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◆◆◆◆防衛費削減論議 Vitát a védelmi költségek csökkentéséről
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東亜 目次


 【link】

「Togetter」◆「任意規格品」の使用は本当にコストを押し下げた?

「週刊オブイェクト」:事業仕分け人・金田康正教授「カラシニコフは1丁30ドルで買えるとインターネットに書いてあった」←何処の手抜き学生さん?

「週刊オブイェクト」:民主党政権の防衛予算を問う

「週刊オブイェクト」:良く知らない分野で知ったかぶりをする人間の大失敗

「ニコニコ動画」:「備品,被服,銃器類・弾薬のコスト」仕分けにおける金田教授の発言


 【質問】
 なんで自衛隊の武器調達費はあんなに高いんですか?
 89式自動小銃は一丁24,5万円すると聞いたことあるし.
 それに,調達数が少ないのはなぜですか?

 【回答】
 国産装備は自衛隊以外は購入するわけでなく,少量生産のため,割高になります.
 国内企業間の競争もほとんどないわけで...
 その結果,割高になり,少数しか導入できず,さらに割高に,という悪循環となっています.

 言ってはなんだが64式は兎も角,89式は基本的にオーソドックスな構成の,量産性を考慮した至極普通の5.56mm小銃だ.別段職人芸が必要なわけでもないし,隊員からも扱いやすいと好評.
 これがなぜ高いかと言えば,年間3000挺程度の発注数で,尚且つ単年度会計方式であるために,纏まって発注できないからに過ぎない.
 多分M-16を輸入することになっても,こんな形で購入していたら,アリアドネ〔出版社〕なんかが主張する価格の数倍に跳ね上がるだろうね.
 3000丁/年より15000丁/5年の方が安く済むし.

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 小川和久さんてマトモな評論家だと思ってましたが……

http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/01257/contents/414.htm
イージス艦と九〇式戦車に象徴される自衛隊の“高級兵器症候群”は,日本には高い次元の国家戦略はおろか,運用戦略としての防衛構想すら存在しないことで生じた疾病,といって構わないだろう.

 ホントなんですかね?,コレ.
 ま,書かれた時期が90年じゃな,とも思いましたが.

kitamoto in 「軍事板常見問題 mixi別館」

 【回答】
 小川さんは戦略レベルならともかく,兵器レベルだと頓珍漢なことをよく言っていますよ.
 たとえば「日本の戦争力」(アスコム)でも,「対地攻撃型パトリオットで北朝鮮の砲兵は一瞬で全滅だ」とか奇妙なことを書いていますし.
 対地攻撃型パトリオットの計画自体はありましたが,ナイキの対地型と同じ様に小型の弾道ミサイルですから命中精度は低いですし,新規開発の短距離弾道弾(ATACMS)が先に出来たので開発する必要が無くなりました.

JSF

 90式は別に高いわけじゃない,もっと高い戦車も普通に存在してる.
 イージス艦は確かに馬鹿高いが,その値段に見合った圧倒的性能を保持してる.
 つか90式なんて,対ソ用に開発された思いっきり防衛思想丸出しな戦車じゃないか.

竹輪

 うーむ… 日本の軍事評論家は
「90式は高いし重くて役立たず」
「イージスは高すぎでこれまた役立たず」
「イギリスみたいに軽空母を」
っていう持論が無いと相手にされなかったんでしょうか(笑)

 まぁ,15年以上前ですから,ある程度の齟齬があるとはいえ,こりゃひどい(笑)

ちくお

 まぁ本人が書いたのと,違った意図に編集されるのはよくある事で,そういう可能性はありますな.

提督

 コストに関してのみ言えば,擁護できないことも無いんですよね.

 90式は当時,量産開始が始まったばかりで,ほんとに高価でした.
 でも,レオ2は量産開始から10年近くたっており,コストが下がっていたのは事実です.
 生産数も,たしか,1000両超えてなかったか? それだけ作れば,そりゃ安くなるのも当たり前.

 まあ,擁護しきれない点も多々あるんですけど.

極東の名無し三等兵

 戦車に関しては,74式が数の上での主力にとどまり,TK-Xで更新されるので,小川氏の意見はある程度実現されていますね.
 そういう意味では先読みに成功しているかもしれません.

 あと,90式のコストに関してですが,1台あたりの調達価格とは別に,技本など官での開発コストがかかっていると思うんですよ.90式の価格問題に関しては,
 そのあたりも含めて議論していくことが必要ですね.
(もちろん,90式との比較対象である外国製戦車を日本向けにローカライズする場合もまた,様々な付帯コストがかかるとは思います.)
 納税者としては,税金の使い道はなるべくクリアになってほしいですし.

 でも空中巡洋艦や恒久運用する商船空母は無いと思います…燃えるけど.
 これら新兵器の導入に関しては,企画・開発・製造・運用の全サイクルを自分持ちでやるリスクとコストがあるし,導入後のMD対応などの拡張に関してもやはり自分持ちでやらなきゃいけないわけです.
 そう考えると,イージスはかなり優位性を持っているという気がします.
 小川氏も小説家同様,需要を喚起するために,あえて興味をひきやすい,火葬気味の燃える話を投入する必要があるのかなぁ…

 一般企業での経営企画にあたるような,防衛構想に関して対米依存がひどいとか,立案能力が無いという批判は,太田述正氏の持論にも有る意味通じる部分がありますね.
 面白いテーマだとは思うのですが,論じるのは大変難しいですなぁ…面倒だから対米依存でいいやというのはダメですか.

Zep_K

 対米依存っていうけれど,現実問題として日米安保体制が最善の選択肢と考えられる以上,米軍との相互運用性は大事ですしね.ハードの面でもソフトの面でも.
 つまりは "all or nothing" にならないで,是々非々で判断できれば OK というのが,無難な落としどころなんじゃないでしょうか.
 「長距離爆撃機が欲しい」とか「空母が欲しい」とか「核兵器が欲しい」とかいう類の極端に走らなければ…

 外国にいい製品があって,支障が少なければそれを買う.
 適当な製品がなくて,開発力があってコスト面でも許容範囲なら自前で作る.
 手持ちの要素技術があって,でも全部を自前で作るのが難しければ共同開発に参画する.てな具合でいいのでは.

井上@Kojii.net

 対米依存が果たして長期的にも正しいかどうかは,我々含めた日本のあり方(戦略)の問題にも成りますので,私には自信がありません.
 しかし,私自身は,情勢に合わせ変革させつつも,少なくとも中短期的には日米安保体制が最善の選択肢と考えます.

 要は井上@Kojii.netさんの仰るとおり,是々非々で判断できれば OK ではないでしょうか.
 中の人と話していても,少なくともそれだけのバランス感覚はあると考えます.
 また,昨今の情勢を踏まえ,少なくとも冷戦終結から(特に近年は顕著)は柔軟になってきた(ならざるを得なかった)とも感じます.
 ぶっちゃけ,軍ヲタとしてはつまらなくとも,納税者としては,コストパフォーマンスに優れた合理的な戦略を立て,実行していただければいいのであって.

 一例となりますが,装備品についても,規模としては小さいながらも,ある航空機(残念ながらF-Xにあらず)を巡る攻防など聞くかぎり,柔軟性はある程度以上機能している,と判断できます.
 また,今後どうあるか,大物ではF-Xや次期戦車などの動きが,細かいところでは部隊の再編(任務含め)などが注目されるところです.

 以上,ご参考まで.

へぼ担当

 ちなみに2ch.軍事板の小川スレをご本人も覗いているらしいので,そこで問いかけてみるのも一手かと.

