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初心者歓迎 質問スレ 865 (ワッチョイあり)
vol.865の重複スレッド

青文字:加筆改修部分
 ただし,「である」「です」調の統一のため等の補正を除く.

※既に分類され,移動された項目を除く.

※レス回収基準値「v.e.r. = 9」

※既出Q&Aの関連記述は,「追記」で処理.

※編集に手間取りそうなもの,または,調査が必要なもの等は,<保留>として後日回し.

目次


** 【質問】
 北朝鮮のミサイルですが,見てると打ち上げるのが目的で,命中精度は考えてない気がします.
 これは核弾頭運搬のミサイルと割りきっての仕様なのでしょうか?
 それとも自分が知らないだけで,精度を上げる実験をしてるのですか?

 【回答】
 もちろん命中精度は公表されていませんが,ノドン1号登場当初の1〜2km(CEP)という推測から,最近は安定技術の進歩によって100m程度に改善されているのではないかという説(FASのサイトなので,それなりに信憑性あり)もあります.
http://fas.org/nuke/guide/dprk/missile/nd-1.htm

 ムスダンについても,原形となったロシアのR-27(SS-N-6)のCEPは2km程度と言われていますが,上記のような近代化によって改善されている可能性があります.

 とはいえ,仮に100mのCEPを有していても通常弾頭を使用する限り,数撃たないかぎり軍事的な有効性はなく,そのような量産,運用を行える国でもありません.
 CEPに関わらず,核弾頭を搭載しない限りあまり意味がない(準軍事的には)兵器と言えます.

 北朝鮮の中の人の心情までは分かりかねますが,精度は,可動化による生残性向上と射程,信頼性などを確保してから(その間に核弾頭の小型を期待)というところでしょう.

 いくらCEPの悪い通常弾頭でも,大都会を狙えば大きな被害を出すことが出来ますから,政治的,外交的な圧力としてはそれなりの効果を持ちます.

 また,核実験成功だけではただちに軍事的な応用は出来ませんが,運搬手段があらかじめ確立されているとなると,核兵器開発をなんとしてでも止めるべきということになり,その代償を狙う政治的,外交的手段として利用できます.

 北朝鮮がそのような間接的な効果を狙っているのか,それとも地道に開発を重ねて,本気でグアムなりを脅かす核ミサイルを持ちたいのか,はたまた自分でもよく分かっていないのか分かりませんが,精度の悪さと弾頭の非力さ,装備数の貧弱さという兵器としての威力だけで評価すると,現実に及ぼす効果を見誤るかもしれません.

system ◆system65t. : 軍事板,2016/06/24(金)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 海保くらいの予算で頑張ってる海軍は結構あるの?

 【回答】
 海上保安庁の年間予算はだいたい20億ドル程度.

 ここで各国の軍事予算一覧表を見てください.
http://www.globalfirepower.com/defense-spending-budget.asp

 単位はドルなので,海上保安庁なら2,000,000,000.
 すると表の64〜65位(ルーマニアからカタール)から下は全部海上保安庁以下,それも全軍の予算合計が,です.
 いわゆる「Third world」の海軍予算は1〜2億ドルと言うから海保の1/10以下.

 ちなみにベトナムの軍事予算(全軍)が年間40億ドルほど.
 海軍に重点を置いてはいるけど,兵力は陸軍40万人,海軍4万人,空軍3万人.
 ここも海保より予算少ないと思う.

system ◆system65t. : 軍事板,2016/07/06(水)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 ボディーアーマーが胴体だけ守るのが多いのはなぜなんでしょうか?
 全体守るようにすると行動に支障が出るから,重要な部分だけ守るという考えでそうなってるのかなと思いますが,胴体だけというのは過去の戦闘実績などからそうなってるのでしょうか?
 股間も守った方がいいような気がするのですが,胴体に比べ危険度は少ないのでしょうか?

 【回答】
 米軍用は股間(鼠径部)もカバーするのがデフォルトになってきています.
 大血管,臓器を保護するのが第一なので.

