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◆◆◆ロンドン同時多発テロ
<◆◆アル・カーイダFAQ
テロリズムFAQ目次

英空軍の対テロ早期警戒機

(うそ)


 【Link】

NEWS・MANIAX ロンドン同時テロ犯人特定 専門家解説(NNN 動画あり)

Y!ニュース トピックス〜ロンドン同時多発テロ

ロンドン同時テロの発生時刻と死者数(7/9)


 【質問】
 2005/7/7のロンドン同時多発テロでは,どこがどんな順番で爆破されたのか?

 【回答】
 新聞などの報道によれば,以下の通り.

 爆発はまず,欧州最大の金融街「シティー」にあるリバプールストリート駅近くで,7日午前9時のラッシュ時に発生,市内全域で地下鉄が運行停止となった.
 その後,爆発は,他の3つの地下鉄駅近くと3台のバスで連続して発生した.また,市中心部にあるラッセル広場では,2階建てバスの2階部分が吹き飛んだ.
 〔略〕

 現場は市内中心部の複数か所だが,日系金融機関が集中しているところや,大英帝国博物館,セントポール大聖堂,バッキンガム宮殿などの観光名所に近接しているところもある.

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050707-00000012-yom-int

 ロンドン警視庁は9日,同時爆破テロ事件で記者会見し,三つの地下鉄列車(いずれも6両編成)の爆発は,7日午前8時50分ごろ,ほぼ同時に発生したと発表した.
 時限式爆弾を用いたのは確実で,バス爆破を含め自爆テロの可能性は極めて低いと見ている.

(毎日新聞,2005/7/10)

1 The four men arrive at King's Cross Thameslink station from Luton. They go to the tube station and fan out on different lines
2 Shehzad Tanweer takes the Circle line eastbound. Bomb explodes between Liverpool St and Aldgate
3 A fourth suspect, believed to be Lindsey Germaine, takes the Piccadilly line south. The train blows up before the first stop at Russell Square
4 Mohammad Sidique Khan takes the Circle line westbound. Bomb explodes at Edgware Rd
5 Hasib Hussain may have tried the Northern line but he ends up on the No. 30 bus. Bomb explodes at Tavistock Square

(BBC, 2005/7/15)


 【質問】
 ロンドン同時多発テロを実行したのはアルカーイダなのか?

 【回答】
 未確定だが,その可能性がそうでない可能性よりは高い.
 なお,後日,ザワヒリ自ら犯行声明を出している.

 まず,アルカーイダの名で犯行声明が出ている.
 報道によれば,
「『欧州のアルカイダ秘密組織』を名乗る組織は七日,ウェブサイト上に
『イラクとアフガニスタンでの虐殺への報復だ』
との犯行声明を発表した」(毎日新聞,2005/7/8)
という.

 また,同時に数ヶ所でテロを仕掛ける方法は,アルカーイダの常套戦術である.
 もっとも,この戦術は効果的であるため,現在では他のテロ組織も真似をしている可能性もある.

 さらに,以下の記事のように,関連を示唆する情報もある.

英テロ容疑者は顔見知り,アル・カーイダ幹部認める

 【ロンドン=飯塚恵子】ロンドンの同時爆破テロ事件で,17日付の英日曜紙インデペンデント・オン・サンデーは,米国で拘束中の国際テロ組織アル・カーイダの幹部が,テロ実行犯のモハメド・サディック・カーン容疑者の写真を見て,顔見知りだと認めたと報じた.
 このメンバーは,パキスタン系米国人のモハメド・ジュナイド・ババル容疑者(29).昨年パキスタンで開かれたアル・カーイダ幹部によるテロ策謀会議から帰国した際に米捜査当局に拘束された.英国内で未遂に終わった飲食店や鉄道の爆破計画に関与したことを自白するなど,世界のアル・カーイダ網にかかわる重要情報を証言しているという.

(読売新聞,2005/7/18)

アル・カーイダのメンバー,事件前に英国入り確認

 【ロンドン=飯塚恵子】ロンドン警視庁のイアン・ブレア長官は15日,ロンドンの同時爆破テロ事件の2週間前の6月下旬,国際テロ組織アル・カーイダのメンバーと見られる男1人が英国南部のイギリス海峡に面した港から同国入りしていたことを明らかにした.

 英BBC放送とのインタビューで答えたもので,男は事件の数時間前に国外に出た可能性が高いという.英警察当局はこの間,男を監視していなかった.

(読売新聞,2005/7/16)

 なお,後日,アルカーイダは犯行声明を出している.

ロンドン同時テロ ザワヒリ容疑者が犯行声明

 カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは十九日,国際テロ組織アルカーイダのナンバー2,アイマン・ザワヒリ容疑者が,七月七日のロンドン同時爆破テロはアルカーイダが実行したと主張するビデオ映像を放映した.
 アルカーイダ幹部が,同テロへの関与を認める発言を行ったのは初めて.
 ザワヒリ容疑者はインタビューに応える姿で,
「ロンドンの攻撃はアルカーイダが実行した.英国のイスラム諸国に対する長年の傲慢(ごうまん)な姿勢に対する攻撃だ.英国はアフガニスタンやイラクで罪を犯し続けている」
と主張した.(カイロ 加納洋人)

産経新聞,2005/9/21

 また
「ロンドン攻撃の英雄たちは最後の声明で,イスラム国家とパキスタンのイスラム教徒に対し,異教徒に逆らうという偉大な教訓を与えた」
と述べた.
 同時テロの実行犯とみられるパキスタン系英国人モハメド・サディク・カーン容疑者とみられる男が,実行前にテロを予告したビデオを指すとみられる.

共同通信,2005/9/20


 【質問】
 テロリストの動機は?

 【回答】

(1)
 サミットに合わせて犯行を行うことで,政治的ダメージを与えようとしたと考えられる.

(一般的な報道)

(2)
 ガザ撤退問題に関して対話が行なわれたであろうイスラエル財務相が出席 予定だった経済会議が,テロを受けて中止され,ネタニヤフ・イスラエル財務相は訪英をキャンセルしています.
 これがテロの最大の狙いだったように思います.

