困っている労働者達は,家族を養うため,郊外の畑で野菜を作ったり,白タクで稼いだり,いかがわしいたぐいのアルバイトにまで精を出し,工場の部品や資材などの横流しなども当たり前のことになっています.

同,p.194

 ただし,その後はそうした衰退状況から抜け出しつつある模様.

 以下引用.

 ロシアの軍需産業はプーチン政権下で存在感を強めている.
(1) 国防予算の増加
(2) 武器輸出の増加
(3) 国家による軍需産業支援と民間企業への干渉拡大
――を特徴として,軍需産業はソ連崩壊後の苦境からようやく脱却しつつある.

 〔略〕

 05年予算では,〔略〕連邦予算全体の軍事支出は3兆479億ルーブル(約12兆7000億円)にのぼった.
 06年の当初予算では,〔略〕4兆2701億ルーブル(約17兆円)にのぼる見込みだ.
 こうした国防予算の増加に合わせて,国家から軍需産業に対する武器の発注額も増加している.
 表1に示したように,武器生産の発注などを主な項目とする「国防発注額」の推移を見ると,諸説あるが,00年に比べて,05年は年額ベースで4倍前後にまで膨らんだ.
 06年の予測額は2830億ルーブル(約1兆2千億円)にまで拡大する見通しだ.

表1 ロシアの国防発注額の推移(10億ルーブル)
(出所)「コルメサント」2005/12/29付
2000 01 02 03 04 05 06(予測)
発注額 42.9 52 79 118 148 186.9 283

 加えて,武器輸出が好調なことも軍需産業にとって追い風となっている.
 05年の武器輸出は当初,前年実績を下回ると予測されてきたが,結局,61億ドル(約6700億円)と,04年実績を上回った.※
 〔略〕
 輸出先出は,これまで中国向けが突出していたが,06年に入って,「ロシア国防輸出」がアルジェリアに40億ドル(約4400億円)を上回る軍事技術供与契約を締結するなど,武器輸出先が多様化しつつある.

塩原俊彦(高知大学助教授) in 「週刊エコノミスト」 2006/7/18号,p.42

 ※05年度はアメリカを抜いて武器輸出額で世界1になったという.
 以下引用.
露の武器輸出急増 途上国向け,米抜き1位 米議会報告

 【ワシントン=有元隆志】米議会調査局は29日までに,1998年から2005年にかけての発展途上国への武器輸出報告書をまとめ,05年の武器売却契約で,ロシアが91年の旧ソ連崩壊後初めて米国を抜いて第1位となったことを明らかにした.
 〔略〕
 ロシアが05年に発展途上国と交わした武器売却契約は70億ドル(約8200億円)で,04年の売却実績54億ドルを大きく上回った.
 売却側はフランスが2位(63億ドル),米国が3位(62億ドル).
 武器を購入する発展途上国側はインドが1位(54億ドル),サウジアラビアが2位(34億ドル),中国が3位(28億ドル)だった.

 ロシアは05年11月,地対空ミサイルシステム「TOR−M1(SA15)」29基を売却する契約をイランと交わした.ミグ(MIG)29戦闘機やスホイ(SU)24爆撃機などロシア製軍用機の性能を改良することでも合意している.
 地対空ミサイルはイランの核施設周辺に配備される可能性が指摘されている.
 米政府はイランの核開発問題の解決の見通しが立たない中,ロシアに契約履行の凍結を求めたが,ロシア側は拒否している.
 報告書は「イランが核開発や軍事力の向上に努める中,イランへの武器輸出は懸念すべきことだ」と指摘している.
 〔略〕

産経新聞,2006年10月30日8時0分

 そして2006年度も,ロシアの武器輸出は過去最高を更新.

 ロシア政府は二十七日,二〇〇六年の武器輸出額が六十五億ドル(約七千八百億円)に達し,過去最高を更新したと発表しました.
 会見を行ったドミトリエフ連邦軍事技術交流局長は,輸出全体に占める割合の中でシナとインド向けシェアは七十四%から六十二%に低下し,中東や中南米,東南アジア向け輸出が増加したとしています.
 特に増えたのは中東と中南米向けです.

 現時点で契約先は八十カ国で,〇七年は八十億ドルに達する見込です.

