c

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

「未分類草稿別館 wiki」トップ・ページへ

目次へ

●初心者歓迎 スレを立てる前に此処で質問を 818

青文字:加筆改修部分
 ただし,「である」「です」調の統一のため等の補正を除く.

※既に分類され,移動された項目を除く.

※レス回収基準は「Ver.7」

目次


** 【質問】
 ヴィットーリオ・クニベルティ造船技師という人について質問です.
 ググったのですが,クニベルティ配置ですとか,ド級戦艦のアイデアをジェーン年鑑に発表したですとか,断片的にしか分かりません.
 「クニベルティならさもありなん」ですとか「異能の天才」ですとか「クニベルティか,もう何も言うまい」ですとか,そう言ったコメントがhitしましたが,なぜそのように言われているのでしょうか?
 具体的にどんな人物だったのでしょうか?
 ドイツで言うなら,ポルシェ博士のような奇抜設計思考の人物なのでしょうか?
 だとすれば,なぜそのように言われているのでしょうか?
 設計図などを見ても,当時の戦艦の設計に疎いためか,ピンと来ないのです.
 ご回答の方,よろしくお願いいたします.

 【回答】
 ちょうどここに,ロシア海軍の弩級戦艦ガングートのコンペで,イタリアのアンサルド社が提案した,クニベルティの設計案が載ってる.

第1案
https://pbs.twimg.com/media/BqGR5xJCYAA59mo.png:large
 3連装砲塔4基を艦の長軸上に一直線に並べ,艦首と艦尾の砲塔それぞれ2基をペアにした背負式配置にすることで左右に全12門,前後なら6門を斉射できるという.
 後の超弩級艦で標準となった先進的な設計.

第2案
https://pbs.twimg.com/media/BqGR5xJCYAA59mo.png:large
 砲塔2基を艦の中央部の両舷に前後少しずらして配置することで,前後に9門斉射できるが,左右への斉射は角度によって12門斉射できない場合があるという,初期の弩級艦で採用された配置.

第3案
https://pbs.twimg.com/media/BqGSj1ECUAA4nyF.jpg:large
 3連装砲塔6基18門を艦尾2基を背負式,中央部に左右2基,艦首に左右2基配置する事で,左右12門,艦首艦尾方向は,角度により6〜9門を斉射可能.
 これで第1案より1000t多いだけというのは,かなり無理があるし,手数が多いけど角度によって射てない砲塔が必ず出てくるという,ムダの多い設計.

 とはいえ,このアカウントで紹介されてる,他の国の設計案を見てみると,もっと変なのもあるけど.

 こっちはPDFも含めてGoogle先生に翻訳してもらえた.
http://it.wikipedia.org/wiki/Vittorio_Cuniberti
http://www.treccani.it/enciclopedia/vittorio-emilio-cuniberti_(Dizionario-Biografico)/
http://www.marinai.it/navi/navstab/vittemaIII.pdf

 こっちはサイズがでかいと断られた.
http://lni.it/portale/notiziario/07_12art7.pdf

>ググったのですがクニベルティ配置ですとかド級戦艦のアイデアをジェーン年鑑に発表したですとか,断片的にしか分かりません

 1903年のジェーンに載った論文は,イタリア海軍から許可貰った後の話で,単一口径の主砲,重装甲,23ノットの高速,それを可能とするタービン機関の採用と,航続距離の延伸などのアイデア自体は,さらに10年前のもの.
 日本が1隻の「戦艦」も持たず,12センチ速射砲と16ノットの「快速」で戦った日清戦争のころに,1920年代あるいは30年代に通じる高速戦艦の有り様を示した人である,と.

 けど,イタリアが貧乏で,その発想を自前で実現できず,残念なことだね,と.

軍事板,2014/06/15(日)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 海自のDDは,同時に何個の対空目標に対空ミサイルを発射可能なんですか?
 また,そのミサイルが着弾するまで,次のミサイルは撃てないんですか?
 あと,これは海自のDDに限らず,何処の艦艇にもいえることですか?

 【回答】
 通常はイルミネーターの数だけ同時誘導できる.
 イルミネーターっていうのは,セミアクティブレーダー・ホーミング・ミサイルの誘導用の電波を発信する機器の事.
 これから発射した電波が目標に当たって,跳ね返ってきた電波をミサイルが探知して,跳ね返ってきた方向に進むことで,目標にミサイルが当たる仕組み.
 複合誘導を持つ物は別だが,SARHミサイルの殆どは照射し続ける必要がある.

 だから通常の護衛艦は2目標.
 イージス艦は特殊な方法を取っているのでもっと多い.

軍事板,2014/06/15(日)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 ショットガンの歴史について知りたいです.
 ショットシェルとショットガンを発明したのはフランス人なのでしょうか?
 Wikipediaには,
>1830年代後半,フランス人のカジミール・ルフォショーがショットシェルを発明した.
ってあるんですが.

 【回答】
 部分的回答になりますが.

