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◆◆◆対米テロFAQ
<◆◆アル・カーイダFAQ
<◆イスラーム過激原理主義テロFAQ目次
テロリズムFAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【link】

「Blogs of War」◆(2013/05/16) Pentagon Spec Ops Chief Sees '10 to 20 More Years of War Against al-Qaida

「VOR」◆(2012/07/25)アルカイダ 米国の「最中心部」でテロ計画
> NBCニュースによると国際テロ組織アルカイダ・イラク支部のリーダーであるバグダディ容疑者が,テロリストらが米に向い,最中心部でテロ攻撃を計画しているとの声明を表す.

「VOR」◆(2012/10/13)アルカイダの指導者 米国とイスラエルに対する聖戦を呼びかける

「VOR」◆(2012/10/31)オバマ,「ビンラディン」から寄付金受け取る

「中東の窓」◆(2012/12/29)米大使殺害懸賞金(イエメン  アルカイダ)


 【質問】
 アル・カーイダにはアメリカ人メンバーもいるのか?

 【回答】
 少なくとも2人が逮捕されている.
 以下引用.

FBI,アルカイダ支援図った疑いで米国人2人逮捕

 米連邦捜査局(FBI)と連邦検察当局は29日,国際テロ組織アルカイダへの物質的支援を図った疑いで,米国人2人を逮捕したと発表した.
 FBIなどのおとり捜査に対して,アルカイダへの忠誠を誓い,メンバーの訓練や救護などを計画していたという.
 逮捕されたのは,ニューヨーク州のタリク・イブン・オスマン・シャー容疑者と,フロリダ州のラフィク・サビル容疑者.
 03年から最近まで,アルカイダと最高指導者のオサマ・ビンラディン容疑者への支援を共謀していた疑い.
 両容疑者はアルカイダの工作員を装ったFBI特別捜査官らと面会を繰り返し,
「メンバーに格闘技を教える」
などと約束.訓練施設として使える建物を探すなどしていた.
 医師のサビル容疑者は負傷したメンバーを治療するため,今週サウジアラビアへ出発することになっていたという.
 両容疑者は31日に地元の裁判所へそれぞれ出廷する予定.
 有罪となれば,最高15年の禁固と罰金刑が課せられる.

(CNN,2005/5/30)

 当然,他にもいるだろう.


 【質問】
 オバマ政権誕生により,「テロとの戦い」はどのように変化しつつあるのか?

 【回答】
 米ランド研究所のテロ研究の専門家,アルチューロ・ムニョス上級研究員によれば,『テロとの戦い』という用語自体がもはや用いられなくなっており,たとえば2009年3月,国防総省は,『テロとの戦い』という用語を,『海外での緊急対応計画』と言い換えるよう指示しており,司法省ももはや「敵性戦闘員」という用語を使っていないという.
 しかし,アフガニスタン=パキスタン国境地帯への無人攻撃機による爆撃など,ブッシュ政権路線の踏襲もまだ行われており,基本的なコンセプトは変えていないともいえるという.
 ただ,オバマ政権は,同盟国のアドバイスにより耳を傾け,他国の考え方を考慮し,政治的な対等さを強調する姿勢をみせる点に,違いがあると,ムニョスは述べている.

 【参考ページ】
2009年9月22日9時18分,産経新聞(松尾理也)


 【質問】
 モガディシオのヘリ撃墜事件とは?

 【回答】
 1993年10月,ソマリアの首都モガディシオで米軍ヘリが撃墜され,米兵18人が死亡した事件.
 アル・カーイダの「戦果」だとする情報が広く流れた.

(黒井文太郎〔『軍事研究』誌アナリスト〕 「イスラムのテロリスト」,
講談社,2001/10/20,p.174-175,抜粋要約)


 【質問】
 リヤド事件とは?

 【回答】
 1995年11月,リヤド東部のサウディ王室直属国家警備隊訓練所兼駐留米軍統合作戦本部が,車両爆弾で攻撃され,アメリカ人5人を含む7人が殺害された事件.
 以下引用.

 犯行声明を出したのは「イスラーム変革運動」「神に仕えし者達」「湾岸の虎」等,正体不明の組織名だったが,ネーミングからはイラン=ヒズボラのラインが疑われた.

 だが捜査の結果,起爆装置のタイプが,その6日後に発生した,パキスタンのエジプト大使館爆破事件および93年の世界貿易センター・ビル爆破事件で使用されたタイプに酷似している事が判明.
 前者はエジプト人のアフ【ガ】ーン義勇兵組織「征服の前衛」の犯行,後者はアフ【ガ】ーン義勇兵系テロリスト説とイラク情報員説が共に囁かれる,ラムジ・ユセフの犯行だった.

 結局,犯行グループとしてサウディ当局に逮捕されたのは,リヤド在住のサウジ人青年4人.
 2人が,1ヵ月前にイエメンから車で爆薬を運び,2人が車両爆弾の仕掛けを担当したということだった.
 4人のうちの3人が元アフ【ガ】ーン義勇兵で,その内の一人はさらにボスニアとチェチェンでも戦闘経験があり,さらに彼らはロンドンの「法的権利擁護委員会」(亡命サウディ人反体制組織),「助言と救済委員会」(ビン・ラーディンのダミー組織)と接触した形跡があった.

 そうした傍証からは,おそらくビン・ラーディン人脈のどこかに彼らは関係していたのではないかという疑い濃厚だと言えるが,何故かそれ以上の捜査をサウディ当局は打ち切り,FBIの介入も拒否したまま,即刻処刑してしまった.

(黒井文太郎〔『軍事研究』誌アナリスト〕 「イスラムのテロリスト」,
講談社,2001/10/20,p.175-176,抜粋要約)


 【質問】
 ケニア・タンザニア在外アメリカ大使館爆破事件とは?

 【回答】
 1998年8月,ケニアとタンザニアのアメリカ大使館が,ほぼ同時刻に車両爆弾で攻撃された事件.
 特にケニアの場合,隣接するビルがほぼ全壊する被害を受け,多くの犠牲者を出した.
 死者はケニアで224人(内,米国人12人),タンザニアで10人.
 犯行後,イスラーム聖戦解放軍という,実在の確認されていない組織名の犯行声明が,複数の報道機関に寄せられた.

 アメリカは,拘束した容疑者の供述や通信傍受記録,スパイ網などの情報により,首謀者をビン・ラーディンおよび,その副官ムハマド・アテフと断定.
 アテフはエジプト国籍.娘がビン・ラーディンの息子と結婚しているといわれる.

 ビン・ラーディンから大使館爆破を命じられた犯人は,事件の4年前,1994年から現地に送り込まれていた.スーダンにクラスビン・ラーディンが国籍を剥奪され,ロンドンにダミー事務所を開設してネットワーク拡大に乗り出したと見られる頃である.

 同年8月18日は,タリバーンに彼らの身柄引き渡しを要求したが,タリバーンは拒否.
 すると同月20日夜,米軍は,ビン・ラーディンの関連施設を巡航ミサイル「トマホーク」で攻撃.
 攻撃されたのは,アフ【ガ】ーニスタンではアル・カーイダの司令部1ヶ所と訓練キャンプ4ヶ所,武器庫1ヶ所.
 スーダンでは,ビン・ラーディンが関与する化学兵器工場とされた1ヶ所.
 しかし,スーダンの標的については誤爆だったことが,後に明らかにされている.

 その日に攻撃した理由について,米軍は,
「新たなテロが準備されていたこと」
「その日のビン・ラーディンの所在について情報があったこと」
と説明.しかし,ビン・ラーディンは無傷だった.

 事件以後,アメリカ当局はビン・ラーディンの国際ネットワーク追跡に本格的に乗り出した.通信傍受などの諜報活動により,ビン・ラーディンのネットワークが既に中東各国のみならず,ヨーロッパ,アジア,アフリカ,さらにはアメリカ本国にまで広がっていると見なされていたからだ.

 事件の容疑者達はアメリカに移送,ニューヨーク連邦地裁に起訴された.
 訴追されたのは計22人だが,逮捕されて実際に裁判に臨んだのは9人.
 首謀者と見なされたビン・ラーディンは,米司法当局が懸賞金500万ドルで国際指名手配した.

 詳しくは,黒井文太郎〔『軍事研究』誌アナリスト〕著 「イスラムのテロリスト」(講談社,2001/10/20),p.177-180を参照されたし.


+

 【質問】
 ロサンゼルス空港爆破未遂事件とは?

 【回答】
 1999/12/14,爆弾を満載した車両と共に,カナダ西部からフェリーでアメリカ入国を図ったアハマド・レサムがワシントン州ポート・アンゼルスで逮捕され,発覚した事件.
 続いて,東部バーモント州から入国しようとしていたマフタル・ハワリがカナダ側で,その仲間アブドル・ガニ・ムスキニも潜伏中のニューヨークで逮捕された.
 彼らはいずれもアルジェリア国籍.

 このときアメリカ政府は,「ミレニアム・テロ」について警報を発している.
 ミレニアム・テロとは,20世紀最後のラマダン明けとなる2000/1/3に予定され,アメリカ,ヨルダン,イスエメンの少なくとも6ヶ所の標的を一斉に爆破,1000人規模の人間を殺害しようという計画だった.