 ⇒この一月にプーチン大統領は,国営のロスオボロンエクスボルト社会に武器輸出を独占させる大統領令に署名し,これまでエネルギーを主役としてきた対外路線を,武器輸出にも広げてゆく国家方針が明らかになっています.
 ちなみにわが国は,武器輸出ができないことで東南アジア各国から非難されてきました.
 その結果それらの国々はロシアやシナから武器を導入し,結果,長期にわたる外交関係の基盤を作っています.

おきらく軍事研究会,平成19年(2007年)3月5日

 もっとも,アメリカの発表に対しては,ロシアは以下のように反論している.

米議会の武器輸出データは信憑性なし
軍事解説員ヴィクトル・リトフキン in ノーボスチ日本語版,2006/11/06/12:29


 ロシアは,71億ドルに相当する兵器や戦闘技術の納入契約を締結し,発展途上国向けの武器輸出では昨年世界第一位の座を占めた.
 これは,「1998年から2005年までの発展途上国向け通常兵器輸出」と題すアメリカ議会研究班の報告だ.
 〔略〕

 注目を集めているのは「センセーショナルな」この報告の中の幾つかの数値である.
 第一に,この数値は,2005年にロシアの武器輸出を61億2600万ドルと評価していたロシア連邦軍事技術協力委員会が本年最初に公表した数値と甚だ食い違っている.
 また報告書では昨年末も額は59億ドルに達しすでにその時点で記録的であっとしているが(昨年の我が国の武器輸出は50億ドルに到達するのがやっとだった),その場合,ロシア連邦軍事技術委員会とアメリカ議会研究班とは約10ドルの差がある.

 この(食い違いの)説明は非常に迅速にアメリカに届いた.
 同国の報告書の数値は,ロシアの昨年の武器輸出にはイランへの複数の防空用陸上体系砲兵大隊,高射ミサイル設備「Top-M1」の輸出も含んでいる.
 ロシアがイランにこの設備を納入したかまだ納入していないかは触れていない.
 この取引が7億ドルの価値があり,さらにこの高射ミサイル以外にロシアはイランに飛行中にイランの航空機に燃料補給を行なう能力のある8台の航空戦車(エア・タンク)を輸出契約した点だけを伝えている.

 さらに,報告書では,ロシアのイランへの武器輸出額の中にはアメリカ議会は低空戦闘爆撃機Su-24,戦車T-72そして戦闘機MiG-29の近代化も含めている.
 ロシアは,まるで,中国とインドだけでなくイランのお陰もあり「武器輸出のチャンピオン」になったと云わんばかりだ.
 これは,議会研究班の報告が本当に客観性を持ち,信憑性のある分析をしたのかどうか疑わざるを得ない.

 さらにもうひとつの疑念要因がある.
 武器輸出は,過去もそして現在もいつも極めて政治化され易い統計であることだ.
 いちいち証拠を探しに遠くに行く必要はない.
 ヴェネズエラ大統領のウゴ・チャヴェスにとって「アメリカの帝国主義」の非難を開始すると同時に,アメリカの国務省は即座にヴェネズエラ向けのアメリカ戦闘機F-16の予備品の輸出に禁輸措置を施した.
 そのためヴェネズエラの空軍は地上に縛り付けれた状態になってしまった.
 そこでチャヴェスはロシアに「世界で最も優秀な戦闘機Su-30」の納入してもらうよう掛け合った.
 その結果この戦闘機の輸入契約にサインにこぎつけた.
 しかしアメリカ国務省は今度は航空機製造会社「スホイ」社の戦闘機を制裁対象にした.

 モスクワ「PRセンター」の専門家ワジム・コジュリンは,アメリカは世界を脅かそうと試みていると指摘している.
「ロシア人は自分の武器を誰でも良いから売る.そこからいつもおなじみの軍事紛争が起こる」と.
 もちろんそんなことはない.ロシアはいつも武器輸出で国際ルールをいつも守ってきたし守っている.
 そして南オセチアとアプハジアに戦争をけしかけているグルジアにすら兵器を売っている数ヶ国のNATO諸国と違ってロシアは,紛争中の諸国とは武器輸出しないというルールをしっかりと守っている.
 〔略〕

 残念ながら,あまり有効な反論とは言えないようだが.
「ボクちゃんだけでなく,○○○ちゃんだってやってます!」
ではねえ…….