消印所沢

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より


 【質問】

――――――
●89式小銃(日本)34万7,000円
○M-16A2(アメリカ)4万円
●AH-1Sコブラ攻撃ヘリ(日本)48億6,600万円
○AH-1Fコブラ攻撃ヘリ(アメリカ)15億円
●90式戦車(日本)9億1,000万円
○M1-A1戦車(アメリカ)4億円
●F2支援戦闘機(日本)118億9,000万円
○F-16C/D戦闘機(アメリカ)50億円
●F-15戦闘機(日本)120億円
○F-15戦闘機(アメリカ)80億円
●エアクッション型揚陸艇LCAC1(日本)66億円
○エアクッション型揚陸艇LCAC91(アメリカ)20億円

こんなに怪しい自衛隊・防衛省の軍事利権―『週刊朝日』11月30日号より
――――――

 この日本の値段は妥当なんでしょうか?

 【回答】
 基本的に数字のマジック.

・装備の購入数の桁が1つ2つ違う.おまけに輸出までしてるし量産効果は大きい.
・開発元とライセンス生産では値段が違って当たり前.
・10年・20年前の開発当時の(モデルの)値段と現用機を混同している.

 その手の比較に付いて,一部の輸入品は,資料が見つからなかったのか,それともわざとなのか,
「兵器本体と整備・関連機材・スペア部品等フルセット」(日本)
「兵器単体での購入価格」(外国)
で並べられて日本は異常に高い!とか述べているのも少なくなかったりする.

 また,一般的に言って,小銃や戦車については調達数の問題が大きいから,単純に比較できない.
 一点物のフィギュアと量産で価格が二桁違うのは当たり前,みたいなもん.
 F2も同じ事だね.

 輸入物については,日本だけでなく,他国でも似たような値段が付いてたりする.
 形式が違う物の価格を列べるのはナンセンスだし(AH-1SとAH-1Fとか),日本で運用するためにアレンジする(国産のミサイルを運用可能にするとか)のにも,バカにならない手間と費用がかかる.

 もちろん,商社やメーカーは利潤を取る.
 慈善事業じゃないんだから.
 米軍納入価格は,開発段階からぽちぽち利潤をもらい,さらに納品でもらうので,ある程度分散されて抑えられる.
 輸出用はその取引単体で利潤を上げるから,マージン大きいのは当然.

 また,兵器輸出価格の場合,スペア部品どころか,ミサイルや爆弾などの兵装,予備エンジンから,場合によってはシミュレーターからパイロットの教育費用まで込みになってることがある.

 一方,FASやグロセキュに掲載されている 「Unit cost」,米軍納入価格は本当にその単体を,納入するだけに限った価格が普通.

 あと,F-15とかライセンス生産品は,メーカーへのライセンス使用料が価格に上乗せされているし,F-2なんかは半分日本で開発したから開発費が上乗せされている.
 小銃とかになると,人件費や材料調達費と,さらに物価の違いも如実に絡んでくるから,数字の上での印象ほどには,実際の差は対して無かったり
(同じものを日本でライセンスしたら,やはり値段は高くなったり)

 数字づらだけ捉えて「おかしい」とか単純に言うことはできない.価格の詳細を見て不当な項目がないかどうかを判断するしかない.

 そもそもその米軍価格,為替レートいくらで計算してるのよってのもあるね.
 1ドル100円か120円かで1.2倍も差があるし.
 異なる時代であれば,通貨の価値の違いも加味して比較しないと意味がない.

(わかった上で,違いが出るように数字を選択し,操作する,という手もある)

軍事板
青文字:加筆改修部分

▼ ちなみに,「自衛隊の装備はバカ高」論者の脳内では,どんどん価格が釣りあがる傾向があって,たとえば林信吾著『防衛黒書』(ちくま文庫,2008.9),p.215では,

>一九八〇年からはF15の調達が始まったが,これもライセンス生産である.
>輸入より高くつくため,一機一五〇億円ほどにもなる.

と,上記週刊誌記事よりさらに30億円高くなっている.
 もちろん論拠が書かれているわけでもない.▲


 【質問】
 すいません,
「自衛隊の武器をとっても,わざわざバカ高いアメリカ製を買っている.
 物によってはロシア製の方が安いし,性能もいい」
 これについて,効果的な反論をご教授いただきたく.

赤の9番,2010年03月06日 12:49

 【回答】
 どこで誰に言われているのかな?
 相手次第で何が適切か変わるので.

Cpt.hige,2010年03月06日 13:17

 某フィギュアスケートスレです.
 頭がお花畑な人多いですが,他の人向けにきちんと否定しておきたいと思ったので.
 ・・・単にいじりたいって悪癖だったりもします.

赤の9番,2010年03月06日 13:38

 整備体系・運用基準がまるで違うので,ロシア製兵器を導入したら余計コストがかかる.
 こんなところでしょうか.

バルセロニスタの一人,2010年03月06日 13:22

 具体的にどの兵器について,ロシア製がいいのか示してくれないと,答えようがねえっす.
 AK-47信者の発言だったりしたら…….

 まあ,汎用的に使えそうな反論は,上記に加えて,
「ロシア製兵器なんてガンガン中国や北朝鮮に輸出されてるけど,彼らに自衛隊の使ってる兵器の長所も短所も丸判り状態になってもいいの?」

 こんなとこかなー.

唯野,2010年03月06日 13:32

 そりゃ,ものによります.
 でも,安いからって特定の兵器だけロシア製にして,他はアメリカ製に,とかは出来ないんですが.

 あと,ロシア製の兵器だけで揃えた方が安くて強いなら,なんで旧東側諸国や中東で,ロシア製兵器からアメリカ製兵器への転換が始まってるのか説明が付きません.

 ポーランド空軍はロシア製MiG-29戦闘機を止めて,アメリカ製F-16戦闘機に入れ替えてるし,エジプトはソ連製T-62戦車を止めて,アメリカ製M1エイブラムス戦車に入れ替えてしまってます.

JSF,2010年03月06日 13:36

>AK-47信者の発言だったりしたら…….

 AN-94アバカンの存在を教えてやれば黙りますよ,そういう輩は.
 AN-94も高過ぎて,ロシア全軍配備はもう諦めてますけどね.

JSF,2010年03月06日 13:38

 先ず政治的にロシア兵器の導入は出来ない,で終了.
 一部だけロシア兵器にしても,整備体制が整わないので意味無し.
 韓国軍のT-80Uがお荷物と化している現状を示して終了.
韓国軍:ロシア製兵器は無用の長物!?(上) | Chosun Online | 朝鮮日報

JSF,2010年03月06日 13:42

 イラクに売られた,安いロシア製戦車のお話をしてあげると良いかも.

遠吠えすいぬ,2010年03月06日 14:13

 ドイツのMiG29もたまには思い出してあげて下さい・・・.

 そういや,旧東ドイツ軍の戦闘車両を,トルコが買い取ったなんて話がありましたな.
 クルド人ゲリラ掃討に使用されたから,ドイツ議会で問題になったけど.

バルセロニスタの一人,2010年03月06日 16:38

陸自 T-72
海自 ソヴレメンヌイ級駆逐艦
空自 フランカー

 是非配備して下さい!!!(コラ)

島の人,2010年03月06日 14:37

上記訂正

×海自 ソヴレメンヌイ級駆逐艦
○海自:タイフーン型原潜

×空自 フランカー
○空自:T-50(PAK FA)

 趣味限定で考えるなら,こうでしょう.

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「自衛隊の兵器が高いのは,商社を通すから」という書き込み見たのですが,商社を切ることは出来ないのでしょうか?

 【回答】
 理想論はともかくとして,それをやるためには,自衛隊・防衛省に,商社としての情報収集やメーカーとの折衝の機能を持たせなければいけないわけで,それはなかなか難しいことなわけです.
 兵器輸入は「これ頂戴.おいくら?」じゃすまない.
 購入して以降のサービスやら細かい部品の輸入やら,全部やらなきゃならなくなります.
 自前で,外国語がしゃべれて交渉に長けた人材をそろえようと思ったら,結構なお金がかかります.
 素人交渉では,高くふっかけられるだけ.