 さらにFBIの追跡により,計画責任者であるモーリタニア人モハムベドゥ・オウルド・スラヒが,同月中に逃亡先のセネガルで逮捕.
 彼はアル・カーイダの有力メンバーと見られている.

 詳しくは,黒井文太郎〔『軍事研究』誌アナリスト〕著 「イスラムのテロリスト」(講談社,2001/10/20),p.180-181を参照されたし.


 【質問】
 ヨルダン高級ホテル爆破未遂事件とは?

 【回答】
 20世紀最後のラマダン明けとなる2000/1/3に,アメリカ人が多く集まる,アンマンの米国系高級ホテル爆破をアル・カーイダが計画していたが,未遂に終わった事件.
 また,アメリカ大使館も狙われていたのではないかという情報もある.
 1999年12月,アル・カーイダのメンバー,ハリル・サイード・デュークが指揮するテロ班13人が,ヨルダンとアメリカの情報当局による合同作戦によって摘発され,阻止された.

 アフ【ガ】ーン帰還兵が多いヨルダンは,かねてからイスラーム・テロリストの拠点と見られてきたが,99年2月のフセイン国王死去後,アブドラ新国王体制下のヨルダン情報部は,CIAやFBIとの連携を急速に深めた.
 ヨルダンはハマスを国外追放すると共に,国際テロ人脈にも強いヨルダン情報部は,99年中に少なくとも2件の反米イスラーム・テロ計画をアメリカに通報したとされる.
 こうして逮捕された中の一人に,ハリル・ジヤドがいた.
 彼はアル・カーイダのハイテク機器調達担当として,主にフロリダで働いてきたとされるが,逮捕後,FBIと取引してスパイに.
 そしてこの摘発も,ジヤドの情報が元になった.

 ちなみに,このときヨルダン情報部が逮捕した容疑者が,ビン・ラーディンがアフ【ガ】ーンのテロリスト訓練所で使用している6巻のテロ・マニュアルをコピーしたCD-ROMが押収され,FBIに引き渡された.
 内容は,爆弾製造法からテロ作戦の立て方までを詳細に解説したもの.1000ページにも及び,組織内では「マウスーア(百科事典)」と呼ばれていた.

 詳しくは,黒井文太郎〔『軍事研究』誌アナリスト〕著 「イスラムのテロリスト」(講談社,2001/10/20),p.181-182を参照されたし.


 【質問】
 秘密収容所とは?

 【回答】
 東欧にあるとされる,アル・カーイダ・メンバーを収容し,尋問するための施設.
 2006/9/6のブッシュ大統領演説で,その実在を初めて米国政府は認めた.
 一部報道によれば,拷問も行われていたという.
「現在は収容者はいない」
と,説明されている.

 以下引用.

<米大統領>CIA秘密施設の存在,初めて認める

 【ワシントン及川正也】ブッシュ米大統領は6日,ホワイトハウスで演説し,米中央情報局(CIA)が国外の秘密施設で重要テロ容疑者を取り調べていたことを初めて認めた.
 大統領はCIAの尋問を受けていた14人の容疑者をキューバの米グアンタナモ海軍基地の収容所にすでに移送し,特別軍事法廷での裁判を求める意向を表明した.
 CIAの海外秘密施設についてブッシュ政権は言及を避けてきたが,大統領は演説で「尋問がほぼ終了し,公判手続きを開始する」と述べ,施設の存在を明かした.
 秘密施設については欧州諸国からの反発が強く,強引な尋問が行われた可能性が指摘されているが,大統領は「米国は拷問はしていない」と強調した.
 大統領は演説で秘密施設での取り調べを「CIAプログラム」と表現した.
 大統領はCIAが尋問で得た情報の重要性を指摘した上で
「司法省が何度も合法性を確認した」
と正当性を主張した.
 CIAプログラムの対象は一時,100人弱だったとされるが,大統領は14人の移送で,秘密施設の収容者は現在いなくなったと語った.
 大統領演説によると,関係当局は02年,同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン容疑者と関係があるとみられるアブ・ズバイダ容疑者をパキスタンで拘束.取り調べに応じないため,CIAによる尋問を実施したところ,国際テロ組織アルカイダの実態解明につながる情報を次々と明かした.
 供述を基に当局がアルカイダのナンバー3とされるハリド・シェイク・ムハンマド容疑者を逮捕すると,同容疑者は米国の高層ビル爆破や炭疽(たんそ)菌入手などを計画していたと語った.
 この他,CIAの尋問を通じて
(1)ジブチの米海兵隊施設攻撃
(2)パキスタン・カラチの米領事館爆破
(3)ハイジャックした旅客機でロンドンに向かう
――などの情報を入手し,テロ計画を事前に阻止したという.

毎日新聞,2006年9月7日12時16分

<米大統領>欧州の追及に譲歩…「CIA秘密施設は存在」

 【ブリュッセル福原直樹】
 〔略〕
 ブッシュ大統領の演説によると,当局は02年,米同時多発テロの首謀者とされる国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者と関係があるとみられるアブ・ズバイダ容疑者をパキスタンで拘束.
 CIAの尋問で得られた供述を基に,当局がアルカイダのナンバー3とされるハリド・シェイク・ムハンマド容疑者を逮捕すると,同容疑者は米国の高層ビル爆破や炭そ菌入手などの計画を明らかにしたという.
 欧州評議会や欧州連合(EU)の欧州議会は,CIAが欧州各国で「テロ容疑者」を不当に拘束した際に使ったとされる航空機の飛行記録を調査し,ルーマニアやポーランドに秘密収容所があると指摘していた.
 さらに,欧州側は不当拘束疑惑の「被害者」の証言を克明に調査した上で,彼らが送られたというエジプトなど第三国やグアンタナモ米海軍基地(キューバ)の収容所で国際法違反の虐待が行われたと断定している.

 今回,ブッシュ大統領は秘密収容所の場所を明らかにしていない上,
「CIAはテロ容疑者を拷問していない」
と主張している.
 これに対して,欧州側では
「米がその場しのぎの回答を行った」(欧州議会幹部)
との批判がくすぶっている.
 〔略〕

毎日新聞,2006年9月7日12時56分

裸にしたり大音響の音楽流す=アルカイダ幹部にCIAが厳しい尋問−米紙

 【ニューヨーク10日時事】10日付の米紙ニューヨーク・タイムズは,中央情報局(CIA)が拘束した国際テロ組織アルカイダの幹部から他のメンバーの情報などを得るため,この幹部を裸にしたり,大音響の音楽を聴かせたりするなど拷問に近い「強制的な取り調べ手法」を用いていたと報じた.

時事通信,2006年9月10日17時1分

 過度な人権擁護がテロを防止できたという実例を出されたし.

 【関連リンク】
「gigazine」:悪名高い米軍グァンタナモ基地秘密収容所の真実の姿に迫る写真集


 【質問】
 アカバ港米艦艇ロケット攻撃事件とは?

 【回答】
 2005/8/19朝,アカバ港寄港中の米艦艇を狙ってロケット弾が発射され,ヨルダン兵2名が死亡した事件.
 アル・カーイダ系組織「アブドラ・アッザーム旅団」が犯行声明を出している.
 以下引用.

米艦狙いロケット弾 ヨルダン兵2人死傷 テロ組織声明 アカバ

 【アシュケロン(イスラエル南部)=黒沢潤】ヨルダン南端の港町アカバで十九日朝(日本時間同日午後),寄港中の米艦艇を狙ったとみられるロケット弾が少なくとも二発発射された.
 ロケット弾は米艦には命中せず,近くの倉庫などに着弾してヨルダン兵二人が死傷した.
 イスラエル紙ハアレツ(電子版)によると,アカバに隣接するイスラエル南部エイラートの空港付近にも一発が着弾した.
 国際テロ組織アルカーイダ系とされる「アブドラ・アッザーム旅団」を名乗る組織が
「米軍艦を狙いロケット弾三発を撃ち込んだ」
とする犯行声明を出した.真偽は不明.
 ヨルダンでロケット弾が使われた攻撃は一九六八年以来で極めて異例だ.

 ヨルダン治安当局筋はロイター通信に,事件に関与した疑いでシリア人一人とイラク人二人の行方を追っていると述べた.
 犯行グループがロケット弾を発射したとみられる港近くの工業用倉庫は,数日前にイラク人三人とエジプト人一人が借りたものだったことも判明し,当局は周辺を封鎖して捜査している.

 ヨルダン海軍との合同演習のためアカバ港に寄港していた米艦艇二隻は事件後,港を離れた.イスラエルのモファズ国防相は,ヨルダン側と連絡を取り,背景解明を急いでいると表明した.

 アカバ湾の最も奥に位置するアカバとエイラートは,外国人にも人気のマリンリゾートで,アカバは,米軍がヨルダンを通じて陸路でイラクに物資を運び込む際の荷揚げ拠点ともなっている.
(産経新聞,2005/8/20)
 国際テロ組織アルカイダ系「アブドラ・アッザム旅団」を名乗る組織が同日,ユダヤ人と米軍を狙ったとする声明をウェブサイトに出した.信ぴょう性は不明.
 イスラエルのモファズ国防相は,両国を狙った武装勢力の同時攻撃との見方を示し,ヨルダン治安当局の捜査に協力している.
 イスラエルが進めるガザ地区撤退との関連は不明.
 ヨルダン治安筋によると,アカバ市内の倉庫から,米艦艇,エイラート,アカバの軍病院の3カ所に向けてロケット弾計3発が発射された.
 同国治安部隊は,倉庫を借りていたイラク人やエジプト人のグループを包囲,うち1人を殺害した.

