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◆◆WMD(大量破壊兵器)
<◆USA
米州FAQ目次

B-1戦略爆撃機(お疲れモード)



(画像掲示板より引用)


 【Link】

net bunker」(2010/09/23)◆命がけとは知らずに米軍の原水爆実験を記録し,歴史の闇に葬り去られたカメラマンたち - GIGAZINE

「Togetter」◆(2011/08/05)朝日新聞報道「米空軍,核ミサイル発射担当将校にキリスト教で聖戦教育」への反応
 岩波『キリスト教辞典』執筆者氏のtweetによれば,
「just war 正戦」
が正しい訳であるらしい.
 そして
>正戦論はキリスト教史だとアウグスチヌスまで遡る

「VOR」◆(2012/07/11)米国は世界の破壊を13分で決定する

「VOR」◆(2012/07/17)ネバダでの核実験のユニークなビデオ

「VOR」◆(2012/12/07)広島市長,米国の臨界前実験を非難

「VOR」◆(2013/03/25) 露中,米国MDアジア展開への対抗措置を準備

「朝目新聞」<2010/11/08〜11/10>●アメリカは5度被曝しかけた   (by everything is gone)

エルエル」◆米軍,40年前にグリーンランド北部に核爆弾を遺棄

「週刊オブイェクト」◆(2010/03/01)核攻撃型トマホーク巡航ミサイルのW80核弾頭を廃棄する方針


 【質問】
 この表
http://bbsp.net/?f=226807A6
によると,ソ連はSTARTTが締結されるまで,核兵器保有数は常に増加していますが,反対にアメリカは波のように,保有量が増減しているのは何故でしょうか?
 1960後半〜70前半はICBMの発達により,旧来の核爆弾が廃棄されて減った?
 しかし,それ以降も不規則に増減しています.
 この増減はなんですか?

 またICBMに関してはソ連もとっくに開発しているはずなのに,アメリカとは対照的に保有量が増加し続けているのは何故ですか?

軍事板,2009/09/25(金)
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 アメリカの核兵器保有量の増減は,主に核兵器の更新によるものです.
 グラフにある通り,50年代後半からの10年間にアメリカの核兵器は急増し,1967年には約32,000個に達しました.
 しかし,この時期に生産された核兵器の中には,実用性の乏しいものや,すぐに旧式化してしまったものが少なくありませんでした
 例えば,1956年に実戦配備されたW23という核弾頭がありますが,これはアイオワ級戦艦の主砲用で,1958年までにアイオワ級全艦が退役したため,1959年には早くも現役から外されてしまいました.
 ほかにも40〜50年代には,専用のM65 280mmカノン砲から発射されるW9,W19核砲弾,巡航ミサイルのTM-61マタドール,TM-76メース,SSM-A-12ラクロス,SSM-N-8レギュラスなど,試行錯誤的・場繋ぎ的な核兵器が多数開発されています.
 こういった核兵器は60年代後半に,次々に廃棄されました.

 1974年には新型核兵器の配備が進み,核兵器は約29,000個にまで増加しますが,そのあとは精密誘導兵器に更新されて,核兵器の総数は減少してゆきます.

 その後,1981年にレーガン政権が誕生し,再び増加に転じています.
 ただし,この時期に増加した新型核兵器は,中性子爆弾などカーター政権時代に開発済みのもので,民主党政権が続いていても,やはり増加傾向になったかもしれません.

 ソ連側の事情については資料がなく,憶測になりますが,グラフの値は精確ではなく,爆撃機やサイロ数などからの推定値に頼っているために,波がないのではないでしょうか.

(主な参考資料:『航空ジャーナル 9月号臨時増刊 アメリカの核兵器』)

東部戦線 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」,2009年09月29日 02:34
青文字:加筆改修部分

▼ 155mm砲で撃つ核砲弾はまだしも,歩兵携行用の核弾頭ロケットランチャーなんてアレな兵器もあったくらいだしな.
 今じゃアメリカの戦略核は戦略爆撃機・ICBM・戦略原潜の3本柱だけど,昔は空母機動部隊もそれを担っていたしな.
 A-2サヴェイジ,A-3スカイウォリアー,A-5ヴィジランティとかマイナーなのから,比較的有名なA-4スカイホークといった艦載攻撃機とか,時にはF-4ファントムも任務に就いていたとか.