 また,商社を使えば,商社間の競争も期待できます.
 癒着などの腐敗に関しても,自前でそろえた交渉部門が腐敗するより,色々な意味でマシ.

 つまり,「商社を透すから自衛隊の兵器が高い」という書き込み自体が嘘っぱち.

 本気でやる気になったら,「自衛隊自身による輸入」は不可能ではないとは思います.
 ただし,そのためには部門の拡充や情報やノウハウの蓄積が必要で,一朝一夕に商社抜きで全部できるようになるような話じゃないし,当然費用もそれなりに必要でしょう.
 確か英国なんかが,直接取引を結構やってたはずですが,調達部門で数千人とかだった記憶があります.
 下手にやったら高コストになるだけですね.

 それにそこまでやったところで,そんなに多くの機種を輸入するわけでもなく,費用対効果もかなり疑問符がつきます.
 といわけで,目の前にある商社を使った方がてっとりばやい,と,そういうことなわけで.

軍事板,2008/11/01(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 山田洋行事件とは?

 【回答】
 この事件はいささか瓢箪からコマめいた部分がある.
 すなわち,元々はやはりバブルの後始末のさなかに発生した,中堅防衛商社の内紛劇が燃え広がった形だから.その中で当事者である企業人たちやフィクサー,そして防衛事務次官や閣僚経験者という大物にまで,捜査の手が伸びて行った.

 中堅防衛商社山田洋行は元々,家具商から身を起こし,一代で20社にのぼる企業グループを築き上げた山田正志の創業した,中核企業弥生不動産の商事部門を独立させたものだった.
 山田は会社創設と同時に,やはり軍需防衛関係商社から引き抜いてきた宮崎元伸を重用し,専務にまで昇らせていた.
 一方,本来が不動産業がメインという意識が山田にあったのか,山田洋行には正月や盆暮れなど数えるくらいしか出社しなかったようだ.
 山田グループの不動産事業としては,銀座にいくつかあるテナントビルのソワレドビル,そして埼玉,千葉などのゴルフ場があった.
 銀座5丁目から8丁目に集まるソワレドビルは,事務所やクラブ,飲食店が入っており,不肖ゆずこせうも1,2度社用で連れて行かれたクラブもあったりしたりしたり.

 防衛商社としての山田洋行は,宮崎の辣腕がモノを言って,自衛隊航空機用発動機メーカー,GE(ジェネラルエレクトリック)の代理店契約を獲得するなど,急速に業績を伸ばし,防衛庁内に人脈を広めていった.
 こういった中で,4年にわたって防衛事務次官を勤め,「天皇」とまで呼ばれた守屋武昌を筆頭にした,結びつきと癒着が出来上がった.

 一方,山田グループ全体はご他聞にもれず,バブル後の地価下落による資産価値目減りにより,多額の不良債務を抱え込むことになった.
 特に,破綻した東京相和銀行と日本債権信用銀行からの債務113億円が,整理回収機構(RCC)に渡る事になり,その返済交渉が2003年から断続して持たれた.
 メインバンク三井住友銀行を仲介としての交渉で,2004年,113億円の債務のほぼ4割を,機構側が放棄するという案で決着したが,無論条件がついた.
 すなわち,
1.山田がその保有するグループ企業の全株式を,第3者に譲渡する,
2.山田はグループのほとんど,17社の取締役を辞任する
という山田外しが前提となったのである.
 もちろんこの時点で,山田洋行はじめ各社の経営陣は寝耳に水で,その後山田洋行の持っていた31億円を,特別配当金として親会社の弥生不動産に吸い上げにかかった.

 ここでかつての蜜月はどこへやら,山田対宮崎の紛争が発生することになった.
 山田保有株(9割以上)を,得体の知れぬ第三者が受領するよりはと,社内ではMBO(マネジメント バイ アウト=役員が,自社の株を買い取る)の動きが出たが,これは山田にとっては反乱に等しい.
 しかも,宮崎派はRCCとの和解時に,山田がかつて三井住友銀行の西川善文(後,日本郵政社長)の仲介で買収した,アメリカの航空用燃料ポンプメーカー アルゴテックの株式を密かに売却,その売買益149億円をRCCにも隠していたという事実をつきとめた.

 しかし,そこまでだった.
 結局オーナーの壁を突き崩せず,クーデタは頓挫した.
 敗れた宮崎らは山田を退職し,新たに日本ミライズを設立,宮崎が代表取締役に納まる.
 山田洋行の防衛人脈と商権確保のノウハウが,そのまま引っ越してきたかのような陣営であった.

 さっそく宮崎は反撃に出る.
 まず,米国GE社の山田との代理店契約を破棄させ,日本ミライズに切り替えさせた.

 山田側はそこで,起死回生の逆襲を画策する.
 それはかつての同僚,上司部下が背中を刺し合う壮絶な暗闘であり,防衛内局をゆるがせる国家的事件へと繋がっていく.

 2007年11月8日,日本ミライズ代表取締役宮崎元伸は,東京地検特捜部に逮捕された.
 容疑は,米国内における現地法人YIC(ヤマダインターナショナルコープ)の簿外にプールしていた裏金100万ドル(1億1000万円)を,国内に還流させて,日本ミライズの設立資金に流用したという業務上横領,有印私文書偽造行使であった.
 この裏金情報は,宮崎退社後に山田が就任させたヤメ検弁護士の指揮の下に,検察にリークされたものといわれている.

 しかし一方で,宮崎のガラを押さえたことで検察は,山田洋行やその他の政官界工作すべてに対して切り込む覚悟を固めてしまった.
 まず,2007年11月の参議院外交防衛委員会に証人喚問された前事務次官・守屋をターゲットに絞った.
 宮崎在職中,次期主力輸送機C-Xのエンジン選定について便宜を図るように慫慂され,多数のゴルフ接待や贈答を受けていたという容疑である.
 そしてこの接待については,守屋夫人もちゃっかり宮崎らに,フェルガモの高級靴などを要求していることが捜査で発覚,マスコミでは「おねだり妻」なぞと騒がれ,強制捜査の際に夫婦そろって逮捕されるという,みっともない目にあっている.

 しかし,逮捕に先立ち守屋は,先の証人喚問で,民主党の浅尾慶一郎の質問に,唐突にこう答えて議場にどよめきをもたらしていた.
「あのう,それでは申し上げます__ え_久間(章生)先生と__額賀(福志郎)先生ではなかった__かと思っております.」
 守屋はC-Xエンジン選定疑惑に関して,自分以外に矛先をかわすために,間接的に久間の名前をあげて,日米平和・文化交流協会の秋山直記専務理事と,その黒子だった山田洋行オーナー山田正志を刺したのである.
 それまでのらりくらりと議員の質問をかわしていた守屋が,在職中の切れ者の片鱗を見せたかのような,真相の吐露を行ったのだ.

 検察は色めきたった.
 これは宮崎ルートというよりは,山田=秋山ルートと呼ぶべきものだったからだ.
 少し掘ってみると,山田洋行の内紛によって宮崎らが会社を辞め,日本ミライズを作って,GEの日本代理店契約を手中に収めにかかっていたころであった.
 山田洋行側は秋山に,米国子会社を経由するかたちで資金を提供し,久間に影響力を行使してもらうために工作資金とした.
 この構図は結局,守屋と宮崎が釈放されたことで,急速に政界ルートへの切込みがしぼんだ後,秋山自身を脱税で摘発するという形で,火を噴いている.

