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 【link】

「FSM」:テクノロジーは非対称戦にどこまで有効か

「F速VIP」:授業中の学校がテロリストに占拠された時の対処法を考えるスレ

「Guardian」◆(2010/07/28)Terror suspects can sue government

「Strategy Page」◆(2010/05/13)COUNTER-TERRORISM: Where Have All The Poppies Gone

「VOR」◆(2012/05/12)米国 ロ米空挺部隊,反テロ共同演習

「VOR」◆(2012/08/05)インドとロシア 対テロ合同演習を開始

「VOR」◆(2012/08/27)ロ米加反テロ合同演習開始

「VOR」◆(2012/09/13)ラヴロフ外相:ロシアと米国はテロ対策で結束しなければならない

「VOR」◆(2012/09/29)ロシアとモンゴルの対テロ軍事演習 終了

「VOR」◆(2012/12/14)国際テロ対策フォーラム会合 アブダビで開催

「VOR」◆(2013/04/24) ロシア-NATOがテロ対策合同演習を9月に

カウンターテロリズム・ブログ(英語)

「空気の意見」:テロリストの管理の失敗

「ザイーガ」:【知る】もうこれで,監視カメラに映らない,「赤外線LED内蔵ヘッドバンド」
 監視カメラを街中に設置しまくるというテロ対策をしてきた英国の,今後の対応に注目.

「新華社」◆(2010/09/17)上海協力機構,カザフで反テロ軍事演習

特殊部隊サイト Take Down

爆弾テロ対策Q&A(リンク切れ)

「ワールド&インテリジェンス」◆(2013/06/11) ネット監視はテロ対策

●書籍

『会社の緊急事態に対処する技術』を読み解く (2013/01/17)◆「国際インテリジェンス機密ファイル」

『国家の威信 対テロ,人質・領土奪還作戦』(戦略戦史研究会著,ブイツーソリューション,2006.8)

 書名だけ見ると,なんだか右翼チックな煽動本に感じますが,中身は近年のテロの事例分析で,内容は実に本格的です.
―――おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)11月27日

『「実践危機管理」国民保護訓練マニュアル テロ対策訓練の進め方』(宮坂直史著,ぎょうせい,2012.3)

『対テロ戦争株式会社』(ソロモン・ヒューズ著,河出書房新社)<「たむたむ」

『テロリスト・ハンター』(アスペクト,2004.5)


 【質問】
 テロにはどう対処すべきなのですか?

 【回答】
 志方俊之は,「屈せず,分裂せず,耐え忍べ」と述べる.

「テロに対処するには3つ原則があると言います.
 第1はテロに屈せず,怯まないこと.
 第2は団結すること.
 第3は耐え忍ぶこと.耐え忍ぶというのは,2時間のフライとのために2時間の手荷物検査を受けるのを我慢するということです.これから先,新幹線で何かあれば,新幹線でも手荷物検査を行うようになるでしょう.各駅にて荷物検査所を設け,持ち込む荷物の量も制限するということも考えられます.
 こういった制約に耐えなければならない.
 そして各駅に検査所を設け,それを運営するには,物凄いコストがかかるわけで,それは当然,運賃に跳ね返ってくる.それにも耐えなければならない.
 〔略〕
 日本人は安全はタダだと思っていましたが,今や安全に対して大変なコストを払わなければならない時代に突入してしまいましたね」

( from 「緊急対談 生物化学兵器の脅威に我々は耐えうるか」,「正論」 Dec. '01)

 しかし実際には,様々な利害・思想を持った個人の集合体である「民衆」にこれを期待するのは,非常に難しそうだ.強力なリーダー・シップが,実現のためには必要となるだろうし,そのような指導者の存在を常に期待できるとは限らない.

 また,コリン・ウィルソンは犯罪一般の問題に還元して,「自由の哲学が狂気に走らないよう,倫理的責任を教える必要がある」と分析する.

「犯罪問題の解決には,どんな手段をとることができるのだろうか.
 アメリカでは,カルフォルニアのトマス・ジェファーソン研究財団という機関が,この問題に長年取り組んでいる.この財団のモットーは『自由の代価は責任』で,犯罪の温床は主として教育にあるという基本理念で活動を続けている.〔略〕

 〔略〕 自由は責任と規律がなくても存在できるという思想を広めたのはルソーだが,この問題の責任の大半は,このルソーにある.

 1951年,アルベール・カミュは著書『反抗的人間』で,サドからカール・マルクスやレーニンに至る全ての反抗の哲学は,圧政と,自由の破壊とを招いたと,強力な宣言を時代に投げつけた.
 これは,左翼に怒りの渦を巻き起こした.
 カミュの死後,彼の正しさは現実に証明されるところとなった.自由の哲学は国際的テロリズムの正当化の根拠となった.イタリアのテロリストは大学の教室に押し入って,教授の脚を銃で撃ち,『この教授は基本的に非道徳的な社会に適応する事を学生に鼓吹した罪がある』と嘯いた.チャールズ・マンソンは,自分の追随者は『兄弟愛』から殺人を犯したと,法廷で公言した.
 これが自由の哲学の帰結である.自由の哲学が狂気に走った例である.満ちてくる潮のように暴力が社会にのさばる.常に自由を云々して,その正当化を求める.
 この種の風潮を見るとき,間違っていたのはルソーで,正しいのはカミュだということを,我々は考えずにはいられない.ルソーの時代には変革を求める強い必然性があり,したがってルソーの思想を認めるべきだとするなら,同じ根拠で今はカミュを認めなければならない.

 現代の教育制度に『倫理的責任』を教える能力があるかどうかは分からない.しかし,社会の底辺にのさばっている,この頑迷な自由の哲学を否定する能力はあるはずだ.
 この態度に変革を迫ることが,我々の社会の変革の鍵である」

(コリン・ウィルソン著「現代殺人百科」 青土社,Nov. 11, '88)

 速効性を期待できない漢方薬的処方だが,根本的解決のためには,これを地道に実践するしかないだろう.
 しかし不幸にして,そういった教育システムを期待できない国々もあるため,そういった国からのテロリスト発生が懸念されつづけるだろう.

 一方,
「本当にテロを撲滅するためには,中東の独裁国家の民主化を進めるしか道はない」
と,どっちが過激主義なんだか分からない主張をする政治家もいる.
 イスラエルの政治家,ナタン・シャランスキーがその人である.
 彼はおおよそ次のように述べている.

 シャランスキーは,ヘンリー・キッシンジャー(ニクソン政権の国務長官)等に代表される現実主義者の外交政策を,誤りであると批判する.現実主義者は東西冷戦のときに「デタント(融和)政策」を主張したが,それは独裁国家を温存する結果になったと主張するのだ.

 彼はさらに,現実主義者は国益と民主化政策は無関係であると考えていたと主張する.すなわち,相手国が独裁国家であっても,そこに力の均衡が存在し,緊張が緩和するなら,体制の是非は問わない,というのがデタント政策であった.
 彼によれば,そうした現実主義者の政策は対ソ戦略に留まるものではないのである.
 例えば,アメリカの中東政策は,サウディアラビアやエジプトなどの専制国家の安定化を優先し,民主化を要求しないという過ちを犯したと断罪する.
 彼は,
「独裁者は,自らの権力を維持するためにテロを輸出している」
と,現実主義者の中東政策が結果として中東諸国をテロの温床にしてしまったと主張する.
 したがって,本当にテロを撲滅するためには,中東の独裁国家の民主化を進めるしか道はないと説くのである.

 彼はさらに議論を進め,世界を民主化することはアメリカの国益に適うだけでなく,世界の民主化が実現したとき初めて本当の平和が訪れると主張する.
 その目的を達成するために,アメリカを中心とする民主国家は,世界の民主化を進める役割を果たすべきだと訴えるのである.

 シャランスキーは,
「テロのネットワークを根絶するだけで満足すべきではない.
 民主主義の種を播かねばならない」
と説く.
 この発想は,ブッシュ大統領の就任演説の内容にそのまま投影されているのである.

 もちろん,こうしたシャランスキーの「理想主義」に対して強烈な批判も加えられている.
 アメリカの伝統的保守主義者のパット・ブキャナンは2/13,NBC-TVの報道番組「ミート・ザ・プレス」でシャランスキーに対して,
「9月11日の同時テロ事件は,アメリカの介入主義が引き起こしたものである.
 ビン・ラディンがアメリカを攻撃するのは,アメリカが民主国家だからではなく,アメリカの中東での軍事的プレゼンスが過剰であるから」であり,「パレスチナのテロも,イスラエルがガザ地区を占拠しているのが原因である」
と批判を加えている.

 これに対してシャランスキーは,
「アメリカがテロリストに攻撃されるのは,アメリカが自由世界のリーダーだからだ」
と反論.
 さらにパレスチナ問題については,
「イスラエルが譲歩するとすれば,それはパレスチナが本当に民主化したときだ」
と切り返す.

 また,ブキャナンは,
「アメリカに直接的な脅威となっていない国に攻撃を加えるのは内政干渉ではないか?」
と,ブッシュ・ドクトリンにも疑問を呈する.

 これに対してシャランスキーは,
「独裁者を攻撃する必要はない.支援を止めればいい.
 そうすれば独裁国家は自然に倒れるだろう.独裁国家は内部からの攻撃には弱いものである」
と,武力行使には否定的な見解を述べつつ,民主勢力を支援せずに独裁国家に対して融和政策をとってきた現実主義者の外交政策にこそ,問題があると反論を加えている.

 ちなみにブキャナンは,アメリカの海外への介入を減らすべきだと主張するモンロー主義者であり,湾岸戦争はイスラエルとアメリカのネオコンの陰謀であると主張して,反ユダヤ主義者であると批判された人物である.

(中岡望〔ジャーナリスト〕 from 「中央公論」, 2005/7, P.142-144)

 このシャランスキーとは何者か?
 中岡望〔ジャーナリスト〕は次のように述べる.かなり観念先行傾向のある人物のようだ.

