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青文字:加筆改修部分
 ただし,「である」「です」調の統一のため等の補正を除く.

※既に分類され,移動された項目を除く.

※荒れ過ぎにつき,レス回収基準は「Ver.8」


●初心者歓迎 スレ立てる前に此処で質問を 660

目次

 【質問】 ボルチモア級はなんでたくさん作られたのでしょうか?

 【質問】 先の大戦中,米軍の看護婦は最低少尉だったそうですが,なぜですか?

 【質問】 ドッグタグ(認識票)には,どんなことが書かれているの?

 【質問】 B-29Aの生産数が1000機強.エンジンの生産数が6000基強で,1機当たり4基のエンジンが必要な事を考えると,エンジンだけ大量に生産してそれで交換しながら使ったというのは間違いじゃないかな?

 【追記】 ハワイ作戦の第2次攻撃って,リスクを無視すれば強行できたの?

 【質問】 何故スラヴァ級などロシアの艦船は,VLSでなく甲板上にミサイルランチャーを置いてるのですか?

 【質問】 存在自体が秘匿されているような施設を運用してる人員って,特別な人員ですか?


●初心者歓迎 スレ立てる前に此処で質問を 661

目次

 【質問】 自衛隊の歩兵連隊は量的に,どの程度の車輛を持っているんですか?

 【質問】 何故,ティルトローターの対戦車攻撃ヘリ,偵察ヘリ,哨戒ヘリは作られないんですか?

 【追記】 蛟竜

 【追記】 半強制に近かった部隊も多かったのは事実ですが,特攻は「実質的に強制」は誤りです.

 【珍説】 「特攻出撃を一番最後にすることで,搭乗員は喜びました」???

 【質問】 原子力空母では煙突が無くなって,着艦へのアイランドの悪影響がなくなりましたか?

 【質問】 AKとstg44の構造的違いを教えてください.

 【質問】 クルスク戦後のドイツ軍撤退の際,ソ連軍の追撃はあったのでしょうか?

 【質問】 V2号を撃墜できちゃったケースってあるのでしょうか?

 【質問】 「防衛戦略上,7.62mmの機関銃が運用しにくい」理由がよくわからないんですが.

 【質問】 1972年の日中国交回復は,中国に日本の資金と技術が必要だったから,というのは本当ですか?

 【質問】 なんで今日の米海軍って,空母じゃなくて強襲揚陸艦が旗艦なんですか?


●初心者歓迎 スレ立てる前に此処で質問を 662

目次

 【質問】 自衛隊ではお誕生日会ってありますか?

 【質問】 戦艦の交互打ちは,最初に1番3番が撃ち,次に2番4番,また1番3番……というやり方じゃ無理だったのでしょうか?

 【質問】 M16でバッファチューブに当たる部品は,どこにあるの?

 【質問】 戦闘機やAWACSがデータリンクによって敵機の位置情報を僚機に送る場合,互いの位置関係はレーダーにて確認しているのでしょうか?

 【質問】 高性能爆薬の「高性能」って,どういう意味ですか?

 【質問】 掃海母艦って何ですか?


●初心者歓迎 スレ立てる前に此処で質問を 663

目次

 【質問】 陸上機を艦上機に仕立て上げるのは,どうして難しいのでしょうか?

 【質問】 現代の大型戦闘艦艇は,改造とか改装とか大改装とかするの?

 【追記】 軍事用語で言う全滅とはどういう状態を指すのでしょうか?

 【質問】 なぜ米国は,臨界前核実験を行ったことを公表するのでしょうか?

 【質問】 モスキートやJu-88は自動化した対戦車砲を積んでいたようですか,自動化出来るなら何故,陸上でも運用しなかったのでしょうか?

 【質問】 本では,「内戦は対外戦争以上に苛烈になりやすい」って書いてることが多いけど,日本の戦国時代に関する本では,「日本は国内での戦争がほとんどだったので,残虐性が低かった」と書いてある.この矛盾はどこから来るの?

 【質問】 パイロットは飛行機に乗りすぎると,肺の病気になるのでしょうか?

 【質問】 現在でも各国軍による,新型の致死性化学兵器の研究開発は続けられているのでしょうか?

 【質問】 ガンドリルとBTA加工の技術的な違いを教えてください.

 【質問】 飛行中の輸送ヘリ?のカーゴハッチから,狙撃銃で地上を狙ってるような画像を見たのですが,揺れや強風で当たりませんよね?

 【質問】 西部劇なんかでガンマンが腰の辺りで銃を構え,ハンマーを素早く操作して連射する技がでてきますが,あれが実戦で使用された例ってありますか?


●初心者歓迎 スレ立てる前に此処で質問を 664

目次

 【質問】 ハンマーある銃はなんで付けてるの?

 【質問】 HEAT弾は戦車を破壊するための砲弾ですか? 乗員殺傷も可能でしょうか?

 【質問】 純軍事的に見て,特攻戦術は失敗だったのでしょうか?

 【追記】 江戸時代の識字率

 【追記】 現在の米海軍では空母機動艦隊の航空機による防御は三層より構成されています.

 【質問】 自衛隊で一番給料の良い兵科は何処ですか?

 【質問】 そこそこ実戦仕立ての水上艦隊を相手にするのに,潜水艦は何隻必要?

 【質問】 120mm戦車砲用の散弾の威力は?

 【質問】 現在の潜水艦は,どのような二酸化炭素対策を行ってるのでしょうか?

 【質問】 戦闘では普通あんまり損害が出ない,本当に損害が出るのは負けた後だと聞きました.本当ですか?

 【追記】 三割の損害で全滅扱いってのは,

 【追記】 東インド会社

 【追記】 そもそも論として,例えばポール・ポーストの『戦争の経済学』で指摘されているように,現代戦争の直接的な収支は「儲からない.むしろ赤字」というかGDP比で見ると戦費はどんどん下がっているから,特需というほどの効果がない


●初心者歓迎 スレ立てる前に此処で質問を 665

目次

 【質問】 ミッドウェー作戦が情報ダダ漏れってとこは,杜撰な計画だったと言っていいんじゃね?

 【追記】 核弾頭は小型化の度が過ぎると効率が著しく低下する

 【珍説】 「弾丸は真鍮!」???

 【質問】 山口事件って何?

 【質問】 普通師団,機甲師団の他にはどのような師団がありますか?

 【質問】 強襲揚陸艦って一隻で揚陸の手伝いと輸送が出来るって船なんだろうけど,なんで一隻にまとめたの?

 【質問】 タイガー戦車は強力ですが,電撃戦を得意としたドイツ軍には不向きだったのではないのですか?

 【質問】 陸上自衛隊では,食堂の業務を民間の人がやっているのですか?

 【質問】 「ティルトローター含むVTOL機は,水平⇔垂直の移行時のバランスが崩れやすくて,危険」というのは本当ですか?


 【質問】
 ボルチモア級はなんでたくさん作られたのでしょうか?
 対戦艦はあきらめて,巡洋艦以下狩りに精を出すためでしょうか?

 【回答】
 ボルチモア級は「正しき重巡洋艦」として作られた.
 つまりは,「戦艦を出すほどではない」状況で,ある程度汎用的な任務に使うことと,敵の巡洋艦に対して優位に立つことだ.
 砲は「巡洋艦」である以上,条約の制約があるので8インチのままだが,速度を犠牲にせずに装甲を充実させ,「敵の巡洋艦と撃ち合っても負けない」ことを目指した.
 すなわち,条約型重巡の欠点である,1万トンの排水量では,8インチ砲に対する防御が取れないので,対8インチ砲防御を満たすために作られた.

 ボルチモア級に限らず米重巡は,やたら高速な上に戦艦を数発で殺せる酸素魚雷を持つ日巡洋艦群を駆逐して,主力戦艦群を守ることを考えてた.
 だから砲力・防御力重視だった.

軍事板,2010/10/06(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 先の大戦中,米軍の看護婦は最低少尉だったそうですが,なぜですか?
 日本では,今ですら2曹=軍曹なのに.

 【回答】
 米軍の看護婦の場合,数多くいる兵士達に命令を届かせる為に,士官として採用しています.
 また,第2次大戦中は米国も看護婦不足となり,大キャンペーンを張って育成を行いました.
 よって,待遇を少しでも良くする為に,士官として任官させました.
 看護学生でも士官候補生扱いです.

 日本の場合,その米軍の育成過程で任官した日系二世の看護婦が来て,警察予備隊の看護婦の教育を行い,それと共に,看護婦部隊の運営をとりまとめています.
 その際,幹部に登録正看護婦の士官任官を求めましたが断られ,仕方なしに次善の策として,正看護婦を米軍の一等軍曹に,看護婦長に少佐の階級を与えたのが,せめてもの妥協だったそうです.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板,2010/10/06(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ドッグタグ(認識票)には,どんなことが書かれているの?

 【回答】
>多くは5cm程度の大きさのアルミニウム製やステンレス製で,氏名,生年月日,性別,血液型,所属軍(国籍と同義)認識番号,信仰する宗教等が打刻される.
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%8D%E8%AD%98%E7%A5%A8

軍事板,2010/10/07(木)
青文字:加筆改修部分

 霞ヶ浦の住人の蛇足.
 第2次世界大戦中の日系人の第442連隊戦闘団では,多くの兵士の信仰する宗教欄が空白でした.
 仏教というカテゴリーが無かったからです.

霞ヶ浦の住人 ◆lkgPhO20MyN8 in 軍事板,2010/10/07(木)
青文字:加筆改修部分

 今はちゃんと
C=Catholic(カトリック)
P=Protestant(プロテスタント)
J=Judaist(ユダヤ)
B=Buddhist(仏教)
NR=New Religion(新興宗教)
NP(もしくはNO PREF)=No Specific Religious Preference(特定の宗教を信仰していない)
となってる.


361 :名無し三等兵:2010/10/07(木) 20:00:11 ID:???

 フライングスパゲッティモンスター教が入っていないとはけしからん!

軍事板,2010/10/07(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 B-29Aの生産数が1000機強.
 エンジンの生産数が6000基強で,1機当たり4基のエンジンが必要な事を考えると,エンジンだけ大量に生産してそれで交換しながら使ったというのは間違いじゃないかな?

 【回答】
 根本的に誤解があると思うが,B-29Aと言うのは,B-29最初の生産型じゃないし,機数も多くない.
 主力は無印B-29.

B-29 ボーイング・ウイチタ製1,634機,ベル・マリエタ製357機,マーチンオマハ製532機
B-29A ボーイング・レントン製1,119機
B-29B ベル・マリエタ製311機

 総計3,953機.
 生産数は本によって違うが,約4,000機.
 基本的には全部R3350だから,それを考えればその理論は成り立たないな.

 B-29は1942年に初飛行して,翌年10月にはAFFに引き渡しが始まってる.
 多くの新機構を取り入れた大型機にしては,驚異的なスピードだから,熟成が足りず多くのトラブルが出たが, エンジンについては,もともとR3350は開発時期は結構古いが,トラブルが多く,一時開発が棚上げされていた物.
 だが熟成が進み,エンジン自体は1945年半ばには,運転時間が当初の3倍ぐらいまでの信頼性が増し,戦後は信頼あるエンジンとされた.

 多くのトラブルを抱えたのはターボコンパウンドバージョン.
 B-29固有のトラブルとしては,空気抵抗軽減の為のエンジンカウリングが冷却に問題ありで,高高度で加熱しやすく,軽量化のためにエンジンカウリングにマグネシューム分の多い材質だったので,燃えやすく発火が多かった.

 対策としてエンジン側の改良とともに,カウリング材質変更と戦闘行動高度の見直しを行った.
 1945年春以降のB-29の爆撃高度が下がったのは,戦術の変更とともに,機体側の問題をクリアする目的もあった.

 朝鮮戦争時はエンジン側の改良,機体の改良に加え,日本本土爆撃に比べて短い距離・高度など運用面でも負担が少ないから,エンジン発火で多くの機体が失われたとか,作戦に支障があったなどの報告はない.

