c

「兵器別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

◆◆◆戦術飛翔兵器
<◆◆機種別 目次
<◆航空兵器 目次
兵器FAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【link】

「D.B.E. ミニ型」(2010/11/12)◆ロサンゼルス沖合で正体不明のミサイルが発射される
「D.B.E. ミニ型」(2010/11/12)◆不審なロケット雲の正体は? 米国防総省は解明できず

「DNA」◆(2012/04/02)かなり納豆ミサイルな動きを見せる手作り「赤外線誘導ペットボトルロケット」の動画

「Gigazine」:イスラエル製の「うろつく」ミサイルシステム

「Military Technology」◆(2013/06/04) Lockheed’s LRASM successfully completes Mk41 VLS push-through trials
「東京の郊外より・・・」◆(2013-05-19) 新たな長距離対艦ミサイル:LRASM

「Military Technology」◆(2013/06/04) Raytheon receives Paveway II supply contract from international customer

「Strategy Page」◆(2013/04/18) ATTRITION: The Immortal Patriot
 パトリオットは死なず

「Strategy Page」◆(2013/05/19) NAVAL AIR: Replacing Carriers With Cruise Missiles

「Strategy Page」◆(2013/05/26) SURFACE FORCES : Lightweight Multi-Role Missile

「Togetter」◆(2011/11/19)死に体のMEADS計画をカタールが救う?

「ワレYouTube発見セリ」:General Dynamics FIM-43 Redeye Missile

「 ワレYouTube発見セリ」:Tomahawk missile

『誘導兵器便覧』(航空幕僚監部編,昭和33年5月,「取扱注意」)

 実家から宅配便が届きました.
 親の本棚を整理したら見つけたそうです.
 「あんたの本やと思うから,送るわ」という有り難い親の手紙付で…

>「取扱注意」

 …お,おやじ,アンタって人は.

 各国の状況(開発体制とか歴史)があって,一般として,用語,誘導方式,精度,価格から推進薬,誘導弾の搭載機,搭載艦一覧,弾道弾の弾道の軌跡図,そして,当時最新鋭の誘導弾の一覧などが掲載されています.
 人工衛星も誘導弾の一種として取り上げられているのが,何とも時代です.

 ソ連のミサイルの詳細データとかもあり,なかなか得難い資料です.

 …親父,有り難う.

--------------眠い人 ◆ikaJHtf2 : 軍事板,2002/09/05

『トコトンやさしいミサイルの本』(久保田浪之介著,日刊工業新聞社,2004.9)

 俺とおまいらじゃ評価が正反対だろうなあ.
おまいら「当たり前の事しか書いてねーじゃん,ガキむけだな」
俺「これだよこれ,こーゆーのが欲しかったんだよっ!!!!」

 ミサイルの基本から現在の課題までを,豊富なイラストで分かりやすく説明してる.
 全部で約150頁,うち半分近くがイラスト頁なんで手軽に読める.
赤外線・GPS・レーダーなど誘導方式の種類と特徴,
対空・対地・対艦ミサイルに必要な能力と方法,
対戦車ミサイルと対艦ミサイルの弾頭の違い,
大陸間弾道弾と近距離ミサイルの操舵の違い,
固形燃料と液体燃料で何が違うかなど,素人向けに懇切丁寧に解説してる.
 お陰でやっと,エグゾセとヘルファイアの違いがわかったぜ.

 理論的な方面に焦点を充ててる半面,実際のミサイルの名前や仕様などはあまり出てこない.
 軍事系の本って敷居が高くて,概要を掴むのに向かないのが大半なんだが,こーゆー素人向けの本が沢山出ると嬉しいなあ.

-------軍事板,2012/03/01(木)
青文字:加筆改修部分

 【質問】
 ミサイルって何?

 【回答】
 軍事目的のため,なんらかの誘導に従って,爆発物を遠距離に放擲(ほうてき)するための飛翔(ひしょう)体.
 通常,ロケットやジェットエンジンなどを推進力として飛行し,電子装置を用いて遠隔操縦や自律操縦によって,飛行中に進路を修正しながら目標に誘導される.
 対地,対艦,対空ミサイルなどの種類があり,どのような目標に対しても使える万能ミサイルなどは,殆ど存在しない.

 にもかかわらず,対戦車ミサイルのようなもので,テポドンも迎撃できるとか,北朝鮮を爆撃できるなどと思っているやつ,多過ぎ.

 【参考ページ】
http://homepage3.nifty.com/kubota01/index.htm
http://missile.index.ne.jp/jp/
http://kotobank.jp/word/%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB/
http://www1.cts.ne.jp/~fleet7/Museum/Muse447.html

【ぐんじさんぎょう】,2011/01/09 21:10
を加筆改修

 全部アニメが悪いんや・・・

Bernoulli@ゼネコン in mixi,2011年01月09日 20:59

> アニメ

 まあ,そうなんですけど.
 おまけに「核兵器が爆弾のでかいやつ」という考えの人間も多すぎ!
 現在では「国威発揚の象徴」って叫んでいる人間もいますが,両者併せて本気で後ろから斬り捨てたい気分です(大泣).

<電波は放置として,あまりに目に余るのはピンポイントで斬り捨てていますが,キリがないですね.

へぼ担当 in mixi,2011年01月09日 21:34

 西側諸国では誘導装置があるものをミサイル,無いものをロケットとすることが多いが,ロシアなどでは全部ひっくるめてロケットである……ってのは,ちと初心者向けとしてはマニアックか.

唯野 in mixi,2011年01月10日 09:29

 ミサイルって,でも,もともとは,ロングボウやショートボウやクロスボウのような弓矢とか, ジャベリンとかショートスピアみたいな投げ槍みたくな飛翔or投擲型の武器一般や,それらを装備した部隊も指してましたからね.
 古代戦系の歴史本の原文とか,ボード・ウォーゲームとかのヒストリカルノートには頻出語で, 高校生くらいのときには,大変に困惑したものです(笑)

ソフトヒッター99 in mixi,2011年01月10日 07:38

画像掲示板より引用


 【質問】
 ミサイルとロケットの違いって何でしょうか?

 【回答】
 現在では,普通は以下のように呼び分けされます.

ミサイル:推進力を持ち誘導
ロケット弾:推進力あるが非誘導
ロケット:ほぼ垂直にとんでく(弾道を描く)ロケット推進の輸送手段

 ただし,ロシアなど,ミサイルもロケットと呼ぶ国もあります.

 ミサイルというのは本来「飛翔武器」のこと(弓矢なども含む)であり,
 ロケットというのは「動力機関」のひとつです(レシプロ,ジェットなどと対比).
 通常の砲弾が自身で推進しないことに対して,推進する弾頭を「ロケット弾頭」と呼んだわけです.
 ですから現在「誘導兵器」として用いられている「ミサイル」とは,厳密には「誘導ミサイル」,つまり「誘導式飛翔武器」のことであり,ロケット弾というのは「ロケット弾頭を用いた非誘導弾」のことだと解釈できるでしょう.


 【質問】
 英語の「ミサイル」は本来「火矢」や「飛び道具全般」を指す言葉だったそうですが,では近代の「誘導装置付きロケット弾」を「ミサイル」と呼ぶようになったのは何故でしょうか?

 【回答】
 ミサイルの語源はラテン語のmissiliに遡り,投擲物,すなわち石つぶてから投げ槍までを含む広範な単語でした.

 現代では誘導飛行兵器を指しますが,guided missileという単語が使用されることからわかるように,missileという単語自体には誘導兵器という意味は含まれていません.
 あくまでも現代の慣習に過ぎないのです.

 また,missileはロケットとは限りません.
 巡航ミサイルは普通のジェット機と同じエンジンで推進されます.プロペラ機であっても,誘導されるものであればミサイルということになります.
 事実,遠隔操縦機の歴史サイト,
www.ctie.monash.edu.au/hargrave/rpav_rocket.html
によると最初のguided missileはプロペラ推進であり,一次大戦時にすでに英仏が使用していたようです.
 missileという英単語はその当時,これらには使用されていなかったようです.

 ロケット兵器の歴史についての詳細は
www.spaceline.org/rockethistory.html
に.

(system ◆systemVXQ2)


 【質問】
 ミサイルの種類について教えてください.

 【回答】
 ミサイルは,一般に発射体と目標によってまず分類されます.
「SSM」:地対地(艦対艦)ミサイル(地上または水上から地上または水上の目標に向けて発射される)
「SAM」:地対空(艦対空)ミサイル(地上または水上から航空機に向けて発射される)
「ASM」:空対地(空対艦)ミサイル(航空機から地上または水上の目標に向けて発射される)
「AAM」:空対空ミサイル(航空機から航空機に向けて発射される))

 また,特殊な目標を狙うものとして次のようなミサイルもあります.
「ATM」:対戦車ミサイル
「ARM」:対レーダーミサイル
「SUM」:対潜ミサイル
「ABM」:弾道弾迎撃ミサイル

 「弾道ミサイル」や「巡航ミサイル」は,いずれも「SSM」(地対地ミサイル)を,さらにミサイルの飛翔のしかたにより分類した呼び方です.
 発射後は大砲の砲弾のように放物線を描いて飛ぶのが「弾道ミサイル」で,飛行機のように低空を水平に飛行するのが「巡航ミサイル」です.

軍事板,2005/11/21(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 RIMってどんな意味ですか?

 【回答】
 通常は艦対空ミサイルを指す.
 基本的にはSAM(Surface to Air Missile)なんだけど,発射プラットフォームが艦船の場合,Rが付く.

 ミサイルの命名規則,
http://www.designation-systems.net/usmilav/missiles.html
を見ればわかるとおり,RIMの「M」は「(1) Vehicle Type」で,これがミサイルであることを指し, RIMの「I」は「(2) Mission」で迎撃目的であることを指し,RIMの「R」は「(3) Launch Environment」で水上艦から発射することを指す.
 「R」と「水上艦からの発射」との関係は「とにかくそうだ」ということ.
 歴史的にはRocketと関係があるかもしれない.
 命名規則ではよくそんなことがある.
 頭文字であったりなかったり.
 面倒なので規則としては「略語の1文字目とは関係ない.とにかくそう決めた」となるわけだが,実際には「だってRocketじゃん」だったりする.
 あまり突っ込んでも仕方ないと思うよ.