 彼は1948年にロシアで生まれたユダヤ人である.
 モスクワの大学で応用数学を専攻している.
 1973年にイスラエルへの移民ビザが,国家安全保障を理由に拒否されたため,英語の通訳として生計を立てながら,反体制運動家で物理学者のアンドレイ・サハロフのために働いた.
 ソ連のユダヤ人の人権運動に携わり,人権活動家として知られるようになるが,1977年にアメリカのスパイ容疑で逮捕され,シベリアの労働キャンプで13年の強制労働を命じられる.
 だが,レーガン大統領のソ連政府に対する圧力もあり,86年に,西側に交流されているソ連のスパイとの交換で釈放されている.
 しかし彼は,自分がスパイであることを否定し続けた.
 最終的に彼の主張は受け入れられ,スパイが交換される時間よりも数時間前に釈放されている.
 釈放後,イスラエルに移住し,ヘブライ語の名前であるナタンを名乗るようになる.
 イスラエルでは,ロシアから移住してきたユダヤ人の支援活動に携わり,88年に自伝「フェア・ノー・イーブル」を出版.
 89年にレーガン大統領から「自由のメダル」を授与されている.
 95年に政党を結成し,政界に進出.
 過去,3つの政府で閣僚を務めている.
 2003年3月からはシャロン政権の閣僚だったが,今年5月2日にシャロン首相が,ガザ地区やウェスト・バンクから一方的に撤退したことに抗議し,辞職している.
 彼はイスラエルでは右派として知られており,パレスチナ問題で非妥協の厳しい態度を取っている.

 自由や民主主義に対する彼の思想は,ソ連での反体制活動によって培われたものである.彼はソ連の崩壊過程を目の当たりにしてきたのである.
 彼は,ソ連崩壊のきっかけとなったのは,75年の「ヘルシンキ合意」であったと考えた.同合意に基づき,NGO「ヘルシンキ・ウォッチ」が設立され,ソ連の人権問題が国際的に監視されることになった.
 これがソ連の反体制派を勇気付け,ボディ・ブローのようにソ連体制にダメージを与えていった.
 さらにレーガン大統領がソ連を「悪の帝国」と規定し,明確な対決政策をとったことが,ソ連崩壊の決定的な要因になったと,シャランスキーは解釈する.
 こうしたソ連での経験が,独裁国家に対して外交政策の中で人権問題を明確に位置付け,対決姿勢を保つことが,独裁国家の国民が自由を獲得し,民主主義を確立するうえで重要であるという思想に発展していったのである.

 さらに,彼の独自の人間理解が,その思想に加わる.
 それは「人間は基本的に自由を希求する存在である」という考え方である.
 シャランスキーは,民主主義は文化的・歴史的な相違があっても,どの国においても実現可能であると主張する.
 誰もドイツや日本が現在のような民主国家になるとは予想できなかったではないかと指摘し,各国の歴史的違いや文化的違いを理由に,民主主義の確率が不可能であるとする主張を退ける.
「条件さえ整えば,どんな国でも民主主義を実現することができるのである」
 そうした考えが,民主主義国家は独裁国家に対して常に民主化を求めつづけるべきであるという彼の思想に繋がって行く.

 そして,世界は「自由な社会」と「恐怖の社会」に分かれていると主張する.
 それはレーガン大統領の「悪の帝国」やブッシュ大統領の「悪の枢軸」という,世界を善と悪に区分する考えに通じる.
 「自由な社会」と「恐怖の社会」を峻別するのは,ライス国務長官が指摘した「街の広場テスト」である.

(同,p.141-142)

>世界は「自由な社会」と「恐怖の社会」に分かれていると主張する.

 このへんなど,イスラーム過激派が主張する,
「世界はイスラーム共同体と,それを包囲して脅かす敵の共同体に分かれている」
というのと,大して変らないが.

 そして問題なのは,G.W.ブッシュ大統領が,このシャランスキーから大きな影響を受けていること.

 テロリストの主張をメディアに乗せて流すこともまた利敵行為であるといえます.
 例えば大手新聞社に意見広告を載せようとすれば,かなりの高額の料金がかかりますが
(読売新聞の広告料金)
http://adv.yomiuri.co.jp/yomiuri/rate/rates.php

 ページ半分の広告を一紙に載せるだけでも何千万単位,それを5大新聞全てに載せるとすれば間違いなく億の単位に届きます.
 交渉経緯を公開するという事項一つとっても,テロ組織に億単位の金額に相当する利益を与えるのですから,これを回避するのは当然のことです.

 まあ,テロリスト側もこの点を崩すため,人質などを使って体制側に揺さぶりをかけるので,得てして原則通りにいかない結果になるのですが.

ゆのすけ in mixi

▼ 小川和久は,テロを病気に喩え,「公衆衛生学」的,「予防医学」的,「対症療法」的の3つのアプローチを提言している.
 以下引用.

――――――

 頻発するテロは,現在の世界が抱える病に例えることができます.
 そして,流行している病気をなくすには,
「公衆衛生学」的なアプローチ(例えば下水やゴミ処理場を整備し,蚊や蝿を駆除することで,伝染病の流行を防ぐ),
「予防医学」的なアプローチ(例えば,どんな病原菌にどんな薬が効くかを研究し,特効薬を開発しておく),
「対症療法」的なアプローチ(例えば風邪をひいたら,熱を下げたり,咳や鼻水を抑える薬を飲んだり,睡眠と休養を取る)の3つが考えられるでしょう.

 テロの根絶に向けた戦いにおいても,同じような3段構えが必要だと思います.

 まず必要なのは公衆衛生学的アプローチ.
 これは,テロや内戦の背景にある飢え,貧困,教育の欠如,失業,差別,民族対立,宗教対立といった構造的な問題を,いかになくしていくかということです.
 日本をはじめ世界の平和に責任を持たなければならない国が,時と場合に応じて最も効果的な手段を,それこそエンドレスで講じていかなければなりません.
 例えばODA(政府開発援助)が対象国の支配層や,そこに進出している外国企業を潤わせるのでは,逆効果になってしまいます.

 〔略〕

 次に,予防医学的アプローチが必要です.
 これは,中東,中央アジア,中南米といった個別の地域において,どんなテロ組織やゲリラ組織があり,何がその温床となっていて,何を狙っているのかを調査研究し,テロを封じ込める特効薬的な対策を見つけ出して,実行していくプロセスです.
 一口にイスラム原理主義と言っても,様々な組織があり,温度差もある.
 アメリカに対する姿勢,日本に対する姿勢もそれぞれ違う.
 ある宗教指導者をうまく説得できれば,その強い影響下にある幾つかの組織がパタッとテロ活動をやめることだってあるかもしれないわけです.

 3つめに,ようやく対症療法的アプローチが来ます.
 これは目の前にあるテロをどう防ぐか,あるいはテロは起こってしまったが,2次,3次のテロ攻撃をどう防ぐかという取り組みです.
 そして,それぞれの国内のテロ対策を世界最高のレベルに持って行き,テロをやりにくくさせる.
 これはテロをやられた場合の被害を少なくするためのダメージ・コントロールでもあります.
 いうまでもなく,この段階では警察力や軍事力が全面に出てきます.航空機のハイジャック対策,公的機関や企業の警備,テロリストとの交渉を有利にするための強制力(特殊部隊)の警備などがそうです.
 場合によっては,なりふり構わぬテロリスト掃討作戦で一般市民に犠牲が出て,そのことが,さらにテロリストを過激な行動に追いやる可能性も覚悟しなければならないでしょう.

 対症療法的アプローチのもう一つの柱は,テロリストが足場にしそうな不安定な国や地域を,世界各国と協力して安定させていくことです.
 あとで述べるイラク復興支援への参加は,テロ対策の面からも極めて重要なのです.

 テロ対策は,以上のような3つのアプローチを同時に,しかも継続的に進めなければ,意味がありません.
 テロリスト達を生み出している地域の貧困や民族・宗教対立を全く放っておいて,対テロ特殊部隊だけを整備・増強するのは,物事の順序をわきまえない不健全極まる話です.
 私は軍事問題の専門家ですが,だからこそ,まず軍事力を使えばいいという立場ではないのです.

――――――小川和久著「日本の戦争力」(アスコム,2005.12.5),p.167-170

 ただし上記引用は,大筋では問題ないものの,細部ではやや疑問もある.
 テロや内戦の背景にあるものは,必ずしも飢え,貧困ではないという見解も多くある.
 また,予防医学的アプローチについてのイスラーム過激原理主義の例も,実際にそのようにぱたっとテロ活動をやめたケースを寡聞にして知らない.▲


 【質問】
 野戦・市街地戦の戦術が書かれた書籍は沢山あるけど,暗殺やテロ&それに対応する側の具体的な方法・戦術が描かれた書籍って無いかな?
 SPがやるような要人警護(数人単位でどんなフォーメーション使うとか)や,戦場での検問の作り方とかは普通に読んだけど,もっと色々な知識が欲すぃ.

 【回答】
 コンバットバイブルの3巻4巻がそれだったと思うが…
 評判悪いんだっけ?

軍事板
青文字:加筆改修部分

 野戦・市街地戦の戦術じゃないというだけの話.
 内容は○

トルエン大尉 ◆HLQcUQEQBs in 軍事板
青文字:加筆改修部分

 バイブルの3巻は正規軍の特殊部隊
 4巻がCIAやKGBとかのスパイや警護組織(公のSSとか,民間警護企業も含む)のエージェント編
 4巻は毛利が関わっているので軍オタの間では評判を落としてますが,上田信が一度噛み砕いてるので,完全毛利本と考えて否定するのはもったいないです.

Lans ◆xHvvunznRc in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 低烈度のゲリラ戦・特に村や都市部にも活動の場が有る場合,ゲリラ側は犯罪者やテロリスト的な要素を求められ,治安維持側も似たようなスパイや工作員を求められるよね?
 そういう都市ゲリラとかテロ対策に関して,事例や知識が良く乗ってる本は無い?
 アンディ・マクナブのIRA関連は良い感じだけど・・・

 【回答】
 自分が読んだ中で多少なりとも当てはまりそうなのは
「ファルージャ 栄光なき死闘」(ビング・ウェスト)
「パブロを殺せ」(マーク・ボウデン)
くらいかな.
 あと未読だが
「潜入工作員」(アーロン・コーエン)
なんてのもある.