軍事板,2010/10/08(金)
青文字:加筆改修部分


 【追記】

698 :名無し三等兵:2010/10/09(土) 00:14:47 ID:DIeb4uyk
ハワイ作戦の第2次攻撃ってリスクを無視すれば強行できたの?
それとも最初から南雲でなくても物理的に無理だったんですか?
何かのサイトに主として燃料事情から到底実施不可能て書いてあったけど.

702 :名無し三等兵:2010/10/09(土) 00:24:16 ID:???
>>698
一次攻撃終了後に損傷機,損失機あわせて130機近く出ており,また,
搭乗員も日に二回出撃というのは,それまで行ったことがなく,時間からして,
帰りは,薄暮から夜間になり,事故が発生する可能性が高いこと,また米軍も
一次攻撃二波目には,立ち直りかけており,一次攻撃以上の損害を覚悟(実質戦闘力喪失)を
覚悟すれば可能.
また,駆逐艦の燃料が前日からの全速航行で危険水準まで減っており,補給隊と合流までに
艦の放棄を覚悟すればできないこともない.

軍事板,2010/10/09(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 何故スラヴァ級などロシアの艦船は,VLSでなく甲板上にミサイルランチャーを置いてるのですか?

 【回答】
 スラヴァ級はVLSを10セル装備している.
 ただし全部SAM.
 あの,対艦ミサイルを連装発射筒にのせてずらずら,ってのは,ソ連の飽和攻撃ドクトリンに準じるお家芸だが,西側だって現代でもVLSを使わないという選択は,十分視野に入れている.
 日本の19DDだってランチャー装備する予定だし.

 VLSを採用する事のメリットは,低RCS的に効果があるだけでなく,多種のミサイルを併用できる汎用性に優れ,重心位置も低くなり,ランチャーに一々装填する必要がなく,「格納庫からそのまま発射できる」という点.
 これにより空中で姿勢を変更させるため,連続射撃の際,ランチャーを装填位置と射撃位置の間で往復させる必要がなく,複数のミサイルを同時に発射する事も容易になった.
 つまり,元来SAMなど小型で数を撃つ系のミサイルに対して特に需要があった.

 逆に対艦ミサイルなど大型の場合,ランチャーの使い回しというのは,元からあまり現実的ではなく,設置にコストがかかり艦内容積も喰うというデメリットが出てくるため,お財布と相談の上で採用しないというのは,普通にあり得る選択肢.
 特にソ連の場合,低コストで数を揃える必要があっただけでなく,遠距離からの飽和攻撃を目指していたために,射撃方向は艦の前方に固定されていても問題なかった.
 ミサイル艇やルン級の背中などに無理矢理に搭載する,ソ連的機能美を追求するにも都合が良かったし.

※ 自己補足
 リボルバーVLSの場合は難易度が上がる.
 リボルバーそれぞれ一発撃つ毎に,回転させなければならないため,厳密な同時発射にはリボルバーが複数基必要.
 もしくは中国の様に魔改造するか.
 まあ,あれは過渡期の代物なんで,リボルバーに分類していいのかは疑問.

軍事板,2010/10/09(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 存在自体が秘匿されているような施設を運用してる人員って,特別な人員ですか?
 普通の人員が,「来月から君は秘密基地配属だ」とか普通に言われたりはしない?

 【回答】
 その辺は様々.

 本当に極秘の部隊なら,場合によっては「事故で死亡」って扱いにされることもあるし,軍人としての身分が(一時的にでも)抹消されている,ということもある.
 でも普通はそこまで徹底的にはされず,表向きに実態のない部隊や本来の任務とは関連性がないように,偽装した部隊を創り上げて,そこの所属ということにして偽装することが多い.

 で,そういう部隊の求める人材は,高度な技能や高い能力が求められることが多いから,「普通の人員」なんて レベルの人が,いきなり選定されて配属されることはない.
 仮に選定されるにしても,身元と素行調査を徹底的に行ったあとで,まずは本当のことを適時にボカして勧誘して,適性を見る.

 実例として,アメリカの「ステルス戦闘機」F-117の部隊は,創設以来,長期に渡ってその存在は極秘扱いで,パイロットは慎重に選定されたあと,厳しい選抜を経て,「機密を絶対に守れる」と判断された人だけが配属された.
 それでも選定対象になったパイロットには,表向き「開発中の新型戦闘機のテストパイロットの選抜試験」として説明されて勧誘されていたので,なんとなくだが皆「レーダーに映らずに飛べる,という新型最新鋭機」のパイロットを選別してるんだということは察せたし,そういう噂は空軍の外まで広まってはいたそうだ.
 その「開発中の新型戦闘機」が既に完成していた,ということは殆どの人が選抜されて,部隊に配置された後に知ったそうだけど.

 この部隊,「アメリカ空軍第4450戦術群(4450th TG)」は,表向きは訓練用に使ってたA-7(操縦感覚・飛行特性が似ているとされて選ばれた)を装備する部隊と公表されて,偽装されていた.
 部隊の駐留する航空基地も,本当の駐留地とは全然別の場所の基地が選ばれ,パイロットたちは「勤務地」とされている基地に一旦出勤したあと,わざわざ輸送機に乗って本来の駐留基地へ移動し,そこで訓練などを行っていた.

 面白いエピソードとして,パイロットには妻子家庭持ちの人が結構いたので,「お父さんの勤め先が一度見てみたい」という要望が,何度も出された(家族にも真実は秘密にする規定)ため,上に書いた偽装の特性上,「特に隠すようなものもない」ことを証明する(と偽装する)ためと,公の「勤務地」から別の場所に移動しているということから,普段から通常のパイロットに比べて,家を開ける期間が長くなることを不審がられて,情報が漏れるのを防ぐため,「"出勤地"でA-7による任務を行っている」という「事実」が必要になり,軍はわざわざ,退役して予備として保管されてるA-7をかき集めて,「部隊の実勢」を偽装して部隊公開を行った,というエピソードが.

 この時は,わざわざ「本当はもう飛べない」機体であっても,さも飛行できるように見せかけて,部隊マークや所属記号だけではなく,機体に書かれた搭乗パイロット名や,「普段使っているように見せる」ための整備上の注意書き(整備員がそのつど覚書として書き込むもの)まで偽装し,ボロが出ないように,「こう訊かれたらこう答える」問答集まで作って,指揮官以下部隊の全員がリハーサルして万全の体制で行った.

軍事板,2010/10/09(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 自衛隊歩兵連隊は量的に,どの程度の車輛(戦車,ヘリ,装甲車輛などなど)を持っているんですか?

 【回答】
 自衛隊の歩兵(自衛隊の場合は「普通科」と呼ぶ)連隊の編中には,通常は戦車やヘリコプターはない.

 限られた一部の連隊は,装甲車を装備している.
 部隊によって,
*履帯((キャタピラのこと)式の「歩兵戦闘車(自衛隊は「装甲戦闘車」と呼ぶ)」を装備した部隊
*履帯((キャタピラのこと)式の「装甲兵員輸送車(自衛隊は単に「装甲車」と呼ぶ)」を装備した部隊,
*車輪式の「装輪装甲兵員輸送車(自衛隊では「装輪装甲車」)」を装備した部隊,
*車輪式の「軽装甲機動車(装甲のあるジープとでも言うべきもの)」を装備した部隊,
に別れている.

 ちなみに装甲戦闘車を装備してる普通科連隊は,今のところ2つだけ.
 「装甲車」は「装輪装甲車」に交代している途中.
 「軽装甲機動車」は,これまで装甲車が配備されてない部隊に配備が進められている.
 でも,大概の「普通科連隊」は単なるトラックを使ってる.

 戦車やヘリコプターは,普通科連隊の上位部隊である「師団」もしくは「旅団」に部隊が編成されている.

軍事板,2010/10/10(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 何故,ティルトローターの対戦車攻撃ヘリ,偵察ヘリ,哨戒ヘリは作られないんですか?
 「海鳥」とAH-1ZとSH-60Kを足したような,護衛艦用の攻撃機はまだまだ先ですか?

 【回答】
 ティルトローターの利点が何かと言うと,水平飛行に遷移したあとなら,ヘリより高速で,翼もあるから航続距離が長い,という部分にある.
 あとは理屈の上では,単発エンジンからギアボックスで左右に分けることもできないわけではないが,現実的な問題として双発になるため,ある程度の機体規模が無いと効率が悪いということもある.

 その上で「対戦車攻撃ヘリ,偵察ヘリ,哨戒ヘリ」のそれぞれの任務を見た場合,左右にエンジンポッドをつける構造故に前面投影面積の拡大,すなわち弾が当たり易くなるということは,胴体を絞るために乗組員のタンデム配置までしている攻撃ヘリにとっては,受け入れ難い欠点だし,積荷が偵察機材しかない偵察ヘリにとっては,双発という機体規模の拡大が余計なコストを招く.

 可能性としては遠く,速く,を利点とできる哨戒任務が残るし,V-22のAEW型の話もあるが,駆逐艦などに搭載される「対潜ヘリ」として見た場合には,機体規模がでかすぎる(対潜ヘリが10トン程度なのにV-22は20トン以上)という欠点がある.

>海鳥とAH-1ZとSH-60Kを足したような,護衛艦用の攻撃機はまだまだ先ですか?

 攻撃ヘリに哨戒ヘリの要求を満たすためのデメリットを呑ませ,哨戒ヘリに攻撃ヘリの要求を満たすためのデメリットを呑ませ,なおかつティルトローターでなければ任務を果たせない性能要求が出されなければ,開発すらさ れないと思う.

ふみ ◆Y.QUKJBduY in 軍事板,2010/10/10(日)
青文字:加筆改修部分


 【追記】
260 :ゆうか ◆u8WC078ef5ch :2010/10/11(月) 00:22:20 ID:0Z4K8KRK
>>258
そういうのは御本人の主観が多分に入ってますのでどうしようもありません.
また蛟竜が「特攻戦隊」に配属されたのも事実です.

しかし蛟竜は特種攻撃兵器としての「特攻兵器」ではありますが,いわゆるカミカゼや回天のような特攻とは
まったく別種のものです.

回顧録,個人レベルの戦記ものを読まれる際は,著者の方の立場からの視点でしかないことが多々あります.
もちろんそれは現場の観点として非常に有益だし重要なものではありますが,やはり大局的じゃないんです.
ですから記載された内容を解釈する際には十分な吟味が必要で,
うかつに信じ込むと真実はまるで逆だった,みたいなケースはしばしばありますので留意してください.

軍事板,2010/10/11(月)
青文字:加筆改修部分


 【追記】
330 :ゆうか ◆u8WC078ef5ch :2010/10/11(月) 11:19:10 ID:0Z4K8KRK
>>324
半強制に近かった部隊も多かったのは事実ですが「実質的に強制」は誤りです.
あなたがあげたwikipediaにさえ部隊ぐるみで特攻を拒否した事例が掲載されてますね.
私自身はそれよりさらに情報を持っています.
そもそも一連の菊水作戦で,特攻機が通常攻撃機を数的に上回ったのは第一次だけ,というのは御存じですか?

軍事板,2010/10/11(月)
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
360 :霞ヶ浦の住人 ◆ORAm06ellg :2010/10/11(月) 12:30:07 ID:j1ZKfcsY
>358 :名無し三等兵:2010/10/11(月) 12:22:41 ID:???
>341
>それって本当にその人のためか?
>特攻出撃を一番最後にって,ものすごい残酷なことだってわかってるか?
>それだけ長い時間死と向き合うことを強制されることになるんだが?
>事実待機時間が長いと精神衛生上多大な悪影響があると軍の調査でも明らかになってるんだぞ?
>なんで振武寮なんて悪名高い施設が「必要になった」のか少しも考えないのか?

霞ヶ浦の住人の回答.
搭乗員本人と,人事係は「本当にその人のため」と思いました.
搭乗員は喜びました.

説明.
嫌なことをするのに,一番最初と「一番最後」では違います.
少しでも遅い方が良いと考えます.

 【事実】
 隊員の総意としては「少しでも早い方が良い」でした.
 時間が経てば,あれこれ考えてしまうからです.
 貴方の挙げたような人がゼロとは言いませんが,完全に例外です.