(共同通信,2005/8/19)


 【質問】
 ロサンゼルス高層ビル攻撃計画とは?

 【回答】
 アル・カーイダが9.11後に計画していた,9.11類似のテロ計画.
 警戒され易いアラブ人ではなく,マレーシア人を実行犯にしようとしていたが,2002年初め,アル・カーイダ幹部が拘束されたことにより挫折したという.
 以下引用.

アルカイダ,ロサンゼルスでも超高層ビル攻撃計画=ブッシュ米大統領

 [ワシントン 9日 ロイター] ブッシュ米大統領は9日の演説で,2001年9月11日の同時多発テロ後,アルカイダがロサンゼルスの超高層ビルを攻撃する計画を立てていたが,米国と同盟諸国がこの計画を阻止したことを明らかにした.
 大統領は「02年初め,ある東南アジアの国がアルカイダの重要人物を拘束した時点で計画は頓挫した」と話した.
 米政府は昨年10月,アルカイダの計画10件が阻止され,その中に米西海岸をハイジャック機を用いて攻撃する計画もあったことを明らかにしていたが,9日の大統領演説ではより詳しい内容が説明された.
 大統領は,同時多発テロの首謀者ハリド・シェイク・モハメド容疑者が01年10月,靴に仕掛けた爆弾で旅客機を乗っ取り,米西海岸で最も高いビルを攻撃する計画に着手したと指摘.
 アラブ系の乗っ取り犯よりもむしろ疑われにくいと同容疑者が考えた,東南アジアの若い男性を起用しようとしたと語った.

(ロイター) - 2006年2月10日7時40分

マレーシア人起用を計画 テロの操縦士にアルカイダ

 【シンガポール10日共同】国際テロ組織アルカイダが2001年9月の米中枢同時テロ後に,旅客機を乗っ取りロサンゼルスの超高層ビルに激突させる別のテロを計画した際,操縦士としてマレーシア人エンジニアを起用しようとしていたことが10日,分かった.AP通信がマレーシア政府関係者の話として伝えた.
 エンジニアは中枢同時テロが引き起こした惨劇を目にしていたため計画から身を引き,02年12月にマレーシア当局へ自首,拘束されている.
 このエンジニアは,ロサンゼルス襲撃のためアルカイダが雇い入れた3人のうちの1人.

(共同通信) - 2006年2月10日22時12分更新


 【質問】
 シアーズ・タワー・テロ未遂事件とは?

 【回答】
 2006/6/7に発覚した連続テロ攻撃計画.7人逮捕.
 FBI事務所数カ所,マイアミの連邦ビル,シカゴのシアーズ・タワーに対する攻撃を計画していたという.
 アル・カーイダの関与が疑われている.
 以下引用.

米FBIなど,テロ攻撃計画容疑で7人逮捕=関係筋

 [マイアミ 22日 ロイター] 米フロリダ州の当局は22日,米連邦捜査局(FBI),その他の法執行当局がテロリスト関連の捜査の一環で数人を逮捕したとの声明を発表した.
 米法執行当局筋によると,逮捕された7人はアルカイダと関連がある,とみられており,FBI事務所数カ所,マイアミの連邦ビル,シカゴのシアーズ・タワーに対する攻撃を計画していた容疑がかけられている.
 CNNは,FBIなどの逮捕はマイアミのリバティシティという貧困地区で行われたが,武器や爆発物製造に関連した物は見つかっていない,と伝えていた.

ロイター,2006年6月23日10時31分

アルカイダと関連か 米テロ計画のグループ

 【ニューヨーク23日共同】米検察当局は23日,シカゴの高層ビル「シアーズタワー」などへのテロ攻撃を計画したとして逮捕された容疑者7人が,国際テロ組織アルカイダに対する「忠誠」を誓っていたと発表した.ロイター通信などが伝えた.
 7人に対する起訴状で明らかにした.実際にアルカイダと接点があったかどうかは不明.シアーズタワー攻撃では,米中枢同時テロに匹敵する規模のテロを狙っていたという.
 同通信によると,7人は平和的な宗教組織のメンバーだったという証言もある.
 7人のうち5人は米国人だった.

共同通信,2006年6月24日1時8分

 米メディアによれば,7人中5人が米国人,1人はハイチ人.一部は急進的な黒人イスラム団体と関係があったという.
 テロ計画は初期段階だったとみられている.
 シアーズ・タワーは北米一の高層ビル.

時事通信,2006年6月23日13時1分


 【質問】
 NY川底トンネル爆破未遂事件とは?

 【回答】
 2006/7/6報道されたテロ計画.2005年には関知されていたという.
 アル・カーイダ関係者の自供により発覚したとも,チャット・ルームの監視から発覚したとも,電子メールの盗聴から発覚したとも報道されている.
 グループにはザルカウィから資金や戦術の支援を受けていた疑いがもたれている.
 3人逮捕,5人追跡中.
 以下引用.

NY川底トンネル爆破計画,テロ組織関係者らが供述

 【ワシントン=坂元隆】ニューヨークのマンハッタン島とニュージャージー州をつなぐ鉄道の川底トンネルを爆破する計画が7日発覚した.

 米連邦捜査局(FBI)などによると,レバノンで逮捕された国際テロ組織アル・カーイダ関係者の男(31)をはじめとする米国外在住の8人の容疑者が明らかにしたもので,今年10月から11月の決行を狙っていたという.
 この鉄道はハドソン川の下を通り,平日にはマンハッタンに職場のある通勤客ら約21万5000人が利用している.
 AP通信によると,容疑者の1人はトンネル爆破によってウォール街などのあるマンハッタン島南部の地域に大洪水を起こすつもりだったと話している.

読売新聞,2006年7月8日13時46分

NYトンネル爆破テロを阻止=アルカイダ系のレバノン人ら逮捕−米

 【ワシントン7日時事】米連邦捜査局(FBI)は7日,ニューヨークの中心部に接続する鉄道トンネルを狙った自爆テロ計画を阻止したと発表した.
 米国外にいる容疑者8人のうち,国際テロ組織アルカイダとつながりのある首謀者のレバノン人のアッセム・ハマウド容疑者(31)ら3人が既にレバノン当局などに逮捕された.
 ハマウド容疑者らは,ニューヨーク・マンハッタン島と西側のニュージャージー州とを結ぶ鉄道トンネルを爆破し,世界的金融街のウォール街に洪水を起こすことを計画.
 関係当局が電子メールなどによる謀議を監視していたが,今年10〜11月の実行に向け訓練や武器調達などの準備に着手しようとしたことから,逮捕に踏み切った.

時事通信,2006年7月8日11時1分

 〔略〕
 記者会見したFBIのマーション・ニューヨーク事務所副所長によると,攻撃対象はマンハッタン島南部と,ハドソン川をはさんだ西岸のニュージャージー州を結ぶ鉄道トンネルなど.
 〔略〕
 関与が疑われる8人のうち主犯格はレバノン人のアセム・ハムード容疑者(31)でベイルートで拘束中.アルカイダ指導者のウサマ・ビンラディン容疑者に忠誠を誓い,同組織のメンバーだと自称しているという.
 FBIは約1年前に計画を察知,関係者の監視を続けていたが,標的偵察や武器入手を始める兆候が確認されたため,関係当局が容疑者の拘束に踏み切った.
 捜査には「3大陸の6カ国」(同局)が協力,残る5人の行方を追っている.
 米CNNテレビはカナダ,パキスタン,イラクが捜査に参加していると報じた.
 ニューヨーク・デーリー・ニューズ紙などによると,FBIはインターネット上で文章をやり取りできる「チャット・ルーム」の監視中に計画の存在を知った.

毎日新聞,2006年7月8日10時43分

 〔略〕
 グループはトンネルの中央部に爆薬を仕掛けて爆破し,ハドソン川から流れ込んだ水でウォール街(米金融街)があるマンハッタン島南部を洪水にする計画だった.
 〔略〕
 連邦捜査局(FBI)当局者などによると,グループは,ザルカウィ容疑者から資金や戦術の支援を受けていた疑いがもたれているが,実際に資金が渡っていたかどうかは明らかでない.

時事通信,2006年7月8日1時1分

 7日付の米紙デーリー・ニューズは,マンハッタンとニュージャージー州を結ぶホランドトンネルが標的だったと報じた.
 一方,ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると,ニューヨーク州選出のシューマー上院議員は,同トンネル北方にあるリンカーントンネルが攻撃目標だったと示唆した.

共同通信,2006年7月8日0時46分


 【質問】
 アル・カーイダは米国再攻撃の準備を進めているのか?

 【回答】
 そういう報道もある.