 ネットだと「叛乱オンライン」が参考になるかも.

軍事板,2009/06/20(土)
青文字:加筆改修部分

 上記以外では

・立花隆著『日本共産党の研究』(講談社文庫,全3巻)
 特高がどのようにスパイを潜入させ,どのように情報収集や検挙の役に立てたかもよく分かる.

・島袋修著『公安警察スパイ養成所』
・吉見太郎著『お笑い公安調査庁』
 その戦後編のようなもの.

・井上源吉著『戦地憲兵』
・晴気慶胤著『上海テロ工作76号』
・『丸エキストラ』 vol.76
 戦地における日本軍憲兵の活動の記録.

・畠山清行著『秘録・陸軍中野学校』
 猜疑心の塊と化した頃の東條英機が,吉田茂らに対して行ったスパイ工作の記述あり.

・C. Gentry著『フーバー長官のファイル』上下巻
 まあ,こちらは度を越しているが,どのように「嗅ぎ回る」かが分かる.
 同書に関連して『オッペンハイマー』上下巻には,嗅ぎ回られた側からの記述が含まれている.

・金正研著『女諜報員「ノメル08」』上下巻
 北朝鮮における国内監視活動の一例.
 個人的体験につき,全体を俯瞰するための補完が別途必要.

・N,NcGartland著『IRA潜入逆スパイの告白』
 こちらも個人的体験.

・ネタニヤフ著『テロリストとはこう戦え』
・カッツ著『モサドは応戦す』
 イスラエルの活動についての俯瞰的記述.

・こなみかなた著『チーズスイートホーム』
 ある一家に潜入したコードネーム「チー」の活動記録

消印所沢,2009/06/28(日)


 【質問】
 軍隊における対テロ行為に対する早期解決に有効な戦略というのは確立しているのでしょうか?
 イラク統治をみてても結局グダグダな感じがするんですが,結局行政面の発達に頼るしかないのでしょうか?

 【回答】
 確立してないし本質的に確立させることも不可能.
「軍隊をテロリストと戦わせないこと」
 これこそが「軍隊の取りうる最適な対テロ戦略」だ.

***

 現在行われているハードなテロ対策:
・圧倒的火力で粉砕(高射機関砲とか爆撃)
・テロリストの家族を人質に取る
・見せしめに殺す
・補給や補充を行なえる聖域を作らせない

 現在行われているソフトなテロ対策:
・主義によるテロリストでなければ更正プログラムで就職支援
・内政をしっかりする

 本来,テロリストと”戦う”のは一般部隊の仕事ではない.
 彼等は軍事力で撃滅しうる対象ではないからだ.
 なので有効な戦略はなにかと問えば,その国の政府がテロリストが活躍しない(できない)ような環境を整えてくれること,しかない.

 それが出来るなら苦労はしないんだけどね.

 そういう本質的な事から離れて純軍事的に語るなら,それはもう皆殺しにすること.
 それも,テロリストの何倍(可能なら何十倍でもいい)の兵力を用意して,数で押し潰すこと.
 チマチマと拠点を潰したり,精密誘導兵器でアジトを爆破したりするのではなく,相手の何倍もの兵力で取り囲み,全員が死ぬまで攻撃し続けること.
 これしかない.

 それか,相手の行ってくる「テロリズム」つまりは”恐怖”を上回る恐怖を与えて
「俺達の国に手を出すとタダでは済まさんぞ」
と”教えてあげる”こと.
 それこそテロリストが拠点にしている町に核兵器を撃ちこめばよい.
 そして,テロリストによって自国民が一人でも殺される度に同じこと(町ごと核攻撃で消し飛ばす)をしてやればよい.
 そんなヤバい相手をテロるバカ(度胸がある,と言っても可)はいないから.

 もちろんどっちも現実的にやると「一方的虐殺行為」でしかないから,国際関係上,絶対にそんなことは出来ないが.

 つまり,軍隊が軍隊の作法でテロと戦わなければならなくなった時点で,その国の治安は終わっている.

 かつての日本がそうであったように,国が全体的にある程度豊かになれば,大多数の人はテロなんかしない(そんなことする暇があれば金を稼いで豊かになったほうがいい)から,結局「その国の経済を安定させ,国民の生活水準を全体的に向上させる」しかテロを収拾する方策はない.※
 でも今のイラクみたいに軍隊,それも他国の軍隊が「テロと戦」っていると,それだけで国情が安定しないので経済も安定せず,国民の生活水準も向上しないのでいつまで経ってもテロがなくならない.
 そしてそのため,テロと戦ってる軍隊も撤退できず,そのせいで・・・という不幸スパイラルに陥る.

 まぁ,この議論を尽き詰めていくと,
「軍隊の所属だが対テロ専門」の部隊は何なのか?
 警察組織だが戦車や攻撃ヘリまで持っている旧ソ連(ロシア)の内務省治安部隊とかはどうなるんだ?」
ってことになるが・・・.

 「テロ戦争」自体が,そうした従来の「国内治安は警察,外部侵略には軍隊」っていう従来の分け方を無意味にしてしまったわけだし・・・.

軍事板

 ※必ずしもテロと貧困とはリンクしていないという説もある.



 【質問】
――――――
 かつての日本がそうであったように,国が全体的にある程度豊かになれば,大多数の人はテロなんかしない(そんなことする暇があれば金を稼いで豊かになったほうがいい)から,結局「その国の経済を安定させ,国民の生活水準を全体的に向上させる」しかテロを収拾する方策はない.※
――― ―――
 この文をどう読み取ればいいのかがまずわからんのですが,日本人による極左テロが猖獗を極めた70年代というのは,日本が経済的にずいぶん成長した時代ですし,経済的に成熟した90年代になると,今度は高学歴,ちゃんとした仕事もあった人々がオウムのテロを起こしたわけで,少なくとも日本に限っては,貧困対策がテロ防止になる,とは言えないのではないか?と.

バグってハニー

 【回答】
>少なくとも日本に限っては貧困対策がテロ防止になる,とは言えないのではないかと.

 ある程度,だから良いんじゃないですか.
 少なくとも,226や515のような事件は戦後はありませんし.国松長官狙撃があったくらい?

 ゼロになっていないから,防止にはならないちうのは,いささか乱暴なはなしなのではないかと.

ゆきかぜまる

 私見ですけれど,「貧困をなくす」というのは,どちらかというとテロの「動機」を減らす行為だと思うのですね.
 もっとも,「戦争の経済学」なんかでは,貧困とテロの関連性は薄いという見方を示していますし,この辺は国情によっても違ってくるのでしょう.

 もうひとつはテロの「手段」を潰す行為で,テロリストが拠点に使えるような聖域を作らない (無政府地帯を作らないようにするための,治安維持能力強化支援など),テロ組織に対する民衆の支持を失わせる工作,テロ組織に対する資金・物資などの供給を絶つ兵糧攻め工作など.

 米海兵隊の新しいビジョンの受け売りみたいになっちゃいますけど,何かひとつやるだけでテロがなくなるっていう話じゃなくて,多面的・長期的なアプローチが必要なのでしょう.
 もちろん,軍だけじゃなくてさまざまな政府機関と連携して.

井上@Kojii.net

 貧困をなくす,というのはどちらかというと内戦や紛争の勃発・再発のリスクを減らすのに役立つかと.
 ポール・コリアーは,民族構成や政治制度よりも経済が,紛争や内戦に影響を与えることを指摘していますね.
 そしてテロリストが活躍するのは,こうした紛争地域である場合が多い(アフガニスタンの麻薬などの例)ので,紛争が少なくなる・小さくなるということは,結果的にテロリスト勢力を弱体化させることにつながるのではないか,と思う次第です.

葉月@

>貧困対策がテロ防止になる,とは言えない

 これは赤軍派の話を見ていても感じたことですが,テロリストは「自分が”世界の真実”に関与できていない(or自分を構成する諸要素を自分がコントロールできない)」ということを,強く不満に感じているように見られます.
 だから手前勝手な理屈をこねて,「真実」をでっち上げたり,平気で嘘を垂れ流してしまうのかもしれません.
 これだけ見ると子供の駄々のこね方と同じですが,可能な限り不正を行い得ないような,オープンな政治経済のシステムを構築することも,そういったテロリストに活動の言い分を与えない根拠になりうると考えます.

クローム・ツァハル

 如何なる種類のテロかにもよるんですが,基本的に貧困の撲滅=テロ防止にはつながらないと思われます.

 何しろ,テロ組織を構成し,どこでどんなテロを起こすかを計画するのは高等教育を受けられる,それなりに裕福な連中ですから.
 貧困地域からの貧困の撲滅及び国家権力の浸透・情勢の安定化は,テロリストから非常に使い易い聖域を奪う事になり,自爆テロ要員の減少くらいは招くでしょうが,そうなったら今度は,昔懐かしの「都市ゲリラ」方式を取るだけでしょう.

如月

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より

 こういう記事を見つけました.

人殺しのプロ…の割にテロの成功率は 金持ちほどテロリストに?――フィナンシャル・タイムズ

 記事の中で紹介されている米プリンストン大学の経済学者アラン・クルーガー氏の研究によると,テロと貧困にはむしろ逆の相関関係がある,つまり,金持ちで教育レベルの高い人ほどテロに走りやすい,ということが示唆されるそうです.

バグってハニー in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 現代のテロリズムは,典型的には自爆攻撃であり,自らも死ぬが,多数の市民をも殺傷するといったもの.
 これはテロリズムの新段階であり,セキュリティの上昇や報復などによってやめさせることはできないのでは?

 【回答】
 状況によるでしょう.
 彼らの目的もまた「政治的目的」が含まれている以上,セキュリティレベルの「形」は変わっても,選択肢としての「報復」や「セキュリティの向上」は残すしかない.
(じゃないと,抑止そのものが存在し得ないので)

 また,一方として,貧困からテロ組織に走る人たちには,仰るとおり,報復などは,逆にテロリストを増やす結果になりかねない.