 鼠径部には大腿動脈があり,これは損傷を受けると死に至る大出血を起こす上,時に止血が大変困難な部位でもあります.
 戦訓からこの部位の重要性が分かり,軍用ボディアーマーに取り入れられたわけです.
 脇,首なども体幹同様に守る必要があります.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21795876

「body armor groin」
で画像検索されると良いでしょう.

 鼠径部カバーは標準装備として配布されていますが,乗車時がもっとも危険,必要であり,逆に降車後の行動には邪魔になるので,行動に応じて脱着することもあるようです.

 頸部保護パーツもですが,これらの脱着の基準は私には良く分かりません.
 なんらかのルールがあるのか,各人に任されているのか,指揮官の判断なのか.

 IOTVのWikipediaには降車後にも装備している写真がありますが,単にそのまま降りたのか,意識して装備したままにしているのか不明.
https://en.wikipedia.org/wiki/Improved_Outer_Tactical_Vest

system ◆system65t. : 軍事板,2016/07/06(水)
青文字:加筆改修部分

 また,今の大概の軍用ボディアーマーは襟周り(つまり首)も守れるようになってるのが普通.
 あと,オプションで前垂(グロイン・アーマーという)着けられるようになってるのも多い.
 とりあえず,心臓をやられたら助からないこと必至だし,肺をやられても同上だが,
 あとは首と頭を守れれば,「ここにあたったら即死ぬ」的な部位はそんなにはない.

 股間と脚の内側は確かに致命的部位だが,ここを覆ったら走ったりすることが難しくなる.
 「即死しづらくなったが動きがトロくなったので狙い撃たれる」では本末転倒なので,その辺は割り切るしかない.

軍事板,2016/07/06(水)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 大戦末期以降の戦車にはステレオ式測距儀がついてるものがありますが,あれは車長が操作して砲手に音声で目標との距離を伝えるって認識で合ってるんですかね?

 【回答】
 レオパルトIの測距儀は,砲手が操作して砲手がこれで照準する.
(望遠鏡式の照準器も付いてるけど)

 で,一応有名どころで挙げると

パンターF:砲手操作 測距儀の操作が砲の操作とリンクする(左右旋回は油圧モーターの操作と,上下動は手動ハンドルと連動)

M47:砲手操作 パンターFとほぼ同じ方式
M48:車長操作 リレースイッチによるリモコン連動式(物理的にはリンクしてない)
M60:M48と同じ
M60A1:M48/M60と同じ
M60A3:リレースイッチに加えて計測諸元がFCSに送れるようになった(自動リンクはしてない)

 日本の61式は「車長が操作,リレースイッチ式.計測に基づいた諸元を車長席の火器管制装置パネルに入力すると砲手席の管制パネルにも同じ数字が表示される」だった・・・はずだけど確証がありません.

 あと,M103ファイティングモンスター(この愛称は日本の解説本が勝手につけたらしい)は,M48と同じ,だったはず.
 M103A1は諸元をFCSに手動入力する事ができるようになってた.

軍事板,2016/07/07(木)
青文字:加筆改修部分

http://www.wehrmacht-awards.com/forums/showthread.php?t=100524
 そんな感じでインターコム使ったり叫んだり,みたい.

system ◆system65t. : 軍事板,2016/07/07(木)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 今のベトナム軍で,旧南ベトナム軍やアメリカ軍の装備で使ってるのはある?

 【回答】
 興味があるのでぐぐってみた.
http://www.russiadefence.net/t3430-little-stories-of-us-soviet-and-other-foreign-weapons-in-vietnam

 M113が長年使われていて,2014年現在でも健在なのはよく知られているところとして,国府供与を人民中国から貰った奴を,54年にディエン・ビエン・フー攻略戦で使って以来の古い戦友
(75年に南傀からまた沢山分捕ったが,多くは照準器をぶっ壊されていた)な105mmM2A1榴弾砲が,

>In 2013, the PAVN decided to revamp their M2A1 assets.
>The modernization was carried out by Z133 factory from the Department of Military Industry.
>The main targets in modernization are the aiming systems and aiming telescope, which are most severely damaged.
>The revamping suffers from many difficulties due to the differences between the metric scale used by Vietnam, and the British scale used by the U.S.
>In other words, Vietnam had to converted all the statistics from British standards to metric standards.