 また,イランで新大統領が誕生した頃より,イラクではエジプト大使拉致に始まるテロ勢力の動きが活発化しています.
 現在中東では,イスラエルのガザ 撤退の進展,レバノンの政情不安,シリアの不安定化など,いろいろと不安定 な材料が目立ってきています.
 先日はアフガンで米軍機が撃墜され,情報部員 が拘束・殺害されたことが判明しています.

 一方,先日サウジで,テロネットワークの大物が治安部隊により殺害され ています.
 東南アジアのテロネットワークのひとつJIの元幹部は,内幕話を出 版しています. こういう状況がネットワークの求心力を低下させつつあることに,関係者が危機感を持っているというのも事件の背景にあるのだと思います.

 先日見たテレビの中で,「現在の対テロ戦争の最前線は,彼らの資金が出 入りする,規制のゆるい銀行が多い欧州になっている」との言葉を聞きました が,まさにその言葉を裏付ける事件が発生したわけですね.

(おきらく軍事研究会)


 【質問】
 テロは察知されていたのか?

 【回答】
 イスラエルから通報を受けていたとする情報がある一方,英国政府の姿勢から推測するに,全く気付いていなかった可能性がある.

 以下の報道によれば,英国政府はテロ警戒レベルを6月に引き下げていたという.
 これが本当ならば,テロを察知していなかった可能性が高い.

英のテロ認識に誤算,警戒レベル引き下げていた…英紙」

 英紙ガーディアンは7日,英対外情報部(MI6)や国家保安部(MI5),警察関係者で作る政府の統合テロ分析センター(JTAC)が先月,国際テロ組織アル・カーイダによるテロ警戒レベルを引き下げていたと報じた.
 英政府は昨年3月のマドリード列車同時爆破テロ以降,テロ対策を強化してきたが,肝心の情報収集能力に甘さがあったとの批判が高まっている.

 同センターは,アル・カーイダ指導部は国内で組織的テロを実行する能力がないと判断.
 「全般的な警戒」としていた警戒レベルを,「(脅威が)実在はする」に落とし,「アル・カーイダと緩い関係を持つか,あるいは全くの単独の個人・グループ」だけに焦点を当てていたという.
 フィナンシャル・タイムズ紙も,MI5が先月初旬,企業関係者に対し,英国内で国際テロ組織によるテロ脅威は,2001年の米同時テロ以降,最も低いレベルにあると助言していたと報じた.

 一方,ガーディアン紙は,英政府がテロ予備軍の追跡に手間取っていた実態も報じた.
 同紙に対し,情報当局は,イスラム系の若者が武装勢力に参加するため続々とイラク入りすることに警戒を示しながら,
「若者たちは偽造した身分証明書を複数所持しており,追跡は困難だった」
と認めたという.
 英政府は近年,テロ容疑者の拘束手続きを簡略化する「対テロ法」制定を進めている他,公共の場に数千台の監視カメラを設置するなどして,治安対策を進めていた.

(読売新聞,2005/7/8)

英治安当局,同時テロ実行犯の監視怠る

 【ロンドン=土生修一】ロンドン同時爆破テロ事件で16日,実行犯4人が特定されたが,17日付の英紙サンデー・タイムズは,このうち,リーダー格とされるモハメド・サディック・カーン容疑者(30)が,昨年発覚したロンドン中心部爆破テロ未遂事件に関連して,いったん捜査線上に浮かんだものの,国家保安部(MI5)が,「事件の主犯とは直接関係がなく危険度は低い」と判断,その後も監視を継続しなかったと報じた.
 また同紙は,ジャマイカ出身のジャーメイン・リンジー容疑者(19)についても,米国の要注意人物リストに載っていたにもかかわらず,MI5が監視を怠ったとしている.

 ロンドン警視庁のブレア長官は15日,事件発生2週間前に国際テロ組織「アル・カーイダ」のメンバーと見られる男が英国南部の港から入国した情報を入手しながら,その後の足取りを追跡しなかったことを認めている.
 英メディアは,この男が事件を背後で指揮した「首謀者」の可能性があると指摘している.

 捜査当局は実行犯4人について,
「過去に犯歴はなく,未然に防止することは不可能だった」
としているが,今後,責任問題も浮上しそうだ.
(読売新聞. 2005/7/18)

 一方,以下の報道によれば,イスラエルは英国に情報を伝えていたという.
 まあ,伝えられた情報をどう評価するかは,英国側次第だが.

Israel Warned United Kingdom About Possible Attacks

Summary

There has been massive confusion over a denial made by the Israelis that the Scotland Yard had warned the Israeli Embassy in London of possible terrorist attacks メminutes beforeモ the first bomb went off July 7. Israel warned London of the attacks a メcouple of days ago,モ but British authorities failed to respond accordingly to deter the attacks, according to an unconfirmed rumor circulating in intelligence circles. While Israel is keeping quiet for the time-being, British Prime Minister Tony Blair soon will be facing the heat for his failure to take action.

Analysis

The Associated Press reported July 7 that an anonymous source in the Israeli Foreign Ministry said Scotland Yard had warned the Israeli Embassy in London of possible terrorist attacks in the U.K. capital. The information reportedly was passed to the embassy minutes before the first bomb struck at 0851 London time. The Israeli Embassy promptly ordered Israeli Finance Minister Benjamin Netanyahu to remain in his hotel on the morning of July 7. Netanyahu was scheduled to participate in an Israeli Investment Forum Conference at the Grand Eastern Hotel, located next to the Liverpool Street Tube station -- the first target in the series of bombings that hit London on July 7.

Several hours later, Israeli Foreign Minister Silvan Shalom officially denied reports that Scotland Yard passed any information to Israel regarding the bombings, and British police denied they had any advanced warning of the attacks. The British authorities similarly denied that any information exchange had occurred.