 そして軍としても,時間を空けることで弊害が多々出てくることは,承知していました.
 フィリピン戦では選抜から出撃までの間隔が比較的短く,また特攻隊の規模も後に比べれば大きくなかったこともあって,問題が大きく顕在化しませんでしたが,沖縄戦では規模の大きさ,帰還率の高さ(半分以上は帰ってきました)のため精神的に重大な問題が発生し,部隊全体の士気にまで影響が出ています.
 それらを少しでも解消するため温泉でのリフレッシュ,軍医によるメンタルケア等積極的に行われたし,行うよう通達も出てます.
 陸軍で悪名高い振武寮が設置されたのも,同じ事情です.

ゆうか ◆u8WC078ef5ch in 軍事板,2010/10/11(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 原子力空母では煙突が無くなって,着艦へのアイランドの悪影響がなくなりましたか?

 【回答】
 戦鳥さんとこでも同じような質問が出てるけど,
「影響は当然出てるけど,それを許容範囲とみなすか,みなさないかの差」
というのが,戦鳥さんとこの回答.
http://www.warbirds.jp/ansq/2/B2000830.html

 原子力空母になってもアイランドが,着艦に影響を及ぼしてるのは事実.
 煙突からの影響はなくても,アイランドからの影響が残っているので,悪影響がやんだというのはウソ.

軍事板,2010/10/11(月)
青文字:加筆改修部分

 補足をするならば;

 空母が艦載機の運用を行うことを第一義のフネとするならば,飛行甲板は艦載機の運用の都合だけを考えたい.
 それを突き詰めていくと,なるたけ多くの飛行機を並べることで発艦を短時間に行えるようにしたい.
 とくにカタパルトの後方は,発艦待ちの艦載機のためのスペースにするのが望ましい.

 しかし通常動力空母の場合,機関室とその煙路の都合もあって,オーバーハングでせり出すにせよ,場所をあけるためにアイランドを後退させるにせよ限界がある.
 それを原子力化によって.アイランドの位置はかなり後退させることができた,と.
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/images/midway.gif
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/images/forrestal.gif
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/images/enterprise.gif
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/images/kitty-hawk.gif
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/images/nimitz.gif

 しかし,もっと駐機スペースをとりたいので,エレベータの数を減らしてでも場所をつくり,艦橋をさらに後退させた.
 エレベータが減っても,能力が3割あがれば補いがつくし.乱流については別対処する,と.
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/images/cvn-78-side.gif
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/images/cvn-78-deck3.gif

ふみ ◆Y.QUKJBduY in 軍事板,2010/10/11(月)
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 【質問】
 もしよろしければ,AKとstg44の構造的違いを教えてくださいませ.
 当方,軍事的知識が乏しい故,「AKとかstgの劣化パクリ」という煽りに返す言葉が無く,困ってしまいました.

 【回答】
http://homepage3.nifty.com/gun45/istdasak47direktausdemstg44abgeleitet.htm
 ここを読め.
 丸パクリというわけではないが・・・ってこと.

 AKは閉鎖機構が回転ボルト式,Stg44は落とし込み式.
 あと,分解方法も違うな.
http://www.gotavapen.se/gota/fieldstripp/stripp_akm.htm
http://www.gotavapen.se/gota/fieldstripp/strp_mp44.htm

 弾薬とコンセプト以外は,Stg44から何もパクってないかと.
 でもStg44は,アサルトライフルというジャンルの開祖な訳だから,パクりというのも妙な話.
(そんなこと言ったら,Stg44以降の全てのアサルトライフルは,Stg44のパクりと言う言い方も出来るし)

軍事板,2010/10/11(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 WW2のクルスクの戦いで,ドイツ軍が作戦中止で撤退したと思いますが,その際にソ連軍が追撃してきて,後衛部隊が戦闘になったということはあったのでしょうか?
 特に南部戦区での状況が知りたいです.

 【回答】
 英語が読めるなら,このへん参照.
http://en.wikipedia.org/wiki/Battle_of_Kursk#In_the_south:_Operation_Polkovodets_Rumyantsev
http://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Polkovodets_Rumyantsev

 ツィタデレ作戦の中止後,南方軍集団はゆっくりと後退していた.
 8月に入って赤軍がルミヤンツェフ作戦を発動し,大規模な攻勢を開始.
http://en.wikipedia.org/wiki/File:Battle_of_Kursk,_southern_sectorV2.png

 8月末には,それまで独ソ間で3度争奪戦が行われていたハリコフを,ドイツ軍が戦闘の末(第4次ハリコフ戦)放棄し,完全解放されている.

 以下はゲームの解説だが,ルミヤンツェフ作戦と第4次ハリコフ戦について述べられてる.
http://www.sunsetgames.co.jp/write/ring_of_fire_aar.htm

軍事板,2010/10/11(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ドイツのV2号について.撃墜するのは「ほぼ」不可能だというのは納得なのですが,もののはずみで撃墜できちゃったケースってあるのでしょうか?

 【回答】
 オランダのハーグ近郊から発射された直後のV-2が,偶然通りかかった爆撃帰りのB-25爆撃機の50口径機関銃で撃墜されたという例が,1つだけあるそうだ.
http://en.wikipedia.org/wiki/V-2#Countermeasures
http://www.cdiss.co.uk/Documents/Uploaded/Missile%20Defence%20-%20Then%20and%20Now.pdf

 これはV-2が上昇途中で,速度が遅かったからできたことで,成層圏から秒速800mで落下してくるV-2は,いわば「青天の霹靂」みたいなものだから,当時の技術では探知不能.
 だから当時,有効な対策は発射基地を爆撃するか,地上の軍を前進させて,基地を射程距離よりも遠くに後退させるかだった.

軍事板,2010/10/12(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「防衛戦略上,7.62mmの機関銃が運用しにくい」理由がよくわからないんですが,教えてもらえますか?

 【回答】
 自衛隊の制式小銃が,SS109(5.56mm×45NATO弾)を使用する現在では,分隊自動火器であるMinimiにその支援火力を依存しています.

 その理由として,防衛戦闘において2種類の弾薬を運用する事が,防衛戦略上困難である,と言う判断も働いているようです.
 また,車載用の機関銃は74式車載機関銃があり,7.62mm弾自体は継続して使用されていますが,7.62mm減装薬弾を使用する六四式小銃が現存し,運用されて居る為に,充分な数を確保する事はさらに困難となっています.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板,2010/10/12(火)
青文字:加筆改修部分

 そりゃ,有れば便利(特に遠射性能)とは思ってるだろう.
 でも・・・・・,

1) モデルガン雑誌のライターが主張するほどの差はない.
https://acc.dau.mil/GetAttachment.aspx?id=382846&pname=file&aid=51537&lang=en-US

2) GPMGとして使おうとすると3人必要だ.
http://www.globalsecurity.org/military/library/policy/army/fm/3-21-9/chap1.htm#1-3
>The infantry platoon has one officer and 43 enlisted personnel in three elements

 27人の陸自小隊でどうしろというんだ.
 「せめてドライバーだけでも別枠でクレ」って世界だし.

軍事板,2010/10/12(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 以下は本当ですか?

>1972年の日中国交回復の頃です.
>その当時は,日本が経済大国で,中国は遅れていました.
>日本の資金と技術が必要でした.
>そのため友好的に出て,日本の援助を求めたのです.

 【回答】
 60年代後半の中国は,中ソ対立の挙句に国境紛争まで起こし,その紛争相手に技術や資源で依存していた中国は,窮地に立たされます.
 アメリカはそんな中国を,対ソ包囲網に巻き込むことで,自国の利益としようとしました.

 キッシンジャーが電撃訪問して米中共同宣言をした以上,1950年に日中友好協会を設立して,20年に渡って「中共」と貿易してきた日本が,遠慮しなきゃならない義理もなくなったので,アメリカより先に中国を承認して商売することとなります.

 71年のクーデターに失敗して失脚した林彪は,ソビエトとの関係回復を図ろうとしていましたから,クーデターの行方次第によってはどう転んだかわからない部分はあります.
 中国としては援助があればありがたかったのは事実にせよ,米ソの双方を敵に回して戦争上等と言っていた国であり,戦時賠償代わりであるODAを考えないはずはないにせよ,第1回のODAは1979年なので,
「資金と技術を求めたから国交回復」
したわけではありません.

>中国が日本の援助で発展してくると,威張ってきました.

 靖国問題は85年の中曽根内閣.教科書問題は86年.
 中国人が威張るのに,「発展してから」なんて理由付けは必要ない.
 中国人が高飛車なのはデフォです.
 でなきゃ「ズボンがはけなくても(そのくらい貧乏でも)核開発をする」だの,文革で2000万殺すだのできるわけもない.

ふみ ◆Y.QUKJBduY in 軍事板,2010/10/12(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 なんで今日の米海軍って,空母じゃなくて強襲揚陸艦が旗艦なんですか?

 【回答】
第2艦隊 旗艦イオージマ強襲揚陸艦
第3艦隊 旗艦コロナドドック型輸送揚陸艦
第6艦隊 旗艦マウントホイットニ揚陸指揮艦
第7艦隊 旗艦ブルーリッジ揚陸指揮艦
 第1は現在欠番,その他は特定艦艇はもっていない.

 指揮艦艇で最も大事なのは分析力.
 つまり通信処理能力が優れている艦艇である事.
 その点では揚陸指揮艦は最適.
 イオージマやコロナも専用指揮艦システムを持っている.
 巨大な空母でもスペース的に制約があって,この点においては劣っていた.
 ただ,近年の改修によって,かなり近い能力を持った空母もある.
 だから実際の戦闘では,空母が旗艦になるケースもあると思われる.

軍事板,2010/10/12(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 自衛隊ではお誕生日会ってありますか?

 【回答】
 うちは吐くまでロブスターを食べる会だったな.
 大食い競争みたいなものか.
 誕生日のやつは無料.
 ほんとうに皿の上に吐いて,それ見たやつが「グラタンみたいだな」と言った途端,釣られゲロとか地獄でした.
 容姿でヤクザだと思われてたらしく,治外法権フィールド状態.

 誕生日会で飲んで歩いてるうちに,クルマに乗ったチンピラ右翼みたいなのが,「自衛隊は何もできない弱虫」だのなんだの言ってからんできたので,縁石をはがしてクルマを発進できないようにしておいて,右翼をクルマから引きずり出してリンチしたこともありました.
 工事現場から持って来た足場用鉄パイプで,クルマも廃車にしました.
 今ではいい思い出です^^

 キミたちも自衛隊においでよ,たのしいぞ.

軍事板,2010/10/13(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
――――――
 当時の砲戦だと,斉射の他に交互一斉打法ってのが実戦だと行われてた.
 これは各砲塔の砲が一門おき(連装の場合は左右交互に)に射撃する方法で,装填時間がかかる艦砲でも,常に砲が発射出来るため,弾着を見て照準に修正を加え続ける当時の砲戦には欠かせないものだった.
 当時の戦艦の動画なんかで,砲身が左右交代で動いてるのは,この演習を行っているため.

 これを行う為にも,砲は各個動かないと実戦的ではない.
 また,各個動作が独立してないって事は一箇所動かなくなると,その砲塔の門が全て作動不可になる,ダメコン上の大きなデメリットも.
――――――

 上記ですが,交互打ち方は1〜4番まで主砲があったとして,最初に1番3番が撃ち,次に2番4番,また1番3番……というやり方じゃ無理だったのでしょうか?
 これなら,砲身が各個に動かなくても出来ますし,砲門数が増える分命中するような気もするのですが.

 【回答】
 理屈の上では代用できなくもなさそうだけど,当時の主砲は装填に時間がかかるって事を,頭に入れた上で考えた方が良い.
 今みたく自動装填じゃなく,下の火薬庫から上がってきた砲弾と炸薬を,半人力で装填するんだよ.
 しかも,砲塔内だって決してスペース的に余裕があって,野砲みたく周囲を人が走り回れるわけじゃない.
 youtubeあたりにアイオワ級の(これだってかなり装填方式が洗練された艦だ)の主砲発射動画とかあるから,見てごらんよ.
 上記の条件を考えると,各砲塔が斉射する方式で,絶え間ない弾着を維持する事は難しい.