 例えば,航空機の「命名規則」では「CはTransport」ってことになってるけど,実際には「CargoのCに決まってるじゃん」みたいなもの.
 命名規則的には,
「TransportはCに決めたんじゃけんね.
 理由なんか説明する必要ないけんね」
ってわけだが,もちろん歴史的には「CargoのC」なわけ.

 同様にRIMも規則としては「Rは水上艦発射」だけど,実際には「Rocket Intercept Missile」が歴史的な理由だったりするんじゃないか,でいいわけでしょ.
 どっちが正しいとかでなく.

 だから「RIM」を強いて日本語にすると,「水上艦発射型迎撃ミサイル」ということになる.

軍事板,2008/08/24(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 地対空ミサイルと艦対空ミサイルはどちらもSAMと略しますが,同じものですか?
 SはSurfaceでいいんですか?
 また,地対艦・地対地・艦対艦・艦対地ミサイルもSSMでいいんですか?

 【回答】
 自衛隊で使用する米軍用語英和・和英辞典では
艦対空:SAM,ship to air Missile
艦対艦:SSM, ship to ship Missile
地対空:SAM. surface to air Missile
地対地:SSM. surface to surface Missile
地対艦:SSM. surface to ship Missile

剣恒光 ◆yl213OWCWU :軍事板,2005/01/19
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 よく戦闘機の解説で,
「~は~というAAMが搭載,運用出来ないのが欠点である」
とか書かれてますが,軍用機にその標準仕様以外の新たなミサイル運用を付加するのは,どの点において難しいんでしょうか?
 素人考えだと,「下に金具付けてプログラムにパッチ当てて,配線を新たに一本加えれば」出来る様に思えてしまうんですが

 【回答】
 高速で飛行するので,空力的な問題が多々発生し,ハードポイントが保たなくなるとか,
妙な震動が起きて翼が傷むとか,
思ったよりドラッグ(空気抵抗)が大きくて機体のバランスが狂い,左右同じ箇所に同じミサイルを搭載する必要があり,一発撃ったあとは速度制限がつくとか,
発射したつもりが層流に巻き込まれて自機にぶつかるとか,
後ろに流れて追従した状態から,ロケットモーターが発火して自機に突っ込むとか,
発射時の排気がもろにエンジン吸気口にぶち込まれて,エンジン止まるとか,傷むとか・・・

 新たなミサイル運用を開始する際には,ハードポイントと切り離し装置の慎重な設計から始まって,縮小模型を使った搭載飛行テストを風道内で行い,同じく切り離しテストを行い,さまざまなシミュレーションを走らせた上で,実機にダミーを搭載してひとまず飛行するだけ飛行し,うんぬんで最後にやっと発射テストに至るのだが,撃ってみると震動のせいで誘導装置がいかれてて当たらなかったとか・・・

 「captive flight test」ってやつね > 搭載してひとまず飛行するだけ.

 事故や費用,開発スケジュールなどの関係で,まずダミー(中身なし,外形と重さと重心だけそろえた模型)の キャプティブ飛行から始めることも多いが,発射試験までには,実弾のキャプティブ飛行も行い,離陸時,機動時,音速突破時などの負荷をかけた上,撃たずに帰還し,分解して慎重に検査してダメージの評価を行う.

 だから,発射テストでは大丈夫なはずだが・・・

 それでも意外なトラブルが起きたりするのが普通だったりする.
 面倒なもんだよね.

 普通,新型ミサイルが配備OKになるまで,1~2年ですめば大成功.
 それやこれやで費用もかなりかかる.

 昔ののろい飛行機に新しい機銃積むだけでも大騒ぎだった.
 マンガと現実の差は大きいんよ.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 Tor-M1を大量に配置して置けば空爆の防衛になりますか?

 【回答】
 Tor-M1の短所は射程が短いこと.
 長所は誘導兵器自体も迎撃できると称していることです.
http://warfare.ru/?linkid=1691&catid=264

 極論すると艦船のCIWSであるRAMみたいな感じになりますから,防空の役には立つでしょう.
 しかしレーダー反射面積の小さいミサイルや,無誘導爆弾のばらまき攻撃,比較的高々度で(つまり対応時間がない間に)ばらまかれたクラスター子弾などを相手にすると,当然飽和されてしまうでしょう.

 これまた極論すれば,どのような兵器でも防空に使えるわけですが,本気の攻撃に対して十分有効な防空を行おうとすれば,やはり十分な対妨害性と抗堪性を持った多重の(=迎撃チャンスが何度もある)防空システムが必要でしょう.

軍事板,2006/03/29(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 知能型子弾ミサイルとは?

 【回答】
 移動型ミサイル発射台と戦車など動く目標物を自ら捜し出し,「ピンポイント攻撃」が可能な知能型子弾を装着した地対地ミサイル.
 「ATACMSブロックⅡ」はBAT(Brilliant Anti-armor Technology)と呼ばれる知能型子弾13発を搭載し,スカッド・ミサイルなど地対地ミサイルの移型発射台と戦車,装甲車など移動する目標物を正確に破壊することができる.
 BATは熱と音を追跡するセンサーがつけられ,目標物の上空からミサイルから離れ,自ら目標物を追跡する.
 BATを装着したブロックⅡミサイルは1990年代末に開発.

 イラク戦に使われたのを除いては,海外駐留米軍の内では初めて2004年,在韓米軍に配備されたとされる.

(朝鮮日報,2005/03/06)


 【質問】
 敵のミサイルが,自国のミサイルと同じレーダー波を使っていても,それが自機に照射されれば警報は鳴ると解釈してもいいですか?
 また,定義されていない周波数帯を使った兵器の場合は,警報は鳴らないわけですから,現代の戦闘でも最後にはパイロットの判断力が要求されるわけですよね?

 【回答】
 ”撃ってくる”側が自分を照準,もしくは探知するのに使ってるレーダーに反応して警報鳴らす装置なので,相手が戦闘機じゃなくても,事前に「敵の使ってる対空兵器のレーダー波」と定義されてるものが自分に照射されれば,撃ってくるものが機関砲であれ空対空ミサイルであれ対空ロケットであれ,警報装置に警報の設定があれば警告が出る.

 目視距離で赤外線ミサイルを撃たれる場合でも,敵機が自分を捕捉するのにレーダーを使っていれば,レーダー警報装置は鳴る.
 昔の赤外線誘導ミサイル(の搭載機)は,単に射撃管制装置が赤外線ミサイルのセンサー部(シーカーと言う)と連動してるだけで,「ミサイルが目標を捉える事に成功してるかどうか」をブザー音で知らせるだけ,というものもあったけど,今はほとんどの戦闘機は目視距離で接近戦する時でも,レーダーを使った射撃管制をしている.

 ちなみにソビエトの戦闘機や自衛隊のF-15改には,「IRST」(赤外線センサー装置)というものが着いていて,これはある程度距離があっても,敵機の発生する熱(エンジンの熱とか大気と機体の摩擦とか太陽の反射とか)を捉えて目標を探知,照準することができる.
 これを搭載していれば,レーダーを作動させなくても目視距離外の敵機を発見,攻撃できる.

 また,アメリカのF-22”ラプター”は,高度なレーダー警戒装置を備えていて,これを”逆探知装置”として使う事により,自分はレーダー波を出さずに,敵機が発しているレーダー波を捉えて方位と距離を逆算し,逆撃する事が出来るというシステムを持っている.

 最後の質問だが,レーダー誘導のミサイルは撃つ前に「IFF」(敵味方識別信号)というもので一応確認するので,それで味方だと反応されれば撃つ前に警告が出る.
 だから,普通は味方に撃たれる事はそうそうないのだが・・・現実には結構「誤射」の事例があったり.
 で,まぁ自国のミサイルや戦闘機のレーダー波も登録してあるのが普通.
 「内戦」や「反乱」で自国軍同士で戦う事だってないとは言えないのだから.

 フォークランド紛争でアルゼンチン軍が放ったエグゾゼ・ミサイルは,英海軍もエグゾゼを使用していたためにシーカーの波長が敵性と判定されず,結果,ECMが反応しなかったりと英海軍は散々な目に遭った.

 あと,なんだかよく解らなくても,レーダー波やそれに類する電波に継続的に照射されてるということを探知すれば,警報装置は反応するのが普通.
 「不明なものはまず敵と見なせ」というのは,戦闘時の基本だから.

軍事板,2007/06/28(木)


 【質問】
 地対空,空対空ミサイルの命中方式なんですが,今の航空機に対して使われる対空ミサイルは直撃方式なんでしょうか?
 それとも,直撃寸前に散弾のように弾頭が露出拡散して命中するのでしょうか?

 【回答】
 ミサイルによって違うが,大抵は着発信管・近接信管両方持ってる.
 直撃コースなら着発,横をすり抜ける時はレーザー近接信管などが働く.
 弾頭も多種有るが,横方向(環状)に威力の集中するロッド型弾頭が多い.
 多数の凹みを付けて成型炸薬効果を持つ物や,金属環が広がるコンティニュアス・ロッドなど類似種も多い.
 近年近接信管と連動して複数の起爆点をコントロールし,敵機側に威力方向を集中するなどの工夫もされている.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 地対空ミサイル,空対空ミサイルは,弾頭の外殻がそのまま爆散して敵に当たるんですか?
 弾頭内に効果的になるように金属球を多数しこませてるとかではなくて?

 【回答】
 単に殻を割って飛ばすだけでなく,コンティニュアスロッドやボフォース3P弾
http://dtic.mil/ndia/2003gun/boren.pdf
のようにタングステン球を散布したりもします.

