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            | /´ ̄rュ`'ー┘ ° L0!_    r‐、 ` ''┴==-┴−-、__/   |
        …==i=(_  o  。 °    ロ      ̄ ‐┴-⊥., -‐- 、     _≦'、_   |
             |┘゙コド"−-、- -         _   /F、-、    )イ ̄        ̄´
           ̄ (O  ̄ ̄"``ー- 二 _    ̄  __王ニ-‐ ´ ̄´
                          r !!、 ̄ ¨¨ ̄(.○゙
                          ゙‐'-'
                      //Λ_Λ  | |
                      | |( ´Д`)// <うるせぇ,オスプレイぶつけんぞ
                      \      |



 【link】

「沖縄発・何でもあり」◆(2011/01/27)どう五月蝿いのか判断材料に乏しい「オスプレイ騒音に苦情」報道

「週刊オブイェクト」◆(2010/02/12)MV-22オスプレイはCH-46ヘリコプターよりも6倍静かです

「週刊オブイェクト」◆(2010/02/15)MV-22オスプレイ環境アセスメント米西海岸基地の騒音評価


 【質問】
 「アスプリー(オスプレイ)」の騒音が心配です.

 【回答】
 V-22の構造上,シングルローターのヘリよりも静かです.
 また,前任機CH-46に比較しても騒音は小さく,飛行機モードの場合は.1/6程度にまで軽減されます.

 オスプレイに置換したら,普天間でのタッチ&ゴー訓練とかが,CH-46の2/3になるらしいから,そういう意味でも配備を急いで貰いたいですね.
http://twitpic.com/a9kdwh
>普天間 環境影響評価書より,普天間基地での飛行回数の表の抜粋です.
>トータルでCH-46が9292回,オスプレイが6706回,差し引き2586回の飛行回数が減る事になります.

軍事板,2012/07/26(木)〜07/28(土)
青文字:加筆改修部分

 某所のコメント欄で張られていた,カートランドAFBの環境評価報告での機体騒音の比較:

Altitude C-130H CV-22 MH-53 UH-1N UH-60A
200  102.7   105.2   104.7  101.8   95.8
500   96.5   100.7   100.3  96.0    89.8
1000   91.4   96.9    96.7   91.4    85.0
2000   85.8   92.5    92.5   86.6    79.6
3150 81.7   89.1    89.4   83.1    75.7
5000   77.3   85.2    85.7   79.4    71.2

 もうちょっと離着陸とか含めた,あちこちでの比較値がほしいとこだね.

 某所のコメント欄よりMV-22の騒音データ;
 西海岸の基地へのMV-22の配備による環境影響報告の最終案で,CH-46EとMV-22の直接の比較がある.
http://www.mv22eiswest.net/feis.html
にある「Volume 2 - Chapters 6-12」(巨大ファイル注意)で,この中の6-71(P87).

引用すると,

Compared to the CH-46E, which it would replace, noise modeling conducted for this EIS shows that in cruising
flight sound exposure levels (SEL) in dBA from MV-22 would be consistently lower than those from CH-46E at
altitudes between 250 feet and 5,000 feet above ground level (Table 6.1.14-4). The same is true of maximum
sound levels (Lmax) in dBA (Table 6.1.14-4).

During arrivals, SEL from MV-22 would be slightly lower than those from CH-46E; however, the Lmax would be somewhat greater for MV-22 (Table 6.1.14-4).

 このTable 6.1.14-4は,この話を続けたいと思う人は必見.

「CH-46E(MV-22で更新される)と比べて,騒音はEISによって地上250ft〜5000ftの高度では,dBAでMV-22はから飛行時の騒音レベル(SEL)は一貫して低い.
 しかしながら,地上での最大音量は確かに同じくらいであった.(表6.11.14-4参照)」

表6.11.14-4
地上高度  音量(dBA) 最大音量(dBA)
     CH-46E MV-22 CH-46E MV-22
250ft    101  93 97 88
500ft    96  92   90  88
1,000ft    94  88   86   81
1,500ft    92  86   82  78
2,000ft    89  84   78  74
2,500ft    88  82   76  72
3,000ft    87  81   74  70
3,500ft    86  80   73  68
4,000ft    85  79   72  67
4,500ft    85  78   72  66
5,000ft    84  77   69  64
着陸時 (着地場所の近傍)
N/A    95  94   79  83