 それに仮に,砲術長が各砲塔ごと斉射で射撃を行いたいと思っても,各砲身が連動する作動方式で,それを行う事は可能だけど,その逆は出来ない.
 質問者の砲術にはデメリットは大きくても,あんまりメリットが無いんだよ.

軍事板,2010/10/14(木)
青文字:加筆改修部分

 補足を.

 交互撃ち方は射撃諸元を集めている段階.
 ここで重要なのは,目標艦を散布界の内側に収めること.
 散布界は砲弾のばらつきのことで,長径で200メートルとかの楕円形になる.
 この中に敵艦が収まったら,全力で射撃する.

 散布界はけっこう広いし,同型艦でさえ同じ形にならなかったりもするので,射撃のペースを上げるために交互撃ち方をやるにせよ,全部の砲塔を使わないと,ただでさえ難しい遠距離射撃の諸元集めがもっとややこしくなる.

 散布界に収める,あとは撃ち続ければ確率であたる,というのが砲戦の流れなので,砲塔ごとにぶっ放していると散布界がわかんなくなっちゃう.
 もちろん,射界の制限で前の砲塔しか,後ろの砲塔しか使えない,というケースもあるけど.

ふみ ◆Y.QUKJBduY in 軍事板,2010/10/14(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 M16はストックにバッファチューブを入れていたせいで,相手を殴ったら折れて撃てなくなったって話を聞いたんですけど,よく考えたらM16以外の銃ってストックに何も部品入れてませんよね.
 バッファチューブに当たる部品はどこにあるの?

 【回答】
 M16系の場合,発射ガスでボルトキャリアを後退させる.
 このボルトキャリアが後退時に収まる部分が,ストック内のチューブ.
 ただし,直接発射ガスをボルトに吹き付ける方式は,M16系ぐらいしか採用していない.

 ほんじゃ,どうやって後退させてるのかと言うと,いくつか方式があって,ガスでピストンを作動させて,ボルトキャリアがそのピストンと一体化してるタイプや,ピストンのみをガスで後退させてボルトキャリアは連動して動くタイプなどが代表的.
 で,ガスで後退させるピストンは大体,ハンドガード上部辺りにある事が殆ど.

 文章だけで読むより,ここら辺は図解入りのサイトを探した方が判りやすいかも.
 リュングマン方式とかで検索してみると良い.

 まとめると,M16系は独特の作動方式のために,ストック内にバッファチューブのスペースが必要.
 その他の銃は,それをピストンで作動させているので,ストック内のスペースは不要.

軍事板,2010/10/14(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦闘機やAWACSがデータリンクによって敵機の位置情報を僚機に送る場合,互いの位置関係はレーダーにて確認しているのでしょうか?
 それともGPSやINSを用いているのでしょうか?
 もし前者なのであれば,もし味方機のステルス性が高い場合,相互の位置関係を把握できず,情報を処理できないことがあり得ると思うのですが.

 【回答】
 前者.
 心配はわかるが,次のような理由で比較的問題にはなりにくい.

敵機 ← 味方の戦闘機 ← AWACS
の配置が普通なので,敵機を探知できる状態なら,より近い味方機は,敵機よりステルス性に優れていても探知しやすい.
 ステルス性は前方が最優先されている.
 後方はノズルなどの対策できない部品があるので,後方から「見ている」AWACSには,比較的レーダー反射がりやすい.

 フェイズドアレイレーダーの採用や,処理アルゴリズムの進化で,AWACSのレーダー性能も上がっている.
 それは,敵ステルス機,ステルスミサイルを前方から探知できるレベルまで上げる努力が当然なされており,味方機は上記の理由でさらに探知しやすい.

 それでも,ということで,GPSで得た自機データを衛星経由でAWACSや味方機に送るという構想もある.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/15(金)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 高性能爆薬の「高性能」って,どういう意味ですか?
 単に爆発が高威力ってこと?
 だとしたら,その基準ってあるんですか?

 【回答】
 爆発力が強いという意味.
 これには,発生するエネルギー量,爆圧などの測定による実際の威力,爆轟速度などが含まれる.
 発生エネルギー量が多くても,ゆっくりしか放出されなければ,ガソリンと同じで爆薬とは言えない.
 短時間で反応が終わるためには,爆轟速度が速い必要がある.

 したがって爆轟速度が速く,単位体積あるいは重量あたりの発生エネルギー量が大きいものが,原則として高性能爆薬ということになる.
 実際には時間圧力試験,弾動臼砲試験,鋼管試験などを行う.
 より実際的なデータを得る場合には,一定量の爆薬を起爆させ,
 一定距離においた圧センサーで爆圧を記録して,ピーク値と積算値から爆薬の威力を比較する.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/15(金)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 掃海母艦って何ですか?
 5000トン以上もある掃海艦は何に使うのでしょうか?
 近海の掃海には掃海艇を,海外での掃海には掃海艦を使いますよね.

 【回答】
 航空掃海及び掃海艇の母艦機能.

 掃海艇ってのは見れば分かる通り,小型で小回りがきき,機雷除去という任務に都合がいい反面,航続距離が短く積載量も少ない.
 なので近場に繰り出すには問題ないが,遠隔地に展開させる際は,燃料や資材を補給してやる艦船が必要になる.
 ならばそのバックアップを行う艦に,指揮能力やある程度の自衛能力(後日搭載の場合も)を持たせ,その海域で行う掃海作戦を掌握させるようにしたのが,掃海母艦という艦種.
 簡単にいえば掃海作戦の「指揮+補給」を行う艦船.

 蛇足だが,海自はうらが型から機雷敷設能力ももたせた.

軍事板,2010/10/16(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 陸上機を艦上機に仕立て上げるのは,どうして難しいのでしょうか?
 サイズや重量だけなら,可能そうな陸上機は結構あると思うのですが.
 重さだけなら多少超過したぐらいで,空母が傾いたりはしないのでは?
 物理的,技術的にはF-15Eを艦上戦闘機にすることは不可能ですか?

 【回答】
 空母で難しいのは,発着艦に耐えられるよう造る事.
 空母運用のCTOL機は,特に着陸に大きな負担が掛かる.
 現代米海軍の巨大な原子力空母でも,滑走路としてみれば死ぬほど短いので,カタパルトとアレスティングワイヤーで無理矢理運用せざるを得ない.
 だって2000m級以上の大きさの空母って,どう考えても無理あるでしょ?
 で,それらの,特に着艦時の障碍に耐えられるようにするためには,機体強度に陸上機にはない上乗せが必要.
 「コントロールド・クラッシュ」と言われるように,陸上機とは全く違う着陸の仕方をするので,その時には大きな負担が脚周りにかかる.
 脚の強度を上げるだけではなく,機体全体の強度が必要.

 さらに陸上機と違い,エアカバー提供と発着艦に有利にするよう,空力的特性を低速域での揚力を重視して設計する必要があるため,F-14の様に可変翼を採用するのでもなければ,F-18の様に鈍足といわれるの覚悟で,主翼の後退角を緩やかにし,どちらかといえば直線翼に近い形状にする必要がある.
 着陸時の機体コントロールを容易にする為に,低中速性能が求められる.
 プラップやエルロンなどの高揚力装置がより重視される.
 フランスは,カナードとデルタのラファールで行くつもりらしいけど.
 主翼の降り畳み機構も,現代の高機動機では主翼を最初から設計しなおさないと,強度が保てない.

 サイズ等に関して言えば,空母そのものへの搭載は可能だけど,エレベーターで甲板から格納庫へ移動させたり・・・・と,その辺りで,サイズや重量制限が出てくる.
 一番ややこしいのは離着艦の面で,陸上滑走路と違って大きな制限がある事で,これらに対応する機体設計にしなきゃいけないし,ここでも着艦の為の安全最大重量って問題が持ち上がる.
一昔前までは,フル爆装した機体なんかは,重量軽減のために,爆弾を投棄してから着艦したりしてた.

 もひとつ,艦上機は地上機以上に航続距離の要求が厳しい.
 専用の給油機を艦載することできないので,バディー給油などになるし,哨戒任務機は長時間滞空する必要があり,攻撃機は地上まで到達してから,さらに目標まで往復しなければならない.
 着艦待ちも,予備滑走路などないから待ち時間の余裕が要る.
 強度や着艦装置以外に,機体の基本的なスペックにも要求が厳しい.

 一番分かり易い例はYF-17.
 F-18にする時にほとんど原型機とは共通性のない機体になった.
 F-15・16も艦上機提案モデルがありましたが,原型機とはかなり異なる物だった.

 ゆえに,既存の陸上機を艦上機に仕立て直して充分な戦力にするには,容易ではなく,新設計に近い物となる.
 フランカー系の艦上機を運用するロシアの例があるが,ロシア空母のミッションの水準でよければ可能かもしれないが,米空母の戦闘力の水準に遠くおよばない

 空母側と機体側を弄って,1回だけ離着艦させろ・・・ってんなら可能かも知れないけど,現実的な運用法として,F-15系の機体を艦上機として運用するのは不可能.
 単に脚周りを含めた機体強化程度では不可能だろう.
 まず主翼.
 F-15系はデルタ翼独特の高アングルアプローチをしますが,海軍機では無理なので,翼長を伸ばすなどの処置が必要.
 また,フラップ・エルロンも小さいので,大型でかつ作動角度も大きな物を付けなければならない.
 さらに前縁フラップもないので,設置しなければならない.
 つまり前途の翼折り畳み機構も含めて,全面新設計の必要がある.
 別物になるレベルまで手を加えないといけなくなるから,コスト・運用的に無理・無駄.

軍事板,2010/10/16(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦前の大型戦闘艦艇は改造とか改装とか大改装とかするけど,現代のはするの?
 兵装を追加するとか,装甲を増加するとか,艦橋を拡大するとか.

 【回答】
 装甲の追加の例はほとんど無いけど,レーダーのアップデートなんかは頻繁に行われてる.
 イージス艦の場合なんかだと,見た目は変わらなくても,ソフトウェアのUPで性能向上してたり.

 現代はミサイルが主流なんで,見た目が大きく変わる事は少ない.
 一番大きな変化でも,タイコンテロガ級のミサイルランチャーがVLSに切り替わった時位.
 自衛艦なんかだと,80年代にはるな型が大改装をやった位.

 昔の戦艦みたく,見た目も性能も全く別物.みたいな改装は行われてない.

軍事板,2010/10/16(土)
青文字:加筆改修部分

 蛇足すると,最近の軍艦は電力化,ネットワーク化が進んでいて,電気やデータのケーブルが錯綜する上,それらを統合する艦のソフトの構成も必要だから,あとから大改装するのは難しい.
 そこで,準備だけして装備しない (fitted for but not with) のが流行り.
 イギリスのDaring級のハープーン対艦ミサイルなんかが代表例.
 それの極端なのがモジュール化した艦船.言わばレゴかコンテナみたいに,必要な各ブロックをベースの艦艇に搭載する.
http://forum.nationstates.net/viewtopic.php?f=6&t=7237&start=0

 まあ,どちらも改造というのとは少し違うが.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/16(土)
青文字:加筆改修部分


 【追記】

177 :名無し三等兵:2010/10/16(土) 19:57:38 ID:???
>>94 質問です,軍事用語で言う全滅とはどういう状態を指すのでしょうか?

だいたい回答されているようですが,数割の損耗=死傷や脱落等で全滅が正しいです.

ttp://mltr.ganriki.net/faq12c07.html
こっちにも載っていますね.

ただ,何割で全滅というかは,部隊規模によって違う事だけ抜けています.
国や時代や編制方針,戦術ドクトリン等によっても違いますが,

中隊:4割の損耗で全滅.
連隊:3割の損耗で全滅.
師団:2割の損耗で全滅.


なお,古代の場合,伏兵で敵軍に衝撃を与え,包囲の構えを見せることで士気を崩壊させ,
攻撃を加える前に壊走させたなんて例が多々あります.
この場合,「戦場にとどまって戦おうとしている人数がゼロになった」
という意味で,「10割の損耗」を,誰一人傷つけることなく与えて『文字通り全滅』
させています.