 で,これくらいの小型中型の攻撃機爆撃機って,その機体のサイズや能力によって,運用できる武装は限定される.
 たとえば,この形式の爆弾はA-2に積めるけど,A-3には積めないとか.
 当然,これの逆パターンもあるから,核兵器といえど機種ごとにタイプは違ってくるし,搭載される機種そのものも,様々な理由で配備数や就役期間が変わってくる.

 だから,それらによる増減を反映してるから,そういう不規則な変化になるのだと思う.

戦争・国防板,2009/09/26(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 第2次大戦後のアメリカの生物兵器開発状況は?

 【回答】
 1969/11/25,ニクソン大統領は一方的に攻撃的生物戦計画中止を宣言,生産済みの生物兵器の全面廃棄を命令.
 それまでには,生物兵器の広範囲な実験が行われている.

 アメリカの各都市においては,病気を誘発しない非病原性バクテリアを使用した秘密実験を実行.

 1963-69年には,ジョンストン環礁の周囲に,実験動物を積んだ船を多数用意し,超低空で飛来する海軍のF-105戦闘機が生物兵器を撒布する実験も行った.殺害率50%を超えるのが目標だった.
 実験は成功し,動物の半数以上が死亡.実験に参加した化学者の推定では,同様な生物兵器をアメリカの都市に投下した場合,10メガトンの水爆に匹敵する死亡率を達成する道筋が開けたという.
 実際にどのような実験が何回実施されたかといった詳細は,現在に至るも機密事項に指定されている.

 同時期,対ソ戦を視野に入れた生物兵器の寒冷地実験も実施.アラスカ中部の森林地帯で,4回に渡る大掛かりなものだった.

(吉田一彦〔第2次大戦情報戦史家〕 from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.61, 抜粋要約)

 生物兵器研究開発中止後,それまでに製造していたサキシトキシンなどは,国立保健研究所に移され,平和利用のために研究されるようになった.

 1974年,BWCを米議会は批准.
 さらに1990年,米議会は同条約を国内法にも適用.米国民による生物兵器製造・研究,あるいはそれらに対する支援を禁止した.
 だが,その一方,米国政府は「除外項目」を設け,生物兵器による攻撃を想定した防禦,予防のために毒素の研究や生産に従事することを認めている.
 米国は生物兵器こそ作っていないものの,生物兵器に対する防衛政策は世界最大であり,多種類のウィルス,細菌,リケッチア,カビなどの研究が進められているといわれる.

 当然,他国も米国同様,表向きは毒素の研究と称し,今後起こるかもしれない生物戦,あるいはその防衛戦に備えているというのが現状である.

(高井晋〔防衛庁防衛研究所第2研究室長〕 from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.152, 抜粋要約)


 【質問】
 以下の説は正しいのでしょうか? 国際的核軍縮を阻む諸悪の根源はアメリカなのですか?

-----------------------------------------------
アメリカが核戦略に固執する基本姿勢を改めない限り,以上の〔国際的核軍縮に関する〕全ての問題の前進は阻まれることにならざるを得ないことは,見やすいことだ.
 なぜならば,アメリカの行動は常に正しいと信じることができる者以外,アメリカの核恫喝の可能性に備えて身を守ることを考えざるを得ないからだ.

-------------------浅井基文 in 『自衛隊をどうするか』(岩波新書,1992/1/21),p.21-22

 【回答】
 少なくとも,「アメリカの核恫喝の可能性に備えて身を守ることを考えざるを得ない」国というのは,核戦争になりかねないほどの深刻な対立をアメリカとの間で起こし,かつ,アメリカとの交渉が極めて困難なところに限られるでしょう.
 なぜなら,核兵器は使うほうにとっても使われるほうにとっても大きな政治的・物理的リスクがあり,通常であればリスクを回避するために,他の方法を色々と摸索するからです.

