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◆テロの原因
テロリズムFAQ目次


 【link】

裏日本観察学会」:科学に佇む心と体:テロの経済学:自由あってこその自爆テロですか?(リンク切れ)

『テロの経済学 人はなぜテロリストになるのか』(アラン・B・クルーガー著,東洋経済新報社,2008.8)

 一般に言われる,「貧困がテロリズムを生む」という概念は正しいのか,統計的・経済学的に検証した本.
 結論として,テロリストは高学歴で生活に困窮していない者が多い.
 そもそも,その日暮らしの貧乏人は目の前の事に精一杯で,テロリズムによる社会変革なんかを思い描く余裕なんてありゃしないという,当然だが見も蓋もないもの.
 テロリズムは豊かだが,社会的・政治的自由のない国や社会が育むらしい.
 また,テロ攻撃計画立案者も,テロの失敗は多くの損失を生むことから,高学歴で有能な人物に実行者を選びたがる傾向があるとか.
 あとは,イラクにおいて米国政府がさかんに治安悪化の責任を負わせようとしている非イラク人戦士(外国人戦士)は,人数的にはきわめて少数派で,さらに出身国もイラク近郊の国が大半で,母国が遠くなるほどその国出身の外国人戦士はすくなくなっていくそうで.

――――――軍事板

 【珍説】
--------------------
 テロリズムを生み出す背景としては,第1に絶対的な貧困,第2に極端な民族・地域差別,第3に,そこから生まれる「絶望」がある.

--------------------首藤信彦著『現代のテロリズム』,p.19

 【事実】
 Alan B. Krueger(経済学者)が統計的手法によって調査した結果,それらは全て否定されています.
 彼の分析を纏めると,以下のようになります.

――――――
(1) 世論調査でしばしば見られることは,政治的暴力やテロリズムに対する支持が,教育水準が高く,かつ世帯収入も高い人々の間で多くなっていることである.

(2) テロリストは,彼らの出身母体となる人口全体に比べると,教育水準が高いという傾向があり,かつ貧困家庭の出身である傾向は少なくなっている.

(3) 国境を越えて行われるテロ活動を見ると,国際テロリストは市民的自由が抑圧され,かつ政治的権利もあまり与えられていない国の出身者である傾向が強くなっている.

(4) ある国の一人当たり所得や非識字率は,その国出身の国際テロリストの人数とは無関係である.

(5) テロリストは,全体主義的体制で抑圧的な貧しい国を攻撃するよりも,市民的自由や政治的権利が多く与えられている裕福な国を攻撃する可能性が大きい.

(6) 距離は重要である.すなわち,国際テロリストや外国人反乱者は近隣諸国出身者が多いという傾向がある.

(7) 一般的な手法を用いるテロリストは,テロ活動に対する恐怖感を広げ,彼らの望む効果を得るためには,メディアを必要としている.

――――――『テロの経済学』(東洋経済新報社,2008.8.14),p.219-220

 また,絶望説についても,以下のように述べています.

――――――
 ほとんどの場合,テロリストは生きる目的をなくした人ではない.
 逆に,彼らはそのために死んでもよいと思うほど,何かを深く信じている.

――――――同,p.61

 統計のデータなど詳細は,同書を参照してください.

 その上で同氏は,首藤のような主張にとびつくのは,
「非常に複雑な問題に対しても,安心をもたらすように簡単な答が提示できるからである」(p.63)
と指摘しています.
 経済学者なので上品な言い方をしているが,要するに
「安易な結論に飛びついているだけ」
ということでしょう.

▼ また,
2009年12月28日17時58分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)
によれば,テロ研究を専門とする宮坂直史・防衛大教授は,以下のような見解を示したそうです.

――――――
 同教授によると,テロリストの多くが十分な教育を受け,富裕な環境の出身であることは,複数の研究や調査によってすでに定説となっている.
 2001年の米中枢同時テロや05年のロンドン同時テロでも,高学歴の実行犯が目立った.

 貧困ではなく,むしろ豊かさの中で多量の情報にさらされ,社会の格差や矛盾に敏感になることこそがテロに結びつくという構図だ.
 だが宮坂教授は,環境だけがテロリストを生むのではなく,
「理想と現実の食い違いに耐えられないといった,特殊な個人的資質」
もまた,重要な役割を果たしているとみる.
――――――

 さらに,ロシアの情報分析センター「ソヴァ」の所長で,過激主義の専門家アレクサンドル・ヴェルホフスキイも,次のように述べています.