軍事板,2010/02/13(土)
青文字:加筆改修部分

 ちなみに
宮永忠将「普天間基地にMV-22オスプレイ配備へ!」,『MCあくしず』Vol.22 (2011.9.21),p.108
でも,
「騒音問題についても,ヘリの騒音は回転するブレードが作る翼端渦を,後続のブレードが叩く事で発生する,ブレードスラップ音が殆んどを占めるが,巡航飛行時のオスプレイは,スラップ音を発生させず,ローター径も11.58mしかないので(CH-46より4m短い)ので,ヘリ飛行時のブレードスラップ音も含めて,従来より静粛性は高い」
との旨,述べられている.

グンジ in mixi,2012年07月29日23:14
青文字:加筆改修部分

 同様の主旨の事を,石川潤一も述べている.
 以下引用.

------------
 615shpのハイパワーエンジンから出るエンジン音は,排気口にIRサプレッサーを挟むとは言っても,相当なものだろう.
 しかし,エンジン音や排気音が限度を越えた騒音となるのは,ティルトローターを上に向け,排気口が下になったホバリング時だけで,通常は基地内での騒音だ.
 〔中略〕

 普天間基地を抱える宜野湾市では,2800mある滑走路のエンド側500mずつを,クリア・ゾーンと呼ばれる安全地帯にして,1800m滑走路で運用するよう求めている.
 辺野古のV字案が1800mなので,普天間の滑走路を短くしても問題はないはずで,クリアゾーンが設定されれば,騒音問題はさらに軽減されるはずだ.

 また,ティルトローター機の特徴として,ヘリコプター独特の騒音であるバタバタ音が少ないという点も,忘れてはならない.
 頭上をヘリコプターが飛んでいるとき,エンジン音がけたたましく聞こえるということは,あまりないはずで,聞こえてくるのは「バタバタ」とも「パタパタ」とも表現される騒音だ.

 ヘリコプターのローターブレード端からは,ブレードボーテックス(翼端渦)という渦ができ,この渦にブレードが当たると,翼端渦干渉という現象が起き,騒音を発する.
 翼端渦干渉は,ヘリコプターがゆっくり降下してくるときが特に顕著で,騒音も大きい.
 しかし,オスプレイの場合は,着陸前に高度を下げるまで,プロペラとして機能させるため,翼端渦干渉は起きにくい.

 〔中略〕

 騒音に関しても,CH-46Eと比較して,MV-22Bのほうが大きいシチュエーションや,逆に小さいシチュエーションが考えられる.
 近隣住民に対して,安全で低騒音な運用方法を提示できるかどうか.
 これがMV-22B配備の非常に大きなハードルであり,沖縄に大きな負担を強いる日本政府の,最低限の説明義務でもある.

------------石川潤一「オスプレイ・イン・アクション」,『航空ファン』 2010年12月号,p.57-58

2012.9.9



 【反論】
デシベルの数字を出さないところが姑息ですなw
まあ数字出したら,「騒音は多少増す」どころか何十倍,何百倍にもなることが分かっちゃうから出せないんだろうけどw

米軍ですら「ホバリングはなるべくしません!」というぐらいうるさい.
防衛省,普天間配備オスプレイ騒音図提示

>オスプレイの騒音について同省は,飛行時は基本的にCH46と同じか数デシベル下回る程度だとしてきた.
>今回同省が示したデータでは,ホバリング時の機体から50メートル地点での騒音がCH46の97デシベルに対しオスプレイが105デシベルなど,
>地上でのエンジンテスト時は同様に83デシベルに対して100デシベルなどで,最大で20デシベル以上高かった.
>
>ただ同省は「普天間で(ホバリングを)頻繁に行う予定はない」とし,オスプレイは総合的に静かとの評価を変えなかった.

「オスプレイはCH-46に比べ20デシベルおおいだけだから,ちょっと煩い程度!」といってる馬鹿がいるけど,小学校の理科からやり直せよw
------------
http://macasakr.sakura.ne.jp/decibel.html
20デシベルの差とはどの程度の差なのでしょうか?

【デシベルと倍率の関係】

先に答えを言いますと,20デシベルの差とは,実際に測定器を使って音の大きさ(音圧)を測定した場合で10倍の違いになります.

これをもう少し例を挙げて記述すると以下の様になります.

