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●初心者歓迎 スレを立てる前に此処で質問を 166
※青文字:加筆改修部分
ただし,「である」「です」調の統一のため等の補正を除く.
※既に分類され,移動された項目を除く.
※レス回収基準は「v.e.r. = 8」
※既出Q&Aの関連記述は,「追記」で処理.
※編集に手間取りそうなもの,または,調査が必要なもの等は,<保留>として後日回し.
目次
** 【質問】
現在,軍で扱われているような止血剤(怪我をした時につけると血が止まるってういやつ)の種類を知りたいのですが,そういったことに詳しい方,教えてください.
【回答】
外用の止血剤ってあったっけかなあ.
止血酵素のトロンビンを胃の出血に処方することはあるけど,「傷口に振りかけて」というのは聞いたことがない.
それよりまず,止血の基本は圧迫だろう.
サルファ剤はWWIIで米軍が大量に使った抗菌薬.
でもあまりに大規模に使ったもんで,戦後すぐに耐性菌がわんさと出てしまい,今では時代遅れの薬剤だな.
本来抗菌剤は注射か内服だが,前線の兵は傷口に振りかけていたようだ.
圧迫で止血すると同時に傷口をよく水洗い,というのが戦場でのおすすめかな.
ちなみに,傷口に決してかけてはいけないもの……それはレモンジュース.
クエン酸には抗凝固作用があるため.
医療関係者 :軍事板,2005/02/13
青文字:加筆改修部分
小手術で,手術部位の視野確保のため,一時的な止血にアドレナリンを使うことがある.
商品名のボスミンの方が通りが良い.
血管を収縮させて一時的に出血を減少させる.
使いすぎると血行によって運ばれて,血圧上がったり頻脈おこしたりするが.
他には収斂剤の類で血液凝固させる方法もあるが,傷の治りは悪くなるので,あまり使わない.
あとはゼラチンスポンジとかがあるけど,これも感染の元になったりするので使いどころが難しい.
軍事板,2005/02/13
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
現代の航空戦は全て長射程の空対空ミサイルで行われるんでしょ?
っていうことは,例えばB747みたいなのにミサイル積んでも戦えるんじゃないんでしょうか・・・?
専守防衛を国是にし,進出して制空戦闘を行わない日本ではそれで十分なんじゃないでしょうか・・・?
【回答】
いくつか間違いがあります.
まず,長射程ミサイルが確実に当たって空中戦がそれで終わると言う保証,あるいは当たらなければそれで終わりにして双方帰投というルールはありません.
これは技術的な説明は不要と思います.
第二に,長射程ミサイルを使う空中戦においても,ミサイルを発射する側(戦闘機)には速度と加減速,旋回,上昇降下の性能が不可欠です.
すなわち,敵の長射程ミサイルの射程範囲に踏みこむことなく,自らの長射程ミサイルの射程範囲に敵を捉えるための性能です.
敵の射程範囲の外を高速で迂回する能力と言い換えても良いでしょう.
長射程のAAMを搭載し,発射可能な機体を「何でも良い」と考えて用意したとして,例えばMiG-31などにマッハ2で射程範囲の外を迂回されたらどうするか?
MiG-31は極端な例ですが,しばしば近距離での空戦能力を優先しているように(ロシア空軍がそんな主張をしたことは無いはずなのに)語られる.
Su-27高速を維持して大きな弧を描いての迂回機動,すなわち長射程AAM戦闘の能力を重視して設計されています.
TFR ◆ItgMVQehA6 :軍事板,2005/02/13
青文字:加筆改修部分
目視確認無しで敵機と断定出来て先制攻撃が許される現状であれば,質問者の言う通りでいいでしょう.
しかし,日本の場合はそれが出来ません.
よって,相手をある程度確認出来る位置まで行かねばならず,その時にB-747のような機体ではあっさりと粉砕されてしまいます.
出来るかどうかはともかくとして,MiG-31の進出能力にF-2の格闘能力を持つ機体が理想なのです.
ちなみに,旅客機ではありませんが,長距離AAMだけを搭載したミサイリア構想は60年代はじめごろにありました.
