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◆自衛隊派遣FAQ
イラク問題FAQ目次

「自衛隊イラク派遣反対」のデモ.「北朝鮮に核兵器を持つ権利を!」ってギャグ?

http://www.mkimpo.com/diary/2003/xmas_mission_2003.html


 【link】

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2010/07/23)官民一体で挑むも,苦戦する資源小国ニッポン. 40年ぶりの「イラク巨大油田争奪戦」の舞台裏

「そっと××」●【質問】「イラク派遣自衛隊,緑の迷彩服に秘策あり」は事実なのか?神話なのか?

●書籍

『イラク自衛隊「戦闘記」』(佐藤正久著,講談社,2007.3)

『サマワ便り 陸自第10師団のイラク派遣』(中日新聞社会部編,中日新聞社,2005.12)

『任務 自衛隊イラク派遣記録』(宮嶋茂樹著,都築事務所,2005.8)

『武士道の国から来た自衛隊 イラク人道復興支援の真実』(産経新聞イラク取材班著,産経新聞ニュースサービス,2004.10)


◆◆是非論


 【質問】
 自衛隊のイラク派兵はすべきだったのでしょうか? 軍事的観点からのご意見があれば拝聴したいのですが,お願いします.

 【回答】
 軍事的にみれば,米軍ですらそれなりに死傷者を出しているゲリラ戦の最中に部隊を派遣することは,危険だといえる.

 ただ,この派遣は,強力な政治的な要請があって行うもの.
 ですから,軍事的判断がどうあれ,政治が派遣すると言ったら派遣するしかない,ということになるだろう.

 その国家戦略的には,派兵賛成側の論理は以下の通り
・10/16の国連決議によって,イラク復興に協力することが各国に求められている
http://www2.asahi.com/special/iraqrecovery/TKY200310160369.html
・中東の石油に依存している日本にとって,中東の安定は必須
・兵士が共に肩を並べることをしない同盟国は,同盟国としての信頼を失う
・テロの威嚇に屈したという印象を各国やテロリストに与えることになり,
 対外的にマイナス

 以上に対する反対意見
・国連の安保理のロシアもフランスも派兵していないのに,なぜ日本が?
・中東を不安定化させたのはブッシュ
・法律の不備
・国民の8割が反対している

 以上,'03年12/7のTV「サンデー・プロジェクト」より

(プーチンKGB大尉他 in コヴァ板,軍事板出張スレ)

 プロ/セミプロの専門家においては,以下のような肯定意見がある.

 世界の多くの国が,一緒に復興に取り組む中,日本だけが世界に背を向けるわけにはいかない.
 イラクのゴタゴタが,トルコやサウジに広がりつつあり,回復が遅れれば,中東全体に広がる懸念がある.
 他に現実的なやり方があるなら,具体的に提案すべきだ.

 イラクの治安回復・復興を国連主導でやれという意見があるが,国連はボスニア,アフ【ガ】ーンなどで失敗した.国連には統制のとれた強力な治安活動はできない.
 また,米国以外の国も,米国の輸送能力と遠隔地への通信能力の助けがないと,現実に何もできない.

(江畑謙介 from 読売新聞 Dec. 13, '03,抜粋要約)

「ビン=ラーデンの側近ナンバーワンのザワヒリ医師は,「神の主権論」の中で,「主権は唯一,神にあるものであり,立法は神の専権事項である.民主主義は,神から立法権を簒奪するものであり,また,そうすることによって人民を神格化している.まさに偶像崇拝だ」と述べている.
 彼ら〔アルカイダ〕のイスラム〔過激〕原理主義というのは,民主主義に対して決定的に敵対思想を持っている思想だから,我々は立ち上がらなければいけないんです.

 このことは,小泉内閣も曖昧にしてきたから,自衛隊をイラクに派遣するのに,何で派遣するのか,言い訳に困っている.
 どうしてアフ【ガ】ーニスタン,それからイラクに行かなきゃいけないのかという説明ができないのは,このアラブ〔過激〕原理主義とは何かということをわかってない証拠だろうと思います.
『民主主義への挑戦だからやるんだ』と何故言わないのか,僕には不思議です」

(田久保忠衛 from 「反米論を撃つ」 恒文社21,'03,p. 137-139抜粋要約)

「人的貢献は評価される」

 湾岸戦争終了直後,クウェートはアメリカの新聞に,イラク撃退に貢献してくれた諸国への感謝広告を出した.
 僅かでも兵を出した国の国名は全て挙げ,感謝の意を表していたが,増税までして130億ドルの大金を拠出した日本の名はなかった.
 しかし,解放されてから一年後,クウェート市郊外に多国籍軍参加各国の国旗を掲げた
 大壁画が登場し,これにはわが国の掃海艇の派遣が評価されて,日の丸の旗がアメリカ国旗の右上に加えられている.

柿谷勲夫,元防衛大学教授,『自衛隊が軍隊になる日』,1995.3.15

 日米同盟はわが国が現在選択している安保戦略概念のことを指し,日米が緊密 な関係にあることを世界に示すことで国防を達成するというものです.
 概念ですので,情勢の変化にフレキシブルに対応する必要があります.
 条約があるから何もしなくていいという姿勢では,「米国から安保条約を破棄される」という事態がいつ起こっても不思議ではありません.
 日米同盟をあたかも空気のよう に「そこにいつもあるもの」と感じている人も多いようですが,想像以上に脆 いものであることを理解する必要があります.
 そのためにも,米国との関係が 円滑に進むよう常日頃から心がけなければなりません.

 営業マンは,重要得意先をつなぎとめるため,必死になって相手からの注目を得つづけようとする戦略・戦術を練り,実践します.
 それは自社に利益をもたらすためであり,得意先に利益をもたらすことは第二義的なことです.
 日米同盟の本質もそれと同じで,大国ではないわが国が,大国である米国中枢から関心を失われることのないよう,日々努力することが大切と思います.
 見識ある先人たちが,これまでこういう地道な努力をしてきたおかげで,今の わが国の安定と繁栄があります.(不況ではありますが,夜の町を歩けないほど治安は悪化しておらず,国民の多くは携帯を持ち歩き,車を乗り回し,電車 の中で眠りこけることもでき,停電の頻発はなく,餓えも日常になっていません).

 これまでわが国は
「軍事面で貢献できないけど,経済面で貢献します」
との姿勢 で日米同盟の維持に対応してきました.
 基本的にはその路線でいいとおもいま す. 今の憲法がある限り,自衛隊の実力発動機会は減らすべきで,自衛官が死ぬかもしれない状況を極限まで少なくする必要があると考えます.
 しかし,「ここ ぞ」というときは米国中枢向けに「身体を張って友邦を助ける国・日本」との 姿勢を示すことが必要でしょう.
 国際社会の中でわが国が生き残るための戦略である日米同盟を考える際は,このように,国内だけで片がつく問題ではないのだということを理解する必要が あると感じます.

(おきらく軍事研究会)

 憲法論議は日本国内で重要度が増しているし,アメリカの日本専門家の間でも注目度が高いが,一般のアメリカ国民にとっては,日本がアメリカの同盟国として戦後初めて戦闘が続く外国に自衛隊を派遣したことのほうが重要だ.
 コアリションの参加国であると同時に,アメリカにとってはかけがえのない同盟国との認識がさらに強まった.
 その点で,日本が憲法改正をしようがしまいが,実際にイラクに自衛隊を派遣した価値は大きく,同盟関係は一層,強化されたと見て間違いない.

Michael E. O'Hanlon from SAPIO 2004/2/24号,p.24

 私は,日本は自衛隊を「やむなく派遣せざるをえない」という立場です.
 〔略〕

 まず,日本が戦後一貫して掲げてきた憲法の精神,平和主義,国連中心主義などの原理原則に基いて行動しようとするならば,戦争で荒廃したイラクの安定は世界の平和,とりわけテロリストの足場にしないという意味で欠かせないプロセスですから,これに主体的に関与していかなければなりません.
 このことに文句をつける人はあまりいないだろうと,私は思います.

 では,国として崩壊してしまったイラクが再生・復興する手伝いを日本や世界各国が協力してやっていこうというとき,その作業は日本や世界各国の誰が担当するのか.
 復興支援全体の作業量を100とすれば,その大部分の85〜90%までは,民間が主体にならなければできません.
 しかも10年,20年,あるいはそれ以上の長い期間が必要です.
 それを最初から民間でやれるのであれば,やったらよいのです.喜んでイラク復興支援に手を貸したいという日本の民間企業や団体が現れれば,私はそれを支持しますし,日本政府に彼らを採用したらどうかと勧めます.

 しかし,武装勢力と米英軍の衝突やテロリストの自爆攻撃が頻繁に起こる危険なイラクに喜んで行き,復興支援に参加しようという企業や団体などないのです.
 だから私は,イラク復興支援に関しては,やむをえない措置として自衛隊という「軍事組織」を派遣すべきだと主張しています.
 国が崩壊したことで秩序が乱れ,治安も危うい状況にあるイラクには,「戦場」と呼べるかどうかはさておいても,明らかに危険な地域がたくさんある.
 そこに民間人を派遣したら,危険に対応する能力がないわけですから,次々に殺されてしまうかもしれない.
 危険だからと放置しておけば,混乱が拡大してテロリストの拠点になる可能性がある.
 だから,危険に対応する能力を持った軍事組織,つまりは自衛隊を持って行き,危険に耐えながら,一日も早く復興支援の足場を固めるべきなのです.

 台風や自身など大災害の直後に,軍事組織の自衛隊を投入しなければならないケースがあります.
 それと同じように,戦争の直後の復興支援活動にも軍事組織が中心とならなければ役割を果たせない時期があります.
 骨折した時,位置を固定するために一定期間ギプスを嵌めるでしょう.あるいは添え木を当てて一時的に固定したりします.
 あのギプスや添え木を当てるような位置付けで軍事組織を使うのです.
 時期が来ればギプスを外しリハビリを始めますが,ギプスは1ヵ月で取れたがリハビリは1年以上かかる.そんなイメージですね.

 したがって自衛隊の派遣は,イラク復興の初期,治安が回復するまでの避け難い一定期間に限定された任務という事になります.
 そして,できるだけ早く民間主導の復興支援にシフトしなければなりません.

 だからこそ,イラク戦争に反対した国も,イラクの復興支援には軍事組織を出しているとも言えます.
 例えば,カナダはいち早く軍の輸送機3機を派遣しました.
 戦争反対ならば民間機のチャーター機でいいじゃないかと思うかもしれませんが,民間だけでやろうとすると地上のサポート・チームも民間人になる.
 治安が不安定な状況ではそれは無理だから,軍隊と軍の輸送機を持っていく,というのがカナダの考え方です.
 この考え方は先進国に共通しています.
 北アメリカの北半分,1000万平方キロに近く,ロシアに次いで世界第2位の広い国土を占め,人口が約3000万人と関東地方より少ないカナダが,イラクに軍隊を出したからといって,侵略に繋がる恐れがあるから危険だと思う人は,世界中どこにもいないはずです.

「日本の戦争力」(アスコム,2005.12),p.198-200

>危険なイラクに喜んで行き,復興支援に参加しようという
>企業や団体などないのです.

 一部の,自殺志願まがいの超マイナーNGOを除きます(笑)

 ただし小川和久によれば,派遣賛成論に全く問題がないわけではないという.
 以下引用.

 自衛隊のイラク派遣やイラク復興支援に関する日本の議論は,非論理的・非科学的・非現実的な3点セットで,これでは世界に通用しないと私は考え,次のように整理すべきだと提案してきました.

 第1に,自衛隊の派遣がイラク復興支援の全てであるかのごとく錯覚され,報道もされてきましたが,こんなバカな話はありません.
 自衛隊や米英軍にせよ,その他の国の軍隊にせよ,軍事組織ができることは極めて限られています.
 自衛隊の派遣はイラク復興支援の初めの一歩に過ぎないのです.
 「派遣すべきである」という主張が,復興支援全体の中での自衛隊の役割を全く意識していないのであれば,それは空虚なスローガンでしかありません.

 〔略〕

 イラク復興支援の最初のステージでは,どうしても自衛隊が必要であること.
 同時に,国際テロの根絶への普段の営みが必要であること.
 その営みの中心にイラクの安定があること.
 これらを科学的・論理的・現実的に考えながら,日本は国際社会で有効な手を次々と売っていかなければなりません.
 そう考えれば,ただ単に「自衛隊を出せばよい」「出さなければよい」と言い合う子供のような議論が意味をなさないことは,明らかではないでしょうか.

「日本の戦争力」(アスコム,2005.12),p.202-205

 一方,反対意見のほうだが,現在までのところ,「戦争に巻き込まれる」だの,「大義がない」だのといった,感情論しか見つからない.
 論理的な反対論を見つけた方は,ご一報を.


 【質問】
 支援活動の安全保障にとっては,武力によるガードではなく,地元の信頼を得ることが最良だ,という意見の是非は?

 【回答】
 国家崩壊し,武装集団が割拠する地域では,信頼確保が安全保障に結びつかないことが多い.
 大抵の事例において,そのような地域では責任の所在が曖昧であり,誰も不法の責任を取らされずに済む場合が殆どだからである.

 各地の人道支援活動地域を飛び回った,作家・ジャーナリストのマイケル・イグナティエフ Michael Ignatieff は,次のように述べる.

 赤十字国際委員会の活動は,ますます危険なものになっている.
 1994年にルワンダだけで赤十字は戦争行為により活動家36名を失い,しかもその一部は,はっきりと攻撃の標的にされたことによるものだった.
 国際委員会の派遣要員の身の安全に関するそうした新たな懸念から,当の組織が,その中立性の根底に触れるジレンマに陥る.
 赤十字の派遣団が国連の護衛に送ってもらったら,国連の武装に守られはするが,独立した組織という声望は傷つくだろう.
 派遣団_防弾チョッキと防弾ヘルメットを支給し,専用車両のランド・クルーザーを防弾仕様にすることさえ,激論を巻き起こしたことがある.
 反対論は,攻撃の標的になるものを強化すれば,標的になる公算が増すだけだと言う論法だった.

 こちらが民兵を信用すれば,相手もこちらを信用するというわけだが,しかし,何人もの派遣要員が,信用したばかりに命を落としている.
 最近の新聞紙上で,オクスフォード大学の国際関係学教授,アダム・ロバーツは,国際委員会がその声望の威力に頼っていることを酷評している.
『安全についての建設的な考察には……人道的活動に不偏不党と中立はつきものとする,それ自体としては立派な伝統は,助けにはならない.
 安全対策上,時にこうした原則から離れる必要があるかもしれない』

 赤十字は原則から離れはしないが,安全対策を変更し始めている.
 今では派遣団の宿舎を防備するための武装警備員を配置しているし,医薬品集積所や食料倉庫の周囲にも,略奪を防ぐための武装警備員がいる.病院・診療所・医療センター・派遣団内部に関しては,武器は御法度だが,周辺警備は行われており,これは武器を装備している.

( 「仁義なき戦場」,毎日新聞社,1999/10/30,p.154-155,抜粋要約)

 また,地元密着型支援は,地元武装勢力に隷従する,一種の腐敗を招き易い.
 アフ【ガ】ーンのペシャワール会の中村医師が,タリバーン指導者オマルの代弁者と成り果てているのが,その代表例であろう.
 武装勢力の「味方」なら攻撃されないだろうが,もはやそれでは援助活動ではなく,間接的な武装勢力への支援活動に過ぎない.

