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青文字:加筆改修部分
 ただし,「である」「です」調の統一のため等の補正を除く.

※既に分類され,移動された項目を除く.

※荒れているため,レス回収基準は「Ver.7」


●初心者歓迎 スレ立てる前に此処で質問を 776

目次


** 【質問】
 踏んだら爆発する一番単純な地雷にも,色々種類があるんですか?

 【回答】
 一般的な圧力作動式の地雷の信管とすると,内部にはスプリングで圧縮された撃針と,それを止めてるトリガー,トリガーを止める安全ピン等と雷管がセットされている.

 で,設置して安全ピン等を外すと,起爆準備が完了する.
 敵がこれを踏み,規定以上の圧力が掛かると,トリガーが解放され,撃針が前進する.
 前進した撃針は雷管を叩いて発火,伝爆薬または炸薬が破裂する.
 細かな構造や部品名に違いはあれど,基本的な作動方式はこれに準ずる.

 また,地雷の種類は用途別に対人・対戦車・対舟艇・対ヘリコプター等がある.
 信管の構造方式については一般的な機械式の他,摩擦式・化学式・電気式等があり,その作動方式には圧力式,圧力解放式,張力式,張力解放式,傾斜圧力式,磁力式,振動式,電波式等がある.
(これら以外にも多数ある)

 地雷の形状や大きさや設置方法,一般的な爆薬等を使った即席地雷等を含めると,ほぼ無数にあり,地雷に関して細かく説明するとなると,辞書クラスの容量になる.

軍事板,2013/02/23(土)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 日本は対人地雷を廃止してしまいましたが,工夫次第ではベトコンみたいに手榴弾等で地雷を作れるから問題ないの?

 【回答】
 問題はある.
 手作り地雷は制式な規格品ではないので,基本的には構造等がバラバラであり,生産性も悪く,耐久性や確実な作動にも問題がある.
 また,上記の理由により,共通教育にも時間と技術が掛かる.
(規格品なら取り扱いだけだが,手作りとなると製造方法からとなる)

 他にも,最初から対人地雷の製造方法を教育化すれば,条約の意味もなくなるし,そもそも自衛隊には対人地雷を大量に作るだけの資材も人員も,余裕が無い.

軍事板,2013/02/23(土)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 戦車の装填手は,どのような適性で決めているのでしょうか?
 単純に考えると,言われた弾を詰めるだけの仕事のように思えます.
 一般人並の判断能力と延々と弾を詰められる,体力だけのような気がします.
 どうやって,各国は装填手をどうやって(どのような判断基準で)選んだのか,ご存知でしたら教えてください.

 また,戦車載りというのは,一度職種(装填手,運転手,通信手etc)が決まったら,それが専門の仕事として戦車を降りるまで続くのでしょうか?
 途中で職種変換は行われないのでしょうか?

 【回答】
 装填手は,戦車兵になりたての人がまずやるポジション.
 基本,言われた通りにすればいいだけなので,戦車兵としての技能と経験が浅くてもできるから.
 もちろん,揺れる車内で弾をラックから取り出して装填する,という作業が出来ない体力と腕力の人には無理だが,そういう人はそもそも戦車兵になれない(選ばれない)から,そういう意味では無問題.

 装填手の次は無線操縦手,その次は操縦手,砲手,そして車長…というふうに,長くやってるとどんどんポジションは移っていく.
 戦車長になるには,全てのポジションを経験してなければならない,というのが普通.

軍事板,2013/02/23(土)
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** 【質問】
 アメリカやイギリスがソビエトに大量に援助した兵器の山は,その後はどうなったのでしょうか?
 返却された,という話は読んだことがないんですが,みんな壊れて修理不能になるまで使い続けられてたんでしょうか?

 【回答】
 イギリスにレンドリースされた兵器に関しては,戦争後にアメリカに返還するか,戦争後にも保有したければ対価を払うか,もしくは戦闘で消耗したことになってれば,返還の義務は無い.