------------
「過激主義は必ずしも貧困と結びついてはいない.
 現行秩序に不満な人々というのは,いずれの国,いずれの社会にもいる.
 それは普通のことだ.
 問題は,暴力的手段を辞さないような人が,多いかどうか,また,彼らが組織を結成できるかどうかである」

------------こちらより孫引用

 間違いを犯すなとは言わない.
 だが新事実が分かった以上は,訂正するなり絶版にするなりすべきではないでしょうか.

 「現場重視」の人が,まさか「現実」から逃げるようなことはないと存じますが……


 【珍説】
---------------------
 国連活動への参加と同時に,テロを根本的になくすために,テロの原因を取り除く民生支援を全面的に展開すべきだと考えています.
 つまり,貧困を克服し,生活を安定させることです.
 銃剣をもって人を治めることはできません.
 これこそが迂遠なようでも,テロとの本当の戦いだと確信しています.
---------------------

小沢一郎 in 民主党公式サイト
http://www.dpj.or.jp/special/jieitai_kyuyu/index.html

 【事実】
 テロは貧困をなくせばなくなるとか,幼稚園児のような寝言を言う政治家がいることに驚愕.

>テロをなくすには貧困をなくせ

 イラクやパキスタンのテロリストの社会構成を調査研究した報告書がスウェーデンの国立研究所にあって,そういう説を否定しています.

 パキスタンで従来からカシミール紛争などで特攻隊代わりに使われている若い無教育な農村出身者というのはいるのですが,これはテロ組織がそういう無知な若者をリクルートして洗脳教育している.
 実際のパキスタンの過激派の中心(幹部)は高学歴で中流以上の出身者です.

 イランの支援するテロは工作部隊が資金や物資を供給していますが,それはイランの石油収入から来ていて,貧困ではないからこそテロが可能になっています.

ニュース極東板

>テロは貧困から生まれる.

 ここからして,根本的な誤解がある.

「テロは貧困からは生まれない」

 貧困はテロを拡大させる要因にはなるが,原因となる事は少ないんだ.

 テロの主導者は,ほとんどの場合裕福であるか,または社会的な地位を持つ.
 アル・カイーダの主導者ウサーマ・ビン=ラーディンは王族と連なる財閥の御曹司,
 かつて日本でテロを起こしていた日本赤軍や連合赤軍の主導者は,学費を親掛かりで学んだ大学生だ.
 日本で宗教テロを起こしたオウム真理教の構成員も見れば,一発で判るだろう.

 テロリズムを,民衆蜂起や階級闘争の延長と捉えてはならない.

 貧困層を道具代わりに使い潰して,暴力で己の意思のみをかなえようとするテロの指導者層は, 社会に対するいわれなき怨念を溜め込んだ,富める者なのだ.

 そして彼らは,これらの社会的な地位から来る伝手で資金を得,行動の源にしている.
 そして彼らの起こすテロは貧困と憎悪を再生産させ,貧困に喘ぐ地域社会をも憎悪の連鎖で破綻させる.

 これだけは忘れてはいけないよ.

 ……と,柄にも無く堅い話書いちゃったけどさぁ.
 貧困「だけ」解消したって,事態の改善にはなーぁーんも繋がらんよ?
 テロに限らず,武装闘争撲滅するには,貧困の解消だけじゃ片手落ちなのよ.

 混乱する地域平定するためにゃ,武器取り上げて,クワやスキや農機具与え,暴力で横車押し通すのが割に合わんこと教育し,知識普及とインフラ構築を行い,今日の飯の種の不安をなくした上で,社会の構成員同士の最低限の相互の信頼関係を保障出来るようにして,信頼の裏付けある通貨の流通可能とし,「法による支配」を確立していかにゃならーんの.
 この辺は秀吉の刀狩や太閤検地やら,江戸幕府開府時の施策なんかと全く同じ構図ね.
 日本は北支でもこの手で治安維持してた.
 教科書ってのは便利だねぇ.

 でも,これを実行するためには,背景に行使できて相手に意志強制できるだけの力の裏付け,相手の人生背負うだけの覚悟が無きゃいかん.
 万事うまく行ったとしても,本気で事態収拾する気なら,武装蜂起の感覚覚えてる世代が寿命でいなくなる数世代分の時間は確実に掛かるんだ.