 ショットシェルに使用される鉛の散弾の量産法を発明したのはイギリス人です.
http://firearmshistory.blogspot.jp/2010/06/bullets-shotgun-pellets.html

 ショットガン自体はblunderbussを原型と考えるのが妥当と思われますが,blunderbussの発明者は分かりません.
http://en.wikipedia.org/wiki/Blunderbuss
http://firearmshistory.blogspot.jp/2011/01/blunderbuss.html

 同時多発的に各地で作られたのかも知れません.
 広く使われたblunderbussという呼称が,オランダ語であることに,何らかのヒントがあるのかも知れませんが.

 散弾薬包(ショットシェル)となると,後装式の銃の発明以降に絞って考える必要があります.
 少し調べてみた範囲では,スコット人Forsythが浮かんできましたが・・・,さて?
http://www.positiveshooting.com/CatridgeHistoryTeaser.html

 そのWikipedia項目にはソースが記載されていませんから,なんとも言えませんが,検索してみると,
http://www.cascity.com/forumhall/index.php?topic=45446.0;wap2

「the pinfire cartridge in 1836 when M. Lefaucheux developed the pinfire cartridge
and the break-open double to fire it. 」

 つまり,「M. 」ルフォショーが後装用カートリッジと,その弾薬用の中折れ式二連銃(散弾銃??)を開発した,との記載があります.
 これを元にさらに検索すると,カシミール・ルフォショーの名が挙がります.
http://en.wikipedia.org/wiki/Casimir_Lefaucheux

 フランス語ではムシュー・ルフォショーを M. ルフォショーと記載しますから,最初のM.はそれかも知れません.
 ここではピンファイアによる薬包の発明者とされていますが,その薬包に散弾があるのは自然でしょう.
 しかしそうなると,それ以前のニードルファイアカートリッジ
http://en.wikipedia.org/wiki/Needle_gun
にも散弾,つまり最初のショットシェルがあったのでは,という疑問が生じ,今のところ私にはその答が分かりません.

system ◆system65t. :軍事板,2014/06/16(月)
青文字:加筆改修部分

 ルフォショーが1836年に発明したのは円錐型弾丸,薬包とそれを覆う銅のケース,雷管を一体化した薬莢.
(薬莢の横に突き出してるピンを叩いて点火するピンファイア式)
http://en.wikipedia.org/wiki/Casimir_Lefaucheux
http://www.angelfire.com/oh3/civilwarantiques/jan2010webcat.html

 そしてルフォショー以前の19世紀初めに,スイス人発明家ジャン・サミュエル・ポーリーが,フランス人ガンスミスのフランソワ・プレラと組んで,先駆的な金属カートリッジを開発してる.
http://en.wikipedia.org/wiki/Jean_Samuel_Pauly
http://en.wikipedia.org/wiki/Fran%C3%A7ois_Pr%C3%A9lat
 このカートリッジは,自分で火薬や弾丸を装填する再使用式で,弾丸は円弾だが,ショットガンもあった.
http://iaaforum.org/forum3/viewtopic.php?f=8&t=8686&start=15

軍事板,2014/06/16(月)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 よく,戦争映画や小説で戦場で良く戦った兵士でも,帰国後は大して豊かな生活を送れず,中にはホームレスになったりするみたいな描写がありますが,そんなもんなんですか?

 【回答】
 帰国した軍人が破綻した生活を送ることは,歴史的に普通にみられます.

 まず,軍隊なんかに入るのは普通は貧困層が多く,戦争以外に食べていけない人たちが多いからです.
 我が国でいえば,農家の二・三男とか,映画「拝啓天皇陛下様」の主人公みたいな人とか.

 正業に就いている人を無理矢理徴兵する場合も,歴史的には多々ありますが,これらの人々は,戦争が終わって除隊したら,またもとの家に帰って正業に戻ることができます.
(戦争神経症になって,社会復帰できなくなった人も少なくないですが)

 しかし「正業に就けないから軍隊に入った人」は,戦争が終わって除隊した後,再就職が困難な場合が少なくないのです.
 ことに,ベトナム戦争のような負け戦の場合.

 勝ち戦でも,「戦争で人を殺すことがうまくて勲章もらう能力」と,「商売で儲ける」能力は別なので,社会にうまく適応できず,ホームレスになることが多いのです.

軍事板,2014/06/16(月)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 フェイズドアレイレーダーのパッシブ式とアクティブ式のメリット,デメリットを教えて下さい

 【回答】
パッシブ:
 送信素子は1つなので技術的難易度は比較的低い
 送信素子1つ壊れたら機能を失う.制御,構成の自由度も低い
アクティブ:
 送信素子と受信素子が兼用され,構造が単純になるので小型化し易い
 複数の送信素子が壊れても全体の機能はあまり低下しない,制御,構成の自由度が高い
 送信素子の小型化と多数の送信を精密に同期させる制御が必要で技術的難易度が高い
 多数の送信素子が発熱するため,複雑な冷却機構が必要

 あとはここでも読んで下さい.
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Active_electronically_scanned_array
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Passive_electronically_scanned_array

system ◆system65t. :軍事板,2014/06/18(水)
青文字:加筆改修部分

 レーダーは基本的に発信した電波が帰ってくる時間を計る機械だから,時計の役割をする発振素子が使われる.
 ちなみに発振素子の代表は,クロック信号を出す素子.
 フェイズドアレーレーダーの技術的な詳細を知っているわけではないが,レーダーに限らず,電子機器についての一般論として,パッシブレーダーには発振素子が,ほぼ回路ごとに一つないしそれ以上使われていると推察する.