逃げている=今この瞬間に戦える戦力ではなくなっている,
というのは立派な損耗のうちで,それを含めれば10割損耗は普通にありました.
行軍中に体力的についていけなくなったり道に迷ったりというのだけではなかったりします.

222 :名無し三等兵:2010/10/16(土) 22:00:27 ID:???
>>220

陸戦なら全滅は正面戦力の3割損耗程度.
組織としてがたがたで継戦能力がろくに残ってないから.
壊滅なら5割,10割なら殲滅.

師団の4割が正面戦力なら12%で全滅,20%で壊滅,40%で殲滅.
ただ,正面戦力じゃなくても,補給を叩こうとされたりして,
後方も損耗するのが常識だから,見方によって中隊で4割とか師団で2割で全滅,などとなる.

あと,後方に部隊を下げて再編成…例えば工兵を突撃兵に配置転換したり
損耗した部隊同士をニコイチしたり…して損耗の回復したりも普通.


陸戦での敗北ラインは正面戦力の5%,10%超えたら大敗,
15%以上だと記録的惨敗だっけ?

軍事板,2010/10/16(土)
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 【質問】
 先日,米国が臨界前核実験を行ったとのニュースがありました.
 質問なのですが,なぜ,米国は臨界前核実験を行ったことを公表したのでしょうか?
 実際の爆発を伴う核実験は,秘密にしても爆発の振動がはるかかなたの外国まで届いてしまうので,隠しても 無駄.
 隠そうとすれば余計に疑念を招くのは分かります.
 しかし臨界前核実験だったら,秘密を保つのはたやすいと思います.
 批判を招くのを覚悟の上で,あえて公表したのはなぜでしょう?

 【回答】
 政治的意図はなかなか解釈が難しく,公表した事実をカバーとして,その裏で極秘の実験や開発を,参加者の大半にすら知らせずに行っていることもあります.

 そのような面には目をつぶって,素直にニュースを解釈するなら,それは「なぜ隠さなかったか」ではなく「なぜ隠す必要があったのか」となるでしょう.
 機密性の高い核実験といえども,実験には参加者もいれば予算計上も必要です.
 そもそも米国は,核兵器の信頼性を保証する「Stockpile Stewardship」の一環として臨界前実験を行っており,今回もその延長上の実験に過ぎません.

 核兵器は抑止力であることを考えると,米国の核兵器が確実に作動する事,あるいはそれを確認する試験を行っていることは,隠す必要どころか,抑止上,公開すべきなことです.
「ひょっとして使えないんじゃないか」
といったバカな妄想が,時に無用な衝突の原因となるのです.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/16(土)
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 【質問】
 モスキートやJu-88は自動化した対戦車砲を積んでいたようですか,そこで質問です.
1,それぞれ作動方式はなんだったのでしょうか?
2,対戦車砲を持ち出すほど,戦車の上面装甲が厚かったのでしょうか?
3,自動化出来るなら何故,陸上でも運用しなかったのでしょうか?(必要性が少ない?)

 【回答】
1. モスキートのは,元をたどればVickersSのバリエーションでロングリコイル.
 Ju-88のはFlak-38 20mm対空機関砲のバリエーションで,たしかこれもロングリコイル.
 これはPak-40を改良したもの.
 「Rapid Fire」の成書で有名なトニー・ウイリアムズのサイト,
http://www.quarry.nildram.co.uk/tankbusters.htm
に,ロングリコイル方式の対戦車砲として,PaK 40の半自動と全自動が載っている.
 ページの上,1/5あたり.

2. まず対戦車用途とは限らず,地上攻撃にも使うから,一定の爆薬を詰め込める口径が必要.
 また,垂直降下で撃つわけではないから,弾着はどうしても斜め(60度とか)になり,強めの貫通力が必要.
 実際,ハリケーンに搭載された40mmではタイガー戦車の上面装甲を貫通できないことが間々あり,57mmにスケールアップされた経緯がある.

3. 機載では自分で装填できないから,否応なく自動になる.
 しかし,自動は故障することもあり,実際,作動不良は珍しくなかった.
 また,同じ弾薬なら,自動機構の作動分,弾速も遅くなる.
 自動機構自体,重い.
 メンテも面倒だし,自動機構を確実に動かすため,弾薬の威力などにも制限がかかる.
 弾倉の装填にも時間がかかり(特に箱形の場合),人がある地上なら,無理に自動にしてもあまりメリットはなかった.
 同じ重さと手間なら,2門列べた方が早い,という感じ.

 そもそも機載の機関砲は,重量,反動などの制限が大きく,どうしても威力に限界がある.
 地上で使用する場合は,そのような制限は少ないし,対地攻撃と違って正面装甲を貫通する必要があるから,大威力の砲を使う必要がある.

 機載の弱力砲ならともかく,大威力の対戦車砲を自動にしたら,自動機構がとんでもないシロモノになり,とても動かせないし,嵩張って目立って仕方ない.
 あちこち動かし回って,射点に潜んで敵戦車を屠るのが,対戦車砲としては無能ということになる.

軍事板,2010/10/16(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 本(特に洋書)なんかでは,
「内戦は対外戦争以上に苛烈になりやすい」
って書いてることが多いけど,日本の戦国時代に関する本なんかでは
「日本は国内での戦争がほとんどだったので,残虐性が低かった」
と書いてある.
 この矛盾はどこから来るの?

 【回答】
 残虐性はともかく,複数勢力が安定して擁立している状況は,決戦主義,短期戦主体になりやすい.
 何年間もお互いの勢力で戦い合うという消耗戦は,他国に弱みを見せるだけだからな.
 日本と似た状況は,8〜12世紀頃のノルウェーなどで見られる.
 民会と首長の勢力が同格だったこっちは,もっと平和的(?)で,相手の国を支配したいなら奇襲で首長殺害がベター.
 単に略奪したいなら,正面から打ち負かすという方法がとられていた.

 一般に苛烈となる内戦は,近代的戦闘,独立や既にある政府の転覆を目指すような方向性.
 その代表例がアイルランド内戦だ.
 アイルランド内戦やアメリカの独立戦争以降は,近代兵器の登場と共に戦闘の持続性,少数の戦力の増大と共に苛烈さが増していった.

 兵器が成長したから内戦もやりやすくなり,結果内戦が苛烈というステレオタイプが出来上がった,というところかな.
 独ソ戦を上回る内戦なんてないのにな.

 また,何をして「残虐性が低かった」とその著者がいっているのか?という辺りもある.
 「残虐性が低かった」筈の日本の戦国時代でも,「根切り」「人取り」「飢え殺しでカニバリズム」などなど,残虐行為はしょっちゅう起こってる.
 また,直接の残虐行為ではないが,生産力を破壊する「青刈り」「焼き討ち」などは常套戦術だった.
 まあ恐らくは,封建体制=「在郷土着軍人が全国津々浦々に収入源とセットで盤居」していた,当時の日本社会において,その抵抗を逐一排除する事があまりにも煩瑣だった為,往々にして「調略」が基本で,戦闘は結果確認でしかなかった辺りにあるんだろうとは思うが.

軍事板,2010/10/17(日)
青文字:加筆改修部分

 蛇足させていただけるなら;

 内戦といっても,軍対軍で戦っている限り,さほど残虐なことにはなりにくい.
 お互い,明日は我が身だし,単に殺す方が簡単で手間もかからない.
 ヨーロッパでも傭兵部隊同士の「内戦」など,さほど苛酷でなかったようだ.
 日本も農民を駆り出さない,武士同士の戦争はこれに当てはまる.

 内戦が苛酷になるのは,その原因が民族,宗教,階級,政治主義などの「文化的」原因で発生したとき.
 兵だけでなく,住民全員が「文化的」動機を持っているから,プロの兵同士の戦いではなく,人対人の感情的な「殺し合い」になる上,相手の存在そのものが悪であるから,降伏とか交渉の余地もない.
 殺されたら,殺し返すことしか考えないため,戦いに終りが見えない.
 その悲惨な状況の原因は敵であるから,さらに戦いは激しくなる.

 利害関係,欲得ずくの戦いの方が,「文化的」な戦いより紳士的ということか.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/17(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 パイロットは飛行機に乗りすぎると,肺の病気になるのでしょうか?

 【回答】
 「飛行機」にもよります.
 まず閉鎖された機内で,清掃も十分でないとすると,震動などによってほこりが多い環境に長時間さらされることになります.
 この場合,喘息などが考えられますが,石綿などが使用されていれば,中皮腫の可能性も高くなるでしょう.
 爆撃機など複数の人間が登場していれば,感染症の危険もあります.
 結核が伝染ることもあり得るでしょう.

 SR-71などのように高々度を長時間飛行する任務では,宇宙線曝露があなどれません.
 結果として発ガンのリスクが増加し,肺ガンになることもあり得るでしょう.
 酸素マスクを使用する場合,高酸素濃度による肺線維症も考慮する必要がありますが,コックピット内の気圧が低めであることを考えると,実際の酸素量はさほど高くないと考えられますから,これはおそらく無視して良いでしょう.

 いずれにしても,頻度としてさほど高いとは思えず,むしろ長時間座り続けることによる腰痛や,ストレスによる胃潰瘍などの方が,ずっとありそうな病気だと思います.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/17(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 現在でも各国軍(の研究部署)による,新型の致死性化学兵器の研究開発は続けられているのでしょうか?
 もしそうだとすると,既に強力な致死性化学兵器(GVガスとか,VXガスとか)がある中で,新型致死性化学兵器を開発する理由は何でしょうか?

 【回答】
 公開されている限りでは,いわゆる毒ガスでは新規開発は見当たらない.
 既存の兵器の改良(主に安全性や保存性の改善)や対抗策の研究が行われている程度.
 そもそも,米を含む多くの国が批准したChemical Weapons Convention (CWC)が1997年に発効し,2012年5月までにすべての加盟国の化学兵器は処分されることになっている.
 興味があれば,下記資料のページ CRS-16以下を参照.
http://www.fas.org/sgp/crs/nuke/RL30699.pdf

 化学兵器は現代の周辺危害を最低限に抑える必要がある戦場では使いにくく,確実性に欠け,しかも軍は対策しているため効果も期待できず,使用すれば国際的な大失点につながり,相手が核保有国なら核による報復も否定できないため,ご自分で書かれているとおり,新たに開発する予算を割く値打ちがない.
 非対称戦争用の兵器,または治安用の低致死性化学兵器としては,開発が続けられている.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/17(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ガンドリルとBTA加工の技術的な違いを教えてください.

 【回答】
 ガンドリルとは,銃身のような小さくて深い穴を開けるためのもの.
 そのため
http://fujiwara.m78.com/gundoril/gundrill.html
>高圧の切削油は,下図のようにドリル内部の油穴を通って刃先から噴射し,
>この流れに切りくずをのせて,回転するシャンクの外側のV溝をとおって
>切りくずを外部に送り出す働きをします.
とあるように,「切りくずはドリルの外側を通り排出されます」.

 BTA加工,こちらの最下部の図にあるように
http://kyushiba.com/what_is_BTA.html
「切りくずは,ドリル内部を通り排出されます」

軍事板,2010/10/19(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 飛行中の輸送ヘリ?のカーゴハッチから,狙撃銃で地上を狙ってるような画像を見たのですが,実際の作戦でそのような事が行われるのでしょうか?
 揺れや強風で当たりませんよね?

 【回答】
 確かに,ジンバルなどで軸安定させないと,まともな狙撃は無理です.
 ただ,人体がある程度の緩衝作用を持ちますから,機体直付けの火器よりはマシかも知れません.
 少なくとも,ただのアサルトライフルよりはマシでしょうし,口径が大きい分,外乱にも強いでしょう.
 風はメインローター直下だけだし.
 もちろん12.7mm機銃でも積んでれば,それを使うでしょうが.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/19(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 西部劇なんかでガンマンが腰の辺りで銃を構え,ハンマーを素早く操作して連射する技がでてきますが,あれが実戦で使用された例ってありますか?
 ただの曲芸の類?