 2007/7/12,AP通信は,ブッシュ米政権が新たにまとめる機密報告書「国家情報評価」の原案で,国際テロ組織アル・カーイダが大量破壊兵器の入手を模索する一方,米国内への工作員潜入作戦を強化させようとしている,と指摘していると報じた.
2007年7月13日18時51分,毎日新聞

 これは,国防省筋のまとめた秘密報告書のドラフトがリークされた,と報じられたもので,アル・カーイダは以前より強力で米国攻撃を準備しているなどというものらすぃ.
 ただし,このリーク報告書の内容には,STRATFORが噛み付いていて:
STRATFOR:アル・カーイダの組織再強化という説のリアリティについて
Geopolitical Diary: The Reality of Al Qaeda's Resurgence

July 13, 2007 02 12 GMT


この報告書の内容は,STRATFORのアル・カーイダへの評価や分析と真っ向から対立するもので,その主張に同意できないと書いている.
 STRATFORは,所謂現在のアル・カーイダ勢力を,
(1)元祖アル・カーイダで911攻撃を実行した実績あるグループ,
(2)アル・カーイダの名を名乗る諸国の過激派勢力で,分家勢力とかフランチャイズと見なすべきもの,
に分けて考えるべきと言う.

 その上で,元祖アル・カーイダには人材や技術もあったが,今では主要メンバーの一部を失い,首領が洞窟に隠れているような状況で,アメリカ本土のテロを実行する能力は無いという.
 フランチャイズのほうは世界各地で事件を起こすなど元気があるが,元祖ほどの戦略や技術や人材が無いので,9・11クラスの攻撃は無理だろうという.

 むしろ,こういう秘密報告書がリークされるというのは政治的な,あるいは派閥争い的な意図があって,陰謀工作的にやっていることでがないか,と書いている.

――――――
The agency would keep its intelligence secret until it had neutralized the militants.
Shouting to the world that it knows what the militants are up to tells the militants they have been penetrated and starts them on the process of going underground and sealing the leak.
――――――

ニュース極東板


 【質問】
 ニューヨーク地下鉄爆弾テロ計画事件とは?

 【回答】
 2009年9月に発覚した,ニューヨークを狙った爆破テロ計画.
 米コロラド(Colorado)州で空港シャトルバスの運転手をしていたナジブラ・ザジ Najibullah Zazi (24)が,ペシャワル Peshawar で爆弾製造訓練を受け,コロラド州で自家製爆弾を研究し,爆弾攻撃を実行するためにニューヨークに移動した容疑で2009.9.24に逮捕され,2010.9.24に起訴された.

 その後,更に3人のテロリストが逮捕され, 2010.7.7には米司法省は,アル・カーイダの幹部らメンバー5人を起訴したと発表した.
 起訴されたのは,アル・カーイダの対外作戦を担っていた元幹部アドナン・エルシュクリジュマ(逃亡中),調整役のアフマドら5人.
 米英両国在住の工作員を勧誘し,両国内でのテロを計画したとされる.

 ザジは9月,共犯者らとキッチン付きのホテルを借り,デンバーの複数の美容品店で大量の過酸化水素とアセトンを購入して運び込み,爆弾製造の実験をしていたと見られている.
 また,インターネットを通じ,ニューヨークのホームセンターで爆弾製造に必要なもう1つの材料である塩酸を探していた疑いも掛けられている.

 テロ計画の内容は,クィーンズ区に住む高校生2人が,ラッシュアワーのマンハッタンのタイムズスクエアーとグランドセントラル駅にて自爆テロを行うというものであった.
 ホルダー米司法長官によれば,爆破計画は9月14日〜16日の間に行われる予定であったという.

 ニューヨーク連邦地裁での罪状認否にて彼は,ニューヨーク中心部の地下鉄網の爆破を計画していたことを認めた.
 また,この罪状認否で彼は,2008年にパキスタンに渡航し,アル・カーイダの勧誘を受けてその軍事訓練を受け,帰国前に「マンハッタン殉教計画」と呼ばれるテロ計画を実施するよう命令されたと述べた.

 一方,虚偽の供述をした容疑で逮捕された,ニューヨークのイスラム教指導者アフマド・ワイス・アフザリ Ahmad Wais Afzali (37)と,ザジの父親モハメド・ザジ Mohammed Zazi (53)の2人は,後に保釈された.

 ホルダー米司法長官は
「同時テロ後,米国にとり最も深刻な脅威の一つだった」
と述べた.

 【参考ページ】
2010年7月8日9時17分,時事通信
2010.9.25,AFP
http://offline-keitai-usa.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-56a7.html

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 【質問】
 ワインスタイン拉致事件とは?

 【回答】
 2011年8月,コンサルタント会社社員の米国人男性ウォーレン・ワインスタイン(70)が,パキスタン東部の都市ラホールの自宅で,拉致された事件.[1]
 拉致したのは銃で武装した集団であり,地元警察と米当局者は,どのグループの犯行かについて正式発表はしていなかったが,イスラーム過激派武装集団が主犯とみられていた.[3]
 ワインスタインは,米メリーランド州のロックビルに自宅があるが,数年間パキスタンで働いており,ウルドゥー語を話す.[3]


 2011.12.1,アル=カーイダの指導者アイマン・ザワヒリが,複数のイスラーム過激派のウェブサイト[2]にてビデオ声明を出し,彼を人質にしていることを明らかにした.[1][2][3]
 声明の中でザワヒリは,
「米軍がアル=カーイダやターリバーンに少しでも関連すると考える者を,全て拘束するのと同様に,1970年代以降,パキスタンへの米国の支援者として働いている,この人物を拘束した」
と述べ[3],解放の条件として,8項目を要求.[2]
 アフ【ガ】ーニスタン,パキスタン,ソマリア,イエメンでの米軍の空爆停止,[1][2][3]
拘束されているターリバーンやアル=カーイダのメンバーの釈放,[1][3]
1993年の世界貿易センタービル爆破事件の犯人の釈放,[2]
オサマ・ビンラーディンの親族の釈放[2]
などを求めた.

 【参考ページ】
[1]産経新聞,2011年12月3日(土)0時5分(ニューデリー 田北真樹子)
[2]CNN,2011年12月2日(金)13時3分
[3]ウォール・ストリート・ジャーナル,2011年12月2日(金)12時44分


 【質問】
 ホセ・ピメンテル事件とは?

 【回答】
 2011.11.20のニューヨーク市警発表によれば,市内の警察施設などへのテロ攻撃を計画した疑いで,ドミニカ共和国出身の米国人,ホセ・ピメンテル容疑者(27歳,無職)が,テロ未遂容疑で逮捕された事件.[1][3][4]
 警察車輌[4]や郵便局[3][4],イラクやアフガニスタンから帰国した兵士らを狙う目的でパイプ爆弾を作っていた[2][3][4][5]との報道もある.

 ピメンテルは,イエメンのテロ組織「アラビア半島のアル・カーイダ」のウェブマガジン「インスパイア」でパイプ爆弾の製造法を知り,爆薬や起爆装置を作るのに必要な材料を購入したという.[1][3]

 個人的な犯行で,組織の関与は見られない模様.[1][2][3]
 彼は故アンワル・アウラキ師を信奉し[3][4],同師と接触しようとしていたが,返事はもらえなかったという.[3]
 犯行の動機は,ニューヨークにも「ジハード(聖戦)」を実行する「イスラム聖戦士」がいることを誇示することだったと見られている.[3]

 警察は不審な言動を理由に,2009年から彼を監視していたが,9月30日にアウラキ師が米軍の無人偵察機によって殺害されたことをきっかけに,彼がテロ計画を実行に移す姿勢を強め,マンハッタン北部のアパートでパイプ爆弾の製造を始めたことから,爆弾が爆発することを恐れて,19日午後に逮捕に踏み切ったとしている.[3]

 【参考ページ】
[1]読売新聞,2011年11月21日(月)17時44分【ニューヨーク=柳沢亨之】
[2]日本テレビ系(NNN),2011年11月21日(月)13時28分
[3]CNN,2011年11月21日(月)11時51分
[4]時事通信,2011年11月21日(月)10時57分
[5]ロイター,2011年11月21日(月)10時40分


 【質問】
 ビン=ラーディンによるオバマ暗殺計画とは?

 【回答】
 米政府高官によれば,パキスタン北部アボタバードにあった,ビン=ラーディンの隠れ家にて,海軍特殊部隊SEALの隊員が押収した,数千点の文書の中に,オバマ米大統領やペトレイアスISAF司令官(当時)の暗殺を狙っていたことを示す,自筆のメモが見付かったというもの.[1]
 メモは長さ48ページで,ザワヒリ宛てに2010年10月に作成されていた.[1]
 同メモによれば,ビン・ラーディンは,オバマやペトレイアスがアフ【ガ】ーニスタンに滞在している間,暗殺の機会を探るよう指示.[1][2]
 オバマが暗殺された場合,バイデン副大統領が昇格するが,同氏に大統領職は務められないとさげすんでもいたという.[1][3]
 一方,ペトレイアスについては,イラク戦争を好転させ,鳴り物入りでISAF司令官に就任した,当時の「時の人」であり,殺害すれば「戦争の道筋が変わる」と指摘していた.[3]

 また,米国内で大規模攻撃を仕掛けるため,部下に対し適切な責任者を任命することも求め,これに対し,当時のナンバー2だったザワヒリが,米本土で米国人を攻撃するより,アフ【ガ】ーンで米軍兵士を襲うほうが,より現実的な選択と反論していたという.[1]

 米政府は,アルカーイダに計画を実行する経済面や組織力はなかったと分析している.[3]

 【参考ページ】
[1]CNN,2012年3月17日(土)15時21分
[2]時事通信,2012年3月17日(土)14時35分
[3]産経新聞,2012年3月17日(土)10時11分【ワシントン=犬塚陽介】


 【質問】
 在ベンガジ米領事館襲撃事件とは?