 ……ええと,そのようなアメリカに対して「深刻な対立があって交渉が困難な国」,北朝鮮くらいしか思い浮かびませんけど?

 ちなみに,この人物,p.25では
「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」
という書き方をしていますが,今日の日本でこのような書き方をする人物がどのような傾向にあるか,言うまでもありませんね.

 アメリカが核戦略を放棄しないのも,核兵器保有国が他にある以上,当然の話です.
 同書ではロシアとの交渉過程ばかり取り上げていますが,ロシアも核兵器をゼロにすると言っているわけではありませんし,それに,もう1ヶ国,アメリカと必ずしも協調していない公然核兵器保有国を忘れちゃいませんか?
 中国や,その他の非公然核兵器保有国との間で包括的に,段階的な核軍縮をできれば理想的なのですが,そうした理想が実現困難なことは誰にもお分かりかと存じます.

 そんなわけで,アメリカだけを悪とするのはミス・リードであると言えるでしょう.

 核拡散の危機的現実を見るに,そんなミス・リードしている暇があったら,ありったけの知恵を絞って包括的核軍縮を現実的に進める方策を考えていただきたいところなのですが…….


 【質問】
 ビキニ諸島で実験した爆弾って本当に水爆なんですか?

 【回答】
 水爆です.

 有名なのは1954年のキャッスル作戦といわれる一連の核実験ですが,一発目の「ブラボー」が予想の2.5倍,15メガトンの出力を発生させ,このため放射性降下物が日本の漁船や現地の住民を傷害する結果となり,賠償問題,国際的な非難などで米は評判を落としました.

 さて,まず通常爆薬はもちろん,原爆のみでも15メガトンの出力を発生させることは困難です.
 原理的には円筒状のコアを使用することによって無制限に近い出力が出るのではないかといわれており,スーパーオラロイテストでも大きな出力を得ています.
 しかし,そのためには巨大な装置と多量の高価な核分裂物質が必要であり,実用にも適しません.
 キャッスル・ブラボーが意味のない巨大原爆であったとは考えにくいわけですし,実験装置の規模もそんなに大きなものではなかったようです.

 そもそも,核出力の誤算自体が,核融合反応に対するリチウム7同位体の貢献を過小評価したためと考えられており,その意味でもやはりビキニの核実験は水爆と考えるしかないでしょう.

軍事板


 【質問】
 アメリカの核の傘なんてのが本当にあるなら,イスラエルもフランスも核武装してないのでは?

 【回答】
 アメリカの核の傘ってのは,アメリカに逆らった国には差し出されない.
 植民地権益維持したくてエジプトに戦争仕掛け,ソビエトに脅されて政治的には潔癖なアイゼンハワーから「あほ」と見捨てられたのがドゴール.

 イスラエルは,地域における戦力としての人口差を埋める手段として核武装しているけど
「アメリカ様のNPTという都合にあわせて」
核武装したとは口が裂けても言わないし,NPT加盟も
「地域の非核化ができたらやります」
と言わされている.

 そんなに簡単にアメリカに逆らえるなら誰も苦労せんわ(笑)

軍事板


 【質問】
 Wikiに掲載されているクロスロード作戦の項目では,関わった人員が必要以上の放射能を浴びないよう慎重な配慮がされていたと説明されてますが,一方で核爆発の直後に無防備な状態で突入させる,いわゆるアトミックソルジャーが存在した事が疑問です.
 米海軍と陸軍では放射能に対する考え方が違っていたのでしょうか?

 【回答】
 アトミック・ソルジャーは広島での放射能障害の実態が全世界に浸透するまでの,対東側の戦術ドクトリンとしての試行錯誤の中で生まれたものです.
 放射線被爆による重篤な障害が認知される頃には中止されています.
 当時は開発に携わった一部の学者が,その危険性について認識しておりましたが,軍中枢を始め一般には原爆の威力についても
「すげぇ威力の爆弾」
という認識がそれまでの常識でしたので,当時としては別段異常な対応ではありません.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s

アトミック・ソルジャー
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 以前,アメリカ軍の陸軍用小型戦術核弾頭(野砲の先端についているような形のやつ)って,今でも配備されているのですか?