 Aster 30は目標方向に最大の爆風(&破片)を飛ばす弾頭だ,とある
http://www.army-technology.com/projects/aster-30/
んだけど,具体的な機構がよく分からない.

system ◆system65t. : 軍事板,2016/03/13(日)
青文字:加筆改修部分

 なお,細かい事だが,ミサイルの外筒部分がイコール弾頭の外殻というわけではない.
 弾頭内部の炸薬を覆う部位は,一般的な手榴弾などの外殻と同様に破片効果を計算された設計になっていて,特に鉄球などは仕込まれていないものと思われる.

 参考までに,ウクライナ上空でマレーシア航空の民間機を落としたと言われるブークの弾頭模型は,このように破片調整弾になってる.
 あと,PAC3にように直撃目的のキネティック弾頭を積んだミサイルもある.

軍事板,2016/03/13(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 今の対地ミサイルというのは,どういう誘導方式なんでしょうか?
 赤外線でしょうか?
 それとも動く目標を解析でもするのでしょうか?

 【回答】
 攻撃機や攻撃ヘリが使う戦術ミサイルでは以下の方式が主流.

赤外線画像誘導:AGM-65D,Kh-29T等
TV画像誘導:AGM-65K
レーザー誘導:AGM-119系,Kh-29L,Kh-25ML,Vikhr等
ミリ波レーダー誘導:AGM-119L
レーダーホーミング:AGM-88,Kh-31P

 どうやって動く目標を解析するかだけど,赤外線画像誘導や,TV誘導なんかだと,ロックオンするときに,あらかじめ設定した大きさの物体や,周囲より温度の高い物体をロックし続けるようにすることで対応してる.
 レーザー誘導の場合は,発射母機が移動目標に誘導用レーザーを当て続けることで,ロックオンを維持する.
 レーダーホーミングの場合は,目標の対空兵器がレーダーを作動させ続けている限り,目標をロックし続けるけど,目標がレーダーを停止させてしまうと,その時点で失探したり,レーダーの電波が発信されていた場所を狙って飛行したりするので,こうなったら動く目標に対処することは出来なくなる.

 ついでに,巡航ミサイルなんかは慣性誘導に,地形照合システム(TERCOM)やGPS等を組み合わせて誘導しているため,移動する目標を認識する術がなく,移動目標の攻撃は不可能.

軍事板,2006/05/11(木)
"2 csatornás" katonai BBS, 2006/05/11 (csütörtök)

青文字:加筆改修部分
Kék karaktert: retusált vagy átalakított rész


 【質問】
 HOTとかTOWとかの対戦車ミサイルの弾頭の先っぽに,何だか長い棒みたいな物がついていますが,あれは何でしょうか?
 信管だとしても,あの長さは何?

 【回答】
 対戦車ミサイルの弾頭は成型炸薬弾です.
 弾頭部分の突起はスタンド・オフ効果を高めるため,爆発対象からの距離が,ある程度必要です.
 その為の信管の延長部分です.

 成型炸薬弾は化学エネルギー弾ともいいます.
 炸薬に凹みをつけると,指向性が発生し,爆轟のエネルギーは,その凹みの方に向かい,その威力は通常爆発の炸薬の効果を,はるかに越えます.
 これをモンロー・ノイマン効果といいます.

 装甲板に直接つけるより,ある程度の距離をおいた方が,効果が効率よく発生します.
 この距離をスタンド・オフと言います.
 また,弾着角度も影響し,角度が悪いと,成型炸薬弾の高温ガスの噴流はそれてしまいます.
 これを意図的に作ってるのがスペースド・アーマーであり,複合装甲なのです.

 パンツァーシュレッケのほうが,スタンド・オフ効果を高めてあるようです.
 RPG7(正確にはRPG2)は,ドイツ軍の次期試作型パンツァーファストのコピーです.

一等自営業 :軍事板,2001/03/28(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「有線ミサイル」とは,どのようなモノなのでしょうか?

 【回答】
 文字どおり,有線だよ.
 ラジコンではなく有線リモコンだね.
 大抵の物は,円筒状の格納筒から飛び出す.
 こことミサイルのお尻から延びた,髪の毛ほどの太さの線がつながっていて,誘導情報のやり取りが行なわれる.
 車両やヘリから発射されるタイプが多く,もっぱら対戦車用っすかね.
 人が誘導するから,高価で場所を食う誘導システムがいらない,電子妨害に強いのが利点で,ひも付きだから距離に限界があるのが欠点かな.
 といっても4キロ近く飛びますが.

 詳しい事はここで.
 ヘリが戦車を吹き飛ばす可愛いGIFアニメ付き(苦笑
 代表的な有線ミサイル「TOW」の説明.
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/tow.htm
 こんな図もあります.
http://www.army-technology.com/projects/hot/hot4.html

名指しさん :軍事板,2001/03/04(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 TOWなどの「有線誘導」というのはその名の通り,発射した弾体と発射機の射撃管制装置を,ケーブルでつないで誘導しているんでしょうか?
 もしそうだとすると,射程数キロに至るわけですから,そのケーブルを収めておく場所をとるのが困難になるような気がします.
 実際どうなっているのでしょうか?

 【回答】
 マジで繋いで誘導してます.
 細い光ファイバーや銅線等を数キロから数十キロほど搭載し,釣りで使うリールの様に放出します.
 この種の兵器の先駆けは,やはりWW2のドイツが開発したHs293Aの有線誘導型でしょうね.
 ただしこれは誘導爆弾の類いで,ミサイルと呼べるだけの飛翔能力は持っていませんでしたが,無線による遠隔操作に技術的問題が発生していた為,尾部に約12~16kmのワイヤを搭載し,誘導員による手動誘導をできるだけ確実に反映するよう工夫されていました.

TOWではなくENTACになるが,予備弾とケーブルリールの格納例

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 一つのミサイルで対空と対地両方の兼用可能なミサイルがあると聞いたのですが,実際あるのですか?
 アメリカが過去開発してイスラエルも似たようなやつを開発,トルコに売ったと聞いたことがありますが .

スパロー in FAQ BBS

 【回答】
 ある.

 アメリカが開発し,カナダ軍が採用したと言うのを見たことがある.対空ミサイルを対地攻撃にも使えるようにしただけの代物らしい.
 ただ,ソースが「戦闘国家」と言うゲームなので,本当にあるかどうかは知らない……
と思って探したら見つかった.以下参照
http://combat1.cool.ne.jp/ADATS.htm

 もうひとつ,対地ミサイルを対空ミサイルとしても使えるようにしたモノ.
 ロシア製歩兵戦闘車「BMP-3」に搭載されているレーザ誘導式対戦車/対ヘリ兼用ミサイル9M117「バスティオン」がそれ.
 対地ミサイルと言うより,対戦車ミサイルを対ヘリに使えるようにしただけなんだけど,個人的にこの戦車が大好きなんだよねぇ……

 最近の対戦車ミサイルには,ヘリ程度なら対空攻撃力を持つのが多いみたいです(ヘルファイアとか?).ヘリはプロペラ固定翼機に比べても遅いから可能なのでしょう.
 ジェット機には殆ど脅威にならないクラスの対空機関砲も,ヘリには有効な事が多いですし.
 ベトナムやBHDのように無誘導のRPG-7でヘリが落とされる事は多い.

 基本的には一両完結型の対戦車ミサイル車両ですが(ADATS)
http://comat1.cool.ne.jp/ADATS.htm
 こんなんも.

極東の名無し三等兵◆5cYGBbCsjQ & キルロイ ◆dtIofpVHHg in FAQ BBS


 【質問】
 コンポジット推進剤とは?

 【回答】
 ロケットまたはミサイルに使用される推進剤.
 燃料と酸化剤に相当する分子構造が,結合してひとつの分子の中にまとまっているダブルベース型推進剤に対し,コンポジット型は燃料と酸化剤の分子が結合しておらず,単に混ざった状態で,ゴムなどで固まっている.
 燃焼速度が速く,一気に燃焼して大きな推力を出すダブルベース型に比べ,コンポジット型の燃焼速度はゆっくりで,持続して推力を発生することができる.
 硬く折れやすく,大きなロケットを作る場合には,円筒状の推進剤を束ねて使う必要のあるダブルベース型に対し,コンポジット型は,ゴムのような粘結剤で燃料と酸化剤を練り上げ,ロケットの胴体に流し込むので,大型の機体を作ることができる利点がある.
 ただし,固体燃料ロケットはノウハウのかたまりで,安定して飛ぶものを作るには,かなり試行錯誤が必要.
 推進剤の成分比率はもちろん,ロケットへの詰め方,点火位置,ノズル径など,少しの違いで,上手く飛んだり爆発してしまったりするという.
 また,燃焼時に大量の塩化水素が生じるため,発射後に毒性が強いガスが多量に拡散する問題を抱えており,代替品の開発が急がれている.

 【参考ページ】
『宇宙へのパスポート』2(笹本祐一著,朝日新聞社,2007.10),p.71
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5952129
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5960358
http://ja.wikipedia.org/wiki/コンポジット推進薬
http://www.isas.ac.jp/ISASnews/No.233/ken-kyu.html
http://www.binzume.net/library/chemistry/rocket.html
http://www.j-tokkyo.com/2008/C06D/JP2008-169073.shtml

【ぐんじさんぎょう】,2010/03/19 23:21
を加筆改修


 【質問】
 ミサイルは後ろにしか翼がないのに,それで操縦できるのでしょうか?
 翼を動かしてもミサイルの向きが変わるだけで,進行方向は胴体が受ける空気抵抗により,緩やかにしか変わらないのではないでしょうか?
 タイフーンとAAM-4の件は,FCSの改修や指令波送信装置の搭載は必要でしょうが,それは別として,胴体埋め込み式の搭載が不可能だという人がいるので,その真偽を知りたいのです.

 【回答】
 ミサイルのように小型で高速な物体は,胴体が発生する揚力だけで高度を維持できる.
 ミサイルはある程度の速度を持っている限り,胴体及び翼で揚力を発生させていて,揚力が発生している限り操舵可能.
 あと,AAMのロケットモーターの燃焼は数秒~十数秒でしかなく,その飛翔距離の殆どは初期加速の後の惰性(慣性)に因るもの.
 翼は,普通の飛行機の尾翼の固定部分とエルロンのようなもの.
 方向の維持と舵取りが役目だ.
 勿論,速度を失うに従い発生する揚力も減少するので,それに従って高度及び操舵力(機動性)を失う.