Contrary to original claims that Israel was warned メminutes beforeモ the first attack, unconfirmed rumors in intelligence circles indicate that the Israeli government actually warned London of the attacks メa couple of daysモ previous. Israel has apparently given other warnings about possible attacks that turned out to be aborted operations. The British government did not want to disrupt the G-8 summit in Gleneagles, Scotland, or call off visits by foreign dignitaries to London, hoping this would be another false alarm.

The British government sat on this information for days and failed to respond. Though the Israeli government is playing along publicly, it may not stay quiet for long. This is sure to apply pressure on Blair very soon for his failure to deter this major terrorist attack.

For more breaking intelligence on this and other stories, please visit premium.stratfor.com.

Send questions or comments on this article to analysis@stratfor.com.

(Stratfor Consulting Intelligence Agency,July 7, 2005)


 【質問】
 英国市民は,このテロをどのように受け止めているのか?

 【回答】
 テロ直後の世論調査によれば,

・トニー・ブレア首相の支持率:テロ前32%→テロ後49%

・テロへの断固たる姿勢を堅持:75%→81%

・テロ防止のため市民権の制限を容認:58%→70%

・テロ事件はあなたの生活を変えるか? No回答が88%

(Anthony King from "Telegraph" 2005/7/9)


 【質問】
 7/7テロの実行犯はどんな人間か?

 【回答】
 各種報道によれば,以下の通り.

 4人はいずれもパキスタン系で英国生まれ.ウェストヨークシャー出身.三人はリーズ周辺に居住するパキスタン系英国人だった.全員が自爆して死亡.

 七日の爆発直前の四人の姿は地下鉄駅の監視カメラにとらえられていた.
 映像では「ハイキングに出かけるようにリラックスしていた」という.

<モハメド・サディク・カーン Mohammad Sidique Khan (30)>

 エッジウエアロード駅での爆発の実行犯.
 生後八カ月の娘の父親で,小学校の障害児学級で働いた経験がある.

 物静かな性格で,近所のジムに通うところが時折見かけられたことを除けば,近隣住民にもほとんどなじみはなかった.
 地元小学校で,新たに渡英して来た移民家族の教育指導を担当.
 ソフトな語り口でじっと耳を傾け,子供たちの人気者だったという.
 また,地元ユース・センターのジムで,若者たちとも汗を流していたという.
 リーズ大学で妻と知り合い結婚したが,結婚前には家族の許可なく交際.帽子をかぶったりしなかったことから,妻の親類から「イスラムの宗教心が足りない」と批判されたこともある.
 しばしばパキスタンを訪問したが,短期間だった.

(BBC, 2005/7/14)
(蔭山実 from 産経新聞, 2005/7/14)
(長谷川由紀 from 読売新聞,2005/7/14)
(山科武司 from 毎日新聞, 2005/7/14)

 また,カーンの友人が2005/7/14,匿名で英BBCラジオに出演し,述べたところによれば,彼は定期的にアフガニスタンなどを訪れ,軍事訓練を受けていたという.

 友人の証言が事実とすると,アフガン国内に訓練キャンプを築いていた国際テロ組織アルカーイダと,実行犯である同に何らかのつながりがあった可能性がある.
 英メディアによると,首謀者とされるパキスタン系の男も,アルカーイダとつながりがあるとされる.

 カーンは,パレスチナ,イラク,アフガンにおける欧米の外交政策に怒りをあらわにしていたといい,この友人は同を「異常な人間」と感じていたという.

(産経新聞,2005/7/15)

<シェへザド・タンウィール Shehzad Tanweer (22)>

 オルドゲート駅の爆発を実行.
 スポーツ科学専攻の大学院生.クリケット好きの快活そうな青年だった.
 父親は英国のファストフードともいえる「フィッシュ・アンド・チップス」の店を経営,タンウィールもたまに店を手伝うことがあった.
 普段はTシャツにジーンズ姿で宗教的ではなかったとの周囲の話がある一方,午前4時からの礼拝も欠かさない敬けんな信者だったとの話もある.

 英紙,インディペンデントによると,同容疑者はイスラム学を修めるため,昨年十二月に九カ月の予定でパキスタンに向かったものの,なぜか予定を切り上げて,今年二月には帰国したという.
 しかし,別の報道ではパキスタンのほか,アフガニスタンにも長期滞在していたことがあるとされ,その機会を通じてテロリストと接触した可能性が指摘されている.

 知人によるとイスラム教を学びに行ったようで,帰国後は熱心にモスクに通うようになっていた.

(BBC, 2005/7/14)
(蔭山実 from 産経新聞, 2005/7/14)
(長谷川由紀 from 読売新聞,2005/7/14)
(山科武司 from 毎日新聞, 2005/7/14)

 タンウィールと接点があるとされる,イスラム過激派組織ジェイシモハメドの関係者とみられる4人も,パキスタン治安・情報当局によって,2005/7/15,パキスタン東部ファイサラバードで拘束されている.同組織は国際テロ組織アルカイダとつながりがある.
 ロイター通信によると,タンウィールは2003年にパキスタンを訪れ,ファイサラバードでジェイシモハメドのウサマ・ナジルと接触.
 4人の拘束は,タンウィールのパキスタンでの行動を調べるためとみられる.
タンウィールがナジルと会った時期は昨年との情報もある.

(日経新聞,2005/7/16)

【ロンドン同時テロ】「ビンラディン容疑者に傾倒」 容疑者の叔父証言[07/22]

 21日付パキスタン紙ドーンは,ロンドンで起きた同時爆破テロの容疑者の一人,シャーザド・タンウィール容疑者が昨年11月,同国東部ファイサラバード近郊の叔父宅に3〜4週間滞在していたと報じた.
 その間,同容疑者がアルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者をほめるのを耳にした,と叔父が証言しているという.

 同紙によると,タンウィール容疑者は滞在中,祈りを欠かさず,イラクやアフガニスタンでの市民の犠牲への怒りを口にした.叔父は同紙に
「おいは『オサマ・ビンラディンが自分の理想だ』といっていた」
と話した.
(略)

(朝日新聞,2005/7/22)

<ハシブ・ミール・フサイン Hasib Mir Hussain(18)>

 二階建てバス爆破にかかわったとされる.
 父親は工場労働者だが,自宅には四つの寝室があり,裕福だったとみられる.
 背が高く,青いコンタクトレンズをつけて髪を長く伸ばしていた.
 思春期には荒れることもあった.
 2年前にメッカを巡礼し,以後それまでの乱暴者ぶりが影を潜めた.手を焼いていた両親は,むしろ安心していたとの証言がある.