 【回答】
 発端は,1本の映画だった.

 2012.9.11,リビア東部のベンガジで,アメリカ領事館が,武装した群衆に襲撃された.[1][2]
 安全な場所に避難しようとした大使らの車両は,ロケット弾で攻撃され[3][5],この襲撃で,J. クリストファー・スティーブンス J. Christopher Stevens 大使と職員4人が死亡した.[1][2][3]

 群集が領事館を襲撃したのは,『Innocence of Muslims』というタイトルの,イスラーム冒涜映画に憤激したためだった.[1][2]
 これはアメリカで製作されたもので,その中では,イスラームの預言者ムハンマドが,好色なバイセクシャルとして描かれている.[1][4]
 現代のエジプトで,キリスト教徒の医師がイスラーム教徒に診療所を襲撃されるシーンから始まり,物語はその後,ムハンマドの時代にさかのぼり,預言者が妻や他の女性と性的な関係を持つ場面もみられる.[4]
 また,コーランがユダヤ教の聖典やキリスト教の聖書から作られたと解されるエピソードや,ムハンマドが子どもを犠牲にする冷酷な指導者として描くシーンもあった.[4]
 製作者は,アメリカ在住のエジプト人コプト教徒ナクラ・バスリ・ナクラや,フロリダ州のキリスト教過激原理主義者テリー・ジョーンズ牧師ら.

 騒擾の数週間前から,インターネット上で広まっていた[4]が,アラビア語に吹き替えられた際に,内容がゆがめられた可能性もあるとニューズウィーク誌は指摘している.[8]
 一説によれば,オリジナル版の題名は『無邪気なイスラーム教徒』ではなく『砂漠の闘士』,「預言者ムハンマド」とされた人物の名は,「マスター・ジョージ」だったという.[8]

 群集の抗議は,エジプトの首都カイロでも行われ,大使館から星条旗が破り取られた.[1]
 また,領事館襲撃事件後も,チュニジアやモロッコ,スーダンなどに次々に飛び火した.[8]

 しかし,リビアでは領事館をロケット弾で攻撃するなど,エジプトのデモとは性格を異にしており,在リビア外交筋では当初から,
「欧米に敵対的な勢力の犯行の可能性が大きい」
と見ていた.[2]
 米下院情報特別委員会(Permanent Select Committee on Intelligence)のマイク・ロジャース(Mike Rogers)委員長(共和党)は12日,米CNNに対し,
「細部にはまだ明確になっていない点もあるが,明らかにアル=カーイダ型襲撃の特徴を備えている」
「アル=カーイダがここ数か月間,西側の攻撃標的を探していたのを,われわれは把握していた.
 そのような場所は北アフリカ全域にある.
 今回の襲撃をアル=カーイダ系グループの犯行と信じるに足る行動がみられていた」
と語った.[3]
 政府高官は,重武装した襲撃グループが現地時間の11日午後10時ごろに敷地内に侵入し,建物に放火.銃撃戦が繰り返されるなど「明白な複合的攻撃だった」と述べ,襲撃が組織的に計画された可能性を示唆した.[6]

 そんな中,「アラビア半島のアル=カーイダ(AQAP)」は15日までに,事件は,米軍にアル=カーイダのナンバー2,アブヤヒヤ・リビが殺害されたことに対する報復だとする声明を出した.[7]
 同組織は,
「聖職者アブヤヒヤの殺害は,(イスラーム教の)預言者を攻撃した者たちに報復するリビア人たちの情熱や決意を高めただけだった」
と主張した.[7]
 ただ,襲撃事件の犯行を直接的には認めるものではなかった.[7]

 カーニー米大統領報道官は20日,駐リビア大使ら米国人4人が殺害されたリビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件について,「テロリストによる攻撃だったことは自明だ」との見方を示し,北アフリカのアル=カーイダ系組織「イスラーム・マグレブ諸国のアル=カーイダ(AQIM)」による犯行の可能性があると指摘した.[10][11][12][13]
 ただ,現時点で「計画性を示す証拠はない」とも指摘,武装勢力が突発的な抗議行動に乗じ,攻撃を仕掛けた可能性に言及した.[12][13]
 また,クリントン国務長官は20日,報道内容を「信じるだけの情報も理由も,全く持ち合わせていない」と実質的に否定した.[13]

 米メディアは,キューバのグアンタナモ米軍基地に収容されていた,リビア人のテロ容疑者の男が,襲撃を主導した疑いもあると報じた.[10][11]

 【参考ページ】
[1]2012年9月12日(水)21時39分,時事通信
[2]2012年9月12日(水)23時27分,テレビ朝日系(ANN)
[3]2012年9月13日(木)7時39分,AFP=時事
[4]2012年9月13日(木)9時51分,ロイター
[5]2012年9月13日(木)11時0分,ロイター
[6]2012年9月13日(木)11時21分,産経新聞【ワシントン=犬塚陽介】
[8]2012年09月13日(木)19時08分,「ニューズウィーク」◆反米暴動に火をつけたイスラーム冒涜映画の中身
[7]2012年9月16日(日)0時5分,時事通信
[9]2012年9月17日(月)7時55分,産経新聞 【ニューデリー=岩田智雄,カイロ=大内清】
[10]2012年9月21日(金)6時21分,時事通信
[13]2012年9月21日(金)14時59分,産経新聞 【ワシントン=犬塚陽介】
[11]2012年9月22日(土)9時28分,読売新聞 【ワシントン=山口香子】
[12]2012年9月22日(土)7時55分,産経新聞(ワシントン 犬塚陽介)
[14]

 【関連リンク】

「Defense News」◆(2012/10/09)Clapper: No Specific Warning of the Benghazi Attack
クラッパー氏「ベンガジの事件を事前に警告するような情報は無かった」

「NAVER まとめ」◆(2012/09/12)リビア,ベンガジで米国大使ら米国の外交官4人が殺された

「VOR」◆(2012/09/13)エジプトのデモ隊,在カイロ米大使館に2度目の強襲

「VOR」◆(2012/09/13)駐リビア米大使死亡 リビア政府 米国に謝罪

「VOR」◆(2012/09/14)国連安保理事会 一連のイスラム諸国での外国公館襲撃事件を非難

「VOR」◆(2012/09/14)タリバン,?聖映画に関しアメリカへの復讐を呼びかける

「VOR」◆(2012/09/16)米国務省 スーダンとチュニジアの大使館職員を避難へ

「VOR」◆(2012/09/18)パキスタン政府,反イスラム的映画が掲載としてYouTubeのアクセス禁止

「VOR」◆(2012/09/18)バングラデシュ ポータルYouTubeへのアクセスをブロック

「VOR」◆(2012/09/18)「反米という名の熱病」新たな国々へ波及

「VOR」◆(2012/09/19)YouTube,ロシアで閲覧ブロックか
> YouTubeに掲載された映画「イノセンス・オブ・ムスリム」について,露の裁判所が過激主義的と認定された場合,露ではYouTubeの閲覧が制限される可能性がある.

「VOR」◆(2012/09/20)米映画「イノセンス・オブ・ムスリム」出演女優が制作プロデューサーを告訴

「VOR」◆(2012/09/22)預言者侮辱映画への抗議デモ イスラム諸国で新たな犠牲者

「VOR」◆(2012/09/23)パキスタン鉄道相 反イスラム映画の製作者殺害に賞金10万ドル

「VOR」◆(2012/09/27)国連 聖物侮辱罪を刑法罪に

「VOR」◆(2012/09/28)米国で『イノセンス・オブ・ムスリム』プロデューサー逮捕
> 監視機関の特別な許可無くインターネットを利用しない事やペンネームの使用禁止といった,保護観察付き刑期前出獄の条件を犯した容疑.
> 被告は,自身は映画の製作者ではなく,イスラム教徒の感情を激しく逆撫でした映画制作会社の運営上の問題の解決に当たっただけだ,と主張.

「VOR」◆(2012/09/30)イスラム協力機構の事務局長 預言者ムハンマドの嘲笑を国際的に禁止するよう呼びかける

「VOR」◆(2012/10/01)映画「イノセンス・オブ・イスラム」 ロシアで禁止

「VOR」◆(2012/10/02)ロシア法務省 「ムスリムの純真」を過激映画に指定

「VOR」◆(2012/10/05)チュニジア当局 反イスラム映画への抗議参加者87人を極刑に

「VOR」◆(2012/10/16)クリントン国務長官 駐ベンガジ米領事館での悲劇の責任を認める

「VOR」◆(2012/11/16)ペトレウスCIA元長官,ベンガジのテロ事件について上院公聴会に

「VOR」◆(2012/12/13)クリントン国務長官 ベンガジにおける領事館襲撃事件の調査を語る

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/09/13)リビア  イスラム“冒涜”映画への抗議行動のなかで,駐リビア米国大使が死亡との報道

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/09/15)“イスラム冒涜映画”で世界のイスラム圏に拡大する反米抗議行動 難しい「異なる価値観」への理解

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/09/23)パキスタン  イスラム冒涜問題で暴動を政権批判のガス抜きに利用?