 【回答】
 核迫撃砲デイビークロケットのことか? すでに退役してるぞ.

 デイビー・ク"ロケット"は固体燃料ロケット推進で,無反動砲の砲身を利用して発射される.
http://www.astronautix.com/lvs/davttm28.htm
jttp://www.brook.edu/FP/projects/nucwcost/davyc.HTM

 配備されたとき,アメリカ陸軍はnewlook政策,つまり大量報復戦略を唱えるアイゼンハワー大統領(陸軍で欧州戦域総司令官だった)のもと,ペントミック編制をとっていた.
 たしか歩兵大隊か旅団で撃つのを決められることになってたけど,使うときは玉砕覚悟だったんだろうねぇ.

 ちなみに「ディビー・クロケット」は,そういう名前の人が昔いたところから付けられている.
 昔,アメリカがメキシコと今のテキサス州の土地をとりあったとき,勝手に独立を宣言しちゃったテキサス州にメキシコ軍が攻めて来た.
 そのさい,アラモ砦にこもって抵抗,玉砕しちゃった人たちの一人.

軍事板


 【質問】
 M29デイビークロケットは実際に射撃実験が行われた事がある代物なのでしょうか?
 核爆弾を積んでるんだし,何度か実験を行わないと実戦で「核分裂おきね・・・」みたいな状態だと困ると思うのですが.

 【回答】
 デイビークロケットの核弾頭であるW54弾頭は,1962年7月7日と17日にネバダ核実験場においてテストが行われています.
 "Little Feller II","Little Feller I"と呼ばれたこの実験では,前者は地面の上に吊された状態で,後者はAPCに取り付けられた無反動砲から発射してテストを行いました.
 その威力は,前者はTNT18トン,後者は22トンに相当しました.

名無し軍曹◆Sgt/Z4fqbE in 軍事板

 実験動画をどうぞ.

CRS in mixi支隊


 【質問】
 デイビークロケットって,やっぱり撃った人も死ぬの?

 【回答】
 英語版ウィキペディアの情報によると,M-388に使用されている弾頭W-54起爆時の被爆量は,爆心から150mの距離で1万レム(100シーベルト),400mの距離で600レム(6シーベルト)だそうな.

 100%致死量が7シーベルトと言われているので,M-28無反動砲での最大射程2kmで死にはしませんわな.
 健康被害がどの程度,射手に現れるかは分かりませんが.

軍事板
青文字:加筆改修部分

▼ 上述の被曝量がどのように算出されたのか不明ですが,簡単に計算できる方法として地上にて核弾頭が点として爆発した場合,被曝量は立体角の考え方から距離の逆二乗に比例します.
 そのため,最大射程の2kmに換算して計算すると,
爆心から150mの距離で100シーベルト→爆心から2000mの距離なら0.5625シーベルト
爆心から400mの距離で6シーベルト→爆心から2000mの距離なら0.24シーベルト
と言う具合に,距離の逆二乗よりも強く減衰することが分かります.

 ちなみに現行の緊急時作業は0.5シーベルト限度
(国際放射線防護委員会1990年勧告.
 なお,最新の物は
「ICRP新勧告案(2006.6)の特徴」
を参照願いたい.
 重大な傷害または破局的状態の進展の防止を伴う救助作業については,約1000mSv(1シーベルト)以下との記載がある.)
ですので,最大射程近くで,風上に立って,後は上の計算には含まれていないであろう放射性降下物(Fall Out)にさえ気を付ければ,何とか健康被害を防止できるレベルであると言えます.