 【回答】
 ファニングやクイックドロウなどの射撃テクニックは,シングルアクションアーミー特有のものですが,基本的には,実戦において六発以内で如何に早く連続して射撃するか,と言う拳銃射撃のテクニックとして,連発式拳銃の過渡期に発展したものです.
 所謂ガンマン達は,この技術を磨く事で,撃ち合いを切り抜けて来ました.
 ボブ・マンデン氏やマーク・リード氏のような神業は実在しましたし,また,当時は近接戦闘にある程度優位に立てる事もありました.
 そう言ったガンマン達の活躍もあって,シングルアクションアーミーをピースメイカーと呼ばしめ,その伝説をフロンティアスピリットの代名詞として語り継いで来たのです.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板,2010/10/19(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 グロックの様なハンマーのない銃は反動の軽減や,引っかかって暴発することを防ぐため,あのような形であると聞いたのですが,じゃあ逆にハンマーある銃はなんで付けてるの?
 軍用の銃(Mk23,USP,M92,M1911A1,HK45やPx4)にはかならず付いてますよね
 本当なら,上の様な問題を防ぐため,みんなハンマーは付いてない物を選ぶのでは?

 【回答】
 撃鉄(ハンマー)を打撃針(ストライカ)に置き換える理由として,引っ掛かりの原因となる突起を無くす事も,勿論ありますが,その他,撃鉄の回転モーメントによる命中精度への悪影響を少しでも排除したり,パララックス(視差)と言う,握把と銃身の高低差を僅かでも小さくする事で,発砲時に発生する発射反動による回転モーメントを小さくしたり,またその為に握把周辺の構造容積を小さくする目的で,遊底(スライド)に撃発機構を内臓する為に,そのような構造を取る事もあります.
 最近のグロックやS&W M&P,XD等,拳銃による戦闘を意識したものは,正に,そのような設計思想を持って造られて居ますね.

 補足すると,従来からの撃鉄方式は,マスケットの時代からプルーフされた,信頼性の高い機構で,撃鉄が起きている事で(コッキング)発射準備が出来ているか目で確認出来,また万一の不発の時に再度起こして雷管を打撃する事も可能です.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板,2010/10/20(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 第2次世界大戦の対戦車砲弾の中でHEAT弾について聞きたいのですが,HEAT弾が装甲を貫徹させた後の目的はなんなのでしょうか?
 つまり,HEAT弾は戦車を破壊するための砲弾ですか?
 それとも乗務員を殺傷することも可能なのでしょうか?

 【回答】
 乗務員殺傷が主目的.
 貫通した金属が車内で跳ね回り,傷害,破壊するのがメイン.
 可燃物や砲弾に当たれば,火災,爆発もあり得る.
 貫通時に装甲内側の破片(スポール)の飛散もある.

 同時に,貫通孔から装甲の一部,爆発ガスの一部も車内に侵入するが,それで燃やして危害するのが主ではない.
 ただし,装甲が柔い場合は車体も破壊されるし,爆発ガスの侵入も多くなる.

 標準的なHEATの殺傷機序は,貫通片とスポール.
http://en.wikipedia.org/wiki/Beyond-armour_effect
「the effect of the massive spalling and fragmentation on the occupants of the armoured vehicle, which is standard for all HEAT warheads」

 ものによっては,あるいは装甲が薄ければ,爆圧や熱,閃光と煙によるスタングレネード効果もこれに加わる(同上.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/20(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 特攻は犬死のように言われますが,彼我の人的被害で言えば全くの無意味とはいえず,心理的効果も含めればある程度の成功だったように思います.
 勿論人道的に許される戦術ではないにしても,犬死扱いすること自体が冒涜のようにも思います.
 実際のところ,純軍事的に特攻戦術は失敗だったのでしょうか?
 また戦後,組織的に航空機による特攻戦術が取られたことはありますか?

 【回答】
 曲がりなりにも飛行機を飛ばせるまで育てた兵を殺すのは,得策ではないでしょう.
 飛行機自体,より安価で量産容易な兵器の発射プラットフォームとして,繰り返し使用し,効果を発揮できる仕掛けであり,使い捨ては大変効率が悪い.
 自爆テロに爆弾持たせるのとはムダ具合が違うのです.
 もちろんテロリストといえども,人命は地球より重いですから,ムダなどと言ってはいけない,迷惑と言うべきですが.

 その場では一瞬成果を得られるが,先を捨てての戦果であり,本気で勝つための戦術とは言えないでしょう.
 倫理的以前に,単なる悪あがき.
 もっとも,そこで稼いだ貴重な時間が,大逆転の勝機につながる根拠があるなら,話は別ですが.

 戦後の「組織的な」特攻戦術というのは,聞いたことがありません.
 詳しい方フォローよろしく.

 ところで,この質問,なんとなく過去スレから拾ってきた気がするけど,気のせいだといいな.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/20(水)
青文字:加筆改修部分


 【追記】
185 :霞ヶ浦の住人 ◆ORAm06ellg :2010/10/20(水) 23:20:45 ID:9fjiGipv
>170
>165
>何で日本だけ高いの?

霞ヶ浦の住人の回答.
訴訟に必要で「多くの人が必死で読み書きを勉強したのです」.
農民にも字が必要でした.

説明.
「江戸時代の日本は,実は訴訟大国だったのです.
戦国時代までは,争いがあれば先ず話し合い,そして訴訟でした.
解決できなければ,戦で決着というのが普通で,いざとなれば強いものが勝つという世界でした.
それが幕府により,私闘が禁じられたため,争いごとの最終決着は訴訟でという話になったのです.
訴訟・裁判ということになれば今の昔も重要なのは証拠です.
最も重要でわかりやすい証拠は今も昔も契約書などの文書です.
賃貸契約や土地の所有権,水利権等等,色々な文書が裁判でモノをいったわけです.
最重要証拠が文書ということになれば,読み書きができるできないは大きな問題になります.
もちろん,読み書きができない人には,僧侶など読み書きができる人が立ち会って契約するのが普通でしたが,
やはり自分で読み書きができないということは,大きなハンディでした.
だから多くの人が必死で読み書きを勉強したのです」

下記,江戸時代の日本は同時期の他国より識字率が高かったですが,寺子屋は地方にもあっ...を参照ください.
ttp://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1131996251

霞ヶ浦の住人#H4O3G9H3


195 :名無し三等兵:2010/10/20(水) 23:34:50 ID:???
>>185
これはちょっと極端すぎる意見で,普通はこういう見解を取る人は少ないと思う.
俺は言語学系なんで,史学系の人がどういうかわからんがな.

識字率とひとくくりに言うが,漢字検定なんてものがあるように,どこまで読めればいいのか,
その判断の基準そのものが曖昧なんだな.

寺子屋が識字率の向上に果たした役割の大きさはまあいいとして,でも,それだけでは説明にならない.
世界各地域に似たような施設はあったわけだからね.
日本の場合,戦国時代以降,長期間にわたって比較的社会体制が安定していたことが根本にあると思われる.
訴訟社会,っていうのはその一面に過ぎないんだよ.
安定的な統治が続けは,その統治機構の法理が浸透する,ってことなんで.


177 :名無し三等兵:2010/10/20(水) 23:07:42 ID:???
>>174
まあ日本人でも東北弁の識字率は低かったからな.
いまだにTVで字幕が出るくらいだし.


178 :名無し三等兵:2010/10/20(水) 23:08:03 ID:???
>>170
江戸時代後期には田舎の農村漁村にまで寺子屋(手習所)が普及していて
その流れで明治維新後に国民皆教育が制度化されたおかげで,日本人の
識字率は(産業革命で子供が労働力に取られていた)欧米先進国を
上回る勢いだったため.

248 :名無し三等兵:2010/10/21(木) 01:49:26 ID:???
>>195
まったくおっさる通りでカスミンの言ってることは極端すぎる

江戸時代は公用文は中国式の漢文なのであって,提出する文書が漢文になってないと
問答無用で突き返された
それでも武士にさえ書けない者が大勢いて(当たり前だが)泣く泣く大金を払って学者に頼んでいた

ましてや民間では誰も漢文なんかわからないから,仕方なく平仮名や片仮名が使われていたのだが,
当然こうしたことは江戸時代には文盲扱いされていた(だから仮名という)ので,
それらを識字率とカウントするのは間違い

明治政府になると漢文を普及させることを諦めてしまったので,いわば政府が民間に合わせたのだが,
そうして「意思疎通」ができるのなら良しとするなら,別に日本が統治機構で優れているという話ではない

軍事板,2010/10/20(水)
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 【追記】
284 :名無し三等兵:2010/10/21(木) 11:51:13 ID:???
>>207
>>210
>>213
どこかに1000キロ近くの米空母防空網の図面もあったけどリンク忘れた

現在の米海軍では空母機動艦隊の航空機による防御は三層より構成されています.
もっとも外側に位置するのがBARCAP(阻止戦闘空中哨戒)で,
空母より脅威の存在する方向925q進出し,自機のレーダーによって脅威を捜索します.
その内側にCAP(戦闘空中哨戒)が存在し,約280qの地点で2機ペアになり
「ホット・コールド(2機が180度反対の方向を向いて旋回し,
常にどちらかの機が脅威方向を向いている)」と呼ばれる周回パターンを描き,
空中給油機の支援を受けながら2時間滞空することになります.
一番内側を防御するのがDLI(甲板発進迎撃)で,
その対応距離は空母より248q以内となります.

軍事板,2010/10/21(木)
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 【質問】
 自衛隊で一番給料の良い兵科は何処ですか?

 【回答】
 それを知ってるのは主に自衛隊の中の人であり,そういう人はここには書かない,というか2ちゃんねるで書く現役はいない建前

 で,俺の知ってる範囲で答えると,職種(兵科)で基本給料に違いはない.
 ただ,職種によって習得する技能およびその技能手当ての額は異なり,また,任務によっても習得技能と額は違うし,任務そのもので手当ても変わる.
 普通科隊員でも一般的な自動車化師団の普通科の所属隊員と,空挺や特殊作戦群の所属でも任務・技能が異なるため,「この職種は貰える給料の総額が高い」ってのは,固定されてるわけではない.

 また,そういった職種の中にはどんな技能もってる隊員がいて,どれだけ給料貰ってる事になってるのか,防衛上の秘匿性から詳細が不明な部分もあり,正確ではない.
 会計科に所属している自衛官および元自衛官でもなければ,そういう事はわからないだろう.
 つまり,俺たちが知れることはあまり多くは無い.

軍事板,2010/10/21(木)
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 【質問】
 水上艦のグループに,潜水艦で攻撃をかけるとする.
 第1撃は当たるとしても,それ以降は,潜水艦の位置はバレバレで,敵はアクティブソナーも使えるし,潜水艦は逃げる以外選択肢はないだろ?
 とすれば,複数の潜水艦でHit and awayを繰り返すしかなさそうな気がする.
 とすれば,そこそこ実戦仕立ての水上艦隊を相手にするのに,潜水艦は何隻必要なんだろう?

 【回答】
 長魚雷で外周の護衛艦艇食いまくる事に専念すれば,1隻だけでも結構な損害を艦隊に与えられる.
 と言っても,これは水中35ノット以上出せる現在の新鋭原潜クラスの能力を活かしての話だが.

 ただしこの戦法を2隻以上でやって,艦隊の哨戒機を囮などで引っ掻き回せば,物凄い効果的って事だ
(まあ,実際にはそんなうまく行くわけじゃない,水上艦艇もメクラじゃないし)

 んで,通常動力潜水艦でも海峡などで待ち伏せの上,艦隊の中の空母だけを狙って,静粛状態から完全奇襲すれば,確実に空母をしとめることができ,空母を中心としたこの艦隊グループは壊滅する.
 空母撃沈した直後に,潜水艦も護衛艦艇にフルボッコされて,形の上では合い撃ちだが,足軽一人と引き換えに大将首を取ったのと同じで,差し引きではお釣が大量に来る.

 なお,この戦法は回避が難しく,米海軍は海自や韓国海軍と演習する時は,かならずプログラムの中に入れており,そして必ず海自や韓国潜水艦に,空母が撃沈判定を出される結果に終わる.
 これ空母機動艦隊にとっては貴重な訓練経験であり,潜水艦の脅威を将兵にしっかり認識させるのに必要な行為でもある.