 これが出来てない状態で,貧困のみ撲滅しようとしようとした場合,その辺の武器になりそうなもの拾って,富める者の財産奪うための襲撃を繰り返す武装強盗がはびこる.
 結果,援助漬けでズブズブになって,産業も無く国民の労働意欲も無く自立すら出来ず,内乱繰り広げ続ける,失敗した廃国家が新たに1つ出来るだけだって.

 そんな本末転倒な真似しちゃ意味ねぇっすよマヂ゙に.
 まぁ,この程度の奇麗事にすら忌避感抱くのが,お花畑の住人なんだがねー.

 「貧困問題」と「テロ問題」の関連は実はそう多くない.

 テロの主導者・実行者のほとんどが比較的恵まれた中産階級以上の出身者で,自らを犠牲にした暴力で意志貫徹すれば人々の記憶に残る,なーんてヒーロー指向な幻想抱けるくらい生活面で余裕がある連中なんだ,ってのはあまり知られてないんだよね.

 皮肉言っちゃうと,「本当に貧困に喘ぐ人は,資金無くてテロすら出来ない」

「社会から疎外された富める個人が,自分の破綻した理想押し付ける為,暴力行使通じて政治的な目的果たそうとする」
のが,おいら的に見たテロの本質.
 語源になった山岳派以来変わっちゃいない.

 なのに,日本で「貧困問題」と「テロ問題」が関連付けられて話されることが多いのは,階級闘争通じたプロレタリアートによる政治権力の奪取説くマルクス史観の影響じゃねーの? って話もあったり無かったり.

 マルクス自身は,親父さんの紡績業で身を立てたやり手なビジネスマンなエンゲルスの仕送りで生活してたんだがなぁ.
 でも,現状変える為,彼が何故資本主義経済を分析し膨大な論考を書き綴っていったのか?の起点と,その後の社会の変化は,何故かあまり関連付けて見られねーんだよね.

 ここいら押さえりゃ,貧困がテロと暴力の連鎖に直結していないのは自ずと判ると思うんだがなぁ.

ゆりりん ◆tx8IiMF52M in ニュース極東板

>テロリストと貧困

 これについては実証的な研究がされています.
 欧州やイラクでは,テロ活動を実行して自殺攻撃死したテロリストや,逮捕投獄されたテロリストが多くいるわけですが,彼らについて,その社会的背景を調査することが研究機関によってなされています.
 イラクの場合は,外国からジハーディストとしてテロ活動の為に入国したアルカイダのメンバーの身元追跡調査です.
 研究機関からいくつかの報告が出されていますが,ジハーディストは貧困ではなく,中流かそれ以上の階層で高学歴です.

 こうした報告が時々掲載される,カウンター・テロリズムに特化したWebサイトがあります.
http://counterterrorismblog.org/

ニュース極東板

 イラク治安回復作戦に成功しつつあるDavid Petraeus将軍のアドバイザーでテロリズムの研究家であるDr. David Kilcullen(senior counter-insurgency advisor)という人がいるのですが,彼のテロリズムの見方は大変面白い.

[quote]

He said that pursuing a successful counter-insurgency means “exploiting a single narrative” to counter the enemy’s “narrative.”

“Since counterinsurgency is a competition to mobilize popular support, it pays to know how people are mobilized. In most societies there are opinionmakers: local leaders, pillars of the community, religious figures, media personalities, and others who set trends and influence public perceptions.

This influence―including the pernicious influence of the insurgents―often takes the form of a “single narrative.”
This is a simple, unifying, easily-expressed story or explanation that organizes people’s experience and provides a framework for understanding events.
Nationalist and ethnic historical myths, or sectarian creeds, provide such a narrative. The Iraqi insurgents have one, as do al- Qaida and the Taliban.

To undercut their influence you must exploit an alternative narrative: or better yet, tap into an existing narrative that excludes the insurgents.
This narrative is often worked out for you by higher headquarters―but only you have the detailed knowledge to tailor the narrative to local conditions and generate leverage from it.”

http://austinbay.net/blog/?p=1805
[/quote]

 彼の言っている“single narrative.”の意味を考える必要があるでしょう.
 テロリストのnarrativeというのは,わかりやすい,統一的な,説明しやすい,人々を同化させるもの,であるわけです.
(人々をカルトに洗脳させる神話的な御伽噺とでも言うべき)
 この,テロリスト側の神話を崩し,人々の洗脳を解放することが,カウンター・テロリズム行動の大きなテーマになるわけです.