      デシベルの差            倍率  
       0デシベル            1倍  
       6デシベル            2倍  
      10デシベル            3倍  
      20デシベル           10倍  
      40デシベル          100倍  
      60デシベル          1000倍  
      80デシベル         10000倍  
     100デシベル        100000倍  
     120デシベル       1000000倍  

上記を見て,何となく分かってきませんでしょうか?

そうなのです,デシベルとは倍率で表示すると桁数が非常に大きくなって分かり難くなってしまう数値を,
桁数を抑えて比較的分かり易い数値にするために考えられた表示方法なのです.
------------
 【再反論】
 数値より回数減るのがでかいよ.
 数値低くなったとところで,うるさいのはどんなヘリも一緒だよ.
 クソうるさい騒音が多少小さくなっても,うるさい物はうるさい.
 それより回数が激減する方が,恩恵は大きい,
 騒音その物が起きる回数が減るんだぞ.

 もともと「アスプリー(オスプレイ)」は,頻繁にホバリングするようなもんではないし.

軍事板,2012/08/02(木)
青文字:加筆改修部分

 ところで,
>20デシベルの差
というのは,いったいどこから出てきた数字なんでしょうか?

 上述の表によれば,

>N/A    95  94   79  83

ですので,1〜4デシベルの差に過ぎないようですが.
 沖縄タイムズの挙げている数字を引いても,20デシベル差にはなりません.
 元ソースであるはずの「防衛省作成の,普天間配備オスプレイ騒音図」が発見できませんでしたので,どなたかご教示いただければ幸いです.

12012.8.8

 【追記】
 その後,実測データが公表されましたが…
------------
10月2日 13時10分
アメリカ軍の新型輸送機,オスプレイが,1日に沖縄に到着したのに合わせて,沖縄県が基地の周辺で音量を測定した結果,最大で89.2デシベルと,工場やカラオケ店の中と同じ程度の音が確認されました.
沖縄県は宜野湾市と協力して普天間基地周辺の8か所で,基地から発着する航空機の音量を常時,測定しています.
 オスプレイが普天間基地に初めて到着した1日も測定し,その結果が2日公表されました.
 それによりますと,オスプレイの飛行コースの真下にあたる,基地に隣接する宜野湾市の上大謝名地区では,5機目と6機目が着陸した時間帯に,最大で89.2デシベルが確認されました.
 この数値は,一般的な工場の中やカラオケ店内と同じ程度の音量だということです.
 この地点では,昨年度,最大で118.2デシベルの騒音が測定されていて,沖縄県の環境保全課は,
「きのう確認されたデータは,著しく大きい数値とはいえないが,今後も測定を続け,安全面だけでなく騒音の面でもオスプレイを監視していきたい」
と話しています.

NHKニュース
------------
 従来機と比べれば,オスプレイ,静かですやん.

 ちなみに以下は,琉球信奉の記事:
------------
■琉球新報2012年10月2日

「オスプレイが宜野湾市の上大謝名公民館上空を通過した際,騒音は90・2デシベルを記録した.
 現行機種のCH46ヘリコプターとの比較では約10デシベル騒音が大きく,体感で2倍近いうるささに相当することが専門家の調査で明らかになっている.」
------------
------------
■琉球新報6月26日

「昨年は11月15〜16日の両日,宜野湾市内の上大謝名公民館(屋外)で実施し,初めて周波数ごとの測定値と閾値を比較・分析した.その結果,米軍の中型輸送ヘリCH46が飛行した15日午後1時前,一部周波数(12・5,16各ヘルツ)で95・1,104デシベルを記録し,アセスの物的影響の閾値(75,77各デシベル)を大きく上回った.」
------------
 なぁ,6月の記事で,上大謝名公民館でCH46が104デシベルとあるのだが,何で同じ場所で90デシベルのオスプレイが,CH-46の2倍うるさい事になってるの?

軍事板,2012/10/02(火)〜10/03(水)
青文字:加筆改修部分



 【反論】
 「アスプリー(オスプレイ)」の騒音で問題なのは,低周波騒音.
 以下引用.


【オスプレイ:低周波音 基準値超え 沖縄タイムス10/2】
 
> 1日に米軍普天間飛行場へオスプレイが飛来した際,滑走路に隣接する宜野湾市立普天間第二小学校で,
>防衛省が名護市辺野古移設に向け作成した環境影響評価(アセスメント)で示した基準値を上回る低周波音を
>観測していたことが,琉球大工学部の渡嘉敷健准教授の調査で分かった.騒音が増す離陸の際はさらに
>大きくなる可能性があるといい,オスプレイ配備による近隣住民の健康被害への懸念が高まっている.