,タンウィールの古くからの友人で,カーンとも知り合いだった.

 バス爆破は,ほぼ同時に発生した三件の地下鉄爆破とは異なり,約一時間遅れて起きた.
 車内では,この少年とみられる若者が,動揺した様子でカバンの中身を探っていた様子が目撃されている.
 自爆テロの決心が揺らいだのか,あるいは友人たちの爆発に後れを取ったことに動揺したのか…….
(BBC, 2005/7/14)
(蔭山実 from 産経新聞, 2005/7/14)
(長谷川由紀 from 読売新聞,2005/7/14)
(山科武司 from 毎日新聞, 2005/7/14)

<ジャーメーン・リンゼー Germaine Lindsey(19)>

Police sources have named the fourth suicide bomber as Jamaican-born British resident Germaine Lindsay.

He is understood to have been living at a house in Northern Road, Aylesbury that police raided on Wednesday night.

Germaine Lindsay spent his teenage years in Huddersfield, West Yorkshire, like his fellow bombers.

He moved there in 1999 with his mother and sister, and moved away in 2003.

During this time he changed his name to Jamal Lindsay and began attending after-school classes to improve his knowledge of Islam.

Germaine Lindsay was married to Samantha Lewthwaite, with whom he is reported to have one 15-month-old child. Ms Lewthwaite is also reported to be pregnant with their second baby.

In a statement Ms Lewthwaite said she "never predicted or imagined that he was involved in such horrific activities".

"He was a loving husband and father," she said.

"My whole world has fallen apart and my thoughts are with the families of the victims of this incomprehensible devastation."

A statement issued by his relatives Andrew, 49, Sabrina, 28, Allan, 25, and Carly, 21 said Germain Lindsay "had a kind, caring and calming presence about him".

"He was a good and loving husband and a brilliant father, who showed absolutely no sign of doing this atrocious crime.

"We as a family had no idea of his plans and are as horrified as the rest of the world."

Lindsay is said to be responsible for the Kings Cross attack, where 26 people have been confirmed dead and hundreds more injured.

(BBC, 2005/7/16)

 警察当局が特定した実行犯のうち,2人はパキスタン入国歴があり,リーズ周辺のモスクなどで出会ったイスラム過激派の黒幕に感化されたとみられる.
 政府関係者は
「英国人に国内で自爆テロを決意されたらお手上げだ」
と,再発防止策の難しさを指摘する.

(日経新聞,2005/7/13)

 パキスタン系とはいえ,国外のテロリストでなく「英国籍の若者」だったことに,衝撃が走っている.
 ブレア英首相は13日,下院で改正反テロ法案の審議を前倒しすると言明.
 テロ組織が国内に深く潜行している実態を踏まえ,政府では「第2のテロ」対策実施を提唱する声が広がってきた.

(同)


 【質問】
 首謀者・事件支援者はどんな人間か?

 【回答】
 以下のような報道がなされている.
 首謀者と見られる人物は拘束されたものの,捜査は行き詰まりを見せつつあるという.
 以下引用.

≪ハルーン・ラシッド・アスワト≫
 事件の首謀者?
 28日,ザンビアで拘束.
 インド系の英国人.
 アルカイダを支援したとして英当局が昨年逮捕,米司法当局が起訴したイスラム過激派聖職者アブハムザ・マスリ被告の側近だったとみられている.
 米当局は,アスワト容疑者が1999年から2000年にかけて,米西海岸のオレゴン州ブライにテロリスト訓練キャンプ設置を計画していた疑いで,3年前から行方を追っていた.
容疑者はテロ2週間前に英国入りし,テロ直後に出国したとされる.

 アスワト容疑者はテロ発生直前の7日朝に,テロ実行犯の一人とされるカーン容疑者と携帯電話で通話した可能性があるほか,実行犯2人と7日までに最大20回の通話をしたとみられている.

 パキスタンのラシッド情報・メディア相はアスワト容疑者の拘束を否定したが,同国の情報当局者は英各紙に拘束を確認.英捜査当局者は「主要な黒幕」と確信しているという.
(後略)

(毎日新聞,2005/7/29)
(共同通信,2005/7/29)
(産経新聞,2005/7/21)

 また同紙によると,捜査当局は,このほかにも共犯とみられる複数の人物の行方を追っている.

 このうちの男性1人は,事件当日,ロンドン北郊ルートン駅ホームで実行犯とみられる4人と一緒にいたところを監視カメラに撮影されている.
 捜査当局は,この男性が,新たな爆破事件を起こす可能性もあるとして足取りを追っている.
(土生修一 from 読売新聞, 2005/7/14)
 四人以外に,リーズで男一人が逮捕され,爆発物を積んだレンタカーが発見されたロンドン北郊ルートンの監視カメラにもう一人,カリブ系の男が写っていた.
 二人は爆発物の製造にかかわったり,自宅に実行犯らを潜伏させたりした疑いが持たれている.
 十五日にカイロで逮捕されたエジプト人,マグディ・ナシャル容疑者(33)は,リーズ大で生化学を専攻,アパートはテロ組織の「爆弾製造工場」になっていた可能性がある.
 携帯電話には,自爆犯の一人の番号が残されていたという.
(産経新聞) - 7月16日15時25分更新
 英捜査当局は十三日まで,英国中部の都市リーズ周辺の六カ所を捜索するとともに,実行犯の親類とされる男一人を逮捕した.
 当局は,実行犯の背後にテロを計画し,指揮した首謀者がいるとの見方を強め,国外への逃亡の可能性も含めて特定に全力を挙げている.
(蔭山実 from 産経新聞, 2005/7/14)
 一方,英PA通信は13日,地元下院議員の話として,同州リーズ市で行われた家宅捜索で,犯行グループが「作戦本部」として使用していたとみられる民家が見つかったと伝えた.
(長谷川由紀 from 読売新聞,2005/7/14)
 27日付のタイ英字紙ネーションによると,タイ警察当局は2005/8/24,ロンドン同時爆破テロ事件を起こしたグループのメンバーに偽造旅券を渡した疑いがあるとして,アルジェリア人の男(33)をバンコクで逮捕した.
 男は英当局からも手配されていた.
 男はフランスとスペインの偽造旅券180通を所持していた.(バンコク支局)
(読売新聞, 2005/8/27)
英同時テロ捜査行き詰まり MI5報告書で判明と報道