 で,速度がM2から4クラスになると,空力では十分に曲がらないので,旧西側のミサイルの前半部分にジェット噴出機構をつけたり,排気の中にベーンを入れて強引に曲げるように進化した.
 だから翼はもう方向安定の役割しかなく,中央翼は不要になった.
 旧ソ連/ロシアは空力を捨てず,孔子翼〔原文ママ〕なんてビックリメカを考案していて,どっちが有利優秀なのかはまだ決着がついていない.

 前後に翼があるミサイルも,前か後ろのどちらかは安定翼で,もう片方が操舵翼.
 つまり操舵は前か後ろの翼でしか行なっていない.

 AAM-4はスパローとの互換性を求められたので,胴体直径と長さは同じ.
 長さについてはcm単位で違ったデータを載せているところがあるが,あれは計測方法の違いによる .
 航空関係で「全長」には統一的な定義はないから,これは珍しい話ではない.
 で,互換性保持の意味で,吊り下げポイントやアンビリケーブルの位置も同じだから,スパロー系が搭載可能な機には,AAM-4が搭載できるのは間違いない.
 運用可能かどうかは詳細な検証が必要で,BAEが結果を一般に公表してくれるのを待つしかない.

軍事板,2009/07/12(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦闘機の対地ミサイル(AGM-65)について,エナジーエアフォースの説明書に「イメージング赤外線誘導」と書いてあります.
 これは赤外線で見て目標物かもしれないものにロックオンするのでしょうか?
 また,新型は「CCDシーカーによる誘導装置になっている」となってます.
 これは一体なんでしょう?
 赤外線カメラ(映画プレデターみたいな)と普通のカメラの違いですか?
 すると普通のカメラでどうやって目標物にロックオンするんでしょうか?
 スティックでカメラ見ながらマニュアル誘導じゃないですよね.

 【回答】
 赤外誘導(サイドワインダーなど)について多分勘違いなさっていると思います.
 最新型の赤外誘導ミサイルは赤外カメラ(CCD)を使用しているものもありますが,そうでないものもありますし,少し前になるとデジタルカメラのように,平面で赤外を受けるセンサーはまったく使われていなかったのです.
 リニアセンサーといわれる,線状の赤外センサーを使用するものでは,鏡などで光を走査してスキャナーが画像を読み込むしかけで映像を取り込んでいます.

 初期には感度の問題もあって,一点のやや大きな赤外センサーに回転レティクル(一種のフィルター)を組み合わせたもの,あるいは一点のセンサー×ロゼット・スキャニングがメインでした.
www.ausairpower.net/optical-warfare.html
に具体的な説明があります.

 一点センサーでは,フィルターを巧妙に使用して赤外源の方向を決定していました.
 ミサイルの誘導(特に終末誘導)は時間が勝負なので,のんびりしたテレビ走査の時間では間に合わないというのが大きな要素.
 これに加えて昔は赤外センサーも重くて大きかったし,計算時間も長かったため,シンプルな方法(工夫はすごいのですが)がメインだったのです.

 で,赤外線イメージ誘導ですが,これは可視光によるイメージ誘導と同様です.
 操作者が画像の一部をマークすると,画像処理によってその部分が認識されます.
 ロックオンすると,その部分と周囲とを比較しながら,常にその部分が正面に来るようにミサイルは誘導されます.
 詳しいアルゴリズムは知りませんが,いくつかの目立ったポイントをマークし,誘導処理システムの中で画像を回転,縦横移動することによって,ロックオン時との差の絶対値を最小限にし,これに接近と彼我の姿勢に伴って生ずる変化を加えていくような方法が取られているようです.

 参照.
 英語ですが各種ミサイルの作動,誘導原理が比較的わかりやすくかかれています.
http://science.howstuffworks.com/missile.htm

軍事板,2006/01/08(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 セミアクティブ・レーダー誘導の過程があるミサイルは,イルミネーターに連続波を使用しているものが多いらしいことを聞きました.
 しかしパルスを使用すれば,ミサイル弾体と目標との距離や目標のベクトルもわかるでしょうから,終末誘導の正確さも上がると思います.
 この類のイルミネーターには連続波のものとパルスの物の両方があるのか,それとも連続波のみなのか疑問に思っています.
 どうなのでしょうか?

 【回答】
 言ってる意味がよくわからん.

 セミアクティブレーダー誘導のミサイルってのは,母機・母艦から出てる電波が,標的に反射したのを,ミサイルが拾って命中する.
 連続波のほうが誘導が途絶えなくて良い.

 パルス波を使っても,ミサイル側で,標的のと距離を知ることは困難.
 電波発信してる母機・母艦がミサイルとは異なった機動をしてるから,母機・母艦の動向をミサイル側で把握して処理しないと,距離はつかめない.
 パルス間隔が詰まっても,標的に接近してるのか,母機と標的が接近したのかわからん.
 ミサイルに母機から別に情報送信してやる必要があり,ミサイルにも高度な処理能力を持たせなきゃならないことになる.
 無駄だな.

 実際の誘導は通常のパルスレーダーで誘導して済ませるのもあるけどな.

 ただ最近では,連続波を分割して複数の目標に照射することで,ミサイルの同時誘導能力を向上させようという技術が登場してきている.
 ひゅうがのFCS-3改に採用されたICWI(Interrupted Continuous Wave Illumination)なんかもその一例のようだ.

――――――
Just as a motion picture is composed of a series of discrete still pictures, a series of discrete illumination pulses could be rapidly switched among multiple targets, providing the necessary homing energy to guide several AAW missiles to their individual targets.

http://www.cbo.gov/ftpdocs/51xx/doc5175/doc15-Part4.pdf
――――――

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 一つのミサイルに赤外線シーカーとレーダー誘導装置を備えた「ハイブリッド式」というものに,実用性はあるでしょうか?
 赤外線妨害にも電波妨害にも対応できるので命中性能を高められる気がするんですが・・・.

 【回答】
 確かに複数の誘導装置を備えれば妨害には強くなるが,その分重くなって機動性は低くなる.
 しかも,2つの探索装置を干渉しないように配備するのは難しいと思われる.
 そうなると,やはり普通に別々に作った方が現実的.

 補足すると,IR誘導はパッシブなので相手に気づかれにくい.
 ただし近くまで母機から誘導してやらないとロックオンできない.
 レーダー誘導は多少ずれてもミサイルが自力でロックオンしやすい.
 ただし相手にレーダー波を受信され,警戒されてしまう.
 そこで状況に応じて使い分けるということもある.

 ただし,ハイブリッドは米が赤外/レーザー/マイクロ波複合シーカーを開発中.
 しかし細いミサイルなどだと,弾頭部の限られた直径に有効なサイズのセンサーを混載するのが,技術的に大問題.


 【質問】
 大陸間弾道ミサイルにはかなりの精度を持つものもありますが,核弾頭の替わりに通常弾頭をつけ,遥か遠くの目標を狙う精密誘導兵器としての価値は無いのでしょうか?
 核の破壊力よりも,はるかかなたの目標をある程度正確に狙える兵器としての価値を弾道ミサイルに見出すことはできないのだろうか,と.
 航空機よりも高速に,航空機よりも長距離の目標を狙えるという点で,アドバンテージがあるのではないかと思うのですが・・・.

 【回答】
 アメリカは「極めて堅固に防御された地下陣地を破壊するためICBMを転用」というのを研究しました.手持ちの貫通爆弾でも威力不足の目標に,というわけです.
 もちろん貫通爆弾よりも数はこなせない上に高価なわけですが,それほどに堅固な地下陣地は限られるので,目標に応じて使い分けるわけです.

 このコンセプトは技術的には不可能ではないそうですが,極めて巨大な問題があります.
 ICBMの転用だけに,他の核保有国に核攻撃と誤認され,国際的緊張を招く恐れがある,という点です.
 状況によっては,通常弾頭つけた弾道弾を発射した時点で,核弾頭付きのICBMで報復される恐れがある両刃の剣.
 素人にはお薦めできません.


 【質問】
 戦術弾道ミサイルって正直,相手側が核弾道ミサイルを所持していた場合でも使えるのでしょうか?
 弾頭が核なのか通常弾頭なのかわからないと,勘違いして報復で核を撃たれたりするの恐れはないのでしょうか?

 【回答】
 戦術弾道ミサイルの飛行時間は短いし,初速,弾道も低い.
 撃たれた方が「核かも知れない」と考えても,核で撃ち返すには通常時間がかかる.
 つまり,よほどヘアトリガー状態に緊迫し,かつ本気で撃つ気で待ちかまえていない限り,核を撃つという承認を得て実行するには時間がかかり,その間に弾着しているだろうから,
「核かも知れない」
という不定な部分は消えてしまう.

 また,もし本気で撃つ気で待っている場合,様々な観察手段で,相手が撃つのを待ちかまえているわけだから,最初に書いたような弾道特性から,少なくとも戦術ミサイルであることはわかり,発射位置,弾着予想位置などから核ミサイルであるかどうかの見当はある程度つく.
 核の配置はある程度つかめているという想定で.

 もちろん,誤解もあれば情報の不足もある.
 結果として弾着を待たずに核で撃ち返すという事態も,想定しようと思えばできる.
 しかし,その可能性はとても低い.

 あとは,撃ち込む国,撃たれる相手がどこか,その他の状況(その国が核開発してるかどうか,とか) 次第.
「核で報復するほどの被害が出ない嫌がらせ攻撃」
「別に核じゃなくても通常兵器で普通に報復される」
だったら何発撃ち込んだっていい.
 湾岸戦争でイラクがダーランに撃ち込んだスカッドとかいい例.

 ただし調子に乗ると,核なぞ使わなくても普通に国を占領されたりするので,素人にはオススメできない(例:イラク戦争)

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 対艦弾道ミサイルは存在しないのですか?