 なのでスクラップにするか,海に投棄しました.
 「スクラップ」は使用するのに難がある状態にせねばなりません.
 具体的には戦車から武装を外すとか.
(第一次中東戦争に直面したイスラエルが,そのスクラップや,スクラップになる予定の戦車を漁ったというエピソードもあります)
 投棄は艦載機なんかが,アメリカに返却するのに費用と手間がかかるので,空母から突き落として捨てたり.

 あと,ちゃんとお金を払って,戦後も保有した例もありますし,イギリスからの返却兵器を,アメリカが他国に供与した例もあります.

軍事板,2013/02/24(日)
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** 【追記】

145 :霞ヶ浦の住人 ◆kN/hgakMvmSR :2013/02/24(日) 15:26:36.59 ID:LQJg3NiU
「レンドリースプログラム開始から1945年9月30日までの間にソ連に対して出荷された軍需物資の合計を以下の表に示す.
航空機14,795
戦車7,056
ジープ51,503
トラック375,883
オートバイ35,170
トラクター8,071
銃8,218
機関銃131,633
爆発物345,735 トン
建物設備10,910,000 ドル
鉄道貨車11,155
機関車1,981
輸送船90
対潜艦105
魚雷艇197
舶用エンジン7,784
食糧4,478,000 トン
機械と装備品1,078,965,000 ドル
非鉄金属802,000 トン
石油製品2,670,000 トン
化学物質842,000 トン
綿106,893,000 トン
皮革49,860 トン
タイヤ3,786,000
軍靴15,417,001 足


下記,ウィキペディアのレンドリース法を参照ください.
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E6%B3%95

軍事板,2013/02/24(日)
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** 【質問】
 火炎放射器は非武装の人間に対して,近距離においては最強の兵器なんですか?

 【回答】
 いや全然.

 炎じゃ即死しないでしょ.
 しっかり燃料浴びせて引火させないと,助かることも多いだろう.
(大やけどの治療は難しいので,いずれ死ぬ公算が高いとはいえ)
 (携行可能な)火炎放射器の有効射程は,近距離というか至近距離だし,銃弾を浴びせたほうがずっと手っ取り早い
 火炎放射器を使うような距離なら,短機関銃とか突撃銃とかで十分急所を撃ち抜けるから,そう何発もいらない.
 散弾銃はもっと凄くて,散弾でもスラッグ弾でも一発で十分だ.

 禁止兵器になったのは,苦痛ばかり大きくて死なない事が多いからってありそう.

 なお元来,火炎放射器は主に放火や閉所に立てこもった敵を窒息死させるのに使う.

モッティ ◆uSDglizB3o :軍事板,2013/02/27(水)
青文字:加筆改修部分

 どっちか好きな物を使えと言われたら,まず火炎放射機は使わないと思う.
・他の小火器より重い
・再装填に手間を食う
・余計な付随被害が多い(残り火とか燃え残りとかボヤとか)
・迅速・確実に殺傷できない
・精密射撃を期待できない
・とにかく目立つ
 以上の理由をもって,火炎放射機は最強と思えない.
 小火器(アサルトライフルorサブマシンガン)に手榴弾の組み合わせが,最強というか,近距離(近接戦闘?)では最適解かと.

 ショットガンも弾の種類によって,非致死性からドアブリーチに対人・対獣用と種類が多いですから,分隊に一つはあると便利かと.

軍事板,2013/02/27(水)
青文字:加筆改修部分



** 【質問】
 でもショットガンって,8発しか弾込められないのでは?

 【回答】
 接近戦で8発あれば十分でしょ.
 それだけ撃ってもなお生きてる,非武装の人間て何よ?
 至近距離で1発も当てられないような技量なら,撃ち尽くす前に取っ組み合いになるか,相手が射程外に逃げ出すかで,火炎放射器・拳銃・ショットガンどれ使ってようが無意味だろうよ.