ニュース極東板

 そうそう,どっちかってーとそんな感じ.
 東大抗争とかやってた人らが,より過激になったつーか,まさにそのものの事例指摘しちゃうか.

 日本で1960年代後半の学園闘争や1970年の安保闘争やってた社会主義学生同盟(社学同)の後身,共産主義者同盟(ブント)赤軍派こそが,「よど号ハイジャック事件」を起こして北朝鮮に渡って,後にヒモ付きで拉致事件引き起こしたり, 連合赤軍結成して「浅間山荘事件」やらかしクレーンの鉄球でド突かれたり, アラブにトンズラして日本赤軍立ち上げテルアビブ空港乱射事件やらドバイ・ダッカでの日航機ハイジャック事件やらかしたりとか三井物産マニラ支店長の若王子信行氏誘拐事件起こしてんだってば.
 「フフン」〔=福田康夫〕と中東との因縁はここから始まってるんだぜ?

 あと,発展途上国では兵営が貧困層の学校として,教育機関代わりに使われていた点は指摘しとくよ.
 徴兵した貧困層に規律と集団生活教え込んで,地位に関わらず手に職付けさせる職業訓練施し,学問学ばせていたという側面もあるのだ.
 まぁ,教育やらインフラ整備やらに投資せず,その段階に留まってちゃ,ミャンマーみたく弊害だらけになるんだがね.

 テロ予備軍蔓延させる土壌となる社会不安を無くす為には貧困問題解決が欠かせない.

 しかし,本当に深刻な社会不安もたらすテロをやらかすのは,社会と現体制に疎外感を抱く富裕層であり,上述したように,社会には常に一定数潜在的なテロ志願者は存在する.
 しかもテロリストは「既存体制の武力による打破」「銃口による世直し」を掲げて自己の理想をかなえるため,時と場合によっては外部の勢力とも容易に手を組む.

 これらを抑制するためには,地域社会がある程度以上豊かになり,一般住民がテロに賛同しない土壌をこしらえる事が欠かせない.
 これが満たされていれば社会の冗長性やら復元力が働き,テロが深刻な脅威になる以前,犯罪の段階で阻止されることに繋がる.

 この辺見ないと拙いよ.

 あと,真性のテロリストは,基本的に自分らがパシリに使う英雄志願な貧困層や,自分らが標的とする社会とか一般の民衆とか市民の命や生活を恐ろしく軽んじているのは忘れちゃいけないぞ,と.
 何せ,日本で1970年代に三菱重工やら鹿島建設や三井物産のビル爆破して連続企業爆破やったテロ組織「東アジア反日武装戦線」なんか,
「日本国が保証する社会体制下における生活と,自由貿易に伴う輸出入は,世界の各国侵略戦争の元凶である為,日本社会を絶滅し解体する」
と宣言し,
「先導する自分らが定義する革命のために加担せず自決もせず日々を暮らす一般大衆は,「日帝」の構成員として無差別テロの対象として「介錯」されて然るべき」
として犠牲者省みず連続爆破に勤しんで三桁の死傷者出すくらい,
 現状認識から何から何まで色々と破綻してるからにぃ.
 ちなみにこれやってるのも日本人だぜ.

 治安が真っ当に維持されている1970年代の日本社会ですら,こんなのが出て来ていたのよ?
 世界初の首都圏での化学兵器テロやらかしたオウム真理教に至っちゃどうよ.

 これら一歩間違えりゃ国家体制転覆するようなものを,大規模犯罪のレベルで阻止してるのは日本の治安維持の凄みだけど,これ裏返して考えて見れ.

 基本的な治安確保されず混乱に満ちた土地でこんなんやられたら,まともな企業が進出したり産業育て人材育成できるか?
 治安回復なくして貧困の段階的解消と社会の安定は有り得んし,貧困の段階的解消なくして治安と社会の安定,生活の向上も有り得んのよ.