>Nonetheless, the PAVN finally mastered the technologies and started to manufactured the domestic aiming systems.
>The new aiming telescopes and system, named M21A1CT, are now being used in the current Vietnamese M2A1s.

…だと.ようやるわマジで.

 他にも,陸軍の装備には,まだいくらかアメリカ製の火器や車両がある.
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_equipment_of_the_Vietnam_People%27s_Ground_Forces

 海軍では,アメリカから南ベトナムに供与された戦車揚陸艦(LST)が,まだベトナム人民海軍で就役してる模様.
https://en.wikipedia.org/wiki/USS_Maricopa_County_(LST-938)

軍事板,2016/07/15(金)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 .45ACPと9mm弾のストッピングパワーは最近ではあまり変わらないという話をどこかで聞いたのですが,本当なんですか?
 9mmのストッピングパワーがそこまであるとは思えないんですが…

 【回答】
 条件によりますが,十分近い距離で同じ場所に当たった弾であれば,.45 ACPの方が短時間に大量に出血させる効果が期待できます.
 その意味で.45 ACPのストッピングパワー(短時間に行動不能にする能力)が上です.
 しかし,実際に警察などが使用するとき,狙った場所に当てることがまず必要であり,さらに数多く当てればその分出血量を増やすことができます.

 その点では.45 ACPは反動が大きいために当てにくく,連射もしにくい(装弾数が少ないこともままある)ため,最初に書いた理想条件では優れていても命中弾の数が得にくく,実際の使用した場合の効果は同等,あるいは劣ることもあり得るわけです.
 一般に大口径拳銃は重くなり易いため(軽いと反動が大きく,作動不良を起こし易い),しっかり把持して狙うには力が要る〜なければ狙いにくくなる欠点もあります.

 FBIが.40から9mmに移行するのもその点を加味してのことでしょう.
https://www.washingtonpost.com/world/national-security/fbi-moves-back-to-the-9mm-round-which-it-once-shunned-as-ineffective/2015/10/31/d7d0b994-7e80-11e5-afce-2afd1d3eb896_story.html

system ◆system65t. : 軍事板,2016/07/15(金)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 5.56mm弾と7.62mm弾では5.56mmの方が反動が少なく携行できる量も多いと思うのですが,7.62mmを使う状況というのはどんな状況なのでしょうか?
 狙撃銃などは分かるのですが,普通の突撃銃で使う意味はあるんですか?

5.56mm弾の射程や威力不足が問われたので復権


 【回答】
 交戦距離が遠い場合,小口径では大口径にレンジアウトされます.
 モガデッシュの戦いや,アフガニスタンなど2000年代に入っての対テロ戦争において,長距離の交戦が多発し,従来の5.56mmでは満足に応射できないケースが発生.
 特に,アフガニスタンではM4では射程の長い旧ソ連のドラグノフやPKM軽機に撃ち負けたので,選抜射手にM14を持たせて対抗したほどでした.
 このため,7.62mmの復活と5.56mm弾の改良が行われました.

 弾の有効距離を単純化して説明しますと,初速が同じ場合,弾速は空気抵抗で減少し,空気抵抗による減速は弾の正面投影面積(弾の直径と考えてOK)が大きいほど大きく,弾重が重いほど小さくなります.
 減速が大きくなると少しの射距離の違いで弾が大きくドロップし,正確な射撃は困難になります.
 もちろん弾着時の威力も落ちます.

 さて,7.62mm弾と5.56mm弾を比較すると,前者の投影面積は後者の1.9倍.
 直径だと1.37倍ですね.
 その分空気抵抗が大きいわけですが,弾重は(材質形状が同じ場合)2.6倍.
 このためトータルでは7.62mm弾の方が空気抵抗による減速が小さくなり,有効射程が伸びるわけです.