 そして,山田洋行である.
 その後,同社は先の山田正志の隠し資産疑惑の焦点となったアルゴテック社から,代理店契約打ち切りと損害賠償の請求訴訟を起こされた.
 また,GEはじめ各軍需企業からは,軒並み代理店を解除され,防衛省の新規入札からも締め出され,翌2008年にはほぼ全社員が解雇通告されて,事実上休眠状態になった.
 わずかに残った防衛省との代金授受のために,わずかな人数がいるのみという.
 日本ミライズはその前年,すでに解散している.

 山田グループはリストラの影響で,ゴルフ場その他も手放し,残されたソワレトビルも,打ち続く不況の影響で空室が目立ち,テナント募集の看板が,空しさを呼び覚ますばかりである.

 山田洋行が慣行のように行っていた,防衛省への水増し請求は,しかし,今や取引停止を呼ぶレベルの悪事と捉えられている.

 竜頭蛇尾に終わった感がある防衛汚職事件は,しかし,その発端が防衛政策とはまったく無関係な私企業の内紛から広がったという点で記憶されるべきなんだろう.

参考
森功『狡猾の人』幻冬舎
社民党HPより『山田洋行の内紛を追う』
中日新聞2007年12月30日号
産経新聞他

ゆずこせう in mixi, 2012年07月19日
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 自衛隊の16万人という定数は,妥当な数字?

 【回答】
 うんにゃ.

 警察予備隊創設の際,アメリカが見込んだ要員数が32万人.
 それに対して補給部門や工兵部門等を削りに削って,当初は18万を充足定員として発足したのが警察予備隊.
 それが今は16万人.
 見込みの半分以下で,どうにかやりくりしているのが現状.

軍事報道を考えるスレッド in マスコミ板

 ちなみに小川和久は,定員数について以下のようにコメントしている.

――――――
 充足率の問題はありますが,ぎりぎりで17万人ぐらい.
 日本陸軍25万人というのが,各国の専門家との話で出てきた数字ですね.

RT @BearJP1: @kazuhisa_ogawa 〔略〕 ところで国防には陸自定員はどのくらいと踏んでおられますか?
http://twitter.com/kazuhisa_ogawa/status/13963471574011904
――――――

 この見解に従うならば,16万人という数字は,陸海空のうちの陸自の必要数にすら足りないということになる.


 【質問】
 民主党対抗予算案.昨年は発表時に防衛予算関連で,軍事板では騒ぎになりました(合言葉は「クー」)が,さて今年〔2005〕はどうでしょうか・・・・

■平成17年度 民主党予算案(PDFファイル) [民主党公式サイト]

主要経費別 政府案(億) 民主案(億) 増減要因
防衛関係費 4兆8564億 4兆3704億 人件費・事務経費等で1割削減

 【回答】
 ・・・終わった.もう救い様が無い.
 昨年も民主党は,最初に対抗予算案で防衛費5000億円削減(前年比)を打ち出したものの,民主党内で若手議員の猛反発を喰らい,1000億円削減で落ちついた経緯があります.(政府案は前年比450億円削減)

 それが今年は,5000億円削減案がそのまま通ってしまった
 ・・・つまり,民主党の若手議員は執行部に対する影響力を失いつつあるのではないか?
 もしそうであるならば,同党の未来は暗いと言わざるを得ないでしょう.

 単年で防衛予算を5000億円も削減するには,それこそ財務省片山さつき主計官の言うとおりに陸上自衛隊を4万人削減しなければとても達成できません(それでも達成不可能だった.片山案でも2000億円削減が限界)
 防衛力は崩壊します.

 単純に1割予算を削ったら戦力1割ダウン,という事にはなりません.
 財務省片山案が防衛費2000億円削減で,4万人削減,装備2~3割削減.
 すると今回の民主党案が防衛費5000億円削減なら,8万人削減,装備4~5割削減という事になります.
 5年から10年計画で戦力を整備しているというのに,いきなり今年から予算1割削減などを行えば,自転車操業している中小企業に銀行がいきなり金を貸さなくなるのと同じで,防衛力は崩壊します.

 そもそも周辺国の殆どが軍拡真っ最中だというのに,日本だけが軍縮・・・そんな事をしたら地域の軍事バランスは崩れてしまう.
 民主党は日本周辺の状況が全く見えていない.そんなに,日本を滅ぼしたいのだろうか.
 単年で5000億円削減だなんて・・・やはり,「クー」しか無い?

(週刊オブイェクト,2005/2/2)

 【関連Q&A】

 【質問】 民主党のマニフェスト「戦車削減,機甲師団廃止」はどうでしょう?

 【質問】 こんな狭い島国でしかも山がちなのに,どうして戦車なんて保有してるんでしょうか?

 【質問】 現代戦において,戦車は必要な兵器なのでしょうか?

 【質問】 今後,対戦車ミサイルがますます発達することで,戦車の優位は小さくなるのでは?

 【質問】 ストライカー旅団があれば戦車は無用なのか?


 【質問】
 自衛隊削減に反対する論拠として,周辺国の軍事予算は増えているという意見がよくありますけど ,最大の脅威だったソ連は崩壊して,ロシアは今更北海道や新潟に上陸作戦かけてくるとも思えないし,中国にしたって貧弱な海軍力を考えると,岩礁みたいな無人島の占領でさえてこずるのではないかと思います.
 それらを考えると 別に今より少なくてもいいんじゃないかとしか素人には思えないんですけど ,にも関わらず,自衛隊が人員削減に反対するのは何故なのですか?

 【回答】
 第1に,現時点でさえ足り無いから.
 人も兵器も予算も.
 自衛隊に要求されてる仕事は増えてるし.
(海上警備や災害出動や海外派遣など)
 にもかかわらず減らすってのは合理的ではない.

 というのも,
国民のオーダーが,「全部守れ」だから.
国民のオーダーが,「災害派遣」だから.
国民のオーダーが,「一部地域の確保」だけなら,いくらでも人も装備も減らせる.
国民のオーダーが,「離島なんてくれてやれ.沿岸地域の人間は死んでもいい」なら,軍備はもっと少なくてもいい.
 すべては国民の意思.
 それが,シビリアンコントロールというもの.


 第2に,軍備てのは10年単位で考えるべきもの.
 優秀な佐官を育成するには20年かかるし,将官なら30年かかる.

 今は中国の海軍力は海上自衛隊には叶わないが,将来は確実に力をつけてくる.空母を持つのも時間の問題だろう.
 空軍においても,近いうち最新鋭機を配備してくるだろうから.

 もっともロシアにしろ中国にしろ今現在,日本と戦争しても何の得もないから大丈夫だが,時代はどの様にひっくり返るかわからん.
 今は大丈夫でも,その後はどうなるかは分らない.
 満州事変から太平洋戦争まで10年ほどしか経っていない事を覚えていて欲しい.

 中国の海軍力が未来永劫貧弱なら苦労しないが,最悪の事態の場合,君が責任とれるの?

緑装薬4 ◆3lto9dDpe2(黄文字部分)他 : 軍事板,2005/02/05
青文字:加筆改修部分

955 :名無し三等兵 :05/02/05 19:16:26 ID:???

 霞ヶ関の中の人のオーダーは「離島なんてくれてやれ.沿岸地域の人間は死んでもいい」だろうな .

957 :名無し三等兵 :05/02/05 19:19:32 ID:???

 霞ヶ関の中の人のオーダーは
「予算は減らす,国際貢献は増やせ,離島防衛は当然,MDもやれ」
「できない? そんな奴はいらないので人件費減らすぞ」

959 :緑装薬4 ◆3lto9dDpe2 :05/02/05 19:51:19 ID:loTCkSn

 まったくそのとおりだな.
 10億円の戦車より,年間1億2千万の普通科1個小隊を選択し
 10億円の戦車を削れたら,次は年間1億2千万の普通科1個小隊を削る.