> 渡嘉敷准教授はオスプレイ全6機が飛来した際,小学校の校舎屋上に設置した機器で観測.このうち
>1〜5機目の飛来時,「いらいらする」「眠れない」などの症状が現れる「心理的影響」の基準値を40,
>50,63ヘルツの周波数で最大3・8デシベル超えた.また,全6機で建具などをがたつかせる
>「物的影響」の基準値も最大6・7デシベル(20ヘルツ)上回った.

> 渡嘉敷准教授によると,この数値はことし4月に同小学校で行った調査で最大値を記録したCH53
>大型ヘリを超えるという.
> 低周波音をめぐっては,2010年,第1次普天間爆音訴訟判決で二審福岡高裁那覇支部がヘリ特有の
>低周波音と精神的被害の因果関係を初めて認めた.(大野亨恭)

 【再反論】
 なんでローター回転の速いオスプレイの方が,低周波強くなるの?
 ローター回転速いと,高周波が強くなる筈なんだが.

軍事板,2012/10/02(火)
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
田岡俊次氏に聞く:「普天間」県外移設案提言 佐世保一体で効果|毎日新聞
--------------------------------------------------------------------------------
「名護市辺野古での環境影響評価には,3年後に沖縄配備予定の垂直離着陸輸送機MV-22オスプレイの騒音データを入れていない.
 エンジン出力が現在普天間にあるCH-46ヘリの4.4倍(6150馬力が2基)で騒音が大きい.
 鳩山首相が辺野古でない地域を探すのは現実的判断だ」
--------------------------------------------------------------------------------

 【事実】
 軍事評論家の田岡俊次氏は,MV-22オスプレイはCH-46ヘリよりもエンジン出力が4.4倍にもなる為,騒音が大きくなると断言しています.
 田岡氏はTVや週刊誌でも同様の主張を繰り返していて,これを根拠に,オスプレイの騒音は大きいと決め付ける報道が他にも幾つか出て,ブログでも広まっています.

 しかしこれは,海兵隊側の認識とは全く異なっているのです.
 以下はミラマー海兵隊基地の地元,アメリカ合州国カリフォルニア州サンディエゴ市のローカル紙「The San Diego Union Tribune」のインターネット版「Sign-On San Diego」より,
 2009年12月18日付けの記事です.

Miramar welcomes whisper-quiet Osprey : Sign-On San Diego
(ミラマーはささやくように静かなオスプレイを歓迎します)
--------------------------------------------------------------------------------
“If you are worried about noise, the MV-22 ought to be very welcome,”
(もし貴方が騒音について心配するのなら,MV-22はとても歓迎されるべきです.)

The Osprey is six times quieter than the helicopter it replaces, the dual-rotored CH-46, according to the Marine Corps.
(オスプレイは,代替する海兵隊のヘリコプター(タンデムローター式のCH-46)よりも6倍静かです.)
--------------------------------------------------------------------------------

 ミラマー海兵隊基地の会見で,オスプレイ飛行隊指揮官のエヴァン・ルブラン中佐はこのように述べました.
 エンジン出力が大きく上がるにも拘らず,従来のヘリコプターよりも6倍も静かであるというこの説明は,一体どういう事なのかと言うと・・・

 実はヘリコプターの騒音の大半は,エンジンからではなく,ローターブレードから発生している為,エンジンの比較など殆ど意味が無いのです.
 ヘリコプター特有の「バラバラバラ・・・」という大きな音と言えば思い当たるでしょう,あれがローターブレードから発生する「スラップ音」というものです.
 BVI(Blade-Voltex-Interaction;翼端渦干渉)という現象で,先行するローターブレードの翼端渦が,後続のローターブレードと干渉することにより発生する衝撃音です.
 これはヘリコプター特有の現象で,固定翼プロペラ機では翼端渦は,すぐに機体後方に流れて,後続のプロペラが叩く事はありません.

 つまり,離着陸時にはヘリコプター形態,巡航時には固定翼機形態に変形するティルトローター機MV-22オスプレイは,巡航時にBVI騒音が消え去ります.
 〔中略〕

 以下の5分32秒の動画の中で,オスプレイが固定翼機形態‐ヘリコプター形態‐固定翼機形態と転換飛行を繰り返し行っています.