 以下,
Handbook of Firearms and Ballistics - Second Edition-
Heard, BJ
Wiley-Blackwell, Chichester, UK, 2008

より少し引用;

------------
ballistic coefficient = w/id^2
 w: weight of bullet
 i: form factor (i.e. wadcutter=2.0, highly streamlined pointed bullet: 0.55)
 d: diameter of the bullet

「the larger the ballistic coeffi cient, the better the bullet will retain its velocity and the lower the bullet drop for any given distance」
------------

 実際には弾の形状,材質,初速など多くの因子が絡みますが,基本的な考え方は上記の通り.

 7.62mm弾は全自動射撃時にコントロールが困難なので,基本的には単発で射撃するものであり,数撃つ5.56mmとは別に扱うべき弾です.
 7.62mm制定時に英国の勧め通り7mmを採用してさえいれば(死んだ弾の歳を数える)

system ◆system65t.(黄文字部分)他 : 軍事板,2016/07/15(金)〜07/16(土)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 一般的なホローポイント弾(着弾すると弾頭が開いてマッシュルーム状になるもの)とG2R RIPって,人体へのダメージの与え方が違うように見えるんですけど.
 「前者が金属バットで後者が釘バット」って素人なりに理解し易いように考えてみたんですが,妥当だと思いますか?
 もっと適切な例えがあったら教えてください.

 【回答】
 ホローポイント系の弾丸は体内に貫入し,マッシュルーミングする際の形状を制御することで,様々な体内弾道を形成し,その威力を発揮するように作られています
 単純なホローポイントであるシルバーチップは,発射時より大口径に変形し,より大きな瞬間空洞,永久空洞を形成します.
 ブラックタロン系は貫入時外側に鋭角な形状の爪が出るようになっていて,体組織を切り裂き,ダメージを倍増します.
 この形状の制御がアモメーカー各社独自のノウハウとなっています.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s : 軍事板,2016/07/20(水)
青文字:加筆改修部分

 簡単に言えば,ホローポイントは体幹部まで届いてしっかりダメージを与えてくれる可能性がある
http://www.handgunsmag.com/files/2014/09/federal_HST_amm_F.jpg
https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/564x/d4/2a/d6/d42ad66d24a9bfdfadf0d484ffd6f08c.jpg
のに対し,G2R RIPは嫌がらせに破片ばらまくだけ.
http://www.thetruthaboutguns.com/2014/02/daniel-zimmerman/g2-researchs-rip-ammo-ballistic-testing-phase-two/

 前者はナイフ,後者は針山.

 結局,ストッピングパワーは衣服と皮膚を貫通し,体幹部に到達してからどれだけ大きな穴を開けられるかで決まるので,その時点で小さな中央部しか残ってないG2R RIPは,ストッピングパワーに劣るわけです.
 上のリンク先から引用するなら
「lead me to believe that they would perhaps create a nasty, but shallow superficial wound, but not contribute much if anything to the overall terminal performance of the round.」

 G2R RIPは「爪が外れて体内に飛散することで殺傷力を増す」的な効能を謳っているようです.
 反面,「爪は体幹部まで到達しないので,爪が取れた分,重要臓器に到達する弾が小さくなり,効果はあまり期待できない,というのが 上記リンク先の説明です.

system ◆system65t. : 軍事板,2016/07/18(月)
青文字:加筆改修部分


2017.1.19


** 【質問】
 一般人と軍オタが軍事の話をすると米軍の話が必ず出てきますが,結局は米軍の強さ議論になり,無い知識で反論したい素人はベトナム戦争を持ち出してきます.
 何を言っても,「ベトナム程度の小国にアメリカは負けたじゃないか」の一点張り.
 議論は平行線で終わり,言ってやったぞみたいな自慢気な顔が本当に腹が立ちます.
 一回殴り合いの喧嘩になったこともあります.
 こういう奴は,どうやって論破すればいいんですか?
 ベトナム戦争だけでも教えて下さい

 【回答】
 「軍事力」というのは結局のところ経済的,あるいは政治的目標を達成するだけの道具に過ぎない.
 その意味でベトナム戦争時の米軍は「目標達成能力に欠けていた」のは事実.
 アメリカ人右翼作家いわく,
「ヴェトナムでは全ての戦いに勝っていた.
 軍隊も装備も,全てにおいて敵は我々の比じゃなかった.
 しかし,いいか,我々はあのクソ忌々しい戦争には負けたんだ」
…だ,そうだ.