軍事板,2014/06/18(水)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 WW2で米軍が使用したSHS砲弾について.
 これは常用されていたのでしょうか?
 日本の三式弾のように特殊なもの?
 また,重いぶん,通常弾より砲に負荷がかかりそうですが,何か対策を施していたのでしょうか?

 【回答】
 SHSは「重い砲弾を大落下角で叩き込んで,水平装甲をより効率的に射抜く」という思想で開発されたものだが,デメリットとしては「長砲身砲に向いてない」という欠点があった.
 長砲身砲から撃つと,初速がつき過ぎ,狙ったように大角度で落下してくれないので.

 SHSだけ使って遠距離砲戦だけするなら別に構わないが,長砲身砲でないと,今度は通常の砲弾で近距離砲戦するのに不利になる.

 更に,砲弾の飛翔速度が遅いので,着弾までにより時間が掛かる――照準のズレが大きくなる――という問題もあった.
 ただしこれは,米軍の場合あんまり問題にはされてない.
(レーダー照準がある,ということで)

 尚,SHSを使う砲は,それを使うことを前提に設計されているので,特にそういう方面での問題はないが,逆に言えば,「口径さえ合えばどの艦でも撃てる」ものではない,という問題はあった.

 ちなみに,口径長の長いアイオワ級よりも,口径長の短いサウスダコダ級の方が,同じ16インチでも,SHS使った時の遠距離砲戦での威力値は高かったりする.
(水平装甲に当たった場合.
 垂直装甲(舷側装甲もしくは砲塔正面装甲)に対してなら,口径長の長い方が遠距離であっても,威力は高い)

軍事板,2014/06/18(水)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 ナポレオンが活躍した時代の大砲ですが,映画などをみると,横一列にズラリと並べて,一斉に敵へ砲撃していました.
 それに併せて戦列歩兵が前進という感じなんですが,これって大砲の多い方が有利,と素人考えしますが,当時は大砲の数による有利不利という考えはあったのですか?

 【回答】
 当然,大砲が大きくて数が多い方が勝ちます.

 ルネサンス期に飛躍的に発達した冶金技術によって,既に大砲主流の戦争になっていました.
 しかし,ルネサンス期の大砲は主に攻城戦に使用され,野戦ではそんなに使用されませんでした.

 それを初めて野戦で活用したのが,グスタフ・アドルフの「三兵戦術」で,軽量な3ポンド野砲を多量に採用して,銃兵・騎兵・砲兵が互いに密接に援護し合うものとなりました.

 この三兵を統合運用し,野砲を多用したのがナポレオンであり,
「まず砲兵が敵に打撃を与え,敵が怯(ひる)んだ隙に騎兵隊が突撃する」
という戦法で,全ヨーロッパを席巻.
 以後,第一次大戦まで世界各国でスタンダードな戦法となりました.

 その後,第二次大戦で
「急降下爆撃機が敵に打撃を与え,ひるんだ隙に戦車隊が突撃する」
という,電撃戦が発明されましたが,
「大砲の多い方が有利」
というのは大砲発明来,人類普遍の真理です.

<会戦で使われた門数の例>(全てフランス軍の勝利)

アウステルリッツ
フランス軍:歩兵50000,騎兵15000,大砲138門
オーストリア・ロシア連合軍:歩兵69460,騎兵16565,大砲252門

イエナ
フランス軍:96000(投入は54000),大砲180門
プロシア軍:45000〜50000,大砲175門

アウエルシュタット
フランス軍:歩兵26660,騎兵1622,砲兵他1681,大砲46門
プロシア軍:歩兵39550,騎兵12250,大砲163門

アイラウ
フランス軍:75000,大砲200門
ロシア・プロシア連合軍:58000,大砲345門

ワグラム
フランス軍:歩兵130800,騎兵23300,大砲544門
オーストリア軍:歩兵113834,騎兵14634,大砲414門

ボロディノ
フランス軍:103000,大砲587門
ロシア軍:120800,大砲640門(内300門は投入されず)

 兵力,門数共,資料により数字が異なりますが,
Digby Smith著『The Greenhill Napoleonic Wars Data Book』
から.

 ただし,トリッキーな戦い方や練度の高さにより勝利した会戦も有り,大砲の数が常に勝利を約束したわけではありません.
 会戦中に必要な場所に,必要な数の大砲を如何に投入出来るか,そのシステムの有り無しが重要だったかと.

 フランス軍の場合は,軍団毎に大砲を統括する将官が配置されていて,軍団直轄のバッテリーだけでは無く,師団付きバッテリー(もし有れば歩兵連隊の歩兵砲も)まで一括して運用する事も出来ました.