 イラク情勢が最近改善してるってのは,この辺の社会の安定と生活の向上が現地で目に見えるようになり出した為.
 良い方向に向けてサイクルが噛み合ってるってことでもあるんだぜー.
 衆目をひきつけるレベルの恐怖感植えつける激しい行動テロリストが起こせなくなってんのは,掃討の成功に加え,「激しい行動を起こすこと自体が社会から遊離し浮き上がっている」為,イラクの民衆からの支持もイラクの民衆を恐怖により束縛することも出来なくなってるからなんだからさ.

 その辺も踏まえて見て行かんと駄目よ.


 これは何ら誤字でないよ.
 「介錯」で間違いないのよ.

 何せ彼らの論法だと,
“我々の企業爆破で犠牲になった死者は犠牲者ではない.
 彼らは幸いだ.
 我々が差し伸べた救いの手で彼らは「自決」でき,邪悪な日本人であることを逃れられた.
 我々はいわば彼らを「介錯」してやったのだ.
 感謝されてしかるべきだ”
そうなので.

 ──言っとくが,多少省略して戯画化しているけど,この吐き気するような独善的なものが,実在した,日本人の,日本から出た「真性のテロリスト」の論理で,実際に1974年に無辜の市民を8人殺して,たまたま近く通り掛かった通行人含む376人あまりに重軽傷負わせた事件の裁判通じて出てきた話をまとめたものなのよ?
 ちなみに他のメンバーの一部は,赤軍派の起こした一連のテロで超法規的措置で釈放され,北朝鮮に渡って日本赤軍に加わり,未だに国際テロ犯として手配中だぜ.
 その関係者の一部は,北朝鮮による拉致事件に関与した疑いも持たれている.

 これが可愛く見えるレベルの他国の「真性のテロリスト」の場合,一体どのレベルで他者の命軽んじているか想像つくかい?


 民衆の武装蜂起とかゲリラによる抵抗とテロリズムが一線を画しているのは, この,
「敵対者も含めた他者の尊厳への敬意が存在せず」,
自己も含まれる「社会の構成員の生命の尊重が明確に欠け」
ていて,その上,闘争の結果得られるであろう
「自分らが生きる未来や社会の再構築に対する現実的なビジョンが,何ら伴っていない」
点だと思うぜ.

 旧来の独立運動や抵抗活動,武装蜂起には,必ずその後の社会の再構築や治安維持,未来に対する現実的な展望と平穏な生活取り戻すため,自分らが暴力でぶち壊したものを自分らで復旧するプランが付き物なんだ.
 敵対した相手との関係の再構築含めて,たとえどんなに独善的な幻想であってもね.

 でも,
「テロリストには敵対者と既存の枠組みを破壊するだけで,社会の平穏な生活再建についてのビジョンがない」

 この辺よく考えていけば,「脱洗脳」等の意味もわかると思うぜ.

ゆりりん ◆tx8IiMF52M in ニュース極東板

 テロリストに関して,わたしには,べつの見方をすることも可能かと思います.

 というのは,アメリカの犯罪小説家たちは,よくテロリストを障害性人格,昔でいう社会病質者(サイコパス,ソシオパス)という設定で構成していました.
(DSM-IV「精神障害の診断と統計の手引き」Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)によると現在,サイコパスは反社会性人格障害 Antisocial personality disorder と呼ぶらしい)

 反社会性人格障害とまではいかなくとも,境界性人格の持ち主とテロリストの親和性については,一定の留保が必要ですが,それなりの説得力はあるように思います.
 つまり,宗教や国籍など一端おいて,ある性格なり性質から,特定の傾向を持った人間は,テロリストになりやすいのではないか.

 エゴイスティックで視野が狭い.熱狂的あるいは狂信的.他罰的な傾向があり,過去のトラウマにとらわれ,そのことに執着しがちである,などなど.
 まあ,素人の思いつきではありますが,参考まで.

ニュース極東板

 石破茂も首相官邸メール・マガジンにおいて,以下のように述べる.

[quote]
 テロとは一般的に「低いレベルの攻撃を無差別,無原則に繰り返すことにより,恐怖の連鎖と人心の動揺を発生させ,体制を脆弱化させて己の目的を達成しようとする行為」と定義付けられます.
 貧しい専制独裁国家にテロはあまり起きず,民主主義が確立し,経済的に豊かな国にテロが起こりやすいことからもわかるように,圧政や貧困がテロの本質的な原因なのではありません.