 ヴェトナム民主共和国の目的は,ヴェトナム南北全土からの外国軍の排除と,1954年に南が拒否した南北総選挙の実施で,南の強権国家化による内政不安定に鑑みて,1960年以降の正規・不正規取り混ぜた粘り強い戦いで1972年に外国軍は排除し,そこまでに南が概ね統治能力を失っていたんで,1975年に軍事侵攻・占領で南北統一に成功.
 一方,アメリカは戦争目的を何一つ達成する事なく,何もかも放り棄てて南から撤退.
 …というか「そもそもヴェトナムで何がやりたかったのよ,アメリカは?」状態.

 確かに米軍は強大な戦力を持っていた.
 北ベトナム軍もベトコンもメタメタにした.
 戦略爆撃でハノイを焼け野原にした.
 しかし,それでもベトナム戦争に勝利するだけの戦力には全く足りなかった.
 というより,「勝利とはなんぞや」という観点が国家の指導部から抜け落ちているという,第二次大戦の日本と同じ過ちを犯し,「実は勝利条件など存在しない」という事に気づいた時にはもう手遅れだった.

 結果,
「パリ和平会談で,撤兵と南ベトナムを見捨てるという決断に持ち越す事に成功した」
という観点でのみ,米軍事力は評価できると言える.

 確かに米軍の「戦力」は強大でそれ自体に疑いは無いけど,「軍事力」と考えた場合には戦争指導部や指揮統制システムも加えられてしまう.
 それがスカタンだったベトナム戦争では,強大な戦力の行使そのものができる状態に無かった.

(これに懲りたアメリカが打ち出したのがワインバーガー・ドクトリン.
 目的と足抜けスケジュールを定めない戦争はやっちゃいかんという事で,湾岸戦争はこれでうまくいった.
 その後は…)

 つまり,その友人とベトナム戦争の米軍について議論するならば,
「フロント(政府)がアホやったからしゃーない!」
の一言で済ますのが一番.

 付言すれば,論破は無理.
 弁論やったり討論の経験あるなり見るなりしていれば分かると思うけど,基本的にこういうのは平行線で終わるのが普通.
 こういうので大事なのは「論破されないこと」であって「論破すること」じゃない.

 まあ,討論しても何の利益にならん討論には,エネルギー使うだけ無駄だから,関わらない方が賢いのだけど.

軍事板,2016/07/19(火)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 ロシア機ってタイヤのホイール部分とかエンジン内部とか,一昔前だとレドームが緑色になってたりしますけど,あれって艦底色が赤茶っぽい色してるみたいに保護か何かを目的にした塗料自体がそういう色だったりするため??

 【回答】
 MiG-21とかのレドームというかノーズコーンに関しては,熱に耐える必要がある先端部以外は,木材をもとにした材質で作られていた.
 で,緑色の塗料って,詳しくはらないんだが,木材の強度を上げる効果があるものらしい.

 また,このスレッドでは
http://www.britmodeller.com/forums/index.php?/topic/234992965-green-used-for-russial-aircraft-wheels-and-radomedielectric-panels/green used for Russial aircraft wheels and radome/dielectric panels
・大砲(兵器)を伝統的に緑に塗っていたから.
・腐蝕し易いマグネシウム製部品の保護と傷や腐蝕による剥げ落ちを見つけ易くするため.
・クロムグリーン(酸化クロム)系の塗料は色あせしにくい.
などが理由としてげられてる.

軍事板,2016/07/21(木)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 T-72について.
 よく批判されるカセトカ式ですが,「被弾されるのは砲塔の方が多いから,バスル式よりカセトカ式の方が安全」という意見を聞いたのですが,どうなんでしょうか?