 聞き比べてください,
 形態によって騒音の種類が全く異なる事が分かる筈です.
 ヘリコプター形態では,エンジン音より大きな音が発生し,固定翼機形態よりも遠くから音が響いています.

 では固定翼機形態はともかく,ヘリコプター形態では騒音はヘリコプターと同様ではないか? と思われそうですが,このローターブレードから発生するスラップと呼ばれるBVI騒音は,ローター直径が大きければ大きいほど,音が大きくなります.
 MV-22オスプレイのメインローターは直径11.58mで,CH-46シーナイトのメインローターは直径15.24m.BVI騒音はCH-46の方が大きくなる要素となっています.
 両機のローター基数は共に2基,ブレード枚数も3枚と同じです.

 BVI騒音はブレード形状の工夫で,騒音をある程度抑える事が出来ます.
 また,ブレード枚数を増やし,直径を小さくする事でも,騒音低下が狙えます.
 しかしCH-46は古いヘリコプターで,ブレード形状も古く,直径もMV-22オスプレイより大きい為,BVI騒音の要素では不利になるのです.

 そしてエンジン騒音についても,大出力化=騒音増という考え方は単純過ぎます.
 例えばアメリカ軍の戦闘機で比べると,F-15よりもF/A-18の方が騒音は大きいのですが,エンジン出力はF/A-18の方が低いですし,日本の新型哨戒機XP-1は,ターボファン化して出力が大幅に増えながら,従来のターボプロップ哨戒機P-3Cよりも騒音は静かになっています.
 決してエンジン出力に騒音が比例しているわけではありません.
 エンジン大出力化=騒音増という部分だけ見ても,拙速過ぎる主張です.

 結局のところ,田岡俊次氏が,MV-22オスプレイの騒音が大きいとする根拠は,エンジン出力のみで,実際に測定した数値から判断されたものではありません.
 エンジン騒音よりもローター騒音の方が遥かに大きいという,ヘリコプターの特性を理解していないばかりか,エンジンそのものが技術革新で出力を向上しながら,騒音を低下させている可能性にも思い至っておらず,田岡俊次氏の分析は基本が出来ていません.
 騒音が小さいとする主張は,使用する海兵隊や製造元のボーイングによるもので,第三者が測定したわけではありませんが,機体の物理的な特性として,ティルトローター機はヘリコプターよりも騒音は小さくなりますし,6倍静かというのは誇張し過ぎている可能性はありますが,自信満々にインタビューに答えている様子からすると,全くの嘘という事は無さそうです.
 今のところミラマー海兵隊基地の周辺住民からは,MV-22オスプレイの騒音に関する抗議の声は見当たりません.
 ミラマーはアメリカ本国の基地の中では珍しく,市街地が近い立地条件です.

 普天間基地代替の環境影響評価(環境アセスメント)で,MV-22オスプレイが計測されていなかったのは,単純にその時点でまだ配備されていない機体を用意する事が出来なかったからです.
 MV-22オスプレイが配備されるなら,環境アセスをやり直せと言う声が一部で聞こえますが,やり直した結果は海兵隊にとって好ましい物となるでしょう.
 配備される新型機が従来機よりも静かになる事は,騒音低減,基地負担軽減を意味します.

 〔中略〕

 なお,実際にオスプレイを取材した航空ジャーナリストの坪田敦史氏によると,

V-22オスプレイ 初取材!: SKY MONOLOGUE
--------------------------------------------------------------------------------
 騒音は少ない.
 思ったより,かなり静かだった.
--------------------------------------------------------------------------------

との事です.

 【追記資料】
MV-22オスプレイ環境アセスメント米西海岸基地(騒音データ)

「週刊オブイェクト」,2010年02月12日付
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 いきなりで恐縮ですが,うちの地元紙がこんな記事を書いてます.
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-178001-storytopic-3.html

 オスプレイの騒音が,現行機のチヌークより高いとの事ですが・・・どうなんでしょうね?

2011年06月08日 22:40 キズメガネ

 【回答】
 以下引用.