 故に,彼らの政治的目的を達成させないためのセキュリティ向上と,一人一人の人間に対する安全保障の提供という両輪が,これからは必要になると思います.

ますたーあじあ in mixi


 【質問】
 国連国際組織犯罪防止条約とは?

 【回答】
 2000/11/15に採択された,テロ未然防止を目的とした国際条約.
 法政大学教授・今井猛嘉によれば,同条約は締約国に,以下の点の実現を要請しているという.
1) 組織的犯罪グループへの参加自体の犯罪化,あるいは共謀罪の整備
2) マネー・ロンダリングの前掲犯罪の拡大
3) 没収保全の対象の拡大
4) 贈賄罪につき国民の国外犯処罰規定の新設,
5) コントロールド・デリバリーの承認
6) 電子監視と覆面捜査手法の承認
7) 証人等,買収罪の新設
8) 刑事免責制度の承認

 詳しくは『ジュリスト』 2008.1.1-15号,p.126を参照されたし.


 【質問】
 テロに対処するための国際的合意形成が模索されるようになったのは何故なのか?

 【回答】
 法政大学教授・今井猛嘉によれば,急速なグローバリゼーションの進展のためであるという.
 グローバリゼーションは一国の制約を意識させないままに様々な行為をすることを可能としており,それは犯罪も同じであって,被害の質・量は従来とは比較にならないほど増大している.
 そしてこれらの犯罪は,犯罪自体を目的とする組織によって実行されることが多いためだという.

 詳しくは『ジュリスト』 2008.1.1-15号,p.118を参照されたし.


 【質問】
 「国連テロ対策センター」とは?

 【回答】
 2005年にサウジのアブドラ皇太子(現国王)が提唱し,2011.9.19,ニューヨークにて発足したテロ対策機関.
 治安分野での国際協力や,テロ対策と人権擁護の両立について具体的に提案する.
 サウディアラビアが今後,3年間の運営費1000万ドルを拠出する予定.

 【参考ページ】
読売新聞,2011年9月20日(火)18時47分【ニューヨーク=柳沢亨之】

▼ ただし2014.10.05現在,国連広報センターのホームページの中に,同組織に関する紹介ページは存在しない.
 上記記事は,CTC(Counter-Terrorism Committee;国連安保理テロ対策委員会)のことを指しているのかとも思われたが,CTCは安保理決議1373に関連して創設された組織であり,同決議の採択は2001年9月28日.
 したがって上記記事とは年代が符合しない.

 なお,安保理決議第1373号は,テロ資金対策としてテロ行為のための資金供与の犯罪化,テロリストの資産凍結,テロリストへの金融資産等の提供禁止,テロ資金供与防止条約等のテロ防止関連条約の締結等を,加盟各国に求めるもの.
 CTC議長国は英国,副議長はコロンビア,モーリシャス,ロシア各常駐代表.

 【参考ページ】
http://www.financial-glossary.jp/%E5%9B%BD%E9%80%A3%E5%AE%89%E4%BF%9D%E7%90%86%E3%83%86%E3%83%AD%E5%AF%BE%E7%AD%96%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/terro/kyoryoku_05.html
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/1271/

2014.10.5


 【質問】
「テロリストの要求に屈すれば,テロリストは増長し,ますますテロが発生する」
という論理をよく聞きます.
 この論理が常識となった過去の事例と,それがどのように国際上の常識となったのかの経緯が知りたいので,お願いします.

 【回答】
 日本政府が日本赤軍の要求に応じた後,アラブゲリラがルフトハンザ機をハイジャックしている.アラブゲリラは,日本赤軍の成功を意識していたと考えられる.

 一九七七年九月,ダッカ空港で日本赤軍に日航機をハイジャックされ,犯人の要求通り,獄中の九人の釈放と六百万ドルを支払うことを決めたとき,時の福田赳夫首相は憔悴しきって「やむをえぬ措置だ.人の生命は地球より重い」と述べた.
 同じころ,ドイツ赤軍派はシュライアー経団連会長を誘拐,仲間十一人の釈放と金を求めた.会長の家族の嘆願にもかかわらず,シュミット首相は要求に応じない.
 十月,これと連動するアラブゲリラにルフトハンザ機を乗っ取られる.首相はソマリアのモガディシオ空港に特殊部隊を派遣してゲリラを殺し,乗客を助け出す.首相はくずおれるように泣いた.そしてほどなくシュライアー会長の惨殺死体がみつかる.〔『朝日新聞』1997.4.29〕
(イラク日本人人質事件を考えるための論理)

 また,日本赤軍自体,この軍資金の調達と有力メンバーの奪回に成功し,国際テロへと拡大,世界各国から,日本政府の弱腰対応に非難の声が高まった.( 「昭和史探求」

 まずダッカの主犯・和光晴生がハーグ事件を起こし,ダッカで解放された奥平純三がクアラルンプール,ハーグ,ドバイ,そして当時決定的に日本のイメージを落としたテルアビブ事件に繋がっていきます.(「日本赤軍と東アジア反日武装戦線 」)

 また,テロに対する宥和策が新たなテロを生むという別の実例として,北朝鮮工作員による一連の拉致事件があります.
 60~70年代のしかるべき時期にきちんとした対応をしていれば,以後の拉致事件は起こらなかった可能性が高いのではないでしょうか?
 しかしながらいまだに宥和策を続けていて,全面解決にはほど遠いのはご承知のとおりです.

(from 「はてな」)

 【質問】
 「テロリストの脅しには屈してはならない」態度が正しいなら,「人の生命は地球より重い」は間違いなのか?

 【回答】
 哲学者,諸野脇正は次のように語る.

 実は,どちらも正しい.
 この二つは,観点を変えた時に見えてくる二つの面なのである.

「人の生命は地球より重い.」
「全体の利益のために個人は犠牲になるべきである.トータルで死者が減るという理由で,個人を見殺しにするのも仕方ない」

 どちらも正しい.
 個人の側から見れば,自分が死んでは全てお終いである.だから,自分の生命は地球より重い.
 全体の側から見れば,地球がなくなってはお終いである.地球がなくなったら,みんな死んでしまう.だから,地球は個人の生命より重い.
 「どちらが正しいか」と考えること自体が間違いなのである.それは,いわゆる「カテゴリー・ミステイク」である.異なったカテゴリーの言葉を,同じカテゴリーの言葉だと思ってしまっているのである.

 次のような例が分かりやすい.私が過労で体調不良になったとする.その時,風邪が流行していて,風邪にかかったとする.
 次の問いを考えてみよう.
 私の風邪の原因は体調不良か.それともウィルスか. 
 「体調不良か.それともウィルスか.」と言われても困る.「体調不良」と「ウィルス」は,観点を変えた時に見えてくる別種の原因なのである.
 例えば,私がメールマガジンで,「体調不良が原因で風邪になった.」と書いたとする.その時,次のような批判を受けたとしたらどうだろうか.
 風邪の原因は体調不良ではないですよ.ウィルスですよ. 
 このように言う人がいたら,その人はたぶん少し頭がおかしい人だ.〈「ウィルス」が原因だから,「体調不良」は原因ではない〉とは言えない.両方とも原因なのだ.観点を変えた時に見えてくる二つの原因なのだ.「体調不良」と「ウィルス」は,カテゴリーが違うのである.

 逆の例を考えてみよう.
 私が医学関係の学会に出席したとする.新しいインフルエンザウィルスを発見したという発表がおこなわれている.その発表を私が次のように批判したらどうであろうか.
 私の経験から言うと,風邪の原因はウィルスではなく,体調不良ですよ. 
 このように私が言ったとすれば,少し頭がおかしい私である.〈「体調不良」が原因だから,「ウィルス」は原因ではない〉とは言えない. 
 上の例は,誰でもおかしいと気づくであろう.

 しかし,同様の間違いを私達は犯していることが多い.社会現象を考える際に犯していることが多い.この事実は,はっきりと気づかれてはいない.

(イラク日本人人質事件を考えるための論理)


 【質問】
 これはテロに屈したことにはならないのか?

――――――
■オランダ政府,人質救出に身代金1億3千万円余支払う
5/30 読売新聞


 オランダ政府は28日夜,異例の声明を出し,ロシアのカフカス地方で誘拐されていた「国境なき医師団」幹部のオランダ人救出に際し,身代金を支払ったことを認めた.
 同政府はまた,同医師団に対して,身代金返済を求めていることも認めた.

 民間人の人質身代金の支払いを,一国の政府が認めるのは極めて珍しい.
 同日午後に発売された仏紙ル・モンドが,「オランダ政府は同医師団が身代金を返済しない場合,欧州連合(EU)による同医師団への補助金支給を停止すると脅迫している」という記事を掲載したことを受けたもの.
 支払い額は公表されていないが,同紙によると,約100万ユーロ(約1億3500万円)と見られる.

 声明は,同政府は同医師団との合意のもとに,同医師団が支払えない分を「立て替えた」とし,「脅迫」したという報道について,「事実無根」としている.

 問題のオランダ人は同医師団スイス支部幹部,アルヤン・エルケル(34)さん.露ダゲスタン共和国でチェチェン難民などへの医療援助を担当し,2002年8月に誘拐され,今年4月に1年8か月ぶりに露当局により救出された.
――――――

 【回答】
 誘拐事件を身代金で解決することはよくある事です.
 それは警察レベルで対処する小さな事件でも,そうです.
 相手がテロリストでも,それは決してテロに屈した事と蔑まれるようなものではありません.

 三十~四十年前のイタリアが良い例です.
 その頃イタリアでは誘拐事件が頻発しており,身代金で解決することは日常茶飯事でもありました.
 しかし決してイタリア警察が無能だったわけではありません.むしろ優秀でした.

 『テロに屈する』といった形の要求とは,政治犯の釈放など政治的な要求を指します.
 これは呑んではいけません.
 ですが,数億円で済むなら身代金もありでしょう.
 数十億,数百億なら突っぱねても良いのですが.