 【珍説】
ロシア軍需産業 低品質,納期遅れ…相次ぐ破棄・返却 墜落寸前
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080307-00000088-san-int

武器に戦闘機,潜水艦…後進国から返品相次ぐ ロシアの軍事産業
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080306/erp0803062253006-n1.htm

 【事実】
 上の記事で産経は「返品相次ぐ」などと書いているけど,実際に「返品」されたのは,アルジェリアのMiG-29SMTだけです.

アルジェリア空軍,受領済みのMiG-29をロシアに返却

「アルジェリアは,これとは別にスーホイSu-30MKI(A)複座型多目的戦闘機28機を注文していて,最初の3機を昨年暮から1月に掛けて受領している.
 この程ロシアの兵器輸出局に対し,MiG-29の註文を取消し,その費用でSu-27と練習機ヤコーレフYak-130Aの購入を打診している.」

 つまりアルジェリアは
「MiG-29は要らないから,代わりにSu-27(Su-30)とYak-130を寄越せ」
と言っているわけだ.
 産経は「MiG-29は要らない」という箇所だけ報じており,あとは無視しているんだよ.
 ま,いつもの産経のやり口だけどね.

 アルジェリアは「昨年暮から1月に掛けて受領したSu-30MKA」の方には,不満は無いようです.
 むろん,産経は無視しているが.

 ちなみに現在,ロシアのアドミラルティ造船所では,アルジェリア向けに636型(改キロ型)潜水艦2隻が建造中です.

 インドのディーゼル潜水艦ですが,今回,受け取りを拒否したのは,2005〜2007年にズヴェズドーチカ工廠で近代化改修を実施したS-62「シンドゥヴィジャイ」です.
http://www.india-defence.com/reports-3689

 しかしロシアの造船所では,これまでに同型艦5隻が同様の近代化改修を終了し,インド海軍へ引き渡されています.

S-55「シンドゥゴーシュ」(下の写真の右側の艦)
2002〜2005年,ズヴェズドーチカ工廠で近代化改修

S-57「シンドゥラージ」
1999〜2001年,アドミラルティ造船所で近代化改修

S-58「シンドゥヴィル」
1997〜1999年,ズヴェズドーチカ工廠で近代化改修

S-59「シンドゥラトナ」
2001〜2003年,ズヴェズドーチカ工廠で近代化改修

S-60「シンドゥケサリ」
1999〜2001年,アドミラルティ造船所で近代化改修

S-62にしても,その後,続報が入っています.

――――――
http://www.bharat-rakshak.com/NAVY/Sindhugosh.htmlより

Naval officials said it would take another year to rectify the defects and prove it in firing trials.
Ria Novosti reported on 16 January 2008, that the submarine would remain at the Zvyozdochka SY awaiting further missile firing tests at a White Sea testing site in July-August 2008.
「海軍将校は,不備を是正し,試射によってそれを証明するのに,もう1年かかるだろうと言った.
 RIAノーボスチは2008年1月16日,潜水艦は,2008年7〜8月に,白海試験基地で発射テストを実施すると報じた.」

――――――

 潜水艦と言えば,インドは,ロシアからアクラ型原子力潜水艦をリースしますが,産経は知らないのかな.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/26698601.html
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/26514499.html

 「インドが04年に発注した中古空母」ヴィクラマーディティヤにしても,2月28日付けで,こう報じられていますよ.
"India, Russia Finalize Pricing For INS Vikramaditya Deal"
【インドとロシアは,INSヴィクラマーディティヤの売買価格に決着をつける】


 上記の産経の記事は3月6日付けですが,1週間も何をやっていたんでしょう?

 ついでに言うと,産経は,契約額(7億5000万ドル)間違えていますよ.
 ヴィクラマーディティヤ(旧ゴルシコフ)は,船体そのものはインドへ無償供与され,改装費用(9億7,400万ドル)と艦載機の費用(5億2,600万ドル)はインド側が支払うという契約でした.

 だがこれも,基本合意は1998年に出来ていたが,具体的な契約額の話になると,なかなか纏まらず,ロシア側は,当初,改装費用を20億ドル,艦載機の費用を7億ドルと見積もっていたのを,インド側がロシアの足元を見て安くさせた,という経緯がある.
 言わば,ロシアの足元を見て安く買い叩こうとしたツケを,インドが払う破目になったという事ですよ.

 あと,細かいところだと,ロシアは,インド国産駆逐艦用の推進器を製造しています.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/23877440.html

 インド向け改タルワー級フリゲートもヤンタリ造船所で建造中だし.