 先の計算で,距離の逆二乗則を安全策として取るとして,多少軍事的に有用にするために,若干有利な「爆心から400mの距離」のデータを採用するなら,0.5シーベルトに抑えるためには約1.4km有れば十分となり,最大射程の2kmからみて,それほど無理のないものと考えます.
 ただ,撃った瞬間だけではなく,その後の放射性降下物を警戒しなければならないことは言うまでもなく,個人的には最大射程いっぱいでも勘弁して欲しいですね(大汗).
 
 以上,ご参考まで.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 そもそも,核大国アメリカの大統領ブッシュは91年にすべての戦術核を廃止するといっていたのに してないだろ?
 アメリカこそが大量破壊兵器保有国なんだから,世界中で多国籍軍つくって攻めろよ.

 【回答】
 そんな事はブッシュは言ってない.
 地上発射型の戦術核と,海軍の戦術核兵器とを撤廃すると言っただけだ.

 以下引用.

http://www.gensuikin.org/nw/n_artlry.htm#id2
○ブッシュ大統領の一方的核削減措置演説─1991年9月27日
  戦術核に関する部分の抜粋

1)地上発射の戦術核の全面的撤去及び破壊
「世界各地における米国の地上発射短射程(つまり戦域)核兵器を無くすことを命じる.われわれは,核砲弾と短射程弾道ミサイルの核弾頭を米国に持ち帰り破壊する.」

「もちろんわれわれは,ヨーロッパにおける空中発射の効果的な能力[核爆弾]は維持する.これは,NATOの安全保障にとって不可欠である.」

2)海軍の戦術核兵器の撤去

「米国は,水上艦艇及び攻撃型潜水艦の戦術核兵器,それに,地上配備の海軍航空機に関連した核兵器をすべて引き揚げる.」

「これは,米国の水上艦艇及び潜水艦の核弾頭型トマホーク巡航ミサイル,それに,空母搭載の核爆弾をすべて撤去することを意味する.」

「要するに,通常の状況においては,米国の艦艇は,戦術核を積まないということだ.」

「これらの地上配備及び海上配備の核弾頭の多くは,解体され,破壊される.残りの核弾頭は,主要地点(複数)に安全に保管し,将来の危機において必要となれば使えるようにしておく.」

 ちなみに(1)当時,地対空用の核弾頭及び核地雷はすでに配備から外されていた.

軍事板


 【質問】
 RNEPとは?

 【回答】
 強化型地中貫通核爆弾の略称.地下の敵施設攻撃を目的とした,核弾頭搭載型のバンカー・バスター.
 「ならず者国家」やテロ組織の地下司令部や大量破壊兵器の壊滅を可能にするため,ブッシュ政権は02年1月の核戦略見直し報告(NPR)で,地下の敵施設攻撃を想定したRNEPの研究推進を打ち出した.
 しかし,使用時の放射性降下物で民間人が大量に死亡する可能性を,専門家が再三指摘.
 連邦議会も懸念を示し,04年度に研究予算が認められたが,05年度の予算を認めなかった.
 2005/10/25には,米国家核安全保障局は,06会計年度(05年10月〜06年9月)の予算要求約400万ドル(約4億6000万円)を取り下げると米議会に伝え,核弾頭を使う計画は実質的に断念された模様.

 ただブッシュ政権はRNEP研究は断念したものの,依然,安価で維持が容易な核弾頭の導入を目指しており,今年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議では「核不拡散を強調しながら核軍縮努力が不十分」と批判を浴びた.
 米国の核政策に詳しい軍備管理協会(ワシントン)のダリル・キンボール事務局長は
「ホワイトハウスは使用可能な核に固執するのでなく,国内外の過剰核弾頭の解体をさらに進めるべきだ」
と述べている.

 以上,ソースは,
2005/10/27付,時事通信
2005/10/27付,共同通信
2005/10/27付,毎日新聞
より.


 【質問】
「Slashdot Japan」:核弾頭の製造方法が分からなくなり,米国でトライデントミサイル再整備計画が停滞

> 熱核弾頭の,核分裂と核融合の段階の間で使われる発泡体ではないか

>しかも80年代にその製造に携わった者は,ほぼ皆退職したり組織を離れてしまっているそうだ.