 【ロンドン29日共同】29日付の英紙サンデー・タイムズは,英情報局保安部(MI5)がブレア首相らに提出したロンドン同時テロの捜査報告書を入手したと報道,国際テロ組織アルカイダの事件への関与の有無や,2つのテロの関連性が依然明らかになっていないなど,捜査が行き詰まっていると伝えた.
 報告書は昨年10月時点のものだが,現在も同様の状況が続いているとしている.
 2つのテロ事件のうち,実行犯4人を含む56人が死亡した昨年7月7日のテロでは,4人のうち3人がパキスタン系英国人で,2004年にパキスタンに入国したことが分かっている.

共同通信,2006年1月29日19時17分

 なお,関係者と見なされてエジプト当局に拘束されていたエジプト人化学者マグディ・エルナシャル博士(33)は,事件とは無関係とされて2005/8/9に釈放されている.
 以下引用.

 博士は実行犯とされる4人のうち2人とは少しだけ面識があり, 1人は「とても親切で優しかった」と話した.
 〔略〕
 博士は2000年から英リーズ大学の博士課程で学び,今年4月に生物化学で博士号を取得している.

 7月7日のテロで死亡したことが確認され,実行犯の1人とみられている,ジャマイカ出身のジャーメイン・リンジー容疑者とは,昨年秋にリーズで知り合ったと説明.
 リンジー容疑者が今年6月にロンドンからリーズへ引っ越したいと相談してきたので,自分の大家を通じて部屋探しを手伝ったと話した.
 その関係から,もう1人の実行犯とされるハシブ・フセイン容疑者にも紹介されたという.

(CNN,2005/8/11)


 【質問】
 英国のイスラーム社会の意識は?

 【回答】
 以下の記事によれば,
・4人に1人が,今月7日のロンドン同時テロ実行犯の動機に共感,
・2人に1人が,イスラム教徒は平等にみられていない
と考えているという.

4分の1が同時テロに共感 英国のイスラム教徒

 【ロンドン23日共同】23日付の英紙デーリー・テレグラフの世論調査によると,英国のイスラム教徒の4人に1人が,今月7日のロンドン同時テロ実行犯の動機に共感し,2人に1人が,イスラム教徒は平等にみられていないと考えていることが分かった.
 調査結果によると,88%が「7日の同時テロは正当化されない」と答え,「正当化される」とした6%を大きく上回った.
 実行犯の動機に「大いに共感する」「少し共感する」が計24%だったのに対し,「共感しない」は計71%だった.
 また,「英国の政治指導者らは,イスラム教徒よりも白人の命を重くみている」に52%が同意.
 政治指導者らの「イスラム教を尊重し,イスラム社会と協力したい」という言葉について,50%が「誠実ではない」と答えた.
(共同通信, 2005/7/23)

 この数字を多いと見るか,少ないと見るかは,各自の判断に任せたい.


 【質問】
 テロ発生後に大量に売れている物とは?

 【回答】
 2005/7/8付ロイター通信によれば,テロ発生翌日から,自転車が爆発的に売れているという.
 以下引用.

 テロのあった木曜日,疲れ果てた顔で家に帰る途中の人たちに自転車を売りつける人が出現.最高300ポンドくらいまでの値段で取引された.
 さらに自転車に上手く乗れない人にはレッスンまで行ったとか.
 ロンドンの中心部,ホルボーンに近い場所で自転車屋を営むティム・デイヴィースさんは語る.
「バスが爆破された場所がすぐそこなので,とにかく逃げなければと思いました.
 でも,午前11時頃から店がものすごく忙しくなってきたのです.
 私の店では一日に5台から10台,自転車が売れるのですが,その日はわずか2,3時間でその倍の台数が売れました」
「10年以上自転車に乗っていないと言う人達もいて,乗り方を教えてくれと頼まれる場合もありました」

金 曜日には,倉庫に何年間も放置してあった錆だらけの自転車を引っ張り出して出勤する人々が増えた.
 会計会社に勤めるフェルナンド・ガンディオリさんは,
「町中,錆びた自転車でいっぱいだった.キーキーと軋む音があちこちで響いていました」
と,その日の状況を説明した.

 また,クラーケンウェル付近の自転車屋「エヴァンズ・サイクル」の店員マヤさんは
「いつもの3倍売れました.主に折りたたみ式の自転車や,安いものが売れました」
とコメント.
「お客さんはだいたいサラリーマンや,会社役員でした.
皆さん,おっしゃっていましたよ.
『ホテルなんかに泊まってお金を無駄にしたくないんだ.自転車を買って家へ帰る方がいいよ』
ってね」

「事件は,自転車業界の陰謀!!」
……と言い出している奴は,まだいない模様.


 【質問】
 2005/7/21のロンドン同時多発テロの経緯は?

 【回答】
 報道によれば以下の通り.

 最初に小規模な爆発が起きたのは西部シェパーズブッシュ駅.21日午後0時25分,警察の誘導で乗客が避難し駅は閉鎖された.
 目撃証言によると,爆弾を持っていたのはアジア系と見られる男で,爆発後負傷しながら逃走した.
 爆発音はシャンパンのボトルを開ける時の音を巨大にしたような感じだったという.