 更に産経が無視している事として,インドは,ロシアとの軍事技術協力・提携を深めているという事実が有ります.
 例えば,ロシア・インド共同開発の超音速対艦ミサイル「ブラモス」とか,インドも参加を表明しているロシア空軍次期多用途戦闘機(いわゆる「ПАК-ФА」)とか.
 インドが国内建造する原子力潜水艦ATV(Advanced Technology Vessel)にも,ロシアは技術協力しています.

 確かに今のところ,中国とロシアの大型契約は無いが,中国の国産兵器の主要パーツ(エンジンなど)の輸出は継続されている.
 中国の国産戦闘機J-10やFC-1のエンジンが何処で製造されているのかを,産経は知らないのか?
 いつもは中国の脅威を煽っているくせに.

 それに,中国が建造を企図する国産「航母」(空母)には,ロシアの技術協力が不可欠です.
 中国が空母建造を望むのであれば,艦上機や空母用各種装備(着艦拘束装置など)は,ロシアから導入する必要が有ります.

 なお,以前に報じられた中国のSu-33艦上戦闘機購入の話ですが,水面下で交渉は進んでおります.

――――――
"Up to the present, on the issue of the Su-33, China and Sukhoi have had three rounds of negotiations and have reached some agreement," said the source.
「現在までに,Su-33の問題について,中国とスホーイは3回の交渉を行っており,ある合意に達しました」と情報筋は言った.
――――――

 そして何よりも重要な事は,産経の記事で挙げられている国々は,いずれも,
「ロシア製兵器は,もう要らない」などとは一言も表明していない
という事実です.

 要するに産経の記事は,ごく一部のケースだけを取り上げ,あたかも,それが全体像であるかのようにミスリードしているものだ.
 ネガティブな事例ばかりを並べたて,それが全てであるかのように書き立てる産経の姿勢は,極めてアンフェアであると言わざるを得ない!

 ついでに書くと,インドは,MiG-29を近代化改修する契約をロシアと結びました.
インドとロシアは,9億6000万ドルのMiG-29の契約に署名した

 産経の言う通りなら,インドがロシアと新規契約を結ぶ事は無いのでは?

 産経は,軍事関係からは手を引き,こういうニュースだけ報じていればいいんだよ.

浅尾選手もPR 松下電器が体組成計の新商品
http://sankei.jp.msn.com/release/electric/080310/elc0803101820000-n1.htm

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http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080125/biz0801251752012-n1.htm

「はずかしい…」1年ぶりの水着にグラドル山本早織
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/080202/tnr0802021708007-n1.htm

Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜
2008/3/11(火) 午後 7:30

▼ その続報.

――――――
インド潜水艦は,ロシアでの遅れた修理の後,海軍に再就役する
サンクト・ペテルブルク,2008年7月29日(RIAノーボスチ)


 ディーゼル・エレクトリック潜水艦INS「シンドゥヴィジャイ」は,北部ロシア造船所での広範囲に渡るオーバーホール後,再びインド海軍に就役する為,8月5日にインドに向けて出港する.
 造船会社は,火曜日に発表した.

 プロジェクト877EKMキロ級潜水艦は,2005年以来,セヴェロドヴィンスクのズヴェズドーチカ造船所での修理を経験していた.
 そのオーバーホールは,新しい「クラブ-S」(SSN-27)巡航ミサイルの受け入れられない成果により,6ヶ月遅れた.
 2007年9月から11月に実施された受領前テストにおいて,クラブ・ミサイルは,6回連続発射中,一度も目標を見つける事は無かった.
 そしてインドは,問題が全て解決されるまでは,受領を拒否した.

 「クラブ-S」亜音速巡航ミサイルは,533mm魚雷発射管あるいは垂直発射機から発射する為に設計されている.
 それは160海里(約220km)の射程距離を有する.
 それはARGS-54アクティブ・レーダー・シーカーおよびGLONASS衛星および慣性誘導を使用する.

 新たなテストは,7月中旬,成功裡に終了した.

 「シンドゥヴィジャイ」は,ズヴェズドーチカ造船所で修理された4隻目のインド海軍潜水艦である.

 改装プログラムでは更に,管制システム,ソナー,電子戦システムおよび統合兵器管制システムを改善したのと同時に,その船体構造を含む潜水艦の完全なオーバーホールを含んでいる.
 伝えられるところによれば,その改装には,約8000万ドル掛かる.