 冷戦時代にも,国連の人道援助対象国は,ソ連の影響下にあった国が多かったことから,
「これではソ連の代理として援助しているに過ぎないのではないか?」
という議論がよく聞かれたが…….


 【質問】
 自衛隊がアメリカ軍と一体で行動することで「中立」でなくなり,それまで安いコストで給水していた日本のNGOが撤退せざるを得なくなったのでは?

ひろむりん in mixi
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 目に見えるコストだけを考えていませんか?
 NGOで活動されている方々は,どうやって現地で生活されてます?
 自衛の能力は?
 イラク邦人誘拐の際には,ニュースが伝わっただけで株価が急落しておりますが.
(参考http://www.mitsubishi-sec.co.jp/houjin/s_report/souba/200404/12.pdf
 その辺のコストはいかがでしょうか?

 ところでイラクのテロリストの方々は,国際的に中立の立場である国連の事務所や赤十字国際委員会事務所でもテロしてますが,本当に中立と安全が関係あるんでしょうか.

P.A. in mixi

 当時,武装組織はインフラ破壊によって社会混乱を起こすことを狙っております(これは,現在のイラクが内戦になったことで目的を果たしつつあります)
 警察志願者の行列がしょっちゅう狙われるのも,社会混乱を収めさせたくないからです.
 したがって丸腰で行けば,必ず狙われます.

 また,NGOの場合も区別がないことは,しょっちゅう拉致が行われた――中にはイスラーム教徒を拉致した事例も――ことからも明白です.
 NGOは一般に,一人でも犠牲が出れば,安全性再確保まで活動停止,最悪の場合,撤退もありえます.

 丸腰で行け,ですって?
 黒柳徹子すら,そんなことをしていませんよ.

消印所沢 in mixi


 【質問】
 派兵すると東京でテロをやると宣言してる奴らがいるが,日本国はこいつらの攻撃を防げるのか? 勝てるのか?
 保守派の人達は,勝てる準備もせずに米と開戦した事を否定してたよな?
 じゃー,参戦賛成保守はテロリストに勝てるプランを持ってるのかな?

 【回答】
 まず対テロ特殊部隊は徐々に整えられつつある.
 自衛隊,警察,海保,国土交通省とバラバラにやっているように見えるのが,かなり気になるところであるが.

 また,イラク派兵の有無に関わらず,911の頃から既に日本に対するテロ計画も存在していたことが明らかになっている.

アルカイダ,ドイツのソニービルと日本大使館を狙う
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/nybomb/200202/01-01.html
アルカイダ,アジアにテロ計画
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt10/20020916D3KI00Y616010001.html
アルカイダメンバーが国外退去処分
http://www.kahoku.co.jp/news/2003/11/2003110401000491.htm

アルカーイダ,W杯狙い日本でテロ計画 最高幹部が供述

 国際テロ組織アルカーイダの最高幹部が,日本と韓国で開催された2002年のサッカー・ワールドカップ(W杯)を狙い,日本でのテロを計画した,と米治安当局の調べに対し供述していたことが14日,分かった.
 米当局から日本側に情報提供があった.日本に支援組織がないことなどから,テロは具体的な計画には至らなかったが,日本の公安当局は,自衛隊のイラク派遣をめぐり昨年末,アルカーイダを名乗る組織から相次いだテロ警告以前にも,日本が標的になっていたとみて警戒を強めている.
 公安当局によると,最高幹部はアルカーイダのナンバー3で,01年の米中枢同時テロでも中心的役割を果たしたとされるハリド・シェイク・モハメド被告.
 モハメド被告は「W杯を狙ったテロを計画したが,実行するためのインフラが日本にはなく,具体的な計画,準備に至らなかった」と供述しているという.
 モハメド被告は1965年ごろの生まれで,クウェート出身.昨年3月,パキスタンで米当局に逮捕された. 87年ごろ,企業研修名目で来日.約3カ月間滞在し,静岡県内の建設機械メーカーで削岩機の使用方法を学んだほか,削岩機約150台を購入したことが公安当局の調べで確認されている.

(産経新聞,2004/2/14)

 2001年9月11日の米中枢同時テロの計画段階で,国際テロ組織アルカイダが日本国内の米国関連施設に対しても,ハイジャックした飛行機を墜落させることを検討していたことが16日,米政府の独立調査委員会事務局が発表した報告書で分かった.
 アルカイダが日本でのテロ攻撃を計画していたことが判明したのは初めて.
 具体的な攻撃目標は明らかでないが,在日米軍基地などだった可能性がある.
 アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン氏が「実行困難」と判断したため,この案は立ち消えになったという.
 報告書によると,アルカイダのナンバー3で,中枢同時テロの計画責任者とされるハリド・シェイク・モハメド容疑者は1999年半ばの時点で,米国とアジアで同時にテロを実行する「二正面攻撃」を計画した.

(共同通信,2004/6/17)

 エジプト・ルクソールで観光客に対してテロ事件 日本人10名を含む観光客58人とエジプト人警官4人の計62人死亡.エジプト観光産業に大打撃を与える.
http://homepage2.nifty.com/hashim/terror4.htm

>オサマ・ビンラディン「ユダヤ人と十字軍との聖戦のための世界イスラーム戦線」を結成し,
>「アメリカ人とその同盟者を民間人,軍人を問わず殺すことは,
>それが可能なすべての国にいるムスリムの個人的義務である」
>とのファトワ(教義判断)を発表する.

 9,11以前にすでに日本も喧嘩売られてるね.

 またWTC自体,世界の優秀な人材が揃った国際都市ビルということは意識しておけ.

 ちなみに,こんなことも知らずに,「その手があったか!」だの「ビンラーディンにはキリストの面影がある」だのと 言っていた小林よしのりと西部邁は,いかがなものか.
 テロを正義に基づいた行為と勝手に定義付けして尻尾を振る.
 小林のいう親米ポチとベクトルが違うだけで,メンタリティは全く同じじゃないか.
 鏡を見て必死に威嚇してる感じがするよ.

エセ保守監視小屋

 さらに言えば,アルカイダの声明文は,英語に訳すと「もしイラクに派兵したらテロを起こす」というものになっているが,アラビア語では,この「条件節」が英語ほど明確ではない,つまりニュアンス的には,
「そーかそーか,イラクに派兵するとかなんとか言っているようだから,テロってやるよーん」
に近い,という話もある.

 つまり,派兵の有無に関わらず,すでにテロのターゲットの一つに日本はなっていると見てよい.

 なお,対テロ対策は,イラク派兵とは無関係に,不断の努力で行われるべきものであり,今までそれが抑圧されてきたほうが不自然なのである.

(プーチンKGB大尉他 in コヴァ板軍事板出張スレ)

「私は今回のテロ事件で,安全と経済はコインの両側であると痛感しました.あのテロで株価は下がり,航空産業が大打撃を受けましたね.
 ビンラディンはアメリカ人を殺戮するのではなく,アメリカという国を倒したいと考えているわけで,一番欲しているのは世界同時不況でしょう.
 世界の経済の柱はアメリカ,EU,そして日本です.アメリカと日本を同時に倒せば,EUはもちません.今までは日本がいい時はアメリカがダメ.アメリカが良ければ日本がだめという補完の構造にあった.
 これを両方一緒にダメにすれば,世界の構造を変えたいという彼らの最終目標にぐっと近付く.
 日本の自衛隊がアメリカ軍の後方支援すれば,テロの対象になるといった議論が国内でありますが,事態はそんな次元を超えているんです.日本が協力をしようがしまいが関係ない.彼らにとっては日本経済こそがターゲットなんです.

 日本経済はふんだんなエネルギーによって支えられている.国内最大のエネルギー源は原子力発電所です.これを1基だけ襲えば,全ての原発は運転を止めるでしょう.そうすると,日本の電力の20%が止まる.
 その他にダム,石油備蓄基地を襲う.その次に新幹線.これを破壊すれば,旅客輸送の殆どが停止してしまう.
 これだけやれば,日本の経済は壊滅的となり,黙っていても日米同時不況が訪れます.何も自衛隊を襲って撃ち合う必要はないんです」

(志方俊之 from 「緊急対談 生物化学兵器の脅威に我々は耐えうるか」,「正論」 Dec. '01)

「自衛隊を派遣すれば日本の心臓部を攻撃する」
といった脅迫メールが中東の放送局に届いたとなると,
「だから自衛隊は派遣しないほうがいい」
という議論が出ます.
 あるいは,不幸にして2度,3度と起こってしまった日本人人質事件を巡っても,
「だから自衛隊は撤退させるべきだ」
という議論が始まります.

 しかし,私はこの手の意見には,では自衛隊を派遣しなければ絶対に日本を攻撃しないということを,誰が保証するのかと問い返したい.
 自衛隊をイラクから撤退させれば,世界中で活動している日本人ビジネスマンや,世界中に遊びに行っている日本人観光客がテロのターゲットにならないという保証を,誰がしてくれるのでしょうか.
 そんな脅迫に踊らされることは,テロリストの思う壺です.
 世界の平和を実現しようという日本国憲法の精神にももとるはずです.

小川和久著「日本の戦争力」(アスコム,2005.12),p.204-205

>保証を,誰がしてくれるのでしょうか.

 アル・カーイダのほうを日本政府より信用できるかのごとく主張している人々がいることが,実に不思議.

 ちなみに,イラク戦争に終始非協力的だったフランスも,にも関わらず記者を拉致され,武装組織の脅しを受けている.
 こうした例を見ても,「派遣すればテロられる」どころか「派遣しようがしまいが,関係ない」と見るのが自然だろう.

「イラク・イスラム軍」がフランス人記者2名拉致-スカーフ禁止の48時間以内撤廃要求

 カタールの衛星テレビ,アルジャジーラは(2004/8/)28日,「イラク・イスラム軍」を名乗る武装組織がフランス人記者2人を拉致し,フランスが公立校で女性イスラム教徒のスカーフ着用を禁止した法律を48時間以内に撤廃するよう,フランス政府に要求したビデオ声明を放送した.
 イラクでは武装組織が記者を含む多くの外国人を拉致し,外国軍や企業の撤退を求めているが,イラクの国内問題と直接関係ない要求は異例.
 同組織はイタリア人記者も拉致,27日に殺害したと発表している.
 拉致されたのは国営ラジオ・フランスのクリスチャン・チェスノ氏と,フィガロ紙のジョルジュ・マルブリュノ氏.フランス外務省は21日,二人が行方不明になったことを明らかにしていた.
 2人はバグダッドから,イスラム教シーア派民兵と米軍の戦闘が続いたイラク中部ナジャフに向かう予定だったという.

 【珍説】
 自衛隊を派遣すれば,米軍と同じ仲間だと見なされる.

 【事実】
 占領軍と,復興支援部隊とは,サドル軍でさえ見分けがついている模様.

 2004/7/12付,毎日新聞によれば,イラク駐留米軍の撤退を要求し,暫定政府を「違法」と主張するイスラム教シーア派反米指導者,ムクタダ・サドル師の代理人,サファ・アルティミーミ師は11日,バグダッド郊外のサドルシティーでの毎日新聞との会見において,
「我々は自衛隊の駐留を歓迎しており,我々の民兵『マフディ軍』が自衛隊を攻撃することはない」
「自衛隊はイラク復興のために来たと宣言し,無意味な住民攻撃などしていない.占領軍(多国籍軍)の一部という形であっても,米軍とは全く別の平和的な部隊だ」
「(迫撃砲が撃ち込まれるなどの行為は)我々と全く関係のない組織の犯行だ.サドル師は民兵たちに『日本軍を狙うな』と指令している」と強調した.さらに「サドル師は日本軍の撤退を要求していない」
と述べている.

 反米強硬派として知られるサドル軍ですらこうであるのだから,他は推して知るべし.


 【珍説】
 自衛隊の海外派遣は,国際貢献という任務を突破口にして,自衛隊の海外派兵をできるようにするための布石だ.

 【事実】
 小川和久によれば,非論理的・非科学的だという.
 以下引用.

自衛隊は戦力投射能力を持っていないという,要するに外国に侵攻できない「専守防衛」の構造を持っています.
 〔略〕
 そんな自衛隊の実態も理解せずに,海外に出れば「海外派兵」だ,それは「侵略」につながりかねないというのは,自ら掲げてきた専守防衛を理解しない,極めて無責任な空理空論ではないでしょうか.

 また,イラク復興支援はどうしても必要だが,危なくて民間は出せないから,やむをえず自衛隊という軍事組織を暫定的に出すという考え方が理解できないのであれば,何のために自衛隊を置いているのでしょう.
「自衛隊を海外に出せば,将来,外国を侵略するかもしれない」
というのであれば,
「自衛隊を国内に置いておいても,将来は国民を弾圧するかもしれない」
と心配しなければならないのではないですか.
 しかし,これは明かにおかしな考え方です.
 私はそのような主張を聞く時,私達は,税金の使い道を通じて民主主義のシステムをちゃんと機能させているのだろうか,あるいは国民が軍事組織の暴走をコントロールするという本来的な意味でのシビリアン・コントロールを放棄していることになりはしないか,と思わざるをえません.

「日本の戦争力」(アスコム,2005.12),p.203-204

 骨折した時,位置を固定するために一定期間ギプスを嵌めるでしょう.あるいは添え木を当てて一時的に固定したりします.
 あのギプスや添え木を当てるような位置付けで軍事組織を使うのです.
 時期が来ればギプスを外しリハビリを始めますが,ギプスは1ヵ月で取れたがリハビリは1年以上かかる.そんなイメージですね.

 したがって自衛隊の派遣は,イラク復興の初期,治安が回復するまでの避け難い一定期間に限定された任務という事になります.
 そして,できるだけ早く民間主導の復興支援にシフトしなければなりません.

 だからこそ,イラク戦争に反対した国も,イラクの復興支援には軍事組織を出しているとも言えます.
 例えば,カナダはいち早く軍の輸送機3機を派遣しました.
 戦争反対ならば民間機のチャーター機でいいじゃないかと思うかもしれませんが,民間だけでやろうとすると地上のサポート・チームも民間人になる.
 治安が不安定な状況ではそれは無理だから,軍隊と軍の輸送機を持っていく,というのがカナダの考え方です.
 この考え方は先進国に共通しています.
 北アメリカの北半分,1000万平方キロに近く,ロシアに次いで世界第2位の広い国土を占め,人口が約3000万人と関東地方より少ないカナダが,イラクに軍隊を出したからといって,侵略に繋がる恐れがあるから危険だと思う人は,世界中どこにもいないはずです.

同,p.200-201

 まあ,いわゆる「ハンガリーの貴族」にとっては,現実など最初から眼中にないのだろうが.


 【珍説】
 ご参考までに転載します.

 〔略〕

市民の意見30の会・東京

 航空自衛隊の輸送機C130は今後,バグダッドにも米軍兵士や米軍需物資を運びますが,バグダッド空港では昨年1月,英軍の同型機が離陸直後に撃墜されています.
 そのバグダッド,連日多くの人が殺されているイラクの首都を麻生外相は「非戦闘地域」と強弁しています.

あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 確かそれ,C-130がレーザー誘導の大型対戦車ミサイルで撃墜されたという,とても珍しい事例です.
 対地攻撃用ミサイルを対空に使用したわけですから,本来の使い方ではありません.
 この事から分かる事は,現地武装勢力は対空兵器を射耗しつくしていると言う事です.

JSF in mixi

 武器がなくては「戦闘地域」になりようがないですね.


 【珍説】
 2004年2月,なぜ若者達は,絶叫に近い反対を圧してまで,劣化ウランの粉塵が舞い,米英侵略強盗の共犯者として刻印されるイラク・サマワに送り込まれたのか?
http://esashib.hp.infoseek.co.jp/kenpo05.htm
「軍需省の腐敗は言語に絶する」
 昭和19年 7月22日〜昭和20年 2月10日に文部大臣を務めた二宮治重が言った例で皇軍官僚,参謀本部の出鱈目な腐敗のことです.

 ある会社の重役が会社設立のために釘の配給を軍需省に申し出たら,軍需省は配給した半分を「軍需省に持って来い」と言った.その釘を横流しして贅沢品を山分けする資金にするためである.
 国体の護持という究極の利権にしがみついたゼニ亡者どもが,人生経験少ない若者を煽り,騙し,お涙遺書を書かせて次々に特攻させていた,まさにその時昭和19年,軍事官僚は特高警察の暴力を背景に不正の限りを尽くしていたのだ.

 特攻させられた若者達だけではなく,当時の国民の多くはそんなことを知る由もなかった.
http://members.at.infoseek.co.jp/YaYa/isihara.htm

 現在の防衛産業は,その戦前戦中の「旨味の構造」をそのまま引き継いで来た.
 日本の現代先端工業は「濡れ手で粟」の軍需工業に擦り寄って楽をしてボロ儲けしたい欲求が,いま,極度に高まっている.
 基礎経済の弱体化が,究極の「甘え経済」である軍需産業転換に誘惑されているのだ.
 経済倫理は地に堕ち,産業そのものも弱って腐敗が満ちて来ている証拠である.
 経団連が自民党と民主党を「献金」で買い取り「操縦」するなどと公言する浅ましい時代になってしまったのである.
http://www.tcxpress.com/intv_01.html
 「ゼニ儲け」のためなら日本の若者たちに強盗の前科が付こうが,奇形児が産まれようが構ってはおれない.
http://www.modern-korea.net/column/sonota/beikoku.html
http://www.yukyutushin.com/2001/08/17.html

 【事実】
 ありもしない脳内軍需産業を批判している.

 第1にに,軍需工業は,「楽してボロ儲け」できる業種などではない.
 もしそうだというのなら,対GNP比で数十パーセントをつぎ込んだソ連が経済的に崩壊した理由を教えてほしいね.「楽してボロ儲け」出来る分野に集中して投資を行った国が,何故潰れるのだ?
 最近のボーイングの業績なんか見たことないんだろうね.
 ここ10年くらい,アメリカでもヨーロッパでも軍需産業の合併が続いているのも,軍需が儲からないからだしな.イラク戦争でも極端に兵器発注が増えたわけじゃない.

 自衛隊の装備品を担当しているメーカーは,さらに儲かっていない.自衛隊の装備品なんて,予算などの制約から,少数生産にしかならないにも関わらず,ラインや専従人員は維持しなきゃいけないから大変だしね.
 イラク派遣で日本の軍需工業に大量の発注があったわけでもないし,将来発注が増加する見込みもない.それは,派遣人数や持ち込んだ機材の数を考えれば,すぐに分かることのはずだが…….

 ちなみに,引用されている一番上のサイトには,
「この八月に日産自動車がアメリカの兵器産業のマーチソ社と「軍事提携」したのなんか,その露骨な例だ.いよいよ自動車会社が,ミサイルをつくるのだ」
などと書かれているが,日産はずっと前からロケット兵器を自衛隊に納入している.
・75式自走ロケット発射機
 製作:小松製作所(車体),日産自動車(発射装置,ロケット弾)
http://www15.tok2.com/home/lttom/military-powers_jgsdf/other/75rocket.htm

 そもそも,ニッサンやスバルは,中島飛行機が母体.中島飛行機は1945年まで,日本の代表的軍用機メーカーだ.

 むしろ兵器を作っていない自動車会社の方が珍しい.サーブなど,車のCMに自社の戦闘機まで出していた.おまけに,サーブ製の戦闘機のエンジン作ってるのはボルボ.

 理屈の上では,戦争が長期化し,増産体制が強化されれば,軍需産業が儲かることはありうる.
 でも現実には,どこも受注量が減って,そのなかで競争が激化している.
 戦争のせいで軍需産業が儲かるという話には,実際どの程度発注量が増えたのかという証拠がまず出てこない.

(軍事報道を考えるスレッド in マスコミ板)

 【質問】
 その儲からないはずの自衛隊機の導入に関し,中島洋次郎代議士が自殺のリスクを犯してまで動いたのはなぜ?
 【回答】
 基本的に不採算部門だからだよ.
 技術,生産ラインの維持には金がかかるけど,それを維持できるだけの発注規模はない.競争が激化している中で,少ない発注を争っているから.

 「戦闘機王国,中島(現・富士)」復活の悲願もあっただろう.

(軍事報道を考えるスレッド in マスコミ板)


 【珍説】
 イージス艦と,イラク派兵だけで既に就業者1人当たり6万円/年の負担になっています.

イラク負債の消失(3386億)
イージス艦3積分(3600億)
戦費(515億)
合計 7501億円

 庶民の感覚では,子供2人に,嫁さん,親4人分食わせているつもりだが.それで8掛けして6万円
 健全なサラリーマンはみなこう考えている.

(矢野)

 【回答】
 それは一体どう言う計算ですか?

 私の知る限りでは,02年4月〜03年3月インド洋派遣の直接費用138億円,今年度のイラク派遣費用は総額377億円.
 インド洋派遣の方の資料,今年度の見付からなかったのでとりあえずこれで足して計算します.
 すると1年で合計515億円.
 日本の就業人口が約6000万人.すると一人当たり・・・千円もいかないんですけど.

 ・・・・・ちょっと『就業者1人当たり6万円/年の負担』を掛け算して逆算して見ます.

6000万人×6万円=3兆6000億円/年.

 ・・・・・なにか計算,間違えてませんか??? 海上自衛隊の年間予算の3倍以上じゃないですか」

>イラク負債の消失(3386億)

 これは自衛隊を派遣していなくても負担している金額であり,「イラク“派遣”」の要項で加算するのは間違っています.
 負債放棄は,ヨーロッパ諸国はおろかロシアですら応じています.
 ちなみに日本は,今年度のイラク資金援助の費用を,対中国ODAを削ることで捻り出しています.

>イージス艦3隻分(3600億)

 インド洋派遣に廻すのは1隻です.
 しかも,DDHを中心に廻している間は,その1隻も日本近海に存在しているので,「インド洋“派遣”」という括りの予算にイージス艦3隻の建造予算を入れるのは間違っています.
 そもそもイージス艦は30年は使用するフネであり,年当たりで換算するなら建造予算は30年で割らないと駄目です.
 加えて,イージス艦はインド洋派遣だけが任務ではない.
 それなのに,インド洋派遣の費用にイージス艦建造費用を入れるのはおかしいでしょう.

>就業人口

 こちらの資料の真ん中辺り,「1.5 産業」の項目をご覧下さい.
 日本の就業人口は2002年で6330万人となっています.

(「週刊オブイェークト」,2004/12/7)


 【珍説】

北海道新聞
米軍「イラク空自は戦闘地域で活動」 米軍サイトに記述 鳩山氏が指摘
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060729&j=0023&k=200607288847
------------------------------------------------------ここから引用----
 民主党の鳩山由紀夫幹事長は二十八日の記者会見で,イラク派遣の陸上自衛隊撤退の一方で拡大される航空自衛隊の活動地域について,米空軍の公式ウェブサイト「エアフォースリンク」が「戦闘地域」と明記していることを指摘し,「明らかに憲法違反の活動をしようとしている」と批判した.

 同サイトは,世界の空軍を紹介するニュースの中で,空自の活動拡大について「一九五四年の創設以来初めて,航空自衛隊の隊員が戦闘地域に積極的に配備される」と記載している.
-------------------------------------------------------引用ここまで---

あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 んー,でも対空ミサイルの脅威は殆ど無いですけど.
 武装勢力はロシア製の携行型地対空ミサイルを射耗し尽くしてしまいましたから.

 どの辺が戦闘になるんでしょうか.

 JSF in mixi


 【質問】
 名古屋高裁のイラク違憲判断について質問があります,
 あれは「傍論であり,違憲判断ではない」と言う主張を良く見かけ,私もそうなんだと思っておりました.
 ところが,上記について某所で議論をしたのですが,判決文によれば,違憲確認請求については
「控訴人・池住みらの現在の権利または法律関係に関するものということはできないから,同請求は確認の利益を欠き,不適法(下記PDFのP23,「4控訴人らの請求について」「(1)控訴人池住みらの本件違憲確認請求について」を参照)」
と言う事で却下されたわけであり,
「違憲性は確かにある.
 ただ,君たちの具体的な権利を侵害してない.
 だから訴訟にはそぐわない」
と言う理由で棄却された模様.

 件の傍論といわれる部分については,以下リンクの
P21の下から3行目「(4)よって,現在イラクにおいて行われている」
〜P22の2行目「憲法9条1項に違反する部分が認められる」
までだと思います.
 これが傍論であると言うのは,何故でしょう?
 辞書を見る限り,
「判決における裁判官の意見のうち,判決理由を構成しない部分」
なのですが,傍論の正式な定義はどのようなものなのでしょうか?
 P24の19行目「本件派遣は,前記のとおり意見違法な活動を含むものであり」とする箇所を読む限り,判決理由に無関係とも思えないのですが,どうなんでしょうか?

◎判決文P1〜12
http://www.haheisashidome.jp/hanketsu_kouso/p1_12.pdf

◎判決文P13〜26
http://www.haheisashidome.jp/hanketsu_kouso/p13_26.pdf

2010年06月11日 11:47,鉄底海峡

 【回答】
 ちょっと調べてみましたけど,すげーぐだぐだしてる(笑)

 まず,この傍論(オビタ・ディクタム)というのは英米法の概念なんですね.
 英米法は判例法主義,つまり判決文が法的拘束力をもつので,判決文のうち,法的拘束力を持つ核心部分(レイシオ・デシデンダイ)と,そうではない部分(傍論)を明確に区別する必要があるのですね.

 問題の名古屋高裁判決の主文は,「控訴棄却」です.
 その理由を述べた部分(原告には派遣差し止めと損害賠償を請求する資格がない)というのが,レイシオ・デシデンダイに当たります.
「航空自衛隊のイラク派遣が違憲である」
という部分は,たとえこの部分がなかったとしても,控訴棄却という主文に変わりはない,つまり主文の直接の理由ではないので,傍論ということになります.

 それで,こういう解釈は合理的だと思うのですよ.
 というのも,国は勝訴しているので上告することができない.
 つまり,違憲判断については異議申し立てする機会が奪われているのだし,法的拘束力は認められないと.

 こちらのモトケンブログのエントリ(本文はただのゴシップですが),コメント欄が参考になります↓

違憲判決
>法律家としては,すでに識者の方たちが指摘しているように,
>傍論で判断すべきでないことを判断していると思います.

 具体的に誰が何と指摘しているのか分かればよいのですが.

 ちなみに,政府の公式見解はこちら↓
名古屋高裁イラク派兵違憲判決確定に対する政府の見解に関する質問主意書
名古屋高裁イラク派兵違憲判決確定に対する政府の見解に関する質問に対する答弁書

 話がややこしくなるのは,日本は大陸法であって成文法主義.そもそも判例には原則として法的拘束力はない.
 だから,レイシオ・デシデンダイと傍論という区別も意味がない,という説もあるのです.
 そこいらあたりはウィキペディアに,ぐだぐだと「独自研究」っぽく書いてあります.
傍論

 おおや先生に質問するといいかもです.

2010年06月11日 14:59,バグってハニー

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より

▼ 【関連リンク】
「おおやにき」◆(2010/06/25)傍論(1)
「おおやにき」◆(2010/06/26)傍論(2)
「おおやにき」◆(2010/06/27)傍論(3)
「おおやにき」◆(2010/07/03)傍論(4)
「おおやにき」◆(2010/07/06)傍論(5・完)


◆◆自衛隊の能力


◆◆装備


 【質問】
 イラク派遣自衛隊の装備は,どのような考えで選ばれたのか?

 【回答】
 一定の治安維持能力を持つため,部隊そのものが自らを守るために装備している武器の中から,ROEの規定に基づいて選択されたものと思われる.
 以下引用.

まず一定の治安維持能力が必要になります.
 自衛隊の担当地域が平穏だとしても,一定期間はその能力を見せつける必要があります.
 他の地域を担当している他国の組織に対する応援,例えば武器弾薬の輸送任務などもありえますから,ある程度の武器を持たせなければならない.
 これは普通科連隊,つまり歩兵連隊がもともと装備している重迫撃砲以下の「部隊装備火器」の範囲内で選びます.
 部隊そのものが自らを守るために装備している武器と,本格的な戦闘をするときに用いる武器は違います.
 これは,平和維持活動のような一定の強制力を発揮する目的のためだけに装備する武器と,正規軍同士の戦闘に参加させるために装備する武器の違いと言ってもよいでしょう.
 これはおのずと線引きができますので,イラク派遣の自衛隊は防衛用のものだけを持っていっています.

 ところで,持っていく武器よりも重要となるのは,部隊行動基準(ROE),つまり任務遂行のために,どんな状況下で,どのような手順で武器を使用するかを,事細かに定めておくことです.
 どんなに破壊力が大きい重装備を持っていたとしても,先に確実に攻撃されてしまうようなROEしかなければ,なんら意味をなさないからです.
 例えば,地域のイラク国民を守らなければならない場合が出てくるかもしれません.
 派遣されている自衛隊は,米軍のような正規軍が来たら対処できませんが,ゲリラ戦闘しかできない武装勢力が迫ってきたというとき,彼らに足止めを食わせながら(遅滞行動と言います),イラク国民も一緒に退避が可能なような武器は必要です.そのための行動基準も必要です.

 あるいは,自衛隊は宿営地に篭って敵を撃退しなければならない場合もあるかもしれない.
 そんなとき,「突撃破砕射撃」と言って,射手ごとに決められた方向に向けて小銃や機関銃を撃ちまくりながら敵の突撃を防ぐ場合がある.
 これはベーシックなやり方ですが,それぐらいのことが可能な武器と部隊行動基準を与えなければ,派遣自衛隊は現地の人の生命はおろか,自分の命も守れないことになりかねません.

 そのような最低限の武器を持たせて,では何をするかですが,最も大事なのはイラクの人々と膝詰めで話し,ニーズの発掘を行うことです.
 そして,その地域の住民が本当に望んでいることを行う.
 現時点では,それが給水,医療支援,学校・道路の補修となっていますが,さらには電力の供給であったり,大規模雇用の創出が待ち望まれていることは間違いありません.

小川和久著「日本の戦争力」(アスコム,2005.12),p.206-208

 小川和久は政府にもアドバイスを行う立場にあり,上記のようなアドバイスに基いて携行装備が決定されただろうことは,想像に難くない。


 【質問】
 最近の週刊誌の記事だと,自衛隊の装備している小銃や機関銃は5.56mm口径だけど,ゲリラの方は7.62mm口径だから威力や射程が負けていて,一方的にやられてしまうというのを結構見るんだけど,これはどうなんでしょうか?