――――――
obiekt_JP JSF

 琉球新報は簡略化した表
(こちらより引用)
で,オスプレイの騒音を煩いと言いたいようだが,実際の比較データ
(こちらより引用)
を見ると,24計測パターン中,1つだけが上回っているのみ.

http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/78419923868729344
――――――

2011年06月08日 22:51 消印所沢

 情報ありがとうございます.
 流石JSF氏・・・・,仕事が速いですね.

 琉球新報紙が取り上げた(紙面に載せた)数値の『Lmax』とは何でしょうか?

2011年06月08日 23:27 キズメガネ

 LMAXというのは,
http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/faq/la/LA1250_14.htm
によると……

>最大レベル(LMAX)とは,測定時間内にサンプルされた騒音レベルまたは音圧レベルの最大値です.

 因みに,sound exposure levelというのは,
http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/newreport/noise/souon_7.htm
によると……

>単発的に発生する騒音の全エネルギーと等しいエネルギーを持つ継続時間 1 秒の
>定常音の騒音レベルに換算した値となります.

 多分,LMAXの方が,観測条件にも左右され易く,指標としてはsound exposure levelの方がよさげ……

2011年06月09日 00:01 ソフトヒッター99

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 騒音は,音量の単純な大小より,住民がどう感じるかが問題なのでは?

 【回答】
 確かに,「心理量」
http://www7b.biglobe.ne.jp/~pasadena/pdf/butsuri.pdf
という概念は実在する.

 騒音のdBと心理尺度が一致しない,という話は,基地関係の記事とかに目を通していれば,よく出てくる.

 環境計量士など公害対策の関係者などなら,もっと詳しく知っていることだけど,多少砕いて心理的大きさと言ったら,人の耳に合わせたホンやdBでの尺度と解して自然だし,騒音対策の場では,基本的にはデシベル表記を基礎に定量比較する.

 「○倍静か」というのは大体,宣伝文句的な使われ方.
 評価書や仕様書の類では,殆ど使わない.

 心情とは何を定義して言っているのか?
 これも議論のしどころのある点だが,
「相手が米軍機だから」
とかなら,思想信条の問題なんだよね.
 関係が無い.

 だから心理量自体は,「何とでも言えないように」定義されて使われている.

 人間が不快に感じる音の「質」ってのもある.
 デシベル単位で劣っていても,騒音がうるさいと感じる場合はある.
 それは心理的なことではなくて,人間の耳と脳の特性に関係してくる.
 とくにヘリの場合は,ブレードフラップ音が断続的な衝撃音という,神経に障りやすい音が,特に進行方向で大きいため,同じdBの機体よりもうるさく感じる.

 あとは,音の中味の問題.
 家電量販店のCMが繰り返されるとか,駅の放送が五月蝿いなどは,その音が意味を持った言語だから.
 逆に,風車の公害なんかでは,規則的な機械音の繰り返しがダメージを与える.

拡声器での騒音を規制する条例案
http://www.h7.dion.ne.jp/~tokyo-s/simen05.html

 「騒音」と規定されて,それが心理的に問題となるのはこれかな.
 聞きたくも無い繰言,増して自分の信条と違う話は,誰だって聞きたかない.
 記事では出てないけど選挙カーも問題になる.

 昭和時代には反軍放送というのがあって,反権力の地主の土地を借りて,自衛隊基地の近くにアジトを建てた反対派が,拡声器でよく喚いていた.
 東京だと立川の自衛隊移駐時に,東大出のオバハンがやっていたのが有名.

 平成になろうが世紀が変わろうが健在のようだが・・・
http://www011.upp.so-net.ne.jp/tachikawatent/katsudo.html

軍事板,2010/02/17(水)
青文字:加筆改修部分

 しかし,浜田一穂は次のように述べている.

------------
 確かに人間の感覚と,科学的・技術的知見とが一見,食い違うことはある.
 騒音問題などが典型で,科学的に測定された騒音のデシベル(dBA)の大小と,人の感じる騒音の迷惑度が,異なるように思う例は,実際にある.

 しかし,科学的な知見を頭から否定して,自分の経験や感情のみを押し出すのであれば,経験や感覚を共有しないものとのコミュニケーションの可能性を,自ら閉ざしていることになる.
 それは民主主義の健全な状態ではない.

------------浜田一穂「MV-22オスプレイは危険な飛行機なのか!?」,『航空ファン』 2010年12月号,p.55

 何事も論理的,理性的にいきたいものである.

2012.9.6


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