 だって,身代金を要求するなんてギャングと変わらないでしょう?
 テロリストかゲリラか知りませんが,どんな崇高な理念を持っていたとしても,身代金を要求すればギャングと同じです.
 そして民心は離れていく.

 ならば,それは安い投資ではないですか.
 民衆の支持を得られないゲリラなど,自滅するだけなのだから.

 「国境無き医師団」は同意の上で,オランダ政府に立て替えてもらった身代金を支払うようです.
 双方納得済みの『自己責任』なんですかね・・・

「週刊オブイェクト」,2004.5.30


 【質問】
 テロ事件の被害者救済については,どのような措置がとられているのか?

 【回答】
 同志社大学教授・奥村正雄によれば,たとえばアメリカでは911テロを契機に,航空運輸安全安定化法 Air Transportation Safety and System Stabilization Act が制定され,テロの被害を受けた個人に対しては,犯罪被害補償制度の適用とは別に同法により,特別補助裁判官 Special Master を介して司法長官が運用する補償制度が新設されたという.
 また,アメリカ国民が国外でテロの犠牲になった場合,国際テロ被害者費用補償制度 International Terrorism Victim Expense Reimbursement Program に基き,国際テロ行為により死傷したアメリカ国民に対し,補償がなされる仕組みになっているという.

 英国_おいては2005.7.7に発生したロンドン爆弾テロについての特例的措置として,ロンドン市長と英国赤十字により「ロンドン爆弾テロ救済慈善基金」 London Bombings Relief Charitable Fund が設立され,義捐金を給付する仕組みができたという.

 フランスでは1986年にテロ被害者補償基金が設立され,フランス国内でテロ被害を受けた場合,国籍・滞在日数に関係なく補償対象になるという.
 この際,被害者側の申し立ては不要で,パリ検察局の名簿に基き補償されるという.

 ドイツではテロ被害の場合も,一般犯罪の場合と同じ扱いで犯罪被害者補償制度の対象とされるという.

 日本では地下鉄サリン事件の後,犯罪被害給付制度の拡充以外の,特段の措置はとられておらず,同教授は

――――――
 無差別大量死傷者が生じるようなテロ事件が発生した場合は,犯罪被害給付制度による対応だけではなく,被害直後の迅速な給付が可能な仕組みを構築する必要があり,そのためにもアメリカ,イギリス,フランスのような基金の創設が参考となろう.
――――――

と述べている.

 詳しくは『ジュリスト』 2008.3.1号,p.21を参照されたし.


 【質問】
 対テロ戦争にRMAは有効か?

 【回答】
 ミニタリー・バランスによれば,大掛かりな装備は対テロ戦争には殆ど貢献しないという.
 以下引用.

数十年は対テロ戦中心 英戦略研が年次報告

 【ロンドン25日共同】英国際戦略研究所は25日,各国の軍事動向や地域情勢を分析した年次報告書「ミリタリー・バランス2005-2006」を発表し,西側諸国にとっての紛争は「今後数十年」は対テロ戦が中心になると分析.ハイテク技術を駆使し目標をピンポイント爆撃する米軍の軍事技術革命(RMA)の有効性は「疑わしくなった」と指摘した.
 報告書は,アルカイダに代表される国際テロ組織がゲリラ的な戦術を取っている現在,必要とされる戦力は特殊部隊などの地上戦力が中心で,航空機や船舶による大掛かりな装備は「貢献度がほとんどない」と強調.

(共同通信,2005/10/25)

 事実,イラクでの対テロ作戦を見ても,大掛かりな装備は費用に比して効果を挙げていない.
 その作戦は結局,歩兵による掃討という形をとっている.
 この事実を見ても,上記文章は信頼性が高いと言えよう.


 【質問】
 テロの水際阻止は可能なのか?

 【回答】
 佐藤優によれば,完全阻止は不可能だという.
 以下引用.

――――――
 〔略〕
 現役時代に某中東情報大国の分析専門家から「テロの第一撃は防げない」といわれた.

 40年前,飛行機に搭乗するとき,ハイジャック検査はなかった.なぜならハイジャックがなかったからである.

 現在は,まゆ毛切りはさみ,つめ切りを含む刃物類は一切持ち込めなくなった.
 9・11米国中枢同時テロ事件で,民間航空機を乗っ取ったテロリストたちが,訓練を受けたプロならば,小型刃物でも人を殺すことができることが実証されたからだ.
 現在はペットボトルの持ち込みにも厳しく検査される.
 一見,清涼飲料水のように見える発火物をテロ組織が開発したからだ.
 アメリカやイスラエルでは靴に対する検査が厳しくなっている.
 靴のかかと部分に小型爆発物を埋め込み,自爆テロを図った者がいるからだ.

 人間が身体にプラスチック爆弾を巻き付ける形の自爆テロは,イスラエル,チェチェンなどで現在も頻繁に行われている.
 現時点で自爆テロに対する防御率は低い.

 テロ対策は思想戦でもある.
 自爆テロは精神に変調を来した人物が神懸かりになって行う異常現象ではない.
 イスラエル国家の壊滅,ロシア連邦からチェチェンを分離してイスラム帝国を建設するなどの具体的政治目標をもつ組織が,カネと時間をかけて自爆テロリストを養成しているのである.
 〔略〕

――――――佐藤優の「地球を斬る」,2007/1/25

 上記情報の信頼性だが,まず,佐藤優は対テロ専門家ではない.
 上述の中の某中東情報大国とは,イスラエルのことを指していると考えてまず間違いない――他の中東諸国に,有能と呼べるような諜報組織を持っている国はないに等しい――が,どのような素姓の人物なのか,信頼できる情報源なのか,一切不明.

 一方,テロが思想戦でもあることは,エジプトの獄中テロ犯に対する教化の例から見ても明白.
 テロの手口の具体例を列挙しているところから見ても,不勉強なままいい加減に書いているとも思われない.

 よって,50%よりは高い割合で信頼できると愚考する.


+

 【質問】
 東アジアでは,テロ対策のために何をすべきか?

 【回答】
「我々は穏健な主流派のイスラムと協調し連帯して過激派分子を孤立化させ、撲滅させなければならない」
と,GOH CHOK TONG (シンガポール首相)は述べている.
 以下引用.

 テロというもの自体は昔からあって、スペインのETAとか、スリランカのタミール・タイガーとか各種のバラエティがあった。
 しかし現在のテロは、それと同じではない。

 シンガポールの経験で話をするなら、9・11以降、2001年にはシンガポールはジャマー・イスラミア(JI)のメンバー15人を逮捕したが彼らはシンガポールの米国機関にテロを計画していた。2002年の夏には21人のメンバーを逮捕したが、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイでも同様のテロリストの逮捕が続いた。
 JIは東南アジア全域に広がるテロリスト・グループであってオーストラリアにまで手を伸ばそうとしている。

 JIの目的は,ダーラ・イスラミアと呼ばれるイスラム帝国を東南アジアに建国することである。
 このイスラム帝国はインドネシアを中心とするのだが、マレーシア、南部タイ、南フィリピン、シンガポール、ブルネイを含むものになる。彼らはアルカイダ同様各地のテロリストグループが共通のイデオロギーのために結束した構造なのだ。
 JIは1999年にラビタトゥル・ムジャヒディーン(ムジャヒディーン連合)という秘密連合を作り上げ,東南アジアの各種のイスラム・グループを統合化した。この連合の首謀者はハムバリで、アルカイダと東南アジアのテロリストを結ぶ接点にいる。彼らは2000年にジャカルタのフィリピン大使館の爆破事件を起こしている。

 このテロリスト運動の脅威というのは爆破事件などだけではなくて精神的・宗教的な、つまりイデオロギーの闘争を仕掛けていることで西欧的価値観に変わる過激派イスラムの価値観を東南アジアのイスラム・コミニティに蔓延させようとしていることだ。

 東南アジアではイスラムの武装派ゲリラというのは昔からあるのだが、今問題にすべきなのは,それらの武装派ゲリラを統合して広範な戦闘を目指す動きが活性化していることだ。
 このイデオロギーは,妥協を許さぬゼロサム思考なので、主な敵はアメリカかもしれないが,アルカイダが欧州をも攻撃するように、イスラム以外の全ての文明を戦いの相手とする。

 アルカイダがアメリカと欧州でのテロを行っているように、JIは東南アジアでのテロを進めており、シンガポールについて言えばイスラムのマレーシアとの対立を煽り「チャイニーズ・シンガポール」を強調した宣伝を行い、地域の対立抗争を煽っている。

 イスラムの過激派テロリストと、イスラムの主流である穏健派をはっきりと区別することは大変重要である。主流派イスラムは殺人やテロを許容しない。冷戦がそうであったように、21世紀のテロとの戦いは軍事的・政治的なものであると同時に精神的・宗教的な側面のあるイデオロギーの戦いである。
 だから、我々は穏健な主流派のイスラムと協調し連帯して過激派分子を孤立化させ、撲滅させなければならない。
 幸いにもマレーシアの最近の選挙では過激派イスラムは支持されず、穏健派が権力を握っている。
 インドネシアでも過激なイスラム政党は政治的勢力としては弱体である。

 東南アジアの過激派イスラムのテロから見たイラクについて触れておきたい。
 いまやイラクはイスラム・テロリズムの主戦場となった。サウジアラビア出身のヨセフ・アル・アイーリはアルカイダのブレーンの一人であるが、もしもイラクが民主主義国になれば、それはイスラムの死だ、と言っている。アメリカの支援による民主的なイラク建設が彼らの脅威である。

 問題はWMDではなく、国連の役割でもなく、民主イラク建設の為のアメリカのクレディビリティなのである。中国の古典によれば、我々がテロとの戦争に勝つためには相手を理解しなければならない。
 それに加えて今回は、アメリカであれヨーロッパであれ、アラブであれアジア人であれ、ムスリムであれ非ムスリムであれ、そういうこととは無関係に、我々は連帯しなくてはならない。

from WSJ
(翻訳:極東ニュース板)


 【質問】
 ハイジャックを根源的に防止することはできないのか?