 【回答】
 無視してください.

 歩兵の持つアサルトライフルは,日本のみならず,アメリカなどの先進国では軒並み7.62mmから5.56mmに移っていますが,理由として以下のものが挙げられます.

・小口径化により体積・質量が減り,7.62mmと比べて倍の数の弾を持てるようになる.
・有効射程は100mほど減って300m程度となったが,歩兵同士がうちあう距離はほとんどの場合100m前後で,問題無い.
・相手を殺さなくても戦闘不能にできればそれで充分.
・反動が減り,体格が小さい兵士でも撃ち易くなる.
・小口径化のためにむしろ貫通力は向上した(?)

 ただ,一撃で相手を行動不能にさせるストッピングパワーに欠けるとの意見もあり.

 一方,ゲリラが多用するAK47系列アサルトライフルの実包は7.62mm×39と言うものですが,発射された銃弾が持つエネルギーそのものは,米軍や自衛隊等,西側諸国の軍隊が使用するSS109という規格の5.56mm実包と比較して,実はあまり変わりません.
 使用する銃器や実包によってかなり変わってくるので,一概に同じとは言えませんが.

 また射程についても,戦闘時における実際の交戦距離はせいぜい100m程度が大半を占めていますし,市街戦ではほんの数mしか離れていないこともあるので,比較することにあまり意味はありません.
 あえて言えば,スイス軍や自衛隊のアサルトライフルは,他国のものに比べて長距離での射撃を重視しているのは事実ではありますが.

 実際の戦闘では,その他の要因(どちらが先に敵を見つけるか,攻める側と防御する側の差といったもの)の方が重要です.
 そして武器の威力は,それをどう運用するかで全く異なってくるのです.

 よって,銃火器の表面的なスペックだけで勝ち負けが決まってしまうように書いている記事は,偏向報道の一種と言えるので,額面通り受け取ってはいけません.

 なお,補足しておきますが,7.62mmと言う口径の実包でも種類によって威力は大きく異なります.

 AK47の7.62mm×39弾はアサルトライフル用に作られた弾で,日本でもライフル射撃用に多く出回っている7.62mm×51弾(7.62mmNATO弾)や,旧ソ連の旧型ライフル弾薬である7.62mm×54Rといったフルサイズのライフル弾薬と比較すると威力がずっと劣ります.

 もちろん,そうした旧型弾薬やそれを使用する銃器も出回っているでしょうが(アパッチ攻撃ヘリを撃墜したと宣伝させられた爺ちゃんが,カメラの前で持たされた銃もそうでした),すでに書いたように状況次第ですので,それが勝ち負けの要因となるわけではありません.

 ただ,敵味方の位置が遠い状況の戦闘が多いアフガニスタンでは,7.62mm NATO弾を使う銃器や,5.56mm NATO弾でもより長い射程が得られる長銃身のライフルの方が役立っているという話もあることは,念のため申し添えておきます.

(ニュース極東板)


 【質問】
 マスコミが,自衛隊の小銃は,国外で使用すれば,機関部に砂や埃が入って,すぐにジャムったりすると言ってたんですが,本当でしょうか?

 【回答】
 自衛隊の使用してきた演習場に,砂や埃がないでなし.
 千歳・島松近くの演習場で,キャタピラなどが巻き上げる凄い埃を浴びた小銃が,空砲を撃ちまくっているのは見たことがある.
 また,ジャムを恐れる余り,分解,清掃等に慣れない物を突然使うよりは,慣れたものを使った方が良いと思います.

(ニュース極東板)


 【質問】
 自衛隊の小銃と,米軍の同一口径のセンターファイア薬包には,パウダーの質,分量などの差異は?

 【回答】
 89式の実包はNATO弾SS109(米軍制式名M855)と微妙な差違はあるらしいものの,自衛隊の実包も同規格なので問題はないはず.つまり,米軍現用の5.56mm実包も使えるということです.
 64式は7.62mmNATOとは違って減装薬を使っており,撃てることは撃てるらしいが,耐久性などに問題が出るそうです.

 市販されている実包の場合,装薬量が少々違うなんてのは当たり前で,皆そうした実包を普通に使っているわけですし,万が一装薬量などに差があっても,小銃や機関銃には規制子(ガスレギュレータ)という機構があって,それを適切に調整すれば多少の装薬量の差は吸収できます.

 また,今回の派遣では,米軍と弾薬のやり取りをするようなケースは,よほどの事態にならなければ発生しないでしょうから,「口径が合っていても,実は使えない」事があったとしても,問題ではないでしょう.

(ニュース極東板)


 【質問】
 装備について質問させてください.
 自衛隊のイラク派遣部隊が無反動砲と対戦車砲を携行していくようですが,どちらも対車両用の携行火器ですよね? なぜ2種類持っていくのか分かりません.それぞれの長所,短所を教えていただければうれしいです.

 【回答】
1 「84mm無反動砲」
  対装甲車両用の「対戦車りゅう弾」,対人用の「りゅう弾」,夜間照明用の「照明弾」,煙幕用の「発煙弾」等の弾薬を発射できる多用途な火器.
  砲弾が有れば何発でも使用できる.有効射程は700-1000m程度.
  発射時の反動を抑える為に後方に爆風を逃がす構造になっている.その為に後方数十mは後方爆風の危険区域となり,また狭い壕や室内からは射撃できない等取扱上の制約が多い.

2 「携帯対戦車弾」
  弾種は「対戦車りゅう弾」のみ.84の2倍以上の装甲貫徹力があるが,有効射程は短い.
  操作部を除き基本的に使い捨て.
  「カウンター・マウス」と呼ばれるチップを後方に飛ばすことで84よりも後方危険区域を減少させ,狭い室内からも発射可能になった.

 こんなところでしょうかね.

 つまり「携帯〜」は自爆車両等に対する警戒や瞬時の交戦性に優れており,「84」は状況に応じた火力支援が可能であると言うことで派遣部隊の装備に挙げられているのではないかと・・・.

(ドカン・オオカミ ◆s6tJH5.VuA in 自衛隊板)

 【質問】
 爆弾積んで突っ込んでくるトラックを止めるために使用するとニュースで言ってたが,
「目視確認!」→「用意!」→「てー!」
で間に合うのか?
 【回答】
 号令と動作が同時進行していればできる.(自衛隊板)

 【質問】
 90式とか日本の戦車は砂漠で運用することは問題があるってニュース板に書いてあったんですけど,どういう問題があるんですか?

 【回答】
 まず,砂漠地帯の気候に合わせたエアコンを積む必要がある.
 それと,最高気温50℃などという気候でも問題が起きないように,エンジン,電子装置,居住性等各種設備を耐熱仕様にしなければならない.
 あとは,砂で電子機器やエンジンがやられないようにする為の防砂対策も重要.
 何より,自衛隊の戦車隊員の人達は,砂漠で戦車を運用する為の訓練を受けていない訳で.
 それらを考えれば,戦車と隊員をイラクに運んで,はいOK・・・という訳には行かない.

 【質問】
 中東仕様のチャレンジャー戦車買って隊員だけ空輸すればいいじゃん
 【回答】
 そうしたら,隊員にチャレンジャーの習熟訓練やらせんといかん.戦争末期のドイツ軍じゃあるまいし,現地で実地で訓練でもしろと?

 それと,戦車を運用するには戦車だけではなく戦車回収車や戦車運搬車も必要.中東派遣の時に使うためだけに一式買うのか? 金の無駄使いだろうそれは・・・.

 派遣終了後,日本に持って帰ってきても,あんなでかくて重い戦車どうするんだ?

 それなら,イギリス軍から戦車部隊をレンタルすれば済む.あるいは,同じイラク派遣軍としてイギリス軍部隊に護衛を依頼すれば良いだけの事.

 【質問】
 自衛隊の軽装甲機動車はイラク派遣の際,米軍から高評価を受けたと聞いたことがあるんですが,本当ですか?
 軽装甲機動車って他の国の同類の装甲車と比較してどうなんでしょう?

 【回答】
 本当だよ.

 あの手の小型四輪装甲車としては普通.
 とびぬけた可もなく致命的な不可もなく.

 ただ実は,あのサイズの小型装甲車って意外と少ない.
 いわゆる「装甲ジープ」だとフランスのパナールVBLが有名だけど,あれは標準型だと二人乗り(詰めれば3人乗れる).

 米軍は運用思想の都合から小型の四輪装甲車を整備しなかったため,イラクのような戦場では市街地で小回りの利く小型の四輪装甲車が不足していて,防弾性の低いハンビーで苦労してたので,軽装甲機動車をうらやましがった.

 そのため,自衛隊の軽装甲機動車が注目されることになった.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 さっきテレビでイラクの自衛隊が写ってたんですが,装甲車の横に”毘”と書いてありました.これは部隊記号か何かでしょうか? 単に武運長久を上杉謙信にあやかっただけとか?

 【回答】
 ビッカース社製と言う意味です

という,マニアにしか分からない冗談はさておき,別に上杉謙信と限らずに,毘沙門天は別名多聞天とも呼ばれる仏法を守護する四天王の一柱,七福神の中では戦い・勝運の神様として非常に有名ですので,普通に毘沙門天にあやかった可能性もあると思われます.


 【珍説】

イラクに降り立った軍神「毘沙門天」

 「日の丸」と並んで「毘」マークがテレビに映されるのを見てギョッとした.
 イラク入りした自衛隊の装甲車両の脇腹に書かれたこの字は,言わずと知れた「毘沙門天」の頭文字だ.
 戦国武将の信仰を集めた「軍神」(北方の守護神)で,特に上杉謙信は軍旗に「毘」と染め抜いて戦ったという.

 毘沙門天に対して,東北人は敏感である.
 征夷大将軍として「蝦夷征伐」の陣頭に立った坂上田村麻呂は,毘沙門天の化身と伝えられているからだ.
 岩手県東和町に日本最大の毘沙門天像がある.
 足下を見ると,この像は女性の手に支えられる格好で仁王立ちしている.
 地天女と言われるこの女性は「蝦夷(えみし)」を表していると言う.
 見るからに「鎮撫の図」といった趣だ.
 東北の地を平定した田村麻呂たる毘沙門天は,この地では「侵略のシンボル」と映るのである.

 今回の自衛隊派兵について,小泉首相は「戦争に行くのではない」と言う.
 しかし,日本古来の軍神と共に進軍する自衛隊を見ていると,戦乱の地に赴く戦国武将か田村麻呂の姿を連想してしまう.
 「毘」マークを掲げるこの光景の中に,自衛隊のたくまざる意思を図らずも垣間見たような気がする.

 イラクの人々がこの文字に刻まれた日本の歴史を知ったとき,どのような気持ちを抱くか.
 日本人の想像力の射程は,そこまでは届いていない.

(増子義久,a journalist, from 「週刊金曜日」,2004/3/5)

 【事実】
 東北人馬鹿にしているとしか思えないな.妄想もいい加減にしろと.
 自衛隊=侵略と主張したいから,無理矢理田村麻呂と毘沙門天を引っかけ,侵略のシンボルとか強弁している.
 しかし実際には,これまで軍事板内外で東北在住者の意見を募ってきたが, 田村麻呂や毘沙門天を単純に「侵略のシンボル」と見ている意見は一件もない.

 「毘沙門天」については,おおよそ以下の4つの意味合いが存在する.

 (1)一般的に,「北面の守り神」として祀られる毘沙門天
 (2)古代の良将にして名将である坂之上田村麻呂を祀る毘沙門天
 (3)源義経伝説の象徴としての毘沙門天
 (4)一般的に上杉謙信という戦上手を象徴する毘沙門天

 (1)の意味合いで言うなら,増子は地天女の意味合いを誤解している(強引に結論へと帰結させるこの文を見ると,歪曲しているのかもしれない).

 中国の古い伝説であるが,昔,西域に兜跋国(とばつこく)という国があり,敵に攻め滅ぼされる寸前であった.その時,毘沙門天が地天女に押し出されるように,突然地中から姿を現し,兜跋国を救ったといわれる.この伝説は,すでに奈良時代には日本に伝えられていたらしく,平城京の南面正門である「羅生門」には,兜跋毘沙門天が祀られていたという.

(「毘沙門天を巡る旅」 in 「伝説探訪」)

 毘沙門天を押し出している地天女を指して,どこをどう推せば「鎮撫」になるのか?

 なお,「毘」章は,先遣隊だった北海道駐屯部隊の96式装甲車にマーキングされていた模様.
 個人の推測だが,毘沙門天の本来の意味である「北門を守る神様」の意味合いで,「ソ連の南進から日本を守る部隊」の意味合いで使っていたのではないかと考えられる.
「ソ連の南進を防ぐ頼りになる部隊とは思えど,嫌悪感を抱く理由は皆目検討が付きませんな」
と言う東北人もいる.

 次に(2)であるが,田村麻呂は単純な侵略者扱いではなく,むしろ慕われてさえいるという.

 坂上田村麻呂は,大軍(武装した稲作キャンペーン集団ともいえます)を背景に中央政権の北限の拠点を多賀城(たがじょう,現・宮城県多賀城市)から志波城(しわじょう,現・盛岡市)へと伸ばしますが,相手の事情を理解しつつ,やみくもに武力を用いることがなかったので,よく治まったとされています.

 ねぶたまつりの武者人形のなかで,最も人気がありよく作られるのは田村麻呂の像です.<怒れば猛獣も倒れ,笑えば赤子もなつく>という魅力に富んだ風貌伝説とあいまって,武将であるのに寛仁のこころをもった人柄が,いつのまにか津軽の人たちにも染み込み,慕われてきたからに相違ないでしょう.

(「坂上田村麻呂」 from 「北東北こだわり百科」)

 また,民間伝承によれば,
「田村麻呂はアテルイに勝ち,身柄を京へ送ったが,その時にアテルイの命を救うよう,朝廷に嘆願書を出した.
 朝廷は結局アテルイを処刑するが,それは田村麻呂の本意ではなく,田村麻呂はあくまでも穏やかな形での蝦夷の統治を望んでいた」
 というものがあり,朝廷の侵略行為自体はともかく,田村麻呂個人については,正々堂々とした立派な武将という形で一般的に語られているという.
 アテルイも和歌を詠む程の教養があったと伝えられ,捕らわれたアテルイは田村麻呂と親しく語り合い,お互いに深く共感するところがあったとしている伝承もあるという.

(HN 「岩手県人」 in FAQ BBS)

 さらに,網野善彦は『日本社会の歴史』上巻(岩波新書)において,
「こうした日本国の動揺は,東北人にも敏感に反映し,この国家自体の中でその地位を得ようとする手中が現れてきた反面,政府が服属した『蝦夷』−東北人を『俘囚』として,九州はじめ各地域に移住させて,平民と差別したことに強く反発し,744年(宝亀5),東北人は陸奥の桃生城に攻撃を加えた.
 これが811年までつづく,東北人と日本国とのいわゆる『三十八年戦争』のはじまりであった」
とする.
 網野氏は,一連の東北での軍事を日本と東北という異なる共同体の対立とみており,その意味では「侵略」という観方を取る一方で,一部の蝦夷の大和朝廷への帰順,帰順した東北人の差別的待遇への反発から,東北人が戦端を開いたことを指摘している.