 とは言え,大砲は多いに越したことはないので,配備数や会戦への投入数を増やす努力は各国で続けられました.
 フランス軍でもワグラム会戦の前辺りから,大砲数を増やす事に,今まで以上に力を入れて行きました.
 しかし,火力頼みの戦い方が増えるに従い,ナポレオンの指揮(特に会戦での)は精彩を欠いて行く事に・・・

軍事板,2014/06/18(水)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 拳銃の弾丸,カートリッジですが,お尻の部分の真ん中をピンで叩けば,雷管が爆発,ガンパウダーに引火して爆発し弾頭が飛び出すわけですが,ワタクシ,
「そういうことなら,弾丸を雑に扱ってたら暴発して死にかねねー」
とびびってたんですけど,ネットサーフィンしてたら,仮に暴発しても,弾頭は空気銃程度のパワーしかないので,怪我しないって書いてたんですけど,本当の話ですか?

 【回答】
 「それなりのパワー」はありません.

 「怪しい伝説」でやってなかったかな.
 銃身で加速されない弾薬は,殺傷能力が「全く」ないとは言いませんが,「無視していいぐらい」しかありません.
 目玉の直前でやったら,多少のダメージはあるかな.
 むしろ火傷が問題かも.

 薬莢も無反動砲的に射出されるので,口の部分が当たったら,これはちょっと切れるかも.
 もちろんその分,弾丸の威力はさらに落ちます.

 蛇足しますと,弾丸が薬莢を離れた時点で,火薬の燃焼は終わっていると思ってる人が時々いますが,これは通常誤りです.
 弾丸が薬莢を離れたあと,燃焼ガスと共に未燃焼火薬が,銃弾を追って銃身内に散布され,燃焼を続けて,銃弾の後に拡がる空間のガス圧を保ちます.

 薬莢内で完全燃焼させた場合,非常に高い圧が薬莢,薬室,薬室周りのごく一部の銃身に集中する事になり,設計上大きな負担が生じます.
 負荷をクリアするために各部が大型化,重量化することも避けられません.
 そこで銃身内で(比較的)徐々に燃焼を続けることによって,圧を分散させ,無理なく加速するわけです.

 理想的には,銃弾が銃口を離れるまでに燃焼が終了しているべきですが,実際には未燃焼火薬が残っていることが多く,傷痕からの未燃焼火薬粒検出が,至近距離からの射撃を示す法医学的手がかりになっているほどです.
 銃身無しでの撃発では,弾丸が薬莢を離れたあとの未燃焼火薬は,単に派手な炎を上げるだけであり,この部分でもエネルギーをロスするわけです.

system ◆system65t. :軍事板,2014/06/18(水)〜06/19(木)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 エアガンに殺傷能力はあるの?

 【回答】
 たしか100J前後が殺人効果(lethal effect)の閾になっていたと思います.

 アメリカでゲームにも使われているペイントボールガンは
http://en.wikipedia.org/wiki/Paintball_marker
「安全余裕を見て」11J以下に自己規制しているようです(業界基準では12.5J程度).
http://cpxsports.com/more-about-paintball-safety-rules/

 非力で知られる.22口径ショートの弱力弾でも60J,ふつー110〜120J.
 法医学者B. J. Heard の小火器弾道学の教科書では
http://as.wiley.com/WileyCDA/WileyTitle/productCd-0470694602.html

 一方,電動エアガンが1J弱.
 炭酸ボンベ内蔵に改造し,金属弾発射させた改造銃(これですれ違う車を撃って捕まったバカがいる)で20J.
 これは「殺傷能力がある改造エアガン」と警察に認定されました.
 日本の警察が20Jで殺傷効果認定したのは,主に「傷」の方(および見せしめ)でしょうね.

 とはいえ,エアガンでも至近で目に当たれば,失明もあり得ます.

system ◆system65t.(黄文字部分)他 :軍事板,2014/06/19(木)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 戦闘機や戦闘機派生の電子戦機のジャミングの能力は,どこで決まるんでしょうか?
 発電力とか?

 【回答】
 発電力なら核ジャミング(違

 もちろん,圧倒的な出力で全スペクトルをグダグダにできれば無問題ですが,そんなことしたら自軍も圧倒的な迷惑蒙りますし,自機の電子機器も圧倒されそうです.
 重要なのは,必要なポイントに必要な妨害を十分な出力で送り込むことです.

 例えばレーダーであれば,相手の使用する周波数を妨害しないと意味ありませんし,それも大出力で塗り潰して妨害するより,編集した反射波を返すことで,誤認させる方が有用です.

 塗り潰し式妨害は簡単に発信源を特定されてしまいますから,相手の手の届かないところから妨害専用機で行うよう使用法に限られます.

 具体的には相手のレーダーの波形や処理方式を知った上で,レーダー波が届いた瞬間に,信号を処理して位相をずらした電波を,レーダーに即した形にして送信し,相手のレーダーに誤った方向,距離を伝えます.
 このためには,あらかじめ相手のレーダー信号を網羅したデータベースと共に相手の信号を受信し,即座に処理して適切な波形を作成するソフトウェア,ハードウェアが必要です.
 つまり発電力と共に必要なのは知識と技術です.

 上記は一例に過ぎず,状況やその機の電波反射特性,任務の性質,他の電子妨害手段(チャフ,デコイなど)の併用などによっても変わってきます.