「中東の窓」◆(2012/09/11)米公館に対する攻撃(エジプト,リビア)

「中東の窓」◆(2012/09/12)反イスラム映画の余波(中東)

「中東の窓」◆(2012/09/12)米公館に対する攻撃(リビア,エジプト 2)

「中東の窓」◆(2012/09/12)米公館に対する攻撃(問題の映画の作成者について)

「中東の窓」◆(2012/09/12)米総領事館に対する攻撃(米大使の死亡?)

「中東の窓」◆(2012/09/13)反イスラム映画の余波  2

「中東の窓」◆(2012/09/13)反イスラム映画の余波 3

「中東の窓」◆(2012/09/15)米政府はベンガジ領事館襲撃の情報を得ていたと言う記事

「中東の窓」◆(2012/09/16)反イスラム映画の余波 (15日)

「中東の窓」◆(2012/09/17)キリスト教聖堂の爆破(キルクーク・イラク)

「中東の窓」◆(2012/09/17)反イスラム映画の余波(リビアとヒズボッラー)

「中東の窓」◆(2012/09/17)反米抗議の広がり

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/09/12)リビア  イスラム“冒涜”映画への抗議行動のなかで,駐リビア米国大使が死亡との報道

「ワールド&インテリジェンス」◆(2012/09/13)駐リビア米国大使殺害の犯人はアンサル・アル・シャリーアか?

「ワールド&インテリジェンス」◆(2012/09/15) なめんなよ白人デモ&暴動

「ワールド&インテリジェンス」◆(2012/09/16)反米デモとアルカイダ

「ワールド&インテリジェンス」◆(2012/09/18) 早くもピークを過ぎた中東「なんちゃって反米気分」デモ


◆◆◆◆NWA機自爆テロ未遂事件


 【質問】
 デトロイト空港ノースウエスト航空(NWA)253便自爆テロ未遂事件とは?

 【回答】
 2009.12.25正午前(日本時間26日未明),米ミシガン州デトロイトに到着した,アムステルダム発の米ノースウエスト航空(NWA)253便,エアバス330型機の乗客が,同機を爆破しようとしたとして,司法当局に身柄を拘束された事件.
 AP通信などが乗客の話として伝えたところによると,着陸20分ほど前に男の座席近辺で花火のような音が鳴り,煙が発生,炎が上がった.
 「風船が割れるような」爆発音を聞いたとの発言もある.
 そのとき,ちょうど反対側にあたる右列の窓側に座っていた乗客ジャスパー・シュリンガが,中央列の座席を飛び越え,犯人に飛びかかった.
「男性は犯人を引きずり出し,制圧した.混乱は10〜15分続いた」(乗客の証言)

 米CNNのインタビュー(2009.12.26)によれば,シュリンガは映像関係の仕事をしているオランダ人.
 フロリダに住む友人を訪問するため搭乗していた.
 取り押さえた際にシュリンガは手にやけどを負い,テレビには包帯を巻いた姿で登場した.
「ポンという破裂音の後,煙が上がり,『火事だ,火事だ!』との叫び声が聞こえた」
 ところが,煙が上がっている一角に,じっと動かない男がいた.
 おかしい….「何も考えずに反応していた」という.
「爆弾をもっていないか,体中を探した」.
 容疑者が足に煙を上げる物をくくりつけているのが見え,それを引きちぎった.
 容疑者は,取り押さえられたあと「うつろな表情をして,どこもみていないようだった」.
 機内は騒然となりパニック状態だったが,容疑者は無言のままだったという.

「乗員を含め,たくさんの人々が勇敢に行動した.彼ら彼女らもまたヒーローだ」
とも話している.

 当時,同便には乗客・乗員278人が乗っていた.
 同機はデトロイトの空港に無事着陸.
 ムタラブはけがの手当のため,病院に運ばれた.
 他に乗客2人が負傷したとの情報もある.

 米国内での宗教関係のセミナーに出席するとの理由で,ビザの発給を受け,ナイジェリアのラゴスからKLM便でアムステルダムへ行き,ノースウエスト便に乗り換えていた.
 当局者によると,ムタラブはアムステルダムで2度目の保安検査を受けていなかった.
 また,ムタラブが経由したオランダのテロ対策当局者はCNNに対し,ムタラブがアムステルダムのスキポール空港でデトロイト便に搭乗する前,通常の保安検査を通過していたと語った.
 ロイター通信がキング米下院議員の話として伝えたところによると,ムタラブは米政府のデータベースで「テロリストと強い関係を持つ」人物と記載されていたが,「搭乗禁止者」には指定されていなかったという.

▼ 28日,「アラビア半島のアル・カーイダ」は,犯行を認める声明をイスラム系ウェブサイトに掲載した.
 声明は,同容疑者が機内に持ち込んだ爆発物はアル・カーイダのメンバーが製造したと指摘.
「彼は空港で死を恐れず,あらゆる先進技術や装置による保安検査を突破した」
と称賛した.
 一方,爆破計画が失敗したことについては,「技術的な問題」があったと説明している.▲



 【質問】
 犯人が使用した爆発物は,どのようなものだったのか?

 【回答】
 2009.12.26,米捜査当局から裁判所に提出された捜査書類によると,ムタラブが機内で液体と混合して起爆させようとした爆発物は,PETNと呼ばれる強力な爆薬だとされている.
 PETNは地対空ミサイルなどにも使われる有機系化学物質.
 2001年に発生した,「靴爆弾男」リチャード・リードによるアメリカン航空機爆破未遂事件でも,使用されたという.
 犯人は,粉状のPETNを足にテープで巻き付けて機内に持ち込み,注射器のようなものに入れた液体と混ぜ合わせて爆発させようとしたという.
 連邦治安当局によるとムタラブは,PETNが含まれたプラスチック爆弾をイエメンで入手したうえ,使い方の指導も受けていたと供述したという.

 ホルダー司法長官は25日,
「もしテロが成功していれば,多数の人が死亡した」
とコメントしている.
 また,捜査関係筋が27日,CNNに語ったところによれば,ムタラブが機内に持ち込んだ爆発物の量は,機体の横に穴を開けるほどの威力があったという.

 AP通信によると,圧縮空気を人体に吹き付け,その結果を分析して爆発物の有無を判断する仕組みの最新鋭機材ならば,PETNを検知できた可能性はあったという.
 しかし,同機材は主要空港を中心に導入が進んでいるものの,使用目的はあくまで二次的な追加検査が中心で,一般客は通常のX線検査だけで終わる場合がほとんどだという.
 今回の事件を受け,この機材の導入や空港職員によるボディーチェックの実施が拡大される可能性が強い.



 【質問】
 犯人はどんな人物か?

 【回答】
 ナイジェリア国籍のウマル・ファルーク・アブドル・ムタラブ(23).

 ムタラブの実家があるナイジェリア中北部カドゥナの消息筋によれば,ムタラブの父アルハジ・ウマル・ムタラブは,ナイジェリアの有力銀行の1つ,ファースト・バンクの会長だったが,事件の少し前には退任したという.

 ロイター通信などによると,著名銀行家を父に持つアブドルムタラブは,中等教育をナイジェリア西方に位置するトーゴの首都ロメで受けた.
 入学したのは,上流階級のアフリカ人が集まる英国式国際学校(ブリティッシュ・インターナショナル・スクール).
 英国式のカリキュラムをもとに,冷房の効いた教室でエリート教育を受けるための学校だった.

 ロンドン警視庁のテロ対策班が,ムタラブをトーゴで教えた,元教員マイケル・リンマー氏を聴取したところによれば,リンマーはムタラブについて,
「彼とは険悪な雰囲気の会話を交わしたことがない」
とした上で,
「熱心で聡明で,とても礼儀正しく,教師にとって理想の人物だった」
「非常に敬けんなイスラム教徒だった」
と述べた.
 しかし一方,リマーによると,アブドルムタラブは「ほかの生徒がみな,変わり者の集団だと批判していたターリバーンについて,『支持する』と言い張っていた」という.
 ただし同氏は,高校生当時のムタラブが,故意にそうした立場を取っていたかは不明だとしている.
 校内でも説教を繰り返していたことから,付いたあだ名はイスラーム法学者を意味する現地の言葉「アルファ」だったと,地元紙は伝えている.

 カドゥナの消息筋によると,ムタラブはロンドン大学で学位を取得した.
 同大の関係者は,ムタラブとみられる人物が2005年9月─昨年6月まで,機械工学科に在籍していたことを確認している.
 友人の一人が英紙サンデー・タイムズに語ったところでは
「彼はパーティーに浮かれているような学生ではなかった.
 3年前,01年の米中枢同時テロについて話し合ったとき,彼は
『これは戦争行為だ.
 米軍はサウジアラビアに駐留し,イスラム国家に恥辱を与えている.
 必要な行動だ』
と語っていた」
という.