 【回答】
 砲塔や車体を貫通されても,カセトカ区画まで貫通されない限りカセトカ内弾薬は誘爆しないよ.
 砲・車体とカセトカとは防火シャッターで区画されてるからね.
 車内火災が続いて温度上昇が続けばいずれ吹っ飛ぶけど,そこら辺は西側戦車の車体内弾薬庫(M1の車体内後方とかレオパのドライバー横のアレ)も同様だし‥
 カセトカ非貫通時に吹っ飛ぶのは,予備弾薬(車体側方と砲塔後部に搭載)で,チェチェン中盤以降は戦訓を受け,予備弾を撤去する事で被害の大幅低減に成功してる.
 つか本来は,最前線では予備弾を搭載しない設定だったらしいのだが‥
 T-90MSでは,予備弾はブローオフな砲塔後部バスルに積む形にしたやね.

 欧州の地形+短期決戦っていう設計時の想定戦場からすれば,車体下部への被弾確率は低い,戦闘能力維持こそが重要(小中破でも現場修理不可なら戦争から落伍)ゆえに,砲塔を小さくして被弾率も被害も下げる,って思想自体は間違いでは無いんだ.
 問題は,開けた地形では車体が撃たれる事で,特に斜め前方〜側方から車体下部を撃たれると(薄い車体側方装甲を貫通して)カセトカが被弾爆発する,危ないってのは間違いない.
 でも,「砲塔撃たれてカセトカ誘爆」では無いんだよ.

軍事板,2016/07/21(木)
青文字:加筆改修部分

被弾されるのは砲塔の方が多い ⇒正しい
バスル式よりカセトカ式の方が安全 ⇒誤り

 なぜなら
砲塔の方が被弾するから誘爆し易い ⇒正しい

 だから
誘爆を砲塔に限定すれば乗員は助かる = バスル式の長所

車体の方が被弾しにくいから誘爆しにくい ⇒正しい
もし被弾したら全滅するけど被弾しにくいからいいや ⇒誤り

 なぜなら,砲塔に被弾しても車内に弾片が飛散して誘爆するから.

 結果:
バスル式は被弾して誘爆するが乗員と車体は生き残る
カセトカ式は少ない確率で誘爆するが誘爆すれば全滅

⇒ カセトカ式はバスル式より危険

system ◆system65t. : 軍事板,2016/07/20(水)
青文字:加筆改修部分

 まあ,バスル式は砲塔がでかくなるってデメリットもあるけどね.
 ソ連は被弾する砲塔事自体をを小さくすることを選んだ.

軍事板,2016/07/21(木)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 4号戦車はどこらへんが故障し易かったんですか?
 定評のあるティーガーKV-1クルセイダーと違って,特にどこがダメだという記述を見かけないんですけど.

 【回答】
 そもそも,その「IV号戦車は故障し易い」という説がどこで主張されていたのか提示してくれ.
 IV号はドイツ戦車の中だと稼働率は割とマシな方だし,整備性の面で欠陥があったという話も特にはない.

 1944年の報告書にある数字だと,III/IV号が平均して稼働率7割程度,ティーガーIも7割程度あったそうな.
 意外なことにパンターの稼働率は低く,平均6割かそれ以下,となっている.

 1945年の報告書にはIII/IV号が平均6割強,ティーガーIが6割を切って問題である,というものがある.
 パンターは更に低く,稼働率は5割を切った,とある.

 ティーガーは専門の整備部隊が含まれた独立重戦車部隊で運用される例が多かったので,整備は行き届いていたらしい.
 逆にパンターは通常の戦車部隊で用いられてる割に,重くて整備がしづらく,機材も人員も失われていっている戦争末期だと,更に稼働率が低下したようだ.

 IV号に限らず,戦車のウィークポイントは変速機と足回り.
 IV号もやはり変速機の故障が多かったようで,特に長砲身型にして以降は全体的に重くなったため,変速機の故障が多くなった,とある.
 ただ,IV号はサスペンションがトーションバーじゃなく,外装式なので整備は楽だった,という評価になっているようだけど.
 あとは,長砲身化したら砲塔旋回装置がてきめんに故障するようになったらしい.

 IV号の弱点,というとそのあたりということになるだろう.