 核兵器のコアな部分の設計が出来る人って,十数人しかいなくてお互いファーストネームで呼び合うとかどっかで読んだことのある気が.
 詳しい技術的な解説はへぼ担当氏が話してくれると信じてます.

D.B. in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 【回答】
> 熱核弾頭の,核分裂と核融合の段階の間で使われる発泡体ではないか

 確証はありません(もしあったら機微情報流出で大変なことになります)が,この部分が一番技術的に納得できる箇所だと考えます.
 ただ,何故「発泡体」なのか,それに答えることも十分に機微情報に当たると考えられるため,その部分だけは解説できませんが.
 また,その他の部分でもある程度の憶測はでき,未臨界核実験で何を確かめているのかも,この点ほか含めて,おおよそ想像はつきますが,想像がつくのと実際に製造できるかどうかはまた別次元の問題ですので....
(機微情報につき,きわめて口が重くなりますがご容赦のほどを.)

> 核兵器のコアな部分の設計が出来る人

 アメリカのように情報管理が徹底している場合でも,きわめて限られた人間に絞るでしょうね.そうしなければ極めて重大な情報の拡散に直結しますので.
 一方,アメリカ本体でのこれら関係の技術者不足はきわめて深刻のようです.
 正確に言えば,カーター政権以降の30年間で劇的に需要が落ち込んだため,それまでに技術を身につけていた人間の次世代への技術伝承ができず,その貴重な人間の最後の世代も,ここ10年の間にほとんどリタイアしてしまったことが挙げられます.

 そのため,某米国重電・金融・防衛産業大手
(どことは言いませんが,皆さんだいたい想像はつくでしょう)
の場合,日本国内の関係技術者をいったん合弁子会社にまとめて移籍.その後ごっそり取り込んでしまうという,かなり悪辣な手を使って,後々ひんしゅくを買った事実があります.
<某T社はその手に引っかかり,某H社は難を逃れた.

 そのため,現在の状況にいたって,技術者の争奪戦を目的とした仁義なき合従連衡が日米メーカーの間(日本国内・米国国内同士含む)で行わているものと,まとめることもできるほどです.

 以上,核心部分はどうしても口が重くなりますが,ご参考まで.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 アメリカはよく「MDのミサイルはロシアを対象にしていない」って言ってますが,額面どうりに受け取っていいですか?
 たかだか何発かを他国に持ち込んでも,ロシアのICBMには対抗できないと思うのですが,技術的はどうなのでしょうか?
 本当にイランとかに対抗してるんですか?

 【回答】
 今のところは本当.

 まず第一に,MDの迎撃ミサイル(特に,ICBMに対応可能なGBI)はごく少数で,ロシアには量的に対応できない.

 歴史的に見ても,MDはSDIのような「大国間の全面核戦争に対応する」という構想から
「少数の突発的な弾道弾攻撃に対応する」
という方向に進んできている.
(まあSDIみたいなものは,技術的に無茶だったということもある)
 その点からしても,現在のMDはロシアを対象にはしていない.

 また,計算上,ロシアが撃ったICBMを探知し,判断してから発射するまで1分で済んでも,MDはICBMが米本土に弾着するまでに追いつけない,という事になってる.
 イランとかに対策してるという部分は確かにあるだろう.
 弾道弾は通常弾頭でも戦略的な影響力は無視できないし,まして核弾頭となるとなかなか面倒なことになる.
 東欧のMD基地は,イランの弾道弾から欧米ひいては米本土を守るためだとするのが米の主張.
 米は,イランの弾道弾技術が向上していけば,近未来にはそれぐらいの射程も手にするだろうとの予測をしている(ラムズフェルド報告)

 それはまあ,本当かもしれないが,次々にMD基地を増やし,ミサイルの性能が上がっていけば,本気で脅威になりかねないし,西ヨーロッパ相手の中距離ミサイルも迎撃されるかもしれない.