 南部オーバル駅では同0時半ごろ,ヒゲをたくわえたアジア系の若い男が,ドアが閉まる直前にリュックサックを車内に投げ入れ,大きな爆発音が響いた.
 ゴムの焼けたようなにおいが広がり,白い煙も充満した.
 乗客3人が追いかけ一度捕まえたが振り切られ,数分後に爆弾探知犬を連れた警官数十人が乗り込んだが,捕まえられなかった.

 同0時45分過ぎ,中心部ウォレンストリート駅の手前で若い男のリュックサックが突然,小規模な爆発を起こした
 .男は悔しがる様子で何か叫んでいたという.
 悲鳴が響き,乗客は他の車両になだれ込んだ.
 車内には,慌てた乗客の靴やバッグが残されていた.
 ある乗客は「自分は死ぬんだと思った」と語った.

 さらに午後1時27分,ロンドン東部のハックニーを走行していたバスの2階後部座席から,爆発音があった.
 乗客18人全員が,先を争ってバスから駆け降りた.
 バスの乗客からは
「爆発ではなくて爆発音だ」
「バスは壊れていなかった」
との証言があり,実際にどれほどの爆発だったのかははっきりしない.
 バスの2階には,爆発物を入れたとみられるリュックサックがそのまま残されていた.
(藤好陽太郎 from 毎日新聞, 2005/7/22)


 【質問】
 このテロと,7/7のテロとは,同一グループの仕業なのか?

 【回答】
 その可能性が強まっている.
・2つのテロで使われた爆弾の起爆装置に「共通点がある」
・急流下りツアーに,7日のテロ実行犯と,21日のテロ捜査で浮上した人物が参加している
・爆発物の成分に共通性がある
というのが,その根拠である.
 以下引用.

 【ロンドン=長谷川由紀】ロンドン警視庁のイアン・ブレア長官は24日,ロンドンで7日と21日に起きた同時テロで使用された爆弾装置に「共通点がある」と述べ,2つの事件を結びつける物理的な証拠となる可能性を示唆した.
 両事件の関係について,ブレア長官は「(攻撃パターンなどに)明らかな一致点がある」と述べ,同一組織による連続攻撃との見方を強めていることを認めた.

 24日付のオブザーバー紙など英メディアは,捜査当局が,両事件の犯行グループを結びつける接点として,ウェールズ地方の急流下りツアーに注目していると報じた.
 7日のテロ実行犯のうち,モハメド・サディック・カーン容疑者とシェザード・タンウィア容疑者の2人が参加したツアーに,21日のテロ捜査で浮上した人物が参加していた可能性があるという.
 〔略〕
(読売新聞, 2005/7/24)
英メディアは,捜査当局が7日のテロに関連して押収した車両から爆弾16発が見つかり,成分や構成が21日のテロ現場で見つかった爆弾と酷似していたことが分かったと伝えた.爆弾には,殺傷力を高めるため多数のクギが仕込まれていた.捜査当局は,2つの事件を結ぶ有力な手がかりとして注目している模様だ.
(読売新聞,2005/7/28)

 【質問】
 7/21のテロの実行犯は?

 【回答】
 各社報道を纏めると,以下の通り.

≪ムフタル・サイード・イブラヒム Muktar Said Ibrahim (27歳)≫
 29日,北ケンジントン地区で逮捕.
 バス爆破を企てたとされる.
 エリトリア出身.
 十三年前に家族とともに難民として英国に渡って,二〇〇三年に英国籍と英国旅券を取得.
 10代から麻薬常習,傷害,強盗を繰り返し,2年間の服役中にイスラム過激思想に傾倒するようになったとされる.

≪ラムジー・モハメド Ramzi Mohammad≫
 地下鉄オーバル駅での爆破を企てた.
 29日,北ケンジントン地区で逮捕.

≪ワハビ・モハメド(23)≫
 29日,ロンドン西部ノッティングヒル地区で逮捕.
 英フィナンシャルタイムズ紙(電子版)は,この男が爆破を果たせずロンドン西部に爆発物を放置した男と報じた.
 ワハビ容疑者は実行犯の一人,ラムジー・モハメド容疑者の兄弟とされ,実行犯四人と一緒に二十一日にテロを実行する予定だった可能性があったという.

≪オスマン・フセイン Osman Hussain (27)≫
 29日午後,ローマ南郊のホテルにいたところを逮捕.
 ソマリア生まれの英国人.
 地下鉄シェパーズブッシュ駅での爆破を企てたとされる.
 ローマ在住のオスマン容疑者の義理の兄弟が一緒に逮捕されたとの報道もある.
 イタリアからの報道などによると,オスマン容疑者は27日に英国を出国した.
 同容疑者は義理の兄弟と携帯電話で連絡を取っており,その発信記録から同容疑者の行動が判明した.

(読売新聞,2005/7/29)
(毎日新聞, 2005/7/30)
(産経新聞, 2005/8/1)

≪ヤシン・ハッサン・オマル Yasin Hassan Omar (24)≫
 27日,英中部バーミンガムで逮捕.
 オマル容疑者逮捕の端緒は,住民情報.公開写真を見た住民が「似た男が近所にいる」と情報提供した.
 午前4時半に警察の特殊部隊が同容疑者の暮らす民家に突入すると,オマル容疑者は,リュックサックを示して
「道連れにするぞ!」
と叫んだ.
 警官は,5万ボルトのスタンガンを使い,同容疑者を取り押さえた.
 ソマリア国籍.
 1993年に,親類と一緒に難民として英国に入国しており,イブラヒム容疑者とは同居していたという.
 オマール容疑者は永住権を得る一方,六年前にニューサウスゲートの拠点を借りて以降,計二万四千ポンドの住宅手当を受け取っていたという.
 逮捕時には部屋代を800ポンド(約16万円)ほど滞納.近くの食料品店から,ツナの缶詰を盗もうとするなど,生活は苦しかったらしい.

(読売新聞,2005/7/29)
(共同通信,2005/7/28)
(産経新聞, 2005/7/31)

ロンドン警視庁は2005/8/6, 殺人謀議や殺人未遂,爆発物取締法違反などの罪で,ヤシン・ハッサン・オマル容疑者(24)=ソマリア国籍=を起訴した.(日経新聞,2005/8/7)

 他に支援者・首謀者などを含めると,21日のテロでの逮捕者は20人に達しているという.
 以下引用.