軍事板,2010/10/22(金)
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 【質問】
 昔,120mm戦車砲用の散弾の動画を見たのですが,あれの解説に一粒一粒の威力が7.62mm弾に相当すると書いてあったのですが,それ位の威力なのですか?
 平然と鉄板を抜いてる様からすれば,もっと威力あるんじゃないかなあと思うのですが.

 【回答】
 それはたぶん,M1A1用のM1028キャニスター弾.
 そうであれば,直径9.5mmのタングステン球1100個を,1400m/秒で撃ち出す仕掛けで,対人有効距離は200〜500m.
 一発の重さは不明だが,射出ペイロードは11kgなので一発10gとなる.
 比重からの単純計算より軽いので,純タングステンではないのだろう.

 7.62mmNATOは9.5gの弾を850m/秒前後で撃ち出す.重さはほぼ同等だから,その話はそんなに外れていない.
 初速は違うが,撃ち出された球は急速に速度を失うから,バラ玉として意味があるぐらい散らばる距離,つまり 200〜500mでは7.62mm程度になっていて不思議はない.
 ただし,命中後の体内弾道は,深部貫通力が強く,タンブリングなどが起きる7.62mmNATOの方が破壊的.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/22(金)
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 【質問】
 昔の潜水艦は艦内の二酸化炭素対策(吸着)に,アルカリ金属の水酸化物を使ってたようですが,現在の潜水艦はどのような二酸化炭素対策を行ってるのでしょうか?
 やはり原子力潜水艦と通常動力潜水艦とでは,対策方法に違いはあるのでしょか?

 【回答】
 基本はご指摘どおりのソーダ石灰(水酸化カルシウムが主成分).
 ただ,扱いやすいように改良されたものになっている.
例:
http://www.armedforces-int.com/article/royal-navy-carbon-dioxide-absorbers.html

 原潜は豊富な電力で,酸素を作り出すことはできるが(EOG使用),二酸化炭素はやはり吸着するしかない.
 原潜は長期間潜水するため,単に吸着するだけでなく,廃棄する方法が必要であり,MEA(モノエタノールアミン)に吸着させ,加熱して二酸化炭素だけ分離して廃棄している.
 繰り返し使用が可能なので,長期間の潜航に耐える.

 硫化ナトリウムの電気分解によって,酸素を発生させると同時にアルカリを発生させ,二酸化炭素を吸着させる方法も開発されている.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/22(金)
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 【質問】
 戦闘では普通あんまり損害が出ない,本当に損害が出るのは負けた後だと聞きました.
 本当ですか?
 本当だとしたら比率はどうなるのでしょう?
 というか,負けたら降伏するから損害なんて出ないのでは???

 【回答】
 個々の戦闘についての話であれば,勝ち負けがおおよそ決まった後の退却時に,確かに損害が出やすい.
 後方部隊が追撃する敵に応戦し,その間に先行部隊が撤退してその先に持ちこたえる拠点を作り,後方部隊はそこで合流して今度は交代,といった戦術が取れればよいが,個々の部隊が大きな損害を受け,指揮系統も乱れている〜消失していることが多いから,組織的に防御しながら後退することが至難.
 結果,応戦されない敵は好き放題に狙い撃ちしてくるため,被害続出.

 最初の戦闘中との比率は,そんなもん,ケースバイケース.
 冬のフィンランドなんかだと,部隊からはぐれるだけで死ぬし,部隊ごと死ぬし.

system ◆systemVXQ2 in 軍事板,2010/10/22(金)
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 「損害」が何を表してるのか,人命なのか,装備なのか,予算や費用なのか,国益なのか,その言葉が指してるのがはっきりしないが,少なくとも「戦闘」ってのは,実際には(一般人が)思ったほど大量に人が死んだりしているわけでも無かったりする.
 例えば部隊の1割,100人中10人が死んだ時点で,その部隊は撤退を開始しなきゃならないし,2割を超えると大損害.

 というのも軍隊ってのは,全体の半分以上が,残り半分から3分の1以下を支える支援職種で,非戦闘要員2割もやられたら戦闘要員が壊滅状態で,まともに戦えるのが残り少ないって事であり,もう戦闘を継続できない(負傷者や死者の遺体を回収後送するのにも人手を取られるし)

 戦争で物凄い人が死んでる印象があるのは,どちらかというと過去の戦争の形態と例が,イメージとして根付いているため.
(そんでもアフガンとかイラクとか,米兵だけで何千人も死んでるんだから,それらの犠牲者をして「少ない」っていうのは,命の価値を軽んじすぎてるけどね)

軍事板,2010/10/22(金)
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 【追記】

三割の損害で全滅扱いってのは,この,負傷者などの後送に人手が使われるからだそうな.

ま,怪我しても手当てしてもらえない,死体の回収すらなしで野ざらし.
それじゃあ誰も戦おうとしないですから士気は最低,すぐ逃げ出すのが見えてる.

昔の命の値段が安かった時代じゃないので,3割全滅ってのに大いに納得した本だった.
これに,師団クラスになると普通科歩兵の割合が低くなるから,
2割の損害でも全滅状態になりかねないとかにも納得したりしました.

軍事板,2010/10/22(金)
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 【追記】
707 :名無し三等兵:2010/10/22(金) 18:53:07 ID:???
珍説って言えばさあ…

>>652
>【珍説】東インド会社の活動は侵略じゃない??
>経済的特権の獲得を,侵略というのは筋違い.

>そもそも侵略というのは経済的特権を獲得するために行われるんだろうがw

でも経済戦争が侵略戦争の原因になる事はあっても
経済戦争そのものが侵略戦争だとは言わないよね

それを言ったら戦前の日本は欧米から経済戦争を吹っかけられた,「侵略を受けた側」になっちまう
それどころか当時の全ての国も,また現代に至るまでの全ての国は侵略戦争をお互いに行ってる事になるぞ


これはFAQの言う事も詭弁(経済戦争しかけた側に立った)を使ってる部分もあるのは確かにしても
検証側も珍説扱いされて当たり前だよ
たんなる暴論だもの

軍事板,2010/10/22(金)
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 【追記】
906 :名無し三等兵:2010/10/23(土) 00:53:38 ID:???
>>901
本当に戦争では儲けるのか儲けないのかの正否はともかく
とりあえず,戦争やってる時より戦争してないでどこかの脅威論を展開して
それに対抗するための装備を開発承認させ予算を得たり
売り出ししてセールスしてる時の方が,軍需産業というか
兵器メーカーは儲かるのが事実
(弾薬とか消耗品のメーカーは戦争中の方が発注が多いのも事実だが)

実際にはそんなに儲けている訳でも無い事項を殊更儲けてるかのように
主張する陰謀論者が多かったから当時,否定されたわけで

913 :名無し三等兵:2010/10/23(土) 01:04:12 ID:???
局地的に見れば,例えばMRAPの緊急生産で
大儲けした中小メーカーがあったりしたらしいし,
そういう意味では戦争特需なのだろうが……

そもそも論として,例えばポール・ポーストの『戦争の経済学』で指摘されているように
現代戦争の直接的な収支は「儲からない.むしろ赤字」
というかGDP比で見ると戦費はどんどん下がっているから,
特需というほどの効果がない

915 :名無し三等兵:2010/10/23(土) 01:08:04 ID:jwFQSLD+
戦争特需も戦後の生産能力の余剰と,需要の激減で過当競争と業界再編という先が見えてしまうので,経営戦略的には時限爆弾そのものでありんす.

軍事板,2010/10/23(土)
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 【質問】
>Q. ミッドウェー作戦がずさんというか無計画だったのはなぜでしょうか?
>A. ありゃ杜撰でも無計画でもなくその真反対.
> 精緻かつ複雑過ぎる計画を立てて冗長性を失った典型的な例.

 これ,変じゃないか?
 情報ダダ漏れってとこは,杜撰と言っていいんじゃね?
 あと空母ヨークタウンは間に合わないだろうとか,敵についてのリサーチも杜撰じゃね?

 【回答】
 第1に,作戦の内容そのものと情報の管理体制はイコールではない.
 情報管理・秘匿の杜撰さと,作戦計画の杜撰さは別問題.

 第2に,日本軍側の情報は,ダダ漏れしてはいない.
 アメリカは,有名な「AF」でようやく日本軍の目標を察知したくらいだ.
 それ以前の,日本軍出撃とかその時期とかってのは正直,暗号解読できなくても察しがつくし,現に日本も後に「あ号」作戦で,アメリカ軍の動向は通信解析でほぼ正確に把握してた.
 日本側の規範が緩んでたのは否定しないが,杜撰だったというのは違う.

 第3に,ヨークタウンについては,アメリカが間に合わせたことの方がはるかに異常なんだよ.
 実際,ヨークタウンは損傷が癒えたとはとても言えない状態で出撃しており,撃沈されたのも珊瑚海海戦のダメージが尾を引いたと言われる.

 ところでミッドウェー作戦を,現代のシミュレーションソフトでコンピュータ操作でやらせると,どうやっても日本側が勝ってしまう,というユニークな話もある.
 そのソフトの致命的欠陥を顕わにしてるだけかと思いきや,海外産の本格的ウォーシミュレーション有名ソフトで,しかも過去作も高評判の,シミュレーションマニアには高い支持を受けている,実績のあるメーカーが開発したものでさえ,アメリカ側が負ける.
 つまり,人間が人力でやるのは無理な作戦ということ.

 各社が販売しているボードゲームでも,ミッドウェー海戦をアメリカ側でプレイするのは,やっぱりプレイヤーにとっての鬼門.
 ボードゲームの名作「太平洋艦隊」でさえ,ミッドウェイ・シナリオはアメリカが勝てない.
 ……「机上演習では勝てる」作戦なんだよ,ミッドウェー作戦って.

(ただし全く勝てないわけではないのは,プレイヤーは戦史を知っていて,結果とその原因を熟知してるから,対策が取れるため.
 史実と異なる行動をプレイヤーがやりまくるというか,史実がどうなったのかその原因が何だったのか,熟知してゲームに挑めるからこそ可能な事だけどね.
 相手の行動も含めて最初から知れてるし,対策取れるなら如何様にも戦えるし勝てる.
 だから長期キャンペーンで勝利するのは可能.
 問題は,短期キャンペーンやシナリオで,史実どおりの設定された条件下でやらなきゃならない時だ.
 長期キャンペーンと違って前段階,前々段階からの準備を整えるのは出来ないし.

 ……一応,軍事の範疇だがどうも脱線話が過ぎるな)

 ミッドウェイ海戦以外でも,全てを機械かコンピュータみたいに完璧に動けたら,日本軍の他の作戦も,連合軍が勝てないか大苦戦をするっていうのは少なくない.
 この点からみても,通説にあるような,旧軍将兵は孫子は読んでても戦略や戦術を理解してなかった,とうのは間違い.
 むしろ理解と熟知をしすぎてて,理論馬鹿になってたゆえの悲劇.



86 :名無し三等兵:2010/10/23(土) 20:17:54 ID:???

 まあ,関が原の合戦でも,史実を伏せて外国人にシミュレーションやらせたら,三成が勝ってしまうしな.


87 :名無し三等兵:2010/10/23(土) 20:18:47 ID:???

 PC98版「太平洋の嵐DX」のミッドウエーシナリオ(ボックスフォーメーション)だと,なかなか勝てなかった覚えがあるが.

軍事板,2010/10/23(土)
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 【追記】
72 :名無し三等兵:2010/10/23(土) 19:56:58 ID:???
>>65
条約の問題もあるが,核弾頭は小型化の度が過ぎると効率が著しく低下するため
例えば米軍における最小の核弾頭であるW48核砲弾は,同世代の核弾頭と比較して威力が1/100でありながら,
使用するプルトニウム量は3倍と言う効率の悪さになってる
ツァーリ・ボンバーが如き大威力も非効率だが,W48みたいな小型核も非効率なんだよ

軍事板,2010/10/23(土)
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 【珍説】
>弾丸が真鍮? 薬莢じゃなくって弾丸が?

 霞ヶ浦の住人の回答.
 そうです!