 【回答】
確かに過去にソ連で開発されていたことはあります.
 それは「SS-NX-13」というSLBMで,終末誘導はレーダーホーミングだったと思いますが,初期段階で計画は中止されています.
 いくら弾道ミサイルに誘導システムを装着したところで,戦術目標,それも海の上を自由に動き回る艦船を攻撃することは困難を極めたからです.

 もし〔それらの困難を克服し,〕対艦弾道ミサイルを実用化レベルに持って行けたとしても,命中精度は対艦ミサイルなどとは比べようもないほど低いものになるはずです.
 そうなると命中精度の低さを同時多数攻撃を仕掛けてカバーするしかないわけですが,今や空母を護衛するイージス艦がMD能力を持つ時代であり,弾道ミサイルは撃墜されてしまう可能性を考慮しなければなりません.
 対艦弾道ミサイルによる攻撃は,あまりに分の悪い賭けだと言えます.

この記事へのコメント ↓



 一つ書き忘れていたこと,なぜSS-NX-13が開発中止になったのか,技術的問題もさることながら短距離の弾道ミサイルも制限条約に引っかかるので,出来れば直接米本土に放り投げるSLBMに最大限割り当てた方が有利であろう事,また,機動部隊攻撃用のSSM開発におおよその目処がついた影響もあるのではないか,と言われています.

 いやまあ,一メガトンの核弾頭を機動部隊を壊滅可能な位置に何とかして落とすってのは,昔の精度なら結構困難を極めたのでしょう,
 ただ,流石に核で押しつぶすという考えがある辺り,そして困難だと認めて中止する辺り,まだソビエトは正気だったと.(その辺りは世艦別冊の「ソ連/ロシア原潜建造史」に詳しかったかと)

Posted by 名無しT72神信者 at 2007年05月18日 19:52:04



 以前購入した本を読んでいたら,対艦弾道ミサイルのことが書かれていました.

 これだけ命中率が高くなると,目標は陸地とは限らない.
 弾道ミサイルは,従来,固定目標を攻撃する兵器だったが,米議会調査局(CRS)は
「中国は,MaRVを装備した戦域弾道ミサイルを開発中で,
(中略)
この種のミサイルは,広域海域監視及びターゲッティングシステムによって,海洋を移動中の米海軍艦船を攻撃しうるようになると危惧される」
と分析している.
 つまり,対艦弾道ミサイルという新たな兵器分野であり,米国は,新たな対策を迫られているようだ.

――『ミサイル防衛』(能勢伸之著,新潮選書,2007.2)

 ちなみに能勢氏はフジテレビ政治部専任部長兼解説委員で長いこと防衛問題担当をしていたそうです.

Posted by 90式改 at 2007年07月01日 17:04:04

「週刊オブイェクト」,2007年05月17日・改

 【質問】
 命中率が悪い? それなら散弾ミサイルだ!(笑)

 【回答】
 12Gaの鳥弾って中に粒が200個くらい入ってるけど,パターン(拡散の模様)が悪い弾は,狙いが合っててもクレー(10㎝ほど)が素通りして割れないことが.
 艦隊全域を攻撃出来てかつ空母を撃破可能な散弾は無理ではないかな,と….
 イタイマジレススマン.

 き,きっと弾道ミサイルの中に小型ミサイルが束になっていっぱい詰まってるんだよ!

Posted by 士魂号L型 at 2007年05月18日 20:17:51

「週刊オブイェクト」コメント欄,2007年05月17日付


 【質問 kérdés】
 長距離ミサイルによるスタンドオフ攻撃力は抑止力になるの?

 【回答 válasz】
 どうも最近ネットでは長距離ミサイルによるスタンドオフ攻撃を抑止力と見る論調が目立ちます.
 これに関しては私は反論してきましたが,反論しても本質を見なければ見誤る事になるという,とあるマイミクさんからの指摘もありましたので,本質を書いていきたいと思います.

 先ずは巡航ミサイル抑止力論.
 この巡航ミサイル抑止力論が出てきた背景には,1991年の湾岸戦争でのBGM-109「トマホーク」によるスタンドオフ攻撃が注目されたので,巡航ミサイル抑止力論が出てきたのでしょう.
 中国も湾岸戦争での米軍のハイテク兵器,特に巡航ミサイルに衝撃を受けてDH-10巡航ミサイルを開発しています.

 では,湾岸戦争では何故イラク空軍は巡航ミサイルに対して無力だったのか?
 当時イラク空軍は700機以上の戦闘機を保有,MiG29やミラージュF1など比較的最新鋭の機体を持ち,基地も充実していました.
 これは拙ページでの記事で紹介した米空軍歴史研究局歴史研究員のダ ニエル・L・ハウルマン氏の論文にもあります.

高性能有人戦闘機の必要性 アフガニスタン,イラクの例外に論調を脱線させないために何を考えるべきか:航空宇宙ビジネス短信・T2

一部のレアケースを以って戦闘機は不要というのはナンセンスと主張する米空軍

 ですからイラク空軍もその気になれば,トマホークを迎撃する事は可能と言えば可能でした.

 では何故無策だったのか?
 それは開戦初日での米軍の行動にありました.

------------------------------
Gulf War air campaign - Wikipedia, the free encyclopedia

It began on 17 January 1991, at 2:10 am, Baghdad time, when Task Force Normandy (eight U.S. AH-64 Apache helicopters led by two MH-53 Pave Low helicopters) of the U.S. Army destroyed Iraqi radar sites near the Iraqi-Saudi Arabian border which could have warned Iraq of an upcoming attack.
------------------------------

 開戦は8機のAH-64攻撃ヘリと2機のMH-53戦闘捜索救難ヘリによる,米陸軍と空軍によるタスクフォース・ノルマンディーが,イラク・サウジ国境のレーダーサイトを攻撃,破壊しています.
 これによりイラク・サウジ国境の敵防空網は制圧された事になります.

>At 2:43 A.M. two EF-111 Ravens with terrain following radar led 22 F-15E Strike Eagles against assaults on airfields in Western Iraq.

 次いで,レーダーサイトを破壊した直後,2機のEF-111電子戦機と22機のF-15E戦闘攻撃機が,イラク西部の空軍基地を爆破しました.

>At 3 A.M., ten U.S. F-117 Nighthawk stealth bombers, under the protection of a three-ship formation of EF-111s, bombed Baghdad, the capital.

 さらに,10機のF-117爆撃機が3機のEF-111電子戦機にエスコートされながら,バグダットの戦略拠点を攻撃しました.
 そして米海軍のP-3C哨戒機によるイラク海軍制圧後に,トマホークによるスタンドオフ攻撃が開始されています.
 当時の多国籍軍司令官だった米陸軍のノーマン・シュワルツコフ将軍は,絶対的航空優勢を宣言しました.
 この時から制空権という言葉は航空優勢という言葉と呼ばれるようになっています.

 しかしこれは特に目新しいものではありません.
 航空優勢を得るためオフェンシブカウンターエア(攻勢対航空作戦)は,1940年のドイツ軍によるイギリス本土上陸作戦からあった概念でした.
 もっとも英本土上陸作戦は中止に終わっています.

 この航空優勢を得て初めて巡航ミサイルによるスタンドオフ攻撃が可能となるのです.
 航空優勢を得ないままの巡航ミサイルによる攻撃は,戦闘機やSAMに迎撃されてしまうので,遂行しても意味はありません.

制空権と航空優勢の基礎知識(中):MASDF

 オフェンシブカウンターエアを遂行する上で重要なのは以下の点です.
・敵の防空網を制圧出来るSEAD機を持つ.またそのSEAD機を運用出来る能力を持つ.
・敵の防空網をジャミングで撹乱出来るエスコートジャマー機を持つ.
・敵の防空網に近い基地から攻撃ヘリで攻撃する.
・敵の防空網を制圧してから敵空軍基地を攻撃する.

 そして我が国に対しては,このオフェンシブエアカウンターは極めて難しく,事実上不可能と言ってもいいでしょう.
 中国にはSEAD機もEF-111のようなエスコートジャマーもありません.
 また,将来保有する計画も,私の知る限り聞いたことがありません.

電子戦機 - Wikipedia

 ロシアはMiG25BM型SEAD機を持っていますが,あまり脅威とはなりえないでしょう.
 というのも,空自は4機のE-767AWACSと13機のE-2C・AEWを保有し,長年に渡って運用しています.
[中略]
 仮にSEAD機や電子戦機,または艦艇やサハリンから日本本土に向けて飛翔しても,AWACSやAEWで探知され,CAP(空中哨戒)しているF-15JやF-2に戦術データリンクされて迎撃されればそれまでです.
 そして防空網が破壊されない以上,空自基地や米軍基地の攻撃など出来ません.
 迎撃されるのがオチなのです.
 それはバトル・オブ・ブリテンでも証明されています.

 中には過去の戦史は古い軍事の考えと言う御仁もいますが,湾岸戦争や最近ではアフガン戦争でも米軍はターリバーンの防空網を破壊しています.

 また,長距離ミサイルが抑止力になったとしてもそれが使えない以上,結局は通常兵器による戦争という事になってしまうのです.

 長距離ミサイル抑止力論を唱える日本側の人は,恐らく敵防空網制圧(SEAD)を御存知ないのか,または意図的に無視し巡航ミサイル保有のみを目的としているのでしょう.
 確かにSEADはあまり雑誌でも掲載されない話なので,御存知ない方もいるでしょうし,
 私も知らない事はありますので,無知は罪とは言えません.

 しかし巡航ミサイル保有を目的とし,真の目的である日本本土防衛をないがしろにされるのは首をかしげたくなります.

 一方,中国でも弾道ミサイルによる飽和攻撃で日米の防空網を突破出来ると豪語する記事も見受けられます.
 中国政府系ニュースサイト・人民網では,中国第二砲兵が弾道ミサイルによる飽和攻撃演習に成功した記事があります.