 つまり,蝦夷征伐自体,単純な侵略戦争とは言い難い.

 (3)
 必ずしも「毘沙門天=田村麻呂」を意味するものでもなく,「義経伝説⇒毘沙門天」のケースもあるとされる.源義経の奥州入りと,真偽はさておき,実は死なずに逃げのびた伝説もあることに伴い,源義経に関わりや由来を持つ東北の神社仏閣では,源義経と縁の深い毘沙門天を祀るケースもまたあるという.

(HN「青森県出身者の1人」 in FAQ BBS)

 僅かな数の家来だけを伴って落ち延びてきた義経を,侵略のシンボルと見ることには当然,無理があるだろう.

 (4)
 上杉謙信の旗印が「毘」であったことは,「坂上田村麻呂が毘沙門天の化身である」とする逸話よりも有名な事は,論証を特に必要ともしないだろう.試しに,TVドラマになった数で,謙信と田村麻呂とを比べてみるといい.
 しかも,上杉家は秀吉時代以降,会津〜米沢の領主であり,大きな怨み事を抱えるような感じでもない.

 以上により,(1)〜(4)のどれも「侵略のシンボル」と見られているとは言い難い.
 辛うじて(2)が「侵略のシンボル」に思えそうでもあるが,(2)のケースの場合,単純に恨みを買うような「侵略者」とは見られていない可能性のほうが高い.

 それに増子の言う通りだとしたら,神奈川県民の俺は新田義貞や豊臣秀吉が「侵略のシンボル」になるのだろうか? 謙信や信玄は? 薩長軍もか? 何処かの家紋見たら「侵略のシンボルだ!」って叫ばなきゃならんことになってしまわないか?

 さて,とある地元民氏によれば,
「古代東北の平定という史実を利用し,妙な方向に持っていきたい空気を感じる時もある」
という.
「昔は,
・後藤新平(台湾,朝鮮総督,東京市長) 
・高野長英(蘭学者)
・斎藤實(30代内閣総理大臣,2.26事件時には内大臣.惨殺さる)
の三偉人が主体だったが,最近は冷遇気味.
 ここ20年は緯度観測所でZ項を発見した天文学者を押してたんだけど,地元出身でないし,発見したのが日露戦時だったので,最近はこれも冷遇.

 で,今はアテルイ. 
 子供層に浸透させたいのか,エミシ抵抗の英雄扱いショボイアニメまで作ってた」

 しかしこれも,「悪路王」≠アテルイという図式が本来で,いつしかそれが「悪路王」=アテルイになってるらしい.
 また,岩手県平泉町にある達谷(たっこく)毘沙門堂の山門の立て看板には,
《東北古代史の英雄・坂上田村麻呂公を顕彰する》
と題し,次のように書かれている.

 この頃征夷大将軍坂上田村麻呂公を中央からの侵略者・悪路王こそそれに抗した郷土の英雄とする考えがあるが,これはおかしい.達谷に伝わる〈籠姫〉や〈姫待瀧〉〈鬘石〉等の伝説では,悪路王に苦しめられる民草を救うのが大将軍なのである.昔から苦しめられる側であった民草は救う人に心を寄せ,大将軍を毘沙門天王の化身として信仰して来たのだ.

 大将軍創建の社寺,大将軍の伝説はこの東北に星の数程ある.当に大将軍こそ東北古代史の英雄であろう.達谷窟毘沙門堂は大将軍と悪路王伝説の発祥地であり,日夜心を込め〈南無田村大将軍〉と唱えている.

(「達谷毘沙門堂」 in 「伝説探訪」)

 ちなみに,坂上氏の祖は,応神天皇の代に渡来した阿知使主です.後漢の霊帝の子孫を称していますが,魏・晋の帯方郡(平壌の南あたり?)が故郷の,中国系百済人かと思われます.
 東漢氏は帰化人系技術者をまとめていた氏族で,その一族が坂上氏です.
(混同されやすいのですが,阿知吉師は「阿直岐」のことと考えられており,別人です.
 こちらは百済系で,自分に優る人材として王仁を紹介した人ですね)

(ニダ? in FAQ BBS)

 したがって,増子の手法をそっくり真似ることで,「在日中国人・在日朝鮮人は侵略のシンボル」論も展開できてしまうのだが,増子はこれを認めるのかな?

 もしイラク人に「毘」の文字の由来を聞かれたら,七福神の説明からして欲しいものだ.
 大半がインド出身で,伝わって日本の文化に変化したと.
 その信仰が基盤の一つになり日本文化を形作ってきたと.
 一神教と多神教の違いくらい,向こうだって分かるだろう.

 昔の日本は多神教の影響で個人で勝手に自分の信仰する神様を決めていたからね.
 よく個人宅の庭に稲荷が祭っていたりするのもその影響.
 簡単にいえば,自分さえ良ければ信じる物は何でもいいんだよねw

 それをせず「軍神」という事だけ伝えるのであるなら,
「イスラム教がテロを起こす危険な宗教」
とだけ伝える事と何が違うのか?

 ちなみに,この増子義久氏ってのは元朝日新聞記者.

(板橋上等兵他 from 軍事報道を考えるスレッド, マスコミ板
& FAQ BBS)


 【質問】
 なんでイラク派遣の自衛隊輸送に自衛隊機,または米国機じゃなくてわざわざロシアのアントノフなんて使うんですか? よく落ちてるのに…

 【回答】
 自衛隊のC-130じゃ航続距離も足りないしペイロードも小さいから.
 An-124使うのは,逆に航続距離も長くペイロードも大きいからかと.

 参考に現代大型輸送機の(ざっとした)データ
               搭載量  速度  航続距離
ボーイング747-400    100t   M0.86   12,000km
ロッキ−ド C-5      130t   M0.72    9,600km
アントノフAn-124-210 120-150t  M0.8   10,000km(150d積んだ場合約6,000km)

 日本は政府専用機としてボーイング747-400を持っており,長距離空輸を自前で行う時はこれを使わざるをえないのが実情.
 自衛隊はその歴史的経緯から,大型で航続距離の長い輸送機を持ってないからです.
 今年3月のことですが,ヨルダンにイラク戦争の難民用テントを運んださいも,政府専用機か使われ,外国の関係者を,何事か?と唖然とさせたとか.


 【質問】
 イラクに派遣された自衛官が着ている迷彩服はどこ用の迷彩ですか?
 また,自衛隊は沙漠用の迷彩の制服はないのですか?

 【回答】
 あの迷彩は東ティモールなどで使用されている,生地が薄くできていて,背中や脇にメッシュの入った防署用の迷彩服です.履いている半長卦も,くるぶしのあたりからメッシュが入った防暑用となっています.

 現在の所,制式のデザートタイプの迷彩服は自衛隊にはありません.今回は予算等の都合で作られませんでした.今後の展開次第ではどうなるか分かりませんが.

 ただし,湾岸戦争時,航空自衛隊が現地の邦人を輸送するために派遣されかけた際,その時の派遣隊員用に作られた砂漠用迷彩服があります.
 結局使用されませんでしたが,その後航空自衛隊の幹部候補生学校の戦闘訓練に数年前まで使用されていました.

 ちなみに,迷彩服と呼ばれているものは,米軍では BDU=Battle Dress Uniform と呼ばれています.
 学ランみたいなのはService Dress Uniform で,礼服はMess Dress Uniform.
 uniform=制服と考えれば,迷彩服も制服だということになります.

 看護婦の白いドレスも「制服」です.

(招福猫 ◆hNSBMrrUeA他 in 自衛隊板)

 なお,小川和久によれば,グリーンの迷彩を着る事にもちゃんとした理由があるのだという.
 以下引用.

 自衛隊員はグリーンの迷彩服を着ており,沙漠用の戦闘服を着ていませんね.
 沙漠でグリーンの迷彩服はないだろうという声がありますが,そこにもちゃんと理由があるのです.
 あれは米英軍その他との違いをハッキリさせるためなのです.
 そのようなことも,現地住民の意見を聞いて実行しているのです.

小川和久著「日本の戦争力」(アスコム,2005.12),p.208

 ただし,今(2006.10.1)現在も,航空自衛隊のC130がクウェートに派遣されていますが,現地では基本として砂漠用迷彩服を着用しており,酷暑対策に効果を上げているようです.
 留守家族に送られてくる現地で執務中の写真や新聞などでは,すべて砂漠用迷彩服を着用した姿が写っています.
 ただ,既製品でかつ数が限られているため,自分にあったサイズの物がないと嘆いている隊員もいるようです.

 陸上自衛隊が着用していたODの防暑用の迷彩服・半長卦も併せて持っているようで,実際に小牧から出発する際,及び帰着時にはODの迷彩服を着用しています(家族と撮影した記念写真あり).

 そのため,以下は推測の域を超えませんが,ODの防暑用の迷彩服はある程度数があり,充足している一方で,やはり酷暑対策という面では砂漠用迷彩服に一日の長があると考えられます.
 そして,基本的に基地から出て作戦行動することのない(休暇による外出は別です)航空自衛隊クウェート派遣部隊では,小川和久氏指摘の面を考慮する必要もない(もしくは薄い)ため,数少ないながら酷暑対策に優れた砂漠用迷彩服を現地では採用しているものであり,かつ,その予備が少ないため,砂漠用迷彩服を現地派遣部隊分との交換後,現地との往復の間ではODの防暑用の迷彩服を着るといった使い分けをしているものと考えられます.

 以上,元留守家族からご参考まで.

名無し家族 by mail

自衛隊員の迷彩服▼

下は空自の砂漠迷彩服


 【珍説】
 以下の記事にあるように,防衛施設庁職員がイラクにおいて,自衛隊と同じ迷彩柄の“戦闘服”姿で活動するのは法的におかしい.

イラク派遣 文民なのに…施設庁職員が戦闘服

 イラクに派遣され,陸上自衛隊と行動を共にしている防衛施設庁職員二人が,自衛隊と同じ迷彩柄の“戦闘服”姿で活動していることが分かった.
 自衛官以外が制服や戦闘服を着用した場合,軽犯罪法違反などに問われる.
 防衛庁は「海外なので問題はない」というが,施設庁職員から
「われわれは文民だが…」
と戸惑う声が出ている.

 派遣されているのは,土木と電気が専門の技術幹部.
 陸上自衛隊の「イラク復興業務支援隊第三次要員(約百人)」に組み込まれ,自衛隊がイラクの地元業者に発注する公共事業の費用積算や完工検査を担当している.
 二人は灰色の作業服を持参したが,イラクでは自衛隊と同じ迷彩柄の戦闘服とヘルメットを着用し,他の隊員と見分けがつかない状態.
 防衛庁運用課からも職員二人が派遣されているが,こちらは戦闘服を着ていないという.
 関係者によると,施設庁職員は宿営地外での活動が多いことから,異なる服装で標的になるのを防ぐため,自衛隊側の判断で戦闘服の着用を決めたという.
 現地からの写真を見た国内の施設庁職員は,「戦闘服なのか?」と驚きの声をあげた.

 自衛官は自衛隊法施行規則の「服制」で制服や戦闘服の着用が定められているが,防衛施設庁職員は自衛官ではなく,文民.軽犯罪法は
「資格がないのに法令により定められた制服を用いた者に拘留または科料を科す」
としている.

 これに対し,防衛庁人事一課は
「軽犯罪法は国内での決まりなので海外には適用されない.
 施設庁職員は『派遣隊員』であり,戦闘服を着る資格もある」
と説明.防衛庁の法律専門家も
「自衛隊法施行規則の『服制』に違反している疑いはある」とするものの,「イラク特措法9条は防衛庁長官に派遣隊員の安全確保義務を負わせており,法律は施行規則を上回るから合法と解釈できる」
という立場だ.

 一方,東京国際大の前田哲男教授は
「戦闘服の着用は交戦員と見なされるおそれがある.
 文民として派遣した以上,服装も含めて文民らしく扱わなければならない.
 これが前例となるなら,戦闘服を着せれば,誰でもイラクに派遣できることになる」
と指摘.
 議論になる可能性がある.

 派遣されている二人は,六月に別の施設庁職員二人と交代する予定.

(東京新聞,2005/4/9)

 【事実】
 1)自衛隊には戦闘服はない.迷彩作業服だ.だから東京新聞も引用符をつけて予防線を張っている.

 2)防衛庁職員の殆どは自衛隊の隊員でもある(防衛庁職員>自衛隊員>自衛官)
 記事も「防衛施設庁職員は自衛官ではなく,文民」とあるが,「自衛隊員ではなく」とは書いていない.

***

 では元防衛庁職員が回答いたします.

 防衛庁の職員は,事務官,技官(総称して事務官等といいます.)と自衛官に分かれ,ほぼ全て特別職です.
 防衛庁職員のうち一般職に該当するのは,審議会等の委員などごく一部に過ぎません.(国家公務員法第二条第3項)

 で,自衛隊員というと,当たり前ですが自衛隊の職員(自衛官と事務官等)を指します.
 防衛庁の組織には3自衛隊以外に内局(市ヶ谷ではなく六本木ですね),防衛研究所,防衛大学校,防衛施設局などがありますが,それらの職員は自衛官であっても自衛隊員ではありません.

(のび助他 in 中東ニュース+板)

 つまり,物の見方だよ.

 国際法における文民保護っつうのは,文民への攻撃は極力排せって意味.
 文民が制服着てたら,そりゃ間違われて攻撃されるだろうね.

 でもさ.防衛施設庁ってのは,防衛庁2種とか1種とか受けて防衛庁に入る人間なわけ.
 防衛施設庁ってのは防衛庁の各機関扱いなのよ.つまり防衛庁の人間なわけ.
 イラクに派遣される文民という枠を作りながら,防衛庁の人間が
「我々は文民なのだが」
と驚くってのはどうなのかね?
 お前ら自衛官ではないけど,防衛庁機関の職員だろ?と.

 だいたい,こいつら施設設営の補助作業しにイラクの現場で働くんでしょ.
 だったら戦闘服着せてヘルメットも被せるだろうさ※.
 相手はもはや軍隊じゃないんだし.
 っていうか防衛庁職員なら確か(施設庁は知らんが)誰でも戦闘訓練座学でも受けるんだが.5日間くらい.

 んで,日本の文民が制服着てたら軽犯罪に当たるっつうのは,もうそんなん論難できないから付け加えてるだけ.それがどうしたのよっつうレベルの話.

 結論.
 そんなんで軍靴がどうたら言うんだったら最初から防衛庁になんぞ入るな.
 つうかよく読んだら驚いてるだけなんだから,そもそも問題性も糞もない.
 施設庁職員に警護作業させてるんだったら大問題だけどな.させてないだろ.

※徽章類が付いてれば大問題(階級章とか部隊章とか,肩の国旗は別よ)
 制服を着てれば大問題(戦闘服や作業服と制服の扱いはちょっと違ったと思う)
 戦闘服自体の着用は問題ない.
 例えば,駐屯地祭に自衛隊迷彩着て行ったらいろいろ厄介だけど(ていうか迷彩服全般を着ていくのは好ましくない),これの場合は自衛隊の判断で着せたって事だしな.
 記事に徽章類の事は全く触れられていないし…
 そんで「戦闘服」を強調しまくってるし….「作業服」かもしれんのに.