 「民主主義や物質文明は堕落している.自分たちの望むような体制(たとえば「特定の思想・信条・宗教による国家体制」)が確立されなくてはならない」と信じている人にとっては,権利の保障も,民主主義も,豊かで幸せ な生活も全否定されるべき対象なのです.
 しかしそのような主張は到底受け入れられないため(麻原彰晃以下のオウム真理教幹部が平成二年の総選挙に出馬し,全員大惨敗しました),彼らには不満が鬱積します.
「民主主義によっては自分たちの理想は達成できない」
「さりとて国家を転覆させる軍事的な力もない」
「もうテロを起こすしかない」
 そのような思考プロセスと考えられます.
[/quote]

▼ 以下はフォト・ジャーナリストの視点.
 「貧しい人は,人のせいにしても生活できない」という部分に要注目.

――――――
 ジャーナリストの中には,
「テロの背景には貧しさがある」
と,テロにも正当性があるように言う人がいますが,それは間違いだと思います.
 第一,貧しい人がテロに加わっていません.
 米国で貿易センタービルに突っ込んだ実行犯の殆どは,豊かな階層の人々でした.
 大学総長の孫や検事の息子,海外留学をした人もいます.
 貧しければ,人のせいにして愚痴を言っているだけでは生きていけません.
 僅かな収入のためでも,いま路上に出て働かなければならないのです.
 今日を食べなければいけないのです.
 テロ実行犯たちが,外国で差別を受けたりした経験には同情できますが,彼らは実際に働いて,生活をしてきた経験がない人たちです.
「米国が悪い」
と言って働かなくても誰かがお金を出して生活することができる境遇の人たちだったのです.

 貧しい人は,人のせいにしても生活できませんから,朝早くから夜遅くまで働きます.
 貧しさの中では,お互いに助け合わないと生きていけません.
 助けられた経験がある人が,他の人を助けることができるのです.
 それがテロリストたちとの大きな違いだと思います.
 貧困を解決するのは正しいことだと思いますが,そのために多くの人を巻き込むテロという方法をとるのは,決して許されないことだと思います.

――――――長倉洋海著『ぼくが見てきた戦争と平和』(バジリコ,2007.5.15),p.58

 それどころか,場合によっては貧困対策が逆効果となる可能性も指摘されている.

 小沢一郎も「お花畑の住人」なのではないかという疑いが,いっそう濃厚に.

 ちなみに民主党の「ネクスト防衛相」浅尾慶一郎は,以下のような見解を持っているようですが……

[quote]

 今,アフガンで一番必要なことはSSR(治安分野改革)だと言われていて,OEFに対して前文で謝意を表した安保理決議の主文でもSSRについて触れている.
 まだアフガンでは警察組織ができていなくて,文民警察という思想もないようだ.
 アフガンにとって本質的に必要なのは,治安や組織の回復や経済復興だと思う.
 その中で日本ができることは何なのか整理していくことが必要だろう.

[/quote]
―――2007年11月1日 ビデオニュース・ドットコム

 ……いや,警察組織再建を妨害するため,ターリバーンが警察を盛んにテロっている現状があるのですが.



 【質問】
 サイコパスについて教えてください.

 【回答】
http://akademeia.info/index.php?%A5%B5%A5%A4%A5%B3%A5%D1%A5%B9
http://pine.zero.ad.jp/~zac81405/p.htm
 書籍では,
『診断名サイコパス 身近にひそむ異常人格者たち』(ロバート・D. ヘア Robert D. Hare 著,ハヤカワ文庫,2000.8)
がお勧めです.

 サイコパスの場合,刺激を求めて危険なことをやりたがるらしいのですが,それがテロリストをやる理由でしょうか.

 サイコパスは感情の処理が常人と異なるため,他人の苦しみに無頓着なのだそうです.
 前頭葉の機能が弱いために感情を抑制できず衝動的で,恐怖や不安の反応が鈍いため懲罰を恐れず犯罪を犯しやすい.
http://blog.livedoor.jp/frrev/archives/50209633.html
情性欠如者
http://akademeia.info/index.php?%BE%F0%C0%AD%B7%E7%C7%A1%BC%D4

 彼らのうち社会に適応し貢献する人たちを,グロスマンは牧羊犬にたとえています.
 両者には本質的に差はないので,ヘアが主張するように隠れ有罪サイコパスと考えることもできます.