軍事板,2013/02/27(水)
青文字:加筆改修部分

 また,個人携帯できる火焔放射器の放射時間は短いし,タンク空になったら,そこでおしまい.
 個人携帯火焔放射器の使用可能時間は10秒以下.
 米軍のM2火焔放射器で7秒.
 火焔放射戦車で数十秒.

 一方,ショットガンは再装填簡単(特に弾倉式は).
 40mmグレネードってのも頭に浮かんだけど,安全装置解除する距離が取れないかもしれないし,自分がダメージ食いそうだし.

system ◆systemUniQ :軍事板,2013/02/27(水)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 「核の冬」が起こらないことを前提として,全面核戦争が起きたらどうなるの?
 想定は西側諸国対旧東側諸国での全面衝突ぐらいの規模でお願いします.

 【回答】
 アメリカ側が優勢には違いないでしょうが,2000発近い露現役戦略核の1/4が届いただけで,西欧,アメリカも(ロシアの照準設定しだいで)大都市全滅でしょう.
http://www.fas.org/programs/ssp/nukes/nuclearweapons/nukestatus.html

 核の冬が来なくとも,いわゆる先進国の大半が大打撃を受けますから,世界の経済,通商は麻痺するでしょうし,疫病も蔓延するでしょう.
 人類全滅にまで至るかどうかは微妙ですが,直接間接に大被害が発生する事は間違いありません.

system ◆systemUniQ :軍事板,2013/02/27(水)
青文字:加筆改修部分

 西側陣営の一員である日本を,ソ連が見逃してくれる理由はありませんでしたし,仮に核弾頭が日本で炸裂しなくとも,偏西風に乗った放射性物質で,中国と日本は相当な被害を被る可能性があります.

軍事板,2013/02/28(木)
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** 【質問】
 M2って何で今でも現役なんでしょう?
 当時,他にも空冷式の機関銃は色々ありましたよね?

 【回答】
 その商品が他より優れていて,わざわざ新製品を開発するほど市場が大きくなかったからだよ.

軍事板,2013/02/28(木)
青文字:加筆改修部分

 当時は12.7mmクラスの機関銃は,各国では対空機関銃・航空機関銃のカテゴリだったんだよ.
 アメリカでも対空/対戦車銃(第二次大戦以降は対戦車は無理になって対物)として使われてたし,もちろん人間にも撃つことも多かったけど,他の重機関銃と同じように考えるのは適当でない.

 M2が実戦で使われるようになった時期,信頼性,耐久性等の点で他より使い勝手が良く,戦果を上げ,しまいには「勝戦国アメリカの銃」というブランドがつき,新米的な国・NATO加盟国が,再軍備をする際に重機関銃をM2に切り替えた.

 で,現代では対人用途は空冷の汎用機関銃が使われている.
 機関銃の配備数としては,こっちが圧倒的に多い.
 M2は対空(対ヘリ)や対物,長距離射撃など,汎用機機関銃では代えれない任務に用いられている.
 こういう任務は,無理に軽量化する必要がないし,信頼性の保証されたM2を使い続ければ十分ということだ.
(もちろんM2も対人射撃に加わる事があるけど,そういうのは汎用機関銃のほうが得意なのだ)

 重機関銃として求められる能力も,今まで大して変わらないので,後継はいろいろ開発されたけど,なかなか壊れないM2を全面的に代替するだけの魅力がなかった模様.
 ドアガン用に発射速度を高めたM3M/GAU-21は,地上向けには発射速度早すぎ.
 歩兵用に軽量化したXM806 LW50は,金がなくなって中止.
 韓国のK9も改造パーツみたいなもんで,ほとんど同じ銃だしの.

http://www6.atwiki.jp/namacha/pages/94.html

モッティ ◆uSDglizB3o(黄文字部分)他 :軍事板,2013/02/28(木)
青文字:加筆改修部分

 M2の欠点は重いこと.そこで,軽くするのが改良となりますが,むやみに軽くすると反動を制御しにくくなり,正確な連射ができなくなって,銃の本来の性能を損なう.
 軽くしつつ,反動を制御する機構を組み込むことも考えられるが,その機構が全体の信頼性を損なうことになってしまう.
 あるいは連射速度が低下することになる.