これがこけた理由は,
・目標識別の問題,
・戦闘機の任務はミサイルによる迎撃だけではないこと,
・射程などを生かすには射点につく必要があるが,それには機動性が必要,
・長距離ミサイルが外れた場合何もできなくなることなど.
対地攻撃用には,巡航ミサイルを大量に搭載した輸送機もどきでいいのではないかという議論はありますが,空対空戦闘ではそうもいかないので,そういう話は出てきていません.
軍事板,2005/02/13
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
とすると,ポストストールとか言う,あの超低速域での超機動は一体・・・?
【回答】
高速を(旋回の前後で)維持しての旋回を求められる長射程AAM戦における性能と,短射程AAM&gunを用いる距離での戦闘には共通要素があるとも言うことです.
MiG-31のような極端なものを除いて,片方の性能追求は他方の性能をも向上させると言うことですし,どのレンジにおいても加速性能は重要なわけです.
なお,Su-27が見せるポストストールの運動は,大迎え角性能試験中に発見されたものだと言われます.
西側の規定を引くと,MIL-F-8785が要求する大迎え角特性は
「敵を追うことに全ての注意力を振り向けているパイロットが操作しても自滅しないように」
という前提から
・ポストストールジャイレイションに入りにくいこと
・スピンに入りにくいこと
・パイロットが運動の方向を把握できていなくても回復できること
・スピンからの離脱は2旋転以内で行えること
てなところです.
スホーイではこれに相当する試験を実施中に,少なくとも上2項を満たすことを実証した結果だったのではないかと私は推定しています.
どなたか詳しいヒト,補足きぼんぬ.
TFR ◆ItgMVQehA6 :軍事板,2005/02/13
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
艦船のマストとはどの辺にあるのですか?
どんな役目があるのですか?
【回答】
マストの位置については,実際に見てみると分かると思います.
でも,港が遠い場合には,ネットで画像を見るってことで.
例えば,こちらはどうでしょうか.
ここ
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/index.html
で興味ある艦型,級をクリックして PICTUREのところまで行ってみます.
すると艦船の画像が沢山あります.
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/ddg-51-pics.htm
これから
・艦船のマストは船体中央の構造物の上に突き出たものである.
・マストには多数の電子装置,例えばレーダーや無線アンテナなどが位置している,
ということが分かります.
これはレーダーなどを海の波浪から守り,高い位置に置いて見渡す水平線をできるだけ遠くする意味があるんではないでしょうか.
んで,実は煙突との関係も船によってはあるんですが,そこいらは汽船とか貨物船に詳しい人がこないとうまく解説できないです.
軍事板,2005/02/15
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
戦闘機のミサイルのよけ方について質問です.
まず,目視またはレーダーによってミサイルの発射が確認される.
目視または自機のレーダーで,ミサイルがこっちに向かってくるのが確認できたら,なるべくアフターバーナーを使わず,ミサイルや爆弾,燃料タンクを投棄して,チャフまたはデコイでミサイルを妨害させる.
その間に,海上や自軍の勢力内の安全な方向に逃げる,という形であってますか?
【回答】
申し訳ないが間違いだらけだ.
まずミサイルの発射を(格闘戦以外の場合)目視で発見するのはまず無理.
1kmも離れたら見えない大きさだし,中射程以上のミサイルが自機に到達する頃にはロケットモーターが燃え尽きているので,煙も見えない.
さらに対空レーダーでAAMを捕捉するのはきわめて難しい.
ではどうするかというと,通常はミサイルを発射する前にロックオンを行うので,自機のほうではレーダー警戒装置(RWR)に敵機のおおよその方向が出る.
この時点でECMを作動させる.
作戦に影響が無い範囲で回避コースを取る.
たとえば反転して引き返せば,射程外に出られるかもしれない.
さらにミサイルが発射されると,ミサイルのレーダーが作動した時点でRWRにミサイル警報が発せられる.
この時点で,自機に向けてミサイルが発射されたことが確定する.
上に述べたようにミサイル本体を視認するのは難しいので,発射母機の位置などを参考にして目一杯の回避運動を行う.