英同時テロ 新たに7人逮捕

 【ロンドン=蔭山実】ロンドン警視庁は七月三十一日,英南部ブライトンで捜索を行い,二十一日の同時テロに関する反テロ法違反容疑で七人を逮捕した.イタリアで拘束された一人を含む実行犯の四人と,ザンビアで拘束された「首謀格」とみられるインド系英国人一人を合わせて,テロの逮捕者は国内外で計二十人になった.
 また同警視庁は二十九日のロンドン西部ノッティングヒルでの捜索で逮捕したのは,ワハビ・モハメド容疑者(23)と発表した.同容疑者は二十三日にロンドン西部で見つかった爆発物を捨てた疑い.ワハビ容疑者は実行犯の一人,ラムジー・モハメド容疑者の兄弟とされ,実行犯四人と一緒に二十一日にテロを実行する予定だった可能性があったという.
 一方,イタリアで拘束された二十一日の同時テロ実行犯の一人,フセイン・オスマン容疑者は英国への身柄移送の手続きが進められている.BBCテレビによると,オスマン容疑者はテロから五日後の七月二十六日に鉄道のユーロスターでロンドンからパリに逃走したことが分かった.

(産経新聞,2005/8/1)


 【質問】
 2005/7/22に英国警察特殊部隊に射殺された人物は,テロとは無関係だったのか?

 【回答】
 Yes.既にロンドン警視庁も謝罪している.
 以下引用.

<ロンドン同時テロ>誤認射殺,ブラジル政府に衝撃

 【ロンドン山科武司】ロンドンで21日発生した同時爆破テロ事件に関連し,ロンドン警視庁は23日,警察の特殊部隊が22日に射殺した男性は「事件とは無関係だった」と発表し,遺憾の意を表明した.今後の事件捜査やテロ再発防止策への影響は避けられない状況となった.
 男性はブラジル人のジェアンシャルレス・ジメネゼスさん(27).3年前から合法的に英国に住んでいた.ブラジル外務省は「衝撃を受け,困惑している」との声明を発表.英政府に説明を求める意向で,外交問題に発展する可能性も出てきた.
 警視庁は22日朝,21日の同時テロに絡んで監視していたジメネゼスさんが,ロンドン南方のアパートから出てきたのを尾行した.地下鉄ストックウェル駅前で声を掛けたところ,突然走り出して地下鉄車両に逃げ込んだため射殺した.
 ブレア警視総監は射殺事件後,「捜査員や一般人に差し迫った危険があった」「爆破事件に直接関係している」と説明していた.
 〔略〕

◇「英政府のミスの犠牲になった」…祖母

 【ロンドン小松浩,藤好陽太郎】射殺されたジェアンシャルレス・ジメネゼスさん(27)はリオデジャネイロ北方の町出身で,3年前から電気技師としてロンドンに住んでいた.友人も多く陽気な人柄だったという.
 ブラジルに住む祖母はBBCに
「孫は知的で働き者だった」
と悲しみをこらえた.
 一緒に住むいとこのペレデイラさんは
「彼は警察に追われるようなことは何もしていない.謝罪だけでは不十分だ.彼は英政府のミスの犠牲になった」
と怒り心頭の表情を見せた.

 ジメネゼスさんは英語が堪能だったという.警察の指示が理解できなかった可能性はない.厚着をして爆発物所持を疑われたことにも,知人は「ロンドンの気候は急に冷え込むことがある」と話す.
 21日の2度目のテロの時,一緒にいた友人はBBCに
「地下鉄が混乱するからオートバイを買おうかな,と彼は話していた」
と語る.

 ロンドンに来る前は銃撃事件が多発するサンパウロのスラム街(貧困地区)に住んでいたことから,銃に過剰反応したのではとの声もある.
 射殺される直前のジメネゼスさんを地下鉄車内で目撃した女性クリストさん(26)は
「彼は何度も止まれと警告されたのに止まらなかった」と証言する.「自爆テロだったらどうするのか.撃たれてもしようがなかったのではないか」.
 ジメネゼスさんがなぜ逃げ出したのかは分からない.
(毎日新聞, 2005/7/24)

 【質問】
 今後,英国はどんなテロ対策を立てようとしているのか?

 【回答】
 一言で言えば「飴と鞭」.
 一般のイスラーム教徒が地域で孤立し,過激化しないよう対話路線を進めると共に,既にいる過激派については取締強化を目指している.
 以下は報道に見られる,その具体例.

【英国】「イスラム教徒対策班」,全国に配置へ=テロ防止で[07/20]

 【ロンドン19日】英紙ガーディアンは,ロンドン同時多発テロの発生を受けて,英政府がイスラム過激派の動向を探り,テロを防止するため,全国の警察に「イスラム教徒対策班」を置くことを計画していると報じた.
 同紙によると,イスラム教徒対策班にはロンドン警視庁特殊班の捜査員が配置される.
 同種の対策班は既にロンドンに置かれ,イスラム社会の協力を得て成果を上げているという.
 対策班は過激派関係の捜査だけでなく,国内のイスラム社会を嫌がらせなどから守ることも任務とされる.
(略)

(時事通信社,2005/7/20)

【英国】過激思想の“要注意人物”,情報機関がリスト化へ[07/21]

 【ロンドン=飯塚恵子】ロンドンの同時爆破テロを受け,英国のクラーク内相は20日,世界中の過激思想の“要注意人物”を網羅したリストを作成し,テロ抑止に役立てる構想を下院で発表した.
 リストは,内務,外務両省と対外情報部(MI6)などの情報機関が共同で作成.テロを扇動する内容の説教,インターネットサイトの運営,文章の発表など,「容認できない行動」を取った個人をデータベース化するという.
 リストに載った人物は,直ちに国外退去を命じられるわけではないが,「退去につながる対応を受ける」場合があるという.

 ブレア首相は20日,イスラム過激派の影響を受ける関係国が集まり,連携するための国際会議を近く開く考えを明らかにした.