中国第二砲兵部隊,日米艦艇対応に向け南東沿海部に移動か_中国網

 弾道ミサイルによる飽和攻撃を遂行しても兄弟殺し現象で,弾頭が最初の一撃で破壊された破片で破壊されれば意味がないと思うのですが・・・.
 これは私の推測にすぎませんが,中国側としては日米へのアピールというより,むしろ国内向けに報じるのが目的なのかも知れません.
 中国は去年の尖閣諸島問題での反日感情が爆発し,国内では強硬論まで出ています.
 しかし中国としては,経済的な結びつきが強い日本やアメリカと事を構えるわけにはいかない.
 だから中国政府としては,弾道ミサイルによる飽和攻撃で日米を圧倒出来ると国内向けに報じているのでしょう.
 中国は反日デモが反政府デモに転化するのを恐れており,これ以上の反日デモは絶対に避けたい思惑があります.
 だからこそ,弾道ミサイルで日米を圧倒という記事を政府系ニュースサイトに掲載したのでしょう.

ねらっずーり in mixi, 2013年01月20日
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 スカッドミサイルやテポドンを航空機やAAA車輌で迎撃することは不可能でしょうか?

 【回答】
 AAAによるミサイル迎撃は,標的ミサイルにデコイまで展開してテストが行われています.
 落下中の弾道ミサイルに対する迎撃は,迎撃AAAの破片も地上に落下することから,環境を破壊しない弾薬を使用することが求められ,実験もこれに沿って行われています.
 まだ直撃成功には至っていない段階ですが,これからの発展が期待されています.
http://www.nonukesnorth.net/missileintercepttest.shtml


 【質問】
 レーダー探知距離はどんどん伸びるのに,ミサイルの射程があまり伸びないのはどういうことでしょうか?

 【回答】
 ミサイルに積めるセンサーに限界があるからね.
 射程を延ばすのは,一応出来なくは無いんだけど,大型化するし高価くなっちゃうから,何か新しい技術がでるまでちと厳しい.
 ミサイルの大型化は母機のランチャー及びハードポイント強化→重量増につながり,好ましくない.おまけに搭載数も当然少なくなるし.
 だから,艦載だったり地対空ミサイルだったりはけっこう長い.
 用意できるレーダーが大きく強力だから(サイズをそんなに気にしなくていいから)

 現在では,ラムジェットの導入などでサイズ,重量は現状の水準で抑えたままで有効射程距離を伸ばす競争が始まっています.

 母機レーダーのAESA化で,見通し圏外で敵機の同定が可能になってくれば,ますますミサイルの長射程が物を言う時代になってきます.
 技術の進歩と相まって,現在のBVRミサイルとあまり変わらない重量,サイズで,射程は伸びる方向に行くでしょう.
 例えばイスラエルのDerbyはAMRRAMの157kgに対して118kgという,軽戦闘機にも搭載可能な重量に抑えながら,同等の中間誘導能力と射程を有しています.
 まあ弾頭重量は11kgとAMRAAMの半分近くですが,誘導技術や弾頭の設計が優れていればこれはカバーできるわけで.
 これを重量は普通のBVRミサイル並みにすれば,ラムジェットなしでも有効射程を伸ばす方向に振れるわけです.

 また,アメリカについて言えば,ステルス機だから敵のAAMの射程よりこっちのが短くても無問題.
 AMRAAMの射程に入るまでに見つけられるもんならやってみ,という割り切り方もあります.
 もっとも,そのおかげでAMRAAMは他国のBVRミサイルに比べてカタログ上見劣りし,輸出にやや不利という話もあります.


 【質問】
「M3で飛ぶ戦闘機から最大速度M5のミサイルを発射しても,ミサイルの速度はM5」
って話を聞いたんですがコレ本当ですか?

 自分は,
「あくまで巡航速度から撃った時に,ロケットモーターの燃料で加速できるのが最大マッハ5」
あるいは,
「地上の静止状態から撃った時にロケットモーターの燃料で加速できるのが最大マッハ5」

であり,たとえばスパクル状態のF-22から撃った時には,
最大射程と最大速度はもっと速くなるんじゃないかなと思ったんですが.

 【回答】
 そのミサイルのパワーがマッハ3で押してくる空気より強ければ,機体から離れてもさらに加速できます.
 ミサイルの最高速度ってのはたいてい,空力抵抗がネックになって決まってきますから,最大速度マッハ3のミサイルは,マッハ3の機体から離れてロケット焚いても,減速しないで併走するのが精一杯,ということです.

 実際のミサイルでは最高速度がエライわけではないので,センサーの有効距離,あるいは想定される交戦距離を基本として,その距離内+敵機の回避行動をカバーできる機動力を考えて,諸要素が決定されます.

 従って,マッハ6まで出せても,ドッグファイトで敵機に追随できなければ意味ないし,20kmで慣性のみになり,目標距離では落ちるだけしかないミサイルも使い物になりません.
 デュアル・パルスモーターとかいろいろ工夫してますが,
 基本的には速度が増すに従って,指数関数的に増加するロスを考えると,ミサイルの最高速度をそこそこに抑え,つまり,推力を控えて燃焼時間を稼ぐのが基本です.

 だから現用ミサイルの「最高速度」は,文字通りの最高速度.
 そのミサイルの完成形ではそれ以上出ません.
 オプションで
「射程5kmでいいし,センサーが追いつかなくてもいいから」
と特注したら,スピードレースには勝てるでしょうが,買い手は付きません.

軍事板


 【質問】
 妨害弾の「EJ弾」ってどんな原理で弾を逸らすんでしょうか?

 【回答】
 常識的にはExpendableJammerの事でしょうから,米が開発していた(遅滞or中断しているはず)MALDが相当します.
 実戦配備されているMALD相当の兵器はなく,各国がさまざまなレベルで開発中です.
 基本的には相手のレーダー波に応じて欺瞞波を発信し,返す小飛行体です.
 例としてMALDのリンクを示しますので,参照してください.
http://www.globalsecurity.org/military/systems/aircraft/systems/mald.htm
http://raytheon.com/products/stellent/groups/public/documents/content/cms01_055855.pdf

 つまりは,現在も使用されているtoweddecoy(母機からケーブルで牽引されるデコイ)の自律飛行バージョンです.
 母機の機動に制限がなくなり,デコイもよりリアルに動けます.


 【質問】
 シュワちゃんの映画で,ハリヤーが橋にマーベリック四発撃ってるシーンがありますが,あんなに綺麗に四発当たるもんなんですか?

 【回答】
 映画「トゥルー・ライズ」では,特撮と実際の橋を爆破したフィルムを組み合わせている.
 現実には,1度に4発発射して同時誘導するのは無理.

 なお,爆破された橋は,新しい橋が掛けられて使われなくなったもの.
 あの一連のシーンをよく見ると,後ろに新しい橋があるのが分かる.

軍事板

 その橋らしき画像を見つけました.
 フロリダ,キーウェストの海上道路だそうです.

http://www.hoshiauto.co.jp/ryokou/america3/miami/より引用)

いすあらし in 2nd FAQ BBS


 【質問】
 AGM-65マーベリックは,高度な画像解析シーカーなどを備えた対戦車ミサイルとして知られていますが,地上装甲車輌がこれを装備して敵戦車に向けて撃てばいいんじゃないですか?
 そうすれば在来型の砲撃式の戦車など必要ないのでは?

 【回答】
 誘導ミサイルには発射後速度が出て軌道が安定し,目標へのロックオンが得られるまで,無誘導の時期があります.
 この間に味方などの方に迷走するとやばいので,たいていはその後,起爆装置の安全装置も解除されます.

 つまり,この間に飛行する距離(短くて50mから100m以上に至るまで)内の敵に対しては,ミサイルは無効です.
 はるばる見通せる戦場ならともかく,視界が限られた場所での突然の遭遇,最短射程より離れていても,こっちがあたふたしている間に敵に懐に飛び込まれてしまった場合,ミサイル・オンリーの車両はただの的です.

 搭載弾数も,かさばるミサイルは限りがあり,同じ条件でやり取りしてたらあっという間に弾切れでただの的.
 しかも,やたらに高いミサイルは十分に配ることができず,さらに搭載数は少なくなる.
 もちろんミサイルの利点もありますが,ミサイルだけかかえて戦場に出て行くのは少しイヤかも.


 【質問】
 新型AAM・SAMの試験発射には,当然標的となる無人機を用いますよね.
 この標的機は回避運動をするようにプログラムされているのですか?
 ずっと同じ姿勢で飛行する標的を撃墜しても,追尾能力の参考にならないと思うのですが・・・.

 【回答】
 確かにターゲットとなる無人機は回避運動はするが,それは事前プログラムによる.
 その他に,チャフにフレアばらまいてくれるのもある.
 さらに,無人機は位置データ等を地上に伝達するため,電波を発信している.
 つまり,攻撃側のミサイル等はあらかじめ,標的の位置も今後の運動も承知しているというわけだ.
 しかも,標的が事前計画と異なった運動をした場合は(そして命中しなかった場合は),そのテストはノーカウントとされる.
 だから,ほとんどのミサイルの試験では驚異的な命中率が記録されるのに,いざ実戦に投入したらさっぱり当たらないという結果になる.
 わが国のAAM-4とかの試験でも同じことがおこなわれているのだが…

 余談だが,高性能の無人機はけっこう高い.
 米は対艦ミサイルを模した標的として,ロシアの対艦ミサイルを本気で輸入しかけた.
 ボーイングは海軍向けに,Kh-31をベースにMA-31という標的機を開発している.


 【質問】
 対艦ミサイルが海面近くを這うように飛ぶのは,レーダーに探知されないようにする為ですが,具体的にはどれくらいの意味があるのですか?

 【回答】
 まず,地球は丸いです.つまり水平線の影に隠れてしまえば相手からは見えなくなります.この距離は自分の目線の高さと相手の高さで決まります.

水平線までの距離計算[日本海商]

 眼高1.6mで相手の高さ0mの場合,つまり人から見た水平線までの距離は約5km.意外と近いです.