兵装投棄をするならこのタイミングで.
ちなみに赤外線誘導で無いなら(中射程以上なら殆どレーダー誘導),アフターバーナー全開で構わないので必死に避ける.
チャフをばらまく.
近距離格闘戦の場合,通常ミサイル警報は作動しないので,敵機から煙を吹いてミサイルが飛翔するのを目視するほか無い.
この場合は必要に応じてアフターバーナーを炊いたり,炊かなかったり,とにかくフレアを撒きつつ,最大機動で回避する.
軍事板,2005/02/15
青文字:加筆改修部分
チャフ,デコイの他,積極的な電子妨害,光学妨害(指向性,あるいは非指向性赤外光による攪乱)も使用する.
それだけで無効化できればよし.
でなくとも時間を稼げばミサイルの燃料が尽き,機動性が低下する.
そうなれば追いつかれても回避機動が楽になる.
軍事板,2005/02/15
青文字:加筆改修部分
** 【質問】
ミサイルの信管について質問です.
北韓問題を扱った本に,
「パトリオットやスタンダードの従来型は,航空機を標的としているので,破片弾頭を近接信管で作動させて「面」による破壊が出来るように設計されている.
反面,アメリカが弾道ミサイル防衛に開発し今度自衛隊が導入するという新型のパトリオットやスタンダードは,目標を直撃して破壊するように直接信管となっている.
なので,非常に精密な命中精度があるが航空機を目標とするには不向きである」
とあったのですが,これは正しいのですか?
正しいとするなら,近接信管と直接信管とは,1つのミサイルに同時に搭載できないものなのでしょうか?
発射前に信管の作動モードを標的にあわせて切り替える,とか,両方積んでおいて標的にあわせて適切なほうだけを作動させる,という事は出来ないのでしょうか?
それと,根本的疑問として,弾道ミサイルを迎撃するのには迎撃ミサイルを直撃させなければいけないのですか?
近接信管で破片をばら撒いて穴だらけにしてしまえば,起動が狂うなどして目標地点には到達せず,それでいいような気がするのですが.
弾道ミサイルの核弾頭とは,弾片ぐらいでは損傷せず多少軌道が狂っても,地上に近づけば(目標地点ではなくとも)作動して核爆発が起きるものなのですか?
湾岸戦争のとき撃墜されたスカッドミサイルが完全に破壊されないため,残骸が地上に落ちてかなりの被害を出した,というのは知っているのですが,たとえ残骸が降ってきて被害が出ても,核弾頭付きの弾道ミサイルが重要拠点(都市等も含め)で炸裂するよりは,ずっとマシだと思うのですが・・・.
【回答】
もちろん近接信管との併用は出来るし,実際多くの対空ミサイルはそうなっている.
パトリオットPAC-2GEMはスカッドクラスの弾道弾への対処向上型だが,近接信管を持っていて対航空機と兼用ではある.
ただ,弾道弾の場合,突入体の運動量がでかすぎて,破片では有効な破壊をもたらせない.
そして完全破壊が出来なければ,核弾頭が炸裂する可能性が残る.
もちろん軌道が変わって,目標には当たらなくなる可能性が高いが,それでも核弾頭が炸裂しては大きな被害が出る可能性がある.
それを完全に排除したいわけだ.
それ故MD用のミサイルは直撃して完全に破壊するのを目指す.
またミッドコース迎撃の場合,大気圏外での迎撃になるので,爆風の効果が小さくなるということもある.
対弾道弾用のSM-3の弾頭は,爆薬を積んでいない運動エネルギー弾頭(KW)で信管は存在しない.
パトリオットPAC-3は直撃を目指す点でSM-3と同じだが,Lethality Enhancerという名の炸薬も搭載されている.
とはいえ,SDI華やかりし頃は少しでも有効迎撃面を大きくしようと,色々なアイデアが研究されたよ.
傘の骨みたいなやつを開くものとか.
しかし最終的には直撃弾頭が残った.
軍事板,2005/02/16
青文字:加筆改修部分
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