(読売新聞,2005/7/21)

【イギリス】「新テロ法」に合意 扇動者も訴追対象 与野党

 【ロンドン=蔭山実】ロンドンの同時爆破テロを受けて新たな反テロ法の制定に動き出したブレア英政権は,与野党間で法案を事前に協議し,軍事キャンプで訓練を受けた者やテロを扇動する言動を行った者も訴追するという政府案で基本合意した.
 法案は十月からの議会審議で提示され,年内成立を目指す.
 今回のテロ実行犯らは治安当局の警戒をすり抜けていたと指摘されており,英政府はテロ再発防止に徹底した姿勢で臨む.

 ブレア首相は同時テロ後,イスラム過激派らによるテロを「邪悪なイデオロギー」と位置づけて徹底的に戦う姿勢を打ち出し,新たな反テロ法を早期に成立させる意向を示していた.

 法案では,国際テロ組織,アルカーイダの海外の軍事キャンプで訓練を受けたり,インターネットで爆発物の製造情報を入手したりした場合も訴追の対象となる.
 「聖戦」「殉職者」と称して自爆テロを称賛し扇動することも違法とし,過激な宗教関係者らを容易に処罰することができるようになる.

 クラーク内相は法案の骨格を野党に文書で事前に提示,十八日の与野党間の協議で法案に基本合意した.自由民主党は人権侵害につながるとして難色を示したものの,同時テロの事態に対策強化はやむなしと判断した.成立時期は保守党の意向も受けて年内とすることで一致した.
(中略)
 ただ,英国では上院議員らは個人の自由の侵害につながるとしてテロ対策強化に難色を示しており,今秋からの議会審議では激しい議論が展開されそうだ.

(産経新聞,2005/7/20)

 これら対策について,「英国の植民地支配の頃のようなやり方だ」とTVにて評していた「専門家」もいたが,似たような対策はエジプトでも行われており,植民地支配云々は無関係と思われる.
 また,イスラーム過激派は偽イスラーム,イスラーム系カルト宗教と考えるならば,そのカルト宗教の孤立化・排斥を図るのは,ごく当然のことであろう.日本でもオウム新法という実例がある.


 【珍説】
 当局がロンドン同時多発テロにからんでいたということは
http://tanakanews.com/f0719London.htm
によって既に証明されている.
 親米ポチは事実を事実として認めるべきである.
 上のソースによって以下のように書き変えるよう,常見問題の訂正を要求する.

 【珍説】
 同時多発テロには陰謀めいたところは何もない.

 【事実】
 (ここで上のURLの文章を引用したる後に)
 したがって,テロに政府が関与していた事は,ほぼ疑いようもない事実である.

(反米)

 【事実】
 ネタだよなぁ? 田中宇って・・・君.

(北関東の名無し)

 田中宇の主張をまとめると……

 結論 テロは英政府の自作自演

 理由
 1,爆弾技術が高度であるにもかかわらず,犯人の行動には稚拙な点が目立つ.
 2,テロが発生したのと全く同じ地下鉄のいくつかの駅で同時多発テロが起きたという想定で,事件対策の訓練が行われていた.
 3,疑惑は,911事件や,スペイン・マドリードの311テロ事件でも存在する.(?意味がわからん……)
 4,フランス当局が「ロンドンで使われたのは軍用爆弾だ」とする情報を新聞に漏らすと,英当局はそれを否定したりした.(リンク先の記事は表示されない)
 5,テロの10日前から,英ポンドの下落を見越すかのような空売りが行われていたという『指摘』がある.
 6,事件をまっとうに捜査しようとする大多数の人々と,事件を政治的に利用しようとする一部とに分かれている『感じもする』.(著者の主観でしかない)
 7,もはや「アルカイダ」とは,米英などが政治的な企てのためにテロをさせる道具と化した『感がある』(著者の主観でしかない)

(極東の名無し三等兵 ◆5cYGBbCsjQ)

 田中宇の国際ニュース解説ですが,
「4人の実行犯のうちの2人は,1歳前後の子供がおり,しかも奥さんは2人目の子供を身ごもっていた.(中略)
 そんなときに妻子を置いて信仰のために死のうと考える人がいるとは考えにくい」(田中宇の国際ニュース解説)
 …イスラエルで自爆テロを起こすテロリストは皆独身だとでも言わんばかりですな.

 主観=事実とは限りませんからねぇ.
 大体,ハード・カレンシーであるところのドルやポンドの変動は,世界経済への影響もそれなりに大きいので常時ドルやポンドの価値が維持されるように資金投入されるのもよくある話.
 極東の名無し三等兵氏がまとめてくれた辺りの下3つは,件の内容が陰謀であることを示す根拠にはなりえません.

 ちなみに,地下鉄テロを想定しての訓練は,(特にオウム事件以降は)諸外国で行われる至って普通の内容です.

 また,別項にあるように,公表される内容が変化することもままあること.

 爆弾技術が高度で,行動が稚拙だというのも,テロリストがよくやる話.
 奴らだって,爆発物取扱の高度な技術を持っている仲間を,自爆で失うわけには行かないわけですよ.

 それに,「イギリスで発生し,イギリス政府が捜査中」の事件に関して,フランスが「使われたのは軍用爆薬」なんて勝手に言い出したら,イギリス政府は「お前ら勝手なこと言うなよ」って言いますよ.
 っていうより,フランス政府はいつロンドンの地下鉄で捜査したんでしょうね?

 田中宇の話は反米さんが望むような,全ての「911はアメリカの陰謀ではない」というFAQの内容を書き換えられるほどのご立派なお話とは言いがたいと私は思うわけです.
 主観でもって「ロンドンテロはイギリスの巧妙な陰謀だ」と持っていき,「だから911もアメリカの陰謀だ」というのは,「ナチスドイツがUFOを作っていた」,「今でもUFOが目撃されるから,ヒットラーが南極で生きてるんだ」って言うくらいの強引さです.
 陰謀論を語るなら,その前に根拠をどうぞ.

(通りすがった人)

(以上,2nd FAQ BBSより)


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