 【質問】
 質問です.
 PKOとかで現地に重機等を置いていく事は現行法で可能ですか?

(予備海士長 ◆0J1td6g0Ec in 自衛隊板)

 【回答】
 撤収時に建物や器材を一部残置するようです.

 防衛庁HP(報道資料)より
「東ティモール民主共和国政府に対する陸上自衛隊施設群の資機材の一部の譲与について」
http://www.jda.go.jp/j/news/2003/10/22a.htm

(ドカン・オオカミ ◆s6tJH5.VuA in 自衛隊板)

 確かに重器材の残置わ,カンボジアからやっとるが,「装備品」の残置わやってないわなぁ(笑)

 東チモールで使ってる施設器材のほとんどわ,東チモール用に新規に買い取ったもんなんだよね.

「装備品」わ当然持って帰ってくるが,お土産用に最初から置いてくるための器材わ,当然置いていく,と.

(緑装薬4 ◆.4aL5K3vps in 自衛隊板)


 【珍説】
 ニュースで見たけど,自衛隊って馬鹿だね.
 イラク派遣の野外手術用の車輛にデカデカと『赤十字』マークを書いてやがる.
 アラブでは十字は御法度.中東では赤十字のマークは「赤い三日月」で示すのが常識.
 赤十字社ではなく赤新月社がイスラム圏の常識.
 これで自衛隊はイラクで反感を買うことは間違い無いね.

 【事実】
 あれは赤十字で合ってます.
 あれは赤十字社の標章ではなく,1949年のジュネーブ第1条約(正式名省略)の第38条に定められている,軍隊の衛生機関の標章なので,日本の場合には赤十字を用いなければなりません.
 赤い三日月を用いれば,かえって物笑いの種になるだけです.


◆◆多国籍軍参加問題


 【質問】
 自衛隊は何故,多国籍軍に加わるのか?

 【回答】
 これまでは,自衛隊のイラクにおける法的地位は
「CPAの一員としてイラクに駐留している」
と言うことになっていた.

 しかし,CPA解散に伴い,
1,暫定政府と個別に「地位協定」を結ぶ.
2,国連安保理決議1546の中で規定されるか,暫定政府によって法的地位を保証される多国籍軍に参加する.

という2つの選択肢の内,2を取ったもの.

 その理由としては,
・イラク暫定政府からの個別に受け入れ同意と法的地位に関する合意を得ることは,政府発足直後で事実上不可能であるため.
・政府内には「国連加盟国の総意に基づいて編成される多国籍軍に加わった方が,より安定した法的地位となる」との見方もある模様.
・自衛隊が「連合国の要員」として法的地位を保証されていながら「連合軍には加わっていない」という現状を解消したいと言う面もあるだろう,多国籍軍参加の実績づくりを狙っているのもあるだろう.

 詳しくは
【総力特集】 多国籍軍参加問題 part1【徹底解説】(by 某S氏)
および
図解・自衛隊の多国籍軍参加問題(by Whitebear開米)
を参照されたし.


 【質問】
 多国籍軍に入ることで,自衛隊の活動内容や活動対象に変化はあるのか?

 【回答】
 今までと何ら変わりません.
 イラク特措法が派遣の法的根拠で,自衛隊の受け入れ対象がCPAから暫定政府に変わったことにより,「CPAの一員」から「多国籍軍の一員」に看板を掛け替えただけです.
 つまり,イラク特措法に定められた事はやるし,定められていないことはやらない,と言うことです.

 詳しくは
【総力特集】 多国籍軍参加問題 part1【徹底解説】(by 某S氏)
を参照されたし.


 【質問】
 多国籍軍に自衛隊が参加すると,自衛隊が多国籍軍司令部の命令で戦闘に参加する可能性があるのでは?

 【回答】
 以下の理由により,それはゼロに等しい可能性でしかない.

 (1)
 イラクの多国籍軍は「各国に指揮権」があると,米報道官が明言(読売新聞,2004/6/16) しており,多国籍軍司令部の指揮下に入ることはない.

 (2)
 「多国籍部隊司令部」(MNC)と「多国籍軍司令部」(MNF)は別物.
 司令部が違うと言うことは,治安維持部隊が戦闘命令を下そうにも,指揮系統が違うので,自衛隊には命令を下せない.

 (3)
 実際問題としても,自衛の為の装備しか持たない上に,正当防衛と緊急避難でしか武器を使えない480人程度の部隊に,14万を超える自衛以上の装備を持った治安維持部隊が救援を求めてくるなど,ほぼあり得ない.

 詳しくは
【総力特集】 多国籍軍指揮権問題 part2【徹底解説】(by 某S氏)
を参照されたし.


 【質問】
 多国籍軍には入るが指揮権は絶対に譲らないという,今(2004/6)の日本の姿勢は,国際ルール的に見て(実態は今も各国が独自に判断して行動しているとしても)ありなのですか?

 【回答】
 アメリカは絶対指揮権を譲りませんが,何度も多国籍軍を結成しています.
 国際ルールとしては,別に問題ないかと.

 実際問題として,アメリカなどが結成する多国籍軍に加入する際,指揮権が大事になるわけですが ,そこら辺は,支援部隊や輸送部隊などの投入でお茶を濁し,指揮権が重要な一線部隊は投入しないことになるかと.


◆◆対自衛隊テロ


 【質問】
 2月12日,サマーワ市街に落下した迫撃弾って,どんなもの?

 【回答】
 この画像
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20040212i213-1-A20040212233315692M-L.htm

 さらに落ちた砲弾のサイズ,加えてアルサハーニ・ムサンナー県知事の談話,
「攻撃に使用されたのはカチューシャ 107mm型だ」(毎日新聞)
などから推察するに,これは旧ソ連製107mmロケット砲弾と思われます.
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/row/type-63-r.htm

 カチューシャ・ロケットは第2次大戦以来のベストセラー兵器です.命中率は低くてもいいから,とにかく敵陣にたくさんのロケット弾を叩き込もうという,いかにもロシア人が好みそうなコンセプトで開発された兵器で,コスト面での安さ,簡易な構造,そこそこの威力から,今なお多くの国家で愛用されています.

 イラク軍の主装備は大部分が旧ソ連製でしたから,当然にこの兵器も持っていたことと思われます.おそらくフセイン元大統領を支持する何者かが,政権崩壊が決定的になった時点で,来る日の為にロケット弾を隠匿しておき,自衛隊がやってきたことで時節到来と見,今回の攻撃に踏み切ったのではないでしょうか(中東の過激派の標準装備でもありますので,彼らが国外から持ち込んだ可能性もありますが…).
 砲弾自体は簡単な砲身と自動車のバッテリーがあれば発射できますので,軍隊経験者がいるなら,ランチャーの製作・発射もそう難事ではないでしょう.

 但し,このロケット弾で目標を狙って命中させるというのは,まず不可能です.もともとの命中率が低い上にお手製砲身ですんで….ゆえに,自衛隊やオランダ軍,公共施設を狙ったとかではなく,発射すること自体に意味があったと考えるのが適当でしょうね.

(イスラエル国防相 ◆3RWR.afkME)


 【質問】
 サマーワの自爆テロを計画していた組織の正体は?

 【回答】
 新生イラク警察当局によれば,シリア在住の旧フセイン政権の残存勢力だという.
 以下ソース.

 警察当局によれば,自爆テロを計画したとして逮捕されたシリア人ら3人は,シリア在住の旧フセイン政権の情報機関「ムハバラト」要員から資金を渡され,イスラム教シーア派の宗教行事「アシュラ」の期間中にテロを実行するよう命じられていたという.

 アシュラが最高潮を迎えた19日と前日の2日間でイラク全土で約100人が自爆テロの犠牲になったが,彼らの供述が事実とするならば,国外の旧政権残存勢力がアシュラを標的にするよう具体的に指示していたことが明確になったと言えよう.

(共同通信,2005/2/22)


 【質問】
 イラクの自衛隊が狙われた事件について質問.

 1)
 路肩爆弾への対抗策はないの? 装甲車を1台先行させて不審物を発見させたりはしないの?

 2)
 米軍には路肩爆弾で何人も死者が出ているそうだけど,今回損害が防弾ガラスだけだったのはなぜ?

 3)
 なぜ自衛隊の車両が通る道が分かったの? ルートを毎日変更してはいないの?

 4)
 今回は被害にあった装甲車も自力で帰って来れたけど,もしそれができなくなっていた場合は ,その装甲車とか装甲車の中の人とかは,どうやって基地に戻るの? 牽引? 牽引可能な車が1台もいなかったときはどうするの? ヘリで宙吊り?

 5)
 自衛隊員が死んだら自衛隊派撤退するの?
 撤退しないんだとしたら何のためにテロリストは爆弾しかけたの?

 【回答】
 1)
 発見して対処するのが基本ではあるが,なかなか難しい.
 もちろん不審物の発見につとめたりはするが,偽装されていたり,埋められてたりするから.
 不審物に見えないように作ってあるのが路肩爆弾(IED)の基本だから.
 米軍では無人機を飛ばし続け,画像を比較し,変わった場所があれば拡大調査し,と大変な金と力をかけているが,それでも被害は止まらない.
 米軍は携帯電話を使った遠隔起爆に対抗するため,妨害装置なども使っている(陸自が持っているかは不明)が,それでも被害は止まらない.
 もっとも,かなり阻止されている部分もあるようだ.

 新聞報道によると,先行してルートを偵察するのは陸自も行っているそうだが.

 2)
 単にしょぼい爆弾だったから.
 今回の爆発は,バグダッド周辺で使われているIEDに比べると明らかに威力に劣る.
 本気のIEDはブラッドレーでもぶっころがす.
 IEDについてはイラクには弾薬が一杯あった(人民軍を作ることを考えてた)し,報道によると見張る人手がない時期があったのでいくらでも内乱側は入手できた.
 そして,ムハバラトにはIEDとその構成部品を設計する部門もあった.

 今回は大型IEDが使えなかったのだろうが,サマワは比較的治安がよく,シーア派主体の地域であるため,しっかりしたテロ支援組織がないことも大きいのかもしれん.

 3)
 通り道については,報道で分かるとおり,幹線道路でロータリーに差し掛かる前.
 内乱者も自衛隊の行動を見て,予定を事前に手に入れていた可能性もある.
 復興支援に行ってるわけだし,コースもある程度限定されるだろう.

 4)
 牽引可能な車が居ないという事態が有りえんだろう.
 通常他の装甲車が牽引.
 軍用車は行動不能になる事態を想定済みだから,牽引可能な車列を組むのが当然.
 ブラックホークダウンでも1機目の撃墜に対する備えはあった.
 また,サマワは豪州や英軍が治安維持とイラク人部隊の訓練をしている.自衛隊だけってことはない.

 5)
 テロリストか内乱者かはさておき,イラクには様々な政治勢力や内乱勢力があり,さらには湾岸戦争後のフセイン政権は部族を政治に組み入れてきた.広く言われているクルド,スンニ,シーアに留まらず,部族,さらには部族内の氏族ごとに政治があり,利害がある.
 なぜというのは下手人を捕まえない限り不明.
 自衛隊の撤退については日本の政治次第.


 【質問】
 イラクに持っていってる高機動車は防弾ガラスだけなの?
 装甲も施したほうが,万一の場合,生存率は上がる気がするが.

 【回答】
 小銃,弾片程度の防護はあったと思うが
 そもそも防弾ガラス使ってて本体が無防備ってことはないだろ.

 本格的な装甲は,予算を消費し,動きが鈍くなり,しかも防御力は大して上がらない.
 そんなものはまったく費用対効果のない対策です.

(軍事板)

 あれはそもそも"小回りの利くトラック"みたいな使い方してるから,装甲防御力なんてそもそも始めっから考えて無いと思った方が良い.
 見た目こそハンヴィーだけど,用途は全く別.

 トラックとしての運用例は下のURLのとか.
http://msada.zero-yen.com/kouki/kouki.htm
 小回りが利くの箇所は4WSによる旋回半径の小ささを指したもので,高機動車は最小5.6m,ハンヴィーは292in=7.4mとの事.
http://homepage2.nifty.com/yoyotoru/jgsdfmegac.html
http://members.aol.com/panzersgt/armor/m998.html
 あとは,成美堂出版が01年の末に出した「自衛隊歴代最強兵器BEST200」の136頁に
「73式中型トラックについては,現在代替する高機動車が実用化されている」
という記述あり.

 米軍装備で似たようなのと言ったら中型戦術トラック辺り,ハンヴィーに該当するのはむしろ軽装甲機動車の方だな.
 トラックに装甲と言うと,M939にM113のガワを載せた奴を思い出す(笑).

(CHF from 多事某論)

478 :呉の床屋 :2005/06/24(金) 16:33:17 ID:d2rP7fz/

ケブラーくらい内張りしてるかねえ〜?

内張り,新聞紙だったらヤダぞ.

(軍事板)


 【質問】
 マスコミの一部では,イラクの陸自復興支援群に対して爆弾テロが仕掛けられ たとのニュースを報じています.かなり大きな扱いなのでご存知の方も多いかと存じます.これについては犯行声明も出ていませんし,大した事件ではない と見るのが自然ですね.
 さて, この一部のマスコミさんは,このニュースを通じて何を言いたいのでしょう?

 【回答】
 結局,
「鉄砲を持ってイラクに乗り込んだから,何の罪もない自衛隊の隊員が死 の危険に晒された.
 可愛そうな被害者を出さないためにも,陸自はイラクか ら早く撤退すべき」
ということを言いたいのだと思います.
 しかし,隊員の命という点 だけ見れば,もっと危険度が高いインド洋における海自の活動については,何も言っていません.それが不思議です.

 基本構図は,
1.隊員は上官の命令により,命の危険にさらされるかわいそうな人たち
1.そんな隊員の家族はあわれな犠牲者
1.自衛隊の隊員がかわいそうだから,イラクから早く家族のもとに帰してあ げよう
というもので,この構造は陸軍アレルギーを植え付けるために使用された,典型的な階級闘争史観に基く共産主義の宣伝パターンです.

 強く感じるのが,
1.軍の機能への無知を装っていること
1.軍の意思決定と指揮官の責任に関する無知を装っていること
1.軍の任務への無知を装っていること
1.公私混同意識
です.
 軍は国民が選んだ政治家の命令に従い,国家目標を達成するため,軍事分野に 於ける任務を果たす実力集団です.
 国防が第一義の任務となりますが,国益追 求のために国家が必要とするならば,いかなる任務も果たします.
 軍の意思決定は各戦闘単位で行なわれます.
 指揮官個人が状況判断して意思決定を行い,命令を出します.イラクの支援群の場合,群長の決心が支援群の意思となります.
 部下がその命令を行動で示し,責任は指揮官が取る.というのが軍事組織です.

 軍人とサラリーマンが果たすべき責任には大きな違いがあります.
 軍人が果たすべき責任は,歴史に審判を委ねる無限責任です.行動に失敗すれば国益を侵害するわけですから,その重圧には大変なものがあります.軍人の行動は国益追求と直結しているので,評価に関しては後世の歴 史に判断をゆだねるしかできない面が強いのです.
 それが軍事組織で,各隊員は日々の訓練で徹底的に命令に従うことを叩き込まれます.
 と同時に,指揮官達は,変な命令を出すことのないよう,現役の間研鑚 に勤めつづけます.
 日々の演練で鍛え上げられた隊員やその家族が,
「危険な状況にいる自分達は,かわいそうな存在」
などと覚悟のないたわごとを思っているわけがないのです.