 全体を少しずつ改良して少し軽くしたものなら作れるが,その程度の改善は,わざわざ開発して,多数の兵器を金かけて置き換えるには値しないと判断された,といった理由で米軍ではM2が使われ続けています.

system ◆systemUniQ :軍事板,2013/02/28(木)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 桜花の母機は,防弾と運動性,さらに武装に優れていた4式重爆にすれば,成功していたんでしょうか?

 【回答】
 無理.
 桜花は2t強あって,形態からして機外にはみ出しての運用になるから,4式重爆でもヨタヨタとしか飛べないだろう.

 実際,やや桜花より重い桜弾を積むための桜弾機というものがあったが,wikiからの引用になるが,

>大型爆弾搭載のため重量軽減が図られ,防御火器は撤去しており,
>燃料も片道分に減らした状態で運用されたという.乗員も4人に減らされている.
>しかし,それでも機体は重すぎて運動性の低下などが著しく,
>熟練操縦者も減少していることから,
>本機での特攻攻撃は困難であるとの指摘が陸軍省内部からも生じていた

というから,桜花を積んだとしても結果は推して知るべし,ってところ.

軍事板,2013/02/28(木)
青文字:加筆改修部分


** 【反論】
 太平洋戦線でアメリカは,27,000機もの航空機を失ったって知ってるか?
 欧州戦では未生還機に修理不能機(lost or damaged beyond repair)を加えても18,000機.
 ドイツ以上に日本は損害を与えてるわけだが.
 何で日本軍の戦功は認めないんだ?

Aggregate United States plane losses during the course of the
Pacific war, not including training losses in the United States,
were approximately 27,000 planes. Of these losses 8,700 were
on combat missions; the remainder were training, ferrying and
other noncombat losses. Of the combat losses over 60 percent
were to antiaircraft fire.
http://www.anesi.com/ussbs01.htm

In the attack by Allied air power, almost 2,700,000 tons of bombs
were dropped, more than 1,440,000 bomber sorties and 2,680,000
fighter sorties were flown. The number of combat planes reached a
peak of some 28,000 and at the maximum 1,300,000 men were in
combat commands. The number of men lost in air action was 79,265
Americans and 79,281 British. [Note: All RAF statistics are
preliminary or tentative.] More than 18,000 American and 22,000
British planes were lost or damaged beyond repair.
http://www.anesi.com/ussbs02.htm


 【再反論】
 それ「撃墜」されたのではない,事故などで「消耗」したものを含む.

 以下,アメリカ戦略爆撃調査団の報告書より引用;
-----------
 戦闘・非戦闘あらゆる原因による日本の陸海軍機の損失は,開戦当初の月平均約500機から,1944年後半に月2000機以上に上昇した.
 戦争の過程における総損失機数は50000機の多きに昇ったが,その40%弱が戦闘損失で,残りの60%強が訓練,輸送その他の非戦闘損失だった.

 (中略)

 太平洋戦争中のアメリカの損失機総数は,アメリカ国内での訓練中によるものを含まず,約27000機だった.
 これらの損失のうち,8700機は戦闘,残りは訓練,輸送,他の非戦闘での損失だった.
 戦闘損失のうち60%強が,対空砲火によるものだった.
-----------

軍事板,2013/03/01(金)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 9mmパラベラムとか7,62mm機関銃弾って,人間何人くらい貫通するんですか?
 腕や脚の付け根に当たると,手足吹き飛ぶんでしょうか?