仮 in FAQ BBS



 【質問】
>貧困はテロを拡大させる要因にはなるが,原因となる事は少ないんだ.

 なぜ貧困はテロを拡大させる要因になるのか?

 【回答】
 貧困が,テロリストシンパを増やす理由としてその1

・内戦は,平均所得が低く,経済が衰退状態の時におきやすい事.
・これは,反乱グループがその不満をあおることによっておきること
・そして,内乱国はテロリスト・グループと繋がることが多く,民兵を募集する傾向にあり,彼らがテロリストになる可能性が高いこと.

 以下引用.
――――――

 反乱勢力は社会全体の状況を改善することに関心を抱いていることもありえよう,平均所得が低く,経済が衰退状態にあれば,反乱のリスクはまさしく著しく高まる.
(省略)
 反乱と低所得や経済的衰退との関係は波乱の別の原因を反映したものであろう.

――――――『戦乱下の開発政策』(世界銀行編,シュプリンガー・フェアラーク東京,2004.8),62ページ
 ただし民兵に関しては,以下の見解がある.
――――――

 反乱グループに参加する人には若くて無教育の男子が圧倒的に多い.
 このようなグループにとっては,客観的に観察される不満など,あまり関係ないのかもしれない.
 むしろ,プロバガンダで容易に操られ,銃器の所持と利用に由来する力に引かれやすい人々の中から,特に集められてきたのかもしれない.

 だが,一方ではこういう見方もある.

 一見では逆説的だがごく一般に見られる募兵に応じる動機としては,安全性の確保がある.
 自宅退去を余儀なくされた何千という人々が直面している飢餓や病気と比べれば,反乱グループの整備された施設は避難所を意味する.

――――――同,63ページ
 そして,それらが国際的テロリズムと結束しやすい理由だが,以下のように述べられている.
――――――

 内戦が生み出した避難所は大規模な世界的テロにとっては単に好都合であるだけではなく,必要不可欠なものである公算が大と言えよう.
 内戦の拡散はそのようなテロ組織に対して,立地や移転に関しての自由な選択肢を提供することになる.

――――――同,44ページ
 ちょっと都合のいいトリミングのような気もするので,突っ込みプリーズかな?

ますたーあじあ in mixi,2007年11月15日15:25


 【珍説】
 理系に進むとテロリストになるぞ!
※ただし上位校に限る.学卒もダメ.
http://news.livedoor.com/article/detail/4652314/
> 理数系の人は,社会を大きな機械のように考える傾向があるという.
> 欠陥のある部分を除去したり交換することで,修復が可能だと考える.

 【事実】
 この手の社会工学的発想は,別に理系の専売特許でもなんでもないと思うんだが.
 つか,複雑系とかやってる人はどうなるんだよ.

2010年03月11日 16:15 HASU

>高学歴テロリストの半数近くが理数系

 えっと,高学歴テロリストの総数から「理数系(半数近く)」を引いた,半数より少し多い文型のほうがテロリストになりやすいって事じゃ?
 アレ?

2010年03月11日 18:10 矢乃崎

>欠陥のある部分を除去したり交換

 社会の欠陥を合理的に見極めて対処するのなら,何も問題がないですね.
 アレ?

2010年03月11日 18:29 へげもん

 「半数近くの人がペプシを選びました」と,同じ種類ですか( ・・)/

2010年03月11日 18:44 緑川だむ

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 テロの源泉が貧困ではないとすると,テロの源泉は何なのか?

 【回答】
 ハーバード大学のアバディ教授によれば,政治的自由度,地政的位置関係など条件と各国におけるテロリズムの間にどのような因果関係があるのか,詳細に分析調査を実施した結果,貧困の度合いとテロリズムの間には明確な因果関係は見られなかったという.
 アバディ教授は政治的自由度に注目,政治的自由の度合いが非常に高い日米欧などの先進諸国と,その対極にある北朝鮮のように政治的自由度は著しく低い国の両方で国内においてはテロリズム的考え方がほとんど育成されていないこと.その一方で,中間的な政治的自由度を持つイラクなどの国でテロリズムの考えが浸透していることをを指摘した上で,テロリズム的思考はむしろ,中間的政治的自由度が大きく関わっているのではないかとの考えを示している.

 詳しくは「Technobahn」,2008/4/1付を参照されたし.


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