 DSPのソフト,ハード進歩によって,欺瞞のレベルも上がっています.
→敵のレーダー波キャッチ,データベースと照会,レーダー及びソフトの種別判定
→即座に自機の反射波と干渉して打ち消す妨害波を発振
→同時に敵のスキャン間隔からこちらの望む方向,距離を認識するよう,偽造反射波を送信
→時間経過に合わせて調整することで,誤った進路,速度に見せかける

system ◆system65t. :軍事板,2014/06/19(木)
青文字:加筆改修部分

 上記のディセプションジャミングは既に有効性が低くなってるといわれ,時代はホワイトノイズぶちまけ方式に移行しつつある.
 ていうかsystem氏が,お得意のバーンアウト方式に触れないのが不思議だが,敵の電子機器を焼き切る,いわゆる電子攻撃も実用段階に達したらしい.
 どの程度の効力持ってるのか知らんが,AESAで電磁波集中して〜ってのはスパホとかで実用化段階にあるんだってさ
http://news.usni.org/2014/01/17/navys-next-generation-radar-future-electronic-attack-abilities

 つまり,小電力でいかにして敵の画面を真っ白または真っ黒にできるかを,競争してる時代だ.

軍事板,2014/06/19(木)
青文字:加筆改修部分

 書かれているとおり,AESAの全出力を集中させることによって,ハード的に破壊することも考えられてはいます.
 しかし,必要な電力が大変大きい=接近しないと効果が出ない=その前に墜とされたり

 なので,いまでも,むしろどんどん欺瞞系のECMの重要性が増しているようです.

 なので,ハードキル系の電子戦はミサイルや爆弾,UAV任せで,人が乗った飛行機の電子戦はソフトキル系がメインのようです.

 ハードキルするためのエネルギーは単純に考えれば,距離の自乗に比例して増加するので,接近戦は必至.

 対するにソフトキル,欺瞞の場合,相手のレーダーは距離の四乗に比例して減衰,こちらの妨害波は距離の二乗に比例して減衰するので,こっちはかなり有利.
 例えば相手が2の反射波を得るためには2^4=16の出力が必要なのに,こっちが同じレベルの妨害は噛ますには2^2=4の出力で済む.

 戦闘機レベル,つまりポッド搭載レベルの電子戦であれば欺瞞が有効.
 ただしそれを可能にするには,データベースの蓄積(電子情報収集)と神速度での反応が必要,ということになります.

 UAVもけっこう高価な昨今,UAV本体によるハードキルもさてどうだろう,という感じですが,AESAの進歩によって本体の電子系と干渉せず,射程が長く,本体が十分ステルスで墜とされる前に接近できるのが普通になれば,あるいはUAVが忍び寄ってはハードキル,もあり得るのかも.

system ◆system65t. :軍事板,2014/06/19(木)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 ゲームだと,下っ端兵士でも突撃銃からスナイパーライフル,果ては迫撃砲まで使ってますけど,現実でも一通りの武器は扱えるように訓練されるのでしょうか?

 【回答】
 時代,国,軍によって違いますが,米軍の一般的な例であれば,入隊時に最低限の武器の訓練は行われます.
 小銃,拳銃,手榴弾かな(要確認).

 その後,各武器について訓練を受け,試験を受けて合格することで,その武器の運用資格を得ます.

 これは武器に限らず,様々な職務についても同様で,艦隊勤務でも潜水艦乗りでも,
「これこれの業務を補助できる」「行える」「指揮できる」
といった具合に資格を増やすことが昇進であり,それに伴って給料,階級も上がります.

 武器,資格によっては上官の推奨がないと訓練,試験を受けられないものもあり,部隊での評価と本人の希望,そして能力と運不運によってどこまでレパートリーを拡げ,上がることができるかが決まります.

 米軍のマニュアルを見ると,特に武器の類には,説明や使用方法と共に,資格取得に要求される水準と試験方法,合格基準がしばしば記載されています.
http://www.enlisted.info/field-manuals/

 これをクリアして初めて,その武器を使用することができるわけです.
 緊急の場合は別ですが.

system ◆system65t. :軍事板,2014/06/20(金)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 戦前戦中の日本の軍艦って,カタログ値は世界水準だけど,実際にはリベット工法だったり,砲弾装填が人力だったりで,性能は額面割れしている――という認識は合ってますか?
 設計者の平賀さんや藤本さんの評価も教えてください.

 【回答】
 個艦優秀だよ.
 足りないのは数.
 現代日本の機械モノと一緒で,作り込みがすごすぎ.

 当時は世界的にリベットが普通.
 アメリカなんかは無理して溶接で作った艦艇を,気温低下で轟沈させてる.

 装填は,そういや古高型は人力だったような気もす・・・

 カタログは逆に,本物より落とした数値を載せている(特に速度と排水量).

 平賀譲の評価は「平賀不譲」
 藤本喜久雄の評価は,設計した艦がトップヘヴィー.