 彼がロンドン市内で最後に住んでいたのは,高級住宅街にあるアパートであることが判明している.
 警察のテロ対策捜査官らは26日,ムタラブが住んでいたとみられるマンスフィールド通りの建物を捜索した.
 目抜き通りのオックスフォード・サーカスから歩いて数分のオフィス街にある,イスラーム地域社会とはまったく無縁の,時価300万ポンド(約4億3600万円)もする高級住宅で,普通の留学生が暮らせるような物件ではないという.

 ムタラブはインターネットを通じ,過激思想をもった,イエメンのイスラーム教指導者を知り,大学を卒業後,イエメンに渡航したという.
 家族の関係筋によると,ムタラブは英国留学後,2つ目の学位を求めてドバイに移ったが,イエメンに行くと家族に伝え,「イスラムの道」を志していることを示唆した.
 ムタラブは英国からナイジェリアに帰国後,エジプトの首都カイロもしくはサウジアラビアへの留学を希望していたが,不審な人々との交流を恐れた家族が反対したため,ドバイ留学を決めていた.
 父親はイエメンに行くとのムタラブの連絡を受け,治安当局やナイジェリアの首都アブジャにある米大使館に対し,息子が「ある種の聖戦(ジハード)」に参加する可能性があるとの情報を提供していた.

 また,CNNテレビは29日,父親が事件前に,息子の過激化した宗教観を懸念し,中央情報局(CIA)に直接通報していたと報じた.

 ムタラブのイエメン行きについて,家族の同意や支持は一切なかったとされる.

 1カ月間,イエメンでムタラブはアルカーイダのテロリストから自爆テロの訓練を受け,爆薬などを渡されたとされる.

 その後,英国に再入国しようとニセの大学入学申請書を提出したが,今年5月に拒否された.

 CNNテレビは,彼がイエメンで爆発物を入手し,点火のタイミングの指示も受けていたと報じた.
 AP通信によれば,ムタラブはアルカーイダから,米本土上空で機体を爆破せよとの指示を受けたと供述しているという.
 しかしロイター通信が,キング米下院議員の話として伝えたところによると,ムタラブが,訓練を受けたアル・カーイダの強硬派メンバーであることを裏付ける証拠はなかったという.

 一方,アル・カーイダの側は1.24,「アル・ジャジーラ」を通じ,ウサマ・ビンラーディンが昨年末の米航空機テロ未遂事件への関与を認めたとする音声テープを公開した.
 テープは約1分で,「ウサマからオバマ(米大統領)へ」との言葉で始まり,
「(容疑者の)英雄ウマル・ファルーク・アブドゥルムタッラブの試みを通じてお前たちに送られた伝言は,(米同時テロを起こした)9月11日の英雄たちによる伝言の確認だ」
と述べた.
 また,
「イスラエルに対するお前たちの支援が続く限り,我々の攻撃は続く」
とも述べ,米国への新たなテロ攻撃も示唆した.



 【質問】
 事件を受け,どのような事件再発防止措置がとられたか?

 【回答】
 ムタラブがデルタ機に乗り継いだオランダ・アムステルダムのスキポール空港では,26日朝から乗客への厳重な身体検査や手荷物検査が実施された.
 英ブリティッシュ・エアウェイズは,ヒースロー空港などで機内に持ち込む手荷物を,1つに制限.
 フランスのシャルル・ドゴール空港では,手荷物の一部をビニール袋に入れるよう求め,米国行きの便に遅れも生じた.
 欧州各地の空港では同様の措置が取られ,各航空会社は利用者に,時間に余裕をもって搭乗手続きをするよう呼び掛けた.
 米国では国土安全保障省が,すべての国内・国際線の乗客の荷物検査や出入国審査を強化した.
 エア・カナダは自社ホームページ上で,着陸前に席から移動せず,ひざの上には物を一切,置かないよう求めた.
 香港を拠点とするキャセイパシフィック航空は,機内に備え付けられている電話の使用を禁止.
 ニュージーランドでは米国へ行く乗客を,その他の国・地域へ向かう乗客と分けて,追加の荷物検査などを実施した.

 イエメンでは,在米イエメン大使館の関係者によれば,国境での入国ビザ発給を停止し,ビザ申請窓口を海外のイエメン大使館に限定するという.
 また,テロリストや民兵の入国を水際で阻止するため,ビザ申請を徹底的に審査する方針という.

 【参考ページ】
2009年12月26日9時52分,産経新聞(ワシントン=山本秀也)
2009年12月26日9時56分,時事通信
2009年12月26日10時0分,読売新聞(ニューヨーク=吉形祐司)
2009年12月26日12時11分,産経新聞
2009年12月26日12時39分,CNN
2009年12月26日12時41分,読売新聞(柳沢亨之)
2009年12月26日15時37分,産経新聞(ワシントン=山本秀也)
2009年12月26日19時24分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)
2009年12月26日20時42分,CNN
2009年12月27日7時17分,時事通信
2009年12月27日9時5分,ロイター
2009年12月27日12時51分,CNN
2009年12月27日14時24分,時事通信
2009年12月27日20時9分,CNN
2009年12月27日21時14分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)
2009年12月27日23時0分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也,ロンドン=木村正人)
2009年12月28日7時56分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)
2009年12月28日7時56分,産経新聞(ロンドン=木村正人)
2009年12月28日10時51分,CNN
2009年12月28日11時22分,ウォール・ストリート・ジャーナル
2009年12月28日15時24分,CNN
2009年12月28日17時58分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)
2009年12月28日19時1分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)
2009年12月29日5時47分,時事通信
2009年12月29日6時26分,ロイター
2009年12月29日7時7分,ロイター
2009年12月29日10時6分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)
2009年12月30日10時46分,時事通信
2010年1月22日11時30分,CNN
2010年1月24日19時36分,CNN
2010年1月24日20時23分,読売新聞(カイロ=田尾茂樹)
「Telegraph」:Detroit terror attack: MI5 hunt for bomber's accomplices(写真共に)

 【関連リンク】
「Blog: Jack & Jill Politics」:Attempted Terrorist Attack Aboard Plane Coming Into Detroit-Nigerian National Charged(by Rikyrah,12/27/2009)
「FSM」:(2010年 01月 12日)米機テロ未遂犯を拷問してはいけない
「tnfuk」:(2009/12/26)アムステルダム発デトロイト行ノースウエスト航空機での事件に関する報道
「海洋戦略研究」:(2010/1/9)デトロイト着陸前テロ未遂事件報告書

Umar Farouk Abdul Mutallab


 【質問】
 事件防止上,各関係機関の対応に問題はなかったのか?

 【回答】
 オバマ大統領自身が29日,事件について
「情報当局は断片的ながら複数の情報を得ていた.それらをうまくつなぎ合わせれば,テロの危険を察知できたかもしれない」
と述べ,対応に問題があったことを認めている.
 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は30日,米国家安全保障局(NSA)が事件約4カ月前,イエメンのアル・カーイダ系勢力の間でかわされた,「ナイジェリア人を使ったテロ計画」についてのやりとりを傍受していたと報じた.
 同紙によるとNSAは8月,アル・カーイダ幹部の会話をキャッチ.
 テロ実行役となるナイジェリア人は特定できなかったが,機密情報として各情報機関に提供した.
 しかし注目されないまま埋もれていたという.
 NSAが傍受した当時,ナイジェリア国籍のムタラブはイエメンに滞在していた.

 さらに,11月に息子の思想傾向に不安を持った,犯人の父親が米側と接触した際,米中央情報局(CIA)担当者が対応し,報告書をまとめてもいたという.
 父親からの情報は,国家テロ対策センター(NCTC)にも送付されたが,NCTCの分析官はNSAの傍受情報とリンクさせず,警戒者リストに登録するにとどまり,搭乗拒否の対象にしなかった.
(報告書はCIA内部にとどまったままだったとする報道もある)

 2日連続の声明を出し,当局批判に大きくカジを切ったオバマ大統領の胸中について,ニューヨーク・タイムズ紙は
「当局を擁護するより,むしろ批判する姿勢を取ることによって,自らを改革者と位置づける戦略ではないか」
と分析している.

▼ また,2010.1.7にホワイトハウスが発表した,6ページの報告書では,アブドゥルムタラブとみられる人物や,「アラビア半島のアル・カーイダ」(AQAP)とのつながりに関する情報は,昨年10月中旬から12月の間に収集されていたという.
 情報は事件前に米中央情報局(CIA)と米国家テロ対策センター(NCTC)の専門家らが入手可能な状態だったものの,断片のまま全く関連付けられていなかった.
 報告書はまた,テロ対策関連の各機関が厚く保護され,手がかりから結論まで情報を追跡するメカニズムを欠いていたと指摘.
 さらに一連の人為的ミスによって情報が伝達されなかったため,アブドゥルムタラブの名前や情報のデータベース検索をめぐる問題が生じた可能性があるとした.▲

 【参考ページ】
2009年12月30日10時46分,時事通信
2009年12月30日18時49分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)
2009年12月31日16時31分,産経新聞(ニューヨーク 松尾理也)
2009年12月31日18時6分,時事通信
2010年1月24日19時39分,CNN


◆◆◆◆タイムズスクエア爆発物事件


 【質問】
 タイムズスクエア爆発物事件とは?