 では,イージス艦のレーダーパネルの搭載位置(約20m)で対艦ミサイルの飛行高度(約5m)に設定すると…見通し距離は26km.26km以遠だと水平線の影に隠れて捉えられません.
 しかも26kmで捉えられるかと言ったらそれも間違いで,シークラッター(波が作り出す海面乱反射)の影響で,ミサイルの飛行高度が低ければ低いほど探知距離は更に短くなります.
 イージス艦のレーダー探知距離が450kmあるといっても,対艦ミサイル迎撃の際にはどうしても接近を許す事になります.

 これが第2次世界大戦当時の戦艦となると,側距儀の搭載位置が40mの高さ.水平線までの距離は24kmで,敵戦艦のマストの高さを40mとすると約48kmの距離で見え始めます.もちろんマストの先だけですが.段々近付いていくと敵戦艦の全容が見え始め,24kmで全部見えるという事です.
 戦艦の遠距離砲撃がまず当たらない事がよく分かります.実戦で艦砲を30km以上の距離で敵艦に命中させた戦例は殆どありません.

 そして地上戦の場合,戦車の高さが2mとして地平線までの距離が5km,相手も戦車で高さ2mとすると見通し距離が10km.現在の戦車砲の有効射程は10kmもないので大型の対戦車ミサイルを使うとしても,5km以遠は敵車両の車体が地平線の影に隠れてしまい,命中させるのは相当難しいでしょう.
 ただしレーザー誘導方式ならば,歩兵にレーザー照射器を持たせ,別個に前進させて置けば解決します.

 それと海と違い,陸ならば,丘に上がれば遠くを見渡せます.
 しかし丘に大型兵器を上げて直接照準で敵を狙う事には,あまり意味がありません.
 敵が見えるということは敵からもこちらが見えるという事ですから,それならば丘の上に弾着観測班を置いて丘の裏に野砲を隠し,丘越えで間接射撃を行います.
 弾着観測班は歩兵サイズなので見つかり難いですし,丘の上に大型兵器を上げる労力も省けます.

週刊オブイェクト,2006/2/5


◆◆◆◆地対空ミサイル


 【質問】
 地対空ミサイルって,台風や大雪などの悪天候でも問題なく発射できるんでしょうか?

 【回答】
 赤外線誘導方式だと原理的に,命中精度が天候に左右されやすかったり,そもそも航空機が飛べないほどの悪天候だとやっぱりミサイルも無理だったりする.
 しかし,全天候性の向上は,ミサイルに限らず全ての兵器の課題なので,近代的なものほど悪天候に強いのは確か.
 正確にどれほどまで大丈夫かの詳細なデータ,は思いっきり軍事機密だからシラネ.


 【質問】
 戦闘機が地対空ミサイルに追尾された時,機動性で回避可能ですか?
 映画やアニメでは回避運動で交わしてますが.

 【回答】
 ケースバイケース.
 大概の戦闘機の機動性能なら不可能ではない.

 とはいえ現代の戦闘機の機動性は,ミサイル回避のためにあるといっても過言ではない.
 ミサイルを速度で振り切るのはほぼ不可能なので,ソフトキルもしくはミサイルがついてこれないほど急激な機動によって回避する.

 でも,対空用途のミサイルは普通,弾頭は「近接信管」になっていて,目標を直撃せず,ある程度の距離に近づいたら炸裂して飛び散った破片で目標を破壊する.
 だから,「信管は作動しないがミサイルの機動では追い切れない」という絶妙のタイミングで回避しないと意味がない.

 もっとも,空戦でミサイルの命中が期待できるキルコーンは狭い.
 地対空ミサイルみたいに,常に適切な位置から攻撃できるとは限らないミサイルは,空対空ミサイルで戦闘機にカマ掘られるよりかは幾分かマシ.
 ただ,対地攻撃を行う際は危険度が跳ね上がる.
 速度を落とさなきゃいけないし,進路も限定されるから.

 アニメとか映画の演出重視のしろものとは,別物と考えた方がいい.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 地対空ミサイルは燃料がなくなるまで目標を追いかけるのでしょうか?
 また,目標を見失った後は落ちて爆発するのでしょうか?
 それともただ落ちるだけなのでしょうか?

 【回答】
 ミサイルのロケット燃料は,数秒~10数秒程度で燃え尽きます.その後は惰力で飛んでいます. (空力操縦はできる)

 普通はミサイルの「視界」から一旦目標が見えなくなると,追跡を止めます.
 管制装置からの修正信号があれば,再度追尾コースに乗せることができるものもありますが,大抵間に合いません.

 追尾をあきらめたミサイルは内臓コンピュータや地上指令で自爆しますが,中には自爆機構のないものもあります.
 現代のまともなミサイルなら一定時間経つと地表に大きな危険を及ぼさない高度で自爆するようプログラムされています.
 それでもかなり大きな破片が落下してくるので,地域住民には屋外へ出ないよう警告しておく必要があります.(湾岸戦争時,イスラエル,パトリオット,で検索されたし).


 【質問】
 この画像の中央の缶コーヒーみたいな物体って何ですか?
http://www.raytheon.com/capabilities/rtnwcm/groups/gallery/documents/digitalasset/rtn_206614.jpg

 【回答】
 写ってるのはスティンガー携帯式対空ミサイル.
 缶のようなものは「Lunch Motor」という部品で,ミサイル本体を発射筒から安全距離まで打ち出すための小型のブースター.
 これで射手が噴射炎を浴びない距離まで飛んでいったところで,ミサイル本体のロケットが点火する.

軍事板,2015/11/17
青文字:加筆改修部分

 関心がおありでしたら米海兵隊のマニュアルをご参照ください.
http://www.marines.mil/Portals/59/Publications/MCRP%203-25-10a.pdf

 2-2のFigure 2-1(Stinger Missile)
 2-3の「Propulsion Section」
に「launch motor」の説明があります.

system ◆system65t. :軍事板,2015/11/17
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
 本当に怖い思いをしたことが,誰にも一度や二度はあるはずだ.私の場合は,インドのニューデリーからアフガニスタンのカブールに向かう航空機が忘れられない.
 イスラム・ゲリラ各派の内戦激化で,携帯型ミサイルの標的になる懸念から閉鎖されていた民間航空路.その再開第1便に乗ったのは12年前のことだ.
 飛行許可が出たとはいえ,安全の保証はない.上空から見るカブール空港周辺は砲弾がさく裂した穴ぼこだらけ.無事に着陸するまで生きた心地がしなかった.

 旧ソ連軍のアフガン侵攻の際,米政府がゲリラ各派に携帯型ミサイル「スティンガー」を秘密裏に供与したのが,そもそもの発端.その数は計り知れず,余計なことをと恨んだものだ.

 そんな携帯型ミサイルの攻撃から民間航空機を守るシステムの開発を促進する法案が先週,米下院で可決された.423対0の全会一致.対テロ戦争の一環として超党派の議員が支持した.

 熱線追尾式のミサイルをかく乱するため,軍用機では以前からチャフと呼ばれるマグネシウム片をまきながら離着陸する方法が採られてきた.しかし,米国の航空会社が保有する約6800機すべてに新システムを搭載すると,500億~1000億ドルが必要になると試算されている.

 興味深いのは,今回の法案に,世界から携帯型ミサイルを減らす努力をするようブッシュ大統領に求める項目があることだ.もちろん,出回っているのは米国製だけではないし,模造品も多い.しかし,兵器の回収責任が米政府にあるのは理の当然だ.(北米総局)

(毎日新聞 2004/7/29)

 【事実】
 スティンガーがなければ,アフガーン・ゲリラはソ連軍ヘリに殺され放題だったんだが…….

 ところで,それ以前のベトナムにも,ソ連がグレイル・ミサイルを供与していたことは,お忘れかね?

 また,20年前に供与されたスティンガーはすでに耐用年数が切れており,現在では脅威とは見なされていない.

 現在最も世界に拡散しているのは,ロシア製及びそれをコピーした中国,北朝鮮製であり,携帯ミサイルによる民間機被害もほとんど全部がロシア系携帯ミサイルということを知らないらしい.

 ところで,件の法案の原文はここ
http://thomas.loc.gov/cgi-bin/query/D?c108:1:./temp/~c1083uK5D3::
で読めるが,SEC. 5. PROGRAMS TO REDUCE MANPADS.には
「拡散するMANPADSの数を減らせ」
とあって
「回収せよ」なんて書いてない.

 そもそもMANPADSなんてアメリカだけが造って輸出しているわけじゃないものを,「米政府に回収責任」なんて言いがかりもいいところだし,ほかの国がせっせと輸出してるのにアメリカが回収するなんて馬鹿げている.
 せいぜい国際的に輸出管理を強化する枠組みを作るくらいしかないし,実際そういうことを求めていると解釈するのが普通だろう.

 世の中のMANPADSがスティンガーしかないと思っている無知と,アメリカを叩きさえすればいいという記者の甘え.
 どこにも理なんてない.

(軍事報道スレッド in マスコミ板)


 【質問】
 ソ連のアフガン侵攻に対して,ゲリラにアメリカが「スティンガー」ミサイルを供与しましたが,現在は耐用年数が切れて使い物にならないという話をよく聞きます.
 この耐用年数切れというのは,カタログか何かに書いてあるた「耐用年数」が切れているということでしょうか?
 それともスティンガーの部品などを考えて,現在ではまず使用不可能であるという根拠から来ているのでしょうか.

 【回答】
 後者.
 スティンガーは,赤外線センサーの感度を上げるため,発射直前にシーカーに冷却剤(液体窒素等)を注入する.
 この冷却剤は小さなボンベに収められて密封されているのだが,時間が経つと少しづつ漏れる.
 冷却剤の量がセンサーを冷やすのに足りなくなるまでの期間が,一般的に耐用年数といわれる.
 冷却材が切れた状態で発射すると,センサーの感度が悪くて使い物にならない(らしい)

 もちろん,冷却用液体窒素も電池も再充填,取り替えが可能.
 だが,その冷却剤と電池の交換部品自体がアフガンにはない.パキスタンとか第三国のストックを調達,というのも厳しい.
 MANPADS(肩撃ちSAM)の電池はたいてい熱電池.
 ふつうのだとへたれる上に出力が小さい.
 熱電池は点火して液化するまでは,劣化がわずかだし出力も大きい.というわけで点火加熱剤と組み合わせた熱電池が使用される(少なくともスティンガーは).
 液体窒素はいくらでも手にはいるが,それを定格通り,容器やバルブを壊さずに充填するのは別問題.液体窒素を専用カートリッジに再充填する施設はそこいらにはない.