フェチ ◆h7tdyQ3LHU :軍事板,2014/06/21(土)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 艦砲についての質問です.
1,前部(艦橋より前とする)後部での使用頻度の違い

2,大和は主砲2副砲1を前部に積んでいるが主砲3基を搭載している艦があるのか(戦艦にかぎらず)

3,艦砲をならべて搭載する場合
A ___
│   ]── __
│   ]   │  ]──
というふうに段違いなっているのは見るのですが
B
 ___     ___
│   ]── │   ]──

 このように同じ高さのものがあるのか?
 無い場合でもその理由を教えてください.
 よろしくお願いします.

 【回答】
 三段重ねの背負い配置は,米アトランタ級防空巡洋艦だな.
 亜流と言うか,仏防空巡洋艦ド・グラースとコルベールは,3基の主砲を前から1基,一段あげて1基,一段あげて左右並列2基,と並べてる.

 戦艦だと三段重ねはないけど,ネルソン級が主砲塔3基を,二番砲塔だけ一段上げて,前部に集中配置している.
 主砲塔5基積んだ戦艦は,三〜五番砲塔を艦尾側に配置して,そのうち四番砲塔を一段上げた格好が,英オライオン級系列,米フロリダ級,ニューヨーク級,加賀級(未成)など数多い.
 4基並べたのだと,米ワイオミング級が6基のうち三〜六番砲塔を後部に並べて(三,五番砲塔が一段高い)いる.

 2.と3.については,wiki辺りで列強の主力艦調べるだけでも,ある程度満足出来る情報が得られると思う.
 1.については具体的な数字は知らないが,前と後ろ,配置が多いのはどちらかを考えれば,自ずと答えは見えてくるかと思う.

軍事板,2014/06/21(土)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
「俺は左利きだし(あるいは左構えのが撃ち易いとか左目の方が視力がいいとか) ,左排莢に出来る」
 あるいは
「モロに薬莢が飛んでくることはない.
 だから別に特別な状況でもないが,俺は左構えで撃つぜ!」

 こういうのは軍的に許してもらえるの?

 【回答】
 イギリスのL85A1みたいに,右利きオンリーで変更できないのから,FN2000みたいに専用の機構を設けてまで,前方排莢で左右差問題なしの物から,ベレッタのARX-160みたいにボタン1つ(に近い操作)で切り替えられるのまで様々
http://world.guns.ru/assault/it/beretta-arx-160-e.html
ですが,基本は右利きで使えるように訓練されますね.
 そこから先は,使用する銃や時代,国,軍に依るでしょう.

 ARX-160の排莢方向切替動画
https://www.youtube.com/watch?v=YHscrtPbI0M

 切替操作詳細
https://www.youtube.com/watch?v=5iy6DTaxqOY

 ついでにコッキングハンドルも簡単に左右切り替えできます.
https://www.youtube.com/watch?v=vEoIGKORiyI

system ◆system65t. :軍事板,2014/06/21(土)
青文字:加筆改修部分

 ただし,そういう自己流アレンジが許されるのは,ある程度基本が身についたベテランになってからの話で,最初の訓練では徹底的に矯正させられる.
 個人の趣味で変えることは許されない.

軍事板,2014/06/21(土)
青文字:加筆改修部分


<保留>

** 【質問】
 【回答】

719 :名無し三等兵:2014/06/24(火) 08:07:19.99 ID:avPH+xJI
皆焦点がボケてるんじゃないか?
南方戦線でのB-17の撃墜数と欧州での撃墜数比べる事自体が間違ってるでしょ.
欧州での投入機数やソーティ数が圧倒的に違うんだから損害もまず多い.
それに交戦時間・機会が全く違う.
B-17のイギリスからの欧州本土爆撃はドイツ領フランスから始まったがその頃は
飛行距離も短く交戦時間が短く損害も少なかったが,次第に深く侵攻しドイツ本土爆撃に
到る頃はドーバーを越えてレーダーに捕捉されてから道中は何度も迎撃され
目標付近は高射砲網に晒され帰りも何度も迎撃機の襲来を受けるんだから
被害が多くて当然.
日本本土爆撃におけるより高性能のB-29と対比してもわかる.
B-29による本土爆撃は中国成都からの九州爆撃から始まったが,
損害が多かった.B-29自体の機材の不調もまったが,中国大陸横断してくる間に
正確な襲来情報をつかめて充分な迎撃態勢を取れたのと途中で何度も迎撃の攻撃を受けているからだ.

一方のサイパンからの本土攻撃機は洋上飛行の分途中の迎撃をうけない為交戦時間が圧倒的に少ない.
その分洋上飛行のリスクが高く失われた機体も多い為に搭乗員にとっては
迎撃の恐怖と同程度の恐怖があった事は色々な本に書かれている.

軍事板,2014/06/24(火)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 太平洋戦争当時,徴兵逃れのため,瀬戸内の無人島あたりで4,5年自給生活って無理だったんでしょうか?
 GPSとかある時代じゃないから逃げおおせれそう.

 【回答】
 無理.
 召集令状から逃れようとした人は大勢いたが,決して逃げおおせることはできなかった.
 駅とか港とかで,どこからか突然現れた警官や憲兵に必ず捕まってしまったという.