 ま,財務省の仕事は「とにかく支出を減らす」ことだからな(笑)

軍事板,2005/02/05
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
 同じ生活水準,思想の自由,信仰の自由,民族不差別が現状,冒されそうな国際情勢にない.
 当面,心配しなくていいんじゃないですか.
 必要になったら,そのとき考えればいい.
 幸い,りっぱな自衛隊という組織があるんだから,もっと低空飛行で維持し,必要になったらお金をかければよい.

 【事実】
 貴殿の認識不足である.
 国内の報道機関を通じたニュースではなく,現地の報道機関のニュースを収集する事をお勧めする.
 近隣諸国がいかに政治的・経済的に不安定な状況にあるか認識すべきであろう.

 また,防衛システムは1年2年で機能する物ではない.
 装備・補給・練度・情報.これらのものを常時維持することが防衛の基本である.

「必要になったら,そのとき考えればいい」という思想で,過去,一体どれだけの国家が滅亡したかご存じのはず.
 有事に慌てても遅いのである.

(追加@海)


 【珍説】
 国防も,税金の範囲内でできることをやってくれれば十分.
 現在以上にお金をかけてがんばらなくてもいいです.

 【事実】
 国防予算はGNP1%以内というのが今は通例ですよ.
 先進国で日本と同じぐらいのほかの国々との比較では,日本の国防予算ののパーセンテージはぜんぜん高くないのが実態です.
 相手が日本を攻撃しようなどという意図をだかせないよう外交努力したり,世界の他の国々から日本攻撃は不当との意見を引き出したり,相手軍備に対抗するこちらの軍備を整備するなどの総合的努力によって,日本の安全と国民の生命財産を守るのが必要でしょ.
 そのうちの「相手軍備に対抗するこちらの軍備の整備」の部分だけを弱めていいという論法はまやかしだよ.
 反戦平和の努力は絶対必要だけど,単なる軍備廃止弱小化とは趣を異とすることを知らないの?

(軍事板)


 【質問】
 GNP比で他国と比較すると低いから,軍事力を増大させるの?
 経済力で持つべき必要な軍事力を考えるの?
 それとも,仮想敵国と互角にやり合うために,他国の何倍のGNP比が必要と考えてるの?

 【回答】
 我が国を防衛できる能力・他国に対する抑止力を持てれば十分である.
 国家が政治的・軍事的に安定することは経済の安定にもつながる.
 それは現状維持+?,ただし他国より低いGNP比の防衛費で十分可能である.
(装備は日進月歩で技術革新が進んでおり,常に更新する必要がある.
 これが貴殿には軍事費の増大と映っているのかもしれぬが.
 将兵の人件費だけでは防衛力は維持できないのである.)

 国家財政が赤字だからといって,財政のしわ寄せを防衛費のみに求める事は間違いである.
 防衛費が削減されれば極東の軍事バランスを崩す事にもなる.
 そうなればアジアの政治的・軍事的安定性が失われることになり,経済はさらに悪化していくだろう.

 第一,現在の財政赤字を作り出した直接の原因は,防衛費による財政圧迫ではない.

(追加@海@帰省中)


 【質問】
 戦後60年以上経ってるけどその間に日本に攻撃しかけてきた国があったのかよ?
 俺が知ってる限り,一度も攻撃されたことは無い.
 つまり攻撃されることが無いのに国防費は必要ないだろ?

 国防っていうのは攻撃されたときに初めて役に立つ費用だよな?
 だからそんな無駄なことにお金をかける位なら,貧しい発展途上の国々のために使った方がいいだろ?
 その方が感謝されるし,日本の国益になる.

 【回答】
 戦後60年近く経ってるけど,その間にアメリカや旧ソ連・ロシアに攻撃しかけてきた国ってあるの?
 少なくとも俺の知ってる限り,正面きって仕掛けてきた国はない.
 なぜなら保有している戦力が,正面から戦争を仕掛けることの出来ない脅し,つまり抑止力として機能しているからだ.
 国防というのは「攻撃されない」ために始めて役立つ機能であり,それは孫子を始めとした古代の兵法書にすら記述されている.

 自分の国の国防を割いてまで,発展途上の国々のために使ったところで,それを有益に結ぶつけることが出来なければ,まったくもって無駄な金使いだな.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
>主計局は,冷戦終結以降,世界各国で進む兵力や戦力の削減を示すデータを作成.
>極東地域のロシア軍が一九九〇年代以降,戦力規模を縮小したことや,
>英国,ドイツの防衛力見直しについてデータをそろえた.
http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/danmen/danmen2004/0831.html

 冷戦も終わった事だし,自衛隊も削減したって良いと思うんだけど・・・

 【回答】
 欧州の状況と極東の状況はまるで違います.
 英仏独の兵力削減を日本に当て嵌める事は見当違いも甚だしい.

 いいですか,欧州はソ連の脅威が去り,東欧諸国はロシアを見捨て西欧の味方となりました.
 この結果,冷戦時代は東西ドイツ国境が最前線だったのに対し,今はバルト三国・ポーランドとベラルーシの境目辺りが最前線となっています.
 前線が800km近く東へ移動したのです.

 これはドイツにとって,800kmもの戦略的縦深陣を確保したという事になります.
 冷戦時代にNATOの盾であったドイツは,ようやく自らの盾を手に入れました.
 彼らには平和の配当を受け取る権利がある.

 それに対し極東はどうです?
 冷戦が終わったけれど,別に日本の盾になるような国が出来たわけではない.
 そして中国と北朝鮮は未だに健在であり,共産主義国は目の前に存在し続けている.

 そして将来の火種である朝鮮半島問題と台湾海峡問題はなんら片付いていない―――
 そう,極東は世界有数の火薬庫であることを知るべきだ.

「週刊オブイェクト」,2004年11月28日



 【質問】
 西方重視にしても,中国や北朝鮮は往年のソ連軍ほど強くないし,冷戦型の装備は見直されるべきだと思うけど?

 【回答】
 中国は経済発展を続けている上に.成長率を上回る防衛予算の伸び率を記録している.

 また,中国海軍の原子力潜水艦による日本領海侵犯事件を見れば分かるように,中国人民解放軍の挑発行為は往年のソビエト連邦軍と何ら変わらない.
 これは東アジアに冷戦構造が残っている事をハッキリと示す証左だ,
 ならば自衛隊は冷戦に備えねばならない.

「週刊オブイェクト」,2004年11月28日


 【質問】
 中国や北朝鮮から見れば,軍事大国アメリカが隣国・日本に軍隊を置いている現状は,とても〝軍事バランスが取れている〟とは思えないんじゃないの?

 【回答】
 極東に展開しているアメリカ軍の戦力は,アメリカ軍の全力ではありませんが.

 それと,現在いったい何の為に韓国にアメリカ軍が駐留しているか,理解できませんか?
 昔,韓国からアメリカ軍が撤退した後,北朝鮮軍が侵攻してきましたよね.
 朝鮮戦争です.
 アメリカ軍が出ていったら,北朝鮮に攻め込まれたという実績があるからです.
 50年前,軍事的空白の隙を突いて北朝鮮が攻めてきた歴史的事実を,貴方はなんだと思っていらっしゃるのですか?

 日本は核兵器を保有していない以上,アメリカの核の傘に入らないと軍事バランスが保てません.
 また,通常兵力においても単独での国防は出来ない為にアメリカとの同盟で駐留軍を招いています.
 アメリカを外した場合どうなるかは,上述した朝鮮戦争の例を見れば分かる事です.

 そしてもう一度言いますが,極東に展開しているアメリカ軍の戦力は,アメリカ軍のごく一部です.
 アメリカは冷戦時代・・・いえ,第2次世界大戦から2正面作戦を展開してきました.常に戦力を割いているのです.