 とりあえずアメリカにいちゃもん付けとくのは,当然のロシアのたしなみとして,なし崩し的にロシアのミサイル能力を損なわれていく可能性があること,東ヨーロッパ諸国(旧ワルシャワ条約諸国)がどんどんアメリカに取り込まれていく事への不快と不安,それやこれやでロシアは機嫌が悪い.

 歴史的経緯で言えば,エリツィン政権のときに「TMD線引き合意」というのがあって,
「射程3500キロ以上秒速5キロを超える目標弾頭に対する実験がなされない限り,秒速3キロ以下のすべてのTMDシステムは,ABM 条約に違反せず配備できる」
とされた.

 そのあと,MDの進展でABM条約からアメリカが脱退したけど,プーチン大統領はこれを,
「ロシアの安全保障にとり脅威とはならない」
としている.

 MDは
「弾道弾を持ったからと,米軍が介入しないと思われたら面子が潰れる」
のを避けるために,アメリカ相手に恫喝交じりの瀬戸際外交やるような国の虎の子弾道弾から,アメリカとアメリカの海外駐留基地,そして同盟国を守るためにやっている.
 ならずもの国家が弾道弾の性能を底上げするのはラムズフェルドの報告書でも織り込み済みだけど,迎撃対象がIRBMからICBMになって高性能化しようと,ソビエトの後継者であるロシアと同じ質と量を持てる「ならずもの国家」などというものがある訳もなく,
(そんな軍事予算と技術力がある国なら多国籍企業が乗り込んで,資本主義の毒牙にかけているだろう)
そういう意味ではロシアの面子は保たれる.

 NMDもその予算見積りの中で,対処可能な弾道弾を20発以上と以下でいくらとか,200発以上と以下でいくらとかで線引きとかしているけど,それはロシアの保有弾頭数からすればまだ全然なので.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 オバマ政権による,アメリカの新型空中発射巡航ミサイル開発について教えてください.

 【回答】
「核廃絶を訴えながら,AGM-86Bの後継ALCM(空中発射巡航ミサイル)を開発するとは,やってくれるぜ,バラク・オバマ!」
と,そんな気分になりました.
核ミサイル新規開発,8億ドル予算要求 [2010/03/11]
ALCM

 AGM86-Bは老朽化が進み,オバマ政権の核廃絶構想により,新規ミサイルの開発はないかと思われましたが,この計画提議により,AGM86Bの後継空中発射巡航ミサイルが開発される事になりました.
 オバマ政権が政権構想を180度転換したとも取れる計画なだけに,民主党リベラル派からも批判が相次ぎそうですが, イラン核開発や中国の軍拡,ロシアの最新鋭装備の登場で,アメリカの軍事的地位低下が叫ばれる中,方針を変更したのかも知れません.

 ところで記事では,アメリカ国内では戦略爆撃機の廃止の声が出ていますが,これは正しくありません.
B-52

 確かにマルチロール戦闘機の登場により戦略爆撃機の必要性は低下し,現在戦略爆撃機を保有しているのはアメリカ,ロシア,中国しかありません.
 そのアメリカもB-2以降は戦略爆撃機を製造していません.
 しかし戦略爆撃機は,マルチロール戦闘機とは比べ物にならない爆弾搭載量と大型の主翼を持っているので,巡航ミサイルのプラットフォームや空爆に使えます.
 実際,B-52はベトナムでは北爆で活躍し,湾岸戦争やイラク戦争,アフガニスタン戦争でもJDAMを積んで近接航空支援を行うなど大活躍しています.

 また,B-2はステルス機なので整備や機密保持上,アメリカ本土の前線基地から出撃しなければならないという制約がありますが,B-52にはそんな制約はありません.
 B-52は湾岸やイラク戦争ではディエゴ・ガルシアやイギリス本土の空軍基地からイラク空爆できましたし,日本の嘉手納や三沢での運用も可能です.米空軍はB-52の延命改修を計画しており,初飛行から50年以上経った今も現役であり続けるでしょう.

バルセロニスタの一人 in mixi,2010年03月12日06:26


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