 瀬戸内海に無人島なんかなかった.
今は人気が全くない無人島だらけの瀬戸内海でも,当時は毒ガス工場が作られたり,特攻隊の練習基地になったり,石切り場があったり,銅の精錬工場があったり…と,一定の広さがある島は,ことごとく活用されまくってたのではないかな.
 あったにしても本当に人が住むのが不可能な島だった.
 瀬戸内海の島が無人化したのは,戦後の過疎化の影響であり,戦前は猫の額のような島に大勢の人が住んでた.
 そんな地縁血縁濃厚な田舎に,見慣れないよそ者がやってきたら,ただちに通報されただろう.

 全く無人の島もなくはなかった.
 しかし冬場体を温めたり,釣った魚を焼くために
 焚火などしようものなら,
「何で無人のはずの島から煙があがってるんだ?」
と,たちまち地元の漁民に発見されただろう.

 さらに,魚だけでは人間は生きていけない.
 炭水化物やビタミンを摂取しないといけない.
 それにはよほど食べられる野草に詳しいとか,最初から種芋を用意しておくとかしないといけないだろう.
 そしてそんなにサバイバルにたけたやつなら,きっと軍隊で大出世できるだろう.

 当時の炭鉱では,100人いれば10人くらいは,徴兵逃れのために逃げてきた連中だった.
 やろうと思えばできたが,それをやるには家族も友人もすべて捨てる覚悟が必要だった.
「正確な統計は取れてないが,徴兵から逃げたのが全国で千人くらい居たと言われている」
と書いてある本なら読んだ覚えある.
 なんだっけかな・・・?
 主婦の友社の文庫だった気がする.

軍事板,2014/06/24(火)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 漫画『ジパング』で,タグボートに牽引してもらわないと発進できない旧軍艦艇に対し,イージス艦は自力で発進ができるのか・・・と感嘆するシーンがあったんですが,実際に昔の船は自力で港から出られなかったの?
 もしそうなら,現代の船はどういう機構で可能になってるの?

 【回答】
> 実際に昔の船は自力で港から出られなかったの?

 はい.

> もしそうなら現代の船はどういう機構で可能になってるの?

 それは後で説明しますが,現代の船でも混雑した港では,事故を避けるためタグボートの世話になるのが普通です.
 軍港でも,前後に他の船を近接させて接岸してることも多いですしね.
 外港のフェリーターミナル等で,周囲の他の船が居なければ,という条件で単独で出港は可能でしょう.

 んで機構ですが,現代の護衛艦等はエンジンが最大出力から最小出力まで瞬時に,かつ狙ったところにぴたりと調整可能なガスタービン・エンジンで,またスクリューも可変ピッチプロペラなので,そのときに欲しい反応を最大に得られるピッチに任意にできるのですが,WWII当時の軍艦は,反応が大変鈍い上に,出力もおおざっぱにしか変化させられなかった蒸気タービンで,また,スクリューも固定ピッチだったわけなので,そこが違いですね.
 あと,駆逐艦型の高速艦艇は現代のも積んでませんが,鈍重な艦型のものは,現代ではバウスラスターなどのサイドスラスターを持ってるので,それも接岸離岸の助けになります.

軍事板,2014/06/25(水)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 ニュースで人民解放軍の演習の模様を放映していたのですが,迫撃砲の実射演習で,1発目の砲弾を発射した直後に,素早く射線を修正して2発目を発射,目標にはほぼ同時に弾着してました.
 なぜこの様な事をするのですか?
 陸自でも同じ様な訓練をしているのですか?

 【回答】
 自走榴弾砲では3発同時着弾能力がたしなみとなっています.
 射角を変えつつ速射することで,同一目標に3発が同時に着弾します.
 敵は遮蔽を取る間もなく,突然の弾雨に晒される上,こちらはさっさと目標数撃ち込んで,相手が応射する前に陣地転換してとんずら.
 これを迫撃砲にも応用するわけです.

 今度から海や池に石投げるときは,一発目を高く,二発目を低く投げて,同一目標同時着弾訓練するといいです.

system ◆system65t. :軍事板,2014/06/25(水)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 太平洋戦争終盤の本土防衛戦って,戦記を読むと,
「一懸命B-29にして迎撃した」
「夜間戦闘」
「体当たり&パラシュート降下までやった」
とかありますが,その割には本土はめちゃくちゃに焼き払われています.

 そもそも敵機進入にたいして,的確に防空戦隊を誘導するシステムとかあったのでしょうか?
 正直どこか離れたところに退避してて,無差別爆撃が終わった頃に,撃墜だと証拠でばれそうだけど2機撃破!とか報告しとけば,よし!って言われそうじゃないですか.
 だから,防空戦闘戦記は架空の自慢話のように感じるのですが,実際はどうだったのでしょうか?

 【回答】
 本土爆撃って終戦までの半年くらいに集中してるんだけどね.
 レーダー開発が遅れたし,絶対防衛圏のマリアナを落とされて,B-29が大挙してやってくる状況がいきなり生まれるしで,まともな早期警戒管制システムを作る余裕もなければ,技術もなかった.
 そんな中で,漁船を改造した特設監視艇による哨戒網を作ったけど,潜水艦やB-24に沈められるわで,殆ど打つ手がなかった.
 最初の頃は高高度爆撃だったから,亜成層圏まで上がれる戦闘機も殆どなかったし.そういう中で精一杯やったけど,もうどうしようもなかったということ.