JSF in mixi


 【質問】
 出来る限りの備えをしておくんだったら,米軍に勝てるだけの軍事力も必要な訳だが.
 予算上無理なのは明白だ.それなら経済力と外交力の強化を優先すべきだろう

 【回答】
 極論に走るな.
 常識的に近隣諸国に対してだろう.

 それに今,アメリカは敵じゃない.
 何のためにアメリカと同盟結んでると思ってんのさ.
 味方につけるだけでなく,敵に回さないって意味でもあるんだぞ.
 なんでもかんでも敵に回すのは,愚か者のする事.
 敵ぐらい選べ.

 それに,江畑さんが言ってなかったかなぁ?
 外交力は相手に交渉のテーブルにつかず,実力行使で来ようものならそれ相応の被害は覚悟しろよ,と言えるだけの軍事力が後ろ盾としてあってこそ,外交力があるって.

軍事板


 【質問】
 パワーポリティクスから脱却出来ないから古い頭だと批判されるんだよ.
 それだと相手に脅威を与える必要があるため,常に警戒心を煽る事となる.
 それに頼らずカバーするのが政治家の仕事である外交だろ?

 【回答】
 その言葉を中国共産党政府に言えよ.
 軍事行動を外交の一手段とし,軍事力を紛争の抑止力として外交交渉をするなんて,目に見えないだけで外交の場ではよくあること.
 パワーポリティクスを今更否定したって始まらない.
 冷戦時代目に見えていた力のぶつかり合いが,水面下に潜っただけのこと.

軍事板

 ちなみに昨今では,ハリケーン被害への支援を断り続けてきたミャンマー政府に対し,武力での「人道介入」をちらつかせることにより,支援受け入れをしぶしぶ認めさせたという,パワー・ポリティクスの実践例がある.


 【珍説】
 軍備はお金もかかるので,そこそこにおつきあい程度で持つのが一番です.足らない位がいい.
 どうせ,完璧な軍備なんてできないのだから,お金がもったいない.

 【事実】
 可能性を捨てる事は人として愚かである.

 完璧な軍備を日本は目指しているの? そうじゃないでしょ.

(追加@海)


 【質問】
 そもそも,どこの国が日本に攻めてくるの?
 可能性が0.01%でも備えるべきであるならば,いくらあっても軍事力なんて足りないんじゃないの?

 【回答】
 可能性ではなく,相手の能力に対応して整備するものが軍事力なのですが.

 そして,北朝鮮はどうみたって敵国で,中国とも尖閣諸島で敵対している状況で,貴方は0.01%程度(ごく少ない可能性という意味で言っているのだと解釈します)だと評価しているわけですか?
 現実的脅威,なのですよ.
 北朝鮮のスパイ船を沈めたのはたったの4年前です.
 中国の原潜が領海侵犯したのは昨年の話です.
 ちなみに国際的には,潜水艦が潜航したまま他国領海に入った場合,戦闘行動と見なされます.

JSF in mixi

 現実的な問題として,どこの国にも経済的,政治的制約は付き物なので,それらを考慮に入れた後に一定の妥協点を見つけ出す事になります.
 すべてはどの国,どの集団が自国にどれだけの脅威を及ぼしているかです.
 ちなみにこのような想定と対処をアメリカが怠った結果が,9.11を招いたと言えるでしょう.

いっくん in mixi


 【質問】
 軍事力を増せば脅威はなくなるの?

 【回答】
 なくなりはしません.
 対抗できる,と言った筈です.
 少なくとも攻め込まれる危険は減ります.

 しかし,周辺国が軍拡をしているのに,一国だけ軍縮を続ければ,いずれ軍事バランスが崩れ出します.
 今まで拮抗していた力関係が壊れた場合,戦争が始まる危険は急速に高まります.

 皆で軍事力を増やした場合,力関係は変わりません.
 戦争が起こる可能性はそのままです.
 しかし軍事費を増やし続ければ,体力のない国から先に崩壊を始めます.
 戦争が起こらずとも敗れる国が出てきます.

 大抵の場合はそうなる前に皆で軍縮を行います.
 軍拡は何時までも続けられるものではないのです.
 これまでの歴史がそれを示しています.
 多国間軍縮協定とは全て軍拡競争の果てに結ばれた妥協の産物なのです.

 問題は現在の東アジアは,日本以外誰も軍縮をする気が無いと言う事です.

JSF in mixi


 【質問】
 軍事力が大きければ,本当に脅威は減るのでしょうか?
 安心して住むことのできる国というのは,軍事費を増やすことではつくれない,と私は思うんですけど.
 〔略〕
 アメリカと同盟関係にあり,アフガニスタン,イラクとくっついて行ってるイギリスは,2000年,アフガニスタン戦争以前には約400億ドルだったのが,2004年は約480億ドル.
 防衛費は増えているし,テロの脅威は増している….
 日本も,アメリカと適度な距離をおかないと,イギリス同様に引きずり込まれるのではないでしょうか?

トリトン in mixi

 【回答】
>安心して住むことのできる国というのは,軍事費を増やすことではつくれない,と私は思うんですけど.

 軍事費だけでは無理でしょうね.
 内政全体を見わたさねばなりません.

 ただ,隣国に簡単に蹂躙されるような国は,「安心して住むことのできる国」ではないことは確かでしょう.

ゆきかぜまる in mixi

>安心して住むことのできる国というのは,軍事費を増やすことではつくれない,と私は思うんですけど.

 脅威に対抗できなければ軍事バランスが崩れます.要はバランスです.

 なお,我々の目の前の脅威はテロではありません.
 敵性国家の通常兵力と核兵器です.

JSF in mixi

 どの国と組もうと,テロは無関係に発生します.
 国家とは別の意思を持って動く集団なんですから,国交とも関係ありませんし.
 イラクの件だって,米国に反対した国で大規模なテロが起こっていますよね?

 とどのつまり,戦争と対テロという話題をごっちゃにしているからおかしいんじゃないでしょうか?
 周辺国とのバランスを考えるのが防衛費ですが,対テロの装備やノウハウ・法整備はまた別の地平だと思います.
 国交が悪化していなくてもテロは起こり得るのです.

 別々の原因によって起こるものを混同するのは,単純化ではなく愚かな行為だと思います.

Ren, in mixi


 【質問】
 日本が本気出して国力に見合った軍事力を付ければ,世界第二位くらいの軍事力になるかな?

 GDP1位のアメリカが10億ドル.
 2位の日本は4億ドル.
 3位のドイツは1.9億ドル.
 4位と5位の英仏は共に1.2億ドル程度.

 2位の日本は,3位のドイツに2倍以上の差をつけてる.
 欧州主軸の独英仏あわせて,ようやく日本を僅かに超える程度.
 なんだかんだ言っても,米国を掣肘できる潜在能力を持った国は結局,世界で日本だけ.

 GDP比3%ぐらいにすれば防衛費は15兆円弱ぐらいになるはず.

 【回答】
 GDPは歳入じゃないんで,防衛費3%の増額に見合う財源が必要.

 また,日本は欧州各国にくらべてGDPに対する国家予算の割合は低い部類に入る.いわゆる「小さな政府」.
 だから,英仏の軍事費が対GDP比で2.5%等とあっても比較できない.
 防衛費を増やすなら予算規模も増やす必要がある.つまり増税.「増税で大きな政府にして軍拡」と主張して,それで支持が得られるかどうか.


 【質問】
 なんで公共事業費を防衛費に回そうという発想が,我が国の政治家にはないんでしょうか?

 DQN土建屋が,我々が地域で職を提供し,結果治安維持にも貢献してる,みたいな盗人猛々しいことをいってるけど,地方での職の提供は,軍こそ適任と思われますが,如何?

 【回答】
 クーさんが言うように,公共投資は何に金突っ込んでもそれなりの効果が上がるが,効果の大小ってのがある.