 【回答】
 9mmパラだと,よほどのラッキー(あるいはアンラッキー)ショットでないと手足はちぎれないでしょう.
 7.62mmでも正確に骨のまん中当てるとか,関節きれいに壊すとかでないと.
 それでも皮膚筋肉まできれいに破るのは無理だから,ぶら下がってる状態になると思う.

 永久空洞(permanent cavity)と体内弾道(internal ballistics)というキーワードで検索されると,役立つ知識が得られると思います.

 7.62mmの貫通にしても当たり所に依るんで,骨盤とか脊椎とかに当たると一人で止まる可能性大だし,腹部なら2人,体格によっては3人抜けるかもしれません.
 通常弾か,徹甲弾かといった弾種の問題もあれば,射距離,角度の問題もあるので単純に言えません.

system ◆systemUniQ :軍事板,2013/03/02(土)
青文字:加筆改修部分

 そもそも拳銃弾は,(自分達の)安全の為に,敵を確実に戦闘不能にさせるのが良いとされ,バイタルゾーンといわれる,ハツ(in the肋骨)か脳ミソ(in the 頭蓋骨)といった人体の固い部分を通して,弾を当てるのを推奨されているので,手足吹っ飛ばしたり,何人貫通させようってのは,あまり考えてもいないです.
 弾ってのは,人間の骨に当たって止まることで,弾の運動エネルギーを全身に伝達し,ショック死させることで殺傷力を発揮するものだから.

 映画なんかで,
「弾は抜けてるから死なない」
ってセリフが出てくるのは,このためです.

軍事板,2013/03/02(土)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 デルタフォースはスケート用のヘルメットを使用していると聞きましたが,本当ですか?
 飛んでくる破片をちゃんと防げるのですか?
 そんな装備で大丈夫なんですか?

 【回答】
 状況に応じて変える.
 デルタがどこのつかってるか知らんけど,特殊部隊が登山/スポーツ用のヘルメットを選択することはある.
 砲撃される危険が少なく,装備を軽量にして迅速な行動をしたい場合にそうする.
 歩兵用のヘルメットより軽量で視界も良く,蒸れないからね.
 用途は耐衝撃用.
 ケプラーを樹脂で固めて作った現代の軍用ヘルメットも,小銃弾を食らったら貫通するし,重い・視界が悪い・蒸れるといった欠点もある.
 ので,砲弾片の脅威が無い場面では,防弾性の無いヘルメットを選んでも不思議でない.
 当然破片は防げない.

 映画「ブラックホークダウン」でデルタが,そういうのかぶってたから有名になったぽいね.
 あれは,観客にデルタとレンジャーの見分けをさせるための演出で,実際にはあれのタイプで統一されていたわけではないと聞いたことがある.

 BHDの小説版のほうによると,建物内で素早く動き回るときに頭を打たなくていいとか,そういった経緯であのヘルメットが選ばれたという.
 まぁ,ブッシュハットやベレー帽で頑張る人達よりは防御力あるかな?

モッティ ◆uSDglizB3o(黄文字部分)他 :軍事板,2013/02/28(木)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 T-64とT-72とT-80とT-90の見分け方を教えてください.

 【回答】
 T-72とT-90は,主砲塔前面にごちゃごちゃと電子装備が取り付けられてるので,見分けがつく.
 いうまでもなくT-90の方が複雑怪奇.
 T-90はT-72の大幅改良型なので,外見的な識別は,そういう追加装備で行うのが早い.

 T-72とT-80の違いは,後部からが分かり易い
http://www.geocities.jp/komets2500gt/T-72B/T-72B_3.jpg
http://www.geocities.jp/pochi9680328/AFV/Russun/T-80/t80-1.jpg

 一見して分かるように,T-80のケツは排気口が突き出してる.
 これはエンジンの違いによる.
 T-80はガスタービン,T-72(とT-90)はディーゼル.

 そのT-64他の三車種より世代が前なので,一回り小型だし,色々とシンプルなので,これまた見分けはつき易い.