 それに,自衛隊員は全て志願兵です.危険な任務につくことがイヤであれば, 志願しないでしょうし,いつでも除隊できます.
 また,そういう人は訓練についてゆけないと思います.
 現地で任務をしている隊員も全て志願した方々で,現地では嬉々として任務 に励んでいると聞きます.
「かわいそうでしたね」
「大変でしたね」
「お気の毒でしたね」
「危険でしたね」
という言葉は,軍人とは無縁の言葉なんです.

 軍人と付き合って思うのが,みな「バカ明るい」(^o^)ということです. こういった,言葉と無縁の世界にいるからと感じます. またその基礎には「同期,戦友」との強い絆があるのだと思います.
 軍人の任務は,政治の命令に従い,国益を追求するためにその実力を発揮する ことです.
 実力とは戦争することだけではありません.
 例えば東シナ海に海自空母が常駐するといったようなプレゼンスもそうですし,イラクの支援群のよ うな人道復興支援もそうです.インドネシアでの医療支援もそうですね.災害派遣もそのひとつです.在外武官が魅力を振り撒いてその国で人気者になるこ ともそうです.
 どのオプションを選ぶかを考えるのが統幕も含めた各幕僚監部です.

 軍の行動といえば鉄砲を撃つこと. というステロタイプから,国民は早く脱する必要があります.
 と同時に,軍の本業は鉄砲を撃つことにあることも,きちんと受け止める必要が あります.
 法制度上どうあれ,自衛隊の実態は明らかに日本の国軍で,自衛隊に命令を下 しているのは間接的に私たち自身にあるということを忘れてはいけないと思います.
 また,行動に当たって無限責任を負うことになる指揮官の実態をよく理解し, 彼らがその能力を無限に発揮できる環境を用意することは,選挙民がなすべき 義務のひとつであろうと思います.

 さて, まっとうな社会人なら,社会で見せる顔と家族に見せる顔は違うものです.
 どちらの顔が本当の顔なの?というのは未成熟のいわば「ガキ」の言葉です. どちらも本当なんです.その矛盾を同居させることができるのが大人なんです. 抱える矛盾が大きいほどその人は大人だといえます.
 家族にかける私としての言葉だけが真実.私と公では私のほうが偉いんだ. とでもいわんばかりの幼稚な話が公の分野に出てくるのを見聞きするにつれ,
「日本人が一番嫌っていたはずの公私混同ここに極まれり」
を痛感します.

 最後にひとこと.
 これは当たり前の話なのですが,意外に知らない人が多いと聞きます.
 国益追求のためにとった軍の行動は罪に問わない,というのが世界の不文律です. 国家の命令に従い,国益を図るために身を粉にして働いた人を罪人として裁く というのは,あってはならないことです.
 全ての主要国で,国益を侵害した者に対しては例外なく極刑を持って臨んでいることと比較すれば,このこと はご理解いただけると思います.
 軍・軍人の行動が国益増進に寄与したのか否か?  これを審判出来るのは裁判所でなく,歴史なのです. 歴史がいかに大切なものか,ここからもお分かりいただけるかと存じます.

(「エンリケ航海王子」 from おきらく軍事研究会)


 【質問】
 ある通信社は,事件時の車列の順番を掲載していました.これ,どうなんでし ょう?

 【回答】
 おそらくどこかの記者会見時の説明で紹介されたんだと思いますが, この報道は敵も見ているわけで,現地自衛隊部隊は,この車列での出動は今後で きません.
 法的には問題ないのでしょうが,見識が欠けている気がします.
 もし私が記者だとしたら,この車列順は絶対に公開しないでしょう.

(「エンリケ航海王子」 from おきらく軍事研究会)


 【珍説】
「重装備の自衛隊が狙われるのは当然だ.事件の再発は避けられない.あらためて自衛隊の早期撤退を強く求めたい」

(市田忠義・共産党書記局長,共同通信の電話取材にて,2005/6/23)

 【事実】
 え〜,「重装備だから狙われるのは当然だ」と言う論理が理解できません.

 丸腰に近い軽装備の日本人外交官二人も殺害されましたけどね.

(多事某論)


 【珍説】
 これは想像に過ぎないが,イラクの自衛隊が攻撃を受けないのは,高遠さんらのボランティア活動や,目を負傷した少年を日本に連れて行って治療した,イラクで亡くなったジャーナリストの奥さんを中心とした活動などがあったからではないだろうか.

日本国際ボランティアセンター著「NGOの選択」(めこん,2005.11.6),p.164

 【事実】
 故橋田夫人の件はともかく,高遠らについてはただの希望的観測.
 別項で既に述べられているように,高遠達は殆どロクな活動はしていない.
 そんな活動でイラクの対自衛隊感情が向上するんだったら,誰もプロパガンダに苦労はしない.

 自衛隊が攻撃を殆ど受けなかった(IEDによる攻撃であわや,という危ない事例はあった)のは,ジャパン・マネーへの過大な期待に基く,自衛隊への絶大な歓迎ぶりがあったからに過ぎない.

消印所沢

 撤収直後のNHKの特集でもやっていましたが,イラク人の不満の大半はいっこうに改善しない雇用問題なので ,自衛隊が,当初予定していた公共施設の補修作業だけではなく橋や道路の建築作業も行ってサマーワに40万人分の雇用を提供出来た事が大きいみたいですね

 不満の捌け口がデモやテロなのだから,不満の元を断てば静かになるのはある意味納得な感じです

 電力不足が発生して冷房や冷蔵庫が止まって,またデモ等が発生したときも,発電所と変電所作ったりして 安全を再度確保してますし(撤収際の対策でもあった)

ナッシュ平蔵 in mixi支隊


 【質問】
 「イラクで自衛隊員死亡」という,ガセ情報の発生源はどこだったの?

 【回答】
 「イスラム・メモ」という現地インターネット新聞が発信源.
 それを一部の人が鵜呑みにして,メール・マガジンなどを通じて積極的に広めた,ということだった模様.

***

 情報というものは,それが正しいかどうか常に気を配らなければならない.
 怪しげな情報を裏も取らず,安易に流していては・・・それはただの怪文書でしかない.

【緊急ニュース】自衛隊員イラクで2名死亡か? 2004/10/13 aml

慶応大学の藤田先生からの情報を転送します.重複を失礼します.
========
緊急のお知らせです.イラクの自衛隊員が死亡したと言う情報です.
アラブの声ML 齊藤力二朗さんからの情報です.
http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/

転載開始

サマーワの日本兵2人が路上の爆発物で死亡 イスラム・メモ

 今朝ほど,イラクのサマーワの自衛隊宿営地がグラーダ・ロケット弾2発の襲撃を受けたと報じたばかりだが,今度は隊員2名が死亡したと,イスラム・メモが特報で伝えた.
 記事掲載時刻は,現地時間で13日午前11:50.

 イラク南部の都市サマーワの日本兵士2人が早朝殺害された.
 イスラム・メモの通信員は,現地時間で5時30分にパトロール中の日本軍の車に炸薬が爆発し,ジープは使用不能になり,日本兵2人が死亡した.

 日本は約550人の兵士をイラク南部のサマーワに駐留させている.

http://www.islammemo.cc/news/PrintNews.asp?IDnews=46929
*****

 上記が記事の全文であるが,原題名は「抵抗勢力はイラク南部のサマーワで行動開始」とある.
 記事の信憑性は不明であるが,事実とすれば,本日から東京で開かれているイラク復興支援国会議との関連が考えられる.
 連続して事件が起きているのに,日本のメディアが報道しないとは異常である.
 両記事とも誤報とすれば,イスラム・メモの信用は完全に失墜する.
********************************************************
藤田祐幸
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自衛隊員イラクで2名死亡の報道.日本軍を撤退させよう! 2004/10/14 wsfj

 来るものが来た.
 小泉の対米屈従の買弁路線の転換を強要する突破口に出来るかどうかの,重要な時が来た.
 サマーワ駐屯日本軍が襲撃されて2人の隊員が死亡したとすれば,日本政府は「イラク特措法」に従って,イラクから撤退しなければならない.
 開会中の国会では,小泉の施政方針演説が終わったばっかりのいま,これが取り上げられるならば,小泉はきっと何時ものような詭弁で切り抜けて,対米屈従の買弁政策を続けようとするだろう.
 だからそれを許さないためには,全国的な大衆行動以外にはない.
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 イスラム・メモの信用は失墜しました.(元々,信用なんか欠片もない情報元でしたから失墜もなにもないのですが)
 ついでに藤田先生の信用も.

【誤報確認のお詫び】自衛隊2名死亡か,の情報について 2004/10/14 wsfj

 昨日送りました情報について,メディア関係者が確認のために動いてくださり, 誤報であることが確認されました.
 転送をしたみなさま,申し訳ありませんでした.
 以下,藤田先生からのご報告をお送りします.
=========
 藤田です

 イラクの自衛隊員が死亡したとの情報は誤報でありました.
 昨夜は多くのメディア関係の方々が,この情報の確認のために動いてくださいました.
 その結果,防衛庁内局報道担当,陸上幕僚幹部報道担当,などで,これが誤報であることが確認されました.
 ご心配いただき,また確認のためにお手数をかけました方々にお詫びいたします.
 この情報を各方面に転載していただいた方々は,この訂正情報も転載してくださいますようお願いいたします.

 戦時下の当事者の情報の信憑性を確認することが,極めて困難なことである事を, 昨夜は身にしみました.
 また,サマワには日本のメディアが不在であることの意味 の重大性を,改めて考えざるをえませんでした.

 現地の情報を発信し続けていくことは,重要であると思います.
 情報の発信源の信頼性に,これまで以上に配慮しつつ,情報収集と発信に努めます.

 改めて,皆様にお詫びいたします.

藤田祐幸
--------------------------------------------------------------------------------

 現地のマスコミが如何に当てにならないか,これは最初から分かっていたことの筈.
「米軍は戦死者の遺体をヘリから投げ捨てている!」
等という無茶苦茶な情報が流れていた事すらありました.
(これは現地のインターネット新聞「バスラ・ネット」が流した怪情報)

 「イスラム・メモ」は「バスラ・ネット」と同じくインターネット新聞で,情報源としての信用性は元々,皆無に近い.
 アルジャジーラのようなマトモな情報通信社と同列に扱う方が間違っている.
 それなのに安易に真に受けて,大騒ぎする人達が多いのは何故だろう?

 日本で言えば,例えばインターネット新聞「JANJAN」がオリジナル記事を発信したとして・・・
 果たしてそれは信用が置けるものだろうか.
 少し考えれば分かる筈だが,それは個人のニュースサイトと大して信用性が変わらない.
 大学の壁新聞とどちらがマシなのだろう?
 最初から疑って掛かるべきなのに.

 なお,【はてなダイアリー】より人物紹介:藤田祐幸先生
によれば,藤田は劣化ウランな人です.

「週刊オブイェクト」,2004年10月16日
青文字:加筆改修部分

 ちなみに以下は,「アラブの声ML」に掲載されていた,「イスラム・メモ」側の釈明(?).

――――――
イスラム・メモは自衛隊員殺害事実を確信

 83,85,87号にてイスラム・メモが,サマーワの自衛隊宿営地ロケット弾攻撃と,自衛隊員2人の死亡を報じたことに対し,筆者はイスラム・メモに問い合わせた.その要旨以下の回答が本日寄せられた.
 一例として,ポーランド兵が攻撃により殺害され,イスラム・メモが報道した場合,隠蔽する最も簡単な方法は,2,3週間何も発表せず,その後交通事故死,誤殺と発表する.
 欧米やアラブの一般的メディアはまったく当てにならない.
  (イスラム・メモが誤った情報源から情報を入手したのではとの指摘に対し)

 もし我々が間違っていたのなら,我々はジャーナリストとは云えない.
 我々は神を恐れ,その罰を恐れる.
 誤っていたなら,読者に謝罪する.
【事実,報道後に誤りが発見され謝罪文を掲載したことがある】

 イスラム・メモはサマーワに報道チームを派遣する準備をしたのだが,報道掲載の翌日,イラクで活動していたイスラム・メモの従業員(報道員)の8割が拘束され,イスラム・メモは大打撃を受けたが,運命と思っている.
 我々は一日に60以上の記事を発信しているが,気高いイラク人が我々の報道を虚偽だと言った者が一人でもいるか?
 〔略〕
http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/

(2004年10月26日 17時28分35秒)

齊藤力二朗さん in 「週刊オブイェクト」コメント欄,2004年10月16日付
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 ネット情報だから信用できんというより,
「じゃあ普通の新聞は信用できるのか?」
って話だろ?

 回答】
 ネット新聞だから全てを信用できないとは言ってませんよ.
 普通の新聞より無茶を書けますから,比較的信用が置けないと言っている訳です.

 貴方は普通の新聞とスポーツ新聞,どちらを信用しますか?
 では同様に,普通の新聞とネット新聞のどちらを信用しますか?

 〔略〕
 その書きこみにちゃんとした情報源が明示されていない限り,信用なんてできません.
 結局,ネット新聞やブログ日記の信用性なんて,掲示板の書きこみと同じレベルなんです.

 故に信頼に足り得るソース,根拠,論理が必要となります.
(2004/10/16 01:29 PM)

JSF in 「週刊オブイェクト」コメント欄,2004年10月16日付
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
「日本は,今,戦時中ですよ」というと,反戦・平和の関係の集まりに来ている人でも,そう思っていない人がいます.

「戦時中」の定義にもよりますが,イラク特措法により自衛隊は現在でも米軍等の支援をしていますので,「日本は,今,戦時中」だと言うべきだと思います.

「戦争」は自分の家に弾が飛んでこなくても,海外の知らない人の家に爆弾を落としたり,知らない人が「テロリスト」扱いされて殺されたりするのです.

以下は,燃料調達先に関する赤旗の報道の一部分ですが……
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-01-07/2008010715_01_0.html
↓ここから引用
--------------
 自衛隊の幹部を集めた会議で制服組トップである統合幕僚会議議長が「今や,ある意味で組織にとって『War Time』(戦時)である」と強調したことがあります.
--中略--------
関係者はこう語ります.
 「随契で二社が独占していると批判されますが給油活動は『有事』対応なんですよ.『有事』のときに悠長に入札なんかやってられますか」
--------------
↑引用ここまで

上記の統合幕僚会議議長による「ある意味で戦時である」という認識は,正しいと思います.

あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 「交通戦争」という言葉を聞いた事があると思います.

 それをもって,
「今,日本は戦時です!」
 こんな事を言ったら,たぶんポポフはみんなから馬鹿にされると思います.
 国語力,もしくは常識のない人,として.

 かぎカッコつけて,部分を強調してみます.

「今や,「ある意味」で「組織にとって」『War Time』(戦時)である」
 自衛隊に対する風当たりの強さに,危機意識を持て,というお話のようにも思えます.
 もちろん前後の文脈がわからないとあれですが.(赤旗紙には,その言葉の前後まで,きちんと出して欲しいですね)
 このように「一部分だけを切り出して」「針小棒大に」「実は関係のない事と関連付ける」ことは,反戦平和運動に対しての疑念を増大させる結果となります.
 気をつけましょう.