 この効果ってのは簡単に言うと,一定の単位時間に投資されたお金が何回社会を回るか(お札が何回渡されるか)で計られて,
・雇用される人がもらった給金を使う(投資分野間の差はほぼ無い)
・投資して出来るモノを作る際に,原料・中間産品の形で使う(新規の物で製造インフラが無い時は効果大)
といった形をとるけれど,この効果は土木でも軍事でもそれほど差は無い.

 で,この他にモノが出来た後の経済波及効果ってのがあって,これは投資に釣られて民間のお金がどれだけ動くかで計られる.
 WW1辺りまでの,軍事力で資源や市場を奪い合っていた時代には軍事に投資することによる波及効果ってのは絶大なものがあった.経済的には外的に拡大してた時.
 だけど現代では軍事力による外的な拡大ってのはコストパフォーマンスが悪くて,少なくとも中国やロシア程度の地域大国でないと無理.開発コスト高騰で兵器売買の旨みも薄いし.

 経済学的には軍事投資ってのは自由貿易以前の思考法.
 むしろ戦後日本や香港,EUみたいに他人の傘を利用して投資を抑えるのが良いと考えられてる.

 土木は,よく言われる新幹線が出来て観光客が増えて云々といった多くの分野への波及効果があるんで国内での内的な経済拡大が望める.
 それに只作っただけでも生活が便利になるんで,社会インフラのストックを向上させる効果もある.
 ただ今の日本は既に沢山ストック持ってるんで,効果は昔ほど上がらない.
 長期的には有償ODAとかの海外で公共投資する方方が日本経済にとっても+

 あと今言われてるのは今後の成長が期待できるバイオとかだけどITバブルの轍な気も…
 まあ国際政治も国内経済も成熟しちゃったんで,軍事も土木も投資先としてはまずいっすよ.


 【珍説】
 外交努力と率先垂範で何処かの国が軍縮のリーダーシップを取らないといけません.
 お題目を唱えるだけでは軍縮は難しいでしょう.
 その役目を担えるのが日本なのではありませんか.

HARUKI in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 国際社会では
「自分が誠意を見せているんだから,相手も誠意を見せてくれるだろう」
といった独善的な期待論は通用しません.
 例えば,韓国の太陽政策と,それに対する北韓の「返礼」であるテポドン発射や核実験などを参照してください.

消印所沢 in mixi


 【珍説】
 例えば,日本は他国を無用に刺激するようなことーー首相による靖国参拝もそのひとつーーをまずは控えなければならないでしょう.
 もちろん,日本がいくら緊張緩和の努力をしても,挑発してくる国や,抜け駆けして軍拡を進めようとする国もいるでしょう.
 しかし,それでも日本は緊張緩和と軍縮を基調とした外交政策を取り,根気づよく他国に働きかけるべきだと思います.

SODA in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 外国には外国の戦略があり,日本が軍縮しようが無関係に軍拡することもありうる,という,第三者の視点を欠いた非現実的な意見.

 例えば中国は,目下,エネルギー資源安定確保と台湾「回復」を最大の戦略目標にしており,その目標にしたがって軍備増強を進めている.

 他の国にも他の国なりの戦略があり,その戦略によって軍備の増減を決定する.
 場合によっては日本の軍縮がその戦略に影響しないこともなくはないが,周辺諸国を見渡した場合,その影響が大きいとする根拠を何ら見出すことはできない.

消印所沢 in mixi

 また,その文脈に靖国を関連づけるのは無理があります.
 アナタの仰る「緊張」とは軍事的緊張を意味するものと解釈しますが,靖国を理由に軍事的緊張が高まった事例を,わたしは寡聞にして知りません.実際,それを理由に中国や韓国が戦争を仕掛けてくる,などということは万に一つも考えられない.彼らはそこまで馬鹿ではありません.
 あるいはアナタの仰る「緊張」とは,外交的緊張関係を指すのでしょうか.しかしその場合,「日本は他国を刺激するな」というのは,「日本は(外交を)何もするな」と言っているに等しい.軍縮をもちかける,というのは,靖国などより遙かに大きな「他国への刺激」ですよ.

 〔また,〕一時的な関係悪化が予測できたとしても,日本の立場を主張せねばならないことはいくらでもありえます(米国産牛肉問題や李登輝氏訪日など).
 外交の前提を「相手がいやがることはしない」に設定するのは,大変危険なことです.
 相手への譲歩が常態化してしまう.それこそ,軍事的緊張を増大させかねません.

 そして,アナタがその文脈でいわゆる「靖国問題」を持ち出すのは,あまり意味がありません.
 軍事的緊張とは関係がないし,外交的緊張というにはイシューとして小さすぎます.

me-do in mixi


 【質問】
 自国を守る件に,相手国のことなんか考える必要あるの?

 【回答】
 日本の周辺国は全て軍事力をもっていて,さらに軍事同盟も結んでいません.
 それに対処する「能力」を有することが,バランスオブパワー下での「抑止」です.
 軍隊を捨てるのなら,最低でも周辺国全てに捨てさせないとリスクが上がります.

 これは実際に攻めてくるかどうかという問題ではありません,
 相手がその「能力」を有している限り,それに対処する一つの方法として,大きな強制力を持つのは,外交政策の一環としても当然だということです.

ますたーあじあ in mixi


 【質問】
 週刊新潮に書いてあったんだけど,予算削減で自衛隊の装備と訓練内容の劣化が激しいらしいって本当?
 M3A1グリースガン,M1ガーランド,64式小銃,62式機関銃,M2ブローニング,M20改バズーカ,M40A1無反動砲,L-90高射機関砲,FH-70榴弾砲,64式対戦車誘導弾,ホーク地対空誘導弾,74式戦車,73式装甲車,75式自走榴弾砲,87式自走高射機関砲,78式戦車回収車,75式装甲ドーザー,F-4EJ改戦闘機,P-3C哨戒機,RF-4E偵察機,RF-4EJ偵察機,E-2C早期警戒機,C-1輸送機,AH-1S対戦車ヘリ,UH-1H輸送ヘリ,CH-47J輸送ヘリ,ひえい/しらね級護衛艦,はつゆき級/あさぎり級護衛艦,はたかぜ級ミサイル護衛艦,はるしお級潜水艦が未だに現役だし,自衛隊は中国様の侵略大艦隊相手に日本を防衛しきれるのか・・・かなり不安だぞ.

 【回答】
 突っ込みどころしかねぇ...

 M1ガーランドは儀仗用だし,M2重機関銃は今でもバリバリ世界中で生産されている傑作現役兵器.
64式MATは絶滅危惧種で,総火演でしか見れないし(バズーカ? 本土決戦時の非常予備にもならんよ),FH-70もホークも西側陸軍第一級兵器だ.
 戦車も74式の後継は開発されたばっかりだし(きちんと代替されると良いなぁ),73式も75式自走留も更新されている.
(絶対数を増やしてもらいたいのは同感だが)

 航空機に至っては,AH-1SとF-4EJ改以外,何が問題なのかわからない.
 P-3Cも偵察機も輸送機も後継が決まって,予算も投下されているし,E-2Cと輸送ヘリ2機種に至っては,改修&新規製造でバリバリの第一級兵器だ.

 護衛艦に至ってはひらね・しらねは後継艦が就役&建造中だし,そもそもそこにある艦艇の殆ど全部が,艦の寿命が十分残ってるじゃねぇか.

 防衛予算の縮小や,装備品の少なさに警鐘を鳴らすのは構わんが,装備品の就役年数や型式をミスリードする形で,読者に情報を流すことは納得できん.

軍事板,2010/07/19(月)
青文字:加筆改修部分


◆◆◆◆◆片山さつき関連

 【質問】
 片山さつき主計官論文(中央公論,2005年1月号)の主張は,何がどうおかしいのか?