 【回答】
「私は,残念ながらないと思います」と,森本敏〔安全保障問題専門家〕は述べる.
 彼によれば,操縦室を完全隔離する以外,方法はないという.
 以下引用.

 極端に言えば,訓練された人間が,身一つで機内に入ってきて,スチュワーデスの首を締め,機内にある,食事を出すときに使われるナイフとフォークを何十本か取り上げれば,それを使ってパイロットを殺すことも,そう難しいことではない.
 突然豹変する人間を,事前にチェックするのは不可能です.

 それでも,一つだけ有効なハイジャック対処策があると思います.
 それは操縦室を完全隔離することです.スチュワーデスや乗客を脅せば,簡単にコックピットに入ることができるという,民間機の構造に問題があるのです.
 例えば飛行機の構造を変え,コックピットの後ろに,もう一つ隔室を作る.
 乗務員は隔室までは入れるけれども,そこから先は立ち入れない仕組みにする.
 パイロットとは電話でしか連絡をつけられなくする.
 乗客が人質に取られても,テロリストに操縦桿を握らせず,パイロットが最後まで飛行機を操縦できるようにしておけばいいということです.

 さらにコックピットに,銃器を備えておく必要もあるでしょう.
 どんな状態でも,パイロットの安全だけは確保できるようにしておけば,相当に効果はあるはずです.

( from 「『新しい戦争』を知るための60のQ&A」,新潮社,
2001/11/15,P.20-21,抜粋要約)


 【質問】
 9.11テロ後,どのようなハイジャック対策がとられているか?

 【回答】
 事件以後,アメリカでは搭乗前の保安検査を強化し,民間航空定期便には航空保安官を登場させるなどの対策をとった.

 また,アメリカ民間航空のパイロットの武装が,2003/4/20から開始された.これはハイジャックを防ぐ最後の手段として実行されたものである.
 ホワイトハウスはパイロット武装に消極的だったが,パイロットや客室乗務員の組合が武装を要求,上下両院が圧倒的多数でこれを支持したので,方針を転換した.

 武装を希望するパイロットに対する,政府の48時間コースの訓練は,4月中旬にジョージアの施設で始まり,中年の機長を中心に,女性を含む46人が参加.
 4/19には,女性3人を含む44人が「武装資格」取得,翌週の20日から実働に入った.
 アメリカ運輸省によれば,武装を希望するパイロットに対する訓練は,今後も継続され,今後5年間で約3万人のパイロットが「武装資格」を取得するものと見られている.

 携行武器は40口径のセミオートマティック,ダブルアクションの拳銃(S&Wモデル4006?).弾丸は,ハイジャッカーの身体を貫通して乗客や機体を損傷しないよう配慮された,特殊なものだという.
 パイロットは操縦中,拳銃をホルスターで身につけ,その使用は,ドアが破られた場合,操縦室内に限られている.
 操縦室から出る場合は,ホルスターから拳銃を取り出して,規定の金属製の箱に移して持ち歩くなど,厳しい制限がある.

 さらに,国連の専門機関であるICAO(国際民間航空機関)も,20年3月,
「操縦室のドアを,小型武器から発射される銃弾を阻止できるタイプの物に交換し,飛行中,必ず鍵をかけること.
 パイロットが,不審な乗客がいないかを操縦席から監視できるシステムを整備すること.
 異常事態発生の際,客室乗務員が秘密裏にパイロットに知らせるシステムを整備すること」
などの新しい安全基準を作成,03年11月までに,60席以上の国際線に適用するとした.
 同時に,60席以下の国際線や,国内線にも同じような安全基準を適用するよう,187の加盟国に勧告した.

 以上,ソースは 「航空ファン」2003年7月号(文林堂),P.61.稲坂硬一の記述に依る.


 【質問】
 「ノン・コンセッション原則」「ノン・テイク・オフ原則」とは?

 【回答】
 前者は,ハイジャック事件に対しては「譲歩しない,犯人の要求により獄中犯人を釈放したり身代金を支払ったりしない」という原則.
 累次のサミットによって申し合わせされ,確認されている.日本を含め.

 後者は,前者に加え,犯人の要求があってもテイク・オフ(離陸)させて他国に盥(たらい)回しせず,自国領土内で自国の責任で処理する,というもの.
 1988年のトロント・サミットで決議.

 詳しくは佐々淳行著『危機管理宰相論』(文芸春秋,1995.12.15),p.67-68を参照されたし.


 【質問】
 対テロや対マフィアなど組織犯罪対策で,軍と警察が一緒に行動する事はあるのでしょうか?
 ある場合に軍は逮捕権はないと思うのですが,どういう役割になるのでしょうか?
 最後に,軍と警察が一緒に行動して解決した有名な事件があれば教えて下さい.

 【回答】
 基本的には軍隊は軍隊を相手にするので,犯罪に対しては警察,警察の中の特殊部隊が対処します.
 ただ,テロリストなどの武力が強力すぎて,警察の特殊部隊でも対処しきれない場合,あるいは軍しか持たない装備などが必要な場合などには,軍に協力を要請することもあります.
 軍は敵対するものを無力化(殺害なり拘束なり)したのち,警察に引き渡して処置を任せます.

▼ 解決したと言えるかどうかは微妙ですが,ロシアで起きた小学校占拠事件では軍の特殊部隊が警察に協力して動いています.
 そのような場合,軍の突入場面では警察は邪魔にならないように後退し,現場の制圧が終わってから参入するのが普通のようです.
 モスクワ劇場占拠事件では,ごく初期はともかく,後半は完全に軍特殊部隊のみで動いていたようです.

 モスクワ劇場占拠事件の場合は,軍が保有していた無力化ガス(Kolokol-1)を使用することになったため,軍特殊部隊が登場する必要があったわけですが,そうでなくともロシアでは積極的に軍が出張る傾向があるようです.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 アルファ及びヴィンペルはロシア連邦保安庁所属であり,ロシア連邦軍所属ではありません.
 〔略〕
 ロシアの場合,対テロ戦はアルファ・ヴィンペルが殆ど担当しています.
 モスクワ劇場占拠事件&小学校占拠事件において,軍の特殊部隊(GRU所属)が出動した話は聞きません.

ヴィンペル
faq49g14d.jpgへのリンク
faq49g14w.jpgへのリンク
faq49g14e.jpgへのリンク

CRS@空挺軍 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 「スクリーン捜査」とは?

 【回答】
 大量の個人データを一定の条件で篩い分け,容疑者を搾り出すという捜査方法.
 ドイツでは70年代,極左組織「ドイツ赤軍」摘発でこの方法を用いて「シュレーファー」を捜し出し,効果を上げた.
 シュレーファーとは,ドイツ語で「眠っている人」という意味.忍者小説などに出てくる「草」のような存在.

 911後はドイツ当局は全国の大学に対し,アラブ系学生の名簿を提出させ,スクリーン捜査をした.

 詳しくは朝日新聞アタ取材班著「テロリストの軌跡 モハメド・アタを追う」(草思社,2002/4/25)p.116-117を参照のこと.


◆◆エア・マーシャル/スカイ・マーシャル


 【質問】
 エア・マーシャル/スカイ・マーシャルとは?

 【回答】
 国際線の旅客機に武装した私服の警察官が搭乗し、機内で起きた不測の事態に備えるシステムで、すでに欧米諸国が導入している。
 2001/9/11の米同時テロ以降、テロやハイジャック対策として導入する国が増加。国交省によると、主要8カ国(G8)で導入していないのは日本とイタリアだけ。

 例えば9・11以後、中国でも「空中警察」を導入している.最初に導入したのは中国東方航空の寧波支社で、武器を持った警察官が,ある時は制服、ある時は私服で顧客と一緒に国内線の飛行機に搭乗し、不測の事態に備えている。
 04年10月には、特別な練を受けた約1,500人の警官が全国の航空会社に配置されることになっている。
 中国では航空機テロはまだ発生していないが、台湾等への亡命を目的としたハイジャック事件は今も毎年のように起きている。

 日本での導入時期や規模などについては「治安上の理由」で明らかにしていないが、2005年度は装備費や訓練、旅費として7700万円を要求する。
 一方で、乗員には「機内に武器が持ち込まれるのは大きな問題」と慎重な意見が根強い。

 日本は02年のサッカー・ワールドカップ期間中、国内線と日韓間の国際線で実施。
 導入が実現すれば、米国などテロの可能性が高い国や地域への国際線に搭乗させる方針である。

 以上,ソースは
窪田弘由記 from 毎日新聞 2004/8/27
http://www.e-kampo.org/neword/k2.htm
共同通信 2004//9/5
より.


+

 【質問】
 エア・マーシャルの始祖は?

 【回答】
 1962年,アメリカで航空保安官制度が始まったのが最初.
 担当官庁は連邦航空局(FAA)、連邦航空保安官プログラム(Federal Air Marshal Program)という名称で保安官の養成と活動を行ってきました。

 1970年に入り、一時FAAは財務省関税局(税関)と協定を結び、関税局がSky Marshal Programという名称で航空保安官業務に従事するようになった事もあります。同プログラムの元、保安官はFAAではなく関税局によって採用されました。が、Sky Mashal Programは、どうやら1973年に廃止されてしまったらしい。結局、FAAがFAMを担う事になりました。

 1970年代のFAA FAMは、FAAの民間航空安全部門(CAS)に属する要員からの志願者で構成されていました。 志願者はFAMプログラムに編入されて所定の訓練を受け、FAM業務を行います。ただし、これは本来の業務と並行して行う兼業でしかなく、しかもボランティアでした。
 また,情報にもとづきハイジャックの危険性が高いと判断されたフライトに臨時・選択的に警乗したのみであり、恒常的な警乗がなされた訳ではありません。

 1980年代初め、フロリダでキューバ難民が航空機をハイジャックする事件が発生、また1985年にはTWA847便ハイジャック事件が発生しました。
 これを契機にFAMプログラムは拡大。FAAのCASが担当し、同部の地方事務所(CASFO)要員中からFAMを指名するように決まりました。専従専任ではないけれど、以前のようなボランティアでもなく、正式な指名を受けての活動です。従来CASFOは、空港の保安体制の監察や航空機の検査などを通して民間航空の安全確保を図っていましたが、これにFAM活動が加わりました。

 しかし1992年,FAMを正式指名する体制は廃止され、CAS要員が志願してボランティアで勤務する体制に戻ってしまいました。ちょうど冷戦も終わり、パレスチナ過激派組織の活動も収まり気味で、ハイジャック対策の重要性は低まったと考えられたのです。FAMの規模・体制は縮減され、例えば保安官の人数でいうと、同時多発テロ直前の保安官の人数は33名だったそうな。

 同時多発テロの後、民間航空の安全が声高に叫ばれ、FAMプログラムは大拡張されます。
 まず事件直後、FAAはFAMプログラムを新ため、大人数のFAM専従要員を確保する事を目指します。数千人規模での大増強であったようです。
 テロから2ヵ月後の2001年11月にはTSA(Transportation Security Administration)が設立されました。TSAは運輸省の下部機関で、民間航空の安全確保を司ります。FAM任務はFAAから新設TSAへと移りました。
 2003年3月、TSAは運輸省から新設の国土安全保障省に移ります。
 さらに同年11月、FAMはTSAから分離し、国土安全保障省の入国・税関執行部(ICE)に移りました。

http://www010.upp.so-net.ne.jp/kawadai/special/plane_e1.html


 【質問】
 エア・マーシャルはどんな訓練を受けているのか?