 ちなみに特設監視艇は,漁船に通信機と,機関砲など申し訳程度の対空火器を載せただけ.
 通信機や火器を操作するのは兵士だけど,操船していたのは漁師だった.
(宮ア駿が『雑想ノート』で,その話を書いてる)
 終戦までに約400隻が任務についてるけど,300隻は帰ってこなかった.

 それでも,終戦までに500機ほどのB-29が失われてる(その多くは撃墜以外が原因だが)し,乗員が無事任務を終えられない可能性も,欧州戦線ほどではないが,それなりに高かった.
 決してちょろい戦場ではなかったということで.
 B-29自体も完全にこなれてないまま戦場に投入されたので,テニアンには故障したエンジンが野積みされてたというし,故障その他で不時着する場合に備えて,多量の血を流して硫黄島を手に入れてる.

http://www.usaaf.net/digest/t101.htm
1944〜45年のB-29の喪失数(45年からは月毎)とその原因

http://forum.keypublishing.com/showthread.php?296-B-29-losses-in-ww2
B-29の喪失数とその原因に関するディスカッション

http://www.econseminars.com/6th_Bombardment_Group_Tinian/Risks.pdf
爆撃機の乗員が規定の出撃数を生きてor捕虜にならず帰郷できるまで生き残れる確率.

軍事板,2014/06/26(木)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 ドッグファイトが少なくなってきてるなら,推力偏向ノズルの必要性って落ちてきてるの?

 【回答】
 離着陸性能上げるだけでも推力偏向ノズルは有益ですし,敵のレーダーを回避する機動を行うときにも,急速な進路変更は有益です.
 機動性はガンファイトだけでなく,相手のレーダー対策から赤外誘導ミサイルに対応するためにも必要です.

 以前にも紹介した資料ですが,
ttp://www.demovfw.com/firstfighterwing/1stVFW/Fighter%20Combat-Tactics%20and%20Maneuvering.pdf
を読まれると,機動性はどんな場合にも重要なことが分かるでしょう.
 中頃のleader/wing対leader/wingの戦術説明あたりから,後半の拠点防衛,編隊対編隊戦あたりに多く出てますので,そのあたりをメインに読んでください.

 一例を挙げると,
「敵機と相対して接近中,先行するリーダー機が敵機をレーダーで捕捉,交戦に入る,
 あるいは敵レーダー波を捕捉,おおよその敵位置を把握して交戦準備に入る.
 リーダー機は囮を兼ねてそのまま直進し,敵機と交戦するが,僚機は下方に入り込んで,下から敵機を攻撃する.
 下からの攻撃は,高度によるエネルギーこそ不利になるものの,敵が電波的に静かで,赤外的には暗い空をバックに浮かび上がり,こちらは電波的にも赤外的にもノイズの多い地表をバックにするので,奇襲には大変有利.
 しかし,それまで相対することで,敵に狭いレーダー反射面積をさらしていた状態から,姿勢を変えて機体をレーダー波にさらし,下に降りて敵のレーダー視野から抜けるまでが問題.
 なるべく早くこのステップを済ませる必要がある」

「航空機は-Gより+Gに強いから,素早く下方にもぐり込んで上を狙うためには,
1. 180度ロールして背面飛行になる
2. 機首上げ操作を行って(背面なので)機首を下に向ける
3. 180度ロールして敵を中心とする円弧にそって下降する(ドップラーレーダーを欺瞞するためのビーム機動)
 (可能ならレーダー反射面積の比較的少ない側面を少しでも敵に向けるため,斜めにロールする)
4. 低い予定高度に達したら水平飛行に戻る
5. リーダー機の指示を元に敵機がいる方向の見当を付け,機首上げ,レーダーあるいはIR捕捉,攻撃する」

 敵戦闘機のレーダー視野は限られていますが,1-2の間は敵レーダーに捕捉され易いので,可能な限り早くすます必要があり,大きなロール加速,ピッチ加速(つまり高機動性)が必要になります.
 また,リーダー機との連携が必要なので,2-3を素早く済ませて,リーダー機を視野に捉え続ける必要があります.

 この「下方反転ビーム機動から上向きに攻撃」は,確かF-15対Su-27のシミュレーション戦闘で,Su-27の高機動性ゆえに,F-15が繰り返しハメられることになった戦術のはず.

 ヒコーキの話なので,詳しい方の突っ込み歓迎.

system ◆system65t. :軍事板,2014/06/26(木)
青文字:加筆改修部分

> 3. 180度ロールして敵を中心とする円弧にそって下降する(ドップラーレーダーを欺瞞するためのビーム機動)

 よくある勘違い.
 レーダーが移動していたら,それと等距離を保つ経路は円にはならないだろ.

軍事板,2014/06/26(木)
青文字:加筆改修部分


目次へ

「未分類草稿別館 wiki」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