 ロシアのキロ級ディーゼル・エレクトリック潜水艦は,非常に静粛な艦としての評価を得て,中国,インド,イラン,ポーランド,ルーマニアおよびアルジェリアが購入した.
(2008年7月29日12時09分)
――――――

 産経涙目・・・・

Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜
2008/7/29(火) 午後 10:00

▼ 続報.
 『航空情報』誌,「赤星通信局」No3の執筆者,小泉悠氏によれば,今回の返品騒動の直接的な原因は,RSK-MiG側が96年以前に製作されたまま,倉庫に死蔵されていたフレームを使用したことにあるようだが,軍事産業の研究で定評のあるロシアの研究者団体 CAST(戦略・技術研究センター)によれば,上記の品質問題以外にも

(1) アルジェリア国内の大統領派と軍との権力闘争の一環として,情報機関が「低品質説」を打ち上げて,大統領と近しい関係にある参謀総長への攻撃材料にした

(2) アルジェリアの天然ガスの最大の顧客である,アメリカとフランスに対する外交的配慮として,MiG-29SMTがスケープゴートにされた

という側面があると分析している.
(『Moscow Defense Brief』,#4[14] 2008年)

 このとばっちり受けてRSK-MiGは,3億2000万ドルの損害を受けた.
 なおかつ18億ドル以上の負債を抱えているから,同社は相当苦しい経営状態になっている.
 ライバルのスホーイから,合併(事実上の吸収)しないか?と持ちかけられているという話もあるし・・・

 RSK-MiG\(^o^)/オワタ.
(RSK-MiG先生の次回作にご期待ください)

 【余談】
 『軍事研究』 2009年2月号の連載:『ロシア軍の再興と実力(3)』兵器輸出と戦略兵器&陸軍装備の調達
の執筆者,江畑謙介氏もMig-29返品騒動にも触れているが,アルジェリアが「MiG-29は要らないから,代わりにSu-27(Su-30)とYak-130を寄越せ」と要求したことは書かれていないし,またCAST(戦略・技術研究センター)の分析にも触れていないので,ちょっと物足りなかったりする.

 この辺は各自のクロス・チェックでカバーするしかないね.

CRS@空挺軍 in mixi,2009年01月12日15:00
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 軍事産業の民需企業への転換の状況は?

 【回答】
 先進国の支援を受けているものの,ハイテク技術で劣り,また,国防関連の設備の維持を義務付けられていることから,なかなか容易ではないという.

 以下引用.

 新生ロシアは,旧ソビエトの軍事的な組織の85%を継承したと言われ,こうした「軍産複合体」企業の民営化を含む再編と軍需から民需への生産割合の移行,いわゆる「軍民転換」がそのまま重要な問題となりました.
 これはロシアのみならず,地域の安定を求める世界的な課題となり,アメリカ,日本そしてヨーロッパと先進諸国が一致して軍民転換に対して支援しました.
 しかしロシアの軍事技術は,現在産業界をリードするハイテク技術では大きく遅れをとっていましたから,市場のニーズに合った軍民転換は容易ではありません.
 〔略〕
 特に軍民転換の当初は,多くの経営者が市場のニーズを把握する術を知らず,市場に適応できない商品を生産して失敗しました.
 多くの工場で,国からの発注がなく稼動できなくなったものの,国防関連ということで有事の際に生産を即時に再開できるよう設備を整備することが義務付けられ,経営の大きな負担になっているという話も聞かれます.
 国防の整備計画などもはっきりせず,どの程度の生産力を最終的に維持すべきなのか,どこまで民需転換していいのかなど現場レベルでは全く分からず,政府の対応を批判する声も上がっています.

小林和男著『ロシアのしくみ』(中経出版,2001/7/9),p.92-94


 【質問】
 2001年11月に承認された,ロシア政府による軍産複合体改革の内容は?

 【回答】
 江頭寛によれば,軍産複合体担当副首相イリヤ・クレバノフに産業科学技術相も兼任させ,それまで続いていた,産業科学技術相とクレバノフ自らが創設した5つの軍産複合体部局との間の対立の解消が主眼.
 また,軍産複合体に35〜40の垂直統合的な持ち株会社を作り,これによって企業の利益を持ち株会社に吸い上げ,それを兵器近代化のための調査・開発の原資にしようとするものだったという.
 しかしロシアの兵器産業では,輸出している企業は数十に過ぎず,その生産コストは高く,企業の赤字を国家の借り入れという形で帳消しにしている状態.
 したがって,持ち株会社構想では,米国に対抗できるような兵器開発はできるはずがなく,クレバノフはただ企業の利益を,自分,ないしはあるグループの掌中に移すことがねらいではないかとの疑惑が生まれていたという.