 【回答】
 ニュージャージー州アトランティックシティにある William J.Hughesセンターの例.
 センターには3つのシューティング・レンジがあり、多数のスチール・プレート製ムービング・ターゲットがある。
 射撃訓練用の家屋内ではほぼ360度の射撃が可能で、ビデオによる射撃訓練装置が備えられている。
 敷地内にはデルタ・エアラインが処分した実物のボーイング747が駐機され、訓練用として使用されている。
 機内では赤色の模造銃による訓練や、圧縮空気によってゴム弾、ペイント弾を発射する銃による訓練が行われる。
 エア・マーシャルたちは講習期間中に6000~10000発の実弾を発射する。
 この訓練の最後にはFAMタクティカル・ピストル・コースというテストが実施される。
 またこのテストは勤務期間中,定期的にリフレッシュ訓練としても実施される。
 テストは,7ヤード(6.4m)の距離からウォーム・アップなしにFBIターゲットを撃つものである。

1、服の下のホルスターから銃を抜いて1発撃つ。これを2回。制限時間は最大1.65秒。
2、ローレディ安全ポジションからダブルタップ。これを2回。1.35秒以内。
3、ローレディから6発撃つ。ターゲットは単一。3秒以内。かつ各発射の間隔が0.6秒以上開いてはいけない。
4、マガジン交換を行ってから1発撃つ。これを2回。3.25秒以内。
5、3mの間隔をおいた2つのターゲットを1発づつ撃つ。これを2回。1.65秒以内。
6、180度振り向いてから,服の下のホルスターから銃を抜き、3つのターゲットを1発づつ撃つ。これを2回。3.5秒以内。
7、膝をついた状態からマガジン交換をして1発撃つ。これを2回。4秒以内。

 FBIターゲットには,中心部に5点と評価されるビン型のゾーンがある。その外側は3点である。全部で30発撃つので、最高点は150点となり、最低合格ラインは135点である。ただし、境界線上の命中弾は3点扱いとなる。
「4万フィートの上空では半センチのズレすら許されないのだ!」
とトレーナーの1人は言う。
 センターには多くの人が訪れる。デルタフォースやネービーシールズのメンバー、USシークレットサービスの教官、海兵隊のスナイパーおよびピストル射撃の教官、そして少なくとも1人のFBIアカデミーの教官がここで訓練している。
 また,少なくとも1人のドイツ人公務員が臨時聴講員としてここで訓練を受けたという。

http://www.h5.dion.ne.jp/~gun357/eamaasyaryu.htm


 【質問】
 飛行機内で,エア・マーシャルとテロリストの間で銃撃戦が起こると,キャビンの窓を破った1発の弾丸が急激な圧力低下を引き起こし、人間がが機外に吸い出される、といったことが起こるのではないか?

 【回答】
 真実とはかけ離れている。

 実際にはキャビン内部の圧力は、銃弾で穴が開かなくてもドアやハッチから常に抜け続けており、そこに新たに圧を送り込んで補充している。また、重要な操縦機能は安全のため2系統に分けられており、仮に片方がダウンしても当面支障がないよう配慮されている。
 したがって、たとえキャビンの壁をフルオートで撃っても映画のような事態は起こらない。
 最悪の場合,窓が破れて大きな開口が生じる可能性があるが、その場合でもパイロットが機を急降下させ、空気の密な低空に達する時間的余裕はある。

 航空機護衛官にとって根本的に重要な問題はそういうことではなく、パイプ状のキャビンの狭隘さであり、混雑した狭隘なキャビン内部で,短時間の内に犯人近くに到達する困難さである。
 そして、犯人の体を貫通した弾丸が乗客に命中する危険である。

 そのため、イスラエルは.22口径のホローポイント弾を使い、ドイツでは変形弾薬「クイックディフェンス1」をテストしているという。
 アメリカの第一世代のスカイマーシャル用弾薬はまだ.38口径リボルバー用であり、「ビーンバッグ」(豆の袋)と呼ばれるものだった。発射される鉛の粉を満たした小さな袋は、近距離において人体組織に大きな損傷を与えるが、貫通はしない。
 このタイプの「わずかな致死性」弾薬は現在でも生産されている。
 例えばセリアー&ベロットは強弱2種類の弾薬を販売している。赤いキャップのタイプは初速270~350m/s、黄色いキャップは220~280m/sである。
 一方イギリスはポリマーとビチューメンをミックスした「フランギブル」(こわれやすい)弾薬を採用した。
 アメリカではトリトン社がテロリスト制圧のための「プレミアムプラス・クイックショック」弾薬を発売した。開発したのはかつて「ハイドラショック」弾薬を開発したトム・ブルクジンスキーである。
 ホローポイントの弾頭はターゲット内部で拡張し、ジャケットは裂けて内部から3つの弾片が飛び出して別方向に進む。
 エクストリームショック社は9.11の大きな衝撃以後、一般に流通する全ての口径について新型弾頭を装備した製品をラインナップに揃えた(ここで示すデータは9mmパラベラムのもの)。
 この「エア・フリーダム弾薬」は、ブルーのキャップがついたホローポイント弾であり、タングステン・ニトリリウムに火薬を混合して作られている。この弾はハードターゲット内部ではこなみじんになる。弾頭本体は85グレイン(初速495m/s)で、人体内部ではマッシュルーミングしたのち、いくつかの大きな破片に分解することもありうる。
 同社はこれと並び、124グレインのこわれやすいホローポイント弾、先端に切れ目を入れたジャケッテドホローポイント弾、円筒形の弾頭の先端に星形のギザギザを刻んだ裂けやすい弾なども作っている。これらの弾の初速は5インチのテスト用バレルを使用して385m/sだった。

http://www.h5.dion.ne.jp/~gun357/eamaasyaryu.htm

 また
・そもそも拳銃弾自体がそんなに貫通力を持たないので、機体の断熱材などに吸収されて隔壁を破るまで行く可能性が少ないこと。
・ガラスも同じく強じんなものが使用(樹脂とガラスの三層)されていること。
・例え穴が開いて気圧の急激な低下などあっても、拳銃弾クラスの小さな穴であれば機体を破壊するまでには至らないこと。
も銃撃戦で機体が破壊されない根拠とされている.


 【質問】
「J-Cast News」:こんな凶悪犯相手でも 日本の警官は銃を使えないのか
にもあるように,発砲すれば阻止できた?

 【回答】
「玄倉川の岸辺」: 据物撃ちなら誰でもできる
「火薬と鋼」■[実銃情報] ニューヨーク市警の命中率から
によれば,拳銃は素人が想像する以上に近い距離でも当たらないものなのだという.
 後者ブログはニューヨーク市警の「30%」という数値を紹介し,次のように述べている.

――――――
発砲の判断や責任というのはかなり難しいもので,議論は尽きることがない.ただ,議論する上で「当たらない可能性が結構ある」ことと「当たらなかったときに何が起きるか」は考慮したほうが良いと思う.
――――――

 そして,それよりはテイザーを使ったほうがいいという.

 詳しくは両ブログを参照されたし.

 上記は凶悪事件の犯罪者に対する考察だが,テロリストの阻止のときにも同じことが言えるだろう.

 【関連リンク】
「火薬と鋼」■[実銃情報] ニューヨーク市警の火器使用についての最新調査結果


 【質問】
日本代表,厳戒到着…機関銃片手にお出迎え

 日本代表にもついに,機関銃によって警護される時が来たとは・・・.
 イエメン軍の機関銃はPKかな?

バルセロニスタの一人,2010年01月04日 09:14

 【回答】
 AK-47Sっぽいです.

http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/japan/news/20100103-OHT1T00122.htm
>開発者の名前から「カラシニコフ」とも呼ばれるこの自動小銃は,
>中東の軍隊の多くが採用しているが,
>世界中の解放,革命,抵抗,テロの象徴とも言われる.
>「装備が古くてびっくりした.そうとう旧式なんじゃないか」
>と,妙に詳しい代表関係者

 オタ発見(笑)

極東の名無し三等兵,2010年01月04日 12:50

 VIPやら代表やらをむき出しの武装でご接待,というのなら枚挙に暇はないです.
 昔いた会社の役員が,アフリカ現地で契約のときも,空港から武装兵の護衛付だったそうですし.

ゆずこせう,2010年01月04日 11:50

 『水曜どうでしょう』なんか越南ロケの際は,始終公安が一緒でしたね.
 思いっきり談笑してたので,「監視」というよりも,
「大事な日本のマスコミに何かあったら一大事だ」
という感じだったんでしょうけど.