ポポフ in mixi
(ポポフ by mail,2009.6.8.23:20により微改修)



 【質問】
 では,アメリカがやっている戦争は終わったとお考えでしょうか?

あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【回答】
 自衛隊という組織にとって現在,特別に危難の時だって話が,何故に「アメリカの戦争」に繋がるんでしょう?
 あつこばさんの中で最初からリンクしているという思い込みがあるからこだわるんじゃないかと思いますけど?

 なんと言うか,(言い方は悪いですが)陰謀論者と同じ事になってますよ.

矢乃崎 in mixi



 【質問】
 あつこばさんの引用先が,実際に何を意味してるかはともかく,「日本が戦時下にある」というのは,やや大袈裟ではあっても,間違いではないのでは?
 同盟国の戦争に手を貸しているのですから.

 無論ヒステリックな反戦運動は,今時「キモい」と言われかねませんが,多少は極端な言葉で注目を集めるのも悪くないのでは,と思います.

 ※当方携帯からのアクセスのため,あつこばさんのリンク先は見えません.よって,的外れな意見をしている可能性は多分にあります.
 しかし,「日本は戦時中である」という言葉,さらにはポポフさんの「交通戦争→戦時中」という言い換えに,特に違和感を持たなかったため,あえて書込みさせて頂きました.
 私は,近年のイラク戦争支援によって,少なくとも,日本はイスラム過激派から狙われてもおかしくない国になったと思います.
 マジで戦時中になる可能性はあるんです(国軍vs国軍だけが戦争ではないでしょう).

うだゆう in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【回答】
 レトリックとして「戦争」「戦時」という単語を使った事で,
「そのような政府の動きがある」
「戦時態勢に向っている」
と主張する理由にされてしまっているんですよ.
 こんなのは大袈裟とは言いません.
 「嘘」「デマゴーグ」と言います.

 こんなことでは反戦平和運動そのものが,「全く信用できない胡散臭いもの」とされかねません.
 私は反戦平和運動家ではないので,現在の勢力が潰れようがどうしようがかまわないのですが,間違った反戦平和運動が,保守穏健派の足を引っ張る事に危機感を抱いてます.

ポポフ in mixi

>近年のイラク戦争支援によって,少なくとも,
>日本はイスラム過激派から狙われてもおかしくない国になったと思います.


 イラク戦争支援以前にも,日本でイスラム関係によるものとも疑われるテロ(あくまで個人への行為でしたが)は発生してますよ.
 元筑波大助教授五十嵐 一さん殺害(1991年発生 2006年未解決で時効)です.
 反イスラム的とされるサルマン・ラシュディの小説『悪魔の詩』を日本語に翻訳した方ですが,この『悪魔の詩』に関してイランの最高指導者アーヤトッラー・ホメイニーによって著者のルシュディー,及び,発行に関わった者などに対する死刑宣告が言い渡されてまして,他の国でも襲撃事件などが起きてます.
 更にはホメイニー師は,死去されるまでに死刑宣告を撤回していないので,今後撤回されないとの事です.
 この例は疑惑に過ぎませんが,元々以前から米国と協調姿勢をとっているわが国が,イスラム過激派から狙われないわけが無いと思うんですケドね.

 後,コレは予断で酷い言い方ですが,宗教的に日本というのは多神教で風俗は乱れ,偶像崇拝は過去から連綿と続き(逆)カギ十字は当たり前と,(更には妊娠中絶も行ってますし),一神教の信者の方々からしたら伏魔殿もかくやといった場所ですケドね♪

矢乃崎 in mixi
青文字:加筆改修部分


◆◆撤収


 【珍説】
 政府は自衛隊をイラクから「撤収する」と発表し,毎日新聞は「撤退を決定」と報じた.これに対し,一部で「毎日は『退』という字を用いて敗北感を強調し,自衛隊をおとしめている」「政府発表を故意にねじ曲げている」
などと言い立てる向きがあると聞き,驚いている.

 どの辞書で調べても「撤退」と「撤収」は,ほぼ同義である.英語ならwithdrawalだ.
 毎日新聞は,イラクからの外国の軍隊の引き揚げに言及する場合,凱旋(がいせん)か敗走かというニュアンスとは無関係に「撤退」という表現を使ってきた.
 小泉純一郎首相は「撤収」と発表したが,自衛隊だけ表現を変えるのはバランスを欠くという判断で,小紙の記事や見出しは「撤退」が基本になっている.
 〔略〕

山田孝男 in 毎日新聞「発信箱」,2006/06/26
※リンク切れ

 【事実】
 大嘘つき

「イラク 撤収」の検索結果のうちmainichi-msn.co.jpからの日本語のページ 690件

 テラワロス

▼ 【追記】
 毎日新聞などは,web上には記事を保存しない方針のようなので,2009/1/29現在では検索結果の件数が0件になっている.
 マイクロソフトが毎日新聞から産経新聞に乗り換えたため,毎日新聞はサーバアドレスを"mainichi.jp"に変更した.
 結果として,MSNと提携していた時代の記事が検索できなくなってしま
い,2009/1/29現在では検索結果の件数が0件になっている.

 まあ,縮刷版を調べれば,すぐに山田某のウソは判明するわけだが.▲

kz in FAQ BBS,2009年7月7日(火) 2時3分(黄文字部分)他
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 先週の週刊プレイボーイ誌で,
「イラク派遣自衛隊員が無事帰ってきても,シェル・ショックで大変なことに」
みたいな記事がありましたが(週プレの記事なので,信憑性は……なのでほとんど読んでませんが),真面目な話,まったくないとは言わないにしても,シェルショックなどで深刻な状態になっていたりするのでしょうか? 
 それとも隊員それぞれの問題でとどまっていて,全体としては特にそんなのはないという感じでしょうか?

 【回答】
 それについては先週のプレイボーイ,週刊現代,それ以前にあった新聞報道などしか軍事板の大半の人は資料を持ちません.

 しかし一般的に言って,寝ているところに迫撃砲弾やロケット弾が降って来る可能性のある土地,幹線道路を走っていると爆弾が炸裂したり銃撃を受けたり,RPGが飛んでくる可能性のある土地で3ヶ月過ごすのって大変だと思う.

 米軍の戦死者は均すと1日二人くらい.ときおりヘリが落ちたり,装甲車両で丸ごとやられたり,
 町全体を包囲して掃討作戦をやって強い抵抗があると,より多くの死傷者が出る.

 そういうところもあるその同じ国に長期間滞在し,宿営地の外に私用で外出することもできず(第一陣を取材した記者のブログなどから),酒も30mlしか一日口に出来ず,と極めてストレスのたまりやすい環境だったんじゃないでしょうか.
 戦争神経症が出たりしても,それはやむをえない面があると思う.

 あくまで聞いた限りの話だが(つーかソース失念),今回の派遣では帰国してからのいわゆる戦争神経症防止のために,派遣が終わった部隊は直に日本に戻らず,数週間のクールダウン期間をクウェートで過ごすことによって意識の
戦地→銃後
の切り替えを行い,その後日本に帰国,と言う手順を踏んだそうだ.
 これは,ベトナム戦争で帰還兵の戦争神経症が社会問題化した(例:嫁さんが寝ているあいだに悪戯しようとしたら殺しそうになった等)アメリカ軍の研究を基に実施されたという.
 カウンセリング等も実施され,隊員にはそれなりに好評だったそうだ.

 まあ,個人差などもあるだろうが,雑誌記事はとかく過激な内容で読者の気を引くものが多いので,すべてを鵜呑みにするのは考え物かと.

軍事板

 イラク派遣における自衛隊員のメンタルヘルスについては,文藝春秋2006年10月号に,石破元長官とイラク派遣に参加した自衛官3人との対談が掲載されていました.

 その中で斉藤剛一等陸佐が,
「私は帰って早々,同期の仲間から
『お前,大丈夫か? 目がギラギラしているぞ』
と心配されました」
と語っているところを見ると,やはりストレスはかなりのものだったようです.
 ただ,番匠幸一郎陸将補は
「特に高ぶるでもなく,非常に清々しい静かな気持ちで行きました.帰還したときも,すっと元に戻れるものです」
と語っていることから,やはり経験や個人差でもかなり違うのでしょうね.

 あと,数週間に一回完全に休養させ,ビデオなどを置いた畳の部屋でリラックスさせる”プチ戦力回復”というのも行っていたそうです.
 番匠幸一郎陸将補の時は,お酒はノンアルコール・ビールを持ち込んでいたとか.
 また,北海道の地元から干物を貰ったものの,全員には行き渡らないので,風呂場の横に吊るしたのを見ながら飲んでいたようです(汗

寄星蟲 in mixi支隊

 「NHKスペシャル」では,帰還の途中にクウェ−トに寄り,そこで細かく分かれて(数人単位)で思い思いの本音をぶつけあう,ってのを見た事があります.

豚馬 in mixi支隊

 同番組では
「celebration fireの時はビビったな〜」
「戦闘かと思ったもんな」
という会話をしてたかと.

丼炒飯 in mixi支隊

 【参考サイト】
「自衛隊員のメンタルヘルスに関する検討会」中間報告


 【珍説】
■本当に「一人の犠牲もなかった」のか?

 自衛隊のイラク派遣は,これまで一応は「平和国家」として振舞ってきた日本の国策の大きな曲がり角だった.
 だが,大手メディア,特にその上層部は終始,問題意識ゼロで政府のオウム返しをしている有様なのだから,小泉首相もさぞかしラクだったことだろう.
 各紙の社説では「一人の犠牲者もなく」という表現が目立ったが,本当に「一人の犠牲もなかった」のか.
 確かに04年1月の陸自のサマワ入り以来,(伝えられている限りでは)戦闘で殺された自衛官がいなかったことは喜ばしいことだ.
 だが,イラクに派遣された自衛官の内,少なくとも6人が帰国後に自殺していることも判明しており,イラク派遣によるストレスとの関連が疑われている.

シバレイのブログ

 確か3人かな.自殺した人は.

foresight1974 in mixi
(軍事的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用)

 【事実】
 ああ,それ「サマワ派遣"経験者”」での数値ですよね.
 するとまぁ,数字のトリックだってことが分かるんですよ.

 確か,日本人男性の自殺率平均は人口10万人あたり年40人くらい.(陸上自衛隊の派遣隊員の殆どは男性なので比較も男性で揃える)
 で,陸上自衛隊のサマワ派遣経験者は延べ人数約5000人の期間は2年半だから・・・日本人男性平均が年間10万人あたり40人の自殺数で,2年半なら100人自殺.1万人あたり10人だから,5000人あたり5人の自殺率.

 即ち,「派遣期間中,サマワ派遣経験者に3人の自殺者を出した陸上自衛隊」は,日本人男性の平均値(5人)よりも少ない自殺率である,という事が言えます.

 えーっと,計算はこれで良かったかな? 誰か検算よろしく.

JSF in mixi


 【珍説】
しんぶん赤旗
陸自帰国に民間機イラク部隊チャーター便“国際条約違反だ”航空連など申し入れ

あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
国際民間航空条約(シカゴ条約)
のchapter.5においては,軍需物資や兵器の輸送は禁じられているが,人員の輸送は禁じられていません.

 また,chapter.18において,当条約は戦争時,国家非常時において,条約締結国の行動を何ら妨げるものではない,としています.
 よって,有事法における民間機の徴用は何ら国際法違反では無いようですね.

ポポフ in mixi

 赤旗ったら,平気な顔して嘘を吐いて・・・
 知らずに書いているんじゃなくて,知ってて敢えて書いているんだから性質が悪い.
 あそこは何十年も前からそうだ.こんなやり方ばっかり!

JSF in mixi


 【質問】
 クウェートから帰国する支援群への取材を規制するのはおかしいのでは?

 【回答】
 クウェートから帰国する支援群に対する取材規制について,反感をもつ方がいるようですが,普通の常識を持つ人であれば,戦は殿が最も危険であるということを知っています.
 太閤記などを読んでいれば誰でも知っていることです.

 イラクの場合,現地からの撤収とひけをとらないほど危険なのが,クウェート出発時ですね.

 軍人にしては神経質すぎる対応ばかり,と感じるかもしれませんが,しごく当然の対処と言えましょう.
 戦死を殉職としてしか処理できない国のために,部下を死なせるわけにはいかない.
 こういうところも将校のホンネではないでしょうか.

 また感じるのが,報道陣の中にテロリストもしくはテロリストのスパイが潜入している可能性をまったく無視した内容ですね.
 そういう感覚が欠如しているのを平和ボケといいます.
 自衛隊は軍ではないので,命令一下出動して作戦展開中に戦死者が出た場合でも殉職としてしか扱われません.
 何ら名誉は与えられないのです.

 戦死と殉職はまったく異なるものです.(←大切ですよ)

 普通の国では,戦死者に対して国家は英雄としての多大な名誉を捧げ,遺族は生涯国家が面倒を見ます.
 遺児が無試験で士官学校に行ける国(米国)もあります.

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)7月24日


 【質問】
>北海道の部隊からサマーワに小隊長として行った方が,イラク国内をコンボイを組んで移動中に,
>こともあろうに米軍から銃撃を受け,やむなく応戦を指示,結果として数名の米兵を殺害し,
>当然この事は箝口令が敷かれましたが,しかし,帰国してからもこの小隊長氏は「人を殺してしまった」
>と自分を責めつづけ,結局首つり自殺した.
http://d.hatena.ne.jp/artane/20070519#1179511843

 このような事実があったのですか?

 【回答】
 少なくともそのような事件があったとは公表されていない.
 そのような誤射事件があれば,政府間で正式な抗議がなされるはずだから,表に出ないなどということは考えにくい.

 何らかの理由で情報隠蔽を行うことになったとしても,関係者全員の口をふさぐのは不可能で,複数のルートからマスコミなどに流出しているはず.
 特定の雑誌しか報じないということは考えにくい.
 仮にそれほど厳重な情報管理がなされているのなら,なぜその雑誌ライターが知ることができたのかという疑問がある.

 また,なぜ米軍が,堂々と隊列組んでるコンボイを襲撃するのか,砲撃でなく銃撃なのか,輸送小隊(?)ごときの反撃で人的被害を受けるのか,など.
 軍事常識以前のツッコミどころが満載.

 どう見てもヨタ話.

 にわかには信じられない事実を提示しようとする書き手は,必ず信憑性のあるソースを提示しようとするはず.
 それが無い記事は,記事の信憑性を当たるよりも,記事の書き手の思想と動機を推察するほうが早い.
 偏ってるなら無視に限る.
 取り合うだけ時間の無駄.

 どうしてもウソだと信じられないのであれば,自衛隊の広報にでも当たってみれ.
 殉職者を無かったことにできるほど,日本は無法な国家じゃないそ.

軍事板


 【質問】
 自衛隊通訳問題とは?

 【回答】
 自衛隊サマーワ派遣時の通訳が,生命の危険に晒されているとする問題.

 中東TODAY,2008/5/25によれば,イラク人通訳者たちが,マハデイ軍,警察,軍人によって殺害される危険に直面しているという.
 同じようにサマーワに駐留していたオーストラリア軍の通訳は,同軍撤収に際してオーストラリアへの永住権が認められ,オーストラリアに逃れることができるが,日本政府はそのような措置を講じていないのだという.

 詳しくは同ブログを参照されたし.


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