 【回答】
・我田引水である上,感情的で理論立てができていない.
・シビリアン・コントロールを勘違いしている.
・国際情勢に対する認識が,現実と乖離している.
・RMAは人減らしの道具ではないことも,RMA化には莫大な予算が必要なことも,理解できていない.
・その他多数有り過ぎて,書き切れない.

 なお,詳細な反論は,ブログ「Troubled days」
http://airman.cocolog-nifty.com/diary/2004/12/post_8.html
もしくは,ブログ「ミリ屋哲の酷いインターネット」
http://blog.goo.ne.jp/miritetsu/e/32535117a269ecbfe4a57e3aa57b9d7a
を参照されたし.

 【参考リンク】

週刊オブイェクト 「片山さつき vs 防衛庁」(経緯)

Bloged Maniac Enthusiasm 「防衛論の進め方についての疑問」
(「日本のそれは,文民統制以前の素人優先主義」説)

てつの世相言いたい放題(財務省考察)

「陸自12万人体制」ではミッション・インポッシブル
by 阿久津博康
http://www.okazaki-inst.jp/hakutsu/11042004akutsu.html

軽視してはならない「本格的侵攻への備え」…防衛計画の大綱改訂を目前にして…
by 金田秀昭
http://www.okazaki-inst.jp/hkaneda/112004kaneda.html

財務当局は軍事的合理性重視の判断を 安全保障無視した防衛費削減の愚
by 岡崎久彦
http://www.okazaki-inst.jp/11292004sankei.html

◆片山支持派の主張 ……晒しているわけではありませんよ(・∀・)ニヤニヤ

山崎宏之のウェブログ: 【片山さつき主計官】防衛予算に大ナタ
(「博士」がトンデモ説を披露したいのなら,先ず「ひでお」という名前を名乗らなくては)

上田いさむのひとこと(公明党衆議)

◆さっちゃんの詭弁講座

 1,ごくまれな反例をとりあげる
     「昔も航空自衛隊は新田原基地(宮崎)の飛行隊を減らした.三沢(青森)の飛行隊も減らせる」
 2,自分に有利な将来像を予想する
     「敵の戦闘機が来たらMDで叩き落せばいい」
 3,主観で決め付ける
     「潜水艦なんて時代遅れなものは必要ないわ」
 4,資料を示さず自論が支持されていると思わせる
     「無駄遣いを許さない納税者の視点を大切にしたい」
 5,一見関係ありそうで関係ない話を始める
     「曽祖父は旧陸軍の軍人で,日露戦争では騎兵.」
 6,知能障害を起こす
     「同じことばかり話していても無駄」
 7,ありえない解決策を図る
     「災害派遣は警察と消防に任せればいい」
 8,レッテル貼りをする
     「大砲は古い」
 9,決着した話を経緯を無視して蒸し返す
      「じゃあ,こんな感じで…」
10,新しい概念が全て正しいのだとミスリードする
     「防衛予算は既存の組織や装備をきちんと見直すことが1番大切」


 【珍説】
 防衛庁はシビリアンコントロールの原則に従いなさい.制服が官僚に意見する事は許されません.

中央公論 2005.1 片山さつき 財務省防衛担当主計官

 【事実】
 文民統制(シビリアン・コントロール)とは,民主主義国に於ける軍事に対する政治優先又は軍事力に対する民主義的な政治統制をいう.
 当然のことながら,片山さつきは選挙によって選ばれた者でない〔当時〕以上,民主的基盤は有しない.

 というかシビリアンは文民,つまり国民及びその代表者であり,シビリアンによる管理が必要なのは,軍人も官僚も同列.
 何か露骨に省庁間の差別意識を見てしまった気がする.
 来年から公務員なんだが,ちょっとショックだったな・・・・.

軍事板

片山さつき(うそ)


 【珍説】
 対象国として想定されている北朝鮮の特殊部隊2500人が日本に向け侵攻し,接岸するとの〔防衛庁の〕想定だが,アメリカ始め,我が国も含め周辺各国が,情報衛星などをふくめてあらゆる方法で集中監視している国から,これまでのような少人数ならいざ知らず,2500人もの大規模部隊が,移動を始めたことすら探知も捕捉もされないほど,甘い国際環境に北朝鮮は置かれていない.

中央公論 2005.1 片山さつき 財務省防衛担当主計官

 【事実】
 そら,2500人が開戦後に,大っぴらに移動するならそーだろーよー…

 情報衛星は移動目標の補足には向かない.
 24時間絶え間なく監視ができるわけでもない.
 よって,海自海保の船舶及び哨戒機に発見は委ねられる訳だが,日本海は広い上に,東シナ海もあるわけだな.
 日本の近海には様々な船舶がウヨウヨしている.
 どうやって敵か味方か無関係か見分けて,どうやって阻止するのかな?

軍事板


 【珍説】
 施設に人を張り付ける最も非効率な守り方から,情報能力を高めて,敵に張り付ける効率的な方法に変更するというのがRMAの考え方で,安保・防衛懇報告書の流れ

 世界的な潮流で言うと,(略)指揮系統への情報集約を進め,少人数で機動的に広範囲をカバーする方法を取り入れる方向に向かう必要がある.

中央公論 2005.1 片山さつき 財務省防衛担当主計官

 【事実】
 部隊張り付けをせざるを得ないのは「専守防衛」と言う政治マターの問題の故.
 何時から財務省の一主計官(当時)が,これほど大きな政治マターを勝手に変更できるようになったのか?
 シビリアンコントロールは,別に文官官僚の優越を謳うものではない.

 また,ゲリラ・コマンドからの重点施設防衛で最も効率的なのが,施設配備による各個迎撃.
 なぜなら敵は「そこを破壊する」以外の任務を帯びていない非占領型の侵攻部隊であり,言い換えれば重点施設は「必ず敵がやってくる」地点であるから.古い構想もへったくれも無い必然の帰結.

 例えば,ゲリラ・コマンド2500を200の偽装船舶と50の潜水艇に分散されたら,全てに対処することは不可能.
 またそれが分散上陸した場合,展開平面あたりの迎撃戦力が確保されないため撃破率は下がる.
 RMAというのを魔法のごとく考えているようだが,
「発見」「通達」「分析」「決定」「進出」「展開」「接敵」「撃破」「確認」「通達」
のプロセスのどこを担うものなのか考えれば,あくまでも「高効率化」にすぎないことが判る筈である.

軍事報道を考えるスレッド in マスコミ板

 自前の偵察衛星さえ持っていない国〔当時〕の人の発言とは思えんなぁ
 情報化って初期投資が大きくなるのが,軍事民間問わず常識だと思うが,そっちの予算は奮発してくれたのか?

 張り付け部隊がアウト,機動運用をどうしても行いたい,というのであれば,米国のように十隻単位のRORO船と,それを有事に際して護衛する地方隊の拡充が必須なんですが・・・.

 このオバハン,二言目にはRMAだBMDだとのたまっていますが,言葉の意味が判っていない感じ.
 要約すると,米軍がRMA化して数を減らしたから,あんた達も減らしなさい!なのだが,RMA化どころかコピー用紙を自腹で買い,演習場に私物のPCを持ち込み,娘に消しゴムを借りる現状の,OA化すら達成出来ていない自衛隊に言う言葉かよ?ってなもんで.
 未来に予想される脅威がどれくらいで,現状の戦力が,これ位で必要な費用の値はこんな物.そんで,RMA化によって必要な費用はこれ位で,それに従ってこれだけ減員が可能ってな具体的な値も論も全く出て来ず,個人的な心象のみがダラダラ書き綴られて,正に“チラシの裏にでも書いてろ”ってな論文だったな.
 ホントに東大出かよ?

軍事板


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