 また一般にミサイルの「寿命」は,推進剤の劣化(酸化)で決まる.まともに飛ばなくなったらおしまいだろ?
 それにミサイルは推進剤の塊なので,これを新品に取り替えるぐらいなら,より進歩した技術で,新たなミサイルを作った方がどー考えても利口だし,結果的に経済原則にもかなう.


 【質問】
 「パトリオット」って,どのくらい敵ミサイルを阻止できるの?

 【回答】
 湾岸戦争のパトリオットの実績について見ると…….

 湾岸戦争で使われたパトリオットは全て近接信管のPAC2.
 迎撃対象のスカッド(アル・フセイン)は射程600kmで再突入時の速度は時速7000k.
 スカッドの発射総数は88発.このうち38発が軌道を外れたり自壊したりで迎撃対象にならず(おいおい).
 さらに,バーレーンに発射された3発は,パトリオットが配備されていなかったので迎撃不能.
 残る47発のスカッドに対し,発射されたパトリオットは158発.(スカッド1発に対し平均3.36発)
 陸軍の報告によれば,
「高い信頼性を持って弾頭を破壊した」のが10発.
「不完全に弾頭を破壊した」のが14発.
「落下コース」を逸らした」のが21発.
 よって”任務阻止率”は96%だが,発射数で割れば確率は3分の1になってしまう.

 ちなみに,スカッドは本体を切り離さないのでマトがでかい.
 よって弾頭を潰しても本体が落っこちてきて被害を出す.
 さらにいえば,パトリオットの破片も落ちてきて被害を出す.
 もともと命中精度の悪いスカッドだから,純粋に物理的被害を極小化するんだったら,ほっといた方がよかったんじゃないかという話が出る.

 あと,SM-3の実験における迎撃成功率は83%(6回中5回成功).ただしいろいろ留保がつくので一概に信頼はできない.

 以上,ソースは「湾岸戦争データファイル」からでした!

軍事板,2005/10/29(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 地対空ミサイルを戦闘機に積み込んで空対空ミサイルとして使えるんですか?

 【回答】
 種類によってはやってできないことはないものもあるが,どこかに無理が出る.

 地対空や艦対空だと発射母体は逃げようが無いので終端まで発射母体からの指令誘導で追尾するものもあるし,空対空より遥かに大型のものもある.

 あと,ある程度の高さと最初から速度がついてる(空対空)ってのと,ゼロMのゼロキロから加速しなきゃいけない(地対空)ってのもけっこう大きい差.
 同じミサイルなのに射程が半分以下になってたりする.

 実際に,かつてイラン空軍が,フェニックスAAMが使用不可能になった代替として,F-14トムキャットにホークSAMを搭載しようとした事がある.
 当時イランは,ホークSAMをアメリカ以外の国,具体的には,イスラエル,ギリシャ,台湾,韓国から買う事も出来たので.
 実際に空中テストまで行ったが,誘導の面でやはり無理が有ったらしく,実戦配備には至らなかった.


 【質問】
 頭の隅に引っかかっていたまま,答えが出てこないので,ご教授願います.

----
旅客機にミサイル回避装置=乗客搭乗機で今春試験-米国土安保省(時事通信社)

 【ワシントン4日時事】米紙USAトゥデーによると,国土安全保障省は4日までに,携行式の地対空ミサイルによるテロから航空機を守るために今春,一部の民間旅客機にミサイル回避装置を搭載し,性能や維持費を調べる試験を行うことを決めた.
 航空機会社の協力を得て,ニューヨークとカリフォルニアなどを結ぶ路線で,計3機のボーイング767型機にミサイルの接近を感知するセンサーとミサイルの進行方向を変更させる装置を設置.
 地上からはミサイル発射を模したレーザーを照射する.
 試験は乗客が搭乗した状態で行われる.
 携行式のミサイルは赤外線センサーで誘導され,熱源の航空機エンジンなどを追尾する.
 米空軍関係者は「熱源が大きく,速度が遅い旅客機は格好の標的になる恐れがある」と指摘している. 
[時事通信社]
----

とのこと.

 真っ先に思い浮かんだのが

----
民間旅客機に戦闘機並みの防御能力を,ノースロップ・グラマンの「ガーディアン」 - Technobahn

 【Technobahn 2007/1/19 18:31】写真は米国土安全保障省がテロリストによる民間旅客機に対する攻撃を予防する手段として,民間旅客機への搭載を検討していることが明らかになった.
 ノースロップ・グラマン社の地対空ミサイル防御用装置「ガーディアン」(灰色のボートのような形状の部分)の取り付け作業を写したもの.
 ガーディアンは機体に接近する飛行体をレーザー装置で捕捉.ミサイルと確認された場合には妨害電波を照射することでミサイルの接近を妨げる.
 米国土安全保障省ではマクダネル・ダグラス社のMD-10旅客機にこのガーディアンを搭載し,2008年3月までに実用性の検証を行う方針だ.
----

ですが,あの「Technobahn」ですし(大汗).
 比較的信頼できる物として
米旅客機にミサイル防衛システム導入を検討 | WIRED VISION
がありますが,これまでの推移と現在の状況,及びKC-135やVIP機,E-767初め各種民間機転用軍用機・民間機への展開状況含め,ご存じの方.ご教授くだされば幸いです.

 昔,エルアルへのミサイル発射事件もありましたが,真相はぐだぐだになったように記憶しております.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 【回答】
>ガーディアンは機体に接近する飛行体をレーザー装置で捕捉.
>ミサイルと確認された場合には妨害電波を照射することでミサイルの接近を妨げる.

 ちーがーうー.

 この手の SAM 対策機材,いわゆる DIRCM では,ミサイルの排気炎に含まれる紫外線,あるいは赤外線を使って飛来を検知します.
 主として脅威として想定しているのは携帯式 SAM (MANPADS) ですが,みんな赤外線シーカーを使っていますから,そのシーカーにレーザーを浴びせて狂わせる仕組みです.

 IR 誘導の SAM に妨害電波を浴びせて,どうやってミサイルをだまくらかすのかと… デクノバーン

 米空軍の大型機では以前から,VC-25 あたりを皮切りにして,エンジン・パイロンの後ろ側に赤外線ジャマーを付けている例がありますね.
 ヘリコプターの場合にはエンジンが上に載っているので,赤外線ジャマーも胴体上面につきます.

 フレアだと,カートリッジが尽きたら「もはやこれまで」ですが,レーザーを浴びせる方式の方が,そういう意味では有利です.

 このほか,地上に設置して同じ要領で赤外線シーカーを狂わせる機材もあって,GD が開発しています.
 C-MANPADS とか DIRCM とか LAIRCM とか,そんなキーワードで検索すると,いろいろ出てくると思いますよ.
例 : http://www.globalsecurity.org/security/systems/c-manpads.htm

井上@Kojii.net in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 参考テケスト:
http://www.mod.go.jp/trdi/infomation/happyou/yousi/P1-5.pdf
http://www.mod.go.jp/trdi/infomation/happyou/genkou/tokubetsu/s1-4.pdf

 技本DIRCMはエアボスと同じタレット方式で,市ヶ谷に展示されてた実寸モックは結構小さかった,というかテーブルの上に載るサイズだった.
 ヘリ搭載用だから大きくても困るけど.

 しかし,C-2を民間に売り込むのに自己防御システムは外さない方が良いんだろうか.

 ハ,_,ハ
,:' ´∀` ';  <民間初MANPADSテロ完全対応の輸送機はいかがもさ?
ミ,;:.   ,ッ  ノノ
 ゙"'''''"゙

メッサー=ハルゼー in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問 kérdés】
 SM-6スタンダードミサイルについて教えてください.

 【回答 válasz】

 2014年に,米海軍駆逐艦USS John Paul Jones (DDG 53)がAQM-37超音速ドローンをSM-6スタンダード艦対空ミサイルで迎撃する実験に成功しました.
 これにより超音速艦対空ミサイルの迎撃も可能になりました.

SM-6 successfully intercepts supersonic target - WSJ.com

SM-6:Aerospace

 SM-6はSM-2Block4にAMRAAMのアクティブ・レーダー・シーガを搭載したもので,SM-2の後継機種とされています.
 当然SM-2を導入している海自にとっても,将来は後継機種なるだけに注目される艦対空誘導弾です.
 射程は370km以上で超音速の飛翔体だけでなく,巡航ミサイルの迎撃も主な任務とされています.
 これにより,AWACSやAEWで索敵した巡航ミサイルは戦闘機からだけでなく,イージス駆逐艦(護衛艦)からも迎撃が可能になります.

 そうなれば,戦闘機部隊だけにしか出来なかった巡航ミサイルの遠方からの迎撃は,イージス駆逐艦からも可能になり,戦闘機部隊の負担軽減にも繋がります.
 以前提案した,F-15にウェポンポットを搭載する必要性もなくなるかも知れません.
 既存の戦闘機(F-15,F-16,F-2,F-35)にSM-6が加われば米海軍や米空軍だけでなく,航空自衛隊と海上自衛隊だけでA2AD(接近阻止・領域拒否)の手段としての巡航ミサイルの飽和攻撃も完全に無力化する事が出来るでしょう.
 防衛省はイージス護衛艦を増備する方針で,F-35も追加発注も検討されており,F-15Jの改修も進められるので,DH-10などの巡航ミサイルの飽和攻撃は脅威ですら無くなるのは確かです.

ねらっずーり in mixi, 2014年07月21日
青文字:加筆改修部分


目次へ

「兵器別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