 詳しくは,江頭寛著『プーチンの帝国』(草思社,2004.6.22),p.273-274を参照されたし.


 【質問】
 軍需産業の再編と兵器調達制度改革の状況は?

 【回答】
 『軍事研究』2007年7月号における,同志「CCCP1917」の記事「プーチンの安全保障・機構改革・産業再編――投稿 ロシア軍事機構の変革」によれば,ロシアの軍需産業の統合化による合理化・外国の軍需産業の連携・兵器調達の透明化が主要課題とされている.
 装甲関連は前途多難な動きであることは興味深い.
 特にT-80シリーズを開発・販売していたオムスク輸送機械が倒産.
 というのも政府からのT-80調達打ち切り,しかも高価なT-80は海外には売れずに発注なしという状況に追い込まれ,ウラル車輌製造との合併を拒否され,見捨てられる.
 見捨てられたオムスク輸送機械は軍需産業委員会でT-80の修理と近代化ののみを担当する修理センターへ格下げ.

 まぁ肥大化した軍需産業の改革は難しいのはクレムリンも理解しており,厳しい評価を報告書で述べているが,今後もこの統合化による合理化・外国の軍需産業の連携の路線は継続するということ.

 兵器調達の透明化というのは,企業の言い値にならないようにすることと.
 膨大な調達を一つの省庁に限定し監視することで,汚職やロビー活動の防止につなげてコスト削減を図ろうとする動きがある.
 ただちゃんとやらないと意味がないと思うので,この制度には疑問が残るが,問題があった調達制度に一石を投じたのは確かである.

CRS in mixi,2007年06月08日14:30


 【質問】
 イジェフスクとは,どんなところですか?

 【回答】
 イジェフスクは,モスクワの東1300kmに位置するウドムルト共和国にある市です.
 同市は軍事産業都市でもあり,1807年に国営兵器工廠が出来た時から,2世紀近くにわたり兵器生産に携ってきました.
 かの有名なイズマッシュ社も,ここに本社を構えています.

 Поклонная гора(パクロンナヤの丘)には,大祖国戦争の勝利50周年を記念して,1995年5月に勝利公園が設立されたようです.
 この公園内にある博物館で,イジェフスク武器工場財団200周年記念展覧会が行われた模様.

Оружейная кузница России (Izhevsky weapon factory exhibition)
http://www.vitalykuzmin.net/?q=node/142
>Small exhibition on Poklonnaya Gora museum dedicated to 200 anniversary of the foundation of Izhevsky weapon factory.

 【参考サイト】
Poklonnaya Hill
コロボックのころりん観光案内!−第1回/お辞儀が丘

CRS@空挺軍 in mixi,2009年01月05日19:48


 【質問】
 「ロスボオルジェーニエ」とは?

 【回答】
 兵器輸出独占体.
 1993年11月,外貨不足だったロシアで,兵器輸出促進のために,エリツィンの大統領令で設立.
 江頭寛によれば,当時の大統領警護局長アレクサンドル・コルジャコフの支配下に置かれたが,コルジャコフは1996年に失脚.
 その後1997年になって,支配権は当時の首相チェルノムイルジンの手に移ったという.
 さらに
・1998年11月,首相に就任したプリマコフが,自身の対外情報局長時代の副長官だったグリゴーリー・ラポタを社長に据える
・1999年8月,大統領補佐官だったアレクセイ・オガリョフが社長就任
と,たびたび支配が交代したという.

 詳しくは,江頭寛著『プーチンの帝国』(草思社,2004.6.22),p.278-279を参照されたし.


 【質問】
 「ロスオボロンエクスポルト」とは?

 【回答】
 「ロスボオルジェーニエ」と「ウロムエクスポルト」が合体した,兵器輸出独占企業体.
 2000年11月,大統領令により発足.
 直接の輸出権限を有している数社を除き,全ての兵器生産企業は同独占体を通じて製品を輸出することとなった.
 「ロスオボロンエクスポルト」社長に就任したアンドレイ・ベリャニノフは,KGB出身で,プーチンの東独駐在時代の同僚だった.