軍事板,2013/03/03(日)
青文字:加筆改修部分


** 【質問】
 今日の中日新聞の記事で,学習院の青井未帆教授によると,
「武器輸出三原則で例外を認めると,軍縮外交とやらの優位を失うらしい」
のですが,軍縮外交って何ですか?
 三原則でどんな交渉が優位に進んだのですか?

 【回答】
 石油ショックのころ,西側でイスラエルに武器を供与していない唯一の国が日本だったおかげで,アラブ側が日本への石油輸出禁止措置を事実上取りやめた経緯がある.
 ま,武器禁輸政策が日本の国益に合致したのはそれが唯一の事例なわけだが,一回味をしめるとなかなか忘れられないのも,人間の真実だ.

 それに武器輸出に関しては,武器輸出それ自体が貿易より,政治・軍事介入の意味合いが強い.
 つまり好むと好まざるとに関わらず,輸出先の国の政情不安の影響で,こちらの国力まで消耗させられるリスクがある.
 敵性国家同士を合い争わせたり,内乱を誘発するなんてえげつないことが,日本の将来の民族性に影響してしまうという懸念もあるし,対米追従路線という吉田茂以来の国家戦略を逸脱したものとして好ましくない.

 だから,武器輸出を解禁するとしたら,どこまで介入するかも考えないといけない,ということになるわけさ.
 大国のパワーゲームに新規参戦するのは,「自主独立国家としてやるべきだからやるんだ」って問題じゃない.
 日本はそれで一度痛い目に遭ってるんだから.
 禁輸政策は,その学習した結果の一つでもあるわけだ.

 ただ,青井未帆(誰かと思ったら,「九条の会」の一人かよ)みたいな方々の意見は,お花畑思想に基づく宗教みたいな論理展開であって,上述のようなではないからねぇ.
 「軍縮外交」なるものが,国際的に価値を持ったり概念が認められてるかどうかは,調べれば分かること.
 disarmament diplomacyでぐぐっても,小論やNGOのサイトにしかヒットしねえの見ても察せられる.

 武器輸出が外交を有利にすることもある.
 たとえば日本のF-X一つとってみても,兵器輸出国と輸入国の力関係が良く分かるっしょ?
 上述の石油ショックの例にしろ,因果関係を逆にしたらつーか,それ狙って禁輸したら……の結果とどう違うんだろう?という疑問もなくはない.

 密輸兵器にトヨタとかソニーとか刻印されて,日本ブランドで売られているからなぁ.
 それに兵器じゃなくても,トヨタのテクニカルのような例もあるし,輸出してないって言っても,戦場に日本製てことで信頼を得ている(だましでも)現実の前には虚しい.
 日本の光学レンズや赤外線技術なんか,思いっきり米軍にも使用されてるし,日本が輸出した新幹線だって,戦時には中国の大事なインフラ.
 結局何を軍事に認定するか,その認定基準が戦前どころか江戸期の頭で考えてるからお笑い.
 まあ,日本商社マンが直接売り込みに行ってないのは,いい事だろうけど.

 どのみち自国製兵器のコストを下げる意味はあるけど,輸出額だけ考えると大した国益にははならないので,メリットとデメリットとを勘案する必要がある.
 「全面禁止しろ!」「全面解禁しろ!」という単純な二元論で論じれる話ではない.

 というか,今回の事例は輸出を解禁したわけじゃなくて,「F35の部品だけは例外」ってだけだし.
 なんで部品一つで「軍縮外交の優位が!!!」なんて妄想抱けるのか,さっぱり理解できない.

 マスコミが言葉尻をとらえて,お花畑理論にしてる可能性もあるね.
 新聞記事だから,どういう抜粋されてるかも分からない.
 ただでさえ学習院の教授って,わりと保守派が多いんだから.

軍事板,2013/03/04(月)
青文字:加筆改修部分


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