 説明.
「ほとんどのフルメタルジャケット弾は弾芯である鉛をギルディング・メタル(真鍮.混合率は銅95%,亜鉛5%)で覆っている」

 【事実】
7.62x39弾 - Wikipedia
>弾頭は舟形(boat-tail)をしており,
>弾芯は鉄製でその周りに鉛がかぶせられ,
>さらに銅めっきが施されている.

http://ja.wikipedia.org/wiki/5.45x39mm%E5%BC%BE
>5.45x39mm弾はソ連で開発されたスチール・コア(鋼製弾芯)弾である.

 弾頭は鉛.それを銅でメッキしてある.
 珍説者は,gilding metalという金属で弾頭が構成されていると勘違いしているが,gildingという単語だけであれば金メッキ,gilding metalで真鍮メッキ,くらいの意味になる.
 もっとも,日本語における真鍮と,英語のbrassとでは,亜鉛の比率に違いがあるため,亜鉛5パーセントなら日本では丹銅,英語ならred brass,あるいはGunmetalとなる.

ふみ ◆Y.QUKJBduY in 軍事板,2010/10/24(日)
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 【質問】
 山口事件って何?

 【回答】
 1984年,山口市の山口駐屯地内の射撃訓練場で,射撃訓練中に突如隊員1名が,他の隊員に対して自動小銃を乱射した事件.
 4名が重軽傷,うち1名は搬送先の病院で翌日死亡した.

 撃った隊員は射撃場から,ジープで銃を持ったまま逃亡したが,その日の夕方には発見されて逮捕.

 供述が一見マトモなようでいて変だったので,精神鑑定に回された.
 その結果「重度の鬱病のために責任能力がない」として起訴はされず,懲戒免職の上で精神科の閉鎖病棟へ収監された.
 その後どうなったかは不明.

 この隊員はそれ以前にも1回問題行動を起こして自衛隊を退職後,再度入隊した,という「前科」があって,事件のかなり前から,
「言動がおかしい」
とされていた.

 直属の上司はこの事件を苦にして,「自分の監督責任だ」として後に自殺.
 結果的には犠牲者2名,ということになるか.

軍事板,2010/10/24(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 陸軍の師団は,普通師団,機甲師団の他にはどのような師団がありますか?

 【回答】
 普通師団なんて言い方は,普通はしないなぁ.
 現代のアメリカなんかだと,機甲師団以外にこういった師団が存在する.

*歩兵師団:文字通り歩兵が主体の師団.移動は車両で行う.
 歩兵師団に装備されるAPCは装輪とは限らず,装軌APCである場合もあり,また過去にはハーフトラックが主流だった.

*機械化歩兵師団:歩兵戦闘車によって完全自動化された師団.
 戦車も大隊レベル以上で配属される.
 ただし他国では,歩兵戦闘車(IFV)が配備され戦車大隊が付属するとは必ずしも限らない.
 APCが配備されたものを機械化歩兵師団としている国および軍もあるし,装甲車を配備しない自動車化師団にも,戦車大隊を付属あるいは派遣している師団もある場合がある.
(過去の機械化歩兵師団というものは,トラックやハーフトラックと戦車部隊の組み合わせで,APC・IFVなどの装甲車ではなかったもので,現在でも一部の国ではこの編成を継続して機械化歩兵師団としている)

*山岳師団:文字通り山岳戦や雪中戦を主体にした軽歩兵師団.
 緊急展開任務も請け負う.

*騎兵師団およびヘリボーン師団;
・ヘリ部隊
・車両部隊
・航空機による空挺からヘリに改編された部隊
の3種類が存在.
 たとえば第101空挺師団は,U.S.Army 101st Airborne Division という名のとおり,現在も名称は「空挺師団」のままだが,ヘリボーンを行う部隊(空中強襲師団)に変更されている.
 また,騎兵師団の名前を受け継ぐものの中にはヘリではなく,WW2中に自動車化や機械化を受けた,車両主体の歩兵師団も存在する.

 また,余談ながら騎兵部隊の名前を受け継ぐ戦車部隊も存在あるいは,存在した事がある.
(騎兵連隊・騎兵大隊.ただし,現在は再編により騎兵の名を冠していない事も少なくない)

軍事板,2010/10/24(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 強襲揚陸艦って一隻で揚陸の手伝いと輸送が出来るって船なんだろうけど,なんで一隻にまとめたの?
 あれ一隻だけでは運用に耐えないんだし,輸送艦多く作って,軽空母で手伝いをすればいいのでは?

 【回答】
 軽空母と輸送艦の別々の艦で,連絡とりながら上陸作業とその支援するより,指揮所が同じ所にある艦で作業を一本化できた方が効率的だから.

 強襲揚陸艦という分類だとややこしくなるので,アメリカのタワラ級とワスプ級に限定すると,強襲揚陸作戦を遂行するためのヘリコプター揚陸艦と,ドック型揚陸艦の能力をあわせた,自己完結型揚陸艦として計画された艦種.
 その背景にはベトナム戦争で得た,迅速な航空支援の重要性という戦訓と,それに伴う自前の航空戦力への強いこだわり,嫌戦ムード化で活発した海兵隊無用論/縮小論に対抗するべく練られた,即応部隊の構想があり,それ故,海兵隊の独立戦術単位である1個大隊に,兵員・装備・指揮およびV/STOLによる航空支援の全てを提供できる艦船が計画された.

 これが後のタワラ級で,その特筆すべき点は,作戦予定地の気候を人工的に再現し,あらかじめ部隊員に慣れさせるための人工気象室の存在であり,当時から全世界規模での即応部隊の運用構想が,現実的なものとして 押し進められていた事を示している.
 このように強襲揚陸艦は,全世界の沿岸部に海兵隊の独立戦術単位を,いつでも送り込めるようにパッケージしており,揚陸作戦の際は自前の航空支援も提供できるという,次世代の海兵隊の在り方そのものを象徴した艦.

 そもそも強襲揚陸艦は1隻だけで運用するものじゃない.
 それは軽空母でも輸送艦でも同じ.

 どのみち,輸送艦だって強襲揚陸艦と,運べる輸送量ではそんなに差は無い.
(また,最近の大型輸送艦も大型ゆえに余裕があるんで,ヘリ輸送・整備格納庫とLCAC運用能力を備えて,強襲揚陸艦化しちゃってるのが少なくないし)

 さらに,軽空母と輸送艦を沢山用意するよりは,強襲揚陸艦を沢山用意したほうが安い.
 購入(建造)費用だけでなく維持費用も,乗組員を確保するのも.

 結局は,パッケージとしてどれだけ効率的かって事だな.

 質問者はヘリの格納,整備能力というものを,安く見積もりすぎなのではないか?
 海自はそのヘリの格納,整備のためにDDHという艦種を作っているし,そっちにそれなりの値段がかかるから,おおすみにはヘリパッドしかつけていない.

ふみ ◆Y.QUKJBduY in 軍事板,2010/10/24(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 タイガー戦車は強力ですが,電撃戦を得意としたドイツ軍には不向きだったのではないのですか?

 【回答】
 まず電撃戦とはなにか,と言う部分から確認しましょうか.

 ベルサイユ条約によって兵力の量的制限を受けたために,質的な向上で対抗する手法として生まれたわけですが,重要なのは.

>電撃戦では,いたずらに猛進するだけでは全ての防衛線を突破できずに行き詰まり,立ち直った敵軍
>により包囲される危険がある.したがって敵の戦意をくじくための準備をし,攻撃目標を明確にしておく
>ことが欠かせない.何故なら,この戦法は敵戦力を撃滅する為でなく,あくまで敵の脆弱点を狙って混
>乱させる戦法であり,敵部隊は士気を除いて殆ど物理的損害を受けないからである.
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%92%83%E6%88%A6

 指揮や士気,兵站が崩壊させる弱点を見つけて,そこを潰す,
 そのために柔軟な指揮と,長距離砲兵としての空軍の近接支援を活用する必要があります.
 これが達成できるのであれば,戦車だろうが銀輪部隊だろうが構わないわけです.
 空軍の活動が活発で,敵の弱点を調べて狙う準備ができる時期(たとえばフランス戦)にタイガー戦車があれば,やはりこれを使っての電撃戦をやったでしょう.

 実際のところ,ソビエトはタイガーと機動力でどっこいな,スターリン・シリーズの重戦車を使っての電撃戦もやってますし,空軍が「双方で」使えないという状況を利用してのアルデンヌ攻勢にも,タイガーIIが参加しています.
 電撃戦を厳密に定義した場合,それはフランス戦だけだったという見方もある――それどころか,「電撃戦など幻」説さえある――そうですから,そうなると電撃戦そのものに参加する機会が無かったことにはなるわけですが,重戦車大隊が攻勢,反撃の中核だった現実からも,「電撃戦を得意としたドイツ軍に不向き」な機材であったわけではありません.

 だいたい,開発の根っこを辿っていくと,名称は「1号突破戦車」になりますし,wikipediaにも「ティーガーIはもともと陣地突破のための攻撃用兵器として設計された」とあるので,意図した運用ができないことと,意図した運用に性能がついてこないことを,ちゃんぽんにしても始まりません.

ふみ ◆Y.QUKJBduY in 軍事板,2010/10/24(日)
青文字:加筆改修部分

 なお,タイガーの戦闘重量が57t,馬力が700馬力.
 4号戦車の場合で25t,300馬力.
 トン当たりの馬力を見ると,タイガーで12.3馬力,4号戦車で12馬力と,総重量のちがいによる故障率の違いはあるが,機動力ではほぼ互角になる計算なんだよね.

軍事板,2010/10/24(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 陸上自衛隊では,食堂の業務を民間の人がやっているのですか?

 【回答】

――――――
 自衛隊の活動は,主として自衛官により行われ,有事には防衛出動等,平時には演習・訓練・災害派遣等,部隊や艦艇を行動単位として行う必要があり,給食業務もこの活動の一部をなすものである.
 このため,平素から部隊行動に必要となる調理要員を確保し,任務として調理業務を行わせ基本機能を確保しているところであり,駐屯地等の給食業務を包括的に部外委託することは困難である.
 他方,部分的な委託としては,(1)調理において,自衛官以外の職員により行っている部分については,毎年の定年退職を機に定員削減を進めつつ,補充すべきポストについては費用対効果・委託手法等の検討を行い,部外委託を行う予算を確保してきた.
(18年度予算では,航空自衛隊防府南基地の調理業務,配食業務の一部を部外委託するための予算を確保した)
 さらに自衛官が行っている部分についても,部外委託を検討中である.
 また,(2)献立業務及び食材の発注業務については,現在管理栄養士(医療職(二))の資格を持つ職員が従事しているが,自衛隊の運用に支障がないと考えられる場合には,今後定年退職者を補充する必要がある際に部外委託への検討の余地が出てくるものと考える.
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/bosyu9/bouei.pdf
――――――

 正解は「やってるところもある」であって,「陸自の食堂を民間が運営」は間違い.

ふみ ◆Y.QUKJBduY in 軍事板,2010/10/24(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「マニュアルであれ機械であれ,ティルトローター含むVTOL機は,水平⇔垂直の移行時のバランスが崩れやすくて,危険な事」というのは本当ですか?

 【回答】
 ハリアーの場合.

1. 単発エンジンであるためにエンジン出力の同調,あるいは制御のための装置が不要.
2. そのペガサスエンジンの中でタービンを時計周り反時計周りにしてトルクを打ち消している.
3. 4つのノズルから噴出するガスは設計段階でバランスをとるように計算されている.

 そのためにバランス云々であれば,まず注意すべきは地上効果であって,水平飛行から垂直着陸,あるいはその逆ではない.
 対気速度と迎え角で揚力の計算はできるし,推力はスロットルで調整できる.
 VTOLであれば100何ノットだかの対気速度まで,ノズルを下向きにしておくだけだし,VLであればノズルを40度にしたまま迎え角8度でファイナルアプローチ,速度を殺して着艦,地面効果が出る25フィートのあたりは一気に突っ切るようにどすん,と降りることになっている.

 ハリアーのバランスが崩れやすいってのは,どこの記述?
 調べられるようなら調べてみるんで.

ふみ ◆Y.QUKJBduY in 軍事板,2010/10/25(月)
青文字:加筆改修部分


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