クローム・ツァハル,2010年01月04日 12:29

 そう言えば2004年アジアカップ本大会では,開催地の中国で反日感情を爆発させた中国人サポ対策のために,中国政府は日本代表を乗せた,おそらく北京警察のバスに,81式自動歩槍?を構えた警官が警備していましたね.
 まぁ北京警察ではなく,人民武装警察の可能性もありますが.
 制服よく覚えていないんですよね.
 誰か詳しい人いるでしょうか?

バルセロニスタの一人,2010年01月04日 13:39

 そういや私も2003年にホノルルマラソンに初参加した時,ホノルル市警の警官が自動拳銃(よくは見ていないがベレッタ?)をクイックホルスターに入れて歩いてるのを見た時には,軍ヲタの血が騒ぎましたわ(笑)

バルセロニスタの一人,2010年01月04日 13:47

 米軍基地のゲートにいる警備員は,銃を携行してますね.
 たまに基地内に入る時に,ホルスルーのグロッグに目がいってしまう(笑)

島の人,2010年01月04日 14:58

> 基地内に入る時にホルスルーのグロッグに目がいってしまう(笑)

 仲間発見(笑)
 たいてい,ショットガンか拳銃を持ってますね.
 911の時は,アダプタ外したM16を持ってる物騒な兵士が,基地の外に居たこともあったとか.

 以前,普天間の基地祭のとき,ゲートに居た憲兵がベレッタを持ってて,これがスタイルのいい美人で,いろんな意味で目の保養になりました.

極東の名無し三等兵,2010年01月04日 16:59

 横須賀ベースのガードは,ショットガン持った日本人でした.
 遊びに行くたびに雑談に付き合わせて申し訳ありませんでした.

クローム・ツァハル,2010年01月04日 17:09

 各国の空港の警備は観察していると面白いです.
 韓国の仁川はK2の折り畳み銃床型を持った軍人でしたが,気が抜けていて全然威圧感がない(兵役だろうしなあ)のですが,シンガポールのチャンギ国際空港の警備は目がマジで,配置も隙がなくて威圧感がありましたね.
 装備は拳銃からMP5と色々でしたが,威圧感があるんでジロジロ観察できませんでしたよ.

dragoner,2010年01月04日 18:44

 空港じゃないですけど,ビッグベン(UK国会議事堂)の警備をしている人は友好的でしたね.
 丁度,『イラク戦争反対!』とかいう連中が,目の前で騒いでいる時でしたが.
 銃はなんだかわかりませんでしたが,手を振ったら笑顔で返してくれました.

ゆきかぜまる,2010年01月04日 18:48

 ホノルルは警備は・・・見た事がなかったですね.
 観光地なんだし州兵がいてもいいとは思うのですが.

 ちなみにヒッカムと隣接してるので,着陸時はC-141やKC-135,運がよければハワイ州兵空軍のF-15Aが見られます.

バルセロニスタの一人,2010年01月04日 20:14

 横須賀 の基地際で米軍艦艇に入れる時があるのですが,艦艇内の水兵がM16A2とM92Fを持って警備してましたね.

CRS@空挺軍,2010年01月04日 22:10

 そういや2001年のコンマガ(だったか?)では,相模総合補給廠を警備していた米陸軍の憲兵隊(?)だったと思うが,正門前でバンヴィーに乗ってM240を構える戦闘服+PASGTヘルメットの兵士を見た時は,かつてのベトナムを彷彿しましたな.

バルセロニスタの一人,2010年01月04日 22:38

 去年の横田FSDのF-22の警備の人

 自衛隊?
 警棒一本ですが何か?

hide@RJTJ,2010年01月04日 22:50

 ちなみに1988年に高校時代に松島の航空祭に行ったけど,自衛官は誰も武装しとりませんでした.
 あの頃は東北本線も客車列車や455系も現役だったし,仙石線も103系が爆音撒き散らして田んぼや海岸を走っていて平和だったな・・・.

バルセロニスタの一人,2010年01月04日 23:13

 でも,80年代だと横田のアメ兵はガバの弾倉抜いたのぶら下げてたりしますた.

 …時代だったのかなあ.

ゆずこせう,2010年01月05日 11:06

 911直後のホノルル空港はどこもかしこも,M16持った軍人さんがぞろぞろ….
 がらがらに空いていたので,ホテルの部屋のアップグレードが三段階ジャンプアップ!

赤の9番,2010年01月05日 11:38

in 「軍事板常見問題 mixi別館」,
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 立てこもり事件で警官隊の様子をマスコミへりがライブ中継してたのは,警察にとって邪魔な行為なんですか?

 【回答】
 一般に,何でもかんでも報道されてしまうと,ニュースから警察の動向を知られる可能性がある.
 そうなるとやけっぱちになった犯人が暴走するとか考えたら非常に宜しくない.
 彼らもメシのタネが掛かっているのは分かるが,程々にして欲しいもの.

 ただ,基本的に立て籠もり犯がいる建物は電気切られたりするので,どこまで邪魔かというのは何とも.
 合理的な理由があって邪魔だということになれば,報道に要請もできるし……

軍事板

 たとえば,駐英イラン大使館占拠事件では,SASが突入する模様がばっちりテレビに撮られていたが,それで作戦が失敗したとかいう話は聞かない.


 【質問 kérdés】
 南米のテロ対策を大雑把に教えてください.

 【回答 válasz】
 南米各国のそれぞれについて述べると,非常に長くなるので,ざっくりと.

 南米ではテロと言えば長い間極左テロ組織がその主体だった.
 彼らは政府軍も容易には入れないようなジャングル奥地に聖域を作り,麻薬栽培や身代金目的の誘拐を資金源としてきた.
 それは商売としては上手くいったが,その反面モラル低下を招き,ただのギャングと変わらない集団と堕した.
 また,豊富な資金を背景にして,南米のいくつかの国のテロ組織は内戦を引き起こす傾向にある.

 一方,南米は移民の国でもあるので,イスラーム系移民も徐々に流入しており,それにつれてイスラーム過激原理主義も入り込みつつあるという.
 たとえば2016年7月には,ブラジルの過激原理主義組織が,「テレグラム」上で「アンサール・ヒラーファ・ブラジル(Ansar al-Khilafah #Brazil)」という広報チャンネルを立ち上げ,ダーイシュ指導者アブ・バクル・アル・ バグダディへの忠誠を表明した.
 「テレグラム」はロシアで開発された暗号化通信アプリである.
 また,アルゼンチン,ブラジル及びパラグアイが国境を接する三国国境地帯 Tri-Border Area には,過激派組織を支援するイスラーム系住民が存在しているとの報道もある.
 この地域は以前から密輸や麻薬・武器取引の拠点になっており,マネーロンダリング(資金洗浄)も行われているという.

 他に国境地帯でテロ活動家との関与が警戒されているのがフォス・ド・イグアス(ブラジル側の都市名.パラグアイ領のシウダ・デル・エステ,アルゼンチン領のプエルト・イグアスと共にこれらの国境地帯で接している都市の間で自由な往来ができる)である.
 この国境地帯3都市で,規模が最大の都市がブラジルのフォス・ド・イグアス(以下イグアス)である.
 パラグアイは南米で唯一の台湾承認国であることから,華人の移住者も集中している.同地域の商業には華人に加えてアラブ系商人も進出している.

 中南米の集団安全保障のための組織としては米州機構(OAS)があるが,OASにおいてテロ対策が議論されるようになったのは9.11テロ以降である.
 2001年9月21日に開催された米州相互援助条約外相会合では,9・11テロを米州全体への攻撃とみなし, 同条約加盟国は米州諸国へのいずれの国に対する今後のテロ攻撃を米州全体への攻撃とみなし,これに対する脅威に対処するために有効な相互援助を提供することを22カ国が決議した.

 独立後も欧米列強からの内政干渉に苦しんできた歴史がある中南米諸国では,集団安全保障の名目による内政干渉を警戒する傾向が強く,中南米各国はテロ対策の名目で特定の国家や民族,宗教に対する武力攻撃や干渉を支持していない.
 しかし,米国は上述の三国国境地帯がテログループの拠点になっているとして関係国との連携を提案しているが,内政干渉を警戒している関係国も,この国境地帯のテロ対策については協調する姿勢を見せている.

 また,米国はかねてより,イグアス地域の警戒強化を関係国に提案している.
 2002年11月にチリで開催された米州34カ国国防相会議でも,米国は同地域の共同防衛を提案している.
 しかし,こちらは南米各国が同意しなかったため,米国の提案は実現しなかった.
 一方でアルゼンチンやブラジルはイグアス地域において,それぞれ独自に治安対策を講じている.

 イスラーム過激原理主義テロ対策に南米諸国が慎重な理由は,もう一つある.
 そのような対策を講じることにより,アラブ系移民を刺激したくないというもの.
 中南米国内にはユダヤ系移民もいる.
 よって対応如何によっては,中南米国内のアラブ・ユダヤ間の対立を激化しかねない,との懸念がある.
 事実,アルゼンチンでは1992年及び1994年にブエノスアイレス市内において,イスラエル大使館及びイスラエル共済組合会館の爆破事件が発生している.

 反米という共通項でイランと結びついているヴェネズエラのような国もある.
 ヴェネズエラにはイラン大使館があり,イランはひそかにイスラーム過激原理主義者を支援していると見られている.
 ただ,この支援は成果を挙げているとは言い難い.
 中南米諸国はキリスト教圏であり,イスラーム系移民も世俗化が進んでいる.
 また,長年の経済制裁により,イランの支援は欠乏気味となっている.

 結局のところ,最も効果のあるテロ対策は,経済的に締め上げることかもしれない.

 【参考ページ Referencia Oldal】
http://www.iti.or.jp/flash43_1.htm
http://www.iti.or.jp/flash43_2.htm
http://www.iti.or.jp/flash43_6.htm
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/07/isis-71.php
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_241.html
https://courrier.jp/news/archives/52096/
http://www.bjreview.cn/JP/04-40/40-guoji.htm
http://www10.plala.or.jp/shosuzki/edit/la/peru/sendero.htm
https://www.strategypage.com/htmw/htterr/articles/20130717.aspx

mixi, 2017.11.12


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