 【回答】
 2010.5.1午後6時半ごろ,ニューヨーク・タイムズスクエアで,爆発物を積んだ車が見つかった事件.
 車から煙が上がり,通報を受けた爆発物処理班が出動するなど,ただちに一帯が封鎖された.

 現場を含むマンハッタン一帯には多くの監視カメラが設置されており,当局で分析中.

 会見したブルームバーグ市長は,
「世界中のテロリストがニューヨークに目を向けている」
と述べ,自動車爆弾による民間人殺傷を狙ったテロ未遂だった可能性を示唆した.

 ナポリターノ米国土安全保障長官は2日,米テレビのインタビューで事件について,「潜在的なテロ事件」として深刻にとらえていると述べた.
 ただ,同長官は「爆発物はあまり高度なものとは思えない」と述べ,アルカイダのような国際テロ組織の犯行の可能性は低いとの見方を示した.
 さらに,不審車から既に指紋などの証拠を収集していることを明らかにした.

▼ 事件後,実行犯としてパキスタン系米国人ファイサル・シャザードが逮捕,起訴された.
 また,パキスタン当局は,少なくとも11人を拘束,取り調べたが,いずれも逮捕,起訴には至っていない.
 11人のうち3人は南部カラチ,残る8人は,イスラマバードからラワルピンディにかけての地域で拘束された.

 パキスタン情報筋がCNNに語ったところによると,これまでの拘束者のうち1人は,シャザードの米国時代の友人.
 その家族によれば,2000年に経営学修士(MBA)の学位を取るため渡米し,04年まで滞在.
 シャザードが2009年パキスタンを訪れた際にも,度々会っていたとされる.
 家族はCNNとのインタビューで,テロ組織や事件と本人とのかかわりを一切否定した.

 また,別の拘束者は,2009年までパキスタン軍に所属していた人物で,シャザードとは少なくとも1回,電子メールで連絡を取った形跡があるという.

 10人目に拘束された男性は,シャザードと,「パキスタン・ターリバーン運動(TTP)」との仲介役を果たしていた疑い.
 この男性のおじがCNNに語ったところによると,男性はイスラマバード市内でコンピューター部品の店を経営していて,国外に出たことはない.
 5月6日,店にいたところを私服のグループに拘束されたという.

 11人目の男性は17日,首都イスラマバード近郊ラワルピンディの警察に,自宅で拘束された.
 男性の妻がCNNに語ったところによれば,男性はまもなく釈放されると,何者かによる電話連絡があったという.
 妻によると,男性は32歳で,3人の幼い子どもがいる.
 イスラマバードの大学で経営学修士(MBA)の学位を取り,別の大学での勤務を経て,最近マルチメディア関連の新事業を立ち上げていた.
 すでに拘束されている2人と交友関係があり,米国に対しては批判的な立場を示していたが,本人も妻も宗教団体には所属していないという.

 捜査当局は,事件の背後にTTPの関与があるとの見方を示している.
 シャザードがテロを思い立ち,協力者を求めてパキスタンを訪れたとみられている.▲

 【参考ページ】
2010年5月3日7時56分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)
2010年5月2日23時38分,時事通信
2010年5月26日14時30分,CNN
2010年5月28日13時0分,CNN


 【質問】
 タイムズスクエア爆発物事件の容疑者とされるファイサル・シャザドは,どのような人物か?

 【回答】
 ファイサル・シャザド Faisal Shahzad(30)は,パキスタン北西辺境州生まれ.
 父親がパキスタン空軍の退役将校という上流家庭に育った.

 1998年末に米国の学生ビザを取得.
 コネティカット州のブリッジポート大学で,2000年にコンピューターサイエンスの学士号を,05年には経営学修士号(MBA)を取得した.
 だが,米国内の大学では目立たない学生だった.
 教授らは,彼がどんな人物だったか思い出そうとしたが,ほとんどの人は何も思い出せなかったという.

 2002年には就労ビザを取得.
 2006年から09年まで,コネティカット州のマーケティング事務所で働いていた.

 コネチカット州中心部近くのロングヒル・アベニューの小さな家を,2004年7月,27万3000ドル(2590万円)で購入.
 20%は支払い,残り80%はJPモルガン・チェースからのローンだった.
 不動産業者によれば,コネティカット州ノーウォークに持っていたマンションの売却資金を,これに充てたという.
 以降,同所に住んでいた.
 2008年,フマ・ミアンと結婚.
 2009年,米国の市民権取得.

 しかし経済的に行き詰まり,銀行ローンが払えなかったために家を失い,2009年9月に自宅を競売にかけられる.

 事件の1週間前,事件に使用された日産車を購入した.

 彼は3日遅くに,ニューヨーク発ドバイ行きのエミレーツ航空機内で逮捕された.
 関係筋によると,彼はイスラマバードに向かおうとしていた.
 その名前が緊急に搭乗禁止リストに掲載されたにもかかわらず,ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港からドバイ行きの航空券の購入に成功し,いったんは機内に乗り込んでいた.
 調査当局によると,シャザドは車で空港に向かう途中,出発を数時間後に控えた便を電話で予約し,チケットカウンターで現金で支払った.
 エミレーツ航空は渡航禁止リストを更新していなかったため,彼はそのまま搭乗することができた.
 クレジットカードでチケットを事前に購入した場合は,出航の24時間前にリストとの照合が行われる上,搭乗ゲートでも職員が確認を行う.
 その後,出航約1時間前に,税関国境警備局の運営するナショナル・ターゲティング・センター(NTC)が最終搭乗者リストを確認する.
 今回,この段階で名前が見つかったため,シャザドは逮捕された.
 NTCは,2001年9月の同時多発テロを受け,同年10月に設立されたもの.

 彼は取り調べに対し,
「パキスタンのワジリスタンで最近,爆弾製造訓練を受けた」
と供述している.
 パキスタンのマリク内相が英BBC放送に語ったところによると,シャザドは今年2月までの過去7年に,8回から10回パキスタンに入国していた.
 パキスタン内務省筋は5日,時事通信に対し,シャザドの電話の通話記録を基に,パキスタン南部カラチなどで複数の人間を拘束したことを明らかにした.
 また,情報当局者によれば,シャザードの義父や友人が4日にパキスタンのカラチで拘束され,5日にはさらに数人が拘束されて,取り調べを受けているという.
 パキスタン政府高官によれば,拘束された友人の1人は2009年7月にシャザドを車に乗せ,ターリバーンの指導者に引き合わせた疑いがかけられている.
 この友人は,アル・カーイダとの関連が指摘される武装組織「ジャイシュ・ムハンマド」につながる人物と見られている.

 かつての隣人によれば,ジョギングの際は,真っ黒な装いで夜中に出かけていた.
 日光が嫌いなんだと言っていたという.

 【参考ページ】
http://www.guardian.co.uk/world/2010/may/04/faisal-shahzad-alleged-times-square-bomber(写真も)
2010年5月5日10時42分,ウォール・ストリート・ジャーナル
2010年5月5日11時23分,時事通信
2010年5月5日20時47分,時事通信
2010年5月6日8時59分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)
2010年5月6日10時24分,読売新聞(ニューヨーク=黒瀬悦成)
2010年5月6日11時6分,CNN
2010年5月6日15時47分,時事通信
2010年5月6日15時47分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)
2010年5月6日16時3分,CNN
2010年5月7日7時56分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)

ファイサル・シャザド
(こちらより引用)


 【質問】
 タイムズスクエア車輛爆破テロ未遂事件に,ターリバーンは関与しているのか?

 【回答】
 ジョン・ブレナン大統領補佐官(テロ対策担当)は2010.5.9,CNNの番組にて,逮捕されたファイサル・シャザードが
「パキスタン・ターリバーン運動(TTP)の指示を受けて動いていた可能性がある」
と述べ,TTPが関与しているとの見方を示している.
 また,エリック・ホルダー米司法長官も同日,NBCの番組にて,TTPが「計画に深くかかわって」いたことを示す証拠をつかんでいると述べ,「彼らがこの計画を支援したことは分かって」おり,「資金援助を行っていた可能性もある」と語っている.

 ちなみにブレナンは,米政府がテロ対策を強化した結果,ターリバーンやアル・カーイダなどのイスラム武装勢力の攻撃能力が弱体化され,テロ計画を未然に防いでいる,ともコメントしている.

 【参考ページ】
2010年5月10日10時21分,CNN
2010年5月10日19時15分,産経新聞(ニューヨーク=松尾理也)


 【質問】
 サルマン・アシャラフとは?

 【回答】
 同国のケータリング企業「ハニフ・ラジプト・ケータリング」経営者の息子.
 TTPと接触がある.
 2010.5.21,タイムズスクエア車爆弾テロ未遂事件に関連し,パキスタンの捜査当局によって逮捕さる.
 父親によると彼は逮捕前の12日間,行方を絶っていたという.
 父親の企業をテロ活動の隠れみのにしていた形跡もあり,テロ攻撃は差し迫っていたことを示す特定の情報もあるという.
 実行犯シャザドとアシャラフとの関係は不明.

 【参考ページ】
2010年5月22日12時57分,CNN


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