軍事板,2016/07/22(金)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 すごく基本的なことで恐縮ですが,後方の撹乱について質問です.
 電撃戦や浸透戦術,空挺降下などでよく「後方の撹乱」が言われますが,具体的な被害がどうしても想像できません.
 主力を集中して突破させる電撃戦ならば,敵部隊の包囲が成立するのはまだしもイメージできますが,火力の少ない空挺が降下したところで何ができるのかが疑問です.
 敵も当然予備がいるはずで,包囲されたら簡単に終わるのでは,と…
 斬首戦略ができれば有効とは思いますが,野戦指揮官が1人2人死んでも代わりはいるでしょうし.

 「後方の撹乱」とは,具体的にどういう行動なのでしょうか?

 【回答】
 映画『バルジ大作戦』を見ることを勧める.
 交通標識を切り倒したり,憲兵に化けてニセの交通案内を行い,後続の部隊をでたらめなところに誘導して迷子にさせたりとしてる.

 乱暴に言うと後方撹乱とは
*上級部隊の司令部
*通信部隊や通信中継設備,通信線(電話線とかね)
*補給部隊(=兵站線)
*砲兵等の間接火力支援部隊
*鉄道や幹線道路といった移動手段
*発電所や変電所などのインフラ設備
といったものを攻撃すること.

 仮に予備兵力にあっさり囲まれて殲滅されたとしても,それは「予備兵力を前線から引き離す」ことに成功したってことだから,むしろ作戦全体としては「大成功」(目的を果たした)となる.

 あと,最近のように衛星回線とか使った上級司令部からの直接通信手段が発達してない時代は,中間司令部が破壊されると,末端には指示がほぼ全く届かない.
 結果,前線部隊は「撤退して態勢を立て直す」とか「包囲されかかってるので急いで撤退する」とか,あるいは「隣の戦区の部隊と連携して行動する」ができなくなってしまうので,前線に配備されてる部隊全体が烏合の衆と化す.

 んで,もっと単純化すると,「後方の撹乱」というのは
「1対1の勝負のはずの格闘技で,正面の対戦相手に向かい合っている相手に,いきなり後ろから石を投げる」
行為.

 たとえその石がなんのダメージも与えられなくても,絶対に投げられた方は注意が逸れる.
 その石自体には何の破壊力もなくても,正面の対戦相手に神経を集中できなくなる.

 その「本来の相手に神経を集中させない」ことが目的で,投げつける石の破壊力自体にはそんなには意味はないのだ.

 よって,軽武装部隊による後方での撹乱が有効かどうかは戦場の状況による.
 包囲される覚悟で全周に縦深ある守りを固めてる陣地の後ろや,安定してもはやお互い押しも引きもしない陣地の後ろに降下しても無駄なのは明らかだ.
 だが,強力な主攻撃部隊が前線を突破していて,相手が混乱していたり撤退している最中だったり機動予備で防御線を引き直してる最中なら別だ.
 本部部隊や補給部隊が,大した守りもなく停止していたり移動していたりして,攻撃のチャンスがあるかもしれない.
 本来こちらより強力な部隊でも,撤退の最中であれば,軽武装部隊が相手であってもすぐに潰走するかもしれない.
 それは主攻撃部隊の更なる追撃にとって大いに役に立つだろう.
 そして相手がこちらが空挺を降下させた事に気付いたら,相手はその戦力も考慮して,本来集中させたい前方から戦力を移動して,後方の守りに当てなければいけないと考えるだろう.
 軽武装であっても,戦車や自動車より速く機動する空挺部隊は,激しい機動戦や奇襲攻撃では大いに役に立つ.

 余談だけど,このへんの効果は「大戦略」レベルのゲームでも実践できるよ.
 特に配置ユニット(部隊)からの視界が限られる場合に非常に有効.

 適当な部隊を迂回機動なり空挺降下させて,味方の進撃路とは無関係な,でも敵の拠点から近い都市なんかを占領させる.
 簡単に全滅しないよう最低限の航空支援程度は与えてね.

 で,敵がどう考えても過剰じゃね?って戦力で押し寄せてくれれば大成功で,その間に主力は正面戦力の減った敵を蹴散らして悠々進撃できる.
 20年以上前にサターン版のアドバンスド大戦略で実際にやったわ.

軍事板,2016/07/23(土)
青文字:加筆改修部分


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