 江頭寛によれば,これはヴィクトル・イワノフの大統領府副長官としての最初の,軍産複合体分野での仕事だという.
 これには「シロヴィキ」の利益基盤の一つを確保する狙いがあったという.
 また,同独占体に買い手の企業や国家に,どの兵器の機種を進めるかの裁量権も持っており,すなわち,どの企業が受注するかも同独占体に左右されることになったという.
 さらに手数料として10%を受け取るうまみも大きいという.

 ただし手数料1割に対する兵器産業の抵抗が実り,2003年11月,プーチンは「ロスオボロンエクスポルト」が軍事技術協力委員会(2000年12月,国防省内に復活)に従属することを大統領令で認め,委員会は同社の運営に発言権を行使できることになった,と江頭は述べている.

 詳しくは,江頭寛著『プーチンの帝国』(草思社,2004.6.22),p.277を参照されたし.


 【質問】
 「ロスオボロンエクスポルト」新総裁アナトーリー・イサイキンとは?

 【回答】
 2007年11月,ロシアの武器輸出の総元締めである連邦国営単一企業「ロソボロネクスポルト」(Рособоронэкспорт)総裁に,KGB,FSB出身のアナトーリー・イサイキン(Анатолий Исайкин)が任命されました.

 前任のセルゲイ・チェメゾフ(Сергей Чемезов;文民)は,国営会社「ロステフノロギヤ」(Ростехнология)総裁に任命.

 アナトーリー・イサイキンは,これまでロソボロネクスポルトの副総裁(2000年〜).教授,安全保障・国防・法秩序問題アカデミー会員.

 1946年12月17日,ウラジオストクに生まれる.
 1972〜1996年,国家保安機関に勤務,ソ連KGB特殊任務グループ「ヴィンペル」副指揮官,ロシアFSB特殊作戦局副局長を務める.

 アフガニスタンでの任務遂行に対して,赤星勲章,「勇気に対する」メダルを受賞.

元諜報員 in mixi,2007年11月28日06:02


 【質問】
 ビクトル・ボウト Viktor Bout とは?

 【回答】
 世界各地の紛争地域に武器を売り捌いた,ロシア人武器密売業者.

 1967年,タジキスタンの首都ドゥシャシベ(Dushanbe)生まれた.
 モスクワ(Moscow)の軍事学校に進学し英語,フランス語,ポルトガル語などを習得.
 その後,ソ連空軍に入隊.

 ソ連崩壊により.ソ連時代の中古武器,航空機,ヘリコプターなどを格安で入手し,それらを世界各地の紛争地域の武装勢力に売り飛ばす,武器密輸ビジネスに手を染める.

 KGBメンバーだった疑いもあるという.

 ボウトが世界を股に掛け暗躍する中,英国のピーター・ヘイン(Peter Hain)外相(当時)が同容疑者を「死の商人」と呼んで非難.
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)も,同容疑者が1度に50機を超える航空機で大量の武器をアフリカに密輸した事実を告発.
 英メディアも同容疑者と国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)やアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)とのつながりを指摘.
 他にも,国連(UN)の武器禁輸措置下にあったリベリアのチャールズ・テーラー(Charles Taylor)大統領(当時)にも武器を密輸していたとされる. 

 ジャーナリストのダグラス・ファラー(Douglas Farah)氏によれば,
「ボウトの闇ビジネスの仕組みは単純だ.
 中古航空機をただ同然で手に入れ,これに安価で購入した武器を詰め込み,そして顧客のもとへ空輸する.
 この3段階のビジネスを合体させた」

 さらにボウトの暗躍は,ニコラス・ケイジ(Nicholas Cage)主演の米映画『ロード・オブ・ウォー(Lord of War)』(2005年)の下敷きにもなった.

 しかし2008/3/6,米麻薬取締局(Drug Enforcement Administration,DEA)の1年間に及ぶおとり捜査の結果,バンコク市内の高級ホテルで逮捕.
 ボウトは,このホテルでコロンビアの左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(Revolutionary Armed Forces of Colombia,FARC)」と数百万ドル規模の武器取引契約を結ぶ予定だったという.

 【参考文献】
「AFP」:ロシアの「死の商人」,ボウト容疑者の横顔

 【関連リンク】
「FSM」:逆転無罪


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